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特表2024-501319新規なナフタルイミドのスルホン酸誘導体、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】新規なナフタルイミドのスルホン酸誘導体、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 221/06 20060101AFI20231228BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20231228BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C07D221/06 CSP
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539763
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 KR2021020077
(87)【国際公開番号】W WO2022145986
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0185293
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ,チョンリム
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,デヒョク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ユナ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドクラク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ジウン
(72)【発明者】
【氏名】カン,キテ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミンジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォンジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チワン
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AF83P
2H225AH13
2H225AH49
2H225AJ13
2H225AJ43
2H225AJ48
2H225AJ53
2H225AN39P
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CB02
2H225CC03
2H225CC15
(57)【要約】
本発明は、ナフタルイミドスルホン酸誘導体、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物に関し、より具体的には、i線(365nm)波長の光に対して優れた吸光度を有し、有機溶媒に対する溶解性が非常に高いため、重合性組成物の調製が非常に容易であり、熱的安定性が良好であり、良好な酸発生率を示すナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物に関するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、又は置換された若しくは非置換のアルキルアリール基であり、
3は、それぞれ独立して、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、置換された若しくは非置換のアルキルアリール基、又は式R4-O-(CH2n-(ここで、n=1~12であり、R4は、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基である)の基である。]
で示されるナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物。
【請求項2】
1及びR2が、それぞれ独立して、置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;又は置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;であり、
3が、置換された若しくは非置換のC1~C12の、直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;又は置換された若しくは非置換のC1~C12アルコキシ-C1~C12アルキル基;である請求項1に記載のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物。
【請求項3】
1及びR2が、それぞれ独立して、1つ以上のハロゲン原子又は脂環式炭化水素基で置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;1つ以上のハロゲン原子又はC1~C12のアルキルチオ基で置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;又は1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;であり、
3が、1つ以上のハロゲン原子又は脂環式炭化水素基で置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;1つ以上のハロゲン原子又はC1~C12のアルキルチオ基で置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;又は1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC1~C12アルコキシ-C1~C4アルキル基;である請求項1に記載のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物。
【請求項4】
1が、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基又はトシル基であり、
2が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基又はシクロヘキシル基であり、
3が、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、メトキシエチル基又はブトキシエチル基である請求項1に記載のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物。
【請求項5】
以下の化合物から選択される請求項1に記載のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物:
【化2】
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物を含む光酸発生剤。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物;及び
バインダー樹脂;
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項8】
請求項7に記載のフォトレジスト組成物でコーティングされた基板。
【請求項9】
請求項8に記載のコーティングされた基板を露光及び現像して得られるパターン化基板。
【請求項10】
請求項9に記載のパターン化基板を含むディスプレイ装置。
【請求項11】
請求項9に記載のパターン化基板を含む半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフタルイミドスルホン酸誘導体、及びそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物に関し、より具体的には、i線(365nm)波長の光に対して優れた吸光度を有し、有機溶媒に対する溶解性が非常に高いため、重合性組成物の調製が非常に容易であり、熱的安定性が良好であり、良好な酸発生率を示すナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光酸発生剤は、光照射により酸を発生する化合物であり、そこから発生する酸は、フォトレジスト組成物の成分によっては、組成物中の成分の一部を分解したり、架橋反応を起こしたりして、組成物中の重合体の極性を変化させる。このような重合体の極性の変化により、露光部と非露光部との間で現像液への溶解性に差が生じ、結果として、ポジ型又はネガ型のリソグラフィーが可能となる。
【0003】
フォトレジスト組成物の場合、その中の光酸発生剤は、微細パターンを形成できるように、照射光に対して良好なエネルギー感度を有するべきである。しかしながら、従来の光酸発生剤を単独で使用すると、フォトレジストの感度を十分に高めることができないという問題があった。
【0004】
そのため、少量でも十分な感度が得られる優れた光感度を有し、コスト削減効果及び優れた感度によって露光量の低減と増産が可能な光酸発生剤の開発が求められている。また、フォトレジストの主溶媒に対する光酸発生剤の溶解性が向上することにより、各組成物の調製が容易になるという利点がある。
【0005】
ナフタルイミド化合物について、光感度向上と溶解性改善のために、様々な開発が行われている。例えば、特許文献1には、-70℃の極低温条件と1-ブチルリチウムなどの金属化合物を用いてナフタルイミド化合物を調製することが開示されており、特許文献2及び特許文献3は、臭素置換化合物を用いたナフタルイミド化合物の調製を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国 特開 第10-2017-0125980号
【特許文献2】韓国 特開 第10-2017-0042726号
【特許文献3】韓国 特開 第10-2012-0114353号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、フォトリソグラフィーに用いられる光酸発生剤として適した優れた光感度と有機溶媒への高い溶解性を有し、熱的安定性に優れ、良好な酸発生率を示すナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、下記式(I)
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、又は置換された若しくは非置換のアルキルアリール基であり、
3は、それぞれ独立して、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、置換された若しくは非置換のアルキルアリール基、又は式R4-O-(CH2n-(ここで、n=1~12であり、R4は、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基である)の基である。]
で示されるナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物を提供する。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記本発明のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物を含む光酸発生剤を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記本発明のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物;及びバインダー樹脂;を含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、前記本発明のフォトレジスト組成物でコーティングされた基板;このコーティングされた基板を露光及び現像して得られたパターン化基板;このパターン化基板を含むディスプレイ装置;及びそのパターン化基板を含む半導体装置;が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物は、フォトレジスト用溶媒への溶解性が高く、熱的安定性に優れ、フォトリソグラフィー用の光(例えば、i線(365nm)波長の光)に対する感度が非常に優れているため、フォトレジスト組成物の光酸発生剤成分として使用することで、少量の使用でも現像性、テーパー角、パターン安定性などに優れたパターンを提供することができ、また、露光及びポストベーク工程で光酸発生剤から発生するガス放出を最小限に抑えることができるため、汚染を低減することができ、それによって発生する可能性のある欠陥を最小限に抑えることができるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物は、下記式(I)
【0017】
【化2】
【0018】
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、又は置換された若しくは非置換のアルキルアリール基であり、
3は、それぞれ独立して、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、置換された若しくは非置換のアルキルアリール基、又は式R4-O-(CH2n-(ここで、n=1~12であり、R4は、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基である)の基である。]で示される。
【0019】
より具体的に、式(I)において、
前記R1及びR2は、それぞれ独立して、置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;又は置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;であってもよく、
【0020】
前記R3は、置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;又は置換された若しくは非置換のC1~C12アルコキシ-C1~C12アルキル基;であってもよい。
【0021】
さらに具体的には、式(I)において、
前記R1及びR2は、それぞれ独立して、1つ以上のハロゲン原子又は脂環式炭化水素基で置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;1つ以上のハロゲン原子又はC1~C12のアルキルチオ基で置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;又は1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;であってもよく、
【0022】
前記R3は、1つ以上のハロゲン原子又は脂環式炭化水素基で置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;1つ以上のハロゲン原子又はC1~C12のアルキルチオ基で置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;又は1つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC1~C12アルコキシ-C1~C4アルキル基;であってもよい。
【0023】
さらに具体的には、前記R1は、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基又はトシル基であってもよく、
【0024】
前記R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基又はシクロヘキシル基であってもよく、
【0025】
前記R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、メトキシエチル基又はブトキシエチル基であってもよい。
【0026】
本発明において、「アルキル」部分を含む置換基は、直鎖状又は分枝状のあらゆる形態が含まれ、「シクロアルキル」には単環式のみならず多環式の炭化水素も含まれる。本発明において、「アリール」は、芳香族炭化水素から1個の水素除去することによって誘導される有機基であり、各環に適切に4~7個、好ましくは5又は6個の環原子を含む単環系又は融合環系を含み、さらには複数のアリールが単結合で連結されている形態を含む。また、本発明において、C1~C12アルキル基は、より具体的にはC1~C10アルキル、さらに具体的にはC1~C6アルキルであり、C6~C20アリール基は、より具体的にはC6~C18アリールであり、C3~C12シクロアルキル基は、より具体的にはC3~C10シクロアルキルであってもよい。
【0027】
一実施形態において、本発明のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物は、以下の化合物から選択することができるが、特にそれらに限定されるものではない。
【0028】
【化3】
【0029】
一実施形態において、本発明による前記式(I)のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物は、下記反応スキーム1に示すような経路を通じて調製することができるが、これに限定されない。
【0030】
<反応スキーム1>
【化4】
[式中、R1~R3は、前記式(I)で定義したものと同義である。]
【0031】
本発明のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物は、フォトレジスト用溶媒への溶解性が高く、熱的安定性に優れ、フォトリソグラフィー用の光に対する感度が非常に優れているため、フォトレジスト組成物の光酸発生剤成分で非常に有用である。
【0032】
従って、本発明の他の態様は、本発明のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物を含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物を提供する。
【0033】
本発明のフォトレジスト組成物は、本発明のナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物;及びバインダー樹脂;を含み、前記ナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物は、光酸発生用成分として含まれる。
【0034】
一実施形態において、前記バインダー樹脂は、例えば、ヒドロキシスチレン又はその誘導体の重合体;アクリル酸又はその誘導体の重合体;メタクリル酸又はその誘導体の重合体;ヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体から選択される2種以上の単量体の共重合体;ヒドロキシスチレン、スチレン及びこれらの誘導体から選択される2種以上の単量体の共重合体;シクロオレフィン、無水マレイン酸、アクリル酸及びこれらの誘導体から選択される3種以上の単量体の共重合体;シクロオレフィン、マレイミド、アクリル酸及びこれらの誘導体から選択される3種以上の単量体の共重合体;ポリノルボルネン;メタセシス開環重合体;及び前記重合体にアルカリ溶解制御能を有する酸不安定基を部分的に置換した重合体;及びこれらの組み合わせから選択されるが、特にこれらに限定されない。前記重合体に導入される酸不安定基としては、3級アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基、アリール置換アルキル基、テトラヒドロピラン-2-イル基などの複素脂環基、3級アルキルカルボニル基、3級アルキルカルボニルアルキル基、アルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0035】
一実施形態において、前記バインダー樹脂は、例えば、ヒドロキシスチレン又はその誘導体の重合体;アクリル酸又はその誘導体の重合体;メタクリル酸又はその誘導体の重合体;ヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体から選択される2種以上の単量体の共重合体;ヒドロキシスチレン、スチレン及びこれらの誘導体から選択される2種以上の単量体の共重合体;ヒドロキシスチレン、スチレン、アクリル酸、オレフィン、シクロオレフィン、無水マレイン酸及びこれらの誘導体から選択される3種以上の単量体の共重合体;及びこれらの組み合わせから選択されるが、特にこれらに限定されない。
【0036】
一実施形態において、前記「誘導体」は、例えば、元の化合物のアルキル又はアルコキシ置換体(より具体的には、C1~C10アルキル又はアルコキシ置換体)であってもよく、又は元の化合物が酸化合物である場合には、そのアルキル(より具体的には、C1~C10アルキル)エステルであってもよいが、特にこれらに限定されない。
【0037】
一実施形態において、前記バインダー樹脂は、例えば、以下の単量体から選択される2つ以上の単量体の共重合体であってもよい:
【0038】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート及びヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキル、フマル酸モノアルキル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3-メチルオキセタン-3-メチル(メタ)アクリレート、3-エチルオキセタン-3-メチル(メタ)アクリレートなど及びスチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド。
【0039】
一実施形態において、前記バインダー樹脂は、側鎖にアクリル不飽和結合を有する重合体であってもよく、例えば、カルボン酸を含む共重合体にエポキシ化合物を付加反応して得られる共重合体であってもよい。
【0040】
より具体的には、前記カルボン酸を含む共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボン酸を含む単量体と、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミドなどの単量体1種以上を共重合することにより得ることができ、このようなカルボン酸含有共重合体に、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物を40~180℃の温度で付加反応して得られた共重合体をバインダー樹脂として使用することができる。
【0041】
一実施形態において、前記バインダー樹脂の重量平均分子量は、2,000~300,000、より具体的には4,000~100,000であり、その分散度は1~10であってもよいが、特にこれらに限定されない。
【0042】
一実施形態において、現像性を高め、露光量を最小化するために、光酸発生剤として使用されるナフタルイミドのスルホン酸誘導体化合物は、本発明のフォトレジスト組成物100重量%に対して、0.01~10重量%、0.01~9重量%、0.01~8重量%、0.01~7重量%、0.01~6重量%、0.01~5重量%、0.01~4重量%、0.01~3重量%、0.01~2重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.4重量%、0.01~0.35重量%、0.01~0.3重量%、0.01~0.2重量%、0.05~10重量%、0.05~9重量%、0.05~8重量%、0.05~7重量%、0.05~6重量%、0.05~5重量%、0.05~4重量%、0.05~3重量%、0.05~2重量%、0.05~1重量%、0.05~0.5重量%、0.05~0.4重量%、0.05~0.35重量%、0.05~0.3重量%、0.05~0.2重量%、0.1~10重量%、0.1~9重量%、0.1~8重量%、0.1~7重量%、0.1~6重量%、0.1~5重量%、0.1~4重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.1~1重量%、0.1~0.5重量%、0.1~0.4重量%、0.1~0.35重量%、0.1~0.3重量%、0.1~0.2重量%、0.2~10重量%、0.2~9重量%、0.2~8重量%、0.2~7重量%、0.2~6重量%、0.2~5重量%、0.2~4重量%、0.2~3重量%、0.2~2重量%、0.2~1重量%、0.2~0.5重量%、0.2~0.4重量%、0.2~0.35重量%、0.2~0.3重量%、0.25~10重量%、0.25~9重量%、0.25~8重量%、0.25~7重量%、0.25~6重量%、0.25~5重量%、0.25~4重量%、0.25~3重量%、0.25~2重量%、0.25~1重量%、0.25~0.5重量%、0.25~0.4重量%、0.25~0.35重量%、0.25~0.3重量%、0.3~10重量%、0.3~9重量%、0.3~8重量%、0.3~7重量%、0.3~6重量%、0.3~5重量%、0.3~4重量%、0.3~3重量%、0.3~2重量%、0.3~1重量%、0.3~0.5重量%、0.3~0.4重量%、0.3~0.35重量%、0.35~10重量%、0.35~9重量%、0.35~8重量%、0.35~7重量%、0.35~6重量%、0.35~5重量%、0.35~4重量%、0.35~3重量%、0.35~2重量%、0.35~1重量%、0.35~0.5重量%、0.35~0.4重量%、0.4~10重量%、0.4~9重量%、0.4~8重量%、0.4~7重量%、0.4~6重量%、0.4~5重量%、0.4~4重量%、0.4~3重量%、0.4~2重量%、0.4~1重量%、0.4~0.5重量%の量で含まれてもよく、より具体的には0.1~5重量%の量で含まれてもよいが、特にこれらに限定されない。
【0043】
一実施形態において、パターン特性を制御し、薄膜物性を与えるために、前記バインダー樹脂は、本発明のフォトレジスト組成物100重量%に対して、例えば、30~99重量%、35~99重量%、40~99重量%、45~99重量%、50~99重量%、30~97重量%、35~97重量%、40~97重量%、45~97重量%、50~97重量%、30~95重量%、35~95重量%、40~95重量%、45~95重量%、50~95重量%、30~93重量%、35~93重量%、40~93重量%、45~93重量%、50~93重量%、30~90重量%、35~90重量%、40~90重量%、45~90重量%、50~90重量%、30~85重量%、35~85重量%、40~85重量%、45~85重量%、50~85重量%、30~80重量%、35~80重量%、40~80重量%、45~80重量%、50~80重量%、30~75重量%、35~75重量%、40~75重量%、45~75重量%、50~75重量%、30~70重量%、35~70重量%、40~70重量%、45~70重量%、50~70重量%、30~65重量%、35~65重量%、40~65重量%、45~65重量%、50~65重量%、30~60重量%、35~60重量%、40~60重量%、45~60重量%、50~60重量%、30~55重量%、35~55重量%、40~55重量%、45~55重量%、50~55重量%の量で含まれてもよく、より具体的には50~99重量%の量で含まれてもよいが、特にこれらに限定されない。
【0044】
本発明のフォトレジスト組成物は、溶媒をさらに含むことができる。
【0045】
前記溶媒としては、光酸発生剤や他の化合物との相溶性を考慮して、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート(EEP)、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート(PGMEP)、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコール酢酸メチル、ジエチレングリコール酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグリム(Diglyme)、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの溶媒を単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0046】
一実施形態において、組成物の粘度を1~50cpsの範囲になるように調整するために、前記溶媒が、例えば、本発明のフォトレジスト組成物100重量%中、0.9~60重量%の量で含まれてもよいが、特にこれに限定されない。
【0047】
本発明のフォトレジスト組成物は、必要に応じて、消泡剤、レベリング剤などの相溶性がある添加剤をさらに含むことができる。
【0048】
本発明のさらに別の態様は、前記本発明のフォトレジスト組成物でコーティングされた基板;このコーティングされた基板を露光及び現像して得られた、パターン化基板;このパターン化基板を含むディスプレイ装置;及びこのパターン化基板を含む半導体装置;が提供される。
【0049】
一実施形態において、前記基板は、例えば、シリコーンウエハ基板であってもよく、前記フォトレジスト組成物のコーティングは、例えば、スピンコーティングなどの既知の方法によって行ってもよく、前記露光は、例えば、i線(365nm)波長の光を使用して行ってもよく、前記現像は、例えば、水酸化トリメチルアンモニウム(TMAH)水溶液などの塩基性現像液を使用して行うことができるが、それに限定されない。
【0050】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによっていかなる形でも限定されるものではない。
【実施例
【0051】
実施例1: 4-(1-エトキシブチル)-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(1)の調製
反応1. 5-ブチリルアセナフテンの合成
アセナフテン21.43g(139.0mmol)をジクロロメタンに加え、10℃以下で冷却した。そこに塩化アルミニウム19.46g(145.9mmol)を加え、30分間撹拌した後、塩化ブチリル14.81g(139.0mmol)をゆっくり加え、反応混合物を5℃以下で1時間の間撹拌した。次に反応生成物に精製水を加え30分間撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下蒸留して溶媒を除去した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、5-ブチリルアセナフテン21.90g(70.26%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):δ8.65-8.62(dd,1H),8.05-8.02(d,1H),7.66-7.55(dd,1H),7.41-7.35(d,1H),7.31-7.29(dd,1H),3.43-3.38(m,4H),3.05(t,2H),1.87-1.77(m,2H),1.04(t,3H)
MS(m/z): 224
【0052】
反応2. 5-(1-エトキシブチル)アセナフテンの合成
5-ブチリルアセナフテン10.60g(47.3mmol)をエタノールに溶解し、水素化ホウ素ナトリウムを加え、60℃で撹拌した後、10℃以下に冷却し、10%塩酸水溶液19.17mLをゆっくり加え、60℃で撹拌した。反応終了後に、反応生成物に精製水を加え、30分間撹拌した。次に酢酸エチルを加えて撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び精製水でそれぞれ洗浄し、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下蒸留して溶媒を除去した。有機層を減圧下蒸留して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:10)で精製して、5-(1-エトキシブチル)アセナフテン9.54g(79.3%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):δ7.91(d,1H),7.45(dt,2H),7.31-7.25(m,2H),4.86(dd,1H),3.45-3.34(m,6H),1.95(m,1H),1.83(m,1H),1.56-1.45(m,1H),1.39-1.30(m,1H),1.20(t,3H),0.93(t,3H)
MS(m/z): 254
【0053】
反応3. 4-(1-エトキシブチル)ナフタル酸無水物の合成
5-(1-エトキシブチル)アセナフテン7.24g(28.4mmol)を酢酸に加え、重クロム酸ナトリウム二水和物42.41g(142.3mmol)を加え、室温で撹拌し、加熱還流した。次いで、室温まで冷却後、反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルを加え、30分間撹拌した。有機層を分離した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び精製水でそれぞれ洗浄した後、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下蒸留して溶媒を除去した。有機層を減圧下蒸留して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:10)で精製して、4-(1-エトキシブチル)ナフタル酸無水物6.32g(74.4%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):δ8.73(dd,1H),8.65(dd,1H),8.62(d,1H),7.87(d,1H),7.83(dd,1H),5.00(dd,1H),3.46-3.38(m,2H),1.99-1.87(m,1H),1.84-1.73(m,1H),1.61-1.56(m,1H),1.54-1.35(m,1H),1.23(t,3H),0.95(t,3H)
MS(m/z): 298
【0054】
反応4. N-ヒドロキシ-4-(1-エトキシブチル)ナフタルイミドの合成
4-(1-エトキシブチル)ナフタル酸無水物4.60g(15.4mmol)をエタノールに加え、ヒドロキシルアミン塩酸塩1.61g(23.1mmol)とピリジン1.83g(23.1mmol)を加え、加熱還流した。エタノールを減圧下除去して、粗N-ヒドロキシ-4-(1-エトキシブチル)ナフタルイミド4.18g(粗収率:86.5%)を得た。これをさらに精製することなく次の反応に用いた。
1H NMR(δppm;CDCl3):δ8.71-8.64(m,4H),7.86(d,1H),7.81(dd,1H),5.00(dd,1H),3.46-3.38(m,2H),2.02-1.87(m,1H),1.85-1.73(m,1H),1.62-1.50(m,1H),1.46-1.36(m,1H),1.23(t,3H),0.95(t,3H)
MS(m/z): 313
【0055】
反応5. 4-(1-エトキシブチル)ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(1)の合成
N-ヒドロキシ-4-(1-エトキシブチル)ナフタルイミド4.08g(13.2mmol)をジクロロメタンに加え、トリエチルアミン2.64g(26.0mmol)を加え、30分間撹拌した後、5℃以下に冷却した。トリフルオロメタンスルホニルクロリド2.19g(13.2mmol)を加え、室温で撹拌した。次に、反応生成物に精製水を加え、撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下蒸留して、溶媒を除去した。有機層を減圧下蒸留して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、4-(1-エトキシブチル)ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(1)4.12g(71.7%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):δ8.76(dd,1H),8.71(dd,1H),8.68(d,1H),7.90(d,1H),7.85(dd,1H),5.01(dd,1H),3.49-3.35(m,2H),1.97-1.88(m,1H),1.82-1.74(m,1H),1.62-1.51(m,1H),1.47-1.36(m,1H),1.23(t,3H),0.95(t,3H)
MS(m/z): 445
【0056】
前記実施例1と同様の方法で以下の化合物を調製した。
【0057】
【表1-1】
【0058】
【表1-2】
【0059】
バインダー樹脂の調製
a)バインダー樹脂1の調製
500mLの重合容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200mLとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.5gを加え、アセトキシスチレン、スチレン、t-ブトキシメタクリレートをモル比50:25:25の割合で加え、固形分濃度を40重量%とし、窒素雰囲気下、70℃で5時間撹拌重合して、バインダー樹脂1を調製した。このように調製された共重合体の重量平均分子量は、25,000、分散度は2.0であることが確認された。
【0060】
b)バインダー樹脂2の調製
500mL重合容器にPGMEA200mLとAIBN1.5gを加え、アセトキシスチレン、スチレン、t-ブトキシメタクリレート、メチルメタクリレートをモル比40:25:25:10の割合で加え、固形分濃度を40重量%とし、窒素雰囲気下、70℃で5時間撹拌重合して共重合体を合成した。この反応器に、N,N-ジメチルアニリン0.3gとグリシジルメタクリレート20モル比を加え、100℃で10時間撹拌し、側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリル重合体であるバインダー樹脂2を調整した。このように調製された共重合体の重量平均分子量は20,000、分散度は2.1であることが確認された。
【0061】
溶解性の測定
フォトレジスト組成物の調製において、光酸発生剤の溶解性は非常に重要である。そこで、フォトレジスト組成物に主に使用される溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA)及びシクロヘキサンに対する溶解性を下記式(II)の化合物と比較して、下記表1に示した。
【0062】
【化5】
【0063】
【表2】
【0064】
熱的安定性の測定
光酸発生剤が、フォトレジスト調製工程において、熱的に安定であれば、安定性の点で非常に優れた効果を期待することができる。従って、前記式(II)の化合物と比較するために、熱重量分析装置を使用して5%の重量損失が発生する温度を測定した。
【0065】
【表3】
【0066】
実施例フォトレジスト組成物の調製
紫外線遮断膜と撹拌機を備えた反応混合槽に、下記表3に示す成分と含量に従って、バインダー樹脂1又は2;光酸発生剤としての化合物8、11、19又は20;及びFC-430(3M社のレベリング剤、0.02重量%)を順次加え、室温で撹拌した後、溶媒としてPGMEAを100重量%となるように加えて、フォトレジスト組成物を調製した。
【0067】
【表4】
【0068】
比較例のフォトレジスト組成物の調製
光酸発生剤として化合物19の代わりに下記式(II)の光酸発生剤を使用したことを除いて、前記組成物3の調製と同様の方法でフォトレジスト組成物を調製した。
【0069】
【化6】
【0070】
フォトレジスト組成物の評価
前記実施例及び比較例のフォトレジスト組成物の評価は、ガラス基板上で行い、フォトレジスト組成物のパターン安定性、テーパー角を測定し、その評価結果を下記表4に示した。
【0071】
1)パターン安定性
フォトレジストをシリコーンウエハ基板上にスピンコーティングし、ホットプレート上、90℃で1分間乾燥し、ラインスペース(10μm-10μm)ステップマスクを使用して露光し、露光後ベーキング工程を経て、2.384%の水酸化トリメチルアンモニウム(TMAH)水溶液で現像した。現象後のスペースの部分のパターンの幅を測定した。
【0072】
2)テーパー角
フォトレジストをシリコーンウエハ基板上にスピンコーティングし、90℃で1分間ホットプレートで乾燥し、ラインスペース(10μm-10μm)ステップマスクを使用して露光、露光後ベーキング工程を経て、2.384%のTMAH水溶液で現像した。現象後のスペースの部分のテーパー角を測定し、85~90゜の場合を良好、85゜未満又は91゜以上の場合を不良と判定した。
【0073】
【表5】
【国際調査報告】