(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】コンクリート、特に高初期強度コンクリートを製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B28C 1/08 20060101AFI20240104BHJP
B28C 5/48 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
B28C1/08
B28C5/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023533594
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2021083591
(87)【国際公開番号】W WO2022117571
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102020132015.9
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021108917.4
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522044135
【氏名又は名称】ソノクリート ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レムス, リカルド
(72)【発明者】
【氏名】シェツィク, ポール
(72)【発明者】
【氏名】イェンツシュ, マックス
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CC13
4G056CC31
4G056CC39
(57)【要約】
本発明に係るコンクリートの製造のための装置は、
i)セメント懸濁液を混合するためのセメントプレミキサー、
ii)コンクリートの初期強度を高めるための、少なくとも1つの第1の結晶化タンク
及び
iii)前記プレミックスされたセメント懸濁液から、特に骨材を添加してコンクリート混合物を製造するためのコンクリートミキサー
並びに、コンクリートの製造方法を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートを製造するための装置(1)であって、
i)セメント懸濁液を混合するためのセメントプレミキサー(3)であって、前記セメント懸濁液を提供するための少なくとも1つの超音波発生器、特に超音波プローブ(6)を有する、セメントプレミキサー(3)、
ii) 前記コンクリートの初期強度を高めるための、少なくとも1つの第1の結晶化タンク(4又は5)、特に前記第1の結晶化タンク(4又は5)を含む結晶化タンク列、
及び
iii) 前記プレミックスされたセメント懸濁液から、特に骨材(206~208)を添加してコンクリート混合物を製造するためのコンクリートミキサー(201)
を備える、装置(1)。
【請求項2】
前記セメントプレミキサー(3)、前記結晶化タンク(4又は5)及び前記コンクリートミキサー(201)が、前記セメント懸濁液が前記セメントプレミキサー(3)から前記結晶化タンク(4又は5)内に、及びそこから前記コンクリートミキサー(201)内に、重力によって流れることができるように、地球重力場に対して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の結晶化タンク(4又は5)が、攪拌器(8、9)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の結晶化タンク(4又は5)が側壁(11)と好ましくは湾曲した底面(12)とを有し、前記撹拌器(8又は9)が10cm未満、好ましくは5cm未満の距離で前記底面(12)の少なくとも50%にわたってガイドできるように設計された、形成物、好ましくは螺旋状の形成物を有する回転可能な撹拌器アタッチメントを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記形成物は、特に前記螺旋状形成物としての設計においては、底部の方向に、好ましくはゴム及び/又はPTFEリップの形態のエッジワイパーを有することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置(1)が、前記第1の結晶化タンク(4)と前記コンクリートミキサー(201)との間に、好ましくは別個の攪拌器(9)を備えた、第2の結晶化タンク(5)を備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置(1)が、無圧力作動システムとして設計されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
調整部材が、前記結晶化タンク(4、5)間の前記移送ライン(20)において、バルブ、特にピンチバルブとして形成されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置(1)、特に少なくとも1つの結晶化タンク(4又は5)が、特に前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)の緊急排水を制御するための、測定変数を検出するための構成(17, 27)を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、特に前記検知された測定変数の関数として流動媒体を供給する供給装置、特に計量装置を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置(1)が、前記セメント懸濁液の温度を決定するためのセンサを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、少なくとも2立方メートル、好ましくは1.5~4立方メートルの量のセメント懸濁液用に設計されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、前記結晶化タンク(4、5)の壁に沿った前記セメント懸濁液の前記温度制御のための熱交換器構成、特に二重壁セグメントを含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置(1)が、前記セメントプレミキサー(212)へのセメントの第1の部分供給ラインと、前記コンクリートミキサー(201)へのセメントの第2の部分供給ラインとを有するセメント貯蔵サイロを備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、セメントの第1の部分量を前記セメントプレミキサー(212)に対して計量し、セメントの第2の部分量を前記コンクリートミキサー(201)に対して計量するためのセメント計量器を備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に載の装置。
【請求項16】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、前記結晶化タンク内に位置する前記セメント懸濁液の品質を測定するためのセンサ素子、特に、温度センサ、トルクセンサ(粘度)、前記熱又は電気の伝導率を決定するための伝導率センサ、前記超音波通過時間を測定するためのセンサ、前記超音波の速度及び/又は密度センサを決定することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置(1)が、前記センサ素子によって測定された測定値に基づいて、アクチュエータ、特に温度制御装置、入口バルブ及び/又は出口バルブを制御するための、制御ユニット及び/又は評価ユニットを有することを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
コンクリートを製造する方法、特に先行する請求項のいずれか一項に記載の装置を用いたコンクリートの製造方法であって、
i)超音波を使用してセメントプレミキサー(212)内でセメント懸濁液を調整するステップ、
ii)結晶化タンク(213)内で前記セメント懸濁液を所定の滞留時間撹拌するステップ
及び
iii)所定の滞留時間後に前記セメント懸濁液をコンクリートミキサー(201)に移送するステップ
を含む、方法。
【請求項19】
前記セメントブレミキサー(212)が処理空間を備え、前記少なくとも1つの超音波プローブ(6)が少なくとも部分的に前記処理空間内に突出し、
前記超音波プローブ(6)が超音波を放射し、前記放射された超音波が25~250W/cm
2の強度及び15~500μmの振幅を有することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記滞留時間の制御が、所定の温度における所定の時間の関数として実行されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)の緊急排水の制御が、所定の温度における所定の時間の関数として行われ、及び/又は、測定値、特に測定されたトルクの決定の関数として行われることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記懸濁液の滞留時間が、予め決定された熱放出に基づくことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記セメント懸濁液中の水/セメント(w/c)比が0.5~2であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記コンクリートミキサー(201)への移送前の前記セメント懸濁液の事前貯蔵時間が1~8時間であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記コンクリート中の前処理されたセメントの割合が、5~95重量%、理想的には10~25重量%であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)内に位置する前記セメント懸濁液の、物質依存性の物理的測定変数の感覚検出が実行されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記供給量及び/又は排出量、前記撹拌速度及び/又は前記温度の制御が、前記感覚検出によって決定された前記測定値に基づいて実行されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、特に高初期強度コンクリートを製造するための装置、及び対応するコンクリートを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート組成物の重要なパラメータは、その初期強度である。コンクリートの初期強度を高めるための選択肢としては、熱処理、促進コンクリート混和剤の使用、又は構造上必要な量を超えるセメント含有量を増やす又はw/c比(セメントに対する水の比)を下げるなどのコンクリート技術手法の使用などの確立されたプロセスを含む。しかしながら、これらの変更例は、しばしば生産コストの大幅な増加で時間ファクターを買う、との妥協案となっている。加えて、初期強度は改善されるが、組成の変化により、全体的な材料特性に望ましくない変化(例えば、収縮亀裂)が生じる可能性がある。
【0003】
DE3716438A1には、セメントプレミキサー、コンクリートミキサー、及びその間に配置されたタンクを有する装置が記載されている。このケースでは、セメントと水とが混合されてセメントペーストが形成される。これは一時的に貯蔵され、次いで通常通りコンクリート製造用の骨材と混合される。
【0004】
セメントペーストを混合する場合、(非常に)高いw/c比においてのみ、セメントと水とを正確に混合するのに十分な自由水が存在するという障害が生じる。大部分の水は、コンクリートミキサー中の骨材上の表面水として結合することが多いので、プレミックスに利用可能な水の量が減少する。中から低w/c比(<0.50)では、セメントペーストは、高性能可塑剤を用いてのみ製造することができる。
【0005】
さらに、水中でのセメントの完全な分散には、高い混合速度が必要である。これは、E01DE3716438A1において従属請求項3及び4で考慮される。これらの高速混合ツールは、セメントの研磨効果が高いために急速に摩耗し、(特に低含水量で)非常に目詰まりしやすくなる。
【0006】
このプロセスにおける最大の課題は、製造日全体を通して均一な懸濁液品質を提供することから生じる。前述の文献は、何らの回答も提供していない。しかし、ここでは、懸濁液はタンク(貯蔵サイロ)内に貯蔵されていると仮定する必要がある。これは、コンクリートの混合のために空にされ再充填されるが、それによって、再び事前貯蔵時間待つ必要がある。したがって、混合プラントの経済的な運転は不可能である。大きなタンクが充填され、徐々に空になると、それに含まれる懸濁液は経時的に老化し、結果として生じるコンクリート特性が著しく変化する。最終的に、タンク内のセメント懸濁液は固化し、それ以上の処理が不可能となる。
【0007】
さらに、初期強度を改善させる二段階混合プロセスが知られている。二段階混合プロセスの適用は、特に、DE1584305A又はDE102016003644B4に記載されている。ここでは、コンクリートの加工性及び初期強度が、1)砂の有無にかかわらず結合剤成分を強力にプレミックスし、2)コンクリートミキサーで最終的に混合する、との二段階混合工程によって、改善される。
【0008】
DE102007027080A1、特にDE102019120939A1により詳細に記載されているように、超音波を用いたプレミックスも知られている。
【0009】
これに関連して、全ての二段階コンクリート混合プロセスは、懸濁液の製造に一定量の(混合)水を供給する必要があるとの障害を伴う。コンクリートの含水率は、骨材の含水要求量(Gk)、w/c比、及びセメント含有量に依存する。しかしながら、添加された骨材、特に砂は決して完全に乾燥していないので(例えば、骨材は、粉塵発生を低く保つために、地下貯蔵施設の充填中に散布される)、骨材に付着する水分は、混合水から差し引く必要がある。これは、計量又は輸送プロセス中、又はコンクリートミキサー内のいずれかで水分を測定することによって行われる。骨材の含水率が中程度から高い(約3~8重量%)場合、この水分は、それに応じて混合水から差し引かれる必要がある。説明のため、プレキャストコンクリートプラントの稼働中の生産における、w/c比が0.46のプレキャストコンクリートの計算例を以下に示す。
【0010】
【0011】
骨材の水分を差し引くと、懸濁液の調製に利用可能な水は、106kg/m3、すなわち初期量の約2/3である。懸濁液の調製のために、0.30のw/c比が選択される必要がある。そのような低いw/c比を正確に混合するために、超可塑剤の用量を多くする必要があり、これは、必要なレベルを超えてコンクリートスランプを増加させ、さらにセメントの硬化反応を遅らせる可能性がある。
【0012】
説明のための実施例2:例えばプレストレストコンクリート要素の製造プロセスにおいて0.35のw/c比が適用されている場合、計算結果は以下である。
【表2】
【0013】
プレミックスプロセスにおける懸濁液の製造に利用可能な水は67kg/m3であり、結果として懸濁液のw/c比は0.19となり、これは、もはや現在利用可能な技術に基づいて正確にプレミックス及び計量することが不可能である。
【0014】
既知の方法は、例えば、プレミキサー中で最も高い水分含有量を有する骨材(通常は砂)の微細部分を前処理することによって、この問題を解決しようとする(DE1584305A又はDE102016003644B4)。しかし、より多くの水が懸濁混合プロセスに利用可能となるため、これは明らかである。しかしながら、この方法では、研磨砂による撹拌要素の摩耗の増加、及び「過剰混合」の、よく知られた問題が発生することが予想できる。過剰混合の場合、砂粒子の小さな部分は高速回転する撹拌ツールによってばらばらにされ、すなわち砂は破砕され、これは、水の需要を増加させ、加工性を悪化させる。
【0015】
したがって、二段階混合プロセスの適用のための課題は、以下のように要約することができる。低いw/c比により高い初期圧縮強度が保証され、短い混合時間により、特にいくつかのステップで充填される多量の成分について迅速なコンクリート化プロセスが保証される。部分的に高い内在水分が、懸濁混合プロセスに利用可能な水を減少させる。
【0016】
極端な場合、例えば、湿気のある気候では、懸濁混合プロセスに十分な水が利用できない。現時点では、これは、超可塑剤の濃度を高めることによってのみ補うことができるが、これは必要なレベルを超えてコンクリートの流動性を増加させ、硬化を遅らせ、コンクリートのコストを増加させる可能性がある。
【発明の概要】
【0017】
この予備的考察に基づいて、本発明の目的は、上述の問題を回避しながら、高い初期強度を有するコンクリートの製造のための装置及び方法を提供することである。
【0018】
本発明は、請求項1の特徴を有する装置と、請求項18の特徴を有するコンクリートの製造方法とによって、この目的を解決する。
【0019】
本発明に係るコンクリートの製造のための装置は、
i)セメント懸濁液を混合するためのセメントプレミキサー、
ii)コンクリートの初期強度を高めるための、少なくとも1つの第1の結晶化タンク
及び
iii)前記プレミックスされたセメント懸濁液から、特に骨材を添加してコンクリート混合物を製造するためのコンクリートミキサー
を備える。
【0020】
特に、本発明による装置は、コンクリートに添加する前にセメントに含まれる個々の成分の結晶化を可能にする、一つ又は複数の結晶化タンクを有する。複数の結晶化タンクは、本発明の範囲内の結晶化タンク列を形成することができる。この場合、結晶化タンクは、好ましくは、セメント懸濁液が重力によって上方の結晶化タンクから下方に配置された結晶化タンクに移送されうるように、結晶化タンク列において上下に配置される。
【0021】
この装置は、特に超音波を使用した場合、セメントと水との反応を活性化するプレミックスに、好ましい水対セメント比(w/c比)が存在するという知見に基づいている。このw/c比は、セメントの種類に依存し、好ましくは0.50~2.0の範囲である。より低いw/c比は、固形分含有量が高くなるためより強い粒子相互作用をもたらし、これは懸濁液の強力な加熱を促進し、特定の状況下でマイナスの影響が生じる可能性がある。
【0022】
特に超音波によるセメント懸濁液の前処理は、準安定な結晶化核を生成し、これに結晶化タンク内で貯蔵することで成長するための追加の時間が与えられ、(後に)安定な結晶化核としてコンクリートミキサーに計量供給される。
【0023】
この結晶化タンクは、好ましくは、結晶化期間中にセメント懸濁液を低速で移動させ続けるスターラーを備える撹拌器を含む。
【0024】
好ましい撹拌速度は、50rpm未満、好ましくは2~25rpm、より好ましくは5~20rpmである。
【0025】
セメント成分の初期結晶化により、その後に製造されるコンクリートでは、結晶化タンクを用いない場合よりも、著しく高いコンクリートの初期強度が達成される。
【0026】
また、コンクリートに使用される全てのセメントをこのタイプの前処理に使用する必要はなく、その代わり、一部を活性化することで十分であり、これは、さらに、コンクリートミキサーに直接供給される残りのセメントの結晶化を促進する。したがって、セメントプレミキサー及び結晶化タンクを動作させるための寸法及びエネルギーバジェットを最適化することができる。
【0027】
本発明によれば、セメントプレミキサーは、セメント懸濁液を提供するための少なくとも1つの超音波発生器、特に超音波プローブを有する。
【0028】
DE3716438A1とは異なり、本発明において、分解は、高速混合ツールによってではなく、超音波の使用によって生成される。
【0029】
同時に、高い含水量(w/c >>1.0)を有するセメントのごく一部(例えば、20%)のみがプレミックスされるという事実は、同時に超音波の減衰が少なく、全コンクリートに対する懸濁液の割合が小さいためコンクリートの加熱が少ないことを意味する。
【0030】
より高い含水量はまた、投入及び装置の洗浄に有利であり、特に、装置の操作のプロセス及びそれに続く洗浄プロセスにも有利である。
【0031】
本発明による装置のさらなる有利な設計は、従属項の主題である。
【0032】
理想的な超音波支援セメントプレミキサーは、DE102019120939A1により知られており、本発明の範囲内の好ましいセメントプレミキサーの構造的設計に関して、完全に参照される。
【0033】
このようなセメントプレミキサーは、セメントと水との純粋な混合を達成するだけでなく、セメント成分及びセメント懸濁液の活性化も達成し、その結果、結晶化も促進される。セメントプレミキサーはまた、好ましくは第1の結晶化タンク内の攪拌器よりも高い攪拌速度でセメント懸濁液を移動させる攪拌器を有する。
【0034】
前述のパラメータ及び/又は撹拌速度におけるプレミックスは、典型的には、セメント懸濁液内に気泡を形成させ、これは、コンクリートの最終強度に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの気泡は、結晶化タンク中でセメント懸濁液を連続的に穏やかに混合する間に排出される。したがって、超音波セメントプレミキサーとの結晶化タンクとの組み合わせが特に好ましい。
【0035】
結晶化タンクの使用の別の好ましい態様は、その設計により、超音波セメントプレミキサーは、時間間隔内で少量のセメント懸濁液のみを提供可能なことであるが、それは、大量のセメント懸濁液に対して、超音波は限られた浸透深さしか有しないからである。この場合、結晶化タンクはセメント懸濁液の貯蔵にも使用できる。
【0036】
好ましくは、低エネルギーでトラブルのない運転のために、セメントプレミキサー、結晶化タンク及びコンクリートミキサーは、セメント懸濁液がセメントプレミキサーから結晶化タンク内へ、及びそこからコンクリートミキサー内へと重力によって流れることができるように、地球重力場に対して配置される。これが不可能な場合、懸濁液をコンクリートミキサー内に送るために、ポンプを使用することができる。
【0037】
それぞれのタンクとミキサーとの間の接続は、それぞれ閉鎖装置、例えばフラットスライドバルブを備えたフランジ接続とすることができる。
【0038】
第1の及びさらなる結晶化タンクのそれぞれは撹拌ツールを有し、特に、撹拌ツールを動作させるための駆動装置を有してもよい。
【0039】
第1の及び後続の結晶化タンクのそれぞれは、側壁及び底面、好ましくは湾曲した底面を有することができる。側壁は、結晶化タンクの長手方向軸に平行に延在してもよい。攪拌器は、攪拌器として回転可能な攪拌器延長部を有することができる。好ましくは、これらの形成物は、螺旋形成物であってもよい。形成物は、10cm未満、好ましくは5cm未満、特に0. 5~4cmの距離で、底面の少なくとも50%にわたってガイドすることができるように設計することができる。これにより、沈降した成分を含む大量のセメント懸濁液を移動させ、好ましくは再懸濁させることができる。
【0040】
形成物は、特に螺旋状形成物としての設計においては、底部の方向にエッジワイパーを有することができる。形成物は、好ましくは金属から形成されうるが、エッジワイパーは、形成物よりも柔らかい材料から形成されることが好ましい。好ましくは、エッジワイパーは、ゴム及び/又はPTFEリップの形態とすることができる。
【0041】
第1の結晶化タンクとコンクリートミキサーとの間に、装置は、好ましくは別個の撹拌器を備えた、第2、第3、第4、第5、及びさらなる結晶化タンクを有することができる。このようにして、結晶化のための貯蔵可能なセメント懸濁液の体積の増加を達成することができる。第2のタンクは、活性化(プレミキサー)及び上流(結晶化タンクI)の懸濁液をコンクリートミキサーに計量供給するために使用することができるので、大容量が必要とされる場合に特に有利である。これは、懸濁液が十分な予備貯蔵時間なしに結晶化タンクから出ないことを確実にする。
【0042】
さらに、装置は、無圧力作動システムとして設計することができる。開放又は無圧力作動システムとは、各容器、すなわちミキサー及び/又は結晶化タンク内の圧力条件が同じであるか、又はセメント懸濁液の移送において圧力差が生じた場合、圧力補償が開放バルブを介して行われることを意味する。
【0043】
少なくとも第1及び/又は第2の結晶化タンクとコンクリートミキサーとの間の接続に沿って、それぞれの結晶化タンクをコンクリートミキサーに排出及び/又は部分的に排出するための調整部材が配置される。この調整部材は、好ましくは、バルブ、特にピンチバルブとして設計することができる。
【0044】
同様に、セメントプレミキサーと第1の結晶化タンクとの間、及び/又は結晶化タンク間に、対応する調整部材、例えば、バルブ、特にピンチバルブも、配置することができる。
【0045】
さらに、装置はまた、第1及び/又はさらなる結晶化タンクそれぞれの緊急排水を制御するための、測定変数を検出するための構成を有することができる。そのような構成は、例えば、回転可能な撹拌器のトルク検出のためのセンサ、及び/又は、回転する結晶化タンクの場合、結晶化タンクの回転可能なドラムのトルク検出のためのセンサでありうる。この測定は、セメント懸濁液の硬化状態について、間接的に判断することを可能にする。
【0046】
粘度、密度、反射超音波信号の音速の関連する変化、及び/又はセメント懸濁液の温度などの他の測定変数も、緊急排液を監視するために使用することができる。
【0047】
装置はまた、特に検出された測定変数の関数として、超可塑剤を供給するための供給装置、特に計量装置を有することができる。これにより、設定値を超えたときにセメント懸濁液の組成を再調整することができる。
【0048】
装置、特に結晶化タンクの少なくとも1つはまた、有利には、セメント懸濁液の温度を決定するためのセンサを有することができる。理想的には、温度は25~45℃であるべきである。結晶化タンクの自動排水及び/又は部分排水中のセメント懸濁液の滞留時間の対応する設定値は、決定された温度に応じて調整することができる。
【0049】
好ましくは、第1及び/又は第2の、又は任意のさらなる結晶化タンクは、少なくとも2立方メートル、好ましくは0. 5~4立方メートルの量のセメント懸濁液用に設計することができる。このような量は、セメントプレミキサー、特に超音波セメントプレミキサーでは典型的ではなく、なぜなら、特に集中的な超音波の場合、超音波入力は、より大きな容積の場合には、ミキサーの全容積にわたって十分に均質にすることができないからである。
【0050】
集中的な超音波処理は、セメント成分の活性化を可能にする。超音波、振動又は他の方法による超音波で開始される振動混合とは対照的に、本方法の好ましい変形例における超音波処理は、個別に又は互いに組み合わせて、超音波処理のタイプをより詳細に特徴付ける以下の特性データを有する。
特に、超音波プローブはソノトロードとして設計されており、好ましくは、本方法の範囲内で以下の範囲で動作する(値は、T=25℃及び常圧を参照)。
【0051】
・超音波プローブが発する超音波の強度:25~250W/cm2。
超音波が媒体に取り込まれると、粒子及び媒体は振動する。この振動は、超音波の運動エネルギーを伝達する。強度(I)は、面積当たりに伝達されるパワー、例えばワットに対応する。単位は、面積当たりのパワー(例えば、W/cm2)である。
【0052】
・超音波探プローブによって放射される超音波の振幅:15~500μm、好ましくは15~120μm。
振幅(u)は、超音波のふれ(例えばμm)を表す。周波数が一定のとき、より高い振幅は、より高い強度をもたらす。振幅が大きいほど、高圧サイクルと低圧サイクルの圧力差が大きくなる。
【0053】
・超音波プローブによって放射される超音波の周波数:好ましくは10~30kHz。
周波数(f)は、超音波プローブの先端における振動速度を表す。蒸気気泡の形成、成長、及び爆縮は、時間に依存するプロセスであるので、より高い周波数は、より小さいキャビテーション気泡をもたらす。
【0054】
・比エネルギー入力(媒体-水への):好ましくは25~250Ws/ml。
上述の値は、例えば、ハイドロフォンを用いて水中で電気音響的に決定することができる。
【0055】
セメントをプレミキサーに計量供給するために、セメント計量器の後に切替バルブを設置して、セメントをプレミキサーだけでなく、コンクリートミキサーにも計量供給することができる。しかしながら、別個の計量スクリューもまた、プレミキサーに導くことができる。
【0056】
コンクリートの製造に必要とされるセメントの一部のみが、セメント懸濁液として混合されて事前結晶化され、一方、残りの部分は、例えば骨材と一緒にコンクリートミキサー中で直接混合される場合、エネルギー及び/又は技術の点で好ましいことが証明されている。これは、先行技術とは対照的に、本発明による方法の関連において特に有利である。
【0057】
初期強度の改善を達成するために、セメントの全量を前処理する必要はなく、これにより、プレミックスプロセスのためにより多くの水が利用可能になり(懸濁液のw/c比をより高く選択することができる)、エネルギーが節約され、必要な機械の寸法が有利に削減される。
【0058】
さらに、本発明によれば、特に本発明による装置を用いてコンクリートを製造するための方法であって、以下のステップを含む方法が提供される。
i)セメントプレミキサー中でセメント懸濁液を調製するステップ、
ii)結晶化タンク中でセメント懸濁液を所定の滞留時間撹拌するステップ、
及び
iii)所定の滞留時間後にセメント懸濁液をコンクリートミキサーに移送するステップ。
【0059】
初期強度の改善のための最も重要な尺度は、滞留時間である。これは、結晶化タンク中のプレミックス懸濁液の滞留時間又は結晶化時間に相当する。
滞留時間は、コンクリート製造プロセス(混合時間、1時間当たりのコンクリート量、コンクリート組成)及び所望の強度の増加に依存する。
【0060】
結晶化タンク(又は貯蔵/滞留/貯留タンク)は、懸濁液が連続的な撹拌/循環の下で所定の期間(0.5~6時間)貯蔵される容器である。滞留時間の後、懸濁液はコンクリートミキサーに投入される。
滞留時間又は滞在時間は、活性化された懸濁液が、連続的な撹拌又は循環の下で結晶化タンク中に留まる時間に対応する。
【0061】
有利には、第1の結晶化タンクは、コンクリートミキサーの入口又は第2の(又は第3の、第4の、・・)結晶化タンクに開口する出口を有する。装置は、第1の結晶化タンクの出口及び/又はコンクリートミキサーの入口に配置された調整部材をさらに備える。この装置はまた、第1の評価及び/又は制御ユニットを有することができ、これは、第1の結晶化タンク中でのセメント懸濁液の0. 5~6時間の滞留時間後に、第1の結晶化タンクの部分的又は完全な排出のために調整部材を操作するように装備される。
【0062】
さらに、セメントプレミキサーは、処理チャンバを有する処理容器を備えることができ、少なくとも1つの超音波プローブは、少なくとも部分的に、処理チャンバ内に延在し、超音波プローブは、超音波を放射し、放射された超音波又は超音波信号は、例えば、評価及び/又は制御ユニットによって、25~250W/cm2の強度及び15~500μmの振幅を有するように調整される。
【0063】
加えて、コンクリートの製造中に、セメントの第1の部分量をセメントプレミキサーに投入し、セメントの第2の部分量をコンクリートミキサーに投入することができ、これはエネルギーの点で特に有利である。
【0064】
このように前処理されたセメントの割合は、好ましくは、セメント総含有量の5~95%、好ましくは10~25%である。
【0065】
結晶化タンク内でのセメント懸濁液の、好ましい滞留時間の設定値の制御又は設定は、所定の温度における所定の時間の関数として実行することができる。結晶化は温度に依存するため、この制御は、セメント懸濁液の品質に対するより適切な制御を提供する。
【0066】
より良好かつより包括的な移送のために、コンクリートミキサーへのセメント懸濁液の移送はバッチで行うことができる。
【0067】
第1及びさらなる結晶化タンクそれぞれの撹拌速度、ならびに/又は第1又はさらなる結晶化タンクそれぞれへのセメント懸濁液の流入及び/又は流出は、センサ及び/又はセンサ列によって制御することができる。この目的のために、1つ以上の温度センサ、超音波通過時間を決定するための超音波センサ、及び/又はトルク検出のためのセンサを、好ましくは、セメント懸濁液の品質、特にその濃度をモニターするために使用することができる。
【0068】
温度調節によって、第1の又はさらなる他の結晶化タンク中のセメント懸濁液の温度を、10~45℃の間の温度に調節することができる。20℃以下、特に10~20℃に調整できるため、より適切な貯蔵が可能となる。
【0069】
結晶化時間又は滞留時間、ならびに緊急排水時間は、温度及び/又は上述の測定変数に応じて設定することができる。
【0070】
セメント懸濁液は、好ましくは、1~8時間の滞留時間後にのみ、コンクリートミキサーに投入することができる。コンクリートミキサーへのセメント懸濁液の移送は、所定のプロトコルに従って行われる。
【0071】
セメント懸濁液の水/セメント比(w/c)は、0. 5~2であることが有利でありうる。滞留時間は、セメントの反応速度に応じて選択される。上記示された時間は、上述の滞留時間の仕様に対して最適である。
【0072】
コンクリートミキサーに移送する前のセメント懸濁液の事前貯蔵時間は、実際には1~8時間であることが有利でありうる。
【0073】
特に好ましくは、前述のw/c比だけでなく休止期も、前述のセメント懸濁液の超音波処理と組み合わせることができる。
【0074】
コンクリート中の超音波前処理セメントの割合は、有利には5~95重量%、理想的には10~25重量%でありうる。
【0075】
第1及び/又は第2の結晶化タンク内の撹拌速度、並びに/又は第1及び/又は第2の結晶化タンク内へのセメント懸濁液の流入及び/もしくは流出は、センサ及び/又はセンサ列によって制御することができる。この目的のために、1つ以上の温度センサ、超音波通過時間を決定するための超音波センサ、及び/又はトルク検出のためのセンサを、好ましくは、セメント懸濁液の品質、特にその濃度をモニターするために使用することができる。
【0076】
本方法の範囲内の別の利点は、規定の懸濁液品質を維持するためのインテリジェントな制御方法及び/又は制御装置の提供である。タンク内の一連のセンサは、懸濁液の特性(特に、温度、粘度、密度、導電率、超音波通過時間)を永続的に分析し、それらを評価し、センサ測定データに基づいて、新しい懸濁液の追加及び古い懸濁液の排出などの措置を開始する。
【0077】
タンク内の温度は、懸濁液の品質(=反応性)に影響を及ぼす特に重要な因子である。これは、冷却及び加熱装置によって、例えば、第1及び/又は第2の結晶化タンクの一部として二重壁タンク壁を形成することによって、又は結晶化タンク上もしくは内部の熱交換器によって、有利に所望の範囲に永続的に維持することができる。
【0078】
特に、第1及び/又は第2の結晶化タンク内に位置するセメント懸濁液の物質依存性の物理的測定変数の感覚検出を行うことができる。
【0079】
好ましくは、流入量及び/又は流出量、撹拌速度及び/又は温度は、感覚検出によって決定された測定値に基づいて制御することができる。
【0080】
以下、本発明によるコンクリートの製造装置が、添付の図面を用いて例示的な実施形態に基づいてより詳細に説明される。図面はまたいくつかの特徴を含み、それらを個別に考慮すると、図示されていない他の例示的な実施形態と、明白な方法で組み合わせることができる。例示的な実施形態全体は、決して本発明の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】
図1は、本発明に係る装置の、セメントプレミキサーと第1及び第2の結晶化タンクとを備える例示的な実施形態の側面図を示す
【
図3】
図3は、結晶化タンクの長手軸に沿った断面図を示す。
【
図4】
図4は、従来法によるコンクリート製造の概略図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態によるコンクリート製造の概略図を示す。
【
図7】
図7は、第1のコンクリート混合物の組成を表す図である。
【
図8】
図8は、第2のコンクリート混合物の組成を表す図である。
【
図9】
図9は、セメント懸濁液と水の混合比を表す図である。
【
図10】
図10は、凝固開始と事前貯蔵時間との相関を示すグラフである。
【
図11】
図11は、超音波処理セメントモルタルの事前貯蔵時間をスランプフロー及びスランプスプレッドとの関係で示した図である。
【
図12】
図12は、コンクリート年齢と圧縮強度の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1は、セメントプレミキサー3と、二つの結晶化タンク4及び5とを備える、本発明に係る装置1を示す。
セメントプレミキサー3の上方には、入口開口7が設けられている。
セメントプレミキサー3と二つの結晶化タンク4及び5は、機械フレーム2によって互いに接続されている。
【0083】
セメントプレミキサー3は、セメントプレミキサーの壁を通って内部に延在する超音波プローブ6を有する。
移送ラインは、セメントプレミキサー3と二つのタンク4及び5との間に設けられる。移送ラインは、調整部材、例えばバルブ装置を有することができる。タンク5は、出口10を有する。
結晶化タンク4、5及びセメントプレミキサー3は、それぞれ攪拌器7~9を有する。
【0084】
図2は、
図1の装置の斜視図を示す。前述のコンテナが貯蔵される貯蔵レベルA、B及びCが表示されている。
【0085】
図3は、さらなる詳細を開示する。例えば、結晶化タンク4は、ロッド15及び螺旋状に巻回された攪拌ブレード13を備えた撹拌器8を有する。結晶化タンクは、円筒形のジャケット部11と、湾曲した底部12とを有する。
【0086】
結晶化タンク4の上部にはセンサ素子17が配置されている。これは、例えば、温度センサとすることができる。結晶化タンク4は、移送ライン20に合流する出口18を有する。さらに、結晶化タンク4は緊急排水管16を有し、これを介して、緊急時に、例えばセメント懸濁液が重なっている場合、タンク4は排水されうる。
【0087】
結晶化タンク5は、同様の設計である。センサ素子27及び撹拌器9の両方が見られる。底部22には、それぞれがフランジ端部24を有する二つの排水ノズル26及び28が存在する。二つの排水ノズルのうちの一方は再び緊急排水管として機能し、他方はコンクリートミキサーへの移送を可能にする。
【0088】
図4は、コンクリートを製造するための従来の方法100を示す。このプロセスでは、水103、セメント104及び105、添加剤102、ならびに必要に応じて結合剤及び混和剤が、コンクリートミキサー101中で砂利106、107又は砂108と混合される。
【0089】
コンクリートの分野の当業者は、結合剤を、塑性状態で加工でき一定の時間が経過すると硬化し、他の物質、例えば骨材を互いに強固に結合する、無機又は有機物質として認識している。コンクリート産業で使用される結合剤は鉱物由来であり、いくつかの例外を除いて、特定の岩石から焼成及び粉砕して微粉末にすることによって得られる。水と混合すると、最初に結合剤接着剤が形成される。化学反応、及び場合によっては物理的表面力もまた、結合剤ペーストを結石のような状態に固化させることができ、ここでは、任意の充填剤が互いに結合されうる。
【0090】
当業者はまた、コンクリート用の「混和剤」又は「コンクリート混和剤」という用語に精通している。これらは、化学的又は物理的作用によって生の又は硬化したコンクリートの特定の特性に影響を及ぼすために、細かく分割された形態、例えば、液体、粉末状又は顆粒もしくはペーストとして、コンクリートに少量添加される物質である。典型的な混和剤は、コンクリート可塑剤、超可塑剤、空気連行剤、シーラント、遅延剤、促進剤、グラウト助材及び/又は安定剤である。
【0091】
さらに、コンクリートの分野の当業者は、添加剤又はコンクリート添加剤という用語に精通している。これらは、特定の特性を改善又は達成するためにコンクリートに使用される、細かく分散された物質である。このような物質は、コンクリート組成物中の体積成分として、混和剤よりも著しく多量に存在する。従って、これらは充填剤とも呼ばれる。DIN EN 206-1及びDIN 1045-2によれば、二つのタイプの無機添加剤が区別される。タイプIの添加剤は、石粉又は顔料など、ほとんど不活性な添加剤である。タイプIIの添加剤は、トラス、フライアッシュ又はケイ酸塩ダストなど、ポゾラン又は潜在性水硬性添加剤である。
【0092】
最後に、コンクリート混合物は、砂利及び砂のような骨材をかなりの割合で含有し、その粒径及び割合は、コンクリートの種類に応じて異なる可能性がある。また、これらの骨材は、骨材との総称で、他の材料と一緒にグループ化されることもある。
【0093】
本発明の核心は、ここで、これらの技術的障害を解決し、なおかつ、例えば超音波プレミックス段階を用いてコンクリートの高い初期強度を確保する方法を提供することである。
【0094】
このプロセスでは、セメント209、水210及び添加剤211がセメントプレミキサー212内で混合され、超音波で活性化される。次いで、セメント懸濁液を結晶化タンク213に移し、そこからコンクリートミキサー201に移す。混和剤202、水203、セメント204及び205、ならびに砂利206、207及び砂208も、本発明による方法200の一部として、コンクリートミキサー201に供給することができる。
【0095】
本発明は、懸濁液が十分に均質化され(例えば超音波によって)活性化できる、セメント懸濁液の製造に有利なw/c比又はw/c範囲が存在するという事実に基づく。この有利なw/c比は、使用されるセメント及び混和剤の種類に依存し、0. 5と2との間にある。さらに、本発明は、初期強度の著しい増加をもたらすために、セメントと水の全割合をプレミックスし活性化する必要はないとの事実に基づく。
【0096】
本発明の好ましい変形例では、セメントプレミキサー中に提供されるセメント懸濁液は、セメント、水、及び任意の成分としての混和剤から調製される。一方、添加剤は、セメント懸濁液中には提供されない。
【0097】
これは、セメントの一部が活性化のためにプレミキサーに投入され、セメントの一部がコンクリートミキサーに投入されることを意味する。これは、プレミキサーでの別個の計量装置(サイロ+スクリューコンベヤ)によって、又は既存のコンクリート混合プラントでセメント計量器のディストリビューターと、セメント計量器からプレミキサーへのスクリューコンベヤによって、実施することができる。
【0098】
さらに、本発明による方法の一部は、プレミックスされ活性化されたセメント懸濁液を混合直後にコンクリートミキサーに投入するのではなく、懸濁液ミキサーの下流に保管された休止又は結晶化タンクに運ぶことである。結晶化タンクの容量は、ほぼ1時間のコンクリート製造に必要とされる懸濁液の量である。
【0099】
これは、前処理のためにセメント及び水(及び場合により砂)の全量を使用する変形例と比較して、プレミキサーの必要な体積が低減されるという利点を有する。懸濁液の生成及び活性化、その後の結晶化タンク中での貯蔵には、十分な結晶化時間の後に、必要に応じて懸濁液の迅速な取り出し又は投入が可能となり、したがって混合時間を短く選択できるというさらなる利点を有する。休止又は結晶化時間は、セメント及び水の計算された利用可能な量全体がプレミックスされ活性化される変形例と比較しても、初期強度の有意な増加をもたらす。休止期がなければ、このポテンシャルは達成できない。超音波がプレミックス段階で活性化のために使用される場合、初期強度は再び大幅に増加する。理想的には、この休止期は、セメントの種類及び懸濁液の組成に応じて、1~8時間持続する。
【0100】
この製造プロセスにおける懸濁混合プロセスの混合時間は、全体的な混合時間を短くすることができるように非常に短くする必要がある。これは、特にセメント懸濁液が例えば超音波によって活性化される場合でも、常に保証されるわけではない。大型コンクリート要素(例えば、橋桁)の製造では、コンクリート要素を迅速に完成させるために、より大量のコンクリートを短時間で製造しなければならない。混合チャンバは、超音波を効果的に適用するために特定のサイズに制限されるため、これはまた、超音波プレミキサーにおけるセメント懸濁液のプレミックスに特別な課題を提起する。懸濁液の「インストック」を製造することによって、コンクリート混合時間を関連して増加させることなく、これらのコンポーネントもまた製造することができる。
【0101】
従来技術と比較して、本明細書に提示される方法は、以下の新規なアプローチによって特徴付けられる。
・最適な強度発現に必要なセメント懸濁液の割合、理想的にはセメント割合の10~25%のみ、プレミックス及び活性化される。
・プレミックスされ活性化されたセメント懸濁液は、ストック状態で、休止又は結晶化タンクに運ばれ、一定時間、理想的には1~8時間そこに留まり、低せん断速度で連続的に混合されるか、又はポンプによって循環される。
・結晶化タンクからの取り出しはこの事前貯蔵時間の後に引き続いて行われ、コンクリート混合時間は延ばされることはない。
【0102】
したがって、骨材の含水率が高いとの問題は、効果的に対処することができる。
コンクリート混合プロセスの混合時間は、延ばされることはない。
初期強度は、同じコンクリート組成で著しく増加する。
結晶化タンクが同じサイズのさらなるタンクによって補充されると、非常に大量のコンクリートでさえ、活性化セメント懸濁液を用いて正確に製造することができる(例えば、生コンクリート製造)。
【0103】
以下では、結晶化タンク内の最適化された事前貯蔵時間が説明される。
【0104】
図6は、J/ghでの熱放出率の時間依存性を示す。これは、図中でCEM I 52.5 Rで指定されるポルトランドセメントの熱量測定であり、図中でPUSとして指定される超音波処理の有及び無で測定されている。
加速フェーズの開始と、約4~5時間後の最大発熱が明らかに変わっている。
【0105】
セメントと水との反応は、特定の速度論的経路に従う。典型的な水-セメント比0.5では、熱放出率曲線は
図6のようになる。
【0106】
特許出願DE102020132015.9では、コンクリート製造プロセスを妨げず、しかも初期の圧縮強度を増大させる、活性化セメント懸濁液の事前貯蔵の使用が提案されている。
【0107】
さらなる研究により、懸濁液の含水量及び/又は事前貯蔵の時間を、場合によっては大幅に増加させる、プロセスエンジニアリング上の利点が提供されることが示された。
【0108】
具体的に言えば、これは、懸濁液を加える時間が熱放出率と相関しており、曲線が1~3時間の休止期を超えて、熱放出(=化学反応)の新たな増加が見られた場合にのみ、懸濁液が投与されることを意味する。
この時間は、使用される材料(セメント及び超可塑剤の種類ならびに含水量)によって大きく異なり、事前に決定されるべきである。
【0109】
セメント懸濁液の好ましいパラメータは、次のとおりである。
-水/セメント比(w/c)=0.5~2
-事前貯蔵時間=1~8時間
-前処理セメントの割合5~95%、理想的には10~25%
【0110】
w/c比は、曲線の立ち上がり(いわゆる「加速段階」)があまり長くかからない(w/c比がより低い)ように、また、事前貯蔵中に材料の凝固がない(w/c比がより高い)ように選択する必要がある。これに適したw/c比は、セメントの種類及び超可塑剤の種類及び量に応じて、約1.0±0.25である。
【0111】
その場合、事前貯蔵時間は、選択されたw/c比及びセメントの反応性に依存する。事前貯蔵に関連するプロセスエンジニアリングの労力を低く保つために、最大事前貯蔵時間を4時間とすることが目標とされる。
【0112】
この方法では、初期強度を再び著しく高めることができ、プレミックス及び活性化する必要があるセメントの割合を減少させることができる。
【0113】
例示的な方法シーケンスでは、セメントの一部を水とプレミックスし、超音波処理し、その後、長期間貯蔵する。貯蔵後、セメント懸濁液は、計量されコンクリートミキサーに投入される。前述のように、超音波活性化は、超音波処理の結果として起こる。これは、25~250W/cm2の強度及び15~500μmの超音波振幅で起こる。
【0114】
水和物核が懸濁液中に形成され、これはコンクリートの初期強度に著しく影響する。これは、特に顕微鏡画像によって証明することができる。
【0115】
プレミックスプロセスに利用できる計算された水はしばしば不十分であるため、プレミックスされるセメントの割合は減少する。
【0116】
乾燥骨材のコンクリートでは、
図7に示すように、3つの主要成分が分布している。
この場合、含水量は低いが、流動性懸濁液は、依然として超可塑剤を使用して調製及び計量できるため、プレミックスプロセスには十分である。
【0117】
骨材が湿っている場合、体積計算における骨材の割合は増加し、骨材に結合した水分の割合によって、水の割合は減少する(
図8参照)。
図7及び
図8はそれぞれ、各成分の計量量を示す。
図8の場合の骨材は
図7よりも湿潤であり、したがって、より多くの水を含有する。図は、バー「H2O」により、骨材に加えて添加された水の量のみを示す。「H」及び「H2O」は、図面において同じ意味と理解されるべきである。
【0118】
ここで、混合プロセスに利用可能な水は非常に少量であり、プレミックスプロセスを適用するのは(仮に適用したとしても)非常に困難である。超音波処理の場合、高い固形分濃度は、しばしば、超可塑剤-セメントの負の相互作用、強い加熱、及びプレミックスタンクの注入/排出に関する問題などの、望ましくない副作用をもたらす。
【0119】
それにもかかわらず、超音波を有するプレミックスプロセスの利点を保証するために、プレミックス及び貯蔵の概念が開発された。ここでの核心は、利用可能なセメントの一部分のみの使用である(
図9参照)。
このようにして製造された懸濁液の固形分が著しく低いため、セメント全体がプレミックスされる変形例と比較して、製造プロセスが単純化される。
【0120】
しかしながら、形成され得る水和物核の数は、セメントの量に制限される。これは、水和を促進するのに十分な量の水和物核が形成されるまで、懸濁液を貯蔵又は結晶化するという概念につながった。水和物相の数は、事前貯蔵の時間と共に増加する。この目的のために、凝固の開始、すなわち、コンクリートをさらに加工することができないまで硬化プロセスが進行した時点の測定値を以下に示す。
【0121】
図10は、以下のパラメータによるセメントモルタルの凝固の開始を示している。
-モルタルのw/c比=0.50
-上流懸濁液のw/c比=1.0
-前処理セメントの割合=25%
-20kHz及び60秒/リットルでの懸濁液の超音波処理
【0122】
図10は、凝固の開始(Y軸)が事前貯蔵時間(X軸)の増加と共に減少することを示す。この挙動は、超音波処理された懸濁液(クロスハッチング)について、特に顕著である。超音波処理なしでは、凝固時間の減少はそれほど顕著ではない(ダッシュ-ハッチング)。
【0123】
一般に、作業性は、事前貯蔵によっても影響を受ける。これは、セメントについてスランプフロー及びスランプスプレッドによって決定される。
図11は、時間長さの異なるセメント懸濁液を用いた、
図10で既に説明したセメントモルタルの、スランプフロー及びスランプスプレッドを示す。ここでは、モルタルがテーブル上をどれくらい流れるかを、振動なし(スランプフロー)及び15回の衝撃を加えた場合(スランプスプレッド)で、測定する。ここで、事前貯蔵時間の増加と共に、スランプフロー及びスプレッドデメンジョンの両方が減少することが分かる。これは、モルタルの作業性が低下することを意味する。しかし、最初の240分では、減少はわずかであり、これは、コンクリートについて有意な変化がないことを意味する。240分後には、より顕著な減少が起こる。
【0124】
これらの結果から、検討中のモルタルの理想的な事前貯蔵時間は、約240分であると結論付けることができる。この場合、作業性の変化は小さく、同時に初期強度が著しく増加する。
【0125】
具体的な大きさについては、その効果を以下のデータで説明することができる。
ポルトランドセメント(CEM I 52.5R)を使用しw/c比0.47を有するコンクリートを製造した。コンクリートを、240分間の事前懸濁及び超音波処理(w/c =1.0)をし0.3m3の体積を有する超可塑剤(タイプ:ポリカルボキシレートエーテル)と混合した。
【0126】
図12は、本発明による方法によって製造されたコンクリートの最初の24時間にわたる圧縮強度の変化を、従来製造されたコンクリートと比較して示す。本発明による方法によって製造された、前処理された懸濁液を有するコンクリートサンプルは、測定されたすべての時間において、著しく高い圧縮強度を示すことが明らかに分かる。
【符号の説明】
【0127】
1・・・装置
2・・・機械フレーム
3・・・セメントプレミキサー
4、5・・・結晶化タンク
6・・・超音波プローブ
7、8、9・・・撹拌器
10・・・出口
11・・・ジャケット部
12・・・底部
13・・・攪拌ブレード
14・・・-
15・・・ロッド
16・・・緊急排水管
17・・・センサ素子
18・・・出口
19・・・-
20・・・移送ライン
21・・・-
22・・・底部
23・・・-
24・・・フランジ端部
25・・・-
26・・・排水ノズル
27・・・センサ素子
28・・・排水ノズル
100・・・方法
101・・・コンクリートミキサー
102・・・添加剤
103・・・水
104、105・・・セメント
106、107・・・砂利
108・・・砂
201・・・コンクリートミキサー
202・・・混和剤
203・・・水
204、205・・・セメント
206、207・・・砂利
208・・・砂
209・・・セメント
210・・・水
211・・・添加剤
212・・セメントプレミキサー
213・・・結晶化タンク
【手続補正書】
【提出日】2022-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートを製造するための装置(1)であって、
i)セメント懸濁液を混合するためのセメントプレミキサー(3)であって、前記セメント懸濁液を提供するための少なくとも1つの超音波発生器、特に超音波プローブ(6)を有する、セメントプレミキサー(3)、
ii) 前記コンクリートの初期強度を高めるための、少なくとも1つの第1の結晶化タンク(4又は5)、特に前記第1の結晶化タンク(4又は5)を含む結晶化タンク列、
及び
iii) 前記プレミックスされたセメント懸濁液から、特に骨材(206~208)を添加してコンクリート混合物を製造するためのコンクリートミキサー(201)
を備え
、
前記装置(1)が、前記セメント懸濁液の温度を決定するためのセンサを有することを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記セメントプレミキサー(3)、前記結晶化タンク(4又は5)及び前記コンクリートミキサー(201)が、前記セメント懸濁液が前記セメントプレミキサー(3)から前記結晶化タンク(4又は5)内に、及びそこから前記コンクリートミキサー(201)内に、重力によって流れることができるように、地球重力場に対して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の結晶化タンク(4又は5)が、攪拌器(8、9)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の結晶化タンク(4又は5)が側壁(11)と好ましくは湾曲した底面(12)とを有し、前記撹拌器(8又は9)が10cm未満、好ましくは5cm未満の距離で前記底面(12)の少なくとも50%にわたってガイドできるように設計された、形成物、好ましくは螺旋状の形成物を有する回転可能な撹拌器アタッチメントを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記形成物は、特に前記螺旋状形成物としての設計においては、底部の方向に、好ましくはゴム及び/又はPTFEリップの形態のエッジワイパーを有することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置(1)が、前記第1の結晶化タンク(4)と前記コンクリートミキサー(201)との間に、好ましくは別個の攪拌器(9)を備えた、第2の結晶化タンク(5)を備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置(1)が、無圧力作動システムとして設計されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
調整部材が、前記結晶化タンク(4、5)間の前記移送ライン(20)において、バルブ、特にピンチバルブとして形成されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置(1)、特に少なくとも1つの結晶化タンク(4又は5)が、特に前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)の緊急排水を制御するための、測定変数を検出するための構成(17, 27)を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、特に前記検知された測定変数の関数として流動媒体を供給する供給装置、特に計量装置を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、少なくとも2立方メートル、好ましくは1.5~4立方メートルの量のセメント懸濁液用に設計されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、前記結晶化タンク(4、5)の壁に沿った前記セメント懸濁液の前記温度制御のための熱交換器構成、特に二重壁セグメントを含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置(1)が、前記セメントプレミキサー(212)へのセメントの第1の部分供給ラインと、前記コンクリートミキサー(201)へのセメントの第2の部分供給ラインとを有するセメント貯蔵サイロを備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、セメントの第1の部分量を前記セメントプレミキサー(212)に対して計量し、セメントの第2の部分量を前記コンクリートミキサー(201)に対して計量するためのセメント計量器を備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に載の装置。
【請求項15】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、前記結晶化タンク内に位置する前記セメント懸濁液の品質を測定するためのセンサ素子、特に、温度センサ、トルクセンサ(粘度)、前記熱又は電気の伝導率を決定するための伝導率センサ、前記超音波通過時間を測定するためのセンサ、前記超音波の速度及び/又は密度センサを決定することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置(1)が、前記センサ素子によって測定された測定値に基づいて、アクチュエータ、特に温度制御装置、入口バルブ及び/又は出口バルブを制御するための、制御ユニット及び/又は評価ユニットを有することを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
先行する請求項のいずれか一項に記載の装置を用いてコンクリートの製造方法であって、
i)超音波を使用してセメントプレミキサー(212)内でセメント懸濁液を調整するステップ、
ii)結晶化タンク(213)内で前記セメント懸濁液を所定の滞留時間撹拌するステップ
及び
iii)所定の滞留時間後に前記セメント懸濁液をコンクリートミキサー(201)に移送するステップ
を含む、方法。
【請求項18】
前記セメントブレミキサー(212)が処理空間を備え、前記少なくとも1つの超音波プローブ(6)が少なくとも部分的に前記処理空間内に突出し、
前記超音波プローブ(6)が超音波を放射し、前記放射された超音波が25~250W/cm
2の強度及び15~500μmの振幅を有することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記滞留時間の制御が、所定の温度における所定の時間の関数として実行されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)の緊急排水の制御が、所定の温度における所定の時間の関数として行われ、及び/又は、測定値、特に測定されたトルクの決定の関数として行われることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記懸濁液の滞留時間が、予め決定された熱放出に基づくことを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記セメント懸濁液中の水/セメント(w/c)比が0.5~2であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記コンクリートミキサー(201)への移送前の前記セメント懸濁液の事前貯蔵時間が1~8時間であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記コンクリート中の前処理されたセメントの割合が、5~95重量%、理想的には10~25重量%であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)内に位置する前記セメント懸濁液の、物質依存性の物理的測定変数の感覚検出が実行されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記供給量及び/又は排出量、前記撹拌速度及び/又は前記温度の制御が、前記感覚検出によって決定された前記測定値に基づいて実行されることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
関連する先行技術は、US2018/318778A1及びRU2496748C1に示されている。
コンクリート組成物の重要なパラメータは、その初期強度である。コンクリートの初期強度を高めるための選択肢としては、熱処理、促進コンクリート混和剤の使用、又は構造上必要な量を超えるセメント含有量を増やす又はw/c比(セメントに対する水の比)を下げるなどのコンクリート技術手法の使用などの確立されたプロセスを含む。しかしながら、これらの変更例は、しばしば生産コストの大幅な増加で時間ファクターを買う、との妥協案となっている。加えて、初期強度は改善されるが、組成の変化により、全体的な材料特性に望ましくない変化(例えば、収縮亀裂)が生じる可能性がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
装置、特に結晶化タンクの少なくとも1つはまた、本発明によれば、セメント懸濁液の温度を決定するためのセンサを有する。理想的には、温度は25~45℃であるべきである。結晶化タンクの自動排水及び/又は部分排水中のセメント懸濁液の滞留時間の対応する設定値は、決定された温度に応じて調整することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
さらに、本発明によれば、本発明による装置を用いてコンクリートを製造するための方法であって、以下のステップを含む方法が提供される。
i)セメントプレミキサー中でセメント懸濁液を調製するステップ、
ii)結晶化タンク中でセメント懸濁液を所定の滞留時間撹拌するステップ、
及び
iii)所定の滞留時間後にセメント懸濁液をコンクリートミキサーに移送するステップ。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートを製造するための装置(1)であって、
i)セメント懸濁液を混合するためのセメントプレミキサー(3)であって、前記セメント懸濁液を提供するための少なくとも1つの超音波発生
器を有する、セメントプレミキサー(3)、
ii) 前記コンクリートの初期強度を高めるための、少なくとも1つの第1の結晶化タンク(4又は5
)、
及び
iii) 前記プレミックスされたセメント懸濁液から
、骨材(206~208)を添加してコンクリート混合物を製造するためのコンクリートミキサー(201)
を備え、
前記装置(1)が、前記セメント懸濁液の温度を決定するためのセンサを有することを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記セメントプレミキサー(3)、前記結晶化タンク(4又は5)及び前記コンクリートミキサー(201)が、前記セメント懸濁液が前記セメントプレミキサー(3)から前記結晶化タンク(4又は5)内に、及びそこから前記コンクリートミキサー(201)内に、重力によって流れることができるように、地球重力場に対して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置(1)が、前記第1の結晶化タンク(4)と前記コンクリートミキサー(201)との間に
、第2の結晶化タンク(5)を備えることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置(1
)が、前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)の緊急排水を制御するための、測定変数を検出するための構成(17, 27)を有することを特徴とする、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が
、前記検知された測定変数の関数として流動媒体を供給する供給装
置を有することを特徴とする、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、少なくとも2立方メート
ルの量のセメント懸濁液用に設計されていることを特徴とする、
請求項3から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、前記結晶化タンク(4、5)の壁に沿った前記セメント懸濁液の前記温度制御のための熱交換器構
成を含むことを特徴とする、
請求項3から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記装置(1)が、前記セメントプレミキサー(212)へのセメントの第1の部分供給ラインと、前記コンクリートミキサー(201)へのセメントの第2の部分供給ラインとを有するセメント貯蔵サイロを備え
、前記装置が、セメントの第1の部分量を前記セメントプレミキサー(212)に対して計量し、セメントの第2の部分量を前記コンクリートミキサー(201)に対して計量するためのセメント計量器を備えることを特徴とする、
請求項3から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記第1及び/又は第2の結晶化タンク(4、5)が、前記結晶化タンク内に位置する前記セメント懸濁液の品質を測定するためのセンサ素子
を備えることを特徴とし、前記センサ素子が、温度センサ、トルクセンサ(粘度)、前記熱又は電気の伝導率を決定するための伝導率センサ、前記超音波通過時間を測定するためのセンサ、前記超音波の速度
センサ又は密度センサ
である、請求項3から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記装置(1)が、前記センサ素子によって測定された測定値に基づいて
、温度制御装置、入口バルブ及び/又は出口バルブを制御するための、制御ユニット及び/又は評価ユニットを有することを特徴とする、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
請求項
1から10のいずれかに記載の装置を用い
たコンクリートの製造方法であって、
i)超音波を使用してセメントプレミキサー(212)内でセメント懸濁液を調整するステップ、
ii)結晶化タンク(213)内で前記セメント懸濁液を所定の滞留時間撹拌するステップ
及び
iii)所定の滞留時間後に前記セメント懸濁液をコンクリートミキサー(201)に移送するステップ
を含む、方法。
【請求項12】
前記セメントブレミキサー(212)が処理空間を備え、前記少なくとも1つの超音波プローブ(6)が少なくとも部分的に前記処理空間内に突出し、
前記超音波プローブ(6)が超音波を放射し、前記放射された超音波が25~250W/cm
2の強度及び15~500μmの振幅を有することを特徴とする、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記滞留時間の制御が、所定の温度における所定の時間の関数として実行されること
、及び/又は、前記懸濁液の滞留時間が、予め決定された熱放出に基づくことを特徴とする、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンクリートミキサー(201)への移送前の前記セメント懸濁液の事前貯蔵時間が1~8時間であることを特徴とする、
請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記コンクリート中の前処理されたセメントの割合が、5~95重量
%であることを特徴とする、
請求項11から14のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】