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▶ フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2024-501327血液処理機械及び水質調整装置に関するデータの複合的表示のための装置
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  • 特表-血液処理機械及び水質調整装置に関するデータの複合的表示のための装置 図1
  • 特表-血液処理機械及び水質調整装置に関するデータの複合的表示のための装置 図2
  • 特表-血液処理機械及び水質調整装置に関するデータの複合的表示のための装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】血液処理機械及び水質調整装置に関するデータの複合的表示のための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20231228BHJP
   A61M 1/16 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
A61M1/14 110
A61M1/16 161
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539819
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2021087078
(87)【国際公開番号】W WO2022144245
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】102020135023.6
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】シュバイガー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】フェルスター ノルマン
(72)【発明者】
【氏名】ルングハマー ベルント
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077KK25
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの血液処理機械に関するデータと少なくとも1つの水質調整装置に関するデータとを複合的に表示するための装置に関し、この装置は、少なくとも1つの血液処理機械に関するデータと少なくとも1つの水質調整装置に関するデータとの異なるデータ形式を集約するようにプログラムされ、好ましくは、データを統合してデータを一緒に表示するようにプログラムされた制御ユニットを含み、その結果、ユーザは、少なくとも1つの血液処理機械および/または少なくとも1つの水質調整装置の最適化された動作に関する通知を受け取る。さらに、本発明は、対応する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの血液処理機械に関するデータと少なくとも1つの水調製システムに関するデータの複合的表示のための装置であって、
前記装置は、前記少なくとも1つの血液処理機械に関する前記データと前記少なくとも1つの水調製システムに関する前記データの異なるデータ形式を集約し、好ましくは前記データを統合してそれらを一緒に表示し、それによってユーザが前記少なくとも1つの血液処理機械及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムの最適化された動作に関する通知を受け取るようにプログラムされる制御ユニットを有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記データは、好ましくは、タイムスタンプが付与され、前記少なくとも1つの血液処理機械又は前記少なくとも1つの水調製システムの状態、好ましくは、動作状態、消費値、機械ID、位置、実施される処理ルーチン、動作モードを開始又は終了するプリセット、流体の測定値、又はこれらの何らかの所望の組み合わせを反映する技術データである、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記少なくとも1つの血液処理機械に関連する前記データに基づいて、前記少なくとも1つの水調製システムによって生成された水についての前記少なくとも1つの血液処理機械の要求値を決定又は予測し、前記少なくとも1つの水調製システムに関連する前記データに基づいて、前記少なくとも1つの水調製システムによって生成された水の量及び/又は純水の生成のために前記少なくとも1つの水調製システムが動作する期間が前記要求値に対応するか否か又はそれを包含する許容範囲に入るか否かを推定するようにさらに構成されている、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記少なくとも1つの血液処理機械及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムの制御を、詳細には個々の動作モードの時間に関して最適化するための前記ユーザへの勧告を出力するようにさらにプログラムされている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記少なくとも1つの血液処理機械及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムに少なくとも1つの制御命令を出力するようにさらにプログラムすることができ、前記少なくとも1つの制御命令は、好ましくは、前記少なくとも1つの血液処理機械に関する前記データ及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムに関する前記データに基づく制御又は規制の一部として送出される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記制御を最適化するための及び/又は前記少なくとも1つの血液処理機械及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムに対する対応する制御命令を伴う、前記出力された勧告に関連するコスト及び/又は原材料及び/又はエネルギの節約可能性に関する出力を動作させるようにさらにプログラムされている、
請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの血液処理機械と少なくとも1つの水調製システムの協調制御のための方法であって、
-前記少なくとも1つの血液処理機械に関連するデータ及び前記少なくとも1つの水調製システムに関連するデータを検出するステップと、
-前記少なくとも1つの血液処理機械に関連する前記データ及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムに関連する前記データの異なるデータ形式を集約し、好ましくは前記データを統合するステップと、
-前記少なくとも1つの血液処理機械に関する前記データ及び前記少なくとも1つの水調製システムに関する前記データを共通の表示装置上に表示するステップと、
を含み、
これにより、ユーザは、前記少なくとも1つの血液処理機械及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムの最適化された動作に関する通知を受け取る、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記データは、好ましくは、タイムスタンプが付与され、前記少なくとも1つの血液処理機械又は前記少なくとも1つの水調製システムの状態、好ましくは、動作状態、消費値、機械ID、位置、実施される処理ルーチン、動作モードを開始又は終了するプリセット、流体の測定値、又はこれらの何らかの所望の組み合わせを反映する技術データである、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
-前記少なくとも1つの血液処理機械に関連する前記データに基づいて、好ましくは、提供される量に関する、前記少なくとも1つの水調製システムによって生成された水に対する前記少なくとも1つの血液処理機械の要求値、及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムの必要な作動期間を決定又は予測するステップと、
-前記少なくとも1つの水調製システムに関連する前記データに基づいて、前記少なくとも水調製システムによって生成された水の量及び/又は前記少なくとも水調製システムが純水を生成するために作動される期間が、前記要求値に対応するか否か又はそれを包含する許容範囲に入るか否かを推定するステップと、をさらに含む、
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの血液処理機械及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムの前記制御を、詳細には個々の動作モードの時間制御に関して最適化するための勧告を出力するステップをさらに含む、
請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの血液処理機械及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムに少なくとも1つの制御命令を出力するステップをさらに含み、前記少なくとも1つの制御命令は、好ましくは、前記少なくとも1つの血液処理機械に関する前記データ及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムに関する前記データに基づく制御又は規制に基づいて出される、
請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御を最適化するための及び/又は前記少なくとも1つの血液処理機械及び/又は前記少なくとも1つの水調製システムに対する対応する制御命令を伴う、前記出力された勧告に関連するコスト及び/又は原材料及び/又はエネルギにおける節約可能性に関する出力を動作させるステップをさらに含む、
請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液処理機械及び水調製システムに関するデータの複合的表示のための装置、及び血液処理機械及び水調製システムに関するデータの複合的表示のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液処理機械及び水調製システムに関するデータの複合的表示により、血液処理機械及び水調製システムの制御を互いに同期させ、特に時間的に連動させることができる。
【0003】
使用される血液処理機械及び必要な水技術は、従来、別々のマシンパークで組織化され、また、クリニック及び透析センターでは空間的に別々に収容される。これにより、結果的に、職員が毎日始業時に水調製システムのスイッチを手動でオンする必要がある、及び/又は水調製システムの正しい動作、例えば流量、圧力、生成された純水の塩素含有量などを記録する必要がある。水調製システムの中には、確かに自動的にオンオフできるものもあるが、これはわずかな効率アップをもたらすに過ぎない。
【0004】
水調製システムは、一般的に一定の時間で純水の実際の必要量とは無関係に、手動でスイッチオンして作動させるので、この手順は非常に時間がかかり、一般的に不正確である。これによって、例えば、水、濃縮液、塩などの形のエネルギ及び資源が無駄になる。加えて、不必要な作動に起因して、水調製システムの有効寿命が短くなる。
【0005】
さらに、水調製システムに関するデータ及び血液処理機械に関するデータは、従来、完全に別々に、異なるデータ形式で扱われていた。このため、ユーザは、それぞれのデータ形式に最適化されたこの目的のための異なるプログラムを用いて異なるデータベースを読む必要があるため、例えば、水調製システム及び血液処理機械の動作状態の概要を得ることは困難である。クリニックの多忙な日常業務では、そのような時間がないため、水調製システムと血液処理機械の制御の調整における不正確さを受け入れる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景から、本発明の基本的な目的は、先行技術の問題点を軽減し、あるいは完全に解消することである。詳細には、本発明の基本的な目的は、少なくとも1つの血液処理機械及び少なくとも1つの水調製システムを備えるシステムを、ユーザができるだけ省エネルギ及び/又は省資源な様式で作動させることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利なさらなる進展は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明の第1の態様は、少なくとも1つの血液処理機械に関するデータ、少なくとも1つの水調製システム、及び/又は濃縮混合システムに関するデータの複合的表示のための装置に関し、装置は、少なくとも1つの血液処理機械に関するデータ及び少なくとも1つの水調製システム及び/又は濃縮混合システムに関するデータの異なるデータ形式を集約し、好ましくはデータを統合してそれらを一緒に表示し、それによってユーザが少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システム及び/又は濃縮混合システムの最適化された動作に関する通知を受け取るようにプログラムされる制御ユニットを有する。
【0009】
本発明は、血液処理機械及び水調製システムの例に関して以下に説明されることになる。水調製システムの代わりに又はそれに追加して、生成された透析水に基づいて透析液を供給する役割を果たす濃縮液混合システムなどのそれに関連する装置を考慮することもできる。
【0010】
より一般的に言えば、本発明によれば、血液処理機械(消費者として機能する)の消費に関するデータ、詳細には血液処理機械が透析水及び/又は透析液及び/又は所要量の液体の生成を必要とする期間は、水調製システム、濃縮混合システム又は同様のもの(それぞれ供給者として機能する)のデータと関連づけられる。
【0011】
換言すれば、少なくとも1つの血液処理機械及び少なくとも1つの水調製システムに存在する内部状態に関するデータは、好ましくは、本発明による装置によってユーザに一緒に表示され、それによってユーザは、少なくとも1つの血液処理機械及び少なくとも1つの水調製システムを含むシステムを正しく動作させる又は制御すること、詳細にはエネルギ消費及び/又は資源消費に関して最適化することができる。
【0012】
血液処理機械及び水調製システムの動作状態は、例えば、処理が行われないという理由で、例えば、血液処理機械の側で純水が必要でないにもかかわらず、水調製システムが純水の生成のために動作することを防止するために、互いに時間的に調整することができる。
【0013】
従って、本発明による装置は、好ましくは、誘導された動的な人間/機械の相互作用によって、ユーザが、少なくとも1つの血液処理機械及び少なくとも1つの水調製システムを含むシステムの動作を最適化できるように構成されている。
【0014】
データは、好ましくは、タイムスタンプが付与され、血液処理機械又は水調製システムの状態、好ましくは動作状態、消費値、機械ID、位置、実施される処理ルーチン、動作モードを開始又は始める又は終了するためのプリセット、流体の測定値(例えば、導電率、流量、温度)又はそれらの何らかの所望の組み合わせを反映する技術データである。
【0015】
血液処理機械に関するデータは、機械ID、位置、機械の製造者、機械の通し番号、機械のソフトウェアバージョン、機械のIPアドレス、機械のモジュール構成、動作モード(例えば、作動又は待機、処理準備[プライミング]、機能テスト、消毒[熱による又は化学的な]、洗浄[化学添加物を含まない冷水]、再注入[処理終了])、処理モード、処理の開始又は終了時間、セッションの開始又は終了時間、サービスステータス、セッション中に生成されたエラーメッセージのリスト、又はそれらの何らかの所望の組み合わせを反映することができる。
【0016】
水調製システムに関連するデータは、水調製システム全体、又はフィルタステージ、逆浸透システム、二塩化ユニットなどのその部分構成要素のいずれかに関連し、例えば、機械ID、位置、機械の製造者、機械の通し番号、機械のソフトウェアバージョン、機械のIPアドレス、機械のモジュール構成、動作モード(例えば、作動又は待機、リング消毒、軟化剤の再生)、消費値(例えば、濃縮物又は塩)、搬送速度(例えば、生成された純水の流量又は濃縮物の搬送速度)、流体の特性(例えば、水温、水の硬度、又は生成された水の塩素含有量)、例えばライン内の圧力、又はタンク(例えば塩水タンク)の重量、又はそれらの何らかの所望の組み合わせを反映することができる。
【0017】
少なくとも1つの血液処理機械に関するデータ及び少なくとも1つの水調製システムに関するデータは、好ましくは、血液処理機械及び/又は水調製システムから、又はその部分構成要素から、本発明による装置に、リアルタイムで、いわば「ライブ」で伝送される。データは、少なくとも1つの血液処理機械から及び少なくとも1つの水調製システムから、少なくとも数秒以内に本発明による装置に伝送される。従って、本発明による装置によって評価されるデータは、常に最新であるか又は少なくとも技術的に可能な限り最新である。この目的のために、少なくとも1つの血液処理機械及び少なくとも1つの水調製システムは、少なくとも1又は2以上のオンライン測定センサを備えることができる。
【0018】
有利な実施形態では、本発明による装置は、少なくとも1つの血液処理機械に関連するデータに基づいて、少なくとも1つの水調製システムによって生成された水についての少なくとも1つの血液処理機械の要求値を決定又は予測し、少なくとも1つの水調製システムに関連するデータに基づいて、水調製システムによって生成された水の量及び/又は純水の生成のために水調製システムが動作する期間がその要求値に対応するか否か又はそれを包含する許容範囲に入るか否かを推定するようにさらに構成されている。
【0019】
純水を生成するための水調製システムの動作は、例えば、理想的には、血液処理の開始の約40分前に開始され、血液処理中に継続され、処理終了後約10分間継続されることが望ましい。
【0020】
純水を生成するための水調製システムの動作期間が、血液処理機械の要求値と異なる場合、例えば、水調製システムがルーチンによって午前7時にスイッチオンされるが、最初の血液処理が午前9時以降にのみ行われるという理由で、これは、毎営業日の最初の80分における水調製システムの動作によるエネルギ及び資源の不必要な浪費をもたらす。
【0021】
本発明による装置は、上記の推定が、水調製システムによって生成された水の量及び/又は水調製システムを作動させて純水を生成する期間が血液処理機械の要求値に対応しない又はそれを包含する許容範囲に入らないことを示す場合に、ユーザにレポートを出力するように構成すること又はプログラムすることができる。
【0022】
許容範囲は、例えば、時間に関して(処理開始40分前の水調製システムの開始は理想的、処理開始50分前の水調製システムの開始は許容範囲)、又は生成された水の量に関して(計画された処理には10リットルの純水が必要、現在の設定では水調製システムは13リットルの純水を生成、過剰分は許容可能)など、要望通りに定めることができる。
【0023】
レポートは、例えば、本発明による装置自体で、例えばダッシュボードの形態のモニタ上に表示すること、又は外部のエンドデバイス、例えばスマートフォン又はタブレットに出力することができる。
【0024】
本発明の有利な実施形態によれば、装置はさらに、少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムの制御を、詳細には個々の動作モードの時間に関して最適化するためのユーザへの勧告(recommendation)を出力するようにプログラムされている。
【0025】
ダッシュボードは、ここでは、情報管理及び情報学からの用語として理解され、これによってデータを視覚化するためのグラフィカルユーザインタフェースが指定される。ダッシュボードは、準ライブ様式の上述の更新に起因して、本発明との関連において動的である。
【0026】
この勧告は、例えば、本発明による装置自体、例えばダッシュボードの様式のモニタ上に表示すること又は外部のエンドデバイス、例えばスマートフォン又はタブレットに出力することもできる。
【0027】
本発明による装置は、さらに、少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムに少なくとも1つの制御命令を出力するようにプログラムすることができる。
【0028】
少なくとも1つの制御命令は、好ましくは、少なくとも1つの血液処理機械に関するデータ及び/又は少なくとも1つの水調製システムに関するデータに基づく制御又は規制の一部として送出される又は生じる。換言すれば、決定されたデータに基づいて血液処理機械及び/又は水調製システムの動作が調節されるフィードバックループを提供することができる。血液処理機械及び/又は水調製システムの動作は、フィードバックループによって自動的に又は完全に自動的に調節されることを想定することができる。本発明による装置は、この目的のために構成された制御ユニットを有することができる。
【0029】
装置は、例えば、ユーザが、少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムのための制御命令を入力することができる操作ユニットを有することができ、制御命令は、その後、本発明による装置によって少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムへ出力される。従って、ユーザは、少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムを備えるシステムと本発明による装置を用いて動的に直接対話することができる又はこのシステムを制御することができる。
【0030】
代替的に又は追加的に、装置はさらに、制御を最適化するための及び/又は少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムに対する対応する制御命令を伴う、出力された勧告に関連するコスト及び/又は原材料及び/又はエネルギの節約可能性に関する出力を動作させるようにプログラムすることができる。これは、ユーザが、本発明による装置の勧告に従って、例えば、対応する制御命令を入力することが有意義であるか否かを直接確認することができるという利点をもたらす。
【0031】
同様に、本発明による装置は、少なくとも1つの血液処理機械と少なくとも1つの水調製システムとの間の双方向通信を可能にすることを想定することができる。
【0032】
本発明による装置は、例えば、血液処理機械の純水に対する推定要求値に基づいて、少なくとも1つの水調製システムの動作を、好ましくは独立して、適宜設定するように、又は、ユーザだけで解除する必要がある制御命令の対応する提案を表示するようにプログラムすることができる。
【0033】
本発明による装置は、少なくとも1つの血液処理機械に関連するデータ及び/又は少なくとも1つの水調製システム又はその部分構成要素に関連するデータを、例えば電子ログブックに電子的に記録するようにさらに構成することができる。
【0034】
代替的に又は追加的に、本発明による装置は、少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システム又はその部分構成要素に関するデータに基づいて、血液処理機械及び/又は水調製システムにいつ、どの種類のサービスが必要であるかについて予測するように構成することができる。従って、欠陥を早期に認識することができ、効率的な直接的なサービスを行うことができる。
【0035】
予測は、1日、1週間、1ヶ月、数ヶ月、あるいは数年の経験値に基づいて行うことができ、様々な場所の機械及びシステムに関するデータを利用することができる。従って、装置は、例えば、典型的には常に特定の平日に起こる典型的な1週間の推移から、特定の最適化のための特定の勧告を準備する(例えば、月曜日の午前中は処理の開始が遅いという理由で、又は金曜日の午後は頻繁に行われる処理が少ないという理由で)。加えて、例えば、数年の間に発生する環境要因も関与する可能性がある。例えば、夏のように気温が高い場合、血液処理機械による平均処理時間に偏差が生じる可能性がある。典型的な推移は、装置による改善勧告で考慮することができる、1ヶ月にわたって生成することもできる。例えば、典型的に発生する祝日、機械のサービス間隔、1ヶ月間の供給変動などである。
【0036】
代替的に又は追加的に、本発明による装置は、1つの、複数の、又は全ての接続された血液処理機械からの存在するデータをフィルタ処理するように構成することができ、装置は、個人データ又は患者データではない表示用のデータのみをさらに処理するようになっている。
【0037】
本発明のさらなる態様は、少なくとも1つの血液処理機械と少なくとも1つの水調製システムの協調制御のための方法に関し、本方法は、
-少なくとも1つの血液処理機械に関連するデータ及び少なくとも1つの水調製システムに関連するデータを検出するステップと、
-少なくとも1つの血液処理機械に関連するデータ及び/又は少なくとも1つの水調製システムに関連するデータの異なるデータ形式を集約し、好ましくはデータを統合するステップと、
-少なくとも1つの血液処理機械に関するデータ及び少なくとも1つの水調製システムに関するデータを共通の表示装置、好ましくは本発明による装置上に表示するステップと、
を含み、
これにより、ユーザは、少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムの最適化された動作に関する通知を受け取る。
【0038】
水調製システムの代わりに又はそれに追加して、濃縮混合システムも技術データの側面から想定することができる。
【0039】
血液処理機械又は水調製システムに関連するデータは、好ましくは、タイムスタンプが付与され、血液処理機械又は水調製システムの状態、好ましくは動作状態、消費値、機械ID、位置、実施される処理ルーチン、動作モードを開始又は終了するプリセット、流体の測定値、又はこれらの何らかの所望の組み合わせを反映する技術データである。
【0040】
本方法は、好ましくは、
-少なくとも1つの血液処理機械に関連するデータに基づいて、少なくとも1つの水調製システムによって生成された水に対する少なくとも1つの血液処理機械の要求値を、又は血液処理機械が水調製システムによって生成された水を必要とする期間を決定又は予測するステップと、
-少なくとも1つの水調製システムに関連するデータに基づいて、水調製システムによって生成された水の量及び/又は水調製システムが純水を生成するために作動される期間が、要求値に対応するか否か又はそれを包含する許容範囲に入るか否かを推定するステップと、
をさらに含む。
【0041】
従って、少なくとも1つの血液処理機械の要求値又は消費値は、期間、例えば水調製システム及び/又は濃度混合システムの作動期間に関して、及び/又は、好ましくは生成された水及び/又は濃縮物の体積又は量に関して決定又は予測することができる。
【0042】
推定が、少なくとも1つの水調製システムの動作と少なくとも1つの血液処理機械の要求値との間に差が予想される又は存在することを示す場合、例えば、本発明による装置、スマートフォン、又はタブレット上のメッセージによって、ユーザに通知を出力することができる。
【0043】
本発明による方法は、少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムの制御を、詳細には個々の動作モードの時間制御に関して最適化するための勧告を出力するステップをさらに含むことができる。勧告は、水調製システムが、例えば、最初の血液処理の開始の約40分前にのみスイッチオンされるように、例えば、水調製システムの動作の開始時間を遅らせるものとすることができ、それによって、水調製システムの不必要な動作が防止される。
【0044】
本発明による装置又は本発明による方法の一部として、このような勧告は、1日、1週間、又は1ヶ月、1年、又は複数の年の経験値に基づいて行うことができる。
【0045】
本発明による方法の一部として、少なくとも1つの制御命令は少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムに出力することができ、例えば、ユーザは、本発明による装置に制御命令を入力すること、又は勧告を解除することができる。
【0046】
本発明による方法の一部として、血液処理機械からの存在するデータが、個人データ又は患者データではないデータのみが本発明による方法で処理されるようにフィルタ処理される、さらなる任意のステップをさらに提供することができる。
【0047】
本発明による方法の一部として、毎日、毎週、毎月、又は毎年の推移に基づいて、勧告改善が行われる、さらなる任意のステップを提供することができる。利点及び特別な特徴は、すでに上記でさらに説明されている。
【0048】
勧告又は制御命令の結果をユーザに明確にするために、本発明による方法は、制御を最適化するための及び/又は少なくとも1つの血液処理機械及び/又は少なくとも1つの水調製システムに対する対応する制御命令を伴う、出力された勧告に関連するコスト及び/又は原材料及び/又はエネルギにおける節約可能性に関する出力を作動させるステップをさらに含むことができる。
【0049】
本発明は、上記で少なくとも1つの血液処理機械及び少なくとも1つの水調製システムを参照して例示的に説明されている。しかしながら、これは説明の目的を果たすだけであり、本発明を限定しない。何らかの所望の数の血液処理機械を設けることができ、複数の水調製システムを設けることもできる。
【0050】
少なくとも1つの血液処理機械は、好ましくは透析装置であり、少なくとも1つの水調製システムは、好ましくは、例えば逆浸透膜によって透析水を生成するためのシステムである。十数台以上の血液透析装置は、透析センター及び病院のマシンパークでしばしば運転される。
【0051】
本発明のさらなる利点、特徴、及び効果は、同一又は類似の構成要素に同一の参照番号が付与される図を参照した本発明の好ましい実施形態の以下の説明から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】例えば本発明による装置によって行われるような、4つの血液処理機械及び水調製システムの動作状態の共通ディスプレイである。
図2】本発明による方法の概略図である。
図3】本発明による方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1に示すように、4つの血液処理機械(図1の最初の4列)と1つの水調製システム(図1の一番下の列)の動作状態が共通の図に示されている。この例では、4つ血液処理機械は血液透析装置(HD)であり、水調製システムは逆浸透システム(RO)である。図のX軸は、複数の日数にわたる時間展開を表している。対応する機械の動作状態は、全ての行で互いに並列に示されている。
【0054】
参照番号1で示されたブロックは、対応する機械が作動している動作状態、すなわち、純水を生成するか又は血液処理を行うかを表している。参照番号2で示されたブロックは、対応する機械が非作動又は待機モードである動作状態を表している。参照番号3で示された時間では、熱消毒が行われる。参照番号4で示される時間では、水調製システムの消毒が行われる。
【0055】
図1に示す例により、ユーザは、4つの血液処理機械及び水調製システムを備えるシステムの動作状態を一目で把握することができる。
【0056】
図2は、本発明による方法の概略を示す。この例では、まず、3つの血液処理機械1及び1つの水調製システム2に関するデータが決定される。
【0057】
3つの血液処理機械1のデータは、通信モジュール3又はサーバを介して、第1のデータ形式、この例ではXML形式で提供され、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)でクラウドに転送される。
【0058】
水調製システム2のデータは、通信モジュール3を介して第2のデータ形式で提供され、MQTTS(Message Queuing Telemetry Transport)でクラウドに転送される。
【0059】
第1及び第2のデータ形式は異なる。どちらのデータ形式を使用するかは任意であり、例えば、機械が位置する国の規則及び規制要件に基づく。
【0060】
3つの血液処理機械1及び水調製システム2のデータストリームは、例えばマッピングプロセスによって、クラウド上で互いに関連付けられる又はリンクされる。
【0061】
3つの血液処理機械1(図2の「HD」)及び水調製システム2(図2の水技術「WT」)のデータストリームは、好ましくは、共通のデータフォーマットに変換され、例えば、ビューが共通のデータベースで生成される。これらのビューは、その後、それぞれ動的ダッシュボード上に表示することができる。データベースは、例えば、SQLデータベースとすることができ、SQLビューを準備することができる。他のデータベース形式及びデータベースタイプも同様に可能である。
【0062】
ユーザに対する通知(indication)4の出力は、3つの血液処理機械1及び水調製システム2の統合データに基づいて行うことができ、例えば、ユーザは、スマートフォン又はタブレットなどの外部のエンドデバイスでメッセージを受け取る。
【0063】
代替的に又は追加的に、通知は、水調製システムの動作状態に関する情報、詳細にはエラーメッセージが、例えば血液処理機械の少なくとも1つの表示装置上に表示されるようなものとすることもできる。
【0064】
このようにして、血液処理機械のユーザは、血液処理機械の場所を離れることなく、水調製システムに関する情報を一目で理解することができる。
【0065】
図3は、本発明による方法のフロー図である。ステップS1では、水調製システムに関するデータを第2のデータ形式で照合し、血液処理機械に関するデータをXML形式で照合する。
【0066】
水調製システムに関するデータは、水調製システムの消費値(詳細には、エネルギ、水、軟化剤塩、透析濃縮物に関する消費値、又は、例えば、システムの動作時間、特に逆浸透膜又は前置フィルタの動作時間の形での構成要素の摩耗という意味での消費値)及び動作時間又は動作状態を示す。
【0067】
血液処理システムに関するデータは、好ましくは、例えば処理を実施するための動作の時間又は動作状態の時間を示す。技術データは、好ましくは排他的に記録される、すなわち、患者データ及び/又は個人データのような極秘データは、好ましくは照合されない、又はデータ所有者(例えば、患者)が事前に明示的に同意した場合にのみ照合される。
【0068】
ステップS2において、少なくとも1つの水調製システムに関するデータ及び少なくとも1つの血液処理システムに関するデータは、共通のデータ形式に変換され、互いにリンクされる。
【0069】
次に、ステップS3において、少なくとも1つの血液処理機械に関するデータが、例えば血液処理機械が非作動状態であるため要求値を示していないにもかかわらず、少なくとも1つの水調製システムに関するデータが、例えば水調製システムが作動しているため消費値を示しているか否かのチェックが行われる。
【0070】
次に、ステップS4において、水調製システムの動作が、例えば、血液処理開始の約40分前に開始し、血液処理終了の約10分後に終了する、所定の時間的許容範囲に含まれるか否かのチェックが行われる。
【0071】
ステップS4のチェックで、水調製システムの動作が所定の時間的許容範囲に収まることが示された場合、ステップS5で、水調製システムの動作が正常であるとの結論が導かれる。
【0072】
ステップS4のチェックで、水調製システムの動作が所定の時間的許容範囲に入らないことが示された場合、例えば、水調製システムが処理終了の30分後にもまだ作動しているため、ステップS6で、資源が不必要に無駄になるので水調製システムの動作が正常でないとの結論が導き出される。
【0073】
方法ステップS2からS6は、好ましくは、本実施形態において動的ダッシュボードの形態を有する本発明による装置上でユーザに表示される。
【0074】
表示は、ステップS2で使用されるデータが常に最新であり、好ましくは、少なくとも1つの水調製システム及び/又は少なくとも1つの血液処理システムの状態をリアルタイムで、しかし少なくとも数秒、特に1秒と10秒との間の遅延を伴って示すという意味で、好ましくは動的である。
【0075】
本発明がなければ、少なくとも1つの水調製システム及び少なくとも1つの血液処理機械は、通常、互いに空間的に別々に収容されているため、ユーザが少なくとも1つの水調製システムの動作ステップのこのような最新の概要を得ることは不可能であろう。また、ユーザが入力する制御命令の作用は、好ましくは、本発明によってリアルタイムで又は少なくとも数秒の遅延を伴って表示される。従って、表示は、ユーザとシステムとの相互作用の作用がユーザに直接転送されるという意味でも動的である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】