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特表2024-501592電池及びその製造方法と製造設備、電力消費装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】電池及びその製造方法と製造設備、電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20240105BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240105BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240105BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240105BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240105BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/342 101
H01M10/04 W
H01M50/209
H01M50/289
H01M50/242
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551691
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2021134600
(87)【国際公開番号】W WO2023097501
(87)【国際公開日】2023-06-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】唐▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】呉夏逸
(72)【発明者】
【氏名】楊澤亮
(72)【発明者】
【氏名】李振華
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
【テーマコード(参考)】
5H012
5H028
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB08
5H028AA07
5H028BB19
5H028CC08
5H028CC12
5H028CC15
5H028CC24
5H028HH01
5H028HH05
5H040AA18
5H040AS04
5H040AS12
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS19
5H040AT02
5H040CC28
5H040CC36
(57)【要約】
本願の実施例は電池及びその製造方法と製造設備、電力消費装置を提供する。電池は、電池セルと、電池セルを収容し電池セルの第1の方向に沿う少なくとも一側に設置された第1の部分を含む筐体組立体と、少なくとも一部の第1の接着部材が第1の部分と電池セルの間に充填されて第1の部分と電池セルを接着させる第1の接着部材と、を含み、第1の部分と電池セルの間には第1の隙間が設置され、第1の隙間は電池セルが膨張する際に膨張応力を放出する。本願の実施例により提供される発明は電池のエネルギー密度と安全性を向上させ、電池の使用寿命を延長することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
電池セルと、筐体組立体と、第1の接着部材とを含み、
前記筐体組立体は、前記電池セルを収容し、第1の部分を含み、前記第1の部分は前記電池セルの第1の方向に沿う少なくとも一側に設置され、
少なくとも一部の前記第1の接着部材は前記第1の部分と前記電池セルの間に充填され、前記第1の部分と前記電池セルを接着し、
前記第1の部分と前記電池セルの間には第1の隙間が設けられ、前記第1の隙間は前記電池セルが膨張する際に膨張応力を放出させる、
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記電池セルは前記第1の方向に沿って対向するように設置された2つの第1の表面を含み、
前記第1の接着部材は前記第1の表面に接着され、前記第1の隙間は前記第1の表面の中央領域に対応する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1の接着部材は前記第1の隙間を取り囲んで設置される、
ことを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1の表面は前記電池セルにおける面積が最大の表面である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電池。
【請求項5】
前記第1の隙間の少なくとも一側は前記第1の表面の周縁に延出する、
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記第1の表面は第1の領域と第2の領域を含み、前記第1の接着部材は前記第1の領域に接着され、前記第2の領域と前記第1の部分の間には前記第1の隙間が形成される、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記第2の領域の面積の前記第1の表面の総面積に対する比率は6%~45%である、
ことを特徴とする請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記第1の表面の第2の方向に沿うサイズはL1であり、前記第2の領域の前記第2の方向に沿うサイズはX1であり、1/4≦X1/L1≦2/3であり、
前記第1の表面の第3の方向に沿うサイズはL2であり、前記第2の領域の前記第3の方向に沿うサイズはX2であり、1/4≦X2/L2≦2/3であり、
前記第2の方向と前記第3の方向は互いに垂直であり、且つ前記第1の表面にいずれも平行している、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の電池。
【請求項9】
前記電池セルは、
水平方向に沿って対向するように設置され、前記第1の表面に接続される2つの第2の表面と、
前記第2の表面に設置された圧力解放機構と、
をさらに含み、
前記第1の隙間の開口は前記圧力解放機構に向かい、前記圧力解放機構は、前記電池セルの内部圧力が閾値に達した際に前記内部圧力を解放するように構成される、
ことを特徴とする請求項2~8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記電池は、前記第1の部分と前記電池セルの間に設置され、前記第1の隙間を取り囲み、前記第1の接着部材と前記第1の隙間を分離させる隔離部品をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記電池は、前記第1の方向に沿って少なくとも2層に配列された複数の前記電池セルを含み、
前記電池は、隣接する前記電池セルの間に充填される第2の接着部材をさらに含み、
隣接する前記電池セルの間には、前記電池セルが膨張する際に前記電池セルの膨張応力を放出する第2の隙間が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記筐体組立体は下部筐体、上部筐体カバー及び少なくとも1つの固定部品を含み、前記固定部品は前記下部筐体に装着され、前記下部筐体と前記上部筐体カバーは前記第1の方向に沿って配置されて互いに接続され、前記電池セルと前記固定部品は前記下部筐体と前記上部筐体カバーが取り囲んで形成した収容空間内に設置され、
前記固定部品は1つ設置され、前記電池セルは前記固定部品と前記下部筐体の間に介在し、前記下部筐体又は前記固定部品の前記電池セルの前記第1の方向に沿う一側に設置された部分は前記第1の部分であり、及び/又は、
前記固定部品は2つ設置され、前記電池セルは2つの前記固定部品の間に介在し、2つの固定部品の前記電池セルの前記第1の方向に沿う一側に設置された部分は前記第1の部分である、
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記電池セルは、第1の極片と第2の極片を有する電極組立体を含み、
前記第1の極片と前記第2の極片は巻回軸線を巻回して巻回構造を形成し、前記巻回軸線は前記第1の部分に平行し、又は、
前記電極組立体は、前記第1の方向に沿って交互に積層される複数の前記第1の極片と複数の前記第2の極片を含み、又は、
前記電極組立体は複数の前記第2の極片を含み、前記第1の極片は複数の積層するように設置された積層部と複数の折曲げ部を含み、各前記折曲げ部は隣接する2つの前記積層部に接続され、複数の前記積層部と複数の前記第2の極片は前記第1の方向に沿って交互に積層し、前記第1の方向は前記第1の部分と垂直である、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の電池。
【請求項14】
電力消費装置であって、
電気エネルギーを提供する請求項1~13のいずれか1項に記載の電池を含む、
ことを特徴とする電力消費装置。
【請求項15】
電池の製造方法であって、
電池セルを提供することと、
第1の部分を含む筐体組立体を提供することと、
第1の接着部材を提供することと、
前記第1の部分を前記電池セルの前記第1の方向に沿う少なくとも一側に設置し、少なくとも一部の前記第1の接着部材を前記第1の部分と前記電池セルの間に充填させ、前記第1の部分と前記電池セルを接着し、且つ前記第1の部分と前記電池セルの間に、前記電池セルが膨張する際に膨張応力を放出する第1の隙間を設置することと、
を含む、
ことを特徴とする電池の製造方法。
【請求項16】
電池の製造設備であって、
電池セルを提供する第1の提供装置と、
第1の部分を含む筐体組立体を提供する第2の提供装置と、
前記第1の部分を前記電池セルの第1の方向に沿う少なくとも一側に設置する第1の組立装置と、
第1の接着部材を提供する第3の提供装置と、
少なくとも一部の前記第1の接着部材を前記第1の部分と前記電池セルの間に充填させ前記第1の部分と前記電池セルを接着し、前記第1の部分と前記電池セルの間に、前記電池セルが膨張する際に膨張応力を放出する第1の隙間を形成させる第2の組立装置と、
を含む、
ことを特徴とする電池の製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術分野に関し、より具体的には電池及びその製造方法と製造設備、電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ・排出削減は自動車産業の持続的発展の鍵であり、電気自動車はその省エネ・環境保護の優位性から自動車産業の持続的発展の重要な構成部分となっている。電気自動車にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素でもある。
【0003】
電池技術の発展において、電池セルの性能を向上させるほか、安全問題も無視できない問題である。電池セルの安全問題を保証できなければ、この電池セルも使用できない。従って、電池セルの安全性を如何にして高めるかは、電池技術において急に解決必要な技術的問題である。
【発明の概要】
【0004】
本願は、電池及び電力消費装置の寿命と使用上の安全性を向上させることができる電池及びその製造方法と製造設備、電力消費装置を提供する。
【0005】
第1の態様において、本願の実施例は、電池セル、筐体組立体及び第1の接着部材を含む電池を提供する。筐体組立体は電池セルを収容し、電池セルの第1の方向に沿う少なくとも一側に設置される第1の部分を含み、少なくとも一部の第1の接着部材は第1の部分と電池セルの間に充填され第1の部分と電池セルを接着し、ここで、第1の部分と電池セルの間には電池セルが膨張する時に膨張応力を放出する第1の隙間が設置されている。
【0006】
本願の技術案において、第1の接着部材を用いて電池セルと筐体組立体を接続することにより、電池に高い全体的剛性と構造強度を持たせ、電池セルと第1の部分の間に設置された第1の隙間は予備として電池セルの膨張空間を残し、電池セル内の電極組立体が膨張できないため熱暴走現象が発生することを避け、電池の寿命と安全性を向上するとともに、第1の隙間の設置により第1の接着部材の電池セルの大きな面方向に占める空間を減少させ、電池のエネルギー密度を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例において、電池セルは第1の方向に沿って対向するように設置された2つの第1の表面を含み、第1の接着部材は第1の表面に接着され、第1の隙間は第1の表面の中央領域と対応する。
【0008】
上記発明において、電池セルの膨張する方向は第1の表面と垂直になり、且つ電池セルの膨張変形の規則は中央が大きく、周縁が小さい特徴を満たし、第1の隙間と第1の表面の中央領域を対応させ、電池セルの膨張に十分な変形空間を持たせ、電池セルの膨張が所定の位置に届かないことにより発生する安全リスクを防止する。
【0009】
いくつかの実施例において、第1の接着部材は第1の隙間を取り囲んで設置される。
【0010】
いくつかの実施例において、第1の表面は電池セルの面積が最大の表面である。
【0011】
上記発明において、第1の表面は電池セルの面積が最大な表面であり、第1の表面は電池セル内部の電極組立体の大きな面と向き合うように設置されるため、第1の表面は電池セルの主な変形表面であり、第1の隙間を第1の表面に対応するように設置することにより、よりよく電池セルの膨張を吸収することができ、電池の寿命と安全性を向上させる。
【0012】
いくつかの実施例において、第1の隙間の少なくとも一側は第1の表面の周縁まで延出する。
【0013】
上記発明において、第1の隙間の少なくとも一側を第1の表面の周縁まで延出させることにより、第1の隙間が圧縮された時の排気を便利にし、第1の隙間に「空気がたまって」ことにより第1の接着部材が接着できない又は接着過程に気泡が発生する現象を避けることができる。
【0014】
いくつかの実施例において、第1の表面は、第1の接着部材が接着された第1の領域及び第1の部分との間に第1の隙間が形成される第2の領域を含む。
【0015】
いくつかの実施例において、第2の領域の面積が第1の表面の総面積に対する比率は6%~45%である。
【0016】
いくつかの実施例において、第1の表面の第2の方向に沿うサイズはL1であり、第2の領域の第2の方向に沿うサイズはX1であり、1/4≦X1/L1≦2/3である。第1の表面の第3の方向に沿うサイズはL2であり、第2の領域の第3の方向に沿うサイズはX2であり、1/4≦X2/L2≦2/3であり、第2の方向と第3の方向は互いに垂直であり、いずれも第1の表面に平行する。
【0017】
上記発明において、第2の領域の形状と面積を限定することにより、電池の強度と電池セルの変形量を同時に考慮するとともに、接着剤の塗布に便利であり、加工のプロセスを簡単化することができる。
【0018】
いくつかの実施例において、電池セルは、水平方向に沿って対向するように設置され、第1の表面に接続された2つの第2の表面と、第2の表面に設置され、第1の隙間の開口が向かっており、電池セルの内部圧力が閾値に達した際に内部圧力を解放するように構成された圧力解放機構と、をさらに含む。
【0019】
上記発明において、第1の隙間を圧力解放機構に向き合わせることにより第1の接着部材が第2の表面まで広がり圧力解放機構を塞ぐことを防止することができ、圧力解放機構の通常の使用を保証し、安全性を向上させる。
【0020】
いくつかの実施例において、電池は第1の部分と電池セルの間に設置され、第1の隙間を取り囲んで第1の接着部材と第1の隙間を分離させる隔離部品をさらに含む。隔離部品は第1の接着部材と第1の隙間を効果的に分離させ、第1の接着部材が広がって第1の隙間を減少させて電池セルの膨張変形に影響を与えることを防止する。
【0021】
いくつかの実施例において、電池は第1の方向に沿って少なくとも2層に配列される複数の電池セルを含む。電池は、隣接する電池セルの間に充填される第2の接着部材をさらに含み、隣接する電池セルの間には電池セルが膨張する際に電池セルの膨張応力を放出する第2の隙間が設置されている。
【0022】
上記発明において、第2の隙間を設置することにより電池セルに2つの第1の表面における膨張応力を放出することができ、電池セルの変形を均一にさせ、電池の使用寿命を向上させる。
【0023】
いくつかの実施例において、筐体組立体は、下部筐体、上部筐体カバー及び下部筐体に装着された少なくとも1つの固定部品を含み、下部筐体と上部筐体カバーは第1の方向に沿って配置されて互いに接続されており、電池セルと固定部品は下部筐体と上部筐体カバーが取り囲んで形成された収容空間内に設置され、固定部品は1つ設置され、電池セルは固定部品と下部筐体の間に介在し、下部筐体又は固定部品の電池セルの第1の方向に沿う一側に設置された部分は第1の部分であり、及び/又は、固定部品は2つ設置され、電池セルは2つの固定部品の間に介在し、2つの固定部品の電池セルの第1の方向に沿う一側に設置された部分は第1の部分である。
【0024】
いくつかの実施例において、電池セルは、第1の極片と第2の極片を含む電極組立体を含み、第1の極片と第2の極片は巻回軸線を回って巻回し且つ巻回構造を形成し、巻回軸線は第1の部分に平行であり、又は、電極組立体は複数の第1の極片と複数の第2の極片を含み、複数の第1の極片と複数の第2の極片は第1の方向に沿って交互に積層され、又は、電極組立体は複数の第2の極片を含み、第1の極片は複数の積層するように設置された積層部と複数の折曲げ部を含み、各折曲げ部は隣接する2つの積層部に接続し、複数の積層部と複数の第2の極片は第1の方向に沿って交互に積層され、第1の方向は第1の部分に垂直である。
【0025】
第2の態様において、本願の実施例は上記いずれかの発明に記載の電気エネルギーを提供するための電池を含む電力消費装置を提供する。
【0026】
第3の態様において、本願の実施例は電池の製造方法を提供し、当該製造方法は、
電池セルを提供することと、
第1の部分を含む筐体組立体を提供することと、
第1の接着部材を提供することと、
第1の部分を電池セルの第1の方向に沿う少なくとも一側に設置し、少なくとも一部の第1の接着部材を第1の部分と電池セルの間に充填させ、第1の部分と電池セルを接着し、且つ第1の部分と電池セルの間に、電池セルが膨張した際に膨張応力を放出させるための第1の隙間を設置することと、を含む。
【0027】
第4の態様において、本願の実施例は電池の製造設備を提供し、当該製造設備は、
電池セルを提供するための第1の提供装置と、
第1の部分を含む筐体組立体を提供するための第2の提供装置と、
第1の部分を電池セルの第1の方向に沿う少なくとも一側に設置するための第1の組立装置と、
第1の接着部材を提供するための第3の提供装置と、
少なくとも一部の第1の接着部材を第1の部分と電池セルの間に充填させ、第1の部分と電池セルを接着させ、并使第1の部分と電池セルの間に、電池セルが膨張した際に膨張応力を放出させるための第1の隙間を形成させる第2の組立装置と、を含む。
【0028】
本願の実施例により提供される発明によって、電池の筐体組立体に第1の部分を含ませ、第1の接着部材を用いて電池セルと第1の部分を接着し、電池セルと第1の部分の間に第1の隙間を設置することにより、電池セルの表面全体に第1の接着部材を塗布する必要がなく、第1の接着部材の使用量を減少させ、電池のエネルギー密度を大きくし、第1の隙間には予備として電池セルの膨張空間を残し、電池セル内の電極組立体が膨張できないため発生する熱暴走現象を避け、電池の寿命と安全性を向上させるとともに、第1の隙間を設置することにより第1の接着部材の電池セルの大きな面方向において占める空間を減少させ、電池のエネルギー密度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下に本願の実施例に使用必要な図面について簡単に説明する。明らかに、以下の図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を付しない前提で、図面に基づいてその他の図面を取得することができる。
図1】本願のいくつかの実施例により提供される車両の構造図である。
図2】本願のいくつかの実施例により提供される電池の分解立体図である。
図3】本願のいくつかの実施例により提供される電池の一部の組立体の構造図である。
図4】本願のいくつかの実施例により提供される電池の一部の組立体の分解立体図である。
図5】本願のいくつかの実施例により提供される電池の電極組立体の断面図である。
図6】本願の別のいくつかの実施例により提供される電池の電極組立体の断面図である。
図7】本願のまた別のいくつかの実施例により提供される電池の電極組立体の断面図である。
図8】本願のいくつかの実施例により提供される電池の一部の組立体の上面図である。
図9】本願のいくつかの実施例により提供される電池の一部の組立体の正面図である。
図10図9におけるB箇所の拡大図である。
図11】本願のいくつかの実施例により提供される電池の製造方法のフローチャートである。
図12】本願のいくつかの実施例により提供される電池の製造設備のブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
1 電池セル
11 ケース
111 第1の表面
111a 第1の領域
111b 第2の領域
112 第2の表面
112a 第3の領域
112b 第4の領域
113 第3の表面
12 電極端子
13 圧力解放機構
14 電極組立体
141 第1の極片
1411 積層部
1412 折曲げ部
142 第2の極片
143 セパレータ
144 巻回軸線
2 筐体組立体
21 第1の筐体部
22 第2の筐体部
23 固定部品
3 第1の接着部材
4 隔離部品
5 第1の隙間
6 第2の接着部材
7 第2の隙間
10 電池
20 コントローラ
30 モータ
100 車両
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願の実施例の目的、技術案及び利点がより明瞭であるように、以下に本願の実施例における図面に合わせて、本願の実施例における技術案を明瞭に説明する。明らかに、下記実施例は本願のいくつかの実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的労働を付しない前提で取得した全てのその他の実施例はいずれも本願の保護範囲に属する。
【0032】
別途に定義されない限り、本願に使用される全ての技術及び科学用語は当業者が通常に理解している意味と同じであり、本願の出願中の明細書に使用される用語は具体的な実施例の目的を説明するためのものであり、本願を制限するためのものではない。本願の明細書及び特許請求の範囲並びに上記図面の説明に使用される用語「含む」、「有する」及びそれらの如何なる変形は、不排他的包括をカバーするためのものである。本願の明細書及び特許請求の範囲又は上記図面における用語「第1」、「第2」などは異なる対象を区別するためのものであり、特定の順番又は前後関係を説明するためのものではない。
【0033】
本願に言及される「実施例」とは、実施例に合わせて説明される特定の特徴、構造又は特性は本願の少なくとも1つの実施例に含まれることができることを意味する。明細書の各位置に当該文言が現れることはいずれも同様な実施例を指すとは限らず、その他の実施例と排他する独立した又は候補された実施例でもない。当業者であれば、明示的に及び黙示的に本願に記載の実施例をその他の実施例と合わせることができることを理解できる。
【0034】
なお、本願の説明において、明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」、「付着」という用語は、広く理解されるべきである。例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子内部に連通されてもよい。当業者であれば、具体的な状況によって上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0035】
本願における用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、三つの関係が存在可能であることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在、AとBが同時に存在、Bが単独で存在する3つの場合を示す。また、本願における符号「/」は一般的に前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0036】
本願の実施例において、同じ図面符号は同じ部品を示し、簡単にするために、異なる実施例において、同じ部品に対する詳細な説明を省略する。理解すべきことは、図示の本願の実施例における様々な部品の厚さ、長さなどのサイズ、及び集積装置の全体的厚さ、長さなどのサイズは例示的な説明に過ぎず、本願に対する如何なる限定ではない。
【0037】
本願に現れる「複数」は2つ以上(2つを含む)を指す。
【0038】
本願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池セル、リチウムイオン一次電池セル、リチウム硫黄電池セル、ナトリウムリチウムイオン電池セル、ナトリウムイオン電池セル又はマグネシウムイオン電池セル等を含むことができるが、本願の実施例はこれらを限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状等を呈することができるが、本願の実施例はこれらに対しても限定しない。
【0039】
本願の実施例に係わる電池は、1つ又は複数の電池セルを含むことによってより高い電圧と容量を提供する単一の物理的モジュールである。例えば、本願に記載の電池は電池モジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池は一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージ化するための筐体組立体を含む。筐体組立体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響することを制限することができる。
【0040】
電池セルは、正極極片、負極極片及びセパレータを含む電極組立体と電解液を含む。電池セルは、主に金属イオンに頼って正極極片と負極極片の間で移動しながら動作する。正極極片は、正極集電体と正極集電体の表面に塗布された正極活物質層を含み、正極集電体は正極活物質層が塗布された正極塗布領域と、正極塗布領域に接続され、正極活物質層が塗布されていない正極タブとを含む。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質層は正極活物質を含み、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極極片は負極集電体と負極集電体の表面に塗布された負極活物質層を含み、負極集電体は負極活物質層が塗布された負極塗布領域と負極塗布領域に接続され、負極活物質層が塗布されていない負極タブを含む。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質層は負極活物質を含み、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。セパレータの材質はPP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)等であってもよい。
【0041】
関連技術において、電池の電池セルは接着部材を介して筐体組立体に接続され、接着部材の全面が電池セルの表面に塗布され、電池セルと筐体組立体を一体に接続し、電池全体の剛性と強度を向上させる。発明者は、一方で、接着部材の全面を接着させる発明で接着部材の使用量と電池システムの重量を増やし、電池のエネルギー密度に影響を与えながら、他方では、接着部材は電池セルの大きな面方向における元の予備空間を占めることにより、電池セルの膨張と寿命に影響することを見つけた。
【0042】
上記に鑑みて、本願は下記のような技術案を提供し、当該技術案において、筐体組立体は第1の部分を含み、第1の接着部材を用いて電池セルと第1の部分を接着し、電池セルと第1の部分の間に第1の隙間を設置する。本発明は、第1の接着部材の使用量を減少させ、電池のエネルギー密度を大きくし、同時に第1の隙間に予備として電池セルの膨張空間を残し、電池の安全性と使用寿命を向上させることができる。
【0043】
本願の実施例に記載の技術案は電池を使用する電力消費装置に適用する。
【0044】
電力消費装置は、車両、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、汽船、宇宙機、電動玩具及び電動工具等であってもよい。車両は燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー式自動車等であってもよく、宇宙機には飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等が含まれ、電動玩具には、ゲーム機、電気自動車玩具、電動汽船玩具及び電動航空機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具が含まれ、電動工具には、金属切削電動工具、研磨電動工具、組立電動工具及び鉄道用電動工具、例えば、電気ドリル、電動砥石機、電動スパナ、電動ドライバ、電気ハンマー、衝撃電気ドリル、コンクリート振動子及び電気カンナ等が含まれる。本願の実施例は上記電気使用設備について特に限定しない。
【0045】
以下の実施例は説明し易くするために、電力消費装置が車両であることを例として説明する。
【0046】
図1は本願のいくつかの実施例により提供される車両の構造図である。
【0047】
図1に示すように、車両100の内部には電池10が設置され、電池10は車両100の底部、頭部又は尾部に設置されてもよい。電池10は車両100に電力を供給するために使用されてもよく、例えば、電池10は車両100の操作電源とされてもよい。
【0048】
車両100は、コントローラ20とモータ30をさらに含んでもよく、コントローラ20は電池10を制御してモータ30に電力を供給し、例えば、車両100の起動、ナビゲーション及び走行時の動作用電力の需要に用いられる。
【0049】
本願のいくつかの実施例において、電池10は車両100の操作電源とされるだけでなく、車両100の駆動電源とされてもよく、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両100に駆動動力を提供することができる。
【0050】
図2は本願のいくつかの実施例により提供される電池の分解立体図である。図2に示すように、本願は、電気エネルギーを提供するための電池セル1と、電池セル1を収容し電池セル1の第1の方向に沿う少なくとも一側に設置された第1の部分を含む筐体組立体2と、を含む電池10を提供する。電池10は第1の接着部材3をさらに含み、少なくとも一部の第1の接着部材3は第1の部分と電池セル1の間に充填され第1の部分と電池セル1を接着し、ここで、第1の部分と電池セル1の間には、電池セル1が膨張する際に膨張応力を放出する第1の隙間5が設置されている。
【0051】
本願の実施例により提供される電池10において、第1の接着部材3を用いて電池セル1と第1の部分を接着し、電池セル1と第1の部分の間に第1の隙間5を設置することにより、電池セル1の表面全体に第1の接着部材3を塗布する必要がなく、第1の接着部材3の使用量を減少させ、電池10のエネルギー密度を向上させる。一方、第1の隙間5には予備として電池セル1の膨張空間が残され、電池セル1内の電極組立体が膨張できないため発生する熱暴走現象を避け、電池セル1の使用寿命と安全性を向上させる。
【0052】
図2に示すように、説明しやすくするために、直角座標系をX-Y-Zと定義し、第1の方向をX方向、第2の方向をZ方向、第3の方向をY方向と定義する。ここで、第1の方向Xは電池セル1を第1の接着部材3の表面に接着させるための法線方向である。
【0053】
いくつかの実施例において、筐体組立体2は下部筐体21、上部筐体カバー22及び少なくとも1つの固定部品23を含み、固定部品23は下部筐体21に装着され、下部筐体21と上部筐体カバー22は第1の方向Xに沿って配置されるとともに互いに接続し、電池セル1と固定部品23は下部筐体21と上部筐体カバー22が取り囲んで形成された収容空間内に設置され、固定部品23は1つ設置され、電池セル1は固定部品23と下部筐体21の間に介在し、下部筐体21又は固定部品23の電池セル1の第1の方向Xに沿う一側に設置された部分は第1の部分であり、及び/又は、固定部品23は2つ設置され、電池セル1は2つの固定部品23の間に介在し、2つの固定部品23の電池セル1の第1の方向Xに沿う一側に設置された部分は第1の部分である。
【0054】
いくつかの実施例において、筐体組立体2は2つの固定部品23を含み、1つの固定部品23の少なくとも一部は電池セル1と下部筐体21の間に設置され、もう1つの固定部品23の少なくとも一部は電池セル1と上部筐体カバー22の間に設置され、第1の接着部材3は電池セル1と2つの固定部品23の間に設置される。2つの固定部品23の電池セル1の第1の方向Xに沿う一側に設置された部分は第1の部分である。
【0055】
別のいくつかの実施例において、筐体組立体2は1つの固定部品23を含み、固定部品23の少なくとも一部は電池セル1と上部筐体カバー22の間に設置され、一部の第1の接着部材3は電池セル1と固定部品23の間に充填され、一部の第1の接着部材3は電池セル1と下部筐体21の間に充填される。
【0056】
またいくつかの実施例において、筐体組立体2は1つの固定部品23を含み、固定部品23の少なくとも一部は電池セル1と下部筐体21の間に設置され、一部の第1の接着部材3は電池セル1と固定部品23の間に充填され、一部の第1の接着部材3は電池セル1と上部筐体カバー22の間に充填される。
【0057】
当然ながら、さらにいくつかの実施例において、筐体組立体2は下部筐体21と上部筐体カバー22のみを含んでもよく、筐体組立体2は固定部品23を含まない。電池セル1は直接下部筐体21と上部筐体カバー22に接着するように接続され、一部の第1の接着部材3は電池セル1と下部筐体21の間に充填され、一部の第1の接着部材3は電池セル1と上部筐体カバー22の間に充填される。下部筐体21及び/又は上部筐体カバー22は第1の部分である。
【0058】
筐体組立体2は多種類の構造であってもよい。いくつかの実施例において、下部筐体21は一端が開口の中空構造であってもよく、上部筐体カバー22は板状構造であり、上部筐体カバー22は下部筐体21の開口側を覆い、収容空間を有する筐体組立体2を形成し、下部筐体21と上部筐体カバー22はいずれも一側が開口の中空構造であってもよく、上部筐体カバー22の開口側は下部筐体21の開口側を覆い、収容空間を有する筐体を形成する。当然ながら、下部筐体21と上部筐体カバー22は、多種類の形状、例えば、円筒体、直方体などであってもよい。
【0059】
いくつかの実施例において、固定部品23は、電池セル1に接着される第1の固定部と下部筐体21に固定される第2の固定部を含み、第1の固定部の一側の表面は電池セル1と向き合い、第1の固定部の他側の表面は下部筐体21又は上部筐体カバー22と向き合う。第2の固定部は第1の固定部に対して電池セル1に向かって折曲げられる構造であってもよく、又は第2の固定部は第1の固定部に組立てられた単独の部品であってもよく、第2の固定部は第1の固定部の一側又は両側に設置され、第2の固定部と下部筐体21はネジによって接続され又は係止固定される。
【0060】
下部筐体21と上部筐体カバー22はネジによる接続、係止又は接着剤による接着接続などにより接続される。下部筐体21と上部筐体カバー22の接続後の密閉性を向上させるために、下部筐体21と上部筐体カバー22の間に密閉部品、例えば、密閉剤、シールリングなどを設置してもよい。
【0061】
電池10において、電池セル1は1つであってもよく、複数であってもよい。電池セル1が複数である場合、複数の電池セル1の間を直列接続又は並列接続又は直並列接続してもよく、直並列接続とは、複数の電池セル1に直列接続もあれば並列接続もあることを指す。複数の電池セル1の間を直列接続又は並列接続又は直並列接続した後、複数の電池セル1により構成された全体を筐体内に収容し、複数の電池セル1の間はバス部品を介して電気的接続を実現する。当然ながら、複数の電池セル1を先に直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、その後複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して一体に形成し、筐体内に収容してもよい。
【0062】
図3は本願のいくつかの実施例により提供される電池の一部の部品の構造図であり、図4は本願のいくつかの実施例により提供される電池の一部の部品の分解立体図である。図3図4に示すように、電池セル1はケース11、電極端子12及び圧力解放機構13を含み、電極端子12と圧力解放機構13はいずれもケース11に装着されている。電極端子12は2つ設置され、2つの電極端子12は電池セル1内の電気エネルギーを外部へ誘導し、圧力解放機構13は圧力を解放するのに用いられる。
【0063】
電池セル1は、ケース11に設置され、電気エネルギーを提供するための電極組立体をさらに含む。図5は本願のいくつかの実施例により提供される電池の電極組立体の断面図である。図5に示すように、いくつかの実施例において、電池セル1は、第1の極片141と第2の極片142を含む電極組立体14を含み、第1の極片141と第2の極片142は第1の部分に平行である巻回軸線144を巻回して巻回構造を形成する。
【0064】
図6は本願の別のいくつかの実施例により提供される電池の電極組立体の断面図である。図6に示すように、別のいくつかの実施例において、電極組立体14は、第1の方向Xに沿って交互に積層される複数の第1の極片141と複数の第2の極片142を含む。
【0065】
図7は本願のさらにいくつかの実施例により提供される電池の電極組立体の断面図である。図7に示すように、さらにいくつかの実施例において、電極組立体14は、複数の積層するように設置された積層部1411と複数の折曲げ部1412を含む第1の極片141と複数の第2の極片142を含み、各折曲げ部1412は隣接する2つの積層部1411に接続され、複数の積層部1411と複数の第2の極片142は第1の方向Xに沿って交互に積層され、第1の方向Xは第1の部分に垂直である。
【0066】
図5図7に示すように、電極組立体14はセパレータ143をさらに含み、セパレータ143は第1の極片141と第2の極片142の間に設置され、セパレータ143は金属イオンが通過する通路を構成するとともに、電子透過を防止する。
【0067】
上記各実施例において、第1の極片141と第2の極片142の極性について限定せず、第1の極片141が正極極片、第2の極片142が負極極片であってもよく、又は、第1の極片141が負極極片、第2の極片142が正極極片であってもよい。2つの電極端子12はそれぞれ正極極片の正極タブと負極極片の負極タブに電気的に接続される。
【0068】
いくつかの実施例において,電池セル1は第1の方向Xに沿って対向するように設置された2つの第1の表面111を含み、第1の接着部材3は第1の表面111に接着され、第1の隙間5は第1の表面111の中央領域と対応する。
【0069】
電池セル1の膨張する方向は第1の表面111に垂直であり、且つ電池セル1の膨張変形の規則は中央が大きく、周縁が小さい特徴を満たし、第1の隙間5と第1の表面111の中央領域を対応させることにより電池セル1の膨張に十分な変形空間を持たせ、電池セル1が十分に膨張できないことによる安全上の危険性を防止する。
【0070】
電池セル1のケース11は六面体であり、2つの第1の表面111はケース11の第1の方向Xに沿って対向するように設置された2つの表面である。
【0071】
いくつかの実施例において、第1の表面111は電池セル1の面積が最大の表面である。
【0072】
いくつかの実施例において、電極組立体14は第1の部分に平行している2つの表面である2つの大きな面を含み、電極組立体14の2つの大きな面はそれぞれ電池セル1の2つの第1の表面111に向き合う。電極組立体14は使用過程に大きな面の法線方向に沿って膨張し、電極組立体14が膨張してケース11を押し付けて電池セル1の第1の表面111を膨張させる。
【0073】
第1の表面111は電池セル1の面積が最大の表面であり、第1の表面111は電池セル1内部の電極組立体14の大きな面に向き合うように設置されるため、第1の表面111は電池セル1の主な変形表面であり、第1の隙間5を第1の表面111に対応するように設置することにより電池セル1の膨張をよりよく吸収させることができ、電池10の寿命と安全性を向上させる。
【0074】
いくつかの実施例において、第1の接着部材3は第1の隙間5を取り囲んで設置される。
【0075】
第1の接着部材3は第1の隙間5を完全又は部分的に取り囲むことができる。第1の接着部材3が第1の隙間5を完全に取り囲む場合、第1の隙間5は電池セル1、第1の部分及び第1の接着部材3に取り囲まれて密閉空間を形成する。第1の接着部材3が第1の隙間5を部分的に取り囲む場合、第1の隙間5は電池セル1、第1の部分及び第1の接着部材3に取り囲まれて半密閉空間を形成し、第1の隙間5の第1の接着部材3に取り囲まれていない部分は隙間の開口になる。
【0076】
いくつかの実施例において、第1の隙間5の少なくとも一側は第1の表面111の周縁に延出する。
【0077】
上記発明において、第1の隙間5は半密閉空間であり、第1の隙間5の第1の表面111の周縁に延出する一側は隙間の開口になる。電池セル1が膨張する場合、第1の表面111は第1の部分に向かって膨張変形し、第1の隙間5の第1の方向Xに沿う厚さは減少し、第1の隙間5の体積も減少し、この時、第1の隙間5内の空気が圧縮され、圧縮空気は隙間の開口から電池セル1の側面に排出される。
【0078】
第1の隙間5を半密閉空間に設置することにより、第1の隙間5の少なくとも一側を第1の表面111の周縁に延出させてタイムリーに圧縮空気を排出し、圧縮空気の電池セル1の変形に対する抵抗を減少させ、同時に圧縮空気の溢れによる電池セル1と筐体組立体2の接着が確実でないことを避け、電池10の強度、剛性及び安全性を向上させることができる。
【0079】
いくつかの実施例において、第1の表面111は第1の領域111aと第2の領域111bを含み、第1の接着部材3は第1の領域111aに接着され、第2の領域111bと第1の部分の間には第1の隙間5が形成されている。
【0080】
第2の領域111bは第1の隙間5の向き合う領域であるため、第2の領域111bは第1の表面111の中央領域であり、第1の領域111aは第1の表面111の周縁領域であり、且つ第2の領域111bと連通する。いくつかの実施例において、第2の領域111bの少なくとも一側は第1の表面111の周縁に延出し、第2の領域111bと第1の部分及び第1の接着部材3に隙間の開口を形成させる。
【0081】
第1の隙間5の第1の表面111における投影形状は複数の形状、例えば、矩形、三角形又は円形などであってもよく、第1の隙間5が第1の表面111の中央領域に向き合うとのことを満たせればよい。即ち、第2の領域111bの形状は矩形、三角形又は円形等であってもよい。
【0082】
いくつかの実施例において、第2の領域111bの面積が第1の表面111の総面積に対する比率は6%~45%である。
【0083】
いくつかの好ましい実施例において、第2の領域111bの面積が第1の表面111の総面積に対する比率は10%~30%である。第2の領域111bと第1の表面111の上記面積割合は、第1の接着部材3に十分な接着面積を持たせ、電池セル1と筐体組立体2の接着強固性を保証するとともに、電池セル1の通常通りの膨張変形を保証し、電池10の安全性を保障することができる。
【0084】
図8に示すように、いくつかの実施例において、第2の領域111bの形状は矩形である。第2の領域111bの形状を矩形に設置することは、第1の接着部材3の塗布に便利であり、接着剤の塗布効率を向上させる。
【0085】
いくつかの実施例において、第1の表面111の第2の方向Zに沿うサイズはL1であり、第2の領域111bの第2の方向Zに沿うサイズはX1であり、1/4?X1/L1?2/3である。第1の表面111の第3の方向Yに沿うサイズはL2であり、第2の領域111bの第3の方向Yに沿うサイズはX2であり、1/4?X2/L2?2/3であり、第2の方向Zと第3の方向Yは互いに垂直であり、且ついずれも第1の表面111に平行している。
【0086】
いくつかの実施例において、第2の領域111bの1つの側辺は第1の表面111の1つの側辺と重なり、当該側辺は隙間の開口と向き合い、第1の隙間5が圧縮される場合、圧縮空気は隙間の開口から電池セル1の側面に向けて排出される。当然ながら、いくつかの実施例において、接着強度を保証する上、圧縮空気をよりよく排出させるために、第2の領域111bの2つ又は3つの側辺を第1の表面111の側辺と重ねさせてもよい。
【0087】
図4図9に示すように、いくつかの実施例において、電池セル1は、水平方向に沿って対向するように設置された2つの第2の表面112をさらに含み、第2の表面112は第1の表面111に接続される。電池セル1は、第2の表面112に設置された圧力解放機構13をさらに含み、第1の隙間5の開口は圧力解放機構13に向け、圧力解放機構13は電池セル1の内部圧力が閾値に達した際に内部圧力を解放するように構成される。
【0088】
2つの第2の表面112は電池セル1のケース11が第3の方向Yに沿って対向するように設置された2つの表面である。いくつかの実施例において、電池セル1は、ケース11が第2の方向Zに沿って対向するように設置された2つの表面であり、2つの第2の表面112と2つの第1の表面111にいずれも接続される2つの第3の表面113をさらに含む。第2の方向Zと第3の方向Yは互いに垂直であり、且つ第1の表面111にいずれも平行している。
【0089】
圧力解放機構13は電池セル1の内部空間と連通し、圧力解放機構13は電池セル1の内部圧力が閾値に達し又は閾値を超えた際に電池セル1の外部へ開放し、高圧空気を放出することができる。いくつかの実施例において、圧力解放機構13は通常リリーフ弁を用いる。
【0090】
電池セル1の第1の表面111に第1の接着部材3が塗布された後、第1の接着部材3は流動性を有し、組立による加圧に伴って、第1の接着部材3は第1の表面111の周辺及び第2の表面112と第3の表面113に広がる。本発明における第1の隙間5の開口は圧力解放機構13に向け、第1の接着部材3が広がって圧力解放機構13を遮て電池セル1の排気を影響することを避けることができ、電池セル1の安全性を向上させる。
【0091】
いくつかの実施例において、第2の表面112は互いに連通する第3の領域112aと第4の領域112bを含み、第3の領域112aは第2の領域111bに接続され、第4の領域112bは第1の領域111aに接続され、圧力解放機構13は第3の領域112a内に設置される。第2の領域111bは第1の隙間5に向き合うため、第1の接着部材3は電池10の組立て過程において第3の領域112aに広がることなく、それによって圧力解放機構13の通常通りの動作を保証する。
【0092】
当然ながら、他の実施例において、圧力解放機構13は電池セル1の第3の表面113に設置されてもよく、第1の隙間5の開口が圧力解放機構13に向かうように保証すればよい。
【0093】
第1の接着部材3は接着可能の特性を有し、第1の接着部材3は凝固する前に液体状態又はクリーム状態であり、一定の流動性を有し、凝固後は固体状態である。いくつかの実施例において、第1の接着部材3はエポキシ樹脂、ポリウレタン及びアクリル樹脂のうち1つ又は複数を含む。第1の接着部材3は電池セル1の第1の表面111及び/又は第1の部分の電池セル1に向かう一側面に塗布される。
【0094】
いくつかの実施例において、電池10は、第1の部分と電池セル1の間に設置され、第1の隙間5を取り囲んで第1の接着部材3と第1の隙間5を分離させる隔離部品4をさらに含む。
【0095】
隔離部品4は、第1の接着部材3が第1の隙間5に広がることを効果的に防止し、第1の接着部材3の広がりにより第1の隙間5の投影面積が減少されることを避け、電池セル1の十分な膨張変形空間を保証することができる。隔離部品4は第1の接着部材3の第1の隙間5を取り囲む領域に対応し、いくつかの実施例において、隔離部品4は第1の隙間5を完全に取り囲み、第1の隙間5は密閉空間であり、別のいくつかの実施例において、隔離部品4は第1の隙間5を部分的に取り囲み、隔離部品4の第1の隙間5を取り囲んでいない部分が第1の隙間5の開口を形成し、開口は電池セル1が膨張する際に第1の隙間5内の空気を排出するのに用いられる。
【0096】
いくつかの実施例において、隔離部品4には発泡綿、ゴムなどの通気性圧縮可能材料を使用し、隔離部品4の圧縮後の厚さは第1の接着部材3の厚さより小さくなく、第1の接着部材3が第1の隙間5内に広がることを防止するとともに、電池セル1と筐体組立体2の接着強固性を保証する。
【0097】
図9図10に示すように、電池セル1が筐体組立体2内に組立てられた後、第1の接着部材3は電池セル1と第1の部分を一体に接着し、隔離部品4は第1の接着部材3と第1の隙間5を圧縮し分離させる。電池セル1の繰り返した充放電に伴って、電池セル1は膨張変形し、電池セル1の第1の表面111は第1の方向Xに沿って第1の部分に向かって膨張し、第1の隙間5を圧縮させる。第1の隙間5は第1の表面111と第1の部分を隔離し、第1の表面111が膨張して第1の部分を押し付けることにより第1の部分が膨張変形することを避け、電池10の使用寿命と安全性を向上させる。
【0098】
図2図9に示すように、いくつかの実施例において、電池10の複数の電池セル1は第1の方向Xに沿って少なくとも2層に配列され、電池10は隣接する電池セル1の間に充填された第2の接着部材6をさらに含み、隣接する電池セル1の間には第2の隙間7が設置され、第2の隙間7は電池セル1が膨張する際に電池セル1の膨張応力を放出するのに用いられる。
【0099】
いくつかの実施例において、第2の接着部材6には両面テープを使用し、両面テープの2つの接着表面はそれぞれ隣接する2つの電池セル1の第1の表面111に接着される。当然ながら、別のいくつかの実施例において、第2の接着部材6には第1の接着部材3と同じ材料を使用してもよく、且つ隣接する2つの電池セル1の間に隔離部品4を設置することにより、第2の接着部材6と第2の隙間7を分離してもよい。
【0100】
第2の隙間7は第1の表面111の中央領域に向き合い、第2の隙間7の形状と構造は制限されず、第2の隙間7の形状は円形、矩形又は三角形であってもよく、第2の隙間7は密閉構造であってもよく、開口を有してもよい。第2の隙間7は、電池セル1の2つの第1の表面111に沿う膨張応力を放出することにより、電池セル1の変形を均一にさせ、電池セル1の寿命と安全性を向上させることができる。
【0101】
図11は本願のいくつかの実施例により提供される電池の製造方法のフローチャートを示す。図11に示すように、本願の実施例により提供される電池の製造方法のフローチャートには以下が含まれる。
【0102】
S100において、電池セルを提供する。
【0103】
S200において、第1の部分を含む筐体組立体2を提供する。
【0104】
S300において、第1の接着部材3を提供する。
【0105】
S400において、第1の部分を電池セル1の第1の方向Xに沿う少なくとも一側に設置し、少なくとも一部の第1の接着部材3を第1の部分と電池セル1の間に充填させて第1の部分と電池セル1を接着し、且つ第1の部分と電池セル1の間に、電池セル1が膨張する際に膨張応力を放出するのに用いられる第1の隙間5を設置する。
【0106】
なお、上記電池の製造方法により製造された電池10の関連構造については、上記各実施例により提供される電池10を参照することができる。
【0107】
上記電池の製造方法に基づいて電池を組立てる際に、上記ステップに従って順番に行わなくてもよく、即ち、実施例に記載の順番に従ってステップを実施してもよく、実施例に記載の順番と異なる順番でステップを実施してもよく、又はいくつかのステップを同時に実施してもよい。
【0108】
図12は本願のいくつかの実施例により提供される電池の製造設備のブロック図である。図12に示すように、電池10の製造設備は、
電池セル1を提供する第1の提供装置と、
第1の部分を含む筐体組立体2を提供する第2の提供装置と、
第1の部分を電池セル1の第1の方向Xに沿う少なくとも一側に設置する第1の組立装置と、
第1の接着部材3を提供する第3の提供装置と、
少なくとも一部の第1の接着部材3を第1の部分と電池セル1の間に充填し第1の部分と電池セル1を接着し、第1の部分と電池セル1の間に、電池セル1が膨張する際に膨張応力を放出するのに用いられる第1の隙間5を形成させる第2の組立装置と、を含む。
【0109】
上記電池の製造設備により製造された電池の関連構造については、上記各実施例により提供される電池を参照することができる。
【0110】
なお、抵触しない限り、本願における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【0111】
最後に説明すべきことは、上記実施例は本願の技術案を説明するためのものであり、それを制限するためのものではない。前記実施例を参照しながら本願について詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前記各実施例に記載の技術案を修正、又はその一部の技術的特徴について等価置換することができるが、これらの修正又は置換は、該当の技術案の主旨を本願の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させるものではないことを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】