(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ワイヤレス充電コイル、電子デバイス、およびアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20240105BHJP
H01F 5/00 20060101ALI20240105BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240105BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240105BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F5/00 E
H02J50/10
H02J50/40
H02J7/00 301D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504828
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2022114631
(87)【国際公開番号】W WO2023098170
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202111452805.6
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521218881
【氏名又は名称】オナー デバイス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フアン、フア
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジアシアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シアリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シン
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503GB08
(57)【要約】
本願は、ワイヤレス充電コイル、およびワイヤレス充電コイルを含む電子デバイスおよびアンテナを提供する。ワイヤレス充電コイルは、複数の層にあり直列に接続された複数のコイル群、および複数のコイル群の2つの層の間に配置された絶縁層を含む。ワイヤレス充電コイルは、第1領域および第1領域の外周に配置された第2領域を含む。第2領域に配置された複数のコイル群が複数の層に配列されており、各コイル群は1つの層において並列に巻かれた複数のコイルを含む。電流分布が均一ではなく第1領域にあるコイル群が、並列に接続されて複数の層に分配された複数のコイルを用いるため、第1領域にあるコイルの電流密度が複数の層に分配されるようになるので、電流分布均一性が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層に配置され直列に接続された複数のコイル群、および前記複数のコイル群の2つの層の間に配置された絶縁層を備えたワイヤレス充電コイルであって、
前記ワイヤレス充電コイルが第1領域および前記第1領域の外周に配置された第2領域を備え;
前記第2領域に配置された複数のコイル群が前記複数の層に配列されており、各コイル群が1つの層で並列に巻かれた複数のコイルを含み;および
前記第1領域に配置された各コイル群が並列に接続された複数のコイルを含み、各層における前記コイル群のコイルの数が同じである、ワイヤレス充電コイル。
【請求項2】
前記第1領域にあるコイル群の数がMであり、前記第1領域および前記第2領域にあるコイル群の数がNであり、MおよびNがN-M≧2且つM≦i+2を満たし、iがNを2で割って端数を切り捨てた後に得られる整数である、請求項1に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項3】
3≦N≦4の場合、M>0である;およびN>4の場合、M≧i-2である、請求項2に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項4】
前記第1領域にある前記コイル群の各層におけるコイルの数がtであり、直列に隣接して接続された2つのコイル群がt個のコイルを用いて対応して接続されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項5】
前記第2領域にある前記コイル群の数が、前記複数のコイル群が分配されている層の数の整数倍である、請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項6】
前記第2領域の2つの隣接した層におけるコイル群の数同士の差異が1より大きいまたは1に等しい場合、コイル群の数が小さい方の層におけるコイル群の複数のコイルの合計幅が、もう一方の層におけるコイル群の複数のコイルの合計幅より大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項7】
前記第2領域にある各コイル群の前記複数のコイルの合計幅が、前記第1領域にある各コイル群の単一層における複数のコイルの合計幅より大きいまたはこれに等しい、請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項8】
前記第2領域が前記第1領域に面する方向において、前記第1領域にある任意の2つのコイル群の複数のコイルの合計幅が減少するか、または変わらない、請求項7に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項9】
前記ワイヤレス充電コイルの半径方向における、前記第1領域にある少なくとも1つのコイル群のコイルの配列順序が変わる、請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項10】
前記第1領域にあるコイルが複数のワイヤ部を含み、前記ワイヤレス充電コイルがさらに第1接続部および第2接続部を備え;
前記第1接続部が前記絶縁層を通過し、前記複数の層に積層された前記半径方向において同じ配列順序の複数のワイヤ部が、前記第1接続部を用いて接続されてワイヤ部群を形成し;および
前記第2接続部の2つの端部が、前記半径方向において異なる配列順序である2つのワイヤ部群に別々に接続されているため、前記コイルの前記複数のワイヤ部が接続されるようになる、請求項9に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項11】
前記コイル群の複数のコイルアレイが少なくとも2つの層に均等に分配されており、2つの交差によって、前記半径方向における複数のコイルの配列順序を逆転させることが可能になり;および前記少なくとも2つの層に積層されている前記半径方向において同じ配列順序の複数のコイルが交差ユニットを形成し;および
前記コイル群の単一層におけるコイルの数tが3<t≦7を満たす場合、第1交差では、前記半径方向において両側から中間へと複数の交差ユニットの2つの交差ユニットごとに交差群を形成し、前記半径方向における各交差群の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり、残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ前記残りの交差ユニットの数が2である場合、前記半径方向における2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;および前記残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ残りの交差ユニットの数が3である場合、前記半径方向において前記中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向におけるその他の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;および第2交差では、各交差群の複数の交差ユニットの配列順序が変わらず、前記中間にある交差群または交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向において前記両側にある2つの交差群の配列順序が入れ替わる、請求項9に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項12】
前記コイル群の複数のコイルアレイが少なくとも2つの層に均等に分配されており、2つの交差によって、前記半径方向における複数のコイルの配列順序を逆転させることが可能になり;および前記少なくとも2つの層に積層されている前記半径方向において同じ配列順序の複数のコイルが交差ユニットを形成し;および
前記コイル群の単一層におけるコイルの数tが7<t≦9を満たす場合、第1交差では、前記半径方向において両側から中間へと複数の交差ユニットの3つの交差ユニットごとに交差群を形成し;前記半径方向における各交差群の前記中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向において前記両側にある2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ前記残りの交差ユニットの数が2である場合、前記半径方向における2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ前記残りの交差ユニットの数が3である場合、前記半径方向において前記中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向におけるその他の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;および第2交差では、各交差群の複数の交差ユニットの配列順序が変わらず、前記中間にある交差群または交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向において前記両側にある2つの交差群の配列順序が入れ替わる、請求項9に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項13】
前記第2領域における前記コイル群のコイルの数がtであり、前記第1領域における前記コイル群のコイルの数がtであり、直列に隣接して接続された、前記ワイヤレス充電コイルの2つのコイル群が、t個のコイルを用いて対応して接続されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項14】
前記第2領域にある少なくとも1つのコイルにワイヤスロットが配置されているため、前記コイルが複数のサブコイルを形成するようになる、請求項13に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項15】
前記第2領域にある少なくとも1つのコイル群における少なくとも2つの隣接したコイルが結合されて新たなコイルになる、請求項13に記載のワイヤレス充電コイル。
【請求項16】
電子デバイスであって、前記電子デバイスが請求項1から3のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイルを備える、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年12月1日に中国国家知識産権局に出願された「ワイヤレス充電コイル、電子デバイス、およびアンテナ(WIRELESS CHARGING COIL, ELECTRONIC DEVICE, AND ANTENNA)」と題する中国特許出願第202111452805.6号に基づく優先権を主張し、当該中国特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願の実施形態は充電デバイス技術の分野に関し、詳細には、ワイヤレス充電コイル、電子デバイス、およびアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電コイルとは通常、複数のコイル群を内側から外側へと巻くことにより形成されたリング構造をしている。各コイル群は複数のコイルを含む。内側にある一部のコイルの電流密度分布が均一ではなく、電流が主に、各コイル群の両内側にある2つのコイルに集中する。したがって、これらのコイルを流れる電流の実効面積が減少し、これらのコイルを流れる電流の実効交流インピーダンスが増加し、充電効率が比較的低くなる。
【発明の概要】
【0004】
これを考慮して、本願は、電流分布均一性を向上させるためのワイヤレス充電コイルを提供する。
【0005】
第1態様によれば、本願はワイヤレス充電コイルを提供する。ワイヤレス充電コイルは、複数の層に積層され直列に接続された複数のコイル群、および複数のコイル群の複数の層の間に配置された絶縁層を含む。ワイヤレス充電コイルは、第1領域および第1領域の外周に配置された第2領域を含む。第2領域に配置された複数のコイル群が複数の層に配列されており、各コイル群は1つの層において並列に巻かれた複数のコイルを含む。
【0006】
ワイヤレス充電コイルでは、電流分布が均一ではなく第1領域にあるコイル群が、並列に接続されて複数の層に分配された複数のコイルを用いるため、第1領域にあるコイルの電流密度が複数の層に分配されるようになるので、電流分布均一性が向上する。
【0007】
実現可能な実装例では、第1領域にあるコイル群の数がMであり、第1領域および第2領域にあるコイル群の数がNであり、MおよびNは、N-M≧2且つM≦i+2を満たし、iはNを2で割って商の端数を切り捨てた後に得られる整数である。
【0008】
明らかであるが、前述した実装例では、第1領域にあるコイル群の数Mおよびワイヤレス充電コイルのコイル群の総数Nの関係を設定することにより、電流分布が均一ではないコイル群の数がMに等しくなるか、またはMに近くなるため、ワイヤレス充電コイルの電流分布均一性が向上するようになる。
【0009】
実現可能な実装例では、3≦N≦4の場合、M>0であり、N>4の場合、M≧i-2である。
【0010】
明らかであるが、前述した実装例では、第1領域にあるコイル群の数Mおよびワイヤレス充電コイルのコイル群の総数Nの関係を設定することにより、電流分布が均一ではないコイル群の数がMに等しくなるか、またはMに近くなるため、ワイヤレス充電コイルの電流分布均一性が向上するようになる。
【0011】
実現可能な実装例では、第1領域にあるコイル群の各層におけるコイルの数がtであり、直列に隣接して接続された2つのコイル群がt個のコイルを用いて対応して接続されている。
【0012】
明らかであるが、前述した実装例では、第1領域において直列に隣接して接続された2つのコイル群がt個のコイルを用いて対応して接続されているため、コイル結合により渦電流損が引き起こされるという問題が回避されるようになる。
【0013】
実現可能な実装例では、第2領域にあるコイル群の数が、複数のコイル群が分配されている層の数の整数倍である。
【0014】
明らかであるが、前述の実装例では、第2領域にある2つの隣接した層で2つのコイル群の対応する積層を容易にするために、第2領域にあるコイル群の数は複数のコイル群が分配されている層の数の整数倍である。
【0015】
実現可能な実装例では、第2領域の2つの隣接した層におけるコイル群の数同士の差異が1より大きいまたは1に等しい場合、コイル群の数が小さい方の層におけるコイル群の複数のコイルの合計幅が、もう一方の層におけるコイル群の複数のコイルの合計幅より大きい。
【0016】
明らかであるが、前述した実装例では、これらの層の一方におけるコイル群の幅が増加し、インピーダンスが減少する。
【0017】
実現可能な実装例では、第2領域にある各コイル群の複数のコイルの合計幅が、第1領域にある各コイル群の単一層における複数のコイルの合計幅より大きいまたはこれに等しい。
【0018】
明らかであるが、前述した実装例では、第1領域にあるコイル群は複数の層に分配されて電流を伝導しており、このコイル群の複数のコイルの合計断面積が、複数の層におけるコイルの合計断面積に等しい。第1領域にあるコイル群の単一層におけるコイル幅が減少するため、コイルの断面積が減少するようになるので、第2領域にあるコイルを広げる余地が残っている。第2領域にあるコイル群の電流分布が、第1領域にあるコイル群と比較して均一である。第2コイルのコイル幅が増加し、インピーダンスが減少する。
【0019】
実現可能な実装例では、第2領域が第1領域に面する方向において、第1領域にある任意の2つのコイル群の複数のコイルの合計幅が減少するか、または変わらない。
【0020】
明らかであるが、前述した実装例では、第1領域にあるコイル群からワイヤレス充電コイルの中心までの距離が大きいほど、電流分布均一性が高くなることを示す。第2領域が第1領域に面する方向において、第1領域にある任意の2つのコイル群の幅を減少させるか、または変えず、ワイヤレス充電コイルの中心から離れたコイル群の幅を増加させて、インピーダンスを減少させることができる。
【0021】
実現可能な実装例では、ワイヤレス充電コイルの半径方向における、第1領域にある少なくとも1つのコイル群のコイルの配列順序が変わる。
【0022】
明らかであるが、前述した実装例では、半径方向におけるコイル群のコイルの配列順序を変えるため、ワイヤレス充電コイルの中心に近いコイルが外側に移動し、ワイヤレス充電コイルの中心から離れたコイルが内側に移動するようになる。半径方向において両側にあるコイルの電流密度が高く、中間にあるコイルの電流密度が低い。半径方向におけるコイルの位置を変えることで、コイルの電流密度が変わるため、コイル群にある複数のコイルの電流分布均一性が高まるようになる。
【0023】
実現可能な実装例では、第1領域にあるコイルは複数のワイヤ部を含み、ワイヤレス充電コイルはさらに第1接続部および第2接続部を含む。第1接続部は絶縁層を通過し、複数の層に積層された半径方向において同じ配列順序の複数のワイヤ部は、第1接続部を用いて接続されてワイヤ部群を形成する。第2接続部の2つの端部が、半径方向において異なる配列順序である2つのワイヤ部群に別々に接続されているため、コイルの複数のワイヤ部が接続されるようになる。
【0024】
明らかであるが、前述の実装例では、第1接続部は2つの隣接した層に積層された2つのコイルを接続して半径方向における配列順序を同時に変え、第2接続部は、半径方向における配列順序が変わった後にコイルの複数のワイヤ部を接続して、コイルの内側で伝導を実現することができる。
【0025】
実現可能な実装例では、コイル群の複数のコイルアレイが複数の層に均等に分配されており、2つの交差によって、半径方向における複数のコイルの配列順序を逆転させることが可能になり、複数の層に積層された半径方向において同じ配列順序の複数のコイルが交差ユニットを形成する。コイル群の単一層におけるコイルの数tが3<t≦7を満たす場合、第1交差では、半径方向において両側から中間へと複数の交差ユニットの2つの交差ユニットごとに交差群を形成し、半径方向における各交差群の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり、残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ残りの交差ユニットの数が2である場合、半径方向における2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり、残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ残りの交差ユニットの数が3である場合、半径方向において中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向においてその他の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わる。第2交差では、各交差群の複数の交差ユニットの配列順序が変わらず、中間にある交差群または交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向において両側にある2つの交差群の配列順序が入れ替わる。
【0026】
明らかであるが、前述した実装例では、設定された交差ルールを用いることで、コイル群の複数のコイルの2つの交差によって、半径方向における複数のコイルの配列配置が逆の配列配置に変わるため、両側にあるコイルが中間位置を通って最終的に入れ替わるようになり、その結果、電流分布均一性が向上する。
【0027】
実現可能な実装例では、コイル群の複数のコイルアレイが複数の層に均等に分配されており、2つの交差によって、半径方向における複数のコイルの配列順序を逆転させることが可能になり、複数の層に積層された半径方向において同じ配列順序の複数のコイルが交差ユニットを形成する。コイル群の単一層におけるコイルの数tが7<t≦9を満たす場合、第1交差では、半径方向において両側から中間へと複数の交差ユニットの3つの交差ユニットごとに交差群を形成し、半径方向における各交差群の中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向において両側にある2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり、残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ残りの交差ユニットの数が2である場合、半径方向における2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり、残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ残りの交差ユニットの数が3である場合、半径方向において中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向におけるその他の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わる。第2交差では、各交差群の複数の交差ユニットの配列順序が変わらず、中間にある交差群または交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向において両側にある2つの交差群の配列順序が入れ替わる。
【0028】
明らかであるが、前述した実装例では、設定された交差ルールを用いることで、コイル群の複数のコイルの2つの交差によって、半径方向における複数のコイルの配列配置が逆の配列配置に変わるため、両側にあるコイルが中間位置を通って最終的に入れ替わるようになり、その結果、電流分布均一性が向上する。
【0029】
実現可能な実装例では、第2領域におけるコイル群のコイルの数がtであり、第1領域におけるコイル群のコイルの数がtであり、直列に隣接して接続された、ワイヤレス充電コイルの2つのコイル群ごとにt個のコイルを用いて対応して接続されている。
【0030】
明らかであるが、前述した実装例では、第1領域および第2領域において、およびこの2つの領域の間で、直列に隣接して接続された2つのコイル群は、t個のコイルを用いて対応して接続されているため、コイル結合により渦電流損が引き起こされるという問題が回避されるようになる。
【0031】
実現可能な実装例では、第2領域にある少なくとも1つのコイルにワイヤスロットが配置されているため、コイルは複数のサブコイルを形成するようになる。
【0032】
明らかであるが、前述した実装例では、独立して接続されているコイルにワイヤスロットが配置されてよく、複数のサブコイルが形成されて、サブコイルの幅が減少するため、著しく大きいコイルの幅により渦電流損が引き起こされるという問題が回避されるようになる。
【0033】
実現可能な実装例では、第2領域にある少なくとも1つのコイル群における少なくとも2つの隣接したコイルが結合されて、新たなコイルになる。
【0034】
明らかであるが、前述した実装例では、第2領域にあるコイル群の数が小さく且つコイルの幅が小さい場合、2つのコイルまたは別の数の複数のコイルが結合されて新たなコイルになり、新たなコイルの幅を増やすことができるため、新たなコイルのインピーダンスが減少するようになる。
【0035】
第2態様によれば、本願は電子デバイスを提供し、電子デバイスにはワイヤレス充電コイルが含まれる。ワイヤレス充電コイルは、複数の層に積層され直列に接続された複数のコイル群、および複数のコイル群の複数の層の間に配置された絶縁層を含む。ワイヤレス充電コイルは、第1領域および第1領域の外周に配置された第2領域を含む。第2領域に配置された複数のコイル群が複数の層に配列されており、各コイル群は1つの層において並列に巻かれた複数のコイルを含む。
【0036】
電子デバイスにおいて、ワイヤレス充電コイルでは、電流分布が均一ではなく第1領域にあるコイル群が、並列に接続されて複数の層に分配された複数のコイルを用いるため、第1領域にあるコイルの電流密度が複数の層に分配されるようになるので、電流分布均一性が向上し、さらに、電子デバイスの充電効率が向上する。
【0037】
第3態様によれば、本願はアンテナを提供し、アンテナはワイヤレス充電コイルの構造をしている。ワイヤレス充電コイルは、複数の層に積層され直列に接続された複数のコイル群、および複数のコイル群の複数の層の間に配置された絶縁層を含む。ワイヤレス充電コイルは、第1領域および第1領域の外周に配置された第2領域を含む。第2領域に配置された複数のコイル群が複数の層に配列されており、各コイル群は1つの層において並列に巻かれた複数のコイルを含む。
【0038】
アンテナにおいて、ワイヤレス充電コイルでは、電流分布が均一ではなく第1領域にあるコイル群が、並列に接続されて複数の層に分配された複数のコイルを用いるため、第1領域にあるコイルの電流密度が複数の層に分配されるようになるので、電流分布均一性が向上し、さらに、アンテナの充電効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本願の一実施形態による2つの電子デバイスの概略図である。
【0040】
【
図2】本願の別の実施形態による電子デバイスの構造の概略図である。
【0041】
【
図3】従来技術におけるワイヤレス充電コイルの概略図である。
【0042】
【
図4】
図3に示すワイヤレス充電コイルの、半径方向における片側の断面概略図である。
【0043】
【
図5】従来技術における2つの異なるワイヤレス充電コイルの片側の断面概略図である。
【
図6】従来技術における2つの異なるワイヤレス充電コイルの片側の断面概略図である。
【0044】
【
図7】
図1に示す電子デバイスにおけるワイヤレス充電コイルの概略図である。
【0045】
【
図8】
図7に示すワイヤレス充電コイルの、別の観点からの概略図である。
【0046】
【
図9】
図7に示すワイヤレス充電コイルの、半径方向における片側の断面概略図である。
【0047】
【
図10a】
図4に示すワイヤレス充電コイルの第2領域にある異なる数のコイルにワイヤスロットを配置した概略図である。
【
図10b】
図4に示すワイヤレス充電コイルの第2領域にある異なる数のコイルにワイヤスロットを配置した概略図である。
【
図10c】
図4に示すワイヤレス充電コイルの第2領域にある異なる数のコイルにワイヤスロットを配置した概略図である。
【0048】
【
図11a】ワイヤレス充電コイルの別の実施形態による、第2領域および第1領域にあるコイル群のコイルの数が異なる概略図である。
【
図11b】ワイヤレス充電コイルの別の実施形態による、第2領域および第1領域にあるコイル群のコイルの数が異なる概略図である。
【0049】
【
図12a】異なる数のコイルを巻くことで形成された、本願で提供されるワイヤレス充電コイルのコイル群の交差の概略図である。
【
図12b】異なる数のコイルを巻くことで形成された、本願で提供されるワイヤレス充電コイルのコイル群の交差の概略図である。
【
図12c】異なる数のコイルを巻くことで形成された、本願で提供されるワイヤレス充電コイルのコイル群の交差の概略図である。
【
図12d】異なる数のコイルを巻くことで形成された、本願で提供されるワイヤレス充電コイルのコイル群の交差の概略図である。
【
図12e】異なる数のコイルを巻くことで形成された、本願で提供されるワイヤレス充電コイルのコイル群の交差の概略図である。
【
図12f】異なる数のコイルを巻くことで形成された、本願で提供されるワイヤレス充電コイルのコイル群の交差の概略図である。
【
図12g】異なる数のコイルを巻くことで形成された、本願で提供されるワイヤレス充電コイルのコイル群の交差の概略図である。
【0050】
【
図13】
図12aに対応するワイヤレス充電コイルの交差部の概略図である。
【0051】
【
図14a】
図12bに対応するワイヤレス充電コイルの第1交差の概略図である。
【0052】
【
図14b】
図12bに対応するワイヤレス充電コイルの第2交差の概略図である。
【0053】
【
図15】本願によるワイヤレス充電コイルの異なる他の交差の概略図である。
【
図16】本願によるワイヤレス充電コイルの異なる他の交差の概略図である。
【0054】
【
図17】別の実施形態による、層の数が異なり、コイルの数が異なる
図7に示すワイヤレス充電コイルの概略図である。
【0055】
[主な構成要素の参照符号の説明]
【0056】
電子デバイス:200a、200b;ワイヤレス充電コイル:100、100a、100b、100c、100d、300、300a、および300b;第1層:101;第2層:102;第1領域:103;第2領域:104;第1端部:105;第2端部:106;コイル群:10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、301、301a、301b;コイル:111、111a、111b、111c、111d、111e、111f、111g、111h、111j、3011、3011a、3011b;ワイヤスロット:107;サブコイル:1111;第1コイル群:11、11a、11b;第2コイル群:12、12a;第3コイル群:13;第4コイル群:14;第5コイル群:15;第6コイル群:16;第7コイル群:17;ワイヤ部:1a、2a、3a、1b、2b、3b、4b、1c、2c、3c、4c、1d、2d、3d、4d;絶縁層:20;第1接続部:30;および第2接続部:40。
【発明を実施するための形態】
【0057】
予め決められた応用目的を実現するのに本願で用いられる技術的手段および効果をさらに説明するために、以下では、添付図面および実装例を参照して実施形態を説明する。明らかであるが、説明される実施形態は本願の実施形態の全てではなく、その一部だけである。
【0058】
別途定義されない限り、本明細書で用いられる技術用語および科学用語は全て、本願の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本願の本明細書で用いられる用語はここでは、特定の実施形態を説明するのに用いられるだけであり、本願を限定することは意図されていない。
【0059】
以下では、添付図面を参照して、本願のいくつかの実装例を詳細に説明する。以下の実施形態およびその実施形態の特徴は、矛盾が生じない限り、組み合わされてよい。
【0060】
本願の一実施形態が、電子デバイスを提供する。
【0061】
図1に示す2つの電子デバイスはそれぞれ、電子デバイス200aおよび電子デバイス200bである。電子デバイス200aは充電用のワイヤレス充電器であり、電子デバイス200aにはワイヤレス充電コイル100が配置されている。電子デバイス200bは携帯電話である。電子デバイス200bにはワイヤレス充電コイル100が配置されている。電子デバイス200aのワイヤレス充電コイルは、交流を伝導し、交流電磁場を発生させる。電子デバイス200のワイヤレス充電コイル100は交流磁場において誘導電圧を発生させてエネルギー伝送を実現し、電子デバイス200aは電子デバイス200のワイヤレス充電を実現する。
【0062】
別の実施形態では、電子デバイスはさらに、タブレットパーソナルコンピュータ(Tablet Personal Computer)、ラップトップコンピュータ(Laptop Computer)、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant、PDA)、モバイルインターネットデバイス(Mobile Internet Device、MID)、またはウェアラブルデバイス(Wearable Device)などであってもよいことが理解されるであろう。
【0063】
電子デバイスに含まれるコイルの数は、1つに限定されない。例えば
図2に示すように、別の実施形態では、電子デバイス200cが縦型ワイヤレス充電器であり、電子デバイス200が電子デバイス200cに傾けて立て掛けてあってもよい。2つのワイヤレス充電コイル100が電子デバイス200cに配置されており、2つのワイヤレス充電コイル100は別々に交流を伝導し、両方とも電子デバイス200のワイヤレス充電コイル100に誘導電圧を発生させ得るため、電子デバイス200のワイヤレス充電が実現されるようになる。
【0064】
図3および
図4を参照すると、従来技術のワイヤレス充電コイル300には6つのコイル群301が含まれる。各コイル群301には8つのコイル3011が含まれる。8つのコイル3011が2つの層において並列に巻かれているため、4つのコイル3011が各層に配列されるようになる。
図4の部分的に拡大した概略図に示すように、ワイヤレス充電コイル300の中心に近い3つのコイル群301の電流分布が均一ではない。電流は主に各コイル群301の両側の領域に集中し、中間領域には著しく低い電流がもたらされる。したがって、これらのコイル群301のコイル3011を流れる電流の実効面積が減少し、コイル3011を流れる電流の実効交流インピーダンスが増加し、充電効率が比較的低くなる。
【0065】
図5を参照すると、従来技術における別のワイヤレス充電コイル300aには、6つのコイル群301aが含まれる。各コイル群301aの2つのコイル3011aが並列に接続されて2つの層で巻かれており、6つのコイル群は直列に接続されている。ワイヤレス充電コイル300aの内径d1が20mmであり、ワイヤレス充電コイル300aの外径d2が40mmである。6つのコイル群同士の間には、5つの間隔がある。半径方向の間隔幅wは0.1mmである。ワイヤレス充電コイル300aにおける複数のコイル3011aの半径方向の合計幅は、(40-20-5×0.1)×2=39mmである。
【0066】
図6を参照すると、従来技術における別のワイヤレス充電コイル300bには、6つのコイル群301bが含まれる。各コイル群301bのコイル3011bが同じ層に分配されている。6つのコイル群301bは2つの層に分配されており、2つのコイル群301bごとに2つの層に対応して配列されている。6つのコイル群301bは2つの層に分配されており、ワイヤレス充電コイル300bには半径方向に2つの間隔がある。ワイヤレス充電コイル300bにおける複数のコイル3011bの半径方向の合計幅は、(40-20-2×0.1)×2=39.6mmである。
【0067】
ワイヤレス充電コイル300bにおける各コイル群301bのコイル3011bの数は、ワイヤレス充電コイル300aにおける各コイル群301aのコイル3011aの数と同じであり、その数は2つであっても、別の数であってもよい。
【0068】
交流インピーダンスRACは、直流インピーダンスRDCより大きいまたはこれに等しい。交流インピーダンスの下限が、直流インピーダンスに等しい。交流インピーダンスを最小に減少させても、直流インピーダンスRDCのレベルにしか達することができない。したがって、交流インピーダンスRACを減少させるためには、直流インピーダンスRDCを減少させることも重要な手段となる。
【0069】
各コイル群301aが1つの層で並列に内部接続されている
図6に示す解決手段と比較すると、各コイル群301aが2つの層で並列に内部接続されている
図5に示す解決手段では、半径方向におけるコイル3011aの合計幅が小さいほど、コイル3011aの全体積が小さくなり、直流インピーダンスRDCが高くなることを示す。
【0070】
図6に示すように、各コイル群301bは1つの層で並列に内部接続されており、複数のコイル群301bが直列に接続されて2つの層に分配されている。半径方向におけるコイル3011bの合計幅が大きいほど、コイル3011bの全体積が大きくなり、直流インピーダンスRDCが低くなることを示す。しかしながら、ワイヤレス充電コイル300bの中心に近い複数のコイル群301bの電流分布が均一ではない。直流インピーダンスRDCは減少するが、交流インピーダンスは減少しない。
【0071】
図7、
図8、および
図9を参照すると、ワイヤレス充電コイル100には、複数のコイル群10および絶縁層20が含まれる。複数のコイル群10は2つの層(第1層101および第2層102)に積層されており、絶縁層20の2つの対向面に配置されている。複数のコイル群10は、直列に順次接続されている。各コイル群10の複数のコイル111が並列に接続されている。ワイヤレス充電コイル100には、第1領域103および第2領域104が含まれる。第2領域104は第1領域103の外周に配置されている。第2領域104に配置された各コイル群10には、同じ層において並列に巻かれて並列に接続されたt個のコイル111が含まれる。第1領域103に配置された各コイル群10には、並列に2つの層で巻かれた2t個のコイル111が含まれ、t個のコイル111が第1層101で巻かれており、もう一方のt個のコイル111が第2層102で巻かれている。直列に隣接して接続された2つのコイル群10のt個のコイル111が対応して接続されている。
【0072】
ワイヤレス充電コイル100はFPCコイルであり、コイル111は導電層(例えば、銅層、アルミニウム層、ニッケル層、金層、銀層、または合金層)をエッチングして形成されるが、方式がこれに限定されることはない。例えば、別の実施形態において、ワイヤレス充電コイル100は導線を巻くことで形成されてもよい。
【0073】
ワイヤレス充電コイル100には、第1端部105および第2端部106が含まれる。電流が、第1端部105から入力され、第2端部106から出力される。ワイヤレス充電コイル100は、t個のコイル111を第1端部105から連続的に巻いて第2端部106に接続することで形成され、2つの層に分配されている。t個の間隔がある導電層が、第1端部105から内側にらせん状に巻くことで形成され、1つのコイル群10が各円周に形成される。一実施形態では、tが4であり、4つのコイル群10が第2領域104に配置されており、3つのコイル群10が第1領域103に配置されている。こうしたことが、これに限定されることはない。
【0074】
別の実施形態では、電流が第2端部106から入力されて、第1端部105から出力されてもよいことが理解されるであろう。
【0075】
第2領域104にあり第1領域103に隣接した2つのコイル群10が別々に、第1領域103にあり半径方向において両側にある2つのコイル群10と直列に接続されている。
【0076】
複数のコイル群10には、第1コイル群11、第2コイル群12、第3コイル群13、第4コイル群14、第5コイル群15、第6コイル群16、および第7コイル群17が含まれる。
【0077】
図7は、ワイヤレス充電コイル100を第1層101で巻いた概略図である。第1コイル群11および第2コイル群12は、第1層101の第2領域104において半径方向に順次巻かれており、第1コイル群11は第1端部105に接続されている。第3コイル群13、第4コイル群14、および第5コイル群15は、第1領域103において半径方向に順次巻かれており、第1層101および第2層102に別々に配列されている。第1領域103にある3つのコイル群ごとの、第1層101および第2層102に別々に配置されたt個のコイル111が順次接続されているため、第1領域103の3つのコイル群は直列に接続されるようになる。第3コイル群13の、第1層101に配置されたt個のコイル111は第2コイル群12のt個のコイル111に対応して接続されているため、第3コイル群13および第2コイル群12は直列に接続されるようになる。
図8は、ワイヤレス充電コイル100を第2層102で巻いた概略図である。第6コイル群16および第7コイル群17は、第2層102の第2領域104において半径方向に順次巻かれている。第7コイル群17は第2端部106に接続されている。第5コイル群15の、第2層102に配置されたt個のコイル111は、第6コイル群16のt個のコイル111に対応して接続されているため、第5コイル群15および第6コイル群16は直列に接続されるようになる。
【0078】
第1領域103のコイル群10では、並列に接続されて2つの層に分配された2t個のコイル111を用いることにより、第1領域103にあるコイル111の電流密度が2つの層に分配されるようになるため、電流分布均一性が向上する。
【0079】
ワイヤレス充電コイル100の各コイル111が独立して接続され、複数のコイル群10の、単一層にあるコイル111の数が同じであり、コイル111が順次接続されているため、様々なコイル群10のコイル111の数が異なる場合に、2つのコイル111を結合して隣接するコイル111に接続する必要があり、渦電流損が引き起こされるという問題が回避されるようになる。
【0080】
第2領域104にある複数のコイル群10が直列に接続されており、上層および下層の間に導電構造を設ける必要がないため、ワイヤレス充電コイル100の巻き工程が簡略化されるようになる。本願のこの実施形態で提供されるワイヤレス充電コイル100では、中心に近い第1領域103にある各コイル群10が並列に接続されて2つの層で巻かれ、第2領域104の各コイル群10が並列に接続されて単一層で巻かれるため、得られるワイヤレス充電コイル100は、
図5に示すワイヤレス充電コイル300aおよび
図6に示すワイヤレス充電コイル300bより低い交流インピーダンスRACを有するようになる。
【0081】
ワイヤレス充電コイル100の各コイル111は独立して接続されており、インピーダンスが減少する。
図9に示すように、ワイヤレス充電コイル100の厚さhが0.17mmであり、内径d3が20mmであり、外径d4が46mmであり、コイル群10の数が7であり、4つのコイル111がコイル群10の各層に分配されている。第1ワイヤレス充電コイル(図には示されていない)および
図9に示すワイヤレス充電コイル100の違いは、第1領域にある2つの隣接したコイル群の全てのコイルを結合してから接続するという点にある。第2ワイヤレス充電コイル(図には示されていない)および
図9に示すワイヤレス充電コイル100の違いは、第1領域にある2つの隣接したコイル群の2つのコイルごとに結合してから接続するという点にある。表1は、電流を伝導し、インダクタンス値が2μHである場合の、
図9に示すワイヤレス充電コイル100、第1ワイヤレス充電コイル、および第2ワイヤレス充電コイルのパラメータテーブルである。Qはインダクタンス品質係数であり、これは、ある周波数の交流電圧でワイヤレス充電コイルが動作するときの、ワイヤレス充電コイルの等価損失抵抗に対する示された誘導抵抗の比である。Q値が高いほど、ワイヤレス充電コイルの損失が低くなり、充電効率が高くなることを示す。
【表1】
【0082】
図9に示すワイヤレス充電コイル100、第1ワイヤレス充電コイル、および第2ワイヤレス充電コイルの違いは、2つの隣接するコイル群の接続方式だけが異なるという点にある。前述した表のデータからは、インピーダンスの降順で並べ換えたワイヤレス充電コイルの順序が、
図9に示す第1ワイヤレス充電コイル、第2ワイヤレス充電コイル、およびワイヤレス充電コイル100の順になることが分かるであろう。
図9に示すワイヤレス充電コイル100の複数のコイル111が独立して接続されており、ワイヤレス充電コイル100のインピーダンスが第1ワイヤレス充電コイルより約15%低い。
【0083】
図9を参照すると、第1領域103にあるコイル群10の数は3つであり、第2領域104にあるコイル群10の数が4つであり、第2領域104のコイル群10が2つの層に分配されているが、こうしたことがこれに限定されることはない。第1領域103にあるコイル群10の数は、ワイヤレス充電コイル100の半径方向における巻き方(例えば、
図3に示すワイヤレス充電コイル300、
図5に示すワイヤレス充電コイル300a、および
図6に示すワイヤレス充電コイル300bの巻き方)が一貫しているときの、電流分布が均一ではないコイル群の数に基づいて設定される。電流分布が均一ではないコイル群の数は、経験またはシミュレーションに基づいて得られ得る。
【0084】
第2領域104にあるコイル群10の数が小さく、コイル111の幅が大きい場合、コイル111にワイヤスロットを配置してよく、ワイヤスロットはコイルを分離して複数のサブコイルを形成し、電流を伝導するサブコイルの幅を減少させるため、著しく大きいコイル111の幅により渦電流損が引き起こされるという問題が回避されるようになる。ワイヤスロットは第2領域104にある全てのコイル111に配置されてもよく、ワイヤスロットはコイル111の一部だけに配置されてもよい。異なるコイル111に配置されるワイヤスロットの数が同じであっても、異なっていてもよい。
【0085】
例えば、
図10aに示すように、第2領域104では、ワイヤレス充電コイル100aおよびワイヤレス充電コイル100の違いは、ワイヤスロット107がワイヤレス充電コイル100aの各コイル111bに配置されており、2つのサブコイル1111が形成されているという点にある。別の例では、
図10bに示すように、ワイヤレス充電コイル100bおよびワイヤレス充電コイル100の違いは、最も外側に配置されてワイヤレス充電コイル100bにある第1コイル群11aの各コイル111bだけにワイヤスロット107が配置されており、2つのサブコイル1111が形成されているという点にある。別の例では、
図10cに示すように、ワイヤレス充電コイル100cおよびワイヤレス充電コイル100の違いは、第1領域に隣接してワイヤレス充電コイル100cにあるコイル111bだけにワイヤスロット107が配置されており、2つのサブコイル1111が形成されているという点にある。
【0086】
別の実施形態では、第2領域104にあるコイル群10のコイル111の数が、第1領域103にあるコイル群10の単一層におけるコイル111の数と異なってもよいことが理解されるであろう。
【0087】
第2領域104にあるコイル群10の数が小さく且つコイル111の幅が小さい場合、2つのコイル111または別の数の複数のコイル111が結合されて新たなコイルになり、新たなコイルの幅を増やすことができるため、新たなコイルのインピーダンスが減少するようになる。例えば、
図11aに示すように、ワイヤレス充電コイル100dおよびワイヤレス充電コイル100の違いは、第1領域103にある各コイル群10mの各層におけるコイル111cの数が6つであり、第2領域104にある各コイル群10nのコイル111dの数が3つであるという点にある。第1領域103および第2領域104に隣接した2つのコイル111cごとに結合してから、1つのコイル111dに接続する。別の例では、
図11bに示すように、ワイヤレス充電コイル100eおよびワイヤレス充電コイル100dの違いは、第1コイル群11bおよび第2コイル群12aのコイルの数が両方とも5であり、両方のコイル群が第2領域104の第1層101にあるという点にある。第2コイル群12aに隣接した、第1コイル群11bのコイル111eの幅が、第1コイル群11bの別のコイル111fの幅より大きい。第1コイル群11bに隣接した、第2コイル群12aのコイル111gの幅が、第2コイル群12aの別のコイル111hの幅より大きい。コイル111eは、第2コイル群12aの2つのコイル111hに接続されている。コイル111gは、2つのコイル111hに接続されている。
【0088】
第1領域103にあるコイル群10の数がMであり、第1領域103および第2領域104にあるコイル群10の総数がNであり、Nを2で割って端数を切り捨てた後に得られる整数にiが設定される。
【0089】
MおよびNは次の要件を満たす。すなわち、N-M≧2且つM≦i+2である。
【0090】
3≦N≦4の場合、M>0であり、N>4の場合、M≧i-2である。
【0091】
第1領域103にあるコイル群10の数Mおよびワイヤレス充電コイル100のコイル群10の総数Nの関係を設定することにより、電流分布が均一ではないコイル群10の数がMに等しくなるか、またはMに近くなるため、ワイヤレス充電コイル100の電流分布均一性が向上するようになる。
【0092】
N-M≧2の場合、ワイヤレス充電コイル100の第2領域104の2つの層に配置されるコイル111が確実にあるため、電流が2つの層に分配されるようになる。
【0093】
例えば、N=3、i=1、および0<M≦3である場合、N-M≧2を満たす必要があるため、最終的にM=1が得られるようになる。
【0094】
別の例では、N=4、i=2、および0<M≦4である場合、N-M≧2を満たす必要があるため、最終的に0<M≦2が得られるようになる。
【0095】
別の例では、N=7、i=3、および1≦M≦5である場合、N-M≧2が満たされる。
【0096】
第2領域104にある2つの層で2つのコイル群10の対応する積層を容易にするために、N-Mが偶数になるように設定されている。
【0097】
別の実施形態では、N-Mが奇数にもなり得ることが理解されるであろう。第2領域104にあるコイル群10の数が奇数である場合、2つの層におけるコイル群10の数の違いが1であり、コイル群10の数が小さい方の層におけるコイル群10の幅が、もう一方の層におけるコイル群10の幅より大きい。例えば、第2領域104の第1層101におけるコイル群10の数が3つであり、第2層102におけるコイル群10の数が2つである。第2層102におけるコイル群10の幅が、第1層101におけるコイル群10の幅より大きいため、インピーダンスが減少するようになる。
【0098】
別の実施形態では、コイル群10の数が整数に限定されないことが理解されるであろう。例えば、別の実施形態では、第2領域104にあるコイル群10の数は4.5であってもよい。
図7に示すワイヤレス充電コイル100と比較すると、2つの層にはそれぞれ、0.25円周のさらなる導電層がある。
【0099】
表2には、Nが3~16である場合の、MおよびN-Mの値が記載されている。
【表2】
【0100】
第1領域103にあるコイル群10は2つの層に分配されて電流を伝導しており、コイル群10の複数のコイル111の合計断面積が、2つの層におけるコイル111の合計断面積に等しい。第1領域103にあるコイル群10のコイル111の幅が減少するため、コイル111の断面積が減少するようになるので、第2領域104にあるコイル111を広げる余地が残っている。第2領域104にあるコイル群10の電流が、第1領域にあるコイル群10と比較して均等に分配されている。第2コイル111のコイル111の幅が増加し、インピーダンスが減少する。
【0101】
ワイヤレス充電コイル100の第2領域104にある各コイル群10の幅が、第1領域103にある各コイル群10の幅より大きいまたはこれに等しい。
【0102】
説明を明確にするために、第2領域104が第1領域103に面する方向として、方向xを定義する。
【0103】
第1領域103にあるコイル群10からワイヤレス充電コイル100の中心までの距離が大きいほど、電流分布均一性が良くなることを示す。方向xにおいて、第1領域103にある任意の2つのコイル群10の幅を減少させるかまたは維持し、ワイヤレス充電コイル100の中心から離れたコイル群10の幅を増加させて、インピーダンスを減少させることができる。
【0104】
ワイヤレス充電コイル100の半径方向における、第1領域103にある少なくとも1つのコイル群10のコイル111の配列順序を変えて、半径方向におけるコイル群10のコイル111の配列順序を変えるため、ワイヤレス充電コイル100の中心に近いコイル111が外側に移動し、ワイヤレス充電コイル100の中心から離れたコイル111が内側に移動するようになる。半径方向において両側にあるコイル111の電流密度が高く、中間にあるコイル111の電流密度が低い。半径方向におけるコイル111の位置を変えることで、コイル111の電流密度が変わるため、コイル群10にある複数のコイル111の電流分布均一性が高まるようになる。
【0105】
コイル群10の複数のコイル111は2つの層に均等に分配されており、半径方向における複数のコイル111の配列順序が交差方式で逆転することになる。2つの層に積層された2つのコイル111が、交差ユニットを形成する。
【0106】
図12aおよび
図13を参照すると、別の実施形態において、第1領域にあるコイル群10aには、2つのコイル111a、2つのコイル111b、および2つのコイル111cという6つのコイルが含まれる。3つのコイル111ごとに、同じ層に分配されている。2つの層に積層された2つのコイルごとに、交差ユニットを形成する。半径方向において両側にある2つの交差ユニットの順序が入れ替わり、中間にある交差ユニットの配列順序が変わらない。
【0107】
方向xにおいて、2つのコイル111aの2つの層の配列順序が1であり、各コイル111aには2つのワイヤ部1aが含まれ、2つのコイル111bの2つの層の配列順序が2であり、各コイル111bには2つのワイヤ部2aが含まれ、2つのコイル111cの2つの層の配列順序が3であり、各コイル111cには2つのワイヤ部3aが含まれる。
【0108】
ワイヤレス充電コイルはさらに、複数の第1接続部30を含む。第1接続部30は絶縁層を通過することができる。2つのワイヤ部1aは第1接続部30に接続されて、ワイヤ部群を形成する。2つのワイヤ部2aは第1接続部30に接続されて、ワイヤ部群を形成する。2つのワイヤ部3aは第1接続部30に接続されて、ワイヤ部群を形成する。
【0109】
ワイヤレス充電コイルはさらに、複数の第2接続部40を含む。第2接続部40の2つの端部が、半径方向に異なる配列順序になっている2つのワイヤ部群に別々に接続されているため、コイル111aの2つのワイヤ部1aが接続されるようになる。第2接続部40の2つの端部が、半径方向に異なる配列順序になっている2つのワイヤ部群に別々に接続されているため、コイル111bの2つのワイヤ部2aが接続されるようになる。第2接続部40の2つの端部が、半径方向に異なる配列順序になっている2つのワイヤ部群に別々に接続されているため、コイル111cの2つのワイヤ部3aが接続されるようになる。
【0110】
第1接続部30は、2つの層に積層された2つのコイルを接続し、同時に半径方向における配列順序を変える。第2接続部40は、半径方向における配列順序が変わった後にコイルの複数のワイヤ部を接続して、コイルの内側で伝導を実現することができる。
【0111】
図12bから
図12dを参照すると、コイル群の単一層におけるコイルの数tが3<t≦7を満たす場合、第1領域のコイル群に2つの交差が存在するため、半径方向における複数のコイルの配列順序が逆転するようになる。2つの層に積層された2つのコイルが、交差ユニットを形成する。2つの交差の原則には以下のことが含まれる。第1交差では、半径方向において両側から中間へと複数の交差ユニットの2つの交差ユニットごとに交差群を形成する。半径方向における各交差群の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わる。残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず、残りの交差ユニットの数が2である場合、半径方向における2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わる。残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず、残りの交差ユニットの数が3である場合、半径方向において中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向におけるその他の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わる。第2交差では、各交差群の複数の交差ユニットの配列順序が変わらず、中間にある交差群または交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向において両側にある2つの交差群の配列順序が入れ替わる。
【0112】
例えば、
図12b、
図14a、および
図14bに示すように、別の実施形態では、第1領域にあるコイル群10bには8つのコイルが含まれ、4つのコイルごとに同じ層に分配されている。方向xにおいて、2つの層に配置された2つのコイル111dの配列順序が1であり、各コイル111dには2つのワイヤ部1bが含まれ、2つの層に配置された2つのコイル111eの配列順序が2であり、各コイル111eには2つのワイヤ部2bが含まれ、2つの層に配置された2つのコイル111fの配列順序が3であり、各コイル111fには2つのワイヤ部3bが含まれ、2つの層に配置された2つのコイル111gの配列順序が4であり、各コイル111gには2つのワイヤ部4bが含まれる。
【0113】
第1交差では、配列順序1で2つのコイル111dにより形成される交差ユニット、および配列順序2で2つのコイル111eにより形成される交差ユニットが交差群を形成し、順序が入れ替わる。配列順序3で2つのコイル111fにより形成される交差ユニット、および配列順序4で2つのコイル111gにより形成される交差ユニットが交差群を形成し、順序が入れ替わる。第2交差では、コイル群10bの2つの交差群の順序が入れ替わる。交差群における2つの交差ユニットの順序は変わらない。2つの交差によって、半径方向における4つの交差ユニットの配列配置が逆の配列配置に変わる。
【0114】
コイル群10bの交差方式は、
図7に示すコイル群10の交差方式と同じである。
【0115】
図12cは、10個のコイルを含むコイル群10cの交差の概略図である。5つのコイルごとに同じ層に分配されており、2つの交差群を形成し、1つの交差ユニットが残っている。第1交差では、交差ユニット内の2つの交差ユニットの順序が入れ替わり、残りの交差ユニットの順序は変わらない。第2交差では、2つの交差群の順序が入れ替わる。中間にある交差ユニットの順序は変わらない。
【0116】
コイルの数が別々に12および14である場合、前述した2つの交差の原則に基づいて、
図12dに示すコイル群10dおよび
図12eに示すコイル群10eを別々に得ることができる。
【0117】
図12fおよび
図12gを参照すると、tが7<t≦9を満たす場合、第1交差では、半径方向において両側から中間へと複数の交差ユニットの3つの交差ユニットごとに交差群を形成する。半径方向における各交差群の中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向において両側にある2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わる。
図12fに示すように、残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず、残りの交差ユニットの数が2である場合、半径方向における2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わる。
図12gに示すように、残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず、残りの交差ユニットの数が3である場合、半径方向において中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向におけるその他の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わる。第2交差では、各交差群の複数の交差ユニットの配列順序が変わらず、中間にある交差群または交差ユニットの配列順序が変わらず、半径方向において両側にある2つの交差群の配列順序が入れ替わる。
【0118】
コイルの数が別々に16および18である場合、前述した2つの交差の原則に基づいて、
図12fのコイル群および
図12gに示すコイル群を別々に得ることができる。
【0119】
複数のコイルの配列配置を半径方向において逆の配列配置に変える前述の交差方式に、コイル群の複数のコイルが限定されることはない。例えば、
図15に示すように、別の実施形態では、半径方向において内側から外側へのコイル群10hの4つのコイルのワイヤ部の(ワイヤ部1a、ワイヤ部2c、ワイヤ部3c、およびワイヤ部4cの配列順序と一致している)配列順序が、1、2、3、および4であり、交差後には、半径方向における複数のコイルの配列順序は、4、3、2、および1である。
【0120】
配列を逆の配列に変える方式に、コイル群の複数のコイルの交差方式が限定されることはない。例えば、
図16に示すように、別の実施形態では、半径方向において内側から外側へのコイル群10gの4つのコイルのワイヤ部の(ワイヤ部1d、ワイヤ部2d、ワイヤ部3d、およびワイヤ部4dの配列順序と一致している)配列順序が、1、2、3、および4であり、交差後には、半径方向における複数のコイルの配列順序は、3、4、1、および2である。
【0121】
別の実施形態では、ワイヤレス充電コイル100の第1領域103において、1つ、2つ、または全てのコイル群10に含まれる複数のコイル111が交差する可能性があるため、半径方向におけるコイル111の配列順序が変わる可能性があり、コイル群10の電流分布均一性を向上させる可能性があることが理解されるであろう。
【0122】
別の実施形態では、第1領域103にあるコイル群10のコイル111の数が奇数であってもよく、第1層101および第2層102におけるコイル111の幅が異なるように設定されているため、2つの層におけるコイル111の全幅は等しくなることが理解されるであろう。
【0123】
ワイヤレス充電コイルの層の数が2つの層に限定されることはなく、3つの層、4つの層、または5つの層などであってもよいことが理解されるであろう。例えば、
図17に示すように、ワイヤレス充電コイル100dおよびワイヤレス充電コイル100の違いは、ワイヤレス充電コイル100dには3つの層で巻かれた8つのコイル群が含まれるという点にある。2つのコイル群10jが第1領域103に配置されており、6つのコイル群10kが第2領域104の3つの層に均等に分配されている。第1領域103にある各コイル群10jには6つのコイル111jが含まれ、2つのコイル111jごとに同じ層に配置されている。第2領域104にある各コイル10kには、同じ層に配置された2つのコイル111kが含まれる。
【0124】
第2領域104にあるコイル群10kの数が層の数の2倍であるが、これに限定されることはない。例えば、第2領域104にあるコイル群10kの数が5つであり、2つのコイル群10kが2つの層の各層に配置されている場合、幅を増やした残りのコイル群10kがもう1つの層に配置される。ワイヤレス充電コイルの層の数が2より大きい場合、2つの隣接した層の交差手法が、ワイヤレス充電コイル100の2つの層における複数のコイルの交差手法と同じである。
【0125】
ワイヤレス充電コイル100はさらに、アンテナの構造として用いられてよいことが理解されるであろう(図には示されていない)。例えば、ワイヤレス充電コイル100が携帯電話またはタブレットコンピュータなどの電子デバイスのアンテナとして用いられる場合、ワイヤレス充電コイル100は、交流を伝導するときに電磁場を発生させる。近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)技術に基づいて、電子デバイスは、近距離無線通信技術を用いる別のデバイスとデータを交換して、モバイル決済、電子チケット発行、アクセス制御、モバイルID認識、および偽造防止を実施することができる。
【0126】
ワイヤレス充電コイル100の電流分布均一性は比較的高い。ワイヤレス充電コイル100をアンテナに適用する場合、アンテナの効率が向上する。
【0127】
前述したワイヤレス充電コイル100では、電流分布が均一ではなく第1領域103にあるコイル群10が、並列に接続されて複数の層に分配された複数のコイル111を用いるため、第1領域103にあるコイル111の電流密度が複数の層に分配されるようになるので、電流分布均一性が向上する。
【0128】
前述した実施形態は、単に本願の技術的解決手段の説明を意図したものであり、限定とみなされることを意図したものではない。本願は好ましい実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者であれば、本願の技術的解決手段の趣旨および本質から逸脱することなく、本願の技術的解決手段を修正しても、均等な置き換えをしてもよいことを理解するはずである。
[他の可能性のある項目]
(項目1)
複数の層に配置され直列に接続された複数のコイル群、および前記複数のコイル群の2つの層の間に配置された絶縁層を備えたワイヤレス充電コイルであって、
前記ワイヤレス充電コイルが第1領域および前記第1領域の外周に配置された第2領域を備え;
前記第2領域に配置された複数のコイル群が前記複数の層に配列されており、各コイル群が1つの層で並列に巻かれた複数のコイルを含み;および
前記第1領域に配置された各コイル群が並列に接続された複数のコイルを含み、各層における前記コイル群のコイルの数が同じである、ワイヤレス充電コイル。
(項目2)
前記第1領域にあるコイル群の数がMであり、前記第1領域および前記第2領域にあるコイル群の数がNであり、MおよびNがN-M≧2且つM≦i+2を満たし、iがNを2で割って端数を切り捨てた後に得られる整数である、項目1に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目3)
3≦N≦4の場合、M>0である;およびN>4の場合、M≧i-2である、項目2に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目4)
前記第1領域にある前記コイル群の各層におけるコイルの数がtであり、直列に隣接して接続された2つのコイル群がt個のコイルを用いて対応して接続されている、項目1に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目5)
前記第2領域にある前記コイル群の数が、前記複数のコイル群が分配されている層の数の整数倍である、項目1に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目6)
前記第2領域の2つの隣接した層におけるコイル群の数同士の差異が1より大きいまたは1に等しい場合、コイル群の数が小さい方の層におけるコイル群の複数のコイルの合計幅が、もう一方の層におけるコイル群の複数のコイルの合計幅より大きい、項目1に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目7)
前記第2領域にある各コイル群の前記複数のコイルの合計幅が、前記第1領域にある各コイル群の単一層における複数のコイルの合計幅より大きいまたはこれに等しい、項目1に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目8)
前記第2領域が前記第1領域に面する方向において、前記第1領域にある任意の2つのコイル群の複数のコイルの合計幅が減少するか、または変わらない、項目7に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目9)
前記ワイヤレス充電コイルの半径方向における、前記第1領域にある少なくとも1つのコイル群のコイルの配列順序が変わる、項目1に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目10)
前記第1領域にあるコイルが複数のワイヤ部を含み、前記ワイヤレス充電コイルがさらに第1接続部および第2接続部を備え;
前記第1接続部が前記絶縁層を通過し、前記複数の層に積層された前記半径方向において同じ配列順序の複数のワイヤ部が、前記第1接続部を用いて接続されてワイヤ部群を形成し;および
前記第2接続部の2つの端部が、前記半径方向において異なる配列順序である2つのワイヤ部群に別々に接続されているため、前記コイルの前記複数のワイヤ部が接続されるようになる、項目9に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目11)
前記コイル群の複数のコイルアレイが少なくとも2つの層に均等に分配されており、2つの交差によって、前記半径方向における複数のコイルの配列順序を逆転させることが可能になり;および前記少なくとも2つの層に積層されている前記半径方向において同じ配列順序の複数のコイルが交差ユニットを形成し;および
前記コイル群の単一層におけるコイルの数tが3<t≦7を満たす場合、第1交差では、前記半径方向において両側から中間へと複数の交差ユニットの2つの交差ユニットごとに交差群を形成し、前記半径方向における各交差群の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり、残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ前記残りの交差ユニットの数が2である場合、前記半径方向における2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;および前記残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ残りの交差ユニットの数が3である場合、前記半径方向において前記中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向におけるその他の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;および第2交差では、各交差群の複数の交差ユニットの配列順序が変わらず、前記中間にある交差群または交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向において前記両側にある2つの交差群の配列順序が入れ替わる、項目9に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目12)
前記コイル群の複数のコイルアレイが少なくとも2つの層に均等に分配されており、2つの交差によって、前記半径方向における複数のコイルの配列順序を逆転させることが可能になり;および前記少なくとも2つの層に積層されている前記半径方向において同じ配列順序の複数のコイルが交差ユニットを形成し;および
前記コイル群の単一層におけるコイルの数tが7<t≦9を満たす場合、第1交差では、前記半径方向において両側から中間へと複数の交差ユニットの3つの交差ユニットごとに交差群を形成し;前記半径方向における各交差群の前記中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向において前記両側にある2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ前記残りの交差ユニットの数が2である場合、前記半径方向における2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;残りの交差ユニットを2つの群に均等に分割できず且つ前記残りの交差ユニットの数が3である場合、前記半径方向において前記中間にある交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向におけるその他の2つの交差ユニットの配列順序が入れ替わり;および第2交差では、各交差群の複数の交差ユニットの配列順序が変わらず、前記中間にある交差群または交差ユニットの配列順序が変わらず、前記半径方向において前記両側にある2つの交差群の配列順序が入れ替わる、項目9に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目13)
前記第2領域における前記コイル群のコイルの数がtであり、前記第1領域における前記コイル群のコイルの数がtであり、直列に隣接して接続された、前記ワイヤレス充電コイルの2つのコイル群が、t個のコイルを用いて対応して接続されている、項目1に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目14)
前記第2領域にある少なくとも1つのコイルにワイヤスロットが配置されているため、前記コイルが複数のサブコイルを形成するようになる、項目13に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目15)
前記第2領域にある少なくとも1つのコイル群における少なくとも2つの隣接したコイルが結合されて新たなコイルになる、項目13に記載のワイヤレス充電コイル。
(項目16)
電子デバイスであって、前記電子デバイスが項目1から15のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイルを備える、電子デバイス。
(項目17)
アンテナであって、前記アンテナが項目1から15のいずれか一項に記載のワイヤレス充電コイルを備える、アンテナ。
【国際調査報告】