(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】超音波送信器
(51)【国際特許分類】
H03K 17/10 20060101AFI20240104BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
H03K17/10
H03K17/687 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535648
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 GB2021053227
(87)【国際公開番号】W WO2022123254
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523213181
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ リーズ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF LEEDS
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】フリーアー,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】カウエル,デイヴィッド マシュー ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】カーペンター,トマス マイケル
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX07
5J055BX16
5J055CX03
5J055CX24
5J055DX59
5J055DX72
5J055DX83
5J055EY12
5J055EY17
5J055EY21
5J055EZ63
5J055GX01
5J055GX02
(57)【要約】
実施例では、第1及び第2駆動トランジスタと、双方向性ロード・スイッチとして第1及び第2駆動トランジスタのうちの1つと共に配置される第3及び第4追加スイッチ・トランジスタとを含む第1プッシュプル・トランジスタ配置を備え、第1駆動トランジスタ及び関連する第3追加スイッチ・トランジスタは、第1プッシュプル・トランジスタ配置の第1アームとして直列に動作し、第2駆動トランジスタ及び関連する第4追加スイッチ・トランジスタは、第1プッシュプル・トランジスタ配置の第2アームとして直列に動作し、それぞれのアームは、第1バイポーラ駆動電圧供給のそれぞれの極性インスタンスと共通出力の間に結合される、マルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器が提供される。
【選択図面】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2駆動トランジスタと、
第3及び第4追加スイッチ・トランジスタとを含む第1プッシュプル・トランジスタ配置を備え、それぞれは、双方向性ロード・スイッチとして、前記第1及び第2駆動トランジスタのうちの1つと共に配置され、
前記第1駆動トランジスタ及び関連する第3追加スイッチ・トランジスタは、前記第1プッシュプル・トランジスタ配置の第1アームとして直列に動作し、前記第2駆動トランジスタ及び関連する第4追加スイッチ・トランジスタは、前記第1プッシュプル・トランジスタ配置の第2アームとして直列に動作し、それぞれのアームは、第1バイポーラ駆動電圧供給のそれぞれの極性インスタンスと共通出力の間に結合される
マルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項2】
前記共通出力とグランドの間に結合されるシングル・エンド・トランジスタ・クランプ配置をさらに備え、前記シングル・エンド・トランジスタ・クランプ配置は、双方向性ロード・スイッチとして配置される第6追加スイッチ・トランジスタと直列に第5駆動トランジスタを含む
請求項1に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項3】
第7及び第8駆動トランジスタを含む第2プッシュプル・トランジスタ配置を更に備え、それぞれは第2バイポーラ駆動電圧供給のそれぞれの極性インスタンスの間に結合され、前記第2バイポーラ駆動電圧供給は、前記第1バイポーラ駆動電圧供給よりも大きい大きさである
請求項1又は2に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項4】
1つまたは複数の更なるプッシュプル・トランジスタ配置を更に備え、それぞれは前記第1プッシュプル・トランジスタ配置の更なるインスタンスを含み、それぞれの更なるプッシュプル・トランジスタ配置は、更なるバイポーラ駆動電圧供給に亘って動作する
請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項5】
それぞれの更なるバイポーラ駆動電圧供給は、前のバイポーラ駆動電圧供給より低い大きさを有する
請求項4に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項6】
前記双方向性ロード・スイッチは、前記それぞれの駆動トランジスタのダイオード機能に対して逆極性に配置される
請求項1から5のいずれか1項に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項7】
前記追加スイッチ・トランジスタのいずれかのゲートを制御する電圧は、前記共通出力に相対する
請求項1から6のいずれか1項に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項8】
全ての前記トランジスタは、Nチャネル・デバイス(NPN(又はNチャネルFET))である
請求項1から7のいずれか1項に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項9】
全てのトランジスタは高移動度デバイスである
請求項1から8のいずれか1項に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項10】
全てのトランジスタはGaNデバイスである
請求項1から9のいずれか1項に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項11】
前記送信器は少なくとも3つの電圧レベルを有する
請求項1から10のいずれか1項に記載のマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかによる送信器と、
前記送信器に結合される少なくとも1つの超音波トランスデューサと
を備える超音波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
超音波送信器の設計は、商業用途と研究用途の両方について任意の超音波プラットフォームで重要な考慮するべき事柄である。高密度焦点式超音波(HIFU)療法に必要な高出力連続波(CW)、又は高周波超音波(HFUS)用途に必要な高周波駆動能力など、超音波の異なるモダリティは、送信駆動回路に異なる要件を提示する。現在の送信器は、周波数、出力、帯域幅の間のトレードオフで、一般的には、ごく一部の用途のみに限定される。非常に高い周波数と高い出力の両方で、幅広い超音波モダリティで動作することが可能な統一された送信器構造は、超音波デバイスがより幅広い機能で、より一般的に有用であることが可能になるであろう。
【発明の概要】
【0002】
スイッチ・モード超音波送信器トポロジーを開示する。開示されたトポロジーは、変圧器又は整合部品を必要としないで、任意の数の指定電圧レベルに完全なプッシュプル能力を提供する。開示されたトポロジーは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタ技術を利用して、高速スイッチングと高出力処理の両方を実現することができる。実施例は、複数の超音波モダリティに使用することができる。例えば、診断イメージング周波数で、数百MHz(例えば、100MHz)までのバイポーラ駆動能力を有するHFUSに対して、及び比較的高い電力出力(例えば、複数秒の間50W平均出力連続波(CW))で大きな単一要素トランスデューサを駆動するHIFU治療に対して、線形振幅制御のための高調波低減パルス幅変調(HRPWM)を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
発明の更なる詳細、態様、実施例、及び実施形態は、図面を参照しながら、実施例だけを手段として説明する。図面において、同様の参照番号は、同様の又は機能的に類似した要素を識別するために使用される。図中の要素は、単純化及び明確化のために図示され、必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0004】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による全てのNMOS超音波プッシュプル送信器ブリッジ・トポロジー・ベース部の例示的な回路概略図を示す。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態によるマルチレベル超音波送信器で使用される
図1の超音波プッシュプル送信器ブリッジ・トポロジーの例示的な回路概略図を示す。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態によるマルチレベル超音波送信器の代替フロント・エンド配置の例示的な回路概略図を示す。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態によるマルチレベル超音波送信器の全てのPMOS配置の例示的な回路概略図を示す。
【
図5】
図5は、本開示のNMOS実施形態によるマルチレベル超音波送信器で使用するゲート駆動回路の例示的な回路概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の記述では、説明のために、特定の実施例の多数の具体的な詳細が示される。明細書において「実施例」又は同様の言語への言及は、実施例に関連して記述される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくともその実施例には含まれるが、必ずしも他の実施例に含まれるわけではないことを意味する。
【0006】
超音波送信器の設計は、商業用途と研究用途の両方のいずれの超音波プラットフォームで重要な考慮すべき事柄である。イメージング技術の品質は、トランスデューサ及び受信器の性能によって制限されるだけでなく、所望する周波数、帯域幅、及びエンベロープで超音波送信を生成する能力によっても制限される。高密度焦点式超音波(HIFU)療法に必要な高出力(10W超)の連続波(CW)、又は高周波超音波(HFUS)用途(小動物用の生体顕微鏡や眼科学など)の高周波駆動能力(30MHz超)など、超音波の異なるモダリティによって送信駆動回路に異なる要件が提示される。利用可能な典型的な既存の送信器技術は、周波数、電力、及び帯域幅の間のトレードオフを伴う、ごく一部の用途のみに役立つ傾向がある。したがって、本開示は、幅広い超音波モダリティで、非常に高い周波数と高い電力の両方で動作することができる統一された送信器の構造を提供し、これにより、超音波デバイスがより広い機能性で、より一般的に有用であることが可能となるであろう。
【0007】
既存の統合型スイッチ超音波送信器は、最高で20MHzから30MHz程度の最大動作周波数に達する傾向があり、これにより、それらの実用性はHFUS用途で制限される。これらの場合、高周波送信は、一般に、専用の試験装置又はパルス発生器回路のいずれかを使用して実現される。試験装置、例えば、電力増幅器やパルス発生器などを使用することで実現される。しかし、この方法では、使用方法が単一要素送信に限定されたり、又は、複数の試験装置を配置する必要があり、これはコスト(金額、サイズ、電力使用量など)がかかる。また、専用の高速パルス発生器、例えば、注意深く調整されたインパルス回路や単純なバイポーラ・パルス発生器など、作ることはできるが、これらは特定のトランスデューサ及び周波数に調整され、その結果、汎用の超音波送信器としては使用されない。
【0008】
一方、大型の単一要素HIFUトランスデューサを駆動するには、10W超の連続出力電力を50Ω未満の負荷に数秒間供給できる送信器を備えたシステムが必要となるであろう。これは、熱的制限のために典型的な既存の超音波送信器トポロジーの能力を超えており、したがって、制御するための専用のHIFUシステム、又は損失の多いインピーダンス整合ネットワークの使用を必要とし得る高い電力増幅器のいずれかを必要とするであろう。したがって、本開示の実施例は、より高い電流を供給できる送信器を提供し、その結果、整合ネットワークを使用しないで低インピーダンス・トランスデューサを駆動することができ、スイッチ・モード送信器の動的スイッチングの損失を、低電圧のために低減することができる。
【0009】
さらに、用途、例えば、パッシブ音響マッピング(PAM)なども、ガイダンス及びモニタリングのためにHIFU療法と同時に利用する受動的イメージング・モダリティであり、また、統一された送信構造から利益を得ることができる。PAMシステムでは、イメージング・モードと治療モードの間の干渉を避けるために、2つのモダリティは、通常、交互配置されており、このことは注意深い同期が必要である。しかし、両方のモダリティで単一のシステムを使用することにより、同期を簡略化することができ、必要に応じて、高出力トランスデューサを高周波で駆動できる超音波送信器トポロジーを提供することにより、同期を可能にすることができる。
【0010】
理想的には、超音波デバイスは、線形電力増幅器によって駆動されるであろう。例えば、線形電力増幅器(PA)、例えば、クラスAの設計やクラスBの設計は、それらの線形領域で動作するトランジスタ素子を利用する。通常では、デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)を介して制御され、また通常では、変圧器を駆動して出力駆動電圧を増加させる。高出力の用途又はCWの用途では、これらの線形PAは、特に振幅制御が必要な場合に、これらの増幅器の非能率的な本質(例えば、これらの増幅器は、全体の特性応答のごく一部である増幅器の線形領域でのみ動作するため)により、大規模な冷却システムを可能にするために物理的に大きくなければならない。
【0011】
線形増幅器に代わるより効率的なものとして、超音波用のスイッチ・モード送信器が開発された。スイッチ回路は、一連の離散電圧レベルを使用し、ステップ波形を使用してアナログ波形を近似し、送信器に結合される超音波デバイスを駆動する。これらにより、線形PAよりもはるかに高い効率及び速度を可能にする。スイッチ・モード送信器には、クラスD、クラスDE、及び同様のPAから、診断超音波周波数用のマルチレベル設計、広帯域のトランスデューサ応答を生成するように設計されるユニポーラ・パルス発生器まで、多くの異なる形態がある。しかし、これまでのスイッチ・モード送信器トポロジーは、どれも充分に対称的な出力(すなわち、バイポーラ電力供給の正負の供給の両方で対称的)及び非常に広帯域の動作又は全体的な実装効率(すなわち、充分に低い複雑な設計及び/又は部品数、又は同種のもの)を提供しているものはない。
【0012】
例えば、クラスDE・スイッチ・モードPAは、特にHIFUの用途で、超音波トランスデューサを駆動するために使用することができる。これらのクラスDE・スイッチ・モードPA回路は、線形PAよりも著しく効率的であり、低減される冷却要件により、よりコンパクトにすることができる。しかし、線形出力を近づけるために,追加的なフィルタリング及びマッチング回路が出力に必要となり、これにより送信器の使用可能な帯域幅が制限される。
【0013】
スイッチ回路は、回路実装の観点から多くの利点を有するが、出力駆動波形(例えば、ほぼ5レベルかその程度)を生成するために回路によって使用される電圧レベルの数が限定された結果として、そのような回路によって生成される出力波形は、特に第3及び第5高調波で、不要な高調波を波形にもたらす。これは、超音波送信器の特定の使用ケース、例えば、2次以上の高調波エコー応答は画像形成に使用される高調波イメージング、又はトランスデューサがこれらの高調波で特に共振するHIFU技術などに対して特に問題となり得る。したがって、高調波を低減するのに役立つ改善が望まれる。
【0014】
非構造的な手段によって高調波歪みを低減することは可能であり、例えば、マルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器の高調波出力は、送信波形の注意深い設計によって低減することができる。この方法の一例は、高調波低減パルス幅変調(HRPWM)として知られ、第3高調波の取り消し及び第5高調波の部分的な取り消しにより振幅制御を可能にすることは前から示されているが、一方ではマルチレベル・コンバータを使用する他の波形設計技術では、ガウス高調波波形又は低減高調波波形を生成することができる。また、HRPWM技術は、HIFUの用途でも実証されており、この技術は複数のモダリティで使用できることを示している。しかし、また、超音波送信器の設計に対して代替的な構造変更又は追加的な構造変更も使用することができ、本開示の実施例は、超音波送信器の設計に対してそのような構造改善を提供する。
【0015】
いくつかの既知のスイッチ・モード超音波送信器は、バイポーラ・ハーフブリッジ・トポロジーを使用する。これらのハーフブリッジは、簡素化されたゲート制御に対して、擬似相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プッシュプル設計のPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタの混合物を使用する-この種のトポロジーの全てのゲートは、固定供給レールを基準とする。しかし、NMOSトランジスタを使用することにより、同程度のサイズのPMOSトランジスタよりも高速なスイッチング及び低損失が提供される。したがって、対称的な駆動強度を実現するためには、このような回路は、(NMOSデバイスと比較して)より大きなPMOSデバイス又は複数の並列PMOSデバイスのいずれかを使用するように設計しなければならない。結果として、相対的に回路の複雑さ又はコストがより高くなることや、スイッチング速度がより遅くなることを含む、多くの問題に帰着する。したがって、本開示の実施形態は、より高性能な送信器を可能にするために、全てのNMOSトポロジーを使用する。いくつかの実施形態では、(さらに)より高いスイッチング速度及び性能を実現するために、シリコン金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術の代替として、高移動度トランジスタ・デバイス、例えば、GaNトランジスタを使用することが提案される。GaNは、主として電気自動車の用途に関して、過去10年間に亘って多くの関心及び発展を遂げてきた代替半導体技術である。この技術は、一般に、シリコン・トランジスタよりも高いスイッチング速度及び高い電力処理能力を提供する。しかし、現在のGaN PMOSデバイスには、スイッチング性能が低い問題があるので、GaNは主にNMOS形態で設計される。したがって、いくつかの実施形態では、全NMOSトポロジーを使用することにより、GaNデバイスを全体に使用する例にとって依然として有益であろう。
【0016】
いくつかの全NMOS送信器は実証されている。しかし、これらは、通常、出力にセンター・タップ付き変圧器を使用する。変圧器のセンター・タップを供給レールに接続することにより、両方のスイッチは簡単なゲート制御を可能にするシステム・グランド・レベルを基準とすることは可能である。しかし、高速度及び改善された電力処理能力に対して、GaNデバイスを全体に使用してこれらの全NMOS送信器を実装するとき、CWの用途で問題がある小型変圧器の電力処理が制限され、例えば、変圧器を使用することにより、送信器の出力帯域幅が制限されるからである。また、このような送信器の設計を、高調波低減技術及び振幅制御技術に必要なマルチレベル設計(=3レベルより高い、より一般的には5レベル以上)になるように拡張するには、複数の変圧器巻線を必要とし、変圧器の設計に更なる負荷がかかるであろう。
【0017】
従って、本開示は、主駆動トランジスタに加えて、ハーフブリッジ配置のそれぞれのアームで追加のスイッチ・トランジスタを利用する修正されたプッシュプル配置を使用するマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器の基本設計を提案する。ここで、追加のスイッチ・トランジスタは、双方向性ロード・スイッチとして配置される(双方向性ロード・スイッチとして配置されるとは、ダイオードが逆電流を流すかどうかを追加のスイッチ・トランジスタに加えられるゲート電圧が制御できるように、それ故に、逆バイアス時に駆動トランジスタを介して電流が流れるのを制御可能に防止できるようにトランジスタを配置することをいう)。
【0018】
図1は、この新しく提案された超音波送信器ベース・プッシュプル・トランジスタ配置部100をより詳細に示す。この図は、新たに提案された超音波送信器ベース・プッシュプル・トランジスタ配置が、一対のバイポーラ電圧供給レール-正の供給電圧V
P10及び負の供給電圧V
N12-に亘って結合されるハーフブリッジ配置を含むことを示す。これらは、本明細書では、バイポーラ駆動電圧供給のそれぞれの極性インスタンスと呼称される(これは、それぞれの供給が正及び負の2つの異なる供給電圧を提供し、以下に詳細を記すように、複数の異なるバイポーラ駆動供給電圧を使用することができるからである)。ハーフブリッジ配置は、2つのアーム-図では、共通出力V
XDR15を有する上部アーム20、及び底部アーム30-を備える。上部及び底部という用語は任意であり、実際には、留意すべきことのただ1つの重要な要素は、一方は正の供給電圧V
P10と共通出力V
XDR15の間で結合され、他方は負の供給電圧V
N12と共通出力V
XDR15の間で結合されることを理解されるであろう。最初に上部アーム20を取り上げると、このアームは、関連するゲート駆動電圧A
P(X)25を有する駆動トランジスタ24と、関連するゲート駆動電圧A
P(N)23を有する第2追加スイッチ・トランジスタ22とを備える。トランジスタ22及び24の固有のダイオード作用は、互いに逆極性に配置されることに留意されたい。対応する底部アーム30については、このアームは、関連するゲート駆動電圧A
N(N)33を有する駆動トランジスタ32と、関連するゲート駆動電圧A
N(X)35を有する第2追加スイッチ・トランジスタ34とを備える。トランジスタ32及び34の固有のダイオード作用も、また、互いに逆極性に配置されることに留意されたい。この固有のダイオード作用は、また、「(固有)ボディ・ダイオード」、「寄生ダイオード」、又は更に「いくつかのトランジスタ・タイプに見られる挙動のようなダイオード」(例えば、GaNデバイスにおいて)と呼称されてもよい。
【0019】
図1から、トランジスタ24及び34に加えられるゲート電圧(A
N(X)及びA
P(X))は、共通出力V
XDR15に相対するものであり、トランジスタ23及び33に加えられるゲート電圧(A
P(N)及びA
N(N))は、バイポーラ電力供給(すなわち、バイポーラ駆動電圧供給)のそれぞれの極性インスタンスに相対するものであるということがわかる。正のアーム23及び25に対する信号は、
図5に示すような、任意の形態の分離されたゲート駆動を使用して、それぞれのトランジスタ22及び24を同時にオン又はオフに切り替えるように制御することができる。負のアームについては、同様にゲート駆動信号33及び35は、また、
図5と同様に分離されたゲート駆動回路を使用して一緒に制御することができる。
【0020】
さて、当業者によって理解されるように、FETはより高い大きさの電圧レールに切り替えることにより強制的に逆バイアスになるとき、そうしないと、駆動トランジスタの寄生電界効果トランジスタ(FET)ボディ・ダイオード(すなわち、固有のダイオード機能)が伝導するので、ハーフブリッジ配置は、マルチレベル電圧供給を提供する際のそれらの使用を可能にするために、駆動トランジスタと直列にダイオード機能を使用する。ただし、プレーン・ダイオードを使用することにより、ハーフブリッジの逆伝導が防止され、このことは、ハーフブリッジがプッシュプル容量で動作するのを防止する(それぞれのレールが寄生ダイオードによって外側へ引き寄せることだけが制限されるため)。これにより、HRPWMのような技術を使用するとき、望ましくない第2高調波歪みが発生し、全ての高調波歪み及び振幅制御の損失が増加するであろう。また、プレーン・ダイオードを使用することにより、例えば、逆回復時間及び追加の損失を引き起こす寄生ダイオードに亘る順方向電圧降下によって、マルチレベル送信器の設計全体の性能も制限される。
【0021】
したがって、本開示では、ハーフブリッジにおけるプレーン・ダイオードの使用は、追加のスイッチ素子(すなわち、適切に配置され、かつ、制御されるアクティブ・トランジスタ)に置き換えられる。このようにして、マルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器の設計の性能を向上させることは可能である。すなわち、それぞれのアームについて、プレーン・ダイオードの代わりに、第2のFET(例えば、22又は34)を主駆動トランジスタ(例えば、24又は32)と比べて逆転するソース及びドレインに接続することにより、ハーフブリッジをスイッチ・オフするとき、同レベルの逆伝導保護が提供される。重要なことは、スイッチ・オンするとき、プレーン・ダイオードとは異なり、それぞれのアームに新しく追加されるスイッチ・トランジスタによって双方向性伝導が可能になり、プレーン・ダイオードと比べて電力損失がはるかに低くなる。これらの追加のスイッチ・トランジスタは、送信器回路(例えば、NMOS/PMOSなどの使用)の残りの部分のトポロジーに応じて、ソース結合構成又はドレイン結合構成のいずれかで接続できることに留意されたい。
【0022】
トポロジー全体に対するこの変更により、複雑な負荷を駆動し、設計されたHRPWM波形を忠実に生成することができる完全プッシュプル・マルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器が提供される。この変更は、順方向の伝導と逆方向の伝導の両方の下で高い性能を自然に提供できるGaNデバイスを使用して実装に充分適している。ただし、代替例では、例えば、シリコンNMOS、シリコン・カーバイド(別の高移動度半導体)、及び今後作製される将来の任意のトランジスタ技術など、この提案された設計と相乗効果のある固有の能力を備えた他のトランジスタ技術を利用することができる。
【0023】
さらに、このベース・プッシュプル・トランジスタ配置の任意の数のアームは、所与の設計で実装することができ、その結果、任意の数の出力電圧レベルを使用/提供することができる。
【0024】
図2は、本開示の実施形態によるマルチレベル超音波送信器で使用される
図1の超音波プッシュプル送信器ブリッジ・トポロジーの例示的な回路概略図を示す。実際、
図2は、任意のマルチレベル超音波プッシュプル送信器(この一般的インスタンスでは、7レベル)を実装するための完全な、かつ一般的なトポロジー200を示す。図示される一般的なトポロジーは、
図1のように第1プッシュプル・トランジスタ配置100と、第1プッシュプル・トランジスタ配置100と構造的に同じであるが、異なるバイポーラ電力供給V
Pi/V
Ni(この場合、より低い大きさ、すなわち、V
P2>V
Pi、及びV
N2>V
Ni)を亘って結合される第2のプッシュプル・トランジスタ配置100′とを含む。また、
図2の回路は、実質的に同じハーフブリッジ設計の単一のアーム(例えば、
図1のアーム30と同じ)で、中点出力をグランドにクランプするグランド・クランプ回路210、及び、アーム(上部及び底部)ごとに1つずつ配置される1対の単一駆動トランジスタを備える任意の外部レール・ブリッジ220とを示す。一般用語では、
図2に示すマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器に対する一般的なトポロジー200は、バイポーラ外部電圧レール(+)V
P1及び(-)V
N1と、バイポーラ中間電圧レール(+)V
P2及び(-)V
N2(より多くの出力電圧レベルに電力を供給するために必要な、任意の更なる追加電圧レール)と、グランド・クランプ回路GND210とを備える。グランド・クランプ回路210は、送信器の1つの出力を0Vにクランプすることを確実にし、このことはいくつかの実装で有用であり得る。例えば、スイッチ・モード送信波形が0Vレベルを利用する場合、又は使用される超音波トランスデューサが容量性インピーダンスを有し、その電圧で駆動される後で所与の電圧に留まる場合、その結果、Return to Zero(RTZ)駆動方法を適用することは有益である(例えば、その結果、駆動されるたびにトランスデューサの開始状態はそれぞれの方向で同じになり、一貫性及び対称動作を改善し、又は送信モードから受信モードに切り替わるときにトランスデューサの任意の残留電圧を放電する)。中間電圧レールである(+)V
P2及び(-)V
N2(任意の更なるレールである(+)V
Pi及び(-)V
Ni)、及びグランド・クランプ回路210は、それぞれドレイン結合された1対のGaNデバイスを使用してそれぞれのレールに駆動する。バイポーラ中間電圧レールは、バイポーラ外部電圧レールよりも低い大きさでなければならないという制約を設けることにより、外部レール・ブリッジ220を(+)V
P1及び(-)V
N1のそれぞれに1つずつ駆動する2つの駆動トランジスタだけに簡素化することが可能である。これは、使用の間、これら2つの駆動トランジスタが決して逆バイアスにならないようにすべきであり、このことは、それぞれの正の供給レールと負の供給レールの大きさの間に記載される関係を維持することによって確実にされる。
【0025】
単一な実装の実施例では、超音波送信器は3レベル・デバイスであってもよく、共通出力とグランドの間に結合されるグランド・クランプを有する
図1の回路だけで構成され、
図3の項目の100及び220だけに相当するであろう。
【0026】
図3は、本開示の実施形態によるマルチレベル超音波送信器の代替フロント・エンド配置を示し、この配置では、外部(すなわち、最も高い大きさ)のバイポーラ電圧供給レール(
図2の項目220)に結合されるハーフブリッジ配置が、同じベース・トランジスタ配置(
図3の項目310)をまねて単純に置き換えられる。すなわち、ほとんど正/負のレールに、単一の駆動トランジスタよりはむしろ、ドレイン結合されたもう1対のトランジスタ(すなわち、1つの駆動トランジスタと、双方向性ロード・スイッチとして配置される1つの追加スイッチ・トランジスタ)を使用する。この配置の利点は、外部供給電圧(
図3のV
P1/V
N1)が内部供給電圧(
図3のV
P2/V
N2)より大きい大きさを維持しなければならないという制限がなくなることである。これは、全てのトランジスタがバイポーラ・ロード・スイッチとして配置される追加のスイッチ・トランジスタによって保護されるためであり、これにより、余分な部品を犠牲にするが、それはより堅牢となる。すなわち、
図3の実施例では、駆動トランジスタを損傷することなく、V
P1はV
P2を下回ることができる。
【0027】
図4は、本開示の実施形態によるマルチレベル超音波送信器の全てのPMOS配置400の例示的な回路概略図を示す。この実施例では、基本的にトランジスタは全てPMOSに置き換えられ、その過程で、正のレール/負のレールは入れ替わる。これは、異なる駆動電圧の配置が必要な状況と、例えば、特に所与の種類のP型トランジスタ・デバイスの能力(例えば、電流処理、スイッチング速度など)が問題にならない(又は、少なくともN型バージョンよりも悪くない)場合などに使用することができる。
図4に示すように、NMOSの代わりにPMOSが使用される場合(又は、より一般的には、N型デバイスの代わりに任意のP型デバイス)、全ての電圧及びダイオードの動作が逆になる、例えば、ゲート制御電圧402の丸で囲んだ矢印は、
図3の同じ箇所の矢印と比べると逆方向になる。404で囲んだダイオードの方向も同様である。また、デバイス206のソースは出力V
XDRに接続され、更にデバイス208のソースは負の供給レールV
N1に接続される
図2と比べて、
図4では、これらが逆になっている(すなわち、デバイス406へのゲート入力は、V
XDRではなくV
P1を基準とし、デバイス408へのゲート入力は、V
N1ではなくV
XDRを基準として、あたかもV
N1及びV
P1が入れ替わったかのようになっている)。
【0028】
図1のそれぞれのトランジスタの伝導は、関連するゲート駆動電圧23、25、33、35によって可能に、又は無効にされ、通常、それぞれのトランジスタのソースを基準とし、それは単一出力V
XDR15、若しくはバイポーラ電圧供給レールの1つ、又は他の接続であってもよい。典型的な制御電子機器は、グランドを基準としてもよい、その場合、トランジスタ22、24、32、34を制御するために、何らかの形のレベル・シフト又はゲート分離を実装することができる。
【0029】
図5は、本開示のNMOS実施形態によるマルチレベル超音波送信器において、(
図1の)アームごとに使用するゲート駆動回路500の例示的な回路概略図を開示する。PMOSの実施例は、基本的には同じであるが、分離ブロックからの+信号及び-信号が入れ替わっていることに留意されたい。
【0030】
図5の回路500は、ゲート分離デバイス501a、501b、例えば、デジタル・アイソレータやオプトカプラなどを使用する例示的な接続である。これにより、それぞれのアームは、同じ制御信号502を使用して一緒に切り替えることができる(ただし、他の実施例は個別に切り替えてもよい)。ゲート分離デバイス501a/bは、それぞれの分離回路のそれぞれのV
Gate入力への入力として使用されるフローティング電力供給V
ISO(N)503、フローティング電力供給V
ISO(X)504を使用することができ、これは分離されたDC-DCコンバータ又は他の手段によって提供することができる。ゲート駆動電圧25、35は、同じ共通出力V
XDR15を基準とし、同じ分離された電力供給又はマルチチャネル・ゲート・アイソレータを共有してもよいし、あるいは、個別の回路を使用してもよい。一方、ゲート駆動電圧23、33は、それぞれのバイポーラ電圧供給レールのインスタンス(V
P又はV
N)を基準とする。
【0031】
従って、
図5は、
図1のそれぞれのアームに対して適切な駆動回路の例を示す。それ故に、
図5の回路の複数のインスタンス、例えば、関連する
図1の追加インスタンスごとに2つ(アームごとに1つ)を提供することができる。
【0032】
GaN FET技術を使用して開示されたマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器トポロジーは、標準的なハーフブリッジ・マルチレベル送信器の設計におけるダイオードの除去を可能にし、それにより、低損失及び全てのバイポーラ電圧供給レールに対する完全なプッシュプル能力を可能にする。開示されたマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器トポロジーの実施例では、PMOSトランジスタの全てをNMOSトランジスタと置き換えて、GaN FET技術を使用することができる。直接駆動トポロジーとして、開示されたマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器トポロジーは、変圧器又はフィルタを必要としないので、広範囲の周波数に亘って機能することができる。
【0033】
トポロジーの試験構造の実装が開発され、研究プラットフォーム及びイメージング・システム用に、極めてより高いチャネル数にスケール・アップすることができるレイアウトに、25×25mmの小さな面積を占めている。開示されたマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器は、広範囲の送信波形オプション(簡素なモジュール設計により、任意の数の出力電圧レベルまで)の生成と、100MHzまでのスイッチング速度とが可能になることが実証され、また同時に高い出力電力処理能力を提供する。
【0034】
診断周波数において、開示されたマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器は、高品質のHRPWM出力波形を生成することが可能であり、これは、広範囲の周波数に亘って線形振幅制御を示す一方で、高調波イメージング技術に対する設計に役立つ、よく制御された第2高調波を示す。振幅制御能力とともに、送信器の電力処理能力は、CWモダリティで動作し、HIFU治療の用途を支援することができる。HFUSの用途については、開示されたマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器は、高周波イメージング用のバイポーラ・トーンとともに、広帯域幅のチャープ波形と擬似ガウス波形の両方を生成できることが実証される。一方、正のユニポーラ・パルスと負のユニポーラ・パルスの両方は、また、グランド・レールと同時に4つの供給レールのいずれかを使用して生成することができる。
【0035】
実施例は、第1プッシュプル・トランジスタ配置を備えるマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器を提供し、第1プッシュプル・トランジスタ配置は、第1及び第2駆動トランジスタと、第3及び第4追加スイッチ・トランジスタとを含み、第3及び第4追加スイッチ・トランジスタのそれぞれは、第1及び第2駆動トランジスタのうちの1つと共に、双方向性ロード・スイッチとして配置される。実施例では、第1駆動トランジスタ及び関連する第3追加スイッチ・トランジスタは、第1プッシュプル・トランジスタ配置の第1アームとして直列に動作する。また、第2駆動トランジスタ及び関連する第4追加スイッチ・トランジスタは、第1プッシュプル・トランジスタ配置の第2アームとして直列に動作し、それぞれのアームは、第1バイポーラ駆動電圧供給のそれぞれの極性インスタンスと共通出力(VXDR)の間で結合される。
【0036】
いくつかの実施例では、第1バイポーラ駆動電圧供給は、正の供給電圧VP1及び負の供給電圧VN1を含む。いくつかの実施例では、第1バイポーラ駆動電圧供給の極性インスタンスは、それぞれのバイポーラ駆動電圧供給が正であるか負であるかが説明される。すなわち、第1駆動トランジスタについては、第1バイポーラ駆動電圧供給のそれぞれの極性インスタンスは、正のバイポーラ駆動電圧VP1であり、第2駆動トランジスタについては、第1バイポーラ駆動電圧供給のそれぞれの極性インスタンスは、負のバイポーラ駆動電圧VN1である。
【0037】
開示されたマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器のいくつかの実施例は、共通出力とグランドの間に結合されるシングル・エンド・トランジスタ・クランプ配置をさらに備えることができる。シングル・エンド・トランジスタ・クランプ配置は、双方向性ロード・スイッチとして配置される第6追加スイッチ・トランジスタと直列に第5駆動トランジスタを備える。いくつかの実施例では、シングル・エンド・トランジスタ・クランプ配置は、グランド・クランプであり、任意の他の手段によって共通出力をグランドにクランプするのと同じ効果を実現するための代替回路を有することができる。
【0038】
いくつかの実施例は、第7及び第8駆動トランジスタを含む第2プッシュプル・トランジスタ配置を備えることができ、それぞれは、(更なる)第2バイポーラ駆動電圧供給のそれぞれの極性インスタンスの間に結合される。第2バイポーラ駆動電圧供給は、第1バイポーラ駆動電圧供給とは異なる。いくつかの実施例では、第2バイポーラ駆動電圧供給は、第1バイポーラ駆動電圧供給より大きい大きさである。
【0039】
いくつかの実施例(第2プッシュプル配置の有無にかかわらず)は、1つまたは複数の更なるプッシュプル・トランジスタ配置を備えることができる。それぞれは、第1プッシュプル・トランジスタ配置の更なるインスタンスを備える、それぞれの更なるプッシュプル・トランジスタ配置は、更なるバイポーラ駆動電圧供給に亘って動作する。
【0040】
いくつかの実施例は、更なるプッシュプル・トランジスタ配置の1つまたは複数の更なるアーム(例えば、
図1の上部アーム又は底部アームのみ)をさらに備える。それぞれのアームは、双方向性ロード・スイッチを動作させる追加スイッチ・トランジスタと直列に結合される駆動トランジスタの更なるインスタンスを含み、ここで、それぞれの更なるアームは、更なるバイポーラ駆動電圧供給の更なる極性インスタンスと共通出力との間に結合される。
【0041】
実施例によれば、それぞれのアームは、任意の数の電圧レベルを使用できる超音波送信器が提供され得るように、追加の動作電圧レベルをマルチレベル・スイッチ・モード超音波送信器に提供する。レベルの最小数は、グランド電圧レベルを含み得る3であってもよい。より典型的な配置では、5つのレベルを使用してもよい。
【0042】
実施例によれば、それぞれの更なるバイポーラ駆動電圧供給は、使用されるバイポーラ電圧供給(それぞれの更なるバイポーラ駆動電圧供給は、正の供給電圧VPi及び負の供給電圧VNiを含む)の間の全体的な関係が次の事項:VP1>[VP2,...VPi]>GND及びVN1<[VN2,...VNi]<GNDを満たすように、前の電圧供給より低い大きさを有する。
【0043】
いくつかの実施例では、双方向性ロード・スイッチは、それぞれの駆動トランジスタのダイオード機能に対して逆極性に配置される。また、「ダイオード機能」は、「(固有)ボディ・ダイオード」、「寄生ダイオード」、又はさらに、「いくつかのトランジスタ・タイプに見られる挙動をするようなダイオード」(例えば、GaN)と呼称してもよい。実施例では、双方向性ロード・スイッチは、それぞれの駆動トランジスタのダイオード機能に対して逆極性に配置され、これはまた、2つのトランジスタが非直列であるので、基準としてもよい。
【0044】
実施例では、駆動トランジスタのいずれかのゲートを制御する電圧は、それぞれのバイポーラ駆動電圧供給又は共通出力のそれぞれの極性インスタンスに相対する。それぞれのという用語は、ここで(及び他のあらゆる場所でも)使用されて、回路のその特定の部分に関係する問題になっている項目のインスタンス(すなわち、それぞれのという用語の一般的な英語の用法)を意味する。
【0045】
いくつかの実施例では、追加のスイッチ・トランジスタのいずれかのゲートを制御する電圧は、それぞれのバイポーラ駆動電圧供給又は共通出力に相対する。
【0046】
いくつかの実施例では、全てのトランジスタは、Nチャネル・デバイス(NPN(又はNチャネルFET))である。
【0047】
いくつかの実施例では、全てのトランジスタは、Pチャネル・デバイス(PNP(又はPチャネルFET))である。
【0048】
いくつかの実施例では、全てのトランジスタは、高移動度デバイスである。
【0049】
いくつかの実施例では、全ての高移動度デバイスは、GaNデバイスを備える。
【0050】
いくつかの実施例では、全てのトランジスタは同一であり、すなわち、回路は同じベース・トランジスタ・デバイスの複数のインスタンスから構成される。
【0051】
いくつかの実施例では、制御回路は、RTZ機能を動作させて、それぞれの超音波トランスデューサを駆動する。
【0052】
実施例は、また、先の実施例のいずれかによる送信器と、送信器に結合される少なくとも1つの超音波トランスデューサとを備える超音波デバイスを提供する。
【0053】
実施例では、また、高出力操作及び高周波操作の両方を提供する、統一された超音波構造が提供され、それ故に、超音波機能を操作するための単一の簡素化された回路が提供される。本開示による例示的な超音波送信器は、本明細書に記載されるアームごとに同じ基本構造の複数のインスタンスを使用することによって、任意の数の電圧レベルを提供するように実装することができる。
【0054】
例えば、
図3に示すような5レベルのマルチレベル送信器回路に適用可能な、前の実施例で説明したのと同じ構造的特徴の代替的な言葉の説明が続く。なお、以下では、「第1」、「第2」などの用語の使用は、任意であり、必ずしも前のそれらの使用と調整されていないことに留意されたい。
【0055】
また、実施例では、送信器駆動回路が提供される。送信器駆動回路は、ハーフブリッジ・トポロジーに配置される第1及び第2NMOSデバイスを含む第1ステージと、第3、第4、第5、及び第6NMOSデバイスを含む第2ステージと、グランド・クランプ・トポロジーに配置される2つのNMOSデバイスを含む第3ステージとを備える。第1ステージは、第1バイポーラ電圧源によって駆動され、第1NMOSデバイスのゲートは、駆動回路の出力ノードを基準とし、第2NMOSデバイスのゲートは、固定電圧供給を基準とする。第3及び第6NMOSデバイスのそれぞれのゲートは、固定電圧供給を基準とし、第4及び第5NMOSデバイスのそれぞれのゲートは、駆動回路の出力ノードを基準とする。第2ステージは、第2バイポーラ電圧源によって駆動され、第2バイポーラ電圧源の電圧は、第1バイポーラ電圧源の電圧よりも低い大きさを有する。
【0056】
また、実施例では、送信器駆動回路が提供される。送信器駆動回路は、出力ノード(VXDR)、バイポーラ外部電圧レール、少なくとも1つのバイポーラ中間電圧レール、グランド・レール、外部ステージ、少なくとも1つの中間ステージ、及びグランド・クランプ・ステージを備える。バイポーラ中間電圧レールの電圧範囲は、バイポーラ外部電圧レールの電圧範囲よりも小さい大きさである。外部ステージは、バイポーラ外部電圧レールの正のレールと出力ノードの間に結合される第1NMOSデバイスと、バイポーラ外部電圧レールの負のレールと出力ノードの間に結合される第2NMOSデバイスとを含み、第1NMOSデバイスのゲートは、出力ノードを基準とし、第2NMOSデバイスのゲートは、バイポーラ外部電圧レールの負のレールを基準とする。それぞれの中間ステージは、少なくとも1つのバイポーラ中間電圧レールの正のレールと出力ノードの間に直列に結合される第3NMOSデバイス及び第4NMOSデバイスを含み、第3NMOSデバイスのドレイン及び第4NMOSデバイスのドレインは一緒に結合され、第5NMOSデバイス及び第6NMOSデバイスは、出力ノードと少なくとも1つのバイポーラ中間電圧レールの負のレールの間に直列に結合され、第5NMOSデバイスのドレイン及び第6NMOSデバイスのドレインは一緒に結合され、第4及び第5NMOSデバイスのそれぞれのゲートは、出力ノードを基準とし、第3NMOSデバイスのゲートは、少なくとも1つのバイポーラ中間電圧レールの正のレールを基準とし、第6NMOSデバイスのゲートは、少なくとも1つのバイポーラ中間電圧レールの負のレールを基準とする。グランド・クランプ・ステージは、出力ノードと少なくとも1つのバイポーラ中間電圧レールの負のレールの間に直列に結合される第7NMOSデバイス及び第8NMOSデバイスを含み、第7NMOSデバイスのドレイン及び第8NMOSデバイスのドレインは、一緒に結合され、第7NMOSデバイスのゲートは、出力ノードを基準とし、第8NMOSデバイスのゲートは、グランド・レールを基準とする。
【0057】
本開示の実施例は、HRPWM技法に加えて(又は潜在的にHRPWM技法の代わりにさえ)使用され得る超音波送信器設計に構造的な改善点を提供し、また送信器設計の対称性を改善する方法によってこれらの改善点を提供し、その結果、得られた送信器は、使用される1つまたは複数のバイポーラ電圧供給の正のアームと負のアームの両方で実質的に等しく動作する。したがって、開示された送信器回路設計の実施例では、所望する理想波形により忠実な出力が提供される。これは、開示された例示的な送信器回路設計が、同じトランジスタ・タイプ(例えば、Nタイプ対Pタイプ)の複数インスタンスを再利用することができ、したがって、全体的な設計を簡素化し、使用される任意の、かつ所与のトランジスタ製造プロセス(例えば、より良好な伝導、電荷キャリア移動度、スイッチング速度など)に対して、一方の設計タイプ(例えば、Nタイプ)における他方の設計タイプ(例えば、Pタイプ)に対する任意の改善点を活用し、全体的な設計の前述の対称的な性能を提供するためである。
【0058】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示される全ての特徴は、いくつかの特徴が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。任意の添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む本明細書に開示されるそれぞれの特徴は、明示的に別段の記載がない限り、同一、同等、又は類似の目的を果たす代替的な特徴で置き換えることができる。したがって、明示的に別段の記載がない限り、1つの実施例で開示されるそれぞれの特徴は、本明細書で提供される他の任意の実施例と共に使用することができる。
【0059】
本教示は、前述の実施例のいずれの特定の詳細に限定されない。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示される特徴の任意の新規な組み合わせが想定される。特許請求の範囲は、単に前述の実施例を包含するように解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に含まれる任意の変形例をも包含するように解釈されるべきである。
【国際調査報告】