(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】高さ調整可能なインプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539758
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2021084844
(87)【国際公開番号】W WO2022135940
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020007873.7
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523238977
【氏名又は名称】タウルス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TAURUS GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 2, 63755 Alzenau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライシュタイン, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ジャック, アネッテ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC13
4C097CC18
4C097DD10
4C097MM09
(57)【要約】
本発明は、特に脊柱を支持するためのインプラントに関し、インプラントの高さは、第1の支持部分に対して軸方向に支持される駆動部分を軸枢の周りで回転させることによって調整することができ、駆動部分は、第1の支持部分に対して軸方向に移動可能であるが、回転方向には移動できない第2の支持部分の雌ねじと相互作用する雄ねじと、第1の支持部分に面するその軸方向側には、第1の支持部分を通って半径方向に通じる通路を通じて到達可能な歯と、を備えている。インプラントは、駆動部分の支持体の支持領域によって特徴付けられ、支持領域は、通路領域内で方位角方向に、特に歯よりもさらに半径方向内側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に脊椎を支持するためのインプラント(200)であって、駆動部分の軸枢(X)の周りで行われる回転によって実現可能な高さ調整機能を有し、前記駆動部分は、第1の支持部分(10)に対して軸方向に支持され、第2の支持部分(20)の雌ねじ(22)と協働する雄ねじ(32)を備え、第2の支持部分は、前記第1の支持部分に対して軸方向に移動可能であるが、回転方向には移動不能であり、前記第1の支持部分を通って半径方向に続く通路(14)を通じて到達可能な歯(36)を前記第1の支持部分に面するその軸方向側に備えている、インプラントにおいて、
前記通路の領域内に方位角方向に、特に前記歯よりも半径方向にさらに内側に配置されている、前記駆動部分の支柱の支持領域を備えることを特徴とする、
インプラント。
【請求項2】
前記支柱は、前記通路の両側の間に配置された空間領域にわたるブリッジ(54)によって実行される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記通路の開口領域は、前記第1の支持部分の軸方向領域を通る軸方向通路まで延び、前記駆動部分に回転可能に結合された軸方向連続部(38)が貫通する、請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記開口領域を通過し、前記第1の支持部分に対する前記駆動部分のねじれに対して、前記インプラントを、調整された高さの状態で固定位置に固定する固定装置(60)を有する、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記ブリッジは、前記第1のインプラント部分とは別個の支持部分(50)によって形成される、請求項2から4のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項6】
前記支持部分は、60°を超え、好ましくは120°を超え、特に180°以上の方位角方向に延び、特にリングの形状に形成される、請求項5に記載のインプラント。
【請求項7】
前記支持部分は、前記歯と前記軸方向通路との間に半径方向に配置され、前記軸方向に直交する平面内、特に連続的かつ特に平面的に形成された前記第1の支持部分の軸受(16)上に支持される、請求項5または6に記載のインプラント。
【請求項8】
前記歯と前記軸受との間に環状隙間を有する、請求項7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記第2支持部分の前記雌ねじの、前記第1支持部分に面する軸方向端領域に前記雌ねじを固定する軸方向固定装置(40)を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項10】
前記第1の支持部分および/または前記第2の支持部分は、特にプレートの形状をした自由軸方向端領域(19、29)を有し、その表面範囲は、断面でみたとき、前記雌ねじの表面範囲を10%超過、好ましくは20%超過、より好ましくは40%超過、特に60%超過する、請求項1から9のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項11】
前記自由端領域は、別個に製造され、特にねじ止めされる構成要素である、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記第1の支持部分は、前記半径方向通路の領域に突出し、特に前記半径方向通路を取り囲む突出部を備え、その外側輪郭によって、手術器具の相補的な形状のための特に回転ロックとして形成される成形シート(35)を形成する、請求項1から11のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項13】
近位端に前記駆動部分(30)の前記歯(36)に嵌合する歯(336)を備えた手動で作動可能な第1のシャフト(330)を有する、請求項1から12のいずれか1項に記載のインプラントを作動させるための器具(300)。
【請求項14】
前記第1の半径方向シャフトを案内することができるスリーブ構造(340、330)と、前記軸方向固定装置(60)に軸方向に解放可能な回転方向に固定されたカップリング(345)を有する第2の半径方向シャフト(340)とを有し、前記軸方向固定装置は、特に前記スリーブ構造の内部も通過する、請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記スリーブ構造は、その近位端で前記突出部の前記成形シートと相補的な形状を有する外側スリーブと、前記通路の開口の雌ねじと螺合するためのねじ山を有する内側スリーブとを備える、請求項13または14に記載の器具。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか1項に記載の1つ以上のインプラントと、請求項13から15のいずれか1項に記載の器具とを備えるセット。
【請求項17】
調整可能な最小の高さに調整されたときに、少なくとも2つ以上の異なる前記インプラントの軸方向寸法を有する複数のインプラントを備える、請求項17に記載のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント、特に脊椎インプラントであって、高さ調整可能、すなわち、下部椎骨領域と係合する部分が、上部椎骨領域と係合する部分に関して異なる軸方向の相対設定に適合させることができるインプラントに関する。特に、本発明は、請求項1の前文に記載のインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
インプラントにおいて、高さ調整機能は、軸枢の周りで行われる駆動部分の回転によって実現されてもよい。駆動部分は、第1の支持部分に対して軸方向に支持されており、歯だけでなく雄ねじも設けられている。この雄ねじは、第1の支持部分に対して軸方向に移動可能であるが、回転方向に固定されている第2の支持部分の雌ねじと協働する。歯は、第1の支持部分に面する駆動部分の軸方向側に配置され、第1の支持部分を半径方向に通る通路を通じて到達可能である。
【0003】
このようなインプラントは、その高さ調整機能がほぼ連続的であり、例えば欧州特許第1694257号明細書から当該技術分野で既に知られている。
【0004】
しかしながら、冒頭で述べたこのタイプの高さ調整機能は、信頼性の高い再現性のある耐荷重性能を有していないことが判明した。欧州特許第2055269号明細書の教示による欧州特許第1694257号明細書の改良でさえ、この点に関しては依然として満足のいく改善を提供していない。特にこれを理由に、他の高さ調整可能なインプラントが市場に存在し、この場合、軸枢に直交する平面への投影で見られるように、駆動部分に雌ねじが装備され、特に到達が簡単になるように、対応する外歯を備えた第1の支持部分と第2の支持部分の両方を囲み、同様にそれぞれのフランジ間の空間に係合するその領域でも同様である。このようなインプラントは、例えば欧州特許第1501453号明細書に記載されている。
【0005】
本発明の目的は、満足のいくコンパクトさと耐荷重性の良好な組み合わせを考慮して、嵌合ねじに係合するねじ付き駆動部分によって高さ調整機能が与えられる、上述のタイプの高さ調整可能なインプラントを開発することである。
【発明の概要】
【0006】
この目的は、冒頭で述べたタイプのインプラントによる装置に関して達成され、このインプラントは、接近の方位角領域、特に歯よりも半径方向にさらに内側に配置される駆動部分の支柱の支持領域によって本質的に特徴付けられる。
【0007】
したがって、本発明の範囲内では、冒頭で述べたタイプの従来の脊椎インプラントは、静的荷重試験には十分確実に合格するが、動的回転荷重試験では傾斜モーメントが周期的に発生し、これがインプラントの材料が破壊される程度の損傷につながることが判明した。
【0008】
逆に、本発明による解決策では、そのような傾斜モーメントは、通路の領域で方位角方向に(軸枢に直交する平面への投影で見られるように)歯よりも半径方向にさらに内側に配置された、駆動部分の支柱の支持領域によって打ち消され、これにより、静的荷重だけでなく動的荷重にも耐えることができるインプラントが提供される。
【0009】
1つの好ましい構成では、支柱は、通路の方位角境界の両側の間に配置された空間領域にわたるブリッジによって実行される。このブリッジは、半径方向駆動シャフトと連動するために歯が到達可能な領域に半径方向に突き出ていないことを理解されたい。支持力は、少なくとも表面上で受けられ、その後2つの方位角境界を介して少なくとも部分的に消散される。図面を参照して以下に説明するように、駆動部分の歯の鋸歯状の部分は、第2の支持部分の雄ねじとは反対側を向いている。同様に、歯が噛合歯の回転軸に対して回転するように設定されたときの歯と回転する噛合歯の間の連動は、外歯の側、つまり第2の支持部分に向かって向く通路の軸方向側に配置される。
【0010】
1つの好ましい構成では、通路の開口領域は、第1の支持部分の軸方向領域を通る軸方向通路まで延び、前記駆動部分に回転可能に結合された軸方向シャフトが貫通する。これにより、一方では駆動装置の作動による高さ調整機能を実装するための通路を相乗的に使用することができ、他方では変位固定装置への通路を得ることができる。したがって、これに関連して、開口領域を通過し、第1の支持部分に対する駆動部分のねじれに対して確実な位置に適応高さ状態でインプラントを固定する固定装置が提供される。
【0011】
1つの好ましい構成では、ブリッジは、第1のインプラント部分とは別個の支持部分によって形成される。これにより、構成要素が追加されるにもかかわらず、生産が容易になる。駆動部分は、歯の鋸歯状の先端が面する軸方向側で、ブリッジ/別個の構成要素上で支持される。図面を参照して以下に説明するように、歯の鋸歯状部分は、それらの鋸歯状の先端との連動部分よりも半径方向にさらに内側の別個の支持部分を支持してもよい。
【0012】
1つの好ましい構成では、支持部分は、60°を超え、好ましくは90°を超え、より好ましくは120°を超え、特に180°を超えて方位角方向に延び、特にリングの形状に形成される。このようにして、さらに均一な負荷分散が実現される。
【0013】
別の好ましい実施形態によれば、支持部分は、歯と軸方向通路との間に半径方向に配置され、軸方向に直交する平面内、特に連続的かつ特に平面的に形成された第1の支持部分の軸受面上に支持される。この軸受面は、駆動部分に面する補強体の軸方向面であってもよく、第2の支持部分の軸方向突出部/軸方向壁と係合する第1の支持部分の軸方向突出部または軸方向壁を互いに接続しながら支持する。この補強体は、特に、第1支持部分と一体的に形成することができ、好ましい変形例では、駆動部分とは反対側の軸方向側で通路を制限することができる。
【0014】
別の好ましい実施形態では、歯と軸受面との間に環状隙間が設けられる。換言すれば、半径方向駆動シャフトの歯と係合する駆動部分の歯、すなわち連動領域に位置する歯の鋸歯状の先端は、支柱に関与しない。これにより、インプラントの製造時に必要な軸方向の精度が緩和される。
【0015】
さらに、1つの好ましい構成では、第2の支持部分の雌ねじを、第1の支持部分に面するこの雌ねじの軸方向端領域に固定する軸方向固定装置が提供される。これは、例えば、第2支持部分の連動突出部/軸方向壁の1つを半径方向に貫通し、雌ねじの半径方向範囲領域内に突出するピンの形態で具体化することができる。挿入後、ピンは、例えばスポット溶接によって第2の支持部分にしっかりと接続されてもよい。
【0016】
別の好ましい構成では、第1の支持部分および/または第2の支持部分は、特にプレートの形状をした自由軸方向端領域を有してもよく、その表面範囲は、断面でみたとき、各雌ねじの10%を超過、好ましくは20%を超過、より好ましくは40%を超過、特に60%を超過する。これらの軸方向端領域は、例えば、ねじによって端部にねじ止めされる別個の部品であることが好ましい。これにより、これらの端領域を複数の構成で提供し、選択的に結合できるため、異なる用途に対して高さ調整機構を備えた同じ基本構造を使用することが可能になる。
【0017】
別の好ましい構成では、第1の支持部分は、半径方向通路の領域に突出し、特に半径方向通路を取り囲む突出部を備え、その外側輪郭によって、手術器具の相補的な形状のための特に回転ロックとして形成される成形シートを形成する。これにより、手術器具と第1支持部分との初期結合をねじ込み等により行う必要がなくなり、操作が容易となる。
【0018】
これに関連して、インプラントを作動させるための器具も提供され、この器具は、その近位端に駆動部分の歯のための嵌合歯を備えた手動で作動可能な第1のシャフトを有する。
【0019】
器具は、好ましくは、第1の半径方向シャフトが貫通して案内されることができるスリーブ構成と、軸方向固定装置への軸方向に解放可能で回転方向に固定されたカップリングを有する第2の半径方向シャフトとを備え、特に軸方向固定装置はまた、スリーブ構成の内部を通過する。軸方向固定装置は、例えば、ねじの形態に構成されてもよく、第2の半径方向シャフトとともにスリーブ構成を通って案内され、通路内の雌ねじにねじ込まれ、それによって、軸方向通路に最大限にねじ込まれるその近位端が軸方向シャフトをブロックすることができる。
【0020】
別の好ましい構成では、スリーブ構成は、その近位端で突出部の成形シートと相補的な形状を有する外側スリーブと、通路開口部の雌ねじと螺合するためのねじ山を有する内側スリーブとを備える。
【0021】
本発明はさらに、上記の態様の1つによる1つまたは複数のインプラントと、上記の態様の1つによる器具とを備えるセットを提供する。
【0022】
好ましくは、セットは、調整可能な最小の高さに調整されたときに、少なくとも2つ以上の異なるインプラントの軸方向寸法を有する複数のインプラントを含む。さらに、このセットは、異なる表面範囲を持つ軸方向部分と領域部分の少なくとも2つのペアを含む。
【0023】
1つの好ましい構成では、1つ以上の軸方向端領域、それらを適用するためのねじ、駆動部分、駆動部分の軸方向連続部は、半径方向に関して中心軸方向通路を備える。これは、インプラントの重量変位に役立つ。
【0024】
材料は、原則としてインプラントとしての使用に適しており承認されている材料、好ましくは金属材料、特にチタンまたはチタン合金から形成される。
【0025】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、添付の図面を参照した以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】脊椎インプラントの部分的な軸方向断面図を示す。
【
図3】脊椎インプラントのベースユニットの軸方向断面で部分的に表された簡略図を示す。
【
図4】脊椎インプラントのベースユニットの下部の軸側の領域を2つの異なる視野角から見た概略斜視図を示す。
【
図5】高さ調整を開始する、連動するための雄ねじと歯を備えたドライブの一部をa)は、斜め上から、b)は、支持力吸引装置なしで斜め下から、c)は、支持力吸収装置を使用した状態で斜め下から示す。
【
図6】調整されたインプラントの高さを固定するための固定ねじを示す。
【
図7】インプラント用セット器具の構成部品を示す。
【
図8】2つの異なる動作状態における結合端を示す。
【
図9】2つの異なる動作状態におけるインプラントとセット器具の結合を示す。
【
図10】異なる軸方向の最小高さを有する脊椎インプラントのセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、当業者によく知られた方法で2つの椎骨の間に挿入でき、脊椎を支持するために使用される脊椎インプラント200の概略図を表す。
【0028】
この例示的な実施形態では、インプラント200は、ベースユニット100と一緒にねじ止めされるプレート状の端板(下部端板19および上部端板29)を用いて椎骨上に支持される。しかしながら、端板の正確な形状および構成、並びに構造は、図に示される長方形の形状に限定されず、代わりに、板は、例えば楕円形または円形などの異なる形状および/または構造を有してもよい。端板には、例えば、焼結チタン合金の構造化メッシュを設けることができる。
【0029】
インプラント200は、ベースユニット100の下部10がベースユニット100の上部20に対して軸方向に変位できる限り、高さ調整可能である。変位機能は、軸方向ガイドを備え、この例示的な実施形態では、軸方向ガイドは、
図1から明らかなように、上フランジ領域21によって構成され、上フランジ領域21は、形状嵌合により互いに係合し、下部10の下フランジ領域11間の相補的空間に係合し、またその逆も同様である。
【0030】
1つの好ましい構成では、示される例示的な実施形態のように、3つのフランジ領域11および3つのフランジ領域21が設けられ、2π、すなわち360°の方位角合計部分を互いに共有する。本発明の好ましいが必須ではない構成によれば、
図1の例示的な実施形態に示すように、半径方向通路開口部14(
図3、ねじ60が
図1の開口部14をブロックする)を備えたフランジは、60°を超える方位角で形成されており、他の2つの下フランジ11と3つの上フランジ21は、方位角全周の残りの方位角部分を占める。
【0031】
インプラント200、または下部10および上部を備えたベースユニット100の高さ調整機構は、基本的に当業者にはすでによく知られた調整機構に従って実行され、具体的には、上部20には、駆動輪30の雄ねじ32が螺合する雌ねじ22が設けられている。下部10が回転していないときに駆動輪30が回転すると、下部10に対して軸方向に変位可能であるが回転不能である上部21が、回転の感覚に応じて上方(拡張)または下方(収縮)に変位する。
【0032】
駆動輪30をねじるために、駆動輪30は、特に半径方向外縁の下向きの軸方向側に歯車リング36(
図3および
図5a、c)を備える。このようにして、駆動輪30は、歯36との噛合歯によって回転するように設定することができ、歯36は、作動器具のシャフトの軸の周りで回転することができる。このために必要な通路は、開口部14(
図3)によって提供され、通路は、
図1に示されている固定ねじ60によってブロックされている。固定ねじ60(
図6)は、インプラント200またはベースユニット100の所望の高さが調整され、駆動輪30の軸方向連続部38を保持した後、挿入され、これは、駆動輪30に回転可能に結合され、下部10に対してねじ締めによって回転可能に固定される。
【0033】
下部10は、この例示的な実施形態のように、ここでフランジ領域11と一体的に形成されることが好ましい補強領域18を備え、この補強領域18は、半径方向に見て内側にフランジ領域11に隣接し、したがって、第2の部分のフランジ21が、補強領域18を通過して軸方向に妨げられることなく変位できるようになる。さらに、補強領域18は、図に示すように、駆動輪30の歯36が位置する領域内まで半径方向に延びている。
【0034】
嵌み合う歯を案内するための半径方向の到達可能性に加えて、駆動輪30の回転駆動装置との連動を確立するための軸方向の到達可能性も提供するために、補強領域18は、凹部を備え、この凹部は、この例示的な実施形態では、実質的にU字形であり、特に方位角方向から見た通路開口部14の領域にある。したがって、歯36の半径方向領域において、ここで第1の部分と一体的に形成された補強領域18は、軸方向側面15lおよび15rの形態の実質的にU字形の切欠きの境界と底部13とを備える。
【0035】
半径方向に近いが、歯36のこの半径方向領域の内側で、側面15lと15rとの間の中間空間は、リング本体50の環状セグメント54によって橋渡しされる。この場合、リング本体50は、補強領域18の軸方向側面16の環状セグメント形状の軸受領域上に支持され、通路開口部14とは反対側の側面15lと15rとの間で方位角方向に延びる。
【0036】
図4aおよび4bでは、リング50が配置されると、リング50の円形セグメント形状領域54(
図5bは、
図4bの配置において軸受16上に180°(上から下に)傾けて「配置」されたものである)は、開口部14の方位角境界15lおよび15rを接続しながら、ブリッジのように開口部にまたがることが明確にわかる。
図5は、再び、複数の図でそれも下から歯36を示す。
図5cの図では、
図5bの図と比較して、リング50も示されている。連動のために半径方向外側に配置された歯も、製造中により大きな半径方向範囲で生成され、その後、リング50の不連続な軸受面39を形成しながら、鋸歯状の縁の高さが半径方向内側に減少することが分かるであろう。
【0037】
図3から分かるように、駆動輪30は、ブリッジ54を備えるリング50によって、下部10の補強領域18上で軸方向に支持されている。
【0038】
さらに、リング50の軸方向の高さは、少なくとも好ましい構成において、また例示的な実施形態に示されているように、歯36自体の鋸歯状の縁の先端37(
図5a)がフェース16にかからないような寸法に設定されている。これは、歯36の鋸歯状の縁の先端37と軸受16との間に隙間が設けられていることを意味する。したがって、駆動輪30の支柱の支持力の下部10への消散は、リング50を介して間接的に、かつ開口部14の領域でも方位角的に起こる。
【0039】
1つの好ましい構成では、少なくともブリッジ領域54は、補強領域18とは別個の構成要素の形態で提供され、より好ましくは、例えば
図4に最もよく示されているように、閉じたリング本体の形態で提供され、全体として独立した構成要素として提供される。
【0040】
さらに、特に
図2および
図3から分かるように、この例示的な実施形態では、内歯22の下端領域の通路開口部14と正反対の位置に設けられこの雌ねじ22を貫通するピン40は、軸方向のストッパまたは当接部を確実にし、ねじのさらなるねじれを防止し、したがってベースユニット100の最大引き抜き量を決定する。したがって、ピン40は、紛失に対する安全性を同時に提供する。
【0041】
図1からわかるように、下フランジ11と上フランジ21との界面は平坦ではなく、断面で見ると段差があり、上フランジ21は、下フランジ11とのスペースの中間で蟻継ぎ状に保持されている。
【0042】
補強領域18は、既に述べたように、本質的にリングの形状に構成され、雄ねじ32を有する駆動輪30のスリーブねじとして形成された軸方向連続部38が貫通する軸方向通路19を有する。駆動輪30とは反対側の自由端において、この連続部38は、フランジ領域39を備え、その結果、高さ調整中に駆動輪30とともに回転するユニットは、軸方向に見て補強領域38を囲み、全体が、その長さの少なくとも大部分にわたって、あるいは、好ましい例示的な実施形態に示されるように、その軸方向全長にわたってさえも、半径方向中央のキャビティを有する。端板19および29のそれぞれの締結ねじ190、290もまた、半径方向に見て中央のキャビティを備えて形成されることが好ましい。締結ねじ190、290を受けるために、第1の部分10と第2の部分20はそれぞれ、それらの自由端にこれらのねじのねじ山と協働する雌ねじを有する。
【0043】
軸方向の断面で見た雌ねじ22の形状は、軸枢Xに実質的に直交する平面内で上部20の自由端に面する実質的に平面のフランクと、この平面に対して斜めに延びこの自由端から離れて対向するフランクと、を有する。この例示的な実施形態では、ねじ山のピッチ角は、約1.75°である。
【0044】
図1から分かるように、外側輪郭が後述するセット器具用の成形シートを形成する周壁構造の形態の突出部35は、通路開口部14を備えた下フランジ11上に形成されている。この成形シートは、この例示的な実施形態では、丸い角を有する長方形のベース形状によって形成される。突出部35の内壁領域には雌ねじが設けられており、この雌ねじは、セット器具のさらなる部分の自由端のねじと協働する(以下を参照)。
【0045】
さらに、通路開口部14はまた、半径方向さらに内側に位置する雌ねじを有し、この雌ねじは、固定ねじの雄ねじと協働する。固定ねじ60は、
図6の斜視図において、再度個別に図示されている。ねじ頭部駆動装置は、この例示的な実施形態では、セット器具の一部を固定ねじの頭部に結合するための、π/3回転対称を有する門状(他のいかなるねじ頭駆動装置も同様であることを理解されたい)、およびガイド開口部14の高さの領域における軸方向連続部38の
図2に見られる凹状構成と平坦に接触するためのねじの遠位自由端面の凸状構成が見られる。固定ねじ60の雄ねじは、参照番号63で示されている。
【0046】
図7aから7fは、本発明によるインプラントと協働する複数部品セット器具300の部品を示す。
【0047】
図7a)は、外側スリーブ310の図を示しており、その近位操作端には、インプラントのシート35と形状嵌合して作用するシート315が形成されている。外側スリーブ310は、インプラント上のシート35に嵌合される。
図7bに示される内側スリーブ320は、この外側スリーブ310を通して案内され得る。その作動近位端において、この内側スリーブは、突出部35の内側境界における雌ねじと協働する雄ねじ328を有する。遠位端では、グリップ溝を備えたグリップリングが外側スリーブを越えて半径方向に突出し、外側スリーブの遠位端に係合する。
【0048】
シャフト330および340の遠位端は、セット器具のさらなる部品(図示せず)、すなわちトルクリミッタを備えたパームグリップを配置するために使用される。
【0049】
異なる構成のシャフトは、内側スリーブ内に案内されてもよく、一方では、
図3cに示す伸延シャフト330は、その近位作動端には歯、すなわち歯36との噛合歯336が形成され、他方では、別の動作状態において、
図7dに示される固定シャフト340は、動作近位端に固定ねじ60をねじ込むための適切なカップリング345を備えている。
【0050】
噛合歯336は、
図8aに拡大図で再び示されており、セット器具は、その近位端領域で案内された伸延シャフトを備えた第1の動作状態で示されている。逆に、
図8bは、固定ねじ60のねじ頭部の内部構成と一致するカップリング345を示す。どちらの図も、セット器具が一時的にインプラントと一緒にねじ込まれる内側スリーブ320の雄ねじを示す。内側スリーブ320は、シート35に対する嵌合シート315間の形状嵌合を確立するときに、雄ねじ328と雌ねじとの自動中心合わせが行われるように、外側スリーブ310と協働する。
【0051】
第1の動作状態において、伸延シャフト330(
図7c)が内側スリーブ320内に案内される場合、伸延シャフト330は、半径方向に対応して歯36(
図9a)の高さに位置するようになる。インプラントの軸枢Xに対して半径方向に延びるシャフト軸の周りの係合歯対36-336の連動による伸延シャフト330の回転は、駆動輪30を回転させ、ねじ付きカップリング32-22を介して上部20を下部10に対して軸方向に変位させる。
【0052】
インプラントの所望の軸方向高さがこのように調整されると、伸延シャフト330の代わりに、すでに固定ねじ60が取り付けられている固定シャフト340が内側スリーブ320に挿入され(第2の動作状態)、内側スリーブ320を通して案内される固定ねじ60がねじ込まれ、駆動リング30と下部10の回転位置を固定する(
図2、9b)。
【0053】
半径方向軸に対する固定ねじ60の軸方向結合面は、駆動リング30の軸方向連続部38の環状周方向凹部と、力なしで考慮される点接触するだけよりも大きな面接触で支えられるように、ここで行われているように凸状に構成されてもよい。
【0054】
図10は、本発明による脊椎インプラントセットにさらに大きな使用の可変性を与えるさらなる複数の基体100a、100b、100c、100dおよび100eを示す。インプラントは、軸方向の広がりが最小の(中立)状態では異なる軸方向の広がりを有することが分かる。この目的のために、第1および第2の部品のフランジ領域は、それぞれ長さが増加するように構成され、それに割り当てられるフランジの自由端に対する通路の位置は同じである。このセットは、5つの異なるインプラント高さを有する構成に限定されず、異なる数もあり得、相互間にそれぞれ提供される高さのグラデーションも、示されたものに限定されないことを理解されたい。
【0055】
同様に、本発明は、好ましい例示的な実施形態を用いて表された詳細に関して、他の点に関しても制限されない。むしろ、上記の説明およびそれに続く特許請求の範囲の個々の特徴は、本発明をその様々な実施形態で実施するために、個別におよび組み合わせて不可欠である可能性がある。
【国際調査報告】