(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】放射性物質を含む流体を処理するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/06 20060101AFI20240104BHJP
G21F 9/10 20060101ALI20240104BHJP
G21F 9/28 20060101ALI20240104BHJP
G21F 9/16 20060101ALI20240104BHJP
G21C 19/40 20060101ALI20240104BHJP
G21F 3/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G21F9/06 Z
G21F9/10 B
G21F9/28 501Z
G21F9/06 541
G21F9/16 511A
G21C19/40 300
G21F9/28 521Z
G21F3/00 Z
G21F9/06 501Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535069
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 US2021062601
(87)【国際公開番号】W WO2022125772
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520426519
【氏名又は名称】アトキンス エナジー プロダクツ アンド テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATKINS ENERGY PRODUCTS & TECHNOLOGY, LLC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217113
【氏名又は名称】高坂 晶子
(72)【発明者】
【氏名】グラハム ゴーワー タッカー
(72)【発明者】
【氏名】ギャレス ヒュー リチャードソン
(57)【要約】
水、放射性粒子、溶解イオン、および中性子吸収体を含む流体を処理するためのプロセスおよびシステムが提供される。流体は、放射性成分を回収する切断ゾーンから受け取られる。プロセスは、流体を晶析ユニット内に受け取ることであって、水、放射性粒子、および当該流体内に溶解した中性子吸収体を含む流体を受け取ることと、流体を当該流体の凝固点未満に冷却して、水を含む第1の結晶を形成し、第1の結晶よりも密度の高い第2の結晶であって、中性子吸収体を含む第2の結晶を形成することと、第1の結晶を、第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンから分離することとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性成分を回収する切断ゾーンから受け取られた流体であって、水、放射性粒子、溶解イオン、および中性子吸収体を含む流体を処理するプロセスであって、
流体を晶析ユニット内に受け取ることであって、前記水、前記放射性粒子、および当該流体内に溶解した前記中性子吸収体を含む流水を受け取ることと、
前記流体を当該流体の凝固点未満に冷却して、前記水を含む第1の結晶を形成し、前記第1の結晶よりも密度の高い第2の結晶であって、前記中性子吸収体を含む第2の結晶を形成することと、
前記第1の結晶を、前記第2の結晶、前記放射性粒子、および前記溶解イオンから分離することと
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記中性子吸収体はホウ酸である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記放射性粒子の硬化速度が0.5~2mhr
-1である、請求項1~2のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記晶析ユニット内に前記流体が受け取られる前に、前記流体から固形懸濁粒子を除去することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記晶析ユニット内に前記流体が受け取られる前に、前記流体を、当該流体の凝固点より高い温度に予備冷却することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記晶析ユニットの冷却面から、前記第1の結晶および前記第2の結晶の少なくとも一方を機械的に廃棄することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記晶析ユニットから、前記第1の結晶を機械的に除去することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の結晶を洗浄して前記第1の結晶の表面を浄化し、前記第1の結晶の前記表面上に同伴された前記放射性粒子および前記流体の量を減少させることを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1の結晶を溶融して浄化水を形成し、前記浄化水を前記切断ゾーンに再循環させることを含む、請求項7または8に記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも1つのポンプを用いて、前記晶析ユニットを通して、析出閾値よりも大きい速度に前記流体を維持することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記晶析ユニットの底部から、前記第2の結晶、前記放射性粒子、および前記溶解イオンを除去することと、重力沈降、沈降、または増強された沈降分離のうちの少なくとも1つを使用して、セパレータ内で、前記放射性粒子および前記溶解イオンから前記第2の結晶を分離することとを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記増強された沈降分離が、ハイドロサイクロニングまたは遠心分離である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記プロセスの少なくとも1つの態様において、前記放射性粒子に対する遮蔽を提供することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
原子炉切断ゾーンから受け取られる流体であって、水、放射性粒子、溶解イオン、および中性子吸収体を含む流体を処理するシステムであって、
前記放射性粒子を含有する前記流体を冷却する少なくとも1つの熱交換器と、
前記少なくとも1つの熱交換器を通して、析出閾値よりも大きい速度で前記流体を圧送するように構成された少なくとも1つのポンプと、
前記少なくとも1つの熱交換器によって初めに冷却された前記流体を、前記流体の凝固点よりも低い温度に冷却して、前記水を含む第1の結晶を形成し、前記中性子吸収体を含む第2の結晶を形成するように構成された晶析ユニットであって、前記晶析ユニットから前記第1の結晶を除去する機械的デバイスと、冷却された流体、前記第2の結晶、放射性粒子、および前記溶解イオンを排出するための出口とを備える、晶析ユニットと、
前記晶析ユニット内の前記流体から、形成された前記第1の氷晶および前記第2の氷晶のうちの少なくとも一方を除去する少なくとも1つのスクレーパと、
前記第1の氷晶上に同伴された小粒子を、表面水を用いて低減するように構成された洗浄システムと、
前記洗浄された氷晶を溶融するように構成されたメルターと
を備える、システム。
【請求項15】
前記溶融した氷晶が前記原子炉切断ゾーンに戻される前に、前記溶融した氷晶を処理するように構成された流体処理システムを備える、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記晶析ユニットから底部生成物を受け取って前記底部生成物を分離する沈殿槽と、
前記沈殿槽からの上澄みを処理するように構成された上澄み処理システムと
を備える請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムの1つまたは複数の態様について遮蔽を提供するように構成された1つまたは複数の遮蔽要素を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記冷却された流体、前記第2の結晶、放射性粒子、および前記溶解イオンを、前記晶析ユニットから受け取るように構成された第2段階晶析ユニットを備え、
前記第2段階晶析ユニットは、前記冷却された流体、前記第2の結晶、放射性粒子、および前記溶解イオンの温度を前記中性子吸収体の飽和点未満に低下させて、水を含む第3の結晶と、前記中性子吸収体を含む第4の結晶とを沈殿させるための熱交換器を備え、
前記第2段階晶析ユニットは、前記第3の結晶を除去する第2の機械装置と、冷却された流体、前記第2の結晶、前記第4の結晶、放射性粒子、および前記溶解イオンを排出する第2の出口とを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2の出口から排出された前記冷却された流体、前記第2の結晶、前記第4の結晶、放射性粒子、および前記溶解イオンを、結晶リッチスラリーおよび液濃縮物に分離するセパレータを備え、前記結晶リッチスラリーは、前記第2の結晶および前記第4の結晶を含み、前記液濃縮物は、前記冷却された流体、放射性粒子、および前記溶解イオンを含む、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照および優先権の主張】
【0001】
本出願は、2020年12月9日に出願された米国仮特許出願第63/123,321号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の態様は、流体処理の分野に関し、特に、いくつかの実施形態において、本開示の態様は、放射性物質を含む流体を処理するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
原子炉内に燃料が捕集されていることを意味する原子炉の故障時、または廃炉時には、多くの技術的課題がある。多くの場合、燃料は崩壊熱下で高温に達して溶融し、当該燃料を保持する筐体、支持構造、およびあらゆる格納構造が破壊される。冷却後には、凝固した核燃料、核分裂生成物、燃料棒筐体、減速材棒、鋼板、およびコンクリートの混合物が結果として残り、これらを回収および/またはセグメント化して貯蔵することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃炉時における原子炉の冷却は、燃料溶融物へ水を添加することによって行われる。その際、使用済みの冷却水は原子炉から除去された後、処理され、原子炉に再循環される。この水は放射性種で汚染されているが、活性が低いため、従来の処理プロセスを処理するために使用することはできる。本出願の各態様は、溶融物を回収可能な部分に切断しようとするときの状況に関する。切断プロセスは水中で行われ、切断の副産物として、冷却水は高放射性粒子で汚染される。高放射性粒子は、以下の理由により、従来の処理プロセスと適合しないことがある。
・高レベルの放射線により、ポリマーの場合、構造の材料が劣化することになる
・フィルターおよびストレーナーに粒子が詰まることがある
・イオン交換材料が過剰となり、劣化することになる
・複雑なシステムは急速に汚染されることになる
【0005】
さらに、減圧蒸留技術と比較すると、凍結結晶化によれば、消費エネルギーを大幅に減少させることができる場合もある。
【0006】
いくつかの実施形態において、廃棄物を最小限にする目的で冷却水を再利用することができ、貯蔵の制限を解決することができる。
【0007】
いくつかの実施形態において、本出願の態様は、十分に透明な冷却水を還流することができるので、遠隔切断操作を水中で観察することができる。
【0008】
一態様によれば、原子炉切断ゾーンから受け取られた流体であって、放射性粒子を含む流体を処理するシステムが提供される。システムは、放射性粒子を含有する流体を冷却するための少なくとも1つの熱交換器と、少なくとも1つの熱交換器を通して、析出閾値よりも大きい速度で流体を圧送するように構成された少なくとも1つのポンプと、少なくとも1つの熱交換器によって初めに冷却された流体を、流体の凝固点未満の温度にまで冷却するように構成された晶析ユニットと、形成された氷晶を晶析ユニット内の流体から除去するための少なくとも1つのスクレーパと、氷晶によって同伴された小粒子を、表面水を用いて低減するように構成された洗浄システムと、原子炉切断ゾーンに還流する流体内へと、洗浄された氷晶を溶融するように構成されたメルターとを含む。
【0009】
実施形態は、上記の特徴の組み合わせを含むことができる。
【0010】
別の態様によれば、原子炉切断ゾーンから受け取られる流体であって、水、放射性粒子、溶解イオン、および中性子吸収体を含む流体を処理するシステムが提供される。本システムは、放射性粒子を含有する流体を冷却する少なくとも1つの熱交換器と、少なくとも1つの熱交換器を通して、析出閾値よりも大きい速度で流体を圧送するように構成された少なくとも1つのポンプと、少なくとも1つの熱交換器によって初めに冷却された流体を、流体の凝固点よりも低い温度に冷却して、水を含む第1の結晶を形成し、中性子吸収体を含む第2の結晶を形成するように構成された晶析ユニットであって、晶析ユニットから第1の結晶を除去するための機械的デバイスと、第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンを排出するための出口とを備える、晶析ユニットと、晶析ユニット内の流体から形成された第1の氷晶および第2の氷晶のうちの少なくとも一方を除去するための少なくとも1つのスクレーパと、第1の氷晶によって同伴された小粒子を、表面水を用いて低減するように構成された洗浄システムと、原子炉切断ゾーンに還流される精製された流体内へと、洗浄された氷晶を溶融するように構成されたメルターとを備える。
【0011】
一実施形態において、システムは、溶融された氷晶が原子炉切断ゾーンに還流される前に、溶融した氷晶を処理するように構成された流体処理システムを備える。
【0012】
一実施形態において、システムは、晶析ユニットから底部生成物を受け取って底部生成物を分離する沈殿槽と、沈殿槽からの上澄みを処理するように構成された上澄み処理システムとを備える。
【0013】
一実施形態において、システムは、システムの1つまたは複数の態様について遮蔽を提供するように構成された1つまたは複数の遮蔽要素を備える。
【0014】
一実施形態において、システムは、冷却された流体、第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンを、晶析ユニットから受け取るように構成された第2段階晶析ユニットを備え、第2段階晶析ユニットは、冷却された流体、第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンの温度を中性子吸収体の飽和点未満に低下させて、水を含む第3の結晶と、中性子吸収体を含む第4の結晶とを沈殿させるための熱交換器を備え、第2段階晶析ユニットは、第3の結晶を除去するための第2の機械装置と冷却された流体、第2の結晶、第4の結晶、放射性粒子、および溶解イオンを排出する第2の出口を備える。
【0015】
一実施形態において、システムは、冷却された流体、第2の結晶、第4の結晶、放射性粒子、および第2段階晶析ユニットの第2の出口から排出された溶解イオンを、結晶リッチスラリーおよび液濃縮物に分離するセパレータを備え、結晶リッチスラリーは、第2の結晶および第4の結晶を含み、液濃縮物は、冷却された流体、放射性粒子、および溶解イオンを含む。
【0016】
実施形態は、上記の特徴の組み合わせを含むことができる。
【0017】
別の態様によれば、放射性成分を回収するための切断ゾーンから受け取られた流体であって、水、放射性粒子、溶解イオン、中性子吸収体を含む流体を処理するプロセスであって、流体を晶析ユニット内に受け取ることであって、水、放射性粒子、および当該流体内に溶解した中性子吸収体を含む流水を受け取ることと、流体を当該流体の凝固点未満に冷却して、水を含む第1の結晶を形成し、中性子吸収体を含む第2の結晶であって、第1の結晶よりも密度の高い第2の結晶を形成することと、第1の結晶を、第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンから分離することとを含むプロセスが提供される。
【0018】
一実施形態において、中性子吸収体はホウ酸である。
【0019】
一実施形態において、放射性粒子の硬化速度が0.5~2mhr-1である。
【0020】
一実施形態において、プロセスは、晶析ユニット内に流体が受け取られる前に、流体から固形懸濁粒子を除去することを含む。
【0021】
一実施形態において、プロセスは、晶析ユニットに流体が受け取られる前に、流体を、流体の凝固点より高い温度に予備冷却することを含む。
【0022】
一実施形態において、プロセスは、晶析ユニットの冷却面から、第1の結晶および第2の結晶の少なくとも一方を機械的に廃棄することを含む。
【0023】
一実施形態において、プロセスは、晶析ユニットから、第1の結晶を機械的に除去することを含む。
【0024】
一実施形態において、プロセスは、第1の結晶を洗浄して第1の結晶の表面を浄化し、第1の結晶の表面上に同伴された放射性粒子および流体の量を減少させることを含む。
【0025】
一実施形態において、プロセスは、第1の結晶を溶融して浄化水を形成し、洗清水を切断ゾーンに再循環させることを含む。
【0026】
一実施形態において、プロセスは、少なくとも1つのポンプを用いて、晶析ユニットを通す析出閾値よりも大きい速度で流体を維持することを含む。
【0027】
一実施形態において、プロセスは、晶析ユニットの底部から、第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンを除去することと、重力沈降、沈降、または増強された沈降分離のうちの少なくとも1つを使用して、セパレータ内で、放射性粒子から第2の結晶を分離することとを含む。一実施形態において、増強された沈降分離は、ハイドロサイクロニングまたは遠心分離である。
【0028】
一実施形態において、プロセスがプロセスの少なくとも1つの態様について、放射性粒子に対する遮蔽を提供することを含む。
【0029】
実施形態は、上記の特徴の組み合わせを含むことができる。
【0030】
別の態様によれば、原子炉切断ゾーンから受け取った放射性粒子を含む流体を処理する方法が提供される。本方法は、少なくとも1つの熱交換器で放射性粒子を含有する流体を冷却することと、少なくとも1つのポンプで、少なくとも1つの熱交換器を通して、析出閾値よりも大きい速度で流体を維持することと、晶析ユニット内の流体を、流体の凝固点より低い温度まで冷却することと、形成された氷晶を晶析ユニット内の流体から除去することと、表面水を用いて氷晶を洗浄して、氷晶上に同伴された小粒子を低減することと、洗浄された氷晶を、原子炉切断ゾーンに還流される流体内に溶融することを含む。
【0031】
実施形態は、上記の特徴の組み合わせを含むことができる。
【0032】
本出願の主題のこれらの態様および他の態様のさらなる詳細は、以下に含まれる詳細な説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面では、実施形態は例として示されている。本説明および各図は単に例示目的であり、理解の助けとなるものであることを明確に理解されたい。
【
図1】例示的な処理システムの態様を示す模式図である。
【
図2】例示的な処理システムの態様を示す模式図である。
【
図3】水、放射性粒子、溶解イオン、および中性子吸収体を含む流体を処理する例示的なプロセスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
非常に高いレベルの放射能を含む原子炉等施設の廃炉は、水中での放射性物質の切断をしばしば必要とする。一例では、原子炉のウラン炉心、支持鋼板工事、燃料被覆、核分裂生成物、および周囲のコンクリートから、材料物の回収を行うことができる。回収される材料物の混合物は様々な組成および密度であり、レーザ切断などの方法により、原子炉の部分、例えば、原子炉のコアを分割して除去することが必要となる。放射性物質の切断プロセスは、冷却目的のため、および汚染された粉塵の広がりを防止するために、水中で実施され得る。切断の副産物として、冷却水は、高放射性粒子および溶解した放射性種で汚染される。本明細書において、汚染された冷却水を「液(liquor)」ともいう。高レベルの放射能は、イオン交換または半透膜分離などの従来の水処理技術と適合しない。なぜなら、放射性崩壊からのエネルギーが2つの構成分子間の共有結合を分解するからである。廃棄物の最小化の目的のため、および貯蔵に制限があるために、冷却水は実用的に可能な限り再利用され得る。
【0035】
冷却水は、(原子炉)切断ゾーンに供給され、切断ゾーンに蓄積して冷却水のプールを形成する。切断ゾーンを通過した冷却水は、ジルカロイ、酸化ウラン、ストロンチウム、セシウム、鋼、ステンレス鋼、コンクリートおよび/または原子炉中に存在する他の材料を含む中実粒子によって汚染され得る。本明細書において、流体を「液(liquor)」と呼ぶ。液中の固形の粒径は、切断技術に応じて決まり、典型的には5mm未満である。
【0036】
冷却水は、中性子吸収体を含んで、放射性物質が切断ゾーンにおいて臨界を達成することを防止してもよい。一例において、中性子吸収体はホウ酸であってもよい。中性子吸収体は、冷却水に溶解され、切断ゾーン内に循環され、その後、液の一部を形成することができる。本明細書に記載されるように、中性子吸収体は、本明細書に記載されるシステムおよび方法に従って、液から回収されて、再使用または貯蔵することができる。
【0037】
本開示では、「最大化する」、「最小化する」、および「最適化する」などの用語が使用されうるが、そのような用語は最大、最小、または最適に厳密に限定されない場合がある改善、調整、および改良を指すために使用されることを理解されたい。
【0038】
「接続される」または「結合される」という用語は、直接結合(互いに結合される2つの要素が互いに接触する)および間接結合(少なくとも1つの付加要素が2つの要素の間に位置する)の両方を含み得る。
【0039】
本明細書において使用される「実質的に」という用語は、任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。定量的表現は、当該表現が関連する基本機能を最終的に変化させない範囲で、許容可能に変化し得る。例えば、本明細書に開示の駆動シャフトであって、円形の横断面を有する駆動シャフトは、その回転駆動能力が実質的に変更されないのであれば、本発明の範囲内で、多少非円形の断面を有することが許容される。
【0040】
本明細書において使用する「切断ゾーン」または「切断操作」という用語は、放射性物質が存在し、回収のために切断され得る水中のボリュームを指す。水中および中性子吸収体の存在下で切断を行い、温度を調節し、放射性物質の臨界を緩和する。
【0041】
本明細書において使用する「メルター」という用語は、加熱容器を指し、本明細書に記載の結晶はメルターを使用して溶融する。
【0042】
様々な実施形態の態様について、図面を参照して説明する。
【0043】
本開示による例示的なシステム100を示す
図1を参照すると、高放射性液101は、切断ゾーン103から、固体物処理に適したポンプ102(例えば、オープンインペラ金属遠心ポンプ)によって圧送される。いくつかの実施形態において、ポンプ102は、十分に速い速度で流体101を圧送して懸濁を維持できるように、構成される。適切な速度は、切断技術に応じて決まる。いくつかの実施形態において、この速度は1.5m/sより大きい。
【0044】
プロセスの第1段階は、1つ以上の熱交換器104による予備冷却である。いくつかの実施形態において、2つの熱交換器が直列に動作するように構成される。いくつかの実施形態において、3つ以上の熱交換器を使用することができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、熱交換器104は、市販の金属シェルおよびチューブ構造であり、放射性粒子の蓄積を防止するように設計される。熱交換器は、市販の冷凍プラントを介して、冷却/溶解サイクルエネルギーを最適化するために選択された媒体によって冷却される。
【0046】
複数の交換器104を有するいくつかの実施形態において、第1段階の熱交換器が冷水で冷却され、第2段階は水/グリコール混合物によって、または冷媒の直接蒸発によって冷却され得る。液の温度をその凝固点に近づける。遮蔽を設けてオペレータを保護してもよく、液体速度を維持して析出を防止してもよい。
【0047】
冷却された液101は晶析ユニット105に導入され、そこで液はその凝固点未満に冷却される。核生成物の凍結および氷晶形成のプロセスは、晶析ユニット105の内部冷却面106上で行い得る。内部冷却面106は、氷の蓄積を予防するため、機械的に掻きとられる。電気的に駆動される機械的スクレーパなどの機械的手段を使用して、冷却された内部表面から氷析出物を除去する。結晶化は、晶析ユニット105内のバルク液体中でも起こり得る。結晶化プロセスの間、上述の粒子状材料(例えば、酸化ウランチップ、鋼屑、コンクリートダストなど)の大部分は、その物理的化学の特性のために氷晶から除外される。水から形成される氷晶は、液よりも密度が低く、したがって、自然浮力下で上昇する。氷晶は、微量の溶解塩および微粒子を含有する可能性がある。冷却システム123により、冷却された流体を提供して、晶析ユニット105、より具体的には、内部冷却面106を冷却することができる。
【0048】
液に同伴される固体粒子の一部(例えば、約100ミクロンより大きいサイズの粒子)は、晶析ユニット105の底部に迅速に沈降する。粒子の一部(例えば、100ミクロン未満の粒子)は液体中に徐々に沈降し、沈降した粒子と共に晶析ユニットの底部から引き出される。
【0049】
システム100は、耐放射能性の材料から作製されてもよい。放射線遮蔽は、必要に応じて使用され、操作者および放射線感受性の機器を保護する。
【0050】
使用時には、晶析ユニット105で生成された水から形成された氷晶107が当該ユニットの頂部まで上昇し、洗浄システム108に到達するまで、浮力または機械的手段によって継続して除去される。洗浄システム108は、例えば水などの洗浄流体109を使用して、氷晶の表面上の微粒子の同伴を低減するように構成される。使用済みの浄化水110は、供給蒸気111に戻される。
【0051】
洗浄された氷晶112は、メルター113に移され、そこで溶融される。いくつかの実施形態において、メルター113は、初期冷却段階から排除された熱を使用するように構成され、電気エネルギーを節約する。メルター113は、リサイクル水流を有する容器である。溶融した氷晶は処理済みの生成物であり、透明な冷たい冷却水として原子炉に還流される。冷却システム123は、温められた冷却された流体を晶析ユニット105からメルター113に循環させて、洗浄された氷晶112を溶融させ、晶析ユニット105に再循環させることができる。いくつかの実施形態において、溶融した氷晶114は、Spinionic(商標)、濾過、イオン交換、および/または精製水流116中の切断ゾーン103への再循環のために溶融した氷晶流を精製するための別の適切な処理プロセスなどの、処理プロセス115で処理される。
【0052】
晶析ユニット105からの底部生成物117は、沈降した固体、微細懸濁固体、および冷液の混合物である。この混合物は沈殿槽118に供給される。固形物119は、沈殿槽118内での沈殿により、底部生成物117の種類によっては化学的投薬により、水から分離することができる。いくつかの実施形態において、沈殿槽118からの上澄み120を、ALPS(商標)121およびSpinionic(商標)122などのプロセスによって処理することができる。沈殿槽118からの固形物119の底部生成物は、汚泥処理および/または最終処分に適している。
【0053】
いくつかの実施形態において、システム100により、燃料および核分裂生成物を含む、高放射性粒子状汚染物質を含有する水を処理することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、システム100の少なくともいくつかの態様では、物理的バリア(フィルタ/膜)を使用しなくても、微粒子汚染を分離できる。いくつかの実施形態において、システムは、従来の処理経路の逆浸透または限外濾過段階で使用されるポリマー材料を使用しないため、高レベルの放射線に対して耐性であり得る。いくつかの実施形態において、システム100の晶析ユニット105を含む各構成要素は、ポリマー材料を含まない。
【0055】
いくつかの実施形態において、本システムによれば、減圧蒸留などの他のバリアレス技術よりも、使用するエネルギーを大幅に減少させることができる。
【0056】
図2に、水、放射性粒子、溶解イオン、および中性子吸収体を含む流体を処理するシステム200を示す。
図1に示す実施例の液101と同様に、流体201は、放射性成分の回収のための切断操作から受け取った放射性粒子を含む汚染水であってもよい。流体201の組成は、切断対象によって決まるが、ジルカロイ、酸化ウラン、ストロンチウム、セシウム、鋼、ステンレス鋼、コンクリート、および原子炉内に存在する他の材料の誘導体を含むことができる。流体201は液と呼ばれることがあり、高放射性である。液中の固形の粒径は、切断技術に依存し、典型的には5mm未満であり、1~20ミクロンであってもよい。液は、懸濁を維持するのに十分な速さで、固形物の取り扱いに適したポンプ(例えば、オープンインペラ金属遠心)によって切断ゾーンから移送される。流体201の速度は、切断技術に依存する。一例において、流体201の速度は2m/sより大きい。
【0057】
流体201に対し、セパレータ202内で任意の初期分離を行ってもよい。セパレータ202は、流体201、すなわち液が切断ゾーンから移送される間に取り込まれた固形懸濁粒子を除去するように構成されてもよい。セパレータ202の技術仕様は、流体201中の固形の特性に基づいて選択される。セパレータ202は、晶析ユニット205の凍結結晶化プロセスに入る前に、10μmを超える流体201中の粒子の99%を除去するように構成されてもよい。一例では、セパレータ202が重力沈降、沈降、または増強された沈降分離、例えば、ハイドロサイクロン(hydrocyclone)である。固形のスラリー221は第1の生成物を形成するセパレータ202から生成され、適切な廃棄経路(例えば、カプセル化)による廃棄に適している。一例では、セパレータ201は、流体201中の固形の密度に基づいて放射性粒子から水を分離するように構成される。一実施形態において、セパレータ202は、沈殿槽または重力補助分離ユニット、例えば、ハイドロサイクロンである。
【0058】
清澄化された流体203は、第1段階の晶析ユニット205に送られて、第1段階の晶析ユニット205内の流体の表面に浮遊する氷晶を形成し、第1段階の晶析ユニット205内に沈降する中性子吸収体を含む結晶を形成することができる。任意選択的に、清澄化された流体206は、第1段階の晶析ユニット205に入る前に、直列に配置され得る少なくとも1つの熱交換器204によって予備冷却され得る。熱交換器204は、市販の金属シェルおよびチューブ構造であってもよく、放射性粒子の蓄積を防止し、臨界になる可能性を回避するように特に構成されてもよい。熱交換器204は、冷却/溶融サイクルエネルギーを最適化するために選択された媒体によって、市販の冷凍プラントを介して冷却することができる。一例では、熱交換器204が2つの熱交換器、すなわち、直列に接続された第1段階および第2段階の熱交換器を備えることができる。この実施例では、第1段階の熱交換器が冷水で冷却され、第2段階は水/グリコール混合物によって、または冷媒の直接蒸発によって冷却されてもよい。液は、その凝固点に近づけることができる。当該実施例では、さらに、第1段階の熱交換器は、清澄化された流体203を約-2℃から約-5℃に冷却することができ、第2段階の熱交換器は清澄化された流体203を約-12℃から約-20℃に冷却することができる。熱交換器204およびシステム200の他の構成要素の周囲に遮蔽を提供して、照射からオペレータを保護してもよく、液速度を維持して、固体の付着を防止してもよい。
【0059】
清澄化された流体203、すなわち、液は第1段階の晶析ユニット205に導入され、ここで、液体はその凝固点未満に冷却される。核生成物の凍結および結晶形成のプロセスは、結晶(例えば、ホウ酸結晶および/または氷晶)の蓄積を防ぐために、晶析装置の内部冷却金属表面上で行うことができ、晶析装置の内部冷却金属表面は、電気的に駆動される機械的スクレーパによって機械的に掻き取られる。晶析ユニット205の金属冷却面は、電解研磨されたステンレス鋼であってもよい。晶析ユニット205は、上記の例で述べた第2段階の熱交換器204について定義したものと同じ流体によって冷却される冷却ジャケットを有することができる。結晶化はまた、晶析ユニット205内のバルク液体中で起こり得る。結晶成長プロセス中、物理的化学の特性のために、成長した結晶は純粋であってもよく、イオン種(例えば、ストロンチウム)および微粒子(例えば、10μm未満の金属ダスト)などの不純物は結晶格子に組み込まれない。(H2O)氷晶と形成された他の結晶(例えば、中性子吸収体結晶、例えば、ホウ酸)との間の密度差異は、晶析ユニット205内に存在する。より密度の低い氷晶は晶析ユニット205の頂部まで上昇し、一方、より高密度の結晶(例えば、中性子吸収体結晶)は自由粒子状と共に晶析装置の底部に沈降し、次の段階に進む。したがって、本開示による中性子吸収体は、氷晶よりも大きい結晶密度を有することができる。晶析ユニット205を有する固体粒子(コンクリート、鋼板、ウラン)は、液の密度、形状、サイズ、および粘度の機能として沈降する。一例では、固体粒子の沈降速度は、0.5~2mhr-1であってもよい。氷晶は浮力によって晶析ユニット205の頂部まで上昇し、機械的手段、例えば、結晶を液体表面から除去するように構成された機械的部材によって、第1の氷晶水蒸気207を介して第1の洗浄システム208に到達するまで継続して除去され得る。第1の洗浄システム208は、氷晶の表面を洗浄して、結晶の表面上の液および微粒子の同伴を低減するように構成される。第1の洗浄システム208は水、例えば、氷晶の表面に噴霧された水を使用して、氷晶を洗浄することができる。浄化水210は、再循環流として第1段階の晶析装置205に還流される。第1の洗浄システム208からの洗浄された氷晶は、メルター213に移され、そこで溶融される。一例では、メルター213は電気加熱要素を有するメルターである。別の実施例では、洗浄された氷晶を、初期冷却段階、すなわち加熱された容器から排除された熱を使用して溶融することで、電気エネルギーを節約する。メルター213からの溶融精製水240は、第1の洗浄システム208、第2の洗浄システム228へ、洗浄流体209,229として再循環させることができ、または切断ゾーン241に圧送される。
【0060】
晶析ユニット205からの底部生成物217は、中性子吸収体結晶(例えば、ホウ酸)、微細懸濁固体、溶解塩、および冷液の混合物である。底部生成物217はセパレータ218で分離されて、第1の結晶リッチスラリー219と、微細懸濁固体および溶解塩も含有する液220とを生成する。セパレータ218は、成分の濃度および密度に依存する方法によって第1の結晶リッチスラリー219を分離するように構成される。分離する方法の一例として、重力沈降、沈降、または増強された沈降分離(例えば、ハイドロサイクロンまたは遠心分離)が挙げられる。第1の結晶リッチスラリー219は中性子吸収体を含んでおり、本プロセスにおける再使用に適した製品であって、中性子吸収体を貯蔵および/または再使用して切断ゾーンにおける臨界を緩和することができる製品である。液流220は、全ての溶解された材料および残りの粒子を含み、第1段階の晶析装置205と同様の動作方法を利用する第2の晶析装置225に供給される。晶析装置ニット225は、液流220の温度を中性子吸収体(例えば、ホウ酸)の飽和点未満に低下させて、その結果、中性子吸収体結晶がより多く析出する。さらに、晶析ユニット225では、液流220中の水も結晶化するため、結果として生じる氷晶は第2の氷晶流227中で除去されるため、液および粒子の濃度がさらに高くなる。氷晶は浮力によって晶析ユニット225の頂部まで上昇し、第2の洗浄システム228に到達するまで機械的手段によって継続して除去され得る。第2の晶析ユニット225の底部生成物237は、微細懸濁固体、冷液、および中性子吸収体(例えば、ホウ酸)を含む高密度結晶の混合物であってもよい。底部生成物237は、分離用のセパレータ238に送られ、第2の結晶リッチスラリー239と、残留粒子および溶解塩を含有する液濃縮物240とに分離され得る。液濃縮物240は、最終廃棄物流であってもよく、残りの懸濁粒子および溶解塩を含有していてもよい。第1の結晶リッチスラリー219と同様に、第2の結晶リッチスラリー239は中性子吸収体(例えば、ホウ酸)を含み、これは、切断ゾーンで再使用されて、臨界を緩和することができる。本明細書に記載のシステムおよび方法によれば、分離用のpH調整剤などの添加剤を使用しなくても、溶液から中性子吸収体を除去することができる。
【0061】
第2の氷晶流227は、第2の洗浄システム228に送られてもよい。第2の洗浄システム227は、氷晶の表面を洗浄流体229で洗浄して、氷晶のウェット表面上の液および微粒子の同伴を低減することができる。浄化水230は、リサイクル流として第2段階の晶析ユニット225に還流される。
【0062】
本明細書に記載の例示的なシステム100、200は、ポリマー材料を含まなくてもよい。ポリマー材料は、従来の処理システムの逆浸透、限外濾過、またはイオン交換段階で使用され、これは105Gy未満の放射線量に限定され得る(「液状放射性廃棄物処理のための膜技術の適用」、技術報告第431号、IAEA、23頁、4.1.5節)。本開示によるシステムは、ポリマー材料の排除に起因する高レベルの放射線に対する耐性を有することができる。
【0063】
図3に、水、放射性粒子、溶解イオン、および中性子吸収体を含む流体を処理するプロセスを示す模式図を示す。本プロセスから回収された水および中性子吸収体を再使用することで、切断ゾーンで使用される新しい材料、すなわち、水および中性子吸収体の量を最小限に抑えることができる。一例では、切断ゾーンが、損傷を受けた、廃止された、または分解されることが望まれる機器を含む原子炉であってもよい。本プロセスは、302において、切断ゾーンから流体を受け取ることを含む。流体は、流体から熱を奪うように構成された冷却面を有する晶析ユニット内に受け取られてもよい。冷却面は、機械的手段、例えば、スクラップ部材によって掻き取られて、冷却面上の結晶を除去してもよい。一実施形態において、流体は、晶析ユニット内に受け取られる前に、流体の凝固点より高い温度、例えば約-2℃まで予備冷却される。一実施形態において、固形懸濁微粒子は、流体が晶析ユニット内に受け取られる前に、当該流体から除去される。
【0064】
304において、流体は、当該流体の凝固点未満に冷却される。流体がその凝固点未満に冷却されると、流体中の水および中性子吸収体が結晶化する。一実施形態において、流体は約2℃~-6℃に冷却される。別の実施形態において、流体は約-12℃~-20℃に冷却される。水を含む第1の結晶が形成され、中性子吸収体を含む第2の結晶が形成される。一実施形態において、中性子吸収体はホウ酸である。結晶化は、流体のバルク液体中で、または晶析ユニットの冷却面上で起こり得る。結晶成長プロセス中、物理的化学の特性のために、成長した結晶は、イオン種(例えば、ストロンチウム)および微粒子(例えば、10μm未満の金属ダスト)などの不純物が結晶格子に組み込まれていない純粋なものであってよい。第1の結晶と第2の結晶、すなわちそれぞれ氷晶と中性子吸収体結晶(例えばホウ酸)との間の密度差は、より密度の低い氷晶を流体の上部に生じさせる一方で、より密度の高い第2の結晶(すなわち中性子吸収体結晶)は自由粒子状と共に流体の底部に沈み、次の段階に進む。流体内の固体粒子(例えば、コンクリート、鋼板、ウラン)は、液の密度、形状、サイズ、および粘度に応じて沈降する。溶解イオンもまた、流体にとどまる。一実施形態において、流体中の固形微粒子が0.5~2mhr-1の硬化速度を有する。第1および/または第2の結晶は晶析ユニットの冷却面上に形成され得るので、一実施形態において、第1および/または第2の結晶が晶析ユニットの冷却面から機械的に廃棄されてもよい。
【0065】
306において、第1の結晶は、第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンから分離される。一例では、第1の結晶は、流体の表面から結晶をすくい取る機械的部材、またはコンベアなどの機械的手段によって第2の結晶から分離されてもよい。
【0066】
一実施形態において、第1の結晶が第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンから分離された後、第1の結晶を洗浄して、第1の結晶の表面を浄化し、第1の結晶の表面上に同伴された流体および放射性粒子の量を低減する。第1の結晶を溶融して、切断ゾーンに再循環可能な浄化水を形成することもできる。
【0067】
一実施形態において、第2の結晶、放射性粒子、および溶解イオンは、晶析ユニットの底部から分離され、重力沈降、沈降、または増強された沈降分離のうちの少なくとも1つを使用して、セパレータ内で、第2の結晶を放射性粒子から分離する。一例では、増強された重力分離は、ハイドロサイクロニングまたは遠心分離である。
【0068】
本明細書に記載されるシステムおよびプロセスによれば、本明細書に記載されるシステムおよび/またはプロセスの一部において、析出閾値を超える流体速度を維持することによって、放射性物質を含む固体の析出を緩和することができる。一例として、本明細書に記載されるプロセスにおいて、少なくとも1つのポンプを用いて、晶析ユニットを通る析出閾値よりも大きい速度で流体を維持することを必要とし得る。
【0069】
本明細書に記載されるシステムおよびプロセスにおいて、本明細書に記載されるシステムおよびプロセスの少なくとも1つの態様の放射性粒子に対して、遮蔽を配置して保護をしてもよい。遮蔽により、本明細書に記載のシステムおよびプロセスに近接する個人を、放射線から保護することができる。
【0070】
実施形態について詳細に説明してきたが、本明細書の範囲から逸脱することなく、様々な変形、置換、および変更を本明細書において行うことができることを理解されたい。さらに、本開示の範囲は、本明細書に記載されているプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。
【0071】
当業者であれば、本明細書に記載した対応する実施形態が実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する、現時点で既存の、または今後開発される、開示、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップから利用できると容易に理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成物、手段、方法、またはステップを含むことが意図される。
【0072】
上記に記載され、かつ例示された実施例は、例示を意図しているに過ぎないことが理解されよう。
【国際調査報告】