IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トタル ラフィナージュ シミの特許一覧

特表2024-501486デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ
<>
  • 特表-デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ 図1
  • 特表-デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ 図2
  • 特表-デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ 図3
  • 特表-デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ 図4
  • 特表-デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ 図5
  • 特表-デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ 図6
  • 特表-デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】デブリ濾過グリルを有する分離剥離エンクロージャ
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/24 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
B01J8/24 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536025
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 FR2021052413
(87)【国際公開番号】W WO2022136790
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2014103
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510063177
【氏名又は名称】トタルエナジーズ ワンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】レズギ,ラッサード
(72)【発明者】
【氏名】デッカー,セバスティアン
【テーマコード(参考)】
4G070
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB32
4G070CA03
4G070CA08
4G070CB17
4G070DA02
(57)【要約】
本発明は、長手軸線を有する内部ボリューム(12)を規定する側壁(11)を含み、分離セクション(13)と、分離セクションの下流(エンクロージャ内の粒子の循環に関して下流)において粒子を剥離する剥離セクション(14)とを、内部ボリューム内に含む、粒子を含む流出物を分離及び除去するためのエンクロージャ(10)に関する。本発明のエンクロージャは、剥離セクション(14)の上流に、又は、エンクロージャの内部断面を通って延在する剥離要素を備えた剥離セクションのゾーン(142)の上流に、長手軸線に対して横方向に延在する少なくとも1つのグリル(20~23)を有し、長手軸線と垂直な横断面に対する、単一のグリル(22,23)又はすべてのグリル(20,21)の投影面が、エンクロージャの内部断面の80~100%をカバーする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸線を有する内部ボリューム(12)の境界を定める側壁(11)を含み、粒子の分離セクション(13)と、エンクロージャ内の粒子の循環に関して分離セクションの下流に位置する粒子の剥離セクション(14)とを、内部ボリューム内に含む、粒子を含む流出物を分離及び除去するためのエンクロージャ(10)であって、
剥離セクション(14)の上流に、又は、エンクロージャの内部断面を通って延在する剥離要素を備えた剥離セクションのゾーン(142)の上流に、長手軸線に対して横方向に延在する少なくとも1つのグリル(20~23)を有し、
長手軸線と垂直な横断面に対する、単一のグリル(22,23)又はすべてのグリル(20,21)の投影面が、エンクロージャの内部断面の80~100%をカバーし、
前記少なくとも1つのグリルが、メッシュを形成する複数の交差壁(30,31)によって形成され、
隣接するメッシュが、長手軸線と平行な方向に測定される高さが異なる壁部分(30a,31a)を有していることをを特徴とするエンクロージャ(10)。
【請求項2】
長手軸線と垂直な横断面に対する、単一のグリル(22,23)又はすべてのグリル(20,21)の投影面が、単一のグリル(22,23)の平面において、又は、剥離セクションの、或いは、剥離要素を備えた剥離ゾーンの近位グリル(20)の平面において、長手軸線に沿って投影された、エンクロージャの内部自由ボリュームの表面の80~100%をカバーし、
内部自由ボリュームが、グリル以外の機器を備えていない、単一グリル(22,23)又は近位グリル(20)の上流に位置するエンクロージャの内部ボリュームの一部として定義されることを特徴とする、請求項1に記載のエンクロージャ(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのグリル(20~23)が、長手軸線周りに少なくとも300°にわたって連続的に延在し、
長手軸線と垂直な平面に対するグリルの投影面が、エンクロージャの内部断面の少なくとも一部をカバーし、エンクロージャの側壁から長手軸線を隔てる距離の少なくとも一部にわたって半径方向に延在していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエンクロージャ(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのグリル(20~23)の投影面が、エンクロージャの側壁から長手軸線を隔てる距離の一部にわたって半径方向に延在するエンクロージャの内部断面の一部をカバーし、任意に、
- 長手軸線からエンクロージャの側壁に向かって半径方向に延在する中央部分、及び、
- エンクロージャの側壁から長手軸線に向かって半径方向に延在する環状外側部分、
から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【請求項5】
剥離セクション(14)のゾーン(142)が、長手軸線と垂直な平面において開口部(143)を規定する入口面(144)を有し、
前記少なくとも1つのグリル(20~23)が、メッシュ(132)を形成する複数の交差壁(30,31)によって形成され、
長手軸線と垂直な平面の方向に測定されるメッシュの寸法が、長手軸線と垂直な平面の方向に測定される剥離セクションのゾーンの開口部(143)の寸法よりも小さいことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのグリル(20~23)が、メッシュを形成する複数の交差壁(30,31)によって形成され、
これらの壁が、エンクロージャの軸線に平行、又は、実質的に平行に延在していることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのグリル(20~23)が、
- 粒子の循環に関して上流から下流に広がる円錐形状又は円錐台形状を有するグリル(21,22,23)、
- 長手軸線と垂直な平面において延在する平面グリル(20)、
から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのグリル(21,22,23)が、エンクロージャの側壁のみに取り付けられていることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【請求項9】
分離セクション(13)が、長手軸線周りに分散された複数の分離装置(16)を有し、
前記少なくとも1つのグリル(20)が、少なくとも2つの分離装置のみに取り付けられ、任意には、各分離装置に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのグリル(20)が、分離装置よりも半径方向外側へ延在していないことを特徴とする、請求項9に記載のエンクロージャ(10)。
【請求項11】
分離装置(16)に、粒子を剥離セクションに排出するための排出導管(163)がそれぞれ設けられ、
前記少なくとも1つのグリル(20)が、少なくとも2つの排出導管のみに取り付けられ、任意には、各排出導管に取り付けられていることを特徴とする、請求項9又は10に記載のエンクロージャ(10)。
【請求項12】
分離セクション(13)が、少なくとも1つの分離装置(15,15’,16)を有し、
前記少なくとも1つのグリルが、前記少なくとも1つの分離装置が通過する少なくとも1つのオリフィス(33,34)を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【請求項13】
分離セクション(13)が、粒子を剥離セクションに排出するための排出導管(163)を備えた少なくとも1つの分離装置(16)を有し、
前記少なくとも1つのグリルが、排出導管の下流に位置し、この排出導管の下に長手軸線と平行な方向に位置するオリフィスを含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【請求項14】
分離セクションが、粒子を排出するための排出導管(153,153’,163)を備えた少なくとも1つの分離装置(15,15’,16)を有し、
前記少なくとも1つのグリルが、排出導管の一端の上流に位置することを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載のエンクロージャ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、分離剥離エンクロージャ、特に、デブリ濾過グリルを有する、流動床式接触分解ユニットからの流出物用の分離剥離エンクロージャである。
【背景技術】
【0002】
分離剥離エンクロージャは、流動床式接触分解法(FCC法)において、一般的に使用されている。これらのエンクロージャの中で、接触分解反応器からの流出物は、含有する粒子(即ち、コークス化した触媒粒子)から分離される。それらの粒子は、FCCユニットの再生器に送られる前に、コークスの燃焼によるエンクロージャ内での再生のために、剥離作業を受ける。
【0003】
これらの分離剥離エンクロージャは、「ディスエンゲイジャー」、「ストリッパー」とも呼ばれ、通常、少なくとも1つの粒子分離システムと、少なくとも1つの分離システムの下流(エンクロージャ内において粒子が循環する方向(通常は上から下へ流れる)についての下流)側に位置する粒子剥離セクションとを有している。しかしながら、コークスの破片、及び/又は、分離剥離エンクロージャの側壁の内面を覆う保護被覆の破片が剥がれて落下し、剥離セクション内に位置することが起こり得る。この剥離セクションに存在するこのような破片は、特に、剥離セクションが、構造化された内部要素(「ライニング」又は「パッキン」とも呼ばれる)を含む場合、剥離プロセスを低下させる可能性があり、また、内部要素は、それらの破片によってブロックされる可能性がある。
【0004】
しかし、FCCユニットでは、コークス化した触媒粒子に捕捉された炭化水素をできるだけ効果的に分離することが不可欠である。コークス化粒子の剥離が不十分であると、触媒の多孔質系に捕捉された分解炭化水素の再生器へのエントレインメントが増加し、再生器の温度上昇につながる。このような増加は、分解装置の出力が低下し、乾燥ガスの生産量が増加し、装置内で処理できる重負荷(大気中の残留物など)の量を減らす必要が生じ、C~Cオレフィン、ガソリン、及び、軽油ベースなどの予想される変換生成物の生産のロスにつながる可能性がある。更に、再生器の過熱により、極端な場合には冶金的損傷が発生し、触媒の失活を加速させる可能性がある。更に、ストリッパーが部分的に遮断されると、触媒が通過する断面積が制限され、従って、その循環流が制限される(従って、その剥離効率等が制限される)。
【0005】
ストリッパーに、構造化パッキン(例えばバッフル)よりも通路の断面が開いた内部要素が装備されている場合、反応器から到来したコークスの大きな破片/デブリが落下すると、ストリッパーの内部要素を通過し、ストリッパーの底部のスタンドパイプに進入し、剥離された触媒が再生器に運ばれる可能性がある。深刻な場合には、デブリの量が、スタンドパイプや、スタンドパイプ内に一般に含まれる触媒の循環速度を調節するバルブの全体的、又は、部分的な閉塞を引き起こす可能性があり、これにより触媒の循環、従って、FCCユニットの循環が停止する可能性がある。US2005040075A1には、剥離ゾーンの出口に位置する(このゾーンに存在する内部要素の下流に位置する)コークスデブリ、及び、耐火物を回収するためのグリルを有する剥離装置が記載されている。このアプローチは、この回収システムの上流に位置するストリッパーの内部要素の閉塞を防ぐことはできず、従って、上記問題を回避することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開2005040075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、FCCユニットの分離剥離エンクロージャの剥離セクションを保護する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、長手軸線を有する内部ボリュームの境界を定める側壁を含み、粒子の分離セクションと、エンクロージャ内の粒子の循環に関して分離セクションの下流に位置する粒子の剥離セクションとを、内部ボリューム内に含む、粒子を含む排出物を分離及び剥離するためのエンクロージャが提案される。
【0009】
本発明によれば、エンクロージャは、剥離セクションの上流に、又は、エンクロージャの内部断面を通って延在する剥離要素を備えた剥離セクションのゾーンの上流に、長手軸線に対して横方向に延在する少なくとも1つのグリルを有している。単一のグリル、又は、2つ以上のグリルを含めることができる。本発明によれば、長手軸線と垂直な横断面に対する、単一のグリル又は2つ以上のグリルの投影面が、エンクロージャの内部断面の80~100%をカバーしている。従って、内部断面の80~100%(長手軸線に対して垂直方向に測定される)が、単一のグリル又はすべてのグリルの重ね合わせによってカバーされる。
【0010】
グリルにより、エンクロージャの上部から到来するコークスの破片、及び/又は、被覆の破片の一部が保持され、それらが剥離セクションに進入することを防止することができ、剥離作業が妨害されるリスクを軽減できる。
【0011】
グリルの投影面は、エンクロージャの内部断面の全体にわたって延在してもよい。但し、特に、粒子分離装置タイプや反応器などの内部機器の存在により、利用可能なスペースが減少した場合には、これを達成するのは困難になる可能性がある。
【0012】
有利には、長手軸線と垂直な横断面に対する、単一のグリル又はすべてのグリルの投影面が、単一のグリルの平面において、又は、剥離セクションの、或いは、剥離要素を備えた剥離ゾーンの近位グリル(最下位のグリル)の平面において、長手軸線に沿って投影された、エンクロージャの内部自由ボリュームの表面の80~100%をカバーすることができる。このエンクロージャの内部自由ボリュームは、本発明に係るグリル以外の機器を備えていない、単一グリル又は近位グリルの上流に位置するエンクロージャの内部ボリュームの一部として定義される。換言すれば、グリルは、必ずしも筐体内に存在する機器の下方において、長手軸線に沿って延在する必要はない。従って、グリルの幾何学的形状は、エンクロージャの内部に存在する機器(特に分離セクションに存在する機器)の幾何学的形状に依存することができる。
【0013】
一般的には、1つ以上のグリル(典型的には、1つ又は2つのグリル)を設けることが可能である。グリルが2つ以上設けられる場合、それらは長手軸線に沿った異なる位置に配置されることが好ましい。グリルが2つ以上設けられる場合、長手軸線と垂直な横断面に対するそれらの投影面は、部分的に重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。
【0014】
有利には、前記少なくとも1つのグリル(特に各グリル)は、長手軸線周りに少なくとも300°にわたって連続的に延在することができ、長手軸線と垂直な横断面に対するグリルの投影面が、エンクロージャの内部断面の少なくとも一部をカバーし、エンクロージャの側壁から長手軸線を隔てる距離の少なくとも一部にわたって半径方向に延在することができる。これにより、特にエンクロージャの内部ボリュームが機器によってふさがっている場合に、エンクロージャ内におけるグリルの位置決めが容易になる。
【0015】
有利には、前記少なくとも1つのグリルの投影面は、エンクロージャの側壁から長手軸線を隔てる距離の一部のみにわたって半径方向に延在するエンクロージャの内部断面の一部をカバーすることができる。
【0016】
この部分は、特に、
- 長手軸線からエンクロージャの側壁に向かって半径方向に延在する中央部分、及び、
- エンクロージャの側壁から長手軸線に向かって半径方向に延在する環状外側部分、
から選択することができる。
【0017】
特に、長手軸線に沿った異なる位置に配置される各タイプのグリルを、これら2つのグリルの投影面が、エンクロージャの内部断面の全部又は大部分(80%以上)をカバーするように設けることが可能である。
【0018】
一般に、FCCユニットの剥離セクションは、剥離要素(剥離流体と剥離される固体粒子との間の接触を促進する機能を有する)を備えた部分を有している。剥離要素は、英語で「パッキング」と呼ばれる、バッフル又はライニングであり、粒子に対して向流で循環する剥離流体の主噴射システムの上流(粒子の循環方向に関して)に位置する。剥離要素は、エンクロージャの内部断面を通って延在し、エンクロージャの長手軸線に沿ったいくつかのステージに分散させることができる。パッキンの例は、EP719850、US7022221、US7077997、及び、WO2007/094771、WO00/35575、CN1763150、EP1577368、EP1577368A1に記載されている。剥離セクションは、剥離要素のステージの間に位置する、及び/又は、剥離セクションへの入口(従って剥離要素の上流)に位置する1つ以上の他の剥離流体噴射システムを備え得る。従って、剥離セクションに進入する固体粒子は、まず、粒子の循環に関して剥離セクションの最も上流に位置するストリッピング要素を通過する。
【0019】
剥離要素を備えた剥離セクションのゾーンが、長手軸線と垂直な平面内に開口を形成する入口面を有している場合、前記少なくとも1つのグリルは、有利には、メッシュを形成するとともにメッシュの寸法(長手軸線と垂直な平面において測定される寸法)を規定する複数の交差壁から形成することができ、有利には、剥離セクションのゾーンの開口部の寸法(長手軸線と垂直な平面において測定される寸法)よりも小さくすることができる。従って、グリルは、最も上流の剥離要素の開口部を塞ぎにくい寸法のデブリのみを通過させることができる。
【0020】
いずれの実施形態においても、前記少なくとも1つのグリルは、メッシュを形成する複数の交差壁によって形成することができ、これらの壁は、エンクロージャの軸線と平行又は実質的に平行に延在することができる。このようにして、エンクロージャ内の剥離流体及び分解炭化水素の循環に対するグリルの影響が軽減される。粒子が循環するゾーンにグリルが配置されている場合、この配置により、粒子の循環に対するグリルの影響も軽減され、粒子によるグリルの浸食が制限される。
【0021】
いずれの実施形態においても、前記少なくとも1つのグリッドは、メッシュを形成する複数の交差壁によって形成することができ、隣接するメッシュは、異なる高さ(長手軸線と平行に測定される高さ)を有する壁部分を有することができる。これにより、グリル外へのコークスの破片/デブリのリターンを制限することが可能になる。このようなリターンは、特にグリルが水平面に延在している場合、落下時の跳ね返りやプラントの振動によって生じる可能性がある。
【0022】
前記少なくとも1つのグリルのうちの少なくとも1つのグリルは、粒子の循環に関して上流から下流へ広がる円錐形状又は円錐台形状を有していてもよい。従って、グリルは、長手軸線に対して傾斜しており、エンクロージャの側壁に向かうデブリの排出とその保持を促進する。従って、このタイプのグリルは、エンクロージャの側壁に(特に側壁のみに)固定されることが好ましく、デブリは、グリルの端とエンクロージャの側壁との間に蓄積されていき、流体の循環のためにエンクロージャの中心から離れていくことになる。従って、好ましくは、このタイプのグリルは、側壁を長手軸線から隔てる距離の一部にわたって、特に長手軸線周りの360°にわたって、側壁から長手軸線に向かって半径方向に延在し得る。
【0023】
円錐形状又は円錐台形状のグリルの頂部の角度は、20~70°、好ましくは30~50°とすることができる。
【0024】
前記少なくとも1つのグリルのうちの少なくとも1つのグリルは、長手軸線と垂直な平面内に延在する平面グリルであってもよい。このタイプのグリルは、側壁のみに固定され、又は、分離セクションに配置された少なくとも1つの分離装置のみに固定されてもよい。
【0025】
一般的に、いずれの実施形態においても、前記少なくとも1つのグリルは、エンクロージャの側壁にのみ固定され得る。或いは、分離セクションが、長手軸線周りに分散された複数の分離装置を有している場合、前記少なくとも1つのグリルは、少なくとも2つの分離装置にのみ固定されてもよく、また、少なくとも4つの装置に、任意には、分離装置のそれぞれに固定されてもよい。更に有利には、前記少なくとも1つのグリルは、分離装置よりも半径方向外側へ延在しないように構成でき、グリルの振動のリスクを軽減できる。換言すれば、グリルは、側壁から一定距離を置いて、分離装置間のみに延在する。
【0026】
分離装置がそれぞれ、粒子を剥離セクションに排出するための排出導管(サイクロンなど、一般に長手軸線に平行又は実質的に平行に延在する)を備えている場合、前記少なくとも1つのグリルは、少なくとも2つの排出導管にのみ固定されてもよく、また、少なくとも4つの排出導管に、任意には、排出導管のそれぞれに固定されてもよい。
【0027】
エンクロージャ内のグリルの位置と、分離セクションに存在する要素によっては、グリルを貫通するオリフィスを設ける必要がある。
【0028】
従って、分離セクションが少なくとも1つの分離装置を有している場合、前記少なくとも1つのグリルは、前記少なくとも1つの分離装置が通過する少なくとも1つのオリフィスを含むことができる。特に、このオリフィスは、分離装置から拡張クリアランスに相当する距離を隔てて、分離装置を取り囲むことができる。これにより、オリフィスにおいてグリルが分離装置に接触することが回避される。特に、分離装置が剥離セクションへの排出導管(長手軸線と平行又は実質的に平行に延在する)を有している場合、オリフィスは、排出導管を通過させることができる。エンクロージャが長手軸線に沿って延在する分離装置を有している場合、オリフィスは、この分離装置を取り囲むように、中心にあってもよい。
【0029】
更に、分離セクションが、粒子を剥離セクションへ排出するための排出導管を備えた少なくとも1つの分離装置(概して長手軸線と平行又は実質的に平行に延在する)を有している場合、前記少なくとも1つのグリルは、前記少なくとも1つの分離装置の排出導管の下流に配置され得る。そして、グリルは、前記少なくとも1つの分離装置の排出導管の下に、長手軸線と平行な方向に位置するオリフィスを含んでもよい。これにより、これらの排出導管から排出される粒子におけるグリルの通過を容易にするが、このオリフィスが存在しない場合にグリルを通過する固体粒子の流れによるグリルの浸食と劣化が特に制限される。この場合、有利には、グリルは、オリフィスがこれらの排出導管の端部にできるだけ近くに(但し、排出導管の端部に固定されたバルブの可動範囲よりも大きな距離を置いて)配置されるように、排出導管の端部の直下に配置することができる。
【0030】
但し、好ましくは、剥離セクションのより好適な動作のために、前記少なくとも1つのグリルは、分離セクションの少なくとも1つの(又はすべての)分離装置の粒子排出導管の端部の上流に配置され得る。
【0031】
それにもかかわらず、複数のグリル(1つ以上が、分離セクションの少なくとも1つの分離装置の粒子排出導管の端部の上流に配置され、1つ以上が、この端部の下流に配置された)を設けることが可能である。
【0032】
本発明は、粒子を含む流出物のための、分離剥離エンクロージャにおける1つ以上のグリル(上述した通りの、上述したように配置されたグリル)の使用を記載している。グリルは、エンクロージャの上部から到来するコークスの破片、及び/又は、被覆の破片を保持し、それらが剥離セクションに進入することを防止し、剥離作業が妨害されるリスクを軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
ここで、添付の非限定的な図面を参照して、本発明を説明する。
図1図1は、一実施形態による分離剥離エンクロージャの長手方向断面図である。
図2図2は、他の実施形態による分離剥離エンクロージャの長手方向断面図である。
図3図3は、更に別の実施形態による分離剥離エンクロージャの長手方向断面図である。
図4図4は、一実施形態によるグリルの斜視図である。
図5図5は、図4のグリルの部分的な拡大図である。
図6図6は、図4のグリルの部分的な拡大図である。
図7図7は、他の実施形態によるグリルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書において、上方の、下方の、上の、下の、という用語は、通常の使用位置におけるエンクロージャの長手方向に対応する、重力方向の垂直、又は、実質的に垂直な方向を意味する。
【0035】
実質的に、水平、長手、又は、垂直とは、水平、長手、又は、垂直な方向/面に対し、±20°以下、又は、±10°以下、又は、±5°以下の角度を形成する方向/面を意味する。
【0036】
実質的に、平行、垂直、又は、直角とは、平行或いは垂直な方向から、又は、直角から、±20°以内、又は、±10°以内、又は、±5°以内の方向/角度を意味する。
【0037】
図1図3は、分離剥離エンクロージャ10を示す。このタイプのエンクロージャは、粒子を含む流出物(特に、流動床式接触分解反応から生じる流出物)を処理するために使用される。このエンクロージャ10は、例えば流動接触分解ユニットの一部を形成する。エンクロージャ10は、ほぼ円筒形の側壁11を有しているが、その下部は上部よりも小さい直径を有している。しかしながら本発明は、特定の形状のエンクロージャには限定されない。この側壁11は、長手軸線Xが図1図3の面と平行な内部ボリューム12の境界を定める。
【0038】
通常、エンクロージャの内部断面は、長手軸線Xと垂直なエンクロージャの断面を指す。
【0039】
従来方法では、エンクロージャ10は、処理される流出物用の入口100、分離されたガス状流出物用の上部出口101、及び、固体粒子用の底部出口102を有する。図1及び図2の実施形態では、入口100は、エンクロージャ10の内部において半径方向(水平方向)に開口している。図3の実施形態では、この入口100は、エンクロージャの内部において軸方向(垂直方向)に開口しており、反応器1は、エンクロージャ10の内部において軸方向に延在している。
【0040】
エンクロージャ10は、その内部ボリューム内に、分離セクション13と、分離セクションの下流(エンクロージャ内の粒子の循環についての下流)に位置する粒子の剥離セクション14を有している。この粒子の循環は、通常、上から下に行われる。分離セクション13では、エンクロージャ10に導入される流出物に含まれるガス状流体から固体粒子が分離される。この目的のため、分離セクションは、少なくとも1つ(通常は複数)の分離装置を有する。これらの分離装置(接触分解反応器の出口に直接接続されていても、そうでなくてもよい)は、本質的には、バリスティックタイプの、又は、遠心力によって粒子がガスから分離されるように、サスペンション(懸濁物)に回転運動を与える遠心分離タイプの分離装置である。一般に、分離セクションは、サイクロン型又は一次分離装置(後述するQTS型又はRSS型)の2段の分離装置、及び、1段又は2段のサイクロン型の分離装置を含む。しかしながら、本発明は、特定のタイプの分離装置には限定されない。
【0041】
図1及び図2に示す例では、水平巻回軸を有するバリスティック分離装置15が、エンクロージャの実質的に中央に配置され、粒子を含む流出物(入口100を介してエンクロージャ10に導入される)を受け入れる。長手軸線周りには、複数のサイクロン型の分離装置16(以下、サイクロンと呼ぶ)が配置されており、分離装置15から流出するガスをインプットとして受け入れる。このように分離セクションは、一次分離装置15と、サイクロンステージ16を有している。
【0042】
分離装置15は、ここではQTSタイプ(四分の一回転分離機)であり、導入口150、本体151、残留粒子含有量が低いガス状流体を排出するための排出口152(本体151の上方において長手軸線Xと平行又は実質的に平行に延在する)、及び、粒子と少量のガス状流体を剥離セクション14に排出するための下部排出導管153を有している。この排出口152は、以下に詳述する分離装置16の入口161に接続されている。
【0043】
図3に示す例では、分離セクション13は、RSSタイプのバリスティック分離装置15’(ライザー分離システム、反応器の出口端に接続された反応器用の分離装置)を備えている。このタイプの分離装置15’は、長手軸線に沿って中央に配置される。この装置15’も、導入口150’、本体151’、残留粒子含有量が低いガス状流体をサイクロン16に排出するための排出口152’(本体151’の上方において長手軸線Xと平行又は実質的に平行に延在する)、及び、粒子と少量のガス状流体を剥離セクション14に排出するための下部排出導管153’を有している。ここでも分離セクションは、一次分離装置15’、及び、サイクロンステージ16を有している。
【0044】
サイクロン16は周知の装置であり、通常は本質的に円錐形の筐体を有している。筐体は、例えば、固体粒子を含むガスを、筐体の壁の近傍において円周の接線方向に進入させることにより、本体に導入されるガス、及び、ガスに含まれる粒子に急速な回転を与えるように設計されている。遠心力の影響下で、渦の中に取り込まれた固体粒子は、壁に向かって移動し、そこで摩擦によって速度を失い、円錐の頂点を通って出る前に装置の下部に落下する。ガスは、壁に沿って頂点付近まで進み、粒子が除去されると上部へ向かって上昇し、エンクロージャ内に部分的に突き出ている排出導管を通って排出される。
【0045】
サイクロンは通常、次のものを有している。
- 分離筐体160(一般的に円筒形の上部と円錐形の下部とを有している)、
- 第一入口導管161(分離筐体の上部に位置し、分離筐体内で開口する)
- 第二ガス出口導管162(分離筐体の上部に位置する)、及び、
- 第三粒子排出導管163(分離筐体の下部に位置し、長手軸線Xと平行又は実質的に平行に延在する)(「ディプレグ」とも呼ばれる)。
【0046】
この排出導管の端部には、一般に、剥離セクション14に向かう粒子の流れを調節し、粒子のレベルを剥離セクション14より上に維持するバルブが装備されている。
【0047】
剥離セクション14では、分離セクション13から排出された粒子が剥離処理を受け、その間に、これらの粒子に捕捉されている炭化水素が、ガス状剥離流体(一般的には蒸気)によって抽出される。この目的のため、剥離セクション14の下部には、通常、剥離流体の主噴射システム140が配置されている。他の剥離流体噴射システムを、主噴射システム140の上流に設けることができる。ここでは、粒子が剥離セクションに進入する前に粒子の予備剥離を実施するために、第二噴射システム141が、剥離セクション14の入口に配置されている。更に、剥離セクション14は、通常、主噴射システム140の上流において1つ以上のステージに延在する剥離要素を備えている。図示されている例では、構造化パッキンタイプの剥離要素が、剥離セクション14のゾーン142を占めている。上から下に循環する粒子は、ゾーン142の入口面144(長手軸線Xに対して横方向に延在する)によって規定された開口部143を通ってゾーン142に流入する。これらの開口部143は、図1及び図2に概略的に示されており、例えばゾーン142の最も上流(即ち入口)に位置する剥離要素の開口部143に対応する。
【0048】
剥離セクション14は、概して、エンクロージャ10の断面縮小部分に対応する。
【0049】
分離剥離エンクロージャ10(特に図1図3に示されるタイプの分離剥離エンクロージャ10)においては、図1に概略的に示すように、側壁11の上部レベルにコークス1の堆積物が存在する可能性がある。コークスの破片が剥がれて落下し、剥離セクション14に到達する可能性がある。側壁を覆っている耐火物のデブリも、同様に落下する可能性がある。
【0050】
剥離セクション14内におけるこのデブリの蓄積を回避するために、本発明は、剥離セクション14の上流、又は、エンクロージャの内部断面を通って延在する剥離要素を備えたゾーン142の上流に、長手軸線に対して横方向に延在する少なくとも1つのグリル20,21,22,23を配置するための手段を提供する。
【0051】
グリルは、エンクロージャ10内で落下するデブリが剥離セクション14に進入することを回避するために、デブリを保持する機能を有する。従って、それらはむしろ分離セクション13内に配置され、好ましくは、分離セクション内に存在する1つ又は複数の(或いはすべての)分離装置の排出導管の端部の上流に配置される。しかしながら、グリルは、剥離セクション(剥離要素を含むゾーン142の上流)(例えば、第二噴射システム141とゾーン142との間)に配置することもできるし、ゾーン142の上流、又は、剥離セクションの上流において、エンクロージャの高さ全体に分散させることもできる。
【0052】
更に、グリルの形状と寸法は、長手軸線と垂直な横断面に対する、単一のグリル(図2図3のグリル22,23)又はすべてのグリル(図1のグリル20,21)の投影面が、エンクロージャの内部断面の80~100%をカバーするように選択される。グリルは、長手軸線方向に部分的に重ね合わせられていてもよい(換言すれば、グリルの投影面が、部分的に重なっていてもよい)し、又は、重なっていなくてもよいことに留意されたい。
【0053】
一般に、本発明によれば、グリルは、機能要素又は機能粒子をその表面において支持しない「裸の」グリルである。換言すれば、これらのグリルの上には、粒子のベッドや機能要素の集合体は載置されておらず、エンクロージャの側壁又はエンクロージャの内部機器に最初に付着したコークスの破片又は他のデブリのみが、グリルによって支持される可能性がある。従って、このタイプのグリルには、デブリが落下したときにその完全性を確保し、FCCユニットのサイクル(計画される2回のメンテナンス停止の間の時間と定義される)が終了するまで、グリルとデブリの総重量を支持する以外に、補強構造を設ける必要は無い。典型的には、高さ約10センチメートルのグリルを製造することが可能である。
【0054】
図1に示す実施形態では、2つのグリル20,21が、分離セクション13に配置されている。第1のグリル20は、サイクロン16の排出導管163と同じ高さに配置され、これらの間の中央に延在している。このグリル20は、排出導管163よりも半径方向外側へは延在しておらず、特にこの例では、長手軸線Xと垂直な横断面に対するグリル20の投影面が、エンクロージャ10の中央部分(長手軸線からエンクロージャの側壁11に向かって半径方向に延在する)をカバーしている。このグリル20は、ここでは、長手軸線Xに垂直な平面内に延在する平面グリルであり、サイクロン16の排出導管163のみに固定される。
【0055】
もう一つのグリル21は、長手軸線Xの方向についてより高い位置(エンクロージャの入口100の上)に配置されている。このグリル21は、粒子の循環に関して上流から下流に向かって広がる円錐台形状であり、特にこの例では、長手軸線Xと垂直な横断面に対する投影面が、エンクロージャ10の環状外側部分(エンクロージャの側壁11から長手軸線Xに向かって半径方向に延在する)を、ここでは、分離装置15,16の部分152,160(エンクロージャ10内のこの位置に存在する)がそれぞれ通過できる位置まで、カバーする。このグリル21は、ここでは側壁11のみに固定されている。
【0056】
図2に示す実施形態では、単一のグリル22が、分離装置15の周囲、サイクロン16の排出導管163の下に配置されている。グリル22は、粒子の循環に関して上流から下流に向かって広がる円錐台形状であり、特にこの例では、長手軸線Xと垂直な横断面に対する投影面が、エンクロージャ10の環状外側部分(エンクロージャの側壁11から長手軸線Xに向かって半径方向に延在する)を、ここでは、分離装置15の一部分(即ち排出導管153)(エンクロージャ10内のこの位置に存在する)が通過できる位置まで、カバーする。このグリル22は、図1のグリル21と類似しているが、エンクロージャ10内の下方(ここでは分離セクション13の下部の側壁11の円錐形部分103の位置)に配置されている。グリル22は、ここでは、エンクロージャ10の側壁11上に載置させることができる。
【0057】
図3に示す実施形態では、単一のグリル23(サイクロン16の排出導管163と、分離装置15’の本体151’を通過させている)が分離装置15’内に配置されている。このグリル23は、粒子の循環に関して上流から下流に向かって広がる円錐台形状である。特にこの例では、長手軸線Xと垂直な横断面に対する投影面が、エンクロージャ10の環状外側部分(エンクロージャの側壁11から長手軸線Xに向かって半径方向に延在する)を、ここでは、分離装置15の部分150が通過できる位置まで、カバーする。更に、グリル23は、排出導管163、及び、本体151’を通過させるためのオリフィスを有している。このグリル23は、ここでは、側壁11のみに取り付けられている。
【0058】
図4図7を参照して、グリルについて更に詳しく説明する。
【0059】
図1に示すトップグリル21、及び、図2図3に示す単一グリル22,23は、粒子の循環に関して上流から下流に広がる円錐形状(ここでは円錐台形状)である。このグリルは、長手軸線周りに360°にわたって延在している。このタイプのグリルは、図4図6に示され、メッシュ32を形成する複数の交差壁30,31によって形成されている。これらの壁のうち、壁30は半径方向に延在し、他の壁31は長手軸線Xを中心とする環状の壁である。しかしながら本発明は、これらの壁30,31がメッシュ32を形成する限り、これらの壁30,31の特定の相対的な配置には限定されない。これらの壁30,31は、エンクロージャ10内の流れの循環を妨げないように、長手軸線Xと平行、又は、実質的に平行に延在している。図6に示すように、隣接するメッシュ32は、高さ(長手軸線と平行な方向に測定される高さ)が異なる壁部分30a,31aを有してもよい。高壁部分は、図6に示す壁部分31aのように、一つのメッシュの壁の寸法全体にわたって延在し、或いは、図6に示す壁部分30aのように、その寸法の一部にわたって延在することができる。メッシュ32の寸法は、剥離セクション14のゾーン142の入口面144の開口部143よりも小さい断片のみを通過させるように選択することができる。従って、これらのメッシュの寸法(長手軸線と垂直な平面の方向に測定される寸法)は、剥離ゾーンの開口部143の寸法(長手軸線と垂直な平面の方向に測定される寸法)よりも小さく選択されることが好ましい。
【0060】
図4図6に示すグリルは、エンクロージャの側壁11にのみ取り付けられている。グリルは、分離装置15,15’を通過させるための中央オリフィス33を有している。この中央オリフィス33は、分離装置15,15’の断面形状に対応した長方形の形状を有している。中央オリフィスは、グリルと分離装置15との間の膨張クリアランスがあらゆる状況下で維持され、FCCユニットの作動中にグリルと分離装置との間の自由な熱膨張差が許容されるようなものとなる。グリルは、長手軸線Xの周りに分散された複数のオリフィス34も有している。これらのオリフィス34は、ここでは円形であり、例えば、図3のグリル23のように、サイクロン16の排出導管を通過させるために役立ち、或いは、図2のグリル22のように、グリルがこれらの排出導管の下に配置されている場合に、これらの排出導管163から排出される粒子の下降を促進するのに役立つ。
【0061】
より簡単な設置のために、グリルは、半径方向の側部によって互いに組み立てられる複数の部分35(ここではセクタ35を形成する)によって形成される。この組立は、キー、ボルト、インターロッキング、或いは、その他の適切な手段、又は、これらの手段の組み合わせによって実行することができる。図4では、6つのセクタ35が設けられている。更に、グリルは、グリルの上部において、グリルの半径から側壁まで延在する複数のストラット36によってエンクロージャの側壁11に取り付けられている。図4に示す例では、隣り合う2つのセクター間の半径方向接合部に、ストラット36がそれぞれ設けられている。人間が通るためのゲート37を形成するグリル部分を設けることも可能である。このグリル部分37は、上方へ持ち上げることができるように、グリルの側面の1つによってグリルに連結されている。
【0062】
図1に示すボトムグリル20は、エンクロージャの軸線に垂直な平面内に延在する平面グリルである。このタイプのグリルを図7に示す。このグリル20は、それが平面であり、軸線周り全体に延在していないという事実によってのみ、図4図6を参照して説明された他のグリルと異なっている。尚、同一の参照番号は、同一の要素を示している。従って、グリルの平坦性により、壁30,31は直角に交差し、長方形又は正方形のメッシュ32を形成することができる。メッシュ32の寸法は、前述のように選択することができる。更に、他のタイプのグリルと同様に、壁30,31は、長手軸線Xと平行又は実質的に平行に延在している。グリルの表面上でのデブリの保持を促進するために、高さが異なる壁部分を有するメッシュを備えることも可能である。グリル20は、分離装置15を通過させるための中央オリフィス33も有しており、更に、分離装置15の下に位置する側部オリフィス33’を有している。実際には、分離装置15は、デブリの落下をその周囲にそらせることになるため、分離装置15の下にグリルを設ける必要はない(可能ではあるが)。従って、グリル20は、長手軸線X周りに360°にわたって延在するのではなく、むしろ300°にわたって延在している。このグリル20も、半径方向に延在するエッジに沿って互いに組み立てられた複数(ここでは5つ)の部分35によって形成されている。この実施形態では、グリル20は、サイクロン16の排出導管163のみに(ここでは、これらの導管を取り囲むように固定されたスリーブ38によって)取り付けられている。スリーブ38は、直接、又は、ストラット39,40を介して、グリルを支持している。ストラットの一部(ストラット40)は、グリルの平面方向に延在し、その他(ストラット39)は、グリルからスリーブ38に向かって上向きに傾斜している。この例では、グリル20は、ストラットによって、4つの排出導管163(長手軸線Xに関して対称的に配置されている)に取り付けられている。
【0063】
従って、グリルの形状と寸法は、エンクロージャ内部に存在するグリル以外の機器、特に、最下位のグリル(即ち、剥離セクション14、又は、ゾーン142の近位グリル)の上にある機器に応じて適合されることが理解されるであろう。特に、グリルの形状と寸法は、長手軸線に沿って上から見たときに、エンクロージャの内部断面全体(又は、少なくとも80%)が、グリルによってカバーされるように選択される。エンクロージャが、グリル以外の内部機器(通常は1つ以上の分離装置)、更には、反応器を含む場合、グリルの形状と寸法は、長手軸線に沿って上から見たときに、エンクロージャの内部断面全体(又は、少なくとも80%)が、グリルと内部機器によってカバーされるように選択される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】