(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
H01L21/302 102
H01L21/302 101C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539979
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2021019884
(87)【国際公開番号】W WO2022149777
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0001598
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510149600
【氏名又は名称】ジュソン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェホ
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA14
5F004BA03
5F004BA20
5F004BB22
5F004BB26
5F004DA00
5F004DA17
5F004DA20
5F004DA24
5F004DA25
5F004DB03
(57)【要約】
本発明は、基板処理方法に関し、より詳細には、基板に形成された酸化膜を除去するための基板処理方法に関する。
本発明の実施形態による基板処理方法は、チャンバー内に搬入された基板を処理するための基板処理方法であって、前記チャンバーの外部に設けられたプラズマ発生器の内部空間に窒素含有ガスを供給するステップと、前記内部空間において窒素含有ガスを活性化させるステップと、前記内部空間に水素含有ガスを供給するステップと、前記内部空間において活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板の上に供給するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に搬入された基板を処理するための基板処理方法であって、
前記チャンバーの外部に設けられたプラズマ発生器の内部空間に窒素含有ガスを供給するステップと、
前記内部空間において窒素含有ガスを活性化させるステップと、
前記内部空間に水素含有ガスを供給するステップと、
前記内部空間において活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板の上に供給するステップと、
を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記窒素含有ガスは、N
2ガス及びNH
3ガスのうちの少なくともどちらか一方を含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記水素含有ガスは、H
2ガスを含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記水素含有ガスを供給するステップは、
前記活性化された窒素含有ガスが前記チャンバー内に移動する経路の上に前記水素含有ガスを供給するものである、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記内部空間に供給された水素含有ガスは、前記活性化された窒素含有ガスが前記チャンバー内に移動する経路上において少なくとも一部が活性化される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記基板の上に供給するステップは、
前記活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板の上に同時に供給するものである、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記窒素含有ガスと水素含有ガスを前記基板に形成された酸化膜と反応させて前記酸化膜を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記内部空間にフッ素含有ガスを供給するステップをさらに含む、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記フッ素含有ガスは、F
2ガス、HFガス及びNF
3ガスのうちの少なくともいずれか1種を含む、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記フッ素含有ガスを供給するステップは、
前記水素含有ガスが前記チャンバー内に移動する経路の上に前記フッ素含有ガスを供給するものである、請求項8に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法に関し、より詳細には、基板に形成された酸化膜を除去するための基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体素子またはディスプレイ装置は、基板の上に色々な物質を薄膜状に蒸着し、これをパターニングして製造される。
【0003】
ところが、基板が各工程のために移動するときに大気に晒されれば、酸素や水分などによって基板の表面に自然酸化膜が形成される。自然酸化膜は、不完全な結晶性を有するため、熱酸化などにより形成されるシリコン酸化膜に比べて膜質が劣化しており、半導体素子またはディスプレイ装置の接続不安定、配線抵抗など数多くの問題を引き起こす。
【0004】
従来には、このような自然酸化膜を除去するために、別途の装置においてウェット洗浄工程を行っていた。また、洗浄工程の完了した基板を基板処理装置に搬送して薄膜を蒸着するなどの基板処理工程を行っていた。しかしながら、このように、ウェット洗浄工程を行うための別途の装置において自然酸化膜を除去する場合、高価な装備が追加されることに伴い、生産コストが高騰してしまうという問題があった。なお、洗浄工程の行われた基板を搬送する間に、基板の表面に再び自然酸化膜が形成されて、結果的に自然酸化膜を有効に除去することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2010-0112888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基板に形成された酸化膜を有効に除去することのできる基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による基板処理方法は、チャンバー内に搬入された基板を処理するための基板処理方法であって、前記チャンバーの外部に設けられたプラズマ発生器の内部空間に窒素含有ガスを供給するステップと、前記内部空間において窒素含有ガスを活性化させるステップと、前記内部空間に水素含有ガスを供給するステップと、前記内部空間において活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板の上に供給するステップと、を含む。
【0008】
前記窒素含有ガスは、N2ガス及びNH3ガスのうちの少なくともどちらか一方を含んでいてもよい。
【0009】
前記水素含有ガスは、H2ガスを含んでいてもよい。
【0010】
前記水素含有ガスを供給するステップは、前記活性化された窒素含有ガスが前記チャンバー内に移動する経路の上に前記水素含有ガスを供給するものであってもよい。
【0011】
前記内部空間に供給された水素含有ガスは、前記活性化された窒素含有ガスが前記チャンバー内に移動する経路上において少なくとも一部が活性化されてもよい。
【0012】
前記基板の上に供給するステップは、前記活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板の上に同時に供給するものであってもよい。
【0013】
前記窒素含有ガスと水素含有ガスを前記基板に形成された酸化膜と反応させて前記酸化膜を除去するステップをさらに含んでいてもよい。
【0014】
前記内部空間にフッ素含有ガスを供給するステップをさらに含んでいてもよい。
【0015】
前記フッ素含有ガスは、F2ガス、HFガス及びNF3ガスのうちの少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。
【0016】
前記フッ素含有ガスを供給するステップは、前記水素含有ガスが前記チャンバー内に移動する経路の上に前記フッ素含有ガスを供給するものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態による基板処理方法によれば、チャンバーの外部に設けられたプラズマ発生器から活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板の上に供給することにより、基板に形成された自然酸化膜を速やかに除去し、工程時間を短縮させることができる。
【0018】
また、活性化された窒素含有ガスを用いて、供給される水素含有ガスの少なくとも一部を活性化させることにより、基板に形成された自然酸化膜と反応可能な工程ガスを生じさせることができ、これにより、基板に形成された自然酸化膜を有効に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態による基板処理装置を概略的に示す図。
【
図2】本発明の実施形態による基板処理方法を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。発明を詳しく説明するために、図面は、誇張されて示されていてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0021】
図1は、本発明の実施形態による基板処理装置を概略的に示す図である。
【0022】
図1を参照すると、本発明の実施形態による基板処理装置は、基板を処理するための装置であって、チャンバー10と、前記チャンバー10内に設けられ、前記チャンバー10内に提供される基板Sを支持するための基板支持部30及び前記基板支持部30に対向配置されるように前記チャンバー10内に設けられ、前記基板支持部30に向かって工程ガスを噴射するためのガス噴射部20を備える。なお、前記基板処理装置は、前記ガス噴射部20に接続され、前記チャンバー10の外部に設けられるプラズマ発生器40をさらに備えていてもよい。
【0023】
チャンバー10は、所定の工程空間を設け、これを気密に保持する。チャンバー10は、概ね円形状または四角い形状の平面部及び平面部から上向きに延びた側壁部を備えて所定の工程空間を有する胴体12と、概ね円形状または四角い形状に胴体12の上に位置してチャンバー10を気密に保持する蓋体14と、を備えていてもよい。しかしながら、チャンバー10は、これに何ら限定されるものではなく、基板Sの形状に対応する様々な形状に作製可能である。
【0024】
チャンバー10の下面の所定の領域には排気口(図示せず)が形成され、チャンバー10の外側には排気口と連結される排気管(図示せず)が設けられてもよい。また、排気管は、排気装置(図示せず)と連結されてもよい。排気装置としては、真空ポンプが使用可能である。したがって、排気装置によりチャンバー10の内部を所定の減圧雰囲気、例えば、0.1mTorr以下の所定の圧力まで真空引きすることができる。排気管は、チャンバー10の下面のみならず、後述する基板支持部30の下側のチャンバー10の側面に配設されてもよい。なお、排気される時間を短縮させるために、多数本の排気管及びそれによる排気装置がさらに配設されてもよいということはいうまでもない。
【0025】
一方、基板支持部30には、基板処理工程、例えば、酸化膜の除去工程のために、チャンバー10の内に提供された基板Sが載置されてもよい。ここで、基板Sは、薄膜が形成されていない基板であってもよく、所定の薄膜が形成された基板であってもよい。また、基板Sの上には、配線などの所定の構造が形成されていてもよいということはいうまでもない。このとき、基板の上には自然酸化膜が形成されてもよい。このような自然酸化膜は、例えば、基板Sが大気中に晒されることにより形成可能である。このように、自然酸化膜の形成された基板Sがチャンバー10の工程空間に引き込まれると、引き込まれた基板Sは、基板支持部30の上に載置される。このとき、基板支持部30は、基板Sが載置されて支持できるように、例えば、静電チャックなどが設けられて基板Sを静電チャックにより吸着保持してもよく、真空吸着や機械的な力により基板Sを支持してもよい。
【0026】
基板支持部30は、基板Sの形状と対応する形状、例えば、円形状または四角い形状に設けられてもよい。基板支持部30は、基板Sが載置される基板支持台32及び前記基板支持台32の下部に配置されて基板支持台32を昇降移動させる昇降器34を備えていてもよい。ここで、基板支持台32は、基板Sよりも大きく作製されてもよく、昇降器34は、基板支持台32の少なくとも1つの領域、例えば、中心部を支持するように設けられ、基板支持台32の上に基板Sが載置されれば、基板支持台32をガス噴射部20に近づくように移動させることができる。なお、基板支持台の内部には、ヒーター(図示せず)が配設されてもよい。ヒーターは、所定の温度で発熱して基板支持台及び前記基板支持台に載置された基板Sを加熱して、基板Sに均一に薄膜が蒸着されるようにする。
【0027】
ガス噴射部20は、チャンバー10の内部の上側に設けられて基板に向かって工程ガスを噴射する。ガス噴射部20は、内部に所定の空間が設けられ、上側はプラズマ発生器40と連結され、下側には基板Sに工程ガスを噴射するための複数本の噴射孔が形成される。ガス噴射部20は、基板Sの形状に対応する形状に作製されてもよいが、概ね円形状または四角い形状に作製されてもよい。ここで、ガス噴射部20は、チャンバー10の側壁部及び蓋体14と所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。
【0028】
プラズマ発生器40は、チャンバー10の外部に配設されてもよく、所定の内部空間を有する。プラズマ発生器40の内部空間は、チャンバーの工程空間と連通し、プラズマ発生器40は、工程ガスを供給されて内部空間において工程ガスを活性化させ、活性化された工程ガスをガス噴射部20に与える。ガス噴射部20に与えられた活性化された工程ガスは、噴射孔を介して噴射されて基板Sの上に供給される。
【0029】
アンテナ部52は、プラズマ発生器40の内部空間を少なくとも部分的に包み込むように設けられる。すなわち、アンテナ部52は、上下に延びるプラズマ発生器40の内部空間の上部を包み込むようにプラズマ発生器40の外側に設けられてもよい。このようなアンテナ部52は、RF電源54から電力を供給されて内部空間の上部において誘導結合方式(ICP:Inductively Coupled Plasma)によりプラズマPを生じさせることができる。このとき、アンテナ部52は、一方の端がRF電源54と連結され、他方の端が接地されてもよい。
【0030】
プラズマ発生器40には、複数本の工程ガス供給管が配設され、工程ガス供給管を介して供給される工程ガスは、プラズマ発生器40の内部空間に流れ込む。例えば、プラズマ発生器40には、第1の工程ガス供給管42及び第2の工程ガス供給管44が配設されてもよい。なお、これらに加えて、プラズマ発生器40には、第3の工程ガス供給管46がさらに配設されてもよい。
【0031】
第1の工程ガス供給管42は、プラズマ発生器40の上端に配設されて、プラズマ発生器40の内部空間に工程ガスを供給することができる。ここで、第1の工程ガス供給管42から供給される工程ガスは、窒素含有ガスであってもよく、このような窒素含有ガスは、N2ガス及びNH3ガスのうちの少なくともどちらか一方を含んでいてもよい。第1の工程ガス供給管42から供給される窒素含有ガスは、アンテナ部52により包み込まれた内部空間の上部において活性化され、活性化された窒素含有ガスは、内部空間の下部を通ってチャンバー10内の工程空間に供給される。
【0032】
第2の工程ガス供給管44は、プラズマ発生器40の側部に配設されて、プラズマ発生器40の内部空間に工程ガスを供給することができる。ここで、第2の工程ガス供給管44から供給される工程ガスは、水素含有ガスであってもよく、このような水素含有ガスは、H2ガスを含んでいてもよい。ここで、第2の工程ガス供給管44は、アンテナ部52の下部に配置されて、プラズマ発生器40の内部空間に水素含有ガスを供給することができる。すなわち、第2の工程ガス供給管44は、内部空間の下部に水素含有ガスを供給することができ、これにより、第2の工程ガス供給管44は、アンテナ部52により活性化された窒素含有ガスがチャンバー10内の工程空間に移動する経路の上に水素含有ガスを供給することが可能になる。
【0033】
第3の工程ガス供給管46は、プラズマ発生器40の側部に配設されて、プラズマ発生器40の内部空間に工程ガスを供給することができる。第2の工程ガス供給管44から供給される工程ガスは、フッ素含有ガスであってもよく、このようなフッ素含有ガスは、F2ガス、HFガス及びNF3ガスのうちの少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。ここで、第3の工程ガス供給管46は、第2の工程ガス供給管44の下部に配置されて、プラズマ発生器40の内部空間にフッ素含有ガスを供給することができる。すなわち、第3の工程ガス供給管46は、内部空間の最下部にフッ素含有ガスを供給することができ、これにより、第3の工程ガス供給管46は、第2の工程ガス供給管44を介して供給された水素含有ガスがチャンバー10内の工程空間に移動する経路の上にフッ素含有ガスを供給することが可能になる。
【0034】
以下では、
図2に基づいて、本発明の基板処理方法について詳しく説明する。本発明の実施形態による基板処理方法について説明するに当たって、前述した基板処理装置に関する説明と重複する説明は省略する。
【0035】
図2は、本発明の実施形態による基板処理方法を概略的に示す図である。
【0036】
図2を参照すると、本発明の実施形態による基板処理方法は、チャンバー10内に搬入された基板Sを処理するための基板処理方法であって、前記チャンバー10の外部に設けられたプラズマ発生器40の内部空間に窒素含有ガスを供給するステップ(S100)と、前記内部空間において窒素ガスを活性化させるステップ(S200)と、前記内部空間に水素含有ガスを供給するステップ(S300)及び前記内部空間において活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板Sの上に供給するステップ(S400)を含む。
【0037】
ここで、本発明の実施形態による基板処理方法は、チャンバー10内に搬入された基板Sを処理するための基板処理方法であって、基板Sに形成された酸化膜、すなわち、基板が大気に晒されて形成される自然酸化膜を除去する方法であってもよい。
【0038】
ここで、基板Sの搬入は、チャンバー10の工程空間に基板Sを搬入して行われてもよい。ここで、工程空間に搬入された基板Sは、基板支持部30に載置されてもよい。このとき、基板支持部20は、基板Sが載置されて支持できるように、例えば、静電チャックなどが設けられて基板Sを静電チャックにより吸着保持してもよく、真空吸着や機械的な力により基板Sを支持してもよいということは前述した通りである。
【0039】
窒素含有ガスを供給するステップ(S100)は、チャンバー10の外部に設けられたプラズマ発生器40の内部空間に窒素含有ガスを供給するものである。すなわち、プラズマ発生器40は、チャンバー10の外部に配設されてもよく、チャンバー10の工程空間と連通する所定の内部空間を有する。
【0040】
窒素含有ガスを供給するステップ(S100)は、プラズマ発生器40の上端に配設された第1の工程ガス供給管42からプラズマ発生器40の内部空間に窒素含有ガスを供給して行われる。ここで、窒素含有ガスは、N2ガス及びNH3ガスのうちの少なくともどちらか一方を含んでいてもよい。
【0041】
窒素含有ガスを活性化させるステップ(S200)は、プラズマ発生器40の内部空間において窒素含有ガスを活性化させる。前述したように、アンテナ部52は、上下に延びるプラズマ発生器40の内部空間の上部を包み込むように、プラズマ発生器40の外側に設けられてもよい。したがって、第1の工程ガス供給管42から、かつ、プラズマ発生器40の上端から供給される窒素含有ガスは、アンテナ部52により包み込まれた内部空間の上部において活性化されてプラズマPを生じさせることになる。これにより、例えば、N2ガスは、内部空間の上部においてN、N2などのイオンまたはラジカルで活性化され、NH3ガスは、内部空間の上部においてN、H、NH、NH2、NH3などのイオンまたはラジカルで活性化されることが可能である。
【0042】
水素含有ガスを供給するステップ(S300)は、プラズマ発生器40の内部空間に水素含有ガスを供給するものである。すなわち、水素含有ガスを供給するステップ(S300)は、プラズマ発生器40の側部に配設された第2の工程ガス供給管44からプラズマ発生器40の内部空間に水素含有ガスを供給して行われる。ここで、水素含有ガスは、H2ガスを含んでいてもよい。
【0043】
前述したように、第2の工程ガス供給管44は、アンテナ部52の下部に配置されて、プラズマ発生器40の内部空間の下部に水素含有ガスを供給することができる。すなわち、水素含有ガスを供給するステップ(S300)は、活性化された窒素含有ガスがチャンバー10内に移動する経路の上に前記水素含有ガスを供給することができる。したがって、水素含有ガスを供給するステップ(S300)において内部空間に供給された水素含有ガスは、活性化された窒素含有ガスがチャンバー10内に移動する経路上において少なくとも一部が活性化されることが可能になる。すなわち、H2ガスは、活性化された窒素含有ガスにより少なくとも一部がH、H2などのイオンまたはラジカルで活性化されることができ、このようにして活性化された水素含有ガスは、既に活性化された窒素含有ガスと反応して様々なN-H結合を形成することができる。
【0044】
ここで、本発明の実施形態による基板処理方法は、内部空間にフッ素含有ガスを供給するステップをさらに含んでいてもよい。
【0045】
フッ素含有ガスを供給するステップは、プラズマ発生器40の内部空間にフッ素含有ガスを供給するものである。すなわち、フッ素含有ガスを供給するステップ(S300)は、プラズマ発生器40の側部に配設された第3の工程ガス供給管46からプラズマ発生器40の内部空間にフッ素含有ガスを供給して行われる。ここで、フッ素含有ガスは、F2ガス、HFガス及びNF3ガスのうちの少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。
【0046】
前述したように、第3の工程ガス供給管46は、第2の工程ガス供給管44の下部に配置されて、プラズマ発生器40の内部空間にフッ素含有ガスを供給することができる。すなわち、フッ素含有ガスを供給するステップは、水素含有ガスがチャンバー10内に移動する経路の上に前記フッ素含有ガスを供給するものであってもよい。したがって、フッ素含有ガスを供給するステップにおいて内部空間に供給されたフッ素含有ガスは、少なくとも一部が活性化された水素含有ガスがチャンバー10内に移動する経路上において少なくとも一部が活性化されることが可能である。すなわち、F2ガスは、少なくとも一部が活性化された水素含有ガスにより少なくとも一部がF、F2などのイオンまたはラジカルで活性化され、HFガスは、少なくとも一部が活性化された水素含有ガスによりH、HFなどのイオンまたはラジカルで活性化され、NF3ガスは、少なくとも一部が活性化された水素含有ガスによりN、F、NF、NF2、NF3などのイオンまたはラジカルで活性化されることができる。このようにして活性化されたフッ素含有ガスは、既に活性化された窒素含有ガス及び水素含有ガスのうちの少なくともどちらか一方と反応して様々な結合を形成することができる。
【0047】
基板Sの上に供給するステップ(S400)は、プラズマ発生器40の内部空間において活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板Sの上に供給するものである。プラズマ発生器40の内部空間とチャンバー10の工程空間とは互いに連通しているため、プラズマ発生器40の内部空間において活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスは、ガス噴射部20に与えられて噴射孔を介して噴射されて基板Sの上に供給される。
【0048】
このとき、基板Sの上に供給するステップ(S400)は、活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板Sの上に同時に供給するものであってもよい。また、内部空間にフッ素含有ガスを供給するステップをさらに含む場合、基板Sの上に供給するステップ(S400)は、活性化された窒素含有ガスと水素含有ガス及びフッ素含有ガスを基板Sの上に同時に供給するものであってもよい。ここで、活性化された窒素含有ガスと水素含有ガス及びフッ素含有ガスは、それぞれが互いに分離された状態で供給されるわけではなく、少なくとも一部が互いに反応して、反応された状態のガスが基板Sの上に供給されてもよいということはいうまでもない。
【0049】
このように、活性化された窒素含有ガスと水素含有ガス、または活性化された窒素含有ガスと水素含有ガス及び窒素含有ガスが基板Sの上に供給されれば、前記ガスは基板Sに形成された酸化膜と反応することになり、これにより、基板Sの上に形成された自然酸化膜は除去される。このとき、基板Sの上に供給されたガスと自然酸化膜とが反応して生成される水蒸気(H2O)と反応できなかった残留ガスは、排気手段によりチャンバー10の外部に排出されることが可能である。
【0050】
このように、本発明の実施形態による基板処理方法によれば、チャンバーの外部に設けられたプラズマ発生器から活性化された窒素含有ガスと水素含有ガスを基板の上に供給することにより、基板に形成された自然酸化膜を速やかに除去し、工程時間を短縮させることができる。
【0051】
また、活性化された窒素含有ガスを用いて、供給される水素含有ガスの少なくとも一部を活性化させることにより、基板に形成された自然酸化膜と反応可能な工程ガスを生じさせることができ、これにより、基板に形成された自然酸化膜を有効に除去することができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態が特定の用語を用いて説明及び図示されたが、これらの用語は、単に本発明を明確に説明するためのものに過ぎず、本発明の実施形態及び記述された用語は、特許請求の範囲の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、種々の変更及び変化が加えられるということは明らかである。これらの変形された実施形態は、本発明の思想及び範囲から個別的に理解されてはならず、本発明の特許請求の範囲内に属するものといえるべきである。
【国際調査報告】