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特表2024-501480セラミック多層ブランクを製作するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】セラミック多層ブランクを製作するための方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/488 20060101AFI20240104BHJP
   A61C 13/083 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 6/822 20200101ALI20240104BHJP
   A61K 6/804 20200101ALI20240104BHJP
   A61K 6/824 20200101ALI20240104BHJP
   A61K 6/813 20200101ALI20240104BHJP
   A61K 6/818 20200101ALI20240104BHJP
   A61K 6/807 20200101ALI20240104BHJP
【FI】
C04B35/488
A61C13/083
A61K6/822
A61K6/804
A61K6/824
A61K6/813
A61K6/818
A61K6/807
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535857
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021063118
(87)【国際公開番号】W WO2022132647
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/125,456
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フェッチャー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フォルクル,ロタール
(72)【発明者】
【氏名】アモン,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C089
4C159
【Fターム(参考)】
4C089AA02
4C089BA01
4C089BA03
4C089BA05
4C159GG04
4C159GG07
4C159GG08
4C159GG12
4C159GG13
(57)【要約】
本発明は、第1のセラミック材料の少なくとも第1の層と、第2のセラミック材料の少なくとも第2の層を含む、セラミック多層ブランクを製造するための方法に関し、ここで、第1の層及び第2の層は、異なる組成物のセラミック材料から作らされ、それらは一層ずつ注入可能な状態で鋳型中に充填され、その後それらはプレスされ、焼結され、ここで、第1の層は、ピンク色の層であり、第1のセラミック材料は、2~25重量%、好ましくは、4~17重量%、より好ましくは5~12重量%の酸化エルビウムを含む。
【選択図】図なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセラミック材料の少なくとも第1の層と第2のセラミック材料の少なくとも第2の層を含むセラミック多層ブランクを製造するための方法であって、前記第1の層及び前記第2の層が、異なる組成物のセラミック材料から作られ、それらは鋳型中へと一層ずつ注入可能な状態で充填されかつその後それらはプレスされかつ次いで焼結され、前記第1の層はピンク色の層であることを特徴とし、前記第1のセラミック材料が、2~25重量%、好ましくは4~17重量%、より好ましくは5~12重量%の酸化エルビウムを含む、方法。
【請求項2】
前記セラミック多層ブランクが少なくとも第3の層をさらに含むことを特徴とし、前記第3の層が、第3のセラミック材料から作られ、それは前記第1の層とは異なる組成物を有し、かつそれは前記第2の層とは異なるまたは同一の組成物を有し;
注入可能な状態の前記第2のセラミック材料の第2の層の充填の後に、前記第2の層の表面が、その表面にわたって見たときに前記第2の層がその高さにおいて領域ごとに異なるように構造化され、かつその後前記第3の層として、注入可能な状態の第3のセラミック材料の層が、前記鋳型中へと充填される;または
注入可能な状態の前記第2のセラミック材料の第2の層の充填の後に、前記第2の層とは異なる、注入可能な状態の中間セラミック材料の中間層が、前記鋳型中へと充填され;前記第2の層の第2のセラミック材料が、中間セラミック材料の前記中間層を形成するために前記第3の層の第3のセラミック材料と混合され;かつ次に注入可能な状態の第3のセラミック材料の前記第3の層が、前記鋳型中へと充填される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セラミック多層ブランクが複数の追加の層をさらに含むことを特徴とし、前記追加の層のそれぞれが、セラミック材料から作られ、それは前記第1の層とは異なる組成物を有し、かつそれは前記第2の層とは異なるまたは同一の組成物を有し;
注入可能な状態の前記第2のセラミック材料の第2の層の充填の後に、前記第2の層の表面が、その表面にわたって見たときに前記第2の層がその高さにおいて領域ごとに異なるように構造化され、かつその後第1の前記追加の層として、注入可能な状態の前記追加の層のセラミック材料の層が、前記鋳型中へと充填され;
注入可能な状態の前記追加の層のセラミック材料の第1の前記追加の層の充填の後に、第1の前記追加の層の表面が、その表面にわたって見たときに第1の前記追加の層がその高さにおいて領域ごとに異なるように構造化され、かつその後第2の前記追加の層として、注入可能な状態の前記追加の層のセラミック材料の層が、前記鋳型中へと充填され;
第2の前記追加の層が最後の追加の層でないならば、前述の方法ステップが、注入可能な状態のすべての追加の層が前記鋳型中へと充填されるまで繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
隆起及び凹部が提供されるように前記それぞれの層の表面が構造化されることを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記セラミック多層ブランクが複数の追加の層をさらに含むことを特徴とし、前記追加の層のそれぞれが、セラミック材料から作られ、それは前記第1の層とは異なる組成物を有し、かつそれは前記第2の層とは異なるまたは同一の組成物を有し;
注入可能な状態の前記第2のセラミック材料の第2の層の充填の後に、前記第2の層とは異なる、注入可能な状態の第1の中間セラミック材料の第1の中間層が、前記鋳型中へと充填され;前記第2の層の第2のセラミック材料が、第1の中間セラミック材料の前記第1の中間層を形成するために第1の前記追加の層のセラミック材料と混合され;かつその後注入可能な状態のセラミック材料の第1の前記追加の層が、前記鋳型中へと充填され;
注入可能な状態のセラミック材料の第1の前記追加の層の充填の後に、注入可能な状態の前記追加の層のセラミック材料の第2の前記追加の層が、前記鋳型中へと充填され;第1の前記追加の層のセラミック材料が、第2の中間セラミック材料の第2の中間層を形成するために第2の前記追加の層のセラミック材料と混合され、かつその後第2の前記追加の層が、前記鋳型中へと充填され;
第2の前記追加の層が最後の追加の層でないならば、前述の方法ステップが、注入可能な状態のすべての追加の層が前記鋳型中へと充填されるまで繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記セラミック多層ブランクが2~5の、好ましくは2~4の、より好ましくは3つの、追加の層を含むことを特徴とし、前記追加の層のそれぞれが、セラミック材料から作られ、それは前記第1の層とは異なる組成物を有し、かつそれは前記第2の層とは異なるまたは同一の組成物を有する、請求項3、4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の層のセラミック材料及び/または前記第3の層のセラミック材料が、元素Mn、Co、Fe、Tb、Pr及びErの少なくとも1つの酸化物を含むことを特徴とし、ならびに/または前記第1の層のセラミック材料が、元素Mn、Co、Fe、Tb及びPrの少なくとも1つの酸化物をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の層のセラミック材料及び/またはすべての追加の層のセラミック材料が元素Mn、Co、Fe、Tb、Pr及びErの少なくとも1つの酸化物を含むことを特徴とし、ならびに/または前記第1の層のセラミック材料が、元素Mn、Co、Fe、Tb及びPrの少なくとも1つの酸化物をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記セラミック多層ブランクの前記第1の層のセラミック材料及び/または前記第2の層のセラミック材料及び/または前記第3の層のセラミック材料及び/またはすべて追加の層のセラミック材料が0.0005~0.02重量%、好ましくは0.0005~0.01重量%、より好ましくは0.0005~0.05重量%の元素Mnの酸化物をさらに含むこと;及び/または
前記セラミック多層ブランクの前記第1の層のセラミック材料及び/または前記第2の層のセラミック材料及び/または前記第3の層のセラミック材料及び/またはすべての追加の層のセラミック材料が0.0005~0.1重量%、好ましくは0.0005~0.07重量%、より好ましくは0.0005~0.05重量%の元素Coの酸化物をさらに含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の元素Mnの前記少なくとも1つの酸化物の含有量が前記第2の層から前記第3の層へと;または前記第2の層から前記第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと連続的に増加することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記元素Mnの少なくとも1つの酸化物の含有量が、前記第2の層から前記第3の層へと;または前記第2の層から最後の追加の層へと、合計で1~50ppmだけ、好ましくは1~30ppmだけ、かつより好ましくは1~10ppmだけ連続的に増加することを特徴とし;前記セラミック多層ブランクが、実質的に、好ましくは完全に、前記元素Coのいかなる酸化物も含まない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の前記元素Coの少なくとも1つの酸化物の含有量が、前記第2の層から前記第3の層へと;または前記第2の層から前記第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと連続的に増加することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記元素Coの少なくとも1つの酸化物の含有量が、前記第2の層から前記第3の層へと;または前記第2の層から最後の追加の層へと、合計で1~100ppmだけ、好ましくは1~60ppmだけ、かつより好ましくは1~30ppmだけ連続的に増加することを特徴とし;前記セラミック多層ブランクが、実質的に、好ましくは完全に、前記元素Mnのいかなる酸化物も含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の前記元素Mn及びCoの酸化物の含有量が前記第2の層から前記第3の層へと;または前記第2の層から前記第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと連続的に増加することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記元素Mn及びCoの酸化物の含有量が前記第2の層から前記第3の層へと;または前記第2の層から最後の追加の層へと、合計で1~35ppmだけ、好ましくは1~20ppmだけ、かつより好ましくは1~6ppmだけ前記元素Mnの酸化物について連続的に増加し;一方で合計で1~70ppmだけ、好ましくは1~40ppmだけ、かつより好ましくは1~20ppmだけ前記元素Coの酸化物について連続的に増加することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の前記元素Mn及びCoの酸化物の含有量が前記第2の層から前記第3の層へと;または前記第2の層から前記第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと連続的に増加すること、かつ
前記多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の前記元素Fe、Tb、Pr及びErの酸化物の含有量が前記第2の層から前記第3の層へと;または前記第2の層から前記第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと連続的に減少することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記セラミック多層ブランクのすべての層のセラミック材料が酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)及び/または酸化セリウム(CeO2)をドープされた二酸化ジルコニウムを含むことを特徴とし、前記二酸化ジルコニウムが、酸化イットリウムをドープされ、前記第2の、第3の及び/または追加の層における酸化イットリウムの割合が、1重量%~15重量%、好ましくは2重量%~11重量%、より好ましくは2.5重量%~10重量%である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記セラミック多層ブランクのすべての層のセラミック材料が酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)及び/または酸化セリウム(CeO2)をドープされた二酸化ジルコニウムを含むことを特徴とし、前記二酸化ジルコニウムが、酸化イットリウムをドープされ、前記ピンク色の層における酸化イットリウムの割合が、0.3重量%~10.5重量%、好ましくは0.6重量%~7.5重量%、より好ましくは0.75重量%~7重量%である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月15日に出願の仮特許出願第63/125,456号の利益及び優先権を主張し、これは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、第1のセラミック材料の少なくとも第1の層と、第2のセラミック材料の少なくとも第2の層とを含むセラミック多層ブランクを製作するための方法に関し、第1の層及び第2の層は、異なる組成物のセラミック材料から製造され、これらは注入可能な状態で一層ずつ鋳型に充填され、その後プレスされ次いで焼結される。
【背景技術】
【0003】
米国特許第8 936 848 B2号は、代替歯の作製に使用され、かつ異なる化学組成物の複数の層を含む二酸化ジルコニウムのブランクを開示する。これによる個々の層は、異なる割合の酸化イットリウムを有する。
【0004】
二酸化ジルコニウムの本体は、L*a*b*色空間で直線に沿って色度の減少または増加を示す。
【0005】
国際公開第2014/062375 A1号による歯科対象物を作製するための二酸化ジルコニウムのブランクは、正方晶相と立方晶系の結晶相の異なる割合を有する少なくとも2つの材料領域を有し、一方の領域では、比率が1より高く、他方の領域では、比率が1より低い。
【0006】
欧州特許出願公開第2 371 344 A1号は、表面~所望の深さで安定化剤に富むセラミック体に関する。
【0007】
二酸化ジルコニウムは、歯科修復物を製作するためのセラミック材料として使用される。フレームワークは、例えば二酸化ジルコニウムのブランクから引き延ばされ得、その後焼結され得る。次の加工段階では、ベニヤが、手動でフレームワークに適用され、少なくとも1つの門歯材料が、手動で適用され、融着される。これらのプロセスステップの全ては、時間を要する。
【0008】
二酸化ジルコニウム系をベースとした歯科修復物用の多くのセラミック材料がすでに研究されているが、ヒトの歯肉と高い類似性を有するピンク色を提供できる特定のセラミックベース材料を製作することは現在に至るまで非常に困難であることが判明している。
【0009】
このようなピンク色のセラミック材料及びそれらを製造するための方法を提供することは、総義歯または部分義歯、インプラント支持上部構造、またはインプラント支持義歯の製造などの、歯科修復のための歯科業界によりますます必要とされている。
【0010】
本発明の目的
従来技術を考慮して、本発明の目的はしたがって、歯科修復用途のためのピンク色のセラミック材料を製作するための方法を提供することであり、ここで、ピンク色のセラミック材料は、ヒトの歯肉に可能な限り類似する。
【発明の概要】
【0011】
これらの目的と、明示的には述べられないが、序論として本明細書で論じた関連性から直ちに導出可能なまたは識別可能なさらなる目的は、請求項1に記載のすべての特徴を有する方法によって達成される。本発明の方法に対する適切な修正は、従属請求項2~18で保護される。
【0012】
本発明はしたがって、第1のセラミック材料の少なくとも第1の層と、第2のセラミック材料の少なくとも第2の層を含むセラミック多層ブランクを製作するための方法を提供し、第1の層及び第2の層は、異なる組成物のセラミック材料から製造され、これらは鋳型中に一層ずつ注入可能な状態で充填され、その後プレスされ次いで焼結され、
第1の層はピンク色の層であり、ここで第1のセラミック材料は、2~25重量%、好ましくは4~17重量%、より好ましくは5~12重量%の酸化エルビウムを含む
ことを特徴とする。
【0013】
したがって、歯科修復用途用のピンク色のセラミック材料を製作する方法を提供することが予期せず可能であり、このピンク色のセラミック材料は、ヒトの歯肉に類似している。
【0014】
本発明をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の発明の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に従うアセンブリ及びそれを用いて実施できるプロセスステップの概略図を示す。
図2】より詳細に図1b)に示されるアセンブリを示す。
図3】本発明による代替方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「実質的に含まない」という表現は、本発明の文脈において、0.0005重量パーセント未満、好ましくは0.0003重量パーセント未満、より好ましくは0.0001重量パーセント未満の濃度を意味する。
【0017】
一実施形態では、セラミック多層ブランクは、少なくとも第3の層をさらに含み、第3の層は、第3のセラミック材料から製造され、それは、第1の層とは異なる組成物を有し、かつそれは、第2の層とは異なるまたは同一の組成物を有し;
注入可能な状態の第2のセラミック材料の第2の層の充填の後に、第2の層の表面は、その表面全体で見て第2の層がその高さにおいて領域ごとに異なるように構造化され、その後第3の層として、注入可能な状態の第3のセラミック材料の層が、鋳型内に充填される;または
注入可能な状態の第2のセラミック材料の第2の層の充填の後に、第2の層とは異なる、注入可能な状態の中間セラミック材料の中間層が、鋳型内に充填され;第2の層の第2のセラミック材料は、第3の層の第3のセラミック材料と混合されて中間セラミック材料の中間層を形成し;次に、注入可能な状態の第3のセラミック材料の第3の層が、鋳型内に充填される。
【0018】
その代替実施形態では、セラミック多層ブランクは、複数の追加の層をさらに含み、上記の追加の層のそれぞれは、セラミック材料で製造され、それは、第1の層とは異なる組成物を有し、かつそれは、第2の層とは異なるまたは同一の組成物を有し;
注入可能な状態の第2のセラミック材料の第2の層の充填の後に、第2の層の表面は、その表面全体で見て第2の層がその層の高さにおいて領域ごとに異なるように構造化され、次いで第1の上記の追加の層として、注入可能な状態の上記の追加の層のセラミック材料の層が、鋳型内に充填され;
注入可能な状態の上記の追加の層のセラミック材料の第1の上記の追加の層の充填の後に、第1の上記の追加の層の表面は、その表面全体で見て第1の上記の追加の層がその高さにおいて領域ごとに異なるように構造化され、次いで第2の上記の追加の層として、注入可能な状態の上記の追加の層のセラミック材料の層が、鋳型内に充填され;
第2の上記の追加の層が最後の追加の層でない場合、前述の方法ステップが、注入可能な状態のすべての追加の層が鋳型内に充填されるまで繰り返される。
【0019】
その一実施形態では、それぞれの層の表面は、隆起及び凹部が提供されるように構造化される。
【0020】
別の代替実施形態では、セラミック多層ブランクは、複数の追加の層をさらに含み、追加の層のそれぞれは、セラミック材料で製造され、それは、第1の層とは異なる組成物を有し、かつそれは、第2の層とは異なるまたは同一の組成物を有し;
注入可能な状態の第2のセラミック材料の第2の層の充填の後に、第2の層とは異なる、注入可能な状態の第1の中間セラミック材料の第1の中間層が、鋳型内に充填され;第2の層の第2のセラミック材料は、第1の上記の追加の層のセラミック材料と混合されて第1の中間セラミック材料の上記の第1の中間層を形成し;次に注入可能な状態のセラミック材料の第1の上記の追加の層が、鋳型内に充填され;
注入可能な状態のセラミック材料の第1の上記の追加の層の充填の後に、注入可能な状態の上記の追加の層のセラミック材料の第2の上記の追加の層が、鋳型内に充填され;第1の上記の追加の層のセラミック材料が、第2の上記の追加の層のセラミック材料と混合されて第2の中間セラミック材料の上記の第2の中間層を形成し、その後第2の上記の追加の層が、鋳型内に充填され;
第2の上記の追加の層が最後の追加の層でない場合、前述の方法ステップが、注入可能な状態のすべての追加の層が鋳型内に充填されるまで繰り返される。
【0021】
一実施形態では、セラミック多層ブランクは、2~5の、好ましくは2~4の、より好ましくは3つの追加の層を含み、上記の追加の層のそれぞれが、セラミック材料で製造され、それは、第1の層とは異なる組成物を有し、かつそれは、第2の層とは異なるまたは同一の組成物を有する。
【0022】
一実施形態では、第2の層のセラミック材料及び/または第3の層のセラミック材料は、元素Mn、Co、Fe、Tb、Pr及びErの少なくとも1つの酸化物を含み;
及び/または第1の層のセラミック材料は、元素Mn、Co、Fe、Tb及びPrの少なくとも1つの酸化物をさらに含む。
【0023】
一実施形態では、第2の層のセラミック材料及び/またはすべての追加の層のセラミック材料は、元素Mn、Co、Fe、Tb、Pr及びErの少なくとも1つの酸化物を含み;
及び/または第1の層のセラミック材料は、元素Mn、Co、Fe、Tb及びPrの少なくとも1つの酸化物をさらに含む。
【0024】
一実施形態では、セラミック多層ブランクの第1の層のセラミック材料及び/または第2の層のセラミック材料及び/または第3の層のセラミック材料及び/またはすべての追加の層のセラミック材料は、0.0005~0.02重量%、好ましくは0.0005~0.01重量%、より好ましくは0.0005~0.05重量%の元素Mnの酸化物をさらに含み;及び/または
セラミック多層ブランクの第1の層のセラミック材料及び/または第2の層のセラミック材料及び/または第3の層のセラミック材料及び/またはすべての追加の層のセラミック材料は、0.0005~0.1重量%、好ましくは0.0005~0.07重量%、より好ましくは0.0005~0.05重量%の元素Coの酸化物をさらに含む。
【0025】
一実施形態では、多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の元素Mnの少なくとも1つの酸化物の含有量は、第2の層から第3の層へと;または第2の層から第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと、連続的に増加する。
【0026】
一実施形態では、元素Mnの少なくとも1つの酸化物の含有量は、第2の層から第3の層へと;または第2の層から最後の追加の層へと、合計で1~50ppmだけ、好ましくは1~30ppmだけ、より好ましくは1~10ppmだけ連続的に増加し;セラミック多層ブランクは、実質的に、好ましくは完全に、元素Coのいかなる酸化物も含まない。
【0027】
一実施形態では、多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の元素Coの少なくとも1つの酸化物の含有量は、第2の層から第3の層へと、または第2の層から第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと、連続的に増加する。
【0028】
一実施形態では、元素Coの少なくとも1つの酸化物の含有量は、第2の層から第3の層へと;または第2の層から最後の追加の層へと、合計で1~100ppmだけ、好ましくは1~60ppmだけ、より好ましくは1~30ppmだけ連続的に増加し;セラミック多層ブランクは、実質的に、好ましくは完全に、元素Mnのいかなる酸化物も含まない。
【0029】
一実施形態では、多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の元素Mn及びCoの酸化物の含有量は、第2の層から第3の層へと、または第2の層から第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと、連続的に増加する。
【0030】
一実施形態では、元素Mn及びCoの酸化物の含有量は、第2の層から第3の層へと;または第2の層から最後の追加の層へと、合計で1~35ppmだけ、好ましくは1~20ppmだけ、より好ましくは1~6ppmだけ元素Mnの酸化物について連続的に増加し;一方で合計で1~70ppmだけ、好ましくは1~40ppmだけ、より好ましくは1~20ppmだけ元素Coの酸化物について連続的に増加する。
【0031】
一実施形態では、多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の元素Mn及びCoの酸化物の含有量は、第2の層から第3の層へと;または第2の層から第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと、連続的に増加し;かつ
多層ブランクのそれぞれの層のそれぞれのセラミック材料中の元素Fe、Tb、Pr及びErの酸化物の含有量は、第2の層から第3の層へと;または第2の層から第1の追加の層を経由して連続的にさらに最後の追加の層へと、連続的に減少する。
【0032】
一実施形態では、セラミック多層ブランクのすべての層のセラミック材料は、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)及び/または酸化セリウム(CeO2)がドープされた二酸化ジルコニウムを含み、二酸化ジルコニウムは、酸化イットリウムがドープされ、第2の層、第3の層及び/または追加の層における酸化イットリウムの割合は、1重量%~15重量%、好ましくは2重量%~11重量%、より好ましくは2.5重量%~10重量%である。
【0033】
一実施形態では、セラミック多層ブランクのすべての層のセラミック材料は、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)及び/または酸化セリウム(CeO2)がドープされた二酸化ジルコニウムを含み、二酸化ジルコニウムは、酸化イットリウムがドープされ、ピンク色の層中の酸化イットリウムの割合は、0.3重量%~10.5重量%、好ましくは0.6重量%~7.5重量%、より好ましくは0.75重量%~7重量%である。
【0034】
上で概説した方法は、その後の第1の層及び第2の層の充填の後に、第2の層が、その表面に沿って見たときに異なる高さの領域を含むように表面構造を与えられ、すなわちそれは均一な充填高さを有しない、かつその組成物が第2の層と異なる第3の層または第1の追加の層が、鋳型内に次に充填されることを定義する。
【0035】
別の方法として、第2の層と比較して異なる組成物を有する中間層が、第2の層の上で鋳型内に充填され、両方の層が、混合され、その後第3の層または第1の追加の層が次いで、ダイ内に充填される。中間層の自由表面から開始して中間層の高さの2倍または約2倍である高さにわたり第3の層または第1の追加の層の材料と混合される中間層の材料が、特に提供される。さらに、第3の層または第1の追加の層に使用される材料と同じ材料である中間層の材料が、特に提供される。
【0036】
本発明によれば、第1の代替案では最初に、注入可能な状態の第1及び第2の層の材料が、鋳型内に充填される。第2の層の材料は、例えば1g/cm~1.4g/cm、好ましくは1.15g/cm~1.35g/cmの範囲のかさ密度を有する、歯の色をした二酸化ジルコニウム粒状材料であり得る。40μm~70μmの粒径D50を有し得る第2の層の粒状材料の充填後に、表面が、平滑化され、および次いで、特に互いに平行に、特にしかし、同心円状でまたは互いに平行に延在する凹部(谷)及び隆起を有する構造を成形または形成する。この目的のために、構造が、第2の層に対して移動する、特に第2の層に対して回転する要素を介して形成されること、特にその表面領域において第2の層が波状、櫛状または鋸歯状の断面構造を有することが条件である。隆起及び谷が交互に現れる構造を形成するために第2の層の表面の擬似的な「傾斜(raking)」がある。
【0037】
特に、構造は、隆起の容積が凹部または谷部の容積と等しいか、またはほぼ等しいように形成される。
【0038】
鋸歯状要素は好ましくは、形状が対称でありかつ15°~45°の角度をなす側面を有する、V字形の歯を有する。隣接する歯の間の距離、すなわち頂点から頂点の距離は、1mm~4mm、好ましくは1mm~3mmでなければならない。
【0039】
注入可能な第3または第1の追加のセラミック材料が次に、鋳型内に充填され、構造の谷を形成するトラフから始まり量が増加し、そのため結果として、隆起の高さにわたり第3の層または第1の追加の層の割合における実質的に一定の増加がある。表面の平滑化の後に、層が、圧縮されて、3g/cmあたりのおよその密度を達成する。予備焼結が次いで、例えば100分~150分間の間、700℃~1100℃、特に800℃~1000℃の範囲の温度で行われる。このようにして製造されたブランクは次に、例えばミリング及び/または研削により加工されて、所望の歯科修復物を生成し、それは次いで、例えば二酸化ジルコニウムの場合、6.0~6.1g/cmの範囲にある、最終密度が得られるまで焼結される。
【0040】
完全な密度への完全/最終焼結は、例えば、1300℃~1600℃の範囲の温度で10分~250分間行われる。完全な焼結は、若干高い温度で実施され得る。焼結が例えば製造業者によって指定された出発材料の温度よりも100℃高い温度で実施される場合、これは、過剰焼結と呼ばれ、完全な焼結に対して指定された時間に相当する焼結時間を有する。
【0041】
完全な焼結は特に、1350℃~1550℃の範囲で実施され、6.0~6.1g/cm、特に6.04~6.09g/cmの密度が、達成され得る。
【0042】
第2の層、及び第3の層または追加の層の貫通は、異なる物理的及び光学的特性がブランクの高さ全体にわたり実現できるという利点をもたらす。したがって、第2の層が必要な程度に着色されると、歯の色をした縁領域が、貫通する第2の層及び第3の層または第1の追加の層の材料により形成される移行領域にわたり、完全な焼結後に得られ、材料中で歯の色の強度(本発明の意味におけるこの表現「強度」の同義語は、表現「彩度」である)は、連続的に減少し、同時に半透明性は、所望の様式で増加する。歯科修復物が次いで、層の方向を考慮して、特にミリング加工により、ブランクから製作され、歯科修復物は、門歯が第3の層または第1の追加の層の領域に延在するようにブランク中に「置かれ」る。
【0043】
それとは独立して、第2の層と、第3の層または追加の層の間の連続的な移行が、本発明の教示に基づきもたらされ、それにより色/半透明度が、連続的に減少または増加し、曲げ強度もまた、広範囲の負荷がかかる歯科修復物の領域が、それほど重く負荷されない領域よりも高い曲げ強度を有するように、調整され得る。
【0044】
好ましい様式では、第2の層及び第3の層または追加の層の材料を混合する実現性は、この構造を達成するために、特に、鋳型の長手方向軸に沿って延在する軸を中心に、要素を回転させることによってもたらされ、これは、層の表面の材料を置き換えることによる、波状または鋸歯状の構造とも呼ばれる。表面の方向で第2の層に作用し、かつ特に、その表面で延在する隆起があり、それらの間に延在する凹部を有する、圧力要素を用いてこの構造を形成する可能性もまたあり、それにより、スタンプとも呼ばれる要素のネガ型が、第2の層の表面に刻印される。次に、上で説明したとおり、第3の層または第1の追加の層のセラミック材料が、充填され、次いで平滑化されて層を一緒にプレスし、次にプレスされた物体を予備焼結する。
【0045】
本発明はまた、第2の層及び第3の層または第1の追加の層が、第2の層及び第3の層、または第1の追加の層の合計の高さの1/15~1/4、特に1/10~1/5である高さHにわたり、それらの重なり合った領域で相互に貫通することを特徴とする。
【0046】
第2の層は、構造化されない状態で、第2の層及び第3の層または第1の追加の層の合計の約1/2から2/3に相当する高さを有するべきである。
【0047】
本発明は、とりわけ、以下の手段によって特徴付けられる。まず、第1のセラミック材料の第1の層と、第2のセラミック材料の第2の層が、鋳型内に一層ずつ注入可能な状態で充填される。ここで、第1の層及び第2の層は、異なる組成物のセラミック材料から製造される;第1の層は、ピンク色の層であり、第1のセラミック材料は、2~25重量%、好ましくは4~17重量%、より好ましくは5~12重量%の酸化エルビウムを含む;第2の層は、歯の色の第1の層であり、第2の層のセラミック材料は、主に二酸化ジルコニウムからなる。
【0048】
第2の層の充填高さは、プレス前の第2の層及び第3の層またはすべての追加の層のブランク高さのほぼ1/2~2/3に相当する。
【0049】
表面は次いで、特別に構造化された要素またはスタンプによって構造化され、この構造は、第2の材料から第2の層及び第3の層または第1の追加の材料への特性の連続的な移行が存在するように設計できる。また、第2の層の表面形状は、層材料の拡散係数と合わされてよい。
【0050】
好ましくは、回転する要素が、使用され、それは、鋳型内、すなわち第2の層が配置される鋳型内に降下され、その後必要とされる程度に第2の層内に浸漬される。表面は、波状のまたは櫛状の要素のように層側で構造化される、要素を回転させることにより選択的に構造化される。あるいは、表面は、好適な形状を有するプレスプランジャーにより構造化されてもよい。
【0051】
その後、鋳型は、第2及び第3または第1の追加の、セラミック材料を充填される。セラミック材料の通常のプレス及び予備焼結が次に、起こる。
【0052】
中間層を形成するための材料が次いで第2の層の充填後に鋳型内に充填される場合も、本発明から逸脱するものではない。
【0053】
中間層は、例えば、鋳型内に充填される第2の層及び第3の層または追加の層の合計の高さの1/10~1/5の高さを有し得る。中間層材料は次いで、第2の層と混合される。この場合、混合は、中間層の高さに対応する深さへと第2の層内に少なくとも貫通する要素で行われる。次に、前述の第3または第1の追加の層に対応する層が、鋳型内に充填される。上で説明したとおり、セラミック材料が次いで、ブランクにプレスされ、予備焼結されて、特に、ミリング加工によってそのように製作されるブランクから歯科修復物を得る。さらなるプロセスステップは、全密度へと焼結を完了することである。中間層の材料は、第3の層または第1の追加の層のものでなければならない。
【0054】
上述した本発明の方法は、総義歯または部分義歯、インプラント支持上部構造、またはインプラント支持義歯の製作に好適であることが判明している。
【0055】
本発明の意味において、本発明の方法はしたがって(上述のとおり)、本発明の方法の最後で予備焼結されるまたは完全焼結される、多層ブランクを提供するために適用できる。
【0056】
本発明の方法は、それによりセラミック多層ブランクを提供し、それは、当業者により使用されて、ブランク中に上に列挙した必要とされる歯科修復物をデジタル的に位置決めでき、ブランクの第1のセラミック層の完全に内側にヒトの歯肉の将来の領域を配置するように留意しなければならない一方で、将来の象牙質領域は、ブランクの他の層(第2及び第3のセラミック層;または第2の層及び追加の層)中に完全に配置される。ブランクから歯科修復物を製作した後で、当業者はさらに、最終的に歯科修復物にグレージングを施す前に、ステインまたはグレーズ材料を塗布することにより、象牙質領域へのヒトの歯肉の移行領域において続いて加工する必要がある。
【0057】
本発明はしたがって、歯科修復用途のためのピンク色のセラミック材料を製作する方法を提供するという問題に取り組み、ピンク色のセラミック材料は、ヒトの歯肉に可能な限り類似する。
【0058】
以下の非限定的な実施例は、本発明の実施形態を説明するため、および本発明の理解を容易にするために提供され、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0059】
図1及び図2を参照して、対応する歯科修復物を製作できる、ブランクの製造を説明する。
【0060】
第1のセラミック材料の第1の層を設けることは、本発明のすべての実施形態で予見される場合であっても、すべての図で明示的に示されるわけではない。したがって、前に説明したように、第1のセラミック材料の第1の層は常に、最初に鋳型内に注入可能な状態で充填され、第1のセラミック材料は、2~25重量%、好ましくは4~17重量%、より好ましくは5~12重量%の酸化エルビウムを含む。
【0061】
次に、図1a)に示すとおり、第2の材料14が、プレス12の鋳型(「鋳型」という表現の他の同義語は、表現「ダイ」である)10内に第1のセラミック材料の第1の層の表面の上でその後充填される。
【0062】
その後、第3または第1の追加の層24が、ダイ10内に充填され(図1c)、層14及び24の合計の高さは、本発明による教示を制約するものではないが、構造化されない状態の層14の2倍の高さに等しい。
【0063】
第2の層14が好ましくは、第2の層及び、第3の層または第1の追加の層、14、24の合計の高さHの半分に相当する高さを有する場合、第2の層14の高さは、1/2H~2/3Hであってよく、したがって第3または第1の追加の層24の高さは、1/3H~1/2Hである。
【0064】
平滑化された表面は次に、ステップb)に従って構造化される。この目的のために、例えば、ディスク状の、プレート状の、またはウェブ状の要素16が、使用され、それは例示的な実施形態では、層側に歯の形状を有し、これにより対応するネガ型構造が、材料を置き換えることにより層14の表面18に形成される。この構造は、同心円状に延在する隆起と周囲の谷によって表される。隆起(頂点)と谷部(凹部)の間の距離、すなわち、図2による突起20と谷底部22の間の明確な距離は、すべての層の高さの約1/5であるべきである。
【0065】
特に、構造は隆起の容積が凹部または谷部の容積と等しいかほぼ等しいように形成されるということが、条件である。
【0066】
第3の層または第1の追加の層24の材料は、層14の表面18の谷26の底部へと貫通するので、層24及び14が図1d)に従ってプレスされた後に、層14と層24の特性間に連続的な移行が存在する。移行層または中間層は、図1d)において参照番号28で示される。
【0067】
層14、24は、1000バール~3000バールの圧力で、スタンプ30によってプレスされる。
【0068】
注入可能な材料は、すなわち、それがダイ10内に充填される状態で、1g/cm~1.4g/cmのかさ密度を有する。プレス後、この密度は、ほぼ3.0~3.5g/cmである。
【0069】
構造化の結果として、最大で2g/cmの密度が、層14及び24が圧縮される前に、第2の層と、第3の層または第1の追加の層、14、24の混合されない領域の間の移行領域において得られる。移行領域は、中間層28とも呼ばれ得る。
【0070】
プレス後、製作されたブランクは、鋳型10から排出され、100分~150分の期間の間800℃~1000℃の温度で、通常のやり方で予備焼結される。
【0071】
図3を参照して、本発明の教示に従う代替方法が示され、ここでブランクまたは歯科修復物が、調製され、それは、第2の層と第3の層または第1の追加の層の間にほぼ連続的な移行をもたらす。
【0072】
また本明細書では、第1のセラミック材料の第1の層は、鋳型内に注入可能な状態で最初に充填され、第1のセラミック材料は、2~25重量%、好ましくは4~17重量%、より好ましくは5~12重量%の酸化エルビウムを含む。
【0073】
次いで、図3aにより、図1による層14に相当する第2のセラミック材料が、ダイ10内にその後充填される。図3a中の対応する層は、数字114によって示される。この層の高さは、ダイ10内に充填される全層の高さの半分であり得る。例示的な実施形態では層の合計高さの1/10である厚さを有する層127が次に、層114に適用される。層127の材料は、図1による第3の層または第1の追加の層24の材料に相当してよい。層127は次いで、層127の厚さに相当する深さにわたり層114の表面領域と混合される。これは、層の合計の高さの2/10の厚さを有する中間層128を形成する。図1による第3の層または第1の追加の層24に相当するさらなる層124が次に、中間層128に適用される。例示的な実施形態における層124の高さはしたがって、合計の高さHの4/10である。層124、128、114は次いで、図1の例示的な実施形態に従って一緒にプレスされて、記載のとおり、予備焼結、加工、及び完全焼結のプロセスステップの実施を可能にする。加工は当然ながら、完全焼結後に行われてよい。
【0074】
本発明の原理は、ある特定の実施形態に関して説明され、例示の目的で提供されているが、その様々な修正が、本明細書を読んだときに当業者には明らかになると理解されるものとする。したがって、本明細書に開示される本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるような変形を網羅すると意図されることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
【国際調査報告】