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特表2024-501330エンボス加工された機能的設計要素を備えた衛生物品
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  • 特表-エンボス加工された機能的設計要素を備えた衛生物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】エンボス加工された機能的設計要素を備えた衛生物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/47 20060101AFI20231228BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20231228BHJP
   A61F 13/533 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61F13/47 300
A61F13/53 200
A61F13/533 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539888
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2020087974
(87)【国際公開番号】W WO2022144074
(87)【国際公開日】2022-07-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ダールベリ
(72)【発明者】
【氏名】アンナーカリン・ニストロム
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA14
3B200CA12
3B200DB05
(57)【要約】
本開示は、衛生ナプキン又はパンティライナーのような衛生物品(1)に関し、衛生物品は、トップシート(2)、バックシート(3)、及びトップシート(2)とバックシート(3)との間に配置された吸収性コア(4)を含み、衛生物品(1)は、長手方向(L)において、及び横方向(T)において、伸長部を有し、衛生物品(1)は、長手方向(L)に延在する第1及び第2の長手方向側縁(5、6)と、横方向(T)に延在する前部及び後部の横方向側縁(7、8)と、を有し、衛生物品は、長手方向(L)に見て、前部(9)、股部(10)及び後部(11)に分割され、吸収性コア(4)は、ヘッド部分(13)、ボディ部分(14)及びネック部分(12)を含み、ネック部分はヘッド部分(13)とボディ部分(14)との間に移行領域を形成し、ヘッド部分(13)は衛生物品(1)の前部(9)に位置し、ボディ部分(14)は衛生物品(1)の股部(10)に及び後部(11)とに位置し、ネック領域(12)での横幅(w)がヘッド部分(13)における、及びボディ部分(14)における吸収性コア(4)の最大横幅より小さく、吸収性コア(4)は3つの個別の独立したエンボス加工された機能的設計要素(15、16、17)を含み、エンボス加工された前部機能的設計要素(15)が衛生物品(1)の前部(9)に配置され、エンボス加工された股部機能的設計要素(16)が衛生物品(1)の股部(10)に配置され、エンボス加工された後部機能的設計要素(17)が衛生物品(1)の後部(11)に配置され、エンボス加工された機能的設計要素のそれぞれが、エンボス加工された機能的設計要素(15、16、17)のそれぞれの内部領域(15′、16′、17′)を囲む閉じたエンボス加工された機能的設計要素を区切る連続線又は不連続線を含み、エンボス加工された前部、股部及び後部機能的設計要素(15、16、17)のそれぞれは互いに異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生ナプキン又はパンティライナーのような衛生物品(1)であって、前記衛生物品は、トップシート(2)と、バックシート(3)と、前記トップシート(2)と前記バックシート(3)との間に配置された吸収性コア(4)とを備えており、前記衛生物品(1)は、長手方向(L)及び横方向(T)において伸長部を有しており、前記衛生物品(1)は、前記長手方向(L)に延在する第1の長手方向側縁(5)及び第2の長手方向側縁(6)と、前記横方向(T)に延在する前部の横方向側縁(7)及び後部の横方向側縁(8)とを有しており、前記衛生物品は、前記長手方向(L)で見ると、前部(9)と股部(10)と後部(11)とから構成されており、前記吸収性コア(4)は、ヘッド部分(13)とボディ部分(14)とネック部分(12)とを備えており、前記ネック部分は、前記ヘッド部分(13)と前記ボディ部分(14)との間に移行領域を形成しており、前記ヘッド部分(13)は、前記衛生物品(1)の前記前部(9)に位置しており、前記ボディ部分(14)は、前記衛生物品(1)の前記股部(10)及び前記後部(11)に位置している、前記衛生物品(1)において、
前記ネック部分(12)での前記吸収性コア(4)の横幅(w)が、前記ヘッド部分(13)及び前記ボディ部分(14)における前記吸収性コア(4)の最大横幅より小さく、前記吸収性コア(4)は、3つの個別の独立したエンボス加工された機能的設計要素(15、16、17)を備えており、エンボス加工された前部機能的設計要素(15)が、前記衛生物品(1)の前記前部(9)に配置されており、エンボス加工された股部機能的設計要素(16)が、前記衛生物品(1)の前記股部(10)に配置されており、エンボス加工された後部機能的設計要素(17)が、前記衛生物品(1)の前記後部(11)に配置されており、エンボス加工された前記機能的設計要素(15、16、17)それぞれが、エンボス加工された前記機能的設計要素(15、16、17)それぞれの内部領域(15′、16′、17′)を区切る連続線又は不連続線を含む境界を有しており、前記前部機能的設計要素(15)、前記股部機能的設計要素(16)、及び後部機能的設計要素(17)それぞれは互いに異なる、衛生物品(1)。
【請求項2】
前記前部、前記股部及び前記後部機能的設計要素(15、16、17)のそれぞれは、形状及び/又はサイズが互いに異なる、請求項1に記載の衛生物品(1)。
【請求項3】
前記衛生物品(1)は、第1の前方ウイング接合部(18a)と第1の後方ウイング接合部(18b)との間で前記第1の長手方向側縁(5)に沿って延在する第1の固定ウイング(18)と、第2の前方ウイング接合部(19a)と第2の後方ウイング接合部(19b)との間で第2の長手方向側縁(6)に沿って延在する第2の固定ウイング(19)と、を有する、請求項1又は2に記載の衛生物品(1)。
【請求項4】
前記第1の前方ウイング接合部(18a)及び/又は前記第2の前方ウイング接合部(19a)は、前記長手方向(L)に見て、前記吸収性コア(4)の前記ネック部分(12)と揃っており、又は前記長手方向(L)に測定して前記ネック部分(12)から後方に30mm以内、好ましくは15mm以内に配置されている、請求項3に記載の衛生物品(1)。
【請求項5】
エンボス加工された前記前部機能的設計要素(15)は、前記衛生物品(1)の前記後部(11)の方を指すV形状セクション(15v)を有し、エンボス加工された前記前部機能的設計要素(15)の前記V形状セクション(15v)の先端が、前記長手方向(L)に測定して、前記ネック部分(12)から30mm以内、好ましくは15mm以内に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の衛生物品(1)。
【請求項6】
エンボス加工された前記股部機能的設計要素(16)は第1の長手方向延在側セクション(16a)及び第2の長手方向延在側セクション(16b)を含み、前記第1の長手方向延在側セクション(16a)と前記第2の長手方向延在側セクション(16b)との間の距離(d)は、長手方向(L)に見て、後方に向かって増加する、請求項1から5のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項7】
エンボス加工された前記股部機能的設計要素(16)は、前記衛生物品(1)の前記前部の横方向側縁(7)の方を指す前部V形状セクション(16vf)、及び/又は前記衛生物品(1)の前記後部の横方向側縁(8)の方を指す後部V形状セクション(16vr)を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項8】
エンボス加工された前記股部機能的設計要素(16)の前部V形状セクション(16vf)及び/又は後部V形状セクション(16vr)は、第1の長手方向延在側セクション(16a)及び第2の長手方向延在側セクション(16b)に接続されている、請求項6及び7に記載の衛生物品。
【請求項9】
エンボス加工された前記前部機能的設計要素(15)の前記V形状セクション(15v)及び、エンボス加工された前記股部機能的設計要素(16)の前記前部V形状セクション(16vf)は、長手方向(L)に見て、互いに2と15mmとの間の距離で配置されている、請求項5と請求項7又は8とに記載の衛生物品。
【請求項10】
前記股部エンボス加工機能的設計要素(16)の前記第1の長手方向延在側セクション(16a)及び前記第2の長手方向延在側セクション(16b)はそれぞれ、第1の後側セクション端点(16ar)及び第2の後側セクション端点(16br)を有し、前記第1の後側セクション端点及び/又は第2の後側セクション端点は、前記第1の後方ウイング接合部(18b)及び/若しくは第2の後方ウイング接合部(19b)と揃っている、又はそこから30mm以内に配置されている、請求項6及び9のいずれかと組み合わせた請求項3又は4に記載の衛生物品。
【請求項11】
エンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)は、前記衛生物品(1)の後方を指す第1のV形状セクション(17vf)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の衛生物品。
【請求項12】
エンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)は、前記衛生物品(1)の前記前部の方を指す第2のV形状セクション(17vr)を有し、前記第2のV形状セクションは、エンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)の前記第1のV形状セクション(17vf)より、前記衛生物品(1)の前記後部横方向縁部(8)の近くに設けられ、エンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)の前記第1及び前記第2のV形状セクション(17vf、17vr)は、エンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)の第1及び第2の長手方向延在側セクション(17a、17b)と接続されている、請求項11に記載の衛生物品。
【請求項13】
エンボス加工された前記後部機能的設計要素の前記内部領域(17′)に第1のエンボス線(17′a)及び第2のエンボス線(17′b)が設けられ、前記第1のエンボス線及び前記第2のエンボス線は、エンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)の前記第1のV形状セクション(17vf)のそれぞれの脚セクション(17vfa、17vfb)と平行に延在する、請求項11又は12に記載の衛生物品。
【請求項14】
エンボス加工された前記股部機能的設計要素(16)の前記後部V形状セクション(16vr)の先端(16rt)が、エンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)の前記第1のV形状セクション(17vf)の先端から2mmと20mmとの間の距離で配置され、任意選択でエンボス加工された前記股部機能的設計要素(16)の前記後部V形状セクションの第1の脚セクション(16vra)及び第2の脚セクション(16vrb)が、エンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)の前記第1のV形状セクション(17vf)の第1の脚セクション(17vfa)及び第2の脚セクション(17vfb)と平行に延在する、請求項7と請求項10又は11とに記載の衛生物品。
【請求項15】
エンボス加工された前記前部機能的設計要素(15)、エンボス加工された前記股部機能的設計要素(16)及びエンボス加工された前記後部機能的設計要素(17)のそれぞれが、長手方向(L)に見て、互いに揃っており、前記衛生物品(1)の長手方向中心線(L)に沿って集中している、請求項1から14のいずれか一項に記載の衛生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は衛生ナプキン又はパンティライナーのような衛生物品に関する。詳細には、本開示は、エンボス加工された機能的設計要素を有する衛生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示が関連する衛生物品は典型的には、尿及び血液のような体液を吸収するように意図されている。ユーザはこのような物品に対して高い要求を課しており、薄くて快適であると同時に体液を効果的に吸収することをこれらに求めている。
【0003】
衛生ナプキン、パンティライナーなどのような使い捨て衛生物品は、典型的には、使用中に着用者に面するように意図された液体透過性トップシート、液体不透過性バックシート、及びこれらの間の吸収性構造を含む。このような吸収性構造は比較的薄く圧縮されていることがある。比較的圧縮されている吸収性構造は柔軟性に欠けることがあり、これらの比較的薄く圧縮された物品が液体を素早く吸収し、漏れず、着用が快適であることを保証することが重要である。1つの考えられる解決策は、たとえばチャネル及び弾性要素を備えたボウル型構造を有するように物品を成形することである。しかしながら、ボウル型構造はかさばり、身体への適合性が低いため、目立ちやすい可能性がある。女性用衛生ナプキンでは、前部、股部及び後部のそれぞれのフィット感は、漏れを防止するためだけでなく、使用中に衛生物品が目立たず快適であるためにも重要である。
【0004】
衛生物品が漏れの安全性及び良好なフィット感をユーザに視覚的に与え、ユーザを安心させ、これによってユーザの満足感を向上させることが、さらに重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を考慮すると、迅速な取り込み、良好なフィット感を有し、着用時に目立たず、向上した外観を有する衛生物品の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上の目的の1つ又は複数が請求項1に記載の衛生物品で達成される。本発明のさらなる利点及び有利な特徴が、次の説明において、及び従属請求項において開示される。
【0007】
本開示による、衛生ナプキン又はパンティライナーのような衛生物品は、トップシート、バックシート、及びトップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアを含む。衛生物品は、長手方向において、及び横方向において、伸長部を有する。衛生物品は、長手方向に延在する第1及び第2の長手方向側縁と、横方向に延在する前部及び後部の横方向側縁と、をさらに有する。衛生物品は、長手方向に見て、前部、股部及び後部からなる。吸収性コアは、ヘッド部分、ボディ部分及びネック部分を含み、ネック部分はヘッド部分とボディ部分との間に移行領域を形成する。ヘッド部分は衛生物品の前部に位置し、ボディ部分は衛生物品の股部に、及び後部に位置する。ネック領域での吸収性コアの横幅はヘッド部分における、及びボディ部分における吸収性コアの最大横幅より小さい。吸収性コアは3つの個別の独立したエンボス加工された機能的設計要素をさらに含み、エンボス加工された前部機能的設計要素が衛生物品の前部に配置され、エンボス加工された股部機能的設計要素が衛生物品の股部に配置され、エンボス加工された後部機能的設計要素が衛生物品の後部に配置されている。境界を有するエンボス加工された機能的設計要素のそれぞれが、エンボス加工された機能的設計要素のそれぞれの内部領域を区切る連続線又は不連続線を含み、エンボス加工された前部、股部及び後部機能的設計要素のそれぞれは互いに異なる。
【0008】
「衛生物品」という用語は、尿、便及び月経液のような、身体の滲出液を吸収及び含有するために着用者の股間において着用者の皮膚に当てて配置される製品を指す。本開示は主に使い捨て衛生物品に関し、これは、洗濯又は他の方法で衛生物品として修復又は再利用されるように意図されていない物品を意味する。使い捨て衛生物品の例は、衛生ナプキン、パンティライナー、失禁パッドなどのような女性用衛生製品を含む。
【0009】
前部、股部及び後部は、長手方向に見て等しい長さとすることができる。特に夜間に使用される物品は、横になっているときの漏れからユーザをより良好に保護するために長めのものが多くある。異なる部分間の割合はあるいは、長手方向に見て、股及び後部が衛生物品の長さのそれぞれ40%を構成することができ、長手方向に見て、前部が衛生物品の長さの20%を構成することができるようにすることもできる。測定は衛生物品の最前部及び最後部点から行われ、長手方向に測定される。
【0010】
エンボス加工された機能的設計要素のそれぞれは、エンボス加工された機能的設計要素のそれぞれの内部領域を区切る連続線又は不連続線を含む境界を有し、不連続線は点線又は破線、もしくはこれらの組み合わせとすることができる。点線又は破線間のスペースは、不連続線の延長部に見られるように、点線又は破線に等しく、又はこれより小さくすることができる。
【0011】
それぞれの機能的設計要素のエンボス加工は、トップシートと吸収性コアを一緒にエンボス加工することによって、又は吸収性コアのみにエンボス加工を施すことによって行うことができる。
【0012】
ネック領域での吸収性コアの横幅は吸収性コアのヘッド部分のいずれの横幅よりも小さくすることができ、この幅は吸収性コアの長手方向側縁に沿って測定され、ヘッド部分が吸収性コアの前縁で丸みを帯びているコアの構成を含まない。ネック領域の横幅は吸収性コアのボディ部分のいずれの横幅よりも小さくすることができ、この幅は、吸収性コアの長手方向側縁に沿って測定され、ボディ部分が吸収性コアの後縁で丸みを帯びているコアの構成を含まない。
【0013】
本開示による衛生物品では、吸収性コアは、横方向に圧縮力を受けるユーザの股間領域に配置されるネック領域を有する。ネック領域を設けることにより、この領域における吸収性コアの平坦な形状が保持され、さもなければ起こり得るねじれ、又はしわが減少し、衛生物品は使用中にその位置により良好に保持されることになる。このような構成は、物品がネック部分の領域においてより容易に横方向に曲がることができるということをさらに意味する。したがって、前部及びコアのヘッド部分はユーザに向かって曲がることができ、したがって、前部は着用者の陰部領域をより良好に覆うことができる一方、股部を着用者の股間領域の近くに配置することができる。フィット感を向上させるため、衛生ナプキンの前、股及び後部のそれぞれにおける個別の予測可能な成形が重要である。これは漏れを防止するだけでなく、衛生物品が使用中に目立たず快適であるために重要である。これらの部分のそれぞれは、吸収性のニーズと、それぞれの領域においてユーザの解剖学的部位に適合するために必要とされる成形の両方の点で、互いに異なる。
【0014】
衛生物品が漏れの安全性及び良好なフィット感をユーザに視覚的に与え、ユーザを安心させ、これによってユーザの満足感を向上させることが、さらに重要である。他の領域におけるエンボス加工された機能的設計要素とは異なる、エンボス加工された機能的設計要素をそれぞれの前部、股部及び後部領域に設けることにより、エンボス加工された機能的設計要素のカスタマイズが可能になる。したがって、機能的設計要素によって提供される、特に前部及び後部領域における、予測可能な折り畳み及び成形を、これらの領域においてユーザの解剖学的部位に適合させることができる。股部領域に配置されるエンボス加工された機能的設計要素は、漏れの安全性及び漏れの安全性のユーザに対する視覚的な合図を提供するために提供することができる。加えて、前部及び後部のエンボス加工された機能的設計要素は、ユーザが意図した折り畳み及び成形を行うための視覚的な合図として機能し、これによって衛生物品を下着に入れるときに衛生物品をどのように成形するべきかを示し、したがって衛生物品のわずかな事前成形を提供し、したがって使用中の衛生ナプキンのフィット感を向上させることができる。吸収性コアは、前部及び/又は後部のエンボス加工された機能的設計要素と比較して、股部のエンボス加工された機能的設計要素で、より多量の超吸収性ポリマー及び/又はセルロース繊維のような、より多量の吸収性材料を含むことができる。股部のエンボス加工された機能的設計要素での吸収性コアは任意選択で、g/mで測定して、それぞれのエンボス加工された機能的設計要素の領域内の平均値として、少なくとも20%又は30%もしくは50%多い量の吸収性材料を有することができる。
【0015】
前部、股部及び後部機能的設計要素のそれぞれは、形状及び/又はサイズが互いに異なり得る。前部、股部又は後部のエンボス加工された機能的設計要素は、それぞれの領域においてカスタマイズされた機能性を提供するように形状及び/又はサイズが異なり得る。エンボス加工された股部機能的設計要素はたとえば、それぞれのエンボス加工された前部及び後部機能的設計要素よりサイズが大きく、液体の取り込みを強化し、衛生物品の前及び後部への液体の広がりを低減するように設計することができる。エンボス加工された股部機能的設計要素の内部領域はたとえば、エンボス加工された後部機能的設計要素の内部領域よりサイズを少なくとも25%、30%、40%又は50%大きくすることができる。エンボス加工された股部機能的設計要素の内部領域はたとえば、エンボス加工された前部機能的設計要素の内部領域よりサイズを少なくとも30%、40%、50%又は60%大きくすることができる。
【0016】
衛生物品は、第1の前方ウイング接合部と第1の後方ウイング接合部との間で第1の長手方向側縁に沿って延在する第1の固定ウイングと、第2の前方ウイング接合部と第2の後方ウイング接合部との間で第2の長手方向側縁に沿って延在する第2の固定ウイングと、を有することができる。前方及び後方ウイング接合部は、長手方向側端から見て、前部及び後部偏向点に対応する。
【0017】
第1の前方ウイング接合部及び/又は第2の前方ウイング接合部は、長手方向に見て、吸収性コアのネック領域と揃えてもよく、又は長手方向に測定してネック領域から後方に30mm以内、任意選択で長手方向に測定してネック領域から後方に15mm以内に配置されてもよい。
【0018】
エンボス加工された前部機能的設計要素は、衛生物品の後部の方を指すV形状セクションを有することができ、エンボス加工された前部要素のV形状セクションの先端を、長手方向に測定して、ネック領域から、30mm以内、好ましくは15mm以内又は10mm以内に配置することができる。エンボス加工された前部機能的設計要素が、V形状セクションの先端がネック領域を強調している先細り形状を有するという事実により、前部の所望の上向きの、わずかに内向きの屈曲して、したがってユーザの身体への適合を促進することができる。V形状セクションは補強要素として機能することもできる。エンボス加工された前部機能的設計要素のV形状セクションのこの配置は、衛生物品が着用されている時間にわたって物品の正確な身体適合成形を改善することが判明した。これにより、ユーザが衛生物品を下着に取り着けるときの移動又は位置ずれのため、物品が望ましくない方法で折り畳まれるのを防止することができる。エンボス加工された前部機能的設計要素はたとえば、ハートの形、又はV形状セクションを有する任意の他の形状とすることができる。
【0019】
エンボス加工された股部機能的設計要素は第1及び第2の長手方向延在側セクションを含むことができ、第1及び第2の長手方向延在側セクション間の距離は、長手方向に見て、後方に向かって増加し得る。衛生ナプキンはユーザの身体にぴったりとフィットするように成形されるように意図されているため、液体を吸収性コアに導き、横漏れを低減又は排除するエンボス加工された長手方向延在側セクションを有することが特に有益であることが判明した。第1及び第2の長手方向延在側セクション間の距離はたとえば、横方向に、距離が測定されるのと同じ横の場所で測定して、吸収性コアの幅の少なくとも30%から吸収性コアの幅の少なくとも50%、60%又は70%の間で変化し得る。第1及び第2の長手方向延在側セクション間の距離の増加は、吸収性コアのボディ部分の幅の増加に相関し得る。
【0020】
エンボス加工された股部機能的設計要素は、衛生物品の前縁の方を指す前部V形状セクション、及び/又は衛生物品の後縁の方を指す後部V形状セクションを有することができる。
【0021】
エンボス加工された股部機能的設計要素の前部及び/又は後部V形状セクションは第1及び第2の長手方向延在側セクションに接続することができる。
【0022】
エンボス加工された前部機能的設計要素のV形状セクション及びエンボス加工された股部機能的設計要素の前部V形状セクションは、長手方向に見て、互いに2と15mmとの間の距離で配置することができる。これにより、衛生物品が着用されている時間にわたって物品の正確な身体適合成形がさらに改善される。
【0023】
エンボス加工された股部機能的設計要素の第1及び第2の長手方向延在側セクションは、それぞれの第1及び第2の後側セクション端点を有することができ、第1及び/又は第2の後側セクション端点は、第1及び/又は第2の後方ウイング接合部と揃えてもよく、又はそこから30mm以内、任意選択で15mm以内に配置されてもよい。エンボス加工された股部機能的設計要素の第1及び第2の長手方向延在側セクションは、それぞれの第1及び第2の前側セクション端点を有することができ、第1及び/又は第2の後側セクション端点は、第1及び/又は第2の前方ウイング接合部と揃えてもよく、又はそこから30mm以内、任意選択で15mm以内に配置されてもよい。エンボス加工された股部機能的設計要素の第1及び第2の長手方向延在側セクションはこれによって、第1及び第2の固定ウイングが衛生物品を横方向外向きに伸ばす領域において安定化と漏れの安全性の両方を提供するように機能することができる。
【0024】
吸収性コアは、エンボス加工された前部機能的設計要素及び/又はエンボス加工された後部機能的設計要素の内部領域内より、エンボス加工された股部機能的設計要素の内部領域において大きな吸収能力を有することができる。
【0025】
エンボス加工された後部機能的設計要素は、衛生物品の後方を指す第1のV形状セクションを有することができる。第1のV形状セクションは、V形状セクションの先端が衛生物品の長手方向中心線と揃うように配置することができる。これにより、臀部領域における衛生物品の長手方向中心線に沿った衛生物品の予測可能な内向きの折り畳みが容易になり、したがって衛生物品をユーザの解剖学的部位に適合させ、目立たない身体適合衛生物品を提供することができる。
【0026】
エンボス加工された後部機能的設計要素は、衛生物品の前部の方を指す第2のV形状セクションを有することができ、第2のV形状セクションは、エンボス加工された後部機能的設計要素の第1のV形状セクションより衛生物品の後部横方向縁部の近くに設けることができる。エンボス加工された後部機能的設計要素の第1及び第2のV形状セクションは、エンボス加工された後部機能的設計要素の第1及び第2の長手方向延在側セクションと接続することができる。エンボス加工された後部機能的設計要素の第1及び第2のV形状セクションは互いに、及び任意選択で衛生物品の長手方向中心線と揃えることができる。
【0027】
エンボス加工された後部機能的設計要素の内部領域には第1及び第2のエンボス線を設けることができ、第1及び第2のエンボス線はエンボス加工された後部機能的設計要素の第1のV形状セクションのそれぞれの第1及び第2の脚セクションと平行に延在することができる。
【0028】
エンボス加工された後部機能的設計要素の内部領域には第3及び第4のエンボス線を設けることができ、第3及び第4のエンボス線は、エンボス加工された後部機能的設計要素の第1のV形状セクションのそれぞれの脚セクションと平行に延在し、第1及び第3のエンボス線が第1の脚セクションと平行であり、第2及び第4の脚セクションがエンボス加工された後部機能的設計要素の第1のV形状セクションの第2の脚セクションと平行であるようになっている。エンボス線はわずかに湾曲していてもよく、主要部分がエンボス加工された後部機能的設計要素の第1のV形状セクションのそれぞれの第1及び第2の脚セクションと平行に延在している。
【0029】
エンボス加工された後部機能的設計要素の内部領域に設けられたエンボス線は、エンボス加工された後部機能的設計要素によって提供される衛生物品の後部の成形をさらに強化することができる。
【0030】
エンボス加工された股部機能的設計要素の後部V形状セクションの先端を、エンボス加工された後部機能的設計要素の第1のV形状セクションの先端から2mmと20mmとの間の距離で配置することができ、任意選択でエンボス加工された股部機能的設計要素の後部V形状セクションの第1及び第2の脚セクションが、エンボス加工された後部機能的設計要素の第1のV形状セクションの第1及び第2の脚セクションと平行に延在する。
【0031】
エンボス加工された前部機能的設計要素、エンボス加工された股部機能的設計要素及びエンボス加工された後部機能的設計要素のそれぞれは、長手方向に見て、互いに揃えて、衛生物品の長手方向中心線に沿って集中させることができる。
【0032】
固定ウイングには、固定ウイングを下着に取り付けるための、接着剤のような取り付け手段を設けることができる。固定ウイングは、下着の周囲に折り畳まれ、その衣類に面する側で下着に取り付けられるように意図されている。
【0033】
本開示に記載の衛生物品には、バックシート上に感圧接着剤のような接着剤を設けることができる。接着剤は、衛生物品の接着剤含有バックシートに剥離可能に接着されている細長い包装シートで覆うことができる。包装シートは、シリコーンのような、包装シートの剥離を可能にする材料で被覆することができ、衛生物品の接着剤含有バックシートから包装シートを剥がすことができるように、衛生物品を下着に取り付けることができるようになっている。バックシートの接着剤含有領域は剥離紙で被覆することができる。衛生物品が剥離紙を介して包装シートに取り付けられるように、たとえば永久的な取り付けで剥離紙を包装シートに取り付けることができる。
【0034】
非限定的な例によって添付の図面を参照して本発明を以降にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示による衛生物品を示す。
図2】本開示による代替の衛生物品を示す。
図3】前方ウイング接合部及び後方ウイング接合部の定義を備えた衛生物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面は概略的であり、個々の構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないことが理解されるべきである。図に示す衛生物品は例としてのみ提供されており、本発明を限定していると考えるべきではない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定される。
【0037】
図1は本開示による衛生物品1を示す。この衛生物品1は、トップシート2、バックシート3、及びトップシート2とバックシート3との間に配置された吸収性コア4を含む。
【0038】
トップシート2は、スパンボンド、メルトブローン、カード式、水流交絡、湿式である繊維状不織層を含み、又はこれらからなり得る。適切な不織材料は、木材パルプ又は綿繊維のような天然繊維、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドのような合成熱可塑性繊維、及びこれらのブレンド及び組み合わせで、又は天然繊維及び合成繊維の混合から構成することができる。
【0039】
トップシート材料として適した材料は、柔らかく、皮膚を刺激せず、月経液及び尿のような体液が容易に浸透するものとすべきである。
【0040】
バックシート3は、液体の浸透に抵抗する薄いプラスチックフィルム、たとえばポリエチレン又はポリプロピレンのフィルム、液体不浸透性材料で被覆された不織材料、疎水性不織布からなり得る。プラスチックフィルムと不織材料の積層体も使用することができる。バックシート材料は通気性があり、液体がバックシート材料を通過することを依然として防止しながら、吸収性構造から蒸気を逃がすことが可能であり得る。
【0041】
吸収性コア4は、体液を取得及び貯蔵する物品の吸収性構造である。吸収性コアは任意の従来の種類のものであってもよい。普通にある吸収性材料の例は、セルロースフラッフパルプ、ティッシュ、高吸収性ポリマー(いわゆる超吸収体)、吸収性フォーム材料、吸収性不織材料などである。吸収性コアにおいてセルロースフラッフパルプと超吸収性ポリマーを組み合わせることが普通である。超吸収性ポリマーは、0.9重量パーセントの塩化ナトリウムを含有する水溶液の自重の少なくとも約20倍を吸収することができる、水膨潤性、水不溶性の有機又は無機材料である。超吸収性材料としての使用に適切な有機材料は、多糖類、ポリペプチドなどのような天然材料、ならびに合成ヒドロゲルポリマーのような合成材料を含むことができる。このようなヒドロゲルポリマーは、たとえば、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジンなどのアルカリ金属塩を含む。他の適切なポリマーは、加水分解アクリロニトリルグラフトデンプン、アクリル酸グラフトデンプン、及びイソブチレン無水マレイン酸コポリマー及びこれらの混合物を含む。ヒドロゲルポリマーは好ましくは、材料を実質的に水不溶性にするために軽く架橋されている。好ましい超吸収性材料は、超吸収性粒子、繊維、フレーク、球体などの外面又はシェルが超吸収体の内部より高い架橋密度を所有するように、さらに表面架橋されている。超吸収性材料は、粒子、繊維、フレーク、球体などを含む吸収性複合体における使用に適切な任意の形態とすることができる。大量の超吸収性材料を使用することによって高い吸収能力が提供される。たとえば衛生ナプキン、赤ちゃん用おむつ及び失禁ガードにおいて普通である薄い吸収性コアは大抵、セルロースフラッフパルプと超吸収性ポリマーの圧縮、混合又は層状構造を含む。吸収性コアのサイズ及び吸収能力は、大人の失禁者用の衛生ナプキン又はパンティライナーのような、異なる製品タイプに合わせて変えることができる。
【0042】
一般に、コアは一体構造とすることができ、これによってたとえば製造プロセスを簡素化することができる。本文脈における「一体構造」という語句は、吸収性コアが本質的に一種類の材料から構築され、これは本質的に同じ材料、又は吸収性コア全体を通じて2つ以上の材料の本質的に同じ組み合わせであることを意味するように意図されている。材料の密度及び濃度の変動が生じることがあるが、これらは、別々に形成され、次いで互いに物理的に接合された領域を組み込むことなく得られ得るものに限定される。たとえば、吸収性コアが上述のように親水性繊維と超吸収性材料のマトリクスを含むとき、超吸収性材料と繊維の相対濃度はコアの異なる部分で異なり得る。しかしながら、一体構造の吸収性コアは異なる組成の層又は積層体を含まない。同様に、吸収性コアの長手方向、横方向又は厚さ方向にわたるさまざまな成分の密度又は濃度の変動は許容可能であるが、コアは、別々に形成されて後で一緒に接合される異なる組成の領域又は層を含むべきではない。
【0043】
本開示の吸収性コアを製造するための適切な技術はエアレイイングプロセスを通したマット形成である。このプロセスにおいて通気性のある型が提供される。繊維状材料が金型内へエアレイドされて金型が満たされ、これによって所望の量の繊維状材料で吸収性コアが製造される。
【0044】
衛生物品1は、長手方向Lにおいて、及び横方向Tにおいて、伸長部を有する。衛生物品1は、長手方向Lに延在する第1及び第2の長手方向側縁5、6と、横方向Tに延在する前部及び後部の横方向側縁7、8と、を有する。衛生物品は、長手方向Lに見て、前部9、股部10及び後部11で構成されている。吸収性コア4は、ヘッド部分13、ボディ部分14及びネック部分12を含み、ネック部分12はヘッド部分13とボディ部分14との間に移行領域を形成し、ヘッド部分13は衛生物品1の前部9に位置し、ボディ部分14は衛生物品1の股部10に、及び後部11に位置する。ネック領域12での吸収性コア4の横幅wはヘッド部分13における、及びボディ部分14における吸収性コア4の最大横幅より小さい。
【0045】
衛生物品1は、第1の前方ウイング接合部18aと第1の後方ウイング接合部18bとの間で第1の長手方向側縁5に沿って延在する第1の固定ウイング18と、第2の前方ウイング接合部19aと第2の後方ウイング接合部19bとの間で第2の長手方向側縁6に沿って延在する第2の固定ウイング19と、を有する。第1の前方ウイング接合部18a及び第2の前方ウイング接合部19aは、長手方向Lに測定してネック領域12から後方に15mm以内に配置されている。
【0046】
本開示によれば、吸収性コア4は機能的設計要素でエンボス加工されており、3つの個別の独立したエンボス加工された機能的設計要素15、16、17を含む。それぞれの機能的設計要素15、16、17は、トップシート2と吸収性コア4とを一緒にエンボス加工することによって作製される。しかしながら、エンボス加工はあるいは吸収性コア4のみに作製することもできる。エンボス加工された機能的設計要素15、16、17は、エンボス加工された機能的設計要素15、16、17のそれぞれの内部領域15′、16′、17′を区切る連続線又は不連続線を含む境界を有する。図1において、エンボス加工された前部、股部及び後部機能的設計要素15、16、17のそれぞれは、サイズ及び形状の両方において互いに異なる。エンボス加工された股部機能的設計要素の内部領域はたとえば、エンボス加工された後部機能的設計要素の内部領域より少なくとも25%、30%、40%又は50%サイズを大きくすることができる。エンボス加工された股部機能的設計要素の内部領域はたとえば、エンボス加工された前部機能的設計要素の内部領域より少なくとも30%、40%、50%又は60%サイズを大きくすることができる。吸収性コアは、前部及び/又は後部エンボス加工機能的設計要素と比較して股部エンボス加工機能的設計要素で、より多量の超吸収性ポリマー及び/又はセルロース繊維のような、より多量の吸収性材料をさらに含むことができる。
【0047】
エンボス加工された前部機能的設計要素15が衛生物品1の前部9に配置されている。エンボス加工された前部機能的設計要素15は、衛生物品1の後部11の方を指すV形状セクション15vを含むハート形を有する。エンボス加工された前部要素15のV形状セクション15vの先端が、長手方向Lに測定して、ネック領域12から15mm以内、好ましくは10mm以内に配置されている。
【0048】
エンボス加工された股部機能的設計要素16が衛生物品1の股部10に配置されている。エンボス加工された股部機能的設計要素16は、衛生物品1の前縁7の方を指す前部V形状セクション16vfと、衛生物品1の後縁8の方を指す後部V形状セクション16vrと、を含む。第1及び第2の長手方向延在側セクション16a、16bが、エンボス加工された股部機能的設計要素16の前部V形状セクション16vfと後部V形状セクション16vrとの間に延在してこれらを接続する。図1に見られるように、第1及び第2の長手方向延在側セクション16a、16b間の距離dは、長手方向Lに見て、後方に向かって増加する。エンボス加工された前部機能的設計要素15のV形状セクション15v及びエンボス加工された股部機能的設計要素16の前部V形状セクション16vfは、長手方向Lに見て、互いに2と20mmとの間の距離で配置されている。
【0049】
股部エンボス加工機能的設計要素16の第1及び第2の長手方向延在側セクション16a、16bは、それぞれの第1及び第2の後側セクション端点16ar、16brを有し、第1及び第2の後側セクション端点は、長手方向Lに見て、第1及び/又は第2の後方ウイング接合部18b、19bから15mm以内に配置されている。
【0050】
エンボス加工された後部機能的設計要素17が衛生物品1の後部11に配置されている。エンボス加工された後部機能的設計要素17は、衛生物品1の後方を指す第1のV形状セクション17vfと、衛生物品1の前部の方を指す第2のV形状セクション17vrと、を有する。エンボス加工された後部機能的設計要素17の第2のV形状セクション17vrは、エンボス加工された後部機能的設計要素17の第1のV形状セクション17vfより、衛生物品1の後部横方向縁部8の近くに設けられている。エンボス加工された後部機能的設計要素17の第1及び第2のV形状セクション17vf、17vrは、エンボス加工された後部機能的設計要素17の第1及び第2の長手方向延在側セクション17a、17bと接続されている。
【0051】
エンボス加工された前部機能的設計要素15、エンボス加工された股部機能的設計要素16及びエンボス加工された後部機能的設計要素17のそれぞれは、長手方向Lに見て、互いに揃えられ、衛生物品1の長手方向中心線Lcに沿って集中している。
【0052】
本開示による衛生物品1は液体取得シート(図示せず)をさらに含むことができ、これは液体分配層として作用する。取得層は、吸収性コアの形状に合うように適合させることができる異なる形状を有することができる。取得層はコア4の外縁を1~2mm以上越えて(好ましくはコア4の全周にわたって)延在することができる。この構成により物品の周囲にきれいな縁を提供することができる。液体取得シートは、トップシート2とコア4との間に配置することができ、吸収性コアの上に適切に配置される。液体取得シートは、放出された液体が吸収性コア6によって吸収される前にこれを迅速に受け取って一時的に貯蔵するように適合されている。このような取得分配層は、たとえば、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ハイロフト不織布又はフォーム材料で構成することができる。不織材料は親水性であってもよい。親水性材料は、界面活性剤を添加することによって得ることができる。
【0053】
図2は本開示による衛生物品1の第2の実施形態を示す。図1と同じ参照符号は、同じ又は同様の特徴を示すために使用される。したがって、衛生物品は、トップシート2、バックシート3、及びトップシート2とバックシート3との間に配置された吸収性コア4を含む。衛生物品1は、長手方向Lに延在する第1及び第2の長手方向側縁5、6と、横方向Tに延在する前部及び後部の横方向側縁7、8と、を有する。衛生物品は、長手方向Lに見て、前部9、股部10及び後部11で構成されている。吸収性コア4は、ヘッド部分13、ボディ部分14及びネック部分12を含み、ネック部分12はヘッド部分13とボディ部分14との間に移行領域を形成し、ヘッド部分13は衛生物品1の前部9に位置し、ボディ部分14は衛生物品1の股部10に及び後部11に位置している。衛生物品1のトップシート2は衛生物品の第1及び第2の長手方向縁部が織物側縁20、21で覆われて、向上した感覚効果をユーザに提供し、液体の取り込みを衛生物品1の股部10に誘導する。織物側縁20、21はたとえばポリプロピレンカード式熱接合親水性不織(繊維)材料とすることができる。また、スパンボンド不織布、エアスルーボンド不織布、スパンレース(水流交絡)不織布、メルトブローン不織布、又はこれらの組み合わせを使用することもできる。組み合わせを使用すれば、異なるポリマーからの繊維の混合物がある可能性があるが、各繊維が異なるポリマー(たとえば、二成分繊維PP/PE又はコポリマーPP/PE)からなる可能性もある。織物縁不織布は、パルプ又はビスコースのような天然繊維を一定割合で含むこともできる。不織布は、親水性、永久親水性又は疎水性とすることができる。不織布は7から50gsmの目付を有することができる。また、織物縁における材料は、PP、PE、PET、PLA、デンプン又は任意の他の熱可塑性ポリマー、又は上記のポリマーのブレンド又はコポリマーで作製されたプラスチックフィルムとすることができる。材料は不織布とフィルムの積層体とすることもできる。このような積層体は、熱を使用することによって、接着剤を使用することによって、機械的結合によって、又は不織布上へのフィルムの押出によって、又はこれらの方法の組み合わせによって、不織布とフィルムを結合することによって作製することができる。織物側縁20、21はたとえば、衛生物品1の長手方向側縁5、6から10から35mmの表面に延在することができる。
【0054】
衛生物品1は、第1の前方ウイング接合部18aと第1の後方ウイング接合部18bとの間で第1の長手方向側縁5に沿って延在する第1の固定ウイング18と、第2の前方ウイング接合部19aと第2の後方ウイング接合部19bとの間で第2の長手方向側縁6に沿って延在する第2の固定ウイング19と、を有する。第1の前方ウイング接合部18a及び第2の前方ウイング接合部19aは、長手方向Lに測定してネック領域12から後方に15mm以内に配置されている。
【0055】
吸収性コア4は機能的設計要素でエンボス加工されており、3つの個別の独立したエンボス加工された機能的設計要素15、16、17を含む。それぞれの機能的設計要素15、16、17は、トップシート2と吸収性コア4とを一緒にエンボス加工することによって作製される。しかしながら、エンボス加工はあるいは吸収性コアのみに作製することもできる。エンボス加工された機能的設計要素15、16、17は、エンボス加工された機能的設計要素15、16、17のそれぞれの内部領域15′、16′、17′を区切る連続線又は不連続線を含む境界を有し、エンボス加工された前部、股部及び後部機能的設計要素15、16、17のそれぞれは、サイズ及び形状の両方において互いに異なる。
【0056】
エンボス加工された前部機能的設計要素15が衛生物品1の前部9に配置されている。エンボス加工された前部機能的設計要素15は、衛生物品1の後部11の方を指すV形状セクション15vを含むハート形を有する。エンボス加工された前部要素15のV形状セクション15vの先端が、長手方向Lに測定して、ネック領域12から15mm以内、好ましくは10mm以内に配置されている。エンボス曲線22が、吸収性コア4の前縁7の湾曲に本質的に従って、エンボス加工された前部機能的設計要素15の前方に設けられている。
【0057】
エンボス加工された股部機能的設計要素16が衛生物品1の股部10に配置されている。エンボス加工された股部機能的設計要素16は、衛生物品1の前縁7の方を指す前部V形状セクション16vfと、衛生物品1の後縁8の方を指す後部V形状セクション16vrと、を含む。第1及び第2の長手方向延在側セクション16a、16bが、エンボス加工された股部機能的設計要素16の前部V形状セクション16vfと後部V形状セクション16vrとの間に延在してこれらを接続する。図1に見られるように、第1及び第2の長手方向延在側セクション16a、16b間の距離dは、長手方向Lに見て、後方に向かって増加する。エンボス加工された前部機能的設計要素15のV形状セクション15v及びエンボス加工された股部機能的設計要素16の前部V形状セクション16vfは、長手方向Lに見て、互いに2と20mmとの間の距離で配置されている。
【0058】
股部エンボス加工機能的設計要素16の第1及び第2の長手方向延在側セクション16a、16bは、それぞれの第1及び第2の後側セクション端点16ar、16brを有し、第1及び第2の後側セクション端点は、第1及び/又は第2の後方ウイング接合部18b、19bから15mm以内に配置されている。
【0059】
エンボス加工された後部機能的設計要素17が衛生物品1の後部11に配置されている。エンボス加工された後部機能的設計要素17は、衛生物品1の後方を指す第1のV形状セクション17vfと、衛生物品1の前部の方を指す第2のV形状セクション17vrと、を有する。エンボス加工された後部機能的設計要素17の第2のV形状セクション17vrは、エンボス加工された後部機能的設計要素17の第1のV形状セクション17vfより、衛生物品1の後部横方向縁部8の近くに設けられている。エンボス加工された後部機能的設計要素17の第1及び第2のV形状セクション17vf、17vrは、エンボス加工された後部機能的設計要素17の第1及び第2の長手方向延在側セクション17a、17bと接続されている。
【0060】
図1に示す衛生物品とは対照的に、図2の実施形態のエンボス加工された後部機能的設計要素17の内部領域17′には第1及び第2のエンボス線17′a、17′bが設けられ、それぞれの第1及び第2のエンボス線17′a、17′bの少なくとも一部が、エンボス加工された後部機能的設計要素17の第1のV形状セクション17vfのそれぞれの第1及び第2の脚セクション17vfa、17vfbと平行に延在する。エンボス加工された後部機能的設計要素17の内部領域17′は、第1の脚セクション17vfaと平行に少なくとも部分的に延在する第3のエンボス線17′cと、第2の脚セクション17vfbと平行に少なくとも部分的に延在する第4のエンボス線17′dと、をさらに含む。
【0061】
エンボス加工された股部機能的設計要素16の後部V形状セクション16vrの先端16rtが、エンボス加工された後部機能的設計要素17の第1のV形状セクション17vfの先端から2mmと20mmとの間の距離で配置されている。
【0062】
吸収性コア4には、ヘッド部分13から、ネック部分12を越えてボディ部分14の一部に沿って第1の長手方向側縁5に沿って延在する第1のエンボス側線23と、ヘッド部分13から、ネック部分12を越えてボディ部分14の一部に沿って第2の長手方向側縁6に沿って延在する第2のエンボス側線24と、がさらに設けられている。第1及び第2のエンボス側線23、24は、それぞれの第1及び第2の長手方向側縁5、6から3mmから10mmの距離で設けられている。
【0063】
本開示の文脈において、前方ウイング接合部18a、19a及び後方ウイング接合部18b、19bは、図3を参照して次のように定義される。股部10において、第1及び第2の固定ウイング18、19の前方の衛生物品1の横方向における最も狭い幅Qで衛生物品1のそれぞれの長手方向側縁に沿って外周23に接触するように長手方向Lに、それぞれの仮想の長手方向直線Z及びZを引く。第1の固定ウイング18の前方の仮想直線Zと外周23との間の交点を第1の前方ウイング接合部18aとして定義する一方、第2の固定ウイング19の前方の仮想直線Zと外周23との間の交点を第2の前方ウイング接合部19aとして定義する。それぞれの仮想直線Z及びZが衛生物品1の長手方向側端と一致する実施形態において(たとえば、衛生物品の長手方向側縁が直線からなるため)、前方ウイング接合部18a及び19aは、外周と一致する仮想直線の部分上に配置されている点として定義され、衛生物品のウイングに前方向に最も近く配置されている。後方ウイング接合部18b、19bは、それぞれの仮想の長手方向直線V及びVを引くことによって、これが第1及び第2のウイング18、19の後方の衛生物品1の横方向における最も狭い幅Rで、衛生物品1のそれぞれの長手方向側縁に沿った外周26に接触するように定義される。第2のウイング19の後方における仮想直線Vと外周23との間の交点を第2の後方ウイング接合部19bとして定義する一方、第1のウイング18の後方の仮想直線Vと外周23との間の交点を第1の後方ウイング接合部19bとして定義する。仮想直線V、Vが衛生物品1の長手方向側縁と一致する実施形態において(たとえば外周の長手方向側縁が直線からなるため)、後方ウイング接合部18b及び19bは、外周23と一致する仮想直線の部分上に配置され、衛生物品のウイングに後ろ方向に最も近く配置されている点、すなわちウイング偏向点として定義される。図3に示すように、仮想の第2のウイング接合線JWLが第2の前方ウイング接合部19aを第2の後方ウイング接合部19bと接続する一方、仮想の第1のウイング接合線JWRが第1の前方ウイング接合部18aを第1の後方ウイング接合部19bと接続する。本願の文脈において、第1及び第2のウイング接合線JWR及びJWLはウイング長さに対応する。図示のタイプの衛生ナプキンにおいて、後方ウイング接合部18、19は、前方ウイング接合部18a、19aと比較して、衛生物品1の長手方向中心線Lのさらに外側で間隔があいている。したがって、第1及び第2のウイング接合線JWR及びJWLは長手方向中心線Lに平行ではない。しかしながら、後方ウイング接合部18b、19bは、後方ウイング接合部18b、19bと長手方向中心線Lとの間の横方向距離が前方ウイング接合部18a、19aと長手方向中心線Lcとの間の横方向距離に等しくなるように間隔をあけることもできる。このような実施形態において、第1及び第2のウイング接合線JWR及びJWLは長手方向中心線Lcに平行である。図示のタイプの衛生ナプキンにおいて、第1及び第2のウイング接合線JWR及びJWLは50~110mm、好ましくは75~100mmの間、最も好ましくは85~95mmの間の長さを有する。
【符号の説明】
【0064】
1 衛生物品
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収性コア
5 第1の長手方向側縁
6 第2の長手方向側縁
7 前部の横方向側縁
8 後部の横方向側縁
9 前部
10 股部
11 後部
12 ネック部分
13 ヘッド部分
14 ボディ部分
15 エンボス加工された前部機能的設計要素
15′ 内部領域
15v V形状セクション
16 エンボス加工された股部機能的設計要素
16′ 内部領域
16a 第1の長手方向延在側セクション
16ar 第1の後側セクション端点
16b 第2の長手方向延在側セクション
16br 第2の後側セクション端点
16vf 前部V形状セクション
16vr 後部V形状セクション
16rt 先端
17 エンボス加工された後部機能的設計要素
17a 第1の長手方向延在側セクション
17b 第2の長手方向延在側セクション
17vf 第1のV形状セクション
17vfa 第1の脚セクション
17vfb 第2の脚セクション
17vr 第2のV形状セクション
17′ 内部領域
17′a 第1のエンボス線
17′b 第2のエンボス線
17′c 第3のエンボス線
17′d 第4のエンボス線
18 第1の固定ウイング
18a 第1の前方ウイング接合部
18b 第1の後方ウイング接合部
19 第2の固定ウイング
19a 第2の前方ウイング接合部
19b 第2の後方ウイング接合部
20 織物側縁
21 織物側縁
22 エンボス曲線
23 第1のエンボス側線、外周
24 第2のエンボス側線
26 外周
図1
図2
図3
【国際調査報告】