(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240104BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
F21S2/00 431
F21S2/00 411
F21S2/00 481
G02F1/13357
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576415
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2021136633
(87)【国際公開番号】W WO2023092668
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111408950.4
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】孫 承嘯
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲ミャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 黎暄
(72)【発明者】
【氏名】陳 珍霞
(72)【発明者】
【氏名】蘭 松
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AB06
2H391AB34
2H391AB40
2H391AD35
2H391CA02
2H391CA10
3K244AA01
3K244BA07
3K244CA01
3K244GA01
3K244GA03
3K244GA05
3K244GA08
3K244GA10
(57)【要約】
本発明に係る表示装置は、量子ドット複合フィルム、液晶表示パネル及びバックライトモジュールを含み、量子ドット複合フィルムは、量子ドットフィルム層を含み、量子ドットフィルム層の出光面に複数の第1プリズム構造が設けられ、第1プリズム構造を利用して、量子ドットフィルム層から出射される光の角度を低下させることにより、表示装置の正面輝度を向上させるとともに、表示装置の広視野角の暗状態における光漏れの問題を改善又は回避する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトモジュールと、
前記バックライトモジュールの出光側に設けられる液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルと前記バックライトモジュールとの間に設けられる量子ドット複合フィルムであって、
量子ドットフィルム層と、
前記量子ドットフィルム層の出光面に設けられた複数の第1プリズム構造とを含む量子ドット複合フィルムと、を含む表示装置。
【請求項2】
前記第1プリズム構造の断面が三角形又は台形となっている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
複数の前記第1プリズム構造は、前記量子ドットフィルム層の前記出光面において第1方向に沿って連続して分布するか又は間隔をおいて分布する請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記量子ドット複合フィルムは、前記第1プリズム構造の前記量子ドットフィルム層から離反する側に設けられる反射型偏光シートをさらに含む請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記量子ドット複合フィルムは、前記第1プリズム構造の前記量子ドットフィルム層から離反する側に設けられる第1光学フィルム層をさらに含み、
前記第1光学フィルム層の前記量子ドットフィルム層から離反する側の表面は、複数の第2プリズム構造を有する請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
複数の前記第2プリズム構造は、前記第1光学フィルム層の前記量子ドットフィルム層から離反する側において第2方向に沿って連続して分布するか又は間隔をおいて分布し、前記第1方向が前記第2方向と平行であるか又は交差する請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
隣り合う前記第2プリズム構造の間の距離が0μmよりも大きく100μm以下である請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2プリズム構造の断面が三角形又は台形となっている請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
各前記第2プリズム構造の底角が同じであり、前記第2プリズム構造の底角が20°以上80°以下である請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2プリズム構造は、複数の第1サブプリズム構造と、前記第1サブプリズム構造の間に差し挟んで設けられるか又は前記第1サブプリズム構造の一側に設けられる複数の第2サブプリズム構造とを含み、
前記第1サブプリズム構造の底角が前記第2サブプリズム構造の底角と異なり、及び/又は、前記第1サブプリズム構造の断面形状が前記第2サブプリズム構造の断面形状と異なる請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1サブプリズム構造の底角が、前記第2サブプリズム構造の底角よりも大きい請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1サブプリズム構造の底角が45°よりも大きく80°以下であり、前記第2サブプリズム構造の底角が10°以上45°以下である請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記反射型偏光シートは、前記第1光学フィルム層の前記量子ドットフィルム層から離反する側に設けられる請求項5に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1プリズム構造の材料が透明ポリマーと無機粒子とを含む請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
前記透明ポリマーは、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂の少なくとも1つを含み、前記無機粒子は、TiO
2、BaSO
4、ZrO
2の少なくとも1つを含む請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第1プリズム構造の屈折率が1.3以上1.7以下である請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
前記量子ドットフィルム層は、複合フィルム基材と、前記複合フィルム基材に分布されている複数の量子ドットとを含み、
前記複合フィルム基材の材料が透明ポリマーを含む請求項1に記載の表示装置。
【請求項18】
前記透明ポリマーの材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂の少なくとも1つを含み、前記量子ドットは、発光コアと、前記発光コアを含む無機保護シェル層とを含み、
前記無機保護シェル層の材料は、CdS、ZnSe、ZnCdS
2、ZnS及びZnOの少なくとも1つを含む請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記量子ドットは、赤色量子ドット及び緑色量子ドットを含み、
前記赤色量子ドットの前記発光コアの材料は、CdSe、Cd
2SeTe及びInAsの少なくとも1つを含み、前記緑色量子ドットの前記発光コアの材料は、ZnCdSe
2、InP、Cd
2SSeの少なくとも1つを含む請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記量子ドット複合フィルムは、前記液晶表示パネルの前記バックライトモジュールに向ける側に貼り合わせ、又は、前記量子ドット複合フィルムは、前記バックライトモジュールの前記液晶表示パネルに向ける側に貼り合わせる請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示の技術分野に関し、特に表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、量子ドット材料(Quantum Dot,QD)は、それ自体が有する高い色純度、スペクトル連続調整可能などの優れた特性により、21世紀に最も優れた発光材料となっており、表示色域において従来の液晶表示(liquid crystal display,LCD)パネルの色表現を大幅に向上させることができるため、近年、その表示適用が盛んに研究されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の量子ドットの広視野角表示技術は、量子ドット複合フィルムとプリズムとを貼り合わせて、量子ドット発光が超広視野角の特徴を利用して、液晶表示パネルの輝度を向上させる。しかしながら、この技術的手段では、視野角拡散が大きすぎるため、超広視野角(>60°)領域で多くの光が出射されることにより、液晶表示パネルの正面輝度が不足するようになり、暗状態の広視野角の場合に光漏れが激しく、コントラストが有意に低下される。
【0004】
以上のようにして、従来の表示装置では、依然として広視野角の場合に多くの光が出射されることにより、正面輝度が不足するようになり、広視野角の場合に暗状態の光漏れが発生するという問題点がある。したがって、これらの欠陥を改善するために、表示装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、従来の表示パネルにおいて広視野角の場合に多くの光が出射されることにより、正面輝度が不足するようになり、広視野角の場合に暗状態の光漏れが発生するという問題点を解消するために、表示装置を提供する。
【0006】
本発明の実施例は、
バックライトモジュールと、
前記バックライトモジュールの出光側に設けられる液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルと前記バックライトモジュールとの間に設けられる量子ドット複合フィルムであって、
量子ドットフィルム層と、
前記量子ドットフィルム層の出光面に設けられた複数の第1プリズム構造とを含む量子ドット複合フィルムと、を含む表示装置を提供する。
【0007】
本発明の一実施例によれば、前記第1プリズム構造の断面が三角形又は台形となっている。
【0008】
本発明の一実施例によれば、複数の前記第1プリズム構造は、前記量子ドットフィルム層の前記出光面において第1方向に沿って連続して分布するか又は間隔をおいて分布する。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記量子ドット複合フィルムは、前記第1プリズム構造の前記量子ドットフィルム層から離反する側に設けられる反射型偏光シートをさらに含む。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記量子ドット複合フィルムは、前記第1プリズム構造の前記量子ドットフィルム層から離反する側に設けられる第1光学フィルム層をさらに含み、
前記第1光学フィルム層の前記量子ドットフィルム層から離反する側の表面は、複数の第2プリズム構造を有する。
【0011】
本発明の一実施例によれば、複数の前記第2プリズム構造は、前記第1光学フィルム層の前記量子ドットフィルム層から離反する側において第2方向に沿って連続して分布するか又は間隔をおいて分布し、前記第1方向が前記第2方向と平行であるか又は交差する。
【0012】
本発明の一実施例によれば、隣り合う前記第2プリズム構造の間の距離が0μmよりも大きく100μm以下である。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記第2プリズム構造の断面が三角形又は台形となっている。
【0014】
本発明の一実施例によれば、各前記第2プリズム構造の底角が同じであり、前記第2プリズム構造の底角が20°以上80°以下である。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記第2プリズム構造は、複数の第1サブプリズム構造と、前記第1サブプリズム構造の間に差し挟んで設けられるか又は前記第1サブプリズム構造の一側に設けられる複数の第2サブプリズム構造とを含み、
前記第1サブプリズム構造の底角が前記第2サブプリズム構造の底角と異なり、及び/又は、前記第1サブプリズム構造の断面形状が前記第2サブプリズム構造の断面形状と異なる。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記第1サブプリズム構造の底角が、前記第2サブプリズム構造の底角よりも大きい。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記第1サブプリズム構造の底角が45°よりも大きく80°以下であり、前記第2サブプリズム構造の底角が10°以上45°以下である。
【0018】
本発明の一実施例によれば、前記反射型偏光シートは、前記第1光学フィルム層の前記量子ドットフィルム層から離反する側に設けられる。
【0019】
本発明の一実施例によれば、前記第1プリズム構造の材料が透明ポリマーと無機粒子とを含む。
【0020】
本発明の一実施例によれば、前記透明ポリマーは、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂の少なくとも1つを含み、前記無機粒子は、TiO2、BaSO4、ZrO2の少なくとも1つを含む。
【0021】
本発明の一実施例によれば、前記第1プリズム構造の屈折率が1.3以上1.7以下である。
【0022】
本発明の一実施例によれば、前記量子ドットフィルム層は、複合フィルム基材と、前記複合フィルム基材に分布された複数の量子ドットとを含み、
前記複合フィルム基材の材料が透明ポリマーを含む。
【0023】
本発明の一実施例によれば、前記透明ポリマーの材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂の少なくとも1つを含み、前記量子ドットは、発光コアと、前記発光コアを含む無機保護シェル層とを含み、
前記無機保護シェル層の材料は、CdS、ZnSe、ZnCdS2、ZnS及びZnOの少なくとも1つを含む。
【0024】
本発明の一実施例によれば、前記量子ドットは、赤色量子ドット及び緑色量子ドットを含み、
前記赤色量子ドットの前記発光コアの材料は、CdSe、Cd2SeTe及びInAsの少なくとも1つを含み、前記緑色量子ドットの前記発光コアの材料は、ZnCdSe2、InP、Cd2SSeの少なくとも1つを含む。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記量子ドット複合フィルムは、前記液晶表示パネルの前記バックライトモジュールに向ける側に貼り合わせ、又は、前記量子ドット複合フィルムは、前記バックライトモジュールの前記液晶表示パネルに向ける側に貼り合わせる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施例の有益な効果は以下の通りであり、本発明の実施例に係る表示装置は、前記量子ドット複合フィルム、液晶表示パネル及びバックライトモジュールを含み、前記量子ドット複合フィルムは、量子ドットフィルム層を含み、前記量子ドットフィルム層の出光面に複数の第1プリズム構造が設けられ、第1プリズム構造による光の屈折作用を利用して、量子ドットフィルム層の出光面から出射される光の角度を低下させることにより、表示装置の正面輝度を向上させるとともに、表示装置の広視野角の暗状態における光漏れの問題を改善又は回避し、これにより、表示装置のコントラストを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明するが、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎなく、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【
図1】
図1は本発明の実施例に係る表示装置の第1実施例の構造模式図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係る表示装置の第2実施例の構造模式図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(d)は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第1実施例の断面構造模式図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第1実施例の斜視構造模式図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(c)は本発明の実施例に係る第1プリズム構造の配列方向模式図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例に係る底角の異なる第1プリズム構造の広視野角の色ずれシミュレーション結果の棒グラフである。
【
図7】
図7は本発明の実施例に係る底角の異なる第1プリズム構造の光入射-射出関係を示す図である。
【
図8】
図8は本発明の実施例に係る表示装置の第3実施例の構造模式図である。
【
図9】
図9は本発明の実施例に係る表示装置の第4実施例の構造模式図である。
【
図10】
図10は本発明の実施例に係るドットの実験群及び対照群の出光タイプの比較模式図である。
【
図11】
図11(a)~
図11(d)は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第2実施例の断面構造模式図である。
【
図12】
図12は本発明の実施例に係る表3における各実験群に対応する出光タイプを示す図である。
【
図13】
図13(a)~
図13(d)は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第3実施例の断面構造模式図である。
【
図14】
図14は本発明の実施例に係る両プリズム構造の出光タイプの比較模式図である。
【
図15】
図15は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第2実施例の斜視構造模式図である。
【
図16】
図16は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第2実施例の別の斜視構造模式図である。
【
図17】
図17は本発明の実施例に係る各実験群の出光タイプの比較図である。
【
図18】
図18は本発明の実施例に係る表5における4組の実験群の102の階調、20°の視野角におけるGamma shift値の棒グラフである。
【
図19】
図19は本発明の実施例に係る表示装置の第5実施例の構造模式図である。
【
図20】
図20は本発明の実施例に係る表示装置の第6実施例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施するための特定の実施例を例示するために、添付されている図面を参照して各実施例を説明する。[上]、[下]、[前]、[後]、[左]、[右]、[内]、[外]、「側面]などの本発明で言及される方向の用語は、単に添付図面を参照する方向に過ぎない。従って、方向の用語は、本発明を説明して理解するために使用され、本発明を限定するためのものではない。図面において、構造的に同様の要素は同じ符号で示されている。
【0029】
以下、添付図面および具体的な実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
本発明の実施例は、表示装置を提供し、
図1に示すように、
図1は本発明の実施例に係る表示装置の第1実施例の構造模式図であり、前記表示装置100は、液晶表示パネル20と、バックライトモジュール30と、前記量子ドット複合フィルム10とを含み、前記液晶表示パネル20が前記バックライトモジュール30の出光側に設けられ、前記量子ドット複合フィルム10が前記液晶表示パネル20と前記バックライトモジュール30との間に設けられる。
【0031】
本発明の実施例において、表示装置100は、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコンなどのモバイル端末であってもよく、スマートウォッチ、スマートバンド、スマートグラス、拡張現実装置などのウェアラブル端末であってもよく、デスクトップコンピュータ、テレビなどの固定端末であってもよい。
【0032】
本発明の実施例において、液晶表示パネル20の種類は、VA方式、IPS方式及びTN方式などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0033】
図1に示すように、前記量子ドット複合フィルム10は、量子ドットフィルム層11と、前記量子ドットフィルム層11の出光面に設けられた複数の第1プリズム構造12とを含む。
【0034】
量子ドットフィルム層11は、複合フィルム基材と、前記複合フィルム基材に均一に分散されている複数の量子ドットとを含む。前記複合フィルム基材の材料が透明ポリマー材料を含み、前記透明ポリマー材料はポリエステル樹脂(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリカーボネート(PC)の1つ以上を含む。
【0035】
前記量子ドットは、発光コアと、前記発光コアを取り囲む無機保護シェル層と、を含む。複数の前記量子ドットが赤色量子ドット及び緑色量子ドットを含み、赤色量子ドットの発光コアの赤色発光材料は、CdSe、Cd2SeTe及びInAsの1つ以上を含み、緑色量子ドットの発光コアの緑色発光材料は、ZnCdSe2、InP、Cd2SSeの1つ以上を含む。
【0036】
無機保護シェル層の材料は、CdS、ZnSe、ZnCdS2、ZnS、ZnOなどの1つ以上の組み合わせを含み、ハイドロゲル状態の量子ドット構造やCdSe-SiO2などの高安定性の複合量子ドット及びペロブスカイト量子ドットなどをさらに含むことができる。
【0037】
第1プリズム構造12の材料が透明ポリマーと、透明ポリマーに均一に分散されている無機粒子とを含む。透明ポリマーの材料は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル樹脂(PET)又はエポキシ樹脂(EP)の少なくとも1つ以上の組成物を含むことができ、無機粒子の材料は、TiO2、BaSO4、ZrO2の少なくとも1つ以上の組成物を含むことができる。
【0038】
本発明の実施例において、無機粒子が混合された透明ポリマー材料を量子ドットフィルム層11の出光面に直接塗布し、透明ポリマー材料をインプリントして凹凸形状面を形成し、インプリントされた透明ポリマー材料が硬化した後に、量子ドットフィルム層11の表面に前記第1プリズム構造12を形成することができる。
【0039】
さらに、前記量子ドット複合フィルム10は、前記第1プリズム構造12の前記量子ドットフィルム層11から離反する側に設けられる反射型偏光シート13をさらに含む。
【0040】
一実施例において、
図1に示すように、前記反射型偏光シート13は、第1透明接着層14を介して前記第1プリズム構造12の前記量子ドットフィルム層11から離反する側の表面に貼り合わせ、前記量子ドット複合フィルム10における量子ドットフィルム層11の前記第1プリズム構造12から離反する側は、前記バックライトモジュール30の前記液晶表示パネル20に向ける側に貼り合わせる。
【0041】
具体的には、前記第1透明接着層14の厚さが4μmである。実際の使用において、前記第1透明接着層14の厚さが4μmのみに限定されるものではなく、2μm、3μm又は5μmなどであってもよく、2μm以上5μm以下であればよい。
【0042】
図1に示す実施例において、前記量子ドット複合フィルム10が前記バックライトモジュール30に貼り合わせ、前記液晶表示パネル20が前記バックライトモジュール30の額縁領域と額縁シール40を介して貼り合わせることにより、反射型偏光シート13と液晶表示パネル20とを貼り合わせることなく、量子ドット複合フィルム10をバックライトモジュール30に貼り合わせることにより、バックライトモジュールの光効率を効果的に向上させ、表示装置の輝度を向上させることができる。
【0043】
一実施例において、
図2に示すように、
図2は本発明の実施例に係る第2の表示装置の構造模式図であり、前記反射型偏光シート13は、第1透明接着層14を介して前記第1プリズム構造12の前記量子ドットフィルム層11から離反する側の表面に貼り合わせ、前記反射型偏光シート13の前記第1プリズム構造12から離反する側の表面は、第2透明接着層15を介して前記液晶表示パネル20の前記バックライトモジュール30に向ける側の表面に貼り合わせる。
【0044】
図2に示す実施例において、前記液晶表示パネル20と前記バックライトモジュール30の額縁領域とを額縁シール40を介して貼り合わせ、液晶表示パネル20と量子ドット複合フィルム10とを第2透明接着層15を介して貼り合わせることに影響を与えないとともに、液晶表示パネル20の底部に量子ドット複合フィルム10を貼り合わせることにより、バックライトモジュール30の構造を簡略化して、表示装置の視野角を改善することができる。
【0045】
具体的には、前記第2透明接着層15の厚さが10μmである。実際の使用において、前記第2透明接着層15の厚さが10μmのみに限定されるものではなく、5μm、8μm、15μm、18μm又は20μmなどであってもよく、5μm以上20μm以下であればよい。
【0046】
具体的には、前記第1透明接着層14及び前記第2透明接着層15は、いずれも紫外線感光性接着剤、感圧接着剤、エポキシ系感熱接着剤のいずれかであってもよい。実際の使用において、第1透明接着層14及び前記第2透明接着層15の少なくとも一方は、ヘイズ接着層に変換されてもよく、ヘイズ接着層にTiO2、BaSO4、ZrO2等の拡散粒子の少なくとも1つ以上の組成物を添加することにより、異なる材料のフィルム層の貼り合わせが干渉現象を起こして虹ムラやモアレ等の表示不良を生じる問題を緩和又は回避することができる。
【0047】
さらに、前記第1プリズム構造12の断面が三角形又は台形となっており、複数の前記第1プリズム構造12は、前記量子ドットフィルム層11の前記出光面において連続して分布するか又は間隔をおいて分布する。
【0048】
図3(a)~
図3(d)に示すように、
図3(a)~
図3(d)は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第1実施例の断面構造模式図であり、この断面は、前記量子ドット複合フィルム10の短手方向y及び厚さ方向zと平行な平面であり、
図3(a)における第1プリズム構造12の断面が二等辺三角形となり、第1プリズム構造12の量子ドット複合フィルム10の厚さ方向zにおける高さh1が20μmであり、第1プリズム構造12の底角α1が30°である。
【0049】
図3(b)における第1プリズム構造12の断面が二等辺三角形となり、第1プリズム構造12の量子ドット複合フィルム10の厚さ方向zにおける高さh1が25μmであり、第1プリズム構造12の底角α1が45°である。
【0050】
図3(a)及び
図3(b)における第1プリズム構造12は、量子ドットフィルム層11の出光面においてそれぞれ連続して分布しており、隣り合う前記第1プリズム構造12の底角同士が接続される。
【0051】
図3(c)における第1プリズム構造12の断面が二等辺三角形となり、第1プリズム構造12の量子ドット複合フィルム10の厚さ方向zにおける高さh1が30μmであり、第1プリズム構造12の底角α1が70°である。
図3(c)における複数の第1プリズム構造12は、量子ドットフィルム層11の出光面において間隔をおいて分布しており、任意の隣り合う2つの前記第1プリズム構造12の間の距離d1が30μmである。
【0052】
図3(d)における第1プリズム構造12の断面が等脚台形となり、第1プリズム構造12の量子ドット複合フィルム10の厚さ方向zにおける高さh1が30μmであり、第1プリズム構造12の底角α1が60°である。複数の第1プリズム構造12は、量子ドット複合フィルム10の出光面において連続して分布している。
【0053】
実際の使用において、前記第1プリズム構造12の断面形状は、上記実施例における二等辺三角形又は等脚台形に限定されず、直角三角形、その他の非二等辺三角形、直角台形又はその他の非等脚台形等であってもよい。
【0054】
実際の使用において、複数の第1プリズム構造12が量子ドットフィルム層11の表面に間隔をおいて分布する場合に、任意の隣り合う2つの第1プリズム構造12の間の距離は上記30μmのみに限定されるものではなく、10μm、50μm、70μm、又は100μmなどであってもよく、0μmよりも大きく100μm以下であればよい。
【0055】
実際の使用において、第1プリズム構造12の底角α1は上記実施例における30°、45°、60°又は70°のみに限定されるものではなく、20°又は80°であってもよく、20°以上80°以下であればよい。
【0056】
図4に示すように、
図4は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第1実施例の斜視構造模式図であり、前記第1プリズム構造12の長手方向が前記量子ドット複合フィルム10の長手方向xと平行であり、第1プリズム構造12の幅方向が前記量子ドット複合フィルム10の短手方向yと平行であり、複数の前記第1プリズム構造12は、量子ドット複合フィルム10の短手方向yに沿って連続して分布している。
【0057】
図5(a)~
図5(c)に示すように、
図5(a)~
図5(c)は本発明の実施例に係る第1プリズム構造の配列方向模式図であり、
図5(a)において、第1プリズム構造12の長手方向が量子ドット複合フィルム10の長手方向xと平行である。
図5(b)において、第1プリズム構造12の長手方向が量子ドット複合フィルム10の長手方向xと垂直であり、
図5(c)における第1プリズム構造12の長手方向と量子ドット複合フィルム10の長手方向xとが交差して所定の角度をなし、この角度が鋭角であってもよいし、鈍角であってもよい。
【0058】
前記第1プリズム構造12の断面が二等辺三角形であることを例として、表1に示すように複数種の第1プリズム構造12を設計し、第1プリズム構造12の高さh1を35μmに統一し、光学シミュレーションにより各正面輝度及び1/2輝度視野角表現を分析し、結果を表1に示した。
【表1】
【0059】
表1における第1群~第3群の実験に示すように、第1プリズム構造12の底角(Taper)の角度が次第に増加されるにつれて、表示装置の正面輝度が次第高くなる。対照群と比較して、第3群の実験では、底角が70°である場合に、表示装置の正面輝度が約5%向上され、1/2輝度視野角はほぼ変わらないように維持される。
【0060】
表1における第4群~第6群の実験に示すように、任意の隣り合う第1プリズム構造12の間の距離d1が次第に増加されるにつれて、表示装置の正面輝度が次第に高くなり、幅が大きくなる。任意の隣り合う2つの第1プリズム構造12の間の距離d1が75μmに増加される場合に、表示装置の正面輝度が対照群に比べて約14%向上し、1/2視野角輝度がやや低下するが、依然として片側60°以上に維持される。
【0061】
図6に示すように、
図6は本発明の実施例に係る底角の異なる第1プリズム構造の広視野角の色ずれシミュレーション結果の棒グラフであり、第1プリズム構造12の底角α1が60°に増加される場合に、30°と60°との視野角色点yのずれが有意に低下し、第1プリズム構造12の底角α1が70°に増加される場合に、30°と60°との視野角色点x、yがそれぞれ有意に改善される。
【0062】
図7に示すように、
図7は本発明の実施例に係る底角の異なる第1プリズム構造の光入射-射出関係を示す図であり、第1プリズム構造12の底角α1が70°に増加される場合に、第1プリズム構造12は小視野角(0~30°)の光を大視野角に屈折して出射し、中視野角(30~50°)の光を小視野角に屈折して出射し、大視野角(50°以上)の光を量子ドットフィルム層11に全反射して2回目出射し、それぞれの視野角の光が平均化された後、R、G、Bの光タイプの差が小さくなり、色ずれ現象が改善される。
【0063】
一実施例において、
図8に示すように、
図8は本発明の実施例に係る表示装置の第3実施例の構造模式図であり、
図8に示す表示装置は
図1に示す表示装置の構造とほぼ同じであり、
図8に示す表示装置における量子ドット複合フィルム10には反射型偏光シート13が含まれることなく、第1光学フィルム層16が含まれ、前記第1光学フィルム層16は前記第1プリズム構造12の前記量子ドットフィルム層11から離反する側に設けられ、前記第1光学フィルム層16の前記量子ドットフィルム層11から離反する側の表面は複数の第2プリズム構造160を有する点で異なる。
【0064】
前記第1光学フィルム層16は、第1透明接着層14を介して前記第1プリズム構造12の前記量子ドットフィルム層11から離反する側に貼り合わせることができ、前記量子ドットフィルム層11は、バックライトモジュール30の前記液晶表示パネル20に向ける側の表面に貼り合わせることができる。
【0065】
一実施例において、
図9に示すように、
図9は本発明の実施例に係る表示装置の第4実施例の構造模式図であり、
図9に示す表示装置は
図8に示す表示装置の構造とほぼ同じであり、
図9に示す表示装置における量子ドットフィルム層11は、バックライトモジュール30の液晶表示パネル20に向ける側の表面と貼り合わせることなく、第1光学フィルム層16の前記液晶表示パネル20に向ける側の表面は、第2透明接着層15を介して液晶表示パネル20の底面と貼り合わせることができる点で異なる。
【0066】
なお、
図8及び
図9に示すように、第1プリズム構造12により量子ドットフィルム層11と第1光学フィルム層16との間に複数のエアギャップを形成させることができる。光が量子ドットフィルム層11の出光面の第1プリズム構造12から出射した後、エアギャップを通って第1光学フィルム層16に入る過程で1回目の受光屈折が発生し、光が第1光学フィルム層16に入った後に前記量子ドット複合フィルム10の厚さ方向zとのなす角が小さくなる。
【0067】
第1光学フィルム層16の表面の第2プリズム構造160から光が出射すると、2回目の受光屈折が発生する。第2プリズム構造160から光が出射した後に、前記量子ドット複合フィルム10の厚さ方向zとのなす角は、第1光学フィルム層16における光と比べて小さくなり、光の出射角度が小さくなっているので、超広視野角(>60°)領域で出射される光の量が少なくなり、小視野角領域で出射される光の量が多くなることにより、表示パネルの正面輝度を向上させるとともに、広視野角の暗状態の場合に表示パネルの光漏れの問題を改善する。
【0068】
図8又は
図9に示す表示装置における量子ドット複合フィルム粒子を用いて、量子ドットフィルム層11、第1プリズム構造12及び第1光学フィルム層16からなる量子ドット複合フィルム10を実験群とし、量子ドットフィルム層11及び第1光学フィルム層16のみからなる量子ドット複合フィルム10を対照群とし、対照実験した。
【0069】
図10に示すように、
図10は本発明の実施例に係る実験群及び対照群の出光タイプの比較模式図であり、視野角が0~60°である場合に、実験群と対照群との輝度がほぼ一致し、視野角が60°よりも大きい場合に、実験群の輝度曲線の曲率が対照群の輝度曲線の曲率よりも有意に大きく、実験群の輝度が対照群の輝度よりも有意に低い。
【表2】
【0070】
表2に示すように、表2は本発明の実施例に係る実験群及び対照群の光学仕様のデータテーブルであり、対照群に比べて、実験群の正面輝度が41.8%向上され、暗状態輝度が21.0%低下され、コントラストが79%向上される。
【0071】
図10及び表2からわかるように、量子ドットフィルム層11と第1光学フィルム層16との間に第1プリズム構造12を追加することにより、表示装置の正面輝度を効果的に向上させることができ、広視野角の暗状態における表示装置の光漏れの問題を改善することにより、表示装置のコントラストを向上させることができる。
【0072】
さらに、前記第2プリズム構造160の断面が三角形又は台形となっており、各前記第2プリズム構造160の底角が同じであり、前記第2プリズム構造160の底角が20°以上80°以下である。
【0073】
図11(a)~
図11(d)に示すように、
図11(a)~
図11(d)は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第2実施例の断面構造模式図である。
【0074】
図11(a)における第1プリズム構造12及び第2プリズム構造160の断面がそれぞれ二等辺三角形となっており、複数の第1プリズム構造12は量子ドットフィルム層11の出光面において連続して分布し、複数の第2プリズム構造160は第1光学フィルム層16の表面において連続して分布する。第1プリズム構造12の高さh1が20μmであり、第1プリズム構造12の底角α1が30°であり、第2プリズム構造160の高さh2が20μmであり、第2プリズム構造160の底角α2が30°である。
【0075】
図11(b)における第1プリズム構造12及び第2プリズム構造160の断面がそれぞれ二等辺三角形となっており、複数の第1プリズム構造12は量子ドットフィルム層11の出光面において間隔をおいて分布し、複数の第2プリズム構造160は第1光学フィルム層16の表面において間隔をおいて分布する。第1プリズム構造12の高さh1が25μmであり、第1プリズム構造12の底角α1が60°であり、任意の隣り合う第1プリズム構造12の間の距離d1が30μmであり、第2プリズム構造160の高さh2が25μmであり、第2プリズム構造160の底角α2が45°であり、任意の隣り合う第2プリズム構造160の間の距離d2が50μmである。
【0076】
図11(c)における第1プリズム構造12及び第2プリズム構造160の断面がそれぞれ二等辺三角形となっており、複数の第1プリズム構造12は量子ドットフィルム層11の出光面において連続して分布し、複数の第2プリズム構造160は第1光学フィルム層16の表面において連続して分布する。第1プリズム構造12の高さh1が30μmであり、第1プリズム構造12の底角α1が45°であり、第2プリズム構造160の高さh2が30μmであり、第2プリズム構造160の底角α2が60°である。
【0077】
図11(d)における第1プリズム構造12の断面が二等辺三角形となっており、第2プリズム構造160の断面が等脚台形となっており、複数の第1プリズム構造12は量子ドットフィルム層11の出光面において間隔をおいて分布し、複数の第2プリズム構造160は第1光学フィルム層16の表面において連続して分布する。第1プリズム構造12の高さh1が30μmであり、第1プリズム構造12の底角α1が70°であり、任意の隣り合う第1プリズム構造12の間の距離が25μmであり、第2プリズム構造160の高さh2が30μmであり、第2プリズム構造160の底角α2が45°である。
【0078】
実際の使用において、第1プリズム構造12の高さh1が10μm又は50μmなどであってもよく、10μm以上50μm以下であればよい。第2プリズム構造160の高さh2が10μm又は50μmなどであってもよく、10μm以上50μm以下であればよい。
【0079】
第2プリズム構造160が間隔をおいて分布する場合に、任意の隣り合う2つの第2プリズム構造160の間の距離d2は上記実施例における25μm又は50μmのみに限定されるものではなく、10μm、30μm、70μm、又は100μmなどであってもよく、0μmよりも大きく100μm以下であればよい。
【0080】
実際の使用において、第2プリズム構造160の底角α2は20°、50°又は80°などであってもよく、20°以上80°以下であればよい。
【0081】
表3に示すような6組の実験を設計し、光学シミュレーション及び実験により検証したところ、量子ドット複合フィルム10の異なるプリズム構造の設計は異なる光学仕様を有する。
【表3】
【0082】
図12及び表3に示すように、
図12は本発明の実施例に係る表3における各実験群に対応する出光タイプを示す図であり、
図12及び表3における実験群1~3に示すように、第1プリズム構造12の底角α1が次第に増加されるにつれて、表示装置の正面輝度が次第に増加され、1/2輝度視野角がほぼ変わらないように維持される。これにより、量子ドットフィルム層11の出光面における第1プリズム構造12の設計を変えることにより、表示装置のエネルギー効率を約10%向上させて、1/2輝度視野角をほぼ変わらないように維持することができることがわかる。
【0083】
図12及び表3における実験群4~6に示すように、第2プリズム構造160の底角α2が次第に増加されるにつれて、1/2視野角輝度が次第に低下されて、低下される幅が大きい。これにより、第2プリズム構造160の設計を変えることにより、表示装置の片側の1/2輝度視野角を40°~60°に調整することができることがわかる。したがって、量子ドット複合フィルム10における第1プリズム構造12は主に表示装置のエネルギー効率に影響を与え、第1光学フィルム層16の第2プリズム構造160が主に表示装置の視野角に影響を与える。
【0084】
一実施例において、第2プリズム構造160は両Taper構造設計を採用し、即ち前記第2プリズム構造160は第1サブプリズム構造161及び第2サブプリズム構造162を含み、前記第2サブプリズム構造162が複数の前記第1サブプリズム構造161の間に差し挟んで設けられるか又は前記第1サブプリズム構造161の一側に設けられ、前記第1サブプリズム構造161の底角α21が前記第2サブプリズム構造162の底角α22と異なる。
【0085】
一実施例において、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との断面形状が同じであり、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162とは量子ドット複合フィルム10の厚さ方向zにおける高さが同じであって、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との数が同じである。
【0086】
図13(a)~
図13(d)に示すように、
図13(a)~
図13(d)は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第3実施例の断面構造模式図であり、
図13(a)における第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との断面がそれぞれ二等辺三角形となっており、高さがそれぞれ20μmであり、第1サブプリズム構造161の底角α21が70°であり、第2サブプリズム構造162の底角α22が45°であり、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との数の比率が1:1である。
【0087】
一実施例において、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との数が異なる。
【0088】
図13(b)に示すように、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との断面がそれぞれ二等辺三角形となっており、高さがそれぞれ20μmであり、第1サブプリズム構造161の底角α21が60°であり、第2サブプリズム構造162の底角α22が45°であり、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との数の比率が2:1であり、隣り合う2つの前記第2サブプリズム構造162の間に2つの隣り合って設けられる第1サブプリズム構造161が設けられる。
【0089】
実際の使用において、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との数の比率が上記の実施例における2:1のみに限定されるものではなく、3:1、1:2又は1:3などであってもよい。
【0090】
図13(c)に示すように、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との断面がそれぞれ二等辺三角形となっており、高さがそれぞれ30μmであり、第1サブプリズム構造161の底角α21が60°であり、第2サブプリズム構造162の底角α22が30°であり、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との数の比率が1:1である。
【0091】
一実施例において、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との断面形状が異なる。
【0092】
図13(d)に示すように、第1サブプリズム構造161の断面形状が二等辺三角形となっており、第2サブプリズム構造162の断面形状が等脚台形となっており、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との高さがそれぞれ30μmであり、第1サブプリズム構造161の底角α21が70°であり、第2サブプリズム構造162の底角α22が70°であり、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との数の比率が1:1である。他の実施例において、第1サブプリズム構造161の断面形状が等脚台形となってもよく、第2サブプリズム構造162の断面形状が二等辺三角形となってもよい。
【0093】
実際の使用において、第1プリズム構造161の底角は45°、50°又は80°などであってもよく、45°以上80°以下であればよい。第2サブプリズム構造162の底角は10°、20°又は40°などであってもよく、10°以上45°以下であればよい。第1サブプリズム構造161の高さは、第2サブプリズム構造162の高さと同じであってもよいし、第2サブプリズム構造162の高さよりも大きくてもよいし、又は小さくてもよい。
【0094】
表4に示すように、対照群では第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との断面形状及び底角がそれぞれ同じであり、実験群では第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162との断面形状が同じであり、底角が異なる8組の対照実験を設計した。
【表4】
【0095】
図14は本発明の実施例に係る両プリズム構造の出光タイプの比較模式図であり、
図14及び表4からわかるように、実験群では、第1サブプリズム構造161と第2サブプリズム構造162とは異なる底角を有し、光を出射する出光タイプを段階的に変化させ、大角度(40°~60°)から出射した光の量を低下させることにより、特定の視野角の輝度を低下させ、広視野角の光漏れの問題点を減少させ、表示装置のエネルギー効率を向上させて、広視野角で異なる階調のガンマシフト(Gamma Shift)量が小さくなることにより、異なる階調におけるガンマシフトの状況を改善することができる。
【0096】
一実施例において、
図15に示すように、
図15は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第2実施例の斜視構造模式図であり、複数の第1プリズム構造12は第1方向a1に沿って連続して分布し、複数の第2プリズム構造160は第2方向a2に沿って連続して分布し、第1方向a1と第2方向a2とは平行であり、それぞれが前記量子ドット複合フィルム10の長手方向xと平行であって、前記量子ドット複合フィルム10の短手方向yと垂直である。
【0097】
一実施例において、
図16に示すように、
図16は本発明の実施例に係る量子ドット複合フィルムの第2実施例の別の斜視構造模式図であり、第1プリズム構造12は第1方向a1に沿って連続して分布し、第2プリズム構造160は第2方向a2に沿って連続して分布し、第1方向a1と第2方向a2とは直交し、第1方向a1が量子ドット複合フィルム10の長手方向xと平行であり、第2方向a2が量子ドット複合フィルム10の長手方向xと垂直である。実際の使用において、第1方向a1と第2方向a2とは垂直ではなくてもよいが、交差して、例えば、10°、20°、45°、60°、70°又は80°などの所定の角度をなすことができる。
【0098】
一実施例において、第1サブプリズム構造161の底角α21は70°であってもよく、第2サブプリズム構造162の底角α22は30°であってもよい。本実施例における第1サブプリズム構造161の底角α21と第2サブプリズム構造162の底角α22との角度をもって4組の対照実験群を作成し、4組の対照実験群における第1プリズム構造12の屈折率がそれぞれ1.43、1.50、1.57及び1.64である。
【表5】
【0099】
表5に示すように、表5は各実験群の光学仕様データテーブルであり、第1プリズム構造12の底角と第2プリズム構造160の底角との角度が一定に維持される場合に、第1プリズム構造12の屈折率が増加されるにつれて、視野角改善範囲が次第に低下される。
【0100】
図17に示すように、
図17は本発明の実施例に係る各実験群の出光タイプ比較図であり、積層して設けられる第1プリズム構造12及び第2プリズム構造160の両層のプリズム構造を設計するため、4つの実験群の光を出射する出光タイプがそれぞれ2つの変曲点を有する。視野角が増加されるにつれて、変曲点を通過する際に、各実験群の輝度曲線の曲率が急激に大きくなる。4つの実験群において、第1プリズム構造12の屈折率が増加されるにつれて、変曲点が低角度の方向へ移動する。これにより、第1プリズム構造12の屈折率が大きくなるほど、変曲点による視野角範囲が小さくなることがわかる。これは、第1プリズム構造12の屈折率が大きくなるにつれて、第1プリズム構造12による光の屈折作用が強くなり、光の出射角度が小さくなるからである。
【0101】
図18に示すように、
図18は本発明の実施例に係る表5における4組の実験群の102の階調、20°の視野角におけるGamma shift値の棒グラフであり、第1プリズム構造12の屈折率が高くなるにつれて、この条件でGamma shift値が低くなり、3番、4番の実験群はGamma shift指標を仕様内(即ち3%以下)に改善することができる。実際の使用において、光学仕様によって第1プリズム構造12に屈折率の異なる材料を選択することができる。
【0102】
本発明の実施例において、第1プリズム構造12の屈折率が1.4である。実際の使用において、第1プリズム構造12の屈折率は上記実施例における1.4のみに限定されるものではなく、1.3、1.5、1.6又は1.7などであってもよく、1.3以上1.7以下であればよい。
【0103】
さらに、
図19に示すように、
図19は本発明の実施例に係る表示装置の第5実施例の構造模式図であり、
図19に示す表示装置は
図8に示す表示装置の構造とほぼ同じであり、
図19に示す表示装置における前記量子ドット複合フィルム10は、前記第1光学フィルム層16の前記量子ドットフィルム層11から離反する側に設けられる反射型偏光シート13をさらに含む点で異なる。
【0104】
前記反射型偏光シート13は第2透明接着層15を介して第1光学フィルム層16の前記量子ドットフィルム層11から離反する側の表面と貼り合わせる。
【0105】
一実施例において、
図20に示すように、
図20は本発明の実施例に係る表示装置の第6実施例の構造模式図であり、
図20に示す表示装置は
図9に示す表示装置の構造とほぼ同じであり、
図20に示す表示装置における前記量子ドット複合フィルム10は、量子ドットフィルム層11、第1プリズム構造12、第1光学フィルム層16及び反射型偏光シート13を含み、反射型偏光シート13の前記第1光学フィルム層16から離反する側の表面は、ヘイズ(Haze)接着層18を介して液晶表示パネル20のバックライトモジュール30に近い側の表面と貼り合わせる点で異なる。ヘイズ接着層18を用いることにより、異なる材料のフィルム層の貼り合わせによる虹ムラやモアレ等の干渉現象による表示不良を改善することができる。
【0106】
本発明の実施例の有益な効果は以下の通りであり、本発明の実施例に係る表示装置は、量子ドット複合フィルム、液晶表示パネル及びバックライトモジュールを含み、前記量子ドット複合フィルムは、量子ドットフィルム層を含み、前記量子ドットフィルム層の出光面に複数の第1プリズム構造が設けられ、第1プリズム構造の光の出射角度を調整することにより、光を小さい角度から出射させて、表示装置の正面輝度を向上させるとともに、表示装置の広視野角の暗状態における光漏れの問題を改善又は回避し、これにより、表示装置のコントラストを向上させる。
【0107】
以上のようにして、本発明は、好ましい実施例を参照して説明したが、前記好ましい実施例は、本発明を制限するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、様々な変更や修飾を加えることができ、したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって準じされる。
【国際調査報告】