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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】機能的微生物コンソーシアムの作製
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/06 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
C12Q1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558664
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 US2021062279
(87)【国際公開番号】W WO2022125591
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,889
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523216355
【氏名又は名称】プルトン・バイオサイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スレーター,スティーブン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドマン,バリー・エス
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ,ベンジャミン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ガギスバーグ,アン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン,ダイアナ・エル
(72)【発明者】
【氏名】アデュ-オポング,ボアヘマー
(72)【発明者】
【氏名】ナージンスキー,カーク・ディー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA05
4B063QQ05
(57)【要約】
標的とされた機能を有する微生物を特定及び単離することに関する技術、特に、但し、これらに限定されないが、指定の機能を提供する個々の微生物又は微生物コンソーシアムをスクリーニング及び/又は選択するための方法、組成物及びシステムに関する技術が本明細書において提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物バイオマイニングのための、有機物を含む複数の環境試料を得ること、
前記複数の環境試料を混合して、混合された環境試料の組み合わせとすること、
試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、前記混合された環境試料の特定の混合された環境試料を選択すること、
1つ以上の環境条件を含む環境において、選択された前記特定の混合された環境試料を培養すること、及び
前記特定の混合された環境試料が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記特定の混合された環境試料の対応する微生物コンソーシアム中に存在する微生物に対する特定情報を得ること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記特定の混合された環境試料が不成功な微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、追加の混合された環境試料を選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、前記混合された環境試料の追加の混合された環境試料を選択すること、
1つ以上の環境条件を含む環境において、選択された前記追加の混合された環境試料を培養すること、及び
前記追加の混合された環境試料が追加の成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記追加の混合された環境試料の追加の対応する微生物コンソーシアム中に存在する追加の微生物に対する追加の特定情報を得ること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記特定の混合された環境試料の対応する微生物コンソーシアムを培養して微生物培養物にすること、
1つ以上の環境条件を含む環境において、前記微生物培養物の選択された培養物部分を増殖させること、及び
前記選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記選択された培養物部分の追加の対応する微生物コンソーシアム中に存在する追加の微生物に対する追加の特定情報を得ること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記培養物部分が不成功な微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、試験のために、微生物培養物の追加の培養物部分を選択することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の環境条件を含む環境において、前記微生物培養物の追加の選択された培養物部分を増殖させること、及び
前記選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記追加の選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記追加の選択された培養物部分のさらなる対応する微生物コンソーシアム中に存在するさらなる微生物に対するさらなる特定情報を得ること、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記特定情報及び前記追加の特定情報を含む訓練データに基づいて機械学習モデルを生成することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記機械学習モデルが、前記複数の環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記複数の環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、並びに前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること、及び/又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうち少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の変数値が、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、1つ以上の環境試料特性又は1つ以上の変数のうちの少なくとも1つを含み得る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の環境特性が、環境源の場所及び環境組成を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記機械学習モデルが、1つ以上の、環境試料変数値及び微生物変数値を1つ以上の変数値とさらに相関させ、前記1つ以上の変数値が、少なくとも、バイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COが前記バイオマスによって隔離される時間の量、前記バイオマスによる窒素固定の絶対量、固定された窒素の絶対量に対する前記バイオマスの質量比、CO隔離から得られる総利益、前記バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比又は前記バイオマスによってCOが隔離される時間の量を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の環境条件が、特定の濃度のN気体、特定の濃度のCO気体、1つ以上の特定の栄養素の利用可能性、1つ以上の特定の塩の利用可能性又は1つ以上の特定の添加物の利用可能性のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の変数測定値が、炭素隔離の増加、窒素固定の増加、バイオマスの増加又は特定の生存時間を満たすことができる微生物を有することを示す変数測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
1つ以上の変数測定値の各変数測定値が対応する変数測定値閾値を少なくとも満たした場合に、成功した微生物バイオマイニング結果がもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
微生物の前記特定情報が、前記微生物のDNAバイオマーカーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
1つ以上の微生物の特定情報を含む訓練データに基づいて、複数の環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記複数の環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成すること、
1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、
前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうちの少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、
を含む動作を、実行時に1つ以上のプロセッサに実行させるコンピュータ実行可能な命令を記憶する、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記1つ以上の変数値が、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、1つ以上の環境試料特性又は1つ以上の変数のうちの少なくとも1つを含み得る、請求項17に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記機械学習モデルが、1つ以上の、環境試料変数値及び微生物変数値を1つ以上の変数値とさらに相関させ、前記1つ以上の変数値が、少なくとも、バイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COが前記バイオマスによって隔離される時間の量、前記バイオマスによる窒素固定の絶対量、固定された窒素の絶対量に対する前記バイオマスの質量比、CO隔離から得られる総利益、前記バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比又は前記バイオマスによってCOが隔離される時間の量を含む、請求項17に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
コンピューティング装置であって、
1つ以上のプロセッサと、
複数の動作を実行するために、前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な複数のコンピュータ実行可能コンポーネントを含むメモリと、
を備え、前記複数の動作は、
1つ以上の微生物の特定情報を含む訓練データに基づいて、複数の環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記複数の環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成すること、
1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、
前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうちの少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、
を含む、コンピューティング装置。
【請求項21】
微生物バイオマイニングのための、有機物を含む環境試料を得ること、
前記環境試料を均質化して入力試料を作製すること、
1つ以上の環境条件を含む環境において、前記入力試料を培養すること、及び
前記入力試料が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記入力試料の対応する微生物コンソーシアム中に存在する微生物に対する特定情報を得ること、
を含む、方法。
【請求項22】
前記入力試料が不成功な微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、第2の入力試料を作製することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、第2の入力試料を作製すること、
1つ以上の環境条件を含む環境において、選択された前記第2の入力試料を培養すること、及び
前記第2の入力試料が追加の成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記第2の入力試料の第2の対応する微生物コンソーシアム中に存在する追加の微生物に対する追加の特定情報を得ること、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記入力試料の前記対応する微生物コンソーシアムを培養して微生物培養物にすること、
1つ以上の環境条件を含む環境において、前記微生物培養物の選択された培養物部分を増殖させること、及び
前記選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記選択された培養物部分の追加の対応する微生物コンソーシアム中に存在する追加の微生物に対する追加の特定情報を得ること、
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記培養物部分が不成功な微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、試験のために、微生物培養物の追加の培養物部分を選択することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上の環境条件を含む環境において、前記微生物培養物の追加の選択された培養物部分を増殖させること、及び
前記選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記追加の選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記追加の選択された培養物部分のさらなる対応する微生物コンソーシアム中に存在するさらなる微生物に対するさらなる特定情報を得ること、
をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記特定情報及び前記追加の特定情報を含む訓練データに基づいて機械学習モデルを生成することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記機械学習モデルが、前記環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、
並びに前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること、及び/又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうち少なくとも1つを行うために、機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、
をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上の変数値が、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、1つ以上の環境試料特性及び/又は1つ以上の変数のうちの少なくとも1つを含み得る、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上の環境特性が、環境源の場所及び環境組成を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記機械学習モデルが、1つ以上の、環境試料変数値及び微生物変数値を1つ以上の変数値とさらに相関させ、前記1つ以上の変数値が、少なくとも、バイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COが前記バイオマスによって隔離される時間の量、前記バイオマスによる窒素固定の絶対量、固定された窒素の絶対量に対する前記バイオマスの質量比、CO隔離から得られる総利益、前記バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比又は前記バイオマスによってCOが隔離される時間の量を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上の環境条件が、特定の濃度のN気体、特定の濃度のCO気体、1つ以上の特定の栄養素の利用可能性、1つ以上の特定の塩の利用可能性又は1つ以上の特定の添加物の利用可能性のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上の変数測定値が、炭素隔離の増加、窒素固定の増加、バイオマスの増加又は特定の生存時間を満たすことができる微生物を有することを示す変数測定値を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
1つ以上の変数測定値の各変数測定値が対応する変数測定値閾値を少なくとも満たした場合に、成功した微生物バイオマイニング結果がもたらされる、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記微生物の特定情報が、前記微生物のDNAバイオマーカーを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
1つ以上の微生物の特定情報を含む訓練データに基づいて、環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成すること、
1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、
前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること及び/又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうちの少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、
を含む動作を、実行時に1つ以上のプロセッサに実行させるコンピュータ実行可能な命令を記憶する、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項38】
前記1つ以上の変数値が、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、1つ以上の環境試料特性又は1つ以上の変数のうちの少なくとも1つを含み得る、請求項37に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項39】
前記機械学習モデルが、1つ以上の、環境試料変数値及び微生物変数値を1つ以上の変数値とさらに相関させ、前記1つ以上の変数値が、少なくとも、バイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COが前記バイオマスによって隔離される時間の量、前記バイオマスによる窒素固定の絶対量、固定された窒素の絶対量に対する前記バイオマスの質量比、CO隔離から得られる総利益、前記バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比又は前記バイオマスによってCOが隔離される時間の量を含む、請求項37に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項40】
コンピューティング装置であって、
1つ以上のプロセッサと、
複数の動作を実行するために、前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な複数のコンピュータ実行可能コンポーネントを含むメモリと、
を備え、前記複数の動作は、
1つ以上の微生物の特定情報を含む訓練データに基づいて、環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成すること、
1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、
前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること及び/又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうちの少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、
を含む、コンピューティング装置。
【請求項41】
指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを作製するための方法であって、
複数の微生物を含む試料を提供すること、
第1の培養物を提供するために、第1の体積の増殖培地に前記試料の一部を接種すること、
一連の選択的条件下で前記第1の培養物を増殖させること、
前記第1の培養物中の微生物の第1の分類学的分類を生成すること、
第2の培養物を提供するために、第2の体積の前記増殖培地に前記第1の培養物の一部を接種すること、
前記一連の選択的条件下で前記第2の培養物を増殖させること、
前記第2の培養物中の微生物の第2の分類学的分類を生成すること、
前記第2の分類学的分類及び前記第1の分類学的分類を使用して、前記第1の培養物に対する前記第2の培養物の微生物群集安定性の尺度を導出すること、
を含む、方法。
【請求項42】
指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを作製するための方法であって、
a)複数の微生物を含む試料を提供すること、
b)第Nの培養物を提供するために、第Nの体積の増殖培地に前記試料の一部を接種すること、
c)一連の選択的条件下で前記第Nの培養物を増殖させること、
d)前記第Nの培養物中の微生物の第Nの分類学的分類を生成すること、
e)第N+1の体積の前記増殖培地に前記第Nの培養物の一部を接種すること、
f)前記一連の選択的条件下で第N+1の培養物を増殖させること、
g)前記第N+1の培養物中の微生物の第N+1の分類学的分類を生成すること、
h)前記第N+1の分類学的分類及び前記第Nの分類学的分類を使用して、前記第Nの培養物に対する前記第N+1の培養物の微生物群集安定性の尺度を導出すること、
i)微生物群集安定性の前記尺度がプラトー値に達するまで、前記第N+1の培養物を前記第Nの培養物として機能させて、工程(e)~(h)を反復して繰り返すこと、並びに
j)指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを含むものとして安定な第N+1の培養物を提供すること、
を含む、方法。
【請求項43】
前記試料が、環境試料である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記環境試料が、土壌又は水試料である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記増殖培地及び/又は選択的条件が、前記指定された機能について選択する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記分類学的分類を生成することが、培養物についてのメタゲノムヌクレオチド配列データを得ること、及び前記メタゲノムヌクレオチド配列データの分析を使用して前記培養物中に存在する分類単位を特定することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記微生物コンソーシアムが、少なくとも2、3、4、5又は6である分類単位の数を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
微生物コンソーシアムの分類単位の前記数より少ない分類単位の数を有する微生物群集が、前記指定された機能を実行しない、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記分類単位の任意の1つのみが、前記指定された機能を実行しない、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記微生物群集安定性の尺度が、豊富度、多様性、存在量及び/又はメンバーシップの尺度を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記増殖が、指数期の終わりまでの増殖について経験的に決定された時間にわたって起こる、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記第N又は第N+1の培養物の増殖速度を測定することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項53】
前記増殖速度が、細胞質量を時間の関数として測定することによって決定される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記分類単位の少なくとも1つが、前記選択的条件下において前記培養培地中で純粋な培養物として増殖しない、請求項57に記載の方法。
【請求項55】
少なくとも2であり、かつ、前記微生物コンソーシアムの分類単位の数より少ない分類単位の数を含む微生物群集が、前記選択的条件下において前記培養培地中で増殖しない、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月8日に出願された米国仮特許出願第63/122,889号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
標的とされた機能を有する微生物を特定及び単離することに関する技術、特に、但し、これらに限定されないが、指定の機能を提供する個々の微生物又は微生物コンソーシアムをスクリーニング及び/又は選択するための方法、組成物及びシステムに関する技術が本明細書において提供される。
【背景技術】
【0003】
様々な植物相及び/又は動物相が、バイオームと呼ばれる局所的な自立した生態系中に存在し、相互作用し得る。植物相及び/又は動物相の群集を含むバイオームの活動は、局所的な環境又は生態系に影響を及ぼし得る。特定の環境では、植物相及び/又は動物相は微生物を含み得る。物理的サイズは小さいが、環境中の微生物の活動は多大な効果を有し得る。例えば、閉鎖環境において糖の状況下で活動する酵母は、閉鎖系内で、それ以上のアルコールが生成され得ない点までアルコールを生成し得る。これは、糖の枯渇を通じて又はさらなるアルコールの生成を妨げるアルコールの量を通じて起こり得る。より大きな規模では、バイオーム内の植物相及び/又は動物相の活動は、局所的な生態系を超える地球規模の影響を生じ得る。例えば、とりわけ、Rothschild及びMancinelliは、微生物マット及びストロマトライトがCO固定に寄与し、カンブリア時代に地球の大気中のCOの量を大幅に低下させたという仮説を立てている。
【0004】
環境変数に対する影響を最適化するために、単一の動物相又は植物相の活動を探索するのみならず、互いに協調した動物相及び/又は植物相の活動を探索することが望まれている。しかしながら、微生物生物を特定及び/又は単離するための従来の技術は、個々の単離された微生物の特定の表現型に焦点を当てており、ほとんどの従来の技術は非効率的で遅い。したがって、環境又は生態系に対する影響に関連する変数を最適化するために微生物コンソーシアムをスクリーニングすることが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
「バイオマイニング」という用語は、例えば生物のスクリーニング及び/又は選択を含む方法を使用して、所定の基準を満たす生物を探索することを指す。本文脈において、本明細書で使用される「バイオマイニング」という用語は、金属を抽出するための生物の使用を記述する他の分野における本用語の使用と混同されるべきではない。バイオマイニングの従来の方法は、既知の望ましい特性を有する一連の既知の生物、例えば微生物から始まる過程である。新しい微生物が既知の生物と類似性を有する場合に、例えば、微生物が既知の微生物の最初の群と類似する表現型を有する場合に、微生物の新しい群が特定される。次いで、新しい群は特定の用途について試験される。例えば、農業においては、標的種は、被覆作物に使用されているマメ科植物であり得、用途は、マメ科植物の茎での窒素の固定である。
【0006】
対照的に、本明細書で提供される技術は、バイオマイニング過程が上記の従来のバイオマイニングとは逆になっている「用途特異的バイオマイニング」に関する。特に、従来のバイオマイニングにおけるように既知の微生物の群から開始する代わりに、本明細書に記載される用途特異的バイオマイニングは、例えば標的を機能的に修飾する(例えば、改善する)ために、微生物の適用を受けるべき標的(例えば、種、環境、生態系など)を特定する。次いで、標的は、既知又は未知であり得る多数の利用可能な微生物を含む微生物集団の群に対して試験される。いくつかの例では、微生物集団の群は、試験の前に、最小限の事前フィルタリング又は事前選択を受け得る。文脈が、「バイオマイニング」という用語が従来のバイオマイニングを指すことを明確に示さない限り、本明細書で使用される場合、「バイオマイニング」という用語は、上で及び本明細書で記載される「用途特異的バイオマイニング」を指す。
【0007】
例えば、様々な実施形態において、微生物集団の群全体からの微生物集団の群が培養され、試験のために標的種に適用される。試験に対して適用される微生物集団の群は、微生物集団全体の一部を含み得る。微生物集団の群に対する1つ以上の試験が、試験されている1つ以上の変数に関して所望の結果への傾向を示す場合には、微生物集団の群は選択及び継代培養され、それにより、所望の結果を引き起こす可能性が最も高い微生物集団を増殖させることに重点を置く。この過程は、所望の原因生物が特定及び単離されるまで反復され得る。
【0008】
用途中心のバイオマイニングには多くの利点が存在する。第1に、従来のバイオマイニングは既知の微生物から始まり、体系的な試験操作ではなく気付かれた「類似性」に基づいて、新しい微生物が分析のために追加される。多くの場合、個々の微生物は、標的に対して実質的な所望の効果を引き起こさないことがあり得、むしろ「微生物コンソーシアム」として知られる、協調して作用する2つ以上の微生物を含む群が所望の効果を引き起こす。したがって、微生物の予め選択された群から開始することにより、従来のバイオマイニングを使用する研究者は、他の微生物と協調して所望の効果を提供する微生物を不注意に除外することがあり得る。
【0009】
対照的に、本明細書で提供される用途中心のバイオマイニングの実施形態は、達成されるべき用途及び/又は機能的結果、例えば、試験されている(1つ以上の)変数を観察することによって測定される所望の効果に焦点を当てる。したがって、類似の表現型を有する微生物が類似の所望の結果を引き起こすという潜在的に不備のある仮定は、低減又は排除される。別の利点は、用途特異的バイオマイニングでは、スクリーニング過程がはるかに速く、より効率的であり得ることである。例えば、ある比較試験では、用途特異的バイオマイニングを使用して所望の微生物コンソーシアムを発見するのに必要とされる時間の量は、1/8の人員を使用して半分に短縮され(例えば、人時の16分の1への低下)、これに対応して従来のバイオマイニングと比較してコストが削減された。
【0010】
したがって、微生物バイオマイニングのための、有機物を含む複数の環境試料を得ること、前記複数の環境試料を混合して、混合された環境試料の組み合わせとすること、試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、前記混合された環境試料の特定の混合された環境試料を選択すること、1つ以上の環境条件を含む環境において、選択された前記特定の混合された環境試料を培養すること、及び前記特定の混合された環境試料が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記特定の混合された環境試料の対応する微生物コンソーシアム中に存在する微生物に対する特定情報を得ること、を含む、方法の実施形態が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、方法は、特定の混合された環境試料が不成功な微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、追加の混合された環境試料を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、混合された環境試料の追加の混合された環境試料を選択すること、1つ以上の環境条件を含む環境において、選択された前記追加の混合された環境試料を培養すること、及び前記追加の混合された環境試料が追加の成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記追加の混合された環境試料の追加の対応する微生物コンソーシアム中に存在する追加の微生物に対する追加の特定情報を得ることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、特定の混合された環境試料の対応する微生物コンソーシアムを培養して微生物培養物にすること、1つ以上の環境条件を含む環境において、前記微生物培養物の選択された培養物部分を増殖させること、及び前記選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記選択された培養物部分の追加の対応する微生物コンソーシアム中に存在する追加の微生物に対する追加の特定情報を得ることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、培養物部分が不成功な微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、試験のために、微生物培養物の追加の培養物部分を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の環境条件を含む環境において、微生物培養物の追加の選択された培養物部分を増殖させること、及び選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記追加の選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記追加の選択された培養物部分のさらなる対応する微生物コンソーシアム中に存在するさらなる微生物に対するさらなる特定情報を得ることをさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、方法は、特定情報及び追加の特定情報を含む訓練データに基づいて機械学習モデルを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、複数の環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記複数の環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる。いくつかの実施形態において、前記方法は、1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、並びに前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること、又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうち少なくとも1つを行うために、機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用することをさらに含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の変数値は、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、1つ以上の環境試料特性又は1つ以上の変数(例えば、1つ以上の気候変動変数)のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の環境特性は、環境源の場所及び環境組成を含む。いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、1つ以上の、環境試料変数値及び微生物変数値を1つ以上の変数(例えば、気候変動変数値)とさらに相関させ、1つ以上の変数値(例えば、気候変動変数値)は、少なくとも、バイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COが前記バイオマスによって隔離される時間の量、前記バイオマスによる窒素固定の絶対量、固定された窒素の絶対量に対する前記バイオマスの質量比、CO隔離から得られる総利益、前記バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比又は前記バイオマスによってCOが隔離される時間の量を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の環境条件は、特定の濃度のN気体、特定の濃度のCO気体、1つ以上の特定の栄養素の利用可能性、1つ以上の特定の塩の利用可能性又は1つ以上の特定の添加物の利用可能性のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の変数測定値は、炭素隔離の増加、窒素固定の増加、バイオマスの増加又は特定の生存時間を満たすことができる微生物を有することを示す変数測定値を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の変数測定値の各変数測定値が対応する変数測定値閾値を少なくとも満たした場合に、成功した微生物バイオマイニング結果がもたらされる。いくつかの実施形態において、微生物の特定情報は、前記微生物のDNAバイオマーカーを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本技術は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つ以上の微生物の特定情報を含む訓練データに基づいて、複数の環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記複数の環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成すること、1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうちの少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、を含む動作を実行時に1つ以上のプロセッサに実行させるコンピュータ実行可能な命令を記憶する、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上の変数値は、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、1つ以上の環境試料特性又は1つ以上の変数(例えば、気候変動変数)のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、1つ以上の、環境試料変数値及び微生物変数値を1つ以上の変数値(例えば、気候変動変数値)とさらに相関させ、前記1つ以上の変数値(例えば、気候変動変数値)は、少なくとも、バイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COが前記バイオマスによって隔離される時間の量、前記バイオマスによる窒素固定の絶対量、固定された窒素の絶対量に対する前記バイオマスの質量比、CO隔離から得られる総利益、前記バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比又は前記バイオマスによってCOが隔離される時間の量を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、本技術は、コンピューティング装置であって、1つ以上のプロセッサと、及び複数の動作を実行するために、前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な複数のコンピュータ実行可能コンポーネントを含むメモリと、を備え、前記複数の動作は、1つ以上の微生物の特定情報を含む訓練データに基づいて、複数の環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記複数の環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成すること、1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうちの少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、を含む、コンピューティング装置を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態において、本技術は、微生物バイオマイニングのための、有機物を含む環境試料を得ること、前記環境試料を均質化して入力試料を作製すること、1つ以上の環境条件を含む環境において、前記入力試料を培養すること、及び前記入力試料が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記入力試料の対応する微生物コンソーシアム中に存在する微生物に対する特定情報を得ること、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、微生物バイオマイニングのための、有機物を含む複数の環境試料を得ること、複数の入力試料を作製するために各環境試料を均質化すること、及び前記複数の入力試料から入力試料を選択すること、を含む。いくつかの実施形態において、方法は、入力試料が不成功な微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、第2の入力試料を作製することをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、方法は、試験のための1つ以上の選択基準に基づいて、第2の入力試料を作製すること、1つ以上の環境条件を含む環境において、選択された前記第2の入力試料を培養すること、及び前記第2の入力試料が追加の成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記培養することから得られた1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記第2の入力試料の第2の対応する微生物コンソーシアム中に存在する追加の微生物に対する追加の特定情報を得ること、をさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、入力試料の対応する微生物コンソーシアムを培養して微生物培養物にすること、1つ以上の環境条件を含む環境において、前記微生物培養物の選択された培養物部分を増殖させること、及び前記選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記選択された培養物部分の追加の対応する微生物コンソーシアム中に存在する追加の微生物に対する追加の特定情報を得ること、をさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、培養物部分が不成功な微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、試験のために、微生物培養物の追加の培養物部分を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の環境条件を含む環境において、微生物培養物の追加の選択された培養物部分を増殖させること、及び選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果をもたらしたことを前記追加の選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて決定することに応じて、前記追加の選択された培養物部分のさらなる対応する微生物コンソーシアム中に存在するさらなる微生物に対するさらなる特定情報を得ることをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法は、特定情報及び追加の特定情報を含む訓練データに基づいて機械学習モデルを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる。いくつかの実施形態において、方法は、1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、並びに前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること、及び/又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうち少なくとも1つを行うために、機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用することをさらに含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の変数値は、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、1つ以上の環境試料特性及び/又は1つ以上の変数のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の環境特性は、環境源の場所及び環境組成を含む。いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、1つ以上の、環境試料変数値及び微生物変数値を1つ以上の変数値とさらに相関させ、前記1つ以上の変数値は、少なくとも、バイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COが前記バイオマスによって隔離される時間の量、前記バイオマスによる窒素固定の絶対量、固定された窒素の絶対量に対する前記バイオマスの質量比、CO隔離から得られる総利益、前記バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比又は前記バイオマスによってCOが隔離される時間の量を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の環境条件は、特定の濃度のN気体、特定の濃度のCO気体、1つ以上の特定の栄養素の利用可能性、1つ以上の特定の塩の利用可能性又は1つ以上の特定の添加物の利用可能性のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の変数測定値は、炭素隔離の増加、窒素固定の増加、バイオマスの増加又は特定の生存時間を満たすことができる微生物を有することを示す変数測定値を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の変数測定値の各変数測定値が対応する変数測定値閾値を少なくとも満たした場合に、成功した微生物バイオマイニング結果がもたらされる。いくつかの実施形態において、微生物の特定情報は、前記微生物のDNAバイオマーカーを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本技術は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つ以上の微生物の特定情報を含む訓練データに基づいて、環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成すること、1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること及び/又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうちの少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、を含む動作を実行時に1つ以上のプロセッサに実行させるコンピュータ実行可能な命令を記憶する、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上の変数値は、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、1つ以上の環境試料特性又は1つ以上の変数のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、1つ以上の、環境試料変数値及び微生物変数値を1つ以上の変数値とさらに相関させ、前記1つ以上の変数値は、少なくとも、バイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COが前記バイオマスによって隔離される時間の量、前記バイオマスによる窒素固定の絶対量、固定された窒素の絶対量に対する前記バイオマスの質量比、CO隔離から得られる総利益、前記バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比又は前記バイオマスによってCOが隔離される時間の量を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、本技術は、コンピューティング装置であって、1つ以上のプロセッサと、及び複数の動作を実行するために、前記1つ以上のプロセッサによって実行可能な複数のコンピュータ実行可能コンポーネントを含むメモリと、を備え、前記複数の動作は、1つ以上の微生物の特定情報を含む訓練データに基づいて、環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、前記環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成すること、1つ以上の変数値に関する情報の要求を受け取ること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定すること、前記1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定すること及び/又は前記1つ以上の変数値と関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定することのうちの少なくとも1つを行うために、前記機械学習モデルを前記1つ以上の変数値に適用すること、を含む、コンピューティング装置を提供する。
【0019】
さらに、いくつかの実施形態において、本技術は、指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを作製するための方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、方法は、複数の微生物を含む試料を提供すること、第1の培養物を提供するために、第1の体積の増殖培地に前記試料の一部を接種すること、一連の選択的条件下で前記第1の培養物を増殖させること、前記第1の培養物中の微生物の第1の分類学的分類を生成すること、第2の培養物を提供するために、第2の体積の前記増殖培地に前記第1の培養物の一部を接種すること、前記一連の選択的条件下で前記第2の培養物を増殖させること、前記第2の培養物中の微生物の第2の分類学的分類を生成すること、及び前記第2の分類学的分類及び前記第1の分類学的分類を使用して、前記第1の培養物に対する前記第2の培養物の微生物群集安定性の尺度を導出すること、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、本技術は、監視される測定された特性が指定された値に達する及び/又はプラトーに達するまで工程が繰り返される反復及び/又は再帰的方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、本技術は、指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを作製するための方法であって、複数の微生物を含む試料を提供すること、第Nの培養物を提供するために、第Nの体積の増殖培地に前記試料の一部を接種すること、一連の選択的条件下で前記第Nの培養物を増殖させること、前記第Nの培養物中の微生物の第Nの分類学的分類を生成すること、第N+1の体積の前記増殖培地に前記第Nの培養物の一部を接種すること、前記一連の選択的条件下で第N+1の培養物を増殖させること、前記第N+1の培養物中の微生物の第N+1の分類学的分類を生成すること、前記第N+1の分類学的分類及び前記第Nの分類学的分類を使用して、前記第Nの培養物に対する前記第N+1の培養物の微生物群集安定性の尺度を導出すること、微生物群集安定性の前記尺度がプラトー値に達するまで、前記第N+1の培養物を前記第Nの培養物として機能させて、第N+1の体積の前記増殖培地に前記第Nの培養物の一部を接種すること、前記一連の選択的条件下で前記第N+1の培養物を増殖させること、前記第N+1の培養物中の微生物の第N+1の分類学的分類を生成すること、及び前記第N+1の分類学的分類及び前記第Nの分類学的分類を使用して、前記第Nの培養物に対する前記第N+1の培養物の微生物群集安定性の尺度を導出することという工程を反復して繰り返すこと、並びに指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを含むものとして安定な第N+1の培養物を提供すること、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、試料は環境試料である。いくつかの実施形態において、環境試料は土壌又は水試料である。いくつかの実施形態において、増殖培地及び/又は選択的条件が、指定された機能について選択する。いくつかの実施形態において、分類学的分類を生成することは、培養物についてのメタゲノムヌクレオチド配列データを得ること、及び前記メタゲノムヌクレオチド配列データの分析を使用して前記培養物中に存在する分類単位を特定することを含む。いくつかの実施形態において、微生物コンソーシアムは、少なくとも2、3、4、5又は6である分類単位の数を含む。いくつかの実施形態において、微生物コンソーシアムの分類単位の数より少ない分類単位の数を有する微生物群集は、指定された機能を実行しない。いくつかの実施形態において、分類単位の任意の1つのみが、指定された機能を実行しない。いくつかの実施形態において、微生物群集安定性の尺度は、豊富度、多様性、存在量及び/又はメンバーシップの尺度を含む。いくつかの実施形態において、増殖は、指数期の終わりまでの増殖について経験的に決定された時間にわたって起こる。いくつかの実施形態において、前記方法は、第N又は第N+1の培養物の増殖速度を測定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、増殖速度は、細胞質量を時間の関数として測定することによって決定される。いくつかの実施形態において、分類単位の少なくとも1つは、選択的条件下において培養培地中で純粋な培養物として増殖しない。いくつかの実施形態において、少なくとも2であり、及び微生物コンソーシアムの分類単位の数より少ない分類単位の数を含む微生物群集が、選択的条件下において培養培地中で増殖しない。
【0021】
本明細書のいくつかの部分は、情報に対する操作のアルゴリズム及び記号的表現の観点で本技術の実施形態を記述する。これらのアルゴリズムの記述及び表現は、データ処理分野の当業者によって、彼らの作業の実体を他の当業者に効果的に伝えるために一般的に使用される。これらの操作は、機能的、計算的又は論理的に記述されているが、コンピュータプログラム又は同等の電気回路、マイクロコードなどによって実行されることが理解される。さらに、一般性を失うことなしに、操作のこれらの配置をモジュールとして表すことが時に都合がよいことも明らかとなっている。記載された操作及びそれらの関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はこれらの任意の組み合わせで具現化され得る。
【0022】
本明細書に記載されているある工程、操作又は過程は、単独で又は他の装置と組み合わせて、1つ以上のハードウェア又はソフトウェアモジュールによって実行又は実施され得る。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは、記載された任意の又は全ての工程、操作又は過程を実行するためにコンピュータプロセッサによって実行され得るコンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品によって実施される。
【0023】
いくつかの実施形態において、システムは、仮想的に(例えば、クラウドコンピューティングリソースとして)提供されるコンピュータ及び/又はデータストレージを備える。特定の実施形態において、本技術は、本明細書に記載されているように、コンポーネントを備える及び/又はコンピュータの機能を実行する仮想コンピュータシステムを提供するためにクラウドコンピューティングの使用を含む。したがって、いくつかの実施形態において、クラウドコンピューティングは、ネットワークを通じて及び/又はインターネットを介して、本明細書に記載されているようなインフラストラクチャ、アプリケーション及びソフトウェアを提供する。いくつかの実施形態において、コンピューティングリソース(例えば、データ解析、計算、データ記憶、アプリケーションプログラム、ファイル記憶など)は、ネットワーク(例えば、インターネット;及び/又はセルラーネットワーク)を介して遠隔に提供される。
【0024】
本技術の実施形態は、ここでの操作を実行するための機器にも関し得る。この機器は、必要とされる目的のために特別に構築され得、及び/又はコンピュータ内に記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動若しくは再構成される汎用コンピューティング装置を備え得る。このようなコンピュータプログラムは、非一時的で有形のコンピュータ可読記憶媒体又はコンピュータシステムバスに連結され得る、電子的命令を記憶するのに適した任意の種類の媒体中に記憶され得る。さらに、本明細書において言及される任意のコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含み得、又は増大された計算能力のために複数のプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであり得る。
【0025】
本明細書に含まれる教示に基づいて、さらなる実施形態が当業者には明らかであろう。
【0026】
本技術のこれら及びその他の特徴、態様及び利点は、以下の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、用途中心の微生物スクリーニングのための例示的な環境を例示する。
図2図2は、用途中心の微生物スクリーニングに関する機械学習技術の使用を支える1つ以上の例示的なコンピューティング装置の様々なコンポーネントを示すブロック図である。
図3a図3aは、用途中心の微生物スクリーニングを実施するための例示的な過程のフロー図を例示する。
図3b】3bは、用途中心の微生物スクリーニングを実施するための例示的な過程のフロー図を例示する。
図4図4は、微生物種及び1つ以上の変数に関連するその他の情報を特定するために機械学習技術を使用するための例示的な過程のフロー図である。
図5図5は、指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを作製するための例示的な過程のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面は必ずしも原寸に比例して描かれているわけではなく、図面内の物体は互いとの関係で必ずしも原寸に比例して描かれているわけではないことを理解すべきである。図面は、本明細書に開示される機器、システム及び方法の様々な実施形態に明瞭さ及び理解をもたらすことを意図した描写である。可能な限り、同一又は同様の部分を指すために図面全体を通して同じ参照番号が使用される。さらに、図面は、本教示の範囲を限定することを決して意図するものではないことが理解されるべきである。
【0029】
標的とされた機能を有する微生物を特定及び単離することに関する技術、特に、但し、これらに限定されないが、指定の機能を提供する個々の微生物又は微生物コンソーシアムをスクリーニング及び/又は選択するための方法、組成物及びシステムに関する技術が本明細書において提供される。
【0030】
様々な実施形態のこの詳細な説明では、説明の目的で、開示された実施形態の完全な理解を提供するために数多くの具体的な細部が記載されている。しかしながら、当業者は、これらの具体的な細部あり又はなしに、これらの様々な実施形態が実施され得ることを理解するであろう。他の例では、構造及び装置がブロック図形式で示されている。さらに、当業者は、方法が提示及び実施されている具体的な順序は例示的なものであることを容易に理解することができ、順序は変更可能で、本明細書に開示される様々な実施形態の精神及び範囲内になお属し得ることが想定される。
【0031】
特許、特許出願、論文、書籍、論説及びインターネットウェブページを含むがこれらに限定されない、本出願で引用された全ての文献及び同様の資料は、任意の目的のためにその全体が参照により明示的に組み入れられる。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本明細書に記載の様々な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。組み入れられた参考文献中の用語の定義が本教示で提供される定義と異なるように見える場合には、本教示で提供される定義が優先されるものとする。本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的に過ぎず、記載された主題を限定するものと決して解釈されるべきではない。
【0032】
定義
本技術の理解を容易にするために、いくつかの用語及び語句が以下に定義されている。さらなる定義は、詳細な説明を通じて記載されている。
【0033】
明細書及び特許請求の範囲を通じて、以下の用語は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、本明細書において明示的に関連付けられた意味を採用する。本明細書で使用される「一実施形態において」という語句は、同じ実施形態を指し得るが、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、本明細書で使用される「別の実施形態では」という語句は、異なる実施形態を指し得るが、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らない。したがって、以下に記載されるように、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、容易に組み合わされ得る。
【0034】
さらに、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、包括的な「又は」演算子であり、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「及び/又は」という用語と同等である。「に基づく」という用語は排他的ではなく、文脈が明確に別段の指示をしない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを許容する。さらに、本明細書全体を通じて、「a」、「an」及び「the」の意味は、複数の言及を含む。「中(in)」の意味は、「中」及び「上(on)」を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、「実質的に」及び「有意に」という用語は、当業者によって理解され、それらが使用されている文脈である程度変化する。これらの用語が使用される文脈を前提として、当業者に明確でないこれらの用語の使用が存在する場合、「約」及び「およそ」は、当該用語のプラス又はマイナス10%以下を意味し、「実質的に」及び「有意に」は、当該用語のプラス又はマイナス10%超を意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、範囲の開示は、その範囲に対して与えられた端点及び部分範囲を含む、範囲全体内の全ての値及びさらに分割された範囲の開示を含む。本明細書で使用される場合、数的範囲の開示は、端点及びそれらの間に介在する各数字を同じ精度で含む。例えば、6~9の範囲については、6及び9に加えて数字7及び8が企図され、6.0~7.0の範囲については、数字6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明示的に企図される。
【0037】
本明細書で使用される場合、接尾辞「-非含有(-free)」は、「-非含有」が付加される単語の語根の特徴を省略する技術の一実施形態を指す。すなわち、本明細書で使用される「X非含有」という用語は「Xなし」を意味し、Xは「X非含有」技術において省略された技術の特徴である。例えば、「カルシウム非含有」組成物はカルシウムを含まず、「混合非含有」方法は混合工程を含まないなどである。
【0038】
様々な工程、要素、組成物、構成要素、領域、層及び/又は部分を記述するために、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語が本明細書において使用され得るが、特に明記しない限り、これらの工程、要素、組成物、構成要素、領域、層及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある工程、要素、組成物、構成要素、領域、層及び/又は部分を別の工程、要素、組成物、構成要素、領域、層及び/又は部分と区別するために使用される。本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」などの用語及び他の数的用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序又は順番を含意しない。したがって、本明細書で論じられる第1の工程、要素、組成物、構成要素、領域、層又は部分は、技術から逸脱することなく、第2の工程、要素、組成物、構成要素、領域、層又は部分と呼ぶことができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「存在」又は「非存在」(若しくは、「存在する」又は「存在しない」)は、特定の実体(例えば、構成要素、動作、要素)の量又はレベルを記述するために相対的な意味で使用される。例えば、実体が「存在する」と言われる場合、この実体のレベル又は量が所定の閾値を上回ることを意味し、逆に、実体が「存在しない」と言われる場合、この実体のレベル又は量が所定の閾値を下回ることを意味する。所定の閾値は、実体を検出するために使用される特定の試験に関連する検出可能性についての閾値又は任意の他の閾値であり得る。実体が「検出」された場合、実体は「存在」し、実体が「検出されない」場合、実体は「存在しない」。
【0040】
本明細書で使用される場合、「増加」又は「減少」は、変数の以前に測定された値に対する、事前に確立された値に対する、及び/又は標準対照の値に対する、変数の値の検出可能な(例えば、測定される)正又は負の変化をそれぞれ指す。増加は、変数の以前に測定された値、予め確立された値及び/又は標準対照の値に対する、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは50%、さらにより好ましくは2倍、さらにより好ましくは少なくとも5倍、最も好ましくは少なくとも10倍の正の変化である。同様に、減少は、変数の以前に測定された値、予め確立された値及び/又は標準対照の値の、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは50%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の負の変化である。「より多い」又は「より少ない」などの定量的な変化又は差を示す他の用語は、本明細書では上記と同じ様式で使用される。
【0041】
本明細書で使用される場合、「システム」は、共通の目的のために一緒に動作する複数の実在の及び/又は抽象的な構成要素を指す。いくつかの実施形態において、「システム」は、ハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素の統合された集合である。いくつかの実施形態において、システムの各構成要素は、1つ以上の他の構成要素と相互作用し、及び/又は1つ以上の他の構成要素に関連する。いくつかの実施形態において、システムは、方法を制御及び指示するための、構成要素とソフトウェアの組み合わせを指す。例えば、「システム」又は「サブシステム」は、システム又はサブシステムの機能を実行するために、以下のもの:機械装置、ハードウェア、ハードウェアの構成要素、回路、回路構成、論理設計、論理コンポーネント、ソフトウェア、ソフトウェアモジュール、ソフトウェア又はソフトウェアモジュールの構成要素、ソフトウェア手順、ソフトウェア命令、ソフトウェアルーチン、ソフトウェアオブジェクト、ソフトウェア関数、ソフトウェアクラス、ソフトウェアプログラム、ソフトウェアを含むファイルなどのうちの1つ以上又は任意の組み合わせを含み得る。したがって、前記実施形態の方法及び機器又はそのある局面若しくは部分は、フロッピーディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、フラッシュメモリ又は任意の他の機械可読記憶媒体などの有形媒体で具現化されたプログラムコード(例えば、命令)の形態を取り得、プログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされ、実行されると、機械は前記実施形態を実施するための機器になる。プログラム可能なコンピュータ上でプログラムコードを実行する場合、コンピューティング装置は、一般に、プロセッサと、プロセッサによって読み取り可能な記憶媒体(例えば、揮発性及び不揮発性メモリ及び/又は記憶素子)と、少なくとも1つの入力装置と、及び少なくとも1つの出力装置とを含む。1つ以上のプログラムは、例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、再利用可能な制御装置などの使用を通じて、前記実施形態に関連して記載された過程を実施又は利用し得る。このようなプログラムは、コンピュータシステムと通信するために、好ましくは、高水準手続き型又はオブジェクト指向プログラミング言語で実施される。しかしながら、プログラムは、所望であれば、アセンブリ言語又は機械語で実施され得る。いずれの場合でも、言語は、コンパイラ型又はインタプリタ型言語であり得、ハードウェア実装と組み合わされ得る。
【0042】
本明細書に別段の定義がない限り、本技術に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載されている細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学並びにタンパク質及び核酸の化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法及びそれらの技術は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。本技術の方法及び技術は、一般に、別段の指示がなければ、当技術分野で周知の従来の方法に従って、並びに本明細書全体を通して引用及び論述されている様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載されているように実施される。例えば、それらの各々の全体が参照により本明細書に組み入れられる、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2000);Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992 and Supplements to 2000);Ausubel et al.,Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,4th ed.,Wiley&Sons(1999);Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990);Harlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1998);及びT.Kieser et al.,Practical Streptomyces Genetics,John Innes Foundation,Norwich(2000)を参照されたい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「培養可能な生物」という用語は、研究室で維持及び増殖させることができる生物を指す。いくつかの実施形態において、培養可能な生物は、他の生物が存在しない純粋な培養物中では、研究室で維持及び増殖されないことがあり得、そのため、純粋な培養物として増殖することに関して「培養不可能な生物」と呼ばれることがある。しかしながら、いくつかの実施形態において、このような生物は、少なくとも1つの他の生物を含む微生物コンソーシアム中で研究室において増殖され得、したがって、コンソーシアムに関しては「培養可能な生物」であり得、コンソーシアムの他のメンバーなしでの純粋な培養物中で増殖させることに関しては「培養不可能な生物」でもあり得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「選択された環境」、「条件(condition)」又は「条件(conditions)」という用語は、微生物群集の特定の生物又は微生物コンソーシアムが、微生物群集の1つ以上の他の生物又はコンソーシアムより効率的に(例えば、より速く、より高い量又は濃度まで、より大きな生存率でなど)増殖する任意の外部特性を指す。例示的な「条件」又は「環境」には、特定の培地、体積、容器、温度、混合、通気、重力、電磁場、細胞密度、pH、栄養素、ホスフェート源、窒素源、1つ以上の生物との共生、及び/又は単一の生物種若しくは複数の生物種(例えば、混合集団)との相互作用が含まれるが、これらに限定されない。重金属、抗生物質及び塩素化された化合物など、微生物群集の1つ以上の生物又はコンソーシアムに対して毒性であり得る物質も「条件」又は「環境」として含まれる。生物は静的な実体ではないので、時間も「条件」と考えられ得ることが理解されるべきである。したがって、長期間(例えば、数日、数週間、数ヶ月、数年)にわたって増殖された培養物は、その期間の増殖前の培養物中での特定の生物又はコンソーシアムの相対量より相対的に高い培養物中での割合で、特定の生物又はコンソーシアムを含む培養物を産生し得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「選択」という用語は、意図的に又は自発的に、いくつかの種類を他の種類よりも多く除去又は濃縮することによる、集団内の個体の異なる「種類」の頻度の増加を指す。「種類」の性質は、遺伝的特徴付け(例えば、遺伝子又はヌクレオチド配列);機能的特徴付け(例えば、酵素的、代謝的能力);分類学的特徴付け(例えば、ヌクレオチド配列の類似性又は相違に基づく株、亜種、種、属、科又は操作的分類単位(OTU));又は物理的特徴付けによって定義することができる。さらに、種類は、1つ又は多くの個体を含み得る。選択の典型的な例には、より迅速に増殖及び再生する個体が集団においてより優勢になる増殖速度選択が含まれるが、これに限定されない。選択を行う際の重要な考慮事項は、何に「ついての選択であるか」又は何が「選択されているか」、すなわち、特定の環境において有利又は不利である遺伝的、機能的及び/又は物理的差異を決定することである。増殖速度選択は、集団中の他の個体よりも速く、及び親細胞からその子孫に伝達され得る増殖速度を有する生物を選択するために適用される。
【0046】
本明細書で使用される場合、「濃縮」という用語は、1つ以上の生物、1つ以上の機能的能力、1つ以上の遺伝子若しくは遺伝子産物、又は1つ以上の関心対象のヌクレオチド配列の(例えば、絶対的及び/又は相対的な用語で表される)存在量が、1つ以上の他の生物、1つ以上の他の機能的能力、1つ以上の他の遺伝子若しくは遺伝子産物、又は1つ以上の他のヌクレオチド配列の存在量と比較して増加される過程を指す。例えば、いくつかの実施形態において、「濃縮」という用語は、例えば選択的条件下において適切な培地中で培養することによって、培養物中に存在する1つ以上の微生物の数(例えば、絶対数及び/又は相対数)を増加させる過程を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「培地(medium)」又は「培地(media)」という用語は、生物がさらされる又はアクセスを提供される化学的環境を指す。生物は、培地内に浸漬され得、又は培地に物理的に近接し得る(例えば、物理的接触)。培地は、典型的には、生物の増殖又は維持に寄与し得る他の追加の栄養素及び/又は化学物質を有する水を含む。成分は、精製された化学物質(例えば、「組成が明らかな」培地)又は乳若しくは血液から作られた抽出物などの、化学物質の、複雑な特徴付けられていない混合物であり得る。標準化された培地が、研究室において広く使用されている。細菌の増殖のための培地の例には、LB及びM9最小培地が含まれるが、これらに限定されない。培地に関して使用される場合、「最小」という用語は、生物の増殖を支えるが、可能な限り最も単純な化学化合物のみから構成される培地を指す。例えば、M9最小培地は、水に溶解され、滅菌された以下の成分から構成され得る:48mMNaHPO、22mMKHPO、9mMNaCl、19mMNHCl、2mMMgSO、0.1mMCaCl、0.2%炭素及びエネルギー源(例えば、グルコース)。
【0048】
本明細書で使用される場合、「培養物」という用語は、生存能力のある生物の少なくとも1つの細胞又は個体を有する容器又は囲い内の培地、通常は、その中でその生物が増殖することができる培地を指す。本明細書で使用される場合、「連続培養」という用語は、培地が除去される速度に等しいある速度でその中に新しい培地が添加される液体培養物を意味することを意図している。逆に、本明細書で使用される「バッチ培養物」は、新しい培地が添加又は除去されない固定サイズ又は体積の培養物を意味することを意図している。
【0049】
本明細書で使用される場合、「遺伝的基礎」という用語は、特定の観察の根底に存在する遺伝的又はゲノム的原因を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「遺伝的」という用語は、DNAヌクレオチドの配列内にコードされる遺伝性の情報を指す。したがって、「遺伝的特徴付け」という用語は、DNA内にコードされた情報の配列決定、遺伝子型決定、比較、マッピング又は他のアッセイを意味することを意図している。
【0051】
本明細書で使用される場合、「遺伝物質」という用語は、ある世代から次の世代に伝達される生物内のDNAを指す。通常、遺伝物質は生物のゲノムを指す。細胞小器官又はプラスミドDNAなどの染色体外要素も、生物の特性を決定する遺伝物質の一部であり得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「遺伝的変化」又は「遺伝的適応」という用語は、生物のゲノム内の1つ以上の変異を指す。本明細書で使用される場合、「変異」という用語は、例えば、置換、欠失、挿入及び再編成、又は可動遺伝要素の移動を含む、2つの関連する生物のDNAヌクレオチドの配列の相違を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「評価」という用語は、生物の観察可能な表現型の観察又は測定を意味することを意図している。評価は、典型的には、分析、解釈及び/又は別の生物の表現型との比較を含む。表現型は、遺伝子レベル(例えば、ヌクレオチド配列に関して)及び遺伝子産物のレベルの両方で評価され得ることを理解すべきである。さらに、表現型は、環境内の生物の挙動及び/又は生物内の個々の分子若しくは分子群の挙動に関して評価され得る。このような比較は、遺伝的適応から生じる変異した産物の詳細な機能を決定する上で有用である。
【0054】
本明細書で使用される場合、「段階的」という用語は、一方が他方に時間的に後続する、一連の事象の様式を意味することを意図している。本明細書で使用される場合、「同時」という用語は、同時に起こることを意味することを意図している。
【0055】
本明細書で使用される場合、「微生物の」、「微生物(microbial organism)」及び「微生物(microorganism)」という用語は、3ドメイン系における古細菌、細菌又は真核生物のドメイン内に含まれる微視的細胞として存在する生物を指し(参照により本明細書に組み入れられるWoese(1990)Proc Natl Acad Sci USA 87:4576-79を参照)、真核生物には酵母及び糸状菌、原虫、藻類又は高等原生生物が含まれる。したがって、この用語は、微視的サイズを有する原核又は真核細胞又は生物を包含することを意図しており、全ての種の細菌、古細菌及び真正細菌、並びに酵母及び真菌などの真核微生物を含む。化学物質の生産のために培養することができる任意の種の細胞培養物も含まれる。
【0056】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態において、微生物は原核微生物である。いくつかの実施形態において、原核微生物は細菌である。「細菌」又は「真正細菌」は、原核生物のドメインを指す。細菌は、以下の少なくとも11の異なる群を含む:(1)グラム陽性(グラム+)細菌、その中には2つの主要な細区分:(1)高G+C群(放線菌(Actinomycetes)、マイコバクテリア(Mycobacteria)、ミクロコッカス(Micrococcus)など)(2)低G+C群(バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridia)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ブドウ球菌(Staphylococci)、連鎖球菌(Streptococci)、マイコプラズマ(Mycoplasma))が存在する;(2)プロテオバクテリア(Proteobacteria)、例えば紅色光合成+非光合成グラム陰性細菌(ほとんどの「一般的な」グラム陰性細菌を含む);(3)シアノバクテリア(Cyanobacteria)、例えば酸素産生光栄養生物;(4)スピロヘータ(Spirochetes)及び関連種;(5)プランクトミケス(Planctomyces);(6)バクテロイデス(Bacteroides)、フラボバクテリア(Flavobacteria);(7)クラミジア;(8)緑色硫黄細菌;(9)緑色非硫黄細菌(嫌気性光栄養生物も);(10)放射線抵抗性小球菌(micrococci)及び関連種;(11)サーモトガ(Thermotoga)及びサーモサイホ(Thermosipho)好熱菌。「グラム陰性菌」には、球菌、非腸内桿菌及び腸内桿菌が含まれる。グラム陰性菌の属としては、例えば、ナイセリア属(Neisseria)、スピリルム属(Spirillum)、パスツレラ属(Pasteurella)、ブルセラ属(Brucella)、エルシニア属(Yersinia)、フランシセラ属(Francisella)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、ボルデテラ属(Bordetella)、エシェリヒア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、ビブリオ属(Vibrio)、シュードモナス属(Pseudomonas)、バクテロイデス属(Bacteroides)、アセトバクター属(Acetobacter)、アエロバクター属(Aerobacter)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アゾトバクター属(Azotobacter)、スピリラ属(Spirilla)、セラチア属(Serratia)、ビブリオ属(Vibrio)、リゾビウム属(Rhizobium)、クラミジア属(Chlamydia)、リケッチア属(Rickettsia)、トレポネーマ属(Treponema)及びフソバクテリウム属(Fusobacterium)が挙げられる。「グラム陽性菌」には、球菌、非胞子形成桿菌及び胞子形成桿菌が含まれる。グラム陽性菌の属としては、例えば、アクチノミセス属(Actinomyces)、バチルス属(Bacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、エリシペロスリクス属(Erysipelothrix)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、リステリア属(Listeria)、ミコバクテリウム属(Mycobacterium)、ミキソコッカス属(Myxococcus)、ノカルジア属(Nocardia)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)及びストレプトミセス属(Streptomyces)が挙げられる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「天然に存在する」という用語は、微生物に関して使用される場合、自然界で見出される微生物を意味することを意図している。例えば、天然に存在する生物は、天然の供給源から単離することができ、研究室においてヒトによって意図的に改変されていない。
【0058】
本明細書で使用される場合、微生物に適用される「天然に存在しない」という用語は、天然に存在する微生物中に通常見出されない少なくとも1つの遺伝的改変を含む微生物を指す。遺伝的改変は、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を導入する改変、その他の核酸付加、核酸欠失及び/又は微生物の遺伝物質のその他の機能的破壊が含まれる。このような修飾には、例えば、参照される種に対して異種の、相同な、又は異種の及び相同なポリペプチドの両方に対するコード領域及びその機能的断片が含まれる。さらなる修飾には、例えば、その修飾が遺伝子又はオペロンの発現を変化させる非コード調節領域が含まれる。
【0059】
本明細書で使用される場合「微生物コンソーシアム(microbial consortium)」(複数形「微生物コンソーシアム(microbial consortia)」)という用語は、共通の機能を実行するとして記載することができる、又は認識可能なパラメータ若しくは表現型形質に関与し、認識可能なパラメータ若しくは表現型形質をもたらし、若しくは認識可能なパラメータ若しくは表現型形質と相関するとして記述することができる一連の微生物種又は種の菌株を指す。コンソーシアムは、微生物の2つ以上の分類単位(例えば、科、属、種又は種の菌株)を含み得る。いくつかの例では、微生物は共生的に群集内に共存する。微生物コンソーシアムは、コンソーシアム中に存在する分類単位(例えば、多数の菌株、亜種、種、属、科若しくはヌクレオチド配列の類似性若しくは相違に基づく操作的分類単位(OTU))を記載することによって;コンソーシアム中に存在する遺伝子を記載することによって;コンソーシアムに存在するヌクレオチド配列を記載することによって;又はコンソーシアム中に存在する機能及び/若しくはコンソーシアムによって提供される機能を記載することによって記載され得る。微生物コンソーシアムは、微生物群集中に見出される生物の部分集団であり得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、「微生物群集」という用語は、微生物の2つ以上の分類単位(例えば、科、属、種又は種の菌株)を含む微生物の群を指す。微生物コンソーシアムとは異なり、微生物群集は、共通の機能を実行するために必ずしも協調して活動するわけではなく、又は認識可能なパラメータ若しくは表現型形質に関与し、若しくは認識可能なパラメータ若しくは表現型形質をもたらし、若しくは認識可能なパラメータ若しくは表現型形質と相関する必要はない。
【0061】
本明細書で使用される場合、「メタゲノム」という用語は、「所定の生息地中に存在する全ての微生物の集団的ゲノム」として定義される(Handelsman et al.,(1998)Chem.Biol.5:R245-R249)。本用語はまた、微生物群集又は微生物コンソーシアムの全てのゲノム核酸が抽出されるか否かにかかわらず、微生物群集又は微生物コンソーシアムを代表するものとして微生物群集又は微生物コンソーシアムから(例えば、環境試料から)抽出された核酸を含むことを意図する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「分類単位」という用語は、独立した単位として扱われるのに十分に類似していると考えられる生物の群である。分類単位は、科、属、種又は種内の集団(例えば、菌株)を含み得るが、そのように限定されない。
【0063】
本明細書で使用される場合、「操作的分類単位(OTU)」という用語は、独立した単位として扱われるのに十分に類似していると考えられる微生物の群を指す。OTUは、分類学的な科、属又は種を含み得るが、そのように限定されない。OTUは、生物間のヌクレオチド配列を比較することによってしばしば定義される。ある場合には、OTUは、例えば16S rRNA遺伝子などの分化バイオマーカーの少なくとも一部の間で97%以上、95%以上、90%以上、80%以上又は70%以上の配列同一性に基づく単位として扱われる微生物の群を含み得る。
【0064】
「属」という用語は、Taxonomic Outline of Bacteria and Archaea(Garrity et al.(2007)The Taxonomic Outline of Bacteria and Archaea.TOBA Release 7.7,March 2007.Michigan State University Board of Trustees)に従う関連種の分類群として定義され得る。「種」という用語は、97%を超える16SリボソームRNA配列相同性及び70%を超えるゲノムハイブリダイゼーションを有し、別個の分類単位として認識されるように他の全ての生物と十分に異なる密接に関連した生物の集合として定義され得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「相対的存在量」という用語は、1つの又は他の(例えば、第2の)試料中の対応する分類単位の微生物の存在量と比較した、第1の生物学的試料中の特定の分類単位(例えば、OTU)の微生物の存在量を指す。「相対的存在量」は、例えば、分類単位に対応する単離された種の数、又は分類単位に特異的なバイオマーカー(例えば、ヌクレオチド配列)が所与の試料中に存在するか若しくは発現される程度に反映され得る。試料中の特定の分類単位の相対的存在量は、当該分野で周知の培養に基づく方法又は培養に基づかない方法を用いて決定され得る。培養に基づかない方法には、分類単位について特異的な増幅されたポリヌクレオチドの配列分析、又は試料中に存在する1つ以上の分類単位に特徴的なポリペプチドベースの、脂質ベースの、多糖ベースの若しくは炭水化物ベースのバイオマーカーの数及び程度を反映する試料中のプロテオミクスベースのプロファイルの比較が含まれる。分類単位又はOTUの相対的存在量又は存在量は、検出された全ての分類単位/OTUを参照して、又は不変の分類単位/OTUのいくつかの組を参照して計算することができる。いくつかの実施形態において、分類単位は、例えば、それぞれが参照により本明細書中に組み入れられる、Wood(2014)“Kraken:ultrafast metagenomic sequence classification using exact alignments”Genome Biology 15:R46 and Wood(2019)“Improved metagenomic analysis with Kraken 2” Genome Biology 20:257に記載されるような配列に基づく方法を用いて特定される。
【0066】
本明細書で使用される場合「有意に変化した相対的存在量」という用語は、試料中の全微生物と比較して又は別の試料中に存在する対応する分類単位の微生物の数と比較した、特定の分類単位の微生物の数の相対的存在量の統計学的に有意な増加又は低下を指す。いくつかの実施形態において、相対的存在量の「有意な増加」又は「有意な低下」は、基準値を超える統計学的に有意な増加又は統計学的に有意な低下として定義される。いくつかの実施形態において、統計学的に有意な増加又は統計学的に有意な低下は、相対的存在量の標準偏差の2倍、3倍又は4倍である増加又は低下である。いくつかの実施形態において、統計学的に有意な増加又は統計学的に有意な低下は、0.1、0.05、0.01又は0.005に等しいか又はそれより小さいP値を有する増加又は低下である。
【0067】
いくつかの実施形態において、相対的存在量の「有意な低下」又は「有意な増加」は、符号付き順位検定などのノンパラメトリック統計検定を使用して、互いと又は参照種若しくは分類単位と比較された1つ以上の指標種又は分類単位の統計学的に有意な差を意味する。いくつかの実施形態において、相対的存在量の「有意な低下」また「有意な増加」は、ベイズ推定及び関連アプローチを使用するモデルを使用して決定される。
【0068】
ある実施形態において、相対的存在量の増加は、基準値を超える10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又はそれを超える増加を反映する。いくつかの実施形態において、相対的存在量の増加は、基準値を超える2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、50倍又は100倍の増加を反映する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「単離する」、「単離された」、「単離された微生物」などの用語は、1つ以上の微生物が、特定の環境(例えば、土壌、水、又はより高次の多細胞生物)中で随伴する物質の少なくとも1つから分離されていることを意味することを意図している。したがって、「単離された微生物」は、その天然に存在する環境中には存在せず、むしろ、本明細書中に記載されている様々な技術を通じて、微生物は、その自然環境から取り出され、天然に存在しない存在状態に置かれている。したがって、単離された菌株は、例えば生物学的に純粋な培養物として、又は担体組成物と会合した芽胞(又は菌株の他の形態)として存在し得る。本開示のある局面において、単離された微生物は、単離された生物学的に純粋な培養物として存在する。特定の微生物の単離された生物学的に純粋な培養物は、前記培養物が他の生物を(科学的合理性の範囲内で)実質的に含まず、個々の当該微生物のみを含有することを意味することが当業者によって理解されるであろう。培養物は、様々な濃度の前記微生物を含有することができ、単離された生物学的に純粋な微生物は、しばしば、より純粋でない又は不純な材料とは必然的に異なる。さらに、いくつかの局面では、本開示は、単離された生物学的に純粋な微生物培養物内に見られる濃度又は純度の限界のある定量的な尺度を提供する。ある実施形態では、これらの純度値の存在は、ここに開示されている微生物を自然状態で存在する微生物と区別するさらなる属性である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「改善された」という用語は、対照環境と比較して又は問題となっている特性に伴う既知の平均量と比較して、環境の特性を改善することを指す。例えば、「改善された」土壌は、有益な微生物又は微生物コンソーシアムで処理されていない土壌によって産生された植物バイオマスと比較して、土壌への有益な微生物又は微生物コンソーシアムの適用後に植物バイオマスの産生を増加させ、他の土壌特性が植物バイオマスの産生に対する効果に関して実質的に及び/又は本質的に同じである土壌を指し得る。あるいは、当業者に公知の科学又は農学刊行物に示されているように、有益な微生物又は微生物コンソーシアムを土壌に適用した後の植物バイオマスの産生を、土壌によって通常産生される平均バイオマスと比較することができる。本明細書で使用される場合、「改善された」は、データが統計学的に有意である(例えば、p<0.05)ことを必ずしも要求せず、むしろ、ある値(例えば、平均処理値)が別の値(例えば、平均対照値)と異なることを示す任意の定量可能な差は、「改善された」のレベルに達し得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「表現型」という用語は、個々の細胞、細胞培養物、生物又は生物の群の遺伝的構成(例えば、遺伝子型)と環境との間での相互作用から生じる、個々の細胞、細胞培養物、生物又は生物の群(例えば、微生物コンソーシアム)の観察可能な特徴を指す。
【0072】
いくつかの実施形態において、微生物は環境に対して「内在性」であり得る。本明細書で使用される場合、微生物がそこから供給される環境に由来すれば、微生物は環境に対して「内在性」であると考えられる。すなわち、微生物が前記環境に伴って自然に見出されれば、微生物は環境に対して内在性である。内在性微生物が環境に適用される実施形態においては、内在性微生物は、自然の指定された環境において見出されるレベルとは異なる量で適用される。したがって、所与の環境に内在する微生物は、その微生物が自然に存在しないレベルでその環境中に存在すれば、並びに/又はその微生物が、その環境に外在性及び/若しくはその環境に内在性であり、自然に存在しないレベルで存在する他の生物とともにその環境に適用されれば、なお環境を改善することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、微生物は、環境に対して「外在性」(「異種」とも呼ばれる)であり得る。本明細書で使用される場合、微生物がそこから供給される環境に由来しなければ、微生物は環境に対して「外在性」であると考えられる。すなわち、微生物が環境に伴って自然に見出されなければ、微生物は環境に対して外在性である。例えば、第1の環境に通常付随する微生物は、自然の状態で前記微生物を欠く第2の環境に対して外在性であると考えられ得る。
【0074】
本明細書で使用される場合、「環境試料」は、環境の任意の部分(例えば、生態系、生態学的ニッチ、生息地など)から採取又は取得された試料を意味する。環境試料は、川、湖、池、海、氷河、氷山、雨、雪、下水、貯水池、水道水、飲料水などからの液体試料;土壌、堆肥、砂、岩石、コンクリート、木材、レンガ、下水などからの固体試料;及び大気、深海熱水噴出孔、産業排気ガス、自動車排気ガスなどからの気体試料を含み得る。典型的には、液体形態ではない試料は、本方法で試料を分析する前に液体形態に変換される。
【0075】
説明
標的とされた機能を有する微生物を特定及び単離することに関する技術、特に、但し、これらに限定されないが、指定の機能を提供する個々の微生物又は微生物コンソーシアムをスクリーニング及び/又は選択するための方法、組成物及びシステムに関する技術が本明細書において提供される。ある点では、本技術は、所望の機能に関する問題を微生物群集に提示し、群集のメンバーの生存又は増加した存在率は、機能的解決策に応答する群の1つ以上のメンバーに依存する。解決策の遺伝的基礎は重要ではなく、応答する生物又は微生物コンソーシアム中の1つ以上のメンバーの関連する特性のみが重要である。したがって、選択は特定の遺伝子セットに偏っておらず、現在の知識に依存しない。
【0076】
例えば、例えば、図1に示されているように、本技術の実施形態は、バイオマイニングのための微生物スクリーニングを含む方法に関する。特に、図1は、用途中心の微生物スクリーニングのための(例えば、効果的な気候変動変数及びバイオマイニングのための)例示的な環境100を示す。用途中心のバイオマイニングは、個々の微生物表現型ではなく、試験されている変数を介して測定された適用(例えば、機能的)結果に焦点を当てるので、所望の適用結果は局所的な生態系に限定される必要はない。したがって、用途中心のバイオマイニングは、微生物環境、種関連マイクロバイオーム、生態系、局所環境及び地球環境を含むがこれらに限定されない、より特定された及び/又はより一般的な環境の変化をもたらし得る微生物コンソーシアムを特定するために使用され得る。
【0077】
用途の1つのクラスは、気候変動変数に影響を及ぼすことに関する産業革命以来、大気中のCOレベルが着実に増加し続けており、地球温暖化に寄与していることは科学的に周知である。大気中のCOレベルを低下させるためにバイオームを使用することはよく理解されている。前述のように、ストロマトライトは、カンブリア紀の間に大気中のCOを低下させることに著しく寄与したという仮説が存在する。アマゾンのような森林バイオームを伐採すると、COシンクが消失し、次いで、これは大気中のCOの増加に寄与することが理解される。したがって、これは、用途中心のバイオマイニングを通じて、気候変動に影響を及ぼし得る微生物コンソーシアムが、より迅速に、及びより効率的に発見され得ることを示唆している。
【0078】
それぞれが用途中心のバイオマイニングにおいて所望の結果について試験することができる変数の群を有する、地球温暖化に対処するための多くの方法が存在する。地球温暖化又は気候変動に関連するそのような変数は、本明細書では気候変動変数と呼ばれる。1つの具体的な用途は、バイオマス中のCOの隔離を最大化するための微生物コンソーシアムの使用である。したがって、COの絶対量及び隔離されたCOに対するバイオマスの質量比は、例えば、求められる用途又は機能的結果を提供する気候変動変数の候補である。これらの変数は所望される最終結果に関連するので、これらの気候変動変数は、数学的には、統計的に独立した変数として取り扱われ得る。土壌中のCOの隔離が窒素固定に関連することも観察されている。したがって、窒素固定の絶対量及び固定された窒素に対するバイオマスの質量比は、数学的には、統計的に従属した変数として取り扱われ得る。
【0079】
所望される結果は用途特異的であるので、試験されている変数、例えば、気候変動に関連する変数又はそうでない変数は、生物学又は化学的因子の尺度である必要はない。所望される結果は、経済的であり得る。1つの例では、用途は、CO隔離を実行するための収益を最大化することであり得る。具体的には、地球温暖化に関する意識が向上するにつれて、炭素クレジットに関する経済市場の他、CO隔離のための直接支払いが発展している。したがって、経済的気候変動変数は、CO隔離から得られる総利益(例えば、CO隔離からの収益から微生物コンソーシアムの適用を実施するコストを差し引いたもの)を含み得る。
【0080】
CO隔離の利益及び不利益に関する総合的な分析に対する補助を提供するために、いくつかの気候変動変数を測定することが望ましい場合があり得る。例えば、CO隔離は、樹木の森林を成長させることによって達成され得る。しかしながら、樹木自体は、食べ物として人間が食べることはできない。したがって、気候変動変数は、隔離されたCOの質量に対する生産された食物の質量の比を含み得る。同様に、バイオマス中のCO隔離は短期間(例えば、分解中のガス放出のために1~2年)であるようである。したがって、気候変動変数は、CO隔離の持続時間を含み得る。
【0081】
様々な実施形態において、1つ以上の気候変動変数に基づいて、用途中心のバイオマイニングが実行され得る。例えば、気候変動変数は、CO隔離、窒素固定及び微生物の生存時間/持続性の測定結果であり得る。このような例は、シアノバクテリア(光合成微生物)がCOを消費するのに極めて有効であり、アゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)などの他の微生物が窒素を固定して炭素隔離を支援し、バイオマス中の有機物を増加させることができるという理解に基づいている。
【0082】
用途中心のバイオマイニング中に、1つ以上の環境試料102(例えば、有機物が多い環境試料)が収集され得る。単一の環境試料102が収集される場合、方法は、用途中心のバイオマイニングのための入力試料を提供するために、環境試料を均質化することを含む(例えば、図1を参照)。複数の環境試料102が収集される場合、方法は、混合された環境試料を提供するために、複数の環境試料を混合すること、及び用途中心のバイオマイニングのための入力試料を提供するために、混合された環境試料を均質化することを含む(例えば、図1を参照)。
【0083】
入力試料を作製するために複数の環境試料の使用を含む実施形態では、複数の環境試料を収集及び混合することは、そこからスクリーニングするための微生物の統計的標本空間のみならず、入力試料に適用される本明細書に記載の技術を使用して特定及び/又は作製された微生物コンソーシアム中に存在する微生物の組み合わせも最大化するのに役立ち得る。さらに、本明細書に記載される技術が適用される入力試料を作製するために複数の環境試料を収集及び混合することは、通常は自然界の同じ環境中には生息しない微生物を組み合わせることによって、自然界には存在しない新規な微生物コンソーシアムを生成し得る。いくつかの実施形態において、微生物コンソーシアムの組み合わせの統計的標本空間をさらに増加させるために、地理的に異なる領域からの様々な環境試料が混合され得る。例えば、複数の実施形態は、複数の環境試料が取得され得ることを提供し、各環境試料は異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチから採取される。複数の実施形態はさらに、1m、10m、100m、1000m、10,000m又は10,000mを超えて互いに隔てられている部位から複数の環境試料が取得され得ることを提供する。いくつかの実施形態において、試料は、地球の地表及び水面の上及び下を含む地球上の任意の場所の2つ以上の点から取得される。
【0084】
いくつかの例では、複数の入力試料104は、収集中に作製され得る。複数の入力試料104の各入力試料は、一緒に混合される個々の環境試料の異なる組み合わせを含み得る。例えば、A及びB、B及びC又はA及びCを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B及びCが混合され得る。さらなる例として、A、B及びC;A、B及びD;A、C及びD;又はB、C及びDを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B、C及びDが混合され得る。別の例として、A及びB;A及びC;A及びD;A及びE;B及びC;B及びD;B及びE;C及びD;C及びE;D及びE;A、B及びC;A、B及びD;A、B及びE;A、C及びD;A、C及びE;A、D及びE;B、C及びD;B、C及びE;B、D及びE;C、D及びE;A、B、C及びD;A、B、C及びE;A、B、D及びE;A、C、D及びE;B、C、D及びE;又はA、B、C、D及びEを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B、C、D及びEが混合され得る。複数の入力試料104の各入力試料は、入力試料を提供するために一緒に混合される複数の個々の試料のうち任意の2つの個々の環境試料の割合的組成の範囲を含み得る。例えば、任意の2つの個々の環境試料は、0.01~0.99の範囲の(例えば、第1の環境試料の0.01、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、0.95又は0.99を含む)第1の環境試料の割合的組成を含み、及び0.99~0.01の範囲の(例えば、第2の環境試料の0.99、0.95、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20、0.10、0.05又は0.01を含む)第2の環境試料の割合的組成を含む入力試料を提供するために一緒に混合され得る。
【0085】
入力試料104は、混合される環境試料の量及び種類の多様性を使用して単離及び開発され得る。これは、微生物の組み合わせは有益であり得るのみならず、個々の微生物をより効果的でないようにし得るか、又は外来環境試料由来の微生物が優位となり得ることもあることが認識されているからである。さらに、本技術の実施形態は、入力試料を提供するために均質化されている単一の環境試料の使用を含む。当業者は、単一の環境試料が、自然界では混合されていないが、単一の試料が均質化されると混合された状態となる複数の個々の生態系又は生態学的ニッチを含み得ることを理解する。例えば、環境試料は、別個の階層、層又は亜群集として存在する複数の別個の部分試料、例えば、円筒形の土壌コア試料の階層、微生物マット試料の階層、水柱試料の階層、バイオフィルムを含む微生物群集の亜群集などを含み得る。
【0086】
したがって、本明細書で提供される方法の実施形態は、入力試料104を提供するために均質化された単一の環境試料の使用を含み、並びに/又は入力試料104を提供するために混合及び均質化された複数の環境試料の使用を含む。
【0087】
いくつかの実施形態においては、例えば、図1に示されるように、1つ以上の基準108に基づいて、入力試料(例えば、環境試料又は複数の混合された環境試料の混合された環境試料)104の選択106が実行され得る。いくつかの例では、少なくとも最初の焦点は、前述したシアノバクテリア及びアゾトバクター(Azotobacter)などの、炭素及び窒素を固定することが環境試料において知られている微生物コンソーシアムに対して当てられ得る。特定の微生物コンソーシアムに対する焦点は、標的種によって決定され得る。別の例では、標的種がマメ科植物である場合、葉及び茎で窒素を固定することにおいてより効果的であるので、グルコンアセトバクター(Gluconacetobacter)及びヘルバスピリルム(Herbaspirillium)に、茎及び根で窒素を固定することにおいても効果的であるので、アゾスピリルム(Azospirillium)に、並びにマメ科植物の根圏で窒素を固定することにおいて効果的であるので、アゾトバクター(Azotobacter)及びベイジェリンキア(Beijerinckia)に焦点が当てられ得る。
【0088】
入力試料の培養110は、1つ以上の環境条件下で行われ得る。いくつかの例では、入力試料は、光合成のために光が入るカラム中に保存され得る。いくつかの実施形態において、培養培地は、微生物コンソーシアムが任意の測定された窒素又は炭素の取り込みに寄与していたという判定を妨げる窒素又は炭素なしで提供される(例えば、窒素を含まない及び炭素を含まない培地又は「C/N不含培地」)。入力試料は、環境濃度から窒素を供給することによって、又は無酸素N中で通気し、窒素固定を行うために微生物によって必要とされることが知られている塩及び他の栄養素を供給することによって、固定のために窒素にさらされ得る。入力試料はまた、例えば、環境濃度によって又はCO中での通気によって、COにさらされ得る。
【0089】
培養及び時間の後、1つ以上の変数114に基づいて、培養物の試験112が行われ得る。いくつかの例では、所望のバイオマイニング結果に関連する気候変動変数が試験される。この場合には、入力試料は、増加した炭素及び窒素又は常在マイクロバイオームのCO及び/若しくは窒素を固定する能力について試験され得る。測定は質量により得る。次いで、候補微生物コンソーシアムを構成する微生物のDNAが単離され、特定のために配列決定される。DNA内で、各微生物について、16S rRNA又はGroELなどのバイオマーカーが特定される。これらのバイオマーカーは、将来の微生物特定に役立つであろう。次いで、培養物は、生存時間及び/又は持続性を測定するために、培養プレート中の窒素及び炭素を含まない培地上で試験される。少なくとも炭素捕捉、窒素固定及び/又は持続性に基づいて、1つ以上の微生物培養物及び/又は1つ以上の微生物培養物の特定の一部の選択116が、試験118のための培養物を提供するために行われる。
【0090】
いくつかの事例では、環境(例えば、土壌)又は培養培地による微生物コンソーシアムの取り込みを促進するために添加剤が適用され得る。例えば、微生物コンソーシアムは、炭素、エネルギー、窒素、微量栄養素及び還元当量を必要とし得る。具体的な例として、水及びグルコーススプレーは、環境又は培養培地中の大腸菌(E.coli)にCO隔離において使用される還元当量及び4炭素骨格の生成を促進させることができる。別の例として、作物残渣の分解を助けるために、高レベルのセルラーゼ及び/又はリグナーゼを含有する生物が環境又は培養培地に添加され得る。上記過程は、複数の反復120及び/又は122を通して数回反復され得、各反復は、選択された変数、例えば気候変数、炭素隔離、窒素固定及び生存時間/持続性に関して所望の結果を達成した微生物及び特定の微生物コンソーシアムに対する特定情報124をさらに単離及び生成する。
【0091】
いくつかの実施形態において、さらなる試験のための微生物及び微生物コンソーシアムの選択は、機械学習を含む統計モデル及び計算方法によって支援される。用途中心のバイオマイニング及び従来のバイオマイニングの両方において微生物の選択を指示するために、機械学習モデルにおいて具現化された統計モデルが使用され得る。例えば、実験及び反復の間、特定の環境試料源の場所、環境試料の組成、微生物、及びそれらの関連する遺伝的バイオマーカー、微生物コンソーシアムに関するデータは、様々な変数、例えば、気候変動又はその他に関する結果と関係付けられ得る。機械学習モデルが従来のバイオマイニングを補完するいくつかの例では、データは微生物の表現型を捕捉する情報によっても補完され得る。
【0092】
最小必要量のデータ126が達成されたら、データは、微生物及びバイオマーカー、並びに微生物の組み合わせを試験されている変数に相関させる機械学習モデル128に発展させ得る。用途中心のバイオマイニングの場合、初期試験のための微生物コンソーシアムの選択130、及び/又は環境試料特性の選択は、試験されている変数134に基づいた結果132として機械学習モデル128によって提案され得る。従来のバイオマイニングについては、試験されている変数134に関する所望の結果132とともに所望の表現型を入力することができ、さらなる試験のために、機械学習モデルによって、関連する微生物が提案され得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、例えば図2に示されているように、コンピューティング装置は、有効な変数及びバイオマイニングの用途中心の微生物スクリーニングに関して機械学習技術を支援する。コンピューティング装置200は、通信インターフェース202、1つ以上のプロセッサ204、メモリ206及び装置ハードウェア208を提供し得る。通信インターフェース202は、装置が他のネットワーク化された装置にデータを送信し、他のネットワーク化された装置からデータを受信することを可能にする無線及び/又は有線の通信コンポーネントを含み得る。装置ハードウェア208は、追加のインターフェース、データ通信、又はデータ記憶ハードウェアを含み得る。例えば、ハードウェアインターフェースは、データ出力装置(例えば、視覚的ディスプレイ、オーディオスピーカ)、及び1つ以上のデータ入力装置を含み得る。データ入力装置は、キーパッド、キーボード、マウス装置、動作を受け付けるタッチスクリーン、マイクロフォン、音声又は会話認識装置、及び任意の他の適切な装置のうちの1つ以上の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0094】
メモリ206は、コンピュータ記憶媒体などのコンピュータ可読媒体を使用して実行され得る。コンピュータ可読媒体は、少なくとも2種類のコンピュータ可読媒体、すなわちコンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又は技術で実行される揮発性及び不揮発性の、取り外し可能及び取り外し不能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、高精細マルチメディア/データ記憶ディスク、又はその他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくはその他の磁気記憶装置、又はコンピューティング装置によるアクセスのための情報を記憶するために使用することができる任意の他の非伝送媒体が含まれるが、これらに限定されない。コンピューティング装置200は、Kubernetes又はDockerを介して提供されるような、仮想マシン又は仮想マシン上のコンテナのいずれかの形態でもあり得る。この場合には、仮想マシンは、物理的コンピュータプラットフォーム上にホストされ、ハイパーバイザを介してサーブされる。口語的に、仮想マシン構成は「クラウド」と称され得る。
【0095】
コンピューティング装置200のプロセッサ204及びメモリ206は、オペレーティングシステム210を実行し得る。次いで、オペレーティングシステム210は、機械学習プラットフォーム212に実行環境を提供し得る。オペレーティングシステム210は、コンピューティング装置200が様々なインターフェース(例えば、ユーザコントロール、通信インターフェース、及び/又はメモリ入力/出力装置)を介してデータを送信及び受信することを可能にするのみならず、プロセッサ204を使用してデータを処理して出力を生成することも可能にするコンポーネントを含み得る。オペレーティングシステム210は、出力を提示する(例えば、電子ディスプレイ上にデータを表示し、データをメモリに記憶し、データを別の電子装置に送信するなど)表示コンポーネントを含み得る。さらに、オペレーティングシステム210は、オペレーティングシステムに一般的に関連付けられる様々な追加の機能を実行するその他のコンポーネントを含み得る。
【0096】
機械学習プラットフォーム212は、データ入力モジュール214、モデル生成モジュール216及び選択モジュール218を含み得る。モジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム命令、オブジェクト及び/又はデータ構造を含み得るメモリ206は、機械学習プラットフォーム212によって使用されるデータストア220も含み得る。
【0097】
データ入力モジュール214は、データベース又はユーザインターフェースを介して入力されるデータなどの様々なソースからデータを受信し得る。データ入力モジュール214は、データソースのデータベースからデータを読み出すために、データアダプタを使用し得る。例えば、データ入力モジュール214は、非構造化データベースにアクセスするためにデータに依存しないデータアダプタを使用し得、及び/又は構造化データベースにアクセスするためにデータベースに特異なデータアダプタを使用し得る。受信されたデータは、DNAバイオマーカー、表現型情報、環境変数(例えば、栄養素の種類、COレベル、太陽光の量など)、環境試料特性(例えば、組成、供給源の場所など)、関連する微生物増殖情報などの微生物の特定情報を含み得る。
【0098】
モデル生成モジュール216は、モデル訓練アルゴリズムを介して、機械学習モデル128などの機械学習モデルを訓練し得る。モデル訓練アルゴリズムは、訓練データ入力段階、特徴量エンジニアリング段階及びモデル生成段階を実行し得る。訓練データ入力段階では、モデル訓練アルゴリズムは、データ入力モジュール214を介して受信されたデータなどの訓練データを受信し得る。特徴量エンジニアリング段階中、モデル訓練アルゴリズムは、訓練データ内の特徴量を正確に特定し得る。したがって、特徴量エンジニアリングは、機械学習モデルがデータの異なるクラスを区別するのを助ける訓練データ内の重要な特性及び関係を把握するために、モデル訓練アルゴリズムによって使用され得る。モデル生成段階中に、モデル訓練アルゴリズムは、訓練データを使用して機械学習モデルを訓練するために機械学習アルゴリズムの最初の種類を選択し得る。選択された機械学習アルゴリズムの訓練データへの適用後、モデル訓練アルゴリズムは、機械学習モデルの訓練誤差測定結果を決定し得る。訓練誤差測定結果が訓練誤差閾値を超える場合、モデル訓練アルゴリズムは、訓練誤差測定結果の規模に基づいて異なる種類の機械学習アルゴリズムを選択するために、ルールエンジンを使用し得る。異なる種類の機械学習アルゴリズムには、ベイジアンアルゴリズム、決定木アルゴリズム、サポートベクターマシン(SVM)アルゴリズム、ツリーズアルゴリズムの組み合わせ(例えば、ランダムフォレスト及び勾配ブーストツリー)、人工ニューラルネットワークなどが含まれ得る。訓練過程は、一般に、訓練結果が訓練誤差閾値を下回るまで繰り返され、訓練された機械学習モデルが生成される。訓練された機械学習モデル128は、データストア220中に記憶され得る。
【0099】
選択モジュール218は、バイオマイニングのためのクエリ結果を生成するために、訓練された機械学習モデル128を1つ以上のクエリ変数値に適用し得る。いくつかの例では、試験を開始するための微生物コンソーシアムの選択及び/又は環境試料特性の選択は、機械学習モデル128をクエリ変数値に適用する選択モジュール218によって提案され得る。他の例では、所望の表現型が、試験されている変数(例えば、窒素固定の量、微生物の生存時間など)に対する所望の結果(例えば、CO隔離の所望の測定結果、CO隔離の持続時間など)とともに入力され得る。次いで、選択モジュール218は、さらなる試験のために関連する微生物を提案するために、機械学習モデル128を入力されたデータに適用し得る。
【0100】
したがって、統計的に有意な量のデータを用いて、微生物及び微生物コンソーシアムの選択を補助するために機械学習モデルが開発され得る。構成する微生物に対する表現型データが機械学習モデルに補充されている場合、機械学習モデルは、従来のバイオマイニングも増強し得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、例えば、図3a及び3bに示されているように、本技術は、用途中心の微生物スクリーニング方法を実施するための過程(例えば、過程300)を提供する。例示的な過程300において操作が記載されている順序は、限定として解釈されることを意図するものではなく、過程を実施するために、任意の数の記載されたブロックが任意の順序で及び/又は並列して組み合わされ得る。さらに、いくつかの実施形態において、過程300は、いくつかの環境試料302を取得し、環境試料を混合された試料304の組み合わせへと混合して、工程306での選択のためにいくつかの入力試料(例えば、混合された試料)を提供することによって実施され得る。いくつかの実施形態においては、工程306で入力のために選択される入力試料を提供するために、単一の環境試料が均質化され得る。いくつかの実施形態において、いくつかの単一の環境試料及び/又はいくつかの混合された環境試料は、工程306での選択のために複数の入力試料を提供し得る。したがって、本明細書並びに図3a及び3bに記載されている方法は、いくつかの環境試料302を取得し、複数の環境試料304を混合し、工程308で培養するための混合された環境試料306を選択することに関して記載されているが、本技術は、複数の環境試料を混合することを含む方法に限定されず、単一の環境試料を均質化し、工程308で培養するための選択された試料として提供する実施形態を含む。さらに、実施形態は、複数の均質化された単一の環境試料を作製及び提供し、工程308で培養するために複数の均質化された単一の環境試料から1つの均質化された単一の環境試料を選択することを含む。
【0102】
したがって、用途中心の微生物スクリーニング方法を実施するための過程(例えば、過程300)の工程(例えば、工程302、304及び306)は、複数の環境試料を混合及び均質化することによって作製された、いくつかの(例えば、1つ以上の)混合された環境試料を提供する工程を含むものとして、又は工程308で培養するために均質化されたいくつかの(例えば、1つ以上の)単一の環境試料を提供する工程を含むものとして理解されるべきである。方法の説明全体を通して混合された環境試料への言及は、複数の環境試料を混合及び均質化することによって作製された混合された環境試料又は均質化された単一の環境試料を指すものと理解されるべきである。方法の説明全体を通して複数の混合された環境試料への言及は、複数の混合された環境試料のそれぞれの混合された環境試料が複数の環境試料を混合及び均質化することによって作製されている、及び/又は均質化された単一の環境試料である、複数の混合された環境試料を指すものとして理解されるべきである。
【0103】
いくつかの実施形態において、例えば、ブロック302では、有機物を含む複数の環境試料がバイオマイニングのために取得され得る。ブロック304では、複数の環境試料は、混合された環境試料の組み合わせへと混合され得る。例えば、複数の環境試料は、環境試料が微生物の異なるコンソーシアムを含有するように、異なる地理的領域からのものであり得る。混合304は、微生物の組み合わせを最大化するのに役立つように、環境試料の量及び種類を変化させることによって行われ得る。例えば、A及びB、B及びC又はA及びCを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B及びCが(例えば、ブロック304において)混合され得る。さらなる例として、A、B及びC;A、B及びD;A、C及びD;又はB、C及びDを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B、C及びDが(例えば、ブロック304において)混合され得る。別の例として、A及びB;A及びC;A及びD;A及びE;B及びC;B及びD;B及びE;C及びD;C及びE;D及びE;A、B及びC;A、B及びD;A、B及びE;A、C及びD;A、C及びE;A、D及びE;B、C及びD;B、C及びE;B、D及びE;C、D及びE;A、B、C及びD;A、B、C及びE;A、B、D及びE;A、C、D及びE;B、C、D及びE;又はA、B、C、D及びEを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B、C、D及びEが(例えば、ブロック304において)混合され得る。複数の入力試料の各入力試料は、入力試料を提供するために一緒に混合される複数の個々の試料のうち任意の2つの個々の環境試料の割合的組成の範囲を含み得る。例えば、任意の2つの個々の環境試料は、0.01~0.99の範囲の(例えば、第1の環境試料の0.01、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、0.95又は0.99を含む)第1の環境試料の割合的組成を含み、及び0.99~0.01の範囲の(例えば、第2の環境試料の0.99、0.95、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20、0.10、0.05又は0.01を含む)第2の環境試料の割合的組成を含む入力試料を提供するために一緒に混合され得る。
【0104】
ブロック306では、混合された環境試料のうちの特定の混合された環境試料が、試験のための1つ以上の選択基準に基づいて選択され得る。例えば、混合された環境試料は、いくつかの例では、その試料が少なくともある微生物種を含有するかどうか、及び/又は窒素のある量を固定する能力又は炭素のある量を固定する能力などのある特性(例えば、機能)を示すかどうかに基づいて選択され得る。ブロック308では、選択された混合された環境試料は、1つ以上の環境条件を含む環境において培養され得る。例えば、環境条件は、特定の濃度のN気体、特定の濃度のCO気体、1つ以上の特定の栄養素の利用可能性、1つ以上の特定の塩、1つ以上の特定の添加物などを含み得る。選択された混合された環境試料は、数分、数時間、数日、数週間、数ヶ月又は数年の所定の期間、環境において、培養され得る。
【0105】
ブロック310では、選択された混合された環境試料の培養から得られた1つ以上の変数測定値に基づいて、特定の混合された環境試料が成功したバイオマイニング結果を生成したかどうかの決定が為され得る。様々な実施形態において、変数は、培養物中のバイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COがバイオマスによって隔離されている時間の量などの変数(例えば、気候変動変数)を含み得る。したがって、選択された混合された環境試料の培養物に対して得られた1つ以上の変数測定値のセットにおける各変数測定値が、対応する変数測定値閾値を少なくとも満たした場合に、成功したバイオマイニング結果が決定され得る。例えば、測定閾値の充足は、炭素隔離の増加、窒素固定の増加、バイオマスの増加又は特定の生存時間を満たすことができる微生物を有することの結果であり得る。決定ブロック312では、選択された混合された環境試料の培養物が成功した結果をもたらした場合(決定ブロック312における「はい」)、過程300はブロック314に進み得る。
【0106】
ブロック314では、選択された混合された環境試料の対応する微生物コンソーシアム中に存在する微生物に対する特定情報が取得され得る。例えば、対応する微生物コンソーシアムを構成する微生物のDNAが、(例えば、本明細書に記載されているように)単離され、配列決定され得る。各微生物についてのDNA内で、16S rRNA又はGroELなどのバイオマーカーが特定され得る。
【0107】
ブロック316では、選択された混合された環境試料の対応する微生物コンソーシアムは、微生物培養物へと培養され得る。ブロック318では、微生物培養物の培養物部分が試験のために選択され得る。いくつかの例では、培養物部分は、培養物の無作為に選択された部分であり得る。他の例では、培養物部分は、培養物部分が少なくともある微生物種を含有するかどうか、及び/又は窒素のある量を固定する能力、炭素のある量を固定する能力、及び/又はある生存時間/持続性を有する能力などのある特性(例えば、機能)を示すことができるかどうかに基づいて選択され得る。ブロック320では、微生物培養物の選択された培養物部分は、1つ以上の環境条件を含む環境で増殖させ得る。例えば、環境条件は、特定の濃度のN気体、特定の濃度のCO気体、1つ以上の特定の栄養素の利用可能性、1つ以上の特定の塩、1つ以上の特定の添加物などを含み得る。選択された培養物部分は、所定の期間にわたって環境において、増殖させ得る。
【0108】
ブロック322では、選択された培養物部分の1つ以上の変数測定値に基づいて、選択された培養物部分が成功した微生物バイオマイニング結果を生成したかどうかの決定が為され得る。様々な実施形態において、変数は、選択された培養物部分のバイオマスによって隔離されたCOの絶対量、隔離されたCOに対するバイオマスの比、COがバイオマスによって隔離されている時間の量などの変数(例えば、気候変動変数)を含み得る。したがって、培養物部分に対して得られた1つ以上の変数測定値のセットにおける各変数測定値が、対応する変数測定値閾値を少なくとも満たした場合に、成功した微生物バイオマイニング結果が決定され得る。例えば、測定閾値の充足は、炭素隔離の増加、窒素固定の増加、バイオマスの増加又は特定の生存時間を満たすことができる微生物を有することの結果であり得る。
【0109】
決定ブロック324では、選択された培養物部分が成功したバイオマイニング結果をもたらした場合(決定ブロック324における「はい」)、過程300はブロック326に進み得る。ブロック326では、選択された培養物部分の対応する微生物コンソーシアム中に存在する微生物に対する特定情報が取得され得る。例えば、対応する微生物コンソーシアムを構成する微生物のDNAが、単離され、配列決定され得る。各微生物についてのDNA内で、16S rRNA又はGroELなどのバイオマーカーが特定され得る。
【0110】
その後、過程300は決定ブロック328に進み得る。決定ブロック324に戻って、選択された培養物部分が成功したバイオマイニング結果をもたらさなかった場合(決定ブロック324における「いいえ」)、過程300は決定ブロック328に直接進み得る。決定ブロック328では、試験すべき培養物の培養物部分がさらに存在する場合(決定ブロック328における「はい」)、過程300はブロック330に進み得る。例えば、試験のために選択された微生物培養物の培養物部分の数が未だ閾値試験数に達していなければ、微生物培養物についての成功したバイオマイニング結果の数が未だ成功閾値数に達していなければ、又は微生物培養物の部分が試験のためになお残存していれば、試験すべき培養物部分がさらに存在し得る。ブロック330では、微生物培養物のさらなる培養物部分が試験のために選択され得る。その後、過程300はブロック320に戻り得る。
【0111】
しかしながら、試験すべき培養物の培養物部分がそれ以上存在しない場合(決定ブロック328における「いいえ」)、過程300は決定ブロック332に進み得る。決定ブロック332では、試験されるべき混合された環境試料がさらに存在する場合(決定ブロック332における「はい」)、過程300はブロック334に進み得る。ブロック334では、試験のための1つ以上の選択基準に基づいて追加の混合された環境試料が選択され得る。しかしながら、試験されるべき混合された環境試料がそれ以上存在しない場合(決定ブロック332における「いいえ」)、試験が終了するように、過程300はブロック334において終了し得る。例えば、試験のために選択された混合された環境試料の数が未だ閾値試験数に達していなければ、混合された環境試料の組み合わせについての成功したバイオマイニング結果の数が未だ成功閾値数に達していなければ、又は混合された環境試料が試験のためになお残存していれば、試験すべき混合された環境試料がさらに存在し得る。
【0112】
決定ブロック312に戻って、選択された混合された環境試料の培養物が成功したバイオマイニング結果をもたらさなかった場合(決定ブロック312における「いいえ」)、過程300は決定ブロック332に直接進み得る。いくつかの代替の実施形態において、過程300は、決定ブロック332に進む前にブロック316~330を通って進む代わりに、ブロック314から決定ブロック332に直接進み得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、例えば、図4に示されているように、本技術は、微生物種及び1つ以上の変数に関連するその他の情報を特定するために機械学習技術を提供する。例示的な過程400は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせにおいて実施することができる一連の操作を表す論理フローチャート内のブロックの集合として示されている。ソフトウェアの文脈では、ブロックは、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、記載された操作を実行するコンピュータ実行可能命令を表す。一般に、コンピュータ実行可能命令は、特定の機能を実行するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、コードセグメント、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み得る。操作が記載されている順序は、限定として解釈されることを意図するものではなく、過程を実施するために、任意の数の記載されたブロックが任意の順序で及び/又は並列して組み合わされ得る。
【0114】
ブロック402では、機械学習プラットフォームは、環境試料の1つ以上の環境試料変数値を、1つ以上の環境試料中に存在する1つ以上の微生物種及び1つ以上の微生物コンソーシアムの微生物変数値と少なくとも相関させる機械学習モデルを生成させ得る。様々な実施形態において、機械学習モデルは、このような変数値を環境変数(例えば、気候変動変数)の値とさらに相関させ得る。例えば、過程300などの微生物特定過程の実験及び反復の間、特定の環境試料源の場所、環境試料の組成、微生物、及びそれらの関連する遺伝的バイオマーカー、微生物コンソーシアムに関するデータは、様々な変数(例えば、気候変動又はその他)に関する結果と関係付けられ、機械学習モデルを生成するための訓練データとして使用され得る。その他に関係付けられる変数としては、固定された窒素の絶対量に対するバイオマスの質量比、バイオマスによるCO隔離から得られる総利益、バイオマスによって隔離されたCOの質量に対する生産された食物質量の比、COがバイオマスによって隔離されている時間の量などが挙げられ得る。
【0115】
ブロック404では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の変数値の入力を受信し得る。例えば、変数値は、微生物の表現型、窒素固定の所望の量、炭素隔離の所望の量、環境試料特性、1つ以上の気候変動変数などを含み得る。ブロック406では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の変数値に関連する情報の要求を含み得る。決定ブロック408では、要求された情報が1つ以上の変数値に関連する微生物種を含む場合、過程400はブロック410に進み得る。ブロック410では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の微生物種を特定するために、機械学習モデルを1つ以上の変数に適用し得る。いくつかの例では、機械学習モデルによって提案される微生物種は、微生物バイオマイニングのためにさらなる試験に使用され得る。
【0116】
決定ブロック408に戻って、要求された情報が1つ以上の変数に関連する環境特性を含む場合、過程400はブロック412に進み得る。ブロック412では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の変数値と関連付けられた1つ以上の環境特性を特定するために、機械学習モデルを1つ以上の変数に適用し得る。
【0117】
決定ブロック408に戻って、要求された情報が、1つ以上の変数に関連する微生物コンソーシアムを含む場合、過程400はブロック414に進み得る。ブロック414では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の変数値に関連付けられた少なくとも1つの微生物コンソーシアムを特定するために、機械学習モジュールを1つ以上の変数値に適用し得る。いくつかの例では、機械学習モデルによって提案される微生物コンソーシアムは、微生物バイオマイニングのためにさらなる試験に使用され得る。
【0118】
従来のバイオマイニングとは対照的に、本明細書に記載される用途中心のバイオマイニング技術は、(例えば、1つ以上の環境試料からの)微生物及び(例えば、天然のコンソーシアムからの1つ以上の微生物及び/又は異なる環境、生態系、生息地、及び/又は生態学的ニッチからの1つ以上の微生物を含む)微生物コンソーシアムの大きな試料から始まり、協調して作用する微生物の新しい組み合わせを含む新しいコンソーシアムを生成する。用途特異的変数について試験することにより、所望の結果を提供する微生物及び微生物コンソーシアムは、次いで配列決定され、次いで所望の微生物及び微生物コンソーシアムが特定及び/又は単離されるまで継代培養され得る。統計的に有意な量のデータを用いて、微生物及び微生物コンソーシアムの選択を補助するために機械学習モデルが開発され得る。構成する微生物に対する表現型データが機械学習モデルに補充されている場合、機械学習モデルは、従来のバイオマイニングも増強し得る。
【0119】
本明細書に記載されているように、用途中心のバイオマイニングは、微生物の基礎に存在する表現型ではなく、試験されている変数に焦点を当てる。試験されている変数は、炭素隔離の尺度などの関心対象の直接変数及び窒素固定などの関連する従属変数であり得る。変数は、微生物の生存時間及び/又は持続性など、性質上生物学的であり得る。試験されている変数は、表現型に又はその他直接微生物に結び付けられていないので、試験されている変数は、地球規模の気候変動及び/又は地球規模の食物生産に対する影響など、地球規模であり得る。さらに、試験されている変数は、性質上生物学的又は化学的である必要はない。試験されている変数は、炭素隔離からの利益及び食物生産対炭素隔離の比較など、経済的であり得る。
【0120】
農業及び土壌に関する特定の例では、試験されている変数のこの分離は、農業の幅広い範囲のより細かい分析を可能にする。過去には、1つの農場の影響は、土壌管理技術及び作物管理技術によって区別することができた。しかしながら、用途特異的バイオマイニングは、所望の結果を最大化するために変数を選択し、微生物コンソーシアムを見出す能力を提供する。これらの結果は農業的変数である必要はないので、用途特異的バイオマイニングは、農業のパフォーマンス及び生産を農業経済学及び気候変動などの任意変数に結び付ける能力を増大させる。
【0121】
いくつかの実施形態において、本技術は、指定された機能を提供する微生物コンソーシアムを選択するためのさらなる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本技術は、指定された機能を提供する微生物コンソーシアムを作製及び/又は同定するために、微生物群集、微生物コンソーシアム及び/又は複数の微生物をスクリーニングするための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本技術は、異なる環境、生態学的ニッチ及び/又は生息地からの微生物(例えば、自然界で一緒に見出されない微生物)を組み合わせることによって、自然界には見出されない微生物コンソーシアムを作製する。
【0122】
いくつかの実施形態において、例えば図5に示されるように、本技術は、指定された機能を提供する微生物コンソーシアムを作製するための方法を提供する。方法は、複数の微生物を含む試料を提供すること(501)、第Nの培養物を提供するために、第Nの体積の増殖培地に前記試料の一部を接種すること(502)、一連の選択的条件下で前記第Nの培養物を増殖させること(503)、前記第Nの培養物中の微生物の第Nの分類学的分類を生成すること(504)、第N+1の体積の前記増殖培地に前記第Nの培養物の一部を接種すること(505)、前記一連の選択的条件下で第N+1の培養物を増殖させること(506)、前記第N+1の培養物中の微生物の第N+1の分類学的分類を生成すること(507)、及び前記第N+1の分類学的分類及び前記第Nの分類学的分類を使用して、前記第Nの培養物に対する前記第N+1の培養物の微生物群集安定性の尺度を導出すること(508)、を含む。微生物群集安定性の尺度がプラトー値に達したことを特定するために、微生物群集安定性の尺度が監視される。微生物群集安定性の尺度がプラトー値に達していない場合(509)、工程505において第N+1の試料を第Nの試料として提供すること(510)によって、工程505~508が再び実行される。微生物群集安定性の尺度がプラトー値に達した場合(509)、本方法は、指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを含む培養物として安定な第N+1の培養物を提供すること(511)を含む。いくつかの実施形態において、工程505~508は、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回若しくは10回又はそれより多く繰り返される。
【0123】
いくつかの実施形態において、方法は、純粋な培養物中の安定な微生物コンソーシアムの微生物の各々を単離することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、純粋な培養物中の安定な微生物コンソーシアムの微生物の各々のゲノム配列を取得することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、(例えば、(例えば、-80℃で)凍結することによって)安定な微生物コンソーシアム及び/又は安定な微生物コンソーシアムの微生物の各々を保存することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、試験基質及び機能の出力を測定する方法を使用して、安定な微生物コンソーシアムの指定された機能を測定することをさらに含む。
【0124】
本技術は、本明細書に記載される方法(例えば、微生物コンソーシアムを選択するための方法及び/又は微生物コンソーシアムを特定するためにスクリーニングするための方法)が実施される出発物質(例えば、入力試料)として使用される微生物を含む試料(例えば、環境試料)の種類において限定されない。いくつかの実施形態において、使用される入力試料は、任意の供給源、例えば、天然に存在する又は人工の大気、水系及び水源、土壌又は任意の他の関心対象の試料からの環境試料であり得る。いくつかの実施形態において、環境試料は、例えば、屋内又は屋外の空気又は大気粒子収集システム;屋内表面及び機械、装置又は器具の表面から取得され得る。いくつかの実施形態において、生態系から試料が採取される(例えば、いくつかの実施形態において、試料は、生態系から採取された環境試料である。)。生態系は、陸上であり得、土壌、表面及び表面の上の環境を含むがこれらに限定されない全ての公知の陸上環境を含む。生態系としては、食糧農業機構の土地被覆分類体系(LCCS(Land Cover Classification System))及び米国林野部によって開発された森林草原環境調査生態系(FRES(Forest-Range Environmental Study Ecosystems))において分類されるものが挙げられる。例示的な生態系としては、森林、例えば、熱帯雨林、温帯雨林、温帯広葉樹林、北方林、タイガ及び山地針葉樹林;サバンナ及びステップを含む草原;砂漠;沼地帯、沼地、沼沢、河口及び泥沼を含む湿地帯;川岸生態系、高地及びツンドラ生態系が挙げられる。生態系としては、さらに、湖、河川、湧水、サンゴ礁、海岸、河口、海山、海溝及び潮間帯などの水性環境に関連するものが挙げられる。生態系は、土壌、腐植土、鉱質土壌及び帯水層も含む。生態系はさらに、鉱山、油田、洞窟、断層及び破砕帯、地熱帯並びに帯水層などの地下環境を包含する。生態系はさらに、植物、動物及びヒトに関連するマイクロバイオームを含む。例示的な植物関連マイクロバイオームには、根、樹皮、幹、葉及び花の中又はこれらの近くに見られるものが含まれる。動物及びヒト関連マイクロバイオームには、消化管、呼吸器系、鼻孔、泌尿生殖路、乳腺、口腔、耳道、糞便、尿及び皮膚に見られるものが含まれる。いくつかの実施形態において、試料は、臨床試料又は医学的試料の任意の種類であり得る。例えば、試料は、哺乳動物の血液、尿、糞便、鼻孔、肺又は腸からのものであり得る。
【0125】
例えば、いくつかの実施形態において、1つ以上の環境試料が収集される。単一の環境試料が収集される場合、方法は、(例えば、ブロック501において)入力試料を提供するために環境試料を均質化することを含む。複数の環境試料が収集される場合、方法は、混合された環境試料を提供するために、複数の環境試料を混合すること、及び(例えば、ブロック501において)入力試料を提供するために、混合された環境試料を均質化することを含む。
【0126】
入力試料を作製するために複数の環境試料の使用を含む実施形態では、複数の環境試料を収集及び混合することは、そこからスクリーニングするための微生物の統計的標本空間のみならず、入力試料に適用される本明細書に記載の技術を使用して特定及び/又は作製された微生物コンソーシアム中に存在する微生物の組み合わせも最大化するのに役立ち得る。さらに、本明細書に記載される技術が適用される入力試料を作製するために複数の環境試料を収集及び混合することは、通常は自然界の同じ環境中には生息しない微生物を組み合わせることによって、自然界には存在しない新規な微生物コンソーシアムを生成し得る。いくつかの実施形態において、微生物コンソーシアムの組み合わせの統計的標本空間をさらに増加させるために、地理的に異なる領域からの様々な環境試料が混合され得る。例えば、複数の実施形態は、複数の環境試料が取得され得ることを提供し、各環境試料は異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチから採取される。複数の実施形態はさらに、1m、10m、100m、1000m、10,000m又は10,000mを超えて互いに隔てられている部位から複数の環境試料が取得され得ることを提供する。いくつかの実施形態において、試料は、地球の地表及び水面の上及び下を含む地球上の任意の場所の2つ以上の点から取得される。
【0127】
いくつかの例では、複数の入力試料は、収集中に作製され得る。複数の入力試料の各入力試料は、一緒に混合される個々の環境試料の異なる組み合わせを含み得る。例えば、A及びB、B及びC又はA及びCを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B及びCが混合され得る。さらなる例として、A、B及びC;A、B及びD;A、C及びD;又はB、C及びDを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B、C及びDが混合され得る。別の例として、A及びB;A及びC;A及びD;A及びE;B及びC;B及びD;B及びE;C及びD;C及びE;D及びE;A、B及びC;A、B及びD;A、B及びE;A、C及びD;A、C及びE;A、D及びE;B、C及びD;B、C及びE;B、D及びE;C、D及びE;A、B、C及びD;A、B、C及びE;A、B、D及びE;A、C、D及びE;B、C、D及びE;又はA、B、C、D及びEを含む入力試料を提供するために、(1つ以上の異なる生態系、生息地及び/又は生態学的ニッチからの)環境試料A、B、C、D及びEが混合され得る。複数の入力試料の各入力試料は、入力試料を提供するために一緒に混合される複数の個々の試料のうち任意の2つの個々の環境試料の割合的組成の範囲を含み得る。例えば、任意の2つの個々の環境試料は、0.01~0.99の範囲の(例えば、第1の環境試料の0.01、0.05、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、0.95又は0.99を含む)第1の環境試料の割合的組成を含み、及び0.99~0.01の範囲の(例えば、第2の環境試料の0.99、0.95、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20、0.10、0.05又は0.01を含む)第2の環境試料の割合的組成を含む入力試料を提供するために一緒に混合され得る。
【0128】
入力試料は、混合される環境試料の量及び種類の多様性を使用して単離及び開発され得る。これは、微生物の組み合わせは有益であり得るのみならず、個々の微生物をより効果的でないようにし得るか、又は外来環境試料由来の微生物が優位となり得ることもあることが認識されているからである。さらに、本技術の実施形態は、入力試料を提供するために均質化されている単一の環境試料の使用を含む。当業者は、単一の環境試料が、自然界では混合されていないが、単一の試料が均質化されると混合された状態となる複数の個々の生態系又は生態学的ニッチを含み得ることを理解する。例えば、環境試料は、別個の階層、層又は亜群集として存在する複数の別個の部分試料、例えば、円筒形の土壌コア試料の階層、微生物マット試料の階層、水柱試料の階層、バイオフィルムを含む微生物群集の亜群集などを含み得る。
【0129】
したがって、本明細書で提供される方法の実施形態は、工程501において入力試料を提供するために均質化された単一の環境試料の使用を含み、並びに/又は工程501において入力試料を提供するために混合及び均質化された複数の環境試料の使用を含む。
【0130】
本技術は、指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを選択し、及び/又は指定された機能を実行する微生物コンソーシアムを特定しながら、(例えば、環境試料中に存在する)微生物の群集の複雑さを低減するための方法を提供する。微生物コンソーシアムが選択及び/又は同定され得る例示的な機能には、例えば、生分解、発酵、化学前駆体の産生、バイオセンシング、窒素固定及び炭素固定が含まれる。
【0131】
いくつかの実施形態において、環境試料は培養培地を接種するために使用され、接種された培養培地は、培養培地によって提供される選択的条件(例えば、炭素源の存在、非存在又は種類;窒素源の存在、非存在又は種類;補因子、ミネラル、ビタミン又は他の栄養素の存在、非存在又は種類;カチオン及び/又はアニオンの存在、非存在又は種類;微量鉱物、陽イオン及び/又は陰イオンの存在、非存在又は種類;砂又は他の固体基材などの固体増殖基材の存在、非存在又は種類)下で、又は増殖培地に外的に提供される選択的条件(例えば、温度;湿度;光の存在、非存在、波長及び/又は強度;明暗サイクル;圧力;培養体積;培養体積材料、サイズ又は幾何学的形状;培養撹拌の存在、非存在、種類又は強度;提供される気体の存在、非存在及び/又は種類)によって増殖される。
【0132】
いくつかの実施形態において、培養物は、(例えば、工程502及び/又は工程505において)接種され、(例えば、工程503及び/又は工程506において)一定時間、例えば30~60分間(例えば、30.0、30.5、31.0、31.5、32.0、32.5、33.0、33.5、34.0、34.5、35.0、35.5、36.0、36.5、37.0、37.5、38.0、38.5、39.0、39.5、40.0、40.5、41.0、41.5、42.0、42.5、43.0、43.5、44.0、44.5、45.0、45.5、46.0、46.5、47.0、47.5、48.0、48.5、49.0、49.5、50.0、50.5、51.0、51.5、52.0、52.5、53.0、53.5、54.0、54.5、55.0、55.5、56.0、56.5、57.0、57.5、58.0、58.5、59.0、59.5又は60.0分);1~24時間(例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、20.5、21.0、21.5、22.0、22.5、23.0、23.5又は24.0時間);1~30日間(例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、20.5、21.0、21.5、22.0、22.5、23.0、23.5、24.0、24.5、25.0、25.5、26.0、26.5、27.0、27.5、28.0、28.5、29.0、29.5又は30.0日間);及び/又は1~10週間(例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5又は10.0週間)増殖される。
【0133】
いくつかの実施形態において、培養増殖のための時間の長さを特定するために、増殖速度、指数増殖期までの時間、培養飽和までの時間又はその他の培養増殖特性の経験的測定値が測定される。いくつかの実施形態において、さらなる特性評価及び/又は選択のために微生物の堅牢な種類及び数を有する培養物を提供するために、指数増殖期の終わり又はその付近の培養物を提供する増殖時間が選択される。いくつかの実施形態において、増殖は、培養物の所定の体積中の微生物の絶対数又は相対数の測定値を使用して、定量的及び/又は定性的に測定される。いくつかの実施形態において、培養物の所定の体積中の微生物の絶対数又は相対数は、光散乱を使用して、培養物から単離された固体(例えば、細胞)の乾燥若しくは湿潤質量を測定して、培養物の一部を使用して固体培地上で増殖されたコロニーを計数して、又は培養物中の微生物の数と相関関係若しくは因果関係を有する培養物若しくはその一部の何らかの他の特徴を測定して測定される。いくつかの実施形態において、増殖は、増殖曲線を決定することによって特徴付けられ、いくつかの実施形態において、増殖は、倍加時間及び/又は半飽和までの時間を決定することによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、増殖速度は、経験的データを使用して(例えば、増殖の対数モデルを使用して)モデル化される。
【0134】
いくつかの実施形態において、培養物中の微生物は、(例えば、工程507において)ショットガンメタゲノムシーケンシングによって特徴付けられる。環境試料又は臨床試料などの試料中の複数の生物から遺伝子配列を得るための技術及びシステムは、当業者に周知である。例えば、Zhouら(Appl.Environ.Microbiol.(1996)62:316-322)は、堅牢な核酸抽出及び精製を提供する。このプロトコルはまた、実験の目標並びに土壌、堆積物及び地下水などの環境試料の種類に応じて修正され得る。多くの市販のDNA抽出及び精製キットも使用することができる。2pg未満の精製されたDNAを有する試料は増幅を必要とすることがあり得、これは、全生物群集ゲノム増幅(WCGA(whole community genome amplification))法(Wu et al.,Appl.Environ.Microbiol.(2006)72,4931-4941)などの本技術分野において公知の従来の技術を使用して実行することができる。環境試料から精製されたRNAを得るための技術及びシステムも当業者に周知である。例えば、Hurtら(Appl.Environ.Microbiol.(2001)67:4495-4503)によって記載されたアプローチを使用することができる。この方法は、同じ試料内でDNAとRNAを同時に単離することができる。生物群集RNAを単離するために、ゲル電気泳動法を使用することもできる(McGrath et al.,J.Microbiol.Methods(2008)75:172-176)。5pg未満の精製されたRNAを有する試料は増幅を必要とすることがあり得、これは、cDNAを得るための全生物群集RNA増幅アプローチ(WCRA(whole community RNA amplification))(Gao et al.,Appl.Environ.Microbiol.(2007)73:563-571)などの当技術分野において公知の従来の技術を使用して実行することができる。いくつかの実施形態において、環境試料採取及びDNA抽出は、以前に記載されたように行われる(DeSantis et al.,Microbial Ecology,53(3):371-383,2007)。
【0135】
メタゲノムシーケンシングデータを得るために、単離された核酸(例えば、メタゲノムDNA)を配列決定方法に供することができる。配列決定方法は、鋳型増幅を通例使用するものと使用しないものとに大別することができる。増幅を必要とする方法としては、Rocheによって454技術プラットフォーム(例えば、GS20及びGS FLX)として市販されているパイロシーケンシング、Life Technologies/Ion Torrent、Illuminaによって市販されているSolexaプラットフォーム、GnuBio、及びApplied Biosystemsによって市販されているSupported Oligonucleotide Ligation and Detection(SOLiD)プラットフォームが挙げられる。単一分子シーケンシングとしても知られる非増幅アプローチは、それぞれHelicos BioSciencesによって市販されているHeliScopeプラットフォーム並びにVisiGen、Oxford Nanopore Technologies Ltd.及びPacific Biosciencesによって市販されている新たなプラットフォームによって例示される。したがって、メタゲノムショットガンシーケンシングは、いくつかの実施形態において、パイロシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、単一分子シーケンシング、合成によるシーケンス(SBS)、半導体シーケンシング、ナノポアシーケンシング、超並列クローナル、超並列単一分子SBS、超並列単一分子リアルタイム、超並列単一分子リアルタイムナノポア技術などを含む。Morozova及びMarraは、その全体が参照により本明細書に組み入れられるGenomics,92:255(2008)にいくつかのそのような技術の総説を提供している。当業者であれば、RNAは細胞内で安定性がより低く、ヌクレアーゼ攻撃をより受けやすいので、実験的にはRNAは通常、配列決定前にDNAに逆転写されることを認識するであろう。
【0136】
いくつかのDNA配列決定技術の具体的な記述には、蛍光ベースの配列決定法(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるBirren et al.,Genome Analysis:Analyzing DNA,1,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照);自動配列決定技術;分割されたアンプリコンの並列シーケンシング(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Kevin McKernanらの国際公開第2006084132号);及び並列オリゴヌクレオチド伸長による配列決定(例えば、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Maceviczらの米国特許第5,750,341号及びMaceviczらの米国特許第6,306,597号を参照)。配列決定技術のさらなる記述には、Churchポロニー技術(Mitra et al.,2003,Analytical Biochemistry 320,55-65;Shendure et al.,2005,Science,309,1728-1732;米国特許第6,432,360号;米国特許第6,485,944号;米国特許第6,511,803号;参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる)、454ピコタイターパイロシーケンシング技術(Margulies et al.,2005,Nature 437,376-380;米国特許出願公開第20050130173号;参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる)、Solexa一塩基付加技術(Bennett et al.,2005,Pharmacogenomics,6,373-382;米国特許第6,787,308号;米国特許第6,833,246号;参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる)、Lynx超並列シグネチャシーケンシング技術(Brenner et al.(2000).Nat.Biotechnol.18:630-634;米国特許第5,695,934号;米国特許第5,714,330号;参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)及びAdessi PCRコロニー技術(Adessi et al.(2000).Nucleic Acid Res.28,E87;国際公開第00018957号;参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)が含まれる。例えば、Voelkerding et al.,Clinical Chem.,55:641-658,2009;MacLean et al.,Nature Rev.Microbiol.,7:287-296;それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)も参照されたい。
【0137】
メタゲノム核酸が(例えば、工程507において)そこから得られた微生物群集(例えば、微生物コンソーシアム)を特徴付けるために、メタゲノムヌクレオチド配列データを分析することができる。例えば、いくつかの実施形態において、微生物群集における分類単位は、微生物群集からメタゲノムヌクレオチド配列データを取得し、(例えば、精選されたデータベースを使用して)メタゲノムヌクレオチド配列データ中の短いゲノム部分列(kマー)を最小共通祖先(LCA)分類群と関連付けるアルゴリズムを使用することによって、分類学的に分類及び/又は特定される。例えば、例えば、参照によりそれらの各々が本明細書中に組み入れられる、Wood(2014)“Kraken:ultrafast metagenomic sequence classification using exact alignments”Genome Biology 15:R46 and Wood(2019)“Improved metagenomic analysis with Kraken 2” Genome Biology 20:257を参照されたい。いくつかの実施形態において、微生物群集(例えば、微生物コンソーシアム)中に存在する微生物の分類単位を特定するために、BLASTが使用される。例えば、参照により本明細書に組み入れられるAltschul(1990)“Basic local alignment search tool”J Mol Biol 215:403-410を参照されたい。微生物群集からのメタゲノム配列データを使用して微生物群集における分類単位を特定するための他のツールとしては、例えば、MEGAN(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Huson(2007)“MEGAN analysis of metagenomic data”Genome Res 17:377-386を参照);PhymmBL(例えば、Brady(2009)“Phymm and PhymmBL:metagenomic phylogenetic classification with interpolated Markov models”Nat Methods 6:673-676;及びBrady(2011)“PhymmBL expanded:confidence scores,custom databases,parallelization and more”Nat Methods 8:367を参照、参照によりこれらの各々は本明細書に組み入れられる);及び単純ベイズ分類器(NBC)(例えば、参照により本明細書に組み入れられるRosen(2008)“Metagenome fragment classification using N-mer frequency profiles” Adv Bioinformatics 2008:1-12を参照)が挙げられる。
【0138】
いくつかの実施形態において、微生物群集を特徴付けることは、絶対的及び/又は相対的な用語で微生物群集中に存在する生物の分類単位(例えば、株、亜種、種、属、科)を特定することを含む。いくつかの実施形態において、微生物群集を特徴付けることは、例えば相対的用語で、以前の継代又は当初の環境試料に関して特定の継代において濃縮されている生物の分類単位(例えば、株、亜種、種、属、科)を特定することを含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、本技術は、第2の体積の新鮮な培地を接種するために第1の培養物の一部が使用される反復法(例えば、工程505~510の反復を含む方法500)を提供する。したがって、いくつかの実施形態において、(例えば、第1の試料と同じ又は異なる増殖培地を含む)第2の培養物に接種するために、第1の培養物(例えば、選択的増殖培地に環境試料を接種することによって作製された培養物)の一部が使用される。いくつかの実施形態において、第3の培養物に接種するために第2の培養物の一部が使用される。いくつかの実施形態において、第4の培養物に接種するために第3の培養物の一部が使用される。いくつかの実施形態において、第5の培養物に接種するために第4の培養物の一部が使用される。いくつかの実施形態において、第6の培養物に接種するために第5の培養物の一部が使用される。いくつかの実施形態において、第7の培養物に接種するために第6の培養物の一部が使用される。いくつかの実施形態において、第8の培養物に接種するために第7の培養物の一部が使用される。いくつかの実施形態において、第N+1の培養物に接種するために第Nの培養物の一部が使用される。いくつかの実施形態において、第Nの培養物は、環境試料の少なくとも一部を使用して接種された第1の培養物である。いくつかの実施形態において、第Nの培養物は、先行培養物(例えば、それぞれ第1、第2、第3、第4、第5、第6又は第7の培養物)を使用して接種された培養物の少なくとも一部を使用して接種された第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8などの培養物である。本明細書で使用される場合、第N+1の培養物に接種するために第Nの培養物の一部を使用することによる反復的培養の過程は、培養物の「継代」と呼ばれる。
【0140】
さらに、環境試料から直接接種された培養物は、本明細書ではP0(ゼロ)培養物として参照され得る;第1の継代は、新鮮な培養培地に接種してP1培養物を作製するために、P0培養物の一部を使用することを含む;第2の継代は、新鮮な培養培地に接種してP2培養物を作製するために、P1培養物の一部を使用することを含む;第3の継代は、新鮮な培養培地に接種してP3培養物を作製するために、P2培養物の一部を使用することを含む;第4の継代は、新鮮な培養培地に接種してP4培養物を作製するために、P3培養物の一部を使用することを含む;第5の継代は、新鮮な培養培地に接種してP5培養物を作製するために、P4培養物の一部を使用することを含む;第6の継代は、新鮮な培養培地に接種してP6培養物を作製するために、P5培養物の一部を使用することを含む;第7の継代は、新鮮な培養培地に接種してP7培養物を作製するために、P6培養物の一部を使用することを含む;第8の継代は、新鮮な培養培地に接種してP8培養物を作製するために、P7培養物の一部を使用することを含む;第Nの継代は、PN培養物を作製するために、P(N-1)培養物の一部を使用することを含む。本明細書で使用される場合、「継代番号」という用語は、番号によって示される特定の継代を指し、例えば、継代番号1は第1の継代を指し、継代番号2は第2の継代を指すなどである。
【0141】
いくつかの実施形態において、第N+1の(例えば、第2の)培養物を接種するために使用される第Nの(例えば、第1の)培養物の一部の体積は、培養過程の規模に応じて(例えば、研究規模からパイロット規模、商業生産規模まで)、100μl~100L又はそれを超える。したがって、複数の実施形態は、1つの培養物から100μl~100L(例えば、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950若しくは1000μl;1、2、5、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950若しくは1000mL;又は1、2、5、10、20、50若しくは100L)の体積を取り出し、その体積を新鮮な培養培地に添加することを提供する。いくつかの実施形態において、接種体積と新鮮な培養培地の体積の比は、約1:10~1:1000である。したがって、いくつかの実施形態において、新鮮な培養培地の容量は、1ml~100,000L(例えば、1;2;5;10;20;50;100;200;500;又は1000mL;1;2;5;10;20;50;100;200;500;1000;2000;5000;10,000;20,000;50,000;又は100,000L)である。
【0142】
いくつかの実施形態において、微生物群集及び/又は微生物コンソーシアムの安定性は、例えば、第1の培養物と第1の培養物の一部を使用して接種された第2の培養物との間の類似性(又は非類似性)の尺度を導出し、任意に、その後の接種の関数として類似性の尺度を経過観察することによって(例えば、工程508において)測定される。いくつかの実施形態において、(例えば、上に記載された分類学的分類指標(例えば、Kraken2)によって提供されるような)微生物群集中の生物の分類学的分類及び/又は特定は、このような安定性の尺度への入力を提供することができる。いくつかの実施形態において、微生物群集によって提供される及び/又は微生物群集中に存在する機能的能力又は機能(例えば、遺伝子、遺伝子産物、機能的能力及び/又は活性)は、安定性の尺度への入力を提供する。
【0143】
微生物群集の類似性(又は非類似性)を比較するために、微生物群集の豊富度及び多様性の推定(例えば、その各々が参照により本明細書に組み入れられる、Hughes(2001)“Counting the uncountable:statistical approaches to estimating microbial diversity”Appl.Environ.Microbiol.67:4399-4406;及びLey(2005)“Obesity alters gut microbial ecology”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102号:11070-11075を参照)及びアルファ又はベータ多様性の推定、例えば、Bray-Curtis 非類似度指数(Bray and Curtis(1957)“An Ordination of the Upland Forest Communities of Southern Wisconsin”Ecol.Monogr.27:325-349、参照により本明細書に組み入れられる)を含む様々な尺度を使用することができる。Bray-Curtis距離は、ecodistパッケージ(参照により本明細書に組み入れられるGoslee(2007)“The ecodist package for dissimilarity-based analysis of ecological data”J Stat Softw 22:1-19)中のbcdist関数を使用して計算され得る。群集データのBray-Curtis距離行列、地理的距離及び環境変数間の相関は、veganパッケージ(Oksanen,vegan:Community Ecology Package for R)中のマンテル関数;例えば、参照により本明細書に組み入れられるLegendre,P.and Legendre,L.(2012)Numerical Ecology.3rd English EditionElsevierを参照)を使用して計算され得る。
【0144】
(例えば、群集メンバーの存在量を記述する)微生物群集構造のこれら及びその他の推定を提供するいくつかのツールが利用可能である。例えば、LIBSHUFF(Schloss(2004)“Integration of microbial ecology and statistics:a test to compare gene libraries”Appl.Environ.Microbiol.70:5485-5492;及びSingleton(2001)“Quantitative comparisons of 16S rRNA gene sequence libraries from environmental samples”Appl.Environ.Microbiol.67:4374-4376、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる)、TreeClimber(Martin(2002)“Phylogenetic approaches for describing and comparing the diversity of microbial communities”Appl.Environ.Microbiol.68:3673-3682;及びSchloss(2006)“Introducing TreeClimber,a test to compare microbial community structures”Appl.Environ.Microbiol.72:2379-2384、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる)、UniFrac(Lozupone(2005)“UniFrac:a new phylogenetic method for comparing microbial communities” Appl.Environ.Microbiol.71:8228-8235、参照により本明細書に組み入れられる)、及び分子分散分析(AMOVA)(Excoffier(1992)“Analysis of molecular variance inferred from metric distances among DNA haplotypes:application to human mitochondrial DNA restriction data”Genetics 131:479-491;及びMartin(2002)“Phylogenetic approaches for describing and comparing the diversity of microbial communities”Appl.EnvironMicrobiol.68:3673-3682、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる);DOTUR(Schloss(2005)“Introducing DOTUR,a computer program for defining operational taxonomic units and estimating species richness”Appl.Environ.Microbiol.71:1501-1506、参照により本明細書に組み入れられる);並びにメンバーシップ(例えば、出現率をベースとするSorenson類似度指数)、存在量を使用する群集構造(例えば、Claytonθ(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Yue(2001)“A nonparametric estimator of species overlap” Biometrics 57:743-9を参照)及び群集豊富度(例えば、Chao(1984)“Non-parametric estimation of the number of classes in a population”Scand.J.Stat.11:265-270;Chao(2005)“A new statistical approach for assessing similarity of species composition with incidence and abundance data”Ecol.Lett.8:148-159;Chao(2000)“Estimating the number of shared species in two communities”Stat.Sinica 10:227-246;Chao(1992)“Estimating the number of classes via sample coverage”J.Am.Stat.Assoc.87:210-217;及びChao(2006)“The applications of Laplace’s boundary-mode approximations to estimate species richness and shared species richness”Aust.N.Z.J.Stat.48:117-128を参照、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる)の尺度を含むいくつかの尺度を提供する、SONS(Schloss(2006)“Introducing SONS,a Tool for Operational Taxonomic Unit-Based Comparisons of Microbial Community Memberships and Structures”Appl Environ Microbiol.72:6773-6779、参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい。
【0145】
本明細書で使用される場合、「安定な」という用語は、微生物群集(例えば、微生物群集、微生物コンソーシアム、微生物培養物又は微生物のその他の群、セット若しくは集合)に関して使用される場合、外的因子(光、栄養素、温度、通気など)を含む培養条件が第1及び第2の培養物について同じである場合に、培養培地に接種して第2の培養物を作製するために第1の培養物の一部が使用されるときに、(例えば、上記の類似度の測定によって測定された場合に)第1の培養物から第2の培養物に有意に変化しない微生物群集を指す。したがって、本明細書で使用される場合、「安定性」という用語は、微生物群集に関して使用される場合(例えば、「微生物群集安定性」)、外的因子(光、栄養素、温度、通気など)を含む培養条件が第1及び第2の培養物について同じである場合に、培養培地に接種して第2の培養物を作製するために第1の培養物の一部が使用されるときに、第1の培養物から第2の培養物への(例えば、上記の類似度の測定によって測定された)微生物群集(例えば、微生物群集、微生物コンソーシアム、微生物培養物又は微生物のその他の群、セット若しくは集合)の変化の定性的又は定量的指標又は測定を指す。
【0146】
したがって、(例えば、工程508,509及び511において)継代数の関数として培養物、微生物群集及び/又は微生物コンソーシアムの類似度測定を監視することにより、継代過程からの培養物中の培養物、微生物群集及び/又は微生物コンソーシアムの安定性の測定が提供される。継代数の関数としての類似度測定の変化率の減少は、培養物、微生物群集及び/又は微生物コンソーシアムの安定性の増加を示す。継代数の関数としての類似度測定のプラトー化又は安定化は、培養物、微生物群集及び/又は微生物コンソーシアムが(例えば、工程509及び511において)最大安定性にあるか又は最大安定性に近づいていることを示す。例えば、いくつかの実施形態において、安定性尺度が以前の安定性尺度の10~20%(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%)以内である場合に、安定性尺度のプラトーが達せられる。いくつかの実施形態において、安定性尺度が複数の継代について(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回又は8回の継代について)以前の安定性尺度の10~20%(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%)以内であるとき、安定性尺度のプラトーが達せられる。いくつかの実施形態において、継代数の関数として安定性尺度にフィッティングした線の勾配が0、実質的に0又は事実上0であるときにプラトーが達せられる。
【0147】
さらに、本明細書で使用される場合、「安定な」という用語は、微生物群集(例えば、微生物群集、微生物コンソーシアム、微生物培養物又は微生物のその他の群、セット若しくは集合)によって提供される及び/又は行われる1つ以上の機能に関して使用される場合、外的因子(光、栄養素、温度、通気など)を含む培養条件が第1及び第2の培養物について同じである場合に、培養培地に接種して第2の培養物を作製するために第1の培養物の一部が使用されるときに、(例えば、メタゲノム配列の検査によって及び/又はそこから機能を推測することによって測定された場合に)第1の培養物から第2の培養物に有意に変化しない1つ以上の機能を指す。したがって、本明細書で使用される場合、「安定性」という用語は、微生物群集によって提供される1つ以上の機能に関して使用される場合(例えば、「機能的安定性」)、外的因子(光、栄養素、温度、通気など)を含む培養条件が第1及び第2の培養物について同じである場合に、培養培地に接種して第2の培養物を作製するために第1の培養物の一部が使用されるときに、第1の培養物から第2の培養物への(例えば、上記の類似度の測定によって測定された)微生物群集(例えば、微生物群集、微生物コンソーシアム、微生物培養物又は微生物のその他の群、セット若しくは集合)によって提供される1つ以上の機能の変化の定性的又は定量的指標又は測定を指す。したがって、微生物群集が機能的に安定であり得るが、微生物群集が微生物群集安定性を有しないようにメンバー構成及び/又はメンバーの存在量が変化するように、機能的安定性と微生物安定性は独立であり得る。したがって、微生物群集は、機能的安定性と微生物群集安定性の両方を有し得る。微生物群集は、機能的安定性も微生物群集安定性も有さないことがあり得る。微生物群集は、(例えば、微生物群集安定性の状態にかかわらず)機能的安定性を有し得る。微生物群集は、(例えば、機能的安定性の状態にかかわらず)微生物群集安定性を有し得る。
【0148】
本明細書の開示はある特定の例示された実施形態に言及しているが、これらの実施形態は限定ではなく例として提示されていることを理解されたい。上記の明細書で言及された全ての刊行物及び特許は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。記載された技術の範囲及び精神から逸脱することなく、本技術の記載された組成物、方法及び使用の様々な改変及び変形が当業者には明らかであろう。特定の例示的な実施形態に関連して本技術を説明してきたが、特許請求される本発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者に明らかな本発明を実施するための記載された態様の様々な改変は、以下の特許請求の範囲内であることが意図されている。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
【国際調査報告】