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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】MEMSデバイス製造
(51)【国際特許分類】
   B81B 1/00 20060101AFI20240104BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20240104BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
B81B1/00
B81C1/00
H01L23/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535303
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2021062674
(87)【国際公開番号】W WO2022125815
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/123,932
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520351990
【氏名又は名称】オブシディアン センサーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】チャン タリス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース ショーン
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA17
3C081BA08
3C081BA30
3C081BA79
3C081CA13
3C081CA32
3C081CA42
3C081CA44
3C081DA03
3C081DA06
3C081DA27
3C081EA04
(57)【要約】
いくつかの態様は、複数のMEMSデバイスの製造方法を含み、各デバイスは、CTEの異なる第1の材料および第2の材料を含む。この方法は、第1の材料と実質的に等しいCTEを有するキャリアを準備する工程を含み、キャリアは複数のキャビティを含む。この方法はまた、複数の構成部品をキャリアのそれぞれのキャビティに配置する工程も含み、構成部品は第2の材料を含む。いくつかの態様では、この方法は、第2の材料の構成部品上に第1の材料の層を配置する工程を含む。いくつかの態様では、この方法は、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程を含む。この方法はまた、キャリアを除去する工程、および第1の材料の層を個片化して複数のMEMSデバイスをもたらす工程も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分と、
接合領域で前記第1の部分に接合された第2の部分であって、前記接合領域が複数の溝を含む、第2の部分と
を含む、MEMSデバイス。
【請求項2】
前記溝がV字形を構成する、請求項1記載のMEMSデバイス。
【請求項3】
前記溝が前記第1の部分の表面に形成されており、各溝が前記表面に対して約54度の2つの側壁を含む、請求項1記載のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記溝が、前記第2の部分の前記表面と鋭角を形成しない、請求項1記載のMEMSデバイス。
【請求項5】
前記第1の部分が、前記溝と、前記溝よりも深いキャビティとを含む、請求項1記載のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記MEMSデバイスがボロメーターを含み、前記キャビティが光センサーを囲む、請求項5記載のMEMSデバイス。
【請求項7】
前記複数の溝が、端と端を接して配置された複数の断面溝を含む、請求項1記載のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記溝内におよび前記第1の部分と前記第2の部分との間にはんだをさらに含む、請求項1記載のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記はんだプリフォームが第1の体積を有し、
前記複数の溝が、前記第1の部分内に第2の体積を画定し、
前記第2の体積が前記第1の体積以上である、
請求項8記載のMEMSデバイス。
【請求項10】
前記溝内におよび前記第1の部分と前記第2の部分との間に接着層をさらに含む、請求項1記載のMEMSデバイス。
【請求項11】
前記溝が、前記第1の部分の表面に形成されており、前記デバイスが、前記第2の部分に取り付けられた金属化リングをさらに含む、請求項1記載のMEMSデバイス。
【請求項12】
以下の工程を含む、MEMSデバイスの製造方法であって、前記デバイスが接合領域を含む、前記方法:
前記デバイスの第1の部分を準備する工程;
前記接合領域で前記第1の部分に複数の溝を追加する工程;
前記溝の上にはんだプリフォームを配置する工程;
前記デバイスの第2の部分を前記第1の部分と位置合わせする工程;
前記はんだプリフォームを加熱する工程;
前記第1の部分を前記第2の部分の方へ移動させる工程;および
前記第1の部分が前記接合領域で前記第2の部分に接合するように前記はんだプリフォームを冷却する工程。
【請求項13】
前記溝が、前記第1の部分の表面に対して約54度の側壁を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記はんだプリフォームが第1の体積を有し、前記複数の溝が前記第1の部分内に第2の体積を画定し、前記第2の体積が前記第1の体積以上である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記複数の溝が、端と端を接して配置された複数の断面溝を含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記デバイスの前記第2の部分に金属化リングを追加する工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記デバイスの前記第1の部分にキャビティを追加する工程であって、前記キャビティが前記溝よりも深い、工程
をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項18】
前記キャビティと前記溝とが、同じエッチング処理工程で前記第1の部分に追加される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記キャビティと前記溝とが、異なる処理工程で前記第1の部分に追加される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記MEMSデバイスがボロメーターを含み、前記キャビティが光センサーを囲む、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月10日に出願された米国仮特許出願第63/123,932号の優先権を主張し、その開示全体はあらゆる目的で参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
微小電気機械システム(MEMS)デバイス製造では、接合は、例えばパッケージング工程中に、デバイスの2つの部分をつなぎ合わせるために必要な工程であることが多い。従来の接合は、典型的には、デバイスの2つの部分の間に接合材料を挿入し、次いで2つの部分を接合材料で接着することを含む。本発明者らは、従来の手法が不十分であり、信頼性の低いMEMSデバイスにつながることを発見した。
【0003】
MEMSデバイス内の2つの材料を接合する(例えば、ガラスをシリコンに接合する)場合、熱膨張係数(CTE)不一致は、位置合わせずれにつながる可能性があり、位置合わせずれは、接合または他の製造誤差につながる可能性がある。ずれは、層を接合のために(いくつかのプロセスでは最高350℃まで)加熱し、冷却させた後に(異なるCTEによって引き起こされる)異なる収縮速度から生じ得る。これらのずれは、製造規模が増加するにつれて増加する、すなわち、CTE不一致を伴ったパネルレベルの製造プロセスでは、ウェハースケールでの同じプロセスよりも多くの製造誤差が生じる。
【0004】
別の例において、本発明者らは、MEMSデバイスの2つの部分を接合する際のさらなる欠陥を発見した。例えば、真空パッケージング(接合材料として、例えば、はんだ(はんだプリフォーム、堆積されたはんだなど)を使用した)は、一般に、接合プロセス中に2つの接合界面の間から余分な接合材料が押し出されることに悩まされる。例えば、はんだプリフォームは、機械的処理に耐えるのに十分な厚さでなければならないため、最小厚さ、したがって最小体積を有することが多く、このため、余分な材料の量は、プリフォームを使用して接合する場合、最小体積が製造プロセスで必要とされる体積よりも大きいときに特に問題となる。余分なはんだの体積は接合領域から押し出され、余分なはんだが封止された容積内に捕捉された場合にMEMSデバイスの信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある、というのは、余分なはんだは封止された容積内部のデバイスを損傷および/または破壊する可能性があるからである。キャビティ外部の余分なはんだもまた、害をもたらす可能性がある。例えば、押し出されたはんだがダイ間に残る可能性があり、これがウェハーダイシングブレードを損傷し、製造歩留まりを低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
概要
いくつかの態様は、各デバイスがCTEの異なる第1の材料および第2の材料を含む、複数のMEMSデバイスの製造方法を含む。この方法は、第1の材料と実質的に等しいCTEを有するキャリアを準備する工程であって、キャリアが複数のキャビティを含む、工程を含む。この方法はまた、複数の構成部品をキャリアのそれぞれのキャビティに配置する工程であって、構成部品が第2の材料を含む、工程も含む。いくつかの態様では、この方法は、第2の材料の構成部品上に第1の材料の層を配置する工程を含む。いくつかの態様では、この方法は、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程を含む。この方法はまた、キャリアを除去する工程、および第1の材料の層を個片化して複数のMEMSデバイスをもたらす工程も含む。いくつかの態様では、第1の材料および第2の材料は、ガラスおよびシリコンから選択される。
【0006】
有利には、本明細書に記載する製造方法は、層のCTE不一致によって引き起こされる製造誤差を低減する。例えば、本明細書に記載する方法は、(例えば、MEMSデバイスのガラス層とMEMSデバイスのシリコン構成部品との間の)CTE不一致の結果をMEMSデバイスの幅まで低減する。これにより、有利には、より良好に位置合わせされ、接合されたMEMSデバイス、より良好なスケーリングがもたらされ、また、MEMSデバイスのための材料組み合わせ(例えば、ガラスとシリコン)を選択する自由も可能になる。
【0007】
いくつかの態様は、MEMSデバイスの製造方法を含み、この方法は、デバイスの第1の部分を準備する第1の工程、デバイスの接合領域で第1の部分に溝が追加される第2の工程、デバイスの第2の部分を第1の部分と位置合わせする第3の工程、第1の部分と第2の部分とが互いの方へ移動される第4の工程、および第1の部分と第2の部分とが接合領域で接合される第5の工程を含む。有利には、溝は、MEMSデバイスの接合領域から電気機械部品への潜在的に有害なスピルオーバーを低減しながら、緊密な接合を可能にすることができる。したがって、MEMSデバイスの信頼性が向上する。いくつかの態様では、第1の工程から第5の工程のうちの1つまたは複数が真空中で行われる。いくつかの態様では、いくつかの工程は真空で行われ(例えば、第3の工程から第5の工程)、他の工程は真空で行われない場合もある。
【0008】
いくつかの態様は、複数のMEMSデバイスの製造方法を含み、この方法は、複数の第1の電気機械部品を準備する工程;キャリアが準備される工程であって、キャリアが複数の第1の電気機械部品のそれぞれと各々関連付けられた複数の位置を含む、工程;複数の第1の電気機械部品の中の欠陥部品を特定する工程;複数の第2の電気機械部品を準備する工程;複数の第2の電気機械部品を、キャリア上の、ただし欠陥のある電気機械部品と関連付けられた位置ではないそれぞれの位置に配置する工程;第1の電気機械部品と第2の電気機械部品のそれぞれの対が接合される工程;および(任意選択)第1の電気機械部品と第2の電気機械部品のそれぞれの対を個片化して複数のMEMSデバイスをもたらす工程、を含む。有利には、そのような方法は、動作不能の第2の構成部品に接合された第1の構成部品の数を減らすことによって無駄な構成部品を減らす可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法を示す図である。
図2-1】図2Aは、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成を示す図である。図2Bは、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における別の構成を示す図である。図2Cは、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における別の構成を示す図である。図2Dは、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における別の構成を示す図である。図2Eは、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における別の構成を示す図である。図2Fは、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における別の構成を示す図である。
図2-2】図2-1の説明を参照されたい。
図3A】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における150mmウェハー内の例示的な間隔を示す図である。
図3B】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成部品の例示的な接合領域を示す図である。
図3C】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における156mmウェハー内の例示的な間隔を示す図である。
図3D】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における156mmウェハー内の例示的な間隔を示す図である。
図4】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における200mmウェハー内の例示的な間隔を示す図である。
図5】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法を示す図である。
図6図6Aは、一態様による、MEMSデバイスを示す図である。図6Bは、一態様による、MEMSデバイスを示す図である。
図7図7Aは、一態様による、MEMSデバイスを示す図である。図7Bは、一態様による、はんだと溝との例示的な関係を示す図である。
図8】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法を示す図である。
図9】一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法を示す図である。
図10】本開示の態様による、電気機械システムの製造方法を示す図である。
図11】本開示の態様による、例示的なセンサーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
態様の以下の説明では、本明細書の一部を形成し、実施できる特定の態様が実例として示されている添付の図面を参照する。開示の態様の範囲から逸脱することなく他の態様を使用することができ、構造的変更を行うことができることを理解されたい。
【0011】
次に、図1および図2A図2Fを参照して複数のMEMSデバイスの例示的な製造方法を説明する。図1に示される方法100はMEMSデバイスの製造方法であり、各デバイスは異なるCTEを有する第1の材料および第2の材料を含む。いくつかの態様では、第1の材料はガラスであり、MEMSデバイス内の構成部品(薄膜トランジスタなど)のための基板を提供する。いくつかの態様では、第2の材料はシリコンであり、MEMSデバイス内にカバーを提供する。当業者には理解されるように、他の態様は、MEMSデバイス内のガラスとシリコン、ガラスと異なる材料、シリコンと異なる材料を反転させるか、または異なる第1の材料および第2の材料を使用する。
【0012】
方法100は、第1の材料と実質的に等しいCTEを有するキャリアを準備する工程102であって、キャリアが複数のキャビティを含む、工程を含む。方法は、複数の構成部品をキャリアのそれぞれのキャビティに配置する工程104であって、各構成部品が第2の材料を含む、工程に進む。工程106は、第2の材料の構成部品上に第1の材料の層を配置する工程を含む。方法100はまた、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程108、およびキャリアを除去する工程110も含む。方法112は、第1の材料の層を個片化して複数のMEMSデバイスをもたらす工程に進む。
【0013】
方法100は、パネルスケールの製造、ウェハースケールの製造などを含む任意の規模で行うことができる。いくつかの態様では、製造プロセスにおける2つの層は、「実質的に等しいCTE」を有すると理解することができ、第2の材料の構成部品と第1の材料の層との接合および/または位置合わせが製造公差から外れるように、接合のための熱が付加/除去されるときに、それぞれのCTEの差による層のずれを生じない。公差は、特定の用途に依存する。例えば、公差は、300℃の接合温度における8インチウェハーエッジでのデバイスカバーの50ミクロンのずれであり得る。2つの材料は、実質的に等しいCTEを有さない場合、「異なるCTE」を有すると理解することができる。
【0014】
有利には、本明細書に記載する製造方法は、層のCTE不一致によって引き起こされる製造誤差を低減する。例えば、本明細書に記載する方法は、(例えば、MEMSデバイスのガラス層とMEMSデバイスのシリコン構成部品との間の)CTE不一致の結果をMEMSデバイスの幅まで低減する。これにより、有利には、より良好に位置合わせされ、接合されたMEMSデバイスがもたらされ、また、MEMSデバイスのための組み合わせ(例えば、ガラスとシリコン)を選択する自由も可能になる。
【0015】
さらに、本明細書に記載する方法はまた、特殊装置を必要としないことによって、個片化技術の正確度を改善し、製造可能性を改善し得る。例えば、本明細書の態様は、デバイスを個片化する前に第2の材料(シリコンなど)の部分を除去するための赤外線カメラを必要としない。本明細書の態様はまた、有利には、歩留まりを増加させ、製造コストを削減する。例えば、本明細書の態様は、2枚の基板を同時にダイシングする必要性(または両側における2つの部分的な切断の必要性)を低減または排除する。
【0016】
図2Aに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成202を示す。構成202は、方法100の工程102などのキャリアを準備する工程と関連付けられてもよい。構成202では、キャリア220は複数のキャビティ222を含み、各キャビティは真空チャネル224を含む。いくつかの態様では、各キャビティは真空チャネルを含まない。
【0017】
いくつかの態様では、キャリアを準備する工程は、第1の材料と実質的に等しいCTEを有する材料の層を準備する工程を含む。いくつかの態様では、キャリアを準備する工程は、第1の材料のキャリア層を準備する工程を含む。いくつかの態様では、第1の材料はガラスであり、キャリアを準備する工程は、異なるガラスであるが、MEMSデバイスで使用されるガラスと実質的に等しいCTEを有するガラスを提供する工程を含む。いくつかの態様では、キャリアを準備する工程は、セラミック材料(Al2O3など)または金属(コバールなど)を提供する工程を含む。
【0018】
いくつかの態様では、キャリアを準備する工程は、第1のキャリア層を準備する工程、第2のキャリア層を準備する工程、第1のキャリア層と第2のキャリア層とを接合する工程、および第1のキャリア層と第2のキャリア層の一方または両方から材料を除去して複数のキャビティを形成する工程を含む。いくつかの態様では、第1の層と第2の層の一方または両方から材料を除去する工程は、層の間にエッチング停止層を設ける工程、および第1の層と第2の層の一方または両方をエッチング停止層までエッチングする工程を含む。他の態様では、層が接合される前に、第1の層と第2の層の一方または両方から材料が除去される。
【0019】
いくつかの態様では、キャリアを準備する工程は、深さ0.5mmのキャビティを設ける工程を含む。いくつかの態様では、キャビティは、幅24~27mm、長さ14~16mmである。例えば、キャビティは、24mm×16mm×0.5mmとすることもできるし、別のキャビティは、27mm×14mm×0.5mmとすることもできる。
【0020】
いくつかの態様では、キャリアは、円形ウェハーまたは正方形ウェハーである。ウェハーは、例えば、4インチ、6インチ、8インチ、または12インチとすることができる。いくつかの態様では、キャリアは、パネルサイズである。
【0021】
図2Bに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成204を示す。構成204は、方法100の工程104などの複数の第2の材料の構成部品を配置する工程と関連付けられてもよい。構成204は、キャリア220のそれぞれのキャビティ内に配置された複数の構成部品230を含む。各構成部品230は、構成部品内にキャビティ232を画定する側壁234を含む。
【0022】
いくつかの態様では、第2の材料はシリコンであり、第1の材料はガラスである。そのような態様では、CTE不一致は0.3~0.8ppmであり得る。
【0023】
いくつかの態様では、複数の構成部品を配置する工程は、構成部品をキャリアに固定するために構成部品に真空を適用する工程を含む。いくつかの態様では、真空を適用する工程は、キャリア内のチャネル、例えばチャネル224を通して構成部品に真空を適用する工程を含む。いくつかの態様では、構成部品に真空が適用されない。そのような態様では、チャネル224がキャリア220に付加されない場合がある。いくつかの態様では、構成部品230の下の領域を真空にする目的で、チャネル224を通して真空が適用される。そのようなチャネルは、有利には、構成部品230がキャリア220上に配置された後に真空が適用されて、構成部品230とキャリア220との間に閉じ込められ得る空気を除去することを可能にし得る。
【0024】
いくつかの態様では、構成部品は、複数のMEMSデバイス内のカバーに対応する。
【0025】
いくつかの態様では、各構成部品は、金属化表面を有する側壁を含む。いくつかの態様では、各構成部品の側壁は、第2の材料の構成部品内にキャビティを画定する。いくつかの態様では、構成部品は、キャビティが既に画定された状態で製造プロセスに提供される。他の態様では、キャビティは、構成部品がキャリアのキャビティ内に配置される間に画定される。同様に、構成部品の側壁上の金属化表面は、構成部品をそれぞれのキャビティ内に配置する前に準備されてもよいし、構成部品がキャリアのキャビティ内に配置された後に付加されてもよい。いくつかの態様では、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程は、金属化表面上に接合用構成部品を堆積させる工程を含む。そのような態様では、接合用構成部品は、はんだプリフォームを含むことができる。いくつかの態様では、接合用構成部品は、堆積されたはんだを含むことができる。いくつかの態様では、側壁は、幅約1~2mmである(そのような態様では、本明細書に記載する接合用構成部品(はんだプリフォーム、堆積されたはんだなど)は、幅500ミクロンであってもよい)。いくつかの態様では、側壁は、数百ミクロン程度である。いくつかの態様では、第2の材料の構成部品は、(第1の材料のキャリアの平面に対して直角な方向に測定して)約725ミクロンの厚さとすることができる。
【0026】
図2Cに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成206を示す。構成206は、方法100の工程108などの第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程と関連付けられてもよい。構成206では、第2の材料の構成部品上に接合用構成部品240が置かれている。第2の材料の構成部品上に第1の材料の層が配置された後(図2Dの構成208を参照されたい)、第1の材料の層と第2の材料の構成部品との接合を容易にするために接合用構成部品を加熱することができる。いくつかの態様では、第2の材料の構成部品上に第1の材料の層が配置される前に構成部品が加熱される。いくつかの態様では、接合用構成部品は、構成部品230上に置かれ、接合用構成部品の角に(例えば、図3Bに示すプリフォーム302の4つのコーナータブ304上に)仮留めされたはんだプリフォームまたは堆積されたはんだである。いくつかのさらなる態様では、プリフォームは、(第1の材料のキャリアの平面に対して直角な方向に測定して)厚さ25ミクロンである。
【0027】
図2Dに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成208を示す。構成208は、方法100の工程106などの第2の材料の構成部品上に第1の材料の層を配置する工程と関連付けられてもよい。構成208では、第2の材料の構成部品上に第1の材料の層250が配置されている。いくつかの態様では、第1の材料の層250は、MEMSデバイスの構成部品を含むように前処理される。例えば、第1の材料250は、上述した接合用構成部品240と位置合わせされ、接合される金属化表面(シール金属リングなど)で前処理される。いくつかの態様では、第1の材料の層250はキャビティ(図示せず)を含む。そのようなキャビティは、構成部品230のキャビティ232に加えてもよいし、構成部品230のキャビティ232に代えてもよい。第1の材料の層250がキャビティ(図示せず)を含むいくつかの態様では、キャビティは、層220内のキャビティ222に加えて、またはこれに代えて存在する。いくつかの態様では、層220はキャビティを有さず、真空チャネル224が含まれる。
【0028】
以下で説明するように、製造方法は、第1の材料の層を配置した後に、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程を含むことができる。構成206の例では、接合のために接合用構成部品(はんだプリフォーム、堆積されたはんだなど)を付着させた。いくつかの態様では、第1の材料の層(構成208に関して後述する)と第2の材料の構成部品とを接合する工程は、堆積(電気めっきや真空蒸着など)によって接合用構成部品を成長させる工程を含む。いくつかの態様では、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程は、構成の温度を上昇させて接合を達成する工程を含む。いくつかの態様では、接合は、約350℃で達成され得る。いくつかの態様では、温度を約300℃まで上昇させる。そのような態様では、接合用構成部品は、AuSnを含む。いくつかの態様では、温度不一致は、Au-Au熱圧着などにおいてより大きな役割を果たす可能性がある。
【0029】
いくつかの態様では、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する前に、方法は、第2の材料の構成部品を第1の材料の層の方へ移動させる工程を含む。これは、有利には、第2の材料の構成部品の(第1の材料のキャリアの平面に対して直角な方向に測定した)(1つもしくは複数の)高さが、キャビティの(第1の材料のキャリアの平面に対して直角な方向に測定した)深さよりも短く、かつ/または第2の材料の構成部品が異なる高さを有する場合に、第1の材料と第2の材料の効率的な接合を可能にし得る。そのような態様では、構成部品を材料層の方へ移動させるために力が加えられる。いくつかの態様では、力は重力である。そのような態様では、この方法は、第1の材料の層、第2の材料の構成部品、およびキャリアを回転させる工程を含む。他の態様では、プロセスは、第2の材料の構成部品をキャリアの(重力に対して)下に配置する工程、および(例えば、構成202に関して上述した真空チャネルを使用して)真空を適用して、第1の材料の層が適用されるまで構成部品を所定の位置に保持する工程(これは、通常は真空状態にはないパッケージング環境において特に有利であり得る)を含む。次いで、第2の材料の構成部品が第1の材料の層上に配置されると、真空が解除され、第2の材料の構成部品は、重力によって第1の材料の方へ移動する。次いで、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とが接合される。いくつかの態様では、異なる力が使用される。例えば、キャリアキャビティ内およびカバーの下にばね(または同様の力)が適用されてもよく、ばねは構成部品を材料層の方へ移動させる。次いで、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とが接合される。
【0030】
図2Eに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成210を示す。構成210は、方法100の工程110などのキャリアを除去する工程と関連付けられてもよい。構成208と構成210とを比較すると、キャリア220が除去されている。
【0031】
図2Fに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成212を示す。構成212は、方法100の工程112などの第1の材料の層を個片化する工程と関連付けられてもよい。構成212では、第1の材料の層はライン260で個片化されている。いくつかの態様では、個片化する工程は、ダイシングソーを使用して第1の材料の層をダイシングする工程を含む。いくつかの態様では、個片化する工程は、スクライブ・ブレーク法を使用して第1の材料の層をダイシングする工程を含む。
【0032】
いくつかの態様では、図1の方法100および図2A図2Fの構成202~構成212は、採用される接合技術に適した環境で行われる。例示的な環境には、真空、乾燥窒素、不活性ガス(He、Arなど)、乾燥空気などが含まれる。デバイスの要件に応じて、異なるガス圧が使用されてもよい。
【0033】
図3Aに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における150mmウェハー内の例示的な間隔を示す。MEMSデバイス位置間の例示的な間隔が示されている。MEMSデバイスは、ウェハーの縁部に対して5mmのへり、第1の寸法で5mmの間隔、および第2の寸法で2.05mmの間隔で配置されている。この構成により、40個の構成部品が得られる。マスクの輪郭が重ね合わされている。
【0034】
図3Bに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における構成部品の例示的な接合領域を示す。図3Bの構成部品は、図3Aのウェハー内のデバイスの位置に対応し得る。接合領域は、プリフォーム302の4つのコーナータブ304を含む。いくつかの態様では、接合領域は、堆積されたはんだ302の4つのコーナータブ304を含む。例示的な寸法がやはり例示目的で含まれている。図3Bの態様は、本明細書で論じる封止領域、例えば、図1および図2に関して上述した接合用構成部品や、図5図9に関して後述する接合用構成部品に対応し得る。
【0035】
図3Cに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における156mmウェハー内の例示的な間隔を示す。この態様は、図3Aと同様であるが、より多くの個別デバイス(この例では48個)をもたらすためにより大きなウェハー上で異なる間隔を有する。図3Dに、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における156mmウェハー内の例示的な間隔を示す。図3Dの間隔は図3Cとは異なるが、同じ数のデバイスが得られる。
【0036】
図4に、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法における200mmウェハー内の例示的な間隔を示す。この配向により、61個のデバイスが得られる。
【0037】
いくつかの態様では、第1の材料は、ガラスである。いくつかの態様では、第1の材料は、特性を微調整するための追加の元素を含有するホウケイ酸塩である。ホウケイ酸塩の一例が、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸塩(ホウ素、アルミニウム、各種アルカリ土類元素を含むケイ酸塩)を製造するCORNING EAGLEによるものである。他の変形は、ASAHI GLASSまたはSCHOTTから入手可能である。
【0038】
図5に、一態様による、MEMSデバイスの製造方法500を示す。方法500は、デバイスの第1の部分を準備する第1の工程502、デバイスの接合領域で第1の部分に溝が追加される第2の工程504、デバイスの第2の部分を第1の部分と位置合わせする第3の工程506、第1の部分と第2の部分とが互いの方へ移動される第4の工程508、および第1の部分と第2の部分とが接合領域で接合される第5の工程510を含む。有利には、溝は、MEMSデバイスの接合領域から電気機械部品への潜在的に有害なスピルオーバーの量を低減および/または制御しながら、緊密な接合を可能にすることができ、それによってMEMSデバイスの信頼性を向上させる。これは、製造プロセスが接合材料の体積の制御に限界を有する場合に特に有利であり得る。例えば、はんだプリフォームは、プロセス処理を容易にするために最小体積を有する必要があり得るが、処理のための最小体積は、接合のための最大体積よりも大きい場合もあり、従来の製造方法では、余分な体積は、接合領域外部にスピルオーバーを生じさせ、MEMSデバイスの信頼性および完全性を損なう可能性がある。
【0039】
いくつかの態様では、方法500は、はんだプリフォームを用いて接合する工程を含む。いくつかの態様では、方法500は、堆積されたはんだを用いて接合する工程を含む。方法500は、余分な接合材料が使用される任意の接合技術において使用することができる。例えば、電気めっきでは、接合材料の典型的な厚さは数ミクロン程度であるが、接合界面での実際の量ははるかに少なくすることができる。方法500は、接合プロセス中のある時点で接合材料が液体状態にある場合に特に有利であり得る。接合材料がはんだプリフォームである態様では、方法500は、第1の部分の溝の上にはんだプリフォームを配置する工程、はんだプリフォームを加熱する工程、および第1の部分と第2の部分とが接合するようにはんだプリフォームを冷却する工程をさらに含むことができる。いくつかの態様では、工程510(第1の部分と第2の部分が接合領域で接合される)は、材料(例えば、はんだプリフォーム、堆積されたはんだ)を加熱する工程、および材料を冷却させる工程(例えば、熱を局所環境に放散させる受動冷却、例えば空気がデバイス上に強制的に送られる能動冷却など)を含む。
【0040】
図6Aに、一態様による、MEMSデバイス600を断面図で示す。いくつかの態様では、デバイス600は、上記の方法500に従って製造される。デバイス600において、基板602はシリコンであるが、他の材料を使用することもできる。そのような材料には、例えば、Ge、ZnSe、ガラス、セラミックなどを含めることができる。MEMSデバイス600は、接合領域604を有する部分602を含む。本明細書で使用する場合、「接合領域」は、デバイスの2つの部分が接着されるデバイスの領域を意味すると理解することができる。そのようなデバイスでは、デバイスの両方の部分がそれぞれの「接合領域」を有する。例えば、ガラス部分がシリコン部分に接合されるMEMSデバイス(例えば、ガラス部分が回路および/または機械部品を含み、シリコンカバーに接合される)では、ガラス部分とシリコン部分の両方が、両面を互いに接着するために、例えばはんだプリフォームや堆積されたはんだが置かれるそれぞれの接合領域を有する。接合領域は、例えば、真空封入工程を伴う製造プロセスにおいて「封止領域」と呼ばれることもある。
【0041】
本明細書で使用する場合、「溝」は、接合領域内の表面の下のトポグラフィを含むと理解することができる。例えば、デバイス600の接合領域604において、溝610は、基板602の接合面の下に形成される。いくつかの態様では、溝は、(例えば、本明細書でさらに論じるように、基板をエッチングすることによって)基板の表面から体積を除去することによって形成される。いくつかの態様では、溝は、(例えば、堆積、(例えば、ケイ化物を用いた)成長によって)接合領域内で基板の表面を選択的に上昇させるが、領域内の全ての表面を上昇させないことによって形成される。デバイス600は8本の溝を示しているが、異なる数の溝を使用できることが容易に理解されよう(例えば、図7Aを参照されたい)。デバイス600は、接合領域全体を占める溝を示しているが、他の態様は、接合領域の一部分を占める溝を含んでもよい。さらに、デバイス600は、溝を連続として示しているが、溝は離間させることもできる(例えば、第1の溝と第2の溝とが平坦面によって分離される)。そのような態様では、溝の間隔は、規則的とすることも、変化させることもできる。例えば、いくつかの態様は、封止領域の縁部に向かって密集した溝を含むが、接合領域の中心に向かってより広い溝間隔を含む。
【0042】
図5に戻って、工程504(第1の部分に溝を追加する工程)は、第1の部分に溝をエッチングする工程を含むことができる。例えば、表面に対してエッチングされた角度(例えば、図6Aにおける基板602の表面と溝610のうちの1つとの間の角度を表す角度αを参照されたい)にある2つの側壁は、表面の下の点で交わり、溝の深さに自ずと限界をもたらす。このエッチング工程は、有利には、基板の結晶構造を使用して各溝の深さを制御し得る。より具体的には、エッチング工程は、基板の結晶面に沿ってエッチングするように行われ得る。いくつかの態様では、溝は、第1の部分の表面に対して約54度の角度をなす側壁を含んでもよい。いくつかの態様では、少なくとも1つの側壁は、第1の部分の表面に対して54.74度の角度をなす。
【0043】
いくつかの態様では、溝は、表面と鋭角を形成しない。図6Bでは、例えば、溝660は、基板652の表面に対して鋭角を形成していない。図6Bは、基板652内の接合領域654および溝660の上方のはんだプリフォーム656を示している。溝660の上に接着層662が置かれている。図6Bの態様では、接着層662は、キャビティ658の部分664まで延在する。
【0044】
いくつかの態様では、溝の深さは、溝の幅によって決定され、溝の幅を側壁の既知の角度と組み合わせて選択することによって所望の深さを達成することができる。所与の深さ「D」および角度αについて、溝の幅「W」(そして、溝がエッチングによって形成される場合、エッチングラインの幅)は、式:D=(W*tanα)/2を使用して決定することができる。溝の深さ(または幅)は、溝の所望の体積によって決定されてもよい。例えば、接合用構成部品(図6Aのはんだプリフォーム606、図6Bのはんだプリフォーム656、堆積されたはんだ(図示せず)など)が第1の体積を有し(例えば、接合用構成部品の体積によって決定される)、複数の溝が第1の部分内に第2の体積を画定する態様を考える。はんだ体積の量は、所望の結果に応じて調整される。ボイド形成または接合幅の減少が許容できる場合、第2の体積は、MEMSデバイス内の接合領域から電気機械部品へのスピルオーバー(例えば、スピルオーバーは、電気部品および/または機械部品を収容するデバイスのキャビティに入る)を低減するために、第1の体積以上であることが望ましい場合がある。一方、ある程度のスピルオーバーが許容できる場合、第2の体積は、ボイド形成を低減もしくは最小化し、かつ/または接合幅を増大もしくは最大化するために、第1の体積よりも小さいいくつかの態様では、溝のサイズ決定は面積の関数である。これらの態様では、溝深さは用途全体にわたって一定であり、溝幅のみが変化する。いくつかの例示的な寸法は、15~50ミクロンの幅および13~45ミクロンの深さを含む。溝の長さは、製造されるデバイスの面積に依存することができ、例示的な長さとしては、これに限定されないが、50~74mmを含む。いくつかの態様では、プリフォーム幅は100~1000ミクロンであり、厚さは20~50ミクロンである。
【0045】
方法500は、デバイスの第1の部分にキャビティを追加する工程であって、キャビティが溝よりも深い、工程をさらに含むことができる。図6は、例示的なキャビティ608を示している(図2A図2F図6B、および図7も参照されたい)。いくつかの態様では、キャビティはエッチング工程を使用して形成される。いくつかの態様では、キャビティと溝とは、デバイスの同じ製造工程で形成される。例えば、同じエッチング工程。上記のように、部分502の結晶構造は、有利には、溝のエッチングの深さに限界をもたらし得る。したがって、溝は、有利には、たとえキャビティと溝とが異なる深さを有していても、キャビティと同じ処理工程で形成することができ、それによって製造時間およびコストを節約する(例えば、図6Aを参照されたい)。いくつかの態様では、溝は、キャビティとは別個の工程で自然に形成される(例えば、図6Bを参照されたい)。
【0046】
いくつかの態様では、工程506(デバイスの第2の部分を第1の部分と位置合わせする工程506)は、第1の部分と第2の部分との相互の接合領域を位置合わせする工程を含む。いくつかの態様では、位置合わせする工程は、第1の部分の溝を第2の部分の接合領域と位置合わせする工程を含む。第2の部分が第2の部分上に金属化リングを含む態様では、2つの部分を位置合わせする工程は、リングを溝と位置合わせする工程を含むことができる。いくつかの態様では、位置合わせする工程は、第1の部分と第2の部分との接合領域を参照せずに行われる。
【0047】
いくつかの態様では、工程508(第1の部分と第2の部分とが互いの方へ移動される)は、第1の部分と第2の部分とが互いの方へ移動されるように、他方が移動される間に一方の部分を静止状態に保持する工程を含む。いくつかの態様では、両方の部分が同時に移動される。
【0048】
図7Aに、一態様による、MEMSデバイス700を上面図で示す。いくつかの態様では、デバイス700は、方法500の1つまたは複数の工程を使用して製造される。いくつかの態様では、デバイス700はデバイス600の局面を含み、逆もまた同様である。デバイス700は、MEMSデバイスの第1の部分に対応してもよく、デバイスはまた、第1の領域に接合された第2の部分(図示せず)も含む。デバイス700は、接合領域704を有する基板702と、トレンチ706a/706bと、キャビティ708と、接合領域704内の複数の断面溝とを含む。いくつかの態様では、「断面溝」は、封止リングの面よりも短い長さを有する。いくつかの態様では、溝は欠陥の影響を限定する。例えば、溝が封止リングの面と平行である場合、溝間の欠陥は溝間の領域に限定される。溝間のトポグラフィが溝外部のトポグラフィから分離されることを条件として、他の非平行溝構成もこの利点を提供することができ、この構成により、溝間の欠陥が溝外部の領域に影響を及ぼすことが防止され、それによって真空破壊のリスクが低減される。
【0049】
いくつかの態様では、溝の深さは自己限定され(例えば、結晶構造を使用して上述の深さエッチングを限定して)、溝の長さは位置合わせ正確度によって決定される。そのような態様では、溝が結晶方位に完全に位置合わせされている場合には、溝の長さは限定されない。溝が結晶方位からずれている態様では、溝幅は、(溝の長さ)に(tan(シータ))を乗じたものに対応して広がり、ここでシータは、溝と結晶との間の角度差である。いくつかの態様は、溝の幅の広がりに対する所望の限界を満たすように溝の長さを限定し得る。
【0050】
いくつかの態様では、溝の幅は、収容を必要とするプリフォームの量によって決定されてもよい。例えば、プリフォームは厚さ25um、幅500umであり、断面積は1.25e4um2である。いくつかの態様では、プリフォームの約80%が収容されるので、木立(grove)幅は(例えば、エッチング形成後)35umである。いくつかの態様では、シールリング幅は750umであるので、17本の35um溝を嵌合することができる。いくつかの態様では、溝の長さは、ウェハー(Siウェハーなど)の結晶に対するマスクの位置合わせ正確度によって決定される。いくつかの態様では、長さは1mmである。より高い長さが、位置合わせの改善によって許容され得る。
【0051】
図7Bに、一態様による、プリフォームと溝との例示的な関係を示す。いくつかの態様では、例示的な関係は、厚さ25umのプリフォームと関連付けられる。いくつかの態様では、プリフォームは長方形であり、その断面積は、所与の厚さ(25umなど)に対して幅が増加するにつれて直線的に増加する。いくつかの態様では、溝は、その深さに対する制約なしに三角形であるので、溝の面積は、プリフォーム(例えば、この例では幅約55um)よりも大きくなり得る。
【0052】
図7Aに戻って、複数の溝は、端と端を接して配置された複数の断面溝を含む。溝710および溝712が、例示目的で識別されている。断面溝710は、第1の端部710aと第2の端部710bとを有し、断面溝712は、第1の端部712aと、第2の端部(図示せず)とを有する。第1の端部と第2の端部とは、基板の接合面によって分離されてもよい。有利には、断面溝を端と端とを接して配置することにより、例えば、所望の溝領域の外部のエッチングを低減し、それによって隣接する溝の間の意図しない併合を制限することによって、溝形成をより確実にすることができる。
【0053】
複数の溝は、異なる長さのものであってもよい。デバイス700では、例えば、溝712は溝710よりも長い。いくつかの態様では、複数の溝は等しい長さを有する。さらに、図7Aの断面溝は同じ幅として描かれているが、態様の中には異なる幅の溝を提供するものがあってもよい。同様に、トレンチ706aとトレンチ706bとは、同じ長さ、深さ、または幅とすることもでき、異なる長さ、深さ、または幅とすることもできる。
【0054】
いくつかの態様では、図7Aに示すように、断面溝は互い違いであってもよい。このようにして、ある断面溝から別の断面溝への漏れを制御することができる。いくつかの態様では、やはり図7Aに示すように、封止リングは完全に長方形でない場合もある。これらの領域における接合を有利に改善するために、封止リングの「角丸」に対応するようにさらなる溝が追加されてもよく、そのような溝は、封止リングの全長にわたって延在しない場合もある。
【0055】
図5に戻って、方法500は、デバイスの第2の部分に金属化リングを追加する工程をさらに含むことができる。例えば、第2の部分がガラスを含む態様では、金属化リングは、MEMSデバイスの第1の部分と第2の部分との接合を助けてもよい。いくつかの態様では、方法500によって製造されたMEMSデバイス(デバイス600、700)はボロメーターを含み、キャビティ(キャビティ608、708など)は光センサーを囲む。いくつかの態様では、方法500は、2つの部分を接合する前に溝を接着層で被覆する工程をさらに含んでもよい。例えば、図6Aおよび図6Bは、それぞれ、接着層612および接着層662を示している。接着層は、プリフォームはんだまたは堆積されたはんだが接合中に濡れるための表面を提供することができる。いくつかの態様では、接着層を接合領域に塗布することができる。いくつかの態様では、接着層を接合領域およびキャビティの一部分に塗布することができる。例えば、図6Aおよび図6Bは、それぞれ、キャビティ608およびキャビティ658の領域614および領域664に塗布された接着層を示している。キャビティ内の接着層は、有利には、キャビティのその部分からの入射放射を遮断することができる。いくつかの態様では、接着層の下に基準ボロメーターが配置され、それによって、基準ボロメーター上に遮断を配置する他のプロセス工程が不要になる。キャビティ内の接着層のこの有利な使用は、本明細書に開示する溝(または任意の他の特徴)の有無にかかわらず使用することができる。図6Aおよび図6Bでは能動領域の縁部に隣接して表示されているが、基準センサー(したがって、キャビティ内の接着層の配置)は、キャビティに隣接していない場合もある。接着層を追加する例示的な方法は、リフトオフプロセスまたはマスクを含む。
【0056】
図8を参照すると、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法800が示されている。方法800は、複数の第1の電気機械部品を準備する工程802;キャリアが準備される工程804であって、キャリアが複数の第1の電気機械部品のそれぞれと各々関連付けられた複数の位置を含む、工程;複数の第1の電気機械部品の中の欠陥部品を特定する工程806;複数の第2の電気機械部品を準備する工程808;複数の第2の電気機械部品を、キャリア上の、ただし欠陥のある電気機械部品と関連付けられた位置ではないそれぞれの位置に配置する工程810;第1の電気機械部品と第2の電気機械部品のそれぞれの対が接合される工程812;および(任意選択)第1の電気機械部品と第2の電気機械部品のそれぞれの対を個片化して複数のMEMSデバイスをもたらす工程814、を含む。
【0057】
いくつかの態様では、工程802は、層内に複数の構成部品を設ける工程を含む。そのような態様では、工程810または工程812は、キャリア上に層を配置する工程を含む。そのような態様では、工程814(第1の電気機械部品と第2の電気機械部品のそれぞれの対を個片化して複数のMEMSデバイスをもたらす工程)を使用することができる。いくつかの態様では、層はウェハーサイズである。本開示の範囲から逸脱することなく、他の層サイズ(パネルスケールなど)を使用することもできる。いくつかの態様では、層は円形である。本開示の範囲から逸脱することなく、他の層形状(正方形の層など)を使用することもできる。いくつかの態様では、第1の電気機械部品と第2の電気機械部品の一方または両方が円形である。本開示の範囲から逸脱することなく、他の構成部品形状(正方形の構成部品など)を使用することもできる。
【0058】
いくつかの態様では、工程804は、各々がキャリアのそれぞれの位置にある複数のキャビティを有するキャリアを準備する工程を含む。そのような態様では、工程810は、それぞれのキャビティ内に欠陥のない第2の電気機械部品を配置する工程を含む。
【0059】
いくつかの態様では、工程806は、複数の電気機械部品を電気的に試験する工程を含む。いくつかのさらなる態様では、工程806は、短絡を特定する工程、開回路を特定する工程、電圧範囲を調べる工程、および/または抵抗値を調べる工程のうちの少なくとも1つを含む。
【0060】
いくつかの態様では、工程806は、複数の電気機械部品を機械的に試験する工程。機械的試験は、例えば、破損したヒンジの特定、光学的形状測定、および共振周波数測定を含むことができる。機械的試験は、目視検査ツールを使用して行うことができる。
【0061】
いくつかの態様では、欠陥部品を特定する工程(工程806)は、不良デバイスマップを作成する工程を含む。いくつかの態様では、不良デバイスマップは、既知の良好な構成部品の位置を含む。いくつかの態様では、工程806は、2つ以上の欠陥部品を特定する工程を含む。
【0062】
いくつかの態様では、工程810は、ピックアンドプレース機を利用して第2の電気機械部品を配置する工程を含む。いくつかの態様では、キャリアを除去する追加の工程が方法800に追加される。
【0063】
いくつかの態様では、MEMSデバイスはボロメーターであり、第1の電気機械部品はボロメーターカバーである。
【0064】
いくつかの態様では、第1の電気機械部品はガラスを含み、第2の電気機械部品はシリコンを含む。図9に、一態様による、複数のMEMSデバイスの製造方法900を示す。方法900では、第1の電気化学部品はガラスを含み(908参照)、第2の電気機械部品はシリコンを含む(902参照)。方法900では、シリコンは、個々のシリコン構成部品が形成される前に処理される(工程902、キャビティエッチング、金属化、ARコーティング、およびダイシングの例示的な処理工程を列挙する)。別途、方法900は、正方形ガラス(150mmの例示的なサイズが示されている)を準備する工程(工程906)を含む。ガラスは、一部もしくは全部の電気機械部品が既に追加された状態で方法900に提供することができるか、または電気機械部品の一部もしくは全部が方法900の間にガラスウェハーに追加される。工程906は、追加の(図示されていない)プロセス工程、例えば、正方形ガラス上の電気機械部品の中の欠陥部品を特定する工程をさらに含むことができる。工程910として、複数のシリコン電気機械部品が、ガラスの欠陥のない部品に対応する位置でガラス上に実装される。工程912は、シリコン構成部品とガラス構成部品とを接合する工程を含み、工程914は、個々のデバイスを個片化する工程を含む。いくつかの態様では、方法900の工程は方法800の工程に対応するかまたは方法800の工程を含み、逆もまた同様である。
【0065】
いくつかの態様では、電気機械部品は、電気部品のみ、機械部品のみ、またはその両方を含む。いくつかの態様では、電気機械部品はカバーを含む。
【0066】
図10に、一態様による、電気機械システムの製造方法1000を示す。非限定的な例として、電気化学システムは、本明細書に記載するデバイスまたはシステムと関連付けることができる。電気機械システムを製造するために、方法1000のプロセス工程の全部または一部を使用し、異なる順序で使用することができる。非限定的な例として、工程1014は、工程1012の前に行うこともできる。いくつかの態様では、本明細書に開示する他の方法の工程を、方法1000で行うことができる。
【0067】
方法1000は、工程1002、すなわち基板を準備する工程を含む。いくつかの態様では、基板は、ガラスで作られている。いくつかの態様では、基板は、低温多結晶シリコンである。いくつかの態様では、基板は、特性を微調整するための追加の元素を含有するホウケイ酸塩である。ホウケイ酸塩の一例が、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸塩(ホウ素、アルミニウム、各種アルカリ土類元素を含むケイ酸塩)を製造するCORNING EAGLEによるものである。他の変形は、ASAHI GLASSまたはSCHOTTから入手可能である。
【0068】
いくつかの態様では、電気機械システムを製造するためにフラットパネルガラスプロセスが使用される。いくつかの態様では、電気機械システムを製造するために液晶ディスプレイ(LCD)プロセスが使用される。いくつかの態様では、OLEDディスプレイプロセスまたはX線パネルプロセスが使用される。フラットパネルガラスプロセスを用いることにより、基板サイズを大きくすることが可能になり、それによって基板当たりの電気化学システムの数を増やすことが可能になり、処理コストが削減される。「パネルレベル」サイズには、300mm×400mm、360mm×465mm、400mm×500mm、550mm×650mm、620mm×750mm、680mm×880mm、730mm×920mm、1100mm×1300mm、1300mm×1500mm、1500mm×1850mm、1950mm×2250mm、2200mm×2500mm、および2840mm×3370mmを含めることができる。さらに、パネルレベルの製造における薄膜トランジスタ(TFT)もコストを削減することができ、そのため、例えば、LCD-TFTプロセスが有益となり得る。
【0069】
方法1000は、工程1004、MEMSを基板に追加することを含む。構造体の追加を説明するためにMEMSが使用されているが、本開示の範囲から逸脱することなく他の構造体を追加することもできることを理解されたい。パネルレベル処理を使用する態様では、MEMS構造体は、LCD-TFTプロセスを使用して追加されてもよい。
【0070】
工程1004の後に、任意選択の工程1016、サブプレーティングが続いてもよい。工程1016は、基板が後続の工程で使用される処理装置よりも大きい場合に使用されてもよい。例えば、パネルレベルプロセス(LCDなど)を使用する場合、いくつかの態様は、(例えば、CMOS製造装置を使用した)さらなる処理を行うために(工程1004で)パネルをウェハーサイズに切断する工程を含む。他の態様では、方法1000全体を通して同じサイズの基板が使用される(すなわち、工程1016は使用されない)。
【0071】
方法1000は、工程1006、MEMSを基板から取り外すことを含む。
【0072】
方法1000は、工程1008、取り外し後の処理を含む。そのような取り外し後の処理は、平坦化などのさらなるプロセス工程のためにMEMS構造体を準備してもよい。ウェハーレベルの処理では、平坦化は化学機械平坦化を含むことができる。いくつかの態様では、さらなるプロセス工程はエッチバックを含み、トポグラフィ上にフォトレジストが回転塗布されてより平坦な表面が生成され、次いでその表面がエッチングされる。エッチング時間のより高度な制御により、より滑らかな表面プロファイルを得ることができる。いくつかの態様では、さらなるプロセス工程は、「スピンオンガラス」を含み、ガラスを含む有機結合剤がトポグラフィ上に回転塗布され、その結果が焼成されて有機溶媒が除去され、より滑らかな表面が残る。
【0073】
方法1000は、必要に応じて、工程1010、MEMS構造体の真空封入を含む。真空封入は、デバイス寿命を延ばすために有益であり得る。
【0074】
方法1000は、工程1012、個片化を含む。いくつかの態様は、較正およびチッププログラミングを含んでもよく、較正およびチッププログラミングは、センサーの特性を考慮に入れてもよい。本明細書に記載する方法は、ガラスリソグラフィ能力の均一性が限定されるので、ガラス基板製造プロセスにおいて有利であり得る。さらなる利点として、ガラスはより低い熱伝導率を有し、そのためガラス基板はより良好な断熱材とすることができ、ボロメーターピクセルをガラス基板から分離する薄い構造体を製造することによって、本明細書の態様は、ガラスボロメーターピクセルをパッケージング環境から熱的に隔離するためによりよく機能し得る。
【0075】
方法1000は、工程1014、読み出し集積回路(ROIC)の取り付けおよびフレックス/PCB取り付けを含む。本明細書に記載するプロセスおよびデバイスは、信号処理に必要な領域を、センシング物理学によって規定されるセンシング領域よりもはるかに小さくすることができるというさらなる利点を有し得る。典型的には、センサーはCMOS回路の上に集積され、領域駆動コストが、信号処理タスクに最適ではない技術ノードにつながる。本明細書に記載するプロセスは、より適切なCMOSを使用し、信号処理に必要な領域を縮小して、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造の低コストを活用することによって任意の領域制約からセンサーを解放することができる。いくつかの態様では、ROICは、特定の電磁波長(X線、THz、LWIRなど)を感知するための要件を満たすように特に設計される。
【0076】
図11に、例示的なセンサーを示す。いくつかの態様では、センサー1100は、本明細書に開示する方法を使用して製造される。センサー1100は、ガラス基板1106と、ガラス基板1106に結合された幅250nm未満の構造体1104と、構造体1104に結合されたセンサーピクセル1102とを含む。センサー1100のいくつかの態様では、構造体1104は、能動領域をガラスから熱的に分離するヒンジである。いくつかの態様では、センサー1100は、入力電流または電荷を受け取り、受け取った放射に基づいて出力電流または電荷を出力する(例えば、センサーの2つの端子間の抵抗は、LWIR放射への曝露に応じて変化する)。
【0077】
いくつかの態様では、センサーは、ガラス基板と、本明細書に記載する方法のいずれかから製造され、ガラス基板に結合された構造体と、構造体に結合されたセンサーピクセルとを含む。例として、センサーは、抵抗センサーおよび容量センサーを含むことができる。
【0078】
いくつかの態様では、本明細書のプロセスによって製造されるMEMSデバイスは、ガラス基板と、構造体に結合されたボロメーターピクセルとを各々含むボロメーターである。いくつかの態様では、ボロメーターは、LCD-TFT製造プロセスによって製造されたMEMSまたはNEMSデバイスを含む。
【0079】
ボロメーターは、様々な用途に使用することができる。例えば、遠赤外線(LWIR、約8~14μmの波長)ボロメーターは、自動車および商業セキュリティ産業で使用することができる。例えば、QVGA、VGA、および他の解像度を有するLWIRボロメーター。テラヘルツ(THz、約0.1~1.0mmの波長)ボロメーターを、セキュリティ(空港乗客のセキュリティスクリーニングなど)および医療(医用画像)に使用することができる。例えば、THzボロメーターは、QVGA解像度(320×240)または他の解像度を有することができる。いくつかの電気化学システムは、X線センサーまたはカメラシステムを含むことができる。同様に、LWIRセンサーおよびTHzセンサーは、カメラシステムで使用される。内視鏡や外視鏡など、いくつかの電気機械システムが医用画像に適用されている。
【0080】
他の電気機械システムは、光検出および測距(LIDAR)システム用のスキャナーを含む。例えば、(ビームポインティングなどのために)レーザービームの空間特性を成形することができる光学スキャナー。電気機械システムは、慣性センサーを含む(例えば、入力刺激が直線運動または角運動である場合)。いくつかのシステムは、バイオセンシングおよびバイオ治療プラットフォームで使用され得る(例えば、生化学的薬剤が検出される場合)。
【0081】
本明細書で使用する場合、「MEMS」という用語は、約1mm以下の形状を有する電気機械システムを含むと理解することができる。例えば、「MEMS」という用語は、ナノ電気機械システム(「NEMS」)を含むと理解することができる。
【0082】
第1の態様において、各デバイスが熱膨張係数(CTE)の異なる第1の材料および第2の材料を含む、複数のMEMSデバイスの製造方法であって、方法が、第1の材料と実質的に等しいCTEを有するキャリアを準備する工程であって、キャリアが複数のキャビティを含む、工程;複数の構成部品をキャリアのそれぞれのキャビティに配置する工程であって、構成部品が第2の材料を含む、工程;第2の材料の構成部品上に第1の材料の層を配置する工程;第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程;キャリアを除去する工程;および第1の材料を個片化して複数のMEMSデバイスをもたらす工程、を含む、製造方法。
【0083】
第2の態様において、キャリアを準備する工程が、第1の材料のキャリア層を準備する工程を含む、態様1の方法。
【0084】
第3の態様において、キャリアを準備する工程が、セラミック材料または金属の少なくとも一方を準備する工程を含む、態様1の方法。
【0085】
第4の態様において、キャリアを準備する工程が、第1のキャリア層を準備する工程;第2のキャリア層を準備する工程;第1のキャリア層と第2のキャリア層とを接合する工程;第1のキャリア層と第2のキャリア層の一方または両方から材料を除去して複数のキャビティを形成する工程、を含む、態様1~3のいずれかの方法。
【0086】
第5の態様において、真空を適用する工程をさらに含み、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程が、真空を適用しながら行われる、態様1~4のいずれかの方法。
【0087】
第6の態様において、キャリアを準備する工程が、各キャビティ内に真空チャネルを有するキャリアを準備する工程を含む、態様5の方法。
【0088】
第7の態様において、キャリアを準備する工程が、円形ウェハーを準備する工程を含む、態様1~6のいずれかの方法。
【0089】
第8の態様において、キャリアを準備する工程が、正方形ウェハーを準備する工程を含む、態様1~6のいずれかの方法。
【0090】
第9の態様において、キャリアを準備する工程が、6インチウェハーを準備する工程を含む、態様1~8のいずれかの方法。
【0091】
第10の態様において、キャリアを準備する工程が、8インチウェハーを準備する工程を含む、態様1~8のいずれかの方法。
【0092】
第11の態様において、キャリアを準備する工程が、パネルを準備する工程を含む、態様1~6のいずれかの方法。
【0093】
第12の態様において、複数の構成部品を配置する工程が、構成部品をキャリアに固定するために構成部品に真空を適用する工程を含む、態様1~11のいずれかの方法。
【0094】
第13の態様において、キャリアを準備する工程が、各キャビティ内に真空チャネルを有するキャリアを準備する工程を含み、真空を適用する工程が、チャネルを通して構成部品に真空を適用する工程を含む、態様12の方法。
【0095】
第14の態様において、複数のMEMSデバイスの各々が、第2の材料のカバーを含む、態様1~13のいずれかの方法。
【0096】
第15の態様において、各構成部品が、金属化表面を有する側壁を含む、態様1~14のいずれかの方法。
【0097】
第16の態様において、各構成部品の側壁が、それぞれの構成部品内にキャビティを画定する、態様15の方法。
【0098】
第17の態様において、構成部品をキャリア内に配置する前にそれぞれの構成部品内にキャビティを形成する工程をさらに含む、態様16の方法。
【0099】
第18の態様において、構成部品をキャリア内に配置した後にそれぞれの構成部品内にキャビティを形成する工程をさらに含む、態様16の方法。
【0100】
第19の態様において、構成部品をキャリア内に配置する前に金属化表面を形成する工程をさらに含む、態様15~18のいずれかの方法。
【0101】
第20の態様において、構成部品をキャリア内に配置した後に金属化表面を形成する工程をさらに含む、態様15~18のいずれかの方法。
【0102】
第21の態様において、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程が、金属化表面上に接合用構成部品を堆積させる工程を含む、態様15~20のいずれかの方法。
【0103】
第22の態様において、接合用構成部品が、はんだプリフォーム、堆積されたはんだ、またはその両方を含む、態様21の方法。
【0104】
第23の態様において、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程が、堆積によって接合用構成部品を成長させる工程を含む、態様1~22のいずれかの方法。
【0105】
第24の態様において、第1の材料と第2の材料とを接合する工程が、350℃未満の温度を適用する工程を含む、態様1~23のいずれかの方法。
【0106】
第25の態様において、第1の材料と第2の材料とを接合する工程が、約300℃の温度を適用する工程を含む、態様1~24のいずれかの方法。
【0107】
第26の態様において、第2の材料の構成部品上に第1の材料の層を配置する工程の後、第1の材料の層と第2の材料の構成部品とを接合する工程の前に、第1の材料の層、第2の材料の構成部品、およびキャリアを回転させる工程をさらに含む、態様1~25のいずれかの方法。
【0108】
第27の態様において、個片化する工程が、ダイシングソーを使用して第1の材料の層をダイシングする工程を含む、態様1~26のいずれかの方法。
【0109】
第28の態様において、個片化する工程が、スクライブ・ブレーク法を使用して第1の材料の層をダイシングする工程を含む、態様1~26のいずれかの方法。
【0110】
第29の態様において、第1の材料および第2の材料が、ガラスおよびシリコンから選択される、態様1~28のいずれかの方法。
【0111】
第30の態様において、MEMSデバイスは、第1の部分と、接合領域で第1の部分に接合された第2の部分であって、接合領域が複数の溝を含む、第2の部分と、を含む。
【0112】
第31の態様において、溝がV字形状を構成する、態様30のMEMSデバイス。
【0113】
第32の態様において、溝が、第1の部分の表面に形成されており、各溝が、表面に対して約54度の2つの側壁を含む、態様30~31のいずれかのMEMSデバイス。
【0114】
第33の態様において、溝が、第2の部分の表面と鋭角を形成しない、態様30のMEMSデバイス。
【0115】
第34の態様において、第1の部分が、溝と、溝よりも深いキャビティとを含む、態様30~33のいずれかのMEMSデバイス。
【0116】
第35の態様において、MEMSデバイスがボロメーターを含み、キャビティが光センサーを囲む、態様34のMEMSデバイス。
【0117】
第36の態様において、複数の溝が、端と端を接して配置された複数の断面溝を含む、態様30~35のいずれかのMEMSデバイス。
【0118】
第37の態様において、溝内におよび第1の部分と第2の部分との間にはんだをさらに含む、態様30~36のいずれかのMEMSデバイス。
【0119】
第38の態様において、はんだプリフォームが第1の体積を有し、複数の溝が第1の部分内に第2の体積を画定し、第2の体積が第1の体積以上である、態様37のMEMSデバイス。
【0120】
第39の態様において、溝内におよび第1の部分と第2の部分との間に接着層をさらに含む、態様30~38のいずれかのMEMSデバイス。
【0121】
第40の態様において、溝が、第1の部分の表面に形成されており、デバイスが、第2の部分に取り付けられた金属化リングをさらに含む、態様30~39のいずれかのMEMSデバイス。
【0122】
第41の態様において、接合領域を含むMEMSデバイスの製造方法であって、方法が、デバイスの第1の部分を準備する工程;接合領域で第1の部分に複数の溝を追加する工程;溝の上にはんだ(はんだプリフォーム、堆積されたはんだなど)を配置する工程;デバイスの第2の部分を第1の部分と位置合わせする工程;はんだを加熱する工程;第1の部分を第2の部分の方へ移動させる工程;および第1の部分が接合領域で第2の部分に接合するようにはんだを冷却する工程、を含む、製造方法。
【0123】
第42の態様において、溝が、第1の部分の表面に対して約54度の側壁を含む、態様41の方法。
【0124】
第43の態様において、はんだが第1の体積を有し、複数の溝が第1の部分内に第2の体積を画定し、第2の体積が第1の体積以上である、態様41~42のいずれかの方法。
【0125】
第44の態様において、複数の溝が、端と端を接して配置された複数の断面溝を含む、態様41~43のいずれかの方法。
【0126】
第45の態様において、デバイスの第2の部分に金属化リングを追加する工程をさらに含む、態様41~44のいずれかの方法。
【0127】
第46の態様において、デバイスの第1の部分にキャビティを追加する工程であって、キャビティが溝よりも深い、工程をさらに含む、態様41~45のいずれかの方法。
【0128】
第47の態様において、キャビティと溝とが、同じエッチング処理工程で第1の部分に追加される、態様46の方法。
【0129】
第48の態様において、キャビティと溝とが、異なる処理工程で第1の部分に追加される、態様46の方法。
【0130】
第49の態様において、MEMSデバイスがボロメーターを含み、キャビティが光センサーを囲む、態様46~48のいずれかの方法。
【0131】
第50の態様において、方法1~29のいずれかにおける少なくとも1つの工程をさらに含む、態様41~49のいずれかの方法。
【0132】
第51の態様において、複数のMEMSデバイスの製造方法であって、方法が、複数の第1の電気機械部品を含む層を準備する工程;各位置が複数の第1の電気機械部品のそれぞれと関連付けられた、複数の位置を含むキャリアを準備する工程;複数の第1の電気機械部品の中の欠陥部品を特定する工程;複数の第2の電気機械部品を、キャリア上の、ただし欠陥のある電気機械部品と関連付けられた位置ではないそれぞれの位置に配置する工程;キャリア上に層を配置する工程;第1の電気機械部品と第2の電気機械部品のそれぞれの対を接合する工程;キャリアを除去する工程;および層を個片化して複数のMEMSデバイスをもたらす工程、を含む、製造方法。
【0133】
第52の態様において、欠陥部品を特定する工程が、複数の第1の電気機械部品を電気的に試験する工程を含む、態様51の方法。
【0134】
第53の態様において、欠陥部品を特定する工程が、短絡または開回路の少なくとも一方を特定する工程を含む、態様52の方法。
【0135】
第54の態様において、欠陥部品を特定する工程が、複数の第1の電気機械部品を機械的に試験する工程を含む、態様51~53のいずれかの方法。
【0136】
第55の態様において、欠陥部品を特定する工程が、不良デバイスマップを作成する工程を含む、態様51~54のいずれかの方法。
【0137】
56. 第56の態様において、欠陥部品を特定する工程が、2つ以上の欠陥部品を特定する工程を含み、複数の第2の電気機械部品を配置する工程が、複数の第2の電気機械部品を、キャリア上の、ただし2つ以上の欠陥のある電気機械部品と関連付けられた位置ではないそれぞれの位置に配置する工程を含む、態様51~55のいずれかの方法。
【0138】
第57の態様において、層がウェハーサイズである、態様51~56のいずれかの方法。
【0139】
第58の態様において、構成部品が円形である、態様51~57のいずれかの方法。
【0140】
第59の態様において、構成部品がボロメーターカバーを含む、態様51~58のいずれかの方法。
【0141】
第60の態様において、構成部品がシリコンを含む、態様51~59のいずれかの方法。
【0142】
第61の態様において、キャリアが、キャリアのそれぞれの位置に各々ある複数のキャビティを含む、態様51~60のいずれかの方法。
【0143】
第62の態様において、方法1~29および方法41~49のいずれかにおける少なくとも1つの工程をさらに含む、態様51~61のいずれかの方法。
【0144】
第63の態様において、MEMSデバイスの製造方法であって、方法が、接合領域とキャビティとを有する透明カバーを準備する工程;および接合領域内およびキャビティ内に接着層を塗布する工程であって、接着層が、基準センサーに到達する放射を遮断するようにキャビティ内に配置される、工程、を含む、製造方法。
【0145】
第64の態様において、方法1~29、方法41~49、および方法51~61のいずれかにおける少なくとも1つの工程をさらに含む、態様63の方法。
【0146】
第65の態様において、MEMSデバイスは、基準センサーと能動型センサーとを有する基板と、接合領域とキャビティとを含む透明カバーと、を含み、基板と透明カバーとは、接着剤を使用して接合領域で接合され、透明カバーは、基準センサーに到達する放射を遮断するように配置されたキャビティ内の接着剤を含む。
【0147】
第66の態様において、カバーが、接合領域内に複数の溝をさらに含む、態様65のMEMSデバイス。
【0148】
第67の態様において、溝がV字形状を構成する、態様66のMEMSデバイス。
【0149】
第68の態様において、溝が、透明カバーの表面に形成されており、各溝が、表面に対して約54度の2つの側壁を含む、態様66~67のいずれかのMEMSデバイス。
【0150】
第69の態様において、溝が、透明カバーの表面と鋭角を形成しない、態様66のMEMSデバイス。
【0151】
第70の態様において、キャビティが溝よりも深い、態様66~69のいずれかのMEMSデバイス。
【0152】
第71の態様において、複数の溝が、端と端を接して配置された複数の断面溝を含む、態様66~70のいずれかのMEMSデバイス。
【0153】
第72の態様において、溝内におよび基板と透明カバーとの間にはんだをさらに含む、態様66~71のいずれかのMEMSデバイス。
【0154】
第73の態様において、はんだプリフォームが第1の体積を有し、複数の溝が透明カバー内に第2の体積を画定し、第2の体積が第1の体積以上である、態様72のMEMSデバイス。
【0155】
第74の態様において、溝が、透明カバーの表面に形成されており、デバイスが、基板に取り付けられた金属化リングをさらに含む、態様66~73のいずれかのMEMSデバイス。
【0156】
第75の態様において、MEMSデバイスがボロメーターを含み、キャビティが光センサーを囲む、態様65~74のいずれかのMEMSデバイス。
【0157】
開示の態様は添付の図面を参照して十分に説明されているが、当業者には様々な変更および修正が明らかになることに留意されたい。そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示の態様の範囲内に含まれると理解されるべきである。例えば、本開示は主にガラスMEMSプレート/パネルに関して説明されているが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく他のMEMSプレート/パネルを使用することもできることを認識するであろう。そのような他のMEMSプレートは、有機材料(プラスチック、ポリマー)および金属(ステンレス鋼など)を含んでもよいが、これらに限定されない。本明細書で使用する場合、「プレート」および「パネル」という用語は同義である。
【0158】
本明細書の様々な記載の態様の説明において使用されている用語は、特定の態様を説明するためのものにすぎず、限定することを意図されていない。様々な記載の態様の説明および添付の特許請求の範囲において使用されている場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上そうではないことが明らかでない限り、複数形も含むことが意図されている。本明細書で使用されている「および/または(and/or)」という用語は、関連付けられた記載項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、それらを包含することも理解されるであろう。「includes」、「including」、「comprises」、および/または「comprising」という用語は、本明細書で使用する場合、記述された特徴、整数、工程、動作、要素、および/または構成部品の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成部品、および/またはそれらのグループの存在または追加を除外するものではないこともさらに理解されるであろう。
図1
図2-1】
図2-2】
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】