(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】遮断剤としてのヘパリンリチウム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/531 20060101AFI20240104BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G01N33/531 B
G01N33/569 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533953
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021061431
(87)【国際公開番号】W WO2022119937
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518267573
【氏名又は名称】オルト-クリニカル ダイアグノスティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュ、ブレット
(72)【発明者】
【氏名】コンテスタブル、ポール
(57)【要約】
偽陽性結果を防止するために診断アッセイに使用できる遮断剤が、本明細書において記載される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈剤中に1つ以上の結合剤、およびアッセイ中の非特異的結合を減少させるのに十分な量のヘパリンリチウム、を含むイムノアッセイ試薬。
【請求項2】
前記ヘパリンリチウムは、約1mg/mLの量で存在する、請求項1に記載のイムノアッセイ試薬。
【請求項3】
前記1つ以上の結合剤は、抗原である、請求項1に記載のイムノアッセイ試薬。
【請求項4】
前記抗原は、C型肝炎ウイルス組み換え抗原である、請求項3に記載のイムノアッセイ試薬。
【請求項5】
前記C型肝炎ウイルス組み換え抗原は、NS5、c22-3、c200、またはそれらの組み合わせである、請求項4に記載のイムノアッセイ試薬。
【請求項6】
コンジュゲート試薬をさらに含む、請求項1に記載のイムノアッセイ試薬。
【請求項7】
前記コンジュゲート試薬は、HRPである、請求項6に記載のイムノアッセイ試薬。
【請求項8】
抗微生物剤をさらに含む、請求項1に記載のイムノアッセイ試薬。
【請求項9】
前記抗微生物剤は、プロクリン300である、請求項8に記載のイムノアッセイ試薬。
【請求項10】
C型肝炎ウイルスの存在について分析されるサンプル、および請求項1に記載のイムノアッセイ試薬、を含むサンプル組成物。
【請求項11】
前記サンプルは、血清サンプルである、請求項10に記載のサンプル組成物。
【請求項12】
前記サンプルは、エチレンジアミン四酢酸を含む血漿サンプルである、請求項10に記載のサンプル組成物。
【請求項13】
前記結合剤は、抗原である、請求項10に記載のサンプル組成物。
【請求項14】
サンプル中のC型肝炎ウイルスを検出する方法であって、
当該方法は、
C型肝炎ウイルスの存在について分析されるサンプルを、請求項1に記載のイムノアッセイ試薬と、前記サンプル中に存在する任意のC型肝炎ウイルスおよび前記1つ以上の結合剤の複合体を形成するために、組み合わせることを含み、前記ヘパリンリチウムは、当該方法において非特異的結合を減少させ、
当該方法は、
C型肝炎ウイルスを検出するために、得られた複合体を検出すること、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月3日に出願された米国仮特許出願第63/121,161号の利益を主張し、それぞれの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
免疫診断アッセイに使用される遮断剤、関連する装置およびシステム、ならびにそれらを使用する方法が、本明細書で説明される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
診断アッセイに使用できる遮断剤が、本明細書で説明される。いくつかの実施形態では、診断アッセイはイムノアッセイであり得る。
【0004】
記載された遮断剤は、患者集団において検出される偽陽性結果の割合を低減することができる。
【0005】
遮断剤は、試薬混合物に添加され、またはアッセイ中に試薬として添加され得る。
【0006】
一実施形態では、遮断剤にはヘパリンを含み得る。他の実施形態では、遮断剤はリチウムを含み得る。いくつかの実施形態では、遮断剤はヘパリンリチウムである。
【0007】
いくつかの実施形態では、希釈剤中に、1つ以上の検体結合剤と、検体のサンプルのアッセイ中に、非特異的結合を減少させるのに十分な量の遮断剤とを含むイムノアッセイ試薬が提供される。
【0008】
さらに、検体の存在について分析されるサンプル、検体結合剤、および検体に対するサンプルのアッセイにおいて非特異的結合を減少させるのに十分な量の遮断剤を含むサンプル組成物が提供される。
【0009】
また、サンプル中の検体を、非特異的結合を低減するために遮断剤を用いて、検出する方法が提供される。当該方法は、検体の存在について分析されるサンプルを、遮断剤および1つ以上の検体結合剤と、前記サンプル中に存在する任意の検体と前記検体結合剤との複合体を形成するために組み合わせることを含み、前記遮断剤は非特異的結合を低減させ、当該方法は、検体を検出するために、得られた複合体を検出することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書に記載のアッセイの一般的なフローチャート。
【
図2】ヘパリンリチウムを使用した場合と使用しない場合のアッセイを示すグラフ。
【
図3】ヘパリンリチウムを含むサンプルの分類の保持を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、偽陽性結果を防止するために診断アッセイにおいて使用できる遮断剤について説明する。いくつかの実施形態では、診断アッセイはイムノアッセイであり得る。いくつかの実施形態では、希釈剤中に1つ以上の検体結合剤を含むイムノアッセイ試薬と、検体のためのサンプルのアッセイ中に非特異的結合を減少させるのに十分な量の遮断剤とを含む、組成物およびシステムが提供される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の、診断アッセイおよび/またはイムノアッセイは、結果を達成する任意の方法で実施することができる。いくつかの実施形態では、診断アッセイおよび/またはイムノアッセイは、作業台上アッセイ(benchtop assay)として実施することができる。他の実施形態では、診断アッセイおよび/またはイムノアッセイは、自動または半自動システムで実施することができる。一実施形態では、診断アッセイおよび/またはイムノアッセイは、メインフレーム分析装置上で実行することができる。いくつかの実施形態では、診断アッセイおよび/またはイムノアッセイは、インビトロ試験であり得る。
【0013】
多くの場合、生物標本またはサンプル中の検体の存在および濃度を測定することが望ましい。検体は、分析手順(イムノアッセイなど)で測定される物質または化学成分である。イムノアッセイは、結合パートナーの概念に基づいている。対象の検体は検体結合剤(例えば、検体に対する抗体、または検体に対する受容体など)に結合し、検体および検体結合剤は「結合パートナー」として言及される。
【0014】
検体の存在について分析されるサンプルは、任意の適切なサンプルであり得、好ましくは、血清サンプルまたは血漿サンプルなどの血液サンプルであり得る。血漿は、血液細胞が懸濁された血液の液体成分である。血液サンプル中の血液細胞から血漿を分離する簡単な方法は、遠心分離によるものである。血清とは、液体成分を単離する前に血液を凝固させることによって凝固因子が自然に除去された血漿を指す。血漿サンプルは、ヘパリンナトリウム、クエン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、シュウ酸カリウムまたはEDTA(エチレンジアミン四酢酸)カリウムなどの抗凝固剤を含む血管から得られ得る。血漿サンプルの場合、血漿は、抗凝固剤を使用して得られ得る。
【0015】
多くのイムノアッセイでは、検体結合剤は抗体である。このような抗体は、しばしば緩衝液などの希釈剤中で提供される。抗体は、例えばIgGまたはIgMを含む任意の免疫グロブリンクラスのものでよい。抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体でよい。サンプル中に存在する対象の検体は、固定化された捕捉抗体に結合することができ、次いで標識された抗体が、または複数の抗体が次々に、捕捉された検体に結合する。標識は当技術分野で公知の任意のものであってよく、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼを含む。検出された信号は、サンプル中に存在する検体の量を示す。検出方法は、選択された標識の種類に依存し、熱量測定法、蛍光測定法、または化学発光法を含むことができる。
【0016】
また、イムノアッセイの偽陽性率を低減する方法、または特異度を改善する方法が記載される。一実施形態では、低減は、C型肝炎抗体の検出のためのものであり得る。アッセイ試薬へのヘパリン(例えば、ヘパリンリチウム)の添加は、これを達成し得る。偽陽性結果の防止は、非特異的結合相互作用を防止することの結果であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法、組成物、およびシステムは、ヒト血清および/または血漿中のC型肝炎ウイルスに対する免疫グロブリンG抗体(抗HCV)のインビトロ定性的検出に使用し得る。いくつかの実施形態では、検出は、ビトロス(VITROS)ECi/ECiQ/3600免疫診断システムまたはビトロス5600/XT7600統合システムを使用する。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法、組成物およびシステムは、スライドまたは乾燥スライド上などでの側方流動アッセイで使用され得る。このような実施形態では、遮断剤は、分析前または分析中に、スライド上に添加され得る。いくつかの実施形態では、遮断剤は、スライド内またはスライド上の、流路またはウェルにコーティングとして添加され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法、組成物、およびシステムは、ヒト血清および/または血漿の分析が望まれる、診療現場のシステム(point of care systems)において使用され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法、組成物、およびシステムは、自動分析装置で使用され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、遮断剤は、サンプルをテストするために、必要に応じて側方流動アッセイスライドまたはチップに添加され得る。
【0022】
アッセイ結果は、他の実験結果および臨床情報と併せて、肝炎の徴候または症状を有する人およびC型肝炎感染の危険性のある人におけるC型肝炎ウイルス感染の証拠を提供するために使用され得る。さらに、本明細書に記載のアッセイは、妊婦におけるC型肝炎感染をスクリーニングして、出生前期間中にHCVに感染する危険性が高い新生児を同定することに使用され得る。
【0023】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、現在、血液由来の非A、非B肝炎(NANBH)の、全部ではないが、大分部の原因となる病原体であることが知られている。研究は、HCVが、汚染された血液および血液製剤を介して、輸血を介して、またはその他の密接な個人的接触を介して、伝染することを示す。抗HCVの存在は、ある個体が、HCVに感染した可能性があり、HCV感染を伝播する能力がある可能性があることを示す。3つの組み換えC型肝炎ウイルスにコードされた抗原(c22-3、c200およびNS5)を使用して、HCVを検出することができる。組み換えタンパク質c22-3は、HCVゲノムの推定上のコア領域にコードされる。HCV組み換えタンパク質c200は、HCVゲノムの推定上のNS3領域およびNS4領域にコードされる。c200タンパク質は、c100-3タンパク質配列に遺伝子学的に連結されたc33cタンパク質配列を含む。研究は、HCV感染後に発現する抗体が、しばしばc22-3および/またはc33cと反応性であることを示している。HCV組み換えタンパク質NS5は、HCVゲノムの推定上のNS5領域にコードされる。HCVに感染したかなりの割合の人は、NS5に対する抗体を発現する。3つのHCV組み換え抗原すべてに対する宿主生物は、S.セレビシエ(酵母)である。
【0024】
いくつかの実施形態では、検出に使用される組成物は、3つの組み換えC型肝炎ウイルスにコードされた抗原を含み得る。他の実施形態では、1つまたは2つを使用することができる。いくつかの実施形態では、c22-3、c200およびNS5が使用される。他の実施形態では、c22-3およびc200、またはc22-3およびNS5、またはc200およびNS5が使用される。さらに他の実施形態では、c22-3、c200またはNS5が使用される。
【0025】
C型肝炎(HCV)は、しばしば肝臓に影響を及ぼし、患者のケアと世界の血液供給の両方にとって大きな懸念事項である。この感染は、患者の血液中にHCV抗体を生成し、これは診断用イムノアッセイによって捕捉および検出され得る。これらのイムノアッセイは、感染患者および血液サンプルを特定する上で重要な役割を果たす。これらのアッセイは、非常に感度が高く特異的であるように設計されているが、偽陽性の結果が現実にある。偽陽性結果は、試験サンプル中に実際にはHCV抗体が存在しない場合で、イムノアッセイなどの診断ツールが陽性結果を与えるときに、生じる。これらの偽陽性結果は、非特異的結合を含むがこれに限定されない様々な理由で発生する可能性がある。
【0026】
非特異的結合は、サンプル中の化合物がアッセイによって、捕捉され、検出される場合に、その化合物が標的検体ではない(すなわち、HCV抗体ではない)ときに生じる。本明細書に記載の遮断剤は、これらの偽陽性を最小限にするためにアッセイ試薬製剤に含まれ得る。
【0027】
記載された遮断剤は、サンプル中および/または患者集団全体にわたって検出される偽陽性結果の比率を低減し得る。
【0028】
遮断剤は、試薬混合物に添加され得、またはアッセイ中に試薬として添加され得る。
【0029】
一実施形態では、遮断剤は、これらに限定されないが、ヘパリン、コンドロイチン、デルマタン、ケラチン、およびヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを含み得る。一実施形態では、グリコサミノグリカンは、ヘパリンである。そのヘパリンは、金属イオンなどの金属と配位結合され得る。金属は、I族元素などのアルカリ金属であり得る。金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、フランシウム、またはセシウムを含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、遮断剤は、リチウムを含み得る。いくつかの実施形態では、遮断剤は、ヘパリンリチウムである。
【0031】
ヘパリンリチウムは、グリコソアミノグリカンとして分類される負に帯電した多糖ポリマーであり、哺乳類の組織内で生成され、貯蔵される。
【化1】
【0032】
本明細書に記載のヘパリンは、偽陽性の減少をもたらす鎖長を有し得る。いくつかの実施形態では、nは1-100、1-1,000、または1-10,000であり得る。
【0033】
ヘパリンは、ヒトの凝固過程においていくつかの補因子と相互作用するため、抗凝固剤として医学で利用されている。ヘパリンリチウムは、ヘパリンのリチウム塩である。
【0034】
遮断剤は、検体に対するサンプルのアッセイにおいて非特異的結合を減少させるのに十分な量で提供される。遮断剤がヘパリンリチウムである場合、その量は、好ましくは約0.25mg/mLから約4mg/mL(約0.025%から約0.4%に相当)である。
【0035】
いくつかの実施形態では、免疫測定技術が使用される。このような技術には2段階の反応が含まれる。第1段階では、サンプル中に存在するHCV抗体が、ウェル上にコーティングされたHCV組み換え抗原と結合する。未結合のサンプルは洗浄により除去される。第2段階では、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識された抗体コンジュゲート(マウスモノクローナル抗ヒトIgG)が、第1段階でウェル上に捕捉されたヒトIgGに結合する。未結合のコンジュゲートは洗浄により除去される。
【0036】
結合したHRPコンジュゲートは、発光反応によって測定される。発光基質(ルミノール誘導体および過酸塩)および電子伝達剤を含む試薬がウェルに添加される。結合したコンジュゲート中のHRPは、ルミノール誘導体の酸化を触媒し、光を生成する。電子移動剤(置換アセトアニリド)は、生成される光のレベルを増加させ、その発光を延長する。光信号はシステムによって読み取られる。結合したHRPコンジュゲートの量は、サンプル中に存在する抗HCVのレベルを示す。
【0037】
試薬組成物は、緩衝液中の診断試薬と組み合わせて、本明細書に記載の遮断剤を含み得る。いくつかの実施形態では、それらの診断試薬は免疫診断試薬である。
【0038】
他の実施形態では、試薬組成物は、本明細書に記載の遮断剤、標識されたタンパク質、および緩衝液中の抗原を含み得る。
【0039】
他の実施形態では、試薬組成物は、本明細書に記載の遮断剤、HRPで標識されたタンパク質、および緩衝液中の抗原を含み得る。
【0040】
他の実施形態では、試薬組成物は、本明細書に記載の遮断剤、HRPで標識されたタンパク質、抗微生物剤、および緩衝液中の抗原を含み得る。
【0041】
他の実施形態では、試薬組成物は、本明細書に記載の遮断剤、HRPで標識されたタンパク質、および緩衝液中のHCVにコードされた抗原を含み得る。
【0042】
他の実施形態では、試薬組成物は、本明細書に記載の遮断剤、HRPで標識されたタンパク質、抗微生物剤、および緩衝液中のHCVにコードされた抗原を含み得る。
【0043】
他の実施形態では、試薬組成物は、本明細書に記載の遮断剤、HRPで標識されたIgG、および緩衝液中のHCVにコードされた抗原を含み得る。
【0044】
他の実施形態では、試薬組成物は、本明細書に記載の遮断剤、HRPで標識されたIgG、抗微生物剤、および緩衝液中のHCVにコードされた抗原を含み得る。
【0045】
他の実施形態では、試薬組成物は、ヘパリンリチウム、標識されたタンパク質、および緩衝液中の抗原を含み得る。
【0046】
他の実施形態では、試薬組成物は、ヘパリンリチウム、HRPで標識されたタンパク質、および緩衝液中の抗原を含み得る。
【0047】
他の実施形態では、試薬組成物は、ヘパリンリチウム、HRPで標識されたタンパク質、抗微生物剤、および緩衝液中の抗原を含み得る。
【0048】
他の実施形態では、試薬組成物は、ヘパリンリチウム、HRPで標識されたタンパク質、および緩衝液中のHCVにコードされた抗原を含み得る。
【0049】
他の実施形態では、試薬組成物は、ヘパリンリチウム、HRPで標識されたタンパク質、抗微生物剤、および緩衝液中のHCVにコードされた抗原を含み得る。
【0050】
他の実施形態では、試薬組成物は、ヘパリンリチウム、HRPで標識されたIgG、および緩衝液中のHCVにコードされた抗原を含み得る。
【0051】
他の実施形態では、試薬組成物は、ヘパリンリチウム、HRPで標識されたIgG、抗微生物剤、および緩衝液中のHCVにコードされた抗原を含み得る。
【0052】
記載したように、3つの組み換えC型肝炎ウイルスにコードされた抗原(c22-3、c200およびNS5)は、HCVを検出するために使用できる。使用される場合、
図1と同様の反応スキームが使用され、3つの抗原のそれぞれが、HRPで標識された抗ヒトIgGを使用して測定される。
【0053】
いくつかの実施形態では、HCVを検出するために使用される試薬は、酵母(S.セレビシエ)由来のC型肝炎ウイルス組み換え抗原(NS5、c22-3、c200)、試薬(2-クロロアセトアミド抗微生物剤を含む緩衝液)、抗微生物剤(1%プロクリン300w/w)を含む緩衝液中のコンジュゲート試薬(HRPマウスモノクローナル抗ヒトIgG、1.04ng/ウェル)、およびヘパリンリチウムを含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、HCVを検出するために使用される試薬は、酵母(S.セレビシエ)由来のC型肝炎ウイルス組み換え抗原(NS5、c22-3、c200)、18.2mLのアッセイ試薬(2-クロロアセトアミド抗微生物剤を含む緩衝液)、抗微生物剤(1%プロクリン300w/w)を含む緩衝液中の20.6mLコンジュゲート試薬(HRPマウスモノクローナル抗ヒトIgG、1.04ng/ウェル)、およびヘパリンリチウムを含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、C型肝炎ウイルス組み換え抗原(NS5、c22-3、c200)は、100ウェルプレート内のウェルなどのウェル上にコーティングされ得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、遮断剤を含む試薬パックは、安定性を保つために冷蔵保存される。
【0057】
いくつかの実施形態では、HCVイムノアッセイ用のアッセイ試薬にヘパリンリチウムなどのヘパリンを含めることは、偽陽性の発生を著しく減少させ得る。ヘパリンは、血清または血漿サンプル内の化合物に結合する可能性があり、それは、結合しない場合は、偽陽性アッセイ結果につながる、非特異的結合事象の原因となり得る。ヘパリンリチウムを含むヘパリンの、免疫診断アッセイの試薬の製剤中への添加は、アッセイの全体的な特異度を高める、偽陽性の発生率を低下させ得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、アッセイにヘパリンリチウムを含めることは、偽陽性率を、約70%を超えて、約80%を超えて、約85%を超えて、約86%を超えて、約90%を超えて、または約95%を超えて、減少させることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ヘパリンリチウムは、アッセイの感度に影響を与えない。
【0060】
いくつかの実施形態では、ヘパリンリチウムは、真陽性サンプルを検出するアッセイの能力に作用しない。
【0061】
いくつかの実施形態では、ヘパリンリチウムは、アッセイの特異度を増加させ得る。いくつかの実施形態では、特異度は、約0.05%を超えて、約0.1%を超えて、約0.2%を超えて、約0.3%を超えて、約0.4%を超えて、または約0.5%を超えて、増加し得る。
【0062】
また、サンプル中の検体を検出する方法であって、検体の存在について分析されるサンプルを、遮断剤および検体結合剤と、サンプル中に存在する任意の検体と検体結合剤との複合体を形成するために、組み合わせること含み、遮断剤は、当該方法において非特異的結合を減少させ、当該方法は、検体を検出するために、結果として生じる複合体を検出すること、を含む方法が提供される。一実施形態では、サンプルは遮断剤と混合され、次いで、得られたサンプルは検体結合剤と混合される。別の実施形態では、サンプルは検体結合剤と混合され、次いで、得られたサンプルは遮断剤と混合される。さらに別の実施形態では、検体結合剤は、希釈剤中の検体結合剤および遮断剤を含むイムノアッセイ試薬として提供され、イムノアッセイ試薬はサンプルと混合される。
【0063】
実施例1
ヘパリンリチウムは、ビトロス免疫診断製品HCVアッセイのアッセイ試薬に0.04から0.10%w/vの濃度で添加される。次に、そのアッセイを使用して、このアッセイを使用した場合に偽陽性結果を与えることが知られている一連の112個のサンプルを分析する。これらのサンプルは、以前にビトロスHCVアッセイで陽性として検査されたが、免疫ブロット法および/または核酸検査(NAT)によって陰性であることが証明された。ヘパリンリチウムをアッセイの試薬に添加すると、これらの112個のサンプルのうち16個だけが偽陽性の結果を出し続ける。
【0064】
図1は、この研究の結果を示す。x軸はサンプルID番号を表し、y軸はシグナル対カットオフ値(S/C)を表す。結果>1.0S/Cである任意のサンプルは、ビトロスHCVアッセイである、このアッセイにおいて陽性であるとみなされる。対照データセットは未修正アッセイで得られた結果であり、一方、ヘパリンリチウムデータ点は、アッセイがアッセイ試薬中にヘパリンリチウム添加剤を含む場合の同じサンプルの結果である。これは、ヘパリンリチウムの添加が偽陽性率を減少させることを示唆している。
【0065】
実施例2
ヘパリンリチウムはアッセイの感度に大きな影響を与えない。換言すれば、それは真陽性サンプルを検出する、アッセイの能力には影響を及ぼさない。陽性結果の1.0S/Cカットオフに近い4人の抗体陽転パネルメンバー(初期免疫応答の発生中に最近感染したドナーから採取されたサンプル)を調査する。結果を
図2に示す。
【0066】
左側の棒の結果は、市販のビトロスHCVアッセイによって得られた結果であり、右側の棒の結果は、ヘパリンリチウム添加剤を用いたこのアッセイによるものである。ヘパリンの添加は、これら4つの陽性サンプルのいずれの区分も変化させなかった。
【0067】
実施例3
ヘパリンリチウムの添加は、アッセイの特異度を高めることができる。一千の推定陰性患者サンプルを市販のビトロスHCVアッセイで分析し、次いでヘパリンリチウム添加剤を用いた同じアッセイで再び分析する。特異度は99.80%から99.90%に増加する。このアッセイおよび同様の診断製品は、毎年何百万もの患者と血液サンプルのスクリーニングに使用されている。この偽陽性の減少には、年間何万もの結果を訂正できる可能性がある。
【0068】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、特に断りのない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲中で示される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、および均等論の適用を特許請求の範囲に限定するものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数を考慮し、および通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の実施例中で示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定で見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0069】
本発明の説明の文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)中で使用される用語「a」、「an」、「the」および同様の指示対象は、本明細書に別段の指示がある場合、または文脈と明らかに矛盾する場合を除き、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の記述は、その範囲内にあるそれぞれの個別の値を個別に参照する簡略的な方法としての機能を果すことを単に意図している。本明細書に別段の指示がない限り、個々の値は、あたかも本明細書に個別に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行され得る。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを目的としており、別途請求される本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書のいかなる言語も、特許請求されていない、本発明の実施に必須の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0070】
本明細書に開示される本発明の代替要素または実施形態のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループの構成要素は、個別に、またはグループの他の構成要素または本明細書に見られる他の要素と任意に組み合わせて参照および特許請求されてもよい。利便性および/または特許性の理由から、グループの1以上の構成要素がグループに含まれたり、グループから削除されたりする可能性があることが予想される。そのような包含または削除が起きた場合、明細書は、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの書面による記載を満たすように変更されたグループを含むものとみなされる。
【0071】
本明細書において、発明者に知られている本発明を実施するための最良の態様を含む、本発明の特定の実施形態が記述される。当然、これらの記述された実施形態の変形は、前述の記述を読むことで当業者にとって明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適宜採用することを期待しており、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることを意図している。従って、本発明は、適用される法律によって許可されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての修正および均等物を含む。さらに、それらの全ての可能な変形における上述の要素の任意の組み合わせは、明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0072】
さらに、多数の参照が、本明細書全体を通じて、特許および印刷された出版物に対してなされた。上で引用した参照および印刷された出版物のそれぞれは、その全体が参照により個別に本明細書に組み込まれる。
【0073】
最後に、本明細書に開示される本発明の実施形態は、本発明の原理を明らかにするであることを理解されたい。採用されてもよい他の修正は、本発明の範囲内である。従って、限定ではなく例として、本発明の代替構成を本明細書の教示に従って利用してもよい。従って、本発明は、図示され説明されたものに厳密に限定されない。
【0074】
(付記)
(付記1)
希釈剤中に1つ以上の結合剤、およびアッセイ中の非特異的結合を減少させるのに十分な量のヘパリンリチウム、を含むイムノアッセイ試薬。
【0075】
(付記2)
前記ヘパリンリチウムは、約1mg/mLの量で存在する、付記1に記載のイムノアッセイ試薬。
【0076】
(付記3)
前記1つ以上の結合剤は、抗原である、付記1に記載のイムノアッセイ試薬。
【0077】
(付記4)
前記抗原は、C型肝炎ウイルス組み換え抗原である、付記3に記載のイムノアッセイ試薬。
【0078】
(付記5)
前記C型肝炎ウイルス組み換え抗原は、NS5、c22-3、c200、またはそれらの組み合わせである、付記4に記載のイムノアッセイ試薬。
【0079】
(付記6)
コンジュゲート試薬をさらに含む、付記1に記載のイムノアッセイ試薬。
【0080】
(付記7)
前記コンジュゲート試薬は、HRPである、付記6に記載のイムノアッセイ試薬。
【0081】
(付記8)
抗微生物剤をさらに含む、付記1に記載のイムノアッセイ試薬。
【0082】
(付記9)
前記抗微生物剤は、プロクリン300である、付記8に記載のイムノアッセイ試薬。
【0083】
(付記10)
C型肝炎ウイルスの存在について分析されるサンプル、および付記1に記載のイムノアッセイ試薬、を含むサンプル組成物。
【0084】
(付記11)
前記サンプルは、血清サンプルである、付記10に記載のサンプル組成物。
【0085】
(付記12)
前記サンプルは、エチレンジアミン四酢酸を含む血漿サンプルである、付記10に記載のサンプル組成物。
【0086】
(付記13)
前記結合剤は、抗原である、付記10に記載のサンプル組成物。
【0087】
(付記14)
サンプル中のC型肝炎ウイルスを検出する方法であって、
当該方法は、
C型肝炎ウイルスの存在について分析されるサンプルを、付記1に記載のイムノアッセイ試薬と、前記サンプル中に存在する任意のC型肝炎ウイルスおよび前記1つ以上の結合剤の複合体を形成するために、組み合わせることを含み、前記ヘパリンリチウムは、当該方法において非特異的結合を減少させ、
当該方法は、
C型肝炎ウイルスを検出するために、得られた複合体を検出すること、
を含む方法。
【国際調査報告】