(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】折り畳み式又は格納可能なリムを有する車両用ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
B62D1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535794
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2021085602
(87)【国際公開番号】W WO2022128987
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】バリトー,マテイス
(72)【発明者】
【氏名】カッシン,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルボー,トマス
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA86
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、中央部分(16)と、駆動位置と少なくとも1つの格納位置との間で中央部分(16)に対して枢動することができるリム(12)と、リム(12)を枢動させるアクチュエータ(18)と、その駆動位置におけるリム(12)のロック位置と係合解除位置との間で移動することができるロック部材とを備える車両ステアリングホイール(10)であって、アクチュエータ(18)とリム(12)との間及びアクチュエータ(18)とロック部材との間で移動を伝達するための機構(20)を備え、ロック部材をその係合解除位置に向かって連続的に駆動し、次いでリム(12)を枢動させることを特徴とする車両用ステアリングホイール(10)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ステアリングホイール(10)であって、
-中央部分(16)と、
-可動構造体(12)であって、
-前記車両が運転者によって操舵され得る駆動位置と、
-少なくとも1つの格納位置との間の前記中央部分(16)に対して、枢動可能に取り付けられたリムの少なくとも一部分を含む、可動構造体(12)と、
-前記可動構造体(12)をその駆動位置とその格納位置との間で枢動させるためのアクチュエータ(18)と、
-前記可動構造体(12)をその駆動位置にロックするための係合位置と、前記可動構造体が枢動すること(12)を可能にする係合解除位置との間で移動可能に取り付けられたロック部材(22)とを備え、
一方では前記アクチュエータ(18)と前記可動構造体(12)との間で、他方では前記アクチュエータ(18)と前記ロック部材(22)との間で移動を伝達するための機構(20)を備えることを特徴とする、車両用ステアリングホイール(10)。
【請求項2】
前記可動構造体(12)の前記駆動位置におけるロック状態から、前記伝達機構(20)が、前記ロック部材(22)をその係合解除位置に向かって、次いで前記可動構造体(12)をその格納位置に向かって連続的に駆動するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項3】
前記伝達機構(20)が、前記ロック部材(22)に対する前記可動構造体(12)の駆動オフセットに対応する角度の隙間(J)を有して前記可動構造体(12)と共に回転するように配置された前記可動構造体(12)の駆動部材を含むことを特徴とする、請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記可動構造体(12)と回転するように接合されたハブ(34)を備え、
-前記ハブ(34)が、相補的な開口部(38)を含み、
-前記駆動部材が、前記ハブと同軸であり、前記ハブ(34)を駆動するように角度の隙間を有して前記相補的な開口部(38)と協働するように配置された偏心キャッチピン(44)を含み、
前記伝達機構(20)が、前記ハブ(34)と前記駆動部材との間に配置され、前記可動構造体(12)が前記駆動位置においてそのロック状態にあるときに、前記駆動部材を角度静止位置に戻す弾性部材(46)を含むことを特徴とする、請求項3に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記ロック部材(22)が、前記ハブ(34)の相補的な部分(40)と協働して、前記可動構造体(12)をその駆動位置において角度的に隙間なく固定することを特徴とする、請求項4に記載のステアリングホイール。
【請求項6】
前記中央部分(16)に対して固定され、前記ハブ(34)を介して前記可動構造体(12)の前記角度駆動位置を画定する位置止め具(48)を含むことを特徴とする、請求項4又は5のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【請求項7】
前記ロック部材(22)が、前記可動構造体(12)の前記一次枢動軸(A1)に平行なロック軸(A3)を中心に枢動するように配置されたロックロッカであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【請求項8】
前記伝達機構(20)が、前記アクチュエータ(18)によって駆動されるように配置された歯付き入力部材を含み、
前記歯付き入力部材が、前記ロック部材(22)の前記駆動に対してオフセットされた方法で、前記可動構造体(12)のその格納位置に向かう前記回転を直接的又は間接的に駆動するように配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【請求項9】
前記駆動部材が、前記歯付き入力部材と直接的又は間接的に噛み合うように配置された前記可動構造体(12)の駆動スプロケット(26)であることを特徴とする、請求項3に従属する請求項8に記載のステアリングホイール。
【請求項10】
前記伝達機構(20)が、
-前記歯付き入力部材を形成し、前記駆動部材を駆動し、又は
-前記歯付き入力部材を駆動するために、前記アクチュエータ(18)上に配置されたウォームを含むことを特徴とする、請求項8又は9のいずれか一項に記載のステアリングホイール(10)。
【請求項11】
前記伝達機構(20)が、前記ロック部材(22)を駆動するための駆動カム(54、54-1、54-2)を含み、前記駆動カムが、好ましくは直接的又は間接的な回転で、前記アクチュエータ(18)に接続され、前記ロック部材(22)によって担持されたカムフォロワ要素(52)と協働することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【請求項12】
ロックガイド(63)を備え、前記ロック部材が、前記可動構造体(12)と前記ロックガイド(63)との間に配置されることを特徴とする、請求項11に記載のステアリングホイール。
【請求項13】
前記伝達機構(20)が、前記ロック部材(22)を駆動し、前記歯付き入力部材と直接的に噛み合うように配置されたロックピニオン(28)を含むことを特徴とする、請求項8に記載のステアリングホイール。
【請求項14】
前記アクチュエータ(18)が、回転式電気モータ、回転式電気モータを有するギヤードモータ、軸方向変位を有する電気シリンダ、及び軸方向変位を有する電磁石を含むカテゴリに属することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のステアリングホイールを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に車両用ステアリングホイールに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、方向付け可能又は格納可能なリムを有するステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0003】
車両用ステアリングホイールの従来技術では、例えば文献の米国特許第10.562.558号明細書から、ステアリングコラムに取り付けられるように構成された中央構造体に枢動可能に接続された、実質的に連続したリングを形成するリムを有するステアリングホイールを備え、車両が走行可能な状態に対応する垂直位置から、実質的に水平な収納位置又は格納位置までリムを枢動させるように構成された電気モータを含み、ステアリングホイール及びそのリムの他の使用方法又は利用を可能にする、電動折り畳み式ステアリングホイールシステムが知られている。加えて、ステアリングホイールシステムは、リムをその垂直な駆動位置にロックするための1つ以上の追加のシステムを備え、その各々は、専用のロックシステムの形態で提示されている。このような設計は、特にかさばり、重く、高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、上述の従来技術の欠点に対処することであり、特に、まず第1に、リムの少なくとも一部が枢動可能であり、枢動及びロックのためのコンパクトで経済的なアセンブリによって駆動位置にロックされることができる車両用ステアリングホイールを提案することである。
【0005】
それゆえ、本発明の第1の態様は、
-中央部と、
-可動構造体であって、
-車両が運転者によって操舵され得る駆動位置と、
-少なくとも1つの格納位置との間の中央部に対して、枢動可能に取り付けられたリムの少なくとも一部分を含む、可動構造体と、
-可動構造体をその駆動位置とその格納位置との間で枢動させるためのアクチュエータと、
-可動構造体をその駆動位置にロックするための係合位置と、可動構造体が枢動することを可能にする係合解除位置との間で移動可能に取り付けられたロック部材とを備え、
一方ではアクチュエータと可動構造体との間で、他方ではアクチュエータとロック部材との間で移動を伝達するための機構とを備えることを特徴とする、車両用ステアリングホイールに関する。したがって、同じアクチュエータが、ロック部材に作用してその位置の変更を制御し、リムを枢動させることを可能にする。
【0006】
一実装形態によれば、可動構造体の駆動位置におけるロック状態から、伝達機構は、ロック部材をその係合解除位置に向かって、次いで可動構造体をその格納位置に向かって連続的に駆動するように構成される。
【0007】
一実装形態によれば、伝達機構は、ロック部材に対する可動構造体の駆動オフセットに対応する角度の隙間を有して可動構造体と共に回転するように配置された可動構造体の駆動部材を含んでもよい。
【0008】
一実装形態によれば、ステアリングホイールは、可動構造体と回転するように接合されたハブを備えてもよい。
【0009】
一実装形態によれば、
-前記ハブは、相補的な開口部を備えてもよく、
-駆動部材(例えば、駆動スプロケット)は、ハブと同軸であってもよく、ハブを駆動するように角度の隙間を有して相補的な開口部と協働するように配置された偏心キャッチピンを備えてもよく、
伝達機構は、ハブと駆動部材との間に配置され、可動構造体が駆動位置においてそのロック状態にあるときに、駆動部材を角度静止位置に戻す弾性部材を備えてもよい。
【0010】
一実装形態によれば、ロック部材は、ハブの相補的な部分と協働して、可動構造体をその駆動位置において角度的に隙間なく固定することができる。
【0011】
一実装形態によれば、ハブは、可動構造体の一次枢動軸と同軸であってもよい。
【0012】
一実装形態によれば、ステアリングホイールは、中央部分に対して固定され、ハブを介して可動構造体の角度駆動位置を画定することができる位置止め具を備えてもよい。
【0013】
一実装形態によれば、ロック部材は、可動構造体の一次枢動軸に平行なロック軸を中心に枢動するように配置されたロックロッカであってもよい。
【0014】
一実装形態によれば、伝達機構は、アクチュエータによって駆動されるように配置された歯付き入力部材を備えてもよく、
歯付き入力部材は、ロック部材の駆動に対してオフセットされた方法で、可動構造体のその格納位置に向かう回転を間接的に駆動するように配置される。したがって、リムをロック解除し、次いで枢動させる(又はその逆)ための機能シーケンスは、アクチュエータの作動を制御することのみによって確実にすることができる。
【0015】
一実装形態によれば、駆動部材は、歯付き入力部材と直接又は間接的に噛み合うように配置された可動構造体の駆動スプロケットであってもよい。
【0016】
一実装形態によれば、歯付き入力部材は、アクチュエータによって両方向に回転されるように配置された歯付きギアであってもよい。
【0017】
一実装形態によれば、伝達機構は、
-歯付き入力部材を形成し、駆動部材を駆動し、又は
-歯付き入力部材を駆動するために、アクチュエータ上に配置されたウォームを備えてもよい。
【0018】
一実装形態によれば、伝達機構は、好ましくは直接的又は間接的な回転でアクチュエータに接続され、ロック部材によって担持されたカムフォロワ要素と協働する、ロック部材の駆動カムを備えてもよい。
【0019】
一実装形態によれば、カムは、駆動部材に接続されてもよい。
【0020】
一実装形態によれば、ステアリングホイールはロックガイドを備えてもよく、ロック部材は可動構造体とロックガイドとの間に配置される。
【0021】
第1の例示的な実装形態によれば、伝達機構は、ロック部材を駆動し、歯付き入力部材と直接的に噛み合うように配置することができるロックピニオンを備えてもよい。
【0022】
一実装形態によれば、アクチュエータは、回転式電気モータ、回転式電気モータを有するギヤードモータ、軸方向変位を有する電気シリンダ、及び軸方向変位を有する電磁石を含むカテゴリに属してもよい。
【0023】
一実装形態によれば、ステアリングホイールは、アクチュエータ、ロック部材、及び伝達機構を備えることができる可動構造体を駆動及びロックするための少なくとも1つの第1の側方モジュールを備えてもよい。
【0024】
一実装形態によれば、ステアリングホイールは、可動構造体をその駆動位置とその格納位置との間で枢動させるための別のアクチュエータを備えてもよい。
【0025】
本発明の別の態様は、第1の態様によるステアリングホイールを備える車両に関する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明のいくつかの実施形態の詳細な説明を読むと、より明らかになり、本発明のいくつかの実施形態は、例として提供されているが、これらになんら限定されず、添付の図面によって示されている。
【0027】
【
図1】
図1は、リムの駆動位置で示される車両用ステアリングホイールの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すステアリングホイールの上面図である。
【
図3】
図3は、
図1及び
図2に示すステアリングホイールを装備する移動伝達機構の特定の構成要素を示す拡大詳細斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1及び
図2に示すステアリングホイールを装備することができる移動伝達機構の第2の実施形態の特定の構成要素を示す、
図3に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
第1実施形態
図1及び
図2は、アーム14によって、ハブとも呼ばれる中央部分16に接続されたリム12を備えるステアリングホイール10を示し、中央部分16は、ステアリングホイールを車両のステアリングコラム又は電気ステアリングギアボックス(図示せず)に結合することを可能にするように配置される。
【0029】
車両の使用方法及び利用の人間工学を向上させるために、リム12は、中央部分16に対して少なくとも部分的にヒンジ式で取り付けられ、ステアリングホイールの回転軸に直交する一次軸A1を中心として両方向に枢動することができるように、
-リム12の平面が、車両の駆動中にステアリングホイール及びステアリングコラムの回転軸と一致する中央部16の軸方向に対して典型的に直交している、いわゆる駆動位置、
-又はリム12の平面が、したがって、特にユーザが例えばコンピュータをリム12上に置くことができるように、中央部16の方向に対して傾斜している、コンソール位置とも呼ばれる格納位置、のいずれかに角度を付けて配置される。
【0030】
角度位置を変更する可能性は、必ずしもリム12全体を枢動させることに限定されず、リム12の一部分のみ、例えばリムの半分のみに関連することもでき、そのようなリム部分は、本発明の意味においてリムの可動構造体を構成する。
【0031】
慣例により、リム12の一次枢動軸A1は、後方から前方に軸方向に配向される。
【0032】
非限定的な例として、リム12を両方向に枢動させるために、ステアリングホイール10は、ここでは、リム12を駆動及びロックするためのサイドモジュールMを含む。サイドモジュールMは、ここでは、ステアリングホイール10のリアアーム14に隣接して配置されている。
【0033】
モジュールMは、本質的に、電動アクチュエータ18と、アクチュエータとリム12との間の伝達のための機構20と、リム12をその駆動位置にロックするための部材22とを組み合わせる。
【0034】
図3は、
-アクチュエータ18によって二次軸A2を中心に回転される伝達機構に属する移動入力ギア24と、
-入力ギア24と恒久的に噛み合う、リム12を枢動させるためのギア26(非限定的な例として、駆動スプロケット26は、リム12の一次枢動軸A1の周りに回転可能に取り付けられる)と、
-ロックロッカ22であって、ロック軸A3を中心に回転するように取り付けられ、入力ギア24と恒久的に噛み合うロックピニオン28として成形された近位部分と、ロックピニオン28から半径方向に延在し、その自由端セクション32が実質的に円筒の弧の形態の凸状ロック面に成形された遠位アーム30とを含む、ロックロッカ22とを示す。
【0035】
駆動スプロケット24とリム12との間の両方向の回転接続のために、
図3はまた、リム12に回転可能に固定することができ、駆動スプロケット26を通って軸方向に延在するハブ34を示す。ハブは、その後部において、半径方向プレート36に回転可能に固定されており、半径方向プレート36の周縁部37は、ここでは半径方向外向きに開いたノッチ38の形態の開口部と、実質的に円筒の弧の形態の凹状ロック面40と、当接部42とを有する。
【0036】
ロック部材22の駆動に対してオフセットされた方法でハブ34を枢動させることを可能にするために、駆動スプロケット26の後部半径方向面には、後方に向かって軸方向に延在し、駆動スプロケット26とハブ34との間の相対的な角度移動を可能にする角度の隙間「J」を有してノッチ38内に恒久的に受容されるキャッチピン44を有する。更に、ここでは渦巻きばねの形態で作られたばね46が、軸方向前方に延在する駆動スプロケット26のリム27とハブ34との間に介在し、静止位置と呼ばれる
図3、
図4A及び
図4Bに示す角度位置において、ハブ34の半径方向プレート36に対する駆動スプロケット26の弾性戻りを恒久的に確実にする。
【0037】
図1及び
図2に見られるように、モジュールMは、2つの平行な補強プレート50を有し、その間に入力ギア24及び駆動スプロケット26、並びにハブ34の半径方向プレート36及びロック部材22が配置され、これらの様々な構成要素も、これらの2つの補強プレート50に対して回転するように取り付けられる。また、前方補強プレート50には、電動アクチュエータ18が取り付けられる。
【0038】
更に、固定軸方向当接ピン48が、2つの補強プレート50の間に配置され、ハブ34の半径方向プレート36の周縁部に面する当接部42と係合することができる。
【0039】
図3、
図4A及び
図4Bでは、リム12及び関連する構成要素のセットが、ロック部材22によってロックされるそのいわゆる角度駆動位置にあることが示されている。
【0040】
リム12のその一次枢動軸A1を中心としたリム12の角度駆動位置は、ハブ34の半径方向プレート36の周縁部37の当接部42が固定軸方向当接部48に対して接触する角度当接によって決定される。
【0041】
この同じ位置において、ロックは、クランプ効果によって互いに対して支えられる相補的なロック面32及び40によって確実にされ、したがって、異なるピニオンの歯の間の隙間内に移動した後を含め、ステアリングホイールのリム12の角度の隙間なしでロックを確実にする。
【0042】
図4A及び
図4Bに示す位置から開始して、リム12をロック解除し、次いでリム12をコンソール位置に向かって枢動させるために、これらの図に示す矢印F1の方向に入力ギア24を駆動することが必要である。
【0043】
F1による入力ギア24の角度移動の第1の部分は、矢印F1によるロック部材の回転を直ちに引き起こし、これによって半径方向プレート36、したがってハブ34をロック解除又は解放させる。F1による入力ギア24の角度移動のこの第1の部分の間、入力ギア24は、駆動スプロケット26及びその軸方向キャッチピン44を駆動し、その後、その軸方向キャッチピン44は、ノッチ38内を移動する。これは、ばね46によって加えられる弾性戻り力に抗して行われる。
【0044】
キャッチピン44がノッチ38の他方の角度端に到達すると同時に、隙間「J」を補償した後、F1による入力ギア24の角度移動の移動の第1の部分が終了し、その回転は、常に矢印F1に従って、その移動の第2の部分に沿って継続し、次いで半径方向プレート36、したがってハブ34及びリム12を駆動する。
【0045】
したがって、リム12は、リム12のロック解除を最初に確実にするために、入力ギア24によって最初に枢動されるロック部材22の駆動に対してオフセットされた方法で、そのコンソール位置又は格納位置に向かって枢動される。
【0046】
軸方向キャッチピン44とハブ34の半径方向プレート36のノッチ38との係合を介して、歯付き入力ギア24は、リム12と間接的に噛み合い、ロック部材22の駆動に対してオフセットされた方法で、リム12の格納位置に向かってリム12を枢動させる。
【0047】
続いて、コンソール位置から開始して、駆動位置に戻るために、入力ギア24が矢印F2の方向に回転され、ハブ34の半径方向プレート36の周縁部37の当接部42が固定軸方向当接ピン48と接触するように戻り、その後、ロック部材22は、キャッチピン44をノッチ38内に戻すことができるために、矢印F2の方向にのみ枢動される。
【0048】
第2実施形態
図5、
図6A及び
図6Bは、
図3、
図4A及び
図4Bと同様に、伝達機構及びそのロックロッカの構成要素のうちのいくつかの第2の実施形態を示す。これは、
図3~
図4Bを参照して、これまで説明した内容と比較して説明され、同様又は類似する同一の要素及び構成要素は、同じ数字又は英数字の参照符号によって示される。
【0049】
より具体的には、ロックロッカ22は、駆動スプロケット26及び入力ギア24のそれぞれの一次軸A1及び二次軸A2に平行なロック軸A3の周りで補強プレート50に対して枢動可能に取り付けられた中央ハブ23を備えるフォーク形状で形成されている。
【0050】
ロックロッカ22は、その中央ハブ23から、図で見て下側にあるアーム22i、いわゆる制御アームと、上側アーム22s、いわゆるロックアームとを含む2つの対向する半径方向アームを有する。
【0051】
制御アーム22iは、その自由端において、駆動スプロケット26のリム27によって支持され、回転されるL字型カムプロファイル部54と係合する周方向カムフォロワ要素52を有する。
【0052】
カムフォロワ要素52は、
図5及び
図6Aから見て時計回り方向に回転するようにロックロッカ22を恒久的に付勢するロックばね56によって、L字型カムプロファイル54に対して恒久的に弾性的に付勢される。
【0053】
ロックアーム22sは、その自由端において、ハブ34の半径方向プレート36の周縁部37のロック部62と係合することができる周方向ロックリップ60を有し、ロック部62は、ここでは、2つの連続した部分62-1及び62-2において、実質的に直角である。
【0054】
図5、
図6A、及び
図6Bに示す駆動位置にリム12がロックされた状態では、カムフォロワ要素52は、カムプロファイル54の半径方向最外部分54-1に当接し、ロックリップ60は、ロック部62の部分62-1と係合する。様々な構成要素のこの状態では、半径方向プレート36及びハブ34が、
図5及び
図6Aを見て時計回り方向(矢印F1)に回転することは不可能である。
【0055】
図6A及び
図6Bに示すこの位置から開始して、リム12をロック解除し、次いでリム12をコンソール位置に向かって枢動させるために、これらの図に示す矢印F1の方向に入力ギア24を駆動することが必要である。
【0056】
F1による入力ギア24の角度移動の第1の部分は、駆動スプロケット26及びカムプロファイル54の即時回転を引き起こす。次いで、カムフォロワ要素52は、カムプロファイル54の半径方向最外部分54-1を離れ、カムプロファイル54の傾斜した半径方向最内部分54-2に沿って下降する。ロックばね56の作用下で、これは、ロックフォーク22を矢印F1の方向に枢動させ、ロックリップ60を解放する。
【0057】
F1による入力ギア24の角度移動のこの第1の部分の間、入力ギア24は、駆動スプロケット26及びその軸方向キャッチピン44を駆動し、その後、その軸方向キャッチピン44は、ノッチ38内を移動する。これは、ばね46によって加えられる弾性戻り力に抗して行われる。
【0058】
キャッチピン44がノッチ38の他方の角度端に到達すると同時に、隙間「J」を補償した後、F1による入力ギア24の角度移動の移動の第1の部分が終了し、その回転は、常に矢印F1に従って、その移動の第2の部分に沿って継続し、次いで半径方向プレート36、したがってハブ34及びリム12を駆動する。
【0059】
この回転は、ロックリップ60がロック部62の円柱の弧を形成する部分62-2に当接するので可能である。
【0060】
したがって、リム12は、リム12のロック解除を最初に確実にするために、入力ギア24によって最初に駆動されるロック部材22の駆動に対してオフセットされた方法で、そのコンソール位置又は格納位置に向かって枢動される。
【0061】
軸方向キャッチピン44とハブ34の半径方向プレート36のノッチ38との係合を介して、歯付き入力ギア24は、リム12と間接的に噛み合い、ロック部材22の駆動に対してオフセットされた方法で、リム12の格納位置に向かってリム12を枢動させる。
【0062】
実施形態にかかわらず、本発明の意味において、入力ギア24は、少なくとも駆動スプロケット26に伝達される移動のための歯付き入力部材を構成する。
【0063】
代替的に、入力ギア24を、歯付き内側クラウンギアと、又は場合によっては直線状の歯付きラックと置き換えることも可能である。
【0064】
アクチュエータ18は、例えば、電気ギアモータを形成するためにギアボックス又はギア減速機と任意に関連付けられた回転式電気モータである。この場合、回転出力シャフトは、入力ギア24などの歯付き入力部材を直接又は間接的に駆動する。
【0065】
図6Cは、
図6Aに示す機構の変形例を示すか、又は相違点のみが説明される。
図6Cでは、ロックガイド63がロックフォーク22のロックリップ60に設けられている。特に、ロックリップ60は、ロックガイド63と半径方向プレート36の周縁部37のロック部62との間に配置され、その結果、示されたロック位置において、ロックガイド63は、ロック部62に対して隙間なしにロックリップ60を押し戻し、リム12が駆動位置にあるときに隙間がないことを確実にする。
【0066】
代替的に、出力シャフトは、ラック形状の部材を介して歯付き入力部材を両方向に駆動するために、ウォーム・ナット方式のねじを駆動することができる。
【0067】
本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されている本発明の種々の実施形態に対して、当業者に明白な様々な修正及び/又は改善を加えることができる点が理解されるであろう。
【国際調査報告】