(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(54)【発明の名称】新しい治療法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20231228BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563340
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 GB2021053432
(87)【国際公開番号】W WO2022136887
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523239871
【氏名又は名称】バイヴィクトリックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ティファニー・ジェーン・ダニエルズ
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、CD33+CD7+血液悪性腫瘍、特に急性骨髄性白血病(AML)の処置における使用のための、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体及びその抗原結合性断片に関する。特に、本発明は、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、配列、VH配列番号81及びVL配列番号85に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、並びに以下の配列、VH配列番号11、VH配列番号21、VH配列番号31、VH配列番号51、VH配列番号71、VL配列番号15、VL配列番号25、VL配列番号35、VL配列番号55、及びVL配列番号75に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列及びVL配列を含むヒトCD7に結合する第2の結合領域を含み、又は、配列、VH配列番号97及びVL配列番号101に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、並びに以下の配列、VH配列番号1、VH配列番号51、VH配列番号71、VL配列番号5、VL配列番号55、及びVL配列番号75に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列及びVL配列を含むヒトCD7に結合する第2の結合領域を含む、抗体又はその抗原結合性断片に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、
配列:
VH配列番号81及び
VL配列番号85
に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、
並びに以下の配列:
VH配列番号11、
VH配列番号21、
VH配列番号31、
VH配列番号51
VH配列番号71、
VL配列番号15、
VL配列番号25、
VL配列番号35、
VL配列番号55、及び
VL配列番号75
に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列及びVL配列を含む、ヒトCD7に結合する第2の結合領域、
を含む抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項2】
配列が少なくとも98%の配列同一性を有する、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項3】
配列が少なくとも99%の配列同一性を有する、請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項4】
配列が100%の配列同一性を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項5】
ヒトCD7に結合する第2の結合領域が、以下の配列:
a)VH配列番号11及びVL配列番号15、
b)VH配列番号21及びVL配列番号25、又は
c)VH配列番号31及びVL配列番号35、
を有するVH配列及びVL配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項6】
CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、
配列:
VH配列番号97及び
VL配列番号101、
に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、
並びに以下の配列:
VH配列番号1、
VH配列番号51、
VH配列番号71、
VL配列番号5、
VL配列番号55及び
VL配列番号75
に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列及びVL配列を含む、ヒトCD7に結合する第2の結合領域、
を含む抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項7】
配列が少なくとも98%の配列同一性を有する、請求項6に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項8】
配列が少なくとも99%の配列同一性を有する、請求項6又は7に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項9】
配列が100%の配列同一性を有する、請求項6から8のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項10】
ヒトCD33に結合する第2の結合領域が、以下の配列:
VH配列番号97及び
VL配列番号101
を有するVH配列及びVL配列を含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項11】
CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、及びヒトCD7に結合する第2の結合領域を含み、第2の結合領域が、以下の、配列番号13、配列番号23若しくは配列番号53のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、及び/又は配列番号34若しくは配列番号74のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域のうちの1つ又は複数を含む、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項12】
CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、及びヒトCD7に結合する第2の結合領域を含み、第1の結合領域が、配列番号100のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域を含む、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項13】
CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、及びヒトCD7に結合する第2の結合領域を含み、ヒトCD7に結合する第2の結合領域が、以下の
a)配列番号12のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号14のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号16のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号18のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、
b)配列番号22のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号23のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号24のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号26のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号27のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、
c)配列番号32のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号34のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号36のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号37のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、
d)配列番号52のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号53のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号54のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号56のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号57のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、並びに
e)配列番号72のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号73のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号74のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号76のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号77のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号78のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、
のうちの1つを含む抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項14】
ヒトCD33に結合する第1の結合領域が、野生型VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3並びにVL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3アミノ酸配列又は所与のVH鎖若しくはVL鎖のCDRにわたって2個以上の変異を有する関連配列を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項15】
CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、野生型VH及びVL配列を含むヒトCD33に結合する第1の結合領域、並びに以下の
a)重鎖における単一若しくは二重変異、及び/又は
b)軽鎖における単一変異
の少なくとも1つ又は複数を有するそれぞれの重鎖及び軽鎖配列に由来するVH配列及びVL配列を含むヒトCD7に結合する第2の結合領域
を含む、抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項16】
それぞれの重鎖及び軽鎖配列に由来するCD7VH及びVL配列が、以下の変異:
a)重鎖の残基57、104及び108における単一若しくは二重変異、並びに/又は
b)軽鎖の残基27における単一変異
の少なくとも1つ又は複数を有する、請求項15に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項17】
重鎖における変異が、残基57のGly若しくはLys、又は残基104のAla、又は残基108のAlaである、請求項16に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項18】
軽鎖における変異が、残基27のAlaである、請求項17に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項19】
ヒトCD7に結合する第2の結合領域が、重鎖の残基104のAlaにおいて単一変異を有するそれぞれの重鎖及び軽鎖配列に由来するVH配列及びVL配列を含む、請求項15に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項20】
CD7+CD33+血液悪性腫瘍の処置における使用のための、請求項1から18のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項21】
CD33+及び/又はCD7+細胞へのCD33及び/又はCD7受容体を介した内在化を誘導することができる、請求項20に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項22】
CD33及びCD7に二重特異的に結合し、CD33+及びCD7+細胞がAML細胞である、請求項20又は21に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項23】
抗体依存性細胞傷害を媒介することができる、請求項20又は21に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項24】
免疫エフェクター細胞に結合しているか、又は免疫エフェクター細胞と形成されている、請求項21又は22に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項25】
免疫エフェクター細胞がT細胞及び/又はNK細胞を含む、請求項24に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項26】
細胞阻害性細胞がT細胞である、請求項25に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項27】
免疫エフェクター細胞が二重特異性抗CD33抗CD7 CAR-Tである、請求項26に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項28】
T細胞が、CD33+T細胞、CD7+T細胞、又はそれらの組合せを含む、請求項27に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項29】
i)殺細胞部分、ii)CD7結合部分、及びiii)CD33結合部分を含む、請求項20又は21に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項30】
前記CD33結合部分が抗体の抗原結合性断片を含む、請求項29に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項31】
前記CD7結合部分が抗体の抗原結合性断片を含む、請求項29又は請求項30に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項32】
前記殺細胞部分が細胞毒素である、請求項30又は31に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項33】
前記細胞毒素が、i)ペプチド毒素又はii)化学毒素から選択される、請求項32に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項34】
殺細胞部分をCD7結合部分及び/又はCD33結合部分と連結する連結部分を更に含む、請求項30から33のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【請求項35】
抗体薬物コンジュゲートの形態である、請求項30から34のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液悪性腫瘍、特に急性骨髄性白血病(AML)の処置における使用のための、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体及びその抗原結合性断片に関する。
【背景技術】
【0002】
急性骨髄性白血病(Acute Myelogenous Leukaemia)又は急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukaemia、AML)は、骨髄及び末梢血における骨髄芽球のクローン増殖を伴う不均一な血液悪性腫瘍である。AMLは成人急性白血病の90%超を占め、劇症型の臨床経過を示す攻撃性の疾患である。治療レジメンの進歩や造血幹細胞移植(HSCT)の成功に関する現在の理解にもかかわらず、AML患者の死亡率は依然として高い。
【0003】
CD7及びCD33がともに内在化細胞表面抗原受容体であり、CD7が迅速で効率的な内在化細胞表面抗原受容体(15~30分以内に内在化が見られる)であるのに対し、CD33は遅く、非効率的な内在化細胞表面抗原受容体(60分後に内在化が見られる)であることは、従来技術でよく知られている。
【0004】
WO2019/102234は、血液悪性腫瘍の処置において、細胞表面受容体CD7及びCD33への細胞阻害剤の二重標的化を開示する。
【0005】
一価のCD7及びCD33結合抗体に関する現在の技術状況及び以前の実験結果に基づいて、二重特異性抗体のCD33 Fabアームは、CD33 Fabアームを含む二重特異性抗体をCD33発現細胞に対して細胞毒性にするのに十分であると予想される。更に、CD7発現細胞をCD33+/CD7+二重特異性抗体に曝露すると、実質的な細胞毒性を引き起こすことが示されている。
【0006】
本発明の目的は、血液悪性腫瘍、特にAMLに対する向上された治療法を提供することである。このような治療法が骨髄抑制をもたらさないことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2019/102234
【特許文献2】US4,978,744
【特許文献3】US5,635,483
【特許文献4】US5,780,588
【非特許文献】
【0008】
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【非特許文献3】Poeta, G. D.ら、(1995) CD7 Expression in Acute Myeloid Leukemia. Leuk. Lymphoma, 17, 111~119頁
【非特許文献4】Rohrs, S.ら、(2010) CD7 in acute myeloid leukemia: correlation with loss of wild-type CEBPA, consequence of epigenetic regulation, Journal of Hematology & Oncology, 3 1~7頁
【非特許文献5】Rausei-Mills, V.ら、(2008) Aberrant Expression of CD7 in Myeloblasts Is Highly Associated With De Novo Acute Myeloid Leukemias With FLT3/ITD Mutation, Am J Clin Pathol, 129 624~629頁
【非特許文献6】Shimamoto, T.ら、(1994) Clinical and Biological Characteristic of CD7+ Acute Myeloid Leukaemia, Cancer Genet Cytogenet 73 69~74頁
【非特許文献7】Reading, C. L.ら、(1993) Expression of unusual immunophenotype combinations in acute myelogenous leukemia, Blood 81 3083~3090頁
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【非特許文献9】Lo Coco, F.ら、(1989) CD7 positive acute myeloid leukaemia: a subtype associated with cell immaturity, British Journal of Haematology 73 480~485頁
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【非特許文献14】Tien, H. 及び Wang, C. (1998) CD7 Positive Hematopoietic Progenitors and Acute Myeloid Leukemia and other Minimally Differentiated Leukemia, Leukemia and Lymphoma, 3 93~98頁
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【非特許文献20】http://imgt.cines.fr
【非特許文献21】http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk
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【非特許文献33】Klein ら、2012, imAbs 4:6, 1~11頁
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【非特許文献51】Lauら、Bioorg-Med-Chem. 3: 1299~1304頁, 1995
【非特許文献52】Lauら、Bioorg-Med-Chem. 3: 1305~12頁, 1995
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、配列:
VH配列番号81及び
VL配列番号85、
に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、
並びに以下の配列:
VH配列番号11、
VH配列番号21、
VH配列番号31、
VH配列番号51、
VH配列番号71、
VL配列番号15、
VL配列番号25
VL配列番号35、
VL配列番号55及び
VL配列番号75
に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列及びVL配列を含む、ヒトCD7に結合する第2の結合領域、
を含む抗体又はその抗原結合性断片が提供される。
【0010】
配列は少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有してもよい。
【0011】
ヒトCD7に結合する第2の結合領域は、以下の配列:
a)VH配列番号11及びVL配列番号15、
b)VH配列番号21及びVL配列番号25、又は
c)VH配列番号31及びVL配列番号35、
を有するVH配列及びVL配列を含んでもよい。
【0012】
更なる態様によれば、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、配列:
VH配列番号97及び
VL配列番号101、
に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、
並びに以下の配列:
VH配列番号1、
VH配列番号51
VH配列番号71、
VL配列番号5、
VL配列番号55及び
VL配列番号75
に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列及びVL配列を含む、ヒトCD7に結合する第2の結合領域、
を含む抗体又はその抗原結合性断片が提供される。
【0013】
配列は少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有してもよい。
【0014】
ヒトCD33に結合する第2の結合領域は、以下の配列:
VH配列番号97及び
VL配列番号101
を有するVH配列及びVL配列を含む。
【0015】
本発明の更なる態様によれば、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、及びヒトCD7に結合する第2の結合領域を含み、第2の結合領域が、以下の、配列番号13、配列番号23若しくは配列番号53のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、及び/又は配列番号34若しくは配列番号74のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域のうちの1つ又は複数を含む、抗体又はその抗原結合性断片が提供される。
【0016】
追加の態様によれば、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、及びヒトCD7に結合する第2の結合領域を含み、第1の結合領域が、配列番号100のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域を含む、抗体又はその抗原結合性断片が提供される。
【0017】
更に更なる態様に関連して、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、ヒトCD33に結合する第1の結合領域、及びヒトCD7に結合する第2の結合領域を含み、ヒトCD7に結合する第2の結合領域が、以下の
a)配列番号12のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号14のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号16のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号18のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、
b)配列番号22のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号23のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号24のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号26のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号27のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号28のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、
c)配列番号32のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号34のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号36のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号37のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、
d)配列番号52のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号53のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号54のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号56のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号57のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、並びに
e)配列番号72のアミノ酸配列を含むVH CDR1領域、配列番号73のアミノ酸配列を含むVH CDR2領域、配列番号74のアミノ酸配列を含むVH CDR3領域、配列番号76のアミノ酸配列を含むVL CDR1領域、配列番号77のアミノ酸配列を含むVL CDR2領域、及び配列番号78のアミノ酸配列を含むVL CDR3領域、
のうちの1つを含んでもよい、抗体又はその抗原結合性断片が提供される。
【0018】
ヒトCD33に結合する第1の結合領域は、野生型VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3並びにVL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3アミノ酸配列又は所与のVH鎖若しくはVL鎖のCDRにわたって2個以上の変異を有する関連配列を含むことが好ましいであろう。より好ましくは、ヒトCD33に結合する第1の結合領域は、野生型VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3並びにVL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3アミノ酸配列又は所与のVH鎖若しくはVL鎖のCDRにわたって1個以上の変異を有する関連配列を含むことが好ましいであろう。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、CD33及びCD7に結合する二重特異性抗体又はその抗原結合性断片であって、野生型VH及びVL配列を含むヒトCD33に結合する第1の結合領域、並びに以下の
a)重鎖における単一若しくは二重変異、及び/又は
b)軽鎖における単一変異
の少なくとも1つ又は複数を有するそれぞれの重鎖及び軽鎖配列に由来するVH配列及びVL配列を含むヒトCD7に結合する第2の結合領域
を含む、抗体又はその抗原結合性断片が提供される。
【0020】
それぞれの重鎖及び軽鎖配列に由来するCD7 VH及びVL配列は、以下の変異
a)重鎖の残基57、104及び108における単一若しくは二重変異、並びに/又は
b)軽鎖の残基27における単一変異
の少なくとも1つ又は複数を有してもよい。
【0021】
重鎖における変異は、残基57のGly若しくはLys、又は残基104のAla、又は残基108のAlaであることが好ましいであろう。
【0022】
軽鎖における変異は残基27のAlaであることが好ましいであろう。
【0023】
好ましい実施形態では、ヒトCD7に結合する第2の結合領域は、重鎖の残基104のAlaにおいて単一変異を有するそれぞれの重鎖及び軽鎖配列に由来するVH配列及びVL配列を含む。
【0024】
あらゆる態様を参照して本明細書で上述した抗体又はその抗原結合性断片は、血液悪性腫瘍等のCD7+CD33+悪性腫瘍の処置における使用のためのものであってよい。
【0025】
あらゆる態様を参照して本明細書で上述した抗体又はその抗原結合性断片は、それゆえ必要とする個体においてCD7+CD33+血液悪性腫瘍を処置する方法のためのものであってよく、その方法は、抗体又はその抗原結合性断片を投与することを含む。抗体又はその抗原結合性断片は、人工的に作製されることが好ましい。
【0026】
本発明の別の関連する態様では、CD7+CD33+血液悪性腫瘍の医薬の製造における使用のための、あらゆる態様を参照して本明細書で上述した抗体又はその抗原結合性断片が提供される。
【0027】
本明細書で使用される「医薬」とは、医学的処置に使用される物質(すなわち薬)を指す。医薬は、例えば、養子細胞移入における使用のためのT細胞製剤であってよい。
【0028】
本明細書で使用されるCD7は好ましくはヒトCD7であり、CD33は好ましくはヒトCD33である。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体又はその抗原結合性断片は、細胞表面発現しているCD7及びCD33に特異的に結合する。本明細書で使用される場合、「細胞表面発現」という表現は、CD7及び/又はCD33タンパク質の少なくとも一部が細胞膜の細胞外側に露出し、本発明の二重特異性抗体又はその抗原結合性断片にアクセス可能であるように、in vitro又はin vivoで細胞表面に発現している1つ又は複数のCD7及び/又はCD33タンパク質を意味する。
【0029】
用語「CD7+CD33+血液悪性腫瘍」は、悪性細胞の表面にCD7とCD33の両方が発現していることを特徴とする血液悪性腫瘍(例えば、細胞表面にCD33及び/又はCD7を過剰発現している血液悪性腫瘍、及び/又はCD7とCD33に特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片による治療が許容されると考えられるレベルでCD33及び/又はCD7を発現している血液悪性腫瘍)を指す。
【0030】
抗体又はその抗原結合性断片は、CD33+及び/又はCD7+細胞へのCD33及び/又はCD7受容体を介した内在化を誘導することができる場合がある。
【0031】
CD7+CD33+血液悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、及び芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
抗体又はその抗原結合性断片はCD33及びCD7に二重特異的に結合し、CD33+及びCD7+細胞はAML細胞である。
【0033】
抗体又はその抗原結合性断片は、抗体依存性細胞傷害を媒介することができてもよい。
【0034】
抗体又はその抗原結合性断片は、免疫エフェクター細胞に結合していてもよく、又は免疫エフェクター細胞と形成されていてもよい。免疫エフェクター細胞は、T細胞及び/又はNK細胞を含んでもよい。好ましくは、免疫エフェクター細胞はT細胞である。免疫エフェクター細胞は、二重特異性抗CD33抗CD7 CAR-Tであってもよい。T細胞は、CD33+T細胞、CD7+T細胞、又はそれらの組合せを含んでもよい。
【0035】
抗体又はその抗原結合性断片は、i)殺細胞部分、ii)CD7結合部分、iii)CD33結合部分を含んでもよい。
【0036】
代替の実施形態では、CD33及び/又はCD7結合部分は抗体の抗原結合性断片を含む。
【0037】
殺細胞部分は、細胞毒素であってもよく、当業者は、様々な細胞毒素が組成物と適合することとなることを理解するであろう。細胞毒素は、i)ペプチド毒素、ii)化学毒素、又はiii)Bcl-2又はBcl-axlの阻害剤、iv)α-アマニチンのようなRNAポリメラーゼ阻害剤、v)スプライセオソーム阻害剤、vi)微小管標的ペイロード、又はvii)DNA損傷ペイロードから選択されうる。抗体又はその抗原結合性断片は、殺細胞部分をCD7結合部分及び/又はCD33結合部分と連結する連結部分を更に含んでもよい。抗体又はその抗原結合性断片は、抗体薬物コンジュゲートの形態であってもよい。
【0038】
二重特異性抗体の実施形態では、そのような抗体は完全長抗体であってもよい。
【0039】
驚くべきことに、本発明者らは、CD33結合アーム及びCD7結合アームを含む二重特異性抗体が、健康なヒトCD33発現骨髄細胞において細胞毒性を引き起こさないことを発見した。したがって、このことは骨髄抑制を伴わない血液悪性腫瘍、特にAMLに対する向上された治療の可能性を提供する。
【0040】
CD7は、T細胞、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞の前駆細胞に発現する汎白血球(pan-leucocytic)受容体であり(Hao、2001;Sempowki、1999)、T細胞の活性化において補助的な役割を果たし(Lazarovits、1994;Stillwell、2011)、成熟CD4<+>細胞の表面に存在する(Cotta、2006;Lobac、1985)。CD7は、白血病やリンパ腫処置のための細胞毒性分子の送達標的として広く研究されている(Peipp、2002;Bremmer、2006;Franker、1997;Vallera、1996;Waurzyniak、1997)。
【0041】
CD33は、シアル酸と結合する67kDaの細胞膜タンパク質であり、タンパク質のシアル酸結合Ig関連レクチン(SIGLEC)ファミリーの一員である。CD33は骨髄系細胞上で発現していることが知られている。また、多くの悪性細胞上でもCD33の発現が報告されている。
【0042】
一般的な骨髄抗原であるCD33はAML細胞の大部分に発現しているが(De Propris, M. S.ら、(2011) High CD33 expression levels in acute myeloid leukemia cells carrying the nucleophosmin (NPM1) mutation, haematological, 96 1548~1551頁; Ehninger, A.ら、(2014) Distribution and levels of cell surface expression of CD33 and CD123 in acute myeloid leukemia, Blood Cancer Journal, 4 1~10頁)、T細胞及びNK細胞の共通マーカーであるCD7は、AML細胞の化学療法抵抗性亜集団(約22%)に異常発現しており、予後不良の表現型を与える(Poeta, G. D.ら、(1995) CD7 Expression in Acute Myeloid Leukemia. Leuk. Lymphoma, 17, 111~119頁; Rohrs, S.ら、(2010) CD7 in acute myeloid leukemia: correlation with loss of wild-type CEBPA, consequence of epigenetic regulation, Journal of Hematology & Oncology, 3 1~7頁; Rausei-Mills, V.ら、(2008) Aberrant Expression of CD7 in Myeloblasts Is Highly Associated With De Novo Acute Myeloid Leukemias With FLT3/ITD Mutation, Am J Clin Pathol, 129 624~629頁; Shimamoto, T.ら、(1994) Clinical and Biological Characteristic of CD7+ Acute Myeloid Leukaemia, Cancer Genet Cytogenet 73 69~74頁; Reading, C. L.ら、(1993) Expression of unusual immunophenotype combinations in acute myelogenous leukemia, Blood 81 3083~3090頁; Ossenkoppele, G. J. ら、(2011) Review of the relevance of aberrant antigen expression by flow cytometry in myeloid neoplasms British Journal of Haematology 153 421~436頁; Lo Coco, F.ら、(1989) CD7 positive acute myeloid leukaemia: a subtype associated with cell immaturity, British Journal of Haematology 73 480~485頁; Kita, K.ら、(1983) Clinical Importance of CD7 Expression in Acute Myelocytic Leukemia, Blood 81, 2399~2405頁; Eto, T.ら、(1992) Biological characteristics of CD7 positive acute myelogenous leukaemia, British lournal olHaernatology 82 508~511頁; Chang, H. (2004) Prognostic relevance of immunophenotyping in 379 patients with acute myeloid leukemia, Leukemia Research 28 43~48頁)。
【0043】
AMLのCD7+サブタイプは、白血球増加、化学療法に対する応答性の不良、全生存期間及び無病生存期間の不良と関連している(Kahl, C.ら、(2001) CD7+ and CD56+ Acute Myelogenous Leukemia is a Distinct Biologic and Clinical Disease Entity. Haematology and Blood Transfusion, 40 112~119頁)。臨床的には、CD7 AML患者は若年の男性に多く、中枢神経系の病変の発症率が高く、AMLの分化度の低いサブタイプと関連することが多く、更に予後不良につながる(Tien, H. 及び Wang, C. (1998) CD7 Positive Hematopoietic Progenitors and Acute Myeloid Leukemia and other Minimally Differentiated Leukemia, Leukemia and Lymphoma, 3 93~98頁)。CD7+AML細胞の未成熟性は、この集団におけるCD34の高発現によって更に裏付けられている。1995年のPoetaらによる研究では、CD7+白血病患者のCRはCD7-表現型の白血病患者より有意に低く(32%対74%)、これは、このサブタイプが標準治療に対して再発及び/又は難治性の程度を示すことを示している(Poeta, G. D.ら、(1995) CD7 Expression in Acute Myeloid Leukemia. Leuk. Lymphoma, 17, 111~119頁)。
【0044】
CD7はFLT3-ITD+AMLサブグループの特徴と密接に関連しており、その特徴であると考えられている。このサブタイプは、アポトーシスタンパク質の翻訳を下方制御するシグナルが発せられ、その結果、AML細胞集団において化学療法誘発細胞死に対する抵抗性が誘導される、FLT3チロシンキナーゼ受容体の調節解除により、より悪い臨床転帰と関連する(Rausei-Mills, V.ら、(2008) Aberrant Expression of CD7 in Myeloblasts Is Highly Associated With De Novo Acute Myeloid Leukemias With FLT3/ITD Mutation, Am J Clin Pathol, 129 624~629頁)。AMLの中でも特に予後不良なサブタイプであるFLT3 AMLサブグループは、新規薬剤開発者にとって標的とすることが望ましい疾患群であり、キナーゼ阻害薬や単一特異性ADCを含む多くの新規治療薬がこの集団を特異的に標的としている。
【0045】
AMLにおけるCD7の異常発現を説明するいくつかの機構が報告されている。これらには、白血球における疾患特異的な不規則な遺伝子発現(系統不全(lineage infidelity))、リンパ系や骨髄系に分化又は増殖が可能な多能性前駆細胞の悪性化、及び正常な細胞分化の過程で異なる細胞系統のマーカーを一過性に発現することがある希少な前駆細胞の成熟の停止などが含まれる(系統混乱(lineage promiscuity))(Tien, H. 及び Wang, C. (1998) CD7 Positive Hematopoietic Progenitors and Acute Myeloid Leukemia and other Minimally Differentiated Leukemia, Leukemia and Lymphoma, 3 93~98頁)。
【0046】
一過性のCD7発現は、骨髄系とリンパ系の両方の起源を持つ細胞を産生できる初期前駆細胞のサブセットで報告されているが、成熟した骨髄系やリンパ系に形質転換する過程で消失する(Tien, H. 及び Wang, C. (1998) CD7 Positive Hematopoietic Progenitors and Acute Myeloid Leukemia and other Minimally Differentiated Leukemia, Leukemia and Lymphoma, 3 93~98頁)。これと同様に、ある研究では、多能性幹細胞(CD33low/CD7+/-)、一部の骨髄系前駆細胞(CD33high/CD7+/-)、一部のT細胞前駆細胞(CD33+/-/CD7med)を含む健康な造血細胞の特定のサブセットにおいて、この2つの抗原が低レベルで共発現していることが確認されたが、共発現は発生過程で消失することが見出された(Barcena, A.ら、(1994) Tracing the Expression of CD7 and other Antigens during T- and Myeloid-cell Differentiation in the Human Fetal Liver and Thymus, Leukaemia and Lymphoma 17 1~11頁)。したがって、この共発現パターンは、発生の特定の段階で捕捉された特定の前駆細胞のサブセットのクローン増殖の結果であり、それによってこれら2つの抗原が一過性に一緒に見られるようになり、この発現が悪性化する間に増幅される、というのがもっともらしい。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」、「処置」は、障害又は症状の発症を防止したり、病態を変化させたりする目的で行われる介入を含むものとする。したがって、「処置」とは、治療的処置と予防的又は防止的手段の両方を指し、その目的は、対象となる障害又は症状を防止すること、又は遅らせること(軽減すること)を指す。したがって、「処置すること」という用語は、障害又は症状の発生を処置すること及び/又は防止することを包含する。本明細書で使用される場合、「治療」とは、疾患又は障害の防止又は処置を指す。治療は、予防的であっても治療的であってもよい。
【0048】
このような態様では、本発明の抗体又はその抗原結合性断片は、血液悪性腫瘍の寛解期にある患者に投与され、その結果、基礎にある血液悪性腫瘍の再発を防止又は遅延させる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「患者」とは、典型的には、血液悪性腫瘍、好ましくはCD7+CD33+血液悪性腫瘍の処置を受けているか、又は血液悪性腫瘍に罹患していると診断されたヒトである。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合性断片は、CD7+CD33+血液悪性腫瘍の寛解期にある患者に投与され、それによって血液悪性腫瘍の再発が防止又は遅延される。一部の実施形態では、患者は、血液悪性腫瘍の検出可能な細胞を欠いている。本明細書で使用される場合、「検出可能な細胞の欠如」は、標準的な診断法又は予後法によって決定される。AMLの寛解状態にある患者は、典型的には、異常な臨床的特徴の消失、正常な血球数の回復、及び5%未満の芽球、1,000~1,500超の好中球数、100,000超の血小板数、である骨髄における正常な造血及び白血病クローンの消失を示す。例えば、The Merck Manual, Sec. 11, Ch. 138 (第17版、1997): Estey, 2001, Cancer 92(5): 1059~1073頁を参照されたい。
【0050】
一部の実施形態では、CD7+CD33+血液悪性腫瘍から寛解状態にある患者は、骨髄移植を受けていない。他の実施形態では、CD7+CD33+血液悪性腫瘍から寛解状態にある患者は、骨髄移植を受けている。骨髄移植は、自己骨髄移植又は同種骨髄移植のいずれかでありうる。
【0051】
実施形態では、CD7+CD33+血液悪性腫瘍(例えばAML)を処置し、CD7+CD33+血液悪性腫瘍(例えばAML)の再発を防止又は遅延させることは、AMLがん細胞死を誘導すること、及び/又はAMLがん細胞増殖を阻害することを含む。
【0052】
抗体又はその抗原結合性断片は、化合物(すなわち、抗体又はその抗原結合性断片)及び1つ又は複数の他の成分を含む組成物(例えば、治療用組成物)の一部であってもよい。組成物は、抗体又はその抗原結合性断片と、薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤及び/又は担体とを含む治療用組成物であってもよい。治療用組成物は、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性担体、アジュバントやサイトカイン等の補助的な免疫増強剤、及び任意に他の治療剤又は化合物を日常的に含むことがある。
【0053】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」とは、生物学的又はその他の点で望ましい材料、すなわち、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、又はそれが含まれる医薬組成物の他の成分のいずれとも有害な方法で相互作用することなく、選択された化合物とともに個体に投与されうる材料を指す。
【0054】
賦形剤は、有効成分(例えば、ワクチン、細胞周期阻害剤、免疫抑制機構の調節剤、免疫チェックポイント阻害剤(適切な場合))と一緒に製剤化される天然又は合成物質であり、製剤を増量する目的で、又は薬物の吸収や溶解性を促進する等、最終剤形中の有効成分に治療上の効果を付与する目的で配合される。賦形剤はまた、予想される保存期間中の変性防止等in vitroでの安定性を補助するだけでなく、粉末の流動性や非粘着性の促進等、当該活性物質の取り扱いを補助するために、製造工程で有用である。薬学的に許容される賦形剤は当技術分野でよく知られている。したがって、適切な賦形剤は、当業者であれば容易に識別可能である。例として、適切な薬学的に許容される賦形剤としては、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等が挙げられる。
【0055】
アジュバントは、製剤中の他の薬剤の効果を修飾する薬理学的及び/又は免疫学的薬剤である。薬学的に許容されるアジュバントは当技術分野でよく知られている。したがって、適切なアジュバントは、当業者であれば容易に識別可能である。
【0056】
希釈剤は希釈する薬剤である。薬学的に許容される希釈剤は、当技術分野でよく知られている。したがって、適切な希釈剤は、当業者であれば容易に識別可能である。
【0057】
担体は、使用される用量及び濃度においてレシピエントに対して無毒性であり、製剤の他の成分と適合性がある。用語「担体」は、天然又は合成の有機又は無機成分であって、適用を容易にするために活性成分が混合されるものを示す。薬学的に許容される担体は、当技術分野でよく知られている。したがって、適切な担体は、当業者であれば容易に識別可能である。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」及び「治療上有効量」は、毒性、刺激、又はアレルギー反応のような過度の副作用を伴わずに、所望の治療反応をもたらすのに十分な量の活性治療剤を指す。具体的な「有効量」は、明らかに、処置される特定の状態、患者の身体状態、処置される動物の種類、処置期間、同時治療の性質(もしあれば)、採用される特定の製剤及び化合物又はその誘導体の構造等の要因によって変化するであろう。この場合、ある量が治療上有効であるとみなされるのは、以下の(a)がん細胞(例えばAML細胞)の増殖阻害、及び(b)がん細胞(例えばAML細胞)の死滅、の1つ又は複数をもたらす場合であるが、これらに限定されない。
【0059】
患者に投与される抗体又はその抗原結合性断片及びその治療用組成物の用量は、患者の年齢や体格、標的疾患、条件、投与経路等によって異なる場合がある。好ましい投与量は、典型的には、体重又は体表面積に応じて算出される。
【0060】
抗体又はその抗原結合性断片及びその治療用組成物の投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、及び経口経路が挙げられるが、これらに限定されない。抗体又はその抗原結合性断片及びその治療用組成物は、例えば、注入又はボーラス注射によって、上皮又は粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜等)を介した吸収によって、任意の好都合な経路で投与してもよく、他の生物学的に活性な薬剤とともに投与してもよい。投与は全身的又は局所的に行うことができる。
【0061】
好ましくは、本明細書に記載される二重標的療法は、それを必要とする対象におけるCD7+CD33+血液悪性腫瘍の処置に利益を提供するであろう。例えば、二重標的療法は、それを必要とする対象におけるAMLの処置に対して相加的又は相乗的効果を有する場合がある。二重標的療法は、その効果が、例えば、応答の程度(例えば、アポトーシス又は細胞生存率)、応答率、疾患進行までの時間又は生存期間によって測定されるように、二重標的療法の成分の1つ又は他のものをその従来の用量で投与する際に達成可能なものよりも治療的に優れている場合、「相加的効果」、「相乗的効果」又は「相乗的処置」をもたらすと定義される。例えば、その効果が、CD33又はCD7に特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片単独で達成可能な効果よりも治療的に優れている場合、二重標的療法の効果は相加的である。例えば、併用処置の効果が、個々の処置を足し合わせた効果に優る場合、併用処置の効果は相乗的でありうる。更に、CD33単独に特異的に結合する細胞阻害剤又はCD7単独に特異的に結合する細胞阻害剤に応答しない(又は応答が乏しい)対象群において有益な効果が得られる場合、併用の効果は有益(例えば相加的又は相乗的)である。更に、併用処置の効果とは、成分の一方を従来の用量で投与し、他方の成分を減量して投与した場合に、例えば、応答の程度、応答率、疾患進行までの時間又は生存期間によって測定される治療効果が、併用処置の成分のいずれか一方を従来の量で投与した場合に達成可能なものと同等又はそれ以上である場合に、利益(例えば、相加効果又は相乗効果)をもたらすと定義される。
【0062】
本明細書で使用される場合、「標的細胞の死滅」とは、例えば細胞生存率が低下するようなタンパク質合成の阻害、又は標的細胞の排除若しくは死滅をもたらすアポトーシスの誘導に関する。殺細胞及びアポトーシスを決定するためのアッセイは、当技術分野でよく知られている。細胞毒性アッセイは、薬理学的物質で処置した後の集団中の生細胞と死細胞の数を評価する(例えば、LDH細胞毒性アッセイ、又は生死細胞アッセイ)。アポトーシスアッセイは、細胞死の時に活性化されるマーカーを測定することにより、細胞がどのように死滅しているかを評価する(例えば、PS曝露アッセイ、カスパーゼ活性化アッセイ、DNA断片化アッセイ、GSH/GSSG測定、LDH細胞毒性アッセイ、生死細胞アッセイ、又は非カスパーゼプロテアーゼ活性化アッセイ)。
【0063】
本明細書で使用される場合、「細胞の増殖を阻害する」(例えば、標的細胞を指す)とは、本開示に記載の抗体又はその抗原結合性断片と接触していない同じ細胞の増殖と比較して、本発明に記載の抗体又はその抗原結合性断片と接触した場合の標的細胞の成長又は増殖における測定可能な減少を指す。例えば、細胞の増殖が少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、又は100%阻害される。細胞生存率又は増殖を決定するためのアッセイは、当技術分野でよく知られている。細胞生存率アッセイは、細胞活性のマーカー(例えば、ATP及びADP決定アッセイ、細胞周期アッセイ、細胞増殖アッセイ、細胞生存率アッセイ、LHD細胞毒性アッセイ、又は生死細胞アッセイ)を測定することにより、細胞がどの程度健康であるかを評価する。細胞増殖アッセイは、細胞集団の成長速度を評価し、又は成長している集団中の娘細胞を検出する(例えば、細胞周期アッセイ、細胞増殖アッセイ、細胞生存率アッセイ、又は老化アッセイ)。
【0064】
本明細書で使用される場合、「CD33発現細胞」及び「CD33+細胞」は、CD33を表面抗原として持つ細胞を指す。本明細書で使用される場合、「CD7発現細胞」及び「CD7+細胞」は、CD7を表面抗原として持つ細胞を指す。本明細書で使用される場合、「CD33及びCD7発現細胞」並びに「CD33+CD7+細胞」は、CD33及びCD7の両方を表面抗原として持つ細胞を指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「標的細胞」は、標的分子CD7及びCD33の発現又は過剰発現を特徴とする細胞又は細胞型を指す。CD7及びCD33を発現するあらゆるタイプの細胞が、本発明の抗体又はその抗原結合性断片による処置の標的細胞として想定されてもよい。ある特定の実施形態では、細胞は腫瘍細胞、例えばAML細胞のような血液悪性腫瘍由来の腫瘍細胞である。
【0066】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合性断片は、CD33+細胞への前記抗体又はその抗原結合性断片のCD33受容体を介した内在化、及び/又はCD7+細胞への前記抗体又はその抗原結合性断片のCD7受容体を介した内在化を誘導することができる。ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合性断片は、CD33及びCD7の両方に特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片であり、細胞表面上のCD7及びCD33の両方の結合により、CD7+CD33+細胞への薬剤の内在化を誘導することができる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「CD33受容体を介した内在化」は、細胞表面上のCD33の結合により、CD33+細胞に取り込まれること(すなわち、侵入すること)を指す。治療用途では、in vivoでの内在化が企図される。本明細書で使用される場合、「CD7受容体を介した内在化」は、細胞表面上のCD7の結合により、CD7+細胞に取り込まれること(すなわち、侵入すること)を指す。治療用途では、in vivoでの内在化が企図される。
【0068】
治療用途では、CD33+CD7+細胞、特にAML細胞のようなCD7+CD33+血液がん細胞を死滅させるには、内在化された抗体又はその抗原結合性断片の数が十分又は適切であろう。抗体又はその抗原結合性断片の能力にもよるが、場合によっては、1分子の細胞内への取り込みで、薬剤が結合する標的細胞を死滅させるのに十分である。
【0069】
ある特定の実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合性断片は、ADC、低分子薬物コンジュゲート(SMDC)、免疫毒素、ペプチド及び非ペプチドコンジュゲート、イメージング剤、治療用ワクチン、ナノ粒子であってもよい。
【0070】
本明細書で使用される用語「抗体」又は「抗体」は、既知の抗原に結合する分子又は分子の活性断片を指し、特に免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原(すなわちCD7又はCD33)と免疫特異的に結合する結合部位を含む分子を指す。本発明に記載の免疫グロブリンは、任意のクラス(IgG、IgM、IgD、IgE、IgA及びIgY)又はサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又は免疫グロブリン分子のサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4におけるIgG、又はIgA1及びIgA2におけるIgA)である。
【0071】
本発明の範囲内において、用語「抗体」又は「抗体」は、ヒト抗体及びヒト化抗体、並びにその活性断片が含まれる。既知の抗原に結合する分子の活性断片の例としては、Fab、F(ab')、F(ab')2、scFv及びFv断片が挙げられ、Fab免疫グロブリン発現ライブラリーの産物及び上記の抗体及び断片のいずれかのエピトープ結合性断片が含まれる。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「ヒト化抗体」又は「抗体のヒト化バージョン」は、フレームワーク又は「相補性決定領域」(CDR)が、親免疫グロブリンのCDRと比較して異なる特異性を有する免疫グロブリンのCDRを含むように改変された抗体を指す。一部の例示的な実施形態では、VHとVLのCDRをヒト抗体のフレームワーク領域に移植して、「ヒト化抗体」を調製する。例えば、Riechmann, L.ら、Nature 332 (1988) 323~327頁; 及びNeuberger, M. S.ら、Nature 314 (1985) 268~270頁を参照されたい。重鎖及び軽鎖可変フレームワーク領域は、同一又は異なるヒト抗体配列に由来しうる。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列でありうる。ヒト重鎖及び軽鎖可変フレームワーク領域は、例えばLefranc, M.-P., Current Protocols in Immunology (2000)-Appendix 1P A.1P.1-A.1P.37に列挙され、又はIMGT、国際的なImMunoGeneTics information System(登録商標)(http://imgt.cines.fr)、又はhttp://vbase.mrc-cpe.cam.ac.ukなどを通じてアクセスできる。場合により、フレームワーク領域は更なる変異によって改変されうる。例示的なCDRは、キメラ抗体について上述した抗原を認識する配列を表すものに相当する。一部の実施形態では、このようなヒト化バージョンはヒト定常領域とキメラ化される。本明細書で使用される用語「ヒト化抗体」は、特にC1q結合及び/又はFcR結合に関して、例えば「クラススイッチング」すなわちFc部分の変化又は変異(例えばIgG1からIgG4及び/又はIgG1/IgG4変異)により、本開示に記載の特性を生成するために定常領域において改変されたこのような抗体も含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことを意図している。ヒト抗体は当技術分野でよく知られている(van Dijk, M. A.、及び van de Winkel, J. G., Curr. Opin. Chem. Biol. 5 (2001) 368~374頁)。ヒト抗体はまた、内因性免疫グロブリンの産生がない場合に、免疫によりヒト抗体の全レパートリー又は選択的産生が可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)においても産生することができる。このような生殖系列変異マウスにヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイを導入すると、抗原負荷時にヒト抗体が産生される(例えば、Jakobovits, A.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 2551~2555頁; Jakobovits, A. ら、Nature 362 (1993) 255~258頁; Brueggemann, M. D.ら、Year Immunol. 7 (1993) 33~40頁を参照されたい)。ヒト抗体もファージディスプレイライブラリーで作製できる(Hoogenboom, H. R.及びWinter, G., J. Mol. Biol. 227 (1992) 381~388頁; Marks, J. D.ら、J. Mol. Biol. 222 (1991) 581~597頁)。Cole, A.らとBoerner, P.らの技術もヒトモノクローナル抗体の調製に利用できる(Cole, A.ら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Liss, A. R. (1985) 77頁;及びBoerner, P.ら、J. Immunol. 147 (1991) 86~95頁)。すでに述べたように、本明細書で使用される場合、本開示に記載の用語「ヒト抗体」は、例えばC1q結合及び/又はFcR結合に関して、例えば「クラススイッチング」すなわちFc部分の変化又は変異(例えばIgG1からIgG4及び/又はIgG1/IgG4変異)により、本開示に記載の特性を生成するために定常領域において改変されたこのような抗体も含む。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「抗体断片」は、全長抗体の一部を指し、用語「抗原結合性断片」は、その可変ドメイン、又は少なくともその抗原結合性部位、例えばCDRを指す。抗体断片の例としては、ダイアボディ、一本鎖抗体分子、抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。scFv抗体は例えば、Huston, J. S., Methods in Enzymol. 203 (1991) 46~88頁に記載されている。抗体断片は、多くの公知技術によって本発明の抗体から誘導することができる。例えば、精製モノクローナル抗体をペプシンのような酵素で切断し、HPLCゲル濾過に供することができる。次いで、Fab断片を含む適切な画分を収集し、膜濾過等により濃縮することができる。抗体の活性断片を単離するための一般的な技術の更に詳しい説明については、例えば以下の文献を参照されたい、Khaw, B. A.ら、J. Nucl. Med. 23:1011~1019頁(1982); Rousseauxら、Methods Enzymology, 121:663~69頁, Academic Press, 1986。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「二重特異性抗体」は、2つ(又はそれ以上)の異なる抗原に結合する抗体を指す。二重特異性抗体は通常、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、それぞれの可変ドメインは別々の抗原に特異的に結合することができる。ある特定の態様では、本発明の二重特異性抗体はヒト抗体である。本明細書で使用される場合、「二重特異性抗原結合性分子」という表現は、少なくとも第1の抗原結合性ドメインと第2の抗原結合性ドメインとを含むタンパク質、ポリペプチド又は分子複合体を意味する。二重特異性抗原結合性分子内のそれぞれの抗原結合性ドメインは、単独で、又は1つ又は複数の追加のCDRと組み合わせて、特定の抗原に特異的に結合する少なくとも1つのCDRを含む。本発明の文脈では、第1の抗原結合性ドメインは第1の抗原(例えば、CD7)と特異的に結合し、第2の抗原結合性ドメインは第2の異なる抗原(例えば、CD33)と特異的に結合する。ある特定の態様では、二重特異性分子はヒトCD7及びヒトCD33に同時に結合することができる。
【0076】
ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は「抗CD7×CD33」又は「抗CD7/抗CD33」等と呼ばれることがある。
【0077】
本発明の二重特異性抗原結合分子を作製するために、いかなる二重特異性抗体フォーマット又は技術を用いてもよい。本発明の文脈において使用することができる具体的な例示的二重特異性フォーマットには、限定されないが、例えば、scFvベース又はダイアボディ二重特異性フォーマット、IgG-scFv融合体、二重可変ドメイン(DVD)-lg、Quadroma、ノブ-イントゥ-ホール、共通軽鎖(例えば、ノブ-イントゥ-ホールを有する共通軽鎖等)、CrossMab、CrossFab、(SEED)ボディ、ロイシンジッパー、Duobody、lgG1/lgG2、二重作用Fab(DAF)-lgG、Mab2二重特異性フォーマット(例えば、Klein ら、2012, imAbs 4:6, 1~11頁、及び上記フォーマットのレビューについてそこに引用されている文献を参照されたい)及びFabベースの二重特異性フォーマットが挙げられる。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体はFabベースの抗CD7×CD33二重特異性である。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「特異的」及び「特異的に」は、CD7又はCD33以外の生体分子(又は生体分子が二重特異性分子である場合にはCD7及びCD33の両方)が抗体に有意に結合しないことを示すために互換的に使用される。一部の実施形態では、CD7又はCD33以外の生体分子への結合レベルは、ELISA又は親和性決定によって無視できる(例えば、決定できない)。
【0079】
「無視できる結合」とは、CD7又はCD33に対する結合よりも少なくとも約85%、特に少なくとも約90%、より特に少なくとも約95%、更に特に少なくとも約98%、特別に少なくとも約99%、最大100%低い結合を意味する。
【0080】
ペプチド又はエピトープに対する抗体の結合親和性は、表面プラズモン共鳴法(BIAcore(登録商標)、GE-Healthcare社、Uppsala、Sweden)等の標準的な結合アッセイを用いて決定されてもよい。本明細書で使用される用語「表面プラズモン共鳴」は、例えばBIAcoreシステム(Pharmacia BiosensorAB社、Uppsala、Sweden及びPiscataway、N.J.)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより、リアルタイムの生物特異的相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。更に詳しい説明は、Jonsson, U.ら、(1993) Ann. Biol. Clin. 51 : 19~26頁; Jonsson, U.ら、(1991) Biotechniques 11 :620~627頁; Johnsson, B.ら、(1995) J. Mol. Recognit. 8: 125~131頁;及びJohnnson, B.ら、(1991) Anal. Biochem. 198:268~277頁を参照されたい。
【0081】
一実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合性断片は、抗体依存性細胞傷害を媒介することができる。抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、モノクローナル抗体の抗腫瘍活性に寄与する場合がある免疫エフェクター細胞を介する機構である(Weiner GJ. Monoclonal antibody mechanisms of action in cancer. Immunol Res. 2007,39(l-3):271~8頁)。抗腫瘍効果についてのADCCの関連性は、前臨床モデル、例えばマウス腫瘍モデルで証明されている(例えば、Clynes RA, Towers TL, Presta LG, Ravetch JV. Inhibitory Fc receptors modulate in vivo cytoxicity against tumor targets. Nat Med. 2000年4月;6(4):443~6頁)。臨床試験から得られたデータは、抗体治療薬の臨床効果についてのADCCの関連性を支持する(例えば、Weng WK, Levy R Two immunoglobulin G fragment C receptor polymorphisms independently predict response to rituximab in patients with follicular lymphoma. J Clin Oncol. 2003年11月l日;21(21):3940~7頁、電子版2003年9月15日)。モノクローナル抗体と免疫細胞上のFc受容体との相互作用はADCCに寄与する。抗体のFcは、Fc受容体との親和性を高めるために改変されうる(例えば、Presta LG Engineering of therapeutic antibodies to minimize immunogenicity and optimize function. Adv Drug Deliv Rev. 2006年8月7日;58(5~6):640~56頁、電子版2006年5月23日)。このようにFc受容体への親和性が高まると、ADCC活性が高まり、患者における抗腫瘍効果が高まる可能性がある。
【0082】
代替的な実施形態では、本発明の抗原結合性断片は、キメラ抗原T細胞受容体タンパク質(CAR)を発現する免疫応答性細胞であり、キメラT細胞受容体タンパク質はCD7及びCD33に特異的に結合する。一実施形態では、免疫応答性細胞は二重特異性であり、キメラ抗原T細胞受容体タンパク質(CAR)を発現し、キメラT細胞受容体タンパク質はCD7及びキメラ抗原T細胞受容体タンパク質(CAR)に特異的に結合し、キメラT細胞受容体タンパク質はCD33に特異的に結合する。CARを発現する免疫応答性細胞は、T細胞、造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞及び単球系統細胞からなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、免疫応答性細胞はT細胞である。
【0083】
一部の実施形態では、免疫応答性細胞は、対象に対して自己である。別の実施形態では、免疫応答性細胞は、対象に対して自己ではない。特定の実施形態では、免疫応答性細胞はT細胞であり、処置される対象に対して自己である。
【0084】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合性断片は、結合部分(すなわち、CD33結合部分、CD7結合部分、又はCD7及びCD33結合部分)及び殺細胞部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞結合部分は抗体又はその抗原結合性断片である。特定の実施形態では、細胞結合部分は抗体又はその抗原結合性断片である。
【0085】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合性断片は、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤、すなわち腫瘍細胞を死滅又は阻害する化合物を更に含む(又は組み込まれる、又は関連付けられる)。このような薬剤は、チューブリン結合、DNA結合、プロテアソーム及び/又はトポイソメラーゼ阻害を含む機構により、細胞毒性及び細胞増殖抑制効果を付与することがある。
【0086】
細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、例えばペプチド毒素、低分子毒素又は放射性同位元素であってもよい。
【0087】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、チューブリン阻害剤、又はDNA相互作用剤であってもよい。チューブリン阻害剤はチューブリン重合を調節する。DNA相互作用剤は細胞DNAを標的とする。
【0088】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、チューブリン阻害剤である。一実施形態では、チューブリン阻害剤は、(a)アウリスタチン、及び(b)メイタンシン誘導体からなる群から選択される。一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、アウリスタチンである。アウリスタチンには、天然に存在する化合物であるドラスタチン-10の合成誘導体が含まれる。アウリスタチンは、抗腫瘍性/細胞増殖抑制シュードペプチドのファミリーである。ドラスタチンは、天然の生合成産物に同定された4つの希なアミノ酸(ドラバイン(Dolavaine)、ドライソロイイン(Dolaisoleuine)、ドラプロイン(Dolaproine)、ドラフェニン(Dolaphenine))が組み込まれているため、構造的に特有である。更に、このクラスの天然物は、Pettitらによる全合成研究(US4,978,744)によって定義された多数の不斉中心を有する。構造活性相関から、ドライソロイイン残基及びドラプロイン残基が抗腫瘍活性に必要であると思われる(US5,635,483及びUS5,780,588)。一実施形態では、アウリスタチンは、アウリスタチンE(AE)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、アウリスタチンF(MMAF)、vcMMAE、vcMMAF、mcMMAE及びmcMMAFからなる群から選択される。一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、メイタンシン又はメイタンシンの構造アナログである。一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤はメイタンシンである。メイタンシンには、構造的に複雑な抗有糸分裂ポリペプチドが含まれる。メイタンシンは、腫瘍細胞のアポトーシスを導く微小管会合の強力な阻害剤である。一実施形態では、メイタンシンは、メルタンシン(DM1)、及びDM3又はDM4のようなメイタンシンの構造アナログからなる群から選択される。好ましくは、薬物はメルタンシン(DM1)である。
【0089】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、DNA相互作用剤である。一実施形態では、DNA相互作用剤は、(a)カリケアマイシン、(b)デュオカルマイシン、及び(c)ピロロベンゾジアゼピン(PBD)からなる群から選択される。一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤はカリケアマイシンである。カリケアマイシンは、二本鎖DNA切断を引き起こし、細胞死をもたらす強力な細胞毒性剤である。カリケアマイシンは天然に存在するエンジイン系抗生物質である(A. L. Smithら、J. Med. Chem., 1996, 39,11, 2103~2117頁)。カリケアマイシンは土壌微生物ミクロモノスポラ・エキノスポラ(Micromonospora echinospora)から発見された。一実施形態では、カリケアマイシンはカリケアマイシンγ1である。一実施形態では、薬物はデュオカルマイシンである。デュオカルマイシンは強力な抗腫瘍抗生物質で、DNA二本鎖の小溝に配列選択的に結合し、アデニンのN3をアルキル化することで生物学的効果を発揮する(D. Boger, Pure & Appl. Chem., 1994, 66, 4, 837~844頁)。一実施形態では、デュオカルマイシンは、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンB1、デュオカルマイシンB2、デュオカルマイシンC1、デュオカルマイシンC2、デュオカルマイシンD、デュオカルマイシンSA、シクロプロピルベンゾインドール(CBI)デュオカルマイシン、センタナマイシン、レイチェルマイシン(CC-1065)、アドゼレシン、ビゼレシン、及びカルゼレシンからなる群から選択される。一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、ピロロベンゾジアゼピンである。ピロロベンゾジアゼピン(PBD)は、天然に存在する抗腫瘍抗生物質のクラスである。ピロロベンゾジアゼピンはストレプトマイセス(Streptomyces)属に含まれる。PBDはプリン-グアニン-プリン単位で特異的にDNAの小溝に共有結合することにより抗腫瘍活性を発揮する。PBDはアミン結合を介してグアニンのN2に挿入され、その形状からDNAらせんの破壊は最小限である。DNA-PBD付加体の形成は核酸合成を阻害し、DNAらせんの切断依存性の一本鎖及び二本鎖切断を引き起こすと考えられている。合成誘導体として、柔軟なポリメチレン係留を介して2つのPBDユニットを結合させることにより、PBD二量体が対向するDNA鎖を架橋し、致死性の高い病変を生じさせる。一実施形態では、細胞毒性又は細胞増殖抑制剤は、2つのピロロベンゾジアゼピン単位が柔軟なポリメチレン係留を介して結合した合成誘導体である。一実施形態では、ピロロベンゾジアゼピンは、アントラマイシン(及びその二量体)、マゼトラマイシン(Mazethramycin)(及びその二量体)、トマイマイシン(Tomaymycin)(及びその二量体)、プロトラカルシン(Prothracarcin)(及びその二量体)、チカマイシン(Chicamycin)(及びその二量体)、ネオトラマイシン(Neothramycin)A(及びその二量体)、ネオトラマイシンB(及びその二量体)、DC-81(及びその二量体)、シビロマイシン(Sibiromycin)(及びその二量体)、ポロトラマイシン(Porothramycin)A(及びその二量体)、ポロトラマイシンB(及びその二量体)、シバノマイシン(Sibanomycin)(及びその二量体)、アベイマイシン(Abbeymycin)(及びその二量体)、SG2000、及びSG2285からなる群から選択される。
【0090】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、アルキル化を通じてDNA鎖間架橋を標的とする薬物である。アルキル化を通じてDNA鎖間架橋を標的とする薬物は、DNA標的マスタード、グアニン特異的アルキル化剤、及びアデニン特異的アルキル化剤から選択される。一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、DNA標的マスタードである。例えば、DNA標的マスタードは、オリゴピロール、オリゴイミダゾール、ビス-(ベンズイミダゾール)担体、ポリベンズアミド担体、及び9-アニリノアクリジン-4-カルボキサミド担体からなる群から選択されてもよい。
【0091】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、ネトロプシン、ジスタマイシン、レキシトロプシン、タリムスチン、ジブロモタリムスチン、PNU157977、及びMEN10710からなる群から選択される。
【0092】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、ビス-(ベンズイミダゾール)担体である。好ましくは、薬物はヘキスト33258である。
【0093】
グアニン特異的アルキル化剤は、特定のヌクレオシドの位置で反応する高度に位置特異的なアルキル化剤である。一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、G-N2アルキル化剤、A-N3アルキル化剤、マイトマイシン、カルメチゾール(carmethizole)アナログ、エクチナサイジンアナログからなる群から選択されるグアニン特異的アルキル化剤である。一実施形態では、マイトマイシンは、マイトマイシンA、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、及びKW-2149から選択される。一実施形態では、カルメチゾールアナログは、ビス-(ヒドロキシメチル)ピロリジジン、及びNSC602668から選択される。一実施形態では、エクチナサイジンアナログは、エクチナサイジン743である。
【0094】
アデニン特異的アルキル化剤は、ポリピリミジン配列中のアデニンのN3に反応する、位置特異的及び配列特異的な小溝アルキル化剤である。
【0095】
シクロプロパインドロン及びデュオカマイシンはアデニン特異的アルキル化剤として定義されることがある。一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、シクロプロパインドロンアナログである。好ましくは、薬物はアドゼレシン及びカルゼレシンから選択される。
【0096】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、ベンズ[e]インドロンである。好ましくは、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、CBI-TMI及びイソ-CBIから選択される。
【0097】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、ビゼレシンである。
【0098】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、海洋抗腫瘍薬である。海洋抗腫瘍薬は、抗腫瘍薬開発の領域において発展中の分野である(I. Bhatnagarら、Mar. Drugs 2010, 8, 2702~2720頁、及びT. L. Simmonsら、Mol. Cancer Ther. 2005, 4(2), 333~342頁)。海綿、海綿-微生物共生体、ヤギ目サンゴ虫(gorgonian)、放線菌、ソフトコーラル等の海洋生物は,抗がん剤の候補として広く探索されている。
【0099】
一実施形態では、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤は、シタラビン、Ara-C、トラベクテジン(ET-743)、及びエリブリンメシル酸塩から選択される。一実施形態では、エリブリンメシル酸塩は、(E7389)、ソブリドチン(TZT 1027)、乳酸スクアラミン、セマドチンプリナブリン(NPI-2358)、プリチデプシン、エリシデプシン、ザリプシス(Zalypsis)、タシドチン、シンサドチン(Synthadotin)、(ILX-651)、ディスコデルモリド、HT1286、LAF389、カハラリドF、KRN7000、ブリオスタチン1、ヘミアステリン(E7974)、マリゾミブ、サリノスポラミドA(NPI-0052)、LY355703、CRYPTO 52、デプシペプチド(NSC630176)、エクチナサイジン743、シンサドチン、カハラリドF、スクアラミン、デヒドロジデムニンB、ジデムニンB、セマドチン、ソブリドチン、E7389、NVP-LAQ824、ディスコデルモリド、HTI-286、LAF-389、KRN-7000(アゲラスフィン(Agelasphin)誘導体)、キュラシン(Curacin)A、DMMC、サリノスポラミドA、ラウリマリド、ビチレブアミド(Vitilevuamide)、ジアゾナミド、エリュテロビン、サルコジクチイン、ペロルシドA、サリシリハリミド(Salicylihalimide)A及びB、チオコラリン(Thiocoraline)、アシジデミン(Ascididemin)、バリオリン(Variolin)、ラメラリン(Lamellarin)D、ジクチオデンドリン(Dictyodendrin)、ES-285(スピスロシン)、及びハリコンドリンBから選択される。
【0100】
以下の細胞毒性又は細胞増殖抑制剤も本発明に包含される。アマニタ(Amanita)属の担子菌、例えばグリーンタマゴテングタケ(Green Deathcap mushroom)によって生産されるアマトキシン(α-アマニチン)二環式オクタペプチド、ツブリシン(tubulysin)、シトリシン、ドラベラニン(dolabellanin)、エポチロンA、B、C、D、E、F。エポチロン-非タキサン系チューブリン重合剤の一群を構成し、粘液細菌ソランギウム・セルロスム(Sorangium cellulosum)の天然発酵によって得られる。これらの部位は強力な細胞毒性活性を有し、微小管の安定化と関連してG2/M遷移での有糸分裂停止をもたらす。エポチロンは、様々ながん細胞株において強力な細胞毒性を示し、パクリタキセルよりも高い活性を示すことが多い(X. :Pivotら、European Oncology,2008;4(2), 42~45頁)。一実施形態では、薬物はアマトキシンである。一実施形態では、薬物はツブリシンである。一実施形態では、薬物はシトリシンである。一実施形態では、薬物はドラベラニンである。一実施形態では、薬物はエポチロンである。
【0101】
以下の細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤もまた、本発明に包含される。一実施形態では、薬物は、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、デトルビシン、モルホリノ-ドキソルビシン、メトトレキサート、メトプテリン、ブレオマイシン、ジクロロメトトレキサート、5-フルオロウラシル、シトシン-β-D-アラビノフラノシド、タキソール、アンギジン、メルファラン、ビンブラスチン、ホモプシンA、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)、ダウノルビシン、ビンカアルカロイド、イダルビシン、メルファラン、シスプラチン、リシン、サポリン、アントラサイクリン、インドリノ-ベンゾジアゼピン、6-メルカプトプリン、アクチノマイシン、ロイロシン、ロイロシダイン(Leurosideine)、カルミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシン、エトポシド、ヘアピンポリアミド、リン酸エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、レチノイン酸タキソテール、N8-アセチルスペルミジン、カンプトテシン、エスペラミシン、及びエンジインから選択される。
【0102】
一実施形態では、殺細胞部分はペプチド毒素、例えばMMAEのようなアウリスタチンである。一実施形態では、抗体又はその抗原結合性断片は、結合部分及び殺細胞部分を含み、結合部分は抗CD7抗CD33二重特異性抗体又はその結合部分であり、殺細胞部分はペプチド毒素、例えばMMAEのようなアウリスタチンである。
【0103】
ある特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合性断片は、殺細胞部分にコンジュゲートされた結合部分を含む。このようなコンジュゲートは、当業者に公知のin vitro法によって調製されうる。細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤をタンパク質、特に抗体にコンジュゲートする技術は周知である。(例えば、Alleyら、Current Opinion in Chemical Biology 2010 14: 1~9頁; Senter, Cancer J., 2008, 14(3): 154~169頁、を参照されたい)。
【0104】
ある特定の実施形態では、結合部分と殺細胞部分をコンジュゲートするために連結基が使用される。
【0105】
リンカーは細胞内条件下で切断可能であり、リンカーの切断により細胞内環境において結合部分から殺細胞部分が放出される。切断可能なリンカーは、例えば、リソソームプロテアーゼ又はエンドソームプロテアーゼを含む細胞内ペプチダーゼ又はプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーでありうる。切断剤としては、カテプシンB及びD、プラスミン等が挙げられる(例えば、Dubowchik 及び Walker, Pharm. Therapeutics 83:67~123頁, 1999を参照されたい)。最も典型的なものは、NTB-A発現細胞中に存在する酵素によって切断可能なペプチジルリンカーである。例えば、がん組織で高発現するチオール依存性プロテアーゼであるカテプシンBによって切断可能なペプチジルリンカーを用いることができる(例えば、Phe-Leu又はVal-Citペプチドを含むリンカー)。
【0106】
開裂可能なリンカーはpH感受性、すなわち特定のpH値において加水分解に対して感受性である。典型的には、pH感受性リンカーは酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソーム中で加水分解可能な酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス-アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタール等)を用いることができる。
【0107】
他のリンカーは還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。開裂可能なリンカーはまた、マロン酸リンカー(Johnsonら、Anticancer Res. 15 :1387~93頁, 1995)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら、Bioorg-Med-Chem. 3: 1299~1304頁, 1995)、又は3’-N-アミドアナログ(Lauら、Bioorg-Med-Chem. 3: 1305~12頁, 1995)でありうる。
【0108】
一部の実施形態では、リンカーはプロテアーゼ切断可能なリンカー、例えばバリン-シトルリンでありうるが、これはリソソーム中でカテプシンBによって切断されることがある。
【0109】
リンカーはまた、マレイミド-アルキレン又はマレイミド-アリールリンカーのような非切断可能なリンカーであることができ、治療剤に直接結合し、結合部分のタンパク質分解によって放出される。
【0110】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、「含む」及び「含有する」という語並びにそれらの変形は、「含むが、これらに限定されない」を意味し、他の部分、添加物、成分、整数又はステップを除外することを意図しない(また、除外しない)。本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、特に断りのない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、特に断りのない限り、複数並びに単数として理解されるべきである。
【0111】
本発明の特定の態様、実施形態又は実施例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学部分又は基は、相いれない場合を除き、本明細書に記載されるいずれかのその他の態様、実施形態又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示されたすべての特徴、及び/又は、このように開示された任意の方法又はプロセスのすべてのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせてもよい。本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示された特徴のいずれかの新規な1つ、又はいずれかの新規な組合せ、或いはそうして開示されたあらゆる方法又はプロセスのステップのいずれかの新規な1つ、又はいずれかの新規な組合せに及ぶ。
【0112】
本発明の実施形態を、以下の図を参照して例示的にのみ以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【
図1】CD33+/CD7+細胞株、正常PBMC単球、及び健康なヒトドナーから単離したT細胞に対する、10nMにおける、親和性を低下させたbi-Fabの結合を示す棒グラフの図である。HNT-34(CD33+/CD7+)、Kasumi-3(CD33+/CD7+)、Jurkat(CD33-/CD7+)、SHI-1(CD33+/CD7-)、健康なPBMC単球(CD33+/CD7-)、及び健康なT細胞(CD33-/CD7+)の50000個の細胞をCD33+/CD7+ bi-Fab抗体について試験した。細胞を100μlの10nM bi-Fabに氷上で1時間再懸濁した。インキュベーション後、細胞をペレット化し、氷冷PBS/0.1% BSAで17分の1に希釈したマウス抗ヒトIgG Fab二次抗体、PEの50μlと共に、更に1時間氷上でインキュベートした。細胞を洗浄し、PBSに再懸濁してFACS Caliburで分析した。データはエクセルにプロットした。
【
図2】CD33+/CD7+細胞株、正常PBMC単球、及び健康なヒトドナーから単離したT細胞に対する、10nMにおける、それぞれの親和性を低下させたbi-Fabの結合を示す棒グラフの図である。HNT-34(CD33+/CD7+)、Kasumi-3(CD33+/CD7+)、Jurkat(CD33-/CD7+)、SHI-1(CD33+/CD7-)、健康なPBMC単球(CD33+/CD7-)、及び健康なT細胞(CD33-/CD7+)の50000個の細胞をCD33+/CD7+ bi-Fab抗体について試験した。細胞を100μlの10nM bi-Fabに氷上で1時間再懸濁した。インキュベーション後、細胞をペレット化し、氷冷PBS/0.1% BSAで17分の1に希釈したマウス抗ヒトIgG Fab二次抗体、PEの50μlと共に、更に1時間氷上でインキュベートした。細胞を洗浄し、PBSに再懸濁してFACS Caliburで分析した。データはエクセルにプロットした。
【
図3】1ウェルあたり2×10
4 Kasumi-3(CD33+/CD7+)細胞に対して直接コンジュゲートしたBVX130-MMAFの10点用量応答を用いて実施した殺細胞アッセイを説明するグラフの図である。プレートを37℃、5% CO
2で96時間インキュベートした。インキュベーション後、1ウェルあたり5μlのAlamar Blue試薬を加え、37℃、5% CO
2で4時間及び6時間更にインキュベートした後、プレートを読み取った。それぞれの読み取りに関するデータをGraphPad PRISMにプロットし、IC50値を記録した。細胞株Kasumi-3の4時間の読み取りデータを使用してIC50を算出した。IC50は0.1235nMであった。
【
図4】1ウェルあたり2×10
4 HNT-34(CD33+/CD7+)細胞に対して直接コンジュゲートしたBVX130-MMAFの10点用量応答を用いて実施した殺細胞アッセイを説明するグラフの図である。プレートを37℃、5% CO
2で96時間インキュベートした。インキュベーション後、1ウェルあたり5μlのAlamar Blue試薬を加え、37℃、5% CO
2で4時間及び6時間更にインキュベートした後、プレートを読み取った。それぞれの読み取りに関するデータをGraphPad PRISMにプロットし、IC50値を記録した。細胞株HNT-34の4時間の読み取りデータを使用してIC50を算出した。IC50は0.1204nMであった。
【
図5】1ウェルあたり2×10
4 Kasumi-3(CD33+/CD7+)細胞に対して直接コンジュゲートしたBVX100-MMAFの10点用量応答を用いて実施した殺細胞アッセイを説明するグラフの図である。プレートを37℃、5% CO
2で96時間インキュベートした。インキュベーション後、1ウェルあたり5μlのAlamar Blue試薬を加え、37℃、5% CO
2で4時間及び6時間更にインキュベートした後、プレートを読み取った。それぞれの読み取りに関するデータをGraphPad PRISMにプロットし、IC50値を記録した。細胞株Kasumi-3の4時間の読み取りデータを使用してIC50を算出した。IC50は0.0651nMであった。
【
図6】1ウェルあたり2×10
4 HNT-34(CD33+/CD7+)細胞に対して直接コンジュゲートしたBVX100-MMAFの10点用量応答を用いて実施した殺細胞アッセイを説明するグラフの図である。プレートを37℃、5% CO
2で96時間インキュベートした。インキュベーション後、1ウェルあたり5μlのAlamar Blue試薬を加え、37℃、5% CO
2で4時間及び6時間更にインキュベートした後、プレートを読み取った。それぞれの読み取りに関するデータをGraphPad PRISMにプロットし、IC50値を記録した。細胞株HNT-34の4時間の読み取りデータを使用してIC50を算出した。IC50は0.2437nMであった。
【
図7】1ウェル当たり2×10
4 Jurkat細胞(CD33-/CD7+)に対して直接コンジュゲートしたBVX130-MMAE又はBVX100-MMAEの9点用量を用いて最高最終濃度30nMまで実施した殺細胞アッセイの用量応答曲線を示すグラフの図である。プレートを37℃、5% CO2で96時間インキュベートした。インキュベーション後、CellTiter 96 AQueous One Solutionを各ウェルに10μlずつピペットで移し、プレートを37℃、5% CO2で更に3時間インキュベートした。吸光度を492nm及び690nmにおいて読み取った。OD492nmからOD690nmを差し引き、GraphPad PRISMソフトウェアを用いてデータをプロットした。エラーバーは四連反復の標準偏差を表す。
【
図8】1ウェル当たり2×10
4 Jurkat細胞(CD33-/CD7+)に対して直接コンジュゲートしたBVX130-MMAF又はBVX100-MMAFの10点用量応答を用いて最高最終濃度30nMまで実施した殺細胞アッセイの用量応答曲線を示すグラフの図である。プレートを37℃、5% CO2で96時間インキュベートした。インキュベーション後、1ウェルあたり5μlのAlamar Blue試薬を加え、37℃、5% CO2で4時間及び6時間更にインキュベートした後、プレートを読み取った。それぞれの読み取りに関するデータをGraphPad PRISMにプロットし、IC50値を記録した。Jurkat細胞株の4時間の読み取りデータを使用してIC50を算出した。エラーバーは四連反復の標準偏差を表す。
【
図9】1ウェル当たり2×10
4 LOUCY細胞(CD33-/CD7+)に対して直接コンジュゲートしたBVX130-MMAF又はBVX100-MMAFの10点用量応答を用いて最高最終濃度30nMまで実施した殺細胞アッセイの用量応答曲線を示すグラフの図である。プレートを37℃、5% CO2で96時間インキュベートした。インキュベーション後、1ウェルあたり5μlのAlamar Blue試薬を加え、37℃、5% CO2で4時間及び6時間更にインキュベートした後、プレートを読み取った。それぞれの読み取りに関するデータをGraphPad PRISMにプロットし、IC50値を記録した。LOUCY細胞株の4時間の読み取りデータを使用してIC50を算出した。エラーバーは四連反復の標準偏差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0114】
(実施例1)
細胞株と初代細胞における異なるCD33+/CD7+ bi-Fabの結合の評価
異なるCD33+/CD7+コンジュゲート二重特異性抗体の結合を、様々な細胞株と健康なヒトドナー由来の初代細胞で評価した。それぞれのコンジュゲート二重特異性抗体は、CD33又はCD7のいずれかを標的とする異なる結合アームのペアを示した(Table 1(表1))。それぞれの二重特異性抗体の結合アームは、CD33又はCD7に対して異なる親和性を示す。
【0115】
【0116】
【0117】
試薬
マウス抗ヒトIgG Fab二次抗体, PE ThermoFisher社 #MA110377
Jurkat細胞 DSMZ282
Kasumi-3細胞 DSMZ714
HNT-34細胞 DSMZ600
SHI-1細胞 DSMZ645
健康なPBMCドナー1 Cambridge Bioscience社 ID
PR18E125592
PBS/A(カタログ番号50086470) VWR
BSA(ウシ血清アルブミン フラクションV 100ml 7.5% カタログ番号15260037) ThermoFisher社
BVX1001
BVX1101
BVX1201
BVX1301
BVX1401
BVX1501
BVX1601
BVX1011
BVX1611
BVX1021
BVX1521
BVX1621
BVX1631
【0118】
方法
1mlのそれぞれのbi-Fab剤をPBS/0.1% BSA中、10nMに調製した。細胞を採取し、それぞれのbi-Fab希釈液でそれぞれのbi-Fabを試験するのに十分な細胞数となるように計数し、更に1試験あたり50,000個の細胞を用いて、二次抗体のみで標識した試料を加えた。PBMC試料には、1試験あたり100,000個の細胞を使用した。細胞を1000rpm、4℃で5分間ペレット化し、氷冷PBSに再懸濁した。それぞれの細胞試料の100μlアリコートを、氷上でV字底96ウェルプレートのそれぞれのウェルにピペットで移した。細胞を1000rpm、4℃で5分間ペレット化し、上清を吸引した。細胞を100μlの10nM bi-Fabに再懸濁した。プレートを氷上で1時間インキュベートした。75μlの氷冷PBSをそれぞれのウェルに加え、細胞を1000rpm、4℃で5分間ペレット化した。上清を吸引し、細胞を、氷冷PBS/0.1% BSAで17分の1に希釈したマウス抗ヒトIgG Fab二次抗体、PEの50μlに再懸濁した。プレートを氷上で1時間インキュベートした。それぞれのウェルに100μlの氷冷PBSを加え、細胞を1000rpm、4℃で5分間ペレット化した。細胞を300μlの氷冷PBSに再懸濁し、FACSチューブに移し、FACS Caliburを用いて蛍光分析を行い、FL2でPE染色を検出した。
【0119】
PBMC試料中の単球集団は、側方散乱/前方散乱ドットプロットから同定した。データはエクセルにプロットした。
【0120】
結果
それぞれの二重特異性抗体(1nM及び10nM)のそれぞれの細胞株への結合を、健康なヒトドナーから単離された単球及びT細胞への結合と同時に評価した(
図1及び
図2)。このデータから明らかなように、それぞれの二重特異性構築物内に使用されている特異的CD7及びCD33構築物は、二重(CD33+/CD7+)対単一(CD33+/CD7-又はCD33-/CD7+)抗原陽性細胞株及び健康なヒトドナーから単離された初代細胞への結合に影響を与える。
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
図1及び
図2は、野生型CD33結合アームも含む二重特異性抗体のCD7結合アームの結合親和性の低下が、CD7+/CD33+細胞株への結合親和性に影響しないことを示している。驚くべきことに、二重特異性構築物のCD33-/CD7+細胞への結合は、構築物内で使用されるCD7及びCD33アームの両方の親和性に影響を受けた。上記のTable 2(表3)は、試験した二重特異性抗体の結果を示しており、このデータは、それぞれの二重特異性抗体のそれぞれの結合アームの結合親和性の低下倍率を含むTable 3(表4)に要約されている。
【0126】
【0127】
(実施例2)
CD7+CD33+不死化細胞株における細胞毒性の評価
複数のCD33+/CD7+細胞株において、CD33+/CD7+二重特異性抗体薬物コンジュゲートの細胞毒性(殺細胞)効率を評価した。
【0128】
試験薬剤
・ BVX100-MMAF - mcMMAF(細胞毒性ペイロード)にコンジュゲートしたCD33モノバインダー×CD7モノバインダーのbi-Fab
・ BVX130-MMAF - CD7モノバインダーを部分的に最適化したmcMMAF(細胞毒性ペイロード)にコンジュゲートしたCD33モノバインダー×CD7モノバインダーのbi-Fab(すなわち、BVX100-MMAFと比較してCD7タンパク質の配列が異なる)
・ CD33×CD33-MMAF - mcMMAF(細胞毒性ペイロード)にコンジュゲートしたCD33モノバインダー×CD33モノバインダーのbi-Fab
・ ゲムツズマブ-MMAF - ゲムツズマブは、Pfizer社のADC Mylotarg(商標)の市販のCD33単一特異性IgG抗体成分であり、mcMMAF(細胞毒性ペイロード)にコンジュゲートしている。
・ すべてのADCコンジュゲートは、同じペイロード、コンジュゲーション技術、及び同じ薬物:抗体比を使用した。
【0129】
試薬
・ Kasumi-3細胞 DSMZ714
・ HNT-34細胞 DSMZ600
・ BVX130-MMAF(P01-32、10.5μM) 社内-化学部長
・ BVX130-MMAE(193-27-3、49μM) 社内-化学部長
・ BVX100-MMAF(193-15、13μM) 社内-化学部長
・ BVX100-MMAE(193-28、34μM) 社内-化学部長
・ BSA(ウシ血清アルブミン フラクションV 100ml 7.5% カタログ番号15260037) ThermoFisher社
・ PBS/A(カタログ番号50086470) VWR
・ Corning384ウェル 透明平底 ポリスチレンTC処理マイクロプレート SLS
・ alamarBlue(商標) 細胞生存率試薬 (DAL1025) ThermoFisher社
・ RPMI-1640培地 21875034 Gibco、LifeTechnologies社
・ GlutaMAX(商標) 栄養補助剤 35050061 Gibco、LifeTechnologies社
・ ウシ胎児血清、熱不活性化 10500064 Gibco、LifeTechnologies社
・ ペニシリン-ストレプトマイシン (10,000U/mL) 15140122 Gibco、LifeTechnologies社
【0130】
方法
Kasumi-3及びHNT-34細胞株を採取して計数し、384ウェルプレートについて、1ウェルあたり40μlの培地で100ウェルにわたって1ウェルあたり2000個の細胞を播種するのに必要な量を計算した。BVX130-MMAE、BVX130-MMAF、BVX100-MMAE及びBVX100-MMAFの10点用量応答を、アッセイ培地(RPMI、10% FBS、1% Glutamax、1% Pen/Strep)中で、最終濃度の5倍、最高最終濃度30nMで調製した。それぞれの用量の10μlを384ウェルプレートの3連ウェルにピペットで移し、試験した細胞株ごとに別のプレートを用意した。それぞれの細胞株から500,000個の細胞を5mlのアッセイ培地にピペットで移し、細胞をペレット化した。それぞれの細胞ペレットを10mlのアッセイ培地に再懸濁し、40μlを指示したウェルにピペットで移した。50μlのアッセイ培地をブランク対照ウェルにピペットで移し、50μlのPBSをすべての予備ウェルにピペットで移し、プレートを37℃、5% CO2で4日間又は7日間インキュベートした。4日間のインキュベーション後、1ウェルあたり5μlのAlamar Blue試薬を加え、37℃、5% CO2で4時間及び6時間更にインキュベートした後、プレートを読み取った。それぞれの読み取りに関するデータをGraphPad PRISMにプロットし、IC50値を記録した。細胞株Kasumi-3及びHNT-34の4時間の読み取りデータをIC50要約表に用いた。
【0131】
結果
これらのアッセイのそれぞれについての用量応答曲線の例を
図3から
図6に示す。簡単に述べると、それぞれのCD33+/CD7+二重特異性抗体薬物コンジュゲートは、異なるCD33+/CD7+細胞株において強固な細胞毒性を示した。以下のTable 4(表5)は、複数の実験にわたってそれぞれの細胞型におけるそれぞれの二重特異性抗体の細胞毒性IC50の平均値の概要を示す。
【0132】
【0133】
図3は、Kasumi-3細胞を濃度の増加するBVX130-MMAFに曝露した場合に生じる細胞毒性の用量応答曲線を示すグラフである。Kasumi-3細胞はCD33+/CD7+であり、BVX130-MMAFは細胞毒性ペイロードとコンジュゲートした親和性低下CD33+/CD7+二重特異性抗体である。Kasumi-3細胞におけるBVX130-MMAFのIC50の例は0.1235nMであり、13回の実験の平均IC50は0.16nMである。HNT-34細胞(CD33+/CD7+)における同じ二重特異性抗体コンジュゲートの12回の実験の平均IC50は0.37nMである。
図4は、HNT-34細胞を濃度の増加するBVX130-MMAFに曝露した場合に生じる用量応答曲線の例である。
【0134】
BVX130-MMAFは、BVX100-MMAFと比較して部分的に最適化したCD7配列を含む。
図5及び
図6は、BVX100-MMAFを二重特異性抗体薬物コンジュゲートとして用いた用量応答曲線の例である。BVX130-MMAFと同様、試験した細胞型はKasumi-3及びHNT-34であり、両者ともCD33+/CD7+である。Kasumi-3細胞におけるBVX100-MMAFの平均IC50は6回の実験で0.11nMである。HNT-34細胞におけるBVX100-MMAFの平均IC50は4回の実験で0.41nMである。
【0135】
MMAFコンジュゲート二重特異性抗体は、Table 4(表5)に示すように、一般的にそれぞれの細胞型においてより高いIC50を示す。例えば、Kasumi-3細胞におけるBVX130-MMAFの平均IC50は0.16nMであるのに対し、同じ細胞型におけるBVX130-MMAEのIC50は0.45nMである。同じ細胞株でBVX100-MMAF対BVX100-MMAEを考える場合も同様である。
【0136】
概要
上記の結果は、細胞毒性ペイロードとコンジュゲートした二重特異性CD33+/CD7+抗体のそれぞれが、2つのCD33+/CD7+細胞株において効果的な細胞死を引き起こすことを示す。次のステップは、これらの二重特異性抗体薬物コンジュゲートへの曝露が、血液中の単一抗原陽性健康細胞集団を代表する、単一標的としてCD33又はCD7のみを発現する細胞において、オフターゲットの細胞毒性を引き起こすかどうかを決定することであった。これは、CD33+/CD7+細胞株とCD33+/CD7-細胞株及びCD33-/CD7+細胞株とで、細胞毒性ペイロードにコンジュゲートした二重特異性抗体パネルを用いて、細胞死における選択性倍率を決定することで評価された。
【0137】
(実施例3)
CD33+/CD7-及びCD33-/CD7+細胞に対するCD33+/CD7+の選択性の評価
細胞毒性ペイロードにコンジュゲートした特定の二重特異性抗体が、CD33+/CD7-細胞及びCD33-/CD7+細胞よりもCD33+/CD7+細胞を優先的に標的とするかどうかを調べるため、二重抗原陽性及び単一抗原陽性の不死化細胞株パネルを、様々なコンジュゲートしたCD7+/CD33+二重特異性抗体に曝露し、細胞毒性を測定した。
【0138】
CD33及びCD7の二重及び単一陽性細胞株におけるBi-Fab-MMAEコンジュゲートの細胞毒性活性
試薬
・ Kasumi-3細胞 DSMZ714
・ HNT-34細胞 DSMZ600
・ SHI-1細胞 DSMZ645
・ MV4.11細胞 DSMZ102
・ Jurkat細胞 DSMZ282
社内-化学部長
・ BVX100-MMAE
・ BVX110-MMAE
・ BVX120-MMAE
・ BVX130-MMAE
・ BVX140-MMAE
・ BVX150-MMAE
・ BVX160-MMAE
・ BSA(ウシ血清アルブミン フラクションV 100ml 7.5% カタログ番号15260037) ThermoFisher社
・ PBS/A(カタログ番号50086470) VWR
・ Corning384ウェル 透明平底 ポリスチレンTC処理マイクロプレート SLS
・ alamarBlue(商標) 細胞生存率試薬 (DAL1025) ThermoFisher社
・ RPMI-1640培地 21875034 Gibco、LifeTechnologies社
・ GlutaMAX(商標) 栄養補助剤 35050061 Gibco、LifeTechnologies社
・ ウシ胎児血清、熱不活性化10500064 Gibco、LifeTechnologies社
・ ペニシリン-ストレプトマイシン (10,000U/mL) 15140122 Gibco、LifeTechnologies社
【0139】
方法
細胞を回収し、計数し、90μlの増殖培地あたり2×104細胞になるように再懸濁した。bi-Fab-MMAEの8点用量応答を、最終アッセイ濃度の5倍、最高最終濃度30nMで増殖培地中に調製した。10μlのbi-Fab-MMAE用量設定を384ウェルプレートにピペットで移し、それぞれの濃度を2連のウェルで試験した。40μlの細胞をウェルにピペットで移し、プレートを37℃、5% CO2で96時間インキュベートした。インキュベーション後、MTS試薬を各ウェルに5μlずつピペットで移し、プレートを37℃、5% CO2で更に3時間インキュベートした。吸光度を492nm及び690nmにおいて読み取った。OD492nmからOD690nmを差し引き、GraphPad PRISMソフトウェアを用いてデータをプロットした。
【0140】
【0141】
結果
全細胞株パネルで試験したそれぞれのコンジュゲート二重特異性抗体の決定された細胞毒性、それと共にCD33+/CD7-又はCD33-/CD7+細胞株と比較した、二重陽性CD33+/CD7+細胞株に対するそれぞれの構築物の選択性倍率をTable 5(表6)に示す。これらの結果から、CD33+/CD7+細胞株で見られた強力な細胞毒性と、CD33+/CD7-細胞株及びCD33-/CD7+細胞株に対して見られた選択性倍率の増加により、BVX130が更なる解析のために選択された。
【0142】
CD7単一陽性細胞株におけるBVX100及びBVX130MMAFコンジュゲートの細胞毒性活性
試薬
Jurkat細胞 DSMZ282
LOUCY細胞 DSMZ394
BVX130-MMAF(P01-32、10.5μM) 社内-化学部長
BVX100-MMAF(193-15、13μM) 社内-化学部長
BSA(ウシ血清アルブミン フラクションV 100ml 7.5% カタログ番号15260037) ThermoFisher社
PBS/A(カタログ番号50086470) VWR
Corning384ウェル 透明平底 ポリスチレンTC処理マイクロプレート SLS
alamarBlue(商標) 細胞生存率試薬 (DAL1025) ThermoFisher社
RPMI-1640培地 21875034 Gibco、LifeTechnologies社
GlutaMAX(商標) 栄養補助剤 35050061 Gibco、LifeTechnologies社
ウシ胎児血清、熱不活性化 10500064 Gibco、LifeTechnologies社
ペニシリン-ストレプトマイシン (10,000U/mL) 15140122 Gibco、LifeTechnologies社
【0143】
方法
Jurkat及びLOUCY細胞株を採取して計数し、384ウェルプレートについて、1ウェルあたり40μlの培地で100ウェルにわたって1ウェルあたり2000個の細胞を播種するのに必要な量を計算した。BVX130-MMAF及びBVX100-MMAFの10点用量応答を、アッセイ培地(RPMI、10% FBS、1% Glutamax、1% Pen/Strep)中で、最終濃度の5倍、最高最終濃度30nMで調製した。それぞれの用量の10μlを384ウェルプレートの3連ウェルにピペットで移し、試験した細胞株ごとに別のプレートを用意した。それぞれの細胞株から500,000個の細胞を5mlのアッセイ培地にピペットで移し、細胞をペレット化した。それぞれの細胞ペレットを10mlのアッセイ培地に再懸濁し、40μlを指示したウェルにピペットで移した。50μlのアッセイ培地をブランク対照ウェルにピペットで移し、50μlのPBSをすべての予備ウェルにピペットで移し、プレートを37℃、5% CO2で4日間インキュベートした。4日間のインキュベーション後、1ウェルあたり5μlのAlamar Blue試薬を加え、37℃、5% CO2で4時間及び6時間更にインキュベートした後、プレートを読み取った。それぞれの読み取りに関するデータをGraphPad PRISMにプロットし、IC50値を記録した。
【0144】
結果
MMAF又はMMAE細胞毒性ペイロードとコンジュゲートした親和性調節CD33+/CD7+二重特異性抗体BVX130は、
図7から
図9に見られるように、BVX100と比較してCD7単一抗原陽性細胞における細胞毒性が低下している。
【0145】
示されているように、細胞毒性ペイロードとコンジュゲートしたCD33+/CD7+二重特異性抗体は、不死化CD33+/CD7+細胞株において強固な細胞毒性を引き起こす(
図3から
図6)。CD33+/CD7-細胞株(Table 5(表6))及びCD33-/CD7+を発現する細胞株(
図7から
図9)では、親和性の低いCD7結合アームと親和性の高いCD33結合アームを持つ構築物において細胞毒性の低下が見られた。これは、二重特異性抗体に2つの異なる細胞毒性ペイロードをコンジュゲートさせた場合にも当てはまる。このことから、細胞毒性ペイロードにコンジュゲートさせたCD33+/CD7+二重特異性抗体を使用して、単球(CD33+/CD7-)及びT細胞(CD33-/CD7+)のようなCD33及びCD7単一抗原陽性細胞では細胞毒性を低下させながら、CD33+/CD7+細胞では強固な細胞毒性を引き起こすことができることが示唆される。
【0146】
BVX102、BVX152、BVX162、BVX110、BVX120、及びBVX130の構築物はすべて治療薬として有望であり、特にBVX130はBVX110及びBVX120と同様の活性を示した。
【0147】
前述の実施形態は、特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲を限定することを意図したものではなく、むしろ本発明をどのように実施しうるかの例を説明するためのものである。
配列表
【0148】
CD7-PP-1-WT CD7結合アーム配列:
VH:
【0149】
【0150】
VH CDR1:
【0151】
【0152】
VH CDR2:
【0153】
【0154】
VH CDR3:
【0155】
【0156】
VL:
【0157】
【0158】
VL CDR1:
【0159】
【0160】
VL CDR2:
【0161】
【0162】
VL CDR3:
【0163】
【0164】
重鎖:
【0165】
【0166】
軽鎖:
【0167】
【0168】
CD7-PP-2 CD7 結合アーム配列:
VH:
【0169】
【0170】
VH CDR1:
【0171】
【0172】
VH CDR2:
【0173】
【0174】
VH CDR3:
【0175】
【0176】
VL:
【0177】
【0178】
VL CDR1:
【0179】
【0180】
VL CDR2:
【0181】
【0182】
VL CDR3:
【0183】
【0184】
重鎖:
【0185】
【0186】
軽鎖:
【0187】
【0188】
CD7-PP-3 CD7 結合アーム配列:
VH:
【0189】
【0190】
VH CDR1:
【0191】
【0192】
VH CDR2:
【0193】
【0194】
VH CDR3:
【0195】
【0196】
VL:
【0197】
【0198】
VL CDR1:
【0199】
【0200】
VL CDR2:
【0201】
【0202】
VL CDR3:
【0203】
【0204】
重鎖:
【0205】
【0206】
軽鎖:
【0207】
【0208】
CD7-PP-6 結合アーム配列:
VH:
【0209】
【0210】
VH CDR1:
【0211】
【0212】
VH CDR2:
【0213】
【0214】
VH CDR3:
【0215】
【0216】
VL:
【0217】
【0218】
VL CDR1:
【0219】
【0220】
VL CDR2:
【0221】
【0222】
VL CDR3:
【0223】
【0224】
重鎖:
【0225】
【0226】
軽鎖:
【0227】
【0228】
CD7-PP-7 CD7 結合アーム配列:
VH:
【0229】
【0230】
VH CDR1:
【0231】
【0232】
VH CDR2:
【0233】
【0234】
VH CDR3:
【0235】
【0236】
VL:
【0237】
【0238】
VL CDR1:
【0239】
【0240】
VL CDR2:
【0241】
【0242】
VL CDR3:
【0243】
【0244】
重鎖:
【0245】
【0246】
軽鎖:
【0247】
【0248】
CD7-PP-8 CD7 結合アーム配列:
VH:
【0249】
【0250】
VH CDR1:
【0251】
【0252】
VH CDR2:
【0253】
【0254】
VH CDR3:
【0255】
【0256】
VL:
【0257】
【0258】
VL CDR1:
【0259】
【0260】
VL CDR2:
【0261】
【0262】
VL CDR3:
【0263】
【0264】
重鎖:
【0265】
【0266】
軽鎖:
【0267】
【0268】
CD7-PP-12 CD7 結合アーム配列:
VH:
【0269】
【0270】
VH CDR1:
【0271】
【0272】
VH CDR2:
【0273】
【0274】
VH CDR3:
【0275】
【0276】
VL:
【0277】
【0278】
VL CDR1:
【0279】
【0280】
VL CDR2:
【0281】
【0282】
VL CDR3:
【0283】
【0284】
重鎖:
【0285】
【0286】
軽鎖:
【0287】
【0288】
CD7-PP-13 CD7 結合アーム配列:
VH:
【0289】
【0290】
VH CDR 1:
【0291】
【0292】
VH CDR 2:
【0293】
【0294】
VH CDR 3:
【0295】
【0296】
VL:
【0297】
【0298】
VL CDR1:
【0299】
【0300】
VL CDR2:
【0301】
【0302】
VL CDR3:
【0303】
【0304】
重鎖:
【0305】
【0306】
軽鎖:
【0307】
【0308】
CD33-PP-1-WT 結合アーム配列:
VH:
【0309】
【0310】
VH CDR 1:
【0311】
【0312】
VH CDR 2:
【0313】
【0314】
VH CDR 3:
【0315】
【0316】
VL:
【0317】
【0318】
VL CDR 1:
【0319】
【0320】
VL CDR 2:
【0321】
【0322】
VL CDR 3:
【0323】
【0324】
CD33-PP-4 結合アーム配列:
VH:
【0325】
【0326】
VH CDR 1:
【0327】
【0328】
VH CDR 2:
【0329】
【0330】
VH CDR 3:
【0331】
【0332】
VL:
【0333】
【0334】
VL CDR 1:
【0335】
【0336】
VL CDR 2:
【0337】
【0338】
VL CDR 3:
【0339】
【0340】
CD33-PP-7 結合アーム配列:
VH:
【0341】
【0342】
VH CDR 1:
【0343】
【0344】
VH CDR 2:
【0345】
【0346】
VH CDR 3:
【0347】
【0348】
VL:
【0349】
【0350】
VL CDR 1:
【0351】
【0352】
VL CDR 2:
【0353】
【0354】
VL CDR 3:
【0355】
【0356】
VH及びVLドメイン上流の任意選択的なシグナル配列
【0357】
【配列表】
【国際調査報告】