(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方
(51)【国際特許分類】
A23L 7/17 20160101AFI20240104BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20240104BHJP
A23L 19/12 20160101ALI20240104BHJP
A23L 33/21 20160101ALI20240104BHJP
A23G 3/36 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A23L7/17
A23L7/10 H
A23L19/12 Z
A23L33/21
A23G3/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547739
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2022104892
(87)【国際公開番号】W WO2023011116
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110881768.4
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523143420
【氏名又は名称】山西農業大学山西機能食品研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100191190
【氏名又は名称】池田 直文
(72)【発明者】
【氏名】周柏玲
(72)【発明者】
【氏名】孟▲テイ▼▲テイ▼
(72)【発明者】
【氏名】田歌
(72)【発明者】
【氏名】梁霞
(72)【発明者】
【氏名】李敏
(72)【発明者】
【氏名】路欣
(72)【発明者】
【氏名】石磊
(72)【発明者】
【氏名】劉超
【テーマコード(参考)】
4B014
4B016
4B018
4B023
4B025
【Fターム(参考)】
4B014GG01
4B014GG05
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4B025LP01
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4B025LP20
(57)【要約】
【課題】食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方を提供する。
【解決手段】本発明は、具体的には食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方に関し、(1)精選した燕麦を室温で洗浄して浸漬するステップ、(2)芽生え始めるステップ、(3)低温乾燥するステップ、(4)乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕し、細さは、20メッシュ~100メッシュであるステップ、(5)燕麦粉の水分を20%~32%まで調整するステップ、(6)燕麦粉を押出して膨化させるステップ、(7)超微粉砕し、粉砕細さは、120メッシュ~200メッシュであるステップ、(8)粉を調和し、押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1~4であるステップ、(9)混合して撹拌し、混合粉材料と熱湯の混合比率は1:2.83~4.75であるステップ、(10)プレス成形するステップ、(11)室温で超高圧滅菌するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方であって、
精選した燕麦を室温で洗浄して浸漬するステップ(1)と、
前記浸漬した後に水を切った燕麦を芽生え始めさせて、芽生え始めた燕麦を得て、芽生え始めるプロセス条件は、温度20℃~38℃、湿度60%~95%、時間8h~24hであるステップ(2)と、
前記芽生え始めた燕麦を低温乾燥させるステップ(3)と、
前記低温乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕し、芽生え始めた燕麦粉を得て、粉砕細さは、40メッシュ~80メッシュであるステップ(4)と、
前記芽生え始めた燕麦粉の水分を20%~32%まで調整するステップ(5)と、
前記ステップ(5)で得られた芽生え始めた燕麦粉を押出して膨化させ、押出及び膨化条件は、各領域の温度が80~200℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるステップ(6)と、
前記押出及び膨化後の芽生え始めた燕麦粉を超微粉砕し、押出芽生え燕麦粉を得て、粉砕細さは、120メッシュ~200メッシュであるステップ(7)と、
前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合し、混合粉材料を形成し、押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1~4であるステップ(8)と、
前記混合粉材料を1部の混合粉材料に2.83~4.75部の熱湯を添加する比率に応じて熱湯で混合して均一に撹拌するステップ(9)と、
プレス成形するステップ(10)と、
室温条件下で超高圧滅菌し、超高圧滅菌の条件は、圧力400MPa~600MPa、圧力維持時間3min~20min、圧力解放時間1s~2sであるステップ(11)と、を含むことを特徴とする作り方。
【請求項2】
ステップ(1)では、浸漬時間は12h~36hであることを特徴とする請求項1に記載の作り方。
【請求項3】
ステップ(3)では、低温乾燥の条件は45℃~65℃、時間6h~24hであることを特徴とする請求項1に記載の作り方。
【請求項4】
ステップ(8)では、混合した粉末材料には調味補助材料と離型補助材料も添加されることを特徴とする請求項1に記載の作り方。
【請求項5】
前記調味補助材料と離型補助材料は、砂糖、塩、食用油であることを特徴とする請求項4に記載の作り方。
【請求項6】
前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合して得られた混合粉材料と砂糖、食用油、塩の質量分率比は1:0.2:0.125:0.005であることを特徴とする請求項5に記載の作り方。
【請求項7】
前記芽生え始めるプロセスの条件は、温度20℃、湿度95%、時間24hであるか、
又は
温度38℃、湿度80%、時間8hであるか、
又は
温度30℃、湿度95%、時間12hであることを特徴とする請求項1に記載の作り方。
【請求項8】
ステップ(5)では、前記芽生え始めた燕麦粉の水分含有量を20%、25%、又は32%に調整することを特徴とする請求項1に記載の作り方。
【請求項9】
前記押出及び膨化条件は、各領域の温度が85℃、150℃、190℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるか、
又は
各領域の温度が80℃、150℃、180℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるか、
又は
各領域の温度が85℃、160℃、200℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであることを特徴とする請求項1に記載の作り方。
【請求項10】
前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1又は1:2又は1:4であることを特徴とする請求項1に記載の作り方。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2021年8月2日に中国特許庁に提出された、出願番号CN202110881768.4、発明の名称「食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方」の中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は参照によりこの出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は食品加工の技術分野に属し、具体的には、低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子を作るための食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方に関する。
【背景技術】
【0003】
燕麦のタンパク質含有量は普遍的に15%を超えており、これは米と小麦粉の1.6~2.3倍であり、禾穀類食糧において首位である。燕麦タンパク質は高い栄養価を持ち、18種のアミノ酸が含まれ、特に、8種が人体の必須アミノ酸であり、含有量が豊かで比率が合理的であり、FAO/WHOが推奨する栄養モードに近く、人体の利用率が高い。ここで、燕麦のリシンの含有量は小麦と水稲の2倍以上であり、トリプトファンの含有量は小麦と水稲の1.7倍以上である。中国の住民がよく食べる各種類の食糧における第1の制限アミノ酸-リシンは、燕麦において含有量がより豊富(680mg/100g)である。燕麦の脂肪含有量は約5%~9%で、米と小麦粉の4~5倍に相当し、しばしば見られる穀物において首位である。燕麦脂肪の80%は一価不飽和脂肪酸、リノール酸、リノレン酸を主とする不飽和脂肪酸であり、そのうち、リノール酸は脂肪含有量の38.1%~52.0%を占めている。リノール酸は、人体で最も重要な必須脂肪酸であり、心血管におけるコレステロールの蓄積を減らすことができ、共に、さまざまな重要な生理学的機能がある。燕麦には、豊富なビタミンB1、B2、およびより多くのビタミンEとニコチン酸、葉酸などが含まれている。燕麦のミネラル含有量も豊富であり、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、亜鉛、銅、セレンなどが含まれている。特に、燕麦中のカルシウムの含有量は、小麦粉、水稲、アワ、蕎麦粉などよりも著しく高い。燕麦中のセレン含有量は0.696μg/gにもなり、小麦の3.72倍、玉蜀黍の7.9倍、米の34.8倍に相当する。
【0004】
食物繊維は天然的な有機高分子化合物であり、単糖の脱水によって重合した非澱粉類多糖であり、人体内の消化酵素によって分解することはできないが、セルロース、半セルロース、ペクチン、リグニンなどを含む健康を維持する不可欠な炭水化物でもある。溶解特性によれば、可溶性繊維と不溶性繊維の2つのカテゴリに分けることができる。燕麦は可溶性と不溶性の2種食物繊維を兼備しているので、天然食物繊維ファミリーの「貴族」としても呼ばれている。燕麦の総セルロース含有量は17%~21%であり、そのうち可溶性食物繊維(主成分はβ-グルカン)が総食物繊維の約1/3を占めて、他の穀物より顕著に高い。
【0005】
従来技術の食品加工には次の病弊がある。
(1)既存の燕麦で加工された食品のフィチン酸含有量は相対的に高く、人体の摂取後、ミネラルなどの栄養吸収を阻害し、同時に胃腸の不快感を引き起こし、連続食用が困難になる。
(2)既存の食物繊維が豊富な製品のほとんどは、食物繊維添加剤を追加することにより、製品の食物繊維の含有量を増やし、食物繊維の含有量は高いが、外因性の食物繊維が製品に追加され、これらの追加された成分は、原料中の微量元素及びビタミンとの間に拮抗する可能性がある。
(3)従来技術では、雑穀及びジャガイモの菓子を作る場合にすべて蒸しまたはベーキング技術を採用し、これは相対的に複雑である。
(4)既存の製品は、ベーキングや蒸しなどの熱加工技術によって滅菌されているため、貯蔵寿命はより短く、同時に、製品貯蔵過程中の澱粉の老化は品質の低下を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術に存在する問題を克服し、フィチン酸の含有量を減らし、栄養吸収に有利と共に、澱粉の老化によって引き起こされる製品品質の劣化を改善するように、食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は次の技術的解決手段を提供する。
【0008】
本発明は、
(1)精選した燕麦を室温で洗浄して浸漬するステップ、
(2)前記浸漬した後に水を切った燕麦を芽生え始めさせて、芽生え始めた燕麦を得て、芽生え始めるプロセス条件は、温度20℃~38℃、湿度60%~95%、時間8h~24hであるステップ、
(3)前記芽生え始めた燕麦を低温乾燥させるステップ、
(4)前記低温乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕し、芽生え始めた燕麦粉を得て、粉砕細さは、40メッシュ~80メッシュであるステップ、
(5)前記芽生え始めた燕麦粉の水分を20%~32%まで調整するステップ、
(6)前記ステップ(5)で得られた芽生え始めた燕麦粉を押出して膨化させ、押出及び膨化条件は、各領域の温度が80~200℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるステップ、
(7)前記押出及び膨化後の芽生え始めた燕麦粉を超微粉砕し、押出芽生え燕麦粉を得て、粉砕細さは、120メッシュ~200メッシュであるステップ、
(8)前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合し、混合粉材料を形成し、押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1~4であるステップ、
(9)前記混合粉材料を1部の混合粉材料に2.83~4.75部の熱湯を添加する比率に応じて熱湯で混合して均一に撹拌するステップ、
(10)プレス成形するステップ、
(11)室温条件下で超高圧滅菌し、超高圧滅菌の条件は、圧力400MPa~600MPa、圧力維持時間3min~20min、圧力解放時間1s~2sであるステップを含む食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方を提供する。
【0009】
好ましくは、ステップ(1)では、浸漬時間は12h~36hである。
【0010】
好ましくは、ステップ(3)では、低温乾燥の条件は45℃~65℃、時間6h~24hである。
【0011】
好ましくは、ステップ(8)では、混合粉材料には調味補助材料と離型補助材料も添加される。
【0012】
好ましくは、前記調味補助材料と離型補助材料は、砂糖、塩、食用油である。
【0013】
好ましくは、前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合して得られた混合粉材料と砂糖、食用油、塩の質量分率比は1:0.2:0.125:0.005である。
【0014】
好ましくは、前記芽生え始めるプロセスの条件は、温度20℃、湿度95%、時間24hであるか、
又は
温度38℃、湿度80%、時間8hであるか、
又は
温度30℃、湿度95%、時間12hである。
【0015】
好ましくは、ステップ(5)では、前記芽生え始めた燕麦粉の水分含有量を20%、25%、又は32%に調整する。
【0016】
好ましくは、前記押出及び膨化条件は、各領域の温度が85℃、150℃、190℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるか、
又は
各領域の温度が80℃、150℃、180℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるか、
又は
各領域の温度が85℃、160℃、200℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minである。
【0017】
好ましくは、前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1又は1:2又は1:4である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明は、(1)精選した燕麦を室温で洗浄して浸漬するステップ、(2)芽生え始めるステップ、(3)低温乾燥するステップ、(4)乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕し、細さは、20メッシュ~100メッシュであるステップ、(5)燕麦粉の水分を20%~32%まで調整するステップ、(6)燕麦粉を押出して膨化させるステップ、(7)超微粉砕し、粉砕細さは、120メッシュ~200メッシュであるステップ、(8)押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1~4である粉を調和するステップ、(9)混合して撹拌し、混合粉材料と熱湯の混合比率は1:2.83~4.75であるステップ、(10)プレス成形するステップ、(12)室温で超高圧滅菌するステップを含む食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方を提供する。本発明は、食物繊維が豊富な原料であるジャガイモと燕麦を使用し、外因性の食物繊維を追加せず、天然で安全である。原料自体の特性を使用して加工して柔らかい菓子にし、食物繊維の組成は豊かで天然で、人体に吸収されやすく、バランスの取れた栄養がある。原料は、シンプルな配合原料、混合、成形、非熱滅菌で食べることができ、プロセスは非熱方法で完了し、製品には燕麦とジャガイモの固有の香りがある。
【0019】
本発明は、芽生え始めることと押出及び膨化を使用して、原料を加工して処理する。芽生え始める目的には2つがあり、1つ目は、燕麦顆粒を活性化して、機能成分を生成し、フィチン酸等の栄養抑制成分を分解することであり、2つ目は、澱粉タンパク質類の栄養物質の消費量が少なく、基本的に原料の加工特性を変えないことであり、押出及び膨化の目的にも2つがあり、1つ目は、燕麦を熟成し、燕麦の混合特性を変えることであり、2つ目は、フィチン酸を減らし、燕麦の消化特性を改善することである。芽生え始めることと押出及び膨化によって燕麦粉中のフィチン酸の含有量(75%減少)を減少し、製品は、脾臓と胃の弱い高齢者と乳児の食用に適している。
【0020】
本発明は、非熱加工技術を通じて製品の非熱滅菌を実現し、室温と超高圧の条件下で滅菌を完了し、滅菌効果が完全であり、貯蔵寿命が延長し、同時に、製品中の澱粉、タンパク質、脂肪等が変性し、澱粉は老化せず、製品の柔らかい食感は長い間維持でき、加熱しないモードで滅菌し、原料の元の天然な香りを保持する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によって解決される技術的課題は、フィチン酸の含有量を減らし、栄養吸収に有利と共に、澱粉の老化によって引き起こされる製品品質の劣化を改善する食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方法を提供する。
【0022】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、
(1)精選した燕麦を室温で洗浄して浸漬するステップ、
(2)前記浸漬した後に水を切った燕麦を芽生え始めさせて、芽生え始めた燕麦を得て、芽生え始めるプロセス条件は、温度20℃~38℃、湿度60%~95%、時間8h~24hであるステップ、
(3)前記芽生え始めた燕麦を低温乾燥させるステップ、
(4)前記低温乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕して、芽生え始めた燕麦粉を得て、粉砕細さは、40メッシュ~80メッシュであるステップ、
(5)前記芽生え始めた燕麦粉の水分を20%~32%まで調整するステップ、
(6)前記ステップ(5)で得られた芽生え始めた燕麦粉を押出して膨化させて、押出及び膨化条件は、各領域の温度が80~200℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるステップ、
(7)前記押出及び膨化後の芽生え始めた燕麦粉を超微粉砕し、押出芽生え燕麦粉を得て、粉砕細さは、120メッシュ~200メッシュであるステップ、
(8)前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合し、混合粉材料を形成し、押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1~4であるステップ、
(9)前記混合粉材料を1部の混合粉材料に2.83~4.75部の熱湯を添加する比率に応じて熱湯で混合して均一に撹拌するステップ、
(10)プレス成形するステップ、
(11)室温条件下で超高圧滅菌し、超高圧滅菌の条件は、圧力400MPa~600MPa、圧力維持時間3min~20min、圧力解放時間1s~2sであることを含む食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方を提供する。
【0023】
本発明は、精選した燕麦を室温(25℃±5℃)で洗浄して浸漬する。
【0024】
本発明において、前記浸漬時間は、好ましくは12h~36hである。燕麦の素地はより緻密であり、果皮は厚くて強靭で、水を吸収しにくく、本発明は、長期間の浸漬を通して燕麦を十分に水分吸収させ、それにより適切な温度と湿度の条件で発芽及び芽生えさせる。
【0025】
燕麦を洗浄して浸漬した後、本発明は前記浸漬した後に水を切った燕麦を芽生え始めさせて、芽生え始めた燕麦を得て、芽生え始めるプロセス条件は、温度20℃~38℃、湿度60%~95%、時間8h~24hである。本発明は、燕麦原料を発芽及び芽生えさせることにより、休眠状態の燕麦顆粒を活性化し、短期間で一連の生理学的代謝変化を発生させ、主に細胞生理学的活性の回復と複雑な生化学代謝に現れ、これにより、顆粒の栄養成分を大幅に変化させ、GABAのようなすべての生命に必要な物質が連続して生成され、栄養価がより高く、より容易に吸収される。共に、燕麦等の雑殻の発芽及び芽生えるプロセスで、フィチン酸等の栄養抑制物質の含有量が大幅に減少する。しかし、芽生える及び発芽のプロセスはまた栄養消費のプロセスであり、発芽の進行に伴い、種子中の澱粉、タンパク質、脂肪等の栄養物質が消費され、粗繊維含有量が増加する。澱粉含有量の消費減少は、燕麦粉の加工性能に大きく影響する。したがって、発芽及び芽生える程度を制御し、機能成分の活性化、フィチン酸の減少及び栄養消費間のバランスポイントを見つける必要があり、つまり本発明に記載されている燕麦の芽生え始めることである。本発明の上記プロセス条件は、燕麦粉の加工性能に影響を与えないことに基づいて、芽生え始めることによってフィチン酸の含有量を大幅に減らすことができる。
【0026】
芽生え始めた燕麦を取得した後、本発明は芽生え始めた燕麦を低温乾燥させる。
【0027】
本発明において、前記低温乾燥条件は好ましくは、45℃~65℃、時間6h~24hである。本発明において、前記低温乾燥の方法は好ましくは、穏やかに薄く広げ、オーブンで低温で乾燥させることである。低温乾燥を利用すると、燕麦中の澱粉は、より高い水分条件で糊化しないことを保証でき、澱粉に糊化が発生した場合、燕麦粉の加工特性に影響を与え、共に燕麦の顆粒を粉砕しにくくなる。
【0028】
低温乾燥が終わった後、本発明は前記低温乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕し、芽生え始めた燕麦粉を得る。本発明における粉砕細かさは40メッシュ~80メッシュである。この細かさ範囲での燕麦粉は、素地が均一で、後期加工に便利だけでなく、粉砕してふるい分けることの難しさは少なくなる。
【0029】
芽生え始めた燕麦粉を得た後、本発明は、前記芽生え始めた燕麦粉の水分含有量を20%~32%に調整する。本発明は、材料の水分含有量を20%~32%に調整すると、材料が押出機ネジから滑らかに押出して膨化することを保証でき、水分が低すぎると、押出しにくく、水分が高すぎると、膨化に不利である。
【0030】
芽生え始めた燕麦粉の水分を調整した後、本発明は得られた芽生え始めた燕麦粉を押出して膨化させ、押出及び膨化条件は、各領域の温度が80~200℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minである。他の雑殻と比較して、燕麦の全穀物粉は、繊維の含有量が高く、油脂含有量が高くなっているため、押出条件は比較的過酷で、ネジ回転速度の要件が高く、ネジの各領域の温度が比較的高く、このように押出された燕麦粉製品の膨化度が要件を満たすことができる。本発明は、適切な条件での押出及び膨化により、芽生え始めた燕麦粉を熟成させ、燕麦粉の混合特性を改善し、燕麦粉中の栄養抑制成分-フィチン酸の含有量をさらに減らすことができる。
【0031】
押出及び膨化後、本発明は、前記押出及び膨化後の芽生え始めた燕麦粉を超微粉砕し、押出芽生え燕麦粉を得て、粉砕細さは、120メッシュ~200メッシュである。芽生え燕麦の全穀物の加工プロセスでは、ふすま等の成分が除去されないため、燕麦の全穀物粉中のふすまは、食感が粗く加工品質が低下するなどの問題を引き起こし、超微粉砕により、ふすま等を口腔で簡単に知覚されない顆粒範囲内(120メッシュ~200メッシュ)に加工すると、食感を改善するだけでなく、加工品質も向上する。
【0032】
押出芽生え燕麦粉を得た後、本発明は前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合し、混合粉材料を形成し、押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1~4である。
【0033】
本発明において、前記混合粉材料には好ましくは調味補助材料と離型補助材料も添加され、本発明において、前記調味補助材料は、さまざまな人々の好みに応じて自由に調合され、例えば前記調味補助材料と離型補助材料は砂糖、塩、食用油であってもよく、前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合して得られた混合粉材料と砂糖、食用油、塩の質量分率比は好ましくは1:0.2:0.125:0.005である。本発明において、前記調味補助材料と離型補助材料は好ましくは、さまざまな人々の好みに応じて、自由に調合される。製品の食感、混合性及び成形効果を改善するために、押出芽生え燕麦粉に一定量のジャガイモ全粉を調和して使用する。押出芽生え燕麦粉自体は、油脂含有量が高いため、熱湯で混合した後に凝結しやすく且つ成形性が低く、一定量のジャガイモ全粉を添加した後、この問題は解決された。
【0034】
混合粉材料を得た後、本発明は前記混合粉材料を1部の混合粉材料に2.83~4.75部の熱湯を添加する比率に応じて熱湯で混合して均一に撹拌し、製造原料を得る。上記の比率は、均一に撹拌して成形と離型を容易にするためである。熱湯の添加量が高すぎると、混合して撹拌された材料はひどく軟らかく、成形しにくい又は離型しにくく、熱湯の添加量が低すぎると、混合後の材料には乾燥粉があるので、均一に撹拌できない。
【0035】
製造原料を得た後、本発明は前記製造原料をプレス成形する。
【0036】
プレス成形された後、本発明は室温条件下で超高圧滅菌を実行し、超高圧滅菌の条件は、圧力400MPa~600MPa、圧力維持時間3min~20min、圧力解放時間1s~2sである。本発明は、常温超高圧処理によって滅菌の目的を達成するだけでなく、燕麦とジャガイモの2つの原料における澱粉、タンパク質、および脂肪は、異なる程度の変性が発生し、そのため、製品は澱粉の老化によって引き起こされる品質の劣化問題を起こしにくく、貯蔵寿命を延ばすことができる。
【0037】
滅菌した後に離型して包装することができる。
【0038】
本発明は、食物繊維が豊富な原料であるジャガイモと燕麦を使用し、外因性の食物繊維を添加せず、天然で安全である。原料自体の特性を利用して柔らかい菓子に加工し、食物繊維の組成は豊かで天然で、人体に吸収されやすく、バランスの取れた栄養がある。原料は、シンプルな配合原料、混合、成形、非熱滅菌によって食べることができ、プロセスは非熱方法で完了し、製品には燕麦とジャガイモの固有の香りがある。
【0039】
本発明は、原料を加工して処理するために2つの技術的手段を利用している。芽生え始めることであって、芽生え始める目的には2つがあり、1つ目は、燕麦顆粒を活性化して、機能成分を生成し、フィチン酸等の栄養抑制成分を分解することであり、2つ目は、澱粉タンパク質類の栄養物質の消費量が少なく、原料の加工特性をほぼ変えないことであり、押出して膨化することであって、押出して膨化する目的にも2つがあり、1つ目は、燕麦を熟成し、燕麦の混合特性を変えることであり、2つ目は、フィチン酸を減らし、燕麦の消化特性を改善することである。芽生え始めることと押出して膨化することによって燕麦粉中のフィチン酸の含有量(75%減少)を減少し、製品は、脾臓と胃の弱い高齢者と乳児の食用に適している。
【0040】
本発明は、非熱加工技術を通じて製品の非熱滅菌を実現し、室温と超高圧の条件で滅菌を完了し、滅菌効果が完全であり、貯蔵寿命が延長し、共に、製品中の澱粉、タンパク質、脂肪等が変性し、澱粉は老化せず、製品の柔らかい食感は長い間維持でき、加熱しないモードで滅菌し、原料の元の天然な香りを保持する。本発明をさらに説明するために、以下では、実施例を参照しながら、本発明により提供される食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方法を具体的に説明するが、それらを本発明の保護範囲に対する限定であると理解することはできない。
【0041】
実施例1
食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方は、
(1)精選した燕麦を室温で洗浄して30h浸漬するステップ、
(2)前記浸漬した後に水を切った燕麦を芽生え始めさせて、芽生え始めた燕麦を得て、芽生え始めるプロセス条件は、温度20℃、湿度95%、時間24hであるステップ、
(3)前記芽生え始めた燕麦を穏やかに薄く広げ、オーブンで低温で乾燥し、条件は60℃、時間18hであるステップ、
(4)前記低温乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕し、芽生え始めた燕麦粉を得て、粉砕細さは、80メッシュであるステップ、
(5)前記芽生え始めた燕麦粉の水分を25%まで調整するステップ、
(6)前記ステップ(5)で得られた燕麦粉を押出して膨化させて、押出及び膨化条件は、各領域の温度が85℃、150℃、190℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるステップ、
(7)前記押出及び膨化後の芽生え始めた燕麦粉を超微粉砕機において超微粉砕を行い、粉砕細さは、120メッシュである超微粉砕するステップ、
(8)前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合し、混合粉材料を形成し、水を添加し、押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:4であり、混合粉材料には砂糖、食用油、塩などの調味補助材料も添加され、混合粉材料と砂糖、食用油、塩の質量分率比は、1:0.2:0.125:0.005である粉を調和するステップ、
(9)前記混合粉材料を1部の混合粉材料に4.75部の熱湯を添加する比率に応じて熱湯で混合して均一に撹拌する混合して撹拌するステップ、
(10)プレス成形するステップ、
(11)室温条件下で超高圧滅菌し、超高圧滅菌の条件は、圧力550MPa、圧力維持時間15min、圧力解放時間1sであるステップ、
(12)離型して包装するステップを含む。
【0042】
実施例2
食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方は、
(1)精選した燕麦を室温で洗浄して12h浸漬するステップ、
(2)前記浸漬した後に水を切った燕麦を芽生え始めさせて、芽生え始めた燕麦を得て、芽生え始めるプロセス条件は、温度38℃、湿度80%、時間8hであるステップ、
(3)前記芽生え始めた燕麦を穏やかに薄く広げ、オーブンで低温で乾燥し、条件は、65℃、時間8hであるステップ、
(4)前記低温乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕し、芽生え始めた燕麦粉を得て、粉砕細さは、40メッシュであるステップ、
(5)芽生え始めた燕麦粉の水分を20%まで調整するステップ、
(6)前記ステップ(5)で得られた燕麦粉を押出して膨化させ、押出及び膨化条件は、各領域の温度が80℃、150℃、180℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるステップ、
(7)前記押出及び膨化後の芽生え始めた燕麦粉を超微粉砕機において超微粉砕を行い、粉砕細さは、200メッシュである超微粉砕するステップ、
(8)前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合し、混合粉材料を形成し、水を添加し、押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:2であり、混合粉材料には砂糖、食用油、塩などの調味補助材料も添加され、混合粉材料と砂糖、食用油、塩の質量分率比は、1:0.2:0.125:0.005である粉を調和するステップ、
(9)前記混合粉材料を1部の混合粉材料に3.5部の熱湯を添加する比率に応じて熱湯で混合して均一に撹拌する混合して撹拌するステップ、
(10)プレス成形するステップ、
(11)室温条件下で超高圧滅菌し、超高圧滅菌の条件は、圧力400MPa、圧力維持時間20min、圧力解放時間2sであるステップ、
(12)離型して包装するステップを含む。
【0043】
実施例3
食物繊維が豊富な低フィチン酸ジャガイモ燕麦菓子の作り方は、
(1)精選した燕麦を室温で洗浄して36h浸漬するステップ、
(2)前記浸漬した後に水を切った燕麦を芽生え始めさせて、芽生え始めた燕麦を得て、芽生え始めるプロセス条件は、温度30℃、湿度95%、時間12hであるステップ、
(3)前記芽生え始めた燕麦を穏やかに薄く広げ、オーブンで低温で乾燥し、条件は、45℃、時間24hであるステップ、
(4)前記低温乾燥後の芽生え始めた燕麦を粉砕し、芽生え始めた燕麦粉を得て、粉砕細さは、60メッシュであるステップ、
(5)前記芽生え始めた燕麦粉の水分を32%まで調整するステップ、
(6)前記ステップ(5)で得られた燕麦粉を押出して膨化させて、膨化条件は、各領域の温度が85℃、160℃、200℃、100℃、ネジ回転速度が50r/min、フィーダー回転速度が20r/minであるステップ、
(7)前記押出及び膨化後の芽生え始めた燕麦粉を超微粉砕機において超微粉砕を行い、粉砕細さは、180メッシュである超微粉砕するステップ、
(8)前記押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉を混合し、混合粉材料を形成し、水を添加し、押出芽生え燕麦粉とジャガイモ全粉の質量比は1:1であり、混合粉材料には砂糖、食用油、塩などの調味補助材料も添加され、混合粉材料と砂糖、食用油、塩の質量分率比は、1:0.2:0.125:0.005である粉を調和するステップ、
(9)前記混合粉材料を1部の混合粉材料に2.83部の熱湯を添加する比率に応じて熱湯で混合して均一に撹拌する混合して撹拌するステップ、
(10)プレス成形するステップ、
(11)室温条件下で超高圧滅菌し、超高圧滅菌の条件は、圧力550MPa、圧力維持時間15min、圧力解放時間1sであるステップ、
(12)離型して包装するステップを含む。
【0044】
上記各実施例では、異なる段階でのフィチン酸の含有量を測定したと、具体的な数値は、下表1に示すように、フィチン酸の含有量が大幅に減少していることがわかった。ここで、生の燕麦はステップ(1)に精選された後の燕麦であり、芽生えた後の燕麦はステップ(2)で芽生え始めた後に得られた燕麦であり、押出した後の燕麦粉は芽生えを行わず、直接押出して膨化した後の燕麦粉であり、芽生えて押出された全穀物粉はステップ(7)で得られた超微粉砕後の燕麦粉であった。
【0045】
【0046】
上記の実施例は、本発明に対して詳細に説明するが、それらは、すべての実施例ではなく、本発明の実施例の一部にすぎず、人々はまた、創造的な労働しなくても、この実施例に基づく他の実施例を得ることができ、これらの実施例はすべて、本発明の保護範囲に属する。
【国際調査報告】