(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】膜蒸留による金属の再循環
(51)【国際特許分類】
C25D 21/16 20060101AFI20240104BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240104BHJP
C25D 21/18 20060101ALI20240104BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20240104BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20240104BHJP
C25D 21/20 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
C25D21/16 A
C02F1/44 K
C25D21/18 A
C25D7/00 J
C25D7/12
C25D21/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533617
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2021083991
(87)【国際公開番号】W WO2022117737
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102020132319.0
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519063934
【氏名又は名称】エーティーアンドエス オーストリア テクノロジー アンド システムテクニック アクツィエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロスマン、トーマス
【テーマコード(参考)】
4D006
4K024
【Fターム(参考)】
4D006GA27
4D006KA15
4D006KE14P
4D006KE14Q
4D006MA06
4D006MB10
4D006MC30
4D006PA04
4D006PB08
4D006PB27
4D006PC22
4K024AA09
4K024AA11
4K024AA12
4K024BA12
4K024BA15
4K024BB11
4K024BB12
4K024BC01
4K024BC06
4K024CB11
4K024CB18
4K024CB26
4K024GA16
(57)【要約】
金属を用いて構造を化学処理するための化学浴(100)から金属を回収する方法、ここで、方法は、化学浴(100)から膜蒸留器(106)に、金属を含む化学組成物を供給する段階、膜蒸留器(106)において金属の少なくとも一部を分離する段階、及び分離された金属を化学浴(100)に再導入する段階を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を用いて構造を化学処理するための化学浴から金属を回収する方法であって、
前記化学浴から膜蒸留器に、金属を含む化学組成物を供給する段階;
前記膜蒸留器において前記金属の少なくとも一部を分離する段階;及び
前記分離された金属を前記化学浴に再導入する段階
を備える方法。
【請求項2】
前記金属は、金、パラジウム、スズ、銀、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、イリジウム、亜鉛、及び銅からなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜蒸留器において前記金属から溶剤、特に水を分離する段階;及び
前記分離された溶剤を洗浄システムに再導入する段階
を備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
特に前記再導入された溶剤を使用して、前記洗浄システムによって、前記化学浴中で化学処理された構造を洗浄する段階を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
以下の特徴、
前記化学浴中で、プレート形構造、特に部品キャリアを製造するためのパネルをめっきする段階;
洗浄システムにおいてプレート形構造、特に部品キャリアを製造するためのパネルを洗浄する段階
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
水平方向で又は垂直方向で、前記プレート形構造をめっきする段階及び/又は洗浄する段階を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記膜蒸留器の高温側面に、製造プロセスの間に生成される廃熱を供給する段階を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記膜蒸留器の前記高温側面に、前記製造プロセスの間に実行されるエッチングプロセスから、及び/又はめっきプロセスから、廃熱を供給する段階を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記膜蒸留器の低温側面に、製造プロセスの間に発生した冷却エネルギーを供給する段階を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記膜蒸留器の前記低温側面に、前記製造プロセスの間に使用される低温洗浄流体供給源から冷却エネルギーを供給する段階を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記膜蒸留器において前記化学組成物の少なくとも1つの更なる物質を分離する段階、及び特に、前記分離された少なくとも1つの更なる物質を前記化学浴に再導入する段階を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの更なる物質は、少なくとも1つのめっき添加剤、酸、及び塩基からなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記膜蒸留器において前記金属を濃縮し、前記濃縮された金属を前記化学浴に再導入する段階;
前記化学浴中の前記金属の濃度が経時的に一定のままであるように、前記供給する段階、前記分離する段階、及び前記再導入する段階のうちの少なくとも1つを制御する段階;
前記金属で前記構造をめっきすることによって、前記化学浴中で前記構造を化学処理する段階;
特に、前記膜蒸留器の高温側面及び冷えた側面の温度差が、予め定義された閾値を下回る限り、前記膜蒸留器をバイパスさせるために、前記化学組成物の流れを一時的に再方向付けする段階;
特に、前記膜蒸留器の高温側面及び冷えた側面の温度差が、予め定義された閾値を下回る限り、前記膜蒸留器に前記化学組成物を供給し始める前に、前記膜蒸留器を予熱する段階;
前記化学組成物から、少なくとも1つのめっき添加剤、酸、及び塩基からなる群のうちの少なくとも1つを追加的に回収する段階;
直接的に前記化学浴の中で、又は上方で、洗浄システムにおいて洗浄流体によって構造を洗浄する段階
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
特に、前記膜蒸留器の高温側面及び冷えた側面の温度差が、予め定義された閾値を下回る限り、前記膜蒸留器への前記化学組成物の流れ及び前記膜蒸留器から離れていく溶剤の流れの比を低減する段階を備える、請求項3~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
金属を用いて前記構造を処理する段階は、部品キャリアを製造する間、金属を用いて部品キャリア構造を処理する段階を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
金属を用いて構造を化学処理するための化学浴から金属を回収するための装置であって、
前記化学浴から膜蒸留器に、金属を含む化学組成物を供給するように構成されている供給部;
膜蒸留によって前記金属の少なくとも一部を分離するように構成されている前記膜蒸留器;及び
前記分離された金属を前記化学浴に再導入するように構成されている再導入部
を備える装置。
【請求項17】
以下の特徴、
前記膜蒸留器は、前記分離された金属を前記膜蒸留器の加熱可能な側面で提供するように構成されている;
前記装置は、部品キャリアを製造する間、金属を用いて部品キャリア構造を処理するように構成されている;
製造プロセスの間に金属を循環させるための、前記化学浴、前記供給部、前記膜蒸留器、及び前記再導入部を含む閉金属ループ;
製造プロセスの間に溶剤を循環させるための、前記化学浴、前記供給部、前記膜蒸留器、及び構造を洗浄するための洗浄システムを含む閉溶剤ループ;
前記化学浴は、構造をめっきするように、特に電気的にめっきするように構成されているめっき部であるか、又はめっき部の一部を形成する
のうちの少なくとも1つを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記膜蒸留器は、前記膜蒸留器において前記金属から分離された溶剤、特に水を、前記膜蒸留器の冷却可能な側面で提供するように構成されている、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
前記分離された金属が提供される前記膜蒸留器の金属側面を加熱するように構成されている加熱部を備える、請求項16~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記加熱部は、製造プロセスの間に得られる廃熱を使用して前記金属側面を加熱するように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記分離された溶剤が提供される前記膜蒸留器の溶剤側面を冷却するように構成されている冷却部を備える、請求項18~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記冷却部は、製造プロセスの間に得られる冷却エネルギーを使用して前記溶剤側面を冷却するように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
以下の特徴、
特に、前記化学浴中の前記金属の濃度が一定のままであるように、前記装置、特に前記供給部、前記膜蒸留器、及び前記再導入部のうちの少なくとも1つを制御する、特に調整するように構成されている制御部を備える;
ユーザが前記装置の動作を制御することを、特に、前記装置によって実行される前記化学浴から金属を回収するプロセスを制御することを、可能にするために構成されているユーザインタフェースを備える
のうちの少なくとも1つを備える、請求項16~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記ユーザインタフェースは、前記装置によって実行される前記プロセスを制御するための前記制御部を動作させるように構成されている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
湿りガスビームを用いた、特に水飽和湿り空気ビームを用いた処理によって構造を洗浄するための洗浄システムを備える、請求項16~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
以下の特徴、
前記洗浄システムは、前記湿りガスビームを用いた前記処理によって前記構造を洗浄する間に収集される溶媒を、前記化学浴に、又は前記膜蒸留器に供給するように構成されている;
前記装置は、前記湿りガスビームを生成するために、前記膜蒸留器から前記洗浄システムに水を供給するように構成されている;
前記洗浄システムは、前記湿りガスビームを用いた前記処理によって前記構造を洗浄するように構成されている初期洗浄ステージによる洗浄の後に前記構造を洗浄するための少なくとも1つの追加の洗浄ステージを有する
のうちの少なくとも1つを備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記膜蒸留器は、加熱可能な側面、冷却可能な側面、及び前記加熱可能な側面及び前記冷却可能な側面の間の空隙を有し、ここで、第1の膜は、前記加熱可能な側面及び前記空隙の間に配置され、第2の膜は、前記空隙及び前記冷却可能な側面の間に配置される、請求項16~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記膜蒸留器は、前記加熱可能な側面に熱的に結合された熱交換器を更に有する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記熱交換器は、高温の蒸留物(hD)の流れを導くためのチャネルを有し、前記チャネルは、前記加熱可能な側面から熱伝導性材料層によって、好ましくはポリマーフィルムによって分離されている、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記膜蒸留器は、
更なる加熱可能な側面、
更なる空隙、を有し、
ここで、
前記冷却可能な側面は、前記空隙及び更なる空隙の間に配置され、
前記更なる空隙は、前記冷却可能な側面及び前記更なる加熱可能な側面の間に配置される、
請求項27~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記供給部は、蒸発器を有する、請求項16~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記膜蒸留器は、
加熱可能な側面、冷却可能な側面、蒸気側面、膜、及び熱伝導性層
を有し、
前記加熱可能な側面は、前記蒸気側面及び前記冷却可能な側面の間に配置され、
前記膜は、前記加熱可能な側面及び前記冷却可能な側面の間に配置され、
前記熱伝導性層は、前記蒸気側面及び前記加熱可能な側面の間に配置され、
前記装置は、
前記蒸発器から前記蒸気側面に蒸気を供給するための蒸気供給手段、及び
前記蒸発器から前記加熱可能な側面に液体形態の前記化学組成物を供給するための濃縮物供給手段
を更に備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記膜蒸留器は、
更なる加熱可能な側面、
更なる冷却可能な側面、
更なる膜、及び
更なる熱伝導性層
を更に有し、
前記更なる加熱可能な側面は、前記冷却可能な側面及び前記更なる冷却可能な側面の間に配置され、
前記更なる膜は、前記更なる加熱可能な側面及び前記更なる冷却可能な側面の間に配置され、
前記更なる熱伝導性層は、前記更なる加熱可能な側面及び前記冷却可能な側面の間に配置され、
前記装置は、
前記加熱可能な側面から前記更なる加熱可能な側面に液体形態の前記化学組成物を供給するための更なる濃縮物供給手段、を更に備え、
ここで、動作の間、前記加熱可能な側面(における圧力は、前記更なる加熱可能な側面における更なる圧力よりも大きい、
請求項32に記載の装置。
【請求項34】
化学浴から金属を分離するための、且つ好ましくは前記化学浴中の金属濃度を一定に保つように制御された仕方で、前記分離された金属を前記化学浴に再導入するための、製造プロセスを実行するためのプラントにおいて膜蒸留を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属を用いて構造を化学処理するための化学浴から金属を回収する方法及びそのための装置に関し、使用の方法に関する。
【0002】
1又は複数の電子部品を備え付けた部品キャリアの、増えつつある製品機能性、及びそのような部品の小型化の増大、並びにプリントサーキットボードなどの部品キャリアに設置される部品の数の増加の文脈において、いくつかの部品を有するいっそう強力になりつつあるアレイ様部品又はパッケージが用いられており、それらは複数の接触部又は接続部を有し、これらの接触子間の間隔はずっと小さい。動作の間にそのような部品及び部品キャリア自体によって発生する熱の除去は、増えつつある課題となっている。同時に、部品キャリアは、厳しい条件下でも操作可能であるように、機械的に堅牢で、電気的に信頼できるものとすべきである。
【0003】
従来の製造技術を用いて部品キャリア及び他の製品を製造する間に、かなりの量の廃棄物が生じ得る。
【0004】
廃棄物量が低減された金属コーティング構造を製造する必要があり得る。
【0005】
本発明の例示的な実施形態によれば、金属を用いて構造(例えば、部品キャリア構造)を化学処理する(特に部品キャリアを製造する間に)ための化学浴から金属(特に重金属)を回収する方法が提供され、方法は、化学浴から膜蒸留器に、金属を含む化学組成物を供給する段階、膜蒸留器において金属の少なくとも一部を分離する段階、及び分離された金属を化学浴に再導入する段階を備える。
【0006】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、金属を用いて構造(例えば、部品キャリア構造)を化学処理する(例えば、部品キャリアを製造する間に)ための化学浴から金属を回収するための装置が提供され、装置は、化学浴から膜蒸留器に、金属を含む化学組成物を供給するように構成されている供給部、膜蒸留によって金属の少なくとも一部を分離するように構成されている膜蒸留器、及び分離された金属を化学浴に再導入するように構成されている再導入部を備える。
【0007】
本発明の更に別の例示的な実施形態によれば、膜蒸留は、化学浴から金属を分離するために、且つ好ましくは化学浴中の金属濃度を一定に保つように制御された仕方で、分離された金属を化学浴に再導入するために、使用される(例えば、部品キャリア製造プラントにおいて)。
【0008】
本願の文脈において、「構造」という用語は、特に任意の物体、特に金属処理に供されるプレート形体を示すことがある。
【0009】
本願の文脈において、「部品キャリア」という用語は、機械的支持及び/又は電気的連結性を提供するために、上に及び/又は内部に1又は複数の部品を格納可能な任意の支持構造を特に示し得る。換言すれば、部品キャリアは、部品の機械的及び/又は電子的キャリアとして構成され得る。具体的には、部品キャリアは、プリントサーキットボード、有機インターポーザ、及びIC(集積回路)基板のうちの1つであり得る。部品キャリアは、上述の種類の部品キャリアのうち異なるものを組み合わせたハイブリッドボードでもあり得る。
【0010】
本願の文脈において、「部品キャリア構造」という用語は、現在製造されている部品キャリアのプリフォームを特に示し得る。具体的には、部品キャリア構造は、個別化される前のバッチプロセスにおいて製造されてもよい、複数のなお一体的に接続されている、部品キャリア、又はそれのプリフォームを備えてもよい。具体的には、部品キャリア構造は、パネル(例えば、18インチ(45.72センチメートル)×24インチ(60.96センチメートル)、又はそれよりも大きい寸法を有する)、又はアレイ(例えば、現在製造されている6つの部品キャリアの)であってもよい。例えば、製造される部品キャリアは、プリントサーキットボード又はIC基板であってもよい。
【0011】
本願の文脈において、「部品キャリア製造プラント」という用語は、PCB又はIC基板などの部品キャリアが製造されるプラント又は工場を特に示し得る。
【0012】
本願の文脈において、「化学浴」という用語は、容器に入っており、金属(例えば、元素形態の金属及び/又は溶解した金属)を含む種々の化学物質、及び水などの溶剤を含む、化学組成物を特に示し得る。1又は複数の添加剤など、1又は複数の更なる化学物質が化学組成物に含まれてもよい。化学浴は、特にめっきにおける、予め定められた化学処理(例えば、部品キャリア構造の)を実行するように構成されていてもよい。そのような実施形態において、化学浴はまた、めっき浴又はめっき部として示されてもよい。例えば、化学浴は、電気めっきに適合されてもよい。電気めっきは、電極、特に部品キャリア構造上に、首尾一貫した薄い金属コーティングを形成するように、電流を使用して、溶解した金属カチオンを還元するプロセスである。1つの技法において、アノードは、(例えば、部品キャリア)構造にめっきされることになる金属からできている。アノード及び(例えば、部品キャリア)構造の両方が、1又は複数の溶解した金属塩、並びに電気の流れを可能にする他のイオンを含有する電解質溶液に浸漬されてもよい。電力供給は、アノードに直流を供給し、それが含む金属原子を酸化し、それらが溶液中に溶解することを可能にする。カソードにおいて、電解質溶液中に溶解した金属イオンは、カソード、例えば、部品キャリア構造上に沈着するように、溶液及びカソードの界面において還元される。他の電気めっきプロセスでは非消耗アノードが使用されてもよく、めっきされることになる金属のイオンは、溶液から取り出されるにしたがって、化学浴に補給され得る、且つ/又は再導入され得る。
【0013】
本願の文脈において、「化学的流体」という用語は、任意選択で固体粒子及び/又は1又は複数の添加剤を含む、液体及び/又は気体溶剤又は溶剤組成物を特に示し得る。
【0014】
本願の文脈において、「膜蒸留」という用語は、分離が相転移によって駆動される熱駆動分離プロセスを特に示し得る。疎水性膜は、液及び/又は固相のためのバリアとして提供されてもよく、蒸気又は気相(例えば、水蒸気)が選択的に膜の孔を通過することを可能にする。分離プロセスの駆動力は、温度差によって誘発され得る蒸気分圧差であってもよい。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によれば、膜蒸留によって(例えば、部品キャリア)構造を処理するための化学浴から金属が分離される、プラント(部品キャリア製造プラントなど)のための金属再循環及び/又は金属制御システムが提供される。次いで、分離された金属は、化学浴における(例えば、部品キャリア)構造の化学処理の、次の反復、サイクル、又はフェーズにおいて使用するために化学浴に再び送り込まれ得る。この手段を取ることによって、大量の残留金属が処分されるのではなく、実質的に全体の金属含有量が閉鎖系内に維持され得る。結果として、本発明の例示的な実施形態は、金属資源の効率的使用を保証し、部品キャリアなどの製品を製造する間のエコロジカルフットプリントを小さく保ち得る。有利には、化学浴への金属再循環及び金属の再送り込みを制御して、化学浴の所望でない希釈を回避し、好ましくは化学浴中の金属濃度を実質的に一定に保つことが可能であり得る。有利には、膜蒸留を濃縮技術として使用して金属を濃縮し再導入し、例えば、洗浄プロセスに起因する水の過剰を回避し、例えば、化学浴中の金属濃度を経時的に安定に保ってもよい。金属などの貴重な資源の回収の他に、資源の回収の結果として廃棄物が回避され得るため、例示的な実施形態は廃棄物の防止に寄与し得る。例えば、他の物質(適当なめっきのために使用される酸及び添加剤など)がすべて回収され得る一方で、化学浴からの膜蒸留分離によって水などの溶剤のみが除去されてもよい。したがって、著しい量の危険廃棄物が回避され得る。
【0016】
本発明の実施形態の別の有利な効果は、化学浴における温度が一定に保たれ得ることである。化学浴中に存在する添加剤は、温度の変動に対して非常に感受性が高いことがあり、ある特定の温度閾値(例えば、40℃)を超えると損傷を受けることさえある。したがって、膜蒸留は、一方で、金属(任意選択でめっき添加剤を含む)及び溶剤(水など)を回収するために、他方で、化学浴の温度を制御するために、理想的なツールである。したがって、濃縮された金属溶液は、ひとたび化学浴に供給されると、既に目標温度であり得る。
【0017】
より具体的には、本発明の例示的な実施形態は、部品キャリアなどの構造を製造するプロセスにおいて膜蒸留を実装することによって、化学物質のドラッグアウトの著しい低減を保証し得る。具体的には、膜蒸留プロセスを用いて、化学浴、特に化学浴の電気めっき液の濃度を制御してもよい。有利には、回収された金属(特に電気めっき物質)は、濃縮され、化学浴に戻されてもよい。しかしながら、部品キャリア以外の製品も、言及された仕方で処理されてもよい。例は、例えば、金めっき、亜鉛めっき、ニッケルめっきなどによって処理される構造又は製品である。一般に、実施形態では、表面処理を、例えば、電気めっき及び対応する応用と呼ぶことがある。
【0018】
以下において、方法及び装置の更なる例示的な実施形態が説明される。
【0019】
一実施形態において、金属は、金、パラジウム、スズ、銀、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、イリジウム、亜鉛、及び銅からなる群のうちの少なくとも1つを含む。金属は、溶解した形態及び/又は元素金属として存在してもよい。具体的には、表面金属化プロセスにおいて処理された任意の種類の重金属(部品キャリア製造に関する例)は、例示的な実施形態によって回収されてもよい。本願の文脈において、「重金属」という用語は、5g/cm3より大きい密度を有する金属を特に示し得る。具体的には、重金属は、鉄、銅、ニッケル、スズ、銀、金、パラジウム、及び白金を包含してもよい。しかしながら、限定的な利用可能性を考慮すると、金及びパラジウムの再循環が最も重要であり得る。
【0020】
一実施形態において、方法は、膜蒸留器において金属から溶剤又は化学的流体、特に水を分離する段階、及び分離された溶剤又は化学的流体を洗浄システムに再導入する段階を備える。蒸留膜の一方の側面の金属の濃縮物に加えて、反対側面で蓄積した溶剤(特に水)も、製造プロセスに、好ましくは洗浄流体として洗浄システムに再び送り込まれ得る。有利には、追加で分離された水などの化学的流体も、膜蒸留によって再循環され得、例えば、後続の洗浄プロセスのために洗浄システムに再び送り込まれてもよい。上記洗浄プロセスは、化学浴中での構造(特に部品キャリア構造)の化学処理後に実行されてもよい。例えば、化学処理中に金属が提供され得る構造は、化学処理後に洗浄して過剰量の金属を除去してもよく、次いで、除去された金属を含む洗浄流体は、化学浴に供給されてもよい。次いで、この希釈された化学浴からの溶媒は、水に対して金属を分離するための膜蒸留器に供給されてもよい。製造プロセスにおいても水などの溶剤を保持することによって、資源は更により効率的に使用され得る。
【0021】
一実施形態において、方法は、膜蒸留器において化学組成物の少なくとも1つの更なる物質を分離する段階、及び特に、分離された少なくとも1つの更なる物質を化学浴に再導入する段階を備える。例えば、方法は、濃縮された少なくとも1つの更なる物質を化学浴に再導入する段階の前に、少なくとも1つの更なる物質を濃縮する段階を備える。具体的には、少なくとも1つの更なる物質は、少なくとも1つのめっき添加剤、酸、及び塩基からなる群のうちの少なくとも1つを含む。製造プロセス(例えば、部品キャリアを製造するための)の間に使用されるそのような物質を再循環させる段階は、廃棄物を回避し、エコロジカルフットプリントを低減し得、かつ資源を節約し得る。
【0022】
一実施形態において、方法は、化学処理された構造(特に部品キャリア構造)を、特に再導入された溶剤を使用して、洗浄システムによって、洗浄する段階を備える。化学浴中で構造(特に部品キャリア構造)に実行されてもよいめっきプロセス後、構造の過剰の金属汚染物質は、洗浄する段階によって除去されてもよい。必要とされる洗浄流体は、蒸留膜から戻されてもよい。
【0023】
一実施形態において、方法は、直接的に化学浴の中で、又は上方で、洗浄流体で構造(特に部品キャリア構造)を洗浄する段階を備える。具体的には、洗浄流体は、洗浄する段階の前、間、及び/又は後に、洗浄システムから化学浴に供給されてもよい。結果として、化学浴は、洗浄流体で希釈されてもよい。次いで、溶解した金属を有する化学的流体の希釈液は、金属再濃縮のために膜蒸留器に供給されてもよく、再濃縮された溶解された金属は、化学浴に再び供給されてもよい。
【0024】
一実施形態において、方法は、5l/hから50l/hまでの範囲における、特に10l/hから30l/hまでの範囲における流量で、分離された溶剤を洗浄システムに再導入する段階を備える。そうして、既に比較的小さい流量は、回収された流体での洗浄システムを動作させるのに十分であり得る。これらのほどほどの流量は、本発明の例示的な実施形態の焦点が、化学浴の維持目的で金属を濃縮することにあり得、水などの化学的流体の再循環が副産物であるという事実を反映する。
【0025】
一実施形態において、方法は、化学浴中で、プレート形構造、特に部品キャリアを製造するためのパネルをめっきする段階を備える。方法はまた、洗浄システムにおいて、プレート形構造、特に部品キャリアを製造するためのパネルを洗浄する段階を含んでもよい。具体的には、方法は、水平方向で又は垂直方向でプレート形構造をめっきする段階及び/又は洗浄する段階を含んでもよい。有利には、水平めっきラインにおいて膜蒸留を実装することが可能であり得る。そのような一実施形態によれば、初期洗浄カスケードの上方に洗浄システムを設置することが有利であり得る。この方法は、パネルが水平めっきラインにおいてめっきされる場合、特に使用されてもよい。そのような一実施形態は、化学浴の上方に洗浄システムを設置するために限られたスペースしかないシナリオを指し得る。より一般に、本発明の例示的な実施形態は、有利には、めっきする段階及び/又は洗浄する段階の間のプレート形構造の水平又は垂直配列の両方と適合している。これにより製造アーキテクチャの設計の自由が増大する。
【0026】
一実施形態において、方法は、製造プラント(特に部品キャリア製造プラント)から膜蒸留器の高温側面(回収された金属側面に対応し得る)に廃熱を供給する段階を備える。この手段を取ることによって、再循環プロセスのエネルギー消費は低減され得る。
【0027】
一実施形態において、方法は、製造プラント(特に部品キャリア製造プラント)のエッチングプロセスから、且つ/又はめっきプロセスから、膜蒸留器の高温側面に廃熱を供給する段階を備える。製造プラントのエッチングステージにおいて、従来は環境中に失われた著しい量の廃熱が生じ得る。エッチングステージ又は製造プロセスの任意の他の適切なステージから膜蒸留器に、そのような廃熱を選択的に再方向付けすることによって、エネルギー効率は向上され得る。それに対応して、製品(部品キャリアなど)の製造の間、めっき構造(部品キャリア構造など)のめっきプロセス、例えば、化学浴中で実行されるめっきプロセスも、かなりの量の熱を生成し得る。非常に有利には、化学浴は、めっきステージとして具現化される場合、膜蒸留器に空間的に非常に近くてもよく、結果として、めっきから膜蒸留への廃熱の再方向付けがエネルギー的に非常に効率的であり得る。しかしながら、本発明の例示的な実施形態は、例えば、他の任意の適切な工業分野におけるめっき又は表面金属化に関して、部品キャリアのためのもの以外の製造プロセスにも適用され得ると言うべきである。そのようなシナリオにおいて、他の製造ステージにおいて作られた廃熱も、加熱、又は予熱のために膜蒸留器に適用されてもよい。
【0028】
一実施形態において、方法は、製造プラント(特に部品キャリア製造プラント)から膜蒸留器の低温側面(回収された溶剤又は水側面に対応し得る)に冷却エネルギーを供給する段階を備える。この手段を取ることによって、再循環プロセスのエネルギー消費は低減され得る。
【0029】
一実施形態において、方法は、製造プラント(特に部品キャリア製造プラント)の低温洗浄流体供給源(工業用水供給など)から膜蒸留器の低温側面に冷却エネルギーを供給する段階を備える。例えば、洗浄流体は、部品キャリア工場において、典型的に6℃から14℃までの範囲における、多くの場合8℃から12℃までの範囲における温度で、工業用水供給システムの一部として提供される。そうして、水供給の温度は、室温又は実験室温度より著しく下回り得る。したがって、淡水供給は、ヒートシンクとして使用することができ、ヒートシンクは、膜蒸留器の溶剤側面を効率的に冷却し得、淡水を摂氏数度だけ、ただ穏やかに熱し、これはPCB工場のフレームワーク内で淡水供給に悪影響を与えることはない。
【0030】
一実施形態において、方法は、膜蒸留器において金属を濃縮する段階、すなわち、膜の1つの側面に(例えば、溶解、且つ/又は元素)金属を蓄積する段階を備える。その後、化学浴に濃縮された金属を再導入することが可能である。そのような金属濃度の手法は、PCB製造環境において実施される場合、膜蒸留におけるパラダイムシフトである。通常、膜蒸留は、水などを回収しようとする際に多量の水溶液のために使用される。本発明の例示的な実施形態によれば、この論理は逆にされ、蒸留膜の高温側面で金属の濃度が増大することが、PCB製造における膜蒸留の組み込みの主な目標である。この手段を取ることによって、膜蒸留は、目標範囲内に化学浴及び特にその金属濃度を保つこと、及び特に化学浴における過剰の希釈を防止することに寄与する。
【0031】
一実施形態において、方法は、化学浴中の金属の濃度が一定のままであるように、供給する段階及び/又は分離する段階及び/又は再導入する段階を制御する段階(特に、例えば、化学浴中の金属濃度の測定に基づいて、調整する段階)を備える。具体的には、装置は、装置(特に供給部、膜蒸留器、及び再導入部のうちの少なくとも1つ)を制御する(特に調整する)ように構成された制御部(プロセッサ、マルチプロセッサ、又はプロセッサの一部など)を備えてもよい。より具体的には、上記制御部は、化学浴中の金属の濃度が一定のままであるように、装置を制御する、又は調整するように構成されていてもよい。非常に有利には、金属回収プロセスは、化学浴の維持のために、特にその過剰の希釈を回避するために、制御された仕方で実行されてもよい。例えば、制御部は、化学浴中に溶解した金属の濃度が目標濃度に常にとどまるように、装置を制御してもよい。したがって、膜蒸留器の動作は、化学浴中の金属の濃度が一定であるように、膜蒸留器から化学浴に再び供給される金属の量が化学浴中で失われた金属に対応するように、調節されてもよい。
【0032】
一実施形態において、装置は、ユーザが装置の動作を制御することを、特に、装置によって実行される化学浴から金属を回収するプロセスを制御することを、可能にするように構成されているユーザインタフェースを備える。例えば、ユーザは、ユーザインタフェースを介して、装置の手動操作モード又は自動操作モードを選択してもよい。具体的には、ユーザインタフェースは、装置によって実行されるプロセスを制御するための制御部を動作させるように構成されていてもよい。これは、膜蒸留器の動作を自動化することを可能にし得る。ソフトウェア支援制御部は、完全自動化プロセス制御を可能にするために実装されてもよい。そうして、膜蒸留のソフトウェア支援制御が実現されてもよい。これは、1又は複数のプロセス制御センサ、例えば、圧力センサ、流量センサなどを包含してもよい。ソフトウェアは、センサからの情報を受け取り、予め定められた規準値とこれらの値を比較してもよい。これら2つの値が一致しない場合、挙動が誘発されてもよい、例えば、流量が増大される、又は減少される。
【0033】
以下において、例えば、ソフトウェアベースプロセッサなどの制御部によって実行される、本発明の例示的な実施形態による装置のユーザ調節可能な制御の詳細が説明される。
【0034】
制御部品及びセンサは、プロセスの制御のために実装されてもよい。そのような実装により、圧力測定、流量測定、ポンプ用周波数インバータの提供、伝導率測定、pH測定、レベル調節部及び/又はレベルインジケータの提供、温度測定、バルブの提供(例えば、磁気バルブ、モータバルブなど)、熱量計の提供、漏出センサの提供などが可能となってもよい。
【0035】
装置は、手動モード又は自動モードで制御することができる。
【0036】
手動モードにおいて、例えば、ポンプ、バルブ、モータバルブを(加熱又は冷却されるように)手動で制御することが可能である。この動作モードにおいて、設定値が自動で調整されるのを防止し得る。手動モードは、調節を試験する場合に(例えば、モジュール変更の際、メンテナンスの間など)、使用されてもよい。温度過昇などの安全性パラメータも手動モードにおいて動作状態であってもよく、閾値を超えた場合、装置の安全停止に至り得る。
【0037】
自動モードにおいて、装置の動作は、以下のとおり実行することができる。装置の膜蒸留器が低温である限り、膜は、バイパスラインによってバイパスされてもよい。フィード回路は目標温度に加熱されてもよく、透過回路は別の目標温度に冷却されてもよい。ポンプは、例えば、パラメータ管理において所定の流れに制御されていてもよい周波数インバータを使用することによって、最小動力で目標温度まで運転されてもよい。同時に、膜は、目標温度に予熱されていてもよい。次いで、バイパスバルブは閉められてもよく、膜のフロースルーが誘発されてもよい。開始時は、膜のフロースルーは、限定されたフィード及び透過液の比で(例えば、比1:6において)誘発されてもよい。装置の部品が目標温度に到達した場合、ポンプ性能は徐々に増大されてもよい。フィード及び透過流れは、パラメータにおいて指定される最大動力で動作されてもよい、例えば、比は1:10に変更されてもよい。装置は、充填レベル及び流量間の関係によって、異なる動作モード間を自動的に切り替わってもよい。これは、洗浄水への必要に対応してもよい。洗浄水の除去は、充填レベルを測定する、透過液槽におけるセンサによって示されてもよい。次の動作モードが変更されるべきレベルは、設定値(例えば、パラメータセット「最小」、「設定値」、「最大」に関連している)において指定されてもよい。絶対最小に関してさえも、値は入力されるべきである。システムが上記値を下回る場合、システムは、停止してもよい(例えば、ポンプのドライランニング、過少の分離などを回避するための安全停止)。レベルに基づいて、2つのポンプが流量を調整してもよい。多量の洗浄水が必要とされる場合(すなわち、高い利用度のシナリオにおいて)、透過液槽におけるレベルは減少してもよく、流量(フィード及び透過液)は増大されてより多くの洗浄水を生成してもよい。
【0038】
システムが、ある特定の時間の間、最大動作モードにおいて運転される、すなわち、水のフラッシングが長時間必要とされない(例えば、低い充填量のシナリオにおける)場合、スタンバイモードへの自動的な変更が行われてもよい(すなわち、最小分離動力を用いるモード)。設定値管理において、時間遅延は、スタンバイモードを作動させるために設定することができる。
【0039】
自動モードにおいて、システムは、パラメータセットにおいて予め定められた温度値で運転されてもよい。フィード温度は、この文脈において関係のあるパラメータであり、プロセス流体の温度である。最大値は超えられるべきではない(これはプロセス化学を破壊するおそれがあるため)。温度に関する最小及び最大値も、設定値管理に入力することができる。最大値を超える場合、システムは停止してもよい(過熱に対して保護する安全停止として)。一実施形態において、温度は、スタンバイモードにおいて変更されない。システムは、全能力での自動動作並びに最小能力でのスタンバイモードにおいて、常に設定温度のままであり得る。
【0040】
モジュール上の最大許容入力及び差圧は、常に監視されてもよい。これらの最大値を超える場合、システムは、自動的に停止する(自動モード及び手動動作において)、すなわち、安全停止が行われてもよい。フィード及び透過液の伝導性は、常に監視されていてもよい。フィードの伝導値の急な降下又は透過液の伝導値の急な上昇がある場合、装置は安全停止に入ってもよい。伝導性の不均等な変更は、膜の破損又はプロセスにおける他の極めて重要な問題を示し得る。フィード及び透過液のpH値も常に検出されてもよい。最大及び最小限界値は、システムの緊急停止を強制するために、pH値に関しても保存することができる。フィード及び透過流れは、流れ測定によって恒久的に監視されてもよい。パラメータセットにおいて定義された流れからの著しい逸脱がある場合、その原因は、例えば、配管の破損又は誤って切り替えられたバルブであり得る。装置は、緊急停止に戻ってもよい。装置は、ドリップカップ上に立っていてもよい。漏出センサは、ドリップカップにおいて設置されてもよい。漏出センサが応答する場合、オペレータが漏出の点検を行うことができるように、適切な警報が出されてもよい。定義された時間の間に警報が確認されない場合、システムは安全停止に入る。
【0041】
一実施形態において、膜蒸留器は、膜蒸留器又はその膜の加熱可能な又は加熱された側面において、分離された金属を提供するように構成されている。それに対応して、膜蒸留器は、膜蒸留器又はその膜の冷却可能な又は冷却された側面において、膜蒸留器において金属から分離された化学的流体又は溶剤、特に水を提供するように構成されていてもよい。膜にわたって適用される温度勾配に起因して、且つ膜蒸留の機能原理に従って、金属はより高温の側面に蓄積することになり、水はより冷えた側面に蓄積することになる。その後、それぞれの分離された溶媒は、化学浴(すなわち、金属溶媒)に、又は洗浄システム(すなわち、水)に再び供給されてもよい。
【0042】
一実施形態において、装置は、膜蒸留器の金属側面を加熱するように構成されている加熱部を備える。例えば、そのような加熱部は、加熱集合体であってもよい。更により好ましくは、加熱部は、(特に部品キャリア)製造プラントの廃熱を使用して、金属側面を加熱するように構成されていてもよい。結果として、エネルギー源として低温廃熱を使用することによって、エネルギー効率は増大されてもよい。
【0043】
一実施形態において、装置は、膜蒸留器の溶剤側面を冷却するように構成されている冷却部を備える。例えば、そのような冷却部は、冷却集合体であってもよい。更により好ましくは、冷却部は、(例えば、部品キャリア)製造プラントの廃棄冷却エネルギーを使用して、溶剤側面を冷却するように構成されていてもよい。したがって、装置及び方法のエネルギー効率は、冷却のための追加のエネルギーを費やす必要なしに、膜蒸留器の溶剤側面を冷却するための製造装置のヒートシンクを使用することによって、更に向上されてもよい。
【0044】
一実施形態において、装置は、製造プラント(特に部品キャリア製造プラント)内で(溶解及び/又は元素)金属を循環させるための閉金属ループを備える。そうして、金属は実質的に失われず、これにより、従来では生じ得る、金属を処分する労力を低減する。更に、製造プラントによって消費される金属資源は、より効率的に使用され得る。
【0045】
一実施形態において、装置は、製造プラント(特に部品キャリア製造プラント)内で溶剤を循環させるための閉溶剤ループを備える。そうして、水の循環は、洗浄用途のために閉じられていてもよい。したがって、洗浄水の需用は低減され得る。
【0046】
一実施形態において、方法は、化学組成物の流れに関して、膜蒸留器を一時的にバイパスする段階を備える。具体的には、上記バイパスする段階は、膜蒸留器の高温側面及び冷えた側面間の温度差が予め定義された閾値を下回る場合、それまで、又はそうである限り、実行されてもよい。膜蒸留器の適用から生じる別の課題は、始めのうちは、必ず適用される温度勾配が即時に得られない場合があることである。したがって、金属ドラッグアウト(水側面への)は、温度勾配がまだ到達されない限り、生じ得る。この所望でないドラッグアウトを効率的に抑制するために、膜蒸留器のウォーミングアップの間のバイパス機能を実装することが可能であり得る。膜蒸留器の高温側面及び冷えた側面間の温度差が、十分に大きくならないまでは、化学浴からの化学組成物は分離のために膜蒸留器に供給されることはないが、バイパスラインに沿って膜蒸留器を迂回して再方向付けされる、又は導かれることになる。
【0047】
一実施形態において、方法は、膜蒸留器への化学組成物の流れ及び膜蒸留器から離れていく溶剤の流れの比を一時的に低減する段階を備える。具体的には、比を上記低減する段階は、膜蒸留器の高温側面及び冷えた側面間の温度差が予め定義された閾値を下回る場合、それまで、又はそうである限り、実行されてもよい。膜蒸留器の高温側面及び冷えた側面間の温度差(及びその結果として、分圧差)が、著しい量の金属が水側面に向かって意図されずに移動することなく膜蒸留を実行するために十分に大きくなるまで、化学浴から膜蒸留器に供給される化学組成物の量は低減されてもよい、且つ/又は膜の冷えた側面で取り出される水の量は増大されてもよい。記述的に言うと、これは、より好都合な分圧条件の調節をもたらし得る。
【0048】
一実施形態において、方法は、膜蒸留器に化学組成物を供給し始める前に膜蒸留器を予熱する段階を備える。具体的には、膜蒸留に化学組成物を供給せずに上記予熱する段階は、膜蒸留器の高温側面及び冷えた側面間の温度差が予め定義された閾値を下回る場合、それまで、又はそうである限り、実行されてもよい。例えば、上述のバイパスする段階と同時に、膜を予熱して、膜蒸留の適当な機能が保証されるまでの時間を減少させることができる。これにより、膜蒸留器の膜での分圧値がより迅速に調節される結果となり得る。
【0049】
一実施形態において、化学浴は、構造(特に部品キャリア構造の部品キャリア)をめっきするように、特に電気的にめっきするように構成されているめっき部であるか、又はめっき部の一部を形成する。金、パラジウム、又は銅材料をめっきする間、構造に金、パラジウム、又は銅材料をめっきするために化学めっき浴は実装されてもよい。そのようなめっきプロセスは、望まれない領域に金、パラジウム、又は銅による構造(及び/又はそのような構造を取り扱うための取り扱い部の)の汚染をもたらし得、結果として、洗浄することによって、過剰の金、パラジウム、又は銅材料が除去され得る。その後、金、パラジウム、又は銅は、化学めっき浴から、且つ/又は洗浄システムから回収されてもよい。
【0050】
一実施形態において、装置は、湿りガスビームを用いた、特に水飽和湿り空気ビームを用いた処理によって構造を洗浄するための洗浄システムを備える。より具体的には、水飽和加圧ガスは、構造の表面に(特にプレート形構造、より具体的には部品キャリア構造の主表面上に)方向付けられて、上記表面から化学物質を除去して構造を清浄にし得る。記述的に言うと、多量の水蒸気を用いる加圧ガスは、ガスナイフとして機能して、有利に少量の洗浄液体(特に水)を必要として、構造の表面を効率的に清浄にし得る。同時に、そのような湿りガスビームは、湿りガスビームの水分量に起因して、固体化した化学物質が構造の表面に付着したままになるリスクなしに、表面を効率的に清浄にし得る。更に有利には、液状化した前者の湿りガスビームの形態の溶媒は、容器などの中に蓄積されてもよく、比較的多量の化学物質を含んでもよい。後者は、特に膜蒸留器によって再循環されてもよい。
【0051】
一実施形態において、洗浄システムは、湿りガスビームを用いた処理によって構造を洗浄する間に収集される溶媒を、化学浴に、又は膜蒸留器に供給するように構成されている。説明されている、湿りガスナイフを使用する洗浄プロセスの流体残留物を構成する上記溶媒は、非常に高い濃度の、再循環されることになる化学物質(及び特に金属化学物質)を有してもよい。そうして、金属、めっき添加剤、酸、塩基などの再循環のために、化学浴に(又は膜蒸留器に直接)この溶媒を供給することは非常に適切である。
【0052】
一実施形態において、装置は、膜蒸留器から洗浄システムに水を供給するように構成されている。より具体的には、膜蒸留器の冷えた側面で収集される水は、湿りガスビームを生成するために必要な湿度を提供するために、洗浄システムに供給されてもよい。ガスナイフを使用する洗浄システムへの水のそのような回収又は再送り込みは、廃棄物を更に低減してもよく、資源をより効率的に使用してもよい。
【0053】
一実施形態において、洗浄システムは、湿りガスビームを用いた処理によって構造を洗浄するように構成されている初期洗浄ステージによる洗浄の後に構造を洗浄するための少なくとも1つの追加の洗浄ステージを含む。したがって、マルチステージ洗浄システムが提供されてもよく、例えば上述されるように、初期又は第1のステージは、洗浄されることになる構造へと方向付けられた湿りガスビームによって構成されていてもよい。その後、前清浄された構造は、1又は複数の追加の洗浄ステージにおいて追加的に清浄にされても、洗浄されてもよい。例えば、上記追加の洗浄ステージのそれぞれは、洗浄されることになる構造上に水などの洗浄液体を散液するスプリンクラシステムを含んでもよい。代替的に、任意の追加の洗浄ステージは、追加的に洗浄されることになる構造へと方向付けられた更なる湿りガスビームによって構成されてもよい(初期洗浄ステージに関して上述されるように)。ガスナイフ方式の初期洗浄ステージは、とりわけ少量の残留溶媒に、再循環されることになるとりわけ高濃度の化学物質を提供するため、かつ液体スプリンクラ方式の追加の洗浄ステージは、ずっと多量の液体残留溶媒に、著しく低濃度の化学物質を提供するため、再循環のための初期洗浄ステージによる溶媒出力のみを使用することが可能であり得る。
【0054】
一実施形態において、膜蒸留器は、加熱可能な側面、冷却可能な側面、及び加熱可能な側面及び冷却可能な側面の間の空隙を含み、第1の膜は、加熱可能な側面及び空隙間に配置され、第2の膜は、空隙及び冷却可能な側面の間に配置される。この場合、化学濃縮物が濃縮される加熱可能な側面及び分離された溶剤が濃縮される冷却可能な側面の直接的接触は回避される。これにより、膜の漏れに起因する分離された溶剤の汚染の回避が可能となる。この構成において、膜にわたる浸透圧に起因する膜蒸留器の休止の間、分離された金属の希釈を制御することも可能である。空隙内の分離された金属の漏出はすべて空隙から排出され得る。また、空隙に穏やかな減圧をかけることによって、空隙の内側又は膜内に閉じ込められる可能性がある非凝縮性ガスを除去することも可能である。第1及び第2の膜は、好ましくは疎水性PTFE膜である。
【0055】
更なる実施形態によれば、膜蒸留器は、加熱可能な側面に熱的に結合された熱交換器を更に含む。したがって、この場合、加熱可能な側面を予熱することが可能であり、したがって、加熱可能な及び冷却可能な側面の温度差を増大させ、結果として、膜蒸留器のより効率的な機能を有する。この文脈において、熱交換器は、上述の方法の別のプロセスから、且つ/又はサブプロセスから来る廃熱の利用(別の場合では利用されない)を可能にし得る。
【0056】
更なる実施形態によれば、熱交換器は、高温の蒸留物の流れを導くためのチャネルを含み、チャネルは、加熱可能な側面から熱伝導性材料層によって、好ましくはポリマーフィルムによって分離されている。この実施形態によれば、したがって、加熱可能な側面を加熱する製造プロセスの間、高温の蒸留物から来る廃熱を使用することが可能である。熱伝導性材料層は、不透過性であり、好ましくは、ポリビニルアルコールなどのポリマーフィルムである。製造プロセス中に存在する、廃熱の他の供給源を使用することも可能である。
【0057】
更なる実施形態によれば、膜蒸留器は、更なる加熱可能な側面及び更なる空隙を有する。冷却可能な側面は、空隙及び更なる空隙の間に配置され、更なる空隙は、冷却可能な側面及び更なる加熱可能な側面の間に配置される。したがって、説明される膜蒸留器は、モジュール構造において実現することができ、これは、コンパクトなアセンブリを提供することによってスペースを節約するために、特に有利であり得る。また、単一の冷却可能な側面を使用して、2つの加熱可能な側面から溶剤を回収することが可能であり得る。
【0058】
更なる実施形態によれば、供給部は、蒸発器を含む。具体的には、供給部は、膜蒸発器に供給されることになる化学組成物のフラッシュ蒸発を実行することができる蒸発器を含んでもよい。したがって、蒸発器は、フラッシュ蒸発器である。蒸発の間、蒸発器中に存在する化学組成物の溶剤の一部のみが蒸発される。
【0059】
更なる実施形態において、膜蒸留器は、加熱可能な側面、冷却可能な側面、蒸気側面、膜、及び熱伝導性層を有する。加熱可能な側面は、蒸気側面及び冷却可能な側面の間に配置され、膜は、加熱可能な側面及び冷却可能な側面の間に配置され、熱伝導性層は、蒸気側面及び加熱可能な側面の間に配置される。この実施形態において、装置は、蒸発器から蒸気側面に蒸気を供給するための蒸気供給手段、及び蒸発器から加熱可能な側面に液体形態の化学組成物を供給するための濃縮物供給手段を更に備える。この特定の構成において、蒸発器によって生成される蒸気を使用して、膜蒸留器の加熱可能な側面を加熱してもよい。蒸気は、化学組成物の溶剤を含有してもよい。蒸気側面における蒸気は、熱伝導性層における加熱可能な側面との熱的交換に起因して凝縮し得、収集されて溶剤として再利用され得る。加熱可能な側面に存在する化学組成物中の溶剤は部分的に蒸発し得、生成された蒸気は膜を通過し得、そこで、蒸気は、溶剤として凝縮し得、更なる使用のために収集され得る。化学組成物の蒸発されない部分は、より高い濃度の、回収されることになる金属元素を有し得、収集されて再利用され得る。熱伝導性層は、好ましくはポリマー性フィルムであってもよい。
【0060】
別の実施形態によれば、膜蒸留器は、更なる加熱可能な側面、更なる冷却可能な側面、更なる膜、及び更なる熱伝導性層を更に有する。更なる加熱可能な側面は、冷却可能な側面及び更なる冷却可能な側面の間に配置され、更なる膜は、更なる加熱可能な側面及び更なる冷却可能な側面の間に配置され、更なる熱伝導性層は、更なる加熱可能な側面及び冷却可能な側面の間に配置される。装置は、加熱可能な側面から更なる加熱可能な側面に液体形態の化学組成物を供給するための更なる濃縮物供給手段を更に備え、動作の間、加熱可能な側面における圧力は、更なる加熱可能な側面における更なる圧力よりも大きい。したがって、膜蒸留器をモジュール方式で敷設することが可能であり得、そこで、加熱可能な側面及び冷却可能な側面は、互いに空間的に交互になり、システムに含まれるモジュールの数とともにシステム中の圧力は低下する。モジュールに沿って低下する圧力を使用することによって、溶剤が蒸発するのに必要な温度を低下させ、したがって、システムの、次に来る加熱可能な側面のための廃熱源として、前の冷却可能な側面を使用することが可能である。したがって、全体的な効率、特に膜蒸留器のエネルギー効率は、更に増大され得る。
【0061】
一実施形態において、製造される部品キャリアは、少なくとも1つの電気絶縁層構造及び/又は少なくとも1つの導電層構造のスタックを含んでもよい。例えば、部品キャリアは、特に、機械的圧力及び/又は熱エネルギーを加えることによって形成される、上述の電気絶縁層構造及び導電層構造の積層体であってもよい。上述のスタックは、更なる部品のための大きい設置面を提供しながらも非常に薄くコンパクトであり得る、プレート形部品キャリアを提供してもよい。「層構造」という用語は、連続層、パターン化層、又は共通の平面内の複数の不連続の島を特に示し得る。
【0062】
一実施形態において、部品キャリアはプレートとして成形されている。これは、コンパクトな設計に寄与し、それにもかかわらず、部品キャリアは、その上で部品を設置するための大きな土台を提供する。更に、特に、埋め込まれた電子部品の例として、裸のダイは、その薄い厚さに起因して、プリントサーキットボードなどの薄いプレートに好都合に埋め込まれ得る。
【0063】
一実施形態において、部品キャリアは、プリントサーキットボード、基板(特にIC基板)、及びインターポーザからなる群のうちの1つとして構成される。
【0064】
本願の文脈において、「プリントサーキットボード」(PCB)という用語は、いくつかの電気絶縁層構造を有するいくつかの導電層構造を、例えば圧力の適用及び/又は熱エネルギーの供給により、積層することにより形成されるプレート形部品キャリアを特に示し得る。PCB技術に好ましい材料として、導電層構造は銅でできているのに対して、電気絶縁層構造は、樹脂及び/又はガラス繊維、いわゆる、プリプレグ又はFR4材料を含んでもよい。様々な導電層構造は、例えば、レーザー穴あけ加工又は機械的穴あけ加工によって、積層体を通るスルーホールを形成することにより、またそれらに導電性材料(特に、銅)を充填することにより、スルーホール接続としてビアを形成することにより、所望の形で互いに接続されてもよい。プリントサーキットボードに埋め込まれてもよい1又は複数の部品に加えて、プリントサーキットボードは通常、プレート形のプリントサーキットボードの一方又は両方の対向面上に1又は複数の部品を格納するように構成される。それらは、はんだ付けによってそれぞれの主表面に接続されてもよい。PCBの誘電体部が、強化繊維(ガラス繊維など)を有する樹脂で構成されてもよい。
【0065】
本願の文脈において、「基板」という用語は、小さい部品キャリアを特に示し得る。基板は、PCBに関して、1又は複数の部品を設置し得、1又は複数の小片及び更なるPCBの間の接続溶媒として機能し得る比較的小さい部品キャリアであり得る。例えば、基板は、(例えば、チップスケールパッケージ(CSP)の場合)その上に設置される部品(特に、電子部品)と実質的に同じサイズを有してもよい。より具体的には、基板は、電気的接続又は電気ネットワークのためのキャリア、及びプリントサーキットボード(PCB)に匹敵する部品キャリアとして理解され得るが、横及び/又は垂直に配置された接続の密度がかなり高くなる。横方向接続は、例えば導電路であるのに対して、垂直方向接続は、例えばドリル穴であってもよい。これらの横方向接続部及び/又は垂直方向接続部は、基板内に配置され、プリントサーキットボード又は中間プリントサーキットボードに、収容された部品又は収容されていない部品(ベアダイなど)、特にICチップの、電気的、熱的、及び/又は機械的接続を提供するために使用され得る。したがって、「基板」という用語には「IC基板」も含まれる。基板の誘電体部分は、強化粒子(強化スフィア、特にガラス球など)を有する樹脂で構成されてもよい。
【0066】
基板又はインターポーザは、少なくともガラス、シリコン(Si)、又はエポキシ系ビルドアップ材料(エポキシ系ビルドアップフィルムなど)などの感光性又はドライエッチング可能有機材料、又はポリイミド、ポリベンズオキサゾール、又はベンゾシクロブテン官能化ポリマーなどのポリマー化合物の層を含んでも、又は、それらからなっていてもよい。
【0067】
一実施形態において、少なくとも1つの電気絶縁層構造は、樹脂(強化又は非強化樹脂など、例えば、エポキシ樹脂又はビスマレイミドトリアジン樹脂)、シアン酸エステル樹脂、ポリフェニレン誘導体、ガラス(特にガラス繊維、複層ガラス、ガラス様材料)、プリプレグ材料(FR-4又はFR-5など)、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマー(LCP)、エポキシ系ビルドアップフィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、Teflon(登録商標))、セラミック、及び金属酸化物からなる群のうちの少なくとも1つを含む。また、例えばガラス(複層ガラス)で製造されたウェブ、繊維、又は球体などの強化構造が使用されてもよい。リジッドPCBには通常、プリプレグ、特にFR4が好ましいが、他の材料、特にエポキシ系ビルドアップフィルム又は感光性誘電材料も使用されてもよい。高周波用途の場合、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、及び/又はシアン酸エステル樹脂などの高周波材料、低温同時焼成セラミックス(LTCC)、又は他の低、極低、又は超低DK材料が、部品キャリアにおいて電気絶縁層構造として実装されてもよい。
【0068】
一実施形態において、少なくとも1つの導電層構造は、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、パラジウム、及びタングステンからなる群のうちの少なくとも1つを含む。通常は銅が好ましいが、他の材料又はそれらのコーティングしたもの、特に、グラフェンなどの超伝導性材料でコーティングされたものも可能である。
【0069】
スタック中に埋め込まれる、且つ/又は上に表面実装され得る、少なくとも1つの部品は、電気的非伝導性インレー(セラミックインレー、窒化アルミニウム又は酸化アルミニウムなどを含むことが好ましい)、導電性インレー(金属インレーなど、銅又はアルミニウムを含むことが好ましい)、熱伝達部(例えば、熱管)、導光素子(例えば、光導波路又は光導体接続)、光学素子(例えば、レンズ)、電子部品、又はそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。例えば、部品は、能動電子部品、受動電子部品、電子チップ、記憶デバイス(例えば、DRAM又は別のデータメモリ)、フィルタ、集積回路、信号処理部品、電力管理部品、光電子インタフェース素子、発光ダイオード、フォトカプラ、電圧変換器(例えば、直流/直流変換器又は交流/直流変換器)、暗号部品、送信器及び/又は受信器、電気機械式トランスデューサ、センサ、アクチュエータ、微小電気機械システム(MEMS)、マイクロプロセッサ、キャパシタ、抵抗器、インダクタンス、電池、スイッチ、カメラ、アンテナ、論理チップ、及びエネルギー取得部であり得る。ただし、他の部品を部品キャリアに埋め込んでもよい。例えば、磁性素子を部品として使用できる。そのような磁性素子は、永久磁性素子(強磁性素子、反強磁性素子、マルチフェロイック素子、又はフェリ磁性素子、例えばフェライトコアなど)であってもよく、又は常磁性素子であってもよい。ただし、部品はまた、基板、インターポーザ、又は例えば、ボードインボード構成における更なる部品キャリアであってもよい。部品は、部品キャリアに表面実装されてもよく、且つ/又はその内部に埋め込まれてもよい。また、他の部品も、部品として使用されてもよい。
【0070】
一実施形態において、部品キャリアは積層型の部品キャリアである。そのような実施形態において、部品キャリアは、スタッキングされ、押圧力及び/又は熱を加えることによって互いに接続された、複数層構造の合成物である。
【0071】
部品キャリアの内部層構造を加工した後、処理された層構造の一方又は両方の対向する主表面を、1又は複数の更なる電気絶縁層構造及び/又は導電層構造で対称的又は非対称的に(特に積層によって)覆うことが可能である。換言すれば、ビルドアップは、所望の数の層が得られるまで継続されてもよい。
【0072】
電気絶縁層構造及び導電層構造のスタックの形成が完了した後、得られた層構造又は部品キャリアの表面処理を進めることが可能である。
【0073】
具体的には、電気絶縁ソルダーレジストは、表面処理に関して層スタック又は部品キャリアの一方又は両方の対向する主表面に塗布され得る。例えば、主表面全体にソルダーレジストなどを形成し、続いてソルダーレジストの層をパターン化して、部品キャリアを電子周辺機器に電気的に結合するために使用される1又は複数の導電性表面部分を露出させることが可能である。ソルダーレジストで被覆されたままである部品キャリアの表面部は、酸化又は腐食、特に銅を含む表面部に対して効率的に保護してもよい。
【0074】
表面処理に関して、部品キャリアの露出した導電性表面部分に選択的に表面仕上げを適用することも可能である。そのような表面仕上げは、部品キャリアの表面上の露出した導電層構造(パッド、導電トラックなどのような、特に銅を含む又は、銅からなる)上の導電性カバー材料であり得る。そのような露出した導電層構造が保護されないままである場合、露出した導電性の部品キャリア材料(特に銅)が酸化し、部品キャリアの信頼性を低下させる可能性がある。次いで、表面仕上げは、例えば、表面実装部品及び部品キャリアの間の界面として形成され得る。表面仕上げは、露出した導電層構造(特に銅回路)を保護し、例えば、はんだ付けによって、1又は複数の部品との接合プロセスを可能にする機能を有する。表面仕上げに適切な材料の例は、有機はんだ付け性保護剤(OSP)、無電解ニッケル浸漬金(ENIG)、金(特に、硬質金)、化学スズ、ニッケル金、ニッケルパラジウム、無電解ニッケル浸漬パラジウム浸漬金(ENIPIG)などである。
【0075】
本発明の上述で定義された態様及び更なる態様は、以下に説明される実施形態の例から明らかであり、実施形態のこれらの例を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金を回収するための装置の概略図を示す。
【0077】
【
図2】本発明の例示的な実施形態による装置及び方法のための膜蒸留器を示す。
【0078】
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金を回収するための装置の概略図を示す。
【0079】
【
図4】本発明の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいてパラジウムを用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴からパラジウムを回収するための装置の概略図を示す。
【0080】
【
図5】本発明の例示的な実施形態による、装置のための、且つ方法において使用される、膜蒸留器の要素を示す。
【0081】
【
図6】本発明の別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金属を回収するための装置を示し、そこでは、膜蒸留器は、バイパスされ、予熱され、及び/又は変動するフィード/透過液比の対象となり得る。
【0082】
【
図7】本発明の更に別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金属を回収するための装置を示し、そこでは、マルチステージ洗浄システムは、湿りガスビームを用いたプレート形部品キャリア構造の処理に基づく初期ステージ、続いて、洗浄液体をプレート形部品キャリア構造に散液する段階に基づく後続のステージを含む。
【0083】
【
図8】種々のマルチステージ洗浄システムを実装する、本発明の更に別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金属を回収するための装置を示す。
【
図9】種々のマルチステージ洗浄システムを実装する、本発明の更に別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金属を回収するための装置を示す。
【0084】
【
図10】本発明の更に別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金属を回収するための装置を示す。
【0085】
【
図11】本発明の更なる実施形態による膜蒸留器を示す。
【0086】
【
図12】本発明の更なる実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金属を回収するための装置を示し、装置は蒸発器を有する供給部を備える。
【0087】
【
図13】本発明の更なる実施形態による膜蒸留器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図面における図示は、概略図である。異なる図面において、類似の又は同一の要素は、同じ参照符号が与えられる。
【0089】
図面を参照して例示的な実施形態が更に詳細に説明される前に、いくつかの基本的な考慮事項が、本発明のどのような例示的な実施形態が開発されたかに基づいて要約される。
【0090】
具体的には、以下の記載は、プリントサーキットボード(PCB)などの部品キャリアを製造するための製造プロセスの観点からの膜蒸留の適用に焦点を当てる。しかしながら、例示的な実施形態は、そのような技術に限定されないが、他の製品又は構造の製造に、特にそのような製品又は構造の表面の金属化のために、広く適用され得ることが述べられるべきである。
【0091】
従来の化学的ウェットプロセスにおいて、製品は洗浄浴、続いて後続の洗浄ステージのカスケードにおいて、洗浄されてもよい。従来の洗浄システムを用いた洗浄は、一方で活性浴からのプロセス液の除去を、他方で、浴部品によって汚染された大量の廃水をもたらす。
【0092】
従来、膜蒸留は、多くの場合、強い希釈液から水を回収しようとする、例えば、塩水を脱塩しようとするために、使用される。処理しようとする流量が多かったため、膜蒸留システムはコストがかかりすぎる、大きすぎる、且つエネルギー消費が高すぎると考えられてきた。
【0093】
本発明の例示的な実施形態によれば、膜蒸留は、部品キャリア構造を処理するために使用される化学浴の出口から金属を回収するために実装されてもよく、膜蒸留によって回収された金属は、所望でない金属枯渇又は化学浴の希釈を防止するために、化学浴に再び送り込まれてもよい。
【0094】
具体的には、本発明の例示的な実施形態は、活性化学浴から少量の水を分離するために膜蒸留を使用してもよい。本発明の例示的な実施形態によるこの概念は、従来の手法と比較してパラダイムシフトである(後者は少し汚染された洗浄水を多量に浄化することが意図されている)。これに対して、本発明の例示的な実施形態は、直接的に化学浴の中で、又は上方で実行するために、洗浄プロセスを適応させてもよい。これにより、洗浄システムによって供給される汚染された洗浄流体によって化学浴が希釈され得るため、膜蒸留は、回収されることになる(特に溶解及び/又は元素)金属を濃縮するための濃縮技術として実装されてもよい。膜蒸留器において、金属から、適切な量の化学的流体又は溶剤(水など)を分離することによって、化学浴(例えば、プリントサーキットボードをめっきするために使用される金浴)中の金属濃度は、一定に保つことができる、又は十分に高く保つことができる。具体的には、濃度は、回収される溶解した金属の量によって、又は(特に洗浄する)水の添加によって、調整することができる。
【0095】
本発明の例示的な実施形態に従って行われ得る対応する調節は、再処理の必要がある多量の高希釈された洗浄水の代わりに、非常に少量の水が分離されるだけでよいという事実に至り得る。プロセス適合及び膜蒸留の組み合わせにより、技術が、低いエネルギー消費(例えば、低温廃熱)で非常に効率的に動作されることを可能にする。すなわち、有利には、膜蒸留器は比較的少量の熱で動作されてもよい。
【0096】
本発明の例示的な実施形態によれば、膜蒸留は、洗浄浴から重金属を濃縮するために、且つ処理のための化学浴に濃縮された重金属を再導入するために、部品キャリア製造プラントにおいて実装されてもよい。より具体的には、膜蒸留プロセスは、のエネルギー効率的な電気めっき液の処理のために用いられてもよい。洗浄プロセスは、エッチング浴の上方で、又は別個の水盤の上で行われて、浴が希釈されてもよい。したがって、膜蒸留を使用して、エッチング浴中の電気めっき物質の濃度を制御してもよい。一方で、電気めっき物質(溶解及び/又は元素形態での金属を含む)は、濃縮され、化学浴に戻されてもよく、他方で、化学的流体又は水などの溶剤は、次の洗浄プロセスのために再循環され得る。洗浄プロセスは、化学浴(特にエッチング浴)の上方で、又は別個の水盤の上方で行われて、化学浴が希釈されてもよい。有利には、膜蒸留を使用して、エッチング浴中の金属及び/又は別の電気めっき物質の濃度を制御してもよい。
【0097】
有利には、説明されるプロセス制御は、膜蒸留を非常に効率的に、したがって工業的規模で使用可能にし得る。更に、本発明の例示的な実施形態は、洗浄用途における水の循環を閉じることを可能にし得る。これに加えて、洗浄水の需用は、洗浄流体の少なくとも部分的な再循環に起因して低減され得る。更に、部品キャリア製造プラント中の他の箇所で生成される低温廃熱は、膜蒸留器の温かい側面を加熱するためのエネルギー源として使用することができるため、エネルギー効率は向上され得る。
【0098】
有利には、本発明の例示的な実施形態による装置及び方法は、化学浴、続いて洗浄部を用いて作動するプロセスすべてのために使用することができる。そのような実施形態により、工業的規模での生産プロセスにおいて膜蒸留を実装することによって、ドラッグアウト金属及び/又は他の電気めっき物質に関する従来の問題が克服され得る。製造の労力及び環境への影響の両方が、著しく低減され得る。また、プロセス安定性は高められ得、資源消費は低減され得る。これに加えて、エネルギー効率及び職場での安全性は増大され得る。
【0099】
具体的には、本発明の例示的な実施形態は、エネルギー消費及び化学物質の需用を低減し得る。これにより、より清浄且つより安全な生産に至り得る。更に、膜蒸留を使用することによって、製造部品キャリアのエネルギー及び動作労力が低減され得る。オペレータは、もはやそれほど頻繁に化学物質を添加又は補充する必要はない。したがって、オペレータは、有害物質と接触することが少なくなる。これにより、製造プロセスの安全性は著しく増大し得る。
【0100】
有利には、膜蒸留を濃縮技術として使用して、洗浄プロセスから来る水の過剰を除去して化学浴の金属濃度を安定に保ち得る。
【0101】
本発明の例示的な実施形態によれば、従来、洗浄流体とともに失われた、金及び/又はパラジウムなどの電気的活性物質は、部分的に又は全部を回収する又は再循環することができる。そのようなプロセスは、膜蒸留による廃液中の金属溶媒の濃縮を包含してもよく、これは、有利には比較的低温で実行され得る。そうして、説明されるプロセスは、エネルギー効率的であり、プリントサーキットボードを製造するためのプロセスにおいて資源を節約する。
【0102】
図1は、本発明の例示的な実施形態による、化学浴100から金を回収するための装置120の概略図を示す。化学浴100は、部品キャリア製造プラント104において、部品キャリア構造、例えば、プリントサーキットボード(PCB)を製造するためのパネルに、金を電気めっきするために設けられる。
【0103】
例示される装置120は、めっき浴などの化学浴100から、重金属の一例としての金を回収するように構成されている。そうして、化学浴100は、パネルレベル上で、なお一体的に接続されている、部品キャリア構造の部品キャリアに、金を電気的にめっきするように構成されているめっき部であってもよいか、又はその一部を形成してもよい。部品キャリア構造にめっきする間、化学浴100からの金属(本例においては金)は、部品キャリア構造上に堆積されることによって消費される。
図1にも示されるように、且つ参照符号145によって示されるように、化学的流体(水など)及び化学物質(めっき金属など)は、洗浄システム102から化学浴100に、金が加わった洗浄水として供給されてもよい。めっきプロセスの文脈において、化学浴100(部品キャリア構造にめっきする間、金属源として機能する)は、洗浄システム102の1又は複数の洗浄浴との組み合わせで使用されてもよい。洗浄システム102は、めっき後に、部品キャリア構造且つ相関する取扱い器具を清浄にするために使用されてもよい。清浄又は洗浄プロセスなどの間、金などのめっき金属は、洗浄流体に導入されてもよい。より具体的には、部品キャリア構造は、化学浴100を構成する電気めっき浴において、金で電気的にコーティングされてもよい。それにより、部品キャリア構造並びに部品キャリア構造を取り扱うための取扱い器具は、金で汚染され得る。洗浄システム102によって、取扱い器具及び部品キャリア構造は清浄にされてもよい。有利には、前に金をめっきされた部品キャリア構造は、活性化学浴100(すなわち、金浴)の直接上方で洗浄されてもよい。次いで、化学浴100に流れ込み得る汚染された洗浄流体は分離されてもよい。
【0104】
示されるように、化学浴100は、供給部122を介して膜蒸留器106と流体で接続されており、膜蒸留器106は、ここでは金属を濃縮するために使用され、構成されている。例えば、ポンプ及びバルブ(図示せず)を含み得る供給部122は、化学浴100から膜蒸留器106への流体流れを制御してもよい。より具体的には、供給部122は、化学浴100から膜蒸留器106へ、重金属(金など)を含む化学的流体(水など)を供給するように構成されていてもよい。供給部122によって膜蒸留器106に供給される溶媒は、希釈された化学物質であってもよい。上記希釈は、化学浴100への洗浄流体の供給及び/又は化学浴100中での部品キャリア構造のめっきに起因する、その中での金属材料の消費の結果であり得る。
【0105】
膜蒸留器106は、供給された化学組成物から重金属を膜蒸留によって分離するように構成されている。記述的に言うと、膜蒸留器106における蒸気圧勾配は、化学浴100から膜蒸留器106に供給された化学組成物のその他の部分から水を分離することを可能にし得る。より具体的には、膜蒸留器106の好ましくは疎水性膜(
図2の参照符号140を参照されたい)の左側面及び右側面間の温度勾配の形成との組み合わせにおける膜蒸留の機能性に起因して、(溶解した、且つ/又は元素の)金が、
図1の膜蒸留器106の左側面に蓄積され得、水が右側面に蓄積され得る。したがって、金は膜蒸留器106によって濃縮され得る。記述的に言うと、疎水性膜140は、主に水蒸気のみが膜140を通過することを可能にし、これにより金から水が除去される。
【0106】
更に、装置120は、分離された金を化学浴100に再導入するように(
図1の左側面にあるループ132を参照されたい)、且つ分離された水を洗浄システム102に再び再導入するように(
図1の右側面にあるループ130を参照されたい)、構成されている再導入部124を含む。その結果として、部品キャリア製造プラント104内で金を循環させるために閉重金属ループ132がこのようにして提供され、部品キャリア製造プラント104内で水を循環させるために閉溶剤ループ130がこのようにして提供される。
【0107】
より具体的には、膜蒸留器106は、分離された金を膜140の加熱された側面108で提供するように構成されている。より温かい又は加熱された側面108は、加熱部126によって加熱される。有利には、加熱部126は、部品キャリア製造プラント104中の他の箇所で生成される廃熱を使用して、加熱された側面108を加熱するように構成されている。好ましくは、部品キャリア製造プラント104のエッチングプロセスから、及び/又はめっきプロセス(例えば、部品キャリア構造上に銅を堆積させるための電気的めっきプロセス)からの廃熱は、膜蒸留器106の加熱された側面108を加熱するために提供されてもよい。その結果として、装置120のエネルギー効率的な動作が可能である。追加的に、又は代替的に、電気加熱源などの能動加熱源142を用いて、膜140の側面108を加熱することが可能である。
【0108】
それに対応して、膜蒸留器106は、膜蒸留器106において金から分離されていた水を、膜蒸留器106のより冷えた又は冷却された側面110で提供するように構成されている。冷却部128は、膜蒸留器106の冷却された側面110を冷却するために提供され、構成されている。好ましくは、冷却部128は、部品キャリア製造プラント104の廃棄冷却エネルギーを使用して、冷却された側面110を冷却するように構成されている。有利には、冷却エネルギーは、部品キャリア製造プラント104の低温洗浄流体供給源から膜蒸留器106の低温側面110に供給されてもよい。例えば、洗浄水供給源は、例えば8℃又は12℃の比較的低温で、部品キャリア製造プラント104の様々な消費部に洗浄水を提供してもよい。冷えた側面110を冷却した後、部品キャリア製造プラント104の様々な消費部において、例えば、洗浄システム102によって、わずかに温められた洗浄水がなお使用されてもよい。また、冷えた側面110を冷却することによって、エネルギー効率的な装置120の動作を促進する。追加的に、又は代替的に、1又は複数の冷却集合体などの能動冷却源144を用いて、膜140の側面110を冷却することが可能である。
【0109】
既に言及したように、閉溶剤ループ130は、部品キャリア製造プラント104内で溶剤を循環させるために提供される。溶剤、例えば水は、化学浴100中で処理された部品キャリア構造を洗浄するための、後続の洗浄プロセスにおける使用のために、膜蒸留器106において金から分離され、洗浄システム102に再導入される。したがって、化学処理された部品キャリア構造は、再導入された水を使用して、洗浄システム102によって洗浄されてもよい。例えば、分離された水は、PCB製造プロセスに十分であり得る15l/hの流量で洗浄システム102に再び送り込まれてもよい。
【0110】
非常に有利には、化学浴100中の金の濃度が一定のままであるように、供給部122、膜蒸留器106、再導入部124、化学浴100、及び洗浄システム102のうちの1又は複数を制御する、又は調整さえするように構成されている制御部134が提供される。したがって、膜蒸留は、部品キャリア製造プラント104において、化学浴100から金を分離するために、且つ化学浴100中の金濃度を一定に保つように制御された仕方で、分離された金属を化学浴100に再導入するために、使用されてもよい。
図1のシステムは、有利には、化学浴100の維持のためだけに使用されてもよい。
【0111】
装置120は、ユーザが装置120の動作を制御することを、特に、装置120によって実行される化学浴100から金属を回収するプロセスを制御することを、可能にするように構成されているユーザインタフェース150(例えば、グラフィックユーザインタフェース(graphic user interface:GUI))を備える。ユーザインタフェース150は、装置120によって実行されるプロセスを制御するために、制御部134(プロセッサ、プロセッサの一部、又は複数のプロセッサであってよい)を動作させるように構成されていてもよい。そのような制御アーキテクチャは、ソフトウェア支援制御部134による膜蒸留器106の動作の自動化を可能にしてもよく、これにより、完全自動化プロセス制御を可能にし得る。本発明一実施形態に従って構成されているユーザインタフェース150及び制御部134を用いると、膜蒸留プラントのためのソフトウェア補助プロセス制御が可能となり得る。例えば、ユーザインタフェース150は、ユーザが制御部134を制御するために制御コマンドを入力することができる入力部(例えば、キーパッド、ジョイスティック、タッチスクリーン、及び/又は音声認識システム)を有してもよい。更に、ユーザインタフェース150は、装置120の動作の結果を出力する出力部(例えば、液晶ディスプレイ、タッチスクリーンなど)を有してもよい。
【0112】
従来の膜蒸留プラントにおいて、動作及び障害処理は、技術者によって手動で調整され、且つ実行される。システムが起動される場合は特に、そのような従来のシステムにおいては手動の介入が必須である。特に、膜蒸留器を加熱する又は冷却する間、大きく変動する温度に起因して、多くの場合、エラーが生じる。
【0113】
安定したコントローラ概念を得るために、本発明の例示的な実施形態によるユーザインタフェース150の機能性は、最も重要な機能に限定されてもよく、これにより、制御部134の制御下、装置120を動作させる場合、高度の自動化を達成することが可能になる。装置120の開始及び停止の両方は、自動モードにおいて行われ得る、すなわち、制御部134によってのみ制御される。装置120のスタンバイ動作及び緊急停止の両方は、ユーザインタフェース150を介してユーザ側で、又は制御部134によって自動的に、選択的に指定され得る。有利には、エラー記憶が実装され得、これにより、好ましくは、対応するメッセージテキスト及び挙動指定を出力することができる。洗浄プロセスの作動及び動作停止の両方は、ユーザインタフェース150を介してユーザ側で、又は制御部134によって自動的に、指定され得る。
【0114】
オペレータによって操作されることになるユーザインタフェース150はまた、パラメータ調節及び/又は装置120の制御の調節など、装置120のすべての機能の設定を可能にし得る。好ましくは、熱管理並びに冷却管理における変動を取り扱うことができる、コントローラ概念が実装され得る。例えば、いくつかのコントローラ及び異なるガイドタイプを用いたカスケード制御が提供され得る。その高度な自動化に起因して、対応する装置120は、ユーザにとって使いやすく、且つ制御部134による安定なプロセス管理を可能にすることができる。膜蒸留プロセスは、装置120の動作に関して著しく向上され得、専門家の補助を用いずにユーザによってプラントを動作させることが可能になり得る。
【0115】
図1の実施形態において、このようにして、膜蒸留を使用して、金めっきプロセスの間の化学浴100中の金の濃度を制御してもよい。したがって、化学浴100からの水は、膜蒸留を使用して、部分的に分離され、精製されてもよい。分離は、膜140の両側面での水の蒸気分圧の差によって駆動される。水が化学浴100から連続的に除去されるに従い、金の濃度は増大し、高濃縮された金溶液は化学浴100に再び供給される。この手順によって、化学浴100中の金濃度を一定に保つことが可能である。
【0116】
装置120における膜蒸留の実装の利点は、金属及び水性溶媒を効率的に再循環するその機能、PCB製造プロセスへの適当な一致(また、必要とされる金濃度も考慮して)、他の分離技法と比較してPCB処理の間のキャリーオーバーに対する蒸留膜140の有利に高い堅牢性、及び金を濃縮するための膜蒸留の独特の実装である。
【0117】
金を再循環させる段階に追加的に、又は代替的に、装置120はまた、部品キャリア製造プロセスの間に、銅及び/又はパラジウムなどの他の金属を再循環させる段階のために使用されてもよい。装置120の重要な利点は、部品キャリアを製造する間、閉ループ中に重金属を保持するその機能である。
【0118】
図1において明示的に例示されていないが、装置120の動作は、例えば、膜蒸留器106を使用して、少なくとも1つの更なる物質(すなわち、金属以外の物質)及び/又は更なる回収物の回収、及び濃縮された更なる物質を化学浴100に再導入する段階を含んでもよい。例えば、再循環されることになるそのような更なる物質は、めっき添加剤、酸、塩基などであってもよい。これにより、廃棄物を更に低減することが可能となり得、より効率的に資源を使用することが可能となり得る。
【0119】
図2は、本発明の例示的な実施形態による装置120のための、且つ方法のための膜蒸留器106を示す。
【0120】
図2は、膜蒸留器106の疎水性膜140の加熱された側面108(回収されることになる金属を送り込む)及び冷却された側面110の間で、蒸気146は膜140にわたって実質的に1つの方向にのみ移動することを示す。そうして、膜蒸留は、疎水性膜140によって、フィード(加熱された側面108にある)及び透過液又は凝縮物(冷却された側面110にある)が分離される、熱駆動分離又は濃縮プロセスとして実装される。分離の駆動力は、蒸気圧差、すなわち、フィード及び透過液の温度差である。蒸発は、例えば80℃の比較的低温で既に生じ得る。
図1の装置120における
図2の膜蒸留器106の実装は、水の循環を閉じ得、且つシステムにおいて必要とされる金の量を低減し得る。
【0121】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラント104において金を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴100から金を回収するための装置120の概略図を示す。
【0122】
図3は、PCB製造の間のプロセスフロー160を示す。先行する製造ステージ162の前及び続く製造ステージ164の後、化学浴100中で、部品キャリア構造の金めっき、続いて洗浄システム102による汚染された部品キャリア構造の洗浄が達成される。プロセスフロー160内で、膜蒸留器106は、洗浄システム102からの洗浄流体を含む化学浴100から供給された溶媒(水など)を、金及び水に分離するために使用される。濃縮された金は、後続のめっきプロセスにおける使用のために化学浴100に再び導かれる。分離された水は、後続の洗浄プロセスにおける使用のために洗浄システム102に再び導かれる。
【0123】
有利には、部品キャリア構造は、電気めっきによる又はエッチング浴における処理後、すなわち、化学浴100における処理後、洗浄される。これは、化学浴100の直接上方で(又は中でさえ)又は別個の水盤の上方で行うことができる。一方で、電気めっき物質は濃縮され、化学浴100に戻され得、他方で、洗浄水は電気めっき物質を取り除かれる必要があり、水として再循環され得るという仕方で、洗浄は、電気めっき又はエッチング浴を濃縮する必要をもたらし、又は洗浄水は処理される必要がある。
【0124】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラント104においてパラジウムを用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴100(
図4に示されず)からパラジウムを回収するための装置120の概略図を示す。
【0125】
製造プロセス190において部品キャリアを製造する間、様々な製造ステージ180、182、184が実行される。化学浴中のパラジウムめっき(
図4に図示されていないが、例えば、
図4に示される製造ステージのうちの1つにおいて実行される)後、部品キャリア構造は、導体浴192において、その後セレクタ浴194において処理される。パラジウム処理された部品キャリア構造の洗浄が実行されてもよい2つの洗浄システム102は、中間に実装される。洗浄システム102からのパラジウム汚染された洗浄流体は、水に関するパラジウムの分離のために膜蒸留部106に供給される。回収された清浄な水は、閉ループ水循環における洗浄システム102に再び導かれる。参照符号130を参照されたい。回収されたパラジウムは、パラジウムを析出するためのパラジウム析出部196に導かれる。効率的な仕方でパラジウムを析出するために、パラジウムは、膜蒸留部106において、50mg/l又はそれ以上に濃縮されてもよい。次いで、回収されたパラジウムは、部品キャリア構造のパラジウムめっきのために改めて使用されてもよい。より一般には、回収されたパラジウムは、例えば、コンディショニング部198においてコンディショニングされた後、製造プロセスに再導入されてもよい。
【0126】
図5は、本発明の例示的な実施形態による装置120及び方法のための膜蒸留器106の要素を示す。
【0127】
図5は、本発明の例示的な実施形態による膜蒸留器106を、単一膜ブロック166、スタック状膜ブロック168とともに、又はなおより大きいモジュール170をマルチスタック状膜ブロック168とともに、使用することができることを示す。したがって、本発明の例示的な実施形態による回収システムは適当にスケーラブルである。
【0128】
図6は、本発明の別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造(プリントサーキットボードを製造するためのパネル、PCBなど)を化学処理するための化学浴100(めっき浴など)から金属を回収するための装置120を示す。
図6によれば、膜蒸留器106は、所望でないスイッチオン作用(化学物質漏出など)を抑制するために、一時的にバイパスされ、予熱され、且つ/又は変動するフィード/透過液比の対象となってもよい。
【0129】
具体的には、膜蒸留器106の高温側面108及び冷えた側面110間の温度差が予め定義された閾値を下回る場合、化学浴100からの化学組成物の流れに関して、膜蒸留器106を一時的にバイパスさせることが可能であり得る。上記温度差が過度に小さい場合、高温側面108及び冷えた側面110の分圧差も過度に小さくなり得、結果として膜蒸留がまだ適当に作動しない。具体的には、金属(高温側面108において収集されることになる)が、低温側面110の水に移動することが起こり得る。これは、装置120内で化学物質の所望でないキャリーオーバーをもたらし得る。そのような所望でないアーチファクトを抑制するために、化学浴100からポンプ152によって送り出される化学組成物は、流体バルブ151(例えば、三方バルブ)によってバイパス経路133に向けて方向付けられて、それにより、化学組成物を膜蒸留器106に関してバイパスさせもよい。適当な温度差(及びその結果として適当な分圧)が高温側面108及び冷えた側面110間で確立された後(これは、図示されていない対応するセンサ、例えば、温度センサ及び/又は圧力センサによって検出され得る)、流体バルブ151は、
図1を参照して上述されるように、分離のために、化学浴100からの化学組成物が膜蒸留器106中に導入されるように、切り替えられてもよい(例えば、反時計回り方向に90°回転させることによって)。参照符号155は蒸発器を示し、参照符号156は膜蒸留器106の凝縮器を示す。
【0130】
高温側面108及び冷えた側面110の不十分な温度差に起因する化学物質漏出及び/又は他の不都合な現象を回避するために、一方で化学浴100から膜蒸留器106への化学組成物の流れ、及び他方で冷えた側面110から離れていく分離された溶剤(特に水)の流れの比を一時的に低減することも可能であり得る。記述的に言うと、より少ない量の化学組成物は、膜蒸留器106に供給されてもよく、且つより多量の水が、膜蒸留器106から除去されてもよい。これは、化学浴100及び膜蒸留部106の間で化学組成物を送り出すポンプ152の、及び洗浄流体としての使用のために冷えた側面110から洗浄システム102に溶媒(主に水)を送り出す更なるポンプ154の、ポンプ動作を調節することによって、達成されてもよい。ポンプ152(及び/又は膜蒸留部106の下流の別のポンプ、図示せず)は、分離された金属溶媒を高温側面108から化学浴100に送り出してもよい。高温側面108及び冷えた側面110の間で十分な温度プロファイルが確立した後、移送された化学組成物の量は、改めて増大されてもよく、且つ/又は除去される水の量は、改めて低減されてもよい。
【0131】
図6に示されていないが、3つの熱交換器がプロセスにおいて追加的に実装されてもよい。1つの熱交換器は、膜蒸留器106を冷却及び加熱するために使用されてもよい。他の2つの熱交換器は、温度を一定に保つために使用されてもよい。
【0132】
追加的に、又は代替的に、膜蒸留器106の高温側面108及び冷えた側面110間の温度差が予め定義された閾値を依然として下回る場合、膜蒸留器106に化学組成物を供給し始める前に膜蒸留器106を予熱することが可能であり得る。この目的のために、加熱部126は、膜蒸留器106の蒸発器側に実装されてもよい。予熱する段階は、高温側面108及び冷えた側面110の温度差を増大させ得、それにより、キャリーオーバーを抑制してもよい。
【0133】
説明される手段によって、透過液及びフィードの混合の向上は、膜蒸留のプロセスの間、有利に達成され得る。膜蒸留は、熱駆動分離プロセスであり、2つの主な体積流れ(すなわち、フィード及び透過液)の定義された温度差を必要とする。この温度差を達成するために、透過回路は凝縮器156に入る前に冷却されるべきであり、他方で、フィード回路は予熱されるべきである。
【0134】
このウォーミングアップフェーズの間、フィード(すなわち、化学浴100からの溶媒)及び透過液(すなわち、水などの溶剤)は、化学物質漏出しやすいおそれがある。この問題は、ウェット化学プロセスにおける膜蒸留の用途の可能性を極度に限定し得る。プロセス又は化学浴100は、起動の間、希釈され得、結果として、目標濃度に到達するために、次いで膜蒸留をかなりの時間(例えば、数時間)運転させる必要がある。これは、工業的規模で実行されることになる生産プロセスにおける、十分に高く一定のスループットでの膜蒸留の使用を著しく限定し得る。
【0135】
この難点を克服するために、例示的な実施形態では起動時間が短縮されてもよく、したがって、以下のプロセス変更のうちの1又は複数とのフェーズの混合:一実施形態において、フィード及び透過液の比は変更され得、例えば、1:6に設定される(すなわち、1部のフィード及び6部の透過液)。この手段は、混合を既に著しく低減し得る。他の実施形態(前に説明される実施形態と組み合わせることもできる)において、起動フェーズの間、膜の接続を切ることが可能であり得る。より具体的には、膜蒸留器106は、加熱フェーズの間、バイパスライン133によって、バイパスされてもよい。これにより、膜に触れることなく、フィード及び透過回路の加熱又は冷却が可能になる。加えて、膜それ自体は加熱部126によって予熱されてもよい。説明されるプロセス管理の変更により、起動時間は短縮され得、これにより、装置120はより速く使用できる状態になる。加えて、希釈作用は効率的に抑制され得る。
【0136】
そうして、向上されたプロセス制御(水力学及びパラメータの観点から)が達成され得る。膜モジュールの予熱も、有利であり得る。これにより、有利には、フィード及び透過液の所望でない混合を大幅に低減する。加えて、これらの手段により、膜蒸留を生産プロセスに直接一体化させ、動作させることが可能となり得る。これにより、膜蒸留プロセスによって引き起こされるプロセス浴の希釈に起因する生産休止期間が防止される。
【0137】
図7は、本発明の更に別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造135(例えば、プリントサーキットボードを製造するためのプレート形パネル)を化学処理するための化学浴100から金属を回収するための装置120を示す。
【0138】
示される実施形態において、湿りガスビームを用いたプレート形部品キャリア構造135の処理に基づく初期ステージ157、続いて、水などの液体をプレート形部品キャリア構造135に散液する段階に基づく追加の洗浄を実行する、後続のステージ158、159などを含むマルチステージ洗浄システム102が提供される。
図7を参照すると、部品キャリア構造135は、めっき及び/又は洗浄の間、水平方向に向けられてもよい(垂直方向ではなく)。これは、特に、限られたスペースのみが利用可能な場合、有利であり得る。したがって、本発明の例示的な実施形態は、水平めっきラインにおいて、膜蒸留を実装してもよい。
【0139】
示されるように、水平方向に向けられた部品キャリア構造135を洗浄するための洗浄システム102の初期ステージ157は、湿りガスビーム139を用いた、より正確には、部品キャリア構造135の主表面のうちの1つ又は両方上に方向付けられた水飽和湿り空気ビームを用いた、処理のために構成されていてもよい。記述的に言うと、初期ステージ157は、ガスナイフ137を形成してもよい。加圧ガスが、部品キャリア構造135の表面を清浄にすることになる。ガスビーム139の水飽和は、化学物質が部品キャリア構造135の表面上で固体化することを防止することになり、それにより、部品キャリア構造135の汚染が回避され得る。湿りガスビームを用いた処理によって部品キャリア構造135を洗浄する間に部品キャリア構造135から落ちる水性汚染溶媒167は、例えば容器141中に収集され得る。著しい量の再循環されることになる化学物質を含み得る上記溶媒167は、化学浴100に、その後、膜蒸留器106に(又は直接、膜蒸留器106に)供給されてもよい。参照符号138によって例示されるように、膜蒸留器106において、溶媒167に基づいて分離された水は、洗浄のために生成されることになる湿りガスビーム139の水分量の主成分として、初期ステージ157に再び供給されてもよい。
【0140】
図7にも示されるように、洗浄システム102は、初期洗浄ステージ157による洗浄後、部品キャリア構造135を洗浄するための1又は複数の追加の洗浄ステージ158、159...を含む。1又は複数の追加の洗浄ステージ158、159などは、散液器139(又は任意の他の洗浄装置)又は更なる湿りガスビームを用いた処理(初期洗浄ステージ157におけるように)を使用して、部品キャリア構造135を洗浄するように構成されていてもよい。追加の洗浄ステージ158、159などの残留物は、通常著しくより少量の再循環されることになる化学物質を含有するため、そのような残留物はドレイン143に供給されてもよい。代替的に、それらはまた、化学浴100に供給されてもよい。
【0141】
図8及び
図9を参照すると、例えば、めっきする間、プリントサーキットボードを製造するためのパネルが水平方向に向けられている水平めっきライン内で、どのように膜蒸留を実装するかについて2つの可能性が説明される。化学浴100及び洗浄システム102の第1の洗浄カスケードの間に膜蒸留器106を配置することが好ましくあり得る。
【0142】
図8は、(例えば、3重)カスケード型マルチステージ洗浄システム102を実装する、本発明の更に別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴100から金属を回収するための装置120を示す。
図8は、洗浄システム102の追加のステージ158、159などの上の洗浄システム102の初期ステージ157を示す。
図9は、(例えば、4重)カスケード型マルチステージ洗浄システム102を実装する、本発明の更に別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴100から金属を回収するための装置120を示す。
図9の実施形態において、化学浴100の直接上方に洗浄システム102の初期ステージ157を実装することが可能であり得る(垂直めっきラインに関しても行われてもよいように)。
【0143】
非常に有利には、洗浄システム102の初期ステージ157は、エアナイフに基づいていてもよく、参照符号137を参照されたい。エアナイフは、残りのプロセス液を除去するために、圧力を使用する。エアナイフによって乾燥空気が使用されてもよい一方で、本発明の好ましい実施形態は、パネル表面を清浄にするために飽和空気を使用してもよい。飽和空気が使用される場合、残りのプロセス液は、部品キャリア構造の表面から十分除去され得るのに対して、乾燥加圧空気は、表面が乾燥していく際に、パネル表面に所望でない残留物をもたらし得る。飽和空気中に存在する水分量は、膜蒸留から提供されてもよく、参照符号138を参照されたい。
【0144】
有利には、
図8及び
図9の実施形態は、膜蒸留との組み合わせで、水平ウェット化学プロセス中の化学物質のキャリーオーバーの著しい低減を可能にする。
【0145】
従来、水平ウェット化学プロセスは、後続の浴への化学物質のキャリーオーバーを防止するために、又は製品から汚染物質を取るために、非常に多量の淡水を必要とする洗浄システムを使用する。大量の廃水は、集中的に処理される必要があり、これは、大きな労力を包含し、且つエネルギーを消費する。洗浄水を用いた化学物質の高希釈は通常、回収を扱いにくくするか、又は不可能にさえする。
【0146】
これに対して、
図8及び
図9の例示的な実施形態は、第1のステージ157が、カスケード型システムのその他の部分から分離されたカスケード型洗浄システム102を実装する。第1のステージ157において、エアナイフ137は、部品キャリア構造の移動の上方及び下方に設置されてもよく、これにより、空気ジェットを使用して、部品キャリア構造から化学物質を除去する。供給空気管において、空気の湿度は、水噴霧器を使用することによって、好ましくは少なくとも50%、例えば99%に上げられてもよい。これにより、洗浄された構造上の乾燥した化学物質の残留物が回避され得、それにより、品質の問題が抑制される。圧縮空気は、サイドチャネル圧縮器によって、小さい労力によって生成され得る。空気の再循環は、洗浄システム102における空気バランスの影響を大幅に低減するために、実現されてもよい。加えて、これにより、加湿の間に大量の水を節約し得る。洗浄システム102の第1のステージ157において蓄積する希釈された化学物質の濃縮物は、活性モジュール、すなわち化学浴100に戻される。
【0147】
わずかに希釈された化学浴100は、濃縮され、膜蒸留によって所望の濃度に戻される。得られる洗浄水は、水噴霧器に直接戻されてもよい。
【0148】
有利には、膜蒸留プラントは、プロセスからの低温廃熱を用いて主に動作されてもよい。
【0149】
洗浄システム102の残りのカスケードは、散液器として具現化されてもよい。これらのカスケードにおいて、洗浄された構造はほとんど汚染され得ないため、必要とされる淡水の量は著しく低減することができる。
【0150】
洗浄システム102におけるキャリーオーバーに起因する、未使用の化学物質の喪失は、
図8及び
図9の実施形態によって大幅に低減することができる。大量の淡水及び廃水が節約され得る。従来では使用不能な低温廃熱を使用することができるため、生産効率は増大されて、その上、資源を節約し得る。浴の修正はより少なくて十分であるため、プロセスパラメータの変動は低減され得る。
【0151】
図10は、本発明の更に別の例示的な実施形態による、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴100から金属を回収するための装置120を示す。
図10の実施形態は、
図6の実施形態と同様であるが、とりわけ
図10の実施形態に関する補足的説明が以下で与えられる。
【0152】
記述的に言うと、膜蒸留は、3つのチャネル200、202、及び204を有する。示される実施形態においては、チャネル204(透過液及び洗浄水)のためのポンプ206、及びチャネル202(フィード)のためのポンプ208である、回路のための2つのポンプが実装されてもよい。
【0153】
次に、チャネル204に従う透過液の循環が説明される。透過液は、透過液槽210から、冷却された側面110に対応する凝縮器156に送り込まれてもよい。透過流れは追加的に、熱交換器212を通過することができる。熱交換器212はまた、外部の冷却源220と熱的に結合されてもよい。凝縮器156を出た後、透過流れは別の熱交換器214を通過する。この熱交換器214において、透過液は加熱される。記述的に言うと、上記透過液は、間接的に1種のフィードになり得る。次いで、高温の透過流れは、加熱された側面108に対応する蒸発器155を加熱してもよい。これは、透過流れが冷却及び加熱のために使用されてもよいことを意味する。次いで、透過液は、透過液槽210に再び送り込まれて、それによりチャネル204を閉じてもよい。
【0154】
以下において、チャネル202に従うフィード流れが説明される。十分な温度勾配が到達されるとすぐに、化学浴100からのフィードは、閉ループにおいて、膜蒸留器106を介して熱交換器216へと導びかれる。その前は、膜蒸留器106は完全にバイパスされてもよい(バイパス経路133を参照されたい)。
【0155】
次に、チャネル200が説明される。チャネル200は、透過流れに連結されているため、分離した流路ではない。示される実施形態において、洗浄水は、膜蒸留器106から分離された水で連続的に満たされる透過液槽210から来る。加えて、洗浄水はまた、例えば、化学浴100を希釈することが所望である場合、化学浴100に直接排出され得る。
図10は、チャネル200において配置され、外部の熱源224と熱的に結合されてもよい更なる熱交換器222を示す。
【0156】
図11は、本発明の装置の例示的な実施形態による膜蒸留器を示す。
図11において、膜蒸留器1106が示される。膜蒸留器1106は、熱交換器1112、加熱可能な側面1108、空隙1122、及び冷却可能な側面1110を含む。熱交換器1112は、高温の蒸留物hDが、左側の矢印によって示される方向に通って流れるチャネルである。高温の蒸留物hDは、例えば、構造の製造プロセスの間、部品を洗浄するために使用された、汚染されていない蒸留物である。
【0157】
ポリマー性フィルム層1128は、チャネル1112及び加熱可能な側面1108の間に配置される。ポリマー性フィルム1128は、不透過性且つ熱伝導性であり、その結果、チャネル1112は、加熱可能な側面1108と熱的に結合され、したがって、加熱可能な側面1108を通って流れる化学組成物cCを加熱するための熱を提供する。結果として、化学組成物cC中に存在する溶剤は部分的に蒸発する。
【0158】
第1の膜1126、例えばPTFE膜は、空隙1122から加熱可能な側面1108を分離する。第2の膜1130もPTFE膜であり得、冷却可能な側面1110から空隙1122を分離する。
【0159】
この様にすると、したがって、蒸気は、加熱可能な側面1108から第1の膜1126、空隙1122、及び第2の膜1130を通って通過し、第2の膜1130の、冷却可能な側面1110に向けて方向付けられている側面で凝縮することが可能である。冷却可能な側面1110における蒸気は、低温の蒸留物cDとして凝縮し、次いで更なる使用のために蒸留物として回収される。化学組成物cCはここで、金属元素のより高い濃度を有する。この濃縮された化学溶液は、回収され、再利用される。
【0160】
図11の実施形態によれば、膜蒸留器1106は、更なる空隙1124、更なる加熱可能な側面1118、更なる熱交換器1120、第3の膜1134、第4の膜1138、及び更なるポリマー性フィルム層1136を更に含む。
【0161】
第3の膜1134は、冷却可能な側面1110から更なる空隙1124を分離する。第4の膜1138は、更なる加熱可能な側面1118から更なる空隙1124を分離する。
【0162】
更なる空隙1124、更なる加熱可能な側面1118、及び更なる熱交換器1120は、冷却可能な側面1110に関して、空隙1122、加熱可能な側面1108、及び熱交換器1112に対して鏡映のように配置される。
【0163】
したがって、
図11による膜蒸留器1106はモジュール方式で敷設され、そこでは、単一の冷却可能な側面1110は、2つの加熱可能な側面1108及び1118によって提供される蒸留物蒸気を凝縮させるために使用される。
【0164】
図12は、部品キャリア製造プラントにおいて金属を用いて部品キャリア構造を化学処理するための化学浴から金属を回収するための装置1200を示す。
【0165】
図12の装置1200は、膜蒸留器1206、蒸発器1212を有する供給部1202、及び凝縮器1236を有する蒸留物収集部1246を備える。
【0166】
供給部1202の蒸発器1212中には、溶剤1232から、及び金属元素からなる化学組成物1232が存在する。化学組成物1232は、部品キャリア構造を化学処理するための化学浴によって提供される。
【0167】
膜蒸留器1206は、蒸気側面1204、加熱可能な側面1208、及び冷却可能な側面1210を有する。好ましくはポリマー性フィルムである薄い熱伝導性層1226は、蒸気側面1204及び加熱可能な側面1208の間に配置される。熱伝導性層1226は不透過性である。好ましくは疎水性PTFE膜である、膜1222は、加熱可能な側面1208及び冷却可能な側面1210の間に配置される。
【0168】
蒸発器1212は、化学組成物1232中に存在する溶剤1238の一部を蒸発させる。蒸発器1212はフラッシュ蒸発器であり得る。
【0169】
蒸気は、蒸気供給手段1214を介して蒸気側面1204に供給され、化学組成物1232は、濃縮物供給手段1216を介して加熱可能な側面1208に供給される。ここで説明される実施形態によれば、蒸気供給手段は、管を用いて実現される、又は管を含む。
【0170】
加熱可能な側面1208における化学組成物1232は、蒸気側面1204中に存在する蒸気によって加熱される。それにより、蒸気側面1204中に存在する蒸気は冷却し、熱伝導性層1226において凝縮する。得られる凝縮物は、凝縮器1236の内側に溶剤1238として収集される。
【0171】
加熱可能な側面1208における化学組成物1232中に存在する溶剤1238の一部は、蒸気側面1204における蒸気との熱交換によって引き起こされる温度上昇に起因して、蒸発する。加熱可能な側面1208における蒸気は、膜1222によってろ過され、冷却可能な側面1210に導かれる。
【0172】
冷却可能な側面1210は、更なる熱伝導性層1228を介して更なる加熱可能な側面1218と熱的に結合され、そこでは、加熱可能な側面1208から出てくる化学組成物1232が、更なる濃縮物供給手段1230を通して送り込まれる。更なる冷却可能な側面1220も存在する。更なる膜1224は、更なる加熱可能な側面1218及び更なる冷却可能な側面1220の間に配置される。ここで説明される実施形態によれば、更なる濃縮物供給手段1230は、管を用いて実現される、又は含む。
【0173】
更なる加熱可能な側面1218における化学組成物1232は、冷却可能な側面1210に存在する蒸気によって加熱され、結果として、化学組成物1232中の溶剤1238の一部が蒸発され、冷却可能な側面1210における蒸気は冷却され、更なる熱伝導性層1228において凝縮する。凝縮物は、凝縮器1236の内側に溶剤1238として収集される。
【0174】
更なる膜1224は、化学組成物1232を加熱する間に生成される蒸気をろ過し、更なる加熱可能な側面1218にそれを送り込む。第2の冷却可能な側面に到達する蒸気は凝縮し、凝縮器1236において溶剤1238として収集される。
【0175】
濃縮された化学組成物1232は、更なる加熱可能な側面1218の末端で濃縮物として収集され、再利用のために濃縮物収集手段1234を介して再循環される。
【0176】
凝縮器1236は、蒸気側面1204、冷却可能な側面1210、及び更なる冷却可能な側面1220から収集された溶剤128を冷却する。凝縮器1236はまた、更なる蒸気伝導手段1240を介して、更なる冷却可能な側面1220に存在する、残りの凝縮されていない蒸気を収集する。次いで、凝縮器1236において収集された蒸気は、凝縮され、溶剤1238として再循環される。再循環される溶剤は、溶剤送り込み手段1244を介して、システムに送り込まれる。
【0177】
図12は、膜蒸留システム1206のモジュール構造を示し、そこでは、化学組成物1232の部分蒸発によって生成される熱が使用されて膜蒸留器1206においてそれを加熱する。更に、膜蒸留器1206の前のステージにおいて生成された蒸気圧が使用されて、膜蒸留器1206の更なるステージにおいて、化学組成物1232を加熱する。この構成において、ステージにわたって低下する蒸気圧の使用も有利であり、それに起因して、化学組成物1232中の溶剤1238に関する蒸発点はステージに沿って低下する。
【0178】
図13は、モジュール方式で敷設された膜蒸留器1306を示す。
【0179】
各モジュールは、蒸気側面、加熱可能な側面、及び冷却可能な側面を含み、熱伝導性層は、蒸気側面及び加熱可能な側面の間に設けられ、膜は、加熱可能な側面及び冷却可能な側面の間に設けられる。
【0180】
図13から理解され得るように、第1のモジュールは、蒸気側面1304、加熱可能な側面1308、冷却可能な側面1310、熱伝導性層1312、及び膜1340を含む。熱伝導性層1312は、蒸気側面1304及び加熱可能な側面1308の間に設けられる。膜1340は、加熱可能な側面1308及び冷却可能な側面1310の間に設けられる。
【0181】
蒸発された高温の溶剤は、蒸気供給手段1350、1352を介して蒸気側面1304に供給され、化学濃縮物は化学濃縮物供給手段1360、1362を介して加熱可能な側面1308に提供される。
【0182】
蒸気側面1304における蒸発された高温の溶剤は、加熱可能な側面1308における化学組成物を加熱し、熱伝導性層1312での熱交換効果に起因して、熱伝導性層1312において凝縮する。凝縮物は、収集され、膜蒸留器の外側で再循環される。
【0183】
他方で、熱伝導性層1312での熱交換に起因して、加熱可能な側面1360における化学濃縮物中に存在する溶剤は部分的に蒸発する。蒸発された溶剤は、膜1340を通してろ過され、冷却可能な側面1310において凝縮し、そこでそれは、溶剤収集手段1374、1370を介して収集される。プロセスの終わりでの加熱可能な側面1308における化学組成物は、回収されることになる金属元素をより高い濃度で有し、更なる使用のために化学濃縮物収集手段を介して収集される。
【0184】
図13の実施形態において、第2のモジュールは、更なる加熱可能な側面1318、更なる蒸気側面1314、更なる膜1342、及び更なる熱伝導性層1322を含む。冷却可能な側面1310は、第2のモジュールのための更なる冷却可能な側面としての役目を果たす。更なる蒸気供給手段1350、1354は、蒸発器から蒸発された高温の溶剤を供給し、更なる化学濃縮物供給手段1360、1364は、更なる加熱可能な側面1318に化学濃縮物を供給する。
【0185】
図13に示されるように、第2のモジュールは、冷却可能な側面1310に関して、第1のものに対して鏡映される。したがって、冷却可能な側面1310は、2つの加熱可能な側面、すなわち、加熱可能な側面1308及び更なる加熱可能な側面1318内で化学組成物を濃縮するために使用される。
【0186】
図13の膜蒸留器1306の第3のモジュールは、第3の加熱可能な側面1328、第3の冷却可能な側面1320、第3の膜1344、及び第3の熱伝導性層1332を更に含む。更なる蒸気側面1314は、第3のモジュールのための第3の蒸気側面としての役目を果たす。第3の化学濃縮物供給手段1360、1366は、第3の加熱可能な側面1328に化学濃縮物を供給する。更なる溶剤収集手段1372、1374は、第3の冷却可能な側面1328から溶剤を収集する。
【0187】
第3のモジュールは、第2の蒸気側面1314に関して、第2のもの対して鏡映される。
【0188】
最後に、第4のモジュールの一部である第4の加熱可能な側面1338及び第4の膜1346も、第4の加熱可能な側面1338に化学濃縮物を供給する第4の化学濃縮物供給手段1360、1360とともに
図13において示される。
【0189】
本発明の目的のために、説明される装置に関連して使用される「加熱可能な側面」という用語は、説明される方法に関連して使用される「熱側面」という用語と同等である。それに対応して、「冷却可能な側面」という用語は、「冷えた側面」という用語と同等である。
【0190】
「備える」という用語が、他の要素又はステップを排除しないこと、及び「a」又は「an」が複数を排除しないことに留意されたい。また、異なる実施形態に関連して説明した要素を組み合わせてもよい。
【0191】
また、請求項における参照符号は、請求項の範囲を限定すると解釈されるものではないことを留意されたい。
【0192】
本発明の実装は、図に示され、上述される好ましい実施形態に限定されるものではない。代わりに、根本的に異なる実施形態の場合にも、示される解決手段及び本発明による原理を使用する多数の変形が可能である。
[他の可能な項目]
[項目1]
金属を用いて構造を化学処理するための化学浴(100)から金属を回収する方法であって、
前記化学浴(100)から膜蒸留器(106)に、金属を含む化学組成物を供給する段階;
前記膜蒸留器(106)において前記金属の少なくとも一部を分離する段階;及び
前記分離された金属を前記化学浴(100)に再導入する段階
を備える方法。
[項目2]
前記金属は、金、パラジウム、スズ、銀、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、イリジウム、亜鉛、及び銅からなる群のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記膜蒸留器(106)において前記金属から溶剤、特に水を分離する段階;及び
前記分離された溶剤を洗浄システム(102)に再導入する段階
を備える、項目1又は2に記載の方法。
[項目4]
特に前記再導入された溶剤を使用して、前記洗浄システム(102)によって、前記化学浴(100)中で化学処理された構造を洗浄する段階を備える、項目3に記載の方法。
[項目5]
直接的に前記化学浴(100)の中で、又は上方で、洗浄システム(102)において洗浄流体によって構造を洗浄する段階を備える、項目1~4のいずれかに記載の方法。
[項目6]
前記化学浴(100)中でプレート形構造、特に部品キャリアを製造するためのパネルをめっきする段階を備える、項目1~5に記載の方法。
[項目7]
洗浄システム(102)においてプレート形構造、特に部品キャリアを製造するためのパネルを洗浄する段階を備える、項目1~6に記載の方法。
[項目8]
水平方向で又は垂直方向で、前記プレート形構造をめっきする段階及び/又は洗浄する段階を備える、項目6又は7に記載の方法。
[項目9]
前記膜蒸留器(106)の高温側面(108)に、製造プロセスの間に生成される廃熱を供給する段階を備える、項目1~8のいずれかに記載の方法。
[項目10]
前記膜蒸留器(106)の前記高温側面(108)に、前記製造プロセスの間に実行されるエッチングプロセスから、且つ/又はめっきプロセスから、廃熱を供給する段階を備える、項目9に記載の方法。
[項目11]
前記膜蒸留器(106)の低温側面(110)に、製造プロセスの間に発生した冷却エネルギーを供給する段階を備える、項目1~10のいずれかに記載の方法。
[項目12]
前記膜蒸留器(106)の前記低温側面(110)に、前記製造プロセスの間に使用される低温洗浄流体供給源から冷却エネルギーを供給する段階を備える、項目11に記載の方法。
[項目13]
前記膜蒸留器(106)において前記金属を濃縮する段階、及び前記濃縮された金属を前記化学浴(100)に再導入する段階を備える、項目1~12のいずれかに記載の方法。
[項目14]
前記膜蒸留器(106)において前記化学組成物の少なくとも1つの更なる物質を分離する段階、及び特に、前記分離された少なくとも1つの更なる物質を前記化学浴(100)に再導入する段階を備える、項目1~13のいずれかに記載の方法。
[項目15]
前記少なくとも1つの更なる物質は、少なくとも1つのめっき添加剤、酸、及び塩基からなる群のうちの少なくとも1つを含む、項目14に記載の方法。
[項目16]
前記化学浴(100)中の前記金属の濃度が経時的に一定のままであるように、前記供給する段階、前記分離する段階、及び前記再導入する段階のうちの少なくとも1つを制御する段階を備える、項目1~15のいずれかに記載の方法。
[項目17]
前記金属で前記構造をめっきすることによって、前記化学浴(100)中で前記構造を化学処理する段階を備える、項目1~16のいずれかに記載の方法。
[項目18]
特に、前記膜蒸留器(106)の高温側面(108)及び冷えた側面(110)の温度差が、予め定義された閾値を下回る限り、前記膜蒸留器(106)をバイパスさせるために、前記化学組成物の流れを一時的に再方向付けする段階を備える、項目1~17のいずれかに記載の方法。
[項目19]
特に、前記膜蒸留器(106)の高温側面(108)及び冷えた側面(110)の温度差が、予め定義された閾値を下回る限り、前記膜蒸留器(106)への前記化学組成物の流れ及び前記膜蒸留器から(106)離れていく前記溶剤の流れの比を低減する段階を備える、項目3~18のいずれかに記載の方法。
[項目20]
特に、前記膜蒸留器(106)の高温側面(108)及び冷えた側面(110)の温度差が、予め定義された閾値を下回る限り、前記膜蒸留器(106)に前記化学組成物を供給し始める前に、前記膜蒸留器(106)を予熱する段階を備える、項目1~19のいずれかに記載の方法。
[項目21]
金属を用いて前記構造を処理する段階は、部品キャリアを製造する間、金属を用いて部品キャリア構造を処理する段階を有する、項目1~20のいずれかに記載の方法。
[項目22]
前記化学組成物から、少なくとも1つのめっき添加剤、酸、及び塩基からなる群のうちの少なくとも1つを追加的に回収する段階を備える、項目1~21のいずれかに記載の方法。
[項目23]
金属を用いて構造を化学処理するための化学浴(100)から金属を回収するための装置(120)であって、
前記化学浴(100)から膜蒸留器(106)に、金属を含む化学組成物を供給するように構成されている供給部(122);
膜蒸留によって前記金属の少なくとも一部を分離するように構成されている前記膜蒸留器(106);及び
前記分離された金属を前記化学浴(100)に再導入するように構成されている再導入部(124)
を備える装置(120)。
[項目24]
前記膜蒸留器(106)は、前記分離された金属を前記膜蒸留器(106)の加熱可能な側面(108)で提供するように構成されている、項目23に記載の装置(120)。
[項目25]
前記膜蒸留器(106)は、前記膜蒸留器(106)において前記金属から分離された溶剤、特に水を、前記膜蒸留器(106)の冷却可能な側面(110)で提供するように構成されている、項目23又は24に記載の装置(120)。
[項目26]
前記分離された金属が提供される前記膜蒸留器(106)の金属側面を加熱するように構成されている加熱部(126)を備える、項目23~25のいずれかに記載の装置(120)。
[項目27]
前記加熱部(126)は、製造プロセスの間に得られる廃熱を使用して前記金属側面を加熱するように構成されている、項目26に記載の装置(120)。
[項目28]
前記分離された溶剤が提供される前記膜蒸留器(106)の溶剤側面を冷却するように構成されている冷却部(128)を備える、項目25~27のいずれかに記載の装置(120)。
[項目29]
前記冷却部(128)は、製造プロセスの間に得られる冷却エネルギーを使用して前記溶剤側面を冷却するように構成されている、項目28に記載の装置(120)。
[項目30]
製造プロセスの間に金属を循環させるための、前記化学浴(100)、前記供給部(122)、前記膜蒸留器(106)、及び前記再導入部(124)を含む閉金属ループ(132)を備える、項目23~29のいずれかに記載の装置(120)。
[項目31]
製造プロセスの間に溶剤を循環させるための、前記化学浴(100)、前記供給部(122)、前記膜蒸留器(106)、及び構造を洗浄するための洗浄システム(102)を含む閉溶剤ループ(130)を備える、項目23~30のいずれかに記載の装置(120)。
[項目32]
前記化学浴(100)は、構造をめっきするように、特に電気的にめっきするように構成されているめっき部であるか、又はめっき部の一部を形成する、項目23~31のいずれかに記載の装置(120)。
[項目33]
特に、前記化学浴(100)中の前記金属の濃度が一定のままであるように、前記装置(120)、特に前記供給部(122)、前記膜蒸留器(106)、及び前記再導入部(124)のうちの少なくとも1つを制御する、特に調整するように構成されている制御部(134)を備える、項目23~32のいずれかに記載の装置(120)。
[項目34]
ユーザが前記装置(120)の動作を制御することを、特に、前記装置(120)によって実行される前記化学浴(100)から金属を回収するプロセスを制御することを、可能にするために構成されているユーザインタフェース(150)を備える、項目23~33のいずれかに記載の装置(120)。
[項目35]
前記ユーザインタフェース(150)は、前記装置(120)によって実行される前記プロセスを制御するための前記制御部(134)を動作させるように構成されている、項目33及び34に記載の装置(120)。
[項目36]
湿りガスビームを用いた、特に水飽和湿り空気ビームを用いた処理によって構造を洗浄するための洗浄システム(102)を備える、項目23~35のいずれかに記載の装置(120)。
[項目37]
前記洗浄システム(102)は、前記湿りガスビームを用いた前記処理によって前記構造を洗浄する間に収集される溶媒を、前記化学浴(100)に、又は前記膜蒸留器(106)に供給するように構成されている、項目36に記載の装置(120)。
[項目38]
前記湿りガスビームを生成するために、前記膜蒸留器(106)から前記洗浄システム(102)に水を供給するように構成されている、項目36又は37に記載の装置(120)。
[項目39]
前記洗浄システム(102)は、前記湿りガスビームを用いた前記処理によって前記構造を洗浄するように構成されている初期洗浄ステージ(157)による洗浄の後に前記構造を洗浄するための少なくとも1つの追加の洗浄ステージ(158、159)を有する、項目36~38のいずれかに記載の装置(120)。
[項目40]
前記装置(120)は、部品キャリアを製造する間、金属を用いて部品キャリア構造を処理するように構成されている、項目23~39のいずれかに記載の装置(120)。
[項目41]
前記膜蒸留器(1106)は、加熱可能な側面(1108)、冷却可能な側面(1110)、及び前記加熱可能な側面(1108)及び前記冷却可能な側面(1110)の間の空隙(1122)を含む、ここで、第1の膜(1126)は、前記加熱可能な側面(1108)及び前記空隙(1122)間に配置され、第2の膜(1130)は、前記空隙(1122)及び前記冷却可能な側面(1110)の間に配置される、項目23~40のいずれかに記載の装置(120)。
[項目42]
前記膜蒸留器(1106)は、前記加熱可能な側面(1108)に熱的に結合された熱交換器(1112)を更に含む、項目41に記載の装置(120)。
[項目43]
前記熱交換器(1112)は、高温の蒸留物(hD)の流れを導くためのチャネル(1112)を含む、ここで、前記チャネル(1112)は、加熱可能な側面(1108)から熱伝導性材料層(1128)によって、好ましくはポリマーフィルム(1128)によって分離されている、項目42に記載の装置(120)。
[項目44]
前記膜蒸留器(106)は、
更なる加熱可能な側面(1118)、
更なる空隙(1124)、
ここで、
前記冷却可能な側面(1110)は、前記空隙(1122)及び更なる空隙(1124)の間に配置され、
更なる空隙(1124)は、前記冷却可能な側面(1110)及び更なる加熱可能な側面(1118)の間に配置される
を有する、項目41~43のいずれかに記載の装置(120)。
[項目45]
前記供給部(1202)は、蒸発器(1212)を含む、項目23~44のいずれかに記載の装置(1200)。
[項目46]
前記膜蒸留器(1206)は、
加熱可能な側面(1208)、冷却可能な側面(1210)、蒸気側面(1204)、膜(1222)、及び熱伝導性層(1226)
ここで、
前記加熱可能な側面(1208)は、前記蒸気側面(1204)及び前記冷却可能な側面(1210)の間に配置され、
前記膜(1222)は、前記加熱可能な側面(1208)及び前記冷却可能な側面(1210)の間に配置され、
前記熱伝導性層(1226)は、前記蒸気側面(1204)及び前記加熱可能な側面(1208)の間に配置され、
前記装置(1200)は、
前記蒸発器(1212)から前記蒸気側面(1204)に蒸気を供給するための蒸気供給手段(1214)、及び
前記蒸発器(1212)から前記加熱可能な側面(1208)に液体形態の前記化学組成物(1232)を供給するための濃縮物供給手段(1216)
を更に備える
を有する、項目45に記載の装置(1200)。
[項目47]
前記膜蒸留器(1206)は、
更なる加熱可能な側面(1218)、
更なる冷却可能な側面(1220)、
更なる膜(1224)、及び
更なる熱伝導性層(1228)
ここで、
前記更なる加熱可能な側面(1218)は、前記冷却可能な側面(1210)及び前記更なる冷却可能な側面(1220)の間に配置され、
前記更なる膜(1224)は、前記更なる加熱可能な側面(1218)及び前記更なる冷却可能な側面(1220)の間に配置され、
前記更なる熱伝導性層(1228)は、前記更なる加熱可能な側面(1218)及び前記冷却可能な側面(1210)の間に配置され、
前記装置(1200)は、
前記加熱可能な側面(1208)から前記更なる加熱可能な側面(1218)に液体形態の前記化学組成物を供給するための更なる濃縮物供給手段(1230)
ここで、動作の間、前記加熱可能な側面(1208)における圧力は、前記更なる加熱可能な側面(1218)における更なる圧力よりも大きい
を更に備える
を更に有する、項目46に記載の装置(1200)。
[項目48]
化学浴(100)から金属を分離するための、且つ好ましくは化学浴(100)中の金属濃度を一定に保つように制御された仕方で、分離された金属を化学浴(100)に再導入するための、製造プロセスを実行するためのプラント(104)において膜蒸留を使用する方法。
【国際調査報告】