(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】テレケリックN-アルキル化ポリアミドポリマー及びコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 69/02 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
C08G69/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535842
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 US2021063027
(87)【国際公開番号】W WO2022132619
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エルドディ, ガボール
(72)【発明者】
【氏名】スコフ, イスラエル ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DD07
4J001DD13
4J001EA02
4J001EA12
4J001EB03
4J001EB10
4J001EC14
4J001EC15
4J001EC24
4J001EC44
4J001JA01
4J001JA10
4J001JA18
(57)【要約】
低ガラス転移温度ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドは、アミド結合を形成するモノマーから形成される。これらのポリアミドを共反応物とともに使用して、所望のポリアミド特性を有する高分子量又は架橋ポリマーを形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレケリックポリアミドであって、
a)繰り返し単位であって、前記繰り返し単位とカルボキシル又は第一級若しくは第二級アミンから選択される官能性末端基との間の結合によって連結された重合モノマーから誘導される、繰り返し単位と、
b)アミンとカルボキシル基との反応から誘導されることを特徴とする少なくとも2つのアミド結合を含むポリアミドセグメントであって、前記ポリアミドセグメントが、ジカルボン酸モノマー単位と少なくとも1つの他のモノマータイプのモノマー単位との重合から誘導される繰り返し単位を含み、前記ジカルボン酸モノマー単位の少なくとも50パーセントが、それぞれ34~36個の炭素原子を含有し、前記少なくとも1つの他のモノマータイプが、ジアミンモノマー単位を含む、ポリアミドセグメントと、を含み、
c)炭化水素タイプ結合を連結するヘテロ原子含有結合の総数の少なくとも10%が、アミドであることを特徴とし、かつ
d)前記アミド結合の25%未満が、第三級アミド結合であることを特徴とし、
前記テレケリックポリアミドの少なくとも20モルパーセントが、アミノ末端基又はカルボキシル末端基を含む同じ官能性タイプの正確に2つの官能性末端基を有する、テレケリックポリアミド。
【請求項2】
前記テレケリックポリアミドの少なくとも70モルパーセントが、アミノ末端基又はカルボキシル末端基からなる群から選択される前記同じ官能性タイプの正確に2つの官能性末端基を有する、請求項1に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項3】
前記少なくとも1つの他のモノマータイプが、ラクタム又はアミノカルボン酸のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1又は2に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項4】
前記テレケリックポリアミドが、前記ジカルボン酸モノマー単位のモノマー単位と、ラクタムモノマー単位、アミノカルボン酸モノマー単位、又はジアミンモノマー単位のうちの少なくとも1つとから誘導される繰り返し単位を含み、そのため、前記テレケリックポリアミド中の前記アミド結合が、前記テレケリックポリアミドの少なくとも50重量%を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項5】
前記テレケリックポリアミドが、前記ジカルボン酸モノマー単位のモノマー単位と、ラクタムモノマー単位、アミノカルボン酸モノマー単位、又はジアミンモノマー単位のうちの少なくとも1つとから誘導される繰り返し単位を含み、そのため、前記テレケリックポリアミド中の前記アミド結合が、前記テレケリックポリアミドの少なくとも80重量%を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項6】
前記ジカルボン酸モノマー単位が、前記テレケリックポリアミドの少なくとも50重量%を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項7】
前記ジカルボン酸モノマー単位が、前記テレケリックポリアミドの少なくとも80重量%を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項8】
前記ポリアミドセグメントの少なくとも50重量%が、以下の構造の繰り返し単位を含み、
【化9】
式中、R
aは、ジカルボン酸のアルキレン部分であり、34~36個の炭素原子の分岐アルキレンであり、任意選択で、二塩基酸の3個又は10個の炭素原子当たり1個以下のへテロ原子を含み、
式中、R
bは、直接結合、又は2~60個の炭素原子の直鎖若しくは分岐(任意選択で、環式、複素環式、若しくは芳香族部分であるか、又はそれらを含む)アルキレン基(任意選択で、10個の炭素原子当たり1個又は3個以下のヘテロ原子を含有する)であり、かつ
式中、R
c及びR
dは、個々に水素、1~8個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖アルキル基であるか、又はR
c及びR
dは、一緒に連結して1~8個の炭素原子の単一の直鎖又は分岐アルキレン基を形成するか、又は任意選択でR
c及びR
dのうちの1つが、炭素原子でR
bに連結している、請求項1~7のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項9】
前記ポリアミドセグメントが、2つのカルボキシル末端基を有し、1つの末端アミンと1つの末端ヒドロキシル基又は2つの末端ヒドロキシル基とを有するポリエーテル分子と更に反応して、前記テレケリックポリアミドのための末端ブロックを提供し、前記テレケリックポリアミドが、前記末端ブロックを付加した後に、少なくとも80モル%の末端第一級又は第二級ヒドロキシル末端基を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項10】
官能性末端基を有し、前記官能性末端基の少なくとも80モル%が、第一級アミン基である、請求項1~9のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項11】
前記テレケリックポリアミドが、200~10,000g/モル、任意選択で400~10,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項12】
前記テレケリックポリアミドが、200~5,000g/モル、任意選択で400~5,000g/モル、更に任意選択で500~5,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項13】
溶媒を含まない前記テレケリックポリアミドが、5rpmで回転する円形ディスクを有するBrookfield円形ディスク粘度計によって測定される場合に、70℃で100,000cps未満の粘度を有する、請求項11又は12に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項14】
溶媒を含まない前記テレケリックポリアミドが、5rpmで回転する前記円形ディスクを有するBrookfield円形ディスク粘度計によって測定される場合に、60℃で100,000cps未満の粘度を有する、請求項11又は12に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項15】
前記テレケリックポリアミドが、ポリエステルセグメント、ポリエーテルセグメント、及びポリカーボネートセグメントの群から選択される少なくとも1つのオリゴマーセグメントを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【請求項16】
前記ポリアミドセグメントが、2つのカルボキシル末端基を有し、3~16個の炭素原子を有し、かつ1つの第二級アミン基と1つのヒドロキシル基とを有するアミノアルコールと更に反応して、前記テレケリックポリアミドのためのヒドロキシル末端基を提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載のテレケリックポリアミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、所望の特性を付与するために他のポリマー材料に反応させることができるテレケリックポリアミドに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのポリアミド、例えば、様々なナイロンポリマーは、約80℃未満の温度で固体であり、したがって、他のポリマー材料に均質に反応させるであろうことが困難である。ポリアミドの窒素原子又はポリアミドの窒素含有前駆体のN-アルキル化は、水素結合を排除して、本開示のポリアミドをより低融点かつより可溶性にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本主題は、主鎖構造中にN-アルキル化アミド基を含む低分子量ポリアミドオリゴマー及びテレケリックポリアミド(コポリマーを含む)に関する。これらのポリマーは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又はエラストマー樹脂及びこれらの樹脂の水性分散液の調製における軟質セグメントとして有用である。これらのポリアミドポリマーの独特の特徴は、20~80℃(20~50℃など)の温度で液体として加工されるそれらの能力であり、これは、それらを、様々な熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物を形成する更なる反応及び重合に適したものにする。
【0004】
したがって、テレケリックポリアミドが提供され、テレケリックポリアミドは、繰り返し単位であって、繰り返し単位とカルボキシル又は第一級若しくは第二級アミンから選択される官能性末端基との間の結合によって連結された重合モノマーから誘導される、繰り返し単位と、アミンとカルボキシル基との反応から誘導されることを特徴とする少なくとも2つのアミド結合を含むポリアミドセグメントであって、ポリアミドセグメントが、ジカルボン酸モノマー単位と少なくとも1つの他のモノマータイプのモノマー単位との重合から誘導される繰り返し単位を含み、ジカルボン酸モノマー単位の少なくとも50パーセントが、それぞれ34~36個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの他のモノマータイプが、ジアミンモノマー単位を含む、ポリアミドセグメントと、を含み、炭化水素タイプ結合を連結するヘテロ原子含有結合の総数の少なくとも10%は、アミドであることを特徴とし、アミド結合の25%未満は、第三級アミド結合であることを特徴とし、テレケリックポリアミドの少なくとも20モルパーセントは、アミノ末端基又はカルボキシル末端基を含む同じ官能性タイプの正確に2つの官能性末端基を有する。
【0005】
本主題の以下の実施形態は、以下が企図される。
1.テレケリックポリアミドであって、(a)繰り返し単位であって、繰り返し単位とカルボキシル又は第一級若しくは第二級アミンから選択される官能性末端基との間の結合によって連結された重合モノマーから誘導される、繰り返し単位と、(b)アミンとカルボキシル基との反応から誘導されることを特徴とする少なくとも2つのアミド結合を含むポリアミドセグメントであって、ポリアミドセグメントが、ジカルボン酸モノマー単位と少なくとも1つの他のモノマータイプのモノマー単位との重合から誘導される繰り返し単位を含み、ジカルボン酸モノマー単位の少なくとも50パーセントが、それぞれ34~36個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの他のモノマータイプが、ジアミンモノマー単位を含む、ポリアミドセグメントと、を含み、(c)炭化水素タイプ結合を連結するヘテロ原子含有結合の総数の少なくとも10%が、アミドであることを特徴とし、かつ(d)アミド結合の25%未満が、第三級アミド結合であることを特徴とし、テレケリックポリアミドの少なくとも20モルパーセントが、アミノ末端基又はカルボキシル末端基を含む同じ官能性タイプの正確に2つの官能性末端基を有する、テレケリックポリアミド。
2.テレケリックポリアミドの少なくとも70モルパーセントが、アミノ末端基又はカルボキシル末端基からなる群から選択される同じ官能性タイプの正確に2つの官能性末端基を有する、実施形態1に記載のテレケリックポリアミド。
3.少なくとも1つの他のモノマータイプが、ラクタム又はアミノカルボン酸のうちの少なくとも1つを更に含む、実施形態1又は2に記載のテレケリックポリアミド。
4.テレケリックポリアミドが、ジカルボン酸モノマー単位のモノマー単位と、ラクタムモノマー単位、アミノカルボン酸モノマー単位、又はジアミンモノマー単位のうちの少なくとも1つとから誘導される繰り返し単位を含み、そのため、テレケリックポリアミド中のアミド結合が、テレケリックポリアミドの少なくとも50重量%を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
5.テレケリックポリアミドが、ジカルボン酸モノマー単位のモノマー単位と、ラクタムモノマー単位、アミノカルボン酸モノマー単位、又はジアミンモノマー単位のうちの少なくとも1つとから誘導される繰り返し単位を含み、そのため、テレケリックポリアミド中のアミド結合が、テレケリックポリアミドの少なくとも80重量%を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
6.ジカルボン酸モノマー単位が、テレケリックポリアミドの少なくとも50重量%を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
7.ジカルボン酸モノマー単位が、テレケリックポリアミドの少なくとも80重量%を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
8.ポリアミドセグメントの少なくとも50重量%が、以下の構造の繰り返し単位を含み、
【0006】
【化1】
式中、R
aは、ジカルボン酸のアルキレン部分であり、34~36個の炭素原子の分岐アルキレンであり、任意選択で、二塩基酸の3個又は10個の炭素原子当たり1個以下のへテロ原子を含み、式中、R
bは、直接結合、又は2~60個の炭素原子の直鎖若しくは分岐(任意選択で、環式、複素環式、若しくは芳香族部分であるか、又はそれらを含む)アルキレン基(任意選択で、10個の炭素原子当たり1個又は3個以下のヘテロ原子を含有する)であり、かつ式中、R
c及びR
dは、個々に水素、1~8個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキル基であるか、又はR
c及びR
dは、一緒に連結して1~8個の炭素原子の単一の直鎖又は分岐アルキレン基を形成するか、又は任意選択でR
c及びR
dのうちの1つが、炭素原子でR
bに連結している、実施形態1~7のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
9.ポリアミドセグメントが、2つのカルボキシル末端基を有し、1つの末端アミンと1つの末端ヒドロキシル基又は2つの末端ヒドロキシル基とを有するポリエーテル分子と更に反応して、テレケリックポリアミドのための末端ブロックを提供し、テレケリックポリアミドが、末端ブロックを付加した後に、少なくとも80モル%の末端第一級又は第二級ヒドロキシル末端基を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
10.官能性末端基を有し、官能性末端基の少なくとも80モル%が、第一級アミン基である、実施形態1~9のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
11.テレケリックポリアミドが、200~10,000g/モル、任意選択で400~10,000g/モルの重量平均分子量を有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
12.テレケリックポリアミドが、200~5,000g/モル、任意選択で400~5,000g/モル、更に任意選択で500~5,000g/モルの重量平均分子量を有する、実施形態1~11のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
13.溶媒を含まないテレケリックポリアミドが、5rpmで回転する円形ディスクを有するBrookfield円形ディスク粘度計によって測定される場合に、70℃で100,000cps未満の粘度を有する、実施形態11又は12に記載のテレケリックポリアミド。
14.溶媒を含まないテレケリックポリアミドが、5rpmで回転する円形ディスクを有するBrookfield円形ディスク粘度計によって測定される場合に、60℃で100,000cps未満の粘度を有する、実施形態11又は12に記載のテレケリックポリアミド。
15.テレケリックポリアミドが、ポリエステルセグメント、ポリエーテルセグメント、及びポリカーボネートセグメントの群から選択される少なくとも1つのオリゴマーセグメントを更に含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
16.ポリアミドセグメントが、2つのカルボキシル末端基を有し、3~16個の炭素原子を有し、かつ1つの第二級アミン基と1つのヒドロキシルと基を有するアミノアルコールと更に反応して、テレケリックポリアミドのためのヒドロキシル末端基を提供する、実施形態1~8のいずれか1つに記載のテレケリックポリアミド。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」/「an」は、1つ又は1つを超えることを意味することが意図される。本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」という語句は、以下の用語のうちの1つ又は2つを超えることを意味する。したがって、「a」/「an」及び「少なくとも1つ」は、互換的に使用され得る。例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」は、代替的な実施形態では、A、B又はCのうちの1つのみが含まれてもよく、A、B及びCのうちの2つ以上の任意の混合物が含まれてもよいことを意味する。
【0008】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、所与の量の値が、記載された値の±10%以内であることを意味する。他の実施形態では、値は、記載された値の±5%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±2.5%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±1%以内である。
【0009】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、成分は、成分が「実質的に含まない」材料の意図的な添加を含まないことを意味する。例えば、成分は、成分が不完全な化学反応及び/又は意図しない/望ましくない(しかし、おそらく避けられない)反応生成物の結果であり得る不純物レベル以下で、「実質的に含まない」材料を含み得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する」、又は「を特徴とする」と同義である移行用語「含む(comprising)」は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外しない。しかしながら、本明細書における「含む」の各記載において、この用語がまた、代替的な実施形態として、「から本質的になる」及び「からなる」という句を包含することが意図され、ここで、「からなる」は、特定されていない任意の要素又は工程を排除し、「から本質的になる」は、考慮中の組成物又は方法の本質的又は基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の記載されていない要素又は工程の包含を許容する。
【0011】
括弧は、本明細書において、(1)「モノマー(monomer(s))」が「モノマー(monomer)」及び/又は「モノマー類(monomers)」を意味するか、又は「(メタ)アクリレート」が「メタクリレート」及び/又は「アクリレート」を意味するように、何かが任意選択で存在すること、(2)前述の用語を限定するか、若しくは更に定義すること、又は(3)より狭い、若しくは異なる実施形態を列挙すること、を示すために使用される。
【0012】
テレケリックポリマーは、2つの反応性末端基を含有する高分子として説明することができ、架橋剤、鎖延長剤、並びにブロック及びグラフトコポリマー、星形、超分岐又は樹状ポリマーを含む様々な高分子構造のための重要な基礎的構成要素として使用することができる。ポリジエン、ポリエステル、ポリエーテル、及びポリカーボネートタイプのテレケリックポリマーが知られている。第一級又は第二級ヒドロキシル、第一級又は第二級アミン、及びカルボン酸から選択される官能性末端基を有する、これらの公知のテレケリックポリマーは、相補的反応物と反応して、テレケリック前駆体の特性を有するより大きなポリマーを形成する。低融点を有する加工容易なポリアミドテレケリックポリマーは、本発明者(ら)によって行われた研究の前には、利用可能でなかった。
【0013】
ポリエステルポリオールは、良好な機械的特性及びUV耐性を与えるが、それらは不十分な加水分解耐性に悩まされる。ポリエーテルポリオールは、ポリエステルよりも加水分解安定性に優れるが、UV耐性に欠ける。ポリカーボネートポリオールは、ポリエステルよりも改善された加水分解耐性を提供し、ある程度向上した硬度を有するが、他のポリオールよりも高価である。ポリジエンポリオールは、有用であるが、疎水性が高すぎて極性基材と十分に相互作用できない。いくつかのポリジエンポリオールは、水素化され、ジエンモノマーからの残留不飽和に依存する分解機構を低減する。したがって、新しいクラスのテレケリックポリアミドは、これらの問題を克服するのに役立つだろう。
【0014】
低粘度、低ガラス転移温度、抑制された結晶化度、低い酸価を有し、様々な窒素又はアミドを有し、炭化水素重量比(又は親水性/疎水性バランス)、及び制御された数の水素結合又は非水素結合アミド基を有する、アミン末端ポリアミドオリゴマーを製造した。
【0015】
従来の二官能性酸及びアミンから一連のポリアミドオリゴマーを製造した。初期のオリゴマーは、アミン末端を含有し、ジイソシアネートと反応してポリアミド-ポリ尿素主鎖を形成した。しかしながら、これらの構造における強い水素結合の存在は、低分子量であってもそれらを非常に硬く(高いガラス転移)し、したがって、更なる構造的改良、又はより高分子量のポリマー若しくは架橋ネットワークの調製には適していない。本発明者らは、これらのポリマー上のN-アルキル基の置換が、それらを軟質にし、加工を容易にすることを発見した。
【0016】
本主題は、より高分子量のポリマー及び/又は架橋ポリマーネットワークを製造するためのマクロモノマー、プレポリマー又はポリマーセグメントとして有用な、例えば加水分解又はUV分解による鎖切断に耐性のあるポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドに関する。結果として得られるポリマー又はネットワークは、アミド結合のより高い熱安定性に起因して、ポリエーテル及び/又はポリエステルからの類似のポリマー又はネットワークよりも良好な熱安定性を有する。ポリマーは、中程度の分子量のポリアミドオリゴマーと、オリゴマーの末端で共反応性基と化学結合を形成することができる共反応物と、から構築された。これらのポリマーは、オリゴマーが最終ポリマーの実質的な重量パーセントを形成するので、それらが製造されるポリアミドオリゴマーの特性の多くを有する。所望の特性を達成するために、オリゴマーの分子量及び組成を変更することができる。それらはまた、ポリ尿素/ウレタンを製造するために使用され得る。ポリ尿素/ウレタンという用語は、尿素結合、ウレタン結合又はそのような結合のブレンドを有するポリマーを指すために使用されるだろう。組成物は、少量の他のポリマー及び材料を物理的ブレンドとして含有してもよいか、又は他のポリマー若しくは材料がポリアミド中に共反応されてもよい。
【0017】
ポリアミドオリゴマーという用語は、2つ以上のアミド結合を有するオリゴマーを指すか、又はアミド結合の量が特定されるだろう。ポリアミドオリゴマーのサブセットは、テレケリックポリアミドであるだろう。テレケリックポリアミドは、単一の化学タイプの2つの官能基、例えば、2つの末端アミン基(第一級、第二級、又は混合物のいずれかを意味する)、2つの末端カルボキシル基、2つの末端ヒドロキシル基(再び第一級、第二級、又は混合物を意味する)、又は2つの末端イソシアネート基(脂肪族、芳香族、又は混合物を意味する)を、高い割合又は特定の割合で有するポリアミドオリゴマーであるだろう。テレケリックの定義を満たすのに好ましいパーセント二官能性の範囲は、より高い又はより低い官能性とは対照的に、オリゴマーの少なくとも70又は80、より望ましくは少なくとも90又は95モル%が二官能性である。反応性アミン末端テレケリックポリアミドは、末端基が両方ともアミン型、第一級又は第二級のいずれか及びそれらの混合物である、すなわち、第三級アミン基を除く、テレケリックポリアミドオリゴマーであるだろう。
【0018】
本主題の第1の部分は、テレケリックオリゴマーから製造されたポリマー中のポリエステル、ポリエーテル、又はポリカーボネート軟質セグメントのポリアミドセグメントへの置換である。ポリエステル、ポリエーテル、又はポリカーボネートセグメントのポリアミドセグメントへの置き換え又は置換は、部分的又は完全であり得る。熱安定性を含む最適な環境耐性は、ポリエーテル及びポリエステルにおけるより容易な鎖切断の可能性に起因して、ポリエステル及びポリエーテルセグメントの完全な置き換えから生じるだろう。いくつかの実施形態では、ポリエステルセグメント及び/又はポリエーテルセグメントのいくつかは、エラストマー部分を軟化させるか、又は結果として得られるポリマーの他のポリマー表面との適合性を変更するそれらの能力のために、テレケリックポリアミド又はポリアミドオリゴマー中に保持され得る。ポリエステル又はポリエーテルからのポリマーが、加水分解又はUV活性化鎖切断によって分解される場合、ポリマー又はセグメントがすぐにその引張強度、破断点伸び、溶媒に対する耐性などを失うように、ポリマーの分子量が減少する。
【0019】
軟質ポリエーテル又はポリエステルセグメントの代わりに、軟質ポリアミドセグメントを用いる本主題の第1の部分の第2の利点は、ポリアミドセグメントが、ポリエステル又はポリエーテルベースのポリマーよりも、ガラス、ナイロン、及び金属などの様々な極性基材へのより良好な濡れ及び接着を促進する傾向があることである。ポリアミドの疎水性/親水性の性質は、ポリアミド中のアミド結合又は窒素原子に対する炭化水素の異なる重量比を使用することによって、調整することができる。アミド結合部分に対して大きな脂肪族炭化水素部分を有する二塩基酸、ジアミン、アミノカルボン酸、及びラクタムは、疎水性である傾向がある。アミド結合又は窒素原子に対する炭化水素の重量比がより小さくなると、ポリアミドは、より親水性である。ポリマー中のポリアミドの量を増加させることにより、ポリアミドと類似又は適合する表面を有する基材への接着性を増加させることができる。
【0020】
ポリアミドセグメントから製造されたポリマーは、良好な耐溶媒性を有することができる。溶媒は、ポリマーの変形及び膨潤を引き起こし、それによってポリマーの早期破損を引き起こす可能性がある。溶媒は、コーティングを膨潤させ、2つの間の界面で基材から剥離させる可能性がある。
【0021】
多くの従来のポリアミドは、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロンなどの高融点結晶性ポリアミドであり得、ブロック状熱可塑性ポリマーが所望される場合、軟質セグメントとして機能するには非常に高い温度、例えば100℃を超える温度で溶融することに留意されたい。先行技術文献のいくつかにおいて、ポリアミド(しばしば、結晶性又は高ガラス転移温度(「transition temperature、Tg」)ポリアミドタイプ)は、単に、ポリアミドに適合性である基材との表面相互作用を増加させるために、添加された。より低いTgポリマーを作製するために、軟質(低Tg)ポリエステル、ポリエーテル又はポリカーボネートを、ポリアミドセグメントに添加して、より低い複合Tgエラストマーセグメントを提供した。他の先行技術文献では、ポリマーの極性を変更させるため、耐溶媒性を増加させるため、又は軟化温度を上昇させるために、数個のポリアミド結合のみがポリマーに挿入されていた。
【0022】
本主題の特定の実施形態の1つの目的は、1つ以上のポリアミドセグメントから構成されるテレケリックオリゴマーにおいて高い割合のアミド結合を使用して、加水分解及び/又はUV活性化鎖切断からの鎖切断に対する耐性を提供することである。したがって、多くの実施形態は、アミド結合である軟質セグメント中の繰り返し単位間の全結合の高い割合を有する軟質セグメントを記載するだろう。いくつかの実施形態は、繰り返し単位間のいくつかの結合が、アミド結合以外であることを可能にし得る。
【0023】
低Tgポリアミド軟質セグメントを得るための従来のポリアミドからの重要な改良は、ポリアミドを形成する際の第二級アミン末端基を有するモノマーの使用である。第二級アミン及びカルボン酸タイプ基から形成されるアミド結合は、第三級アミド結合と呼ばれる。第一級アミンは、カルボン酸タイプ基と反応して第二級アミドを形成する。第二級アミドの窒素原子は、しばしば近くのアミドのカルボニル基と水素結合する結合水素原子を有する。分子内H結合は、高融点を有する結晶化度を誘導し、鎖移動度を低下させる架橋として作用することができる。第三級アミド基を用いると、アミド結合の窒素上の水素が、水素結合とともに排除される。水素が結合した第二級アミド基と比較して、それに結合した1つの追加のアルキル基を有する第三級アミド結合は、ポリマーがバルクポリマー試料中に存在する場合、近くのアミド基との極性相互作用を低下させる。極性相互作用の低下は、アミド結合を含むガラス相又は結晶相が、第二級アミド基である類似のアミド基よりも低い温度で融解することを意味する。第三級アミド結合の前駆体である第二級アミン反応物を供給する1つの方法は、アミン含有モノマーの窒素上の1つの水素原子をアルキル基で置換することである。第二級アミン反応物を供給する別の方法は、アミンの窒素が環構造の一部である複素環式分子を使用することである。ピペラジンは、両方の窒素原子が第二級タイプであり、複素環式環の一部である一般的な環状ジアミンである。
【0024】
ポリアミド軟質セグメントのTgを低下させるための別の改良は、ポリアミドを形成するためのモノマーの最小数を超える少なくとも1つの追加のモノマーを使用することである。したがって、N-メチル-ドデシルラクタムなどのラクタム重合から形成されるポリアミドについては、ポリアミド中のアミド結合間の間隔が主鎖に沿って不規則である、例えば、各オリゴマー中の繰り返し単位のいくつかについて同じ物理的寸法ではないように、モノマーによって形成されるアミド結合間の(繰り返し単位間の)間隔を変化させるために、重合のためのモノマー中に追加のラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、又はジカルボン酸を含むだろう。アミノカルボン酸の重合について、アミド結合間の繰り返し単位間の間隔を変化させるために、重合のためのモノマーブレンド中に追加のラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、又はジカルボン酸(モノマーの主な反応性基間の物理的長さが異なる)を含むだろう。モノマー上の末端基を切り替えることはまた、極性アミド結合の間隔の規則性を破壊し、コポリマーの有効Tgを低下させ得る。したがって、C6アミノカルボン酸を、少量のC6二塩基酸及びC6ジアミンと共重合させると、二塩基酸単位及びジアミン単位が、アミド結合の配向を頭から尾への配向から尾から頭への配向に切り替え、ポリアミド主鎖に沿ったアミド結合の間隔の均一性をわずかに破壊するので、アミド結合の規則性を破壊することができる。典型的には、この手順に従う場合、ポリアミド中の主モノマーとして使用されるモノマーのアミド形成末端基間の原子の数を増加又は減少させる破壊モノマーを添加しようと試みるだろう。2個のメチレン原子が環の上半分を形成し、2個のメチレン原子が環の下半分を形成する環状ジアミンモノマーであるピペラジンなどの環状構造を有した第2の破壊モノマーを使用して、ジアミンの窒素原子間に2個のメチレン原子を有するジアミンモノマーと反応した二塩基酸から形成されたポリアミドの規則性を破壊することもできる。
【0025】
一般に、ほぼ等しい量の2つ以上の異なるアミド形成モノマーを有することは、ポリアミド主鎖に沿ったアミド結合間の異なる間隔をもたらし、結晶融解及びガラス転移温度の最適な低下をもたらす。例えば、2つの異なるジアミンの50:50モルブレンドが望ましいであろう。2つの異なる二塩基酸の50:50モルブレンドが望ましいであろう。ラクタムと二塩基酸及びジアミンとの33:33:33モルブレンドが望ましいであろう。
【0026】
本発明者らは、ポリアミドセグメントの大部分が最初は低分子量であり、低分子量オリゴマーのTgを測定することは容易に可能ではないと認識しているが、測定値は分子量によって劇的に影響を受けるので、低ガラス転移温度(「Tg」)という用語を使用する。例えば、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)によって測定される場合に、70、80、又は90℃を超えるTg値を有する高Tgポリマーは、低分子量であっても固体を形成する。したがって、ポリアミドオリゴマー、テレケリックポリアミド、及びテレケリックポリアミド又はポリアミドオリゴマーからのオリゴマーでさえも、本明細書において、特定の温度におけるそれらの粘度によってしばしば記載される。低Tgポリアミドオリゴマーは、20,000g/モル分子量を超える場合、50℃未満、より望ましくは25又は0℃未満のTgを有するそれらの組成物として定義されるだろう。
【0027】
一実施形態では、テレケリックオリゴマー又はテレケリックポリアミドは、70℃の温度で100,000cps未満、より望ましくは70℃で15,000又は10,000cps未満、更により望ましくは60又は50℃で100,000cps未満、より好ましくは60℃で15,000又は10,000cps未満、更により好ましくは50℃で15,000又は10,000cps未満の、5rpmで回転する円形ディスクを有するBrookfield円形ディスク粘度計によって測定される粘度を有する。望ましくは、これらの粘度は、溶媒又は可塑剤を含まないニートテレケリックプレポリマー又はポリアミドオリゴマーの粘度である。これらの粘度値は、望ましい反応が妥当な速度で起こり、望ましくない反応、例えば副反応が有意な程度に起こらない適切な条件下で、テレケリックポリアミドを共反応物及び又は微粒子材料と混合することを容易にするだろう。いくつかの実施形態では、テレケリックポリアミドを溶媒で希釈して、これらの範囲の粘度を達成することができる。
【0028】
本明細書のオリゴマー、テレケリック、及びポリマーの多くは、所望のモノマー上の反応性基の縮合反応によって製造される。ポリアミドへのラクタム重合は、連鎖重合プロセスによって類似のアミド結合をもたらし、当技術分野において周知である。カルボン酸基とアミン又はヒドロキシル基との間のこれらの縮合反応は、周知であり、水及び又は触媒の除去によって促進される。カルボン酸基とアミン基との反応からのアミドの形成は、ホウ酸、ホウ酸エステル、ボラン、亜リン酸、リン酸塩、リン酸エステル、アミン、酸、塩基、ケイ酸塩、及びシルセスキオキサンによって触媒され得る。追加の触媒、条件などは、Larockによる「Comprehensive Organic Transformations」などの教科書において入手可能である。
【0029】
反応性基の縮合反応は、モノマー間に化学結合を作製するものとして定義される。オリゴマー又はポリマーに組み込まれるモノマーの部分は、特定のモノマーからの繰り返し単位として定義される。アミノカルボン酸などのいくつかのモノマー、又はジアミンの一端と反応する二塩基酸の一端は、モノマーがモノマーからポリマーの繰り返し単位に進むにつれて、1分子の水を失う。他のモノマー、例えば、ラクタム、イソシアネート、イソシアネートと反応したアミン、イソシアネートと反応したヒドロキシル基などは、分子の一部を環境に放出せず、むしろ、結果として得られるポリマー中のモノマーの全てを保持する。
【0030】
本発明者らは、ポリアミドオリゴマーを、オリゴマー当たり2つ以上のアミド結合を有し、20,000g/モル未満の分子量、例えば、しばしば10,000、5,000、2,500、又は2000g/モル未満の種として定義するだろう。後に、本発明者らは、様々なオリゴマー種において繰り返し単位当たり平均1つのアミド結合を提供するアミド結合又はモノマーの好ましい割合を定義するだろう。ポリアミドオリゴマーのサブセットは、テレケリックオリゴマーであるだろう。テレケリックポリアミドは、上記のポリアミドオリゴマーと同一の分子量選択性を有する。テレケリックという用語は、先に定義されている。複数のポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドを縮合反応で結合させて、一般に100,000g/モルを超えるポリマーを形成することができる。
【0031】
一般に、アミド結合は、カルボン酸基とアミン基との反応又はラクタムの開環重合(例えば、環構造中のアミド結合がポリマー中のアミド結合に変換される)から形成される。好ましい実施形態では、モノマーのアミン基の大部分が第二級アミン基であるか、又はラクタムの窒素が第三級アミド基である。第二級アミン基は、アミン基がカルボン酸と反応してアミドを形成する場合、第三級アミド基を形成する。本開示の目的のために、例えばラクタム中のようなアミドのカルボニル基は、カルボン酸基から誘導されると考えられるだろう。ラクタムのアミド結合は、アミノカルボン酸のカルボキシル基と同じアミノカルボン酸のアミン基との反応から形成される。一実施形態では、本発明者らは、ポリアミドを製造する際に使用されるモノマーの20、10又は5モルパーセント未満が、3つ以上のアミド結合の重合において官能価を有することを望む。これは、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドにおける分岐を減少させるだろう。
【0032】
本開示のポリアミドオリゴマー及びテレケリックポリアミドは、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、尿素結合などを形成するために使用される追加のモノマーが、ポリマーの意図された使用に有用である場合、これらの結合を少量含有することができる。これは、他のモノマー及びオリゴマーがポリアミド中に含まれて、100%ポリアミドセグメントオリゴマーでは必要であり得るが、達成できない特定の特性を提供することを可能にする。時には、添加されるポリエーテル、ポリエステル、又はポリカーボネートは、より軟質の、例えばより低いTgのセグメントを提供する。時には、ポリアミドのカルボキシル末端基又は第一級若しくは第二級アミン末端基を、縮合重合が可能な他の官能性末端基に変換することが望ましい。カルボキシル末端基を有するテレケリックポリアミドは、テレケリックポリアミドを、2つのヒドロキシル末端基を有するポリエーテル、又は1つのアミノ、第一級若しくは第二級、及び1つのヒドロキシル末端基を有するポリエーテルと反応させることによって、ヒドロキシル末端基を有するオリゴマーに変換され得る。ポリエーテルセグメントを有するオリゴマー又はポリマーは、UV曝露に起因して、鎖切断を受けやすい。ナイロン6-ポリエチレングリコールブロックコポリマーのブロックコポリマーに対するUV曝露の効果は、Gauvin,Pascal;Lemaire,Jacques in Makromolekulare Chemie(1987),188(5),971-986において報告されている。時には、アミド結合を生成しないラクタムのオリゴマー鎖重合のための開始剤が使用される。時には、ポリエーテルをポリアミドのセグメント又は一部として使用して、結果として得られるポリアミドオリゴマーのTgを低下させるか、又は軟質セグメントを提供することができる。時には、ポリアミドセグメント(例えば、カルボン酸末端基又はアミン末端基を有する二官能性であり得る)は、ポリアミドオリゴマーのTgを更に低下させるか、又はポリアミドオリゴマー中に軟質セグメントを提供し、アミン末端基又はヒドロキシル末端基を有するテレケリックポリアミドを作製するために、2つのポリエーテル末端セグメント(例えば、Jeffamine(商標)D230から)で官能化され得る。時には、カルボン酸末端テレケリックポリアミドセグメントは、N-メチルアミノエタノール又はHN(Rα)(Rβ)などのアミノアルコールと反応させることによって官能化され、式中、Rαは、C1~C4アルキル基であり、Rβはアルコール基及びC2~C12アルキレン基を含むか、代替的にRα及びRβは、相互連結されて、環状構造及びペンダントヒドロキシル基(2-ヒドロキシメチルピペリジンなど)を含むC3~C16アルキレン基を形成することができ、これらのいずれも末端ヒドロキシル基を有するテレケリックポリアミドを作製することができる。第二級アミン(ヒドロキシル基とは対照的に)とカルボン酸との反応は、100%モル過剰のアミノアルコールを使用し、160℃+/-10又は20℃で反応を行うことによって、有利になり得る。過剰のアミノアルコールは、反応後に蒸留によって除去され得る。一実施形態では、テレケリックポリアミドの官能性第一級又は第二級アミン基は、2個若しくは4~10個の炭素原子のラクトン(例えば、バレロ又はカプロラクトン)及び/又は3~30個の炭素原子のヒドロキシルカルボン酸と反応して、テレケリックポリアミド上にラクトン又はヒドロキシルカルボン酸から誘導される1つ又は2つのヒドロキシル官能性末端基を作製する。最適には、ラクトン又はヒドロキシルカルボン酸からの1つの繰り返し単位のみが、テレケリックポリアミドの各末端に付加される。
【0033】
先に示したように、多くのアミド形成モノマーは、繰り返し単位当たり平均して1つのアミド結合を作製する。これらには、互いに反応させた場合の二塩基酸及びジアミン、アミノカルボン酸、並びにラクタムが含まれる。本発明者らがこれらのモノマー又はこれらのモノマーからの繰り返し単位を論じる場合、本発明者らは、一般に、これらのモノマー、それらの繰り返し単位、及びそれらの反応性等価物(指定されたモノマーと同じ繰り返し単位を生成するモノマーを意味する)を指す。これらの反応性等価物には、二塩基酸の無水物、二塩基酸のエステルなどが含まれ得る。これらのモノマーは、同じ群の他のモノマーと反応すると、形成される繰り返し単位の両端にアミド結合も作製する。したがって、本発明者らは、アミド結合の割合、並びにアミド形成モノマーからの繰り返し単位のモルパーセント及び重量パーセントの両方を使用するだろう。アミド形成モノマーは、通常のアミド形成縮合連結反応において、繰り返し単位当たり平均1つのアミド結合を形成するモノマーを指すために使用されるだろう。
【0034】
テレケリックポリアミドであって、(a)繰り返し単位であって、繰り返し単位とカルボキシル又は第一級若しくは第二級アミンから選択される官能性末端基との間の結合によって、連結された重合モノマーから誘導される、繰り返し単位と、(b)アミンとカルボキシル基との反応から誘導されることを特徴とする少なくとも2つのアミド結合を含むポリアミドセグメントであって、ポリアミドセグメントが、ジカルボン酸モノマー単位と少なくとも1つの他のモノマータイプのモノマー単位との重合から誘導される繰り返し単位を含み、ジカルボン酸モノマー単位の少なくとも50(例えば、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95)パーセントが、それぞれ34~36個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの他のモノマータイプが、ジアミンモノマー単位を含む、ポリアミドセグメントと、を含み、(c)炭化水素タイプ結合を連結するヘテロ原子含有結合の総数の少なくとも10%が、アミドであることを特徴とし、かつ(d)アミド結合の25%(例えば、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%)未満が、第三級アミド結合であることを特徴とし、テレケリックポリアミドの少なくとも20モルパーセントが、アミノ末端基又はカルボキシル末端基を含む同じ官能性タイプの正確に2つの官能性末端基を有する、テレケリックポリアミドを提供する。
【0035】
特定の実施形態では、ジカルボン酸モノマー単位の実質的に全て又は全てが、全単位にわたる平均で34~36個の炭素原子を含有する。
【0036】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドは、第三級アミド結合であることを特徴とするアミド結合を実質的に含まないか、又は含まない。
【0037】
特定の実施形態では、34~36個の炭素原子を含有しないジカルボン酸モノマー単位は、任意の他の適切なジカルボン酸モノマー単位であってもよい。例えば、適切なジカルボン酸は、ジカルボン酸のアルキレン部分が、2~36個の炭素原子の環式、直鎖、又は分岐(任意選択で芳香族基を含む)アルキレンであり、任意選択で、4~36個の炭素原子など、二塩基酸の3個の炭素原子当たり1個以下のヘテロ原子、又は10個の炭素原子当たり1個以下のヘテロ原子を含むものであってもよい(二塩基酸は、アルキレン部分よりも2個多い炭素原子を含む)。これらとしては、ダイマー脂肪酸、水素化ダイマー酸、セバシン酸などが挙げられる。一般に、より大きなアルキレン基を有する二塩基酸は、より低いTg値を有するポリアミド繰り返し単位を提供し得るので、適切である。
【0038】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドの少なくとも70(例えば、75、80、85、90、又は95)モルパーセントは、アミノ又はカルボキシル末端基からなる群から選択される同じ官能性タイプの正確に2つの官能性末端基を有する。
【0039】
特定の実施形態では、少なくとも1つの他のモノマータイプは、ラクタム又はアミノカルボン酸のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0040】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドは、ジカルボン酸モノマー単位のモノマー単位と、ラクタムモノマー単位、アミノカルボン酸モノマー単位、又はジアミンモノマー単位のうちの少なくとも1つとから誘導される繰り返し単位を含み、そのため、テレケリックポリアミド中のアミド結合が、テレケリックポリアミドの少なくとも50(例えば、55、60、65、70、75、又は80)重量%を含む。
【0041】
特定の実施形態では、ジカルボン酸モノマー単位は、テレケリックポリアミドの少なくとも50(例えば、55、60、65、70、75、又は80)重量%を含む。
【0042】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドのポリアミドセグメントの少なくとも50(例えば、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95)重量%は、以下の構造の繰り返し単位を含み、
【0043】
【化2】
式中、R
aは、ジカルボン酸のアルキレン部分であり、34~36個の炭素原子の分岐アルキレンであり、任意選択で、二塩基酸の3個又は10個の炭素原子当たり1個以下のへテロ原子を含み、式中、R
bは、直接結合、又は2~60個の炭素原子の直鎖若しくは分岐(任意選択で、環式、複素環式、若しくは芳香族部分であるか、又はそれらを含む)アルキレン基(任意選択で、10個の炭素原子当たり1個又は3個以下のヘテロ原子を含有する)であり、式中、R
c及びR
dは、個々に水素、1~8個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキル基であるか、又はR
c及びR
dは、一緒に連結して1~8個の炭素原子の単一の直鎖又は分岐アルキレン基を形成するか、又は任意選択で、R
c及びR
dのうちの1つが、炭素原子でR
bに連結している。
【0044】
特定の実施形態では、ポリアミドセグメントが、2つのカルボキシル末端基を有し、1つの末端アミンと1つの末端ヒドロキシル基又は2つの末端ヒドロキシル基とを有するポリエーテル分子と更に反応して、テレケリックポリアミドのための末端ブロックを提供し、テレケリックポリアミドが、末端ブロックを付加した後に、少なくとも80モル%の末端第一級又は第二級ヒドロキシル末端基を有する。
【0045】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドは官能末端基を有し、官能性末端基の少なくとも80モル%が第一級アミン基である。
【0046】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドは、200~10,000g/モル、任意選択で400~10,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0047】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドは、200~5,000g/モル、任意選択で400~5,000g/モル、更に任意選択で500~5,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0048】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドは、200(例えば、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、720、740、760、780、800、820、840、860、880、900、920、940、960、980、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、又は4,500)~10,000(例えば、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、又は5,000)g/モルの重量平均分子量を有する。
【0049】
特定の実施形態では、溶媒を含まないテレケリックポリアミドが、5rpmで回転する円形ディスクを有するBrookfield円形ディスク粘度計によって測定される場合に、70℃で100,000cps未満の粘度を有する。
【0050】
特定の実施形態では、溶媒を含まないテレケリックポリアミドが、5rpmで回転する円形ディスクを有するBrookfield円形ディスク粘度計によって測定される場合に、60℃で100,000cps未満の粘度を有する。
【0051】
特定の実施形態では、テレケリックポリアミドが、ポリエステルセグメント、ポリエーテルセグメント、及びポリカーボネートセグメントの群から選択される少なくとも1つのオリゴマーセグメントを更に含む。
【0052】
特定の実施形態では、ポリアミドセグメントは、2つのカルボキシル末端基を有し、3~16個の炭素原子を有し、かつ1つの第二級アミン基と1つのヒドロキシル基とを有するアミノアルコールと更に反応して、テレケリックポリアミドのためのヒドロキシル末端基を提供する。
【0053】
一実施形態では、望ましくは、炭化水素タイプの結合を連結するヘテロ原子含有結合の総数の少なくとも10モル%、例えば、少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95モル%が、アミド結合であると特徴付けられる。ヘテロ原子結合は、アミド、エステル、ウレタン、尿素、エーテル結合などの結合であり、ヘテロ原子は、一般に炭化水素として特徴付けられる(又は炭化水素結合などの炭素-炭素結合を有する)オリゴマー又はポリマーの2つの部分を連結する。ポリアミド中のアミド結合の量が増加するにつれて、ポリアミド中のアミド形成モノマーからの繰り返し単位の量が増加する。
【0054】
一実施形態では、望ましくは、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドの少なくとも25重量%、例えば、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、又は95重量%が、アミド形成モノマーからの繰り返し単位であり、繰り返し単位の両端でアミド結合を形成するモノマーとしても特定される。このようなモノマーとしては、ラクタム、アミノカルボン酸、ジカルボン酸及びジアミンが挙げられる。
【0055】
一実施形態では、望ましくは、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミン中のアミド結合の25、20、15、10、又は5モルパーセント未満が、第三級アミド結合である。特定の実施形態では、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミンは、第三級アミド結合を実質的に含まないか、又は含まない。この文脈で使用される場合、「実質的に含まない」とは、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミンの製造中に第三級アミド結合が形成されるのを防止するためのあらゆる可能な試みが行われたことを意味する。先に説明したように、第三級アミド結合は、ラクタムと第三級アミドとの開環重合又は第二級アミンとカルボン酸基との反応から生じる。
【0056】
アミド結合の総数の第三級アミド結合の%を、以下の式で計算した:
【0057】
【数1】
式中、nはモノマーの数であり、指数iは特定のモノマーを指し、w
tertNは重合中に第三級アミド結合を形成するか又はその一部であるモノマー中の平均窒素原子数であり(注:末端基形成アミンは、重合中にアミド基を形成せず、その量はw
tertNから除外される)、w
totalNは重合中に第三級アミド結合を形成するか又はその一部であるモノマー中の平均窒素原子数であり(注:末端基形成アミンは、重合中にアミド基を形成せず、その量はw
totalNから除外される)、n
iは指数iを有するモノマーのモル数である。
【0058】
全てのヘテロ原子含有結合(炭化水素結合を連結する)の総数のアミド結合の%を、以下の式によって計算した:
【0059】
【数2】
式中、w
totalSは、モノマー中のヘテロ原子含有結合(炭化水素結合を連結する)の平均数と、ポリアミド重合中にカルボン酸含有モノマーとの反応によってそのモノマーから形成されるヘテロ原子含有結合(炭化水素結合を連結する)の数との合計である。「炭化水素結合」は、繰り返し単位中の連続的な炭素-炭素結合(すなわち、窒素又は酸素などのヘテロ原子を含まない)から形成された各繰り返し単位の炭化水素部分にすぎない。この炭化水素部分は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのエチレン又はプロピレン部分;ドデシルラクタムのウンデシル基、エチレンジアミンのエチレン基、及びアジピン酸の(CH
2)
4(又はブチレン)基である。
【0060】
好ましいアミド又は第三級アミド形成モノマーとしては、ジカルボン酸、ジアミン、アミノカルボン酸及びラクタムが挙げられる。好ましいジカルボン酸は、ジカルボン酸のアルキレン部分が、2~36個の炭素原子、より好ましくは4~36個の炭素原子の環式、直鎖、又は分岐(任意選択で芳香族基を含む)アルキレンであり、二塩基酸の3個又は10個の炭素原子当たり1個以下のヘテロ原子を任意選択で含む(二塩基酸はアルキレン部分よりも2個多い炭素原子を含む)。これらとしては、ダイマー脂肪酸、水素化ダイマー酸、セバシン酸などが挙げられる。一般に、より大きなアルキレン基を有する二塩基酸が好ましく、これは、一般に、より低いTg値を有するポリアミド繰り返し単位を提供するためである。
【0061】
好ましいジアミンとしては、60個以下の炭素原子を有するものが挙げられ、任意選択で、ジアミンのそれぞれ3個又は10個の炭素原子について1個のヘテロ原子(2個の窒素原子の他に)を含み、任意選択で、様々な環式、芳香族又は複素環式基を含むが、但し、アミン基の一方又は両方が第二級アミンである場合、好ましい式は、次のとおりであり:
【0062】
【化3】
式中、R
bは、直接結合又は2~36個の炭素原子、より好ましくは2個若しくは4~12個の炭素原子の直鎖若しくは分岐(任意選択で、環式、複素環式、又は芳香族部分であるか、又はそれらを含む)アルキレン基(任意選択で、ジアミンの10個の炭素原子当たり1個又は3個以下のヘテロ原子を含有する)であり、R
c及びR
dは、個々に水素、1~8個の炭素原子、より好ましくは1個又は2~4個の炭素原子の直鎖若しくは分岐アルキル基であるか、又はR
c及びR
dは、一緒に連結して1~8個の炭素原子の単一の直鎖若しくは分岐アルキレン基を形成するか、又は任意選択で、R
c及びR
dの一方が炭素原子でR
bに連結しており、より望ましくはR
c及びR
dは、1個又は2~4個の炭素原子である。
【0063】
このようなジアミンとしては、AlbermarleからのEthacure(商標)90(おそらくN,N’-ビス(1,2,2-トリメチルプロピル)-1,6-ヘキサンジアミン);DorfketalからのClearlink(商標)1000、又はHuntsmanからのJefflink(商標)754;N-メチルアミノエタノール;アルキレンが2~4個の炭素原子を有し、約40又は100~2000の分子量を有する、ジヒドロキシ末端、ヒドロキシル及びアミン末端又はジアミン末端ポリ(アルキレンオキシド)アルキレン;N,N’-ジイソプロピル-1,6-ヘキサンジアミン;N,N’-ジ(sec-ブチル)フェニレンジアミン;ピペラジン;、ホモピペラジン;及びメチル-ピペラジンが挙げられる。Jefflink(商標)754は、以下の構造を有する
【0064】
【化4】
Clearlink(商標)1000は、以下の構造を有する
【0065】
【化5】
芳香族基を有する別のジアミンは、N,N’-ジ(sec-ブチル)フェニレンジアミンであり、以下の構造を参照されたい。
【0066】
【化6】
好ましいジアミンは、両方のアミン基が第二級アミンである、ジアミンである。
【0067】
好ましいラクタムは、ラクタムの窒素上に置換基を有さない環構造が、合計5~13個の炭素原子を有し(1つはカルボニルを含む場合)、かつラクタムの窒素上の置換基(ラクタムが第三級アミドである場合)が、1~8個の炭素原子のアルキル、より望ましくは1~4個の炭素原子のアルキルであるように、4~12個の炭素原子の中に直鎖又は分岐アルキレンセグメントを含む。ドデシルラクタム、アルキル置換ドデシルラクタム、カプロラクタム、アルキル置換カプロラクタム、及びより大きなアルキレン基を有する他のラクタムは、より低いTg値を有する繰り返し単位を提供するので、好ましいラクタムである。アミノカルボン酸は、ラクタムと同じ数の炭素原子を有する。望ましくは、アミノカルボン酸のアミン基とカルボン酸基との間の直鎖又は分岐アルキレン基中の炭素原子の数は、4~12個であり、かつアミン基(第二級アミン基である場合)の窒素上の置換基は、1~8個の炭素原子、より好ましくは1個又は2~4個の炭素原子を有するアルキル基である。第二級アミン基を有するアミノカルボン酸が、好ましい。
【0068】
一実施形態では、望ましくは、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドの少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60、70、80、又は90重量%が、以下の繰り返し単位の構造の二塩基酸及びジアミンからの繰り返し単位を含む:
【0069】
【化7】
式中、R
aは、ジカルボン酸のアルキレン部分であり、34~36個の炭素原子の分岐アルキレンであり、任意選択で、二塩基酸の炭素数3個又は10個の炭素原子当たり1個以下のへテロ原子を含み、R
bは、直接結合又は2~36個若しくは60個の炭素原子、より好ましくは2個若しくは4~12個の炭素原子の直鎖若しくは分岐(任意選択で、環式、複素環式、又は芳香族部分であるか、又はそれらを含む)アルキレン基(任意選択で、10個の炭素原子当たり1個又は3個以下のヘテロ原子を含有する)であり、R
c及びR
dは、個々に水素、1~8個の炭素原子、より好ましくは1個又は2~4個の炭素原子の直鎖若しくは分岐アルキレン基であるか、又はR
c及びR
dは、一緒に連結して1~8個の炭素原子の単一の直鎖若しくは分岐アルキレン基を形成するか、又は任意選択でR
c及びR
dのう一方が炭素原子でR
bに連結し、より望ましくはR
c及びR
dは、1個又は2~4個の炭素原子のアルキル基である。
【0070】
一実施形態では、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドの望ましくは少なくとも50重量%、より望ましくは少なくとも60、70、80又は90重量%が、以下の構造のラクタム又はアミノカルボン酸からの繰り返し単位を含む:
【0071】
【化8】
繰り返し単位は、開始剤タイプに応じてラクタム又はアミノカルボン酸から誘導されるオリゴマーにおいて様々な配向であってもよく、式中、各R
eは、独立して4~12個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖アルキレンであり、各R
fは、独立して水素又は1~8個、より望ましくは1個又は2~4個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキルである。
【0072】
上記のポリアミドオリゴマー及びテレケリックポリアミドは、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドを、ポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドの官能基と反応したときに化学結合を形成することができる2つ以上の反応性基を有する共反応物と反応させることによって、ポリマーを製造するのに有用である(例えば、ポリアミドのこれらの官能基は、第一級及び第二級アミン、第一級若しくは第二級ヒドロキシル、又はカルボン酸基を含む)。共反応物上の反応性基は、イソシアネートであってもよいか、又は特定のテレケリックポリアミドでは、それらはヒドロキシル、アミン又はカルボン酸基であってもよい。
【0073】
本発明者らは、従来の二官能性酸及びアミンから一連のポリアミドオリゴマーを製造した。これらのオリゴマーは、アミン末端を含み、ジイソシアネートと反応してポリアミド-ポリ尿素主鎖を形成する。本発明者らの新規分散ポリマー中のポリアミド基礎的構成要素は、ポリエステル及びポリエーテルセグメントと比較して、優れた加水分解安定性、優れた耐熱性及びUV耐性、並びにより良好な全体的な機械的特性を提供する。加えて、これらのポリアミドオリゴマー中のアミン鎖末端は、イソシアネートと反応すると、イソシアネートと反応したポリオールからのウレタン結合に対して、尿素結合を形成する。これらのポリ尿素結合は、より真の架橋ポリマーのように作用するより強い分子間引力を有することが公知であり、より良好な耐溶媒性及び弾性を含むがこれらに限定されない、ウレタンを超える性能利点をもたらす。
【0074】
本明細書に記載されるポリアミドオリゴマー又はテレケリックポリアミドは、当業者に周知の方法によって相溶性ポリマー及びポリマー分散液と組み合わせることができる。このようなポリマー、ポリマー溶液、及び分散液は、A.S.Teot.「Resins,Water-Soluble」in:Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology.John Wiley & Sons.3rd Ed.,Vol.20,H.F.Mark et al.Eds.,pp.207-230(1982)において記載されたものに含まれる。
【0075】
本明細書に記載のオリゴマーポリアミド又はテレケリックポリアミドは、コーティング、フィルム、繊維、接着剤、又は成形品若しくは押出品として使用されるポリマー組成物中の成分として有用であり得る。
【0076】
文脈によって明示的に示されている場合又は要求されている場合を除き、物質の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定する本明細書中の全ての数値は、「約」という語によって修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の量の値が、記載された値の±20%以内であることを意味する。他の実施形態では、値は、記載された値の±15%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±10%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±5%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±2.5%以内である。他の実施形態では、値は、記載された値の±1%以内である。他の実施形態では、値は、本明細書に提供される開示に基づいて、本明細書に記載される文字通りの量を含む組成物と実質的に同様に機能することが当業者によって理解されるであろう、明示的に記載された値の範囲内である。
【0077】
本明細書に記載の量、範囲、並びに比の上限及び下限は、独立して組み合わせることができ、開示された範囲内の任意の量は、代替的な実施形態において、より狭い範囲の最小値又は最大値を提供することが企図されることが理解されるべきである(但し、当然ながら、範囲の最小量は同じ範囲の最大量よりも低くなければならない)。同様に、本明細書に開示された主題の各要素についての範囲及び量は、他の要素のうちのいずれかについての範囲又は量と一緒に使用することができる。
【0078】
本明細書に開示された主題を例示する目的で、特定の代表的な実施形態及び詳細を示したが、本主題の範囲から逸脱することなく様々な変更及び改良を行うことができることが当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】