IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京▲東▼城市(北京)数字科技有限公司の特許一覧

特表2024-501579空間接続クエリー方法、装置、電子デバイス及び記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】空間接続クエリー方法、装置、電子デバイス及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/22 20190101AFI20240104BHJP
   G06F 16/901 20190101ALI20240104BHJP
【FI】
G06F16/22
G06F16/901
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540699
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2021119520
(87)【国際公開番号】W WO2022142503
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011638237.4
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.ANDROID
3.SPARK
(71)【出願人】
【識別番号】523192370
【氏名又は名称】京▲東▼城市(北京)数字科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 如 斌
(72)【発明者】
【氏名】鮑 捷
(72)【発明者】
【氏名】李 瑞 遠
(72)【発明者】
【氏名】何 華 均
(72)【発明者】
【氏名】譚 楚 ▲ジン▼
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175KA06
(57)【要約】
空間接続クエリー方法、装置、電子デバイス及び記憶媒体に関し、前記空間接続クエリー方法は、第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを取得するステップと、空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、グローバル空間分布情報を得るステップと、グローバル空間分布情報に基づいて交差空間パーティションを決定するステップと、第1の空間データ及び第2の空間データのうち交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、ターゲットデータに対して空間接続計算を行うステップとを含む。本願は交差空間パーティションに対応するデータに対して空間接続計算を行うことで、空間接続クエリー操作の計算量を低減し、さらに空間接続クエリー効率を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを取得し、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットに複数の空間パーティションが含まれるステップと、
前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るステップと、
前記グローバル空間分布情報に基づいて前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定するステップと、
前記第1の空間データ及び前記第2の空間データのうち前記交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、前記ターゲットデータに対して空間接続計算を行うステップとを含む
ことを特徴とする空間接続クエリー方法。
【請求項2】
前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計するステップは、
前記空間パーティションを複数のサブ空間に分割するために、前記空間パーティションに対して4ツリー空間インデックスを作成するステップと、
前記4ツリー空間インデックスクに基づいて、各前記サブ空間におけるターゲット幾何学ジオメトリの数をクエリーし、幾何学オブジェクト空間分布情報を得るステップとを含み、前記サブ空間は、前記ターゲット幾何学オブジェクトを含む最も小さなサブ空間である
ことを特徴とする請求項1に記載の空間接続クエリー方法。
【請求項3】
前記空間パーティションに対して4ツリー空間インデックスを作成するステップは、
Sparkエンジンを用いてすべての前記空間パーティションに対して並列に前記4ツリー空間インデックスを作成するステップを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の空間接続クエリー方法。
【請求項4】
前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るステップは、
前記マルチツリー空間インデックスに基づいて、各前記空間パーティションに対応する幾何学オブジェクト空間分布情報を統計するステップと、
すべての前記空間パーティションに対応する幾何学オブジェクト空間分布情報を集約して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るステップとを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の空間接続クエリー方法。
【請求項5】
前記グローバル空間分布情報に基づいて前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定するステップは、
前記グローバル空間分布情報に基づいて、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットが対応するグローバル空間分布情報においてパスが同じノードである対等ノードを段階的に決定するステップと、
前記対等ノードにおける各ノードの統計値に基づいて前記対等ノードをフィルタリングして、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを取得するステップとを含み、前記統計値は、前記幾何学オブジェクト空間分布情報を統計する統計結果である
ことを特徴とする請求項1に記載の空間接続クエリー方法。
【請求項6】
前記対等ノードにおける各ノードの統計値に基づいて前記対等ノードをフィルタリングして、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを取得するステップは、
前記対等ノードが一つのリーフノードと一つの非リーフノードを含むと、前記リーフノードと前記リーフノードの親ノードの統計値がいずれも0であるかどうかを判断し、そうでなければ、前記対等ノードに対応する空間パーティションを、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションとして設定するステップと、
前記対等ノードが2つの非リーフノードを含むと、前記グローバル空間分布情報に基づいて対等ノードを段階的に決定する操作を実行するステップと、
前記対等ノードが2つのリーフノードを含むと、2つのリーフノードの統計値がいずれも0ではないかどうかを判断し、そうであれば、前記対等ノードに対応する空間パーティションを前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションとして設定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の空間接続クエリー方法。
【請求項7】
前記第1の空間データ及び前記第2の空間データのうち前記交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定するステップは、
前記交差空間パーティションに対応するターゲット空間範囲を決定するステップと、
前記グローバル空間分布情報のルートノードから、前記第1の空間データと前記第2の空間データのうち前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトを上から下へクエリーするステップと、
前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトの空間データを前記ターゲットデータとして設定するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の空間接続クエリー方法。
【請求項8】
データセット取得モジュール、空間分布情報取得モジュール、交差空間決定モジュール及び空間接続クエリーモジュールを備え、
前記データセット取得モジュールは、第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを取得するように構成され、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットは、複数の空間パーティションを含み、
前記空間分布情報取得モジュールは、前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るように構成され、
前記交差空間決定モジュールは、前記グローバル空間分布情報に基づいて前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定するように構成され、
前記空間接続クエリーモジュールは、前記第1の空間データ及び前記第2の空間データのうち前記交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、前記ターゲットデータに対して空間接続計算を行うように構成される
ことを特徴とする空間接続クエリー装置。
【請求項9】
コンピュータプログラムが格納されているメモリと、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、前記メモリにおけるコンピュータプログラムを呼び出す際に、請求項1~7のいずれか1項に記載の空間接続クエリー方法のステップを実現するように構成されている
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項10】
コンピュータ実行可能な命令が記憶されており、前記コンピュータ実行可能な命令がプロセッサにロードされて実行されると、請求項1~7のいずれか1項に記載の空間接続クエリー方法のステップを実現する
ことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2020年12月31日に出願された出願番号が202011638237.4で、発明の名称が「空間接続クエリー方法、装置、電子デバイス及び記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての内容は引用によってすべて本文に組み込まれる。
【0002】
本開示は空間データ分析技術分野に関し、特に空間接続クエリー方法、装置、電子デバイス及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
空間データには豊富な価値が含まれており、空間データ分析技術は空間データマイニングの基礎である。空間接続クエリーは空間分析技術において重要な操作であり、空間接続クエリーを通じて複数の空間データセットが空間的に交差する幾何学オブジェクトを決定することができる。
【0004】
関連技術では、主に空間パーティション操作と並列計算操作によって空間接続クエリーを実現し、空間パーティションの過程で通常一定のサンプリングレートに従って空間データセットからサンプルセットを抽出し、サンプルセットの空間分布を利用して全量データの空間分布を近似的に表現し、並列計算操作が必要な空間パーティションデータを得る。しかし、上記のようにして得られた空間パーティションデータには無効なデータが多く存在し、空間接続クエリーの効率は低い。
【0005】
したがって、空間接続クエリーの効率をどのように高めるかは、当業者が現在解決しなければならない技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、空間接続クエリーの効率を高めることができる空間接続クエリー方法、装置、電子デバイス及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本願は空間接続クエリー方法を提供し、前記空間接続クエリー方法は、
第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを取得し、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットに複数の空間パーティションが含まれるステップと、
前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るステップと、
前記グローバル空間分布情報に基づいて前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定するステップと、
前記第1の空間データ及び前記第2の空間データのうち前記交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、前記ターゲットデータに対して空間接続計算を行うステップとを含む。
【0008】
オプションとして、前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計するステップは、
前記空間パーティションを複数のサブ空間に分割するために、前記空間パーティションに対して4ツリー空間インデックスを作成するステップと、
前記4ツリー空間インデックスクに基づいて、各前記サブ空間におけるターゲット幾何学ジオメトリの数をクエリーし、幾何学オブジェクト空間分布情報を得るステップとを含み、前記サブ空間は、前記ターゲット幾何学オブジェクトを含む最も小さなサブ空間である。
【0009】
オプションとして、前記空間パーティションに対して4ツリー空間インデックスを作成するステップは、
Sparkエンジンを用いてすべての前記空間パーティションに対して並列に前記4ツリー空間インデックスを作成するステップを含む。
【0010】
オプションとして、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るステップは、
前記マルチツリー空間インデックスに基づいて、各前記空間パーティションに対応する幾何学オブジェクト空間分布情報を統計するステップと、
すべての前記空間パーティションに対応する幾何学オブジェクト空間分布情報を集約して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るステップとを含む。
【0011】
オプションとして、前記グローバル空間分布情報に基づいて前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定するステップは、
前記グローバル空間分布情報に基づいて、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットが対応するグローバル空間分布情報においてパスが同じノードである対等ノードを段階的に決定するステップと、
前記対等ノードにおける各ノードの統計値に基づいて前記対等ノードをフィルタリングして、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを取得するステップとを含み、前記統計値は、前記幾何学オブジェクト空間分布情報を統計する統計結果である。
【0012】
オプションとして、前記対等ノードにおける各ノードの統計値に基づいて前記対等ノードをフィルタリングして、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを取得するステップは、
前記対等ノードが一つのリーフノードと一つの非リーフノードを含むと、前記リーフノードと前記リーフノードの親ノードの統計値がいずれも0であるかどうかを判断し、そうでなければ、前記対等ノードに対応する空間パーティションを、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションとして設定するステップと、
前記対等ノードが2つの非リーフノードを含むと、前記グローバル空間分布情報に基づいて対等ノードを段階的に決定する操作を実行するステップと、
前記対等ノードが2つのリーフノードを含むと、2つのリーフノードの統計値がいずれも0ではないかどうかを判断し、そうであれば、前記対等ノードに対応する空間パーティションを前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションとして設定するステップと、を含む。
【0013】
オプションとして、前記第1の空間データ及び前記第2の空間データのうち前記交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定するステップは、
前記交差空間パーティションに対応するターゲット空間範囲を決定するステップと、
前記グローバル空間分布情報のルートノードから、前記第1の空間データと前記第2の空間データのうち前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトを上から下へクエリーするステップと、
前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトの空間データを前記ターゲットデータとして設定するステップと、を含む。
【0014】
本願は空間接続クエリー装置をさらに提供し、前記装置は、
データセット取得モジュール、空間分布情報取得モジュール、交差空間決定モジュール及び空間接続クエリーモジュールを備え、
前記データセット取得モジュールは、第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを取得するように構成され、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットは、複数の空間パーティションを含み、
前記空間分布情報取得モジュールは、前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るように構成され、
前記交差空間決定モジュールは、前記グローバル空間分布情報に基づいて前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定するように構成され、
前記空間接続クエリーモジュールは、前記第1の空間データ及び前記第2の空間データのうち前記交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、前記ターゲットデータに対して空間接続計算を行うように構成される。
【0015】
本願は、記憶媒体をさらに提供し、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムが実行されると、前記空間接続クエリー方法で実行されるステップを実現する。
【0016】
本願は、電子デバイスをさらに提供し、コンピュータプログラムが格納されているメモリと、プロセッサを備え、前記プロセッサは、前記メモリにおけるコンピュータプログラムを呼び出す際に、前記空間接続クエリー方法で実行されるステップを実現するように構成されている。
【0017】
本発明は、空間接続クエリー方法を提供し、第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを取得し、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットに複数の空間パーティションが含まれるステップと、前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るステップと、前記グローバル空間分布情報に基づいて前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定するステップと、前記第1の空間データ及び前記第2の空間データのうち前記交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、前記ターゲットデータに対して空間接続計算を行うステップとを含む。
【0018】
本願は、空間データの弾性分散データセットを取得し、弾性分散データセットにおける空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成することで、空間パーティションを複数のサブ空間に細分する。幾何学オブジェクト空間分布情報を統計することにより、弾性分散データセットの幾何学オブジェクトの分布状況を記述するためのグローバル空間分布情報を得ることができる。本願は、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報に基づいて交差空間パーティションを決定し、交差空間パーティションに基づいて空間接続クエリーを実行する必要があるターゲットデータを決定する。交差空間パーティション内の幾何学オブジェクトにのみ接続が存在するため、上述のスキームは空間データのうち空間接続クエリーに寄与しない無効なデータをフィルタリングすることができ、空間接続クエリー操作の計算量を低減し、さらに空間接続クエリー効率を向上させる。本願はまた、空間接続クエリー装置、電子デバイス及び記憶媒体を提供し、上記の有益な効果があり、ここではこれ以上述べない。
【0019】
本願の実施例をより明確に説明するために、以下に実施例で使用する必要がある図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとっては創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願の実施例に提供される空間接続クエリー結果の概略図である。
図2】Sparkベースの空間接続クエリー方法の原理の概略図である。
図3】本発明の実施例によって提供される空間パーティションフィルタリングアルゴリズムの結果の概略図である。
図4】本願の実施例によって提供される空間接続クエリーシステムの構造概略図である。
図5】本願の実施例によって提供される空間接続クエリー方法のフローチャートである。
図6】本願の実施例によって提供される幾何学オブジェクト空間分布情報の概略図である。
図7】本願の実施例によって提供される空間パーティションのインデックス及び幾何空間分布情報の生成の概略図である。
図8】本願の実施例によって提供されるグローバル空間分布情報の取得原理の概略図である。
図9】本願の実施例によって提供される交差空間パーティションの決定原理の概略図である。
図10】本願の実施例によって提供される交差空間パーティション決定のプロセスの概略図である。
図11】本願の実施例によって提供されるターゲットデータ決定方法のフローチャートである。
図12】本願の実施例によって提供される、4ツリーインデックスにおけるターゲットデータのクエリー原理の概略図である。
図13】本願の実施例によって提供される空間接続クエリー装置の概略構成図である。
図14】本願の実施例によって提供される電子デバイスの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に、本願の実施例における技術案を、本願の実施例における図面に関連して明確に、完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく取得した他のすべての実施例は、本願の保護の範囲に属する。
【0022】
情報化プロセスの推進とモバイル相互接続デバイスの広範な使用に伴い、大量の空間位置情報付きデータも発生した。分散技術の発展に伴い、成熟しつつある分散データベース、分散計算エンジンなどのフレームワークはマス空間データの記憶と分析に分散ソリューションを提供し、Spark分散計算エンジンは空間トポロジ関係クエリー、空間範囲クエリー、空間最近接クエリー、空間接続クエリーなどの空間ビッグデータの分析に豊富な空間演算子を提供した。空間接続クエリーとは、空間データセットQにおける各幾何学オブジェクトqに対して、空間データセットSでqと空間的に交差する幾何学オブジェクトsをクエリーし、最終的に幾何学オブジェクト2タプル(q,s)の集合を返すことを指す。図1は、本願の実施例によって提供される空間接続クエリー結果の概略図であり、幾何学オブジェクトs1~5とq1~5との空間接続は、{(q1,s1),(q2,s2),(q2,s3),(q3,s4)}と表記される。図1で、X及びYは水平方向と鉛直方向を示している。
【0023】
既存のSpark分散型空間接続クエリー技術の実装方法は、空間パーティションと並列計算の2段階に要約することができる。図2に示すように、図2は、Sparkベースの空間接続クエリー方法の原理の概略図である。図2の(a)に示すように、空間パーティション段階では、まずSparkのsample演算子を用いてデータセットSからサンプルレートpでサンプルセットS'を抽出し、その後サンプルセットS′の空間分布によって全量データSの空間分布を近似的に表し、サンプルの疎密に基づいてQuad-tree、R-tree又はKD-treeなどの空間インデックスアルゴリズムを用いて空間範囲全体を分割して、小範囲の空間パーティションを生成し、各空間パーティション内のデータ量ができるだけ同じになるように確保した後、Sparkのrepartition演算子を使用して、データセットQとSの幾何学オブジェクトを交差する空間パーティション内に投影し、各空間パーティションのデータはSpark RDD(Resilient Distributed Dataset, 弾性分散データセット)の1つのpartition(空間パーティション)を構成する。図2の(b)に示すように、並列計算段階では、SparkのzipPartions演算子を用いて2つのデータセットの弾性分散データセットを1つの複合弾性分散データセットに変換し、同じ空間パーティションからのデータを同じPartitionに集め、その後、従来のスタンドアロン版の空間接続クエリーアルゴリズムを用いて並列計算(parallel computing)を行い、各Partition内のQとSからの空間オブジェクトに対して空間接続クエリーを実行し、2タプル集合tuplesを生成し、最後に演算結果を分散ファイルシステムHDFSに出力する。
【0024】
上述の従来のSparkベースの空間接続クエリースキームは、空間パーティションを分割する根拠としてデータセットSのサンプルセットS'の空間的な疎密性を用いているが、サンプルセットS'の空間分布は全量データセットSの空間分布を完全に表すことができず、全量データセットQの空間分布を表すことができず、したがって、各空間パーティション内で、SからのデータとQからのデータの疎密性が大きく異なる可能性がある。
【0025】
図3を参照して、図3は本願の実施例に提供される空間パーティションフィルタリングアルゴリズムの結果を示す概略図であり、データセットQとSは同じパーティション(斜線のあるブロック)内にデータを持っているが、Sはパーティション内の分布が密集し、Qはパーティション内の分布が疎であり、最終的に2つのデータセットがパーティション内で交差する部分の空間範囲はパーティションの空間範囲よりはるかに小さい。このことから、上述のSparkベースの空間接続クエリースキームは、空間パーティション段階で最終的に結果に寄与しない無効なデータをフィルタリングせず、大量の無効なデータが空間接続計算プロセスに参加することになる。無効なデータに係る計算と伝送はCPU、メモリ、ネットワークリソースの大量の浪費をもたらし、空間接続クエリーの計算プロセスに時間がかかる可能性がある。上述の従来スキームに存在する欠陥を解決するために、本願は以下のいくつかの新しい空間接続クエリースキームを提供し、無効なデータを除去し、空間接続クエリーの効率を高めることができる。
【0026】
図4を参照すると、図4は、本願の実施例によって提供される空間接続クエリーシステムの構造概略図であり、前記空間接続クエリーシステムは、データベース401、計算装置402及び結果表示装置403を含むことができる。ここで、データベース401には、複数の幾何学オブジェクトの空間データが格納され得、例えば、ある領域の鉄道分布空間データ、河川分布空間データ、道路分布空間データなどを含むことができる。計算装置402は、データベース401から2種類以上の幾何学オブジェクトの空間データを取得し、幾何学オブジェクト間の空間接続状況を決定することができる。具体的には、計算装置402は、空間データを受信した後、空間パーティション操作と並列計算操作を前後して実行し、空間パーティション操作を実行する際に空間データ中の幾何学オブジェクトの空間分布情報に基づいて交差空間パーティションを決定し、さらに交差空間パーティションの空間データを並列計算の入力データとすることができる。上述の過程は交差空間パーティションのみを計算し、空間接続クエリー過程における無効なデータの計算を減少させ、空間接続クエリー効率を向上させることができる。計算装置402は、空間接続クエリー結果を得た後、ユーザが観察し分析するように、結果表示装置403を介して表示することができる。
【0027】
次に、図5を参照して、図5は、本願の実施例によって提供される空間接続クエリー方法のフローチャートである。
【0028】
具体的なステップは、以下のようなステップを含むことができる。
S501で、第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを取得する。
【0029】
ここで、本ステップの前に、第1の空間データと第2の空間データを取得する操作もあり得、空間データは、山川、河川、道路、森林などの幾何学オブジェクトの空間分布状況を記述するためのデータである。具体的には、第1の空間データは第1の幾何学オブジェクトの空間分布状況を記述するデータであり、第2の空間データは第2の幾何学オブジェクトの空間分布状況を記述するデータである。
【0030】
本実施例は、Sparkエンジンを搭載した電子デバイス用弾性分散データセットにより第1の空間データと第2の空間データをそれぞれ表し、さらに第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを得ることができる。弾性分散データセットは、複数の空間パーティション(Partition)を含むことができ、即ち、本実施例で言及した第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットは、それぞれ複数の空間パーティションを含む。
【0031】
S502で、前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計し、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得る。
【0032】
ここで、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットを得た後、本ステップは、上記2つの弾性分散データセットに含まれる空間パーティションに対して、マルチツリー空間インデックスを作成する動作を実行する。マルチツリーインデックスの基本的な考え方は、地理空間を異なる階層のツリー構造に再帰的に分割することであり、具体的なマルチツリー空間インデックスは、既知の範囲の空間を複数の等しいサブ空間に等分することができ、このように再帰的に進み、ツリーの階層が一定の深さに達するか、プリセット要件を満たすと分割を停止する。実行可能な実施形態として、本実施例は、空間パーティションを複数のサブ空間に分割するために、前記空間パーティションに対して2ツリー空間インデックス、4ツリー空間インデックス、又は8ツリー空間インデックスを作成することができる。
【0033】
さらに、本願は、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計することもでき、前記幾何学オブジェクト空間分布情報は、マルチツリー空間インデックスを作成した後のサブ空間内の幾何学オブジェクトの分布状況を具体的に示す。前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計することにより、各パーティション空間の幾何学オブジェクト空間分布情報を決定することができ、本願では、弾性分散データセットに含まれるすべてのパーティション空間の幾何学オブジェクト空間分布情報を集約することにより、第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得ることができる。グローバル空間分布情報とは、第1の空間データ又は第2の空間データにおけるすべての幾何学オブジェクトの分布情報を指す。
【0034】
S503で、グローバル空間分布情報に基づいて第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定する。
【0035】
ここで、グローバル空間分布情報を得た後、本実施例は、第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報とを比較して、両者の交差空間パーティションを得ることができる。交差空間パーティションとは、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットの両方に幾何学オブジェクトが存在する同じ領域を指す。例えば、第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報からA、B、Cの3つの領域に道路が存在し、第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報からB、C、Dの3つの領域に川が存在することがわかるため、両者の交差空間パーティションはB領域とC領域である。
【0036】
S504で、第1の空間データ及び第2の空間データのうち交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、前記ターゲットデータに対して空間接続計算を行う。
【0037】
交差空間パーティションは幾何学オブジェクトを含む領域であり、2種類の幾何学オブジェクトが空間的に接続されている位置は交差空間パーティションにあり、交差空間パーティション以外の領域には空間的な接続が存在しないことが理解される。本願は第1の空間データと第2の空間データのうち交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、これは交差空間パーティション以外の他の領域の空間データをフィルタリングしたことに相当し、空間接続クエリー操作に参加する無効なデータの割合を下げ、空間接続クエリーの効率を高めた。本実施例は空間パーティション段階で無効なデータをフィルタリングし、後続の計算フローに参加するデータ量を大幅に簡素化でき、さらにデバイス間のデータ伝送と計算リソースの圧力を減少させ、計算フロー全体をより便利にし、クエリー計算効率を大幅に向上させ、計算時間を短縮する。
【0038】
本実施例は、空間データの弾性分散データセットを取得し、弾性分散データセットにおける空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成することで、空間パーティションを複数のサブ空間に細分する。幾何学オブジェクト空間分布情報を統計することにより、弾性分散データセットの幾何学オブジェクトの分布状況を記述するためのグローバル空間分布情報を得ることができる。本実施例は、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報に基づいて交差空間パーティションを決定し、交差空間パーティションに基づいて空間接続クエリーを実行する必要があるターゲットデータを決定する。交差空間パーティション内の幾何学オブジェクトにのみ接続が存在するため、上述のスキームは空間データのうち空間接続クエリーに寄与しない無効なデータをフィルタリングすることができ、空間接続クエリー操作の計算量を低減し、さらに空間接続クエリー効率を向上させる。
【0039】
上記実施例におけるマルチツリー空間インデックスの作成及び幾何学オブジェクト空間分布情報の統計プロセスに関するさらなる紹介として、以下の操作を上記実施例と組み合わせて更なる実施形態を得ることができる。即ち、上記空間パーティションを複数のサブ空間に分割するために、上記空間パーティションに対して4ツリー空間インデックスを作成することと、前記4ツリー空間インデックスクに基づいて、各前記サブ空間におけるターゲット幾何学ジオメトリの数をクエリーし、幾何学オブジェクト空間分布情報を得ることであり、ここで、前記サブ空間は、前記ターゲット幾何学オブジェクトを含む最も小さなサブ空間である。
【0040】
上記のプロセスでは、幾何学オブジェクト空間分布情報として、4ツリー空間インデックスを作成した後の各サブ空間に含まれるターゲット集合オブジェクトの数に基づく。上記のプロセスは、サブ空間に完全に含まれるターゲット幾何学オブジェクトの数を統計することによって幾何学オブジェクト空間分布情報を取得し、前記「完全に含まれる」とは、現在統計されているサブ空間が前記ターゲット幾何学オブジェクトを含む最も小さなサブ空間であることを意味する。図6を参照して、図6は、本願の実施例によって提供される幾何学オブジェクト空間分布情報の概略図であり、図6の(a)の中で最大の実線矩形枠に含まれるターゲット幾何学オブジェクトの数は1であり、小矩形枠に含まれるターゲット幾何学オブジェクトの数は0である。図6の(b)における左上隅の小矩形枠に含まれるターゲット幾何学オブジェクトの数は1であり、残りの小矩形枠と最大の実線矩形枠に含まれるターゲット幾何学オブジェクトの数は0である。
【0041】
図7を参照して、図7は、本願の実施例によって提供される空間パーティションのインデックス及び幾何空間分布情報の生成の概略図である。図7に示すように、本実施例は、Sparkの並列計算能力を利用して、空間パーティションごとにローカル4ツリーインデックスを作成し、インデックスから空間データの分布状況を抽出することができる。図7の(a)に示すように、1つの空間は4つのサブ空間に再帰的に分割することができ、各幾何学オブジェクトはそのオブジェクトを含む最も小さなサブ空間に位置している。図7の(b)に示すように、インデックスから幾何学オブジェクトの空間分布状況を抽出し、即ち、各サブ空間内の幾何学オブジェクトの数(即ち、図7の矩形内の数)を統計する。具体的には、1つの空間を4つのサブ空間に再帰的に分割する過程で、得られたサブ空間に含まれるデータ量に基づいて、4つのサブ空間に分割する操作を継続するか否かを判断することができる。サブ空間に含まれるデータ量がプリセット値よりも小さい場合は、その空間を4つのサブ空間に再帰的に分割する操作を停止することができる。
【0042】
ネットワーク伝送のデータ量を低減するために、本実施例はまた、各空間パーティションにおける統計結果を直列化符号化することができ、符号化原理は、ツリーの順序巡回アルゴリズムを用いて各ノードの統計値を収集し、リーフノードの統計値を'#'記号で識別し、その後、各ノードの統計値をカンマで1つの文字列に結合することである。例えば、図7の(b)の統計値の文字列は、1,1,#0,#1,#0,#1,#2,1,#0,#1,#1,#0,#1である。
【0043】
上記実施例におけるマルチツリー空間インデックスの作成及び幾何学オブジェクト空間分布情報の統計プロセスのさらなる紹介として、本実施例は、マルチツリー空間インデックスに基づいて、各前記空間パーティションに対応する幾何学オブジェクト空間分布情報を統計し、空間パーティションに対応するすべての幾何学オブジェクト空間分布情報を集約して、第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得ることができる。具体的には、グローバル空間分布情報は、同じパスのノードの統計値を加算集約することにより得ることができる。図8を参照して、図8は、本願の実施例によって提供されるグローバル空間分布情報の取得原理の概略図であり、本実施例は、Sparkのcollect演算子を用いて各空間パーティションにおける空間分布情報の符号化を収集し、その後復号して集約することでデータセット全体のグローバル空間分布情報を生成することができる。図8に示すように、左は各空間パーティションの空間分布情報で、右は集約して生成されるデータセット全体のグローバル空間分布情報である。
【0044】
上記実施例において第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定することの更なる紹介として、本実施例は、前記グローバル空間分布情報に基づいて対等ノードを段階的に決定し、前記対等ノードにおける各ノードの統計値に基づいて前記対等ノードをフィルタリングし、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットとの交差空間パーティションを得る。
【0045】
前記対等ノードは、第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットとが対応するグローバル空間分布情報におけるパスが同じノードである。対等ノードは、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットとで同じ階層と位置を有する。上記統計値は、前記幾何学オブジェクト空間分布情報を統計する統計結果であり、即ち、ノードに対応する空間パーティション内のターゲット幾何学オブジェクトの数である。
【0046】
図9を参照して、図9は、本願の実施例によって提供される交差空間パーティションの決定原理の概略図である。図9に示すように、本実施例は、第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報とを得ることができ、2つのデータセットのグローバル空間分布情報を計算することにより、2つのデータセットが交差する空間パーティション(即ち、図9に斜線を充填した矩形)を得ることができる。空間パーティション情報のネットワーク間での伝送を容易にするために、本実施例はまた、各パーティションがルートノードからリーフノードまで通過するパスを用いてパーティションを識別することができる。
【0047】
具体的には、本実施例は、以下の3つのルールに従って対等ノードをフィルタリングすることができる。
【0048】
ルール1:前記対等ノードが一つのリーフノードと一つの非リーフノードを含む場合、前記リーフノードと前記リーフノードの親ノードの統計値がすべて0であるかどうかを判断し、そうでなければ、前記対等ノードに対応する空間パーティションを、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットとの交差空間パーティションとして設定し、そうであれば、前記対等ノードの子ノードに対する統計値分析を停止し、他の対等ノードの各ノードの統計値に基づいて他の対等ノードのフィルタリングを継続する。ここで、リーフノードは子ノードが存在しないノードであり、非リーフノードは子ノードが存在するノードである。
【0049】
ルール2:前記対等ノードが2つの非リーフノードを含む場合、前記グローバル空間分布情報に基づいて対等ノードを段階的に決定する操作を継続する。
【0050】
ルール3:前記対等ノードが2つのリーフノードを含む場合、2つのリーフノードの統計値がいずれも0ではないかどうかを判断し、もしそうであれば、前記対等ノードに対応する空間パーティションを第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションに設定し、そうでなければ、他の対等ノードの各ノードの統計値に基づいて他の対等ノードのフィルタリングを継続する。
【0051】
図10を参照して、図10は、本願の実施例によって提供される交差空間パーティションの決定プロセスの概略図である。図10に示すように、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットの2つの対等ノードのうち1つがリーフノードであり、前記リーフノードとその親ノードの統計値がすべて0である場合、2つの対等ノードとその子ノードをフィルタリングし、そうでなければ、2つの対等ノードが表す交差パーティションを保持し、再帰的なプッシュダウンを停止する。第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットの2つの対等ノードがいずれもリーフノードではない場合は、再帰的なプッシュダウンを続ける。再帰的なプッシュダウンとは、対等ノードの子ノードの統計値を比較して分析する操作を指す。統計値は前記幾何学オブジェクト空間分布情報を統計する統計結果であるため、2つの対等ノードの統計値がいずれも0でない場合は、2つの対等ノードに交差空間パーティションが存在することを示し、2つの対等ノードの統計値に少なくとも1つの0が存在する場合は、2つの対等ノードに交差空間パーティションが存在しないことを示す。
【0052】
図11を参照して、図11は、本願の実施例によって提供されるターゲットデータ決定方法のフローチャートであり、本実施例は上述の実施例において交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定するプロセスの更なる説明であり、本実施例と上述の実施例とを組み合わせて更なる実施形態を得ることができ、本実施例は、以下のステップを含むことができる。
【0053】
S1101で、前記交差空間パーティションに対応するターゲット空間範囲を決定する。
S1102で、前記グローバル空間分布情報のルートノードから前記第1の空間データと前記第2の空間データのうち前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトを上から下へクエリーする。
【0054】
S1103で、前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトの空間データを前記ターゲットデータとして設定する。
【0055】
上記のようにターゲットデータを選択する操作は、無効なデータを除去することに相当し、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットを得た上で、交差空間パーティションに対応するターゲット空間範囲を決定し、さらに、第1の空間データと第2の空間データのうちターゲット空間範囲内にある幾何学オブジェクトをクエリーする。グローバル空間分布情報は空間データでの幾何学オブジェクトの分布状況を記述するので、グローバル空間分布情報のルートノードから上から下へクエリーすることにより、前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトを得ることができる。さらに、本実施例は、前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトの空間データを、空間接続計算用のものに設定することができる。
【0056】
実行可能な実施形態として、本実施例は、交差空間パーティションを集合Iで表し、集合Iでの各要素は一つのパーティションのルートノードからのパスを表すことができる。パスごとに、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットの空間パーティションごとに構成される4ツリーインデックスをクエリーし、パスに一致するノードに含まれる空間幾何学オブジェクトを抽出する。
【0057】
図12を参照して、図12は、本願の実施例によって提供される、4ツリーインデックスにおいてターゲットデータをクエリーする原理の概略図である。交差空間パーティションのパスとルートノードの矩形空間範囲が知られており、交差空間パーティションに対応する空間範囲Pboundを計算することができる。ルートノードから、パスに沿って各ノード上でPboundと交差する空間幾何学オブジェクトを上から下へ収集する。パス‘0’に示すように、パスPの底部がリーフノードではない場合、当該ノードとそのすべての子ノード上の幾何学オブジェクトを収集し、パス‘20’に示すように、パスPの底部がリーフノードに対応する場合、当該リーフノード上のすべての幾何学オブジェクトを収集し、パス‘231’に示されるように、パスPが底部までプッシュダウンできずにリーフノードに出会った場合、前記リーフノード上でPboundと交差する幾何学オブジェクトを収集する。
【0058】
各空間パーティションの4ツリーインデックスから、クエリーにより第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットが各パーティションに対応する空間オブジェクトセットを取得し、SparkでRDD[(P,Set[Geometry])]として表される。ここで、Pは交差パーティションを表し、Set[Geometry]は交差パーティション内の空間オブジェクトを表す。その上で、Sparkのcogroup演算子を利用して、第1の弾性分散データセットと第2の弾性分散データセットの同じパーティション内の空間オブジェクトを集めてRDD[(P,(Set[Geometry],Set[Geometry]))]を生成し、図2の(b)に示す並列計算プロセスを実行することにより、空間接続クエリーの最終結果を得ることができる。
【0059】
図13を参照して、図13は、本願の実施例によって提供される空間接続クエリー装置の構造概略図であり、この装置は、データセット取得モジュール1301、空間分布情報取得モジュール1302、交差空間決定モジュール1303、空間接続クエリーモジュール1304を含むことができる。
【0060】
データセット取得モジュール1301は、第1の空間データの第1の弾性分散データセットと第2の空間データの第2の弾性分散データセットを取得し、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットは、複数の空間パーティションを含む。
【0061】
空間分布情報取得モジュール1302は、前記空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成し、前記マルチツリー空間インデックスに基づいて幾何学オブジェクト空間分布情報を統計して、前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得る。
【0062】
交差空間決定モジュール1303は、前記グローバル空間分布情報に基づいて前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを決定する。
【0063】
空間接続クエリーモジュール1304は、前記第1の空間データ及び前記第2の空間データのうち前記交差空間パーティションに対応するデータをターゲットデータとして設定し、前記ターゲットデータに対して空間接続計算を行う。
【0064】
本実施例は、空間データの弾性分散データセットを取得し、弾性分散データセットにおける空間パーティションに対してマルチツリー空間インデックスを作成することで、空間パーティションを複数のサブ空間に細分する。幾何学オブジェクト空間分布情報を統計することにより、弾性分散データセットでの幾何学オブジェクトの分布状況を記述するためのグローバル空間分布情報を得ることができる。本実施例は、第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報に基づいて交差空間パーティションを決定し、交差空間パーティションに基づいて空間接続クエリーを実行する必要があるターゲットデータを決定する。交差空間パーティション内の幾何学オブジェクトにのみ接続が存在するため、上述のスキームは空間データのうち空間接続クエリーに寄与しない無効なデータをフィルタリングすることができ、空間接続クエリー操作の計算量を低減し、さらに空間接続クエリー効率を向上させる。
【0065】
さらに、空間分布情報取得モジュール1302は、
前記空間パーティションを複数のサブ空間に分割するために、前記空間パーティションに対して4ツリー空間インデックスを作成する4ツリーインデックス作成ユニットと、
前記4ツリー空間インデックスクに基づいて、各前記サブ空間におけるターゲット幾何学ジオメトリの数をクエリーし、幾何学オブジェクト空間分布情報を得る幾何学オブジェクトクエリーユニットとを含み、ここで、前記サブ空間は、前記ターゲット幾何学オブジェクトを含む最も小さなサブ空間である。
【0066】
さらに、前記4ツリーインデックス作成ユニットは、前記空間パーティションを複数のサブ空間に分割するために、Sparkエンジンを用いてすべての前記空間パーティションに対して並列に前記4ツリー空間インデックスを作成する。
【0067】
さらに、空間分布情報取得モジュール1302は、
前記マルチツリー空間インデックスに基づいて、各前記空間パーティションに対応する幾何学オブジェクト空間分布情報を統計する空間パーティション情報取得ユニットと、
すべての前記空間パーティションに対応する幾何学オブジェクト空間分布情報を集約して前記第1の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報と第2の弾性分散データセットのグローバル空間分布情報を得るための集約ユニットとを含む。
【0068】
さらに、交差空間決定モジュール1303は、対等ノード決定ユニットとノードフィルタリングユニットとを含む。
【0069】
対等ノード決定ユニットは、前記グローバル空間分布情報に基づいて対等ノードを段階的に決定し、前記対等ノードは、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットとが対応するグローバル空間分布情報においてパスが同じノードである。
【0070】
ノードフィルタリングユニットは、前記対等ノードにおける各ノードの統計値に基づいて前記対等ノードをフィルタリングして、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションを取得し、前記統計値は、前記幾何学オブジェクト空間分布情報を統計する統計結果である。
【0071】
さらに、ノードフィルタリングユニットは、
前記対等ノードが一つのリーフノードと一つの非リーフノードを含むと、前記リーフノードと前記リーフノードの親ノードの統計値がいずれも0であるかどうかを判断し、そうでなければ、前記対等ノードに対応する空間パーティションを、前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションとして設定する第1のフィルタリングサブユニットと、
前記対等ノードが2つの非リーフノードを含むと、前記グローバル空間分布情報に基づいて対等ノードを段階的に決定する操作を実行する第2のフィルタリングサブユニットと、
前記対等ノードが2つのリーフノードを含むと、2つのリーフノードの統計値がいずれも0ではないかどうかを判断し、そうであれば、前記対等ノードに対応する空間パーティションを前記第1の弾性分散データセットと前記第2の弾性分散データセットの交差空間パーティションとして設定する第3のフィルタリングサブユニットと、を含む。
【0072】
さらに、空間接続クエリーモジュール1304は、
前記交差空間パーティションに対応するターゲット空間範囲を決定し、また、前記グローバル空間分布情報のルートノードから前記第1の空間データと前記第2の空間データのうち前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトを上から下へクエリーし、また、前記ターゲット空間範囲と交差する幾何学オブジェクトの空間データを前記ターゲットデータとして設定するターゲットデータ決定ユニットと、
前記ターゲットデータに対して空間接続計算を行う計算ユニットと含む。
【0073】
装置の実施例と方法の実施例は互いに対応しているので、装置の実施例は方法の実施例の説明を参照して、ここでは省略する。
【0074】
また、本願は、実行される際に上記実施例で提供されたステップを実現できるコンピュータプログラムが格納されている記憶媒体を提供する。前記記憶媒体は、Uディスク、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)、磁気ディスク、又は光ディスクなど、プログラムコードを記憶することができる様々な媒体を含むことができる。
【0075】
本出願はまた電子デバイスを提供し、図14を参照して、本出願の実施例が提供する電子デバイスの構造図であり、図14に示すように、プロセッサ1410とメモリ1420とを含むことができる。
【0076】
ここで、プロセッサ1410は、4コアプロセッサ、8コアプロセッサのように、1つ又は複数の処理コアを含むことができる。プロセッサ1410は、DSP(Digital Signal Processing,デジタル信号処理)、FPGA(Field-Programmable Gate Array,フィールドプログラマブルゲートアレイ)、PLA(Programmable Logic Array,プログラマブル論理アレイ)のうちの少なくとも1つのハードウェア形式を用いて実装することができる。プロセッサ1410は、メインプロセッサとコプロセッサとを含むこともでき、メインプロセッサは、起動状態にあるデータを処理するためのプロセッサであり、CPU(Central Processing Unit、中央プロセッサ)とも呼ばれ、コプロセッサは、待機状態にあるデータを処理するための低消費電力プロセッサである。いくつかの実施例では、プロセッサ1410は、ディスプレイに表示する必要があるコンテンツのレンダリング及び描画を担当するGPU(Graphics Processing Unit)を統合することができる。いくつかの実施例では、プロセッサ1410はまた、機械学習に関する計算動作を処理するためのAI(Artificial Intelligence, 人工知能)プロセッサを含むことができる。
【0077】
メモリ1420は、一つ又は複数のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含むことができ、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は非一時的であってもよい。メモリ1420はまた、高速ランダムアクセスメモリ、及び1つ又は複数のディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ記憶デバイスなどの不揮発性メモリを含むことができる。本実施例では、メモリ1420は、プロセッサ1410にロードされて実行された後に、前述のいずれかの実施例で開示された電子デバイス側による空間接続クエリー方法における関連ステップを実現することができるコンピュータプログラム1421を少なくとも記憶するために使用される。また、メモリ1420に格納されるリソースは、オペレーティングシステム1422及びデータ1423などを含むこともでき、格納方式は、一時的に格納されてもよく、又は永久に格納されてもよい。ここで、オペレーティングシステム1422は、Windows、Linux(登録商標)、Androidなどを含むことができる。
【0078】
いくつかの実施例では、電子デバイスは、ディスプレイ1430、入出力インタフェース1440、通信インタフェース1450、センサ1460、電源1470、及び通信バス1480を含むこともできる。
【0079】
勿論、図14に示す電子デバイスの構成は、本願の実施例における電子デバイスの限定を構成するものではなく、実際の適用では、電子デバイスは、図14に示すよりも多く又は少ない部品を含むか、又はいくつかの部品を組み合わせることができる。
【0080】
明細書において各実施例は漸進的に記述され、他の実施例と異なる点を重点的に説明しており、各実施例の間の同じ/類似部分は互いに参照すればよい。実施例に開示された装置については、実施例に開示された方法に対応しているため、説明は比較的簡単であり、関連点は方法の説明を参照すればよい。本技術分野の一般技術者にとっては、本願の原理を逸脱することなく、本願に対していくつかの改良及び修飾を行うこともでき、これらの改良及び修飾も本願の請求項の保護範囲内に入ることを指摘すべきである。
【0081】
また、本明細書において、「第1の」及び「第2の」などの関係用語は、必ずしもこれらのエンティティ又は操作間に実際の関係又は順序が存在することを要求又は暗示することなく、1つのエンティティ又は操作を別のエンティティ又は操作と区別するためにのみ使用される。さらに、用語「含む」、「備える」、又はその任意の他のバリエーションは、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置がそれらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素も含むように、非排他的な包含をカーバすることを意図しており、或いはそのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の要素も含むことができる。これ以上の制限がない場合、ステートメント「1つを含む」によって定義される要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品、又はデバイスに別の同じ要素が存在することを除外するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】