(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】生検のためのバルーン固定式可撓性針およびカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240105BHJP
A61B 10/02 20060101ALI20240105BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20240105BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20240105BHJP
【FI】
A61M25/00 510
A61B10/02 110J
A61M25/00 530
A61M25/06 556
A61M25/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534697
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 SG2021050775
(87)【国際公開番号】W WO2022124991
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】10202012399Y
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511002216
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー ホスピタル (シンガポール) ピーティーイー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520182958
【氏名又は名称】ザ バイオファクトリー プライベイト リミテッド
【氏名又は名称原語表記】THE BIOFACTORY PTE LTD
【住所又は居所原語表記】Block 79 Ayer Rajah Crescent,05-06,Singapore 139955,Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】マンガット カマルジット シン
(72)【発明者】
【氏名】タン ガブリエル ホン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ワイト ロナルド クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】リー チュン シオン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB28
4C267BB30
4C267CC08
(57)【要約】
本開示は、対象に挿入し、標的臓器に誘導するためのカテーテルであって、カテーテルは、第1の細長いチューブおよび第2の細長いチューブを備え、第1の細長いチューブは、第1の近位端および第1の遠位端を備えた第1のルーメンを有し、第2の細長いチューブは、第2の近位端および第2の遠位端を備えたチャネルを形成するc字形の断面を備えた第2のルーメンを有し、第2の細長いチューブは、第1の細長いチューブと共通の壁を共有する、カテーテルを提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に挿入し、標的臓器に誘導するためのカテーテルであって、前記カテーテルは、
第1の細長いチューブおよび第2の細長いチューブを備え、
前記第1の細長いチューブは、第1の近位端および第1の遠位端を備えた第1のルーメンを有し、
前記第2の細長いチューブは、第2の近位端および第2の遠位端を備えたチャネルを形成するc字形の断面を備えた第2のルーメンを有し、前記第2の細長いチューブは、前記第1の細長いチューブと共通の壁を共有する、カテーテル。
【請求項2】
前記第1のルーメンが、豆形のルーメンである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記共通の壁が、前記第1の細長いチューブの前記豆形のルーメンの凹部に位置する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1のルーメンが、少なくとも1つのくぼみ有する閉曲線形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記共通の壁が、前記第2の細長いチューブの前記チャネルの開口部の反対側に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記共通の壁が、前記カテーテルの他の壁と比較して薄い厚さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第1の遠位端に接続された延長部をさらに備え、前記延長部は、第3の近位端および第3の遠位端を備え、前記第3の近位端は、前記第1の細長いチューブの前記第1の遠位端に接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記延長部が、前記共通の壁の延長部である、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1の細長いチューブの前記第1のルーメン内に挿入するための第1のツールをさらに備える、請求項7または8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第2の細長いチューブの前記チャネル内に挿入するための第2のツールをさらに備える、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記第2のツールが、前記第2の細長いチューブの前記チャネル内に挿入するための遠位先端を備えたバルーンカテーテルであり、前記遠位先端の近くの前記バルーンカテーテルのセクションは、前記対象の前記標的臓器の血管内に挿入され、膨張すると、前記標的臓器の生検部位付近の血管内に前記延長部を固定するバルーンを備える、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記第1のツールが、前記第2のツールの中心軸と、前記延長部との間の所定の角度で前記標的臓器の組織内に貫入し、前記標的臓器の生検サンプルを取得するために、前記第1のルーメンの前記第1の遠位端から出るように構成された生検針である、請求項10または11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記延長部が、前記第3の遠位端にバルーンラップをさらに備え、前記バルーンラップが、前記バルーンカテーテルの前記バルーンを受け入れるように構成されている、請求項11または12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記バルーンラップが、c字形の断面を有する、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記延長部が、延長部の側部に沿ってチャネル壁を備える、請求項7~14のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記チャネル壁の高さが、前記第3の近位端から前記第3の遠位端まで減少する、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記第1の細長いチューブの前記第1の近位端および前記第2の細長いチューブの前記第2の近位端が、針生検装置に結合される、請求項1~16のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記生検針が、コアリング針およびスタイレット針を備える、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記コアリング針が、前記コアリング針の周囲に、および前記コアリング針に沿って長手方向に延びる1つまたは複数のスパイラルカットを含む、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記1つまたは複数のスパイラルカットが、一定のピッチを有する、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記1つまたは複数のスパイラルカットが、可変ピッチを有する、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記スタイレット針が、スタイレット針の周囲に沿って、前記スタイレット針に沿って長手方向にノッチを備える、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記ノッチが、幅よりも奥行きが深く、正方形ではない、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記ノッチの基部が、1つまたは複数のコーナーフィレットを備える、請求項22または23に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記ノッチが、正反対にある、請求項22~24のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記ノッチが、軸方向に90度回転している、請求項22~25のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記スタイレット針が、前記スタイレット針の第4の遠位端にくぼみを備える、請求項18~26のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記くぼみが、平坦な基部を有する、請求項27に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記くぼみが、凹状の基部を有する、請求項27に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生検装置に関し、より具体的には、標的臓器の生検サンプルを取得するための生検装置に関する。特に、本開示は、軟組織生検を実行するためにカテーテルを通して末梢血管アクセス部位に挿入できる可撓性手術器具を備えた生検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肝生検を実行するための現在の方法は、重篤な合併症の固有のリスクを含むことがあり、それにより患者が生検処置を遅らせることを選択する原因になることが多く、その後の診断および肝機能障害の治療介入を遅らせることがある。その方法には、開腹手術、経皮的肝生検(PLB)、および経頸静脈肝生検(TJLB)が含まれることがある。
【0003】
開腹手術肝生検は、腹腔鏡または外科的処置中に、肝組織を直接除去するものである。現在の治療における開腹外科的肝生検は、既に外科的処置が行われているときに利用することができる。
【0004】
経皮的肝生検(PLB)は、腹壁を通して挿入された生検針を使用して肝組織のコアサンプルを抽出することを含むことがある。PLBでは、肝臓被膜に穴が開けられ、その実質に到達するために高い貫入深度が必要である。この処置は良好な生検サンプルを提供することが可能である場合が多いが、この処置は侵襲的で痛みを伴うと共に、死の重大なリスク(250分の1)を含む重大な合併症のリスクを伴うことがある。最初の生検が失敗し、追加の生検サンプルが必要な場合、追加の針穿刺が必要となることがあり、合併症のリスクがさらに高まる。したがって、PLB患者は、肝臓被膜または血管の穿刺による腹腔内への出血がないことを確実にするために、処置の後数時間観察下に置かれる場合がある。
【0005】
TJLBは、硬い金属カテーテルを右または左頸静脈に挿入することにより肝臓にアクセスし、心臓の右心室を通って肝臓の肝静脈の中に誘導することを含む。カテーテルの下方に向けられた大口径の針を使用して肝臓組織を中心部から取り除く。満足のいく分析には多数のサンプルが必要な場合が多い。
【0006】
PLBの場合と同じように、針の穿刺による出血は肝静脈に戻るので、TJLBは、腹膜への検出されない出血のリスクを避けることができる。TJLBは、硬い金属カテーテルを主要な臓器および血管を通して誘導することを含むので、この処置は、出血、不整脈、血管穿孔、気胸、または死などの重大な合併症を引き起こす場合がある。TJLBは、PLBより安全であると考えられることもあるが、TJLBは、頸静脈アクセス部位に関連する新たな合併症のリスクを負っている。
【0007】
したがって、PLBおよびTJLB処置に伴う主要な合併症のリスクを低減するために、例えば、尺側皮静脈/橈側皮静脈を介して腕の末梢静脈系に導入して患者の身体に導入することができ、肝臓などの標的臓器に対して軟組織生検を実行するために、静脈系を通って柔軟に誘導できる経静脈生検装置に対するニーズがある。
【0008】
本出願人による2019年5月31日に公開された特許文献1(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、バルーン固定式生検装置を記載している。開示されたバルーン固定式生検装置は、2つのルーメンを備えた2つの細長いチューブを有した。しかしながら、ほとんどの用途にはこれで十分であったが、2つの細長いチューブが、血管系を誘導している間に曲がって、ねじれを生じるといういくつかの問題が発生した。このねじれにより、チューブの有効内径が楕円形(すなわち、同じ等価直径(equivalent diameter))になり、そして生検針を締め付けるか、または生検針の前進および発射を過度に妨げることになる。さらに、針が軟組織に入る角度も依然として最適ではなかった。
【0009】
したがって、軟組織からコア標本を取得するために使用される現在の装置を考慮すると、改良された生検装置を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2019/103694A1号
【発明の概要】
【0011】
本開示の実施形態によれば、対象に挿入し、標的臓器に誘導するためのカテーテルであって、カテーテルは、第1の細長いチューブおよび第2の細長いチューブを備え、第1の細長いチューブは、第1の近位端および第1の遠位端を備えた第1のルーメンを有し、第2の細長いチューブは、第2の近位端および第2の遠位端を備えたチャネルを形成するc字形の断面を備えた第2のルーメンを有し、第2の細長いチューブは、第1の細長いチューブと共通の壁を共有する、カテーテルが提供される。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1のルーメンは豆形である。任意選択で、共通の壁は、第1の細長いチューブの豆形のルーメンの凹部に位置する。任意選択で、第1のルーメンは、少なくとも1つのくぼみ有する閉曲線形状を有する。任意選択で、共通の壁は、第2の細長いチューブのチャネルの開口部の反対側に位置する。任意選択で、共通の壁は、カテーテルの他の壁と比較して薄い厚さを有する。
【0013】
一部の実施形態によれば、カテーテルは、第1の遠位端に接続された延長部をさらに備えることができ、延長部は、第3の近位端および第3の遠位端を備え、第3の近位端は、第1の細長いチューブの第1の遠位端に接続されている。任意選択で、延長部は、共通の壁の延長部である。
【0014】
一部の実施形態によれば、カテーテルは、第1の細長いチューブの第1のルーメン内に挿入するための第1のツールをさらに備えることができる。任意選択で、カテーテルは、第2の細長いチューブのチャネル内に挿入するための第2のツールをさらに備えることができる。任意選択で、第2のツールは、第2の細長いチューブのチャネル内に挿入するための遠位先端を備えたバルーンカテーテルであり、遠位先端の近くのバルーンカテーテルのセクションは、対象の標的臓器の血管内に挿入され、膨張すると、標的臓器の生検部位付近の血管内に延長部を固定するバルーンを備える。任意選択で、第1のツールは、第2のツールの中心軸と、延長部との間の所定の角度で標的臓器の組織内に貫入し、標的臓器の生検サンプルを取得するために、第1のルーメンの第1の遠位端から出るように構成された生検針である。
【0015】
一部の実施形態によれば、延長部は、第3の遠位端にバルーンラップをさらに備え、バルーンラップが、バルーンカテーテルのバルーンを受け入れるように構成されている。任意選択で、バルーンラップはc字形の断面を有する。任意選択で、延長部は、その側部に沿ってチャネル壁を備える。任意選択で、チャネル壁の高さは、第3の近位端から第3の遠位端まで減少する。
【0016】
一部の実施形態によれば、第1の細長いチューブの第1の近位端および第2の細長いチューブの第2の近位端は、針生検装置に結合される。任意選択で、生検針は、コアリング針およびスタイレット針を備える。任意選択で、コアリング針は、コアリング針の周囲に、およびコアリング針に沿って長手方向に延びる1つまたは複数のスパイラルカットを含む。任意選択で、1つまたは複数のスパイラルカットは、一定のピッチを有する。あるいは、1つまたは複数のスパイラルカットは、可変ピッチを有する。
【0017】
一部の実施形態によれば、スタイレット針は、その周囲に沿って、スタイレット針に沿って長手方向にノッチを備える。任意選択で、ノッチは、幅よりも奥行きが深く正方形ではない。任意選択で、ノッチの基部は、1つまたは複数のコーナーフィレットを備える。任意選択で、ノッチは正反対にある。任意選択で、ノッチは軸方向に90度回転している。
【0018】
一部の実施形態によれば、スタイレット針は、スタイレット針の第4の遠位端にくぼみを備える。任意選択で、くぼみは平坦な基部を有する。あるいは、くぼみは凹状の基部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の図面を参照するとより良く理解されるであろう。
【0020】
【
図1A】本開示のいくつかの実施形態による、対象における標的臓器にツールを送達するためのカテーテル本体アセンブリを概略的に示す。
【
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、カテーテルの断面を概略的に示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、バルーンカテーテルを概略的に示す。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、カテーテルの遠位出口で針ガイドルーメンの第1の遠位端に接続された延長部の上面斜視図を概略的に示す。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、バルーンカテーテルを備えたカテーテルの遠位出口で針ガイドルーメンの第1の遠位端に接続された延長部の上面斜視図を概略的に示す。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、カテーテルの遠位出口で針ガイドルーメンの第1の遠位端に接続された延長部の底面斜視図を概略的に示す。
【
図3D】本開示のいくつかの実施形態による、バルーンカテーテルを備えたカテーテルの遠位出口で針ガイドルーメンの第1の遠位端に接続された延長部の底面斜視図を概略的に示す。
【
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、閉じた構成の生検針の遠位端を概略的に示す。
【
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、開いた構成の生検針の遠位端を概略的に示す。
【
図5A】本開示のいくつかの実施形態による、コアリング針の側面図を概略的に示す。
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態による、コアリング針の底面図を概略的に示す。
【
図5C】本開示のいくつかの実施形態による、コアリング針の断面を概略的に示す。
【
図5D】本開示のいくつかの実施形態による、コアリング針の遠位端を概略的に示す。
【
図6A】本開示のいくつかの実施形態による、スタイレット針の上面図を概略的に示す。
【
図6B】本開示のいくつかの実施形態による、スタイレット針の側面図を概略的に示す。
【
図6C】本開示のいくつかの実施形態による、スタイレット針のブレードを概略的に示す。
【
図6D】本開示のいくつかの実施形態による、スタイレット針のノッチを概略的に示す。
【
図7A】本開示のいくつかの実施形態による、膨張していない膨張可能なバルーンを備えた肝静脈内のカテーテル本体アセンブリの遠位端を概略的に示す。
【
図7B】本開示のいくつかの実施形態による、膨張した膨張可能なバルーンおよび肝臓を貫入する生検針を備えた、肝臓の肝静脈内のカテーテル本体アセンブリの遠位端を概略的に示す。
【0021】
ここで特に図面を詳細に参照すると、示された詳細は例示として、本開示の実施形態の例示的な説明を目的としたものであることが強調される。これに関して、図面を伴う説明により、本開示の実施形態がどのように実施され得るかが当業者には明らかになる。
【0022】
1つまたは複数の図面に現れる同一または重複または同等または類似の構造、要素、または部分には、一般に、同じ参照番号が付けられ、同様の実体または実体の変形を区別するために任意選択で追加の文字が付けられ、繰り返し符号を付け、および/または記載することはできない。以前に提示された要素への参照は、それらが現れる図面または説明を必ずしもさらに引用することなく、示されている。
【0023】
図面に示される構成要素および特徴の寸法は、表示の便宜上または明瞭さのために選択されており、必ずしも縮尺通りまたは実際の遠近法で示されているわけではない。便宜上または明確にするために、一部の要素または構造は図示されていないか、または部分的にのみ示されており、および/または異なる遠近法もしくは異なる視点から示されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細を明記する。しかしながら、当業者は、これらの具体的な詳細なしで本発明を実施できることを理解するであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニットおよび/または回路は詳細には記載されていない。
【0025】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されないが、本明細書で使用される「複数(plurality)」および「複数の(a plurality)」という用語は、例えば、「多数(multiple)」または「2つ以上(two or more)」を含むことがある。「複数(plurality)」または「複数の(a plurality)」という用語は、本明細書全体を通して、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータなどを記述するために使用されることがある。明示しない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序または配列に制約されない。これに加えて、記載された方法の実施形態またはその方法の実施形態の要素によっては、同じ時点において、同時に、または並行して発生、または実行される場合がある。特に明記しない限り、本明細書で使用される接続詞「または」の使用は、包括的(記載した選択肢のいずれかまたは全て)として理解すべきである。
【0026】
本開示の実施形態は、本明細書では、生検部位におけるハンドルから切断カニューレおよびスタイレットへの力の伝達が不十分であるという問題を克服する、末梢アクセス(例えば、経頭静脈アクセス)のためのコア針生検装置を記載している。コア針生検装置はさらに、カニューレおよび生検針に別個のロック機構を提供するだけでなく、コアリング針の早期発射を防止することによる安全機構を備える。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態に従って、
図1Aは、対象における標的臓器にツールを送達するためのカテーテル本体アセンブリ100を概略的に示す。例示の目的のために、以下の説明では、臓器を肝臓として記載していることがあるが、標的臓器は任意の臓器であってもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、カテーテル本体アセンブリ100はバルーンで固定されている。カテーテル本体アセンブリ100は、カテーテル116およびフェルール160を備える。カテーテル116は、60ショアD(プラスマイナス10)を有する医療用のポリマーから形成され得る。いくつかの実施形態によれば、カテーテル116は、第1の細長いチューブおよび第2の細長いチューブを備える。第1の細長いチューブは、第1の近位端150、第1の遠位端145および第1の遠位出口130を有する第1のツールガイドルーメン104を備え、第2の細長いチューブは、第2の近位端105、第2の遠位端146および第2の遠位出口135を有する第2のツールルーメン110を備える。本開示のいくつかの実施形態では、カテーテル116は、第1のツール400を対象における標的臓器に送達するように設計される。カテーテル116はさらに、対象における臓器に送達される第2のツール200(
図2、3B、3D、7Aおよび7Bを参照のこと)を結合するように設計されている。カテーテル116は、針、バルーン、クランプ、縫合材料、照明装置、撮像装置、切断および/または剪断装置などの様々な手術用および非手術用ツールを送達するために使用され得る。例示の目的のために、以下の説明では、第1のツール400を生検針400として示し、説明し(
図4A、4B、7Aおよび7Bを参照のこと)、第2のツール200をバルーンカテーテル200として示し、説明する(
図2、3B、3D、7Aおよび7Bを参照のこと)が、様々な他のツールをカテーテル16と併せて使用することができることを理解されたい。同様に、第1のツールガイドルーメン104を針ガイドルーメン104として示し、説明し、第2のツールルーメン110をバルーンカテーテルルーメン110として示し、説明する。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態では、針ガイドルーメン104は、針ガイドルーメン104の第1の近位端150から針ガイドルーメン104の第1の遠位端145まで生検針400をガイドし、第1の遠位出口130から出るように適合された豆形のルーメン106として構成される。いくつかの実施形態では、バルーンカテーテルルーメン110は、バルーンカテーテルルーメン110の全長に延びる開口部114を有するc字形の断面を有し、チャネル126を効果的に形成する。他の実施形態では、バルーンカテーテルルーメン110は、密閉されたルーメン(lumen)であってもよい。チャネル126は、バルーンカテーテル200を結合または受け入れるように適合され得、バルーンカテーテル200は、チャネル126内で長手方向に位置合わせされ得る。結合されると、バルーンカテーテル200は、接着剤の塗布、バルーンカテーテルルーメン110の熱収縮、またはバルーンカテーテルルーメン110の選択的局所的改質によって固定され得る。これは、静脈系の追跡および誘導中に、または硬い生検針400が挿入されるときにバルーンカテーテル200が外れるのをさらに防ぐためである。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態では、針ガイドルーメン104の豆形のルーメン106およびc字形のバルーンカテーテルルーメン110は共通の壁107を共有する。カテーテル116における断面切断部108は、針ガイドルーメン104の豆形のルーメン106およびc字形のバルーンカテーテルルーメン110が共通の壁107を共有することを概略的に示す。本開示のいくつかの実施形態では、カテーテル116の断面壁厚は一定である。好ましくは、バルーンカテーテルルーメン110の開口部114は、カテーテル116の断面が単一の断面対称軸を有するように、針ガイドルーメン104およびバルーンカテーテルルーメン110の共通の壁107と正反対にある。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態では、針ガイドルーメン104の第1の遠位端145は、第1の遠位出口130で終端することができる。第1の遠位端145は、第3の近位端302および第3の遠位端304を備える延長部131に接続することができ、第3の近位端302は針ガイドルーメン104の第1の遠位端145に接続することができる。延長部131は、共通の壁107の延長部であってもよい。延長部131は、生検針400が第1の遠位出口130を通って針ガイドルーメン104の第1の遠位端145を出るとき、および生検部位における肝実質内に生検針400をガイドするように適合される。延長部131はまた、膨張可能なバルーン220が挿入されて膨張するときに、生検針400によりバルーンカテーテル200の膨張可能なバルーン220(
図2、3B、3D、7Aおよび7Bを参照のこと)に穴が開くのを防ぐ。延長部131の構造は、
図3A~3Dに関連してさらに詳述される。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態では、針ガイドルーメン104の第1の近位端150およびバルーンカテーテルルーメン110の第2の近位端105は、フェルール160に接続することができる。フェルール160は、生検針400または任意の手術用装置の挿入を可能にするためにTuohy-Borstアダプタを組み込んでもよい。フェルール160は、フェルール160にスナップ嵌合して環の周りを回転できるリンクを収容するために、直径が減少した環を有する。このリンクは針生検装置に堅く取り付けることができ、カテーテル116を針生検装置に固定することができる。この結合により、生検針400が標的臓器内に挿入されるとき、生検針装置とカテーテル116との間の固定関係が確保される。
【0032】
図1Bは、本開示のいくつかの実施形態によるカテーテル116の断面を概略的に示す。カテーテル116は、生検針400が通過するための豆形のルーメン106と、バルーンカテーテル200を結合または受け入れるためのチャネル126とを有する。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態では、豆形のルーメン106は、少なくとも1つのくぼみを有する閉曲線形状を有する。いくつかの実施形態では、豆形のルーメン106は、共通の壁107で曲線形状を形成しながら、上部および底部が、外周に沿って、ルーメン106の上部側および底部側で直径1~3mm(フレンチカテーテルスケールで9~20フレンチ)の円120を形成するように形作られ、カテーテル116の断面全体は3~6.7mm(フレンチカテーテルスケールで9~20フレンチ)の内接直径内に適合する。豆形のルーメン106の円120の相対直径およびカテーテル116の全径は、様々なサイズの手術用器具またはバルーンカテーテルを適合するように調整できることを当業者であれば理解するであろう。例えば、16Gの生検針に適合させるために、円120の直径は1.95mmであることができ、カテーテル116の全径は4.67mmであることができる。好ましくは、円120の中心とカテーテル116の断面全体の重心との間には、x軸に沿って0.236mmの変位がある。好ましくは、共通の壁107は、変形を局所的に集中させるために最小の壁厚の点を備える。上述したように、カテーテル116が血管系の屈曲部を誘導するとき、この局所的な変形により豆形のルーメン106の変形が最小限に抑えられる。これにより、カテーテル116が、90mmの曲げ直径に沿ってy軸に平行な軸に沿って曲げられたときに豆形のルーメン106が内側に潰れることが防止され、この曲げ直径は、カテーテル116が通過すると予想される最も急な曲げ直径である。豆形のルーメン106の豆形の輪郭により、カテーテル116は、X軸に平行な軸に比べて、Y軸に平行な軸において比較的容易に曲がることができ、したがって、カテーテル116を下大静脈へのアームの入口から肝臓までのループに自然に向けることができる。したがって、使用者は、肝臓の向きに対する延長部131の位置についての明確な触覚フィードバックを得ることができる。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態では、豆形のルーメン106の中心領域は、一方の側に凹状円弧124を有し、他方の側に凸状円弧122を有し、両方の円弧は互いに正反対にある。好ましくは、円120の交点は、凹状円弧124および凸状円弧122の中点と同じ平面に沿っている。好ましくは、豆形のルーメン106の中心領域は、凹状円弧124の中点から凸状円弧122の中点まで1~3mmの幅を有し、理想的には2.3mmである。当業者であれば、この幅は、豆形のルーメン106を通って生検針400が自由に移動できるようにサイズ合わせされ得ることを理解するであろう。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態では、バルーンカテーテルルーメン110は、1~4mm、理想的には2.47mmの全径を有する。好ましくは、バルーンカテーテルルーメン110は、チャネル126を形成する、0.5~2.5mm、理想的には1.67mmの内径を有する。好ましくは、カテーテル116の断面の重心からカテーテルガイド110の内径の中心までは1.689mmの距離である。好ましくは、バルーンカテーテルルーメン110は、0.3~2.5mm、理想的には1.19mmの開口部114を有する。当業者であれば、バルーンカテーテルルーメン110の全ての寸法が、チャネル126内でバルーンカテーテル200が自由に移動できるようにサイズ合わせされ得ることを理解するであろう。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態では、カテーテル116の壁は、カテーテル116の他の壁よりも薄く、少なくともカテーテル116の壁の50%以上である共通の壁107を除いて、均一な厚さを有する。好ましくは、カテーテル116の壁は、0.3mm~0.6mm、理想的には0.4mmである。好ましくは、共通の壁107は、0.15~0.3mm、理想的には0.3mmの厚さを有する。共通の壁107は、開口部114の正反対にあり、カテーテル116の断面108を通る対称軸上にある(
図1Aを参照のこと)。
【0037】
図2は、本開示のいくつかの実施形態によるバルーンカテーテル200の概略図である。バルーンカテーテル200は、バルーンカテーテル200に接続する先細部分221を有する膨張可能なバルーン220を備える。好ましくは、先細部分221は、15~60度、理想的には30~60度の角度を有する。膨張可能なバルーン220は、バルーンカテーテル200の遠位端に配置され、バルーンカテーテル200の遠位先端225から所定の距離「t」の位置に配置され得る。好ましくは、所定の距離「t」は、1~10mm、理想的には3mmである。任意選択で、1つ以上の膨張可能なバルーン220があってもよい。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態では、膨張可能なバルーン220は、2~8cm、理想的には4~6cmの長さを有するセミコンプライアント構造で製造され得る。好ましくは、膨張可能なバルーン220は、膨張すると、5~15mm、理想的には10mmの直径を有することができる。当業者であれば、膨張可能なバルーン220の最大直径は、標的血管直径の20%以下にサイズ合わせされ得ることを理解するであろう。バルーンカテーテル200の第4の近位端235は、オーバー・ザ・ワイヤ(over-the-wire)バルーンカテーテルに共通のハブ240を備えることができる。バルーンカテーテル200の先端225とハブ240との間の距離は、長さ「z」であり得る。好ましくは、長さ「z」は、500~1100mm、理想的には900mmである。ハブ240は、膨張ポート245およびガイドワイヤ入口/出口ポート252を備えることができる。膨張可能なバルーン220は、膨張ポート245に結合された空気によって膨張され得る。例えば、任意の適切な空気弁またはストッパー機構が、膨張可能なバルーン220を膨張させたままにするためにその中の空気を保持するか、または膨張可能なバルーン220を収縮させるように開くためにために使用され得る。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態に従って、
図3A~3Dは、バルーンカテーテル200が挿入されているかまたは挿入されていない、カテーテル116の遠位出口130において針ガイドルーメン104の第1の遠位端145に接続された延長部131の斜視図を概略的に示す。本開示のいくつかの実施形態に従って、
図3Aは、カテーテル116の遠位出口130において針ガイドルーメン104の第1の遠位端145に接続された延長部131の上面斜視図を概略的に示し、
図3Bは、バルーンカテーテル200を備えたカテーテル116の遠位出口130において針ガイドルーメン104の第1の遠位端145に接続された延長部131の上面斜視図を概略的に示し、
図3Cは、カテーテル116の遠位出口130において針ガイドルーメン104の第1の遠位端145に接続された延長部131の底面斜視図を概略的に示し、
図3Dは、バルーンカテーテル200を備えたカテーテル116の遠位出口130において針ガイドルーメン104の第1の遠位端145に接続された延長部131の底面斜視図を概略的に示す。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態では、延長部131は、膨張可能なバルーン220の全長に延びるように、10~150mm、理想的には70mmの長さを有する。好ましくは、延長部131は、その側面に沿ってチャネル壁306を有する。チャネル壁306は、近位端302において最も高く、遠位端304に到達するまで延長部131に沿って長手方向に移動するにつれて徐々に高さが減少する。好ましくは、チャネル壁306は、近位端302において0.9mmの高さを有し、遠位端304において0mmまで先細になる。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態では、延長部131の第3の遠位端304は、その下側にc字形のバルーンラップ308を備える。c字形のバルーンラップ308は、バルーンカテーテル200を受け入れ、バルーンカテーテル200の膨張可能なバルーン220を保持するように適合される。好ましくは、c字形のバルーンラップ308は、チャネル126と同じ直径を有する半円の断面を有する。好ましくは、c字形のバルーンラップ308は、その円弧の中点に沿って延長部131に長手方向に接続される。好ましくは、c字形のバルーンラップ308は、延長部131の第3の遠位端304から延びる40mmの長さを有する。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態に従って、
図4Aは、閉じた構成の生検針400の遠位端を概略的に示し、一方、
図4Bは、開いた構成の生検針400の遠位端を概略的に示す。生検針400は、コアリング針500およびスタイレット針600を備える。コアリング針500は、スタイレット針600上を自由にスライドする薄壁の管である。コアリング針500は、生検組織に切り込むように適合された遠位端における先端539を有する切れ刃537を有する。スタイレット針600は、スタイレット針600の残りの部分より断面積が小さい、遠位端648(
図6Bを参照のこと)にサンプル収集くぼみ645を有する16gの針であってもよい。スタイレット針600は、遠位端648(
図6Bを参照のこと)に先端642を備えてもよい。コアリング針500およびスタイレット針600は、任意の医療用のステンレス鋼またはチタンまたは金属合金から作製することができる。スタイレット針600は、コアリング針500に挿入される。閉じた構成では(
図4Aを参照のこと)、サンプル収集くぼみ645は、コアリング針500とスタイレット針600との間に、生検組織のサンプルが収集される空間を形成する。コアリング針500の切れ刃537の先端539およびスタイレット針600の先端642は、実質的に互いに対向する。開いた構成では(
図4Bを参照のこと)、スタイレット針435はコアリング針500に対して前進して生検組織内に入る。その後、コアリング針500が前進し、生検針400が閉じた構成になると、切れ刃537が生検組織を剪断し、サンプルがサンプル収集くぼみ645内に収集される。スタイレット針600または生検針400全体は、豆形のルーメン106内で回転することができ、これにより、鋭利な先端642が延長部131から離れる方向に向けられ、鋭利な先端642がその特徴部に穴を開けることが防止される。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態に従って、
図5A~5Dは、コアリング針500を概略的に示す。本開示のいくつかの実施形態に従って、
図5Aは、コアリング針500の側面図を概略的に示し、
図5Bは、コアリング針500の底面図を概略的に示し、
図5Cは、コアリング針500の断面を概略的に示し、
図5Dは、コアリング針500の遠位端502を概略的に示す。コアリング針500は、遠位端502および近位端504を備える。好ましくは、コアリング針500は、500~1000mm、理想的には918mmの長さのものである。近位端504は、生検針ハンドルに接続され得る。遠位端502は、先端539および基部541を備えた切れ刃537を備えることができる(
図5Dを参照のこと)。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態では、コアリング針500は、各スパイラル間のピッチ長「g」で軸方向の長さに沿って長さ「f」のスパイラルカットを導入することなどの、コアリング針500からの物質の除去が制御されることによって、より可撓性になるように適合される。好ましくは、スパイラルカットの幅は、0.01~0.3mm、理想的には0.1mmであり得る。任意選択で、スパイラルカットの幅は、コアリング針500の遠位端502と近位端504との間で徐々に増加してもよい。任意選択で、スパイラルカットの幅は、遠位端502において0.03mmであってもよく、押す力の損失を最小限に抑えて最大限の可撓性を可能にするために近位端504において最大0.3mmまで徐々に増加してもよい。当業者であれば、コアリング針にスパイラルカットを追加することにより、コアリング針500がより可撓性になるだけでなく、コアリング針500がよりバネのように動作することも理解するであろう。スパイラルカットの幅を制御することによって、コアリング針の局所的な可撓性をプログラムできる。好ましくは、コアリング針500の遠位端502におけるスパイラルカットの開始点は、コアリング針500の遠位端502における切れ刃537の基部541から2.5mm離れて位置する。好ましくは、コアリング針500の近位端504におけるスパイラルカットの端部は、コアリング針500の近位端504から20mm離れて位置する。スパイラルカットの長さ「f」は、コアリング針500に沿って延びる任意の長さであり得る。任意選択で、スパイラルカットの複数のスパンがあってもよく、コアリング針500に沿って延びる長さ「f」に沿って同じまたは異なる長さを有し、スパイラルカット間に個体の連続セクション(solid continuous sections)を有し、スパイラルカットは、コアリング針500の長さおよび達成される可撓性に応じて1~50mmである。各スパイラル間のピッチ長「g」は任意の長さであってもよい。各スパイラル間のピッチ長「g」は一定であってもよいか、またはスパイラルカットの全長「f」に沿って変化してもよい。好ましくは、各スパイラル間のピッチ長「g」は、遠位端502では短く、近位端504では長くてもよい。好ましくは、ピッチ長「g」は、2~10mm、理想的には6mmである。任意選択で、コアリング針500は、血管系の異なる屈曲部と一致する異なるピッチを有する異なる別個のセクションを有してもよい。コアリング針500の最も遠位端502では、ピッチ長は最も短くてもよく、例えば2mmであり、最も多くの屈曲部を誘導するための最も可撓性の先端を提供する。第2の、より近位の別個のセクションは、コアリング針500の可撓性と針生検装置からの発射力を伝達する能力とのバランスを取るために、4mmのピッチ長を有してもよい。コアリング針500の近位端504に最も近い、第3の、最も近位の別個のセクションは、血管系をほとんど誘導しないため、最も長いピッチ長、例えば6mmを有してもよい。各セクションは、誘導しなければならない血管系の予想される形状に応じて10~500mmの長さであってもよい。各別個のセクションの間には、スパイラルカットを有しないコアリング針500の0.1mm~5mmのセクションがあってもよい。任意選択で、ピッチ長は、コアリング針500全体にわたって、最も遠位端の2mmから最も近位端の6mmまで連続的に変化してもよい。当業者であれば、コアリング針500のピッチ「g」は、コアリング針500が腕頭静脈の近傍で針ガイドルーメン104を通してガイドされるときに、各個々のスパイラルセグメントが直線方向をとらずに各スパイラルが腕頭静脈の半径に適応できるように十分に小さくなければならないことを理解するであろう。スパイラルセグメントが直線的方向をとる場合、各スパイラルの端部は位置がずれて、各端部の比較的直角の角が針ガイドルーメン104の内側を潜在的に摩耗する可能性がある。また、当業者であれば、ピッチが「g」が小さすぎると、各スパイラル間の全てのギャップの合計が発射中に圧縮され、コアリング針500の貫入深さを効果的に減少させるが、この予想される貫入深さの減少は、コアリング針500の発射機構のストロークを事前調節することによって補償することができることを理解するであろう。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態では、コアリング針500は、「h」の外径および「k」の内径を有し得る(
図5Cを参照のこと)。好ましくは、直径「h」は1~2mm、理想的には1.65mmである。好ましくは、直径「k」は1~2mm、理想的には1.47mmである。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態では、コアリング針500の遠位端502における切れ刃537は、先端539および基部541を有し得る(
図5Dを参照のこと)。本開示のいくつかの実施形態では、切れ刃537は、遠位端502の外周に沿って連続した鋭角面である。いくつかの実施形態では、切れ刃537は、2~4mm、理想的には2.96mmの長さのメンギーニ点(Menghini point)を有してもよく、一次斜角552は15度~60度、理想的には30度であり、二次斜角554は5度~30度、理想的には12度である。
【0047】
図6A~6Dは、本開示のいくつかの実施形態によるスタイレット針600を概略的に示す。本開示のいくつかの実施形態に従って、
図6Aは、スタイレット針600の上面図を概略的に示し、
図6Bは、スタイレット針600の側面図を概略的に示し、
図6Cは、スタイレット針600のブレード650を概略的に示し、
図6Dは、スタイレット針600上のノッチを概略的に示す。スタイレット針600は、第4の遠位端648および第4の近位端660を備える。近位端660は、生検針ハンドルに接続され得る。第4の遠位端648は、ブレード650およびサンプル収集くぼみ645を備える。サンプル収集くぼみ645は、遠位端644および近位端643を有する。好ましくは、スタイレット針600は、1~2mm、理想的には1.37mmの直径を有する。好ましくは、サンプル収集くぼみ645は、0.4~0.6mm、理想的には0.55mmの深さを有する。当業者であれば、サンプル収集くぼみの深さは、スタイレット針600の断面積の半分を超えてはいけないことを理解するであろう。サンプル収集くぼみ645は、遠位端644と近位端643との間に表面を有してもよく、それは平らまたは湾曲(凹面)である。凹面により、スタイレット針600のシャフトと同様の剛性を維持しながら、増加した体積のサンプルを収集することができる。スタイレット針600が、標的組織を穿刺するときに著しく曲がるまたは湾曲しないように、適切なシャフトの剛性が必要とされる。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態では、ブレード650は、前縁660、後縁670、平坦面680、および基部662を有する。平坦面680は、前縁660と後縁670を結合する。基部662は、先端642において前縁660に結合される。好ましくは、前縁660は、1mm~4mm、理想的には2.9mmの先端642からの垂直方向の長さを有する。好ましくは、前縁660は、ブレード650の基部662から、110~170度、理想的には155度の角度を有する。後縁670は、平坦面680とサンプル収集くぼみ645を結合する。後縁670は、点672においてサンプル収集くぼみの近位端644に接する。好ましくは、後縁670は、サンプル収集くぼみ645から、90~165度、理想的には125度の間の角度を有する。好ましくは、平坦面680は、点672から、0.5mm~5mm、理想的には3mmの垂直方向の長さを有する。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態では、スタイレット針600は、その軸方向の長さに沿って長さ「r」に沿ってノッチを導入し、各ノッチ間のピッチ長「s」を有することによって、より可撓性になるように適合される。サンプル収集くぼみ645は、スタイレット針600の残りの部分よりも小さい断面積を示すため、サンプル収集くぼみ645の近位端643は、実質(parenchyma)を貫入する遠位端648と比較して、カンチレバーの固定端を表し、それによって、スタイレット針600の遠位端648に加えられる何らかの力に対して、断面積の急激な変化により、最大曲げモーメントおよび応力集中が、サンプル収集くぼみ645の前記近位端643で発生する。したがって、ノッチ690がスタイレット針600に導入され、前記スタイレット針600における最大曲げモーメントが、サンプル収集くぼみ645の近位端643で発生する傾向を低減する。ノッチ690により、スタイレット針600は、より可撓性のスパイラルカットコアリング針500内の曲率の漸進的な変化率を採用することができ、両方が針ガイドルーメン104を進むと、サンプル収集くぼみ645の近位端643に集中することなく、曲げの力がスタイレット針600に沿って効果的に分散されるので、各ノッチ自体が応力集中部となる。したがって、当業者であれば、コアリング針500の長さ「r」およびピッチ「s」が、様々なゲージのスタイレット針600に調整されることを理解するであろう。好ましくは、ピッチ「s」は、0.5~5mm、理想的には2mmである。長さ「r」は、スタイレット針600に沿って延びる任意の長さであり得る。好ましくは、ノッチ690は、0.01~0.3mm、理想的には0.1mmの幅を有する。好ましくは、ノッチ690は、0.1~0.55mmの深さ、理想的には0.2mmの深さを有する。好ましくは、ノッチ690は、スタイレット針600の全体の強度を損なわないように、スタイレット針600の直径の30%以下の深さを有し、サンプル収集くぼみ645上の最も薄い点よりも深くない。好ましくは、ノッチ690は、スパイラルカットパターンとの干渉を最小限に抑えるために正方形ではない輪郭を与えるために幅よりも深くなっている。例えば、ノッチ690は、0.2mmの深さおよび0.1mmの幅を有することができる。好ましくは、ノッチ690の基部は、直角接合部の内側のコーナーでの応力集中を軽減するためにコーナーフィレットを有する。好ましくは、ノッチ690は、互いに90度オフセットして配向されてもよく、サンプル収集くぼみ645に近接する第1のノッチ690は、サンプル収集くぼみ645と平行に配向される。スタイレット針600のノッチ690の縁は、コアリング針500のスパイラルカットパターンを妨げないように位置合わせされていることは理解され得る。これにより、2つのスリット表面が互いに通過する際の引っ掛かりが防止される。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態によって、
図7Aは、膨張していない膨張可能なバルーン220を有する肝静脈404内のカテーテル本体アセンブリ100の遠位端を概略的に示し、一方、
図7Bは、膨張した膨張可能なバルーン220および肝臓402を貫入する生検針400を有する肝静脈404内のカテーテル本体アセンブリ100の遠位端を概略的に示す。カテーテル本体アセンブリ100の遠位端は、静脈系を通って、下大静脈406を通って肝臓402に誘導し、中肝静脈などの肝静脈404に入ることができる。誘導全体を通じて、生検針400は、遠位出口130から出ることなく、カテーテル本体アセンブリ100内に維持され得る。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態では、c字形のバルーンラップ308内にバルーンカテーテル200を備えたカテーテル本体アセンブリ100の遠位端が肝静脈404に配置されると、膨張可能なバルーン220は、カテーテル本体アセンブリ100の遠位端および延長部131を肝静脈404内に固定するために、ある直径(例えば、最大で静脈径より20%大きい)まで膨張することができる。膨張可能なバルーン220が膨張すると、延長部131およびc字形のバルーンラップ308が肝静脈404の血管壁に押し付けられる。生検針400が出る遠位出口130は、膨張したバルーン220の近位にあるため、生検針400は、延長部131に沿って肝実質402に向かって斜めに向けられるべきである。したがって、生検針400は、バルーンカテーテル200の膨張可能なバルーン220の中心軸と延長部131の中心軸との間の角度αで肝実質402内に進入する(
図7Bを参照のこと)。膨張可能なバルーン220が膨張する前、角度αは0度である。生検針400を肝臓402に挿入するときに形成される角度αは、膨張可能なバルーン220の先細部分221の角度に依存する。膨張可能なバルーンの先細部分221の角度が低いほど、延長部131のオフセットは小さくなる。生検針400は、より少ない程度で偏向し、貫入角度αはより小さくなる。したがって、挿入角度αは、所定の角度ではなく、ヒトの解剖学的構造に適合させることができる。好ましくは、角度αは、5~20度、好ましくは10~15度である。延長部131に沿ったチャネル壁306は、生検針400が肝臓402内に前進するときに左または右に逸れないように、生検針400をガイドする。
【0052】
本明細書では様々な実施形態を開示している。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。したがって、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。網羅的であることまたは開示された正確な形態に本発明を限定することは意図されていない。当業者は、上記の教示に照らして多くの修正、変形、置換、変更、および均等物が可能であることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲に含まれるそのような全ての修正および変更を含むことを意図していると理解されたい。
【0053】
本発明の特定の特徴が本明細書に例示され、記載されているが、多くの修正、置換、変更、および均等物を当業者は考えるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲に含まれるそのような全ての修正および変更を含むことを意図していると理解されたい。
【国際調査報告】