(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ハイブリッド電気通信ケーブル
(51)【国際特許分類】
G01D 5/353 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
G01D5/353 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563151
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021086699
(87)【国際公開番号】W WO2022136217
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500379381
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシャルシュ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】Centre National de la Recherche Scientifique
【住所又は居所原語表記】3 rue Michel Ange, FR-75016 Paris, France
(71)【出願人】
【識別番号】523239549
【氏名又は名称】イ.デ.イ.エル.ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】I.D.I.L SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】グッシャー, マルク-アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】キュテル,リオネル
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA04
2F103CA01
2F103CA07
2F103EB01
2F103EB11
2F103EC09
(57)【要約】
本発明は、電気通信ケーブル、特に海底ケーブル(1、100)であって、複数の光ファイバ(3)を含むコア(2)、前記コア(2)の周りに放射状に配置された内部補強材(7)であって、複数の鋼線(8)を含む、内部補強材(7)、前記コア(2)と前記内部補強材(7)との間に放射状に配置された中間シース(6)、及び前記内部補強材(7)の周りに放射状に配置された高分子材料の保護シース(9)を含むケーブルにおいて、前記ケーブル(1、100)は、前記コア(2)と前記保護シース(9)との間に配置された少なくとも1つの感知光ファイバ(10、12)をさらに含むことを特徴とするケーブルに関する。また本発明は、該電気通信ケーブルが受ける機械的変形を測定する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気通信ケーブル、特に海底ケーブル(1、100)であって、
・複数の光ファイバ(3)を含むコア(2)、
・前記コア(2)の周りに放射状に配置された内部補強材(7)であって、複数の鋼線(8)を含む、内部補強材(7)、
・前記コア(2)と前記内部補強材(7)との間に放射状に配置された中間シース(6)、及び
・前記内部補強材(7)の周りに放射状に配置された高分子材料の保護シース(9)
を含むケーブルにおいて、
前記ケーブル(1、100)は、前記コア(2)と前記保護シース(9)との間に配置された少なくとも1つの感知光ファイバ(10、12)をさらに含むことを特徴とする、ケーブル。
【請求項2】
前記少なくとも1つの感知光ファイバ(10、12)は、金属チューブ(11、13)内に配置され、前記金属チューブ(11、13)は、前記内部補強材(7)の一部を形成することを特徴とする、請求項1に記載のケーブル(1、100)。
【請求項3】
少なくとも2つの感知光ファイバ(10、12)は、金属チューブ(11、13)内に配置され、前記金属チューブ(11、13)は、前記内部補強材(7)の一部を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のケーブル(1、100)。
【請求項4】
前記感知光ファイバ(10)は、互いに密に、いわゆる密に束ねた構成で配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のケーブル(1、100)。
【請求項5】
前記感知光ファイバ(12)は、互いに対してゆるく、いわゆるゆるく束ねた構成で配置されることを特徴とする、請求項3に記載のケーブル(1、100)。
【請求項6】
少なくとも2つの感知光ファイバ(10)は、互いに密に、いわゆる密に束ねた構成で第1の金属チューブ(11)内に配置され、少なくとも2つの感知光ファイバ(12)は、互いに対してゆるく、いわゆるゆるく束ねた構成で第2の金属チューブ(13)内に配置され、前記第1及び第2の金属チューブ(11、13)は、前記内部補強材(7)の一部を形成し、前記密に束ねた構成の前記チューブ内の空いた空間には、樹脂又はゲル(14)が充填されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のケーブル(1、100)。
【請求項7】
前記中間シース(6)は、電気信号を送信するのに適している金属シース(5)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のケーブル(1、100)。
【請求項8】
前記保護シース(9)の周りに放射状に配置された追加の補強材(15)、及び前記追加の補強材(15)の周りに放射状に配置された追加の保護シース(16)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のケーブル(1、100)。
【請求項9】
前記鋼線(8)は、ステンレス鋼製であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のケーブル(1、100)。
【請求項10】
前記金属チューブは、ステンレス鋼製であることを特徴とする、請求項2~10のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電気通信ケーブル(1、100)が受ける機械的変形を測定する方法であって、
- レーザー源によってレーザーパルスを提供する工程、
- 質問器(20)によって、前記レーザーパルスを前記電気通信ケーブル(1、100)の前記少なくとも1つの感知光ファイバ(10、12)の中に注入する工程、
- 前記質問器(20)によって、前記少なくとも1つの感知光ファイバ(10、12)内で後方散乱された前記パルスの光強度を表す光信号を検知する工程、及び
- 前記質問器(20)によって、前記ケーブル(1、100)が受ける機械的変形を前記光信号から判断する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信ケーブル、特に海底電気通信ケーブルに関する。また、本発明は、該電気通信ケーブルが受ける機械的変形を測定する方法に関する。
【0002】
本発明の分野は、限定されないが通信の分野である。
【背景技術】
【0003】
光ファイバを使用して、様々な物理量に対する検知器を実装できる。測定光パルスが光ファイバを伝播する際に、散乱場で後方散乱した光を利用してファイバの変形、動き、又は振動を検知できる。
【0004】
このような感知光ファイバは、電力ケーブルの摩耗具合を監視するのに特に有用である。このようなケーブルは、例えば、洋上風力タービンなどの浮体式洋上施設を陸上の施設に接続できる。これらの海底ケーブルは、特に波によって伝わるある程度永久的な動きの影響を受ける。これらの電気ケーブルを監視するために、1つ以上の感知光ファイバをケーブルに挿入してケーブルの動き及び応力を追跡し、検知することができる。
【0005】
感知光ファイバの別の用途が、地震の監視である。このために、地上又は海底の電気通信ケーブルを使用して地面又は海底の緩慢な動きを検知する。この場合、測定パルスを送信するために電気通信データの送信専用の1つ以上の光ファイバも使用される。
【0006】
このような監視作業を実行するために用いられる技術は、反射測定タイプのもの及びレーザー干渉計タイプのものであり、例えばDAS(分散音響センシング)及びFMI(周波数計測干渉計)などがある。ただし、DAS又はFMIに電気通信ファイバを使用すると、ケーブル帯域幅が減少する。これは、送信される電気通信データのセキュリティ又は機密性が損なわれるリスクにつながるおそれがある。そのため、原則として電気通信事業者は、科学的又は基礎的な研究目的でケーブルにアクセスすることを許可していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、これらの欠点を解消することができる電気通信ケーブル、特に海底ケーブルを提供することである。
【0008】
本発明の目的は、送信される電気通信データのセキュリティが損なわれることなく、科学的な研究の範囲内で使用しうる電気通信ケーブルを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、監視される電気通信ケーブルの機械的完全性及び正常な状態を可能にする電気通信ケーブルを提供することである。
【0010】
さらに本発明の他の目的は、地震監視の範囲内で使用しうる電気通信ケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的の少なくとも1つは、以下の電気通信ケーブルで達成される。すなわち、
電気通信ケーブル、特に海底ケーブル(1、100)であって、
・複数の光ファイバ(3)を含むコア(2)、
・前記コア(2)の周りに放射状に配置された内部補強材(7)であって、複数の鋼線(8)を含む、内部補強材(7)、
・前記コア(2)と前記内部補強材(7)との間に放射状に配置された中間シース(6)、及び
・前記内部補強材(7)の周りに放射状に配置された高分子材料の保護シース(9)
を含むケーブルにおいて、
前記ケーブル(1、100)は、前記コア(2)と前記保護シース(9)との間に配置された少なくとも1つの感知光ファイバ(10、12)をさらに含むケーブルである。
【0012】
本発明による電気通信ケーブルは、電気通信専用のコア内の光ファイバと、コアと保護シースとの間に構成された少なくとも1つの感知光ファイバの両方を含むハイブリッドケーブルである。この少なくとも1つの感知光ファイバは、電気通信データの送信を意図したものではなく、単にセンサ機能を意図した追加の光ファイバである。
【0013】
コアの外側と保護シースの内側の両方に感知ファイバを配置することで、電気通信ケーブルにかかる力(ケーブルの湾曲、取り扱い、起こり得る衝撃など)から感知ファイバを適切に保護しながら、ケーブルの応力及び歪みを感知するための感知ファイバの感度を良好に保つ。
【0014】
電気通信ケーブル、特に海底ケーブルに1つ以上の感知光ファイバを組み入れると、ケーブルの緩慢な変形又は急激な変形及び損傷の検知に基づいて広大な応用分野が開かれる。これらの測定は、ケーブルの環境に関する環境測定として要約できる。
【0015】
特に、このようなケーブルにより、他の方法ではアクセスできない場所での監視又は測定を、特に地震を監視したり海底の動きを観察したりするために行うことが可能になる。電気通信ケーブルの健全性の状態を制御し、監視すること、すなわち時間の経過とともに進行する劣化を追跡し、自発的な又は意図せざる外部劣化を検知することも可能である。このような劣化は、ケーブルの完全性及び/又は伝送されるデータの機密性を損なうことがある。
【0016】
本発明による電気通信ケーブルにより、電気通信データの送信をケーブルの環境測定から完全に切り離すことが可能になる。
【0017】
有利な実施形態によれば、少なくとも1つの感知光ファイバは、金属チューブ内に配置され、前記金属チューブは、前記内部補強材の一部を形成する。
【0018】
この場合、感知光ファイバは、特に機械的な劣化から良好に保護される。ケーブルの構造は、標準のケーブルと比較してわずかに修正されているだけである。
【0019】
実施形態によれば、少なくとも2つの感知光ファイバは、金属チューブ内に配置され、前記金属チューブは、前記内部補強材の一部を形成する。
【0020】
少なくとも2つの感知ファイバがあることにより、感知ファイバの一方に障害が発生した場合に冗長性ができる。
【0021】
第1の実施例によれば、前記感知光ファイバは、互いに密に、いわゆる密に束ねた構成で配置されることができる。
【0022】
前記密に束ねた構成は、BOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometry)技術を使用するのに特によく適している。
【0023】
BOTDR技術は、海底断層の活動による海底の変形を検知することとともに、電気通信ケーブル自体の健全性の状態を確立して監視するのにも特に適している。
【0024】
BOTDR技術により、特に突然の変化、又は進行性の/緩慢な変化(例えば1日、1か月、又は1年あたり数センチメートル程度)を観察することが可能になる。概して、BOTDRにより、1Hz未満のベース周波数での変化を測定することが可能になる。
【0025】
これは、密に束ねた構成と呼ばれる。
【0026】
第2の実施例によれば、前記感知光ファイバは、互いに対してゆるく、いわゆるゆるく束ねた構成で配置されうる。
【0027】
前記ゆるく束ねた構成は、DAS(distributed acoustic detection)又はFMI(frequency metrology interferometry)技術を使用するのに特によく適している。
【0028】
DAS技術及びFMI技術は、特に地震の監視に適している。この方法で、例えば海岸から数百キロメートル離れた場所や、地震観測所のない場所など、遠く離れた場所で発生する地震を検知することが可能になる。したがって、地震の監視及び地震警報システムの性能を向上させることができる。
【0029】
またDAS技術は、意図せざる外部劣化及び/又は意図的な侵入を検出することにより、電気通信ケーブルそれ自体を監視することを可能とする。
【0030】
DAS技術及びFMI技術は、特に速い変化、例えば1秒より短く、周波数>1Hzである歪みを観察することが可能になる。
【0031】
これは、ゆるく束ねた構成と呼ばれる。
【0032】
有利な実施形態によれば、少なくとも2つの感知光ファイバは、互いに密に、いわゆる密に束ねた構成で第1の金属チューブ内に配置することができ、少なくとも2つの感知光ファイバは、互いに対してゆるく、いわゆるゆるく束ねた構成で第2の金属チューブ内に配置することができる。前記第1及び第2の金属チューブは、前記内部補強材の一部を形成し、前記密に束ねた構成の前記チューブ内の空いた空間には、樹脂又はゲルが充填される。
【0033】
電気通信ケーブルのこの構成により、適切な1つ又は複数の測定技術を用いて、単一のケーブルでケーブルの変形及び/又は緩慢な変化及び急速な変化を測定することが可能になる。
【0034】
有利には、前記中間シースは、電気信号を送信するのに適している金属シースを含みうる。
【0035】
特に電気通信ケーブルに沿って規則的な間隔で設置された中継器に給電するために、電気信号が必要である。
【0036】
有利な実施形態によれば、金属シースは銅で構成されうる。
【0037】
実施形態によれば、前記電気通信ケーブルは、前記保護シースの周りに放射状に配置された追加の補強材、及び前記追加の補強材の周りに放射状に配置された追加の保護シースをさらに含みうる。
【0038】
二重に補強したこのようなケーブルは、特に堅牢であり、例えば人間の激しい活動(釣り、トロール漁など)のためにケーブルが危険度の高い領域に展開される場合に、コア内の光ファイバを保護するのに十分に適している。
【0039】
有利には、前記補強材の鋼線及び/又は前記感知光ファイバを含む前記チューブはステンレス鋼製でありうる。
【0040】
この金属は、腐食せず、あるいは、ほどんど腐食しない。
【0041】
前記と同じ発明の他の態様によれば、前記請求項のいずれかに記載の電気通信ケーブルが受ける機械的変形を測定する方法であって、
- レーザー源によってレーザーパルスを提供する工程、
- 質問器によって、前記レーザーパルスを前記電気通信ケーブルの前記少なくとも1つの感知光ファイバの中に注入する工程、
- 前記質問器によって、前記少なくとも1つの感知光ファイバ内で後方散乱された前記パルスの光強度を表す光信号を検知する工程、及び
- 前記質問器によって、前記ケーブルが受ける機械的変形を前記光信号から判断する工程、を含む方法が提供される。
【0042】
電気通信ケーブル、特に海底ケーブルが受ける機械的変形には、伸び、及び特に軸方向の圧縮が含まれていてよい。変形は、自然要因(地震、海底地滑り、又はその他の海底の動きなど)、意図せざる人為的応力(トロール漁、船の錨など)、さらには意図的な侵入(スパイ活動)が原因である場合もある。ケーブルの変形は、緩慢なこともあれば急速なこともある。本説明の範囲内で、「機械的変形」という用語は、ケーブルの損傷又はその他の機械的変化も意味し得る。
【0043】
これらの変形は、全て前記電気通信ケーブルの適切な機能に対して弊害をもたらしうる。
【0044】
前記電気通信ケーブルに存在する少なくとも1つの感知ファイバは、前記ケーブルの健全度を追跡し、前記ケーブルの環境を監視することを可能にする。
【0045】
さらなる有利な点及び特徴は非限定的な実施例の詳細な記載及び添付図面を検討することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明による電気通信ケーブルの非限定的で例示的な実施形態の概略横断面図である。
【
図2】本発明による電気通信ケーブルの別の非限定的で例示的な実施形態の概略横断面図である。
【
図3】本発明による電気通信ケーブルが質問器に接続されている概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に記載された実施形態は限定するものではない。以下に記載された特徴から分離された特徴の選択のみを含む、本発明に対する代替手段を考えることは、この選択が技術的有利性をもたらし、あるいは、従来技術から本発明を区別するのに十分であれば、特に可能である。この選択は、構造細部なしで、又は構造細部の一部(この一部単独が技術的有利性をもたらし、あるいは、従来技術から本発明を区別するのに十分であれば)を有する少なくとも1つの好ましい機能的特徴を含む。
【0048】
特に、全ての代替手段及び全ての記載された実施形態は、互いに結合させることが、その結合が技術的に対立しない限り可能である。
【0049】
図面において、複数の図面に共通する要素は同じ符号でありうる。
【0050】
図1は、本発明の実施形態において、海底電気通信ケーブルの例示的な実施形態の概略横断面図である。
【0051】
ケーブル1は、複数の光ファイバ3を有するコア2を含む。これらの光ファイバ3は、電気通信用にデータを送信するためのものである。
【0052】
コア2は、光ファイバ3の機械的保護及び不透水性のためにゲルシース4で囲まれている。ゲル層4は、銅シース5で囲まれている。この金属シース5により電流が流れる。ゲルシース4と金属シース5は、中間シース6を形成する。
【0053】
中間シース6の周りには補強材7が放射状に配置されている。補強材7は、光ファイバを機械的応力から保護し、ケーブルに機械的安定性をもたらす。
【0054】
図1に表された実施形態においては、補強材7は、複数の8の環状の配置からなる。好ましくは、前記鋼線はステンレス鋼製である。
【0055】
最後に、高分子材料でできた保護シース9が補強材7の周りに放射状に配置され、ケーブル1の外部の不浸透性バリアを構築している。
【0056】
図1に示した実施形態によるケーブル1は、感知光ファイバも含む。3つの感知ファイバ10が、補強材7の一部を形成している金属チューブ11内に互いに密に配置されている。別の3つの感知ファイバ12が、同じく補強材7の一部を形成している別の金属チューブ13内に互いに対してゆるく配置されている。
【0057】
感知ファイバ10を密に束ねた構成では、金属チューブ11内の空いた空間には樹脂又はゲル14が充填される。
【0058】
金属チューブ11、13は、好ましくは、補強材7の他のワイヤのように、ステンレス鋼製である。
【0059】
もちろん、感知光ファイバの配置及び/又は数に対する他の構成が可能である。
【0060】
例えば、前記チューブ内のファイバの数を増やすことが可能である(しかし、おそらく3が理想的な数字である)。
【0061】
図2は、本発明の他の実施形態による海底電気通信ケーブルの別の例の概略横断面図である
【0062】
図2の実施形態によるケーブル100は、
図1の実施形態によるケーブル1の全ての要素を含む。
【0063】
図2のケーブル100はさらに、金属シース5の周りに放射状に配置された第2の補強材15を含む。この追加の補強材15は、内部補強材7のように、リング状に配置された複数の鋼線で作製されている。
【0064】
樹脂からなる追加の保護シースは追加の補強材15の周りに放射状に配置される。
【0065】
単数又は複数の前記保護シースは、特にポリエチレンで作製されうる。
【0066】
図1、2の実施形態による前記ケーブルの直径は、約10~20mmである。
【0067】
本発明による測定方法の例示的な実施形態を
図1~
図3を参照して以下に説明する。本測定方法により、本発明による電気通信ケーブル、例えば
図1及び
図2を参照して説明した実施形態によるケーブルが受ける機械的変形を測定することが可能になる。
【0068】
図3は、電気通信ケーブル1、100が接続されている質問器を示す。前記質問器は、レーザー源と光センサを含む。
【0069】
ケーブルの各感知光ファイバの近位端にはレーザーパルス21が接続される。パルス21は、感知ファイバ内を伝播し、特にファイバ内の散乱場によって部分的に後方散乱される。後方散乱光22は、感知ファイバの遠位端から反射した光と干渉する。
【0070】
後方散乱光22は、質問器20のセンサによって検知される。感知された信号は、散乱場の特徴を含んでいるため、その時間経過を観察できる。そのため、ケーブルが受ける機械的変形を光信号から検知又は判断することが可能である。このために、質問器20にはプロセッサ又はその同等物が装備される。
【0071】
実際には、ケーブルの各感知ファイバに数万又は数千万の超短パルス(数ナノ秒持続)を注入できる。
【0072】
一実施形態によれば、2つの感知ファイバの端部をケーブルの遠位端で一つに溶接できる。感知ファイバの一方にレーザーパルスを注入でき、両ファイバを同時に調べることができる。
【0073】
この実施形態は、特に、短距離の範囲(<50km)に適している。これにより測定を繰り返すことができ、この冗長性により測定の信頼性が高まる。
【0074】
質問器20は、DASタイプのものであってよい。この場合、質問器は、密に束ねた構成の1つ以上の感知ファイバに接続される。
【0075】
質問器20は、BOTDRタイプのものであってよい。
【0076】
質問器20は、FMIタイプのものであってよい。
【0077】
当然のことながら、ケーブルの感知光ファイバに2つ以上の質問器(interrogator)を接続することが可能である。例えば、自発的な又は意図せざる劣化を検知するために、地震の監視及び/又はケーブルの監視のために、ゆるく束ねた構成の1つ以上の感知ファイバにDAS質問器を接続できる。海底断層の活動による海底の緩慢な変形を検出するため、及び/又は自発的な又は意図せざる劣化を検出するために、密に束ねた構成の1つ以上の感知ファイバにBOTDR質問器を接続できる。
【0078】
当然のことながら、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲から離れることなく、それらの実施例に対し多くの変更を行うことができる。
【国際調査報告】