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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】回転式マンドレル
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20240104BHJP
   A22B 7/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
A22B7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537606
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 NL2021050769
(87)【国際公開番号】W WO2022131915
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2027125
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517264096
【氏名又は名称】フードメイト ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼンブルク,ダーフィット スコット
(72)【発明者】
【氏名】ホッペンブラウエルス,アドリアヌス コルネリス ヨハンネス
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
(57)【要約】
【解決手段】接続ブロックを含む無端コンベヤと、中間部の第1端部において第1軸を中心として回転すると共に、第1軸に対してゼロでない角度で第2軸を中心として回転するように構成され、家禽の屠体またはその一部を支持するためのマンドレルと、マンドレルに接続する第1端部と接続ブロックに接続する第2端部とを有する中間部と、第1軸を中心としてマンドレルを回転させるように構成した第1アクチュエータと、第2軸を中心としてマンドレルを回転させるように構成した第2アクチュエータと、を備える家禽搬送システムにおいて、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは、中間部の第2端部に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続ブロック(4)を含む無端コンベヤ(2)と、
第1軸(A)を中心として回転すると共に、前記第1軸(A)に対してゼロでない角度で第2軸(B)を中心として回転するように構成した、家禽の屠体またはその一部を支持するためのマンドレル(6)と、
前記マンドレル(6)に接続する第1端部(10)と、前記接続ブロック(4)に接続する第2端部(12)と、を有する中間部(8)と、
前記第1軸(A)を中心として前記マンドレル(6)を回転させるように構成した第1アクチュエータ(14)、および、前記第2軸(B)を中心として前記マンドレル(6)を回転させるように構成した第2アクチュエータ(14)と、
を備えた家禽搬送システム(1)において、
前記第1アクチュエータ(14)および前記第2アクチュエータ(16)は、前記中間部(8)の前記第2端部(12)に配置されること、
を特徴とする家禽搬送システム(1)。
【請求項2】
前記第1アクチュエータを、第1作動軸を中心として回転するように構成し、前記第2アクチュエータを、第2作動軸を中心として回転するように構成すること、
を特徴とする請求項1に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項3】
前記第1作動軸は、前記第2作動軸と平行であり、好ましくは、前記第1作動軸は、前記第2作動軸と一致すること、
を特徴とする請求項2に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項4】
前記中間部(8)は、第1中継要素(18)および第2中継要素(20)を備え、
前記第1中継要素(18)が動作することにより、前記第1軸(A)を中心として前記マンドレル(6)が回転し、前記第2中継要素(20)が動作することにより、前記第2軸(B)を中心として前記マンドレル(6)が回転すること、
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項5】
前記第1中継要素(18)は第1シャフトを備え、前記第2中継要素(20)は第2シャフトを備え、
前記第1シャフト(18)が回転するなどして動作すると、前記第1軸(A)を中心として前記マンドレル(6)が回転し、前記第2シャフト(20)が回転するなどして動作すると、前記第2軸(B)を中心として前記マンドレル(6)が回転する、
ことを特徴とする請求項4に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項6】
前記第1シャフト(18)および前記第2シャフト(20)のうちの一方は中空シャフトであり、
前記第1シャフト(18)および前記第2シャフト(20)のうちの他方は、前記中空シャフト(18)を通って延びる内部シャフトであり、
前記中空シャフト(18)および前記内部シャフト(20)を、回転するなどして互いに独立して動作するように構成すること、
を特徴とする請求項5に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項7】
前記第1軸は、前記中間部の前記第1端部の近くまで貫通するなどして延在し、および、前記第2軸は、前記中間部の前記第1端部の近くまで貫通するなどして延在し、または、そのいずれか一方であること、
を特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項8】
前記第2軸(B)は、前記第1軸(A)に対して実質的に垂直であること、
を特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項9】
前記第2軸は仮想回転軸を形成すること、
を特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項10】
前記第1シャフト(18)は、固定接続部(22、23)を介して前記マンドレル(6)に接続され、
前記固定接続部(22、23)は、前記第1シャフト(18)の回転を、前記第1軸(A)を中心とする前記マンドレル(6)の回転に伝達すること、
を特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項11】
前記第1シャフト(18)は、ギアセット(54、56)などの変速機(54、56)を介して前記マンドレル(6)に接続され、
前記変速機(54、56)は、前記第1シャフト(18)の回転を、前記第1軸(A)を中心とする前記マンドレル(6)の回転に伝達すること、
を特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項12】
前記第2シャフト(20)が、ギアセット(24、26)などの変速機(24、26)を介して前記マンドレル(6)に接続され、
前記変速機(24、26)が、前記第2シャフト(20)の回転を、前記第2軸(B)を中心とする前記マンドレル(6)の回転に伝達すること、
を特徴とする請求項5~11のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項13】
前記第1軸(A)および前記第2軸(B)のうちの一方が、前記無端コンベヤ(2)に対して実質的に垂直であること、
を特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項14】
前記第1アクチュエータ(14)および前記第2アクチュエータ(16)、またはそのいずれか一方が、マルタ十字形などのジェネバ機構ホイールを備えること、
を特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項15】
前記第1アクチュエータと前記マンドレルとの間、および、前記第2アクチュエータと前記マンドレルとの間、またはそのいずれか一方の間に、減速機が配置されること、
を特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項16】
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータ、またはそのいずれか一方は、電動モータを備えること、
を特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項17】
前記第1アクチュエータ(14)および前記第2アクチュエータ(16)、またはそのいずれか一方のための保持装置(40)を備え、
前記保持装置(40)を、選択的に第1モードまたは第2モードになるように構成し、
前記第1モードでは、前記保持装置(40)が前記アクチュエータの作動をそれぞれ防止し、
前記第2モードでは、前記保持装置(40)が前記アクチュエータの作動をそれぞれ可能にすること、
を特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項18】
前記保持装置(40)を、前記第1モードにおいて前記アクチュエータの回転をそれぞれ防止し、前記第2モードにおいて前記アクチュエータをそれぞれ解放して回転させるように構成すること、
を特徴とする請求項17に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項19】
前記第2アクチュエータ(16)の前記保持装置(40)が前記第2モードにあるときに、前記第1および第2軸(A、B)を中心とする前記マンドレル(6)の回転を作動させるように前記第1アクチュエータ(14)を構成し、および、前記第1アクチュエータ(14)の前記保持装置(40)が前記第2モードにあるときに、前記第1および第2軸(A、B)を中心とする前記マンドレル(6)の回転を作動させるように前記第2アクチュエータ(16)を構成し、または、そのいずれか一方に構成すること、
を特徴とする請求項17または18に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項20】
ロック力を加えることにより前記第1モードでロックされるように前記保持装置(40)を構成し、
ロック解除力を加えることにより前記第1モードからロック解除されるように前記保持装置(40)を構成すること、
を特徴とする請求項17、18または19に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項21】
前記ロック解除力を加えるように構成した第1ガイドレール(46)と、前記ロック力を加えるように構成した第2ガイドレール(48)とを備えること、
を特徴とする請求項20に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項22】
前記アクチュエータを第1所定位置から第2所定位置に作動させるように構成した1つまたは複数の回転ピン(34)を備えること、
を特徴とする請求項17~21のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項23】
前記保持装置(40)は、前記第1モードに付勢されること、
を特徴とする請求項17~22のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項24】
前記マンドレル(6)には、前記家禽の屠体またはその一部を前記マンドレル(6)に固定した状態に保つように構成された屠体保持具が設けられること、
を特徴とする請求項1~23のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項25】
前記無端コンベヤ(2)は、多関節型の無端コンベアであること、
を特徴とする請求項1~24のいずれか一項に記載の家禽搬送システム(1)。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の前記家禽搬送システム(1)と、
前記家禽の屠体またはその一部を、例えば、切断、皮剥ぎ、骨抜き、または収集することにより処理するように構成された1つまたは複数の処理ステーション(102)と、
を備える家禽処理装置(100)。
【請求項27】
家禽の屠体またはその一部を搬送するための方法であって、
搬送システムの接続ブロック(4)に中間部(8)を介して接続されたマンドレル(6)に、前記家禽の屠体またはその一部を配置する工程と、
前記連結ブロック(4)またはその近傍に位置する第1アクチュエータ(14)を作動させることにより、第1軸(A)を中心として、前記中間部(8)に対し前記マンドレル(6)を回転させる工程と、
前記連結ブロック(8)またはその近傍に位置する第2アクチュエータ(16)を作動させることにより、第2軸(B)を中心として、前記中間部(8)に対して前記マンドレル(6)を回転させる工程とを含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項28】
前記第1アクチュエータを作動させる前記工程は、第1作動軸を中心として前記第1アクチュエータを回転させる工程を含み、および、前記第2アクチュエータを作動させる前記工程は、第2作動軸を中心として前記第2アクチュエータを回転させる工程を含み、もしくは、そのいずれか一方であること、
を特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記中間部(8)の第1中継要素(18)を動作させることによって、前記第1軸(A)を中心に前記マンドレル(6)を回転させる工程と、
前記中間部(8)の第2中継要素(20)を動作させることによって、前記第2軸(B)を中心として前記マンドレル(6)を回転させる工程とを含むこと、
を特徴とする請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記中間部(8)の第1シャフト(18)を回転させることによって、前記第1軸(A)を中心として前記マンドレル(6)を回転させる工程と、
前記中間部(8)の第2シャフト(20)を回転させることによって、前記第2軸(B)を中心として前記マンドレル(6)を回転させる工程とを含むこと、
を特徴とする請求項27または28に記載の方法。
【請求項31】
前記第1アクチュエータ(14)および前記第2アクチュエータ(16)、またはそのいずれか一方が、マルタ十字形などのジェネバ機構ホイールを含むこと、
を特徴とする請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータ、またはそのいずれか一方が、電動モータを備えること、
を特徴とする請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1アクチュエータ(14)および前記第2アクチュエータ(16)、またはそのいずれか一方のための保持装置(40)を作動させる工程を含み、
前記保持装置(40)は、選択的に第1モードまたは第2モードになるように作動され、
前記第1モードでは、前記保持装置(40)は、前記アクチュエータの作動をそれぞれ防止し、
前記第2モードでは、前記保持装置(40)は、前記アクチュエータの作動をそれぞれ可能にすること、
を特徴とする請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ロック力を加えることによって選択的に第1モードで保持装置(40)をロックする工程と、
ロック解除力を加えることによって選択的に保持装置(40)のロックを解除する工程とを含むこと、
を特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
家禽の屠体またはその一部を、例えば、切断、皮剥ぎ、骨抜き、または収集することによって処理するために設けた1つまたは複数の処理ステーション(102)を通過させて、家禽の屠体またはその一部を運搬する工程を含む、
ことを特徴とする請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家禽の屠体処理に関する。より具体的には、本発明は、1つまたは複数の処理工程を通して家禽の屠体を誘導する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家禽の屠体処理において、1つまたは複数の処理工程を通して家禽の屠体を搬送する搬送装置が知られている。これらの処理工程には、家禽の屠体またはその一部からの皮膚の剥ぎ取り、骨抜き、切断、肉の収集が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この分野において、1つまたは複数の処理工程における家禽の屠体の方向付けについては最適化の余地がある。処理工程に応じて、家禽の屠体の向きを他の処理工程における向きと異ならせることが好ましい場合がある。家禽の屠体の向きは、様々な方法により変更することができ、また、向きを全く変えない場合もある。手作業で向きを変更すると時間がかかりコスト効果が悪いが、自動化は複雑且つ非常にコストがかかり、また、家禽の屠体の向きを十分に変更できない場合も多い。
【0004】
そこで、本発明の目的は、家禽の屠体処理工程を最適化するために、家禽の屠体を様々な方向へ自動で向けることのできる家禽搬送システム、家禽処理装置、および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、家禽搬送システムには、接続ブロックを含む無端コンベヤが設けられる。また、家禽搬送システムには、家禽の屠体またはその一部を支持するためのマンドレルが設けられる。また、家禽搬送システムには、第1端部と第2端部とを有する中間部が設けられる。第1端部は、マンドレルに接続される。反対側の第2端部は、接続ブロックに接続される。マンドレルは、第1軸を中心として回転し、さらに、第1軸に対してゼロでない角度で第2軸を中心として回転するように構成される。家禽搬送システムには、第1軸を中心としてマンドレルを回転させるように構成された第1アクチュエータが設けられる。また、家禽搬送システムには、第2軸を中心としてマンドレルを回転させるように構成された第2アクチュエータが設けられる。第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは、中間部の第2端部に配置される。
【0006】
このように、2つの異なる軸を中心として回転可能なマンドレルを備えた家禽搬送システムが提供される。これにより、マンドレルを様々な位置に配置することができる。第1軸は、中間部の第1端部の近くまで、例えば、貫通して延在してもよい。第2軸は、中間部の第1端部の近くまで、例えば、貫通して延在してもよい。マンドレルは、中間部の第1端部において、第1軸を中心として、かつ第2軸を中心として回転するように構成することができる。第1軸は、中間部の長手方向に延在してもよい。第2軸は、中間部の長手方向に対してゼロでない角度で延在してもよい。第2軸は、中間部の長手方向に対して垂直に延在してもよい。第2軸は、仮想回転軸を形成してもよい。第2軸は、例えば、第1軸に対して実質的に垂直であってもよく、このように構成することで、2つの独立した直交回転に基づいて、マンドレルがどのように所定の位置に収まるかに対して直感的なアプローチがもたらされる。また、中間部を設けることで、無端コンベヤの接続ブロックとマンドレルとの間にオフセット距離が生じる。これにより、家禽の屠体またはその一部を、接続ブロックまたは無端コンベヤの残りの部分と衝突させることなく、第1軸および第2軸の周りに容易に配置することができる。仮想回転軸を形成する第2軸を設けることで、家禽の屠体またはその一部と、無端コンベヤの中間部、接続ブロック、またはその残りの部分との衝突をさらに回避することができる。また、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを中間部の第2端部に配置する構成には、第1軸および第2軸を中心とするマンドレルの回転が、接続ブロックまたはその付近から作動されるという点で利点がある。このような構成により、作動を、非常に簡単な方法で、マンドレルを邪魔することなく行うことができる。
【0007】
また、第1アクチュエータを、第1作動軸を中心として回転するように構成し、および、第2アクチュエータを、第2作動軸を中心として回転するように構成し、またはそのいずれかに構成してもよい。第1アクチュエータや第2アクチュエータに、例えば、マルタ十字形などのジェネバ機構ホイールなどを用いると、単純な構造で回転の作動を行うことができる。また、第1アクチュエータを、第1作動軸を中心として回転するように構成すると共に、第2アクチュエータを、第2作動軸を中心して回転するように構成してもよい。この場合、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは共に、ジェネバ機構ホイールを備えることができる。また、第1作動軸は第2作動軸と平行であってもよい。また、第1作動軸は第2作動軸と一致していてもよい。これにより、シンプルな構造とすることができる。また、第1作動軸および第2作動軸は第1軸と一致していてもよい。
【0008】
また、中間部は、第1中継要素および第2中継要素を備えてもよい。第1中継要素が動作することにより、第1軸を中心としてマンドレルが回転する。第2中継要素が動作することにより、第2軸を中心としてマンドレルが回転する。第1中継要素は、シャフト、ワイヤ、チェーン、ギア、摩擦ホイール、レバーなどのうちの1つまたは複数を備えてもよい。第2中継要素は、シャフト、ワイヤ、チェーン、ギア、摩擦ホイール、レバーなどのうちの1つまたは複数を含んでもよい。第1中継要素および第2中継要素により、中間部の第2端部から第1端部への作動が容易に伝達される。
【0009】
また、第1中継要素は第1シャフトであるか、または第1シャフトを備え、第2中継要素は第2シャフトであるか、または第2シャフトを備えてもよい。第1シャフトが回転するなどして動作すると、第1軸を中心としてマンドレルが回転する。第2シャフトが回転するなどして動作すると、第2軸を中心としてマンドレルが回転する。これら2つのシャフトを任意に設けることにより、2つの異なる軸を中心とするマンドレルの回転を、容易に独立して制御することができる。
【0010】
また、第1シャフトおよび第2シャフトのうち一方は中空シャフトであり、第1シャフトおよび第2シャフトのうち他方は、中空シャフトを通って延びる内部シャフトであってもよい。中空シャフトおよび内部シャフトは、互いに独立して、例えば共通の軸を中心とし、回転や並進などにより動作するように構成される。このような任意の構成により、2つの異なる軸を中心とする回転を独立制御可能な、省スペースの機械的構造を容易に構成することができる。
【0011】
また、第1シャフトをマンドレルに固定して接続して、第1シャフトの回転をマンドレルの回転運動に直接的に伝達するように構成してもよい。固定接続により、第1軸を中心とする回転をマンドレルに容易に伝達することができる。また、ギアセットなどの変速機を介して、第1シャフトをマンドレルに接続してもよい。第1シャフトの長手方向軸を中心とする第1シャフトの回転運動を、第2軸を中心とするマンドレルの回転に伝達するように変速機を構成してもよい。変速機は、例えば、シャフト、ワイヤ、チェーン、クラウンギアセットなどのギアセット、フリクションホイール、レバーなどを備えてもよい。
【0012】
また、ギアセットなどの変速機を介して、第2シャフトをマンドレルに接続してもよい。第2シャフトの長手方向軸を中心とする第2シャフトの回転運動を、第2軸を中心とするマンドレルの回転に伝達するように変速機を構成してもよい。ギアセットなどの変速機を設けることにより回転軸を変化させることができる。変速機は、例えば、シャフト、ワイヤ、チェーン、クラウンギアセットなどのギアセット、フリクションホイール、レバーなどを備えてもよい。
【0013】
また、第1シャフトを、その長手方向に並進するように構成してもよい。第1シャフトを、その並進運動をマンドレルの回転に変換するように、マンドレルに接続してもよい。
【0014】
また、第1軸を、無端コンベヤ、例えば接続ブロックに対して実質的に垂直に設けてもよい。このように構成することで、マンドレルの回転をより直感的に制御することができる。
【0015】
また、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータ、またはそのいずれか一方を、マルタ十字形などのジェネバ機構ホイールを備えるように構成してもよい。ジェネバ機構を用いると、完全に機械的且つ自動化された方法で、例えば90度など所定の角度での回転を得ることができる。また、家禽処理用機械において、ジェネバ機構による増分的な回転駆動の利用は一般的である。なお、第一アクチュエータと第二アクチュエータが共に、ジェネバ機構ホイールを備えるように構成してもよい。
【0016】
また、第1アクチュエータとマンドレルとの間、および、第2アクチュエータとマンドレルとの間、またはそのいずれか一方の間に、減速機を配置してもよい。したがって、例えば、第1アクチュエータや第2アクチュエータの回転により、第1軸や第2軸を中心とするマンドレルの回転を減少させる。例えば、第1アクチュエータや第2アクチュエータの回転を、1.5、2、3、4、6、または他の任意の適切な係数分減少させることができる。したがって、90度で第1アクチュエータや第2アクチュエータが回転すると、それぞれ、60度、45度、30度、22.5度、15度、または任意の他の適切な角度増分で、第1軸や第2軸を中心としてマンドレルが回転する構成を容易に実現することができる。
【0017】
また、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータ、またはそのいずれか一方は、電動モータを備えてもよい。このように構成することで、第1軸および第2軸を中心とするマンドレルの回転を容易に制御することができる。
【0018】
また、家禽搬送システムは、第1アクチュエータや第2のアクチュエータのための保持システムを備えてもよい。保持システムは、選択的に第1モードまたは第2モードになるように構成される。第1モードでは、保持システムは、アクチュエータの作動をそれぞれ防止する。第2モードでは、保持システムは、アクチュエータの作動をそれぞれ可能にする。保持システムを備える主な利点は、マンドレルの意図しない回転を防止できる点にある。
【0019】
また、保持システムは、第1モードにおいて、第1ジェネバ機構ブロックや第2ジェネバ機構ブロックなどのアクチュエータの回転をそれぞれ防止し、第2モードにおいて、これらのアクチュエータを解放してそれぞれ回転させるように構成される。このように構成することで、意図しない作動を簡単に防止することができる。
【0020】
また、第2アクチュエータの保持システムが第2モードにあるときは、第1および第2軸を中心として同時にマンドレルの回転を作動させるように第1アクチュエータを構成し、第1アクチュエータの保持システムが第2モードにあるとき、第1および第2軸を中心として同時にマンドレルの回転を作動させるように第2アクチュエータを構成してもよい。この任意の構成により、家禽搬送システムにおいて、アクチュエータのうちの1つのみを使用して、マンドレルを第1および第2軸を中心として同時に回転させることができるようになり、より少ない作動工程によりマンドレルを必要な方向に向けることが可能になる。
【0021】
また、保持システムを、ロック力が加わると第1モードでロックされるように構成してもよい。また、保持システムを、ロック解除力が加わると第1モードでロック解除されるように構成してもよい。ロックおよびロック解除に必要な力を加えることにより、保持システムの意図しないロックおよびロック解除を防ぐことができる。
【0022】
また、第1ガイドレールを備えてもよい。第1ガイドレールは、ロック力を加えるように構成される。また、第2ガイドレールを備えてもよい。第2ガイドレールは、ロック解除力を加えるように構成される。2つのガイドレールは、家禽搬送システムの無端コンベヤに沿った所定の地点で、ロックおよびロック解除力を加える単純な機械的手段として機能できる。
【0023】
また、1つまたは複数の入力を備えてもよい。入力は、アクチュエータを第1所定位置から第2所定位置に作動させるように構成される。これらの入力により、アクチュエータの作動を計画的に行うことができる。入力は、例えば、ジェネバ機構における1つまたは複数の回転ピンであってもよい。
【0024】
また、保持システムを、第1モードに付勢されるように構成してもよい。このように構成することで、例えば、システムが動作していないときに、アクチュエータの意図しない作動を防止することができる。
【0025】
また、マンドレルは、屠体保持具を備えてもよい。屠体保持具は、家禽の屠体またはその一部をマンドレルに固定された状態に保つように構成される。保持具は、例えば、家禽の屠体の一部を把持するためのグリッパを備えてもよい。保持具を設けることにより、手動または自動で行われる、家禽屠体またはその一部のマンドレルへの取り付けおよび取り外し作業を容易にすることができる。
【0026】
また、無端コンベヤは、多関節型の無端コンベヤであってもよい。
【0027】
家禽搬送システムの無端コンベヤは、複数の接続ブロックを備えてもよい。各接続ブロックは、上述のように関連するマンドレルに接続される。したがって、家禽搬送システムには、それぞれ第1軸および第2軸を中心として回転可能な複数のマンドレルが設けられる。
【0028】
本発明の一態様によれば、家禽処理装置が提供される。家禽処理装置は、上述した家禽搬送システムを備える。家禽搬送システムは、2つの軸を中心として回転可能な複数のマンドレルを備えることができる。家禽処理装置はまた、家禽の屠体またはその一部を、例えば、切断、皮剥ぎ、骨抜き、または収集によって処理するように構成された1つまたは複数の処理ステーションを備える。家禽処理装置により、各処理ステーションに対して、最適に自動化された方法で家禽の屠体の向きを変えることができる。また、家禽処理装置のマンドレルに、家禽の屠体を自動または手動で載置するに際し便利な向きも想定される。
【0029】
一態様によれば、家禽の屠体またはその一部を搬送する方法が提供される。この方法には、搬送システムの接続ブロックに中間部を介して接続されたマンドレル上に、家禽の屠体またはその一部を配置する工程が含まれる。この方法には、接続ブロックまたはその付近に設けられた第1アクチュエータを作動させることによって、中間部に対して、第1軸を中心としてマンドレルを回転させることが含まれる。この方法には、接続ブロックまたはその付近に設けられた第2アクチュエータを作動させることによって、中間部に対して、第2軸を中心としてマンドレルを回転させる工程が含まれる。
【0030】
また、第1アクチュエータの作動工程に、第1作動軸を中心として第1アクチュエータを回転させる工程が含まれてもよい。また、第2アクチュエータの作動工程は、第2作動軸を中心として第2アクチュエータを回転させる工程が含まれてもよい。第1作動軸は、第2作動軸と平行であってもよい。また、第1作動軸は、第2作動軸と一致してもよい。また、第1および第2作動軸は、第1軸と一致してもよい。
【0031】
また、本方法には、中間部の第1中継要素を移動させることによって第1軸を中心にマンドレルを回転させる工程と、中間部の第2中継要素を移動させることによって第2軸を中心にマンドレルを回転させる工程が含まれてもよい。
【0032】
また、本方法には、中間部の第1シャフトを回転させることによって第1軸を中心としてマンドレルを回転させる工程と、中間部の第2シャフトを回転させることによって第2軸を中心としてマンドレルを回転させる工程が含まれてもよい。
【0033】
また、第1アクチュエータや第2アクチュエータは、マルタ十字形などのジェネバ機構ホイールを備えてもよい。
【0034】
また、第1アクチュエータや第2アクチュエータは、電動モータを備えてもよい。
【0035】
また、本方法には、第1アクチュエータや第2アクチュエータのための保持システムを作動させる工程が含まれ、保持システムは、選択的に第1モードまたは第2モードになるように作動され、第1モードでは、保持システムは、アクチュエータの作動をそれぞれ防止し、第2モードでは、保持システムは、アクチュエータの作動をそれぞれ可能にする。
【0036】
また、本方法には、ロック力を加えることで保持システムを第1モードで選択的にロックする工程と、ロック解除力を加えることで保持システムを選択的にロック解除する工程が含まれる。
【0037】
また、本方法には、家禽の屠体またはその一部を処理するために設けられた1つまたは複数の処理ステーションを通過させて、例えば、切断、皮剥ぎ、骨抜き、または収集することによって家禽の屠体またはその一部を搬送する工程が含まれる。
【0038】
なお、家禽搬送システムについて述べる全ての特徴および任意事項は、家禽処理装置および方法に等しく適用され、逆もまた同様である。また、上記の態様、特徴、およびオプションのうちの任意の1つまたは複数を組み合わせることができる。
【0039】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】家禽搬送システムのマンドレルモジュールの一例を模式的に示す上面図である。
図2A図1に示す家禽搬送システムの作動ブロックおよび保持装置の一例を模式的に示す正面図であり、第1モードにある状態を示す。
図2B図1に示す家禽搬送システムの作動ブロックおよび保持装置の一例を模式的に示す正面図であり、第2モードにある状態を示す。
図3図2Aおよび図2Bに示す作動ブロックおよび保持装置の動作原理を示す。
図4図1に示すマンドレルモジュールを複数含む家禽処理装置の一例を模式的に示す上面図である。
図5図1に示すマンドレルモジュールを複数含む家禽処理装置の一例を模式的に示す上面図である。
図6】家禽搬送システムのマンドレルモジュールの一例を模式的に示す側面図である。
図7】家禽搬送システムのマンドレルモジュールの一例を模式的に示す側面図である。
図8】家禽搬送システムのマンドレルモジュールの一例を模式的に示す側面図である。
図9図1に示すマンドレルモジュールを複数含む家禽処理装置の一例を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施例を示す添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。本発明は、様々な形態で具体化することができる。そのため、本発明は、本明細書に記載された実施例に限定して解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本発明が徹底的かつ完全なものとなり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えることができるように提供されるものである。
【0042】
図1は、家禽搬送システム1のマンドレルモジュール1Aの一例を模式的に示している。マンドレルモジュール1Aは、例えば無端コンベヤ2への接続ブロック4を備える。また、マンドレルモジュール1Aは、家禽の屠体が取り付けられるマンドレル6を備える。マンドレル6は、家禽の部位またはその一部を搬送するように構成される。ここで、マンドレル6は、中間部8を介して接続ブロック4に接続されている。中間部8は、マンドレル6を中間部8に接続する第1端部10と、中間部8を接続ブロック4に接続する第2端部12とを有する。マンドレル6は、ここでは中間部8の第1端部10において、第1軸Aおよび第2軸Bを中心として回転するように構成される。本例では、第1軸は中間部8の長手方向に延在する。また、本例では、第1軸Aは、第2軸Bに対して垂直である。マンドレルモジュール1Aは、第1軸Aを中心としてマンドレル6を回転させるように構成した第1アクチュエータ14を備える。また、マンドレルモジュール1Aは、第2軸Bを中心としてマンドレル6を回転させるように構成した第2アクチュエータ16を備える。ここで、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16は、中間部8の第2端部12に位置している。本例では、第1アクチュエータ14は、接続ブロック4の第1側面15に配置され、第2アクチュエータ16は、接続ブロック4の反対側の第2側面17に配置される。ここで、第1アクチュエータ14は、第1作動軸を中心として回転するように構成され、第2アクチュエータ16は、第2作動軸を中心として回転するように構成される。本例では、第1作動軸は第2作動軸と一致する。より具体的には、ここでは、第1および第2作動軸は、第1軸Aと一致する。より一般的には、第1作動軸および第2作動軸は、平行または非平行であってもよい。
【0043】
図1では、中間部8は第1中継要素18を備え、この第1中継要素18により、第1アクチュエータ14の作動が第1軸Aを中心とするマンドレル6の回転に中継される。中間部8は、さらに第2中継要素20を備え、この第2中継要素20により、第2アクチュエータ16の作動が第2軸Bを中心とするマンドレル6の回転に中継される。図1に示す例では、第2中継要素20は中空シャフト20であり、第1中継要素18は、中空シャフト20を通って延びる中心シャフト18である。本例では、中心シャフト18と中空シャフト20とは同心である。ここで、中心シャフト18および中空シャフト20は、接続ブロック4に対して回転可能に設けられる。
【0044】
図1に示す例では、中心シャフト18の回転は、回転ブロック22への固定接続を介してマンドレル6に伝達される。ここで、回転ブロック22は軸23を収容していて、この軸23により、マンドレル6が、回転ブロック22に対して第2軸Bを中心として回転することが可能となる。軸23は、回転ブロック22やマンドレル6内に回転可能に収容される。本例では、中空シャフト20の回転は、第1ベベルギア24および第2ベベルギア26からなる一組のベベルギアを介してマンドレル6に伝達される。ここで、第1ベベルギア24は、中空シャフト20に対して回転可能に固定され、第2ベベルギア26は、マンドレル6に対して回転可能に固定される。
【0045】
図1では、第1アクチュエータ14は、ジェネバ機構ホイールなどの第1作動ブロックである。ここで、第1作動ブロック14は、中心シャフト18に対して回転可能に固定されている。図1では、第2アクチュエータ16は、ジェネバ機構ホイールなどの第2作動ブロックである。ここで、第2作動ブロック16は、中空シャフト20に対して回転可能に固定されている。
【0046】
第1作動ブロック14を回転させると、その回転が、第1軸Aを中心とする回転ブロック22の回転に中継され、第1軸Aを中心として軸23が回転する。このようにして、軸23に接続されたマンドレル6は第1軸Aを中心として回転する。
【0047】
第2作動ブロック16を回転させると、その回転が、第1軸Aを中心とする第1ベベルギアの回転に中継される。第1軸Aを中心とする第1ベベルギア24の回転は、第2軸Bを中心とする第2ベベルギア26の回転に中継される。このようにして、第2ベベルギア26に接続されたマンドレル6は、第2軸Bを中心として回転する。
【0048】
図2Aおよび図2Bは、図1に示した第1アクチュエータ14の詳細を示している。本例では、第1作動ブロック14はジェネバ機構ホイールである。より具体的には、ジェネバ機構ホイール14はマルタ十字形である。マルタ十字形14は、中心孔30において中心シャフト18に回転可能に固定される。中心シャフト18はここでは図示されていない。マルタ十字形14は、4つの回転凹部32を有する。これらの回転凹部32は、図3に示す回転ピン34を収容するように構成される。本例では、マルタ十字形部14は、さらに、4つの保持凹部38を有する円形凹部36を備える。本例では、保持凹部38は、それぞれ、円形凹部36の半径方向内側および半径方向外側の両方に延在する。以下、その用途について説明する。マルタ十字形14の隣には、保持装置40が示されている。保持装置40は細長い孔42を有する。この細長い孔42を設けることにより、中心シャフト18が保持装置40を通過することができるようになる。ここで、保持装置18は、2つの保持ピン44を有する。保持ピン44は、円形凹部36およびマルタ十字形部14の4つの保持凹部38内を作動する。保持装置40により、第1モードまたは第2モードの状態が得られる。図2Aには、第1モードが示されている。保持ピン44は、4つの保持凹部38のうちの2つに配置されている。このように第1モードでは、マルタ十字形14の回転が防止される。図2Bには、第2モードが示されている。保持ピン44は、円形凹部36内に配置されている。このように、第2モードではマルタ十字形14の回転が許容される。ロック解除力を加えることにより、保持装置40を図2Aに示す第1モードから、図2Bに示す第2モードにすることができる。ロック力を加えることにより、保持装置40を図2Bに示す第2モードから、図2Aに示す第1モードにすることができる。本例では、第1モードでは、保持ピン44は、保持凹部38の上端に位置している。なお、本例では、保持装置40を、保持ピン44が保持凹部38の下端に配置される第3モードの状態となるように構成してもよい。保持装置40は、第1モードに加えて、または第1モードの代わりに、第3モードを設けることができる。
【0049】
図3は、無端コンベヤ2に接続された複数の接続ブロック4に取り付けられた複数のマルタ十字形14の一例を示す。図3の下部には、C方向に移動するマルタ十字形14が第1位置Iにあり、その保持システム40が第1モードにある状態で示されている。C方向に移動すると、保持装置40は、略位置IIにおいて、第1ガイドレール46に突き当たる。ここで、第1ガイドレール46により保持装置40にロック解除力がかかり、保持装置40は第2モードになる。さらにC方向に移動していくと、位置IIとIIIとの間において、マルタ十字形14は回転ピン34に突き当たり、本例では、第1軸Aを中心として反時計回りに90°回転する(位置IIIにおいて、回転が部分的に示されている)。このように、中心シャフト18が第1軸Aを中心として反時計回りに90°回転するため、マンドレル6は第1軸Aを中心として反時計回りに90°回転する。さらにC方向に移動していくと、マルタ十字形14は、略位置IVで、マルタ十字形14について第1ガイドレール46とは反対側で、第2ガイドレール48に突き当たる。第2ガイドレール48により保持装置40にロック力がかかり、保持装置40は、再び第1モードになる。
【0050】
図2A図2B、および図3は、第1作動ブロック14および中心シャフト18を示している。しかしながら、これらについて上述した内容は、中空シャフト20に関する第2作動ブロック16にも該当する。
【0051】
図4は、家禽処理装置100の一例を示している。図4では、無端コンベヤ2は、図1に関連して説明したように、複数のマンドレルモジュール1Aを備えている。本例では、装置100は、さらに、無端コンベヤ2に沿って配置される複数の処理ステーション102A、102B、102Cを備える。処理ステーション102A、102B、102Cは、例えば、皮膚の剥ぎ取り処理用ステーション、骨抜き処理用ステーション、切断処理用ステーション、または肉の収集処理用ステーションとすることができる。図4に示す実施形態では、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16は、図2A図2B、および図3に示すようなマルタ十字形である。わかりやすくするために、図4の説明において、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16という用語を使用する。
【0052】
使用にあたり、マンドレル6を、無端コンベヤ2に関連する搬送経路に沿って作動させる。図4に示す実施形態では、マンドレル6は、作動方向Dにおいて3つの処理ステーション102A、102B、102Cを通過する。
【0053】
処理ステーション102Aと処理ステーション102Bとの間で、第1アクチュエータ14は、保持装置40を第2モードにする第1ガイドレール46Aを通過し、これにより、第1アクチュエータ14の回転が可能となる。また、処理ステーション102Bと処理ステーション102Cとの間で、第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16の保持装置40を第2モードにする第1ガイドレール46Bを通過し、これにより、第2アクチュエータ16の回転が可能となる。わかりやすくするために、図4では保持装置40を図示していない。その後、第1アクチュエータ14は、第1アクチュエータ14を作動させる回転ピン34Aを通過する。本例では、第1アクチュエータ14は、第1軸Aを中心として90°回転する。また、第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16を作動させる回転ピン34Bを通過する。本例では、第2アクチュエータ16は、第1アクチュエータ14と同じ方向に第1軸Aを中心として90°回転する。これにより、中空シャフト20および中心シャフト18が共に同じ方向に90度回転し、その結果、マンドレル6が第1軸Aを中心として90度回転する。回転後、第1アクチュエータ14は、第1アクチュエータ14の保持装置40を第1モードにする第2ガイドレール48Aを通過する。第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16の保持装置40を第1モードにする第2ガイドレール48Bを通過する。
【0054】
処理ステーション102Bと処理ステーション102Cとの間で、第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16の保持装置40を第2モードにする第1ガイドレール46Cを通過し、これにより、第2アクチュエータの回転が可能となる。その後、第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16を作動させる回転ピン34Cを通過する。本例では、第2アクチュエータ16は、第1軸Aを中心として90°回転し、その結果、マンドレルは、第2軸Bを中心として90°回転する。回転後、第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16の保持装置40を第1モードにする第2ガイドレール48Cを通過する。
【0055】
図5は、図4に示した家禽処理装置100の一例を示している。図5に示す実施形態では、マンドレル6は、作動方向Dにおいて3つの処理ステーション102A、102B、102Cを通過する。
【0056】
処理ステーション102Aと102Bとの間で、第1アクチュエータ14は、第1アクチュエータ14の保持システム40を第2モードにする第1ガイドレール46Aを通過し、これにより、第1アクチュエータ14の回転が可能になる。図5に示す例では、第2アクチュエータ16の保持システム40は第1モードのままであり、これにより、第2アクチュエータの回転は防止されている。わかりやすくするために、図5に保持システム40は図示していない。その後、第1アクチュエータ14は、第1アクチュエータ14を作動させる回転ピン34Aを通過する。本例では、第1アクチュエータ14は、第1軸Aを中心として90°回転する。これにより、中心シャフト18のみが90°回転し、その結果、マンドレル6は、第1軸Aおよび第1軸Bを中心として同時に90°回転する。回転後、第1アクチュエータ14は、第1アクチュエータ14の保持システム40を第1モードにする第2ガイドレール48Aを通過する。
【0057】
処理ステーション102Bと処理ステーション102Cとの間で、第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16の保持装置40を第2モードにする第1ガイドレール46Cを通過し、これにより、第2アクチュエータの回転が可能となる。その後、第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16を作動させる回転ピン34Cを通過する。本例では、第2アクチュエータ16は、第1軸Aを中心として90°回転し、その結果、マンドレルは、第2軸Bを中心として90°回転する。回転後、第2アクチュエータ16は、第2アクチュエータ16の保持装置40を第1モードにする第2ガイドレール48Cを通過する。
【0058】
このように、第1軸Aを中心とする回転および第2軸Bを中心とする回転を、別々に、または同時に作動させることができる。
【0059】
なお、第2アクチュエータ16の保持装置40が第2モードにあるときに、第1アクチュエータ14が、第1軸Aおよび第2軸Bを中心とするマンドレル6の回転を同時に作動させ、および、第1アクチュエータ14の保持装置40が第2モードにあるときに、第2アクチュエータ16が、第1軸Aおよび第2軸Bを中心とするマンドレル6の回転を同時に作動させるか、もしくはそのいずれか一方に、家禽処理装置1を構成することができる。例えば、2つのアクチュエータ14、16のうちの1つにより、中心シャフト18および中空シャフト20のうち1つを回転させることにより、中心シャフト18および中空シャフト20が互いに一緒に回転するように構成することができる。例えば、アクチュエータ14、16が第1ガイドレール46を通過することにより、保持装置40のロックを解除するためのロック解除力が第1ガイドレールにより加わり、その結果、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16が共に解放されるように、家禽処理装置1を構成することができる。ここで、アクチュエータ14、16の回転は、いずれも回転ピン34により作動する。第1アクチュエータ14が、例えば、回転ピン34を通過することにより第1軸Aを中心として90°回転し、その結果、第1軸Aを中心としてマンドレル6が90°回転する。また、第1アクチュエータ14が、第1軸Aを中心として中空シャフト20を90°回転させ、その結果、第2軸Bを中心としてマンドレル6が90°回転する。この任意の構成により、家禽搬送システムでは、アクチュエータのうちの1つのみを使用して、マンドレルを第1および第2軸を中心として同時に回転させることができるようになり、より少ない作動工程により、マンドレルを必要な方向に向けることが可能になる。
【0060】
マンドレルの点Eは、加工ステップの間におけるマンドレル6の回転を表している。
【0061】
図6は、家禽搬送システムのマンドレルモジュールの一例を概略的に示す正面断面図である。図6に示すマンドレルモジュール1の一例では、第1アクチュエータ14および第2アクチュエータ16は、ジェネバ機構の代わりに電動モータを備えている。上述した例とは対照的に、第1電動モータ14および第2電動モータ16は、共に接続ブロック4の同じ側に配置される。第2電動モータ16は、本例では、第1ギア50および第2ギア52からなるギアセットを介して、第2中継要素20、ここでは中空シャフト20に接続される。本実施形態では、中空シャフト20は、回転ブロック22に固定して接続される。第2電動モータ16によってもたらされる回転運動は、ギアセットを介して中空シャフト20から回転ブロック22に伝達され、第2軸Bを中心としてマンドレル6を回転させる。ギアセットは概略的に図示されている。ギアセットのギア比またはギアセットを構成するギアの量は変更可能である。ギア比は、好ましくは、比較的重いマンドレル6を比較的軽い電動モータによって回転させるのに十分となるよう選択され、任意選択として、比較的重い家禽の部位がその上に担持されるように選択される。ギアの量は、マンドレル6が第2電動モータ16と同じ方向または反対方向に回転するように選択することができる。また、第1アクチュエータ14や第2アクチュエータ16は、それぞれ第1エンコーダ、第2エンコーダを含む。第1エンコーダや第2エンコーダは、例えば、第1電動モータや第2電動モータを使用する際に、マンドレルの所望の位置への位置決めを容易にするために使用することができる。
【0062】
第1電動モータ14は、本例では、第1中継要素18、ここでは中心シャフト18に直接接続される。中心軸18は、中空軸20を貫通し、回転ブロック22に回転可能に収容されている。中心軸18は、変速機によってマンドレル6に接続されている。本例では、変速機は、ウォーム54とウォームギア56からなるウォームギアセットを含む。上述のギアセットに関する変形例は、ウォームギアセットにも適用される。変速機は、さらに、ウォームギア56に固定して接続された第1ビーム58を備え、第1ビーム58は、マンドレル6に回転可能に接続される。変速機は、さらに、第2ビーム60を備え、第2ビームは、その一端が回転ブロック22に回転可能に接続され、その他端がマンドレル6に回転可能に接続される。第1電動モータ14による回転運動は、中心シャフト18を通過し、ウォームギアセット54、56を介し、ウォームギア56の回転軸を中心として第1ビーム58を回転させる。マンドレル6に接続された第1ビーム58の端部は、第1円形経路Fに沿って移動する。マンドレル6は、第1ビーム58とともに移動するが、マンドレル6に接続された第2ビーム60の端部が移動できるのは円形経路Gに沿ってのみであるので、この移動は、第2ビーム60によって規制される。第1ビーム58の回転と第2ビーム60による規制によって、マンドレル6は仮想的な第1軸Aを中心として回転する。仮想第1軸Aは、ここでは特定の位置に示されているが、マンドレル6が仮想第1軸Aを中心として回転するにつれ、仮想軸Aの正確な位置は変化する。
【0063】
上述した通り、図6に示す例は、図1図2図3図4図5に示した例と、2つの態様について異なるといえる。第1の相違点は、ジェネバ機構の代わりに電動モータを使用する点である。電動モータを使用する場合、ガイドレールおよび回転ピンが、電動モータを動作させる電気回路に置き換えられるので、家禽処理装置100の構造が全体としてよりシンプルになる。また、電気回路を用いると、例えば処理ステーションの調整に応じた再プログラムが容易になるが、ガイドレールおよび回転ピンを用いる構成では、処理装置に対して機械的な介入をしなければならない。第2の相違点は、回転ブロックとマンドレルとの間の接続に関する。第1ビーム58と第2ビーム60とを組み合わせることにより、固定軸を中心としてではなく、仮想第1軸Aを中心として、マンドレル6を回転させる。仮想軸を中心とした回転の利点は、マンドレルのすべての可能な向きを達成できるマンドレルの体積が少なくて済むことであり、処理装置をよりコンパクトにすることができる。
【0064】
図7および図8は、家禽搬送システムのマンドレルモジュールの一例を概略的に示している。図7は、第2アクチュエータ16が並進運動するように構成されたマンドレルモジュール1の一例を示している。ここで、第2アクチュエータ16は、中心シャフト18の周りに配置された作動ディスク16として示され、作動ディスク16は、中心シャフト16に対して並進可能に構成されている。上述のガイドレール46と同様に、作動ディスク16を中心シャフト18に沿って並進させるガイドレールを設けてもよい。ガイドディスク18は、ここではビーム20として示す第2中継要素20にヒンジ接続されている。ビーム20は、マンドレル6にヒンジ接続される。マンドレル6は、中心シャフト18にヒンジ接続される。例えば、ガイドレールによってもたらされるガイドディスク18の並進運動は、ビーム20を介してビーム20とマンドレル6との間の接続部に伝達され、これにより、第2軸Bを中心としてマンドレルが回転する。第1アクチュエータ14の回転は、中心シャフト18を介してマンドレル6に直接伝達され、これにより、第1軸Aを中心としてマンドレル6が回転する。図8は、図7に示した例において、ガイドディスク18がマンドレル6に向かって並進した状態を示す。
【0065】
図9は、図1に示すマンドレルモジュール1Aを複数備えた家禽処理装置の一例を概略に示した上面図である。図9には、移動方向Dにおいて折り返し地点104の周りを移動する無端コンベヤ2が示されている。折り返し地点104の一方または両方は、モータによって駆動することができるが、必ずしもそれに限定されない。図9では、移動方向Dが各折り返し地点104において180°回転し、その2つの折り返し地点104の周りを無端コンベヤ2が移動している。一方で、折り返し地点104は2つ以上設けられてもよく、そのように設けられた折り返し地点104では、移動方向Dは任意の角度でターンする。無端コンベヤ2は、複数のマンドレルモジュール1Aを含んでいる。取り付け用ステーション106は、無端コンベヤ2の近くに示されている。取り付け用ステーション106では、家禽の屠体またはその一部を、マンドレルモジュール1Aのマンドレル6に取り付ける。取り付け用ステーション106は、自動で取り付ける構成または手動で取り付ける構成とすることができる。図9には、マンドレル6の回転は示していない。取り付け用ステーション106において、家禽の屠体またはその一部の取り付けを容易にするように、マンドレル6の向きを変える。例えば、家禽の屠体またはその一部をマンドレル6の屠体保持具に吊り下げることができるように、マンドレル6の向きを変えてもよい。次に、コンベヤ2は、図4および図5に示したような複数の処理ステーション102に沿って、家禽の屠体またはその一部が取り付けられたマンドレル6を搬送する。処理ステーション102を通過する前や通過する間のマンドレル6の回転については図示していない。取り外し用ステーション110は、最後の処理ステーション102の後にコンベヤ2に沿って設けてもよい。取り外し用ステーション110では、家禽の屠体の残りまたはその一部を、マンドレル6の屠体保持具から取り外す。取り外し用ステーション110は、自動で取り外す構成または手動で取り外す構成とすることができる。取り外し用ステーション110において、家禽の屠体の残りまたはその一部の取り外しを容易にするように、マンドレル6の向きを変える。洗浄用ステーション108は、取り外し用ステーション110と取り付け用ステーション106との間に配置してもよい。例えば、汚染を防止するために、新しい家禽の屠体またはその一部を取り付け用ステーション106で受け入れる前に、洗浄用ステーション108においてマンドレル6を手動または自動で洗浄する構成にしてもよい。
【0066】
ここでは、本発明の具体的な実施例を参照して本発明を説明する。しかしながら、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正および変更が可能であることは明らかであろう。明確かつ簡潔に説明するために、本明細書では特徴を同一または別個の実施例の一部として説明するが、これらの別個の実施例に記載された特徴の全部または一部の組み合わせを有する代替的な実施例も想定することができる。
【0067】
上述した実施例では、第一軸は第二軸に対して垂直であるが、第一軸が第二軸と異なる、ゼロでない角度をなすように構成してもよい。
【0068】
上述した実施例では、作動ブロックの動作は、2つの同心シャフト、固定接続部およびベベルギアのセットを介してマンドレルに中継されるが、1つまたは複数のワイヤ、ロープ、ケーブル、ボーデンケーブル、1つまたは複数のレバー、油圧ポンプ、電磁接続などを介して、作動ブロックの動作をマンドレルに中継されるように構成してもよい。
【0069】
図7に示した例では、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは、電動モータを備えている。一方で、図7に示した例において、第1アクチュエータや第2アクチュエータがジェネバ機構を備えるように変更してもよい。また、図1図2図3図4、および図5に示した例では、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは、ジュネーブ駆動ホイールを備える。一方で、図1図2図3図4、および図5に示した例において、第1アクチュエータや第2アクチュエータが電動モータを備えるように変更してもよい。図8および図9に示した例において、第1アクチュエータや第2アクチュエータが、電動モータやジェネバ機構を備えるように構成してもよい。
【0070】
なお、上述した以外の修正、変更、および代替も可能である。したがって、明細書、図面、および実施例は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で理解されるべきである。
【0071】
明確および簡潔に説明することを目的として、本明細書では、同じまたは別個の実施形態の一部として特徴を説明したが、本発明の範囲は、説明された特徴のすべてまたはいくつかの組合せを有する実施形態を含むことができる。
【0072】
特許請求の範囲において、括弧内に記載したいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「備える(comprising)」という語は、請求項に列挙されたもの以外の他の特徴または工程の存在を排除しない。さらに、冠詞「a」および「an」は、「1つのみ(only one)」に限定されると解釈されるべきではなく、「少なくとも1つ」を意味するために使用しており、複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】