(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】毛髪をカールさせる又はまつ毛をカールさせるための新規組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20240104BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240104BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240104BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/64
A61K8/34
A61K8/92
A61Q5/00
A61K8/36
A61Q5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536516
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 FR2021052433
(87)【国際公開番号】W WO2022136803
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520009415
【氏名又は名称】ディ ヴィスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスコリオージ セバスチャン フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア イザベル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB332
4C083AB351
4C083AC061
4C083AC072
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC231
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC472
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC791
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD352
4C083AD411
4C083AD431
4C083AD432
4C083AD441
4C083AD442
4C083AD451
4C083AD472
4C083AD492
4C083AD572
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD662
4C083CC31
4C083CC34
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE25
(57)【要約】
本発明は、アミノ酸、タンパク質、アルコール、植物油及び少なくとも1つの有機酸を含む、毛髪をカールさせる、又は、まつ毛をカールさせるための新規な組成物、並びに、前記組成物を使用して毛髪をカールするための方法、又は、まつ毛をカールさせるための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪をカールする、又は、まつ毛をカールするための組成物であって、
アミノ酸と、
タンパク質と、
アルコールと、
植物油と、
少なくとも1%(w/w)の、少なくとも1つの有機酸又はその有機塩もしくは無機塩と、を含む毛髪をカールする、又は、まつ毛をカールするための組成物。
【請求項2】
前記アミノ酸は、リジン、タウリン、タンパク質構成アミノ酸、又は、それらの酸もしくは塩基、有機塩もしくは無機塩から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アミノ酸は、タンパク質構成アミノ酸又はその酸もしくは塩基、有機塩もしくは無機塩であり、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、グリシン、アラニン、セリン、β-アラニン及びアルギニン、又は、それらの酸もしくは塩基、有機塩もしくは無機塩から選択されることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記タンパク質は、任意に加水分解されたクレアチン、任意に加水分解された小麦タンパク質、任意に加水分解された絹タンパク質、任意に加水分解されたスピルリナタンパク質、任意に加水分解された植物ケラチン、任意に加水分解された大豆タンパク質、任意に加水分解されたコラーゲン、任意に加水分解されたエラスチン、任意に加水分解されたエンドウタンパク質、任意に加水分解された米タンパク質、任意に加水分解されたコンキオリンタンパク質、及び任意に加水分解されたホエータンパク質から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記タンパク質は、クレアチン、任意に加水分解されたスピルリナタンパク質、任意に加水分解された小麦タンパク質、任意に加水分解された絹タンパク質及び任意に加水分解された大豆タンパク質から選択されることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルコールは、エタノール、ブタノール、イソプロパノール及びベンジルアルコールから選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記植物油は、スイートアーモンド油、大豆油、アルガン油、ハーレム油、ババス油、ブロッコリー油、アボカド油、亜麻仁油、アプリコット油、キュウリ油、ニゲラ油、ブラジルナッツ油、グレープシード油、シアオレイン、ゴマ油及びトマト油から選択されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記植物油は、大豆油又はシアオレインとして選択されることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機酸は、二酸であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記有機酸は、酸化防止特性を有する二酸であることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記有機酸は、ギ酸、酢酸、スルホン酸、カルボン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムから選択されることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも2つの有機酸を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
アスコルビン酸と、ギ酸、酢酸、スルホン酸、カルボン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムから選択される少なくとも1つの有機酸と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
毛髪をカールさせるための方法であって、
請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物を、乾燥した、又は、湿った毛髪に直接塗布することと、
従来型のカーラーに慣習的に巻き付けることと、
作用させるために5分から15分の変化しても良い範囲で放置することと、
徐々に巻き戻しながら毛髪全体を乾燥させることと、
毛髪を水ですすぐことと、を含む毛髪をカールさせるための方法。
【請求項15】
まつ毛をカールさせるための方法であって、
適切な製品でまつ毛を洗うことと、
まつ毛用「カーラー」又は「パッド」タイプのツールを眼瞼に当てることと、
まつ毛を前記ツールに保持するために適切な接着剤を適用することと、
本発明による組成物をまつ毛へ塗布することと、
作用させるために5分から15分の変化しても良い範囲で放置することと、
湿ったコットンボール又はローションでまつ毛をすすぐことと、
前記ツールを除去することと、を含むまつ毛をカールさせるための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸、タンパク質、アルコール、植物油及び少なくとも1つの有機酸を含む、毛髪をカールさせる又はまつ毛をカールさせるための新規な組成物、並びに、前記組成物を使用して毛髪をカールさせるための方法又はまつ毛をカールさせるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアケアの分野において、毛髪をカールさせることは、毛髪を一時的に、又は、より長い期間にわたってカールさせることを可能にするヘアスタイリング技術に相当する。
【0003】
毛髪をカールさせたいと望む消費者は、良好な長期持続性を有するカールヘアを求めるだけでなく、特にその後の洗髪剤に耐性を有することにより効果が長続きすることも求めている。
【0004】
毛髪の形状が長期間持続するように変化させるには、機械的及び/又は熱的処理が一般的に使用される。
【0005】
機械的処理は、濡れた髪が乾くのを待つ間、髪に丸ブラシ又はカーラーのような円筒状のツールを巻き付けておき、濡れた髪が乾いたとき、その形状が維持されることから構成される。
【0006】
熱処理は、160℃~230℃の温度に加熱された円筒状のアイロンで10~15秒間、毛髪の各房を巻き付け、保持することから構成される。
【0007】
これらの処理は、毛髪の形状及び全体のボリュームの両方において、ヘアスタイルの外観を視覚的に変化させることができる。それらは、カールした視覚的外観、実質的な輝きの増加、ヘアスタイルを一日中維持させるための湿度及び熱に対する耐性を獲得することを可能にする。
【0008】
しかしながら、これらの方法は、カールの保持期間が僅か数時間から数日であり、高温に加熱されたツールの使用が毛髪に不可逆的な損傷を引き起こすため、非常に限定された有効性を有する。
【0009】
したがって、それらの効果を延長するために、機械的及び熱的処理の前に、一般的に、特定の組成物による毛髪の「化学的」処理が行われる。
【0010】
毛髪のカールを得るために、一般的に使用される技術は、第1に、硫黄還元剤を含む一般的に塩基性の組成物を使用してケラチン(ケラトシスチン)のジスルフィド結合-S-S-を切断すること(還元工程)であり、その後一般的には、このようにして処理された毛髪を水ですすぎ、第2に、前もって伸長させた毛髪に酸化組成物を塗布することによって、前記ジスルフィド結合を再構成し、最終的に毛髪に所望の形状を与えることである(酸化工程や固定ステップとも呼ばれる)。使用される組成物は、一般に、チオール化又はアンモニア化還元剤をベースとするアルカリ性又は弱酸性の組成物である。最終的に得られるカール効果は、一般的に長期間持続するが、これらの組成物は、特に製品量及び待ち時間に関し、供給業者によって推奨される適用条件に厳密に準拠することを必要とする。さらに、これらの組成物は腐食性が高いため、脆弱な毛髪及び敏感な頭皮に対して禁忌である。毛髪の損傷又は焼け及び頭皮が炎症を起こすという問題が定期的に観察される。最後に、これらの組成物は悪臭がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の時点において、毛髪の質を低下させることなく、容易な適用条件下で、効果的かつ長期的に持続する毛髪のカールを可能にする組成物を開発する必要がある。
【0012】
国際特許出願WO-A-2019/012219には、毛髪の質を維持しながら実施が容易な適用方法によって、効果的かつ長期持続性のある縮毛矯正を可能にする組成物が記載されており、前記組成物は、アミノ酸、タンパク質、アルコール及び植物油を含む。矯正効果は、繊維の適度かつ可逆的な変性プロセスのおかげで得られ、これにより、繊維の完全性を維持しながら、その後の洗髪剤に対する耐性を備える直線的で滑らかな外観を数か月維持することを可能にする。この変性プロセスは、毛髪をカールさせるために使用するには不十分である。
【0013】
しかしながら、驚くべきことに、特許出願WO-A-2019/012219に記載されているものと同様の組成物に、ある割合の、1つ又は複数の有機酸を添加することによって、髪質を維持しつつ、実施が容易な適用方法によって、効果的かつ長期持続性を有する毛髪のカールが可能になることが見出された。さらに、本発明の組成物は、まつ毛の質を維持しつつ、実施が容易な適用方法によって、効果的かつ長期持続性を有するまつ毛カールを実現するためにも使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、毛髪をカールさせる、又は、まつ毛をカールさせるための組成物であって、
アミノ酸と、
タンパク質と、
アルコールと、
植物油と、
少なくとも1%(w/w)の、少なくとも1つの有機酸又はその有機塩もしくは無機塩と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明による組成物は、特に、熱によるツールやチオール化及び/又はアンモニア化還元剤の不存在下で、毛髪を効果的かつ長期的に持続してカールさせることを可能にし、髪質を維持しつつ、実施が容易かつ快適な適用方法によるものである。さらに、本組成物はまた、まつ毛の質を維持しつつ、実施が容易な適用方法によって、効果的かつ長期的に持続してまつ毛をカールさせるために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による組成物で処理する前の毛髪である。
【
図2】本発明による組成物で処理した後の毛髪である。
【
図3】本発明による組成物で処理してから3ヶ月後の毛髪である。
【
図4】本発明による組成物で処理する前の毛髪である。
【
図5】本発明による組成物で処理した後の毛髪である。
【
図6】本発明による組成物で処理してから3ヶ月後の毛髪である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の文脈において、
「毛髪をカールさせる」とは、真っ直ぐな毛髪をカールさせて、らせん状又はS字状にする、又は、表面が波状に見えることを可能にするあらゆる処理と理解されるべきである。
【0018】
「まつ毛をカールさせる」とは、まつ毛の自然な形状(すなわち、処理前)よりも、より湾曲した形状を与えるために、まつ毛に丸みをつけることを可能にするあらゆる処理と理解されるべきである。
【0019】
「アミノ酸」とは、当業者に知られている任意のアミノ酸、特に以下の一般式(I)又は(II)のアミノ酸であると理解されるべきである。
【0020】
【0021】
ここで
Rは、水素原子、C1-C5-アルキル基、必要に応じて、ヒドロキシ基、アミノ基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-,M+、-S(O)2-O-,M+から選択される少なくとも1つの基で置換されてもよく、
M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムなどのカチオン性対イオンを表し、
nは、0又は1であり、
並びに、そのベタイン形態、その光学異性体、水和物などのその溶媒和物、及び、それらの酸又は塩基、有機塩又は無機塩であり、
前記アミノ酸は、場合によっては、シリコーン、炭水化物化合物、脂肪酸又は誘導体、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤であってもよいヘテロ分子上にグラフト化されていてもよい。
【0022】
「植物油」とは、油性植物、すなわち、その種子、木の実又は果実が、脂質、トリグリセリド又はオレイン酸、ステアリン酸又はリノール酸を含む植物を、プレス調製、遠心分離、エステル化又は鹸化の任意の方法によって抽出した任意の脂肪物質と理解されるべきであり、これらは場合により、シリコーンあるいはアニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤などのヘテロ分子上にグラフト化されていてもよい。
【0023】
「タンパク質」とは、任意のタンパク質であり、ヘテロタンパク質や、タンパク質誘導体、例えば、分子上あるいはシリコーン、炭水化物化合物、有機化合物、脂肪酸又は誘導体、発色団、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の性質の界面活性剤等のヘテロ分子上にグラフト化されたタンパク質であり、様々な大きさ及び形状であり、アミノ酸が付加されペプチド結合によって連結された1つ又は複数の鎖から形成されていてもよいと理解されるべきである。好ましくは、タンパク質は、三次又は四次構造のものである。
【0024】
「Cx-Cy-アルキル」とは、飽和、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖であると理解されるべきであり、x~y個の炭素原子を含む。
【0025】
「アルコール」とは、ヒドロキシ基、アミノアルコール、アルドール又はケトールにより置換された1~10個の炭素原子を含む任意の直鎖状又は分枝鎖状の炭素鎖であると理解されるべきであり、好ましくは、「アルコール」は、nが1~10の整数である、式CnH2n+1OHの任意の直鎖状又は分枝鎖状化合物を示す。
【0026】
「有機酸」とは、カルボキシル基(-COOH)、ヒドロキシ基(-OH)又はエノール基の存在に起因する酸、ポリ酸(特に二酸)、水酸及び/又はオキサ酸官能基からなり、水性媒体中で1つ又は複数のカチオンを放出することのできる任意の化学又は有機化合物、及び、それらの有機塩又は無機塩と理解されるべきである。
【0027】
「ポリオール」とは、少なくとも2つの代謝物で置換されるC1-C10-アルキル基、と理解されるべきである。好ましくは、「ポリオール」とは、グリセリン、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール又はソルビトールから選択される任意の化合物と理解されるべきである。
【0028】
さらに、本発明の文脈において特に明記しない限り、%で表される割合は、関連する実体の総重量に対する重量パーセンテージに相当する。
【0029】
したがって、本発明による組成物は、アミノ酸、タンパク質、アルコール、植物油及び少なくとも1%(w/w)の少なくとも1つのアミノ酸を含有する。好ましくは、本発明は、単独又は組み合わせて考慮される、以下の特徴を有する上記のような組成物に関する。
【0030】
上記アミノ酸は、リジン、タウリン又はタンパク質構成アミノ酸、又は、それらの酸もしくは塩基、有機塩もしくは無機塩から選択される。好ましくは、上記アミノ酸は、タンパク質構成アミノ酸又はその、酸もしくは塩基、有機塩もしくは無機塩として選択される。より好ましくは、上記アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、グリシン、アラニン、セリン、β-アラニン及びアルギニン、又は、それらの酸もしくは塩基、有機塩もしくは無機塩から選択される。最も好ましくは、上記アミノ酸は、グルタミン酸、システイン及びアルギニンから選択される。
【0031】
上記組成物は、上記定義のアミノ酸0.1%~20%、好ましくは上記定義のアミノ酸0.1%~5%、より好ましくは上記定義のアミノ酸0.1%~3%を含有する。
【0032】
上記タンパク質は、任意に加水分解されたクレアチン、任意に加水分解された小麦タンパク質、任意に加水分解された絹タンパク質、任意に加水分解されたスピルリナタンパク質、任意に加水分解された植物ケラチン、任意に加水分解された大豆タンパク質、任意に加水分解されたコラーゲン、任意に加水分解されたエラスチン、任意に加水分解されたエンドウタンパク質、任意に加水分解された米タンパク質、任意に加水分解されたコンキリオンタンパク質及び任意に加水分解されたホエータンパク質から選択される。最も好ましくは、上記タンパク質は、クレアチン、任意に加水分解されたスピルリナタンパク質、任意に加水分解された小麦タンパク質、任意に加水分解された絹タンパク質及び任意に加水分解された大豆タンパク質から選択される。
【0033】
上記組成物は、上記定義のタンパク質0.1%~20%、より好ましくは上記定義のタンパク質0.1%~10%、最も好ましくは上記定義のタンパク質0.1%~5%を含有する。
【0034】
アルコールは、エタノール、ブタノール、イソプロパノール及びベンジルアルコールから選択される。より好ましくは、上記アルコールは、エタノール又はベンジルアルコールが選択される。
【0035】
組成物は、上記定義のアルコール0.5%~20%、より好ましくは上記定義のアルコール0.5%~10%、最も好ましくは上記定義のアルコール0.5%~4%を含む。
【0036】
上記植物油は、少なくとも1%のリノレン酸又はカルボン酸を含む。より好ましくは、上記植物油は、スイートアーモンド油、大豆油、アルガン油、ハーレム油、ババス油、ブロッコリー油、アボカド油、亜麻仁油、アプリコット油、キュウリ油、ニゲラ油、ブラジルナッツ油、グレープシード油、シアオレイン、ゴマ油及びトマト油から選択される。最も好ましくは、上記植物油は、大豆油又はシアオレインとして選択される。
【0037】
上記組成物は、上記定義の植物油0.1%~10%、より好ましくは上記定義の植物油0.1%~6%、最も好ましくは上記定義の植物油0.1%~4%を含有する。
【0038】
上記有機酸は二酸である。好ましくは、上記有機酸は、酸化防止特性を有する二酸である。より好ましくは、上記有機酸は、ギ酸、酢酸、スルホン酸、カルボン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムから選択される。より好ましくは、上記有機酸は、アスコルビン酸、サリチル酸及び過硫酸アンモニウムから選択される。最も好ましくは、上記有機酸は、アスコルビン酸として選択される。
【0039】
上記組成物は少なくとも2つの有機酸を含む。好ましくは、上記組成物は、二酸として選択される少なくとも2つの有機酸を含む。
【0040】
より好ましくは、上記組成物は、酸化防止特性を有する二酸として選択される少なくとも2つの有機酸を含む。より好ましくは、上記組成物は、ギ酸、酢酸、スルホン酸、カルボン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムから選択される少なくとも2つの有機酸を含む。より好ましくは、上記組成物は、アスコルビン酸と、ギ酸、酢酸、スルホン酸、カルボン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムから選択される少なくとも1つの有機酸とを含む。最も好ましくは、上記組成物は、アスコルビン酸と、サリチル酸、アセチルサリチル酸及び過硫酸アンモニウムから選択される少なくとも1つの有機酸とを含む。
【0041】
上記組成物は、上記定義の有機酸1%~20%、より好ましくは上記定義の有機酸1.5%~15%、最も好ましくは上記定義の有機酸3%~10%を含み、及び/又は、
上記組成物は、ポリオールをさらに含む。
【0042】
本発明による組成物は、クリーム、ゲル、水中油型又は油中水型エマルジョン、ヘアローション又は洗髪剤の形態であってもよい。好ましくは、本発明による組成物は、クリーム又はヘアローションの形態である。
【0043】
本発明による組成物は、単一の組成物の形態であってもよいし、本発明による組成物の成分の1つ又は複数をそれぞれ含有する2つ、3つ又は4つの別個の組成物を含むキットの形態であってもよい。好ましくは、本発明はまた、上記で定義された毛髪をカールするための組成物を調製するために有用なキットに関し、前記キットは、
上記定義のタンパク質と、任意に、上記定義のアミノ酸、アルコール、植物油及び/又は有機酸と、を含有する一方の組成物、並びに、
少なくとも上記定義の有機酸と、任意に、上記定義のアミノ酸、アルコール及び/又は植物油を含有する他方の組成物を含む。
【0044】
本発明による組成物は、それがキットの形態であるか否かに関わらず、当業者に知られている任意の方法に従って適用することができる。
【0045】
本発明による組成物は、毛髪をカールするために使用される場合、好ましくは、以下の工程を含む方法に従って適用される。
本発明による組成物を乾燥した、又は、湿った毛髪に直接塗布することと、
従来型のカーラーに慣習的に巻き付けることと、
作用させるために5分から15分の変化しても良い範囲で放置することと、
徐々に巻き戻しながら毛髪全体を乾燥させることと、
毛髪を水ですすぐこと。
【0046】
本発明による方法は、以下によって補うこともできる。
毛髪をすすいだ後に洗髪剤を塗布すること、及び/又は、
アフターシャンプーバーム又は洗い流すトリートメントを塗布すること。
【0047】
本発明による方法は、容易に実施することができ、カールアイロンや、チオール化及び/又はアンモニア化された還元剤を使用することなく、毛髪を効果的かつ長期的に持続してカールさせることを可能にし、その結果、毛髪の品質を保持する。
【0048】
本発明による組成物は、まつ毛をカールさせるために使用される場合、好ましくは、以下の工程を含む方法に従って適用される。
適切な製品でまつ毛を洗うことと、
まつ毛用「カーラー」又は「パッド」タイプのツールを眼瞼に当てることと、
まつ毛を上記ツールに保持するために適切な接着剤を塗布することと、
本発明による組成物をまつ毛へ塗布することと、
作用させるために5分から15分の変化しても良い範囲で放置することと、
湿ったコットンボール又はローションでまつ毛をすすぐことと、
ツールを除去すること。
【0049】
本発明による方法は、容易に実施することができ、過酸化水素や、チオール化及び/又はアンモニア化された還元剤を使用することなく、まつ毛を効果的かつ長期的に持続してカールさせることを可能にし、その結果、まつ毛の品質を保持する。
【0050】
本発明を、以下の例により非限定的に説明する。
【0051】
例1 本発明による組成物
アミノ酸、タンパク質、アルコール、植物油及び2つの有機酸を含む即時使用可能なクリームを調製する。その組成を以下の表1に報告する。
【0052】
【0053】
例2 ヘアカール試験
2.1 カール方法
上記例1に記載のカールクリームを使用し、チオール化パーマの試みを繰り返すことによって弱くなった脆弱な毛髪をカールさせる(
図1)。
【0054】
本発明による組成物の適用は、以下の手順に従って実施される。
【0055】
ステップ1:湿った髪に洗髪剤を直接塗布する
本発明による組成物は、湿った毛髪全体に塗布され、櫛で広げられる。
【0056】
ステップ2:カーラーで巻く
このように処理された毛髪を、従来型のカーラーに慣習的な方法で巻きつけ、次いで、製品をセロファン中及びクリマゾンフードドライヤーの下で、20分間放置する。
【0057】
ステップ3:乾燥及び巻き出し
次に、ブロードライヤーを用いて熱風中で毛髪を乾燥させる。次いで、カーラーを取り外す。
【0058】
ステップ4:すすぎ
その後、毛髪を放置して冷却し、水ですすいだ後、必要に応じて洗髪剤を用い、連続的に2回洗髪する。
【0059】
ステップ5:自然乾燥
ブロードライヤーを使用して熱風で毛髪を乾燥させる、又はブラシでスタイリングする。
【0060】
2.2 得られた結果
柔らかくて扱いやすい毛髪が得られ、より密な外観、顕著なボリューム増加、及び、顕著なカールを伴い、感作の形跡は全くない(
図2)。このカールの観察された寿命は3ヶ月である(
図3)。
【0061】
例3 本発明による組成物
アミノ酸、タンパク質、アルコール、植物油及び2つの有機酸を含む即時使用可能なクリームを調製する。その組成を以下の表2に報告する。
【0062】
【0063】
例4 ヘアカール試験
4.1 カール方法
上記例3に記載のカールクリームは、通常カールさせるのが非常に困難であり、保持力のない非常に直線的で太い毛髪をカールさせるために使用される(
図4)。
【0064】
本発明による組成物の適用は、以下の手順に従って実施される。
【0065】
ステップ1:髪をきれいにするために中性洗髪剤を適用すること
本発明による組成物は、湿った毛髪全体に適用され、櫛で広げられる。
【0066】
ステップ2:カーラーで巻くこと
このように処理された毛髪を、従来型のカーラーに慣習的な方法で巻きつけ、次いで、製品をセロファン中及びクリマゾンフードドライヤーの下で、20分間放置する。
【0067】
ステップ3:乾燥及び巻き出し
次に、ブロードライヤーを用いて熱風中で毛髪を乾燥させる。次いで、カーラーを取り外す。
【0068】
ステップ4:すすぎ
次いで、毛髪を放置して冷却し、水ですすぎ、次いで、必要に応じて洗髪を行う。
【0069】
ステップ5:自然乾燥
毛髪は自然に空気乾燥される。
【0070】
4.2 得られた結果
美しく弾むようなカール、乾燥の兆候のない光沢のある柔らかくて強い毛髪が得られる(
図5)。このカールの観察された寿命は3ヶ月である(
図6)。
【0071】
例5 比較ヘアカール試験
5.1 試験組成物
アミノ酸、タンパク質、アルコール及び植物油を含むが、有機酸の含有量が1%未満である即時使用可能なクリームを調製する。その組成物を以下の表3に報告する。
【0072】
この組成物は、出願WO-A-2019/012219に記載された矯正組成物に対応する。
【0073】
【0074】
5.2 カール方法
上記の例で説明したクリームは、ストレートヘアをカールさせることが可能かどうかを確認するために使用される(
図7)。
【0075】
本発明による矯正組成物の適用は、以下の手順に従って実施される。
【0076】
ステップ1:湿った髪に洗髪剤を直接塗布する
本発明による組成物は、湿った毛髪全体に塗布され、櫛で広げられる。
【0077】
ステップ2:カーラーで巻く
このように処理された毛髪を、従来型のカーラーに慣習的な方法で巻きつけ(
図8)、次いで、製品をセロファン中及びクリマゾンフードドライヤーの下で、20分間放置する。
【0078】
ステップ3:乾燥及び巻き出し
次に、ブロードライヤーを用いて熱風中で毛髪を乾燥させる。次いで、カーラーを取り外す。
【0079】
ステップ4:すすぎ
その後、毛髪を放置して冷却し、水ですすいだ後、必要に応じて洗髪剤を用いて連続的に2回洗髪する。
【0080】
ステップ5:自然乾燥
毛髪を室温で自然乾燥させる。
【0081】
5.3 得られた試験結果
より密な外観とより柔らかい繊維を有する毛髪が得られる。にもかかわらず、カールは観察されない(
図9)。
【0082】
従って、出願WO-A-2019/012219に記載されている矯正組成物は、それが適用される毛髪をカールさせることができない。
【0083】
例6 まつ毛カール試験
6.1 カール方法
上記例1に記載のカールクリームを用いて、硬くて真っ直ぐなまつ毛をカールさせる(
図10)。
【0084】
本発明による組成物の適用は、以下の手順に従って実施される。
【0085】
ステップ1:まつ毛の洗浄
まつ毛は、適切なローションで洗浄され、次いで、カーラー又は接着パッドが、上眼瞼上に配置される。
【0086】
ステップ2:まつ毛をカールさせる
本発明による組成物は、ブラシ又はブレンディングスタンプを用いてまつ毛の縁に塗布され、次いで、製品はセロファン中に5~30分間放置される。
【0087】
ステップ3:すすぎ
製品を湿ったコットンボールで洗い流し、次いでパッド又はカーラーを剥がす。
【0088】
6.2 得られた結果
より密な外観を有する湾曲したまつ毛の縁が得られ、感作の形跡は全くない(
図11)。このカールの観察された寿命は4週間である。
【国際調査報告】