(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ノンインパクト印刷装置により印刷されたシートを乾燥させる乾燥機を備えるシート印刷機械
(51)【国際特許分類】
B05C 9/14 20060101AFI20231228BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B05C9/14
B05C13/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543053
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2022072506
(87)【国際公開番号】W WO2023041262
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021123675.4
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390014188
【氏名又は名称】ケーニッヒ ウント バウアー アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Koenig & Bauer AG
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Koenig-Str. 4, 97080 Wuerzburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンネマリー コッホ
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ ミヒャエル コッホ
(72)【発明者】
【氏名】マイク ヴァルター
【テーマコード(参考)】
4F042
【Fターム(参考)】
4F042AA02
4F042AB00
4F042BA02
4F042BA03
4F042BA08
4F042BA19
4F042DB02
4F042DB25
4F042DB39
4F042DB41
4F042DB48
4F042DF07
4F042DF18
4F042DF27
4F042DH09
(57)【要約】
本発明は、ノンインパクト印刷装置(13)により印刷されたシート(64)を乾燥させる乾燥機(17)を備えるシート印刷機械であって、乾燥機(17)は、熱風乾燥機として、かつ/またはIR放射により乾燥させる乾燥機として形成されており、乾燥機(17)には、シート(64)の運搬方向(T)で冷却装置(36)が直接的に後置されており、冷却装置(36)は、シート(64)が水平な状態で冷却装置(36)を通して搬送される搬送平面(E)より上に、少なくとも1つの冷却モジュール(37)を有し、該当する冷却モジュール(37)は、冷却媒体として空気を使用するように形成されており、冷却装置(36)の冷却モジュール(37)の各々は、それぞれ、ブローボックス(41)として形成されており、それぞれのブローボックス(41)は、冷却媒体をそれぞれ、冷却すべきシート(64)の表面に向けて導くように形成されており、それぞれのブローボックス(41)は、ブローノズル(43)を有し、冷却媒体は、これらのブローノズル(43)を通して、冷却すべきそれぞれのシート(64)の表面に向けて吹かれ、それぞれのブローボックス(41)は、ブローボックス(41)がガイド面(42)でもって、該当する冷却すべきシート(64)の表面に対してギャップ(S37)を形成するように形成されており、それぞれのブローボックス(41)のガイド面(42)は、該当する冷却すべきシート(64)の表面の上方に、外側の環状ギャップを通して冷却媒体の体積流がギャップ(S37)から流れ出る、前記環状ギャップの横断面が、ガイド面(42)内のブローノズル(43)のすべての開口面積にわたる合計横断面より小さいか、または略同じであるような高さに配置されている、シート印刷機械に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノンインパクト印刷装置(13)により印刷されたシート(64)を乾燥させる乾燥機(17)を備えるシート印刷機械であって、
前記乾燥機(17)は、熱風乾燥機として、かつ/またはIR放射により乾燥させる乾燥機として形成されており、前記乾燥機(17)には、前記シート(64)の運搬方向(T)で冷却装置(36)が直接的に後置されており、前記冷却装置(36)は、前記シート(64)が水平な状態で前記冷却装置(36)を通して搬送される搬送平面(E)より上に、少なくとも1つの冷却モジュール(37)を有し、該当する前記冷却モジュール(37)は、冷却媒体として空気を使用するように形成されている、
シート印刷機械において、
前記冷却装置(36)の前記冷却モジュール(37)の各々は、それぞれ、ブローボックス(41)として形成されており、それぞれの前記ブローボックス(41)は、前記冷却媒体をそれぞれ、冷却すべき前記シート(64)の表面に向けて導くように形成されており、それぞれの前記ブローボックス(41)は、ブローノズル(43)を有し、前記冷却媒体は、前記ブローノズル(43)を通して、冷却すべきそれぞれの前記シート(64)の前記表面に向けて吹かれ、それぞれの前記ブローボックス(41)は、前記ブローボックス(41)がガイド面(42)でもって、該当する冷却すべき前記シート(64)の前記表面に対してギャップ(S37)を形成するように形成されており、それぞれの前記ブローボックス(41)の前記ガイド面(42)は、該当する冷却すべき前記シート(64)の前記表面の上方に、外側の環状ギャップを通して前記冷却媒体の体積流が前記ギャップ(S37)から流れ出る、前記環状ギャップの横断面が、前記ガイド面(42)内の前記ブローノズル(43)のすべての開口面積にわたる合計横断面より小さいか、または略同じであるような高さに配置されている、
ことを特徴とするシート印刷機械。
【請求項2】
前記ガイド面(42)でもって、該当する冷却すべき前記シート(64)の前記表面に対して形成される前記ギャップ(S37)は、8mm~35mmのギャップ幅を有することを特徴とする請求項1に記載のシート印刷機械。
【請求項3】
冷却媒体として使用される前記空気は、冷却されているか、または周囲空気であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート印刷機械。
【請求項4】
前記冷却装置(36)は、直線状の運搬区間に沿って連なった複数の冷却モジュール(37)を有することを特徴とする請求項1または2または3に記載のシート印刷機械。
【請求項5】
少なくとも1つの前記冷却モジュール(37)または各冷却モジュール(37)は、フレーム内に取り出し可能に差し込まれていることを特徴とする請求項1または2または3または4に記載のシート印刷機械。
【請求項6】
少なくとも1つの前記冷却モジュール(37)または各冷却モジュール(37)は、前記冷却モジュール(37)のフレームとともに架構内に折りたたみ可能に配置されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5に記載のシート印刷機械。
【請求項7】
運搬バンドを有する運搬装置が設けられており、前記運搬バンドは、印刷された前記シート(64)を個々に水平に載置して運搬するように形成されており、水平な状態で前記冷却装置(36)を通して搬送すべき前記シート(64)のための前記搬送平面(E)を形成することを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6に記載のシート印刷機械。
【請求項8】
印刷された前記シート(64)を個々に水平に載置して運搬する前記運搬バンドは、前記冷却装置(36)も貫いて延在する、前記乾燥機(17)の運搬バンド(18)であり、前記乾燥機(17)の前記運搬バンド(18)は、循環する無端バンドとして形成されていることを特徴とする請求項7に記載のシート印刷機械。
【請求項9】
印刷された前記シート(64)を個々に水平に載置して運搬する前記運搬バンド(18)は、前記冷却装置(36)の独立した運搬バンドであり、前記冷却装置(36)と前記冷却装置(36)の運搬バンドとは、前記乾燥機(17)とは別体の架構内に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のシート印刷機械。
【請求項10】
それぞれの前記ブローボックス(41)は、冷却すべき前記シート(64)の前記表面に向けてそれぞれ導かれる前記冷却媒体が、冷却すべき前記シート(64)の前記表面を圧力流動として内から外に向かって掠めるように形成されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9に記載のシート印刷機械。
【請求項11】
該当する前記ブローボックス(41)の前記ブローノズル(43)は、それぞれ、丸ノズルとして形成されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10に記載のシート印刷機械。
【請求項12】
該当する前記ブローボックス(41)の前記ブローノズル(43)は、それぞれ、前記冷却装置(36)を通して運搬すべき前記シート(64)の運搬方向(T)で延在する中心線(M)に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11に記載のシート印刷機械。
【請求項13】
前記ブローノズル(43)に加えて、それぞれの前記ブローボックス(41)の前記ガイド面(42)内に、ベンチュリノズル(49)が配置されており、前記ベンチュリノズル(49)は、前記ブローノズル(43)により吹き込まれ、加熱していく空気を、確実に搬出することを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12に記載のシート印刷機械。
【請求項14】
該当する前記運搬区間に沿って、それぞれ、冷却すべき前記シート(64)の前記搬送平面(E)より上に配置される隣り合う冷却モジュール(37)間に、それぞれ1つの継ぎ目(39)が形成されており、該当する前記継ぎ目(39)に、冷却すべきシート(64)の、エッジ案内されるように接触しながらそれぞれの前記ガイド面(42)に沿って案内される前側エッジのために、横断面拡張部が形成されているようになっていることを特徴とする請求項4または5または6または7または8または9または10または11または12または13に記載のシート印刷機械。
【請求項15】
前記冷却装置(36)には、前記シート(64)の運搬方向(T)でサクションバンド式テーブル(19)が直接的に後置されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14に記載のシート印刷機械。
【請求項16】
前記乾燥機(17)は、印刷された前記シート(64)をそれぞれ80℃より高く加熱するように形成され、前記冷却装置(36)は、前記乾燥機(17)内で加熱された前記シート(64)を30℃まで冷やすように形成されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15に記載のシート印刷機械。
【請求項17】
前記運搬バンド(18)は、印刷された前記シート(64)を、前記冷却装置(36)を通して、前記シート(64)の運搬方向(T)で進むスパン上に個々に水平に載置して運搬するように形成されており、前記冷却装置(36)は、前記シート(64)を運搬する前記運搬バンド(18)の戻り側のスパン(44)を冷却するように形成されていることを特徴とする請求項7または8または9または10または11または12または13または14または15または16に記載のシート印刷機械。
【請求項18】
前記運搬バンド(18)の前記戻り側のスパン(44)は、スパン入口(46)およびスパン出口(47)において開いた流動室(48)を通して案内されており、前記流動室(48)を貫流する前記冷却媒体は、前記運搬バンド(18)の前記戻り側のスパン(44)の上面と下面とに沿って流動し、前記流動室(48)を貫流する前記冷却媒体の流動方向は、前記運搬バンド(18)の前記戻り側のスパン(44)の進行方向とは逆向きであることを特徴とする請求項17に記載のシート印刷機械。
【請求項19】
前記冷却装置(36)の前記運搬装置は、運搬ローラ(38)を有し、前記運搬ローラ(38)は、ローラ冷却により冷却されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18に記載のシート印刷機械。
【請求項20】
前記ローラ冷却は、水を冷却媒体として使用するローラ冷却として形成されていることを特徴とする請求項19に記載のシート印刷機械。
【請求項21】
前記シート(64)を前記シート印刷機械を通して運搬する前記運搬区間の終端に、前記シート(64)をパイル(32)状に排出するデリバリ(29)が配置されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18または19または20に記載のシート印刷機械。
【請求項22】
前記冷却装置(36)の冷却出力が、制御装置により調整されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18または19または20または21に記載のシート印刷機械。
【請求項23】
前記制御装置により前記冷却出力の調整のために実施される前記制御の制御量が、前記デリバリ(29)の前記パイル(32)内の前記シート(64)の温度であることを特徴とする請求項22に記載のシート印刷機械。
【請求項24】
前記制御装置は、前記制御装置が目標値/実際値比較を実施するように形成されており、前記実際値は、前記デリバリ(29)内に設けられた温度センサにより前記制御装置に提供され、前記目標値は、前記制御装置において固定にまたは調整可能にプリセットされることを特徴とする請求項22または23に記載のシート印刷機械。
【請求項25】
前記制御装置は、前記制御装置が、実施された前記目標値/実際値比較に応じて、調整ステッププリセット値を、前記冷却装置(36)の前記冷却出力を提供する少なくとも1つのアクチュエータに出力するように形成されていることを特徴とする請求項24に記載のシート印刷機械。
【請求項26】
前記冷却装置(36)に前置される前記乾燥機(17)の乾燥機出力が、前記制御装置により調整されており、前記制御装置により前記乾燥機(17)の前記乾燥機出力の調整のために実施される前記制御の制御量が、印刷された乾燥すべき前記シート(64)の湿分含有量であり、前記乾燥機出力を調整する操作量が、吹き込まれる熱風の量および/または吹き込まれる熱風の温度および/またはIR放射の強度および/またはIR放射の持続時間であることを特徴とする請求項21または22または23または24または25に記載のシート印刷機械。
【請求項27】
前記制御装置は、前記制御装置がさらなる目標値/実際値比較を実施するように形成されており、該当する前記実際値は、前記シート(64)の前記湿分含有量を検出する湿度センサにより前記制御装置に提供され、前記目標値は、前記制御装置において固定にまたは調整可能にプリセットされることを特徴とする請求項26に記載のシート印刷機械。
【請求項28】
前記制御装置は、前記制御装置が該当する前記操作量と対応する調整ステップとを、そのそれぞれの大きさおよび/またはそのそれぞれの作用方向に関して算出し、かつ/または前記制御装置内に格納されたアルゴリズムまたは特性線マップを基に選択するように形成されていることを特徴とする請求項26または27に記載のシート印刷機械。
【請求項29】
前記制御装置は、前記制御装置が実施された前記さらなる目標値/実際値比較に応じて、調整ステッププリセット値を、前記乾燥機(17)の前記乾燥機出力を提供する少なくとも1つのアクチュエータに出力するように形成されていることを特徴とする請求項26または27または28に記載のシート印刷機械。
【請求項30】
前記冷却装置(36)は、前記乾燥機(17)の架構内に組み込まれているか、または固有の架構内に独立した機械単位として形成されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18または19または20または21または22または23または24または25または26または27または28または29に記載のシート印刷機械。
【請求項31】
前記乾燥機(17)は、それぞれ乾燥すべき前記シート(64)の前記表面に面した前記乾燥機(17)の側に、前記シート(64)の前記表面から離間して配置されるガイド面(61)を有し、前記ガイド面(61)は、多数のノズル(62)を有し、前記ノズル(62)の各々は、熱風により貫流されるか、または少なくとも貫流可能なそれぞれ1つの開口横断面を有することを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18または19または20または21または22または23または24または25または26または27または28または29または30に記載のシート印刷機械。
【請求項32】
前記シート(64)の前記表面に向かって流動される前記熱風は、前記ガイド面(61)と、前記シート(64)の前記表面と、の間に形成されるギャップ開口を通って流出し、前記シート(64)の前記表面に向かって流動される前記熱風が通って流出する前記ギャップ開口の面積は、熱風を前記シート(64)の前記表面に向ける前記ノズル(62)のすべての開口横断面の全面積より小さいことを特徴とする請求項31に記載のシート印刷機械。
【請求項33】
前記シート(64)の前記表面に向かって流動される前記熱風が通って流出する前記ギャップ開口の前記面積の、熱風を前記シート(64)の前記表面に向ける前記ノズル(62)のすべての開口横断面の全面積に対する比が、0.7未満であることを特徴とする請求項32に記載のシート印刷機械。
【請求項34】
前記乾燥機(17)は、前記シート(64)の運搬方向(T)で複数の連なった乾燥モジュール(54)を有し、隣り合って配置される乾燥モジュール(54)間に、それぞれ、該当する乾燥すべき前記シート(64)の前記表面に向けられた少なくとも1つの赤外放射源(63)が配置されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18または19または20または21または22または23または24または25または26または27または28または29または30または31または32または33に記載のシート印刷機械。
【請求項35】
乾燥すべき前記シート(64)の前記表面に向けられた該当する前記赤外放射源(63)は、乾燥すべき前記シート(64)の前記表面に向けられた前記赤外放射源(63)の側で、それぞれ、保護ガラス(57)によりカバーされていることを特徴とする請求項34に記載のシート印刷機械。
【請求項36】
乾燥すべき前記シート(64)の前記表面にそれぞれ向けられたそれぞれの前記赤外放射源(63)は、該当する前記乾燥モジュール(49)のハウジング(58)内に組み込まれて配置されていることを特徴とする請求項33または34に記載のシート印刷機械。
【請求項37】
該当する前記乾燥モジュール(54)は、ブローボックス(51)と、該当する前記ブローボックス(51)を、乾燥すべき前記シート(64)の前記表面に向かって画定するガイド面(61)と、を有し、前記ガイド面(03)より上に、送風機(52)と、ヒータレジスタとしての空気ガイドグリル(53)と、が配置されていることを特徴とする請求項34または35または36に記載のシート印刷機械。
【請求項38】
該当する前記乾燥モジュール(54)は、前記送風機(52)と前記空気ガイドグリル(53)との間の流動路内に、メアンダ状に形成されるビームキャッチャを有することを特徴とする請求項37に記載のシート印刷機械。
【請求項39】
前記乾燥機(17)を通して運搬し、乾燥すべきシート(64)のために、前記乾燥機(17)の前記ガイド面(03)と、前記乾燥機(17)の前記運搬バンド(18)と、の間に形成される乾燥区間に沿って、環状ギャップの形態のギャップ(S17)が形成されており、前記ギャップ(S17)は、8mm~35mmのギャップ幅を有することを特徴とする請求項31または32または33または34または35または36または37または38に記載のシート印刷機械。
【請求項40】
前記シート印刷機械は、デジタル印刷機械として形成されていることを特徴とする請求項1または2または3または4または5または6または7または8または9または10または11または12または13または14または15または16または17または18または19または20または21または22または23または24または25または26または27または28または29または30または31または32または33または34または35または36または37または38または39に記載のシート印刷機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、ノンインパクト印刷装置により印刷されたシートを乾燥させる乾燥機を備えるシート印刷機械に関する。
【0002】
本明細書において以下に説明する、シート印刷機械を形成する機械アッセンブリは、シート状の基材(略してシートという)を加工するために用いられ、シートの運搬方向で相前後して配置される複数の機械単位を備え、これらの機械単位の少なくとも1つは、シートをそれぞれ直線状の運搬区間に沿って運搬する運搬装置を有している。この運搬装置は、好ましくは、少なくとも1つの運搬バンドとして形成されており、運搬バンド上で、シートは、相前後して個々に載置されて運搬される。シートが少なくとも1つの運搬バンド上に載置されている間、個々のシートは、それぞれ、サクション力により、すなわち、サクション流動により引き起こされる保持力により、摩擦結合式または力結合式に、該当する運搬バンドに保持される。サクション力は、通例、それぞれのシートに作用して周囲の大気圧に対してサクション装置により調整される負圧によって実現される。
【0003】
このような運搬装置は、シートを加工する機械アッセンブリ内において、例えば、シートを乾燥させる乾燥機内に配置されている。乾燥機は、これにより、特に単一のシート用の連続乾燥機として形成されている。乾燥機には、乾燥機内で熱せられたシートの調温および/または調湿用の冷却装置が続く。冷却装置に続いて、例えばサクションバンド式テーブルが配置されている。
【0004】
独国特許出願公開第102016207397号明細書において、ノンインパクト印刷装置により印刷されたシートを乾燥させる乾燥機を備えるシート印刷機械が公知である。
【0005】
独国特許出願公開第102011009693号明細書において、基材、特に、ペーストにより印刷された太陽電池を、加熱モジュールを通して通走させた後、冷却する冷却モジュールであって、冷却モジュールは:加熱モジュールに隣接して位置する入口開口と、出口開口と、を有する長く延びる冷却チャンバと;基材のための運搬平面を規定する、長く延びる冷却チャンバを通して基材を運搬する運搬ユニットと;それぞれが運搬平面に対して略垂直にかつ運搬平面より上に冷却チャンバ内で延在する多数の第1のプレート要素と、第1のプレート要素を貫いて延在し、第1のプレート要素と熱伝導性の関係にある少なくとも1つの第1の管路要素と、第1の管路要素を通して冷却流体を導く少なくとも1つの圧送ユニットと、を有する、少なくとも1つの第1の冷却ユニットと;ガス、特に空気をプレート要素間の空間を通して運搬平面に向かって導く圧送ユニットと、を備え、それぞれが運搬平面に対して略垂直にかつ運搬平面より下に冷却チャンバ内で延在する多数の第2のプレート要素と、第2のプレート要素を貫いて延在し、第2のプレート要素と熱伝導性の関係にある少なくとも1つの第2の管路要素と、第2の管路要素を通して冷却流体を導く少なくとも1つの圧送ユニットと、を有する、少なくとも1つの第2の冷却ユニットが設けられている、冷却モジュールが公知である。
【0006】
独国実用新案第9313212号明細書において、長尺の材料ウェブを、高さが制限された設備の空間を通して案内する装置であって、材料ウェブの導入端部を把持する確保要素を備える装置が公知である。
【0007】
独国特許出願公開第3943466号明細書には、シート印刷機械用の冷却装置が見受けられ、この冷却装置は、運搬バンドを有し、フレーム内に折りたたみ可能に配置されている。
【0008】
西独国特許出願公開第1293163号明細書において、ウェブ状の被印刷物、特に紙ウェブ上の印刷インキを乾燥させる装置であって、この装置は、加熱ゾーンに続く冷却ゾーンを備え、冷却ゾーン内では、送風機によって冷却空気が被印刷物に向けられるとともに、消費された空気が導出され、冷却ゾーンは、フードと、フード内においてフードの壁からすべての側で間隔を置いて配置される分配器チャンバと、により形成されており、分配器チャンバは、冷却空気を被印刷物に向けるノズルベースを有し、空気供給管路が、フードの天板を通して分配器チャンバ内に案内され、空気吸出管路が、フードに接続されている、装置が公知である。
【0009】
欧州特許出願公開第2463100号明細書において、シートを処理する機械、特にシート印刷機械であって、ニス引き部と、1つまたは複数のコンビネーション乾燥機と、を備え、コンビネーション乾燥機は、ニス引きされたばかりのシートに、放射エネルギと加熱された空気とを与え、コンビネーション乾燥機は、多数の円形または多角形の空気ノズルを含み、空気ノズル間には、狭帯域の高出力赤外光源が配置されており、高出力赤外光源により、ニス引きされたシートに、全体で少なくとも25kW/m2の放射密度を与えることができ、ノズルを通る加熱された空気の温度は、100℃未満、好ましくは、80℃未満である、機械が公知である。
【0010】
本件出願後に公開された欧州特許出願公開第3945371号明細書により、運搬装置であって、運搬方向で運搬材料の片側のセクションを保持することなく、枚葉状の運搬材料を運搬する運搬ユニットと、空気を、運搬ユニットにより運搬される運搬材料の下側の表面に、下側の表面に対して開口している多数のブロー穴を介して吹き付けるブローユニットであって、運搬方向での多数のブロー穴の配置間隔が、運搬方向で不定であるブローユニットと、を備える運搬装置が公知である。
【0011】
米国特許出願公開第2020/0122492号明細書により、画像形成機であって、画像形成機を通して枚葉紙を動かす無端の運搬バンドと;運搬バンドを通して空気を吸引する真空により、枚葉紙を運搬バンドに保持する、運搬バンドを通して真空圧を印加させる真空チャンバと;運搬バンドを真空チャンバにわたって支持するドライブロールまたはアイドルロールであって、ロールは:ローラの軸方向の領域に沿って延在する中空の内側の通路と;運搬バンドのための走行面である外側の表面と;空気取り込み穴が、空気源から空気を受け入れるために用いられる、中空の内側の通路のための空気取り込み穴を提供する第1の端部と;パーフォレーションは、空気圧が中空の内側の通路から運搬バンドに向かって導き出されることを可能にし、空気が、枚葉紙を運搬バンドから剥離するために、運搬バンドを通して拡散する、ドラム壁を通してローラ内に形成されているパーフォレーションと、を有するドライブロールまたはアイドルロールと、運搬バンドへの空気流を制御するために、外面に対して相対的に少なくとも2つのポジション間で摺動可能である、ロールの外面の少なくとも1つの周方向セクションに合わせたスクリーンとして規定されているバッフルプレートと、を備える画像形成機が公知である。
【0012】
米国特許出願公開第2017/0355201号明細書により、画像形成装置であって:媒体を媒体運搬方向で運搬する媒体運搬セクションと;運搬される媒体上にインクを用いて画像を形成するインク噴射式印刷セクションと;画像が形成された媒体上に水性のワニスを塗工するワニス塗工セクションと;べたつき評価値であって、水性のワニスが塗工された媒体がワニス塗工セクションから出力される際における、媒体上に塗工された水性のワニスのべたつきの度合いを表示し、水性のワニスが塗工された媒体上の任意の場所を揺動点として振り子運動が実施される振り子の減衰振動の割合を用いて導き出されるべたつき評価値が、0.24以下となるように、加熱処理および乾燥処理を媒体上で実施する処理セクションと;ワニス塗工セクションを用いて水性のワニスが塗工され、かつ処理セクションを用いて処理が実施された媒体を集積する集積セクションと、を備え、さらに、第1の温度検出セクションであって、媒体運搬方向で印刷セクションの下流側の場所であり、媒体運搬方向でワニス塗工セクションの上流側の場所に配置されており、印刷セクションを用いて画像が形成されていて、ワニス塗工セクションを用いて水性のワニスが塗工されるべき媒体の温度を検出する第1の温度検出セクションを備え、処理セクションは、乾燥処理セクションであって、媒体運搬方向で印刷セクションの下流側の場所であり、媒体運搬方向でワニス塗工セクションの上流側の場所に配置されており、印刷セクションを用いて画像が形成されていて、ワニス塗工セクションを用いて水性のワニスを塗工すべき媒体上で乾燥処理を実施する乾燥処理セクションと、乾燥処理制御セクションであって、ワニス塗工セクションを用いて水性のワニスを塗工すべき媒体のべたつき評価値が0.24以下となる乾燥条件を適用して、乾燥処理セクションを用いて乾燥処理が実施される媒体の温度を制御する乾燥処理制御セクションと、を有し、かつ処理セクションは、処理セクションを用いて処理された媒体に対してパウダを適合されているパウダ噴霧セクションと、第1の温度検出セクションを用いて検出された媒体の温度が101℃未満であるとき、パウダ噴霧セクションを用いて、処理セクションを用いて処理された媒体に対してパウダを噴霧するパウダ噴霧制御セクションと、を有する、画像形成装置が公知である。
【0013】
米国特許出願公開第2015/0117922号明細書において、システムであって:媒体枚葉紙の加熱を生じさせるように構成されている処理段を有する画像形成装置と;画像形成装置により媒体枚葉紙上に画像が形成された後に、媒体枚葉紙を処理する装置であって、媒体枚葉紙を処理する装置は、画像形成装置の出力側に配置されており、かつ:搬送兼支持基材が制限された曲率を有する安定化ゾーンを通して媒体枚葉紙を搬送するように配置されている、パーフォレーションが施された搬送兼支持基材と;媒体枚葉紙を搬送兼支持基材に吸い付けるために、安定化ゾーンにおいて搬送兼支持基材のパーフォレーションに真空を印加するように構成されているサクション装置と;媒体枚葉紙が搬送兼支持基材に安定化ゾーンにおいて吸い付けられる間、媒体枚葉紙を能動的に冷却するために配置されている冷却システムと、を有する、媒体枚葉紙を処理する装置と、を備え、安定化ゾーンは、入口側と出口側とを有し、搬送兼支持基材は、無端コンベヤの一部を形成し、冷却システムは、搬送兼支持基材を出口側から入口側への帰路において冷却すべく配置されており、かつ媒体枚葉紙は、冷却される搬送兼支持基材との熱的な接触により冷却され、冷却システムは、送風機を有し、送風機は、低温の空気を搬送兼支持基材に吹き付けるように配置されている、システムが公知である。
【0014】
米国特許出願公開第2012/0162304号明細書には、乾燥機が、印刷されたシートをそれぞれ60℃~80℃に加熱するように形成され、冷却装置が、乾燥機内で加熱されたシートを15℃~30℃に冷やすように形成されていることが見受けられる。
【0015】
米国特許出願公開第2010/0192792号明細書において、印刷機械であって:少なくとも1つの要素を含むインクを印刷表面上に生じさせるように構成されている印刷ヘッドと;前記少なくとも1つの要素を導出すべく排出空気流と流体接続している、印刷表面上に被着されたインクを乾燥させるように動作可能に構成されている乾燥機と;i)排ガス流中に存在する前記少なくとも1つの要素の流量を特定し、かつ/またはii)排ガス流の含水率を特定し、かつ/またはiii)排ガス流の温度を特定し、かつ/またはiv)前記少なくとも1つの要素を識別するように構成されている、作動可能に乾燥機の排ガス流に接続されている少なくとも1つのセンサと;排ガス流の前記少なくとも1つの要素と、i)印刷表面上のインクの乾燥前の、インク中に存在する前記少なくとも1つの要素またはii)印刷表面上のインクの乾燥後の、インク中に存在する前記少なくとも1つの要素またはiii)前記少なくとも1つの要素に関する予め決められた値と、の比較に基づき、印刷表面上において定められるインクの乾燥度を特定する少なくとも1つのプログラムを有する、少なくとも1つのセンサおよび乾燥機と相互作用関係にある制御部と、を備える印刷機械が公知である。
【0016】
特開2015-155091号公報において、乾燥モジュールを備える乾燥装置であって、乾燥モジュールは、ブローボックスと、ブローボックスを、乾燥すべき被印刷物の表面に向かって画定するガイド面とを有し、ガイド面より上に、送風機と、ヒータレジスタとしての空気ガイドグリルと、が配置されている、乾燥装置が公知である。
【0017】
特開平07-186368号公報において、乾燥装置であって、乾燥装置のガイド面と、乾燥すべき被印刷物を乾燥区間に沿って乾燥装置を通して運搬する運搬装置の運搬バンドと、の間に、環状ギャップの形態のギャップが形成されており、このギャップは、30mmまでのギャップ幅を有する、乾燥装置が公知である。
【0018】
中国特許出願公開第110884263号明細書には、シート印刷機械用の乾燥機であって、乾燥機の乾燥機出力が制御装置により調整されており、制御装置により乾燥機の乾燥機出力の調整のために実施される制御の制御量が、印刷された乾燥すべきシートの湿分含有量である、乾燥機が見受けられる。
【0019】
本発明の根底にある課題は、ノンインパクト印刷装置により印刷されたシートを乾燥させる乾燥機を備えるシート印刷機械であって、乾燥機内で乾燥されるシートをより高い運転信頼性をもってさらに運搬することが保証されている、シート印刷機械を提供することである。
【0020】
上記課題は、本発明において請求項1の特徴により解決される。従属請求項は、それぞれ、見出した解決手段の有利な構成および/または発展形を示している。
【0021】
本発明により達成可能な利点は、特に、乾燥機内で乾燥されるシートをより高い運転信頼性をもってさらに運搬することが保証されている点にある。さらなる利点は、以下の説明から看取可能である。
【0022】
本発明の実施例を図面に示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】少なくともノンインパクト印刷装置と、乾燥機と、冷却装置と、を備えるシート印刷機械を示す図である。
【
図2】複数の冷却モジュールを有する冷却装置の側面図である。
【
図3】冷却装置の1つの冷却モジュールの拡大側面図である。
【
図4】冷却装置の冷却モジュールのガイド面の平面図である。
【
図5】シート印刷機械内でノンインパクト印刷装置の後に配置される乾燥機の乾燥モジュールを示す図である。
【
図6】通路が設けられたこの乾燥機の乾燥モジュールを示す図である。
【
図7】赤外放射源のそれぞれ異なる横断面を示す図である。
【
図9】赤外放射源を乾燥機内に組み込むためのそれぞれ異なる設計を示す図である。
【
図10】組み込まれた赤外放射源を有する乾燥モジュールを示す図である。
【0024】
図1は、冒頭で挙げたシート印刷機械の一例を示している。シート印刷機械は、シートの運搬方向Tで見て、まず、シートフィーダ01を備え、シートフィーダ01内には、シートからなる第1のパイル02が、加工用に用意されている。シートは、好ましくは、紙、板紙または厚紙からなる長方形の基材である。紙、板紙および厚紙は、坪量というそのそれぞれの単位面積当たりの重量、すなわち、このシートの1平方メートル当たりの重量(グラム)の点で相違している。紙は、30g/m
2~150g/m
2の単位面積当たりの重量を有し、板紙は、150g/m
2~600g/m
2の単位面積当たりの重量を有し、厚紙は、600g/m
2を超える単位面積当たりの重量を有している。シートは、しかし、それぞれがプラスチックからなる基材であってもよいし、かつ/または例えば金属の素材からなる薄い板材として形成されていてもよい。シートフィーダ01は、複数の第1のパイル02を有するマガジンフィーダとして形成されていてもよい。
【0025】
サクションヘッドとも称呼するシートセパレータ03が、上方から相前後して、積み上げられたシートの各々をつかみ、これらのシートを、例えば、第1のスインググリッパ04と、場合によっては、第1のスインググリッパ04と協働する引き渡しドラム34とにより、互いに分離されたシートからなる列として、例えば第1のコーティング装置05に供給し、この第1のコーティング装置05は、例えばプライマ塗工装置として形成されている。第1のコーティング装置05は、例えばインプレッションシリンダとして形成される運搬シリンダ06と、例えば、この運搬シリンダ06と協働する印刷部シリンダ07とを有し、印刷部シリンダ07は、好ましくはアニロックスローラの形態の、この印刷部シリンダ07に胴入れされるまたは少なくとも胴入れ可能な塗工ローラ08を有し、シートの表面に塗工すべきコーティング剤の最適な調量のために、塗工ローラ08の軸方向で少なくとも1つのドクタ09またはチャンバドクタシステム09が延在している。運搬シリンダ06は、運搬シリンダ06の外周面上に保持されるシートを、湾曲した、特に円弧状に形成される運搬区間に沿って運搬する。第1のコーティング装置05は、シートの両面の一方に、コーティング剤、例えばプライマを全面的に、または特定の、すなわち、予め確定された箇所で、すなわち部分的にのみ、塗工する。シートは、次いで、第1のコーティング装置05の運搬シリンダ06から、例えば、好ましくはエンドレスに循環する第1のグリッパシステム11、特に第1のチェーンコンベヤと、例えば、少なくとも1つの第1の運搬バンド12と、により、ノンインパクト印刷装置13に引き渡され、第1のグリッパシステム11と第1の運搬バンド12とは、ノンインパクト印刷装置13へのシートの引き渡し時に協働、具体的には、第1のグリッパシステム11がシートを、それぞれ、直線状の運搬区間を有する第1の運搬バンド12に放出するように協働し、ノンインパクト印刷装置13へのシートの引き渡しは、第1の運搬バンド12から実施される。第1の運搬バンド12は、好ましくは、循環する無端バンドとして形成されている。有利な一構成では、第1のグリッパシステム11の領域内には、第1のコーティング装置05内でコーティングされたシートを乾燥させる第1の乾燥機14が設けられており、この乾燥機14は、例えば熱風乾燥機として、かつ/またはIR放射またはUV放射により乾燥させる乾燥機として形成されている。
【0026】
ノンインパクト印刷装置13は、通例、複数の、例えば4つの、それぞれ互いに独立的に制御可能なインクジェット印刷装置を有し、これらのインクジェット印刷装置の各々は、好ましくは、多色の印刷画像を作成するために、それぞれ1つの別々の印刷インキを、シートの、例えば予め第1のコーティング装置05内でコーティングされた面に塗工する。ノンインパクト印刷装置13は、ここで例示的に説明するシート印刷機械では、好ましくは、第2の運搬バンド16を有し、その結果、シートは、シートがこの第2の運搬バンド16上に載置されている間に、インクジェット印刷装置により印刷される。第2の運搬バンド16は、好ましくは、循環する無端バンドとして形成されている。シートの運搬方向Tで、ノンインパクト印刷装置13の後には、印刷されたシートを乾燥させる第2の乾燥機17が配置されており、この第2の乾燥機17は、同じく、例えば熱風乾燥機として、かつ/またはIR放射により乾燥させる乾燥機として形成されている。第2の乾燥機17は、運搬装置18を有し、運搬装置18は、シートを寝かせて並進的に、すなわち、直線状の運搬区間に沿って運搬する。この運搬装置18は、
図1に例示的に示すシート印刷機械では、第3の運搬バンド18として形成されている。第3の運搬バンド18も、好ましくは、循環する無端バンドとして形成されている。本例では第2の乾燥機17の運搬装置18は、乾燥されたシートを、好ましくは、通例、直接的に後置されるサクションバンド式テーブル19に引き渡し、サクションバンド式テーブル19から、シートは、例えば、第2のスインググリッパ21と、場合によっては、第2のスインググリッパ21と協働する引き渡しドラム33とにより、第2のコーティング装置22に引き渡される。第2のコーティング装置22は、例えばニス引き装置として形成されており、この第2のコーティング装置22は、コーティング剤、例えばニスを、特に、予めノンインパクト印刷装置13内で作成された印刷画像上に塗工する。第2のコーティング装置22は、運搬すべきシートのための運搬装置として、他方、例えばインプレッションシリンダとして形成される運搬シリンダ23を有し、この運搬シリンダ23とは、例えば印刷部シリンダ24が協働し、印刷部シリンダ24は、好ましくはアニロックスローラの形態の、この印刷部シリンダ24に胴入れされるまたは少なくとも胴入れ可能な塗工ローラ26を有し、塗工ローラ26の軸方向で少なくとも1つのドクタ27またはチャンバドクタシステム27が延在している。第1の運搬バンド12および/または第2の運搬バンド16および/または第3の運搬バンド18は、それぞれ、好ましくは、循環するフラットベルトとして、加えて好ましくは、サクションバンドとして形成されており、サクションバンドは、少なくとも一部セクションに、パーフォレーションを有している。
【0027】
シートは、次いで、第2のコーティング装置22の運搬シリンダ23から、例えば、好ましくはエンドレスに循環する第2のグリッパシステム28、特に第2のチェーンコンベヤにより、デリバリ29に運搬され、例示的に説明するこのシート印刷機械内で加工されたシートは、第2のグリッパシステム28からデリバリ29内に、好ましくは、第2のパイル32状に排出される。有利な一構成では、第2のグリッパシステム28の領域内に、第2のコーティング装置22内でコーティングされたシートを乾燥させる第3の乾燥機31が設けられており、この第3の乾燥機31は、例えば熱風乾燥機として、かつ/またはIR放射またはUV放射により乾燥させる乾燥機として形成されている。デリバリ29は、複数の第2のパイル32を有するマルチパイルデリバリとして形成されていてもよい。
【0028】
図1に例示的に示す機械アッセンブリは、デジタル印刷機械として産業的な印刷プロセスで使用するために、特に、印刷物を大量生産で製造するために形成されている。シート印刷機械を形成するこの機械アッセンブリを通して、個々のシートは、シートフィーダ01で始まり、デリバリ29に至るまで、連続的に毎時数千シートの運搬速度、例えば毎時2,500~10,000シートの範囲の運搬速度で案内される。このとき、複数ある直線状の運搬区間の少なくとも1つに沿って運搬され、その運搬方向Tで隣り合う、すなわち、列において直接的に相次ぐ個々のシートは、それぞれ、間隙により互いに離間している。この間隙は、シートの運搬方向Tで延在するシートの長さより明らかに小さく、数ミリメートル、例えば約20mmにすぎない。
【0029】
例えば熱風および/またはIR放射により乾燥させる乾燥機17の通走時、運搬バンド18上に個々に水平に載置されている、予めノンインパクト印刷装置13内で印刷されたシートには、極めて高い入熱が与えられ、このことの結果として、乾燥されるこれらのシートが変形、すなわち、特に反ってしまうことを伴い、これにより、運搬バンド18上でのシートの平坦な姿勢が、少なくとも一部喪失されてしまう。乾燥されるシートの反りは、該当するシートが、乾燥機17の運搬バンド18への付着を喪失し、運搬バンド18がサクションバンドとして形成されているとき、サクションバンドによって及ぼされるサクション力によってもはや保持され得ない程の規模となってしまうことがある。その結果、該当するシートは、少なくとももはや正確な位置姿勢では運搬されない。また、乾燥機17の出口に提供される反ったシートは、シートの運搬方向Tで乾燥機17に後置される運搬装置、例えば冷却装置36またはサクションバンド式テーブル19の運搬装置によって、不完全な把握により、もはや確実には受け取られ得ず、このことは、複数の運搬装置を有する上記の機械アッセンブリにおいて、特に、このようなシートが毎時数千シートの運搬速度、例えば毎時2,500~10,000シートの範囲の運搬速度で相次ぐようなときは、極めて早く運転障害へ陥ってしまう。反ったシートの不完全な把握の原因は、特に、該当するシートのカールに内在する曲げ抵抗力を、サクションバンドによって及ぼされる高さに依存したサクション力によって上回ることができない点にある。予めノンインパクト印刷装置13内で該当するシートの上面に被着された印刷画像のダメージを避けるために、しかし、ここで説明する機械アッセンブリ内の上記した箇所で、反ったシートを例えば機械式の押さえ装置により強制して平坦の姿勢に戻すことは許されない。
【0030】
乾燥機17内で乾燥工程により強く加熱されたシートは、しかし、シートをさらに運搬する装置、特に、該当する運搬装置の運搬バンド18も加熱し、具体的には、場合によっては、この運搬バンド18が伸び、このことによりその張力を喪失させ、結果、その直進性を喪失させてしまう程に加熱する。
【0031】
加えて、乾燥機17内で乾燥工程により強く加熱され、さらに運搬されるシートが冷める際、より冷たい、例えば金属の構成要素、例えば、乾燥機17の後に置かれる運搬装置の運搬ローラ38上に、凝結水が結露する。それというのも、乾燥機17内で乾燥される、予めノンインパクト印刷装置13により印刷されたシートは、被着された印刷インキ中に含まれる水および溶剤により高められた蒸散を示すからである。この蒸散は、その後、低温の構成要素において結露し、乾燥機17の後に置かれる機械単位、例えばサクションバンド式テーブル19、例えばニス引き装置として形成される第2のコーティング装置22および/またはデリバリ29内に一部激しい凝結水を発生させる。
【0032】
そこで、一方では、ノンインパクト印刷装置13により印刷されたシートを、乾燥機17内での入熱によりなるべく速やかに乾燥させ、他方では、しかし、乾燥機17の後に置かれる機械単位内での、余剰の熱エネルギに基づく望ましくない作用も回避しなければならないという問題が生じる。
【0033】
それゆえ、
図1に示すように、シートの運搬方向Tで乾燥機17に冷却装置36を直接的に後置することを提案する。この冷却装置36は、乾燥機17の架構内に組み込まれているか、または固有の、すなわち、乾燥機17とは別体の架構内に、独立した機械単位として形成されている。乾燥機17の、運搬バンド18として形成される運搬装置18が、冷却装置を貫通して延在していてもよい。好ましくは、冷却装置36は、しかし、独立した架構内に配置されており、冷却装置36だけに属する、ひいては乾燥機17とは別体の運搬バンドを有している。冷却装置36の出口では、乾燥機17内で80℃より明らかに高く加熱され、それから例えば30℃まで冷やされたシートが、好ましくは、サクションバンド式テーブル19により受け取られる。
【0034】
冷却装置の側面図を示す
図2に看取可能であるように、冷却装置36は、シートが水平な状態で冷却装置36を通して搬送される搬送平面Eより上に、少なくとも1つの冷却モジュール37、好ましくは、例えば直線状の運搬区間に沿って連なった複数の冷却モジュール37を有している。各冷却モジュール37は、例えばフレーム内に取り出し可能に差し込まれており、かつ/またはそのフレームとともに、該当する冷却装置36の架構内に折りたたみ可能に配置されており、このことにより、該当する冷却モジュール37に対する、例えば冷却モジュール37のクリーニングおよび/またはメンテナンスのためのアクセス性が改善される。特に、エンドレスに循環する運搬バンドとして形成される運搬装置が、冷却装置36内のシートのための搬送平面Eを形成するとき、すなわち、搬送平面Eが、好ましくは、冷却装置36を貫いて延在する運搬バンド18により形成されているとき、該当する冷却モジュール37の、フレーム内に取り出し可能に差し込まれたかつ/または折りたたみ可能のフレーム内での配置は、該当する運搬装置のメンテナンスおよび/または場合によっては必要なシートの取り出しに関して、極めて有利である。この場合、この運搬バンド18は、冷却装置36も貫いて延在する乾燥機17の運搬バンドとして、または冷却装置36だけに属する運搬バンドとして形成されており、冷却装置36は、後者の実施変化態様では、固有の、すなわち、乾燥機17とは別体の架構内に配置されている。
【0035】
該当する冷却モジュール37は、好ましくは、冷却剤として空気、例えば周囲空気または冷却された空気を使用するように形成されている。特に
図3に示すように、冷却装置36の冷却モジュール37の各々は、例えばそれぞれ、ブローボックス41として形成されており、それぞれのブローボックス41は、冷却媒体をそれぞれ、冷却すべきシートの表面に向けて導くように形成されている。その際、それぞれのブローボックス41は、ブローボックス41がガイド面42でもって、冷却すべきシートの表面に対して狭いギャップS37を形成し、そのギャップ幅が例えば8mm~35mm、好ましくは、20mmであるように形成されている。また、好ましくは、それぞれ、冷却すべきシートの表面に向けて導かれる冷却媒体は、冷却すべきシートの表面を圧力流動として内から外に向かって掠めるようになっている。それぞれのブローボックス41のガイド面42内には、例えばパーフォレーションがブローノズル43として配置されており(
図4)、冷却媒体は、これらのブローノズル43を通して、冷却すべきそれぞれのシートの表面に向けて吹かれる。特にそれぞれ丸ノズルとして形成されるこれらのブローノズル43は、例えば、冷却装置36を通して運搬すべきシートの運搬方向Tで延在する中心線Mに対して対称に配置されている。ブローノズル43に加えて、それぞれのブローボックス41のガイド面42内に、例えばベンチュリノズル49が配置されていてもよく、ベンチュリノズル49は、ブローノズル43により吹き込まれ、加熱していく空気を確実に搬出する。
【0036】
それぞれのブローボックス41のガイド面42は、冷却すべきシートの表面の上方に、外側の環状ギャップを通して冷却剤の体積流がギャップS37から流れ出る、この環状ギャップの横断面が、ガイド面42内のブローノズル43のすべての開口面積にわたる合計横断面より小さいか、または略同じであるような高さに配置されており、その結果、圧力流動内の圧力は、さらに上昇されており、冷却すべきシートの高温の表面とのエネルギ交換が促進される。それぞれのブローボックス41のガイド面42と、冷却すべきシートの表面と、の間に形成される環状ギャップは、而して冷却装置36の流動系のための真の絞り横断面をなしている。
【0037】
冷却装置36が、冷却モジュール37の多重配置を有し(
図2)、これらの冷却モジュール37が、該当する運搬区間に沿って、それぞれ、冷却すべきシートの搬送平面Eより上に配置されているとき、隣り合う個々の冷却モジュール37間の継ぎ目39は、それぞれの継ぎ目39が、冷却すべきシートの、反り上がった、エッジ案内されるように接触しながらそれぞれのガイド面42に沿って案内される前側エッジのために、特に段状の横断面拡張部を提供し、その結果、冷却すべきシートの持ち上がった前側エッジが継ぎ目39の1つに引っかかるストッパを形成してしまうことが決してないように形成されている。
【0038】
冷却装置36は、好ましくは、冷却装置36が冷却装置36の運搬装置を冷却するように形成されている。特に、この運搬バンド18の下側の戻り側のスパン44が能動的に冷却される。このために、
図2から看取可能であるように、運搬バンド18の下側のスパン44は、例えばトンネルの形態の、スパン入口46およびスパン出口47において開いた流動室48を通して案内されており、その結果、この流動室48は、運搬バンド18の下側のスパン44を包んでいる。この流動室48は、ガス状の流動剤により貫流されており、この流動剤は、好ましくは、運搬バンド18の下側のスパン44の上面と下面とに沿って流動する。好ましくは、流動室48には、低温の空気が吹き通され、この低温の空気は、冷却空気として運搬バンド18の下側のスパン44を包み流れる。流動室48内で、流動剤、例えば冷却空気の流動方向は、運搬バンド18の下側のスパン44の進行方向とは逆向きである。代替的または付加的に、冷却装置36の、冷却すべきシートを運搬する運搬装置が、複数の運搬ローラ38を有し、これらの運搬ローラ38が、例えば水を冷却媒体として使用するローラ冷却により能動的に冷却されているようにしてもよい。
【0039】
冷却装置36の極めて有利な一構成において、冷却装置36の冷却出力は、制御装置により調整されており、この制御装置により冷却出力の調整のために実施される制御の制御量は、デリバリ29のパイル32内のシートの温度である。制御装置は、その際、目標値/実際値比較を実施し、実際値は、デリバリ29内に設けられた温度センサにより制御装置に提供され、目標値は、制御装置において固定にまたは調整可能にプリセットされる。制御装置は、その後、実施された目標値/実際値比較に応じて、調整ステッププリセット値を、冷却装置36の冷却出力を提供する少なくとも1つのアクチュエータに出力する。
【0040】
加えて、冷却装置36に前置される乾燥機17の乾燥機出力が、制御装置により調整されており、この制御装置により乾燥機17の乾燥機出力の調整のために実施される制御の制御量が、例えば、印刷された乾燥すべきシートの湿分含有量であるようにしてもよい。制御装置は、その際、やはり目標値/実際値比較を実施し、実際値は、シートの湿分含有量を検出する湿度センサにより制御装置に提供され、目標値は、制御装置において固定にまたは調整可能にプリセットされる。制御装置は、その後、実施されたこのさらなる目標値/実際値比較に応じて、調整ステッププリセット値を、乾燥機17の乾燥機出力を提供する少なくとも1つのアクチュエータに出力する。この乾燥機17は、例えば熱風乾燥機として、かつ/またはIR放射により乾燥させる乾燥機として形成されているので、この乾燥機出力を調整する操作量は、例えば、吹き込まれる熱風の量および/または吹き込まれる熱風の温度および/またはIR放射の強度および/またはIR放射の持続時間である。制御装置は、好ましくは、前述の操作量の少なくとも1つと対応する調整ステップとを、そのそれぞれの大きさおよび/またはそのそれぞれの作用方向に関して算出し、かつ/または制御装置内に格納されたアルゴリズムまたは特性線マップを基に選択するように形成されている。
【0041】
乾燥機17に直接的に後置される既述の冷却装置36は、乾燥機17内で乾燥された、印刷されたシートの表面温度を減じるとともに、シート内に残る残留湿分を減じるように形成されている。このことにより、シートの反りが減じられ、さらなる処理が容易となる平坦の姿勢を獲得する。冷却装置36内で加工されたシートは、その後、後に置かれる機械単位に熱エネルギをもうほとんど持ち込まない。このことにより、後に置かれる機械単位内の構成要素における凝結も減じられている。
【0042】
加えて、冷却装置36に前置される乾燥機17の効率、ひいては、前述のシート印刷機械全体の効率も改善するために、以下に、乾燥機17によって必要とされる、シート印刷機械内で印刷されたシートを乾燥させる乾燥時間を短縮し、ひいてはシート印刷機械を用いた生産を高速化し、または乾燥プロセスのために必要なエネルギ消費を減少させる手段について、さらに説明する。
【0043】
図5に示す原理図から看取可能であるように、シート印刷機械内に配置される乾燥機17は、少なくとも1つの乾燥モジュール54の形態で形成されており、該当する乾燥モジュール54は、この乾燥モジュール54の、シート印刷機械を通して運搬方向Tで動かされる乾燥すべきシート64の表面に面した側に、例えば直線状の乾燥区間にわたって延在するガイド面61を有し、ガイド面61は、多数のノズル62を有し、これらのノズル62の各々は、熱風により貫流されるか、または少なくとも貫流可能なそれぞれ1つの開口横断面を有している。乾燥機17のガイド面61では、特にシート64の、平坦の姿勢から反った、すなわち、持ち上がったエッジが、乾燥区間に沿って乾燥機17を通して案内され得る。シート64に印刷および/またはニス引きするシート印刷機械、好ましくは、デジタル印刷機械として形成されているシート印刷機械内で、乾燥機17の乾燥区間は、好ましくは、平坦にかつ直線状に形成されている。シート64は、平坦な搬送区間に沿って、好ましくは、少なくとも1つの運搬バンド上に寝かせて運搬される。
【0044】
図5および6にそれぞれ方向矢印により略示する、ノズル62から流出する熱風の噴流形成のために、必要に応じてかつ/または同時に、それぞれ異なって成形された開口横断面を有する様々なノズル62が、熱風噴流のパルスを介して、乾燥すべきシート64の表面の直上の境界層内の湿った空気を掃き出し、すなわち、可能な限り除去し、少なくともかき混ぜ、ひいては、乾燥すべきシート64の表面で空気交換をするために使用され得る。而して、ガイド面61内にまたはガイド面61に接して配置され、かつ使用されるノズル62は、例えば丸ノズルとして、またはスリットノズルとして、またはベンチュリノズルとして形成されている。
【0045】
乾燥機17により発せられる赤外放射のための放射源63として、例えばガラス管内に配置される加熱コイルを有する赤外線照射器、またはハロゲンで満たされたガラス管内に配置される加熱コイルを有する赤外線ハロゲン照射器が使用可能である。面状に配置される加熱要素を有する面照射器も好適である。この種の赤外放射源63の横断面は、例えば円または楕円の形で、またはツインチューブとして、または四角形として、または台形として形成されており、これらは、例示的に
図7に横断面の様々な図示で示してある。
図8は、例示的に赤外放射源63の様々な配置を示している。而して赤外放射源63は、ガイド面61内に、例えば、動かされるシート64の運搬方向Tに対して横方向に、または沿って、または斜めに、またはタイル状に配置されていてもよい。
【0046】
図9は、例示的に、赤外放射源63を乾燥機17の該当する乾燥モジュール54内に組み込む2つのそれぞれ異なる設計を示している。
図9に概略的にのみ示す構成a)では、乾燥機17のガイド面61の少なくとも一部が、例えばガラスから、ひいては赤外放射透過性に形成されており、その結果、方向矢印により略示する、赤外放射源63により発せられた赤外放射は、乾燥機17のガイド面61を、乾燥すべきシート64の表面に向かって通過し得る。
図9に同じく概略的にのみ示す構成b)では、乾燥機17のガイド面61の少なくとも一部が、例えば金属の素材、例えば金属板から、ひいては赤外放射が通過できないように形成されているので、乾燥機17のガイド面61は、貫通部を有し、貫通部を通して、方向矢印により略示する、赤外放射源63により発せられた赤外放射は、乾燥すべきシート64の表面に向かって照射可能である。この第2の実施変化態様において重要であるのは、これらの貫通部が細く保たれていて、貫通部の上向きのエッジが、運搬バンドに対して、貫通部の下向きのエッジより大きな間隔を有し、その結果、反り上がった、エッジ案内されるようにガイド面61に沿って摺動するシートの前側エッジが、貫通部の上向きのエッジに引っかかってしまうことがない点である。
【0047】
動かされるシート64の表面に向かって流動される熱風は、空気の滞りを回避するために、乾燥機17のガイド面61と、シート64の表面との間に形成されるギャップ開口を通って流出し、このギャップ開口は、例えば環状ギャップの形態で形成されている。付加的に、乾燥機17の乾燥モジュール54内には、例えば複数の通路55が設けられていてもよく、通路55は、好ましくは、円形の横断面を有し(
図6)、通路55を通して、乾燥すべきシート64の表面の直上の境界層内の湿った空気は、一部吸出される。乾燥すべきシート64の表面の直上の境界層内の湿った空気を一部吸出する通路55は、乾燥機17のガイド面61内に、好ましくは、動かされるシート64の運搬方向Tに対して平行に延びるガイド面61の縁部領域内に配置されており、このことは、乾燥機17の乾燥区間に沿った、動かされるシート64の正確な位置姿勢での案内に対して、ポジティブな作用をも有している。赤外放射源63により発せられた放射エネルギが、優先的にシート64の表面を加熱し、しかし、シート64の深部にも徐々に弱まる作用で加熱を引き起こすことでもたらされる乾燥プロセスは、提案するギャップ流動により大幅に促進される。それというのも、一方では、かなり多くの加温された熱風の体積流が、乾燥すべきシート64の表面に直接的に提供され、他方では、乾燥すべきシート64の湿った表面とギャップ流動との間での熱-湿分-交換が、物理的な状態変数である圧力、ひいては速度の分だけ拡張された対流により、促進されるからである。それゆえ、乾燥機17は、すべてのエネルギ入力量を維持したとき、より効率的となる。
【0048】
乾燥機17は、例えば直線状の運搬区間に沿って連なって、好ましくは、複数の乾燥モジュール54を有している。これらの乾燥モジュール54は、それぞれ、密接に、例えば、シートの運搬方向Tでノンインパクト印刷装置13に直接的に後置される乾燥機17の、エンドレスに循環する運搬バンドとして形成される運搬装置の上方に配置されている。
【0049】
図10は、乾燥機17内に配置される乾燥モジュール54の1つを示している。乾燥モジュール54の各々は、ガイド面61より上に、通例、ブローボックス51と、特に耐熱性の送風機52と、ヒータレジスタとしての空気ガイドグリル53と、を有し、ヒータレジスタは、送風機52により流動させられる空気を加熱するために使用される。乾燥すべき各シート64は、乾燥機17のガイド面61と運搬バンド18との間に延在するギャップS17内で案内されており、運搬バンド18の下には、例えば運搬バンド18を支持する運搬ローラ59が配置されている。特に環状ギャップとして形成されるギャップS17は、例えば8mm~35mm、好ましくは10mm~20mmのギャップ幅を有している。図示しない一構成において、シート64の運搬方向Tで隣り合って連なった乾燥モジュール54間の継ぎ目内に、それぞれ、乾燥すべきシート64の表面に向けられた少なくとも1つの赤外放射源63が配置されている。該当する赤外放射源63は、特に、平坦の姿勢から反った、すなわち、持ち上がったシート64のエッジを案内するために、赤外放射源63の、乾燥すべきシート64の表面に向けられた側で、それぞれ、例えば保護ガラス57によりカバーされている。
図10は、乾燥モジュール54の好ましい一構成を示し、本構成では、乾燥すべきシート64の表面にそれぞれ向けられたそれぞれの赤外放射源63が、該当する乾燥モジュール54のハウジング58内に組み込まれて配置されている。前に示した乾燥モジュール54の一発展形では、送風機52と空気ガイドグリル53との間の流動路内に、特にメアンダ状に形成されるビームキャッチャが配置されており、その結果、送風機52と空気ガイドグリル53とは、熱的に切り離されている。
【符号の説明】
【0050】
01 シートフィーダ
02 第1のパイル
03 シートセパレータ
04 第1のスインググリッパ
05 第1のコーティング装置
06 運搬シリンダ
07 印刷部シリンダ
08 塗工ローラ
09 ドクタ;チャンバドクタシステム
10 -
11 第1のグリッパシステム
12 運搬バンド
13 ノンインパクト印刷装置
14 第1の乾燥機
15 -
16 運搬バンド
17 第2の乾燥機
18 運搬装置;運搬バンド
19 サクションバンド式テーブル
20 -
21 第2のスインググリッパ
22 第2のコーティング装置
23 運搬シリンダ
24 印刷部シリンダ
25 -
26 塗工ローラ
27 ドクタ;チャンバドクタシステム
28 第2のグリッパシステム
29 デリバリ
30 -
31 第3の乾燥機
32 第2のパイル
33 引き渡しドラム
34 引き渡しドラム
35 -
36 冷却装置
37 冷却モジュール
38 運搬ローラ
39 継ぎ目
40 -
41 ブローボックス
42 ガイド面
43 ブローノズル
44 下側のスパン
45 -
46 スパン入口
47 スパン出口
48 流動室
49 ベンチュリノズル
50 -
51 ブローボックス
52 送風機
53 空気ガイドグリル
54 乾燥モジュール
55 通路
56 継ぎ目
57 保護ガラス
58 ハウジング
59 運搬ローラ
60 -
61 ガイド面
62 ノズル
63 赤外放射源
64 シート
E 搬送平面
M 中心線
S17 ギャップ
S37 ギャップ
T 運搬方向
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノンインパクト印刷装置(13)により印刷されたシート(64)を乾燥させる乾燥機(17)を備えるシート印刷機械であって、
前記乾燥機(17)は、熱風乾燥機として、かつ/またはIR放射により乾燥させる乾燥機として形成されており、前記乾燥機(17)には、前記シート(64)の運搬方向(T)で冷却装置(36)が直接的に後置されており、前記冷却装置(36)は、前記シート(64)が水平な状態で前記冷却装置(36)を通して搬送される搬送平面(E)より上に、少なくとも1つの冷却モジュール(37)を有し、該当する前記冷却モジュール(37)は、冷却媒体として空気を使用するように形成されている、
シート印刷機械において、
前記冷却装置(36)の前記冷却モジュール(37)の各々は、それぞれ、ブローボックス(41)として形成されており、それぞれの前記ブローボックス(41)は、前記冷却媒体をそれぞれ、冷却すべき前記シート(64)の表面に向けて導くように形成されており、それぞれの前記ブローボックス(41)は、ブローノズル(43)を有し、前記冷却媒体は、前記ブローノズル(43)を通して、冷却すべきそれぞれの前記シート(64)の前記表面に向けて吹かれ、それぞれの前記ブローボックス(41)は、前記ブローボックス(41)がガイド面(42)でもって、該当する冷却すべき前記シート(64)の前記表面に対してギャップ(S37)を形成するように形成されており、それぞれの前記ブローボックス(41)の前記ガイド面(42)は、該当する冷却すべき前記シート(64)の前記表面の上方に、外側の環状ギャップを通して前記冷却媒体の体積流が前記ギャップ(S37)から流れ出る、前記環状ギャップの横断面が、前記ガイド面(42)内の前記ブローノズル(43)のすべての開口面積にわたる合計横断面より小さいか、または略同じであるような高さに配置されている、
ことを特徴とするシート印刷機械。
【請求項2】
前記ガイド面(42)でもって、該当する冷却すべき前記シート(64)の前記表面に対して形成される前記ギャップ(S37)は、8mm~35mmのギャップ幅を有することを特徴とする請求項1に記載のシート印刷機械。
【請求項3】
運搬バンドを有する運搬装置が設けられており、前記運搬バンドは、印刷された前記シート(64)を個々に水平に載置して運搬するように形成されており、水平な状態で前記冷却装置(36)を通して搬送すべき前記シート(64)のための前記搬送平面(E)を形成することを特徴とする請求項1または
2に記載のシート印刷機械。
【請求項4】
それぞれの前記ブローボックス(41)は、冷却すべき前記シート(64)の前記表面に向けてそれぞれ導かれる前記冷却媒体が、冷却すべき前記シート(64)の前記表面を圧力流動として内から外に向かって掠めるように形成されていることを特徴とする請求項1または
2に記載のシート印刷機械。
【請求項5】
該当する前記ブローボックス(41)の前記ブローノズル(43)は、それぞれ、前記冷却装置(36)を通して運搬すべき前記シート(64)の運搬方向(T)で延在する中心線(M)に対して対称に配置されて
おり、かつ/または前記ブローノズル(43)に加えて、それぞれの前記ブローボックス(41)の前記ガイド面(42)内に、ベンチュリノズル(49)が配置されており、前記ベンチュリノズル(49)は、前記ブローノズル(43)により吹き込まれ、加熱していく空気を、確実に搬出することを特徴とする請求項1または
2に記載のシート印刷機械。
【請求項6】
前記乾燥機(17)は、印刷された前記シート(64)をそれぞれ80℃より高く加熱するように形成され、前記冷却装置(36)は、前記乾燥機(17)内で加熱された前記シート(64)を30℃まで冷やすように形成されていることを特徴とする請求項1または
2に記載のシート印刷機械。
【請求項7】
前記運搬バンド(18)は、印刷された前記シート(64)を、前記冷却装置(36)を通して、前記シート(64)の運搬方向(T)で進むスパン上に個々に水平に載置して運搬するように形成されており、前記冷却装置(36)は、前記シート(64)を運搬する前記運搬バンド(18)の戻り側のスパン(44)を冷却するように形成されていることを特徴とする請求項
3に記載のシート印刷機械。
【請求項8】
前記冷却装置(36)の前記運搬装置は、運搬ローラ(38)を有し、前記運搬ローラ(38)は、ローラ冷却により冷却されていることを特徴とする請求項1または
2に記載のシート印刷機械。
【請求項9】
前記冷却装置(36)の冷却出力が、制御装置により調整されていることを特徴とする請求項1または
2に記載のシート印刷機械。
【請求項10】
前記冷却装置(36)に前置される前記乾燥機(17)の乾燥機出力が、前記制御装置により調整されており、前記制御装置により前記乾燥機(17)の前記乾燥機出力の調整のために実施される前記制御の制御量が、印刷された乾燥すべき前記シート(64)の湿分含有量であり、前記乾燥機出力を調整する操作量が、吹き込まれる熱風の量および/または吹き込まれる熱風の温度および/またはIR放射の強度および/またはIR放射の持続時間であることを特徴とする請求項
9に記載のシート印刷機械。
【請求項11】
前記制御装置は、前記制御装置
が目標値/実際値比較を実施するように形成されており、該当する前記実際値は、前記シート(64)の前記湿分含有量を検出する湿度センサにより前記制御装置に提供され、前記目標値は、前記制御装置において固定にまたは調整可能にプリセットされることを特徴とする請求項
10に記載のシート印刷機械。
【請求項12】
前記乾燥機(17)は、それぞれ乾燥すべき前記シート(64)の前記表面に面した前記乾燥機(17)の側に、前記シート(64)の前記表面から離間して配置されるガイド面(61)を有し、前記ガイド面(61)は、多数のノズル(62)を有し、前記ノズル(62)の各々は、熱風により貫流されるか、または少なくとも貫流可能なそれぞれ1つの開口横断面を有することを特徴とする請求項1または
2に記載のシート印刷機械。
【請求項13】
前記シート(64)の前記表面に向かって流動される前記熱風は、前記ガイド面(61)と、前記シート(64)の前記表面と、の間に形成されるギャップ開口を通って流出し、前記シート(64)の前記表面に向かって流動される前記熱風が通って流出する前記ギャップ開口の面積は、熱風を前記シート(64)の前記表面に向ける前記ノズル(62)のすべての開口横断面の全面積より小さいことを特徴とする請求項
12に記載のシート印刷機械。
【請求項14】
前記乾燥機(17)は、前記シート(64)の運搬方向(T)で複数の連なった乾燥モジュール(54)を有し、隣り合って配置される乾燥モジュール(54)間に、それぞれ、該当する乾燥すべき前記シート(64)の前記表面に向けられた少なくとも1つの赤外放射源(63)が配置されていることを特徴とする請求項1または
2に記載のシート印刷機械。
【請求項15】
前記乾燥機(17)を通して運搬し、乾燥すべきシート(64)のために、前記乾燥機(17)の前記ガイド面(03)と、前記乾燥機(17)の前記運搬バンド(18)と、の間に形成される乾燥区間に沿って、環状ギャップの形態のギャップ(S17)が形成されており、前記ギャップ(S17)は、8mm~35mmのギャップ幅を有することを特徴とする請求項
12に記載のシート印刷機械。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
このような運搬装置は、シートを加工する機械アッセンブリ内において、例えば、シートを乾燥させる乾燥機内に配置されている。乾燥機は、これにより、特に単一のシート用の連続乾燥機として形成されている。乾燥機には、乾燥機内で熱せられたシートの調温および/または調湿用の冷却装置が続く。冷却装置に続いて、例えばサクションバンド式テーブルが配置されている。
特開2015-039867号公報において、枚葉紙のばたつきを阻止すると同時に枚葉紙を簡単な構造で冷却することができる枚葉紙積み上げ装置が公知である。このためには、空気が、鉛直方向において分離された複数のノズルを通して枚葉紙束の側面に向かって水平方向に吹き付けられ、これにより、鉛直方向で排紙棚の上に積み上げられた枚葉紙束の中間部分の複数の枚葉紙の間に空間が形成される。空気は、枚葉紙束の枚葉紙同士の間を通してガイドされる。これにより、中間部分の複数の枚葉紙を枚葉紙束の鉛直方向で冷却することができる。
米国特許第6176184号明細書において、印刷機械の、材料ウェブに被着された印刷インキを乾燥させる乾燥機であって、ハウジングであって、空気補償室と多数の開口とを有し、開口を介して補償室は、ハウジングを取り囲む外側空間に流れ接続されており、ハウジングは、開口が材料ウェブのところに位置するように配置可能であるハウジングと、圧縮空気源と、圧縮空気源から空気補償室に圧縮空気を案内することができる空気通路と、空気通路に設けられていて、圧縮空気源から空気補償室に流れる空気を加熱することができる電気式の加熱装置と、を備える、乾燥機が公知である。
米国特許出願公開第2008/084465号明細書において、空気乾燥機トンネルであって、インピンジメント区分であって、空気入口と、多列の開口を有する波形の衝突ノズルハウジングと、を含み、開口は、ノズルハウジングの波形の複数の頂点のうちの少なくとも1つまたはその近くに位置決めされていて、空気入口に流体接続されている、インピンジメント区分と、衝突ノズルカバーの開口に流体接続された廃空気出口を含む排ガス区分とから成る、空気乾燥機トンネルが公知である。
【国際調査報告】