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特表2024-501586正弦波形を負荷に供給する線形増幅器
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  • 特表-正弦波形を負荷に供給する線形増幅器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】正弦波形を負荷に供給する線形増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/217 20060101AFI20240104BHJP
   H03F 3/21 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
H03F3/217 130
H03F3/21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563361
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2021032211
(87)【国際公開番号】W WO2022215285
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】21305443.0
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】レグナト、ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】ペラン、ルミ
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル、ギョーム
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC21
5J500AC36
5J500AC92
5J500AF15
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH19
5J500AH39
5J500AK49
5J500AM09
5J500AT01
(57)【要約】
本発明は、正弦波形を負荷に供給する線形増幅器であって、線形増幅器は、非対称増幅器とHブリッジモジュールとから構成され、非対称増幅器は、Hブリッジモジュールによって、負荷に供給される正弦波信号へと変換される全波整流正弦信号を増幅する少なくとも1つのトランジスタを備えることを特徴とする、線形増幅器に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正弦波形を負荷に供給する線形増幅器であって、前記線形増幅器は、非対称増幅器とHブリッジモジュールとから構成され、前記非対称増幅器は、前記Hブリッジモジュールによって、前記負荷に供給される正弦波信号へと変換される全波整流正弦信号を増幅する少なくとも1つのトランジスタを備えることを特徴とする、線形増幅器。
【請求項2】
前記非対称増幅器は、同じタイプの複数のトランジスタを備え、前記複数のトランジスタのそれぞれには同じ全波整流正弦信号が供給されることを特徴とする、請求項1に記載の線形増幅器。
【請求項3】
前記トランジスタは、N型半導体であることを特徴とする、請求項2に記載の線形増幅器。
【請求項4】
前記複数のトランジスタのそれぞれは、オフ状態又は線形増幅状態又はオン状態にあり、前記複数のトランジスタのうちの1つトランジスタのみが、前記全波整流正弦信号の期間のうちの少なくとも1つの期間中に線形増幅状態にあることを特徴とする、請求項2又は3に記載の線形増幅器。
【請求項5】
前記非対称増幅器は、前記複数のトランジスタの数と同じ数のDC電圧源を備えることを特徴とする、請求項4に記載の線形増幅器。
【請求項6】
各前記DC電圧源は、同じ電圧値を供給することを特徴とする、請求項5に記載の線形増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、正弦波形を負荷に供給する線形増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
線形モードは、一般に、正弦波信号の増幅又は直接電流制御のために、電力及び無線周波数用途に使用されている。
【0003】
パワーエレクトロニクス用途では、線形モードは、パワー半導体をゲートを通じて直接制御する電流源として、ファン用途又はバッテリ充電に使用される。
【0004】
一方、いわゆる「A級」又は「B級」の線形増幅器は、本質的に、連続した正弦波電圧及び/又は電流を生成するのに対し、パルス幅変調(PWM)インバータは、離散的な電圧パルス列を負荷に印加する。
【0005】
線形増幅器は、半導体デバイスが常に線形増幅状態で作動する(したがって、トランジスタには、電流及び電圧が交差する)ことから、大量の電力損失を伴う。したがって、線形増幅器の効率(およそ78.5%)は、従来のB級増幅器と比較して非常に低い。
【0006】
B級又は「プッシュプル」型線形電力増幅器は、対称正弦波形を生成するために、相補的なスイッチP及びNの対を使用する。
【0007】
この基本的なB級セルの低効率に対処するために、例えば、各スイッチステージへの制約を低減するようにステージの数を増大すること等、さまざまな種類の改善策が公開されている。ステージの数を増やす改善策は、コスト及び回路の複雑度によって制限される。
【0008】
上記の段落で説明したように、高効率の増幅器には多数のステージが必要であり、P型半導体及びN型半導体の数が増加するとともに、回路が非常に複雑となる。製造に関して、P型半導体は、N型半導体ほど多く使用されていないため、P型半導体を利用する方が困難であり、種類も少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、構成要素の数を削減して、より高効率で、N型半導体のみを有する回路の新たなトポロジを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明は、正弦波形を負荷に供給する線形増幅器であって、線形増幅器は、非対称増幅器とHブリッジモジュールとから構成され、非対称増幅器は、Hブリッジモジュールによって、負荷に供給される正弦波信号へと変換される全波整流正弦信号を増幅する少なくとも1つのトランジスタを備えることを特徴とする、線形増幅器に関する。
【0011】
そのため、同じタイプの半導体のみを使用することができ、構成要素の数が削減され、より高効率が得られる。
【0012】
特定の特徴によれば、非対称増幅器は、同じタイプのトランジスタを複数備え、各トランジスタには同じ全波整流正弦信号が供給される。
【0013】
そのため、線形増幅器の効率が改善される。
【0014】
特定の特徴によれば、トランジスタは、N型半導体である。
【0015】
そのため、半導体の選択肢が増え、線形増幅器のコストが削減される。
【0016】
特定の特徴によれば、各トランジスタは、オフ状態又は線形増幅状態又はオン状態にあり、複数のトランジスタのうちの1つトランジスタのみが、全波整流信号の期間のうちの少なくとも1つの期間中に線形増幅状態にある。
【0017】
そのため、トランジスタの線形増幅状態の持続時間が短くなり、トランジスタがサポートするストレスが少なくなる。
【0018】
特定の特徴によれば、非対称増幅器は、トランジスタの数と同じ数のDC電圧源を備える。
【0019】
そのため、トランジスタの線形増幅状態の持続時間を容易に制御することができる。
【0020】
特定の特徴によれば、各電圧源は、同じ電圧値を供給する。
【0021】
そのため、半導体は同じ降伏電圧を有し、非対称線形増幅器の大量生産のための半導体選択が容易になり、コストが削減される。
【0022】
本発明の特徴は、例示の実施形態の以下の説明を読むことによってより明確になる。この説明は、添付の図面を参照して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による線形増幅器のアーキテクチャの一例を示す図である。
図2】非対称線形増幅器のパワー半導体の動作モードの違いによるクロノグラムである。
図3】本発明による非対称線形増幅器の異なる信号の波形を示す図である。
図4】線形増幅器のHブリッジモジュールの半導体を制御する波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明による線形増幅器のアーキテクチャの一例を示している。
【0025】
本発明によれば、線形増幅器は、非対称線形増幅器10とHブリッジモジュール15とから構成される。
【0026】
非対称線形増幅器10は、少なくとも1つのトランジスタから構成され、このトランジスタのゲートは、正の全波整流正弦信号によって駆動される。図1の例では、非対称線形増幅器10は、4つのトランジスタTr1、Tr2、Tr3及びTr4と、3つのダイオードD1、D2及びD3と、4つのDC電圧源V1、V2、V3及びV4とを備える。
【0027】
より少数又はより多数のトランジスタを非対称線形増幅器において使用してもよい。
【0028】
トランジスタは、例えば、N型MOSFETである。
【0029】
トランジスタTr1~Tr4の各ゲートに印加される信号は、同じ信号Vinであり、正の全波整流正弦信号である。
【0030】
トランジスタTr1のドレインは、DC電圧源V1の第1の端子に接続されている。
【0031】
トランジスタTr1のソースは、ダイオードD1のカソードに接続されている。ダイオードD1のアノードは、DC電圧源V1の第2の端子およびDC電圧源V2の第1の端子に接続されている。
【0032】
DC電圧源V1の第2の端子とDC電圧源V1の第1の端子との間の電圧は正である。
【0033】
トランジスタTr2のドレインは、トランジスタTr1のソースとダイオードD1のカソードとに接続されている。
【0034】
トランジスタTr2のソースは、ダイオードD2のカソードに接続されている。ダイオードD2のアノードは、DC電圧源V2の第2の端子およびDC電圧源V3の第1の端子に接続されている。
【0035】
DC電圧源V2の第2の端子とDC電圧源V2の第1の端子との間の電圧は正である。
【0036】
トランジスタTr3のドレインは、トランジスタTr2のソースおよびダイオードD2のカソードに接続されている。
【0037】
トランジスタTr3のソースは、ダイオードD3のカソードに接続されている。ダイオードD3のアノードは、DC電圧源V3の第2の端子およびDC電圧源V4の第1の端子に接続されている。
【0038】
DC電圧源V3の第2の端子とDC電圧源V3の第1の端子との間の電圧は正である。
【0039】
トランジスタTr4のドレインは、トランジスタTr3のソースおよびダイオードD3のカソードに接続されている。
【0040】
トランジスタTr4のソースは、Hブリッジモジュール15の第1の端子に接続されている。
【0041】
DC電圧源V4の第2の端子は、Hブリッジモジュール15の第2の端子と接地とに接続されている。
【0042】
DC電圧源V4の第2の端子とDC電圧源V4の第1の端子との間の電圧は正である。
【0043】
各DC電圧源V1~V4によって供給される電圧は等しく、Vdc/4であることが好ましい。例えば、ここでは、Vdcは300ボルトである。
【0044】
一変形形態では、各DC電圧源V1~V4によって供給される電圧は異なる。
【0045】
Hブリッジモジュール15は、4つのスイッチS1、S2、S3及びS4から構成されている。
【0046】
スイッチS1の第1の端子は、Hブリッジモジュール15の第1の端子に接続され、スイッチS3の第1の端子は、Hブリッジモジュール15の第1の端子に接続されている。
【0047】
スイッチS1の第2の端子は、スイッチS2の第1の端子および負荷Loの第1の端子に接続されている。スイッチS3の第2の端子は、スイッチS4の第1の端子および負荷Loの第2の端子に接続されている。
【0048】
スイッチS2の第2の端子は、Hブリッジモジュール15の第2の端子に接続されている。スイッチS4の第2の端子は、Hブリッジモジュール15の第2の端子に接続されている。
【0049】
負荷Loは、例えば、パワーグリッドである。線形増幅器は、Hブリッジモジュールによって展開される全波整流正弦電流Iampを供給することによって、正弦波電流をパワーグリッドに供給する。
【0050】
図2は、非対称線形増幅器のパワー半導体の動作モードの違いによるクロノグラムを示している。
【0051】
電圧Vampは、Hブリッジモジュール15の第1の端子と第2の端子との間の電圧である。
【0052】
トランジスタTr1~Tr4は、オフ状態又はオン状態又は線形増幅状態にある。
【0053】
図2において、線形増幅状態は水平線の領域で示されており、オン状態は垂直線の領域で示されている。
【0054】
時点tからtまでの間において、トランジスタTr4は線形増幅状態にあり、トランジスタTr1~Tr3はオフ状態にある。
【0055】
時点tからtまでの間において、トランジスタTr4はオン状態にあり、トランジスタTr3は線形増幅状態にあり、トランジスタTr2及びTr1はオフ状態にある。
【0056】
時点tからtまでの間において、トランジスタTr3及びTr4はオン状態にあり、トランジスタTr2は線形増幅状態にあり、トランジスタTr1はオフ状態にある。
【0057】
時点tからtまでの間において、トランジスタTr2、Tr3及びTr4はオン状態にあり、トランジスタTr1は線形増幅状態にある。
【0058】
時点tからtまでの間において、トランジスタTr3及びTr4はオン状態にあり、トランジスタTr2は線形増幅状態にあり、トランジスタTr1はオフ状態にある。
【0059】
時点tからtまでの間において、トランジスタTr4はオン状態にあり、トランジスタTr3は線形増幅状態にあり、トランジスタTr2及びTr1はオフ状態にある。
【0060】
時点tからtまでの間において、トランジスタTr4は線形増幅状態にあり、トランジスタTr1~Tr3はオフ状態にある。
【0061】
ここで、線形増幅状態を飽和状態と呼称してもよく、オン状態をオーム状態と呼称してもよいことに留意されたい。
【0062】
図3は、本発明による非対称線形増幅器の異なる信号の波形を示している。
【0063】
図3では、信号Vin、Vamp、Iamp及びVloが示されている。
【0064】
信号Vloは、負荷Loにかかる電圧である。
【0065】
図4は、線形増幅器のHブリッジモジュールの半導体を制御する波形を示している。
【0066】
図4において、電圧Vloと、スイッチS1及びS4に印加されるコマンド信号S1-S4と、スイッチS2及びS3に印加されるコマンド信号S2-S3とが示されている。
【0067】
電圧Vloが正であるとき、コマンド信号S1-S4はハイであり、スイッチS1及びS4は導通している。
【0068】
電圧Vloが正であるとき、コマンド信号S2-S3はローであり、スイッチS2及びS3は導通していない。
【0069】
電圧Vloが負であるとき、コマンド信号S1-S4はローであり、スイッチS1及びS4は導通していない。
【0070】
電圧Vloが負であるとき、コマンド信号S2-S3はハイであり、スイッチS2及びS3は導通している。
【0071】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正弦波形を負荷に供給する線形増幅器であって、前記線形増幅器は、非対称増幅器とHブリッジモジュールとから構成され、前記非対称増幅器は、前記Hブリッジモジュールによって、前記負荷に供給される正弦波信号へと変換される全波整流正弦信号を増幅する少なくとも1つのトランジスタを備え
前記非対称増幅器は、同じタイプの複数のトランジスタを備え、前記複数のトランジスタのそれぞれには同じ全波整流正弦信号が供給されることを特徴とする、線形増幅器。
【請求項2】
前記トランジスタは、N型半導体であることを特徴とする、請求項に記載の線形増幅器。
【請求項3】
前記複数のトランジスタのそれぞれは、オフ状態又は線形増幅状態又はオン状態にあり、前記複数のトランジスタのうちの1つトランジスタのみが、前記全波整流正弦信号の状態に応じて、前記全波整流正弦信号の期間のうちの少なくとも1つの期間中に線形増幅状態にあることを特徴とする、請求項又はに記載の線形増幅器。
【請求項4】
前記非対称増幅器は、前記複数のトランジスタの数と同じ数のDC電圧源を備えることを特徴とする、請求項に記載の線形増幅器。
【請求項5】
各前記DC電圧源は、同じ電圧値を供給することを特徴とする、請求項に記載の線形増幅器。
【国際調査報告】