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特表2024-501514改善されたエネルギー管理システム及びマイクログリッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】改善されたエネルギー管理システム及びマイクログリッド
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20240104BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240104BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240104BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 120
H02J3/32
H02J3/38 160
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537199
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 MY2021050122
(87)【国際公開番号】W WO2022131905
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】PI2020006792
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512172040
【氏名又は名称】ペトロリアム ナショナル ブルハド (ペトロナス)
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビーティー エム イクバル、イズリーナ
(72)【発明者】
【氏名】バシール ビー オスマン、ファウジー オマール
(72)【発明者】
【氏名】リー、シュウ エイク
(72)【発明者】
【氏名】エー ラザク、ザハリ
(72)【発明者】
【氏名】ビー モータル、エム サフィアン
(72)【発明者】
【氏名】ビー エム ヤシル、エム ファウジ
(72)【発明者】
【氏名】ビー ハムダン、エム ファイザル
(72)【発明者】
【氏名】ビー スモルモ、サリム
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB13
5G064DA03
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
(57)【要約】
EMSを使用してマイクログリッドの動作を制御する方法であって、前記マイクログリッドは、少なくとも1つの制御可能な分散型炭化水素燃料発電機と電気エネルギー貯蔵装置とを含む、複数の分散型エネルギー資源を備え、前記方法は、EMSが、各分散型エネルギー資源の累積的な利用可能性状態を測定し、前記累積的な状態に基づいて前記マイクログリッドの状態を割り当てるステップと、前記状態に基づいて重大な動作を進めることができるかどうかを決定するステップと、所定の結果を有する前記決定するステップに基づいて前記重大な動作を可能にするステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EMSを使用してマイクログリッドの動作を制御する方法であって、
前記マイクログリッドは、少なくとも1つの制御可能な分散型炭化水素燃料発電機と電気エネルギー貯蔵装置とを含む、複数の分散型エネルギー資源を備え、
前記方法は、
EMSが、各分散型エネルギー資源の累積的な利用可能性状態を測定し、前記累積的な状態に基づいて前記マイクログリッドの状態を割り当てるステップと、
前記状態に基づいて重大な動作を進めることができるかどうかを決定するステップと、
所定の結果を有する前記決定するステップに基づいて前記重大な動作を可能にするステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記分散型エネルギー資源が再生可能エネルギー資源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の結果は、前記少なくとも1つの炭化水素燃料発電機が利用可能であることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の結果は、前記エネルギー貯蔵システムが少なくとも部分的に充電されていることを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の結果は、部分充電状態にあるときの前記エネルギー貯蔵システムを更に含み、前記充電が前記再生可能エネルギー源によって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
累積状態の変化時に前記EMSが前記マイクログリッドの状態を変化させるように、前記測定ステップを繰り返すステップを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
マイクログリッドの動作を制御するためのEMSであって、
前記マイクログリッドは、少なくとも1つの制御可能な分散型炭化水素燃料発電機と電気エネルギー貯蔵装置とを含む、複数の分散型エネルギー資源を備え、
前記EMSは、各分散型エネルギー資源の累積的な利用可能性状態を測定し、前記累積的な状態に基づいて前記マイクログリッドの状態を割り当てるように構成され、
前記EMSは、前記状態時に重大な動作を可能にするように構成される、
EMS。
【請求項8】
前記分散型エネルギー資源が再生可能エネルギー資源を含む、請求項7に記載のEMS。
【請求項9】
前記再生可能エネルギー資源が前記エネルギー貯蔵システムを充電するように構成される、請求項8に記載のEMS。
【請求項10】
マイクログリッドに接続可能な風力タービンと、
前記風力タービンの下部構造のキャビティ内に取り付けられたエネルギー貯蔵システムであって、前記マイクログリッドに接続されるように構成されるエネルギー貯蔵システムと、
を備え、
前記風力タービンが前記エネルギー貯蔵システムを充電するように構成される、
風力タービン設備。
【請求項11】
前記風力タービンが浮体式海上風力タービンである、請求項10に記載の風力タービン設備。
【請求項12】
前記キャビティが少なくとも部分的に喫水線の下方にあり、前記喫水線上に前記設備が浮く、請求項10又は11に記載の風力タービン設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクログリッドを形成する分散型エネルギー資源の制御及び管理に関する。特に、本発明は、新規の風力エネルギー発電機設備を既存の燃料ベースの発電機と統合する際に海上環境における制御及び管理を達成するEMSに関する。
【背景技術】
【0002】
海上発電の典型的な方法は、GTG(ガスタービン発電機)、DEG(ディーゼルエンジン発電機)及び他の燃料ベースの発電機の変形を利用する方法である。非常に小さい電力要件(100kW未満)の場合、合理的なサイズのソーラーパネル/ミニ風力タービンを既存のプラットフォームに設置することができる。後者の例は、通常、小さな発電要件のためのものであり、例えばGTGによって生成された電力に匹敵することができない。
【0003】
また、そのような従来の燃料ベースの発電機のメンテナンスを減らし、気候目標及び排出削減目標を満たすために「環境により優しい」海上運転に移行する必要がある。しかしながら、海上の炭化水素探査及び生産作業は、GTGなどの周知の従来の供給源からの信頼できる発電の保証を依然として必要とし、これは、既存のGTG、DEGなどを既に有するブラウンフィールド計画に特に当てはまる。既存の資産に関するもう1つの競合点は、それらの古い従来の発電及び制御システム/ワークフローが未だそれらの有効設計寿命に到達していないことでもある(より環境に優しい海上エネルギーシステムへの新たな設備投資のためにそのような機械を除去することは経済的にも価値低下の観点からも意味がない)。
【発明の概要】
【0004】
第1の側面では、本発明は、EMSを使用してマイクログリッドの動作を制御する方法を提供し、前記マイクログリッドは、少なくとも1つの制御可能な分散型炭化水素燃料発電機と電気エネルギー貯蔵装置とを含む、複数の分散型エネルギー資源を備え、前記方法は、EMSが、各分散型エネルギー資源の累積的な利用可能性状態を測定し、前記累積的な状態に基づいて前記マイクログリッドの状態を割り当てるステップと、前記状態に基づいて重大な動作を進めることができるかどうかを決定するステップと、所定の結果を有する前記決定するステップに基づいて前記重大な動作を可能にするステップと、を含む。
【0005】
第2の側面では、本発明は、マイクログリッドの動作を制御するためのEMSを提供し、前記マイクログリッドは、少なくとも1つの制御可能な分散型炭化水素燃料発電機と電気エネルギー貯蔵装置とを含む、複数の分散型エネルギー資源を備え、前記EMSは、各分散型エネルギー資源の累積的な利用可能性状態を測定し、前記累積的な状態に基づいて前記マイクログリッドの状態を割り当てるように構成され、前記EMSは、前記状態時に重大な動作を可能にするように構成される。
【0006】
第3の側面では、本発明は、マイクログリッドに接続可能な風力タービンと、前記風力タービンの下部構造のキャビティ内に取り付けられたエネルギー貯蔵システムであって、前記マイクログリッドに接続されるように構成されるエネルギー貯蔵システムと、を備え、前記風力タービンが前記エネルギー貯蔵システムを充電するように構成される、風力タービン設備を提供する。
【0007】
海底油田及びガスプラットフォームの継続的な運用には、安定した安全なエネルギー供給が必要である。プラットフォームの平均エネルギー要件を生み出すためには、GTG又は充電されたESS及びWTの動作で十分である。
【0008】
重大な動作が例えばCOTPの開始である場合、これは十分なエネルギーが利用できない状況につながる場合がある。例えば、約3MVArが約10秒間にわたって必要とされ得るCOTPの短い起動段階をサポートするために、少なくとも両方のGTGが動作しているか、又は1つのGTG及びESSが起動されなければならない。
【0009】
一方のGTG又はESSが故障した場合、他方のGTGを開始すべきである。この開始段階では、最大値として約30分がスケジュールされる。この間、COTPを開始するのに十分なエネルギーが利用できない。COTPの開始はブロックされる。イネーブル信号は、GTGの起動後に生成される。
【0010】
WTによって生成されたエネルギーを分割してグリッドに供給し、ESSを充電することができる。両方とも、マルチソースコンバータ(MSC)を使用することによって可能である。WTエネルギー生成は風の状態に依存する。したがって、WTは、単独で永久的に信頼できるエネルギー源と考えることはできない。ESSは常に追加で起動されるべきである。ESSが最大充電される場合、WTの電力出力は制限される。
【0011】
ESSは、所定のkWhまでのエネルギーを蓄積することができる。最低充電状態は常に利用可能であるべきである。前述したように、GTGが故障した場合、プラットフォームに電力を供給するために貯蔵エネルギーが必要である。ESSは、WT及びGTGによって充電することができる。ブラックスタートはESSによってサポートされない。
【0012】
カウンタが、ESSレベル-ゼロに達するまでの利用可能な時間をシグナリングする。EMSは、ESS充電レベル及びエネルギー消費量に応じてこのカウンタを提供する。
【0013】
追加のディーゼル発電機EDG又は同等のサイズの発電機は、完全な電源遮断後の再始動、ブラックスタートにのみ必要である。次に、EDGは、GTGの起動をサポートするためにプラットフォームに供給する。
【0014】
したがって、本発明は、マイクログリッドを制御するためのEMSを提供する。EMSは、接続された全ての分散型エネルギー資源の累積可用性状態を測定し、前記累積状態に基づいて状態を割り当てる。その状態に基づいて、EMSは、原油移送ポンプ(COTP)を動作させるなどの重大な動作を進めることができるか否かを決定することができる。
【0015】
したがって、本発明は、「環境に優しい」/「新規」及び「ブラウン」/「既存又は古い」について、キロワットから低メガワット、2桁/3桁MWまで拡張することができるマイクログリッドの概念を提供する。本発明はまた、燃料ガスを販売用ガスに貨幣化する能力を有するガス生産海上資産を提供することができる。既存の解決策のギャップは、「古い/ブラウンフィールド」資産の間で明らかであり、既存の炭化水素ベースの発電は既に適所にあり、既存の発電機は依然として償却可能な値を有する可能性があるため、直ちに全ての既存の発電機を償却しないことを望む。
【0016】
したがって、本発明の実施形態は、漸進的に採用することができ(すなわち、新しい電源の自動化、古い炭化水素燃焼装置への人間の介入)、炭化水素生成作業を中断することなく古い発電機の既存のワークフロー/制御と統合することができなければならないマイクログリッドの概念を提供することができる。
【0017】
一実施形態では、本発明は、ガスタービン/ディーゼル発電のような海上風力エネルギー及び炭化水素型発電を統合するための中間制御としてエネルギー管理システム(EMS)を使用するエネルギー源に依存しない戦略を提供することができる。
【0018】
したがって、また更なる実施形態では、本発明は、エネルギー貯蔵を伴う海上の再生可能な風力及び/又はGTGなどの従来の発電機/電力源などの様々な電力源からのエネルギー貯蔵及び供給を管理することができる、エネルギー(又は電力源)に依存しないエネルギー管理システム(EMS)をそのコアに有する海上マイクログリッドを提供することができる。
【0019】
これは、典型的な海上風力エネルギー設定(すなわち、変電所など)の展開に必要な投資を正当化することができない、エネルギー要件が小さい施設を含むスケーラブルなシステムを提供することができる。このスケーラブルなシステムは、燃料ガスの使用を最適化するためにEMSを利用する方法を導入することができ、その後、これを販売用ガスに変換することができる。
【0020】
更なる態様では、マイクログリッドはまた、発電源自体(すなわち、風力タービンタワー)が、別個の変電所プラットフォームが不要であるように、必要な全ての内蔵電子機器及びエネルギー貯蔵機構と包括的に自己完結するようにスケーリングされてもよい。そのような発電源は、海底ケーブルを介して既存の海上プラットフォームと一体化するときに、浮体式下部構造の上に配置され、単一のプラグアンドプレイユニットとして輸送/設置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の想定し得る構成を示す添付図面に関して本発明を更に説明することが好都合である。本発明の他の構成も可能であり、したがって、添付図面の特殊性は、本発明の前述の説明の一般性に取って代わるものとして理解されるべきではない。
【0022】
図1A】本発明の一実施形態に係るEMSの状態間の関係を示す単一のフローチャートである。
図1B】本発明の一実施形態に係るEMSの状態間の関係を示す単一のフローチャートである。
図1C】本発明の第2の実施形態に係るEMSの状態間の関係のフローチャートである。
図1D】本発明の第3の実施形態に係るEMSの状態間の関係のフローチャートである。
図1E】本発明の第4の実施形態に係るEMSの状態間の関係のフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態に係るEMS及びマイクログリッドの概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るEMS及びマイクログリッドの概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る自立一体型浮体式海上風力タービンの等角切欠図である。
図5図1A図1Eのフローチャートの凡例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1A図1Eに示されるように、本発明の一実施形態に係るEMSは、風力発電機のような新しいエネルギー源を、海上プラットフォームで普及している既存の炭化水素系システムに統合できるようにする運用方法論を含む。EMS戦略の目的は、既存の運用ワークフローに悪影響を与えてはならない(風力タービンなどの)新しいエネルギー源の導入を含む。
【0024】
風力タービン発電機などの新しい間欠電源の導入を含む海上プラットフォーム用のマイクログリッドに適用されるEMSの実施形態にとって最も重要なのは、重大な動作、特に高い始動電流/突入電流を必要とする重要な機器の信頼できる動作を保証することである。概して、マイクログリッドは、EMSによって制御され、各分散型エネルギー資源の累積的な利用可能性状態を測定し、前記累積的な状態に基づいて状態を割り当てることができる。これに基づいて、EMSは、重大な動作を進めることができるか否かを決定することができる。瞬間的な高電流の引き込みに対する準備ができるというこの利点の基本的な実現者及び提供者は、エネルギー貯蔵システム(ESS)及びその変換器であることに留意すべきである。次いで、EMSは、ESS、新しい風力タービン発電機、及び既存の燃料燃焼発電機の間を仲介する制御論理コントローラとしての役割を果たし、動作/プラットフォーム全体に信頼性の高い電力を供給する。
【0025】
高い始動電流を必要とする重大な動作の一例は、原油移送ポンプ(COTP)の動作である。COTPの高い開始電流への電力供給の実行可能性が損なわれるか、又は電力供給に一貫性がない可能性がある場合、COTPを開始することができず、結果として生じる混乱は、長期的な損傷並びに上流及び下流の動作への混乱の可能性を有する。そのようなシナリオは許容できず、EMSは、統合マイクログリッドの制約内で最高レベルの電力可用性を保証するための制御ロジックとして責任を負う。本質的に、新しい風力タービン発電機は、アクティブ/進行中のプラットフォームの事業及び動作を中断することなく、既存の燃料ベースの発電システムに確実に統合するためにEMSを必要とする。
【0026】
この目的のために、COTPの動作は、前述の例では、前述のEMS駆動戦略によって既存の従来の電源との新しい風力タービン発電機の統合中にそのような混乱がどのように回避され得るかを説明する手段として使用される。EMS動作マイクログリッドからも利益を得ることができる高い突入電流/始動電流を必要とする他の機器の動作は、例えば、以下の通りである。
i)機器用空気圧縮機
ii)ガスタービン/圧縮機
iii)大型の油圧システム及びポンプ
iv)一般に、駆動ポンプ又は圧縮機である任意の大型モータに適用可能である。
【0027】
上記は、高い突入電流/始動電流を必要とする機器を特に強調しており、そのような事例は、典型的には、プラットフォーム上のエネルギー供給トレインにより多くのストレスをかけ、より高い剛性を要求する。
【0028】
本発明に係るEMS20の動作状態の例示的な説明は、図2に示すような海上プラットフォーム30用のマイクログリッド25に基づいており、分散型エネルギー資源は、
i)2つのGTG35A、B
ii)風力タービン40、及び、
iii)蓄電システム(ESS)45、及び、
iv)緊急発電機47
を含む。
【0029】
説明したように、EMS制御の目的は、少なくとも1つ以上のGTGへの依存を低減しながら、信頼できる動作(新しい技術/電源の導入による中断のない動作)を可能にすることである。
【0030】
既存のマイクログリッド用の分散型エネルギー資源として再生可能エネルギーを追加する手段を提供することとは別に、EMS戦略は、炭化水素ベースの発電の制御された使用を可能にし、燃料負荷の更なる節約につながる可能性があり、更に販売され得る。
【0031】
以下は、他のエネルギー資源に対するGTGに可能な動作モードの例を提供する。GTGは、オフにされるか、又は開始され、その後動作モードに切り替わる。GTGの状態の頻繁な変化は回避されるべきである。
【0032】
WTは、オフ及びオンの動作モードを提供する。オン状態では、EMSは、電力設定点を指定する。この設定点をWTは超えない。しかしながら、風の状態が変化するため、WTの発電電力は、値0を下回るか、又は値0にさえ達する可能性がある。一般に、以下のモードが調整可能である。すなわち、オフ、0...レベル-1、0...レベル-2、又は0...レベル-最大発電量。
【0033】
ESSは、動作モードをオフにし、UPSレベルに充電し、UPSレベルと最大レベルとの間に充電し、最大負荷レベルに充電する。UPSレベルは、GTGの開始移行段階中にプラットフォームによって必要とされるエネルギーの量、及び更にWTの変動するエネルギー生成を補償するエネルギー貯蔵量によって定義される。この概念では、ESSは、COTPの開始時に主に短期グリッドサポートとして機能する。必要に応じて、GTGがベース負荷を引き継ぎ、ESSがグリッドをサポートする。COTP始動段階は短く、このプロセスは周期的な間隔で行われるため、これらの事象間の時間を使用してESSを充電し、それをUPSレベルに保持する。これは、現在起動されている発電機WT及び/又はGTGによって行われる。UPSレベルは、自由にパラメータ化することができる(例えば、700kWh)。更に、GTG障害の場合、ESSは、他方のGTGが開始されるまでプラットフォームに電力を供給する。このGTGの始動段階中、COTPの起動はブロックされる。この機能のために、ESSは常に少なくともUPSレベルに保たれるべきである。利用可能な風力エネルギーが多い場合、ESSは最大レベルまで充電される。この概念は、GTGの頻繁な起動を回避し、プラットフォームが確実に供給されるようにする。
【0034】
GTGは、オフ及びオンの動作モードをサポートする。
【0035】
【表1】
【0036】
表2は、異なるEMS動作状態を示す。EMS動作状態は、発電機の個々の動作モードを規定する。例えば、GTG1が起動され、ほぼ完全に充電されたESSが利用可能であってもよい。この状態が動作状態7として規定される(表2参照)。
【0037】
殆ど発生しないか、又は適切なパラメータ化によって呼び出されない状態がある。他の状態では、可能な限り最長の動作時間が望まれる。例えば、GTG1がオンに切り替えられた動作状態、ほぼ充電されたESS、及び起動されたWT(表2、状態9参照)。
【0038】
第1列には、EMS動作状態の所定数が示される(表2参照)。この状態数は常に特定の状態のみを指す。
【0039】
第2列及び第3列はGTGを示す。GTGは常に開始及び停止されるべきではない。連続動作が有利である。したがって、一般に、他のGTGが故障した場合、又はESSが利用できない場合、1つのGTGのみが開始される。
【0040】
第4列はWTを指す。WTは、風に依存する変動エネルギーを提供する。安定した電源を確保するために、WTは、ESSが利用可能であるときにのみ作動される。WTの現在の動作モードをここに示す。
【0041】
第5列のESSの充電状態は、WTの電力設定点に影響を及ぼす。バッテリシステムが完全に充電されると、WTの電力が低下する。充電状態がUPSレベルを下回る場合、WT設定点を増加させると、ESSの充電プロセスが高速化する。
【0042】
表2の第6列には、COTP開始の許可が示される。幾つかの状態では、始動がブロックされる。これは、十分なエネルギーが利用可能でない場合に当てはまる。
【0043】
EMSは、発電機の状態信号を監視する。EMS動作状態変更は、発電機の動作モード変更によって開始される。例えば、ESSの充電状態がパラメータ化されたレベルを上回って上昇すると、ESSのモードが変化し、EMSの動作状態も変化する。表2の第7列には、動作状態の遷移(動作状態への遷移)が表示される。
【0044】
第8列には、発電機モードが、EMS動作状態状況を迅速に記録するためのアイコンと共に示されている。
【0045】
【表2】
【0046】
EMS戦略の目的は、可能な限り長い動作時間を含むことができる。例えば、GTG1がオンに切り替えられた動作状態、ほぼ充電されたESS、及び起動された風力タービン(表2、状態9参照)。第1列には、EMS動作状態の所定数が示される(表2参照)。
【0047】
第2列及び第3列はGTGを示す。このEMS戦略では、GTGは常に起動及び停止されるべきではない。連続動作が有利である。したがって、一般に、他のGTGが故障した場合、又はESSが利用できない場合、1つのGTGのみが開始される。
【0048】
第4列は風力タービンを指す。風力タービンは、風に依存する変動エネルギーを提供する。EMS戦略の一部として、安定した電力供給を確保するために、ESSが利用可能な場合にのみ風力タービンが起動される。
【0049】
第5列のESSの充電状態は、風力タービンの出力設定点に影響を及ぼす。バッテリシステムが完全に充電されると、風力タービンの出力が低下する。充電状態がUPSレベルを下回る場合、風力タービンの設定点を増加させると、ESSの充電プロセスが加速する。
【0050】
表2の第6列には、COTP開始の許可が示される。幾つかの状態では、始動がブロックされる。これは、十分なエネルギーが利用可能でない場合に当てはまる。
【0051】
EMSは、発電機の状態信号を監視する。EMS動作状態変更は、発電機の動作モード変更によって開始される。例えば、ESSの充電状態がパラメータ化されたレベルを上回って上昇すると、ESSのモードが変化し、EMSの動作状態も変化する。表2の第7列には、動作状態の遷移(動作状態への遷移)が表示されている。
【0052】
第8列には、発電機モードが、EMS動作状態状況を迅速に記録するためのアイコンと共に示されている。
【0053】
図1D及び図1Eは、表3及び3に示されるような「特別な」EMS動作状態のセットを規定する。エラーの場合、全ての発電機が動作モード「OFF」に切り替えられる。
【0054】
【表3】
【0055】
シャットダウン動作状態は、手動要求により起動する。この状態では、全ての発電機が動作モード「OFF」に切り替えられる。
【0056】
【表4】
【0057】
動作状態「シャットダウン」(40)又は「故障」(30)から電源を再起動する場合、動作状態50が起動する。起動は、手動要求によるものであってもよい。
【0058】
【表6】
【0059】
本明細書で提案されるEMSはまた、現場作業員がGTGの手動再起動を実行するのにかかる時間及び開始電流要件などの様々な動作制約を考慮に入れる。
【0060】
上記の表から、少なくとも1つのGTGが風力タービンによって生成された電力によって相殺されるときはいつでも、燃料ガスの節約が可能であり、これを貨幣化することができることは明らかである。
【0061】
【表5】
【0062】
風力タービン及びESSが陸上グリッドから分離され、自律的にエネルギーを供給される場合、島状態を活性化することができる。この状態は、例えば、プラットフォームのメンテナンス中に使用され得る。この島状態では、プラットフォームグリッドへのMVスイッチが停止され、ESS(MSC)がWTの凝集体にエネルギーを供給するように構成されてもよい。WT及び十分な風が利用可能である場合、状態61が起動される(ESSは充電中である)。
【0063】
更なる態様では、自立一体型浮体式海上風力タービンと共にEMS戦略を使用することにより、生産作業への影響を最小限に抑えながら、寿命が終わるまで、完全風力発電プラットフォームへの海上プラットフォームの段階的な「移行」を容易にするか、又はそのようなハイブリッドGTG-Windモードで動作することができる。
【0064】
図3は、本発明(図1)の一実施形態に係る自立一体型浮体式海上風力タービン(SCIFOWT)設備65を示す。別個の変電所を必要とせずに、及び/又はホストプラットフォームのデッキ空間を占有する必要なしに、エネルギー貯蔵部及び対応する電子機器/電気部品60を収容する風力タービン65。
【0065】
図4は、風力タービンの管状タワー構造体75のキャビティ80内に内蔵されたエネルギー貯蔵及び変圧器90、95を示す。更に、これは、周囲の水冷効果を利用するという追加の利点を有する下部構造75の浸水部分内に収容されてもよい。喫水線の下方にキャビティを有することは、冷却に関連する運転コストを下げるという追加の利点を有することができる。風力タービンタワー又は円筒形/球状浮力装置などの管状空間80の場合、エネルギー貯蔵装置95は、必要な半径に対応するためにモジュール式キャビネットの形で配置することができる。水没した部材(又は外部が海面より下に水没している下部構造部分)内に配置されると、エネルギー貯蔵部は、壁又は構造部材、すなわち熱伝導要素として二重に機能する船体補剛材に近接して又は直接接触して配置することができる。これにより、特に熱帯の気候において、エネルギー貯蔵を低温に保つコストが直接削減される。
【0066】
SCIFOWTは、そのような電力を必要とする一連のフィールドで使用することができる(例えば、あるフィールドから別のフィールドに移動させることができる)オールインワンのモバイル「エネルギーストア付き回転発電機」を提供することができる。更に、それは、変電所の経済性が正当化される点まで上方にスケーリングすることができるという意味でもスケーラブルである。例えば、単一のSCIFOWTユニットが特定のユースケースには不適切であると考えられるが、前記ユースケースが風力発電基地規模システムの展開を依然として正当化しない場合、各SCIFOWTユニットは自己完結型であるため、単にSCIFOWTの別のユニットと組み合わせることができる。言い換えれば、SCIFOWTは、「プラグ」及び「再生」のように必要に応じてスケーリングするモジュール性を提供し、正当なウィンドファーム(したがって、専用変電所)投資の前のエネルギー要件レベルを橋渡しする役割を果たす。例えば、風力発電基地の変電所は、通常、独自の別個のプラットフォームに設置される。
【0067】
発電機からの信号は、EMSに利用可能である。これにより、EMSの運転状態に適応して変化する発電機の運転モードに対応することができる。動作状態が変化すると、発電機の設定点が変化し、対応する発電機に送信され得る。
【0068】
パラメータは、EMS動作状態システムを柔軟に設計することを可能にする。
【0069】
【表7】
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】