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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】改良されたポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/04 20060101AFI20231228BHJP
   F04B 51/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F04B9/04 Z
F04B51/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561428
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2021086110
(87)【国際公開番号】W WO2022136089
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2013783
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523232702
【氏名又は名称】アブサレハ・ハレド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】アブサレハ・ハレド
【テーマコード(参考)】
3H075
3H145
【Fターム(参考)】
3H075AA09
3H075BB03
3H075CC18
3H075CC30
3H075CC37
3H075DA03
3H075DA04
3H075DB03
3H075DB22
3H075DB50
3H075EE08
3H145FA02
3H145FA17
3H145FA25
(57)【要約】
【課題】動作を監視する手段を備えたポンプを提案し、従来技術のポンプよりも正確な投薬を保証する。
【解決手段】本発明はシリンジ(2)を使う精密ポンプ(1)に関し、この精密ポンプ(1)ではシリンジのプランジャー(14)用のリフター(12)には、ひずみゲージ(44)が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジポンプ(1)内のシリンジ(2)のピストン(14)を作動させるシステムであって、前記ピストンはコネクタ(23)が設けられ、前記システムは
- モータ(10)と、
- 伝達手段(11)と、
- プッシャー(12)と
を備え、
前記伝達手段は、前記モータの作用を前記プッシャーに伝達するように設計されていて、前記プッシャーは、ピストンをシリンジ軸線(X2)に沿って並進して動かすように設計されていて、
前記プッシャーが、
- 前記コネクタ(23)用のソケット(36)と、
- 前記伝達手段に取り付けるように設計された取り付けセグメント(34)と、
- 前記ソケット(36)を前記シリンジ軸線(X2)に対して横断方向に前記取り付けセグメントに接続する梁(38)と、
- シリンジ軸線に垂直な軸線を中心とした梁の曲げを測定するセンサと
を備える
ことを特徴とする、シリンジポンプ(1)内のシリンジ(2)のピストン(14)を作動させるシステム(6)。
【請求項2】
前記モータ(10)は、回転モータであり、前記回転モータの回転軸がねじ(28)を形成する回転軸を備えることを特徴とし、
前記伝達手段は、前記ねじ(28)にねじ込まれたナット(29)と、前記ナットに並進するように接続されたブラケット(31)とを備え、
前記プッシャー(12)の前記取り付けセグメント(34)が、前記ブラケット(31)に取り付けられている、請求項1に記載のシステム(6)。
【請求項3】
前記モータ(10)がステッピングモータであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム(6)。
【請求項4】
前記センサ(44)が、前記梁(38)の面(38A)に接着されたひずみゲージであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(6)。
【請求項5】
前記ソケット(36)及び前記コネクタ(23)が、互いに直線と環部との接続体を形成していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(6)。
【請求項6】
前記コネクタが、前記ピストン(14)の軸線方向のロッド(22B)の一端に形成された球体を備え、
前記ソケット(36)が、円筒形の溝(41)とスロット(42)とを備え、
前記溝(41)は、前記球体を内部に収容するように設計されていて、前記シリンジ軸線(X2)に実質的に垂直な軸線(X41)に沿って延在し、前記球体の直径(D23)に実質的に等しい直径(X41)を持ち、
前記スロット(42)が、前記球体が前記溝にあるとき前記ロッド(22B)を通す隙間を持つ通路に設計されていることを特徴とする、請求項5に記載のシステム(6)。
【請求項7】
前記溝が、内部に前記コネクタを導入する軸線方向の開口部を備えていることを特徴とする、請求項6に記載のシステム(6)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム(6)を備えることを特徴とする、精密ポンプ(1)。
【請求項9】
シリンジを内部に着脱可能に取り付けるソケット手段(36、46)を備えことを特徴とする、請求項8に記載のポンプ。
【請求項10】
前記ポンプが、前記モータ(10)用の電流センサと、周囲空気の圧力用のセンサと、周囲温度センサと、振動センサと、赤外線センサと、超音波センサと、水分センサとの中からの少なくとも1個のセンサを備えることを特徴とする、請求項8又は9に記載のポンプ。
【請求項11】
前記ポンプが、遠隔制御手段と、曲げセンサ(44)によって読み取られたデータを送信する手段と、該当する場合、前記遠隔制御手段に1個又はそれより多い他のセンサとをさらに備えことを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項12】
前記曲げセンサ(44)及び、該当する場合、1個又はそれより多くの他のセンサによって読み取られたデータを使用することを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載のポンプ内のシリンジの摩耗を監視する方法。
【請求項13】
前記方法が、事前の学習工程をさらに備えることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジポンプの分野に関し、特に少量の投薬を意図した精密ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特に薬物の場合、正確な投与が不可欠である。しかしながら、ポンプは経年劣化で精度が低下するおそれがある。シリンジのピストン密閉部や、シリンジと流体の入口管又は出口管との接続部などに漏れがあることがある。ポンプのさまざまな部品間で隙間が現れたり悪化したりすることがある。詰まりや障害物もポンプの正常な動作を妨げることがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目標とするところは、その動作を監視する手段を備えたポンプを提案し、従来技術のポンプよりも正確な投薬を保証することである。
【0004】
本発明の第1の目的では、シリンジポンプ内のシリンジのピストンを作動させるシステムであって、ピストンはコネクタが設けられ、以下
- モータと、
- 伝達手段と、
- プッシャーと
を備える。
前記伝達手段は、前記モータの作用を前記プッシャーに伝達するように設計されていて、前記プッシャーは、ピストンをシリンジ軸線に沿って並進して動かすように設計されていて、
前記プッシャーは
- コネクタ用のソケットと、
- 伝達手段に取り付けるように設計された取り付けセグメントと、
- ソケットをシリンジ軸線に対して横断方向の取り付けセグメントに接続する梁と、
- シリンジ軸線に垂直な軸線を中心とした梁の曲げを測定するセンサと
を備える。
【0005】
モータは、好ましくは回転モータであり、その回転軸はねじを形成し、伝達手段は、ねじにねじ込まれたナットと、このナットと並進接続されたブラケットとを備え、プッシャーの取り付けセグメントは、ブラケットに取り付けられている。このモータは、有利には、ステッピングモータである。
【0006】
センサは、梁の面に接着されたひずみゲージであってもよい。
【0007】
有利には、ソケット及びコネクタは、互いに直線と環部との接続体を形成する。コネクタは、ピストンの軸線方向のロッドの一端に形成された球体を備えてもよく、ソケットは円筒形の溝とスロットとを備えてもよく、溝は、球体を内部に収容するように設計されていて、シリンジ軸線に実質的に垂直な軸線に沿って延在して、球体の直径に実質的に等しい直径を持ち、スロットは、球体が溝にあるときロッドを通す隙間を持つ通路に設計されている。溝は、内部にコネクタを導入する軸線方向の開口部を備えていてもよい。
【0008】
本発明の第2の目的では、精密ポンプは、本発明の第1の目的のシステムを備える。このシステムは、好ましくは、本発明の第2の目的によるシリンジを内部に着脱可能に取り付けるソケット手段を備える。
【0009】
そのようなポンプは、有利には、モータ用の電流センサ、周囲空気の圧力用のセンサ、周囲温度センサ、振動センサ、赤外線センサ、超音波センサ及び水分センサからの少なくとも1個のセンサを備える。ポンプはまた、遠隔制御手段と、曲げセンサによって読み取られたデータを送信する手段と、該当する場合、遠隔制御手段に1個又はそれより多い他のセンサとを備えてもよい。
【0010】
本発明の第3の目的では、本発明の第3の目的によるポンプ内のシリンジの摩耗を制御する方法は、曲げセンサ及び、適用可能な場合には、1個又はそれより多くの他のセンサによって読み取られたデータを使用する。この方法は、好ましくは、事前学習工程を備える。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態を、非限定的な例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明によるシリンジポンプの4分の3正面左側透視図である。
図2図2は、図1のポンプの縦断面と立面の模式図である。
図3図3は、図1のポンプの前方部、シリンジ近傍の縦方向の立面の模式図である。
図4図4は、図3のシリンジ用プッシャーの4分の3正面右側透視図である。
図5図5は、シリンジを作動させる手段の詳細の概略的な立面図及び正面図である。
図6図6は、図4の4分の3正面右側透視における模式図であり、図4のものと同様に、図1のポンプに使用可能なプッシャーの他の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明による精密ポンプ1を示す。このポンプは、シリンジ2を備え、使用する。さらに、精密ポンプ1は次のものを備える。
・ シャーシ3と、
・ 弁4と、
・ シリンジ作動手段6と、
・ 弁4を作動させる弁モータ7と、
・ 電子制御手段8。
シリンジ作動手段6は、シリンジモータ10と、伝達手段11と、プッシャー12とを備える。
【0014】
シリンジは、実質、シリンジ軸線X2を中心に回転する回転体としてできている。図示の例では、シリンジ軸線は鉛直である。図3に特に図示されるように、シリンジ2は、円筒13と、円筒内の軸線方向の開口部15を通って移動できるピストン14と、軸線方向の流体ソケット16とを備える。流体ソケット16はオスのソケットであり、円筒の外側、円筒の底部17における開口部15とは反対側に形成される。シリンジは、円筒の室19とシリンジの外側との間で、底部17及び流体ソケット16を通る流体の循環を可能にする軸方向のチャネル18をさらに備える。室19は、円筒とピストンとの間に画定され、その内容積は、円筒内のピストンの位置によって異なる。
【0015】
図示の例では、ピストン14は、円筒13内への密封と摺動用に取り付けられたヘッド21と、ヘッドから円筒の外側に向かって軸線方向に延在しているロッド22と、ヘッド21と反対側のロッドの端部に形成されたコネクタ23とを備える。ヘッドは、環状密閉部21Aを備え、ピストン14と円筒13との間に密閉部を作る。図示の例では、コネクタ23は、ロッド22の断面を縮小した部分22Bに取り付けられた球体23の形態である。ロッド及びロッドの断面が縮小された部分は、それぞれシリンジ軸線X2の周囲に円形の断面を持つ。断面積が縮小された部品は、D22Bと表記される一定の直径を持つ。球体23は、D23と表記される直径を持つ。
【0016】
弁4は、弁軸線X4を中心に回転可能な弁である。弁モータ7によって作動される。3個のポート46から48を備える。図の例では、3個のポートはメス流体ソケットである。第1メス流体ソケット46は、シリンジのオス流体ソケット16と係合するように設計されている。第2メス流体ソケット47及び第3メス流体ソケット48をさらに備え、それぞれがそこにチューブを接続するものである。例えば、チューブは、その中の流体をポンプで送るのに予備に接続されてもよいし、このようにしてポンプで送られた必要量の流体を注ぐ別のチューブに接続されてよい。弁の回転が、第1ソケット46を第2ソケット47又は第3ソケット48のいずれかと連動できるようにする。
【0017】
シャーシ3は、アルミニウムから射出によって製造される。それはLの形をしている。それは、前部から後部に向かって細長い略矩形の板形の基部25を備える。また、基部25の前端から上方に延在している略鉛直な直立部26を備える。
【0018】
シリンジのモータ10は、基部24の後端に固定されている。そのモータは上下に配置されたねじをなす回転軸28を備える。伝達手段11は、駆動ナット29とブラケット31とを備える。ナット29はネジ28と係合している。ブラケットは後方から前方に延在している。このブラケットは後端31Aによりナット29と係合し、前端31Bによってリニア案内32と係合している。案内32は、シャーシ3の直立部26に取り付けられている。ナットはブラケット31を鉛直に駆動し、案内32はブラケットを鉛直並進に保持する。
【0019】
シャーシ3にはリニアエンコーダが取り付けられ、リニアエンコーダに面したブラケット31には目盛り定規が取り付けられている。目盛り定規の動きが、線形エンコーダによって読み取られる。リニアエンコーダと定規の対により、動きが発生したことを高度な精密さを持って検査できて、シャーシに対するピストンの実質的に絶対位置を決定できる。
【0020】
プッシャー12は、ブラケット31の前端31Bに取り付けられている。図4に特に図示されるように、プッシャー12はLの形態であり、その直立部は参照符号34が付けられて、その基部は参照符号37が付けられている。Lの直立部34は、プッシャーをブラケットに取り付けるセグメントとして機能する。直立部34は、ブラケット31の前端31Bの垂直前面に押し付けられている。直立部34は、ねじ込まれて前端31Bに取り付けられる。基部37は、支柱34の下端から略水平に前方に延在している。プッシャーの基部37は、ソケット36と、プッシャー12の直立部34の下端にソケットを水平に接続する梁38とを備える。
【0021】
プッシャー12のソケット36は、略水平なソケット軸線X41を中心とする円筒状のチャネル41を備える。チャネル(41)は、ソケットの前面を通してその断面全体にわたって開いている。このチャネルはまた、ソケットの上面、チャネルとこの上面を接続するスロットでも開いている。チャネル41は、球23の直径D23とほぼ等しい直径D41を持ち、その結果、球はチャネルと直線環状接続を形成し、ソケット軸線X41に沿って内部を摺動できる。スロット42は、シリンジ6のロッド22の縮小断面22Bの直径D22Bよりも大きい幅L42を持ち、ロッドの部分22Bの両側に隙間ができるように、ソケット軸線X41を中心にロッドを傾けられるようになっている。
【0022】
シリンジ2は着脱可能であり、すなわちあるシリンジを別のシリンジと交換できる。シリンジをはめ合わせるには、オス流体ソケット16と第1メス流体ソケット46とを互いに対向させて、コネクタ23、ここでは球体23を、ソケット36内に、シリンジの軸線X2が略垂直になるように挿入して、その後流体ソケット16、46を互いにねじ込む必要がある。
【0023】
プッシャーが、球上のチャネルの作用を通して、ピストン14を上方に押し上げ、そして下方に引き下げられるようにしている。チャネル41内の球体23の移動の自由度が、ロッド上のプッシャーの作用がシリンジの軸線X2に沿って向けられるのを保証する。
【0024】
梁38は、略水平の底面38Aを備える。底面38Aにはひずみゲージ44が取り付けられている。このゲージは、梁を横切る水平軸線を中心とした曲げ応力を測定するように設計されている。このようにして測定される応力は、シリンジ2がプッシャー12に加える力に本質的に依存する。
【0025】
プッシャー12がシリンジ2のピストン14を移動させかつピストン14と移動すると、プッシャーに力が発生する。これらの力は、ピストン上の密閉部21Aの摩擦力と、シリンジの室19内に位置する流体の圧力から生じる。ゲージ44は、特に密閉部の摩擦力及び密閉部上の摩耗を評価することを可能にする。
【0026】
弱化域39は、梁38の上部に形成されている。それらは、ゲージ44の感度を高めることを可能にする。それらは、梁38がピストン14の動き、それによる投薬の動きの満足のいく精度を保証するのに十分な剛性を保つように配置される。図示の例では、弱化域は、梁に対して横方向の2本の半円筒39で構成され、梁の上面において上部に向かって開いている。弱化域39の底面と底面との間で測定された梁の電流厚さは、E38と表記される。ゲージ44が測定できる力の範囲を決定するのはこの厚さである。
【0027】
図6は、プッシャー12の第2実施形態を示す。図4に例示される第1実施形態と異なる点は、ソケット軸線X41に対して横方向の梁38の断面が、実質的に一定かつ矩形である点である。この構成において、梁に均一な応力を持たせられると仮定すると、梁の太さE8と同じ応力に対しては、梁の曲げ運動は、第1実施形態の場合の同じ運動よりも大きくなる。
【0028】
この第2実施形態では、ゲージ44は、底面38Aへの配置に替えて、梁38の上面38Bに取り付け可能である。このように2個のゲージを使用でき、一方は下面38Aに、他方は上面38Bに設けられる。
【0029】
密閉部の摩擦力をリアルタイムで測定することで、密閉部の摩耗の経時変化を監視できて、そして漏れを防止できて、密閉部の交換やシリンジ全体の交換を予測できる。
【0030】
本発明によるシステムが投薬に使用される場合、診断という状況での、誤りの危険性が低減され、これは関係する患者にとって有益である。
【0031】
密閉部の摩耗の測定は、漏れやそれに起因する投与誤差の回避を可能にするため、非常に重要である。ポンプが灌流に接続された投薬ポンプである場合、これはそのように灌流される患者の(投薬の誤りの)危険性を軽減する。
【0032】
この摩耗を測定することで、シリンジの交換の計画を、正しいタイミングで、つまり早すぎたり遅すぎたりすることなく、できるようにする。(シリンジの)交換はそのように物理的な測定に基づいている。
【0033】
さらに、ポンプ1は、各モータの制御手段を備える。
【0034】
(ポンプの)室内で発生する圧力の変化は力に変換され、ひずみゲージによって測定される。
【0035】
単一のセンサで、ここではゲージ44により、摩耗と圧力の両方を測定できる。
【0036】
プッシャー12を作動させるモータ10及び弁4を作動させるモータ7は、ステッピングモータである。制御手段8は、モータ7、10ごとに電流センサを備えるモータ7、10の制御手段を備える。各電流センサは、次の機能の実装を可能にする。
- モータ内を循環する電流に起因するモータの加熱を制御すること。
- 電流とトルクとの間に関連があるので、モータ、特にシリンジモータ10のトルクを制御すること。
- モータの摩耗、消費電流とポンプの摩耗の間に存在する関係を予測する。遠隔監視が有利に実施される。人工知能に基づくアルゴリズムを備えるアプリケーションを、遠隔監視の支援に有利に提供できる。
【0037】
ポンプはまた、その総電気消費量の監視を可能にするセンサを備え、これは、総消費量を制御することとは別に、ポンプ1の残りの耐用年数の合計の予測を可能にする。
【0038】
ポンプは、有利には、周囲空気の圧力センサと、周囲温度センサと、振動センサと、赤外線センサと、超音波センサと、水分センサとの中の少なくとも1つから選択される他のセンサを備えてよい。
【0039】
空気の圧力とポンプの投与機能の間には関連がある。これは、投薬の関数が、ピストンの動きによって発生する圧力の変化と、チューブ(又はサンプリングニードル)の端に存在する大気圧との関係であるためである。そのため、周囲空気の圧力、すなわちポンプが配置されている場所の圧力センサは、投薬機能によって生成される体積の補正を可能にする。
【0040】
体積と温度の間にも関係がある。周囲温度センサにより、周囲温度に応じて投与機能が補正又は調整される。この温度センサにより、製品が指定された温度範囲で機能していることの確認もできる。
【0041】
ポンプ1は、振動を発生するいくつかの機械的な動きを持つ。振動センサは、振動レベルの変化を監視して、機械的な故障や誤動作の予測及び可能性を求めるのを可能にする。
【0042】
超音波センサの目的は、機械的な故障や誤動作の予測、可能性を求めるのに、機械的な動きによって生成される音を測定することである。
【0043】
赤外線センサは、有利には、モータ7、10の各々に向けられる。モータの実際の温度を非接触測定できる。ポンプ1は一般に、分析機の内部などの限られた環境に設置されるため、モータの温度及び一般的な過熱の正確な監視が有利である。
【0044】
水分センサにより、周囲の水分を測定できる。これにより、ポンプが指定された水分範囲で機能していることを確認できる。さらに、ポンプの漏れが発生した場合、水分レベルが上昇し、水分センサはそのような漏れを検出できるようにする。
【0045】
ポンプ1の制御手段8は、有利には、遠隔制御装置と、例えば「クラウド」との少なくとも一方への接続手段を備える。これらの接続手段は、セルラー方式、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi接続を備えてよい。これらの接続手段は、センサによって収集されたデータ又は測定値を、リアルタイム又は遅延時間で遠隔制御手段に送信できるようにする。
【0046】
ポンプの制御手段8は有利には、入ってくる情報を受信するように設計されている。この着信情報は、特定の構成又はソフトウェアの更新であってもよい。
【0047】
センサからクラウドにデータを送信して、リアルタイム又はオフセット時間で分析することで、次のような重要なサービスの少なくとも1つをユーザに提供できる。
- シリンジの摩耗の予測と交換の可能性。
- メンテナンス要件の予測。
- 故障の予測。
- ポンプの使用終了時期の予測
- 投薬結果がユーザの期待に従っていることを保証するために、製品の使用が仕様から外れた場合、例えば特定の温度範囲や湿度から逸脱した場合の警報又は情報の提供。
【0048】
本発明によるシリンジポンプは、以下の特徴を持つ。
- ピストン14の直線運動は、ねじ28とナット29との間の機械的接続によって達成されるが、従来技術のポンプはベルトを使用する。ネジとナットの接続により、次の点が改善された。
○ 機械的な単純さ、これは部品の数を減らす。
○ 機械的隙間の合計量の削減。これはポンプの精度を改良する。
○ 部品数の減少によるスペースの節約。
○ より速い速度と加速が可能である。
○ ベルトの張力を調整する必要がないため、製造が簡素化される。そして
○ ベルトの耐用年数よりも長い耐用年数。
- ピストン14の直線運動が、力に耐えるためにリニア案内32によってさらに提供される。
- プッシャー12の機能は、投薬機能を果たすためにシリンジ2のピストン14を押したり引いたりすることである。
【0049】
本発明による1個のポンプ及び同じポンプは、複数のサイズのシリンジ、例えば100μl(マイクロリットル)、250μl、500μl、1000μl、2.5ml(ミリリットル)、5ml、12.5μl、25ml又は50mlを容量とするシリンジを受け入れるように設計できる。このようなポンプが、約0.1μlから50mlの間の正確な容量で投与するように設計できる。
【0050】
当然ながら本発明は、今説明した実施例に限定されるものではない。逆に、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【0051】
当業者には、実際、開示された教示に照らして、上述の実施形態に様々な変更を加えられることは明らかだろう。
【0052】
特に、シリンジ軸線は鉛直でなくてもよい。ポンプはまた、同じプッシャーによって駆動されるかどうかにかかわらず複数のシリンジを備えてもよい。
【0053】
さらに、シャーシはアルミニウムから作られるのに替えて、プラスチック材料から作られてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】