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特表2024-501475モネンシンの検出のためのラテラルフローアッセイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】モネンシンの検出のためのラテラルフローアッセイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535818
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021062801
(87)【国際公開番号】W WO2022125893
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/124,551
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】519246375
【氏名又は名称】ヒューベファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HUVEPHARMA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダー・ヴィーン,ライアン・エル.
(72)【発明者】
【氏名】マックイルヘイニー,メアリー・エム.
(72)【発明者】
【氏名】カンピ,トーマス・ダブルユー
(57)【要約】
競合ラテラルフローアッセイを使用して、動物飼料中のモネンシンの存在を検出するための方法を提供する。この方法によって、モネンシンの定性的検出が可能になり、さらに非常に高レベルの感度での定量的検出、例えば、飼料サンプル中の10ppm以下の検出も可能になる。本方法で使用するための競合ラテラルフローアッセイストリップ装置も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプル中のモネンシンの検出のための競合ラテラルフローアッセイ(LFA)ストリップ装置であって、
サンプルパッド、
検出可能な標識とコンジュゲートした抗モネンシン特異的抗体(M抗体)および検出可能な標識とコンジュゲートした対照抗体(C抗体)が担持されているコンジュゲートパッド、ならびに
前記M抗体が結合するモネンシンが固定化された試験ラインおよび前記C抗体が結合する抗原が固定化された対照ラインを含む膜表面を含み、
前記サンプルパッドに加えた液体サンプルが最初に前記コンジュゲートパッドを通り、次に前記膜表面の前記試験ラインおよび前記対照ラインを横切って流れ、
前記M抗体の前記試験ラインへの結合が検出可能なシグナルを生じ、前記C抗体の前記対照ラインへの結合が検出可能なシグナルを生じ、
前記液体サンプル中にモネンシンが存在すると、モネンシンが存在していないサンプルと比較して、前記試験ラインでの前記検出可能なシグナルが減少し、
前記LFAストリップ装置が、前記液体サンプル中のモネンシンを検出するために10ppm以下の感度を有する、ラテラルフローアッセイ(LFA)ストリップ装置。
【請求項2】
前記液体サンプル中のモネンシンを検出するために2ppmの感度を有する、請求項1に記載のLFAストリップ装置。
【請求項3】
前記液体サンプル中のモネンシンを検出するために6~10ppmの感度を有する、請求項1に記載のLFAストリップ装置。
【請求項4】
前記サンプルパッドがポリエステル繊維パッドである、請求項1に記載のLFAストリップ装置。
【請求項5】
前記コンジュゲートパッドがチョップドガラスパッドである、請求項1に記載のLFAストリップ装置。
【請求項6】
前記膜表面がニトロセルロース膜を含む、請求項1に記載のLFAストリップ装置。
【請求項7】
前記M抗体が金ナノ粒子にコンジュゲートしている、請求項1に記載のLFAストリップ装置。
【請求項8】
前記試験ラインに固定化された前記モネンシンがBSA-モネンシンである、請求項1に記載のLFAストリップ装置。
【請求項9】
前記C抗体が、金ナノ粒子にコンジュゲートした抗ニワトリIgYまたは抗マウスIgG抗体であり、前記対照ラインに固定化された前記抗原が、ニワトリIgYまたはマウスIgGである、請求項1に記載のLFAストリップ装置。
【請求項10】
動物飼料中のモネンシンの存在を検出する方法であって、
(a)前記動物飼料を液体抽出緩衝液と接触させて、液体サンプルを得ること、
(b)前記液体サンプルを請求項1~12のいずれか1項に記載のLFAストリップ装置の前記サンプルパッドに加えること、
(c)前記LFAストリップ装置を少なくとも3分間展開すること、および
(d)前記LFAストリップ装置を視覚的に読み取るか、または定量的に測定することによって、前記動物飼料中のモネンシンの存在を検出すること、を含む方法。
【請求項11】
前記液体抽出緩衝液が有機溶媒を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記有機溶媒がアルコールである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルコールがエタノールである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体抽出緩衝液が0.5%Tween-20および10%エタノールを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記液体抽出緩衝液が水性緩衝液である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記液体抽出緩衝液が1%Tween-20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記動物飼料を前記抽出緩衝液と20分間以下接触させる、請求項10から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記動物飼料を前記抽出緩衝液と5分間接触させる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
定量的リーダーを使用して前記LFAストリップ装置を読み取る、請求項10から18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年12月11日出願の米国仮出願第63/124,551号の優先権を主張し、その全開示は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0002】
モネンシンは、Li、Na、K、Rb、Ag、およびTlなどの一価カチオンと錯体を形成しやすいクラウンエーテルに関連する、ポリエーテル抗生物質イオノフォアである。モネンシンは、これらのカチオンを電気的中性(すなわち非脱分極性)交換で細胞の脂質膜を横断して輸送することができ、Na/H対向輸送体として重要な役割を果たす。最近の研究では、モネンシンは起電性および電気的中性の両方の方法で膜を通ってナトリウムイオンを輸送できることが示されている。このアプローチによって、親モネンシンだけでなく、カルボキシル基を持たないモネンシン誘導体のイオノフォア能力、およびその結果としての抗菌特性が説明される。モネンシンは、細胞内タンパク質輸送をブロックし、抗生物質、抗マラリア、およびその他の生物学的活性を発揮する。モネンシンおよびその誘導体の抗菌特性は、細胞膜および細胞内膜を通して金属カチオンを輸送する能力の結果である。
【0003】
モネンシンは、牛や家禽の飼料に加えるために動物衛生業界で広く使用されている。しかし、モネンシンには成長している動物において望ましくない細菌および原生動物の活性を防ぐイオノフォア活性があるため、哺乳動物の膜にも悪影響を有する可能性がある。モネンシン中毒は動物衛生薬用飼料でよく報告されており、薬用飼料を使用する動物に対してモネンシンの含有量が高くなりすぎないように細心の注意が払われている(例えば、Chalmers(1981)Can.Vet.J.22:21-2;Potter et al.(1984)J.Anim.Sci.58:1499-511;Gonzalez et al.(2005)Can.Vet.J.46:910-12を参照のこと)。モネンシンの濃度は、動物の種類、齢、および生産利用状況に応じて、飼料1トン当たり数グラムから最大でも飼料1トン当たり数百グラムの範囲で使用されることが多い。例えば、乳牛には肉牛とは異なるモネンシンの用量が必要である。同様に、雛鳥のためのスターター給餌量は、成長中の肉用鶏または卵用鶏とは大きく異なる。したがって、薬用飼料を生産するために業界で利用されている飼料工場では、飼料中のモネンシンの正確な量を測定する必要がある。さらに、様々な生産目的で動物をモネンシンから取り出す場合、飼料工場は、動物または牛乳もしくは卵などの動物製品の安全性ために、飼料にモネンシンの悪影響がないように、製粉設備にモネンシンが含まれていないよう注意しなければならない。
【0004】
飼料中のモネンシンの測定に現在使用されている一方法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)であるが、これは費用と時間がかかり、給餌プログラムのスケジュール設定および労力/設備の使用に支障をきたす可能性がある。したがって、飼料中のモネンシンの存在を判定するために、迅速で、信頼性、費用効果、および労働効率が高い方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、例えば、動物飼料中のモネンシンの検出のための競合ラテラルフローアッセイ(LFA)のための方法および装置を提供する。本開示の方法および装置は、モネンシンを検出するための迅速で費用効果および労働効率の高いアプローチを提供すると同時に、非常に高感度の検出、例えば、動物飼料中のモネンシンの検出の下限をわずか10ppm(または10ppm未満)にすることも可能にする。さらに、この方法および装置は、モネンシンの定性的検出だけでなく定量的な測定も可能にするため、動物飼料の使用者は、飼料中のモネンシンのレベルを調整するためにLFA法および装置を使用する場合、非常に正確な制御を行うことが可能である。
【0006】
したがって、一態様では、本開示は、液体サンプル中のモネンシンの検出のための競合ラテラルフローアッセイ(LFA)ストリップ装置であって、
サンプルパッド、
検出可能な標識とコンジュゲートした抗モネンシン特異的抗体(M抗体)および検出可能な標識とコンジュゲートした対照抗体(C抗体)が担持されているコンジュゲートパッド、ならびに
M抗体が結合するモネンシンが固定化された試験ラインおよびC抗体が結合する抗原が固定化された対照ラインを含む膜表面を含み、
サンプルパッドに加えた液体サンプルは最初にコンジュゲートパッドを通り、次に膜表面の試験ラインおよび対照ラインを横切って流れ、
M抗体の試験ラインへの結合が検出可能なシグナルを生じ、C抗体の対照ラインへの結合は検出可能なシグナルを生じ、
液体サンプル中にモネンシンが存在すると、モネンシンが存在していないサンプルと比較して、試験ラインでの検出可能なシグナルが減少し、
LFAストリップ装置は、液体サンプル中のモネンシンを検出するために10ppm以下の感度を有する、ラテラルフローアッセイ(LFA)ストリップ装置に関する。
【0007】
一実施形態では、LFAストリップ装置のモネンシンを検出する感度の下限は、6~10ppm、または6.6~10ppm、または7~10ppm、または8~10ppm、または9~10ppmである。ある特定の実施形態では、LFAストリップ装置のモネンシンを検出する感度の下限は、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6.6ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、または2ppmである。
【0008】
一実施形態では、サンプルパッドはポリエステル繊維パッドである。一実施形態では、コンジュゲートパッドはチョップドガラスパッドである。一実施形態では、膜表面はニトロセルロース膜を含む。LFAストリップ装置のこれらの構成要素に適した材料については、本明細書でさらに記載する。
【0009】
一実施形態では、Mモネンシン特異的抗体は金ナノ粒子にコンジュゲートしている。
【0010】
一実施形態では、試験ラインに固定化されたモネンシンはBSA-モネンシンであり、モネンシン特異的M抗体によって検出可能である。
【0011】
一実施形態では、C抗体は、金ナノ粒子にコンジュゲートした抗ニワトリIgY抗体または抗マウスIgGであり、対照ラインに固定化された抗原は、ニワトリIgYまたはマウスIgGである。
【0012】
一実施形態では、コンジュゲートパッドには、25~50μg/mLの濃度でM抗体が担持されている。一実施形態では、コンジュゲートパッドには、30~40μg/mLの濃度でM抗体が担持されている。一実施形態では、コンジュゲートパッドには、30μg/mLの濃度でM抗体が担持されている。
【0013】
一実施形態では、コンジュゲートパッドには、90~95%M抗体および5~10%C抗体が担持されている。一実施形態では、コンジュゲートパッドには、90%M抗体および10%C抗体が担持されている。一実施形態では、コンジュゲートパッドには、95%M抗体および5%C抗体が担持されている。
【0014】
別の態様では、本開示は、本開示のLFA装置を使用して、例えば、動物飼料中のモネンシンを検出する方法に関する。したがって、本開示は、動物飼料中のモネンシンの存在を検出する方法であって、
(a)動物飼料のサンプルを液体抽出緩衝液と接触(例えば、インキュベート、混合、または懸濁)させて、液体サンプルを得ること、
(b)液体サンプル(例えば、所定量)を本開示のLFAストリップ装置のサンプルパッドに加えること、
(c)LFAストリップ装置を少なくとも3分間展開すること(すなわち、サンプルパッドに加えた液体サンプルがLFAストリップ装置のコンジュゲートパッドを通り、膜表面上の試験ラインおよび対照ラインを横切って流れるようにすること)、および
(d)LFAストリップ装置を視覚的に読み取るか、または定量的に測定することによって、動物飼料中のモネンシンの存在を検出すること、を含む方法に関する。
【0015】
一実施形態では、LFAストリップ装置は少なくとも5分間展開する。
【0016】
一実施形態では、液体抽出緩衝液はアルコールなどの有機溶媒を含む。一実施形態では、液体抽出緩衝液中のアルコールはエタノールである。一実施形態では、液体抽出緩衝液は0.5%Tween-20および10%エタノールを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。一実施形態では、液体抽出緩衝液は1%Tween-20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの水性緩衝液である。
【0017】
一実施形態では、抽出緩衝液は、液体サンプルが試験ストリップを横断して移動するときに、M抗体またはC抗体と結合できるようにすることに適しているか、または最適である。
【0018】
一実施形態では、動物飼料を抽出緩衝液と20分間以下接触させて、液体サンプルを得る。一実施形態では、動物飼料を抽出緩衝液と5分間接触させて、液体サンプルを得る。
【0019】
この方法の一実施形態では、定量的リーダー(例えば、LFAストリップ装置の試験ラインで生成される光学濃度(OD)を定量化するリーダー)を使用して、LFAストリップ装置を定量的に読み取る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、モネンシンの検出のための代表的な競合LFAストリップ装置の概略図である。
図2図2は、阻害ELISAにおける非標識モネンシンの様々な希釈物の検出を示した図である。
図3図3は、阻害ELISAのためのモネンシン標準曲線を示した図である。
図4図4は、阻害ELISAによる、エタノール抽出された動物飼料中のモネンシンの検出を示した図である。
図5図5は、阻害ELISAによる、PBS抽出された動物飼料中のモネンシンの検出を示した図である。
図6図6は、抗モネンシンコンジュゲート30μg/mL(図6A、6B)または40μg/mL(図6C、6D)を担持し、飼料1トン当たり6gのモネンシン(図6A、6C)または飼料1トン当たり9gのモネンシン(図6B、6D)を含有する飼料から抽出したサンプルで試験したLFAストリップの写真である。
図7図7は、飼料1トン当たり0、6、9、または12グラムのモネンシンを含有する飼料サンプルを用いてLFAストリップを使用して検出されたモネンシンのレベルを示した図である。結果は、サンプルの各濃度について定量的ODリーダーを使用して光学濃度の単位で記載されている。
図8A図8Aは、飼料1トン当たり0、6、9、または12グラムのモネンシンを含有する飼料サンプルを用いてLFAストリップを使用して検出されたモネンシンのレベルを示した図であり、飼料サンプルは5分間抽出した。結果は、サンプルの各濃度について定量的ODリーダーを使用して光学濃度の単位で記載されている。
図8B図8Bは、飼料1トン当たり0、6、9、または12グラムのモネンシンを含有する飼料サンプルを用いてLFAストリップを使用して検出されたモネンシンのレベルを示した図であり、飼料サンプルは20分間抽出した。結果は、サンプルの各濃度について定量的ODリーダーを使用して光学濃度の単位で記載されている。
図9】モネンシン0、2、5、10、および15ppmを含有する飼料から抽出されたサンプルを用いて試験されたLFAストリップの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、例えば、動物飼料中のモネンシンの検出のための競合ラテラルフローアッセイ(LFA)のための方法および装置を提供する。LFAストリップ装置の代表的な例の概略を図1に示す。LFAストリップ装置は、例えば、動物飼料から抽出した液体サンプル(本明細書では「飼料サンプル」と称する)を加えるサンプルパッド、競合アッセイに関連する抗体が担持されたコンジュゲートパッド、ならびに競合アッセイに関連する抗原が担持された試験ラインおよび対照ラインを有する膜表面を含む。液体サンプルはサンプルパッドからコンジュゲートパッドを通って流れ、コンジュゲートパッドに担持された抗体と液体サンプルの相互作用が可能になる。次に、液体サンプルは膜表面上を、試験ラインおよび対照ラインを横断してさらに流れ、液体サンプル/コンジュゲート混合物と試験ラインおよび対照ラインに担持された抗原との相互作用が可能になる。
【0022】
LFAは、液体サンプル中のモネンシンと、LFAストリップ装置の試験ラインに固定化されたモネンシンとの間の、コンジュゲートパッドに担持された抗モネンシン抗体複合体への結合に関する競合に基づいている。抗モネンシン特異的抗体(本明細書では、「M抗体」と称する)は、試験ラインに固定化されたモネンシンへのM抗体コンジュゲートの結合が検出可能なシグナルを生じるように、検出可能な標識にコンジュゲートしている。したがって、液体サンプル中のモネンシンへのM抗体コンジュゲートの結合は、膜表面上の試験ラインに固定化されたモネンシンに結合するために利用することができる遊離のM抗体コンジュゲートの量を減少させ、結果として試験ラインで生じた検出可能なシグナルの量の減少を引き起こす。
【0023】
対照抗体コンジュゲート(本明細書では「C抗体」と称する)もコンジュゲートパッドに担持され、対照試験ラインにはC抗体が結合する抗原が担持されている。C抗体コンジュゲートがその固定化抗原に結合すると、膜表面上の対照ラインで検出可能なシグナルが生じる。これは、LFAストリップ装置に沿って液体サンプルが適切に流れるための内部対照として機能する。さらに、検出可能なシグナルを検出して定量するLFAストリップ装置リーダーを使用して試験ラインおよび対照ラインを読み取ることができるため、アッセイの定量的結果が得られる。
【0024】
本開示の様々な態様を、以下の小項目および実施例においてさらに詳細に記載する。この説明は、当業者が本発明を実施するのを助けるために提供されている。そうであっても、当業者であれば、本発明の発見の趣旨または範囲から逸脱することなく、本明細書で論じた実施形態の改変および変更を行うことができるので、この詳細な説明は、本発明を不当に限定するものと解釈されるべきではない。
【0025】
本出願で引用されている刊行物、特許、特許出願、データベース、およびその他の参考文献は全て、個々の刊行物、特許、特許出願、データベース、またはその他の参考文献が引用することにより本明細書の一部をなすものとすることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0026】
LFAストリップ装置
本開示のLFAストリップ装置の代表例の調製について、実施例2で詳細に記載する。
【0027】
装置のサンプルパッドの材料は、サンプルがパッドに吸収され、同時にサンプルパッドからコンジュゲートパッドへのサンプルの効率的な流れが可能になるように、多孔性、吸収性、幅、ウィッキング性、および液体サンプルの利用を可能にするその他の特性について選択される。一実施形態では、サンプルパッドはポリエステル繊維パッドである。一実施形態では、サンプルパッドは、ポリエステル繊維および結合剤から構成される、坪量75g/m、紙厚0.42mm、ウィッキング率5s/2cm、および吸水量57mg/cmのポリエステルグレード6614パッド(Ahlstrom Munksjo、Helsinki、Finland)であるが、同等の特性のパッドも適している。試験で使用される飼料サンプルの量は、パッドのウィッキング性および吸水特性に基づいて、サンプルパッドからコンジュゲートパッドへの液体の流れを可能にするような量である(典型的には、Xμl~Xμlの飼料サンプル)。サンプルパッドは、コンジュゲートパッドと物理的に接触し、サンプルパッドに加えた液体が物理的接触の接合部を介してコンジュゲートパッドに流れることができるように装置内に配置される。サンプルパッドはまた、直接膜表面と物理的に接触しないようにデバイス内に配置され、コンジュゲートパッドはむしろサンプルパッドと膜表面との間に配置される。
【0028】
装置のコンジュゲートパッドは、サンプルパッドと物理的に接触して配置され、サンプルパッドに加えた液体は物理的接触の接合部を介してコンジュゲートパッドに流れることができる。コンジュゲートパッドはまた、膜表面と物理的に接触して配置され、コンジュゲートパッドからの液体は物理的接触の接合部を介して膜表面に流れる。コンジュゲートパッドの材料はまた、多孔性、吸収性、幅、ウィッキング性、およびサンプルパッドからの液体サンプルの流入、さらに膜表面への液体サンプルの流出を可能にするその他の特性について選択される。一実施形態では、コンジュゲートパッドはガラスパッドである。一実施形態では、コンジュゲートパッドはチョップドガラスパッドである。一実施形態では、コンジュゲートパッドはマイクロファイバーガラスパッドである。一実施形態では、コンジュゲートパッドは、チョップドガラスおよび結合剤から構成される、坪量75g/m、紙厚0.38mm、ウィッキング率3s/2cm、および吸水量63mg/cmのガラスグレード8951パッド(Ahlstrom Munksjo、Helsinki、Finland)であるが、同等の特性のパッドも適している。
【0029】
装置の膜表面は、コンジュゲートパッドと物理的に接触して配置され、コンジュゲートパッドからの液体は物理的接触の接合部を介して、膜表面の試験ラインおよび対照ラインを横切って膜表面に流れる。膜表面はまた、直接サンプルパッドと物理的に接触しないようにデバイス内に配置され、コンジュゲートパッドはむしろサンプルパッドと膜表面との間に配置される。膜表面の材料は、試験ラインおよび対照ラインに固定化された抗原を担持できる能力、ならびに多孔性、吸収性、ウィッキング性、および膜を横切る液体サンプルの流れに関連するその他の特性について選択される。一実施形態では、膜表面はニトロセルロース膜を含む。一実施形態では、膜表面は25mmのCN95ニトロセルロース膜(Sartorius、Gottingen、Germany)であるが、同等の特性の膜も適している。
【0030】
サンプルパッド、コンジュゲートパッド、および膜表面は、実施例2で記載したように、LFAストリップ装置に構造および安定性を提供するために、追加のバッキングおよび/またはウィッキングパッドまたは膜を用いて組み立てられ得る。さらに、LFAストリップ装置は、カードまたはスティック(ディップスティック)などのハウジング(例えば、プラスチックハウジング)に組み込まれ得、液体サンプルを(例えば、ピペットまたはスポイトを使用して)サンプルパッドに加えるか、または液体サンプルがサンプルパッドと接触するように、装置を液体サンプルに浸すことが可能である。
【0031】
コンジュゲートパッドには、抗モネンシン(M)抗体および対照(C)抗体の混合物が担持されており、それぞれは検出可能に標識されている。通常、M抗体コンジュゲートは加えられる抗体混合物の90~95%を占め、C抗体コンジュゲートは加えられる混合物の5~10%を占める。
【0032】
コンジュゲートパッドに担持されたM抗体の濃度を調整して、液体サンプル中のモネンシンの検出感度を調整することができる。様々な実施形態では、コンジュゲートパッドに担持されたM抗体の濃度は、20~160μg/mL、20~120μg/mL、20~80μg/mL、20~60μg/mL、または25~50μg/mLである。一実施形態では、コンジュゲートパッドに担持されたM抗体の濃度は30~40μg/mLである。一実施形態では、コンジュゲートパッドに担持されたM抗体の濃度は30μg/mLである。実施例3で記載したように、30μg/mLの濃度でコンジュゲートパッドに担持されたM抗体は、液体飼料サンプル中のモネンシンを2ppm(2gm/トン)という低い検出レベルまで効果的に検出するのに十分であった。様々な実施形態では、検出レベルは、10ppm、9ppm、8ppm、7ppm、6ppm、5ppm、4ppm、3ppm、または2ppmの低さである。
【0033】
M抗体は、モネンシン(当業界ではモネンシンAとしても既知である、CAS 17090-79-8)に特異的に結合する。本明細書で使用したように、モネンシンに「特異的」に結合する抗体には、モネンシンに抗体が結合するエピトープと同じエピトープを共有するモネンシン誘導体に結合する抗体が含まれる。一実施形態では、M抗体はモノクローナル抗体(mAb)である。一実施形態では、M抗体は抗モネンシンポリクローナル抗体調製物ではない。一実施形態では、M抗体は、モネンシンに結合し、モノクローナル抗体(mAb)が結合するエピトープを共有するモネンシン誘導体にも結合することができるmAbである。適切なM抗体の非限定的な例は、市販のマウス抗モネンシンmAb(Creative Diagnostics、カタログ番号HMABPY056、本明細書ではmAb HMABPY056と称する)であるが、同様の結合特性を有するその他のmAb(例えば、モネンシンへの結合に関してHMABPY056と交差競合するmAb)も使用に適している。したがって、一実施形態では、M抗体はmAb HMABPY056である。別の実施形態では、M抗体は、モネンシンへの結合に関してHMABPY056と交差競合する抗モネンシン特異的mAbである。
【0034】
C抗体は、対照抗原に結合し、モネンシンと交差反応しない抗体、好ましくはモノクローナル抗体(mAb)である。適切なC抗体の非限定的な例は、ニワトリIgY対照抗原とともに使用するための市販のヤギ抗ニワトリIgY mAb(Lampire、カタログ番号7455207)であるが、その他の対照抗原に結合するその他のmAbもまた適している。C抗体が結合するニワトリIgY抗原も市販されている(Lampire、カタログ番号9401400)。他の実施形態では、C抗体は、マウスIgG対照抗原とともに使用するための抗マウスIgG mAbである。
【0035】
M抗体およびC抗体として使用される抗体は、通常無菌条件下(例えば、無菌生理食塩水)で保存され、本開示のLFA装置および方法におけるそれらの使用における一貫性を可能にする純度を有している。例えば、様々な実施形態では、Mおよび/またはC抗体は、調製物中のその他のタンパク質の存在に関して少なくとも90%の純度、より好ましくは少なくとも95%以上の純度を有するモノクローナル抗体である。
【0036】
M抗体およびC抗体はそれぞれ、検出可能な標識、通常同じ検出可能な標識で標識される。コンジュゲートした抗体が試験ラインまたは対照ラインでその抗原に結合する場合、検出可能な標識によって、試験ラインおよび/または対照ラインを視覚的に検出することができる。一実施形態では、検出可能な標識は金ナノ粒子を含む。例えば、実施例2で記載したように、市販のBioReady Gold Nanoshells(NanoComposix、カタログ番号GSXR150-100M)を使用して、抗体を金ナノ粒子にコンジュゲートすることができる。金コロイドベースの検出可能な標識(例えば、金ナノ粒子)が使用および検出が容易なので好ましいが、ラテラルフローアッセイでの使用に適したその他の検出可能な標識が当業界で既知であり、本開示のLFA方法および装置で使用され得、その非限定的な例には、時間分割蛍光ナノビーズ、蛍光サブマイクロスフェア、および量子ドットが含まれる(例えば、Hu et al.(2017)Biosensors and Bioelectronics,91:95-103を参照のこと)。
【0037】
表面膜の試験ラインには、モネンシンが試験ラインに固定化(すなわち、被付着)されるように、モネンシンが抗原として担持されている。通常、モネンシンは、試験ラインでの固定化を容易にするために担体タンパク質に連結している。一実施形態では、担体タンパク質はアルブミンであり、試験ラインで使用される抗原としてモネンシン-アルブミンコンジュゲートを形成する。担体タンパク質として使用できる適切なアルブミンの非限定的な例には、血清アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)またはヒト血清アルブミン(HSA))、オボアルブミン、αラクトアルブミン、またはコンアルブミンが含まれる。一実施形態では、モネンシン抗原はBSA-モネンシンである。純度および使用の一貫性が既知である適切なBSA-モネンシン試薬は市販されている(Creative Diagnostics、カタログ番号DAGA-050B)。
【0038】
同様に、表面膜の対照ラインには、対照抗原が対照ラインに固定化(すなわち、付着)されるように、C抗体が結合する抗原が担持されている。抗ニワトリIgYをC抗体として使用する場合、適切なニワトリIgY抗原試薬が市販されている(Lampire、カタログ番号9401400)。他の実施形態では、C抗体は抗マウスIgGであり、対照抗原はマウスIgGである。適切な試薬は当業界で市販されている。
【0039】
モネンシン抗原および対照抗原をそれぞれ試験ラインおよび対照ラインに担持し、それによってモネンシン抗原および対照抗原をそれらのラインに固定化することについては、実施例2に詳細に記載される。好ましくは、BioDot AirJet(商標)ナノリッターエアゾールディスペンサまたは同等物などのエアロゾルディスペンサを使用して、例えば、実施例2で記載したパラメータを使用して、膜表面上に試験ラインおよび対照ラインを「ストリップする」。
【0040】
液体サンプルの調製
本開示のLFA方法および装置を使用してモネンシンを検出するために、モネンシンは、LFAストリップ装置のサンプルパッドに加えることができる液体サンプル中に存在しなければならない。したがって、固体の動物飼料の場合、液体抽出緩衝液を使用して液体抽出を実施しなければならない。動物飼料からの液体サンプルの調製およびそれに有用な抽出緩衝液については、実施例1~3にさらに記載される。
【0041】
液体抽出緩衝液は、水性緩衝液、有機溶媒緩衝液、または水性溶媒と有機溶媒とを組み合わせた緩衝液であってもよい。モネンシンは有機溶媒により溶解するため、最も効率的に抽出するためには、有機溶媒を含む抽出緩衝液を使用することが好ましい。あるいは、使いやすいので水性抽出緩衝液(すなわち、有機溶媒を含まない)が好ましいこともある。一実施形態では、抽出緩衝液はアルコールを含み、その非限定的な例には、メタノール、エタノール、ブタノール、およびイソプロピルアルコールが含まれる。一実施形態では、抽出緩衝液は、典型的には少なくとも10%の濃度のエタノールを含む。抽出緩衝液は、緩衝剤および界面活性剤などのその他の成分を含むことができる。一実施形態では、抽出緩衝液は、0.5%のTween-20および10%のエタノールを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。一実施形態では、抽出緩衝液は、1%Tween-20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0042】
液体サンプルは、ウシ、家禽、およびウマの飼料などのモネンシンを含有すると疑われるあらゆる種類の動物飼料から調製することができる。通常、動物飼料の一定量(例えば、5グラム)を液体抽出緩衝液の一定量(例えば、30mL、またはほぼ同等の比率で)と組み合わせて、混合物を浸漬し(例えば、指定された時間浸漬し)、次いでボルテックスして沈降させる。抽出時間は典型的には5~20分である。実施例3で実証したように、0.5%のTween-20および10%のエタノールを含むPBSの抽出緩衝液を使用する5分間の抽出時間は、液体飼料サンプル中の約6ppmの低い検出レベルのモネンシンの検出を可能にするのに十分であった。
【0043】
モネンシンを検出する方法
LFAストリップ装置および液体サンプル(例えば、液体飼料サンプル)は、液体サンプルをLFAストリップ装置のサンプルパッドに加え、それによって液体サンプルをコンジュゲートパッド中および膜表面に沿って流し(したがって、試験ラインおよび対照ラインを横断させて)、LFAストリップ装置を少なくとも3分間(例えば、5~10分間)展開し、LFAストリップ装置(すなわち、試験ラインおよび対照ラインで検出可能な信号)を視覚的に読み取るか、または定量的に測定して液体サンプル中のモネンシンの存在を検出することによって、モネンシンを検出するための本開示の方法で使用される。実施例5で実証したように、LFAストリップ装置を正確に読み取るためには3分の展開時間で十分であるが、より長い展開時間を正確に使用することもできる。
【0044】
液体サンプルは、パッドに液体を滴下することによって(例えば、ピペットまたはスポイトを使用して)、または液体が装置のサンプルパッドに接触するようにLFAストリップ装置(例えば、ディップスティック)を液体サンプルに浸漬することによって、サンプルパッドに加えられ得る。通常、サンプルパッドを横断してコンジュゲートパッド中に適切に流れ、視覚的または定量的読み取りのためにサンプルを採取するには、80~100μL(例えば、80μL)の飼料サンプルが必要である。
【0045】
試験飼料サンプル中にモネンシンが存在すると、モネンシンが存在していない液体サンプルと比較して、試験ラインでの検出可能なシグナルの強度の減少が引き起こされる。LFAストリップ装置の試験ラインは、定性的(例えば、視覚的検査によって)または定量的(例えば、定量的リーダーで読み取ることによって)に読み取ることができる。例えば、試験動物飼料サンプルの試験ラインの強度を、モネンシンを含有しないことがわかっているサンプル(0ppm)および/または既知量のモネンシンを含有することがわかっているサンプル(例えば、10ppm以上)によって示される強度と比較することができる。本明細書で記載したように、アッセイは競合的LFAであるため、サンプル中のモネンシンの濃度が増加するにつれて、試験ラインで検出可能なシグナルは減少する。一実施形態では、対照LFAストリップ装置は既知量のモネンシンを有するサンプルで使用することができ、対照LFAストリップ装置は試験動物飼料サンプルと並行して実行される。さらに、または代わりに、試験動物飼料サンプルの試験ラインの強度を、例えば、モネンシンが存在しない、および/または既知の指定量のモネンシンが存在することを示す標準化した試験ライン強度と比較することができる。指定量のモネンシンのそのような標準化された試験ラインの強度、例えば、装置のエンドユーザーが試験飼料サンプルで生じる強度と比較する指定量のモネンシンを表す強度レベルの画像は、視覚的な比較のためにLFAストリップ装置とともに提供され得る。
【0046】
本開示のLFAストリップ装置は、モネンシンの検出感度が高く、約2ppmの下限までモネンシンを検出する能力を有する(実施例3を参照のこと)。検出(感度)の下限は100万分率(ppm)で表すことができ、1ppmは動物飼料100万グラム(1000kg)当たりモネンシン1グラムに相当する。検出(感度)の下限は、動物飼料1トン当たりのモネンシンのグラム数(gm/トン)で表すこともできる。1000kgは2204ポンドで、1トン当たり2000ポンドなので、10ppmは9gm/トンに対応する。同様に、12gm/トンは13.2ppmに対応し、6gm/トンは6.6ppmに対応し、3gm/トンは3.3ppmに対応する。実施例3で記載し、図9でさらに示したように、LFAストリップ装置および本開示の方法は、液体サンプル中のモネンシンを約6ppm(動物飼料1トン当たりモネンシン6g)の低い濃度まで検出でき、2ppmという低さでも可能である。様々な実施形態では、LFAストリップ装置および方法のモネンシンを検出する感度の下限は、6~10ppm、6.6~10ppm、または飼料1トン当たり6~9gmである。様々な実施形態では、LFAストリップ装置および方法のモネンシンを検出する感度の下限は、2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、6ppm、6.6ppm、7ppm、8ppm、9ppm、または10ppmである。様々な実施形態では、LFAストリップ装置および方法のモネンシンを検出する感度の下限は、2gm/トン、3gm/トン、4gm/トン、5gm/トン、6gm/トン、7gm/トン、8gm/トン、9gm/トン、10gm/トン、11gm/トン、または12gm/トンである。
【0047】
定量的結果については、例えば、試験ラインで光学濃度(OD)を測定することによって、使用される検出可能な標識(例えば、金ナノ粒子)を検出し定量化するラテラルフローアッセイリーダーでLFAストリップ装置を読み取ることができる。このようなLFAリーダーは市販されており、その非限定的な例には、Leelu(商標)リーダー(Lumos Diagnostics、Sarasota、FL)、ならびにGenPrime(Spokane,WA)、Abingdon Health(York、UK)、およびNOW Diagnostics(Springdale、AR)によるLFAリーダーシステムが含まれる。
【実施例
【0048】
以下の実施例は、本発明の応用の説明を提供することを目的としている。以下の実施例は、本発明の範囲を完全に定義するものではなく、または別の方法で限定するものでもない。
【0049】
[実施例1]
ELISAによる飼料サンプル中のモネンシンの検出
この実施例では、阻害ELISAアッセイにおいて、抗モネンシン抗体を使用して動物飼料でモネンシンを検出できるかどうかを決定するために予備研究を実施した。簡単に説明すると、阻害ELISAアッセイでは、シグナル干渉によってモネンシンの濃度を検出した。捕捉抗体(ヒツジ抗モネンシン)をELISAプレートにコーティングした。インキュベーション中、既知量の標識モネンシンを、非標識モネンシン(存在する場合)を含有する試験サンプルまたは標準物の希釈液と組み合わせた。これらの標識/非標識モネンシン混合物を、コーティングされブロックされたプレートに添加した。標識モネンシンおよび非標識試験サンプル/標準モネンシンは、捕捉抗体への結合について競合した。これは、混合物中に非標識モネンシンが多くなるほど、捕捉抗体に結合できる標識モネンシンが少なくなることを意味する。インキュベーション後、プレートを洗浄し、基質を添加した。基質は標識(西洋わさびペルオキシダーゼ[HRP]酵素)の存在下で色が変化した。より大きな色の変化は、より高レベルの標識モネンシンが存在することによって引き起こされ、試験サンプル中の非標識モネンシンのレベルがより低いことを示している。少量の色変化(シグナルの阻害)は、より低レベルの標識モネンシンによって引き起こされ、試験サンプル中の非標識モネンシンのレベルが高いことを示している。
【0050】
抗体および抗原希釈の決定
最初のアッセイを実行して、非標識モネンシンの検出を可能にするシグナル(色変化)を引き起こすために必要なヒツジ抗モネンシン抗体(Fitzgerald Industries、カタログ番号20-1215、ロットP17122113)およびHRP標識モネンシン(Fitzgerald Industries、カタログ番号80-1221、ロットC19120303)の適切なレベルを決定した。希釈分析の結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
結果は、捕捉抗体の希釈率1:1000および標識モネンシンの希釈率1:200が適切であることを示しており、OD読み取り値は約1.5(太字で表示)であった。
【0053】
非標識モネンシンの検出
決定した条件を使用して、非標識モネンシン(Invitrogen、カタログ番号00-455-51)を検出するためのアッセイの適合性を評価した。この評価では、プレートを1:1000希釈のヒツジ抗モネンシンでコーティングした。標識モネンシン(最終希釈1:200)および非標識モネンシン(様々な濃度)の混合物を組み合わせた。コーティングされたプレートを洗浄し、ブロッキングした後、標識/非標識モネンシンの混合物をプレートのウェルに添加した。インキュベーションおよび洗浄後、HRP基質を添加した。反応を停止した後、プレートの発色を読み取った。結果を図2に示す。これは阻害ELISAであるため、シグナルの欠如は高レベルのモネンシンが存在することを示しており、より高いシグナルは、存在するモネンシンが低レベルであることを示している。結果は、これらの条件下で、モネンシンを約0.5~50ng/mLの範囲で定量できることを実証した。
【0054】
検出可能なモネンシンの範囲をより正確に決定するために、モネンシンの標準曲線を用いて第2のアッセイを完了した。結果を図3に示す。結果は、モネンシンが0.781~50ng/mLの範囲であることを立証した。
【0055】
飼料抽出調製物
飼料抽出物は、飼料の一定量1g(モネンシンの有無に関わらず)をエタノールまたはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)5mLと一緒にすることによって調製した。サンプルを激しくボルテックスし、飼料が沈降するまで室温でインキュベートした。各サンプルから液体を取り出し、約13,000×gで10分間遠心分離して残渣をペレット化した。清澄化した抽出物を、阻害ELISAの試験サンプルとして使用した。
【0056】
飼料抽出物中のモネンシンの検出
上記のように調製した飼料抽出物を、上記のように阻害ELISAで評価した。清澄化した抽出物の希釈液を、既知の標準量の標識モネンシンと組み合わせた。対照として、エタノール単独またはPBS単独を抽出物と同じ希釈率で試験した。モネンシンの標準曲線を使用して、各抽出物中のモネンシンの濃度を判定した。結果を図4および図5(それぞれエタノール抽出物および水性抽出物)に示し、以下の表2にまとめて示す。
【0057】
【表2】
【0058】
結果は、モネンシンが抽出サンプル全てで検出されたが、PBSと比較してエタノールを使用した方がより効率的に飼料から抽出されたようであることを示した。モネンシンは水溶液よりも有機溶媒に溶けやすいため、これは予想通りである。競合ELISAアッセイの結果は、モネンシンに対する抗体の特異性を実証しており、競合型のアッセイで達成することができ、ラテラルフロー法につながるかもしれないモネンシン検出の限界を定義する。
【0059】
[実施例2]
ラテラルフローアッセイによる飼料サンプル中のモネンシンの検出
この実施例では、飼料サンプル中のモネンシンの検出のために定量的な競合ラテラルフローアッセイ(LFA)を開発した。LFA装置の概略を図1に示す。簡単に説明すると、金ナノ粒子にコンジュゲートした抗モネンシン抗体を含むコンジュゲート抗体調製物を、LFA装置のコンジュゲートパッドに担持する。コンジュゲートパッドに担持する混合物には、少量の対照抗体(抗ニワトリIgY)も含まれている。抽出された飼料サンプルを装置のサンプルパッドに加えると、サンプルは抗モネンシンコンジュゲートと混合し、サンプル/コンジュゲート混合物は移動してLFA装置の試験ラインを横断する。試験ラインにはBSA-モネンシンが固定化されており、したがって結合部位を有さない(すなわち飼料サンプル中のモネンシンに結合していない)抗モネンシンコンジュゲートが試験ラインによって捕捉され、視覚的に観察可能な線が形成される。サンプル中のより多くのモネンシンが抗モネンシンコンジュゲートへの結合について競合するため、試験ライン上のBSAモネンシンに結合することができるコンジュゲートは少なくなる。したがって、飼料サンプル中にモネンシンが存在しない(または検出レベル未満のレベルである)場合、試験ラインは最も高い強度で視覚的に観察される。しかし、モネンシンが飼料サンプル中に(検出限界を超えるレベルで)存在する場合、試験ライン上のBSA-モネンシンへのコンジュゲートの結合を阻害するため、サンプル中のモネンシンの量に比例して試験ラインの強度は低減する。対照抗体(抗ニワトリIgY)が結合する抗原(ニワトリIgY)が担持された対照ラインも存在しており、したがって装置の陽性対照として機能する。
【0060】
コンジュゲーションパッドの調製
10mmx300mmのストリップに切断した市販のチョップドガラスパッド(Ahlstrom-Munksjo、グレード8951)をコンジュゲートパッドのために使用した。2mLのコンジュゲートパッド処理緩衝液(PBS、0.5%BSA、0.5%Tween-20、pH7.4)を室温で各コンジュゲートパッドに加え、室温で30分間浸漬した。処理したコンジュゲートパッドは、乾燥トレイ上で37℃のオーブンで2時間乾燥した。コンジュゲートパッドは乾燥後、使用するまで乾燥剤とともに保管した。
【0061】
試験ラインおよび対照ラインのストライピング
市販のCN95ニトロセルロース膜、25mm(Sartorius;1UN95ER100025NT)および市販のバッキングカード、73.5mm(Lohmaann;GL-57312)を、試験および対照ラインが担持されたLFA装置の一部のために使用した。中央のライニングおよび膜をバッキングカードから取り外し、CN95膜をバッキングカードに積層した。適切に接着するように、ライナーを使用してCN95膜をバッキングカード上に伸ばした。
【0062】
試験ラインおよび対照ラインについては、それぞれモネンシン-BSAコンジュゲート(Creative Diagnostics;DAGA-050B)およびヤギ抗ニワトリIgY(Lampire;7455207)を使用した。1×PBS、0.5%スクロース、pH7.4で、モネンシン-BSAを2mg/mlに希釈し、抗ニワトリIgYを0.5mg/mlに希釈した。試験ライン(TL)は膜の中央に配置し、対照ライン(CL)はサンプルパッドに加えた液体サンプルの流れの方向に対してTLから5mm下流に配置した(すなわち、液体サンプルが最初にTL上を流れ、次にCL上を流れるように、CLをTLに対して配置する)。BioDot AirJet(商標)ナノリットルエアロゾルディスペンサを使用して、以下の表3で示したパターン設定に従って、膜上に試験ラインおよび対照ラインを「ストリップ」した。
【0063】
【表3】
【0064】
メンブレンにTLとCLをストリップした後、37℃のオーブンで1時間乾燥させた。膜は乾燥後、使用するまで乾燥剤とともに保管した。
【0065】
Gold Nanoshellのコンジュゲーション手法
BioReady Gold Nanoshells(GNS)、カルボキシル、120nm粒子(NanoComposix;GSXR150-100M)を使用して、抗モネンシン検出抗体(Creative Diagnostics;HMABPY056)を金ナノ粒子にコンジュゲートした。
【0066】
GNSの保存調製物を作製するために、ビーズを回転装置上で5~10分間混合し、浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。ビーズを最終容量1mL×1チューブに小分けした。
【0067】
活性化のために、EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ThermoScientific、カタログ番号22980)およびSulfo-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド;ThermoScientific;カタログ番号24510)の溶液を新たに作製し、調製してから10分以内に使用した。EDCおよびSulfo-NHS溶液は、脱イオン水で10mg/mLにした。
【0068】
EDC8μLを一定量のGNS粒子に添加し、短時間ボルテックスした。Sulfo-NHS16μLをすぐに一定量の(EDCを添加した)GNSに添加し、短時間ボルテックスし、回転装置に戻した。全チューブが活性化されたら、各チューブを超音波処理してボルテックスし、チューブを室温で30分間回転させ、浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。次に、ビーズを20℃、2000gで7分間遠心分離し、上清を吸引し、1×反応緩衝液(0.01PBS、0.5%PEG、pH7.4)1mLを活性化GNS粒子の各ペレットに添加し、続いて浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。
【0069】
抗体カップリングのために、40μg/mLの保存抗体を活性化ビーズの各チューブに添加し、浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。混合物を室温で30分間回転させ、浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。カップリング反応を停止させるために、50%エタノールアミン(脱イオン水中)5μLを各チューブに添加し、浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。チューブを室温で10分間回転させ、ビーズを20℃、2000gで7分間遠心分離した。上清を吸引し、ビーズを1×反応緩衝液1mlに再懸濁し、浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。ビーズを再度20℃、2000gで7分間遠心分離し、上清を吸引し、ビーズを1×反応緩衝液1mlに再懸濁し、浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。
【0070】
最終的に再懸濁して吸光度の測定のために、ビーズを再度20℃、2000gで7分間遠心分離し、上清を吸引し、ビーズをコンジュゲート希釈液(0.5×PBS、1%BSA、1%Tween-20、0.05%ProClin300、pH8.0)0.5mLに再懸濁し、浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間2回ボルテックスした。ピーク波長での吸光度(OD)は、GNS製造業者の指示に従って、495μlのコンジュゲート希釈剤中の5μlのコンジュゲートで測定した(典型的には810~830nm)。コンジュゲートした抗モネンシン抗体は使用するまで4℃で保管した。
【0071】
コンジュゲートの噴霧
上記のように調製したコンジュゲートパッドに抗モネンシンコンジュゲートの調製物を噴霧した。この調製物にはまた、少量(5~10%)の対照ヤギ抗ニワトリIgY抗体(Lampire;9401400)を添加した。コンジュゲート調製物は最初に浴槽で5秒間超音波理し、5秒間3回ボルテックスした。スクロースおよびトレハロースをそれぞれ10%および5%で調製物に添加し、糖が溶解するまで混合物をボルテックスした。調製物を再度浴槽で5秒間超音波処理し、5秒間3回ボルテックスした。
【0072】
以下の表4に示したパターン設定に従って、BioDot AirJet(商標)ナノリットルエアロゾルディスペンサを使用して、抗モネンシンコンジュゲートの調製物(対照抗体を含む)を調製したコンジュゲートパッドに噴霧した。
【0073】
【表4】
【0074】
コンジュゲートパッドに噴霧した後、37℃のオーブンで1時間乾燥させた。コンジュゲートパッドは乾燥後、使用するまで乾燥剤とともに保管した。
【0075】
LFAストリップの調製および組み立て
吸収/ウィックパッド(Whatman;グレード470;18mm)を18mmストリップに切断した。バッキングカード(Lohmann;GL-57312;73.5mm)から上部ライニングを取り外し、Whatman470ウィックパッドをバッキングカードの上端とぴったり合わせて積層した。適切に接着するように、ライナーを使用してウィックパッドをバッキングパッド上に伸ばした。
【0076】
コンジュゲートパッドおよびサンプルパッドをストリップに付着させるために、バッキングカードから底部の2枚のライナーを取り外した。10mm Ahlstrom8951コンジュゲートパッドを、膜の底部に2mm重ねて積層した。適切に接着するように、ライナーを使用してコンジュゲートをバッキングカード上に伸ばした。16mm Ahlstrom6614サンプルパッドを、カードの底部にぴったり合わせて積層した。組み立てたカードは、キネマティックカッターを使用して4mmのストリップに切断した。組み立てたLFAストリップは、使用するまで乾燥剤とともに保管した。
【0077】
サンプル抽出およびLFA手順
0.5グラムの飼料サンプルを5mLチューブに計量し、2mLの抽出緩衝液(0.5% Tween-20および10%エタノールを含むPBS)を添加した。混合物を5秒間ボルテックスして、5分間静置した。サンプル抽出物をLFAストリップに加える前に、サンプル抽出物を典型的には1/20~1/50の範囲で希釈した。
【0078】
LFAストリップを平らな表面上に置き、100μlの飼料サンプルをストリップのサンプルパッドに加えた。10~15分後、ストリップをLeeluリーダー(Lumos Diagnostics)で読み取った。あるいは、飼料サンプルをチューブまたはウェルに入れ、LFAストリップをディップスティックとして使用してサンプルパッドを飼料サンプルと接触させることができる。
【0079】
[実施例3]
モネンシンラテラルフローアッセイの用量応答性
この実施例では、モネンシンを検出するためのLFAストリップを、様々な既知量のモネンシンを含有する飼料サンプルとともに使用して、アッセイの用量応答性および飼料抽出の時間依存性を調べた。
【0080】
LFAストリップは、実施例2に記載したように、以下の試薬濃度で調製した。試験ライン(TL)では、1×PBS、1%スクロース中モネンシン-BSA(Creative Diagnostics)を実施例2に従って1.25mg/mLの濃度で加えた(0.7μl/cm)。対照ライン(CL)では、ニワトリIgY0.5mg/mLを使用した。抗モネンシン抗体(Creative Diagnostics)については、GNS希釈液(0.5×PBS、1%BSA、1%Tw-20、0.05%ProClin300、pH8.0)中抗体-GNSコンジュゲートを、30μg/mLまたは40μg/mLのいずれかの濃度でコンジュゲートパッドに噴霧し(10μl)/cm)、本明細書では実施例2に従ってそれぞれ担持30および担持40と称した。コンジュゲートパッドに加えたコンジュゲート調製物には、陽性対照として10%抗ニワトリIgYも含まれていた。
【0081】
第1の実験では、モネンシン6g/トン(6ppm)または9g/トン(9ppm)のいずれかを含有することが既知である飼料サンプル(実施例2で記載したように調製)を、抗モネンシンコンジュゲート30μg/mL(担持30)または40ug/mL(担持40)のいずれかで調製したLFAストリップを用いて試験した。各組合せ、すなわち、6または9グラム/トンを含む担持30および6または9グラム/トンを含む担持40を3回試験し、合計12個のLFAストリップを比較した。結果を図6A~Dに示す。結果は、6g/トンのサンプルの場合、担持30濃度を使用した場合のシグナルが担持40濃度の場合よりも強いのに対し、9g/トンのサンプルの場合、シグナルは両濃度でほぼ等しいことを示した。したがって、担持30濃度をその後のアッセイに使用した。
【0082】
第2の実験では、0、6、9、または12グラム/トンのモネンシンを添加した飼料サンプルを担持30LFAストリップで試験し、実施例2で記載したようにLeeluリーダーを使用して試験ラインからのシグナルの強度を定量した。結果を図7に示すが、これは、競合ラテラルフローアッセイで予想されるように、サンプル中のモネンシンの量が増加すると試験ラインのシグナル強度が減少することを実証している。さらに、LFAストリップは用量応答的にモネンシンを検出し、このストリップは飼料サンプル中の6、9、または12グラム/トンのモネンシンを区別するのに十分な感度があることを示している。
【0083】
第3の実験では、0、6、9、または12グラム/トンのモネンシンを添加した飼料サンプルを担持30LFAストリップで再度試験したが、5分間抽出したサンプルを20分間抽出したサンプルと比較した。結果を図8A(5分間)および図8B(20分間)に示した。結果は、サンプルが5分間または20分間抽出されたかに関わらず、試験ラインのシグナルが一貫していることを実証している。したがって、結果は、ラテラルフローアッセイを使用して飼料サンプル中のモネンシンを正確に検出するのに5分間の抽出で十分であることを実証している。
【0084】
第4の実験では、0、2、5、および10ppmのモネンシンを添加した飼料サンプルを2連で試験した。結果を図9に示すが、これは、競合ラテラルフローアッセイで予想されるように、サンプル中のモネンシンの量が増加すると試験ラインのシグナル強度が減少することを実証している。したがって、結果は、このストリップが飼料サンプル中の0、2、5、および10ppmの間のモネンシンを区別するのに十分な感度があることを実証している。
【0085】
要約すると、これらの実験は、飼料サンプル中のモネンシンを定性的および定量的に検出するために、LFAストリップの使用は成功することを実証した。さらに、結果は、抗モネンシンコンジュゲート濃度30ug/mLおよび飼料サンプル抽出時間5分は、高感度(約6ppmまで)でのモネンシンの検出を可能にするのに十分であることを示している。さらに、結果は、LFAストリップが0、2、5、6、9または12g/トン(約0~12ppm)のモネンシンを含有するサンプルを定量的に区別できることを実証している。
【0086】
[実施例4]
分析による交差反応性の研究
この実施例では、モネンシン以外の様々なイオノフォア、抗生物質、および飼料添加物がモネンシンラテラルフローアッセイによって検出されたかどうかを判定するために、分析による交差反応性の研究を実施した。サンプルは、モネンシン陰性の飼料サンプルと高濃度の試験物質とを組み合わせて調製した。次に、これらのサンプルを抽出し、実施例2および3で記載した試験方法に従ってアッセイした。結果を以下の表5に示す。
【0087】
【表5】
【0088】
結果によって、モネンシンラテラルフローアッセイは、飼料サンプル中の上記の表5に挙げた濃度までのナラシン(NAR)、サリノマイシン(SAL)、タイロシン(TYL)、ラクトパミン(RAC)、またはアンプロリウム(AMP)を検出しなかったことが実証されたので、このアッセイには交差反応性がないことが確認された。
【0089】
[実施例5]
結果が得られるまでの時間の研究
この実施例では、結果が得られるまでの時間の研究を実施して、5分以上または5分未満での試験装置の読み取りが試験結果に与える影響を判定した。モネンシン含有サンプルを抽出し、実施例2および3に記載の試験方法に従ってアッセイして、試験装置を3分、5分、または7分のいずれかで読み取った。結果を以下の表6に示す。
【0090】
【表6】
【0091】
結果によって、モネンシンラテラルフローアッセイは試験した3つの読み取り時間全てで正確であることが実証され、5分の読み取り時間が典型的であるが、より長いおよびより短い読み取り時間でも同様に試験は正確であることを示している。
【0092】
[実施例6]
再現性および反復性の研究
この実施例では、複数の陰性高値および陽性低値のサンプルで再現された視覚的な解釈の結果を評価することによって、モネンシンラテラルフローアッセイの再現性を判定する研究を実施した。試験は、2人の異なる試験者によって、3日間にわたって午前および午後の実行に分けて実施した。
【0093】
再現性は、試験期間中同じ条件下で1人の人間によって観察された解釈結果の変動として定義される。再現性の結果を以下の表7に示す。
【0094】
【表7】
【0095】
表7の結果によって、モネンシンラテラルフローアッセイは再現性があることが実証された。
【0096】
反復性は、複数の試験者、試験時による研究全体の変動として定義される。反復性の結果を以下の表8に示すが、複数の試験日および時点にわたる試験者1および2の結果、ならびに複数の試験者による1、2、および3日目の結果を報告している。
【0097】
【表8】
【0098】
表8の結果によって、モネンシンラテラルフローアッセイは反復性があることが実証された。
【0099】
[実施例7]
サンプル重量の研究
この実施例では、サンプル計量工程の変動がモネンシンラテラルフローアッセイの結果にどのような影響を与えるかを判定するために研究を実施した。陰性高値サンプルおよび陽性低値サンプルをそれぞれ、3つの異なるサンプル重量、4.0グラム、5.0グラム、または6.0グラムの飼料で抽出した。サンプル計量工程以外のアッセイ工程は、実施例2および3で記載した方法に従って実施した。結果を以下の表9に示す。
【0100】
【表9】
【0101】
結果によって、モネンシンラテラルフローアッセイは試験した3つのサンプル重量全てで正確であることが実証され、サンプル飼料5グラムがサンプル重量として典型的であるが、試験はより低いサンプル重量でもより高いサンプル重量でも同様に正確であることを示している。
【0102】
[実施例8]
サンプル混合時間の研究
この実施例では、サンプル混合工程の期間の変動がモネンシンラテラルフローアッセイの結果にどのような影響を与えるかを判定するために研究を実施した。陰性高値サンプルおよび陽性低値サンプルをそれぞれ、5つの異なるサンプル混合時間、0秒、5秒、10秒、20秒、および60秒を使用して調製した。サンプル混合時間以外のアッセイ工程は、実施例2および実施例3で記載した方法に従って実施された。結果を以下の表10に示す。
【0103】
【表10】
【0104】
表10の結果によって、モネンシンラテラルフローアッセイは試験した5つのサンプル混合時間全てで正確であることが実証され、10秒のサンプル混合時間が典型的であるが、より長いサンプル混合時間およびより短い混合時間を使用しても試験は正確であることを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】