(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】輝度向上フィルム塗料及びその応用
(51)【国際特許分類】
C09D 4/00 20060101AFI20231228BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20231228BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20231228BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20231228BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20231228BHJP
G02B 5/30 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
C09D4/00
G02B1/04
C09D4/02
C09D7/65
G02F1/13357
G02B5/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563144
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 CN2021141076
(87)【国際公開番号】W WO2022143443
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011632394.4
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523244473
【氏名又は名称】ファイケム コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】チー シューフイ
(72)【発明者】
【氏名】チュー ウェイグァン
【テーマコード(参考)】
2H149
2H391
4J038
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AB12
2H149AB13
2H149BA02
2H149FA08Z
2H149FA51Z
2H149FC01
2H149FD03
2H149FD20
2H149FD25
2H391AA12
2H391AC11
2H391AC13
2H391AC53
4J038DL152
4J038FA011
4J038FA111
4J038MA15
4J038NA01
4J038PA17
4J038PB08
4J038PC08
(57)【要約】
輝度向上フィルム塗料及びその応用であり、前記塗料の製造原料は、重量部で計算すると、少なくとも、20~76部の単官能光硬化性モノマー、20~76部の二官能光硬化性モノマー、1~10部の光開始剤、及び0~4部の助剤の成分を含む。当該塗料で成形された輝度向上フィルムは、高温高湿信頼性試験後に白い縞が発生せず、偏光板との適合性が向上する。同時に、信頼性試験は、長時間の使用状況をある程度反映することができ、優れた信頼性試験結果は、表示パネルの長時間使用の安定性を保証することができ、切断中に生じた屑がフィルムを汚染し、それにより使用効果に影響を与えることを回避する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度向上フィルム塗料であって、前記塗料の製造原料は、重量部で計算すると、少なくとも、20~76部の単官能光硬化性モノマー、20~76部の二官能光硬化性モノマー、1~10部の光開始剤、及び0~4部の助剤の成分を含む、輝度向上フィルム塗料。
【請求項2】
前記単官能光硬化性モノマーの屈折率は、1.5以上である、請求項1に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項3】
前記単官能光硬化性モノマーの流体粘度は、200cps以下である、請求項1に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項4】
前記単官能光硬化性モノマーの末端基は、メタクリロキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基から選択される1種である、請求項1に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項5】
前記二官能光硬化性モノマーの構造は、式1に示すとおりであり、式中、前記R、R’は、それぞれアクリロイルオキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、アリル基から選択される1種であり、前記R
1、R
2は、それぞれ水素、アルキル基、アルコキシ基から選択される1種であり、前記m、nは、自然数である、請求項1に記載の輝度向上フィルム塗料。
【化1】
【請求項6】
前記二官能光硬化性モノマーは、BPA(EO)
m+nDA及び/又はBPA(EO)
m+nDMAであり、前記BPA(EO)
m+nDAの構造は、式2に示すとおりであり、前記BPA(EO)
m+nDMAの構造は、式3に示すとおりである、請求項5に記載の輝度向上フィルム塗料。
【化2】
【化3】
【請求項7】
2≦m+n≦40である、請求項6に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項8】
10<m+n≦40である、請求項7に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項9】
7≦m+n≦10である、請求項7に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項10】
2≦m+n≦6である、請求項7に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項11】
前記助剤は、少なくともスリップ剤を含む、請求項1に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項12】
前記スリップ剤は、ポリエーテル変性シリコーン化合物である、請求項11に記載の輝度向上フィルム塗料。
【請求項13】
LED表示モジュールにおける請求項1~12のいずれか一項に記載の輝度向上フィルム塗料の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示材料の技術分野に関し、具体的には、輝度向上フィルム塗料及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
TFT-LCDバックライトモジュールは、光源、導光板、拡散フィルム、輝度向上フィルム、反射フィルムなどで構成され、主に、液晶パネルに均一な面光源を提供するという役割を果たす。輝度向上フィルムは、バックライトモジュールの重要な構成要素として、精密微細構造を有する光学フィルムであり、異なる放射方向の光を正面に集中させて、LCD表示パネルの輝度を向上させることができる。しかしながら、従来の輝度向上フィルムが偏光反射機能備えず、LCD下の偏光フィルムで反射された半分の偏光が浪費されるため、偏光反射型複合輝度向上フィルムを用いると、LCDモジュールの輝度を大幅に向上させることができる。
【0003】
現在市販されているほとんどの輝度向上フィルムは、PMMAの偏光板と組み合わせるとき、高温高湿信頼性試験(信頼性試験は、長時間の使用状況をある程度反映することができる)を経た後、白い縞が発生し、表示画面に影響を与える。また、フィルムは、切断成形及び後続の搬送、組立過程において縁部に屑が生じやすく、縁部に傷が発生し、更に、落下した屑がフィルム全体にこぼれ落ちてその使用効果に影響を与える。
【0004】
上記技術的問題を解決するために、本願は、輝度向上フィルム塗料を提供し、本願の塗料により成形された輝度向上フィルムは、高温高湿信頼性試験後に白い縞が発生せず、偏光板との適合性が向上する。
【発明の概要】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本願の第1の態様は、輝度向上フィルム塗料を提供する。前記塗料の製造原料は、重量部で計算すると、少なくとも、20~76部の単官能光硬化性モノマー、20~76部の二官能光硬化性モノマー、1~10部の光開始剤、及び0~4部の助剤の成分を含む。
【0006】
本願の1つの好ましい技術案として、前記単官能光硬化性モノマーの屈折率は、1.5以上である。
【0007】
本願の1つの好ましい技術案として、前記単官能光硬化性モノマーの流体粘度は、200cps以下である。
【0008】
本願の1つの好ましい技術案として、前記単官能光硬化性モノマーの末端基は、メタクリロキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基から選択される1種である。
【0009】
本願の1つの好ましい技術案として、前記二官能光硬化性モノマーの構造は、式1に示すとおりであり、式中、前記R、R’は、それぞれメタクリロキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基から選択される1種であり、前記R
1、R
2は、それぞれ水素、アルキル基、アルコキシ基から選択される1種であり、前記m、nは、自然数である)。
【化1】
【0010】
本願の1つの好ましい技術案として、前記二官能光硬化性モノマーは、BPA(EO)
m+nDA及び/又はBPA(EO)
m+nDMAであり、前記BPA(EO)
m+nDAの構造は、式2に示すとおりであり、前記BPA(EO)
m+nDMAの構造は、式3に示すとおりであり、前記BPA(EO)
m+nDAは、エトキシ変性ビスフェノールAジアクリレートであり、前記BPA(EO)
m+nDMAは、エトキシ変性ビスフェノールAジメタクリレートである。
【化2】
【化3】
【0011】
本願の1つの好ましい技術案として、2≦m+n≦40である。
【0012】
本願の1つの好ましい技術案として、10<m+n≦40である。
【0013】
本願の1つの好ましい技術案として、7≦m+n≦10である。
【0014】
本願の1つの好ましい技術案として、2≦m+n≦6である。
【0015】
本願の1つの好ましい技術案として、前記助剤は、少なくともスリップ剤を含む。
【0016】
本願の1つの好ましい技術案として、前記スリップ剤は、ポリエーテル変性シリコーン化合物である。
【0017】
本願の第2の態様は、LED表示モジュールにおける前記輝度向上フィルム塗料の応用を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本願は、輝度向上フィルム塗料を提供し、本願の塗料により成形された輝度向上フィルムは、高温高湿信頼性試験後に白い縞が発生せず、偏光板との適合性が向上する。同時に、信頼性試験は、長時間の使用状況をある程度反映することができ、優れた信頼性試験結果は、表示パネルの長時間使用の安定性を保証することができ、切断中に生じた屑がフィルムを汚染し、それにより使用効果に影響を与えることを回避する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の好ましい実施形態の以下の詳細な説明及び含まれる実施例を参照することにより、本願の内容をより容易に理解することができる。限定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者の通常の理解と同じ意味を有する。矛盾する場合には、本明細書での定義に準ずる。
【0020】
本明細書で使用される「...により製造される」という用語は、「含む」と同義である。本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、「含有する(containing)という用語、又はそれらの他のいずれのバリエーションは、非排除的包含を意味する。例えば、挙げられた要素を含む組成物、ステップ、方法、製品又は装置は、これらの要素だけでなく、明確に挙げられていないその他の要素又はそれらの組成物、ステップ、方法、製品又は装置における固有の要素を含んでもよい。
【0021】
接続詞である「...からなる」は、指定されていない要素、ステップ又は組成を排除するものである。当該文言は、請求項に使用される場合、請求項が閉鎖形式になり、関係する一般不純物を除き、説明した材料以外の材料を含まないと意味している。「...からなる」という文言は、請求項主題の直後に付けるのではなく請求項主体のうちの一節に付ける場合、当該節に記載した要素しか限定せず、その他の要素が請求項全体から排除するものにならない。
【0022】
量、濃度、又はその他の値又はパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は一連の好ましい上限値及び好ましい下限値で限定される範囲により表される場合、任意範囲の上限又は好ましい値と任意範囲の下限又は好ましい値とからなる範囲は、個別に開示されたかにも関わらず、前記の値を任意に組み合わせた全ての範囲が具体的に開示されたと理解すべきである。例えば、「1~5」という範囲が開示された場合、説明された範囲は、「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2と4~5」、「1~3と5」を含むと解釈される。本明細書で記載される数値範囲は、別段の説明がない限り、その端点、ならびに範囲内のすべての整数および分数を含むことが意図される。
【0023】
文脈が明確に他に指示していない限り、単数形は複数の指示対象を含む。「任意選択の」又は「いずれか1つ」とは、それに続いて記述された項目又は事象が生じても生じなくてもよいことを意味し、その記述は、事象が生じた状況及び事象が生じなかった状況を含む。
【0024】
本明細書及び特許請求の範囲における近似用語は、数量を修飾するために使用されるものであり、本願はその特定の数量に限定されないが、関連した基本の機能の変化をもたらさずに、許容される数量に近い修飾も含むことを意味する。したがって、数値を修飾するために「およそ」、「約」などを使用することは、本願が正確な数値に限定されないことを意味する。いくつかの例では、近似用語は、値を測定する機器の精度に対応することがある。本明細書及び特許請求の範囲において、範囲の制限は、組み合わせ及び/又は交換することができ、これらの範囲が、別段の説明がない限り、これらの範囲は包含される全てのサブレンジを含む。
【0025】
上記技術的問題を解決するために、本願の第1の態様は、輝度向上フィルム塗料を提供し、前記塗料の製造原料は、重量部で計算すると、少なくとも、20~76部の単官能光硬化性モノマー、20~76部の二官能光硬化性モノマー、1~10部の光開始剤、及び0~4部の助剤の成分を含む。
【0026】
1つのより好ましい実施形態では、前記塗料の製造原料において、単官能光硬化性モノマーと二官能光硬化性モノマーの総重量部は、70~98部である。
【0027】
単官能光硬化性モノマー
本願において、前記単官能光硬化性モノマーの塗料が製造原料に占める重量部数は、20~76部である。
【0028】
1つの好ましい実施形態では、前記単官能光硬化性モノマーの塗料が製造原料に占める重量部数として、20部、21部、22部、23部、24部、25部、26部、27部、28部、29部、30部、31部、32部、33部、34部、35部、36部、37部、38部、39部、40部、41部、42部、43部、44部、45部、46部、47部、48部、49部、50部、51部、52部、53部、54部、55部、56部、57部、58部、59部、60部、61部、62部、63部、64部、65部、66部、67部、68部、69部、70部、71部、72部、73部、74部、75部、76部などが挙げられてもよい。
【0029】
1つのより好ましい実施形態では、前記単官能光硬化性モノマーの塗料が製造原料に占める重量部数は、25~70部である。
【0030】
本願において、前記単官能光硬化性モノマーの屈折率は、1.5以上である。
【0031】
1つの好ましい実施形態では、前記単官能光硬化性モノマーの屈折率は、1.5よりも高い。
【0032】
屈折率とは、真空中の光の伝播速度と当該媒質中の光の伝播速度との比である。材料の屈折率が高いほど、入射光を屈折させる能力が高い。屈折率が高ければ高いほど、レンズが薄くなり、すなわち、レンズの中心の厚さが同じであり、度数が同じく、材料が同じである場合、屈折率が高いレンズの縁部は、屈折率が低いレンズの縁部よりも薄い。屈折率は、媒質の電磁気的性質と密接に関連している。古典的電磁理論によれば、εr及びμrは、それぞれ媒質の比誘電率及び比透磁率である。屈折率は、更に周波数に関連し、分散現象と呼ばれる。光は、相対的に光学的に密な媒質から光学的に疎な媒質へ入射し、かつ入射角が臨界角よりも大きい場合、全反射することができる。
【0033】
本願において、前記単官能光硬化性モノマーの流体粘度は、200cps以下である。
【0034】
1つの好ましい実施形態では、前記単官能光硬化性モノマーの流体粘度は、200cpsよりも低い。
【0035】
本願において、前記単官能光硬化性モノマーの末端基は、メタクリロキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基から選択される1種である。
【0036】
1つの好ましい実施形態では、前記単官能光硬化性モノマーの構造は、ベンゼン環、N、O-複素環構造を含むアクリレート、及びN、O-複素環構造を含むメタクリレートのうちの少なくとも1種を含む。
【0037】
本願の1つの好ましい実施形態では、前記単官能光硬化性モノマーは、屈折率が1.5よりも高いモノマー、流体粘度が200cpsよりも低いモノマー、PET基材によく付着するモノマーから選択される少なくとも1種である。
【0038】
前記PET基材によく付着するモノマーについて、試験方法は、クロスカット法であり、標準は、具体的な標準がなく、実験の配合成分を観察することにより、当該成分を添加して付着性を向上させる効果を達成することができる。
【0039】
本願において、前記屈折率が1.5よりも高いモノマーは、o-フェニルフェノキシエチルアクリレート、(2-エトキシ)o-フェニルフェノキシエチルアクリレート、ビフェニルカルビノールアクリレー、フェノキシベンジルアクリレート、m-フェノキシベンゼンメタクリレート、2-(p-クメニル-フェノキシ)-エチルアクリレートから選択される少なくとも1種である。
【0040】
1つの好ましい実施形態では、前記o-フェニルフェノキシエチルアクリレートは、特に限定されず、o-フェニルフェノールエポキシアクリレート(OPPEA)が挙げられてもよく、前記o-フェニルフェノールエポキシアクリレートの由来は、特に限定されず、致徳化学PP011、美源M1142、諾爾達N112、長興EM2105などが挙げられてもよい。
【0041】
1つの好ましい実施形態では、前記(2-エトキシ)o-フェニルフェノキシエチルアクリレート(OPP(EO)2A)の由来は、特に限定されず、諾爾達N122などが挙げられてもよい。
【0042】
1つの好ましい実施形態では、前記ビフェニルカルビノールアクリレート(BPMA)の由来は、特に限定されず、潤奥LuCure646などが挙げられてもよい。
【0043】
1つの好ましい実施形態では、前記フェノキシベンジルアクリレート(PBA)の由来は、特に限定されず、潤奥LuCureなどが挙げられてもよい。
【0044】
1つの好ましい実施形態では、前記m-フェノキシベンゼンメタクリレート(MPOBA)の由来は、特に限定されず、長興EM2050などが挙げられてもよい。
【0045】
1つの好ましい実施形態では、前記2-(p-クメニル-フェノキシ)-エチルアクリレート(CPEA)の由来は、特に限定されず、長興EM2107などが挙げられてもよい。
【0046】
1つのより好ましい実施形態では、配合硬化フィルムの屈折率を向上させ、フィルムの輝度を更に改善するために、前記屈折率が1.5よりも高いモノマーは、OPPEA、OPP(EO)2A、BPMA、PBA、MPOBAから選択される少なくとも1種である。
【0047】
本願において、前記流体粘度が200cps未満のモノマーは、ベンジルアクリレート、ビフェニルカルビノールアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、(2エトキシ)フェノキシアクリレート、(3エトキシ)フェノキシアクリレート、アクリロイルモルホリン、2-フェノキシエチルメタクリレート、m-フェノキシベンゼンメタクリレートから選択される少なくとも1種である。
【0048】
1つの好ましい実施形態では、前記ベンジルアクリレート(PBA)の由来は、特に限定されず、潤奥LuCureなどが挙げられてもよい。
【0049】
1つの好ましい実施形態では、前記ビフェニルカルビノールアクリレート(BPMA)の由来は、特に限定されず、潤奥LuCure646などが挙げられてもよい。
【0050】
1つの好ましい実施形態では、前記2-フェノキシエチルアクリレート(PHEA)の由来は、特に限定されず、長興EM210、サートマーSR339などが挙げられてもよい。
【0051】
1つの好ましい実施形態では、前記(2エトキシ)フェノキシアクリレート(PH(EO)2A)の由来は、特に限定されず、長興EM2101などが挙げられてもよい。
【0052】
1つの好ましい実施形態では、前記(3エトキシ)フェノキシアクリレート(PH(EO)3A)の由来は、特に限定されず、長興EM2103などが挙げられてもよい。
【0053】
1つの好ましい実施形態では、前記アクリロイルモルホリン(ACMO)の由来は、特に限定されず、LuCure248などが挙げられてもよい。
【0054】
1つの好ましい実施形態では、前記m-フェノキシベンゼンメタクリレート(MPOBA)の由来は、特に限定されず、長興EM2050などが挙げられてもよい。
【0055】
1つのより好ましい実施形態では、体系の粘度を調整して、より良好な流動性を得て、塗布を容易にするために、前記流体粘度が200cpsよりも小さいモノマーは、PBA、BPMA、PHEA、PH(EO)2A、ACMOから選択される少なくとも1種である。
【0056】
本願において、前記PET基材によく付着したモノマーは、o-フェニルフェノキシエチルアクリレート、m-フェノキシベンゼンメタクリレート、2-(p-クメニル-フェノキシ)-エチルアクリレート、ベンジルアクリレートから選択される少なくとも1種である。
【0057】
1つの好ましい実施形態では、前記o-フェニルフェノキシエチルアクリレート(OPPEA)の由来は、特に限定されず、致徳化学PP011、美源M1142、諾爾達N112、長興EM2105などが挙げられてもよい。
【0058】
1つの好ましい実施形態では、前記m-フェノキシベンゼンメタクリレート(MPOBA)の由来は、特に限定されず、長興EM2050などが挙げられてもよい。
【0059】
1つの好ましい実施形態では、前記2-(p-クメニル-フェノキシ)-エチルアクリレート(CPEA)の由来は、特に限定されず、長興EM2107などが挙げられてもよい。
【0060】
1つの好ましい実施形態では、前記ベンジルアクリレート(BA)の由来は、特に限定されず、長興EM75などが挙げられてもよい。
【0061】
1つのより好ましい実施形態では、切り屑の問題を改善するために、前記PET基材によく付着したモノマーは、OPPEA、OPP(EO)2A、MPOBA、CPEAから選択される少なくとも1種である。
【0062】
二官能光硬化性モノマー
本願において、前記二官能光硬化性モノマーの塗料の製造原料に占める重量部数は、20~76部である。
【0063】
1つの好ましい実施形態では、前記二官能光硬化性モノマーの塗料の製造原料に占める重量部数として、20部、21部、22部、23部、24部、25部、26部、27部、28部、29部、30部、31部、32部、33部、34部、35部、36部、37部、38部、39部、40部、41部、42部、43部、44部、45部、46部、47部、48部、49部、50部、51部、52部、53部、54部、55部、56部、57部、58部、59部、60部、61部、62部、63部、64部、65部、66部、67部、68部、69部、70部、71部、72部、73部、74部、75部、76部などが挙げられてもよい。
【0064】
1つのより好ましい実施形態では、前記二官能光硬化性モノマーの塗料の製造原料に占める重量部数は、25~70部である。
【0065】
本願において、前記二官能光硬化性モノマーの構造は、式1に示すとおりである(式中、前記R、R’は、それぞれメタクリロキシ基、¥、ビニル基、アリル基から選択されるいずれか1種であり、前記R
1、R
2は、それぞれ水素、アルキル基、アルコキシ基から選択されるいずれか1種であり、前記m、nは、自然数である)。
【化4】
【0066】
1つの好ましい実施形態では、前記二官能光硬化性モノマーは、BPA(EO)
m+nDA及び/又はBPA(EO)
m+nDMAであり、前記BPA(EO)
m+nDAの構造は、式2に示すとおりであり、前記BPA(EO)
m+nDMAの構造は、式3に示すとおりである。
【化5】
【化6】
【0067】
本願において、2≦m+n≦40である。
【0068】
出願人は、2≦m+n≦40である場合、当該種類のモノマーが調整可能なエトキシ鎖セグメントを有し、エトキシ鎖の短縮(例えば、2≦m+n≦6)に伴い、当該種類のモノマーが、反応速度が速く、硬度が高いという特徴を示し、体系の硬化度を向上させ、屑落ちを減少させ、エトキシ鎖の延長(例えば7≦m+n≦40)に伴い、当該種類のモノマーが、優れた可撓性を有し、体系に優れた自己修復性能を提供することを発見した。一方、エトキシ鎖セグメントの数が多いほど、自己修復性が高いが、屈折率が低い。したがって、エトキシ鎖の長い二官能光硬化性モノマーは、所望の屈折率を得るために、OPPEA、CPEAなどの屈折率が高い単官能光硬化性モノマーと組み合わせるべきであり、エトキシ鎖の短いモノマーは、硬度を低下させるために、PH(EO)2A、PHEA、アクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFA)類の単官能光硬化性モノマーと組み合わせてもよい。本願において、エトキシ鎖が短い二官能光硬化性モノマーは、反応速度が速く、体系の反応程度が高いため、それにより製造された塗料が優れた信頼性試験性能を有し、エトキシ鎖が長い二官能光硬化性モノマーは、反応速度が遅いため、反応速度が速い単官能光硬化性モノマーと組み合わせるべきであり、それにより体系の硬化程度を向上させ、製造された塗料の信頼性試験性能を向上させる。
【0069】
1つの好ましい実施形態では、10<m+n≦40であり、このようなモノマー中のエトキシの繰り返し鎖が長いため、優れた可撓性及び自己修復性を提供することができる。しかしながら、出願人は、検討過程において、このようなモノマーの添加量が多すぎるべきではなく、一般的に、20重量部以下であり、その添加量が20重量部を超えると、それにより製造された塗料の屈折率に深刻な影響を与え、より多くの他の高屈折率モノマーを添加してもバランスを取りにくいため、輝度向上フィルムの輝度向上の要求を達成しにくく、付着力、架橋密度も影響を受け、更に切り屑及び信頼性試験問題の改善に影響を与えることを発見した。
【0070】
1つの好ましい実施形態では、7≦m+n≦10であり、このようなモノマー中のエトキシの繰り返し鎖は適切であり、高い可撓性を有するだけでなく、屈折率を大きく低下させないが、短鎖(2≦m+n≦6)及び長鎖(m+n>10)のモノマーと組み合わせることで、可撓性と屈折率の性能を良好にバランスさせることができ、異なる鎖長のモノマーが硬化後に適切な架橋密度を得ることができる。このようなモノマーの添加量の好ましい範囲は、0~40重量部であり、このようなモノマーを添加する場合、組み合わせる短鎖モノマーは、好ましくは、15~40重量部であり、長鎖モノマーは、好ましくは、5~15重量部である。
【0071】
1つの好ましい実施形態では、2≦m+n≦6であり、このようなモノマー中のエトキシの繰り返し鎖が少なく、好ましくは、少なくとも10重量部の長鎖モノマー(m+n>10)又は少なくとも30重量部のモノマー(m+n≧7)及び他のモノマーと組み合わせて、より優れた可撓性を達成することができる。
【0072】
光開始剤
本願において、前記助剤が塗料の製造原料に占める重量部数は、1~10部である。
【0073】
好ましい実施形態では、前記単官能光硬化性モノマーが塗料の製造原料に占める重量部数として、1部、1.5部、2部、2.5部、3部、3.5部、4部、4.5部、5部、5.5部、6部、6.5部、7部、7.5部、8部、8.5部、9部、9.5部、10部などが挙げられてもよい。
【0074】
1つのより好ましい実施形態では、前記助剤の塗料の製造原料に占める重量部数は、1~4部である。
【0075】
本願において、前記光開始剤は、特に限定されず、当業者によく知られている。
【0076】
1つの好ましい実施形態では、前記光開始剤は、α-ヒドロキシアルキルケトン系光開始剤及び/又はアシルオキサイド系開始剤である。
【0077】
1つのより好ましい実施形態では、前記光開始剤は、光開始剤184、光開始剤TPO、光開始剤1173から選択される少なくとも1種である。
【0078】
出願人は、実験過程において、本体系における光開始剤が少なくとも光開始剤TPOを含み、かつ光開始剤184、光開始剤1173のうちの少なくとも1種と組み合わせると、塗料をより十分に硬化させ、理想的な硬化度に達することができることを発見した。
【0079】
助剤
本願において、前記助剤の塗料の製造原料に占める重量部数は、0~4部である。
【0080】
好ましい実施形態では、前記助剤の塗料の製造原料に占める重量部数として、0部、0.1部、0.2部、0.3部、0.4部、0.5部、0.6部、0.7部、0.8部、0.9部、1.0部、1.1部、1.2部、1.3部、1.4部、1.5部、1.6部、1.7部、1.8部、1.9部、2.0部、2.1部、2.2部、2.3部、2.4部、2.5部、2.6部、2.7部、2.8部、2.9部、3.0部、3.1部、3.2部、3.3部、3.4部、3.5部、3.6部、3.7部、3.8部、3.9部、4.0部などが挙げられてもよい。
【0081】
より好ましい実施形態では、前記助剤の塗料の製造原料に占める重量部数は、0~1部である。
【0082】
本願において、前記助剤は、少なくともスリップ剤を含む。
【0083】
1つの好ましい実施形態では、前記スリップ剤は、ポリエーテル変性シリコーン化合物である。
【0084】
より好ましい実施形態では、前記ポリエーテル変性シリコーン化合物の供給源は、特に限定されず、自製により得られてもよく、購入により得られてもよく、前記ポリエーテル変性シリコーン化合物の販売元として、BYK-333、BYK-3505、BYK3500、BYK3510、SF-761C、TEGO450、TEGO410などが挙げられてもよく、前記ポリエーテル変性シリコーン化合物の構造として、
【化7】
【化8】
【化9】
が挙げられてもよく、前記R
10、R
20は、H又はメチル基であり、pは、3~50の間の整数であり、前記qは、10~100の範囲内の任意の整数であり、前記R
30の構造は、
【化10】
であり、前記xとyは、いずれも1~15の範囲内の任意の整数であり、前記R
50は、水素又は
【化11】
であり、前記rとsは、いずれも0~100の範囲内の任意の整数であり、かつrとsの和は、100であり、前記R
40の構造は、
【化12】
である。
【0085】
出願人は、研究過程において、シリコーン助剤が硬化後に常に表面に移行するため、高温高湿信頼性試験後に、フィルム表面に助剤自体の析出が発生しやすく、又は偏光板と組み合わせた後に白い縞が発生して画面に影響を与えることを発見した。したがって、本体系は、反応型助剤を選択することにより、助剤の移行による影響を低減させることができ、非反応型助剤に対して、体系の反応速度又は架橋度を向上させることにより、助剤の移行による影響を低減させることができる。
【0086】
本願の第2の態様は、前記輝度向上フィルム塗料の製造方法を提供し、単官能光硬化性モノマー、二官能光硬化性モノマー、光開始剤、及び助剤を混合した後に均一に撹拌して得るステップを含む。
【0087】
1つの好ましい実施形態では、前記撹拌の速度及び時間は、均一に混合することを満たせばよく、本願に係る塗料の製造において、撹拌速度は、好ましくは500rpm以上であり、更に好ましくは500~2000rpmであり、撹拌時間は、好ましくは30min以上であり、更に好ましくは30~120minであり、本願に係る塗料の製造において、各原料を均一に混合した後、フィルタバッグを用いて固体粒子不純物を濾過する。
【0088】
以下の実施例により本願を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本願のさらなる説明のためのものに過ぎず、本願の保護の範囲を限定するものではないと理解すべきである。本願の上記内容に基づいて、当業者がなされた非本質的な改良及び調整は、依然として本願の保護の範囲内に含まれる。
【0089】
また、特に説明のない限り、使用される原料は全て市販のものである。
実施例
【0090】
以下、実施例を参照して本願を更に詳細に説明するが、本願の実施形態は、これに限定されるものではない。
【0091】
実施例及び比較例に使用される成分及びその使用量(重量部で計算する)の説明及び性能試験結果を表1~3に示す。実施例では、OPPEAは、長興EM2105であり、PHEAは、長興EM210であり、MPBOAは、長興EM2050であり、BPA(EO)4DAは、長興EM2261であり、BPA(EO)10DAは、長興EM2265であり、BPA(EO)20DAは、長興EM2269であり、光開始剤184は、長興PI184であり、光開始剤1173は、長興PI1173であり、光開始剤TPOは、長興PITPOであり、ACMOは、潤奥LuCure248である。
【0092】
性能試験
1、付着力について、クロスカット法で23±2℃の塗布層の付着力を測定する。付着力は、良好なものから順に5B、4B、3B、2B、Bである。
【0093】
2、切断による落ち屑について、輝度向上フィルムをカッターで切断した後、25℃でブチロニトリル手袋を着用して手で輝度向上フィルムの縁部を擦り、塗布層の落ちた量を観察する。
【0094】
3、信頼性試験について、輝度向上フィルムを偏光板などの他の構成と組み立てた後、85℃、85RH%の条件で240H放置し、その表面に異常画面があるか否かを観察する。試験後、画面に何らかの不良が発生しない場合を優とし、小面積領域に画面不良が発生する場合を良とし、大面積領域に画面不良が発生する場合を劣とする。
【0095】
【0096】
実施例1~6は、比較例1、比較例2に比べて、単官能光硬化性モノマー及び二官能光硬化性モノマーが前記区間にある場合、より高い信頼性結果を取得し、切り屑を減少させることができる。
【0097】
【0098】
実施例7、実施例8は、比較例3に比べて、光開始剤TPOを増加させることにより体系の反応程度を向上させ、体系における小分子モノマーをより徹底的に反応させ、より良好な信頼性結果を取得する。比較例4において、過剰の開始剤は、硬化後の高分子の鎖長及び硬化程度を低下させ、切り屑の増加、信頼性試験の悪化をもたらす。
【0099】
【0100】
実施例9は、比較例6に比べて、UV反応に関与できる反応型助剤BYK3505(TEGO450は、UV反応に関与できない)を使用することにより、反応後の塗布層への助剤の移行が減少するため、より高い信頼性結果を示す。
【0101】
前述の実施例は説明的なものに過ぎず、本願に係る方法の特徴を説明するために使用されている。添付の特許請求の範囲は、想定され得る可能な限り広い範囲を請求することを意図しており、本明細書に提示された実施例は、全ての可能な実施例の組み合わせに従って、選択された実施形態の説明に過ぎない。したがって、本出願人らは、添付の特許請求の範囲が、本願の特徴を説明するために選択された実施例によって限定されるものではないことを意図する。特許請求の範囲で使用されるいくつかの数値範囲もそれによって包含されるサブレンジを含み、これらの範囲の変更は、また、可能な限り、添付の特許請求の範囲によってもカバーされるものとして解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本願に係る輝度向上フィルム塗料は、表示材料の技術分野に応用することができる。
【国際調査報告】