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特表2024-501457眼組織を切削するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】眼組織を切削するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
A61F9/008 120B
A61F9/008 120D
A61F9/008 120C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535561
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 IB2021061931
(87)【国際公開番号】W WO2022137056
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/130,518
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト ボル
(72)【発明者】
【氏名】マリオ クラフケ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス クラウス
(72)【発明者】
【氏名】キース ワタナベ
(57)【要約】
特定の実施形態では、眼の組織を切削するための眼科手術システムが、制御可能なコンポーネント(光源及びスキャナなど)と、光学要素と、コンピュータとを備える。光源は、パルスを含む光ビームを発生させ、光ビームの伝播方向がz軸を規定する。スキャナは、z軸に直交するxy平面に光ビームの焦点を導く。光学要素は、眼の治療領域において光ビームの焦点を整形し、集束させる。コンピュータは、パルスを含む光ビームを発生させ、各パルスが、1J/cmより大きいフルエンスを有するように制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令する。光学要素のうちのある光学要素が、焦点パターンにしたがって治療領域において0.4mm未満のスポットサイズで光ビームの焦点を集束させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の組織を切削するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数のパルスを含む光ビームを発生させるように構成された光源であって、前記光ビームの伝播方向がz軸を規定する、光源と、
前記z軸に直交するxy平面に前記光ビームの焦点を導くように構成されたスキャナと、
前記眼の治療領域において前記光ビームの前記焦点を整形し、集束させるように構成された複数の光学要素と
を備える、複数の制御可能なコンポーネントと、
コンピュータであって、
前記複数のパルスを含む前記光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有する
ように前記制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令するように構成されたコンピュータと、
焦点パターンにしたがって前記眼の前記治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで前記光ビームの前記焦点を集束させるように構成された、前記複数の光学要素のうちの光学要素と
を備える、眼科手術システム。
【請求項2】
前記光学要素が、前記光ビームを整形するように構成されたビームシェイパを含む、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項3】
前記ビームシェイパが開口部を含む、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項4】
前記光学要素が、前記光ビームを均一化するように構成されたビームホモジナイザを含む、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項5】
前記ビームホモジナイザが回折要素を含む、請求項4に記載の眼科手術システム。
【請求項6】
前記複数の光学要素のうちの前記光学要素が、前記光ビームを集束させるように構成された対物系を含む、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項7】
前記システムが、0.35未満の安定化係数をもたらし、前記安定化係数が、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされる前記パルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項8】
前記パルスが、0.760μmより大きい切削深さをもたらす、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項9】
前記パルスが、0.9μmより大きい切削深さをもたらす、請求項8に記載の眼科手術システム。
【請求項10】
各パルスが、1.2ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有する、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項11】
眼の組織を切削するための方法であって、
複数の制御可能なコンポーネントの光源によって、複数のパルスを含む光ビームを発生させることであって、前記光ビームの伝播方向がz軸を規定する、発生させることと、
前記複数の制御可能なコンポーネントの光源によって、前記z軸に直交するxy平面に前記光ビームの焦点を導くことと、
複数の光学要素によって、前記眼の治療領域において前記光ビームの前記焦点を整形し、集束させることと、
コンピュータによって、前記複数のパルスを含む前記光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有するように前記制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令することと、
前記複数の光学要素のうちの光学要素によって、焦点パターンにしたがって前記眼の前記治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで前記光ビームの前記焦点を集束させることと
を含む、方法。
【請求項12】
前記焦点を前記整形することが、ビームシェイパによって、前記光ビームを整形することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ビームシェイパが開口部を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記焦点を前記整形することが、ビームホモジナイザによって、前記光ビームを均一化することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ビームホモジナイザが回折要素を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の光学要素のうちの前記光学要素が、前記光ビームを集束させるように構成された対物系を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記パルスが、0.35未満の安定化係数をもたらし、前記安定化係数が、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされる前記パルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記パルスが、0.760μmより大きい切削深さをもたらす、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記パルスが、0.9μmより大きい切削深さをもたらす、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
眼の組織を切削するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数のパルスを含む光ビームを発生させるように構成された光源であって、前記光ビームの伝播方向がz軸を規定する、光源と、
前記z軸に直交するxy平面に前記光ビームの焦点を導くように構成されたスキャナと、
前記眼の治療領域において前記光ビームの前記焦点を整形し、集束させるように構成された複数の光学要素であって、前記光学要素が、
前記光ビームを整形するように構成されたビームシェイパであって、前記ビームシェイパが開口部を含む、ビームシェイパと、
前記光ビームを均一化するように構成されたビームホモジナイザであって、前記ビームホモジナイザが回折要素を含む、ビームホモジナイザと、
を含む、複数の光学要素と
を備える、複数の制御可能なコンポーネントと、
コンピュータであって、
前記複数のパルスを含む前記光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有し、前記パルスが0.9μmより大きい切削深さをもたらす
ように前記制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令するように構成されたコンピュータと、
焦点パターンにしたがって前記眼の前記治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで前記光ビームの前記焦点を集束させるように構成された、前記複数の光学要素のうちの光学要素であって、前記光学要素が、前記光ビームを集束させるように構成された対物系を含み、前記システムが、0.35未満の安定化係数をもたらし、前記安定化係数が、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされる前記パルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す、光学要素と
を備える、眼科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、眼科手術システム及び方法に関し、より詳細には、眼組織を切削するためのアブレーションシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザアブレーションは、レーザビームを表面に照射することによって表面から物質を除去する。眼科手術では、アブレーション手術は典型的に、エキシマレーザを使って角膜を変形させてその屈折特性を変化させる。処置中、エキシマレーザビームは、レーザ焦点パターンにしたがって角膜に向けて導かれる。ビームにより分子同士が分離させられ、物質が除去されて、所望の角膜形状が得られる。
【0003】
レーザビームの深さ精度は、所望の屈折結果を得るために重要である。加えて、レーザビームは組織を加熱するため、組織の損傷を避けるように組織の温度を制御しなければならない。特定の実施形態では、角膜における熱が、約100μmのより深くにある間質細胞層にまで拡散する。熱は眼の前眼部に拡散することがあり、このことが不要な副作用を引き起こすことがある。特定の既知のシステムは、満足のいく精度及び温度制御を提供できない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態では、眼の組織を切削するための眼科手術システムが、制御可能なコンポーネントと、光学要素と、コンピュータとを備える。制御可能なコンポーネントは、光源とスキャナとを備える。光源は、パルスを含む光ビームを発生させ、光ビームの伝播方向がz軸を規定する。スキャナは、z軸に直交するxy平面に光ビームの焦点を導く。光学要素は、眼の治療領域において光ビームの焦点を整形し、集束させる。コンピュータは、パルスを含む光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有するように制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令する。光学要素のうちのある光学要素が、焦点パターンにしたがって眼の治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで光ビームの焦点を集束させる。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよい、又は1つ、いくつか、若しくはすべてを含み得る。
【0006】
光学要素は、光ビームを整形するように構成されたビームシェイパを含む。ビームシェイパは開口部であってもよい。
【0007】
光学要素は、ビームホモジナイザを含む。ビームホモジナイザは、回折要素であってもよい。
【0008】
複数の光学要素のうちの光学要素は、光ビームを集束させるように構成された対物系を含む。
【0009】
本システムは、0.35未満の安定化係数をもたらし、安定化係数は、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされるパルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す。
【0010】
パルスは、0.9μmより大きいなど、0.760μmより大きい切削深さをもたらす。
【0011】
各パルスは、1.2ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有する。
【0012】
特定の実施形態では、眼の組織を切削するための方法が、複数の制御可能なコンポーネントの光源によって、複数のパルスを含む光ビームを発生させることであって、光ビームの伝播方向がz軸を規定する、発生させることと、複数の制御可能なコンポーネントの光源によって、z軸に直交するxy平面に光ビームの焦点を導くことと、複数の光学要素によって、眼の治療領域において光ビームの焦点を整形し、集束させることと、コンピュータによって、複数のパルスを含む光ビームを発生させるように制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令することであって、各パルスが、1ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有する、命令することと、複数の光学要素のうちの光学要素によって、焦点パターンにしたがって眼の治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで光ビームの焦点を集束させることとを含む。
【0013】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよい、又は1つ、いくつか、若しくはすべてを含み得る。
【0014】
焦点を整形することが、ビームシェイパによって、光ビームを整形することを含む。ビームシェイパは開口部であってもよい。
【0015】
焦点を整形することが、ビームホモジナイザによって、光ビームを均一化することを含む。ビームホモジナイザは、回折要素であってもよい。
【0016】
複数の光学要素のうちの光学要素は、光ビームを集束させるように構成された対物系を含む。
【0017】
パルスは、0.35未満の安定化係数をもたらし、安定化係数は、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされるパルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す。
【0018】
パルスは、0.9μmより大きいなど、0.760μmより大きい切削深さをもたらす。
【0019】
特定の実施形態では、眼の組織を切削するための眼科手術システムが、制御可能なコンポーネントと、光学要素と、コンピュータとを備える。制御可能なコンポーネントは、光源とスキャナとを備える。光学要素は、光ビームを整形するように構成されたビームシェイパであって、ビームシェイパが開口部を含む、ビームシェイパと、光ビームを均一化するように構成されたビームホモジナイザであって、ビームホモジナイザが回折要素を含む、ビームホモジナイザとを含む。光源は、パルスを含む光ビームを発生させ、光ビームの伝播方向がz軸を規定する。スキャナは、z軸に直交するxy平面に光ビームの焦点を導く。光学要素は、眼の治療領域において光ビームの焦点を整形し、集束させる。コンピュータは、パルスを含む光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有し、パルスが0.9μmより大きい切削深さをもたらすように制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令する。対物系を含む光学要素が、焦点パターンにしたがって眼の治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで光ビームの焦点を集束させる。本システムは、0.35未満の安定化係数をもたらし、安定化係数は、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされるパルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、特定の実施形態による、老眼を治療するために眼の角膜組織を切削する眼科アブレーションシステムの一例を示す。
図2図2は、図1のシステムで使用され得る光源、スキャナ、1つ又は複数の光学要素、及び集束対物系の例を示す。
図3図3は、パルスが角膜組織を貫通する際にレーザパルスフルエンスが変化する様子を表すグラフを示す。
図4図4は、異なるレーザパルスフルエンスのパルスの切削深さを表すグラフを示す。
図5図5は、入射フルエンスを大きくすると深さ精度が改善され得る様子を表すグラフを示す。
図6A-6B】図6A図6Bは、予想に反して、フルエンスを大きくしても温度が上がらない様子を表すグラフを示す。
図7図7は、レーザパルスによって作られるスポットを小さくすると大きいスポットよりも効率的に冷却される様子を示す。
図8図8は、特定の実施形態による、図1のシステムによって実行され得る、眼の角膜を切削するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を詳細に示す。説明及び図面は、網羅的であることも、図面に示され、説明で開示される特定の実施形態に特許請求の範囲を限定することも意図されていない。図面は、可能な実施形態を表すが、図面は、必ずしも原寸に比例しておらず、実施形態をよりよく示すために特定の特徴を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0022】
特定の実施形態では、眼科手術システムが複数のパルスを含む光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有する。本システムは、眼において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで光ビームの焦点を集束させる。フルエンスを大きくすると組織の温度が上がるという予想に反し、フルエンスを大きくしても温度は上がらない。加えて、フルエンスを大きくすることにより、深さ精度を向上させることができる。
【0023】
図1は、特定の実施形態による、老眼を治療するために眼22の角膜組織を切削する眼科アブレーションシステム10の一例を示している。システム10は、様々なタイプの処置で使用され得る。例えば、レーザ角膜切削形成手術(laser in-situ keratomileusis、LASIK)では、角膜を切開してフラップが形成され、その後、システム10を用いて角膜が切削される。別の例として、レーザ屈折矯正角膜切除術(photo refractive keratectomy、PRK)では、上皮が例えば化学的又は機械的に除去された後、システム10を用いて角膜が切削される。
【0024】
図示の例では、システム10は、図示のように結合されたレーザデバイス15と、カメラ38と、制御コンピュータ30とを備える。レーザデバイス15は、図示のように結合された光源(例えば、レーザ源12)、スキャナ16、1つ若しくは複数の光学要素17、及び/又は集束対物系18などの制御可能なコンポーネントを備える。コンピュータ30は、図示のように結合されたロジック36と、(コンピュータプログラム34を記憶する)メモリ32と、ディスプレイ37とを備える。説明しやすくするために、次のようなxyz座標系を使用する。すなわち、z方向はレーザビームの伝播方向により規定され、xy平面は伝播方向に直交する。他の適切なxyz座標系が使用されてもよい。
【0025】
次に、システム10の各部を見ると、光源は焦点パターンにしたがって眼22の組織を切削する光ビームを発生させる。光ビームは、ある波長、例えば300nm未満の波長を有し得る。図示の例では、光源はレーザ焦点パターンにしたがって眼22の組織を切削するレーザビームを発生させるレーザ源12である。レーザ源12は、エキシマレーザ、固体レーザ、又は他の適切なレーザであり得る。
【0026】
焦点パターンが、治療領域(例えば、眼の露出面)におけるレーザ放射パルスを導くべき位置のためのx及びy(場合によりz)座標を規定し得る。焦点パターンは、切削プロファイルから決定されてよく、切削プロファイルは角膜の特定のx,y位置において除去すべき組織の体積空間を示す。1パルスが切削する組織の体積空間を考慮し、あるx,y位置に導かれるパルスの数は、切削プロファイルにより規定される組織の体積空間から計算され得る。
【0027】
スキャナ16は、横方向及び/又は縦方向にレーザビームの焦点を導く。横方向とは、ビームの伝播方向に直交する方向、すなわちx,y方向を意味する。スキャナ16は、任意の適切な仕方でレーザビームを横方向に導き得る。例えば、スキャナ16は、相互に垂直な軸の周りでチルトすることができる一対のガルバノメトリック作動式スキャナミラーを含んでもよい。別の例として、スキャナ16は、レーザビームを電気光学的に操作することができる電気光学結晶を含んでもよい。
【0028】
縦方向とは、レーザビームの伝播方向に平行な方向、すなわちz方向を意味する。スキャナ16は、任意の適切な仕方でレーザビームを縦方向に導き得る。例えば、スキャナ16は、縦方向に調節可能なレンズ、屈折力が可変のレンズ、又はビーム焦点のz位置を制御し得る変形可能なミラーを備えてもよい。スキャナ16のコンポーネントは、ビーム経路に沿って任意の適切な仕方で、例えば同じ又は異なるモジュール式ユニットで配置されてもよい。
【0029】
1つ(又は複数)の光学要素17は、集束対物系18に向けてレーザビームを導く。光学要素17は、レーザビームに作用(例えば、透過、反射、屈折、回折、コリメート、調整、整形、集束、変調、及び/又は他の仕方で作用)し得る。光学要素の例としては、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学要素(diffractive optical element、DOE)、ホログラフィック光学要素(holographic optical element、HOE)、及び空間光変調器(spatial light modulator、SLM)が挙げられる。本例では、光学要素17はミラーである。集束対物系18は、レーザビームの焦点を眼22の一点に向けて集束させる。本例では、集束対物系18は、対物レンズであり、例えばfθ対物系である。
【0030】
カメラ38は、眼22の画像を記録する。カメラ38の例としてはビデオ、光干渉断層撮影、又はアイトラッキングカメラが挙げられる。カメラ38は、眼22の記録された画像を表す画像データをコンピュータ30に送達する。コンピュータ30は、眼22の切削をモニタするために、画像データに対して画像処理を実行してもよい。
【0031】
コンピュータ30は、コンピュータプログラム34にしたがってシステム10のコンポーネントを制御する。例えば、コンピュータ30は、コンポーネント(例えば、レーザ源12、スキャナ16、光学要素17、及び/又は集束対物系18)を制御して、眼22においてレーザデバイス15のレーザビームを集束させ、切削プロファイルにしたがって眼22の少なくとも一部分を切削する。
【0032】
特定の実施形態では、コンピュータ30は、複数のパルスを含むレーザビームを発生させるようにレーザデバイス15に命令し、各パルスは、1.0~1.2、1.2~1.4、1.4~1.6、1.6~2.0、及び/又は2.0J/cm超の範囲にある値など、1ジュール/平方センチメートル(J/cm)よりも大きいフルエンスを有する。パルスは、任意の適切な局所繰り返し率、例えば1秒間に30~100パルスを有し得る。レーザビームの焦点は、0.4~0.3、0.3~0.2、及び/又は0.2mm未満の範囲にある値など、眼の治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで集束される。スポットサイズは、任意の適切な仕方で表されてよく、例えば、ガウスビームでは1/e2ビーム径として、また非ガウスビームでは半値全幅(FWHM)として表され得る。フルエンスを大きくすると組織の温度が上がるという予想に反し、フルエンスを大きくしても温度は上がらない。加えて、フルエンスを大きくすることにより、精度を向上させることができる。
【0033】
図2は、図1のシステム10で使用され得るレーザ源12、スキャナ16、1つ又は複数の光学要素17、及び集束対物系18の例を示している。図示の例では、光学要素17がビームシェイパ24とビームホモジナイザ28とを含む。ビームシェイパ24は、レーザビームの断面形状を、例えば矩形から円形に変化させる光学要素(例えば、開口部)である。ビームホモジナイザ26は、レーザビームプロファイルにおける不規則なプロファイルを平滑化して、より均一なプロファイルを作成する光学要素(例えば、回折要素)である。ビームシェイパ24及びビームホモジナイザ26は、任意の適切な構成を有し得る。例えば、レーザビームが、ビームホモジナイザ26を通過してからビームシェイパ24を通過するのであってもよいし、又はその逆であってもよい。
【0034】
図3は、パルスが角膜組織を貫通する際にレーザパルスフルエンスが変化する様子を表すグラフ48を示している。一般に、入射フルエンスが大きいパルスは、より多くの組織を切削する。関数F(x)は、角膜の深さxに対するレーザフルエンスを表す。
(1)F(x)=F*exp(-a*x)
上式で、Fは入射フルエンスであり、aは組織の吸収係数である。
【0035】
切削閾値Fthより大きいフルエンスに曝される組織が切削される。角膜組織の切削閾値Fthは約30mJ/cmである。切削深さは、式(1)から次のように計算され得る。
(2)d=1/a*ln(F/Fth
【0036】
本例では、グラフ48は、193nmのエキシマレーザを表し、a=3.78マイクロメートル-1(μm-1)であり、貫通深さ1/a=0.265マイクロメートル(μm)である。
【0037】
図4は、異なるレーザパルスフルエンスのパルスの切削深さを表すグラフ49を示している。本例では、a=3.78マイクロメートル-1(μm-1)であり、Fth=30mJ/cmである。レーザ1は、入射フルエンスF1=160mJ/cmを有するパルスを発生させ、レーザ2は、入射フルエンスF2=530mJ/cmを有するパルスを発生させる。式(2)によれば、レーザ1は切削深さd1=0.443μmを有し、レーザ2は切削深さd2=0.760μmを有する。したがって、レーザ2は、1パルス当たり0.76/0.443=1.72倍多くの組織を除去する。同じことが、1J/cmより大きいフルエンスを有するパルスにも当てはまる。例えば、システム10のパルスは、0.760μmより大きい、例えば0.8μm又は0.9μmより大きい切削深さをもたらし得る。
【0038】
図5は、入射フルエンスを大きくすると深さ精度が改善され得る様子を表すグラフ50を示している。実際には、切削深さは、入射フルエンスの制御されていない変動の影響を受ける。制御されていない変動は、例えば、レーザパルスエネルギーのショット間変動、レーザエネルギーの長期ドリフト、以前のパルスの切削プルームによる入射レーザエネルギーの吸収、及びレーザスポット形状の変動によって引き起こされ得る。
【0039】
安定化係数Sは、入射フルエンスの1%の変化によって引き起こされる切削深さの変化のパーセンテージを表す。
(3)S=(Δd/d)/(ΔF/F)
上式で、dは深さを表し、Fはフルエンスを表す。(Δd及びΔFについては図4も参照されたい)。安定化係数Sが低いほど安定性が強いことを示し、安定化係数Sが高いほど安定性が弱いことを示す。安定化係数Sは、式(2)から次のように計算され得る。
(4)S=1/(ln(F/Fth
安定化係数の比は、切削深さの比d1/d2でもあることに留意されたい。
(5)(d2/d1)=(S1/S2)=ln(F2/Fth)/ln(F1/Fth)=1.72
【0040】
グラフ50は、入射フルエンスF1=160mJ/cmを有するレーザ1、及び入射フルエンスF2=530mJ/cmを有するレーザ2の安定化係数を示している。グラフ50によれば、レーザ1の安定化係数はS1=0.6であり、レーザ2の安定化係数はS2=0.348である。つまり、入射フルエンスの大きいレーザ2は、0.6/0.348=1.72倍強い安定性を有する。特定の実施形態では、システム10は、0.35未満、例えば0.30未満の安定化係数をもたらし得る。したがって、入射フルエンスを大きくすることにより、深さ精度を向上させることができる。
【0041】
図6A及び図6Bは、予想に反して、フルエンスを大きくしても温度が上がらない様子を表すグラフ40、41をそれぞれ示している。図6Aは、角膜組織の深さxに対するレーザパルスフルエンスF(x)45を示すグラフ40を示している。入射パルスフルエンスFは、x=0の場合のフルエンスF(x)である。本例では、入射フルエンスF=160mJ/cmである。グラフ40はまた、フルエンスF(x)45のエネルギー42、44、46を示している。エネルギー42は、角膜を体温から100℃まで加熱し、角膜の水分を蒸気に変えるために必要なエネルギーを表す。エネルギー44は、切削プルーム及び切削デブリを表面から出す運動エネルギーに変換されたエネルギーを表す。エネルギー46は、熱に変換された組織に残っているエネルギーを表す。
【0042】
図6Bは、角膜に残る(エネルギー46で表される)熱が、入射パルスフルエンスFに依存しない様子を表すグラフ41を示している。グラフ41は、入射フルエンスF1=160mJ/cmを有するレーザ1のフルエンスF(x)45a及びエネルギー46a、並びに入射フルエンスF2=530mJ/cmを有するレーザ2のフルエンスF(x)45b及びエネルギー46bを示している。レーザ1及び2の入射フルエンスF並びに式(2)から計算され得るように、レーザ2はレーザ1に比べて1パルスあたり1.72倍の組織を切削する。したがって、レーザ2は、同じ切削深さを切削するのに1.72倍少ないパルス数を使用する。更に、レーザ1のフルエンスに対してレーザ2のフルエンスを大きくすることによって、1.72の値を大きくすることができる。同じことが、1J/cmより大きいフルエンスを有するパルスにも当てはまる。
【0043】
本例では、レーザ1の1パルスあたりの組織に残る熱を表すエネルギー46aは、レーザ2のエネルギー46bと同じである。つまり、160mJ/cmのパルスと530mJ/cmのパルスとは、角膜に残す熱が同量である。フルエンスが大きいパルスほど角膜からより多く切削し、プルーム及びデブリの運動エネルギーを増加させるが(エネルギー44で表される)、角膜に残す熱は同量である(エネルギー46で表される)。
【0044】
上で示したように、レーザ2は、同じ切削深さを切削するのにレーザ1と比べて1.72倍少ないパルス数を使用する。更に、160mJ/cmのパルスと530mJ/cmのパルスとは、角膜に残す熱が同量である。したがって、レーザ2は、1.72倍少ない熱を組織に残す。同じことが、1J/cmより大きいフルエンスを有するパルスにも当てはまる。このように、予想に反して、フルエンスを大きくしても温度は上がらない。
【0045】
図7はレーザパルスによって作られるスポットを小さくすると大きいスポットよりも効率的に冷却される様子を示している。角膜60のスポット62(62a、62b)は、レーザパルスによって加熱される。スポット62aはスポット62bよりも小さく、大きいスポット62bの加熱領域64bよりも小さい加熱領域64aをもたらす。加熱領域64(64a、64b)の縁部では3次元(3D)の散熱、すなわち冷却が起こり、加熱領域64(64a、42b)の内部では1次元(1D)の散熱が起こる。3D散熱は、1D散熱よりも効果的である。
【0046】
大きいスポット62bの熱が3D散熱を介して分散されるパーセンテージよりも、小さいスポット62aの熱が3D散熱を介して分散されるパーセンテージの方が大きい。その結果、小さいスポット62aは大きいスポット62bよりも効率的に冷える。したがって、システム10は、0.4mm未満のスポットサイズでレーザビームを集束させる。
【0047】
図8は、特定の実施形態による、図1のシステム10によって実行され得る、眼の角膜を切削するための方法を示している。実施形態では、コンピュータ30は、切削プロファイルにしたがって本方法の特定のステップを実行するようにシステム10の制御可能なコンポーネントに命令する。
【0048】
本方法は、ステップ110において開始され、ここでレーザ源12が複数のパルスを含むレーザビームを発生させる。各パルスは、1ジュール/平方センチメートル(J/cm)より大きいフルエンスを有する。ビームシェイパ24は、ステップ112においてレーザビームを整形し、ビームホモジナイザ28は、ステップ114においてレーザビームを均一化する。他の実施形態では、ビームホモジナイザ28は、ステップ112においてレーザビームを均一化し、ビームシェイパ24は、ステップ114においてレーザビームを整形する。スキャナ16は、ステップ116においてレーザビームでスキャンする。スキャナは、切削プロファイルに対応するレーザ焦点パターンにしたがってレーザビームでスキャンし得る。対物系18は、ステップ120において眼において0.4mm未満のスポットサイズでレーザビームを集束させる。その後、本方法は終了する。
【0049】
本明細書に開示されるシステム及び装置の(制御コンピュータ30などの)コンポーネントは、インターフェース、ロジック、及び/又はメモリを含んでもよく、これらのうちの任意のものがコンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでもよい。インターフェースは、コンポーネントへの入力を受信する、及び/又はコンポーネントからの出力を送信することができ、通常、ソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ、及びこれらの組み合わせなどの間で情報を交換するために使用される。ユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI))は、ユーザがコンピュータと対話するために利用し得るインターフェースの一種である。ユーザインターフェースの例としては、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイクロフォン、及びスピーカが挙げられる。
【0050】
ロジックは、コンポーネントの動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する、1つ又は複数の電子デバイスを含み得る。そのような電子デバイスの例としては、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、及びコンピュータチップが挙げられる。ロジックは、動作を実行するために電子デバイスによって実行され得る命令をエンコードするコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例としては、コンピュータプログラム、アプリケーション、及びオペレーティングシステムが挙げられる。
【0051】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含み得る。メモリの例としては、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージメディア(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージメディア(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)、及び/又は他のコンピュータ可読媒体が挙げられる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いてエンコードされたメモリを対象とすることができる。
【0052】
特定の実施形態に関して本開示を説明してきたが、実施形態の修正形態(例えば、変更形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の修正形態)が、当業者には明らかなはずである。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、システム及び装置のコンポーネントは、統合若しくは分離され得る、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他のコンポーネントによって実行され得る。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含み得、ステップは、任意の適当な順序で実行され得る。
【0053】
特許庁及び読者がクレームを解釈するのを助けるために、出願人は、特定のクレームにおいて「のための手段(means for)」又は「のためのステップ(step for)」という単語が明示的に使用されていない限り、クレーム又はクレーム要素のいずれもが、米国特許法第112条(f)を想起することを意図していないことに言及しておく。クレーム内の任意の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、出願人により、関連技術における当業者に知られている構造を指すと理解され、米国特許法第112条(f)を想起することを意図していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-6B】
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の組織を切削するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数のパルスを含む光ビームを発生させるように構成された光源であって、前記光ビームの伝播方向がz軸を規定する、光源と、
前記z軸に直交するxy平面に前記光ビームの焦点を導くように構成されたスキャナと、
前記眼の治療領域において前記光ビームの前記焦点を整形し、集束させるように構成された複数の光学要素と
を備える、複数の制御可能なコンポーネントと、
コンピュータであって、
前記複数のパルスを含む前記光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm2)より大きいフルエンスを有する
ように前記制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令するように構成されたコンピュータと、
焦点パターンにしたがって前記眼の前記治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで前記光ビームの前記焦点を集束させるように構成された、前記複数の光学要素のうちの光学要素と
を備える、眼科手術システム。
【請求項2】
前記光学要素が、前記光ビームを整形するように構成されたビームシェイパを含む、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項3】
前記ビームシェイパが開口部を含む、請求項2に記載の眼科手術システム。
【請求項4】
前記光学要素が、前記光ビームを均一化するように構成されたビームホモジナイザを含む、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項5】
前記ビームホモジナイザが回折要素を含む、請求項4に記載の眼科手術システム。
【請求項6】
前記複数の光学要素のうちの前記光学要素が、前記光ビームを集束させるように構成された対物系を含む、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項7】
前記システムが、0.35未満の安定化係数をもたらし、前記安定化係数が、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされる前記パルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項8】
前記パルスが、0.760μmより大きい切削深さをもたらす、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項9】
前記パルスが、0.9μmより大きい切削深さをもたらす、請求項8に記載の眼科手術システム。
【請求項10】
各パルスが、1.2ジュール/平方センチメートル(J/cm2)より大きいフルエンスを有する、請求項1に記載の眼科手術システム。
【請求項11】
眼の組織を切削するための眼科手術システムであって、
複数の制御可能なコンポーネントであって、
複数のパルスを含む光ビームを発生させるように構成された光源であって、前記光ビームの伝播方向がz軸を規定する、光源と、
前記z軸に直交するxy平面に前記光ビームの焦点を導くように構成されたスキャナと、
前記眼の治療領域において前記光ビームの前記焦点を整形し、集束させるように構成された複数の光学要素であって、前記光学要素が、
前記光ビームを整形するように構成されたビームシェイパであって、前記ビームシェイパが開口部を含む、ビームシェイパと、
前記光ビームを均一化するように構成されたビームホモジナイザであって、前記ビームホモジナイザが回折要素を含む、ビームホモジナイザと、
を含む、複数の光学要素と
を備える、複数の制御可能なコンポーネントと、
コンピュータであって、
前記複数のパルスを含む前記光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm2)より大きいフルエンスを有し、前記パルスが0.9μmより大きい切削深さをもたらす
ように前記制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令するように構成されたコンピュータと、
焦点パターンにしたがって前記眼の前記治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで前記光ビームの前記焦点を集束させるように構成された、前記複数の光学要素のうちの光学要素であって、前記光学要素が、前記光ビームを集束させるように構成された対物系を含み、前記システムが、0.35未満の安定化係数をもたらし、前記安定化係数が、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされる前記パルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す、光学要素と
を備える、眼科手術システム。
【請求項12】
眼の組織を切削するための方法であって、
複数の制御可能なコンポーネントの光源によって、複数のパルスを含む光ビームを発生させることであって、前記光ビームの伝播方向がz軸を規定する、発生させることと、
前記複数の制御可能なコンポーネントの光源によって、前記z軸に直交するxy平面に前記光ビームの焦点を導くことと、
複数の光学要素によって、前記眼の治療領域において前記光ビームの前記焦点を整形し、集束させることと、
コンピュータによって、前記複数のパルスを含む前記光ビームを発生させ、各パルスが1ジュール/平方センチメートル(J/cm2)より大きいフルエンスを有するように前記制御可能なコンポーネントのうちの1つ又は複数に命令することと、
前記複数の光学要素のうちの光学要素によって、焦点パターンにしたがって前記眼の前記治療領域において0.4ミリメートル(mm)未満のスポットサイズで前記光ビームの前記焦点を集束させることと
を含む、方法。
【請求項13】
前記焦点を前記整形することが、
ビームシェイパによって、前記光ビームを整形することであって、前記ビームシェイパが開口部を含む、整形すること
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記焦点を前記整形することが、
ビームホモジナイザによって、前記光ビームを均一化することであって、前記ビームホモジナイザが回折要素を含む、均一化すること
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記パルスが、0.35未満の安定化係数をもたらし、前記安定化係数が、パルスのフルエンスの1%の変化によって引き起こされる前記パルスの切削深さの変化のパーセンテージを表す、請求項12に記載の方法。
【国際調査報告】