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特表2024-501527ビラゾドン医薬組成物、その製造方法及び応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】ビラゾドン医薬組成物、その製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20240104BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240104BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240104BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240104BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240104BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240104BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P25/24
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/28
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/24
A61K47/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538986
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2021139678
(87)【国際公開番号】W WO2022135343
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】202011536858.1
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521504049
【氏名又は名称】上海雲晟研新生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳志祥
(72)【発明者】
【氏名】孫宝
(72)【発明者】
【氏名】王▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】応述歓
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA16
4C076AA36
4C076AA51
4C076AA53
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB11
4C076CC01
4C076DD01
4C076DD22Z
4C076DD23D
4C076DD30Z
4C076DD38Q
4C076DD49S
4C076DD50Z
4C076DD59S
4C076DD63Q
4C076EE06Q
4C076EE16F
4C076EE16X
4C076EE20D
4C076EE23F
4C076EE32F
4C076EE41Q
4C076FF02
4C076FF14
4C076FF16
4C076FF33
4C076FF36
4C076FF51
4C076FF57
4C076FF61
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA09
4C086NA12
4C086ZA12
(57)【要約】
本発明はビラゾドン医薬組成物、その製造方法及び応用を提供する。本発明は、ビラゾドン固体粒子を含むビラゾドン医薬組成物を提供し、前記ビラゾドン固体粒子の粒径はDv(10)が20ミクロン以下、Dv(50)が50ミクロン以下、且つDv(90)が100ミクロン以下である。本発明のビラゾドン医薬組成物が、長時間の持続放出、投薬頻度の減少、患者のコンプライアンスの向上などの明らかな利点を有し、市場化の見通しが良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビラゾドン医薬組成物であって、ビラゾドン固体粒子を含み、前記ビラゾドン固体粒子の粒径はDv(10)が20ミクロン以下、Dv(50)が50ミクロン以下、且つDv(90)が100ミクロン以下であり、
好ましくは、前記ビラゾドン固体粒子の粒径Dv(10)は10ミクロン以下で、例えば8ミクロン以下である;前記ビラゾドン固体粒子の粒径Dv(50)は40ミクロン以下で、例えば30ミクロン以下である;前記ビラゾドン固体粒子の粒径Dv(90)は80ミクロン以下で、例えば50ミクロン以下であることを特徴とする、ビラゾドン医薬組成物。
【請求項2】
前記ビラゾドン固体粒子はビラゾドン、ビラゾドンの薬学的に許容される塩(例えば塩酸塩)又はその溶媒和物の固体粒子から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のビラゾドン医薬組成物。
【請求項3】
前記ビラゾドン医薬組成物は担体を更に含み、
好ましくは、前記担体は、非油性担体又は油性担体であってもよいことを特徴とする、請求項2に記載のビラゾドン医薬組成物。
【請求項4】
前記非油性担体は水を含むが、これに限定されない、
及び/又は、
前記油性担体は、ヒマシ油、トリグリセリド、綿実油及び胡麻油などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されないことを特徴とする、請求項3に記載のビラゾドン医薬組成物。
【請求項5】
前記ビラゾドン医薬組成物は、懸濁化剤、湿潤剤、浸透圧調整剤、溶剤、安定剤、緩衝剤、pH調整剤、界面活性剤、ポリマー、電解質及び非電解質から選ばれる1つ又は複数を更に含むことを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のビラゾドン医薬組成物。
【請求項6】
前記懸濁化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール及びポビドンのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記湿潤剤は、ポロキサマー、ポビドン、ドキュサートナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム及びTweenのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、マンニトール及びスクロースのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記溶剤は注射用水を含むが、これに限定されず;
及び/又は、
前記安定剤は、酸化防止剤、金属イオンキレート剤、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリソルベート、デオキシコール酸ナトリウム、ドキュサートナトリウム、ポロキサマー、ポリエトキシル化植物油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ソルビタンパルミテート、レシチン、ポリビニルアルコール、ヒト血清アルブミン、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、デキストロース、グリセロール、マンニトール及び架橋ポリマーのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記緩衝剤は、リン酸、リン酸塩、枸櫞酸、枸櫞酸ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、水酸化ナトリウム、塩酸又はその混合物の緩衝剤を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記pH調整剤は、リン酸、リン酸塩、枸櫞酸、枸櫞酸ナトリウム、塩酸及び水酸化ナトリウムを含むが、これらに限定されないことを特徴とする、請求項5に記載のビラゾドン医薬組成物。
【請求項7】
前記酸化防止剤は、枸櫞酸、ビタミンC及びビタミンEのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記金属イオンキレート剤はエチレンジアミン四酢酸を含むが、これに限定されず、
及び/又は、
前記ポロキサマーは、ポロキサマー188、ポロキサマー124及びポロキサマー407のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記ポリソルベートは、ポリソルベート80及びポリソルベート20のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記ポビドンは、ポビドンK12、ポビドンK17、PLASDONETM C-12ポビドン、PLASDONETM C-17ポビドン及びPLASDONETM C-30ポビドンのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
及び/又は、
前記ポリエチレングリコールはポリエチレングリコール3350を含むが、これに限定されず、
及び/又は、
前記架橋ポリマーはカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むが、これに限定されず、
及び/又は、
前記リン酸塩は、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムの無水物又は水合物、リン酸水素二ナトリウムの無水物又は水和物の1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、例えば一水リン酸二水素ナトリウム、二水リン酸二水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、一水リン酸二水素ナトリウム、二水リン酸二水素ナトリウム及び無水リン酸二水素ナトリウムの1つ又は複数であることを特徴とする、請求項6に記載のビラゾドン医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のビラゾドン医薬組成物の製造方法であって、以下のステップを含む:
ステップ1:ビラゾドン固体粒子を配合における他の成分と混合して、予混合物を得る;
ステップ2:ステップ1で得られた予混合物をジルコニウムビーズと共に研磨し、前記ビラゾドン医薬組成物を得る、製造方法。
【請求項9】
請求項1~7の何れか1項に記載のビラゾドン医薬組成物を含む医薬製剤。
【請求項10】
医薬の製造における、請求項1~7の何れか1項に記載のビラゾドン医薬組成物の応用であって、
好ましくは、前記ビラゾドン医薬は、錠剤、顆粒剤、カプセル、マイクロペレット、経口液及び注射剤のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、
好ましくは、前記注射剤は、液体注射剤、注射用粉剤又は注射用錠剤であり、好ましくは、前記注射剤は懸濁剤であり、又は前記注射剤は長時間作用型注射剤であり、更に好ましくは、前記懸濁剤は、水懸濁剤又は懸濁用粉末であり、前記長時間作用型注射剤は水懸濁剤又は懸濁用粉末であり、
好ましくは、前記医薬は5-ヒドロキシトリプタミン1A(5-HT1A)部分作動薬及び/又は選択的5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)再取り込み阻害剤(SSRI)として作用する;更に好ましくは、前記医薬は例えば大人の重症うつ病など、うつ病の予防及び/又は治療のために使用される、応用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2020年12月23日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202011536858.1であり、名称が「ビラゾドン医薬組成物、その製造方法及び応用」である先行出願の優先権を主張する。当該先行出願は、その全体が引用により本願に組み込まれる。
〔技術分野〕
本発明はビラゾドン医薬組成物、その製造方法及び応用に関し、医薬製剤の分野に属する。
〔背景技術〕
うつ病はよく見られる精神心理疾患であり、その兆候と症状は、気分の落ち込み、通常活動に対する興味の喪失、体重や食欲の顕著な変化、不眠や過眠(嗜眠)、落ち着きのなさ/ペーシング(精神運動性の激越)、疲労の増加、罪悪感や劣等感、思考力の低下や集中力の欠如、重症者にある自傷行為と自殺衝動などを含む。この病気は、人々の仕事、睡眠、学習、食事、及び心地よい活動を楽しむ能力に重大な影響を及ぼす。
【0002】
うつ病の原因としては、中枢ノルエピネフリン(NE)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)、ドーパミン(DA)などのモノアミン類の神経伝達物質の含有量の低下、及びその受容体機能の低下などが考えられている。うつ病の最初の治療として電気刺激性ショック療法を用いたが、何回も使用した後に治療効果が失われる。現在、うつ病の治療に使用されている薬物は主に3種類あり、1つは三環系抗うつ薬(tricyclic antidepressant、TCA)であり、脳内のNEと5-HTの濃度を上昇させることができ、うつ病治療の標準薬となっている。しかし、この薬物は、効果の発現が遅く、心臓毒性などの重篤な有害反応を伴う。もう1つの抗うつ薬はモノアミンオキシダーゼ阻害剤(monoamine oxidase inhibitor、MAOI)であり、脳におけるNE及び5-HTの分解を遅らせ、これらの伝達物質の作用時間を延長できる。1980年代に、新たな抗うつ薬である選択的5-HT再取り込み阻害剤(selective serotonin reuptake inhibitor、SSRI)が開発され、シナプス前膜による5-HTの再取り込みを抑制し、シナプス間隙での5-HT濃度を増加させ、シナプス後膜5-HTIA受容体の興奮性を向上させ、抗うつ作用を生じる一方、他の神経伝達物質受容体に影響を及ぼさないため、比較的に安全である。しかし、SSRIは重症うつ病の治療において効果はTCAに及ばず、しかもSSRIは5-HT受容体のさまざまなサブタイプを非選択的に刺激するため、関連の副作用が幾つかある。研究者は、ブスピロンが5-HT1A受容体に対して高い親和性を持っていることを発見し、これが選択的5-HT1A受容体アゴニスト抗うつ薬の開発を促進した。
【0003】
ビラゾドン塩酸塩(vilazodone hydrochloride)、英語名は2-benzofurancarboxamide, 5-[4-[4-(5-cyano-1H-indol-3-y1)butyl]-1-piperazinyl] hydrochloride(1:l)であり、分子式はC26H27N502.HC1で、分子量は477.99である。当該化合物の化学構造式は、以下の通りである:
【0004】
【化1】
【0005】
米国食品医薬品局(FDA)は、2011年1月21日に、成人の重症うつ病の治療薬として塩酸ビラゾドン(商品名Viibryd)の普通錠剤を承認した。ViibrydはPGxHealth, New Haven, Connにより生産される。塩酸ビラゾドンは、5-ヒドロキシトリプタミン1A(5-HT1A)部分作動薬と選択的5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)再取り込み阻害剤(SSRI)の二重活性薬剤に属し、また初めてのインドールアルキルアミン類の新たな抗うつ薬でもある。
【0006】
現在、海外で市販されている塩酸ビラゾドンの剤形はそれぞれ10mg、20mg、40mgの仕様である。しかし、このような低用量錠剤は、投薬が頻繁であり、飲み込みにくく、薬物の不快な臭いが患者のコンプライアンスに影響を与えるなどの欠点がある。そこで、長時間の持続放出、投薬頻度の低減、患者のコンプライアンスの向上を図るためのビラゾドンの医薬組成物を見出すことが、現在解決が急務とされている技術問題である。
〔発明の概要〕
上記の技術問題を改善するために、本発明は、ビラゾドン固体粒子を含むビラゾドン医薬組成物を提供し、前記ビラゾドン固体粒子の粒径はDv(10)が20ミクロン以下、Dv(50)が50ミクロン以下、且つDv(90)が100ミクロン以下である。
【0007】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン固体粒子は、ビラゾドン、ビラゾドンの薬学的に許容される塩(例えば塩酸塩)又はその溶媒和物の固体粒子から選ばれてもよい。
【0008】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン固体粒子の粒径はDv(10)が10ミクロン以下であり得、又は8ミクロン以下であり得、例えば0.1~8ミクロンであり得、例えば0.1ミクロン、0.2ミクロン、0.5ミクロン、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、6ミクロン、7ミクロン又は8ミクロンであり、その実例としては、7.187ミクロン、147.16ナノメートル、4.813ミクロン、5.522ミクロン、0.808ミクロン、187.63ナノメートル、0.873ミクロン、4.517ミクロン、6.708ミクロン、7.483ミクロン、4.737ミクロン、4.759ミクロン、2.105ミクロン、8.4ミクロンであり得る。
【0009】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン固体粒子の粒径はDv(50)が40ミクロン以下であり得、又は30ミクロン以下であり得、例えば0.1~30ミクロンであり得、例えば0.1ミクロン、0.2ミクロン、0.5ミクロン、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、6ミクロン、7ミクロン、8ミクロン、9ミクロン、10ミクロン、11ミクロン、12ミクロン、13ミクロン、14ミクロン、15ミクロン、16ミクロン、17ミクロン、18ミクロン、19ミクロン、20ミクロン、21ミクロン、22ミクロン、23ミクロン、24ミクロン、25ミクロン、26ミクロン、27ミクロン、28ミクロン、29ミクロン又は30ミクロンであり、その実例としては、17.245ミクロン、322.47ナノメートル、25.913ミクロン、13.825ミクロン、1.210ミクロン、296.41ナノメートル、1.550ミクロン、17.141ミクロン、17.84ミクロン、9.745ミクロン、20.6ミクロンであり得る。
【0010】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン固体粒子の粒径はDv(90)が80ミクロン以下であり得、又は50ミクロン以下であり得、例えば0.1~50ミクロンであり得、例えば0.1ミクロン、0.2ミクロン、0.5ミクロン、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、6ミクロン、7ミクロン、8ミクロン、9ミクロン、10ミクロン、11ミクロン、12ミクロン、13ミクロン、14ミクロン、15ミクロン、16ミクロン、17ミクロン、18ミクロン、19ミクロン、20ミクロン、21ミクロン、22ミクロン、23ミクロン、24ミクロン、25ミクロン、26ミクロン、27ミクロン、28ミクロン、29ミクロン、30ミクロン、31ミクロン、32ミクロン、33ミクロン、34ミクロン、35ミクロン、36ミクロン、37ミクロン、38ミクロン、39ミクロン、40ミクロン、41ミクロン、42ミクロン、43ミクロン、44ミクロン、45ミクロン、46ミクロン、47ミクロン、48ミクロン、49ミクロン又は50ミクロンであり、その実例としては、34.657ミクロン、707.18ナノメートル、70.580ミクロン、24.728ミクロン、1.744ミクロン、468.23ナノメートル、2.597ミクロン、72.399ミクロン、57.063ミクロン、39.93ミクロン、43.9ミクロンであり得る。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン医薬組成物は、担体を更に含んでもよい。前記担体は、非油性担体又は油性担体であってもよい。そのうち、前記非油性担体は水を含むが、これに限定されない。前記水は、通常市販の注射用水であってもよいが、滅菌注射用水が好ましい。前記油性担体は、ヒマシ油、トリグリセリド、綿実油及び胡麻油などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン医薬組成物は、懸濁化剤、湿潤剤、浸透圧調整剤、溶剤、安定剤、緩衝剤、pH調整剤、界面活性剤、ポリマー、電解質及び非電解質から選ばれる1つ又は複数を更に含んでもよい。そのうち、前記ポリマーは、架橋ポリマー及び/又は非架橋ポリマーであってもよい。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記懸濁化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール及びポビドンのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記湿潤剤は、ポロキサマー、ポビドン、ドキュサートナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム及びTweenのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。前記Tweenは、Tween20及びTween80から選ばれる1つ又は複数など、通常市販のTween試薬であってもよい。
【0015】
本発明の実施形態によれば、前記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、マンニトール及びスクロースのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記溶剤は、注射用水を含むが、これに限定されない。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記安定剤は、酸化防止剤、金属イオンキレート剤、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリソルベート、デオキシコール酸ナトリウム、ドキュサートナトリウム、ポロキサマー、ポリエトキシル化植物油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ソルビタンパルミテート、レシチン、ポリビニルアルコール、ヒト血清アルブミン、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、デキストロース、グリセロール、マンニトール及び架橋ポリマーのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。前記酸化防止剤は、枸櫞酸、ビタミンC及びビタミンEのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。前記金属イオンキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むが、これに限定されない。前記ポロキサマーは、ポロキサマー188、ポロキサマー124及びポロキサマー407のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。前記ポリソルベートは、ポリソルベート80及びポリソルベート20のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。前記ポビドンは、ポビドンK12、ポビドンK17、PLASDONETM C-12ポビドン、PLASDONETM C-17ポビドン及びPLASDONETM C-30ポビドンのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。前記ポリエチレングリコールはポリエチレングリコール3350を含むが、これに限定されない。前記架橋ポリマーはカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むが、これに限定されない。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記緩衝剤は、リン酸、リン酸塩、枸櫞酸(クエン酸)、枸櫞酸ナトリウム(クエン酸ナトリウム)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、水酸化ナトリウム、塩酸(HCl)又はその混合物の緩衝剤を含むが、これらに限定されない。
【0019】
本発明の実施形態によれば、前記pH調整剤は、リン酸、リン酸塩、枸櫞酸、枸櫞酸ナトリウム、塩酸及び水酸化ナトリウムを含むが、これらに限定されない。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記リン酸塩は、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムの無水物又は水和物、リン酸水素二ナトリウムの無水物又は水和物のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されず、例えば、リン酸水素二ナトリウム一水和物(Na2HPO4・H2O)、リン酸水素二ナトリウム二水和物(Na2HPO4・2H2O)、無水リン酸水素二ナトリウム(無水Na2HPO4)、リン酸二水素ナトリウム一水和物(NaH2PO4・H2O)、リン酸二水素ナトリウム二水和物(NaH2PO4・2H2O)及び無水リン酸二水素ナトリウム(無水NaH2PO4)のうちの1つ又は複数である。
【0021】
本発明の実施形態によれば、前記共溶剤は、エタノール及びプロピレングリコールのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
【0022】
前記ビラゾドン医薬組成物において、ビラゾドン固体粒子の重量分率が1.00%~50.00%であり得、2.00%~45.00%であり得、例えば2.00%、3.00%、4.00%、5.00%、6.00%、7.00%、8.00%、9.00%、10.00%、11.00%、12.00%、13.00%、14.00%、15.00%、16.00%、17.00%、18.00%、19.00%、20.00%、21.00%、22.00%、23.00%、24.00%、25.00%、30.00%、35.00%、40.00%又は45.00%であり、その実例としては、5.00%又は30.00%であり得る;前記重量分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占めるビラゾドン固体粒子の重量の百分率である。
【0023】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記湿潤剤の重量分率は0~5.00%であり得、例えば1.00%、2.00%、3.00%、4.00%、5.00%であり、例えば1.00%である;前記重量分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める界面活性剤の重量の百分率である。
【0024】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記浸透圧調整剤の重量分率は0~5.00%であり得、例えば0、1.00%、2.00%、3.00%、4.00%、5.00%であり、例えば2.15%である;前記重量分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める浸透圧調整剤の重量の百分率である。
【0025】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記緩衝剤の重量分率は0~1.00%であり得、例えば0、0.10%、0.20%、0.30%、0.40%、0.50%、0.60%、0.70%、0.80%、0.90%、1.00%である;前記重量分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める緩衝剤の重量の百分率である。
【0026】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記安定剤の重量分率は0~1.00%であり得、例えば0、0.10%、0.20%、0.30%、0.40%、0.50%、0.60%、0.70%、0.80%、0.90%、1.00%であり、例えば0.60%である;前記重量分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める安定剤の重量の百分率である。
【0027】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記pH調整剤の使用量は、組成物溶液のpHを6.5~8.0、例えば6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9又は8.0、例えば7.4に調整するとよい。
【0028】
前記ビラゾドン医薬組成物において、重量百分率で以下の成分を含み得る:1.00%~50.00%のビラゾドン固体粒子、0~5.00%の湿潤剤、0~5.00%の安定剤、0~5.00%の浸透圧調整剤、0~1.00%の緩衝塩及び溶剤。
【0029】
或いは選択として、前記ビラゾドン医薬組成物において、ビラゾドン固体粒子の重量/体積(g/mL)百分率は1.00%~50.00%であり得、2.00%~45.00%であり得、例えば2.00%、3.00%、4.00%、5.00%、6.00%、7.00%、8.00%、9.00%、10.00%、11.00%、12.00%、13.00%、14.00%、15.00%、16.00%、17.00%、18.00%、19.00%、20.00%、21.00%、22.00%、23.00%、24.00%、25.00%、30.00%、35.00%、40.00%又は45.00%であり、その実例としては、5.00%又は30.00%であり得る。
【0030】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記湿潤剤の重量/体積(g/mL)百分率は0~5.00%であり得、例えば1.00%、2.00%、3.00%、4.00%、5.00%であり、例えば1.00%である;そのうち、前記百分率とは、当該成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)である。
【0031】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記浸透圧調整剤の重量/体積(g/mL)百分率は0~5.00%であり得、例えば0、1.00%、2.00%、3.00%、4.00%、5.00%であり、例えば2.15%である;そのうち、前記百分率とは、当該成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)である。
【0032】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記緩衝剤の重量/体積(g/mL)百分率は0~1.00%であり得、例えば0、0.10%、0.20%、0.30%、0.40%、0.50%、0.60%、0.70%、0.80%、0.90%、1.00%である;そのうち、前記百分率とは、当該成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)である。
【0033】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記安定剤の重量/体積(g/mL)百分率は0~1.00%であり得、例えば0、0.10%、0.20%、0.30%、0.40%、0.50%、0.60%、0.70%、0.80%、0.90%、1.00%であり、例えば0.60%である;そのうち、前記百分率とは、当該成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)である。
【0034】
前記ビラゾドン医薬組成物において、前記pH調整剤の使用量は、組成物溶液のpHを6.5~8.0、例えば6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9又は8.0、例えば7.4に調整するとよい。
【0035】
前記ビラゾドン医薬組成物、重量/体積(g/mL)百分率で以下の成分を含み得る:1.00%~50.00%のビラゾドン固体粒子、0~5.00%の湿潤剤、0~5.00%の安定剤、0~5.00%の浸透圧調整剤、0~1.00%の緩衝塩及び溶剤;そのうち、前記百分率とは、各成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)である。
【0036】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン医薬組成物は、以下の何れか1つの処方から選ばれてよい:
処方a:30%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、2.15%マンニトール、0.08%無水リン酸二水素ナトリウム、0.4%無水リン酸水素二ナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める各成分の重量の百分率であり、
処方b:5%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、0.3%PVPK12、0.3%デオキシコール酸ナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める各成分の重量の百分率であり、
処方c:20%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、0.3% PVPk12、0.3%デオキシコール酸ナトリウム、0.45%リン酸水素二ナトリウム、0.09%リン酸二水素ナトリウム、2.5%マンニトール、0.18%カルボキシメチルセルロースナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める各成分の重量の百分率であり、
処方d:36.3%塩酸ビラゾドン、0.91%Tween20、0.34%リン酸水素二ナトリウム、0.07%リン酸二水素ナトリウム、2.0%マンニトール、0.21%カルボキシメチルセルロースナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める各成分の重量の百分率であり、
処方e:30%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、0.38%リン酸水素二ナトリウム、0.08%リン酸二水素ナトリウム、2.20%マンニトール、0.23%カルボキシメチルセルロースナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める各成分の重量の百分率であり、
処方f:30%~40%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、0%~0.3% PVP K12、0.33%~0.39%リン酸水素二ナトリウム、0.07%~0.08%リン酸二水素ナトリウム、1.6%~2.2%マンニトール、0%~1.0%カルボキシメチルセルロースナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、ビラゾドン医薬組成物の総重量に占める各成分の重量の百分率である。
【0037】
処方av:30%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、2.15%マンニトール、0.08%無水リン酸二水素ナトリウム、0.4%無水リン酸水素二ナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、各成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)であり、
処方bv:5%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、0.3%PVPK12、0.3%デオキシコール酸ナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、各成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)であり、
処方cv:20%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、0.3% PVPk12、0.3%デオキシコール酸ナトリウム、0.45%リン酸水素二ナトリウム、0.09%リン酸二水素ナトリウム、2.5%マンニトール、0.18%カルボキシメチルセルロースナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、各成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)であり、
処方dv:36.3%塩酸ビラゾドン、0.91%Tween20、0.34%リン酸水素二ナトリウム、0.07%リン酸二水素ナトリウム、2.0%マンニトール、0.21%カルボキシメチルセルロースナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、各成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)であり、
処方ev:30%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、0.38%リン酸水素二ナトリウム、0.08%リン酸二水素ナトリウム、2.20%マンニトール、0.23%カルボキシメチルセルロースナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、各成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)であり、
処方fv:30%~40%塩酸ビラゾドン、1%Tween20、0%~0.3% PVP K12、0.33%~0.39%リン酸水素二ナトリウム、0.07%~0.08%リン酸二水素ナトリウム、1.6%~2.2%マンニトール、0%~1.0%カルボキシメチルセルロースナトリウムで、残りは水であることが好ましく、前記百分率とは、各成分の重量がビラゾドン医薬組成物体積に占める質量/体積百分率(g/mL)である。
【0038】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン医薬組成物の沈降体積比(H/H0)は0.8以上であり、例えば0.8~1.0であり、例えば0.81~0.99であるが、好ましくは0.8より大きい。
【0039】
本発明は、以下のステップを含む前記ビラゾドン医薬組成物の製造方法を更に提供する:
ステップ1:ビラゾドン固体粒子を配合における他の成分と混合して、予混合物を得る;
ステップ2:ステップ1で得られた予混合物をジルコニウムビーズと共に研磨し、前記ビラゾドン医薬組成物を得る。
【0040】
ステップ1において、前記混合は、撹拌混合が好ましい。
【0041】
ステップ2において、前記ジルコニウムビーズの粒径は0.01mm~2mmであってもよく、例えば0.1mm、0.3mm、0.6mm又は1mmであり、例えば0.3mmである。
【0042】
ステップ2において、前記ジルコニウムビーズと前記予混合物との体積比は好ましくは1~5であり、例えば1、1.5、2又は3であり、例えば1.5である。
【0043】
ステップ2において、前記研磨の時間は1分間~24時間であってもよいし、5分間~20時間であってもよく、例えば、5~15時間であり、例えば10時間である。
【0044】
本発明の実施形態によれば、前記ジルコニウムビーズは、通常市販のジルコニアビーズである。
【0045】
本発明は、前記ビラゾドン医薬組成物を含むビラゾドン医薬製剤を更に提供する。
【0046】
本発明は、医薬の製造における前記ビラゾドン医薬組成物の応用、例えばビラゾドン医薬製剤の製造における応用を更に提供する。
【0047】
本発明の実施形態によれば、前記医薬は5-ヒドロキシトリプタミン1A(5-HT1A)部分作動薬及び/又は選択的5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)再取り込み阻害剤(SSRI)として作用する;更に好ましくは、前記医薬は例えば大人の重症うつ病など、うつ病の予防及び/又は治療のために使用される。
【0048】
前記ビラゾドン医薬製剤は、錠剤、顆粒剤、カプセル、マイクロペレット、経口液及び注射剤などのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。好ましくは、前記錠剤は、徐放錠、浸透圧ポンプ錠及び口腔内崩壊錠のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。好ましくは、前記注射剤は、液体注射剤、注射用粉剤又は注射用錠剤であってもよく、例えば、前記液体注射剤は、水懸濁剤又は懸濁用粉末などの懸濁剤であってもよく、例えば、前記懸濁用粉末は凍結乾燥粉末である。
【0049】
本発明の実施形態によれば、前記注射剤は長時間作用型注射剤であってもよく、前記長時間作用型注射剤は水懸濁剤であってもよく、懸濁用粉末であってもよく、使用直前に、特定の希釈剤で懸濁剤になるように分散させる。
【0050】
本発明の実施形態によれば、長時間作用型注射剤において、前記ビラゾドンの濃度は50mg/ml以上である。
【0051】
本発明は、上記ビラゾドン医薬組成物を含むビラゾドン医薬製剤を更に提供する。
【0052】
本発明の実施形態によれば、前記ビラゾドン医薬製剤は、上記のような剤形選択及び/又はビラゾドン濃度を有する。
【0053】
本発明は上記ビラゾドン医薬組成物、医薬及び/又はビラゾドン医薬製剤の5-ヒドロキシトリプタミン1A(5-HT1A)部分作動薬及び/又は選択的5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)再取り込み阻害剤(SSRI)としての用途を更に提供する。
【0054】
本発明は、例えば大人の重症うつ病など、うつ病の予防及び/又は治療における、前記ビラゾドン医薬組成物、医薬及び/又はビラゾドン医薬製剤の応用を更に提供する。
【0055】
本発明は、前記ビラゾドン医薬組成物、医薬及び/又はビラゾドン医薬製剤を必要な患者、例えば、ヒトに投与することを含む、例えば大人の重症うつ病など、うつ病を予防及び/又は治療する方法を更に提供する。
【0056】
本発明は、前記ビラゾドン医薬組成物、医薬及び/又はビラゾドン医薬製剤を必要な患者、例えば、ヒトに投与することを含む、5-ヒドロキシトリプタミン1A(5-HT1A)を部分的にアゴナイズする及び/又は5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)再取り込みを選択的に阻害する方法を提供する。
【0057】
本発明の医薬組成物中の活性成分は、既存技術で公知のビラゾドン、その薬学的に許容される塩又はその溶媒和物であるため、前記医薬組成物は、既存技術で公知のビラゾドン、その薬学的に許容される塩又はその溶媒和物が適用可能な疾患又は病状に適用され得ることが理解されるべきである。
【0058】
本発明の実施形態によれば、特に説明のない限り、前記「Dv(10)」、「Dv(25)」、「Dv(50)」、「Dv(75)」及び「Dv(90)」とは、体積加重の粒子径であり、そのうち、測定時にそれ以下の直径を有する粒子がそれぞれ累積で10v/v%、25v/v%、50v/v%、75v/v%又は90v/v%ある。例えば、粒子群のDv(50)が約25ミクロンである場合、50%体積の粒子は約25ミクロン以下の直径を有することを示す。
【0059】
特に説明のない限り、本明細書に記載の粒子径パラメータ、例えば「D(10)」、「D(25)」、「D(50)」、「D(75)」和「D(90)」とは、体積加重の粒子径であり、それぞれが「Dv(10)」、「Dv(25)」、「Dv(50)」、「Dv(75)」及び「Dv(90)」と同じ意味を有する。
【0060】
この分野の常識から逸脱することなく、上記好ましい条件のそれぞれは、任意に組み合わせれば、本発明のそれぞれの好ましい例を得ることができる。
【0061】
本発明に用いる試薬及び原料は、何れも市販されている。
【0062】
本発明の実施形態によれば、前記室温とは、10℃~35℃の環境温度である。
【0063】
本発明の積極的、先進的な効果として、本発明のビラゾドン医薬組成物が、従来の塩酸ビラゾドン錠剤の投薬が頻繁で、飲み込みにくい、薬物の不快な臭いが患者のコンプライアンスに影響するなどの欠点を改善し、長時間の持続放出、投薬頻度の減少、患者のコンプライアンスの向上などの明らかな利点を有し、市場化の見通しが良いことである。
〔図面の簡単な説明〕
図1〕実施例1における懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
【0064】
図2〕実施例1における懸濁液中のビラゾドン固体粒子の偏光顕微鏡粒径形態図であり、スケールは15ミクロンである。
【0065】
図3〕実施例2における懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
【0066】
図4〕実施例3における処方3の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
【0067】
図5〕実施例3における処方4の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
【0068】
図6〕実施例3における処方5の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
【0069】
図7〕実施例3における処方6の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
【0070】
図8〕実施例3における処方6の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の電子顕微鏡写真である。
【0071】
図9〕実施例4におけるG1群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
【0072】
図10〕実施例4におけるG2群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
【0073】
図11〕実施例4におけるG3群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
【0074】
図12〕実施例4におけるG4群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
【0075】
図13〕実施例4におけるG5群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
【0076】
図14〕実施例4におけるG1~G5群の動物体内に投与されたビラゾドンの平均薬物時間曲線を示す図である。
〔発明を実施するための形態〕
以下、具体的な実施例に合わせて、本発明の技術案を更に詳しく説明する。下記の実施例は、単に本発明を例示的に説明し解釈するものであり、本発明の請求範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、何れも本発明による請求範囲内に含まれる。
【0077】
特に説明のない限り、下記の実施例で使用される原料及び試薬は何れも市販品であり、又は既知の方法によって製造することができる。下記実施例において、具体的な条件を明記していない実験方法は、常軌の方法や条件、又は製品の仕様書に従って選択される。
【0078】
特に説明のない限り、本明細書に記載の質量体積比(W/V x 100%)の単位は何れもg/mLであり、且つ使用されるリン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムは何れも無水物であり、その比は、無水物の分子量に基づいて計算される。
【0079】
(実施例1)
【0080】
【表1】
【0081】
表1の処方1の使用量に従って原材料と補助材料を秤量し、均一に混合して懸濁液を得た。レーザー粒度分析器(レーザー粒度分析器のパラメータ設定は、分散媒体:水、分散媒体の屈折率:1.333、サンプル材料の吸収率:0.05、サンプル材料の屈折率:1.711であった)により粒子径を測定し、研磨後の懸濁液中の粒子の粒径形態を偏光顕微鏡で観察した。前記懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布データは表2と図1に示されている通りである。前記懸濁液中のビラゾドン固体粒子の偏光顕微鏡粒径形態図は図2を参照する。
【0082】
その結果、偏光顕微鏡で観察された粒子の形状とサイズは、レーザー粒度分析器で測定された粒径と一致している。懸濁液中のビラゾドン固体は約6~38μmの塊状物である。
【0083】
【表2】
【0084】
(実施例2)
【0085】
【表3】
【0086】
表3の処方2の使用量に従って原材料と補助材料を秤量し、攪拌、混合して初期懸濁液を得た。初期懸濁液を1.5倍の体積の0.3mmのジルコニウムビーズに加え、研磨缶に置いて研磨を行い、10時間研磨してから、ビラゾドン医薬組成物を得た。研磨は、ボールミルにより行われ、遊星型ボールミルのパラメータ設定は、固定パラメータとして、公転ディスクの直径が約191mm、自転カップの直径が約71mm、自転カップの高さが約70mm、自転カップの容量が100mL、公転ディスクの回転速度が10r/min、自転速度が720r/minであった。ナノグラニュロメーター(NICOMP Particle Sizing Systems、パラメータ設定は、分散媒体:水、分散媒体屈折率:1.333、粘度:0.933cp、温度:23℃、光強度設定値:300kHzであった)を用いて、粒径を測定した。
【0087】
前記処方2で10 h研磨してから懸濁液におけるビラゾドン固体粒子の粒径分布データは表4と図3に示されている通りである。
【0088】
【表4】
【0089】
(実施例3)
【0090】
【表5】
【0091】
表4の処方使用量に従って原材料と補助材料を秤量し、攪拌、混合して初期懸濁液を得た。初期懸濁液を1.5倍の体積の0.6mmのジルコニウムビーズに加え、研磨缶に置いて研磨を行い、0min、5min、10min、10時間研磨してから、処方3、4、5及び6のビラゾドン医薬組成物を得た。研磨は、ボールミルにより行われ、遊星型ボールミルのパラメータ設定は、固定パラメータとして、公転ディスクの直径が約191mm、自転カップの直径が約71mm、自転カップの高さが約70mm、自転カップの容量が100 mL、公転ディスクの回転速度が10r/min、自転速度が720r/minであった。
【0092】
レーザー粒度分析器により処方3、4及び5の粒径及びその分布を測定した(レーザー粒度分析器のパラメータ設定は、分散媒体:水、分散媒体の屈折率:1.333、サンプル材料の吸収率:0.05、サンプル材料の屈折率:1.711であった)。ナノグラニュロメーター(NICOMP Particle Sizing Systems、パラメータ設定は、分散媒体:水、分散媒体屈折率:1.333、粘度:0.933cp、温度:23℃、光強度設定値:300kHzであった)を用いて、処方6の粒径及びその分布を測定した。
【0093】
前記処方3、4、5懸濁液におけるビラゾドン固体粒子の粒径分布データは表5と図4、5及び6に示されている通りである。前記処方6の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布データは表6と図7に示されている通りである。
【0094】
走査型電子顕微鏡(FEI、型式F50)により形状とサイズを観察した。走査電子顕微鏡電圧10kV、ビーム電流2.0で試験した。前記処方6で研磨してから懸濁液におけるビラゾドン固体粒子の電子顕微鏡写真は図8に示されている通りである。0.1~0.5μmの不規則な塊状粒子が観察された。
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
4500LUXの光照射と60℃の高温で0日間、5日間、10日間影響係数実験を行い、HPLC法により処方中の関連物質を定量し、結果を表7に示す。処方3、4、5、及び6では、0日間関連物質RRT0.46(酸化分解不純物)、RRT1.35(酸塩基分解不純物)、最大未知単一不純物及び全不純物レベルはすべて低く、高温及び光照射条件下で、既知単一不純物も最大未知単一不純物も増加せず、全不純物のみがわずかに増加したことから、製品の安定性が良好であることが示された。
【0098】
【表8】
【0099】
(実施例4)
雄ラットを15匹選択し、各群3匹ずつで、ランダムに、対照群(G1群:ビラゾドン0.8%、セルロースHPMC0.25%水溶液の処方)、被験群1(G2群:実施例3、処方3)、被験群2(G3群:実施例3、処方4)、被験群3(G4群:実施例3、処方5)及び被験群4(G5群:実施例3、処方6)の5群に分け、対照群には4mg/kgを胃内投与し、試験群には120mg/kgを筋肉注射した。
【0100】
G1群の動物は、初回(D1)の投与前及び投与後0.5h、1h、2h、3h、5h、7h、24hの時点で血液試料を採取し、G2~G5群の動物は、投与前及び投与後1h、3h、7h、24h、96h、168h、264h、360h、480h、600h、720h、840h、960h、1080hの時点で血液試料を採取した。採血前にEDTA-K2を含有するサンプリングチューブを、氷浴に置いて、採取した血液をサンプリングチューブに加え、手動で少なくとも5回反転させ、氷浴中で保存する;2~8℃、2000gで10分間遠心し、何れも採血後2時間以内に遠心を完了した。遠心分離した血漿を新しい標識付きEpチューブに移し、-60℃以下で保存した。LC-MS/MS方法により、ラット血漿中のビラゾドンの濃度を分析し、この方法の定量下限は0.500ng/mLであった。代謝動態データ解析ソフトウェアWinNonlin 8.0.0.3176のノンコンパートメントモデル法(NCA)を用いて濃度データを解析した。動物体内のビラゾドンの主な薬物動態パラメータを表8に示し、投薬時間曲線を図9~14に示す。結果によると、被験群のT1/2及びMRTlastがそれぞれ対照群の約100~150倍及び50~70倍であり、これは、被験製剤の持続放出の効果が顕著であることを示す;被験群のCmaxが対照群の40% ~120%であり、これは、被験製剤に急激な薬物の放出の危険性がなく、血中薬物濃度が穏やかで、中毒や不良反応が起こりにくいことを示した。
【0101】
本試験では、何れの群の動物も死亡又は瀕死になったことはなく、明らかな異常反応も見られなかった。G2~G5群の動物を、最後の血液サンプル採取後に安楽死させ、投与部位について大体的に観察したが、明らかな異常病理変化は認められず、被験製剤は安全性が良好であることを示した。
【0102】
【表9】
【0103】
(実施例5)
【0104】
【表10】
【0105】
表9の処方使用量に従って原材料と補助材料を秤量し、攪拌、混合して初期懸濁液を得た。初期懸濁液を1.5倍の体積の0.6mmのジルコニウムビーズに加え、研磨缶に置いて研磨を行い、10時間研磨してから、処方7のビラゾドン医薬組成物を得た。研磨は、ボールミルにより行われ、遊星型ボールミルのパラメータ設定は、固定パラメータとして、公転ディスクの直径が約191mm、自転カップの直径が約71mm、自転カップの高さが約70mm、自転カップの容量が100 mL、公転ディスクの回転速度が10r/min、自転速度が720r/minであった。
【0106】
レーザー粒度分析器により処方7の粒径及びその分布を測定した(レーザー粒度分析器のパラメータ設定は、分散媒体:水、分散媒体の屈折率:1.333、サンプル材料の吸収率:0.05、サンプル材料の屈折率:1.711であった)。前記処方7の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布データは表10に示されている通りである。処方7について40℃、RH75%で加速安定性試験を実施し、関連物質の試験結果を表11に示す。関連物質は顕著に変化せず、処方の安定性が良好であることを示した。
【0107】
【表11】
【0108】
【表12】
【0109】
(実施例6)
【0110】
【表13】
【0111】
表12の処方使用量に従って異なる粒径の原材料と補助材料を秤量し、攪拌、混合して懸濁液を調製し、処方8~13を得た。レーザー粒度分析器により粒径及びその分布を測定した(レーザー粒度分析器のパラメータ設定は、分散媒体:水、分散媒体の屈折率:1.333、サンプル材料の吸収率:0.05、サンプル材料の屈折率:1.711であった)。22g(外径0.7mm)の針で吸引することにより懸濁液の注射針透過性を試験し、中国薬局方2020年版総則の方法0123に従って懸濁液の沈降体積比(H/H0)を試験した。上記処方8~13の懸濁液におけるビラゾドン固体粒子の粒径分布データ、注射針透過性、沈降体積比を表13に示し、その結果により、処方11、12及び13は、注射針透過性がよく、沈降体積比が0.8より大きく、良好な注射性及び懸濁性を示した。
【0112】
【表14】
【0113】
(実施例7)
【0114】
【表15】
【0115】
表14の処方使用量に従って粒径(D10=8.4μm、D50=20.6μm、D90=43.9μm)の原材料と補助材料を秤量し、攪拌、混合して懸濁液を調製し、処方14~23を得た。22g(外径0.7mm)及び23g(外径0.6mm)の針で吸引することにより懸濁液の注射針透過性を試験し、中国薬局方2020年版総則の方法0123に従って懸濁液の沈降体積比(H/H0)を試験した。前記処方14~23懸濁液の浸透圧、注射針透過性、沈降体積比を表15に示す。結果によると、上記の処方14~23のpHがすべて生理学的pHに近く、浸透圧が等張性の要件を満たしている。なお、注射針透過性について、すべての処方が22g針を通り、特に処方22が23g針を通ることができた;処方18、19、20及び21が懸濁化剤濃度0~1%の範囲内で沈降体積比は0.8よりも大きかった。以上のデータより、製剤の物理的特性、注射性、懸濁性が良好であることが分かる。
【0116】
【表16】
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1】実施例1における懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
図2】実施例1における懸濁液中のビラゾドン固体粒子の偏光顕微鏡粒径形態図であり、スケールは15ミクロンである。
図3】実施例2における懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
図4】実施例3における処方3の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
図5】実施例3における処方4の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
図6】実施例3における処方5の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
図7】実施例3における処方6の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の粒径分布図である。
図8】実施例3における処方6の懸濁液中のビラゾドン固体粒子の電子顕微鏡写真である。
図9】実施例4におけるG1群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
図10】実施例4におけるG2群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
図11】実施例4におけるG3群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
図12】実施例4におけるG4群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
図13】実施例4におけるG5群の動物体内に投与されたビラゾドンの薬物時間曲線を示す図である。
図14】実施例4におけるG1~G5群の動物体内に投与されたビラゾドンの平均薬物時間曲線を示す図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
【国際調査報告】