(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】廃水の改善された浄化のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/28 20230101AFI20240104BHJP
【FI】
C02F3/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023533907
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2021084456
(87)【国際公開番号】W WO2022122678
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513005305
【氏名又は名称】パクス アイ.ピー. ビー.ヴィ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】プリンス, リンク
(72)【発明者】
【氏名】ファーバー, イェレ
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲラー, ヤコブ コルネリス テオドルス
【テーマコード(参考)】
4D040
【Fターム(参考)】
4D040AA01
4D040AA53
(57)【要約】
流体の嫌気性浄化装置のための反応タンクおよびバイオマス再循環ユニットを備える、廃水などの流体の嫌気性浄化装置。バイオマス再循環ユニットは、外部から流入流体を受け取るように構成された入口システムと、リアクタタンク内の中間セクションからバイオマスを引き出し、バイオマスをバイオマス再循環ユニットに持っていくためのバイオマス収集システムと、入口システムおよびバイオマス収集システムに接続され、流入流体とバイオマスとを受け取って混合するための混合セグメントと、流入流体とバイオマスとの混合物をリアクタタンクの下側セクションに排出するための出口システムとを備え、入口システムは、流入流体が入口システムから狭窄ノズルを通って混合セグメントに流れるときに、バイオマス収集システムにリアクタタンクの中間セクションから混合セグメントにバイオマスを引き出させる吸引効果を作り出すための狭窄ノズルを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応タンク(10)と、
少なくとも1つのバイオマス再循環ユニット(20)と
を備える、廃水などの流体の嫌気性浄化装置(1)であって、
前記少なくとも1つのバイオマス再循環ユニット(20)が、
前記リアクタタンク(10)内部の下側セクションに配置されるように構成され、当該嫌気性浄化装置の外部から流入流体を受け取るように構成された入口システム(22)と、
前記リアクタタンク(10)の中間セクションからバイオマスを引き出し、前記バイオマスを前記バイオマス再循環ユニット(20)に持っていくように構成されたバイオマス収集システム(24)と、
前記リアクタタンク(10)内部の下側セクションに配置されるように構成され、前記入口システム(22)および前記バイオマス収集システム(24)に接続されるように構成され、前記流入流体および前記バイオマスを受け取って混合するように構成された混合セグメント(25)と、
前記混合セグメント(25)に接続され、前記流入流体と前記バイオマスとの混合物を前記リアクタタンク(10)の前記下側セクションに排出するように構成された出口システム(26)と
を備え、
前記入口システム(22)が狭窄ノズル(23)を備え、前記狭窄ノズル(23)は、前記流入流体が前記入口システム(22)から該狭窄ノズル(23)を通って前記混合セグメント(25)に流れるときに、前記バイオマス収集システム(24)に前記リアクタタンク(10)の前記中間セクションから前記混合セグメント(25)に前記バイオマスを引き出させる吸引効果を作り出すように構成されている、嫌気性浄化装置(1)。
【請求項2】
前記リアクタタンク(10)内部の前記下側セクションに配置された少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)をさらに備え、前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイスが、前記リアクタタンク(10)の上側セクションから流体を受け取り、前記流体中の液体からバイオマスを分離し、前記バイオマスおよび前記液体を別々に排出し、当該嫌気性浄化装置外に清浄な液体を排出するように構成されている、請求項1に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項3】
前記バイオマス収集システム(24)が、前記リアクタタンクの底部からの高さが前記リアクタタンクの高さの20%~前記リアクタタンクの高さの60%、より好ましくは25%~50%である、前記リアクタタンク(10)内部の前記中間セクションに上端が配置された少なくとも1つのバイオマス収集管を備え、または前記少なくとも1つのバイオマス収集管に接続されている、請求項1または2に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項4】
前記混合セグメント(25)が混合チャンバ(25)に対応し、前記入口システム(22)が、少なくとも1つの供給管(27)と、移送管(28)と、前記狭窄ノズル(23)を備える少なくとも1つの入口管(22)とを備え、前記少なくとも1つの供給管(27)の第1の端部が前記流入流体を受け取るように構成され、第2の端部が前記移送管(28)に接続され、前記移送管(28)が前記混合チャンバ(25)内部に配置され、前記移送管(28)が前記少なくとも1つの入口管(22)にさらに接続され、その結果、前記流入流体が前記移送管(28)を出て、前記少なくとも1つの入口管(22)の前記狭窄ノズル(23)を介して前記混合チャンバ(25)に入る、請求項1~3のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項5】
前記バイオマス収集システム(24)が、前記バイオマスを前記混合チャンバ(25)に排出し、その結果、前記バイオマスが前記少なくとも1つの入口管(22)の前記狭窄ノズル(23)を介して前記混合チャンバ(25)に入る前記流入流体と混合されるように構成されている、請求項4に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項6】
前記出口システム(26)が、第1の端部で前記混合チャンバ(25)に接続され、第2の端部で前記リアクタタンク(10)の前記下側セクションに排出する少なくとも1つの出口管を備える、請求項4または5に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)が、略垂直な中央管(31)と、前記中央管を取り囲み、少なくとも1つの同心キャビティを画定する少なくとも1つの同心エンクロージャ(32)とを備え、前記中央管が、前記リアクタタンク(10)の前記上側セクションから前記流体を受け取り、前記バイオマス分離デバイスの底部セクションまで前記流体が下方に流れることを可能にするように構成され、前記少なくとも1つの同心キャビティが、前記流体が上方に流れることを可能にし、前記バイオマスを下方にスライドさせるように構成された複数の螺旋状チャネル(33)を備える、請求項2~6のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの同心エンクロージャ(32)の上方に配置された前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)の上部セクションが、当該嫌気性浄化装置から上方に流れた前記清浄な液体を運ぶように構成された流出システム(34)に接続されている、請求項7に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項9】
前記リアクタタンク(10)の前記上側セクションに配置された少なくとも1つのガス分離デバイス(40)をさらに備え、
前記少なくとも1つのガス分離デバイス(40)の流体出口(41)が、前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)の前記中央管(31)に対応するか、または前記中央管(31)に接続されたダウナー管に接続されている、請求項7または8に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)が、前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)の底部セクションに配置され、前記バイオマスを受け取り、前記バイオマスを前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイスの外部に排出するように構成されたバイオマス収集チャンバ(35)を備える、請求項2~9のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項11】
前記バイオマスを前記バイオマス収集チャンバ(35)から前記少なくとも1つのバイオマス再循環ユニット(20)の前記入口システム(22)に持っていくように構成されたバイオマス抽出ポンプ(36)をさらに備える、請求項10に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項12】
前記バイオマスを前記バイオマス収集チャンバ(35)から前記リアクタタンク(10)に持っていくように構成されたバイオマス抽出ポンプ(36)をさらに備える、請求項10に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項13】
複数のバイオマス分離デバイス(30)および複数のバイオマス再循環ユニット(20)を備え、
前記バイオマス分離デバイスおよび前記バイオマス再循環ユニットの各対が、請求項1~12のいずれか一項に従って動作するように構成されている、請求項2~12のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)による、廃水などの流体の嫌気性浄化のための方法であって、
前記嫌気性浄化装置の前記バイオマス再循環ユニット(20)によって、前記嫌気性浄化装置の外部からの流入流体および前記嫌気性浄化装置の前記リアクタタンク(10)の前記中間セクションからのバイオマスを受け取るステップと、
前記バイオマス再循環ユニット(20)によって、前記流入流体と前記バイオマスとの混合物を前記リアクタタンクの前記下側セクションに排出するステップと
を含み、
前記流入流体が前記狭窄ノズル(23)を通って前記入口システム(22)を出るときに、前記バイオマスを前記リアクタタンク(10)の前記中間セクションから前記バイオマス再循環ユニット(20)に引き出し、前記流入流体と混合させる吸引効果を作り出すステップをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項2~13のいずれか一項に記載の嫌気性浄化デバイスによって実施される場合、
前記反応タンク(10)の下側セクションに配置されたバイオマス分離デバイス(30)によって、前記反応タンクの前記上側セクションから流体を受け取るステップと、
前記バイオマス分離デバイス(30)によって、受け取った前記流体中の液体からバイオマスを分離するステップと、
前記バイオマス分離デバイス(30)によって、前記バイオマスおよび前記液体を別々に排出し、前記嫌気性浄化装置から清浄な液体を排出するステップと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、廃水等の流体の嫌気性浄化のための嫌気性浄化装置のバイオマス再循環ユニットに関する。本発明はまた、バイオマス再循環ユニットを備える嫌気性浄化装置、および廃水などの流体の嫌気性浄化のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]廃水の浄化には、多数の方法を使用することができる。流体は、生物学的に分解可能な成分を含有する場合、廃水と見なされる。そのような方法の1つは、廃水の嫌気性浄化である。この方法は、主に、有機不純物で高度に汚染され、好ましくは摂氏20度を超える流体温度を有する廃水に適用可能である。最も一般的な嫌気性処理方法は、欧州特許第1979273号明細書に記載されているUASB(Up-flow Anaerobic Sludge Blanket)、EGSB(Expanded Granular Sludge Blanket)などのいわゆる上向流リアクタ、または欧州特許第0170332号明細書もしくは国際公開第2012/005592号に記載されているものなどの内部循環リアクタを使用する。このようなリアクタは、特に可溶性成分を含む前記高度に汚染された廃水の処理に非常に効果的である。
【0003】
[0003]これらのリアクタでは、正しい上向流条件下で、微生物の天然凝集体が形成され得る。そのような凝集体は、より高い沈降速度を有し、廃水が通過する間、重力分離によってリアクタ内に保持され得る。より軽いフロック、または凝集していない微生物は、そのようなフロックの沈降速度が重力分離デバイスの設計値よりも低いときに洗い流される。これは、一般に造粒バイオマスまたは造粒スラッジと呼ばれる、高い沈降速度および高密度を有する種類のバイオマスを作り出すので、望ましい選択機構である。これらの特性は、上向流リアクタが、高い液体処理量、および1日当たりリアクタ容積1立方メートル(m3)当たりに変換されるキログラム(kg)の化学的酸素要求量(COD)として表される高い体積変換率(VCR)で動作することを可能にする。許容可能なVCRは、所与の廃水流のためのリアクタサイズ、したがって上向流リアクタの経済的有効性を決定するため、高いリアクタVCRを達成することが最も望ましい。したがって、過去の開発は、VCRを増加させることに焦点を当てており、これにより、VCRが1日当たりリアクタ容積1m3当たりに変換される7~12kgのCODであるリアクタ、VCRが1日当たりリアクタ容積1m3当たりに変換される10~18kgのCODであるリアクタ、およびVCRが1日当たりリアクタ容積1m3当たりに変換される15~25kgのCODであるリアクタの開発に顕著につながった。
【0004】
[0004]しかしながら、可能な最大体積変換率を制限する要因がある。微生物自体は、多くの場合、制限がないことが知られている。これは簡単な計算によって説明することができる:造粒バイオマスは、典型的には65kg揮発性浮遊物質量(VSS)/m3の密度を有する。微生物の変換率は、比メタン生成活性(SMA)として表され、典型的には0.7kg COD/kg VSS*日である。上向流リアクタは、通常、液体体積の70%が造粒バイオマスで満たされており、したがって、達成可能な最大体積変換率は、65*0.7*70%=1日当たりのリアクタ容積1m3当たりに変換されるCOD 32kgである。したがって、この理論的に達成可能な最大変換率は、現在の実施を超える。
【0005】
[0005]現在の上向流リアクタを制限する主な要因の1つは、すべての条件下で、浄化廃水が通過するときにいくらかのバイオマスが失われる可能性があるものの、造粒バイオマスの量はリアクタ内で一定のままでなければならないことである。そうでない場合、上向流リアクタはその生物学的変換能力を失い、体積変換率および処理効率の両方を維持することができない。リアクタ内の粒状バイオマスの量は、新しい粒状バイオマスの成長と流出物によるバイオマスの損失との間のバランスに依存する。理想的な条件下では、バイオマスの成長が損失を超えて、正味のバイオマス余剰が発生する。そのような場合、粒状バイオマスはリアクタから回収され、新しいリアクタのための開始種菌として使用され得る。造粒バイオマスの損失が成長を超える場合、変換率を維持するために追加の造粒バイオマスを供給する必要がある。
【0006】
[0006]バイオマスの成長速度は、嫌気性微生物の固有の特性であり、廃水中の有機汚染物質の性質に依存する。換言すれば、嫌気性上向流リアクタの種類は、バイオマスの成長速度に影響を及ぼさない。しかしながら、嫌気性バイオマスが発達する形態、望ましい粒状形態であること、または処理廃水と共に容易に失われるよりフロック状の形態に影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
[0007]処理廃水によるバイオマスの損失は、上向流リアクタの種類によって制御することができる。嫌気性バイオマスの損失につながる2つの主な現象がある。これらは以下の通りである。
1.造粒バイオマス中に気泡が生成され、気泡が時間内に分離しない場合、顆粒の浮力を高める可能性がある。造粒バイオマスの浮遊は、分離が重力に基づくため、処理(廃)水による造粒バイオマスの損失につながる可能性がある。
2.造粒バイオマスは、集中的に混合することによって剪断されて、よりフロック状の形態になり得る。フロック状バイオマスは、造粒バイオマスと同じ沈降特性を有さず、その後、処理(廃)水と共に失われる。
【0008】
[0008]粒状バイオマスの浮遊の問題を克服するために、いくつかの方法が使用されてきた。例えば、米国特許出願公開第2011/0236274号明細書は、バイオマスの浮遊特性を利用して、脱気デバイス内のリアクタ液体から浮遊造粒バイオマスを分離することを試みるデバイスを使用する。国際公開第2012/005592号は、造粒バイオマスがリアクタ内でより高い静水圧下で分離されるデバイスを使用する。このような条件下では、付着した気泡が液体中に再び溶解し、造粒バイオマスの浮力が低下する。
【0009】
[0009]造粒バイオマスの剪断によるフロック状バイオマスの損失は、リアクタ内の剪断に関連して発達する顆粒の強度によって制御される。Pereboom(1997)は、バイオマスがゆっくりと成長する系が、バイオマスが急速に成長する系よりも高い顆粒強度を有する、すなわち摩耗または崩壊の影響を受けにくいことを実証した。遅い成長速度は、(遅い)低い変換率であることも示唆する。したがって、これは、嫌気性上向流リアクタを高い体積変換率で設計および動作させるという目的と相反する。遅い成長速度と高い体積変換率との間の最適なバランスは、有機汚染物質が造粒バイオマスと十分に混合され、その結果、リアクタ全体で基質濃度が可能な限り低くなることを確実にすることによってのみ見出すことができる。これにより、平均して、すべての造粒バイオマスが同じ低い基質濃度を見て全体的な変換に寄与する一方で、成長速度は、基質濃度に依存するので中程度のままであることを確実にする。このような条件下では、十分な強度の顆粒を発達させることができる。したがって、過度の剪断を回避しながら、この目標を達成するために集中的に混合することとの間にはトレードオフがある。
【0010】
[0010]例えば、液体および/またはバイオマスを再循環させるミキサまたはポンプなどの上向流リアクタ内の高速回転部品を使用しないことによって、上向流リアクタ内の過剰な剪断を回避することを確実にすることができる。それにもかかわらず、所望の変換率を達成するために、廃水と造粒バイオマスとの十分な混合を確実にする必要がある。そうでなければ、嫌気性バイオマスのある画分は汚染物質で過剰に負荷され、別の画分は、変換プロセスに効果的に寄与するには少なすぎる汚染物質を受け取る。この問題を克服するために、当技術分野において、いくつかの方法が記載されている。例えば、国際公開第2007/078195号は、処理(清浄、浄化)流出物がリアクタの底部にポンプで戻されて上向流速を増加させ、それによって混合を増加させる方法を使用する。処理流出物は、液体がポンプで戻される前に、液体から粒状バイオマスを分離するために流出物分離器の少なくとも一部を通過する必要がある。国際公開第2007/078195号の別の実施形態では、廃水をリアクタ内の異なる高さに導入し、それによって流入汚染物質と粒状バイオマスとの混合を促進することができることが言及されている。したがって、国際公開第2007/078195号は、分離器の少なくとも一部がリアクタ底部およびリアクタ内の様々な高さの入口点に流出物を再循環させることを必要とし、これは、組み立てが困難である。
【0011】
[0011]欧州特許第0170332号明細書は、生成されたバイオガスを利用して、リアクタの上側セクションからリアクタの底部セクションに流体を再循環させるガスリフトを生成するデバイスを記載している。これにより、流入物が内部再循環水と穏やかに混合されるリアクタ底部で追加の混合が作り出される。次いで、混合水は、造粒バイオマスからなるスラッジブランケットを上向きに通過する。しかしながら、欧州特許第0170332号明細書は、バイオガスを捕捉し、水から分離し、リアクタの底部部分に戻して再循環させるために複雑な内部構造を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[0012]したがって、遅い成長速度と高い体積変換率との間の改善されたバランスを達成し、それによってバイオマスが造粒されたまま、過剰な剪断を回避しながら、許容可能な体積変換率を達成する、廃水などの流体の嫌気性浄化のための方法およびシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[0013]第1の態様によれば、本発明は、廃水などの流体の嫌気性浄化装置のためのバイオマス再循環ユニットであって、リアクタタンク内部の下側セクションに配置されるように構成され、装置の外部から流入流体を受け取るように構成された入口システムと、リアクタタンクの中間セクションからバイオマスを引き出し、バイオマスをバイオマス再循環ユニットに持っていくように構成されたバイオマス収集システムと、リアクタタンク内部の下側セクションに配置され、入口システムおよびバイオマス収集システムに接続されるように構成され、流入流体およびバイオマスを受け取って混合するように構成された混合セグメントと、混合セグメントに接続され、流入流体とバイオマスとの混合物をリアクタタンクの下側セクションに排出ないしは送出するように構成された出口システムとを備え、入口システムが、流入流体が入口システムから狭窄ノズルを通って混合セグメントに流れるときに、バイオマス収集システムにリアクタタンクの中間セクションから混合セグメントにバイオマスを引き出させる吸引効果を作り出すように構成された、狭窄ノズルを備える、バイオマス再循環ユニットを提供するか、またはバイオマス再循環ユニットを含む。
【0014】
[0014]本発明は、上記の欠点を克服し、液体をリアクタ底部に再循環させるだけでなく、特に造粒バイオマスをリアクタ内のより高い部分から、有機汚染物質と接触するより低い部分に再循環させることによって、最適な混合を作り出すことを目的とする。したがって、液体を再循環させる代わりに、造粒バイオマスがリアクタ底部に再循環される。バイオマス再循環は、ジェット原理に従って駆動され、動力液体は、流入物、または流入物と流出物(処理流体)との混合物、またはさらには流入物と流出物と再循環造粒バイオマスとの混合物からなり得る。動力液体は、狭窄部または狭窄ノズルを通過するときに吸引効果を作り出すことができ、これが、造粒バイオマスを、有機物が低負荷であり得るリアクタの中間部分から、いくつかの実施形態では再循環流出物も含み得る、入ってくる(流入)流体(廃水)と混合されるリアクタの底部に引き込み、それによってリアクタを通る上方への速度を作り出す。本発明に従って今まさに説明したようなジェットシステムは、剪断の生成をほとんど可能にせず、回転部品を有さず、機械的構造は簡単なままであり、それによって当該技術分野で知られている発明の欠点を克服し、バイオマスの粒度を維持する。
【0015】
[0015]第2の態様によれば、本発明は、反応タンク(リアクタタンク)と、上記で示したような少なくとも1つのバイオマス再循環ユニットと、反応タンク内部の下側セクションに配置された、反応タンクの上側セクションから流体を受け取り、流体中の液体から(造粒)バイオマスを分離し、バイオマスおよび液体を別々に排出するように構成された少なくとも1つのバイオマス分離デバイスとを含む、廃水などの流体の嫌気性浄化装置を提供する。
【0016】
[0016]したがって、本発明は、好適には、廃水の浄化のための嫌気性浄化装置である上向流リアクタを提供し、これは、簡単な構造を有し、浮遊による顆粒の損失を防止し、良好な品質の造粒バイオマスを維持しながら、バイオマスの再循環によって、および再循環バイオマスを流入流体(廃水)と再び接触させることによって改善された混合を可能にする。
【0017】
[0017]少なくとも1つのバイオマス分離デバイスは、好ましくは、リアクタの底部と接触するなど、リアクタタンクの下側セクションに配置される。これにより、これらのデバイスが上側セクションに配置されなければならない場合の困難が回避される一方で、造粒バイオマスの改善された保持も促進される。
【0018】
[0018]説明全体を通して、上側セクション/上側部分は、リアクタタンク高さの上半分、またはリアクタタンクの上3分の1、またはリアクタタンクの上4分の1を指し得る。同様に、下側セクション/下側部分は、リアクタタンク高さの下半分、下3分の1、または下4分の1を指し得る。中間セクションは、リアクタタンクの高さの中間を含む領域、例えば、リアクタタンクの高さの中間の3分の1、または4分の2もしくは3と考えることができる。中間セクションは、バイオマスと流入水とがよく混合されるリアクタタンクのセクション、すなわち、バイオマスと流入水とがリアクタタンクの下側セクションよりも互いにより良好に混合されるセクションであり得る。
【0019】
[0019]本文を通して、リアクタ内に存在する固体粒子はバイオマスであるので、固体および(造粒)バイオマスという単語は互換的に使用されるべきである。同様に、説明全体を通して、リアクタ、リアクタタンク、およびリアクタチャンバは互換的に使用されるべきであり、流入物および流入流体および流入水も互換的に考えられるべきである。同様に、バイオガスおよびガスは、説明全体を通して互換的に考えられるべきである。
【0020】
[0020]本発明の実施形態によれば、バイオマス収集システムは、リアクタタンクの底部からの高さがリアクタタンクの高さの20%~リアクタタンクの高さの60%、より好ましくは25%~60%、さらにより好ましくは25%~50%である、リアクタタンク内部の中間セクションに上端が配置された少なくとも1つのバイオマス収集管を備える。例えば、少なくとも1つのバイオマス収集管の高さは、リアクタタンクの底部から1~6メートル、より好ましくは2~5メートル、より好ましくは4~5メートルであってもよく、このとき、リアクタタンクの高さは8~16メートルである。
【0021】
[0021]本発明の実施形態によれば、混合セグメントは混合チャンバに対応し、入口システムは、少なくとも1つの供給管と、移送管と、狭窄ノズルを備える少なくとも1つの入口管とを備え、少なくとも1つの供給管の第1の端部は流入流体を受け取るように構成され、第2の端部は移送管に接続され、移送管は混合チャンバ内部に配置され、移送管は少なくとも1つの入口管にさらに接続され、その結果、流入流体は移送管を出て、少なくとも1つの入口管の狭窄ノズルを介して混合チャンバに入る。
【0022】
[0022]実施形態によれば、バイオマス収集システムは、バイオマスを混合チャンバに排出し、その結果、バイオマスが少なくとも1つの入口管の狭窄ノズルを介して混合チャンバに入る流入流体と混合されるように構成される。したがって、バイオマス再循環ユニットの混合セグメントは、少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上のバイオマス収集システムからバイオマスを受け取るように、および入口システムから液体を受け取るように構成された混合チャンバであってもよく、入口システムは、1つ以上の(狭窄)排出ノズルを介して混合チャンバに液体を排出し、それによって混合チャンバ内に圧力下を作り出し、バイオマス収集システムからバイオマスを引き出し、出口システムを介して反応タンクに液体とバイオマスとのこの混合物を排出する。
【0023】
[0023]実施形態によれば、出口システムは、第1の端部で混合チャンバに接続され、第2の端部でリアクタタンクの下側セクションに排出する少なくとも1つの出口管を備える。出口システムはまた、混合チャンバ内の開口部からなってもよく、その結果、流体とバイオマスとの混合物は、混合チャンバから開口部を通過してリアクタタンクに入る。
【0024】
[0024]実施形態によれば、少なくとも1つのバイオマス分離デバイスは、略垂直な中央管と、中央管を取り囲み、少なくとも1つの同心キャビティを画定する少なくとも1つの同心エンクロージャとを備え、中央管は、リアクタタンクの上側セクションから流体を受け取り、バイオマス分離デバイスの底部セクションまで流体が下方に流れることを可能にするように構成され、少なくとも1つの同心キャビティは、流体が上方に流れることを可能にし、バイオマスを下方にスライドさせるように構成された複数の螺旋状チャネルを備える。
【0025】
[0025]実施形態によれば、少なくとも1つの同心エンクロージャの上方に配置された少なくとも1つのバイオマス分離デバイスの上部セクションは、装置から上方に流れた清浄な液体を運ぶように構成された流出システムに接続されている。この構造では、バイオマス分離デバイスは、良好な分離特性を有し、少なくとも1つの同心エンクロージャが略円筒形であり得るので、構造的に安定でありながら、他の既知の沈降剤よりも少ない体積を占め得る。
【0026】
[0026]実施形態によれば、装置は、リアクタタンクの上側セクションに配置された少なくとも1つのガス分離デバイスを備え、少なくとも1つのガス分離デバイスの流体出口は、少なくとも1つのバイオマス分離デバイスの中央管に対応するか、または中央管に接続されたダウナー管に接続されている。
【0027】
[0027]実施形態では、流出システムを通って上向流リアクタから排出される清浄な液体(流出物)は、流入水と混合され、入口システムにポンプで戻される。これは、流入廃水が一時的に利用できない条件に対して、流入物が存在しない状況でのバイオマス再循環ユニットの動作を容易にする。
【0028】
[0028]実施形態によれば、少なくとも1つのバイオマス分離デバイスは、少なくとも1つのバイオマス分離デバイスの底部セクションに配置され、バイオマスを受け取り、バイオマスを少なくとも1つのバイオマス分離デバイスの外部に排出するように構成されたバイオマス収集チャンバを備えるか、またはバイオマス収集チャンバに接続される。分離されたバイオマスは、浄化プロセスで再び使用することができ、反応タンクに直接、または入口システムを介して反応タンクに戻すことができる。例えば、実施形態によれば、装置は、バイオマスをバイオマス収集チャンバから少なくとも1つのバイオマス再循環ユニットの入口システムに持っていくように構成されたバイオマス抽出ポンプをさらに備える。このようにして、バイオマスは流入物と混合され、バイオマス再循環ユニットを通って反応タンク内のスラッジ床に入ることができる。別の例では、実施形態によれば、装置は、バイオマスをバイオマス収集チャンバからリアクタタンク内に、すなわち、他の流体と混合することなくリアクタタンク内に直接持っていくように構成されたバイオマス抽出ポンプをさらに備える。
【0029】
[0029]実施形態によれば、装置は、複数のバイオマス分離デバイスおよび複数のバイオマス再循環ユニットを備え、バイオマス分離デバイスおよびバイオマス再循環ユニットの各対は、前の段落に従って動作するように構成される。例えば、リアクタタンクは、2組以上のバイオマス再循環ユニット、バイオマス分離デバイス、バイオマス収集システム、ガス分離デバイス、およびダウナー、ならびにそれらの対応する要素を、それぞれの組を互いに隣接して配置することができる大きなサイズを有することができる。この組は、単一の構造で構築することもでき、その移送および配置を容易にする。別の例として、いくつかの組のバイオマス再循環ユニットおよびバイオマス分離デバイス、ならびにダウナーに接続された1つ以上のガス分離デバイスが存在することができ、ダウナーはいくつかのダウナーに分割され、各々が1つのバイオマス分離デバイスに接続される。これらは可能な組み合わせの例であるが、異なる部分の他の組み合わせも可能であることは明らかであろう。
【0030】
[0030]第3の態様によれば、嫌気性浄化装置による廃水などの流体の嫌気性浄化のための方法が提供され、本方法は、装置のバイオマス再循環ユニットによって、装置の外部からの流入流体および装置の反応タンクの中間セクションからのバイオマスを受け取るステップと、バイオマス再循環ユニットによって、流入物とバイオマスとの混合物を反応タンクの下側セクションに排出するステップとを含み、バイオマス再循環ユニットは、流入流体が入る入口システムを備え、本方法は、流入流体が狭窄ノズルを通って入口システムを出るときに、リアクタタンクの中間セクションからバイオマスをバイオマス再循環ユニットに引き出し、流入流体と混合させる吸引効果を作り出すステップをさらに含む。
【0031】
[0031]実施形態によれば、本方法は、反応タンクの下側セクションに配置されたバイオマス分離デバイスによって、反応タンクの上側セクションから流体を受け取るステップと、バイオマス分離デバイスによって、受け取った流体中の液体からバイオマスを分離するステップと、バイオマス分離デバイスによって、バイオマスおよび液体を別々に排出し、装置から清浄な液体を排出するステップとをさらに含む。
【0032】
[0032]本発明は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態による嫌気性浄化装置の垂直断面図を示す。
【
図2】本発明の実施形態による嫌気性浄化装置の一部の斜視断面図を示す。
【
図3】本発明の実施形態によるバイオマス再循環ユニットの断面図を示す。
【
図4】本発明の実施形態による嫌気性浄化装置の垂直断面図を示す。
【
図5】本発明の実施形態による嫌気性浄化装置の一部の斜視断面図を示す。
【
図6】本発明の実施形態によるバイオマス再循環ユニットの断面図を示す。
【
図7A】本発明の実施形態による浄化デバイスの垂直断面図を示す。
【
図7B】本発明の実施形態による浄化デバイスの別の垂直断面図を示す。
【
図8】本発明の一実施形態による方法ステップを説明するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0042]図面は、例示のみを目的とすることを意味し、特許請求の範囲によって規定される範囲または保護を制限するものとして機能しない。
【0035】
[0043]説明は一般に流体の浄化に基づいて行われるが、好ましくは廃水に適用され、しかし、任意の他の適切な流体が使用され得ることは当業者には明らかであろう。
【0036】
[0044]図面の詳細な説明を参照する前に、本出願全体を通して、上、下、上側セクション/中間セクション/下側セクション、上側部分/下側部分、上部セクション/底部セクション、上部部分/底部部分などの用語が使用されることに留意されたい。具体的に示されていないが、これらの定義は、装置(浄化デバイス)が動作しているか、または動作する準備ができている位置を指す。
【0037】
[0045]また、説明全体を通して、垂直断面および水平断面などの用語が使用される。垂直断面は、(少なくともいくつかの図ではYによって表される)長手方向軸線を含む長手方向平面に沿って作られた断面として理解されるべきであり、水平断面は、(少なくともいくつかの図ではXとして表される)横断方向軸線を含む横断方向平面に沿って作られた断面として理解されるべきである。図面全体を通して、同様の番号は同じ特徴を指す。
【0038】
[0046]
図1は、本発明の実施形態による嫌気性浄化装置の垂直断面図を示す。
図2は、本発明の実施形態による嫌気性浄化装置の一部の斜視断面図を示す。説明を容易にするため、
図1および
図2は、並行して説明する。
【0039】
[0047]嫌気性浄化装置1は、リアクタタンク10と、バイオマス再循環ユニット20と、バイオマス分離デバイス30と、ガス分離デバイス40とを備える。
【0040】
[0048]バイオマス再循環ユニット20は、少なくとも部分的に、リアクタタンクの下側セクション、例えば下半分または下側3分の1の部分に、例えばリアクタタンクの底部と接触して配置される。バイオマス再循環ユニット20は、リアクタタンクの中間セクションでバイオマス床からバイオマスを収集し、それをリアクタタンク10の下側セクションに持っていくように構成されたバイオマス収集システム24を備える。
図1および
図2の実施形態では、バイオマス収集システム24は、1つの収集管からなるが、複数の管を備えてもよく、また、バイオマス床から管に、垂直下向き方向に、バイオマスの簡単な移送を容易にするために、収集管に入口漏斗を備えてもよい。管の長さは、リアクタタンクの高さの20%からリアクタタンクの高さの60%まで、より好ましくは25%から50%まで変動し得る。例えば、管の長さは、8~16メートルのタンク高さに対して、1から6メートルまで、より好ましくは2から5メートルまで、より好ましくは4から5メートルまで変動し得る。このような長さは、バイオマス床の中間セクション(リアクタタンクの中間セクション)からバイオマスを吸引し、バイオマス床の底部セクションに戻すことを可能にする。バイオマス収集システム24の下側部分では、収集管は、収集管の長手方向軸に対して90度~135度の間で変動する角度を有する屈曲部を形成することができ、
図1および
図2に示す実施形態ではおよそ90度である。
【0041】
[0049]バイオマス再循環ユニット20は、入口システム22をさらに備える。
図1および
図2の実施形態では、入口システムは1つの入口管を備えるが、複数の入口管を備えてもよい。入口システム22の入口管は、狭窄ノズル23(
図3に見ることができる)を備え、屈曲部に接続されているので、流入水は狭窄ノズル23を通って排出される。流入水が入口システム22から排出されるバイオマス再循環ユニット20のセクションは、混合セグメント25である。狭窄ノズル23内の水の高い速度は、バイオマス収集システム24を通って下方に、混合セグメント25内にバイオマスを引き込む吸引効果を作り出す。すなわち、狭窄ノズル23は、流入水が吸引効果を作り出す動力液体であるジェットシステムを作り出す。混合セグメント25内でバイオマスと入口水とが混合する。混合セグメント25は、
図1および
図2の実施形態のように管セグメントであり得、または別の実施形態では、これは混合チャンバであり得る。混合された流入物およびバイオマスは、バイオマス再循環ユニットを出て、1つ以上の出口管を備え得る出口システム26を通ってリアクタタンク10の下側セクションに入る。
【0042】
[0050]リアクタの底部(下側部分)で追加の混合を作り出し、リアクタ内のより高い部分(中間セクション)からより低い部分にバイオマスを再循環させることにより、リアクタ底部でCODが高度に負荷されているバイオマスは、多くのCODと出会っていないより上の高さからのバイオマスと置き換えられる。これにより、より良好な混合を達成すること、ひいてはより良好な品質の粒状バイオマスを達成することが可能になり、これは、上向流リアクタ内の粒状バイオマスのより良好な保持をもたらす。
【0043】
[0051]
図1および
図2の実施形態では、バイオマス再循環ユニット20は、2つの組を備え、各組は、1つのバイオマス収集システム24(収集管)と、1つの入口システム22(入口管)と、1つの混合セグメント25と、1つの出口システム26(出口管)とを備える。しかしながら、本発明によるバイオマス再循環ユニット20はまた、一組、または三組以上を備えてもよいことに留意されたい。およそ等間隔の二組を有することにより、リアクタタンク10内の異なる場所からバイオマスを収集し、それをリアクタタンク10の下側セクションの異なる場所に持っていき、バイオマス床全体にバイオマスをより均一に分配することが可能になる。しかしながら、他の構成も可能であることは当業者には明らかであろう。
【0044】
[0052]バイオマス分離デバイス30は、リアクタタンク10内の下側セクションに配置され、リアクタタンクの上側セクションから流体を受け取り、流体中の液体からバイオマス(固体)を分離し、バイオマスおよび液体を別々に排出し、装置外に清浄な液体を排出するように構成される。
図1および
図2の実施形態では、バイオマス分離デバイスは、垂直または略垂直に走る中央管31を備え、動作中に、この中央管を通して流体がリアクタタンク10の上側セクションから受け取られる。中央管31の下端は、バイオマス分離デバイス30の底部セクションの、好ましくはバイオマス分離デバイス30の下方の中央位置の、バイオマス収集チャンバ35内に排出する。バイオマス分離デバイスは、中央管31を取り囲み、少なくとも1つの同心キャビティを画定する少なくとも1つの同心エンクロージャ32(
図2においてより見ることができる)をさらに備える。少なくとも1つの同心キャビティは、中央管31の周りに螺旋形状を描く、垂直方向に走る螺旋状チャネル33で満たされる。中央管31は、リアクタタンク10の上側セクションから流体を受け取り、バイオマス分離デバイス30の底部セクションに到達するまで流体が下方に流れることを可能にするように構成される。底部セクションでは、バイオマス収集チャンバ35を形成するキャビティ内で、中央管31から来る流体は、それ自体のエネルギーを使用して回転し、同心キャビティの複数の螺旋状チャネル33を通って上方に移動する空間を有する。螺旋状チャネル33の壁との摩擦により、流体が上方に移動するとき、依然として存在し得るバイオマス(固体)が液体から分離し、より高い密度のために下方に移動し、バイオマス収集チャンバ35内に沈降する。少なくとも1つのエンクロージャは円筒形状を画定してもよく、バイオマス収集チャンバ35は円錐形状または漏斗状形状を有してもよく、漏斗の狭い端部の底部に開口部を有し、固体粒子(バイオマス)の沈降を促進する。
【0045】
[0053]少なくとも1つの同心エンクロージャの上方に配置されたバイオマス分離デバイス30の上部セクションは、装置から上方に流れた清浄な液体を運ぶように構成された流出システム34に接続されてもよい。バイオマス分離デバイス30の上部セクションは、螺旋状チャネル33を通って上方に流れた液体が到達することができる少なくとも2つの区画を作成するための少なくとも1つの分割構造を含むことができ、各区画は流出システム34に接続されている。これにより、バイオマス分離デバイス30の上部に到達する液体の制御された分配を有することが可能になる。
【0046】
[0054]バイオマス分離デバイスは、中央管31を取り囲む少なくとも1つの同心エンクロージャを備えるが、バイオマス分離デバイス30のサイズに応じて、少なくとも2つ以上の同心エンクロージャを備えることもできる。
【0047】
[0055]
図1および
図2の実施形態のバイオマス分離デバイスは1つの可能性であるが、好ましくは同様にリアクタタンクの底部(下部)セクションに配置された、同心キャビティを含まない異なる構造を有するバイオマス分離デバイスが、本発明のバイオマス再循環ユニット20と組み合わせて浄化装置に使用され得ることは、当業者には明らかであることに留意されたい。
【0048】
[0056]流出システム34は、1つ以上の流出管を備えてもよく、
図7Aおよび
図7Bに関連して以下に見られるように、清浄な液体(流出物)を嫌気性浄化装置の外部に持っていってもよく、または清浄な液体の少なくとも一部をリアクタタンクに戻して再循環させてもよい。液体から分離されたバイオマスは、バイオマス抽出ポンプ36およびバイオマス抽出管37を通ってバイオマス収集チャンバ35から持ち出され、これは、バイオマスを装置の外部に持っていってもよく、またはリアクタタンク10に戻してもよい。これについては、
図7Aおよび
図7Bで詳細に説明する。
【0049】
[0057]
図1では、嫌気性浄化デバイスには、ガス分離デバイス40も示されている。スラッジ(バイオマス)床のバイオマスと反応してバイオガスを生成するリアクタタンク10内の流体は、上方に移動する。リアクタタンク10の上側セクションには、流体中の液体およびバイオマスからガスを分離するためのガス分離デバイス40が配置されてもよい。好ましくは、ガス分離デバイス40の上部部分、より好ましくは上縁、または上面は、流体レベル60に、または流体レベルより下に配置され、その結果、リアクタタンク10内の装置の残りの要素は流体レベルより下に配置される。ガス分離デバイス40は、異なる形状を有することができる。本発明の一実施形態では、
図1に見られるように、ガス分離デバイス40は、中央セクションを取り囲む少なくとも1つの同心エンクロージャを備えることができ、少なくとも1つの同心構造は、少なくとも1つの同心キャビティを画定し、少なくとも1つの同心キャビティは、複数の螺旋状チャネルを備え、その結果、リアクタタンク10の上側セクションに到達した流体は、少なくとも1つの同心エンクロージャの上部開口部を通ってガス分離デバイス40に入る。流体が螺旋状チャネルを通って下方に流れるとき、螺旋状チャネルの壁のためにガス粒子が液体および固体から分離し、ガスが上方に移動してリアクタタンク10の上側セクションに収集され、(装置の)リアクタタンクの上側部分に配置されたガス出口42を介して排出される。次いで、液体および固体を含む流体は、バイオマス分離デバイスの中央管31に対応するかまたはそれに接続されたダウナー31に接続する流体出口41を通って下方に流れる。上述のように、
図1および
図2の実施形態のガス分離デバイスは1つの可能性であるが、好ましくは同様にリアクタタンクの上側セクションに配置された、同心キャビティを含まない異なる構造を有するガス分離デバイスが、本発明のバイオマス再循環ユニットと組み合わせて浄化装置に使用され得ることは、当業者には明らかであることに留意されたい。
【0050】
[0058]
図3は、本発明の実施形態によるバイオマス再循環ユニットの断面図を示す。
図3では、
図1および
図2に関連して上述したバイオマス再循環ユニット20の部分、すなわち、入口システム22、バイオマス収集システム24、混合セグメント25および出口システム26をより詳細に見ることができる。
図3でより明確に分かるように、バイオマス収集システム24は、混合セグメント25で終わるかまたはそれと重なる屈曲部を画定する。入口システム22はまた、混合セグメント25に接続され、流入物は、吸引効果によって混合セグメント25に持ち込まれたバイオマスと混合され、次いで、出口システム26を通ってバイオマス再循環ユニットを出る。本実施形態によるバイオマス再循環ユニットは、リアクタタンク内の残りの要素(ガス分離デバイスおよびバイオマス分離デバイス)から分離して配置することができ、既存の嫌気性浄化デバイスに個別に配置することができる。
【0051】
[0059]
図4は、本発明の実施形態による嫌気性浄化装置の垂直断面図を示す。
図5は、本発明の実施形態による嫌気性浄化装置の一部の斜視断面図を示す。
図6は、本発明の実施形態によるバイオマス再循環ユニットの断面図を示す。説明を容易にするため、
図4、
図5および
図6は、並行して説明する。
【0052】
[0060]
図4、
図5および
図6の嫌気性浄化装置は、
図1、
図2および
図3と同様である。バイオマス分離デバイス30およびガス分離デバイス40の説明は、上記の説明と同様であるため省略する。
【0053】
[0061]
図4、
図5および
図6は、
図1、
図2および
図3のものとは異なるいくつかの特徴を有するバイオマス再循環ユニット20を示す。
図4、
図5および
図6のバイオマス再循環ユニット20では、混合セグメント25は混合チャンバ25に対応する。入口システム22は、装置の外部からの流入流体が入る少なくとも1つの供給管27(斜視図のために
図5に見ることができる)を備える。しかしながら、この実施形態による入口システムは、追加の管を有する。入口システムはまた、移送管28と、狭窄ノズル23(
図6においてより明確に見ることができる)を備える少なくとも1つの入口管22とを備える。少なくとも1つの供給管27の第1の端部は流入流体を受け取るように構成され、第2の端部は移送管28に接続される。移送管28は、混合チャンバ25の内部に配置され、混合チャンバの内部を走り、少なくとも1つの入口管22の中で終端するか、または少なくとも1つの入口管22にさらに接続され、その結果、流入流体は移送管28を出て、少なくとも1つの入口管22の狭窄ノズル23を介して混合チャンバ25に入る。入口管の参照番号は、
図1、
図2および
図3に見られるように、最も簡単な実装形態であるため、入口システムの参照番号と同じであり、入口システムは、
図4、
図5および
図6の入口管に対応する入口管を備えることに留意されたい。
【0054】
[0062]混合チャンバ25は、立方体の箱、または例えば
図4、
図5および
図6のようなトロイダル形状もしくは円形ドーナツ形状などの様々な形状を有することができる。混合チャンバ25の位置は、好ましくは、リアクタタンクの底部などのリアクタタンク10の下側部分にあり、より好ましくは少なくとも部分的にバイオマス分離デバイス30の下にある。混合チャンバ25(または混合セグメント)の機能は、バイオマス収集システム24からのバイオマスを流入水と混合し、混合物を出口システム26の1つまたは複数の出口管を介してリアクタタンク10の下側部分に排出することである。この構造により、混合チャンバ25は、1つのバイオマス収集管24を1つの入口管22および1つの出口管26に接続する必要がなくなる。これは、収集管24を有する1つ以上のバイオマス収集システム、狭窄ノズル23を有する入口システム22、および出口管を有する出口システム26を単一の混合チャンバ25に接続することができることを意味する。これはまた、バイオマス再循環ユニット20およびバイオマス分離デバイス30によって形成されるよりコンパクトな構造を可能にする。
【0055】
[0063]少なくとも部分的にバイオマス分離デバイス30の下方に、バイオマス収集チャンバ35が、好ましくはバイオマス分離デバイス30の下方の中央位置に配置される。混合チャンバ25は、好ましくはバイオマス収集チャンバ35を取り囲み、垂直軸線の周りを回転するトロイド形状を有し、バイオマス収集チャンバ35の外壁は、トロイド形状、すなわち混合チャンバ25の内壁と接触するか、またはそれを形成する。この配置は、コンパクトな構造を作り出すので、空間を効率的に利用することを可能にする。一実施形態では、バイオマス分離デバイス30、バイオマス収集チャンバ35、および混合チャンバ25は、単一の構造に構築されるか、または一緒に組み立てられる。
【0056】
[0064]バイオマス再循環ユニット20の入口システム22は、少なくとも1つの供給管27を介して流入水を混合チャンバ25に持っていく。この流入水は、流入物または再循環処理された流出物であり得る装置の外部からの流体を含み、また、バイオマス収集チャンバ35に接続されたバイオマス抽出ポンプ36およびバイオマス抽出管37を通ってデバイスを出て再循環される再循環バイオマスを含むこともできる。混合チャンバ25の内部で、移送管28は供給管27に接続され、移送管28はまた、狭窄ノズル23を有する少なくとも1つの入口管22に接続され、入口管22を通って、流入物は混合チャンバ25に入ることができる。混合チャンバ25の内部は、移送管28が配置されるキャビティを形成し、前記キャビティは、入口管22の狭窄ノズル23を通って混合チャンバ25に入る流入物によって引き起こされる吸引効果により、バイオマス収集システム24によってリアクタタンク10から、より具体的にはリアクタタンクの中間セクションから収集されるバイオマスを収容するように構成される。バイオマス収集システムは、少なくとも1つの収集管、好ましくは
図4に見られるように少なくとも2つの収集管を備えることができる。バイオマスおよび入口水は、混合チャンバ25内で混合され、混合チャンバ25をリアクタタンク10と接続する、出口システムの1つまたは複数の出口管または出口開口部26を通って排出される。混合チャンバ25から排出された流入物とバイオマスとの混合物は、リアクタタンク10の下側セクションに入る。
【0057】
[0065]
図6では、
図4および
図5に関連して上述したバイオマス再循環ユニット20の部分、すなわち、移送パイ28(
図6では見えない)に接続された入口システムの入口管22、バイオマス収集システム24、混合チャンバ25および出口システム26をより詳細に見ることができる。
図6により明確に見られるように、バイオマス収集システム24は、バイオマスを混合チャンバ25に排出する。狭窄ノズル23を備える入口管22はまた、混合チャンバ25内に排出し、流入物は、狭窄ノズル23によって作り出された吸引効果により混合セグメント25に持ち込まれたバイオマスと混合され、次いで、出口システム26を通ってバイオマス再循環ユニットを出る。
【0058】
[0066]
図7Aは、本発明の実施形態による浄化デバイスの垂直断面図を示す。バイオマス収集チャンバ35内に沈降した固体(造粒バイオマス)は、バイオマス抽出管37を通ってバイオマス抽出ポンプ36によってバイオマス収集チャンバから除去される。バイオマスは、装置の外部から受け取った流入物と一緒にバイオマス再循環ユニット20に再導入されるように再循環されてもよい。前の図のいずれか1つに記載された装置に適用することができる
図7Aの実施形態では、前の図では見ることができないリアクタタンク10に入るおよびリアクタタンク10を出る管システムを見ることができる。
【0059】
[0067]
図7Aの実施形態では、装置の外部から受け取った流入物は、流入ポンプ14の助けを借りて、入口システム22(ここではバイオマス再循環ユニット内で排出する長い管を備えて示されている)によって移送される。次いで、この流入物は、入口システムにおいて、バイオマス収集チャンバ35から除去された固体(バイオマス)と混合され、バイオマス抽出ポンプ36によってバイオマス収集チャンバ35からバイオマス抽出管37(
図5にも見ることができる)を通って圧送される。入口システム22を通って、次いで、装置の外部から受け取った流体とバイオマス収集チャンバ35から除去されたバイオマスとが混合され、バイオマス再循環ユニット20に移送される。したがって、
図7Aの実施形態では、液体から分離されたバイオマスは、外部から受け取った流入流体と一緒に混合チャンバ25に戻されて再循環され、次いで、流入流体を含むこのバイオマスは、リアクタタンク10のより高い(中間)セクションから収集された追加のバイオマスと混合チャンバ25内で混合され、リアクタタンク10の下側セクションに入る。
【0060】
[0068]
図7Aの実施形態では、追加的または代替的に、流出システム34を通って装置から除去される清浄な液体(流出物)の一部は、再循環され、外部から受け取った流入物と混合される。外部から受け取った流入物の不純物の量に応じて、清浄な液体の一部を使用することは、反応タンク(リアクタタンク)10の下側セクションで排出される不純物濃度を低減するのに役立ち得る。
【0061】
[0069]
図7Bは、本発明の実施形態による浄化デバイスの垂直断面図を示す。
図7Aとの違いは、
図7Bの実施形態では、バイオマス収集チャンバ35内のバイオマスは、装置の外部からの流入物と共にバイオマス再循環ユニット20に再循環されないという事実にある。
図7Bの実施形態では、バイオマス収集チャンバ35内のバイオマスは、リアクタタンク10に別々に再循環される。これは、バイオマス抽出ポンプ36の作用によってバイオマス抽出管37を使用して行われる。バイオマスは、リアクタタンク内部のスラッジ床に、バイオマスがバイオマス再循環ユニットに収集される高さよりも低い高さで再導入される。
図7Bの実施形態は、分離されたバイオマスを再利用する代替方法を提供する。
【0062】
[0070]
図8は、本発明の一実施形態による方法ステップを説明するフローチャートを示す。まず、本方法は、好ましくは反応タンク10の下側セクションに配置されたバイオマス再循環ユニット20によって、装置の外部からの流入流体およびリアクタタンクの中間セクションからのバイオマスを受け取るステップ801を含む。この受け取るステップは、前の図に関連して上述されている。
【0063】
[0071]ステップ802は、バイオマス再循環ユニット20によって、流入物とバイオマスとの混合物をリアクタタンク10の下側セクションに排出することを含む。上記から分かるように、リアクタタンクのより高いセクションからバイオマスを収集し、それをより低いセクションに再導入する利点は、より低いCOD濃度を有し、より良好に混合されるバイオマスを下側セクションに持っていくことを可能にし、バイオマスと流体とのより良好な混合を達成することを可能にする。
【0064】
[0072]バイオマス再循環ユニット20は、流入流体が入る入口システム22を備え、本方法は、流入流体が狭窄ノズル23を通って入口システム22を出るときに、バイオマスをリアクタタンク10の中間セクションからバイオマス再循環ユニット20に引き出し、流入流体と混合させる吸引効果を作り出すことをさらに含む。
【0065】
[0073]本方法は、好ましくは反応タンクの下側セクションに同様に配置されたバイオマス分離デバイス30によって、反応タンク10の上側セクションから流体を受け取るステップをさらに含むことができる。一実施形態によれば、この流体は、上側セクションに配置されたガス分離デバイス40から来ることができる。本方法は、バイオマス分離デバイス30によって、受け取った流体中の液体から固体(バイオマス)を分離し、バイオマス分離デバイス30によって、バイオマスおよび液体を別々に排出するステップをさらに含むことができる。
【0066】
[0074]本方法のステップは、ステップ801で開始するものとして説明されているが、浄化プロセスは、ステップの流れが繰り返される一定時間の間に連続的に行われ、したがって、ステップは連続しているものと見なされるべきであることに留意されたい。
【0067】
[0075]図面は、例示のみを目的とすることを意味し、特許請求の範囲によって規定される範囲または保護を制限するものとして機能しない。
【0068】
[0076]例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素を等価物で置き換えることができることが当業者には理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むことが意図される。
【0069】
[0077]特に、本発明の様々な態様の特定の特徴の組み合わせを行うことができる。本発明の一態様は、本発明の別の態様に関連して説明した特徴を追加することによってさらに好適に強化することができる。
【0070】
[0078]本発明は、添付の特許請求の範囲およびその技術的等価物によってのみ限定されることを理解されたい。本明細書およびその特許請求の範囲において、「備える」という動詞およびその活用形は、その非限定的な意味で使用され、具体的に言及されていない項目を除外することなく、その単語に続く項目が含まれることを意味する。加えて、不定冠詞「a」または「an」による要素への言及は、文脈が1つおよび要素の1つのみが存在することを明確に要求しない限り、要素の2つ以上が存在する可能性を除外しない。したがって、不定冠詞「a」または「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【符号の説明】
【0071】
1 嫌気性浄化装置
10 リアクタタンク
14 流入ポンプ
20 バイオマス再循環ユニット
22 (バイオマス再循環ユニットの)入口システムまたは入口管
23 狭窄ノズル
24 バイオマス収集システムまたは収集管
25 混合セグメント/チャンバ
26 (バイオマス再循環ユニットの)出口システムまたは出口管
27 (入口システムの)供給管
28 (入口システムの)移送管
30 バイオマス分離デバイス
31 中央管
32 同心エンクロージャ
33 螺旋状チャネル
34 流出システム
35 バイオマス収集チャンバ
36 バイオマス抽出ポンプ
37 バイオマス抽出管
40 ガス分離デバイス
42 ガス出口
60 流体レベル
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクタタンク(10)と、
前記リアクタタンク内部に配置された少なくとも1つのバイオマス再循環ユニット(20)と
を備える、廃水などの流体の嫌気性浄化装置(1)であって、
前記バイオマス再循環ユニット(20)が、
前記リアクタタンク(10)内部の下側セクションに
配置され、当該嫌気性浄化装置の外部から流入流体を受け取るように構成された入口システム(22)と、
前記リアクタタンク(10)の中間セクションからバイオマスを引き出し、前記バイオマスを前記バイオマス再循環ユニット(20)に持っていくように構成されたバイオマス収集システム(24)
であって、前記リアクタタンクの前記中間セクションが前記下側セクションの上方にあり、かつ、前記リアクタタンクの前記中間セクションは、前記リアクタタンクの底部からの高さが前記リアクタタンクの高さの20%~60%の範囲内、より好ましくは25%~50%の範囲内である高さにて一セクションとして画定されている、バイオマス収集システム(24)と、
前記リアクタタンク(10)内部の下側セクションに
配置され、前記入口システム(22)および前記バイオマス収集システム(24)に接続されるように構成され、前記流入流体および前記バイオマスを受け取って混合するように構成された混合セグメント(25)と、
前記混合セグメント(25)に接続され、前記流入流体と前記バイオマスとの混合物を前記リアクタタンク(10)の前記下側セクションに排出するように構成された出口システム(26)と
を備え、
前記入口システム(22)が狭窄ノズル(23)を備え、前記狭窄ノズル(23)は、前記流入流体が前記入口システム(22)から該狭窄ノズル(23)を通って前記混合セグメント(25)に流れるときに、前記バイオマス収集システム(24)に前記リアクタタンク(10)の前記中間セクションから前記混合セグメント(25)に前記バイオマスを引き出させる吸引効果を作り出すように構成されている、嫌気性浄化装置(1)。
【請求項2】
前記リアクタタンク(10)内部の前記下側セクションに配置された少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)をさらに備え、前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイスが、前記リアクタタンク(10)の上側セクションから流体を受け取り、前記流体中の液体からバイオマスを分離し、前記バイオマスおよび前記液体を別々に排出し、当該嫌気性浄化装置外に清浄な液体を排出するように
構成されており、前記上側セクションが前記中間セクションの上方にある、請求項1に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項3】
前記バイオマス収集システム(24)
が、前記リアクタタンク(10)内部の前記中間セクションに上端が配置された少なくとも1つのバイオマス収集管を備え、または前記少なくとも1つのバイオマス収集管に接続されている、請求項1または2に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項4】
前記混合セグメント(25)が混合チャンバ(25)に対応し、前記入口システム(22)が、少なくとも1つの供給管(27)と、移送管(28)と、前記狭窄ノズル(23)を有する少なくとも1つの入口管(22)とを備え、前記少なくとも1つの供給管(27)の第1の端部が前記流入流体を受け取るように構成され、第2の端部が前記移送管(28)に接続され、前記移送管(28)が前記混合チャンバ(25)内部に配置され、前記移送管(28)が前記少なくとも1つの入口管(22)にさらに接続され、その結果、前記流入流体が前記移送管(28)を出て、前記少なくとも1つの入口管(22)の前記狭窄ノズル(23)を介して前記混合チャンバ(25)に入る、請求項1~3のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項5】
前記バイオマス収集システム(24)が、前記バイオマスを前記混合チャンバ(25)に排出し、その結果、前記バイオマスが前記少なくとも1つの入口管(22)の前記狭窄ノズル(23)を介して前記混合チャンバ(25)に入る前記流入流体と混合されるように構成されている、請求項4に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項6】
前記出口システム(26)が、第1の端部で前記混合チャンバ(25)に接続され、第2の端部で前記リアクタタンク(10)の前記下側セクションに排出する少なくとも1つの出口管を備える、請求項4または5に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)が、略垂直な中央管(31)と、前記中央管を取り囲み、少なくとも1つの同心キャビティを画定する少なくとも1つの同心エンクロージャ(32)とを備え、前記中央管が、前記リアクタタンク(10)の前記上側セクションから前記流体を受け取り、前記バイオマス分離デバイスの底部セクションまで前記流体が下方に流れることを可能にするように構成され、前記少なくとも1つの同心キャビティが、前記流体が上方に流れることを可能にし、前記バイオマスを下方にスライドさせるように構成された複数の螺旋状チャネル(33)を備える、請求項2~6のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの同心エンクロージャ(32)の上方に配置された前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)の上部セクションが、当該嫌気性浄化装置から上方に流れた前記清浄な液体を運ぶように構成された流出システム(34)に接続されている、請求項7に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項9】
前記リアクタタンク(10)の前記上側セクションに配置された少なくとも1つのガス分離デバイス(40)をさらに備え、
前記少なくとも1つのガス分離デバイス(40)の流体出口(41)が、前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)の前記中央管(31)に対応するか、または前記中央管(31)に接続されたダウナー管に接続されている、請求項7または8に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)が、前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイス(30)の底部セクションに配置され、前記バイオマスを受け取り、前記バイオマスを前記少なくとも1つのバイオマス分離デバイスの外部に排出するように構成されたバイオマス収集チャンバ(35)を備える、請求項2~9のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項11】
前記バイオマスを前記バイオマス収集チャンバ(35)から前記少なくとも1つのバイオマス再循環ユニット(20)の前記入口システム(22)に持っていくように構成されたバイオマス抽出ポンプ(36)をさらに備える、請求項10に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項12】
前記バイオマスを前記バイオマス収集チャンバ(35)から前記リアクタタンク(10)に持っていくように構成されたバイオマス抽出ポンプ(36)をさらに備える、請求項10に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項13】
複数のバイオマス分離デバイス(30)および複数のバイオマス再循環ユニット(20)を備え、
前記バイオマス分離デバイスおよび前記バイオマス再循環ユニットの各対が、請求項1~12のいずれか一項に従って動作するように構成されている、請求項2~12のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の嫌気性浄化装置(1)による、廃水などの流体の嫌気性浄化のための方法であって、
前記嫌気性浄化装置の前記バイオマス再循環ユニット(20)
の前記入口システム(22)によって、前記嫌気性浄化装置の外部からの流入流体および前記嫌気性浄化装置の前記リアクタタンク(10)の前記中間セクションからのバイオマスを受け取るステップと、
前記リアクタタンク(10)内部に配置された前記バイオマス再循環ユニット(20)内の前記バイオマス収集システム(24)によって、前記リアクタタンク(10)内部の流体からバイオマスを引き出し、そのバイオマスを前記バイオマス再循環ユニットの混合チャンバ(25)内に持っていくステップと、
前記混合セグメント(25)によって、前記流入流体と前記バイオマスとを混合するステップと、
前記バイオマス再循環ユニット(20)
の前記出口システム(26)を通して、前記流入流体と前記バイオマスとの混合物を前記リアクタタンクの前記下側セクションに排出するステップと
を含み、
前記流入流体が前記狭窄ノズル(23)を通って前記入口システム(22)を出るときに、前記バイオマスを前記リアクタタンク(10)の前記中間セクションから前記バイオマス再循環ユニット(20)に引き出し、前記流入流体と混合させる吸引効果を作り出すステップをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項2~13のいずれか一項に記載の嫌気性浄化デバイスによって実施される場合、
前記
リアクタタンク(10)の下側セクションに配置されたバイオマス分離デバイス(30)によって、前記
リアクタタンクの前記上側セクションから流体を受け取るステップと、
前記バイオマス分離デバイス(30)によって、受け取った前記流体中の液体からバイオマスを分離するステップと、
前記バイオマス分離デバイス(30)によって、前記バイオマスおよび前記液体を別々に排出し、前記嫌気性浄化装置から清浄な液体を排出するステップと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】