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特表2024-501606歯科用システムにおける洗浄モードの自動起動
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】歯科用システムにおける洗浄モードの自動起動
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A61C19/00 C
A61C19/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526130
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021063631
(87)【国際公開番号】W WO2022146695
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/139,744
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510040983
【氏名又は名称】エイ-デック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アーヴィング
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】ブレット ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー ウォーネケ
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA13
4C052AA20
4C052EE03
4C052FF10
4C052GG24
4C052KK01
4C052LL02
4C052NN12
4C052NN16
(57)【要約】
歯科用デリバリーシステムにおいて歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始する方法は、複数のハンドピースウォーターラインのうちの少なくとも第1および第2のハンドピースウォーターラインが、歯科用デリバリーシステムの制御ヘッドの第1および第2の休止位置のそれぞれから取り外されているか否かを検出することを含む。いくつかの実施形態によれば、洗浄可能な追加の歯科用ハンドピースウォーターラインが制御ヘッドの休止位置に残っていないと判断されると、歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードが、第1および第2の歯科用ハンドピースウォーターラインに対して自動的に開始される。いくつかの実施形態では、ディスプレイが更新されてユーザに情報が提供され、ユーザからの入力を受信して洗浄が開始される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用デリバリーシステムにおいて歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始する方法であって、
複数のハンドピースウォーターラインのうちの少なくとも第1および第2のハンドピースウォーターラインが、前記歯科用デリバリーシステムの制御ヘッドの第1および第2のウォーターライン休止位置のそれぞれから取り外されているか否かを検出することと、
洗浄可能な追加の歯科用ハンドピースウォーターラインが、前記歯科用デリバリーシステムの前記制御ヘッドのウォーターライン休止位置に残っていないことを判断することと、
前記第1および第2の歯科用ハンドピースウォーターラインに対して前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することは、ディスプレイを更新して、前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードに入ったことを示すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することは、ディスプレイを更新して、前記第1および第2の歯科用ハンドピースウォーターラインが前記第1および第2のウォーターライン休止位置のそれぞれから取り外されていることを示すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することは、ディスプレイを更新して、時限洗浄モードに入ったことを示すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記時限洗浄モードが開始された後、更に、前記時限洗浄モードの残り時間を表示することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ディスプレイを更新して、選択可能な複数の所定の洗浄時間を示すことを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することは、ディスプレイを更新して、手動洗浄モードに入ったことを示すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することは、ディスプレイを更新して、前記ユーザからの手動入力を受け入れるタッチスクリーン上に制御要素を示すことで、洗浄を開始することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
更に、前記第1の歯科用ハンドピースウォーターラインが前記第1のウォーターライン休止位置に戻されたとき、または前記第2の歯科用ハンドピースウォーターラインが前記第2のウォーターライン休止位置に戻されたとき、前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に終了することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始するように構成された歯科用デリバリーシステムであって、
ユーザがアクセスできるように構成された、少なくとも第1のハンドピースウォーターライン休止位置および第2のハンドピースウォーターライン休止位置を含む、複数の歯科用ハンドピースウォーターライン休止位置と、
少なくとも、前記第1のハンドピースウォーターライン休止位置が第1のハンドピースウォーターラインによって占められていないか否かを検出するように構成された第1の検出器と、第2のハンドピースウォーターライン休止位置が第2のハンドピースウォーターラインによって占められていないか否かを検出するように構成された第2の検出器と、
制御回路内の少なくとも前記第1の検出器および前記第2の検出器に接続されたコントローラであって、前記第1および第2の検出器が、前記第1および第2のハンドピースウォーターライン休止位置がそれぞれ占められていないことを示す場合、ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始するようにプログラムされている前記コントローラと、
を含む、歯科用デリバリーシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1のハンドピースウォーターラインおよび前記第2のハンドピースウォーターラインが洗浄可能なハンドピースと共に使用するためのものであるか否かを判断するようにプログラムされており、前記ハンドピースウォーターライン洗浄モードは、前記第1および第2のハンドピースウォーターラインが洗浄可能なハンドピースと共に使用するためのものである場合のみ開始される、請求項10に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、メモリ位置からハンドピース識別情報を受信するようにプログラムされており、前記ハンドピース識別情報は、前記第1のハンドピースウォーターライン休止位置および前記第2のハンドピースウォーターライン休止位置が、それぞれ第1および第2の洗浄可能なハンドピースに接続するよう指定されているか否かを特定する、請求項11に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、少なくとも第3のハンドピースウォーターライン休止位置が、前記第1のハンドピースウォーターラインおよび前記第2のハンドピースウォーターラインと共に洗浄されるべき第3のハンドピースウォーターラインによって占められていると判断された場合、前記ハンドピースウォーターライン洗浄モードの自動的な開始を妨げるようにプログラムされている、請求項10に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項14】
更に、ディスプレイを備え、前記ディスプレイは、前記ハンドピースウォーターライン洗浄モードが開始されたことを示すように構成されている、請求項10に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項15】
前記ディスプレイは、前記第1および第2のハンドピースウォーターライン休止位置が占められているか否かを示すように構成されている、請求項14に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項16】
前記ディスプレイは、前記第1のハンドピースウォーターラインが前記第1のハンドピースウォーターライン休止位置から移動したこと、または前記第2のハンドピースウォーターラインが前記第2のハンドピースウォーターライン休止位置から移動したことを示すよう外観が変化するように構成されている、請求項15に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項17】
前記ディスプレイは、前記ウォーターライン洗浄モードが時限洗浄モードまたは手動洗浄モードであることを示すように構成されている、請求項10に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項18】
前記ディスプレイは、前記ウォーターライン洗浄モードを開始するように操作可能なユーザ選択可能な制御要素を示すように構成されている、請求項10に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項19】
前記第1の検出器または前記第2の検出器のうちの少なくとも一方は、それぞれの前記ハンドピースウォーターラインまたは前記ハンドピースウォーターラインが受け入れられるハンドピースチューブと接触するように構成された、バイアスされた接触要素を有するスイッチを備える、請求項10に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項20】
前記スイッチは、ハンドピースホルダに連結されており、前記ハンドピースホルダに受け入れられる前記ハンドピースウォーターラインのそれぞれ1つの側面に接触するように構成されている、請求項18に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項21】
前記スイッチは、前記第1および第2のハンドピースウォーターラインのうちの一方を移動可能に支持するホイップアームに取り付けられており、前記スイッチは、前記ホイップアームが所定の位置に移動されたことを検出すると状態を変更して、前記ホイップアームによって支持されている前記ウォーターラインのそれぞれがその休止位置から移動されたことを示すように構成されている、請求項18に記載の歯科用デリバリーシステム。
【請求項22】
歯科用デリバリーシステムにおいて歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始するための制御回路であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサにリンクされており、前記プロセッサに複数の動作を実行させるための命令を格納したメモリであって、
複数のハンドピースウォーターラインのうちの少なくとも第1および第2のハンドピースウォーターラインが第1および第2のウォーターライン休止位置のそれぞれから取り外されているか否かを検出することと、
洗浄可能な追加の歯科用ハンドピースウォーターラインがウォーターライン休止位置に残っていないことを判断することと、
前記第1および第2の歯科用ハンドピースウォーターラインに対して前記歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することと、
を含む、メモリと、
を備える、制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
歯科用デリバリーシステムは、空気、水、電力および/またはデータを歯科用ハンドピースおよび施術者が患者の歯科治療を実行する際に使用する他の同様の装置に送達するための物理的接続を提供する。典型的な治療手順は、2つ以上のハンドピースの使用を伴い得るため、歯科用デリバリーシステムの制御ヘッドは、典型的には、複数のハンドピースを受け入れるための複数の画定された位置を有する。ハンドピースの制御ヘッド位置の少なくとも一部は、典型的には空気および/または水である加圧流体源への接続を有する。
【背景技術】
【0002】
治療部位に供給するために、またはハンドピースの冷却剤として水を使用するハンドピースは、各患者の訪問後に洗浄可能なウォーターラインを有する。洗浄可能な代表的なタイプのハンドピースウォーターラインには、歯科用シリンジ、空気駆動ハンドピース(高速、低速)、電動ハンドピース、外科用ハンドピース、衛生ハンドピース、超音波ハンドピース等を供給するものが含まれる。ハンドピースウォーターラインは、ハンドピースと、空気、データ、電力等も供給する制御ヘッドとの間の物理的接続のうちの1つの構成要素であり得る。ウォーターラインを介して供給される水は、建物の給水源への直接的な接続から、または独立したボトルウォーターシステム(自己完結型ウォーターシステムとも称される場合がある)から供給され得る。
【0003】
典型的には水で行われるウォーターラインの洗浄を実行することで、ハンドピースからウォーターライン内に不注意に引き込まれた可能性のある感染性物質を口腔から拡散するリスクを低減し、これは、水を使用して洗浄すること、またはあらゆるそのような物質をウォーターラインから、シンクまたは安全に廃棄するための他の適切な場所等に排出することによる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなウォーターライン(および取り付けられた任意のハンドピース)の洗浄は、手動で行うことができるが、典型的には、患者の来院の間の数分の間隔内に、調整された動きを正確かつ迅速に実行する必要がある。複数のハンドピースに対して自動的に開始でき、より少ない操作とより大きな柔軟性でより迅速に実行可能であって、洗浄が適切に完了したという保証を高めることができる、ハンドピースウォーターライン洗浄を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に、歯科用デリバリーシステムにおいて洗浄モードを自動的に開始するための様々な方法および装置を説明する。
【0006】
第1の方法の実施形態によれば、歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することは、複数のハンドピースウォーターラインのうちの少なくとも第1および第2のハンドピースウォーターラインが、歯科用デリバリーシステムの制御ヘッドの第1および第2のウォーターライン休止位置のそれぞれから取り外されているか否かを検出することと、歯科用デリバリーシステムの制御ヘッドのウォーターライン休止位置に洗浄可能な追加の歯科用ハンドピースウォーターラインが残っていないことを判断することと、第1および第2の歯科用ハンドピースウォーターラインに対して歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することと、を含む。ウォーターライン洗浄モードが開始した後またはウォーターライン洗浄モードに入った後、ユーザからのアクション(例えば、制御要素またはタッチスクリーン要素の作動、または別のタイプの作動/起動等)によって洗浄を開始することができる。
【0007】
歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することは、ディスプレイを更新して、歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードに入ったことを示すこと、第1および第2の歯科用ハンドピースウォーターラインが第1および第2のウォーターライン休止位置のそれぞれから取り外されていることを示すこと、時限洗浄モードに入ったことを示すこと、および/または、手動洗浄モードに入ったことを示すことを含む。ディスプレイは、選択可能な複数の所定の洗浄時間および/または選択された洗浄モードの残り時間を示すように構成することができる。
【0008】
歯科用ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始することは、ユーザからの手動入力を受信して洗浄を開始するように制御を構成すること、および/または、ディスプレイを更新して、ユーザからの手動入力を受け入れるタッチスクリーン上に制御要素を示すことで、洗浄を開始することを含むことができる。
【0009】
別の実施形態によれば、ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動で開始するよう構成された歯科用デリバリーシステムは、ユーザがアクセスできるように構成された、少なくとも第1のハンドピースウォーターライン休止位置および第2のハンドピースウォーターライン休止位置を含む、複数の歯科用ハンドピースウォーターライン休止位置と、少なくとも、第1のハンドピースウォーターライン休止位置が第1のハンドピースウォーターラインによって占められていないか否かを検出するように構成された第1の検出器と、第2のハンドピースウォーターライン休止位置が第2のハンドピースウォーターラインによって占められていないか否かを検出するように構成された第2の検出器と、制御回路内の少なくとも第1の検出器および第2の検出器に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、第1および第2の検出器が、第1および第2のハンドピースウォーターライン休止位置がそれぞれ占められていないことを示す場合、ハンドピースウォーターライン洗浄モードを自動的に開始するようにプログラムされている。
【0010】
コントローラは、第1および第2のハンドピースウォーターラインが洗浄可能なハンドピースと共に使用するためのものである場合にのみハンドピースウォーターライン洗浄モードが開始されるように、第1のハンドピースウォーターラインおよび第2のハンドピースウォーターラインが洗浄可能なハンドピースと共に使用するためのものであるか否かを判断するようにプログラムすることができる。
【0011】
コントローラは、メモリ位置からハンドピース識別情報を受信するようにプログラムすることができる。ハンドピース識別情報は、第1のハンドピースウォーターライン休止位置および第2のハンドピースウォーターライン休止位置が、それぞれ第1および第2の洗浄可能なハンドピースに接続するよう指定されているか否かを特定することができる。
【0012】
歯科用デリバリーシステムは、ディスプレイを含むことができる。ディスプレイは、第1および第2のハンドピースウォーターライン休止位置が占められているか否かにかかわらず、ハンドピースウォーターライン洗浄モードが開始されたことを示し、第1のハンドピースウォーターラインが第1のハンドピースウォーターライン休止位置から移動したこと、または第2のハンドピースウォーターラインが第2のハンドピースウォーターライン休止位置から移動したことを示すよう外観が変化し、ウォーターライン洗浄モードが時限洗浄モードまたは手動洗浄モードであることを示し、および/または、ウォーターライン洗浄モードを開始するように操作可能なユーザ選択可能な制御要素を示すように構成することができる。
【0013】
第1の検出器または第2の検出器のうちの少なくとも一方は、それぞれのハンドピースウォーターラインがそれぞれの休止位置から取り外されるか、またはそれぞれの休止位置に戻されると、それぞれのハンドピースウォーターライン(またはハンドピースチューブ)に接触するように構成された、バイアスされた接触要素を有するスイッチを備えることができる。スイッチは、ハンドピースホルダに連結されていてもよく、ハンドピースホルダに受け入れられるハンドピースウォーターライン(またはハンドピースチューブ)のそれぞれ1つの側面に接触するように構成することができる。スイッチは、第1および第2のハンドピースウォーターラインのうちの一方を移動可能に支持するホイップアームに取り付けることができ、ホイップアームが所定の位置に移動されたことを検出すると状態が変化して、ホイップアームによって支持されるウォーターラインのそれぞれがその休止位置から移動されたことを示すように構成される。
【0014】
開示された技術の前述および他の目的、特徴、および利点は、添付図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】1つの一般的なタイプの代表的なデリバリーシステムの斜視図である。
図2】別の一般的なタイプによる、別の代表的なデリバリーシステムの斜視図である。
図3】ホイップアームによって支持されたハンドピースチューブ(ハンドピースウォーターラインを含む)によって接続されているハンドピースのうちの1つがその休止位置から移動したことを示す、図2のデリバリーシステムの別の斜視図である。
図4】ハンドピースウォーターライン(またはハンドピースチューブ)がその休止位置にあるか否かを検出するために使用されるスイッチの一種の概略図である。
図5】歯科用デリバリーシステムにおいて洗浄モードを自動的に開始する代表的な方法のフローチャートである。
図6】洗浄モードの自動開始を実施可能な歯科用デリバリーシステムの選択された要素を示す概略的なブロック図である。
図7】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
図8】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
図9】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
図10】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
図11】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
図12】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
図13】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
図14】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
図15】デリバリーシステムと共に使用されるタッチスクリーン上に表示されて、例えば、システムの様々な状態を示し、ユーザからの入力を受け取ることができるような、代表的なグラフィカルユーザインタフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、歯科用デリバリーシステムの制御ヘッドを使用して実行される、歯科用ハンドピースのウォーターライン(および歯科用ハンドピースウォーターラインに取り付けられた任意の歯科用ヘッドピース)を洗浄するための洗浄モードを自動的に開始する(または洗浄モードに自動的に入る)新規の方法および装置について説明する。
【0017】
図1は、制御ヘッド100を有する市販の歯科用デリバリーシステムの斜視図である。複数のハンドピース、例えば、図1の例では5つのハンドピースは、それぞれのハンドピースチューブ102によって、制御ヘッド100に連結させることができ、それにより、水や空気等の流体、電力および/またはデータを、患者を治療するためにハンドピースに、またはハンドピースを通して適切に供給することができる。各ハンドピースチューブ102は、少なくとも1つの経路を含むが、典型的には、1つ以上の流体、電力および/またはデータのための複数の別個の経路を含み、複数の経路は、取り扱いおよび洗浄の便宜のためにチューブ内に一緒に配置される。流体経路は、典型的には、個々のチューブセグメントから、またはマルチチャネル構造の個々のチャネルとして形成される。電力経路は、典型的には、有線またはケーブル接続である。データ接続は、典型的には、有線またはケーブル接続である。
【0018】
いくつかの例として、ハンドピースに給電するまたはハンドピースを冷却するために加圧空気を供給することができる。歯または他の治療領域を冷却し、汚れを除去するために加圧空気を供給することもできる。歯または他の治療領域を冷却し、および/または汚れを除去するために加圧水を供給することもできる。電力を供給して、ハンドピースに給電することができる。データを転送して、ハンドピースやその使用等に関する情報を通信することができる。
【0019】
ここで特に興味深いのは、水をハンドピースに供給するハンドピースチューブ内の流体経路であり、これは本明細書ではウォーターラインと称する。場合によっては、本明細書で使用される「ウォーターライン」は、ウォーターラインが関連するハンドピースチューブを指すこともできる。
【0020】
第1の例として、シリンジの遠位端を通して空気および水を供給するために使用される従来の歯科用シリンジ104が、位置1として定義されている第1の位置を占めるように図示されている。位置1にある歯科用シリンジ104およびそのハンドピースチューブアセンブリ102は、図示のとおり「休止位置」を占めている(即ち、動作していない)と説明することができる。同様に、位置2~5(ハンドピースが取り付けられていない状態で図示されている)のハンドピースチューブ102も、それぞれの休止位置にある。従って、位置1にある歯科用シリンジ104のためのハンドピースチューブ102内のウォーターライン、および位置2~5にあるハンドピースチューブ102内に存在するあらゆるウォーターラインは、それぞれの「休止位置」を占めていると説明することもできる。各休止位置は、以下でより詳細に説明するように、スイッチまたはインジケータの状態に関連して更に定義することができる。制御ヘッド100の場合、休止位置は、「ホルダ位置」と呼ばれる場合もあり、これは、物理的構成が、ハンドピースチューブおよび任意の取り付けられたハンドピースを適所に保持するよう成形された開口部を含むためである。
【0021】
ハンドピースが取り付けられていない状態で示される位置2~5のハンドピースチューブ102の場合、ハンドピースチューブは、以下でより詳細に説明するように、ハンドピースナットまたはスイベルにて終端することができる。一部の制御ヘッドでは、ハンドピース位置の一部のみに、流体を供給するための対応するウォーターラインがある(「ブロック位置」と称する場合もある)。他のハンドピース位置は、流体接続を必要としないハンドピース(例えば、電気接続のみを必要とするハンドピース)に割り当てることができる。以下の説明の目的のために、位置2~5の各ハンドピースチューブは、それぞれのウォーターラインを含むと仮定され、ハンドピースウォーターラインへの以下の言及は、一般的に、特定の文脈から明らかなように、そのそれぞれの周囲のハンドピースチューブを含むものとする。
【0022】
図示のように、制御ヘッド100は、水、空気、任意の他の流体、データおよび電力用のラインを収容するための空間を画定するハウジング106と、弁、電磁弁、制御ブロック、1つ以上の回路基板、1つ以上のコントローラまたはマイクロプロセッサ、およびその他のコンポーネントを含む、流体並びに電気回路およびそれらの相互接続のための制御要素とを有する。
【0023】
タッチパッド108(または他の入力/出力デバイス)は、ユーザがステータス情報、命令、警告等を見ることができ、以下で更に詳細に説明するように、入力を行うことができるユーザインタフェースを提供する。ユーザが容易にアクセスできるように、制御ヘッドの上に可動トレイ110を配置することができる。1つ以上の可動アーム部分114により、典型的には治療椅子にうつ伏せに横たわっている患者、および典型的には歯科用治療椅子の隣に座っている施術者に対して所望の位置に制御ヘッドを支持することができる。
【0024】
図1の歯科用デリバリーシステムは、「トラディショナル」歯科用デリバリーシステム(吊り下げられたハンドピースチューブを有する)と称される場合がある。Continental(登録商標)タイプのデリバリーシステム(ホイップアームによって支持されるハンドピースチューブを有する)と称される場合がある代替的な歯科用デリバリーシステムが、図2および図3に示されている。図2および図3の例では、制御ヘッド200に対して定義された6つのハンドピース位置(位置1~6)がある。図示の実施形態では、位置1~6のそれぞれにハンドピースチューブ202がある。上述したように、各ハンドピースチューブ202は、空気、水、電気および/またはデータのための1つ以上の経路を含む。また、上述したように、本明細書では(必須ではないが)、各ハンドピースチューブ202内にハンドピースウォーターラインがあると仮定する。従って、ハンドピースチューブ202は、以下の説明ではハンドピースウォーターライン202と称する。図2の例では、ハンドピースウォーターライン202はそれぞれ、対応するハンドピース204に接続されて示されている。ウォーターライン202はそれぞれ、図2に示されるように、その休止位置にバイアスされたヒンジ付きホイップアーム220によって支持されている。
【0025】
図2では、各ハンドピース204、および対応して、各ハンドピースウォーターライン202はそれぞれ、休止位置にある。図3において、位置4のハンドピース204は、その休止位置から移動されて示されており、そのウォーターライン202は、そのヒンジにて前方に屈曲されたホイップアーム220の一部に沿って支持されている。図1について上述したように、ハンドピース204/ハンドピースウォーターライン202がその休止位置から取り外されている状態は、以下で更に詳細に説明するように、ホイップアームが所定の角度または距離だけ前方に屈曲されたときに状態を変化させるように構成されたスイッチのような、スイッチの状態に関連して更に定義することができる。
【0026】
制御ヘッド200は、制御ヘッド100について上述したハウジング106およびタッチパッド108と同様に、ハウジング206およびタッチパッド208を有することができる。制御ヘッド200はまた、制御ヘッドを新しい位置に移動させるためのハンドル212を有することもできる。
【0027】
本明細書に記載の実施形態において、「歯科用デリバリーシステム」という用語は、空気、水、電力および/またはデータを歯科用ハンドピースおよび施術者が患者の歯科治療を実施する際に使用する他の同様のデバイスに送達するための物理的接続を提供する装置を指す。歯科用デリバリーシステムは、典型的には、その物理的および/または論理的構成要素として制御ヘッドを含む。場合によっては、歯科用デリバリーシステムの一種であるアシスタントの器具には、制御ヘッド自体が含まれない。
【0028】
歯科用デリバリーシステムは、歯科環境において使用される他のデバイスおよび/またはコンポーネントの一部であってもよく、またはそれらと関連していてもよい。例えば、「歯科治療センター」および他の同様の用語は、歯科用デリバリーシステム、並びに、患者用椅子、スピットン、サポートセンター、無影灯等、並びに、支持アームおよびコンポーネント間の接続を指すことができる。場合によっては、一次制御または冗長化制御を含み得る、洗浄動作を制御するための制御回路の一部を、サポートセンターに関連付ける、または治療センター全体の別の場所に配置することができる。
【0029】
洗浄は、特定のタイプの歯科用ハンドピースウォーターライン(場合によっては、ウォーターラインに取り付けられた歯科用ハンドピース)で実行される洗浄手順の一種である。「洗浄」とは、典型的には、水または処理水である圧力下の液体の流れを、ウォーターラインおよび任意の取り付けられたハンドピースを通して運搬することを指す。歯科では、洗浄の目的に応じて、様々な目的で洗浄を行うことができる。比較的頻繁に、かつ比較的短期間に実行される洗浄の一種によると、(一般的に、滅菌したばかりのハンドピースを次の患者のためにハンドピースウォーターラインに接続する前に)典型的には、ハンドピースウォーターラインは、各患者の訪問直後に洗浄される。患者の処置後の洗浄動作により、ハンドピースまたは口腔からウォーターライン内に引き込まれた可能性のある水を含む、ウォーターラインに残っているあらゆる水を排出し、それにより、患者からの感染性物質が他人に拡散するリスクを低減する。
【0030】
更に、ウォーターラインに供給される水(「歯科用ユニット水」と称される場合もある)にウォーターライン処理薬剤が使用される場合、洗浄は、ライン内の水に新鮮な処理水を補充して、ウォーターラインにおける化学薬品の最大効力を確保するのを助ける。定期的に、より攻撃的な化学溶液を、歯科用ユニット水システムを通して流すことができ、これは、その内部表面に発生した可能性のあるあらゆる細菌バイオフィルムを除去すること意図している。溶液がその洗浄機能を実行した後、水による洗浄を使用して、水システムから化学薬品をパージする。
【0031】
典型的には、一部の種類のハンドピースチューブだけが洗浄され、これら(およびそれぞれのハンドピース)は、本明細書では「洗浄可能な」または「洗浄に適した」と称する。例えば、液体を搬送するハンドピース用のチューブアセンブリのみが、典型的には、洗浄可能である。このようなハンドピースチューブは、制御ヘッド内の選択された位置にのみ割り当てることができる。洗浄することができる代表的なタイプのハンドピースウォーターラインには、歯科用シリンジ、空気駆動ハンドピース(高速、低速)、電動ハンドピース、外科用ハンドピース、衛生ハンドピース、超音波ハンドピース等を供給するものが含まれる。
【0032】
水および空気を分配するために使用され、従って水を供給するための関連するラインを有する歯科用シリンジは、洗浄可能なハンドピースとして指定されても指定されなくてもよい。歯科用シリンジが、歯科用シリンジ自体の手動制御を作動させた場合にのみ水を供給するタイプのものである(例えば、水「ボタン」を有する)場合、そのシリンジは、典型的には、洗浄可能なハンドピースとして指定されない。歯科用シリンジが、制御ヘッドまたはシステム全体における他の制御要素によって水流の制御を達成できるタイプのものである場合、歯科用シリンジは、洗浄可能なハンドピースとして含めることができる場合がある。
【0033】
典型的な患者の訪問中に、複数のハンドピースが患者の治療に使用され得る。典型的には、複数の洗浄に適したハンドピースが使用されるため、これらのハンドピースのウォーターラインは、通常、次の使用前に洗浄される。ハンドピースウォーターラインあたりの推奨洗浄時間は、20~30秒等(または最大でも2分)と比較的短くてもよいが、2、3、4または5個のハンドピースウォーターラインを洗浄する必要がある場合は、(必要なユーザアクションの削減に基づいて)複数のハンドピースの洗浄が同時に、または連続的に行われることで、時間を節約することができる。
【0034】
ハンドピースに水を供給するウォーターラインのシステム全体には、制御ヘッドからハンドピースナットまたは他の終端まで延在する外部チューブ部分と、制御ヘッド内にあり、上流に水源まで延在する内部または包み込まれたチューブ部分とが含まれる。ウォーターラインは、水源からウォーターラインの終端までのルート上を水が通過する中間流量制御およびその他のコンポーネントを含むと理解される。
【0035】
説明したように、新しい方法および装置により、洗浄可能なハンドピースのための少なくとも2つのハンドピースウォーターラインが休止位置から取り外されているか否かを検出し、洗浄可能なハンドピースのための追加のウォーターラインが休止位置に残っていない場合には、ハンドピースウォーターラインのための洗浄モードを自動的に開始するまたは洗浄モードに自動的に入ることができる。他の利点の中でも、新しい方法および装置は、患者の訪問の間の貴重な期間に施術者の時間を節約し、全ての適格なハンドピースウォーターラインが適切に洗浄されることを確実とするのに役立つ。また、説明されているアプローチは、ユーザがタスクを実行するのに行わなければならない「タッチ」数を最小限に抑え、これにより、プロセス全体を容易化し、衛生も促進する。
【0036】
記載された実施形態では、洗浄モードは、自動的に開始されず(または有効化されず)、即ち、全ての適格なハンドピースウォーターラインがそれらの休止位置から移動されるまで、水による実際の洗浄を開始することができない。これは、ユーザが一部のウォーターラインの洗浄を完了せず、少なくとも1つの他のウォーターラインの洗浄を怠っていること(これは、現在の洗浄ルーチンにおいて発生し得るエラーである)をユーザが確実に認識するよう機能する。
【0037】
高い洗浄流量を維持するため等、特定の条件下で複数のハンドピースの洗浄が同時ではなく順次に実行される場合でさえも、ユーザが取らなければならない動作数を最小限に抑えるように一連の動作を自動的にプログラムすることは依然として有利である。
【0038】
更に、以下のうちの1つ以上を含む、ディスプレイ上の表示によるステップを通して、施術者を誘導することができる:(a)全てのハンドピースウォーターラインが休止位置にあるという表示(即ち、使用中のハンドピースが存在しない);(b)第1のハンドピースウォーターラインがその休止位置から取り外されたという表示(例えば、ディスプレイは、第1のハンドピースのための動作モードを示すように変化することができる);(c)第2のハンドピースウォーターラインがその休止位置から取り外されたという表示(ディスプレイは、第1のハンドピースのための動作モードから別のモードに変化する);(d)洗浄モードに自動的に入ったという表示(例えば、第1および第2のハンドピースが洗浄可能なハンドピースである場合、かつ休止位置に残っている追加の洗浄可能なハンドピースが存在しない場合);(e)障害またはエラーが発生したという表示(例えば、特定の洗浄不可能なハンドピースウォーターラインがその休止位置から取り外された場合)。
【0039】
図5は、洗浄モードを自動的に開始する代表的な方法500のステップを示すフローチャートである。プロセスブロック502では、(ハンドピースが取り付けられているか否かに関わらず)全てのハンドピースウォーターラインがそれぞれの休止位置にあると仮定する。
【0040】
プロセスブロック504では、ハンドピースウォーターラインが休止位置(アイドル位置)にあるという視覚的表示を、グラフィカルユーザインタフェースを介してディスプレイ画面上に表示することができる。ディスプレイ画面は、タッチパッド108、208に類似したタッチパッドのタッチスクリーンおよび/または異なるタイプおよび/または位置のディスプレイ装置とすることができる。一実施形態によれば、ディスプレイ上の表示は、全てのハンドピースウォーターラインが休止位置にあるとき、椅子調整機能にデフォルトされ、従って、ハンドピースウォーターラインのいずれもその休止位置から取り外されていないことを少なくとも間接的に示す。例えば、図7は、ユーザが治療椅子の位置を調整するための入力604を有する代表的な椅子調整画面602を示す、歯科用デリバリーシステムおよび治療椅子システムのステータス情報のディスプレイである。
【0041】
プロセスブロック506にて、ハンドピースウォーターラインがその休止位置から移動されたか、または引き出されたか否かが判断される。(前述したように、ハンドピースウォーターラインにはハンドピースが取り付けられている場合があり、それ故、特定の状況では、この判断を使用して、ハンドピースが引き出されたか、または使用中であることを示すこともできる。)
【0042】
プロセスブロック508にて、ハンドピースウォーターラインがその休止位置から取り外されていないと判断された場合、ディスプレイは、更新されたハンドピースウォーターラインステータス情報を表示しない(例えば、プロセスブロック510にて示されるように、ディスプレイは、椅子調整画面を表示し続けることができる)。
【0043】
プロセスブロック512にて、第1のハンドピースウォーターラインがその休止位置から取り外されたと判断された場合、ディスプレイは、プロセスブロック514にて、第1のハンドピースのための操作画面を示すように構成することができる。例えば、図8に示すように、ディスプレイは、ベーシックエアーハンドピースのためのハンドピース操作画面を表示するように構成することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、ハンドピース操作画面は、第1の位置(および関連する第1のウォーターライン)の初期設定として以前に入力された第1のハンドピース識別情報に対応するように選択される。
【0045】
関連する例として、図14および図15は、初期設定が入力される代表的な画面を示す。図14は、電気チャネル1ハンドピースタイプとして指定されている位置3(ホルダ3)のための特定されたハンドピースタイプを示す。図15は、ホルダ3に特定されたブロックナンバーをブロック2として示しており、これは、ブロック位置2の電子制御電磁弁がホルダ3ハンドピースウォーターラインに配管されていることを示す。
【0046】
従って、図15にも示されるように、いくつかの実施形態では、選択されたハンドピースウォーターラインは、それぞれの電子電磁弁を介して個別に供給される。他の実施形態では、1つの電子的に作動する洗浄弁を、空気圧で作動する弁および各ウォーターライン用のスイッチと組み合わせて使用することができる。説明した自動洗浄モードの開始を達成するには、他の構成の弁および/または制御要素も可能である。
【0047】
プロセスブロック516にて、第2のハンドピースウォーターラインがその休止位置から移動されたが、少なくとももう1つのハンドピースウォーターラインが休止位置に留まっていると判断された場合、エラーまたは障害が発生した(即ち、システムは機能不可である)という表示が示される。例えば、ディスプレイは、図9に示すように構成することができ、ここには、「競合するハンドピースを引き出します。続行するには全てのハンドピースを戻してください。」というメッセージが含まれる。この場合、第1のハンドピースも第2のハンドピースも、互いにその休止位置から取り外されているため機能できないと想定され、それ故、操作画面は表示されない。また、少なくとももう1つのハンドピースウォーターラインが休止位置に残っているため、特別な条件がなければ、全ての洗浄に適したハンドピースウォーターラインが休止位置から取り外されていることを必要とする洗浄モードの自動開始の条件が満たされない。
【0048】
プロセスブロック520にて、第1および第2のハンドピースウォーターラインがそれらの休止位置から移動され、他の洗浄可能なハンドピースに対応する任意の他のハンドピースウォーターラインがそれらのそれぞれの休止位置から移動されたと判断された場合、洗浄モードに自動的に入るか、または洗浄モードが自動的に開始される。プロセスブロック522にて、ディスプレイは、洗浄モードに入ったことを示すように構成される。
【0049】
第1の例として、ディスプレイは、図10に示すように、時限ウォーターライン洗浄モードに入ったことを示すように構成することができる。第2の例として、ディスプレイは、図13に示すように、手動ウォーターライン洗浄モードに入ったことを示すように構成することができる。任意に、システムは、以前に使用されていた方に応じて、時限ウォーターライン洗浄モードまたは手動ウォーターライン洗浄モードに戻るように構成することができる。
【0050】
再び図10を参照すると、図示された実施形態において、ユーザは、関連するタブ要素610、612のうちの一方を選択することによって、時限モードと手動モードとの間で切り替えることができる。時限モード内では、20秒、1分、2分、3分等の指定された期間等、複数の時限洗浄プリセット期間614が存在し得る。図示の実施形態では、20秒(「0:20」)のプリセットが選択されており(616)、残り時間0:20が下に示されている。20秒間の洗浄を開始するために、ユーザは開始ボタン618を押下する。音声起動を含む他の起動技術を使用して、洗浄を開始し、および/または本明細書に記載の他の入力を行うこともできる。
【0051】
制御ヘッド上のハンドピース位置は、円621等によってディスプレイ上に表示される。図示の実施形態では、6つのハンドピース位置(位置1~6)があり、中央の4つの位置(位置2~5)は、洗浄に適したハンドピースのためのウォーターラインを有する。洗浄に適した位置は、塗りつぶされた丸623で示されている。洗浄に適した各ハンドピースがその休止位置から移動されると、それに対応する塗りつぶされた丸の外観が、灰色から緑色等に変化し得る(図示せず)。これは、複数のハンドピースのうちのどれが引き出されており、残りのハンドピースのうちのどれを引き出す必要があるのかをユーザが確認するのに役立ち得る。
【0052】
図11は、洗浄が開始され、残り15秒であることを示すディスプレイを示す。必要に応じて、ユーザは、キャンセル制御要素を選択して、洗浄プロセスを停止することができる。図12は、洗浄が終了し、位置2、4および5のハンドピースウォーターラインがそれらの休止位置に戻されたが、位置3のハンドピースウォーターラインは、まだその休止位置から取り外されていることを示すディスプレイを示す。
【0053】
オーディオインジケータ619は、アラームまたはチャイム等のオーディオ表示を提供するように設定されて、選択された時限洗浄が完了したことを示すことができる。付加的または代替的に、画面上のメッセージにより「完了」したことを示すことができる。これは、シンクまたは他の容器で実行されている洗浄(特に、より長期間の洗浄)の完了を待っている間に、ユーザが他のタスクの完了に注意を向けることができるため有利であり、ユーザは、戻ったときに、洗浄が完了したことを示す肯定的なメッセージを見ることになるだろう。
【0054】
再度、図13を参照すると、手動洗浄モードが開始されたときのユーザインタフェースの例が示されている。図示の実施形態では、洗浄可能なハンドピースのためのウォーターラインが休止位置から取り外されて、所望の位置にあり、ユーザが洗浄制御要素620を選択することによって、手動洗浄モードが制御されている。図示のように、ユーザは、これまでに、制御要素620を8秒間押下し続けている。塗りつぶされた丸623は、上記と同じ機能を有することができ、即ち、関連する各ウォーターラインがその休止位置から移動されるか、またはその休止位置に戻されると外観が変化する。
【0055】
プロセスブロック524にて、洗浄モードが終了し、プロセスフローは、プロセスブロック504に戻り、椅子調整画面が表示される。洗浄モードは、引き出されたウォーターラインのいずれかをそれぞれの休止位置に戻すことで終了でき、これは、「自動終了」と称されることもある。洗浄モードを自動終了することにより、特に、ユーザが複数のハンドピースウォーターラインを取り扱う可能性がある場合に、ユーザの手順を節約することができる。更に、洗浄モードを終了するよう、ユーザが選択可能な手動制御要素を設けることもできる。例えば、制御要素608は、図10図13に示されるように、ユーザが選択した場合、洗浄モードがアクティブである間に、洗浄モードを終了するように構成することができる。所定の時間の満了等、他の終了条件も定義可能である。
【0056】
制御要素608自体、または他の同様の要素もまた、他の機能を実行するように構成することができる。例えば、制御要素608は、図7図8または図9の外観(例えば、灰色)から、図10図13の異なる外観(例えば、緑色)に色調を変化させること等によって外観を変化させることで、洗浄モードがアクティブであること(洗浄モードが上述したように自動的に開始されるか、または以下に説明されるように手動で開始されるか)を示すように構成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、上記のように自動的に開始される洗浄モードは、他の手動で開始される洗浄機能に含まれるオプションである。例えば、図7図8または図9に示されるような制御要素608、または別の制御要素は、ユーザが選択可能なユーザ選択可能な制御として構成することで、いつでも手動で洗浄モードに入ることができる。
【0058】
手動で開始されると、洗浄モードは、上記の制約のうちの1つ以上を満たすことなく、ユーザが洗浄を開始できるように構成することができる。例えば、洗浄モードに手動で入った場合、1つ以上の他の洗浄可能なウォーターラインがそれらの休止位置に残っている場合でも、ユーザは1つ以上のウォーターラインを洗浄することが可能となり得る。次いで、制御要素608を再び選択して、洗浄モードを終了することができる。
【0059】
図4は、ハンドピースチューブがその休止位置から移動されたか否か、および対応して、ハンドピースチューブ内のハンドピースウォーターラインがその休止位置から移動されたか否かを検出するまたは信号を送るのに適した一種のスイッチ300を示す図である。スイッチ300(または検出器)は、図1の制御ヘッド100内のハンドピース位置1~5のそれぞれに設置される。スイッチ300は、ハンドピースチューブがホルダ(図示せず)内のその休止位置に存在するとき、ハンドピースチューブの終端付近でハンドピースチューブの側面に接触し、ハンドピースチューブが休止位置から取り外されるか、または引き出されるとき、図4に示す位置まで移動するレバー302を有する。レバー302は、図4に示す位置まで移動するようにばね付勢させてもよい。レバー302が説明したように位置を変えると、空気圧ライン308と310との間の空気圧スイッチ306が状態を変化して、空気圧信号が生成される。空気圧信号は、制御盤にフィードバックされる。このようにして、システムは、ハンドピースチューブ(および関連するハンドピースウォーターライン)がそれらの休止位置から移動したことを検出する。
【0060】
空気圧スイッチ300または検出器の代わりに、電気スイッチを使用することも可能である。更に、光学感知、誘導感知または容量感知を使用するような他のタイプの検出器も使用可能である。図4を参照すると、スイッチ300と同様のスイッチは、各ホイップアーム220が所定の量だけ、および/または所定の位置まで前方に移動したことを検出するように構成することができ、それによって、ハンドピースチューブおよびハンドピースウォーターライン(並びに、任意の取り付けられているハンドピース)が休止位置から移動したことの表示を提供する。
【0061】
図6は、洗浄モードの自動開始を実施することができる歯科用デリバリーシステムの選択された要素を示す概略的なブロック図である。1つ以上のマイクロプロセッサを含むことができるコントローラ600は、関心のある各ウォーターライン休止位置(この例では、3つの関心のあるウォーターライン休止位置がある)のウォーターライン休止位置検出器602にリンクされている。適切なウォーターライン休止位置検出器602の一例は、図1および図4に関連して上述したスイッチ300である。ウォーターライン休止位置センサ602は、空気圧、有線および/または無線接続によってコントローラにリンクされる。洗浄に関連して、コントローラ600は、図5に示されるものを含む、本明細書に記載される方法のステップと一致する命令を実行するようにプログラムされる。コントローラ600は、メモリ604にリンクされる。他のデータの中でも、メモリ604は、各ハンドピース位置および格納された命令に対応するハンドピース識別データを格納するように構成することができる。洗浄可能と見なされるハンドピースは、初期設定(後にいつでも更新可能)にて、ウォーターラインを有するデリバリーシステム内のハンドピース位置を占めることにより、これらのハンドピースが口腔内で使用されている間に冷却水を提供する等、これらのハンドピースの操作をサポートするように構成される。次に、ハンドピース位置のこのサブセットのウォーターラインは、洗浄に適していると識別される。コントローラ600は、上述したようにタッチスクリーン606を更新し、タッチスクリーン606を介してユーザからの入力を受信するようにプログラムされている。もちろん、タッチスクリーン606を他のI/Oデバイス/アプローチで置換または補足することも可能である。
【0062】
本開示の様々な好ましい実施形態が示され、説明されているが、本開示はそれに限定されず、様々に具現化されて、以下の特許請求の範囲内で実施され得ることが明確に理解されるべきである。前述の説明から、以下の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加え得ることは明白であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】