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特表2024-501643化学的に定義された血清アルブミン代替物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】化学的に定義された血清アルブミン代替物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/00 20060101AFI20240105BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240105BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240105BHJP
   A61K 35/30 20150101ALI20240105BHJP
   A61K 35/34 20150101ALI20240105BHJP
   A61K 35/39 20150101ALI20240105BHJP
   C07K 5/113 20060101ALI20240105BHJP
   C12N 9/00 20060101ALN20240105BHJP
【FI】
C12N5/00
A61K35/12
A61K35/28
A61K35/30
A61K35/34
A61K35/39
C07K5/113
C12N9/00 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536509
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021063618
(87)【国際公開番号】W WO2022132974
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/125,619
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】クニンガー デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シン スジュン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA93X
4B065BB16
4B065BB19
4B065BB20
4B065BB21
4B065BB22
4B065BB31
4B065BB32
4B065BC50
4C087AA01
4C087BB44
4C087BB45
4C087BB47
4C087BB51
4C087BB56
4C087BB64
4C087NA03
4C087NA20
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA16
4H045BA17
4H045DA70
4H045DA89
4H045EA60
4H045FA30
4H045FA33
4H045GA21
(57)【要約】
本明細書では、とりわけ、細胞培養培地中のアルブミンを置換又は部分的に置換する化学的に定義された成分及び組成物が提供される。成分及び組成物は、細胞培養を支持するか、細胞を保護するか、又は培養細胞の生存率を増強し得る。アルブミンを含有する細胞培養培地中で使用するための化学的に定義された培養培地サプリメントが更に提供される。化学的に定義された培養培地サプリメントは、アルブミン誘導性毒性から細胞を救済し得る。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチドを含む、細胞培養培地。
【請求項2】
前記ペプチドが合成的に作製される、請求項1に記載の細胞培養培地。
【請求項3】
前記ペプチドが少なくとも4個のアミノ酸残基を含む、請求項1又は2に記載の細胞培養培地。
【請求項4】
前記ペプチドが、少なくとも1個の負に荷電した残基を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項5】
前記ペプチドが、少なくとも1個の正に荷電した残基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項6】
前記ペプチドが、DAHK(配列番号1)、DTHK(配列番号2)、及びEAHK(配列番号7)からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項7】
前記ペプチドが、約50μg/mL~約100μg/mlの濃度で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項8】
前記培地が、血清及びアルブミンを含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項9】
スーパーオキシドスカベンジャーを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項10】
前記スーパーオキシドスカベンジャーが、(2,2,6,6-テトラメチル-1-イル)オキシル若しくはその変異体を含有する化合物、又はフラボノイドを含む、請求項9に記載の細胞培養培地。
【請求項11】
前記スーパーオキシドスカベンジャーが、TEMPO、TEMPOL、又はそれらの変異体を含む、請求項10に記載の細胞培養培地。
【請求項12】
前記スーパーオキシドスカベンジャーが、細胞にとってネイティブではない化合物を含む、請求項9に記載の細胞培養培地。
【請求項13】
前記スーパーオキシドスカベンジャーが、Mito-TEMPOを含む、請求項9又は10に記載の細胞培養培地。
【請求項14】
ビタミンE又はその類似体を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項15】
前記ビタミンE類似体が、6-クロマノール基部分を含む、請求項14に記載の細胞培養培地。
【請求項16】
前記ビタミンE又はその類似体若しくは変異体が、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、コハク酸α-トコペロール、α-トコフェロールモノグルコシド、γ-トコフェロールN,N-ジメチルグリシンエステル、又はそれらの置換体、純粋なアイソフォーム、ラセミ混合物、及び/若しくは混合物を含む、請求項14に記載の細胞培養培地。
【請求項17】
前記ビタミンE類似体が、水溶性である、請求項14に記載の細胞培養培地。
【請求項18】
前記ビタミンE類似体が、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸を含む、請求項15に記載の細胞培養培地。
【請求項19】
過酸化水素還元試薬を更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項20】
前記過酸化水素還元剤が、グルタチオン、N-アセチルシステイン、システイン、亜セレン酸ナトリウム、マンニトール、フラボノイド、リポ酸、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項19に記載の細胞培養培地。
【請求項21】
安定化剤分子を更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項22】
前記安定化剤分子が、トレハロース又はマンニトールである、請求項21に記載の細胞培養培地。
【請求項23】
前記細胞培養培地が、平衡塩類溶液、基礎培地、及び/又は複合培地のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項24】
前記細胞培養培地が、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、ハンクス平衡塩類溶液、アール平衡塩類溶液、MEM、Opti-MEM、DMEM、CTS KnockOut DMEM、RPMI-1640、IMDM、ハムF12、F-12 K、F-10、DMEM/F12、Neurobasal、マッコイ5A培地、ライボビッツL-15、Medium 199、Neurobasal A、Brainphys、GMEM、及び/又はウィリアムE培地のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の細胞培養培地。
【請求項25】
スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチドを含む、細胞培養サプリメント。
【請求項26】
前記ペプチドが合成的に作製される、請求項25に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項27】
前記ペプチドが少なくとも4個のアミノ酸残基を含む、請求項25又は26に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項28】
前記ペプチドが、少なくとも1個の負に荷電した残基を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項29】
前記ペプチドが、少なくとも1個の正に荷電した残基を含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項30】
前記ペプチドが、DAHK(配列番号1)及びDTHK(配列番号2)からなる群から選択される、請求項25~29のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項31】
スーパーオキシドスカベンジャーを更に含む、請求項25~30のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項32】
前記スーパーオキシドスカベンジャーが、(2,2,6,6-テトラメチル-1-イル)オキシル若しくはその変異体を含有する化合物、又はフラボノイドを含む、請求項31に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項33】
前記スーパーオキシドスカベンジャーが、TEMPO、TEMPOL、又はそれらの変異体を含む、請求項32に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項34】
前記スーパーオキシドスカベンジャーが、細胞にとってネイティブではない化合物を含む、請求項31に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項35】
前記スーパーオキシドスカベンジャーが、Mito-TEMPOを含む、請求項31又は32に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項36】
ビタミンE又はその類似体を更に含む、請求項25~35のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項37】
前記ビタミンE類似体が、6-クロマノール基部分を含む、請求項36に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項38】
前記ビタミンE又はその類似体若しくは変異体が、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、コハク酸α-トコペロール、α-トコフェロールモノグルコシド、γ-トコフェロールN,N-ジメチルグリシンエステル、又はそれらの置換体、純粋なアイソフォーム、ラセミ混合物、及び/若しくは混合物を含む、請求項36に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項39】
前記ビタミンE類似体が、水溶性である、請求項36~38のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項40】
前記ビタミンE類似体が、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸を含む、請求項37に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項41】
過酸化水素還元試薬を更に含む、請求項25~40のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項42】
前記過酸化水素還元剤が、グルタチオン、N-アセチルシステイン、システイン、亜セレン酸ナトリウム、マンニトール、フラボノイド、リポ酸、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項41に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項43】
安定化剤分子を更に含む、請求項25~42のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項44】
前記安定化剤分子が、トレハロース又はマンニトールである、請求項43に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項45】
前記細胞培養サプリメントが、血清を含まない、請求項25~44のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項46】
前記細胞培養サプリメントが、アルブミンを含まない、請求項25~45のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項47】
前記サプリメントが、血清を含まない細胞培養培地に添加される、請求項25~46のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメント。
【請求項48】
(i)スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチド、
(ii)ビタミンE又はその類似体、並びに
(iii)スーパーオキシドスカベンジャー、を含む、細胞培養サプリメント。
【請求項49】
培養中の細胞を成長させるための方法であって、請求項1~24のいずれか一項に記載の細胞培養培地中で前記細胞を成長させることを含む、方法。
【請求項50】
培養中の細胞を成長させる方法であって、請求項25~48のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメントが補充された細胞培養培地中で前記細胞を成長させることを含む、方法。
【請求項51】
アルブミン誘導性毒性から細胞を救済する方法であって、アルブミン誘導性毒性を示す細胞を、請求項25~48のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメントと接触させることを含む、方法。
【請求項52】
培養中の細胞を拡張するための方法であって、請求項1~24のいずれか一項に記載の細胞培養培地中で、前記細胞を、血清を含まず、アルブミンを含まない細胞培養培地と接触させることを含む、方法。
【請求項53】
細胞を酸化ストレスから回復させるための方法であって、前記細胞を、請求項25~48のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメントと接触させること、又は前記細胞を、請求項1~24のいずれか一項に記載の細胞培養培地中で成長させることを含む、方法。
【請求項54】
前記酸化ストレスが、前記細胞の凍結によるものである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記酸化ストレスが、脂質が豊富な条件への曝露であった、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記細胞が、治療用細胞である、請求項49~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記細胞が、間葉系幹細胞、神経前駆細胞、網膜色素上皮、膵臓ベータ細胞、心筋細胞、HEK-293細胞、及びCHO細胞からなる群から選択される、請求項49~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
血清を含まない細胞培養培地及び請求項25~46のいずれか一項に記載の細胞培養サプリメントを含む、細胞培養キット。
【請求項59】
前記細胞培養サプリメントが、
(i)スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチド、
(ii)ビタミンE又はその類似体、並びに
(iii)スーパーオキシドスカベンジャー、を含み、
(i)~(iii)が、別々の容器で提供される、請求項58に記載の細胞培養キット。
【請求項60】
前記細胞培養サプリメントが、
(i)スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチド、
(ii)ビタミンE又はその類似体、並びに
(iii)スーパーオキシドスカベンジャー、を含み、
(i)~(iii)が、単一の容器で提供される、請求項58に記載のキット。
【請求項61】
過酸化水素還元試薬を更に含む、請求項59又は60に記載のキット。
【請求項62】
前記過酸化水素還元試薬が、グルタチオン及び/若しくはリポ酸、又はその変異体を含む、請求項61に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年12月15日に出願された米国仮特許出願第63/125,619号(その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる)に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
(配列表)
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2021年12月9日に作成された上記のASCIIコピーは、LT01526PCT_SL.txtという名前で、サイズは9,788バイトである。
【背景技術】
【0003】
約66キロダルトンの分子量を有する単一ポリペプチドであるアルブミンは、脊椎動物の血清中で最も豊富なタンパク質である。アルブミンは、細胞培養の重要な成分として機能し、拡張する細胞に有益な特性を付与する。しかしながら、アルブミンはまた、細胞培養性能における変動性の主要な源として寄与する。例えば、アルブミンの化学組成は、単一のメーカーであっても、ロット間で異なる。アルブミンは、ホルモン、ビタミン、及び酵素を含む血液からの多くの物質を運び、細胞に対して毒性である成分(例えば、遷移金属)、又は細胞生存率を改善する成分で汚染され得る。これらの汚染物質は全て、細胞培養の生存率に影響を及ぼし、生物学的研究において矛盾を引き起こす可能性がある。更に、培地成分とアルブミンとの間の相互作用を制御することは困難であり、アルブミンによって培地成分が隔離され、培養細胞へのそれらの接近性を制限する可能性がある。
【0004】
上記を考慮すると、細胞培養培地中で使用するための化学的に定義されたアルブミン代替物は、例えば、アルブミン誘導性毒性を救済するために、アルブミンを含有する細胞培養培地中で使用するための化学的に定義された培養培地サプリメントと同様に、非常に望ましい。本明細書では、当技術分野におけるこれらの問題及び他の問題に対する解決策が提供される。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、一般に、アルブミンについての化学的に定義された代替物又は部分的な代替物を含む組成物、及びその使用方法に関する。組成物は、細胞培養、例えば、ストレスに対して脆弱な細胞の細胞培養を支持するための培養培地又はサプリメントであり得る。組成物は、細胞、例えば、幹細胞、神経細胞及び乏突起膠細胞を、凍結/解凍サイクル、輸送、及びトランスフェクションを含む実験手順を含むプロセスによって引き起こされる損傷から保護することができる。本明細書で提供される培地又はサプリメントは、例えば、アルブミン誘導性毒性から細胞を救済するために、アルブミンを含む細胞培養培地中で使用され得る。本明細書で提供される培地又はサプリメントは、培養細胞の生存率を更に増強し得る。
【0006】
一態様では、スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチドを含む細胞培養培地が提供される。実施形態では、細胞培養培地は、ビタミンE類似体、過酸化水素還元試薬、及びスーパーオキシドスカベンジャーのうちの1つ以上を更に含む。
【0007】
一態様では、スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチドを含む細胞培養サプリメントが提供される。実施形態では、細胞培養サプリメントは、ビタミンE類似体、過酸化水素還元試薬、及びスーパーオキシドスカベンジャーのうちの1つ以上を更に含む。
【0008】
一態様では、培養中の細胞を成長させるための方法が提供され、方法は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中で細胞を成長させることを含む。
【0009】
一態様では、培養中の細胞を成長させる方法が提供され、方法は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントが補充された細胞培養培地中で細胞を成長させることを含む。
【0010】
一態様では、アルブミン誘導性毒性を示す細胞を、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントと接触させることを含む、アルブミン誘導性毒性から細胞を救済する方法が提供される。
【0011】
一態様では、培養中の細胞を拡張するための方法が提供され、方法は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中で、細胞を血清を含まず、アルブミンを含まない細胞培養培地と接触させることを含む。
【0012】
一態様では、酸化ストレスから細胞を回復させるための方法が提供され、方法は、細胞を、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントと接触させること、又はその実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中で細胞を成長させることを含む。
【0013】
一態様では、細胞培養サプリメントであって、(i)スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチド、(ii)ビタミンE又はその類似体、並びに(iii)スーパーオキシドスカベンジャー、を含む、細胞培養サプリメントが提供される。
【0014】
一態様では、細胞培養キットが提供され、細胞培養キットは、血清を含まない細胞培養培地、及びその実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】B27培地中で成長させた様々な細胞培養物中に存在する場合、市販のアルブミン間に性能差が存在することを示す。
図1B】異なるB27培養成分とBSAとの間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図1C】異なるB27培養成分とBSAとの間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図1D】異なるB27培養成分と組換えヒト血清アルブミン(recombinant human serum albumin、rHSA)との間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図1E】異なるB27培養成分と組換えヒト血清アルブミン(recombinant human serum albumin、rHSA)との間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図1F】広範な濃度のrHSAでの異なるB27培養成分間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図1G】広範な濃度のrHSAでの異なるB27培養成分間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図1H】広範な濃度のrHSAでの異なるB27培養成分間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図1I】広範な濃度のrHSAでの異なるB27培養成分間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図1J】広範な濃度のrHSAでの異なるB27培養成分間の相互作用、及びニューロン細胞生存率に対する相互作用の効果を示す主な効果プロットを示す。
図2A】BSAの異なるロットと供給源との間で観察された成分変動を示す。
図2B】BSA1及びBSA2の存在下でのラットニューロン生存(上パネル)、並びにラットニューロン生存に対する添加鉄の効果(下パネル)を比較する棒グラフである。
図2C】培養中の抗酸化剤の添加が鉄誘導性毒性を防止及び/又は逆転させることを示す棒グラフである。
図2D】幹細胞増殖に対する異なるアルブミン供給源の効果を示す棒グラフである。マウス胚性幹細胞(mouse embryonic stem cells、mESC)の結果を図2Dに示し、ヒト神経幹細胞(human neural stem cells、hNSC)の結果を図2Eに示す。
図2E】幹細胞増殖に対する異なるアルブミン供給源の効果を示す棒グラフである。マウス胚性幹細胞(mouse embryonic stem cells、mESC)の結果を図2Dに示し、ヒト神経幹細胞(human neural stem cells、hNSC)の結果を図2Eに示す。
図2F】Essential 6培地中で成長させたヒト多能性幹細胞におけるフォークヘッドボックスタンパク質G1(forkhead box protein G1、FOXG1)及びペアードボックスタンパク質(Paired box protein、PAX-6)の発現に対する異なる供給源由来のアルブミンの効果を示す。
図3】異なる供給源由来のアルブミン相同体の総還元活性の変動を示す棒グラフである。
図4A】異なる供給源由来のアルブミン相同体における種々のスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase、SOD)活性を示す棒グラフである。
図4B】Mito-Tempoがある範囲の濃度でSOD活性を有することを示す棒グラフである。
図5】Mito-Tempoが活性酸素種(reactive oxygen species、ROS)によって誘導される細胞ストレスを減少させることができることを示す棒グラフである。
図6】アルブミン相同体がカタラーゼ活性を有することを示す棒グラフである。
図7】様々なアルブミン相同体がチオールベースの抗酸化活性を有することを示す棒グラフである。
図8】グルタチオン及びリポ酸を含む化学的に定義された成分が、H22を除去して、培養中のラットニューロン生存率を改善することができることを示す。
図9】ラットニューロンの培養培地への銅の添加がニューロン細胞死をもたらすことを示す棒グラフである。
図10】ある濃度のペプチドCはHSAの金属結合特性を保持するが、ペプチドA及びペプチドBは試験した濃度で金属をキレートしないことを示す棒グラフである。
図11】テトラペプチドDAHK(配列番号1)(第1のロット、第2のロット、BSAペプチド)がHSAと同様の金属結合活性を有するが、スクランブル配列(スクランブル)は有さないことを示す棒グラフである。
図12】ペプチドCが、培養ラットニューロン細胞における銅誘導性毒性を救済及び/又は防止することを示す棒グラフである。
図13】ペプチドC(DAHK(配列番号1))が、マウス胚性幹細胞を銅誘導性ストレスから濃度依存的に救済することを示す棒グラフである。図は配列番号1を開示する。
図14】銅の存在が培養中のHEK-293細胞の細胞生存率を低下させ、ペプチドCが銅誘導性ストレスから細胞を救済することを示す棒グラフである。図は配列番号1を開示する。
図15】BSA及びHSAの様々なロット及び供給源が、第二鉄還元抗酸化力(Ferric reducing antioxidant power、FRAP)アッセイによって測定されるように、様々な抗酸化レベル及び活性を有することを示す棒グラフである。
図16A】様々な供給源からのアルブミンが異なるレベルの抗酸化剤ビタミンEを含むことを示す棒グラフである。
図16B】ラット皮質ニューロン(Rat cortical neuron、RCN)細胞生存に対するビタミンE(図16B)及びトロロックス(図16C)の効果を示す棒グラフである。
図16C】ラット皮質ニューロン(Rat cortical neuron、RCN)細胞生存に対するビタミンE(図16B)及びトロロックス(図16C)の効果を示す棒グラフである。
図17A】ICC(図17A)及びqPCR(図17B)によって測定した、Essential 6培養培地中で成長させたヒト多能性幹細胞におけるFoxG1発現に対するペプチドCの効果を示す棒グラフである。
図17B】ICC(図17A)及びqPCR(図17B)によって測定した、Essential 6培養培地中で成長させたヒト多能性幹細胞におけるFoxG1発現に対するペプチドCの効果を示す棒グラフである。
図18A】rHSAがHEK-293細胞(図18A)及びHeLa細胞(図18B)に対して毒性であること、並びに本明細書に開示される化学的に定義されたサプリメントがrHSA誘導性毒性からHEK-293及びHeLa細胞を救済することを示す棒グラフである。
図18B】rHSAがHEK-293細胞(図18A)及びHeLa細胞(図18B)に対して毒性であること、並びに本明細書に開示される化学的に定義されたサプリメントがrHSA誘導性毒性からHEK-293及びHeLa細胞を救済することを示す棒グラフである。
図19A】一次ニューロンのニューロン生存率(図19A)及び神経突起長さ(図19B)が、本明細書に開示される化学的に定義されたサプリメントの存在下で増強されることを示す棒グラフである。
図19B】一次ニューロンのニューロン生存率(図19A)及び神経突起長さ(図19B)が、本明細書に開示される化学的に定義されたサプリメントの存在下で増強されることを示す棒グラフである。
図20】ラットニューロン細胞成長に対する組換えHSA及び種々の長さの種々のペプチドC由来ペプチドの効果を比較するグラフである。図は、出現順に、それぞれ、配列番号1、10、11、14、12、13、及び15~17を開示する。
図21】ラットニューロン細胞成長に対する組換えHSA及び種々のペプチドC由来ペプチドの効果を比較するグラフである。ペプチドC由来ペプチドは、ペプチドCの電荷特性を保持する。図は、出現順に、それぞれ、配列番号1、7、8、19及び9を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この説明を読んだ後、様々な代替の実施形態及び代替の用途で本開示をどのように実施するかが当業者に明らかになるであろう。しかしながら、本発明の全ての様々な実施形態は、本明細書では説明されない。ここに提示された実施形態は、限定ではなく、一例としてのみ提示されていることが理解されよう。したがって、様々な代替の実施形態のこの詳細な説明は、本明細書で記載されるように、本開示の範囲又は広さを限定するように解釈されるべきではない。
【0017】
本技術が開示及び説明される前に、以下に説明される態様は、特定の組成物に限定されず、そのような組成物を調製する方法、又はそのようなものとしての使用は、もちろん変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、限定するようには意図されていないことが理解される。
【0018】
詳細な説明は、読者の便宜のためにのみ様々なセクションに分割されており、任意のセクションに見られる開示は、別のセクションの開示と組み合わせることができる。タイトル又はサブタイトルは、読者の便宜のために本明細書で使用することができ、本開示の範囲に影響を与えることを意図していない。
【0019】
定義
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書及び以下の特許請求の範囲では、本明細書で定義される多数の用語を参照する。
【0020】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。
【0021】
「任意の」又は「任意に」とは、後に記載される事象又は状況が発生する可能性がある、又は発生しない可能性があることを意味し、その記載には、その事象又は状況が発生する実例及び発生しない実例が含まれる。
【0022】
「約」という用語は、数値表記、例えば、温度、時間、量、濃度、及び範囲を含むそのような他のものの前に使用される場合、(+)又は(-)10%、5%、1%、又はその間の任意の部分範囲又は部分値によって変動し得る近似を示している。好ましくは、「約」という用語は、量に関して使用される場合、量が+/-10%変動し得ることを意味する。
【0023】
「含むこと(comprising)」又は「含む(comprises)」は、組成物及び方法が記載された要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することを意図している。組成物及び方法を定義するために使用される場合、「本質的にからなる(consisting essentially)」とは、述べられた目的のために、組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、特許請求される発明の基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない他の材料又はステップを除外しないであろう。「からなる(consisting of)」とは、他の成分の微量要素及び実質的な方法ステップを超えて除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。
【0024】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在する及び合成のアミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸に類似の様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされたもの、並びに後から修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニン、メチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)又は修飾ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能する化合物を指す。
【0025】
アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている3文字記号又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字記号のいずれかで言及され得る。同様に、ヌクレオチドは、一般に受け入れられている1文字コードで言及され得る。
【0026】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書では互換的に使用され、ここで、ポリマーはアミノ酸から構成されない部分に任意選択的にコンジュゲートされてもよい。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び非天然アミノ酸ポリマーに該当する。
【0027】
「組換えタンパク質」とは、宿主細胞に導入された核酸によってコードされるタンパク質を指す。宿主細胞は、核酸を発現する。「核酸を発現する」という用語は、「核酸によりコードされるRNAからタンパク質を発現すること」と同義である。本明細書に使用される「タンパク質」とは、重合されたアミノ酸、例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質などを広く指す。
【0028】
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸配列と核酸配列との両方に該当する。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体は、同一若しくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列を指す。アミノ酸配列については、コードされた配列における単一のアミノ酸又はごく一部のアミノ酸を改変する、付加する、又は欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列への個々の置換、欠失、又は付加は、アミノ酸が化学的に類似したアミノ酸に置換される「保存的に修飾された変異体」であることを、当業者であれば認識するであろう。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野で周知である。そのような保存的に修飾された変異体は、本発明の多型変異体、種間相同体、及び対立遺伝子に加えてのものであり、これらを除外しない。
【0029】
以下の8つの群はそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:(1)アラニン(A)、グリシン(G)、(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、(4)アルギニン(R)、リジン(K)、(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、(7)セリン(S)、スレオニン(T)、及び(8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照されたい)。
【0030】
「配列同一性の割合」は、比較ウィンドウで最適に整列された2つの配列を比較することで決定され、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適な整列について、参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。割合は、一致する位置の数を得るために両方の配列で同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が生じる位置の数を決定し、一致する位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて、配列同一性の割合を求めることにより計算される。
【0031】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈における「同一」又は「同一性」パーセントという用語は、配列比較アルゴリズムを使用するか、又は手動整列及び目視検査によって測定した場合、比較ウィンドウにわたって、又は指定された領域にわたって最大の対応が得られるように比較及び整列されたときに、同一であるか、又は同じ特定の割合のアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを有する(すなわち、本発明の全ポリペプチド配列又は本発明のポリペプチドの個々のドメインの指定された領域にわたって、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の同一性)2つ以上の配列又は部分配列を指す。少なくとも約80%同一であるそのような配列は、「実質的に同一」であると言われる。いくつかの実施形態では、2つの配列は100%同一である。特定の実施形態では、2つの配列は、配列のうちの1つの全長にわたって100%同一である(例えば、配列が異なる長さを有する場合、2つの配列のうちの短い方)。種々の実施形態では、同一性は、試験配列の相補体を指し得る。いくつかの実施形態では、同一性は、少なくとも約10~約100、約20~約75、約30~約50アミノ酸又はヌクレオチド長である領域にわたって存在する。特定の実施形態では、同一性は、少なくとも約50アミノ酸長である領域にわたって、又はより好ましくは、100~500、100~200、150~200、175~200、175~225、175~250、200~225、200~250以上のアミノ酸長である領域にわたって存在する。
【0032】
アミノ酸又はヌクレオチド塩基の「位置」は、N末端(又は5’末端)に対する位置に基づいて、参照配列内の各アミノ酸(又はヌクレオチド塩基)を順番に識別する番号により示される。最適な整列を決定する際に考慮しなければならない欠失、挿入、短縮、融合などに起因して、一般に、N末端から単純に数えることによって決定される試験配列のアミノ酸残基番号は、必ずしも参照配列内のその対応する位置の番号と同じである必要はない。例えば、変異体が整列した参照配列に対して欠失を有する場合、欠失部位の参照配列の位置に対応する変異体にはアミノ酸が存在しないことになる。整列した参照配列に挿入がある場合、その挿入は参照配列の番号付きアミノ酸位置に対応しないことになる。短縮又は融合の場合、参照配列又は整列配列のいずれかに、対応する配列のアミノ酸に対応しないアミノ酸の伸長が存在し得る。
【0033】
所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列の番号付けの文脈で使用する場合、「に関連して番号付け」又は「に対応する」という用語は、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列が参照配列と比較されるときの指定された参照配列の残基の番号付けを指す。タンパク質中のアミノ酸残基は、所与の残基と同じタンパク質内の必須構造位置を占有する場合、所与の残基に「対応する」。
【0034】
本明細書に記載の特定のタンパク質(例えば、HSA)の場合、指名されたタンパク質には、タンパク質活性を(例えば、天然タンパク質と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性内に)維持する、タンパク質の天然に存在する形態、又は変異体若しくは相同体のうちのいずれかが含まれる。態様では、変異体又は相同体は、天然に存在する形態と比較して、配列全体にわたって、又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200個の連続アミノ酸部分)で、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。態様では、タンパク質は、そのNCBI配列参照により識別されるタンパク質である。態様では、タンパク質は、そのNCBI配列参照又はその機能的フラグメント若しくは相同体により識別されるタンパク質である。
【0035】
配列比較では、典型的には、1つの配列が参照配列として機能し、これに対して試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。好ましくは、初期設定のプログラムパラメータを使用してもよく、あるいは代替のパラメータを指定してもよい。次に、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0036】
「比較ウィンドウ」は、2つの配列が最適に整列された後に、同じ数の連続する位置の参照配列と比較され得る、いくつかの数の連続する位置のうちのいずれか1つのセグメント(例えば、少なくとも約10~約100、約20~約75、約30~約50、100~500、100~200、150~200、175~200、175~225、175~250、200~225、200~250)を指す。種々の実施形態では、比較ウィンドウは、2つの整列された配列の一方又は両方の全長である。いくつかの実施形態では、比較される2つの配列は、異なる長さを含み、比較ウィンドウは、2つの配列の長い方又は短い方の全長である。異なる長さの2つの配列に関する特定の実施形態では、比較ウィンドウは、2つの配列のうちの短い方の全長を含む。異なる長さの2つの配列に関するいくつかの実施形態では、比較ウィンドウは、2つの配列の長い方の全長を含む。
【0037】
比較のための配列の整列方法は、当該技術分野で周知である。比較のための配列の最適な整列は、例えば、Smith and Waterman(1970)Adv.Appl.Math.2:482cの局所相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性整列アルゴリズムにより、Pearson and Lipman(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の同様の方法についての探求により、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)により、又は手動整列及び目視検査(例えば、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995補遺))により、実行することができる。
【0038】
配列同一性及び配列類似性パーセントの決定に好適なアルゴリズムの例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれ、Altschul et al.(1977)Nuc.Acids Res.25:3389-3402、及びAltschul et al.(1990)J.,Mol.Biol,215:403-410に記載されている。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(National Center for Biotechnology Information、NCBI)から公開されており、当技術分野では周知である。例示的なBLASTアルゴリズムには、クエリ配列内の長さWの短いワードを識別することによって、最初に高スコア配列対(high scoring sequence pairs、HSP)を識別し、これは、データベース配列内の同じ長さのワードと整列したときに、ある正の値の閾値スコアTに一致するか、又はそれを満たすものである。Tは、近隣ワードスコア閾値と称される(Altschul et al.、前掲)。これらの最初の近隣ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして機能する。ワードのヒットは、累積整列スコアが増加できる限り、各配列に沿って両方向に伸びる。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致する残基の対についての報酬スコア、常に>0)及びN(不一致残基についてのペナルティスコア、常に<0)を使用して算出される。アミノ酸配列の場合、累計スコアは、スコアリングマトリックスを使用して計算される。各方向におけるワードヒットの拡張は、累積整列スコアがその最大達成値から量Xだけ低下するか、累積スコアが、1つ以上の負のスコアの残基整列の累積に起因して、0以下になるか、又はいずれかの配列の末端に到達するときに、停止される。BLASTアルゴリズムのパラメータであるW、T、及びXは、整列の感度及び速度を決定する。特定の実施形態では、NCBI BLASTN又はBLASTPプログラムを使用して配列を整列させる。特定の実施形態では、BLASTN又はBLASTPプログラムは、NCBIによって使用される初期設定を使用する。特定の実施形態では、BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、初期設定として、28のワードサイズ(W)、期待閾値(E)又は10、0に設定されたクエリ範囲内の最大一致、1、-2の一致/不一致スコア、線形ギャップコスト、使用される低い複雑度領域のためのフィルタ、及び使用されるルックアップテーブルのみのためのマスク、を使用する。特定の実施形態では、BLASTPプログラム(アミノ酸配列用)は、初期設定として、3のワードサイズ(W)、10の期待閾値(E)、0に設定されたクエリ範囲内の最大一致、BLOSUM62マトリックス(Henikoff and Henikoff 1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照されたい)、存在のギャップコスト:11及び拡張:1、並びに条件付き構成スコア行列調整、を使用する。
【0039】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析も実行する(例えば、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5787を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然に発生する確率を示す。例えば、試験核酸と参照核酸との比較における最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は参照配列に類似しているとみなされる。
【0040】
「単離された」という用語は、核酸又はタンパク質に適用される場合、核酸又はタンパク質が自然状態で関連する他の細胞成分を本質的に含まないことを示す。これは、例えば、均質な状態であり得、乾燥又は水溶液中のいずれであってもよい。純度及び均質性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィなどの分析化学技法を使用して決定される。調製物中に存在する主要な種であるタンパク質は、実質的に精製される。
【0041】
本明細書で使用される「脂質」という用語は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、及びKなど)、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質などを含む天然に存在する分子の群を指す。脂質は、疎水性又は両親媒性の小分子として広く定義され得る。いくつかの脂質の両親媒性の性質は、それらが水性環境において小胞、多重膜/単層リポソーム、又は膜などの構造を形成することを可能にする。生物学的脂質は、2つの異なるタイプの生化学的サブユニットイソプレン及びケトアシル基に由来する。脂質は、以下のカテゴリーに分類され得る:脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、サッカロ脂質、及びポリケチド(ケトアシルサブユニットの縮合から誘導される);並びにステロール脂質及びプレノール脂質(イソプレンサブユニットの縮合から誘導される)。脂肪は、トリグリセリドと呼ばれる脂質のサブグループである。脂質はまた、脂肪酸及びそれらの誘導体(トリ-、ジ-、モノグリセリド、及びリン脂質を含む)などの分子、並びにコレステロールなどの他のステロール含有代謝産物を包含する。
【0042】
本明細書で使用される「細胞」は、そのゲノムDNAを保存又は複製するのに十分な代謝又は他の機能を実行する細胞を指す。細胞は、例えば、無傷の膜の存在、特定の色素による染色、子孫を産生する能力、又は配偶子の場合には第2の配偶子と組み合わさって子孫を産生する能力を含む、当該技術分野で周知の方法によって特定することができる。細胞には、原核細胞及び真核細胞が含まれ得る。原核細胞には細菌が含まれるが、これに限定されない。真核細胞としては、酵母細胞、並びに植物及び動物に由来する細胞、例えば、哺乳動物、昆虫(例えば、Spodoptera)、及びヒト細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で使用される「治療用細胞」という用語は、薬効を達成するために、それを必要とする患者又は対象に投与することができる細胞を指す。投与は、前述の患者又は対象への注射、移植又は埋め込みを含んでもよい。例えば、T細胞は、がんを処置するための免疫応答を調節するために患者に移植され得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「分化」という用語は、細胞の生活環の発達における段階を指す。
【0045】
「細胞培養培地」、「組織培養培地」、「培養培地」(各々の場合において、複数「培地(media)」)、及び「培地製剤」という句は、細胞又は組織を増殖するための栄養素液を指す。これらの句は、互換可能に使用され得る。
【0046】
「細胞培養」又は「培養」とは、人工的なインビトロ環境における細胞の維持又は拡張を意味する。
【0047】
「細胞培養サプリメント」、「培養サプリメント」又は「培地サプリメント」という用語は、細胞拡張を増強するために細胞培養培地に添加される成分を指す。これらの句は、互換可能に使用され得る。細胞培養サプリメントは、アミノ酸、塩、ペプチド、糖、脂質、ビタミン、ミネラル、金属などのうちの1つ以上を含み得る。実施形態では、細胞培養サプリメントは、化学的に定義された成分を含む。
【0048】
本明細書で使用される場合、「化学的に定義された」という用語は、既知の分子構造及び濃度の成分を指す。
【0049】
本明細書で使用される「化学的に定義された培地」という用語は、細胞、特に真核細胞のインビトロ培養に好適な培地を指し、ここで、全ての化学成分及びそれらの濃度が知られている。
【0050】
本明細書で使用される「血清を含まない」という用語は、血清を含まないか、又は実質的に血清を含まない培地を指す。本明細書で使用される「実質的に血清を含まない」とは、約1重量%未満の血清を含有する、微量の血清のみを含有する、又は検出できない量の血清を含有する培地を指す。実施形態では、血清を実質的に含まないとは、1重量%未満の血清、0.95重量%未満の血清、0.9重量%未満の血清、0.85重量%未満の血清、0.8重量%未満の血清、0.75重量%未満の血清、0.7重量%未満の血清、0.65重量%未満の血清、0.6重量%未満の血清、0.55重量%未満の血清、0.5重量%未満の血清、0.45重量%未満の血清、0.4重量%未満の血清、0.35重量%未満の血清、0.3重量%未満の血清、0.25重量%未満の血清、0.2重量%未満の血清、0.15重量%未満の血清、0.1重量%未満の血清、0.09重量%未満の血清、0.08重量%未満の血清、0.07重量%未満の血清、0.06重量%未満の血清、0.05重量%未満の血清、0.04重量%未満の血清、0.03重量%未満の血清、0.02重量%未満の血清、又は0.01重量%未満の血清を含有する培地を指す。
【0051】
「アルブミンを含まない」培養培地という句は、アルブミンを含有しないか、又はアルブミンを実質的に含まない培養培地を指す。したがって、アルブミンを実質的に含まないとは、アルブミンが培養培地中に約1%(w/v)未満、より好ましくは、約0.1%(w/v)未満、更により好ましくは、約0.01%(w/v)未満の濃度で存在することを意味する。したがって、実施形態では、アルブミンを含まない培養培地は、1%(w/v)未満のアルブミン、0.95%(w/v)未満のアルブミン、0.9%(w/v)未満のアルブミン、0.85%(w/v)未満のアルブミン、0.8%(w/v)未満のアルブミン、0.75%(w/v)未満のアルブミン、0.7%(w/v)未満のアルブミン、0.65%(w/v)未満のアルブミン、0.6%(w/v)未満のアルブミン、0.55%(w/v)未満のアルブミン、0.5%(w/v)未満のアルブミン、0.45%(w/v)未満のアルブミン、0.4%(w/v)未満のアルブミン、0.35%(w/v)未満のアルブミン、0.3%(w/v)未満のアルブミン、0.25%(w/v)未満のアルブミン、0.2%(w/v)未満のアルブミン、0.15%(w/v)未満のアルブミン、0.1%(w/v)未満のアルブミン、0.09%(w/v)未満のアルブミン、0.08%(w/v)未満のアルブミン、0.07%(w/v)未満のアルブミン、0.06%(w/v)未満のアルブミン、0.05%(w/v)未満のアルブミン、0.04%(w/v)未満のアルブミン、0.03%(w/v)未満のアルブミン、0.02%(w/v)未満のアルブミン、又は0.01%(w/v)未満のアルブミンを含有する培地を指す。
【0052】
本明細書で使用される「合成的に作製された」又は「合成された」という句は、インビトロでの化学(例えば、タンパク質)合成によって作製された分子を指す。ペプチドの合成は当技術分野で周知である。例えば、限定するものではないが、ペプチドは、液相ペプチド合成又は固相ペプチド合成を使用して合成することができる。一般に、合成的に作製された分子は、例えば、混入物及び不適切に形成された分子(例えば、不完全又は不正確なペプチド配列)を除去するために精製される。タンパク質を精製する方法は、当技術分野において周知であり、サイズ排除クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ(ion exchange chromatography、IEC)、分配クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ(high-performance liquid chromatography、HPLC)、及び逆相クロマトグラフィ(reverse-phase chromatography、RPC)を含むが、これらに限定されない。実施形態では、合成的に作製されたペプチドは、少なくとも70%純粋である(少なくとも70%の所望のペプチドを含有する)。実施形態では、合成的に作製されたペプチドは、少なくとも80%純粋である。実施形態では、合成的に作製されたペプチドは、少なくとも90%純粋である。実施形態では、合成的に作製されたペプチドは、少なくとも95%純粋である。実施形態では、合成的に作製されたペプチドは、少なくとも96%純粋である。実施形態では、合成的に作製されたペプチドは、少なくとも97%純粋である。実施形態では、合成的に作製されたペプチドは、少なくとも98%純粋である。実施形態では、合成的に作製されたペプチドは、少なくとも99%純粋である。割合は、重量(w/w)又は体積(w/v)に基づくことができる。
【0053】
「接触する」は、その単純な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば、生体分子又は細胞を含む化学化合物)が、反応、相互作用、又は物理的に触れるのに十分に近くなることを可能にするプロセスを指す。しかしながら、得られる反応産物は、添加試薬間の反応から直接、又は反応混合物中で産生され得る、添加試薬のうちの1つ以上に由来する中間体から産生され得ることを認識されたい。
【0054】
「接触する」という用語は、2つの種が反応、相互作用、又は物理的に触れるのを可能にすることを含み得、ここで、2つの種は、本明細書に記載される化合物及びタンパク質又は酵素であり得る。いくつかの実施形態では、接触することは、本明細書に記載される化合物が、シグナル伝達経路に関与するタンパク質又は酵素と相互作用するのを可能にすることを含む。
【0055】
「対照」試料又は値は、試験試料と比較するための参照、通常は既知の参照として機能する試料を指す。例えば、試験試料は、例えば試験化合物の存在下で試験条件から採取され、例えば、試験化合物の不在下(陰性対照)、又は既知の化合物の存在下(陽性対照)で、既知の条件からの試料と比較され得る。対照はまた、ある数の試験又は結果から収集された平均値を表し得る。当業者であれば、対照は、あらゆる数のパラメータを評定するために設計できることを認識するであろう。例えば、薬理学的データ(例えば、半減期)又は治療的尺度(例えば、副作用の比較)に基づいて治療的利益を比較するために対照を考案することができる。当業者は、所定の状況においてどの対照が価値があるかを理解し、対照値との比較に基づいてデータを分析することができるであろう。対照は、データの有意性を判断するのにも役立つ。例えば、所与のパラメータの値が対照において大きく異なる場合、試験試料における変動は有意であるとはみなされない。
組成物
【0056】
一態様では、スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を有するペプチドを含む細胞培養培地が提供される。
【0057】
実施形態では、ペプチドは、約25~約150μg/mlの濃度を有する(最終濃度で存在する)。実施形態では、ペプチドは、約25μg/mL~約150μg/mLの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約50μg/mL~約150μg/mLの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約75μg/mL~約150μg/mLの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約100μg/mL~約150μg/mLの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約125μg/mL~約150μg/mLの濃度を有する。
【0058】
実施形態では、ペプチドは、約25μg/mL~約125μg/mLの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約25μg/mL~約100μg/mLの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約25μg/mL~約75μg/mLの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約25μg/mL~約50μg/mLの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約25μg/mL、約50μg/mL、約75μg/mL、約100μg/mL、約125μg/mL、又は約150μg/mLの濃度を有する。
【0059】
実施形態では、ペプチドは、約30μg/ml~約125μg/mlの濃度を有する。実施形態では、ペプチドは、約50μg/ml~約100μg/mlの濃度を有する。
【0060】
一態様では、スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を有するペプチドを含む細胞培養サプリメントが提供される。実施形態では、細胞培養サプリメントは、培養培地に添加された場合に、約25~約150μg/mlの最終ペプチド濃度を提供する5×溶液として提供される。実施形態では、細胞培養サプリメントは、培養培地に添加された場合に、約25μg/ml~約150μg/mlの最終ペプチド濃度を提供する10×溶液として提供される。実施形態では、細胞培養サプリメントは、培養培地に添加された場合に、約25μg/ml~約150μg/mlの最終ペプチド濃度を提供する50×溶液として提供される。実施形態では、細胞培養サプリメントは、培養培地に添加された場合に、約25μg/ml~約150μg/mlの最終ペプチド濃度を提供する100×溶液として提供される。
【0061】
実施形態では、培養培地に添加される場合、細胞培養サプリメントは、約25~約150μg/mlの最終ペプチド濃度を提供する。実施形態では、培養培地に添加される場合、細胞培養サプリメントは、約30μg/ml~125μg/mlの最終ペプチド濃度を提供する。実施形態では、培養培地に添加された場合、細胞培養サプリメントは、約50μg/ml~約100μg/mlの最終ペプチド濃度を提供する。
【0062】
実施形態では、ペプチドは合成的に作製される。実施形態では、合成ペプチドは、少なくとも4個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、8個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、12個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、16個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、20個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、24個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、28個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、32個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、36個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、40個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、44個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、48個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、52個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、56個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、60個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、64個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、68個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、72個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、76個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、80個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、84個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、88個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、92個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、96個のアミノ酸残基~100個のアミノ酸残基を含む。
【0063】
実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~96個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~92個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~88個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~84個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~80個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~76個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~72個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~68個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~64個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~60個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~56個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~52個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~48個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~44個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~40個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~36個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~32個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~28個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~24個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~20個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~16個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~12個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4個のアミノ酸残基~8個のアミノ酸残基を含む。実施形態では、合成ペプチドは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96又は100個のアミノ酸残基を含む。合成ペプチド長は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0064】
実施形態では、ペプチドは、少なくとも1個の負に荷電した残基を含む。実施形態では、ペプチドは、少なくとも1個の正に荷電した残基を含む。実施形態では、ペプチドは、1個の正に荷電した残基を含む。実施形態では、ペプチドは、2個の正に荷電した残基を含む。
【0065】
実施形態では、ペプチドは、DAHK(配列番号1)、DTHK(配列番号2)、又はEAHK(配列番号7)から選択される。実施形態では、ペプチドは、DAHK(配列番号1)である。実施形態では、ペプチドは、DTHK(配列番号2)である。実施形態では、ペプチドは、EAHK(配列番号7)である。実施形態では、ペプチドは、アルブミン由来ペプチドである。実施形態では、ペプチドは、DAHK(配列番号1)、DTHK(配列番号2)、VFRREAHKSEIAHR(配列番号6)、EAHK(配列番号7)、DAHR(配列番号8)、DARK(配列番号9)、RDAHK(配列番号10)、RDAHKS(配列番号11)、RRDAHK(配列番号12)、RRDAHKS(配列番号13)、RDAHKSE(配列番号14)、RRDAHKSE(配列番号15)、FRRDAHKSEV(配列番号16)、又はFRRDAHKSEVA(配列番号17)のうちの1つ以上である。実施形態では、列挙されたペプチドのいずれか1つ以上が除外され得る。
【0066】
実施形態では、ペプチドは、負に荷電した(-)アミノ酸、中性(X)アミノ酸、及び2個の正に荷電した(+)アミノ酸を順に含む4アミノ酸残基配列を含む。負に荷電した(-)アミノ酸、中性(X)アミノ酸、及び2個の正に荷電した(+)アミノ酸を含む4アミノ酸残基配列は、-X++ペプチドと称され得る。実施形態では、ペプチドは、キレート標的への-X++配列の曝露を妨害する、C末端側及び/又はN末端側に-X++ペプチドに隣接する(例えば、ペプチドの1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸内に)追加のアミノ酸分岐を有さない。
【0067】
ペプチドは、細胞に対して毒性である化合物(例えば、遷移金属)をキレート化してもよい。実施形態では、-X++配列を含むペプチドの部分は、化合物(例えば、遷移金属)をキレート化する。したがって、実施形態では、ペプチドは、機能的ペプチド配列の標的(例えば、遷移金属)への接触を中断させる追加のC末端又はN末端残基を含まない。実施形態では、機能的配列は、配列番号1のアミノ酸配列である。
【0068】
実施形態では、ペプチドは、長さが少なくとも約4アミノ酸(例えば、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60アミノ酸)である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約4アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約5アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約6アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約7アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約8アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約9アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約11アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約12アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約13アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約14アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約15アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約16アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約17アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約18アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約19アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約20アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60アミノ酸長である。
【0069】
実施形態では、ペプチドは、4アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、5アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、6アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、7アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、8アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、9アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、10アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、11アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、12アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、13アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、14アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、15アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、16アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、17アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、18アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、19アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、20アミノ酸長である。
【0070】
実施形態では、ペプチドは、約4~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約8~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約12~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約16~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約20~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約24~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約28~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約32~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約36~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約40~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約44~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約48~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約52~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約56~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約60~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約64~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約68~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約72~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約76~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約80~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約84~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約88~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約92~約100アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約96~約100アミノ酸長である。
【0071】
実施形態では、ペプチドは、約4~約96アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約92アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約88アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約84アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約80アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約76アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約72アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約68アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約64アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約60アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約56アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約52アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約48アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約44アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約40アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約36アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約32アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約28アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約24アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約20アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約16アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約12アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4~約8アミノ酸長である。実施形態では、ペプチドは、約4アミノ酸、約8アミノ酸、約12アミノ酸、約16アミノ酸、約20アミノ酸、約24アミノ酸、約28アミノ酸、約32アミノ酸、約36アミノ酸、約40アミノ酸、約44アミノ酸、約48アミノ酸、約52アミノ酸、約56アミノ酸、約60アミノ酸、約64アミノ酸、約68アミノ酸、約72アミノ酸、約76アミノ酸、約80アミノ酸、約84アミノ酸、約88アミノ酸、約92アミノ酸、約96アミノ酸、又は約100アミノ酸長である。ペプチド長は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0072】
実施形態では、ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号16のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号16のアミノ酸配列である。実施形態では、ペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列を含む。実施形態では、ペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列である。実施形態では、列挙されたペプチドのうちの任意の1つ以上の配列は除外され得る。
【0073】
実施形態では、細胞培養培地は、血清を含まない。実施形態では、細胞培養培地は、アルブミンを含まない。実施形態では、細胞培養培地は、血清及びアルブミンを含まない。実施形態では、細胞培養培地は、実質的に血清を含まない。実施形態では、細胞培養培地は、実質的にアルブミンを含まない。実施形態では、細胞培養培地は、実質的に血清及び実質的にアルブミンを含まない。
【0074】
実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、1×~100×濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、1×、2×、3×、5×、10×、20×、25×、50×、75×、又は100×の濃度で提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、1×濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、2×濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、3×濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、5×の濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、10×濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、20×濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、25×の濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、50×濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、75×濃度として提供される。実施形態では、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、100×の濃度として提供される。
【0075】
実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地又は細胞培養サプリメントは、スーパーオキシドスカベンジャーを更に含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、(2,2,6,6-テトラメチル-1-イル)オキシル若しくはその変異体、又はフラボノイドを含有する化合物を含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、(2,2,6,6-テトラメチル-1-イル)オキシルを含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、(2,2,6,6-テトラメチル-1-イル)オキシルの1つ以上の変異体を含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、フラボノイドを含む。実施形態では、列挙されたスーパーオキシドスカベンジャーのうちの1つ以上は、明示的に除外され得る。
【0076】
実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、細胞(例えば、培養されている細胞)に対してネイティブ(内因性)ではない化合物を含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル)、ヒドロキシ-TEMPO(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-N-オキシル)、TEMPOL(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン)、又はそれらの変異体を含み得る。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、TEMPOを含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、TEMPOの変異体を含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、TEMPOLを含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、TEMPOLの変異体を含む。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーは、Mito-TEMPO((2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド)を含む。更なるスーパーオキシドスカベンジャーは、例えば、米国特許第6,759,430号に見出すことができ、これは、化合物、組成物、方法、分子、合成などを含む、開示されている全てについて参照により本明細書に組み込まれる。実施形態では、列挙されたスーパーオキシドスカベンジャーのうちの1つ以上は、明示的に除去され得る。
【0077】
スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中のスーパーオキシドスカベンジャーの濃度を指し得る。スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、完全細胞培養培地(すなわち、本明細書で提供される細胞培養サプリメントが添加された基礎培地)中の最終濃度を指し得る。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約2μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約3μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約4μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約5μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約6μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約7μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約8μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約9μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約10μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約11μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約12μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約13μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約14μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約15μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約16μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約17μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約18μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約19μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約20μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約21μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約22μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約23μM~約25μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約24μM~約25μMである。濃度は、端点を含む、本明細書で列挙される任意の範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0078】
実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約23μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約22μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約21μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約20μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約19μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約18μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM~約17μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約16μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約15μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約14μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約13μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約12μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約11μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約10μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約9μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約8μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約7μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約6μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約5μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約4μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約3μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約2μM~約24μMである。実施形態では、スーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、又は約25μMである。実施形態を含む本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャーの濃度は、端点を含む、列挙された範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0079】
実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約25μMである。スーパーオキシドスカベンジャーの最終濃度は、完全細胞培養培地(すなわち、本明細書で提供される細胞培養サプリメントが添加された基礎培地)中のスーパーオキシドスカベンジャーの濃度を指し得る。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約6~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約7~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約8~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約9~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約10~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約11~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約12~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約13~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約14~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約15~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約16~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約17~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約18~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約19~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約20~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約21~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約22~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約23~約25μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約24~約25μMである。
【0080】
実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約24μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約23μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約22μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約21μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約20μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約19μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約18μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約17μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約16μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約15μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約14μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約13μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約12μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約11μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約10μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約9μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約8μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約7μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5~約6μMである。実施形態では、本明細書で提供されるスーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25μMである。スーパーオキシドスカベンジャー培地の最終濃度は、端点を含む、本明細書に列挙される任意の範囲内の任意の値又は部分範囲を包含する濃度で提供され得る。
【0081】
実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地又は細胞培養サプリメントは、ビタミンE又はその類似体を含む。実施形態では、ビタミンE類似体は、6-クロマノール基部分を含む。
【0082】
実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、コハク酸α-トコペロール、α-トコフェロールモノグルコシド、γ-トコフェロールN,N-ジメチルグリシンエステル、又はそれらの置換体、純粋なアイソフォーム、ラセミ混合物、及び/若しくは混合物を含む。
【0083】
実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、α-トコフェロールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、β-トコフェロールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、γ-トコフェロールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、δ-トコフェロールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、α-トコトリエノールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、β-トコトリエノールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、δ-トコトリエノールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、γ-トコトリエノールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、コハク酸α-トコペロールを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、α-トコフェロールモノグルコシドを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、γ-トコフェロールN,N-ジメチルグリシンエステルを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、ビタミンEの内因性代謝産物を含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、アルファ-トコフェロールヒドロキノンを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、ビタミンEの内因性代謝産物、アルファ-トコフェロールヒドロキノンなどを含む。
【0084】
実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、本明細書において提供されるビタミンE又はその類似体若しくは変異体の純粋なアイソフォームを含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、本明細書で提供される置換ビタミンE又は類似体若しくは変異体を含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、本明細書において提供されるビタミンE又はその類似体若しくは変異体のラセミ混合物を含む。実施形態では、ビタミンE又はその類似体若しくは変異体は、本明細書で提供される2つ以上のビタミンE化合物又は類似体若しくは変異体の混合物を含む。実施形態では、列挙されたビタミンE化合物のうちの1つ以上は、明示的に除外され得る。
【0085】
ビタミンE又はその類似体の濃度は、その実施形態を含む、本明細書で提供される細胞培養培地中の濃度を指し得る。ビタミンE又はその類似体の濃度は、完全培養培地(すなわち、本明細書で提供される細胞培養サプリメントが添加された基礎培地)中の前述のビタミンE又は類似体の最終濃度を指し得る。したがって、実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約4.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.5μg/ml~約4.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約1μg/ml~約4.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約1.5μg/ml~約4.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約2μg/ml~約4.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約2.5μg/ml~約4.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約3μg/ml~約4.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約3.5μg/ml~約4.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約4μg/ml~約4.5μg/mlである。
【0086】
実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約4μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約3.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約3μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約2.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約2μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約1.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約1μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml~約0.5μg/mlである。実施形態では、ビタミンE又はその類似体の濃度は、約0.1μg/ml、約0.5μg/ml、約1μg/ml、約1.5μg/ml、約2μg/ml、約2.5μg/ml、約3μg/ml、約3.5μg/ml、約4μg/ml、又は約4.5μg/mlである。ビタミンE又はその類似体の濃度は、端点を含む、本明細書に列挙される任意の範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0087】
実施形態では、ビタミンEの濃度は、0.5μg/ml、0.6μg/ml、0.7μg/ml、0.8μg/ml、0.9μg/ml、1.0μg/ml、1.1μg/ml、1.2μg/ml、1.3μg/ml、1.4μg/ml、1.5μg/ml、1.6μg/ml、1.7μg/ml、1.8μg/ml、1.9μg/ml、2.0μg/ml、2.1μg/ml、2.2μg/ml、2.3μg/ml、2.4μg/ml、2.5μg/ml、2.6μg/ml、2.7μg/ml、2.8μg/ml、2.9μg/ml、3μg/ml、3.1μg/ml、3.2μg/ml、3.3μg/ml、3.4μg/ml、3.5μg/ml、3.6μg/ml、3.7μg/ml、3.8μg/ml、3.9μg/ml、4μg/ml、4.1μg/ml、4.2μg/ml、4.3μg/ml、4.4μg/ml、4.5μg/ml、4.6μg/ml、4.7μg/ml、4.8μg/ml、4.9μg/ml、又は5.0μg/mlである。ビタミンE又はその類似体の濃度は、端点を含む、列挙される任意の範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0088】
実施形態では、ビタミンE類似体の濃度は、約2μM~約100μMである。例えば、いくつかの実施形態では、細胞培養培地又は細胞培養サプリメントは、約2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、21μM、22μM、23μM、24μM、25μM、26μM、27μM、28μM、29μM、30μM、31μM、32μM、33μM、34μM、35μM、36μM、37μM、38μM、39μM、40μM、41μM、42μM、43μM、44μM、45μM,46μM、47μM、48μM、49μM、50μM、51μM、52μM、53μM、54μM、55μM、56μM、57μM、58μM、59μM、60μM、61μM、62μM、63μM、64μM、65μM、66μM、67μM、68μM、69μM、70μM、71μM、72μM、73μM、74μM、75μM、76μM、77μM、78μM、79μM、80μM、若しくはそれ以上、又はその間の任意の量の最終濃度のビタミンE類似体を提供する。ビタミンE類似体の濃度は、端点を含む、列挙される任意の範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0089】
実施形態では、ビタミンE類似体は、水溶性である。実施形態では、ビタミンE類似体は、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(トロロックス)を含む。
【0090】
トロロックスの濃度は、その実施形態を含む、本明細書で提供される細胞培養培地中の濃度を指し得る。トロロックスの濃度は、完全培養培地(すなわち、本明細書で提供される細胞培養サプリメントが添加された基礎培地)中の濃度を指し得る。実施形態では、トロロックスの濃度は、少なくとも約2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、21μM、22μM、23μM、24μM、25μM、26μM、27μM、28μM、29μM、30μM、31μM、32μM、33μM、34μM、35μM、36μM、37μM、38μM、39μM、40μM、41μM、42μM、43μM、44μM、45μM、46μM、47μM、48μM、49μM、50μM、51μM、52μM、53μM、54μM、55μM、56μM、57μM、58μM、59μM、60μM、61μM、62μM、63μM、64μM、65μM、66μM、67μM、68μM、69μM、70μM、71μM、72μM、73μM、74μM、75μM、76μM、77μM、78μM、79μM、80μM、又はそれ以上である。トロロックスの濃度は、端点を含む、列挙される範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0091】
実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地又は細胞培養サプリメントは、過酸化水素還元試薬を更に含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、細胞透過性である。実施形態では、過酸化水素還元剤は、細胞透過性ではない。実施形態では、過酸化水素還元剤は、細胞透過性試薬と細胞非透過性試薬との混合物である。実施形態では、過酸化水素還元剤は、グルタチオン、N-アセチルシステイン、システイン、亜セレン酸ナトリウム、マンニトール、フラボノイド、リポ酸、又はそれらの任意の組み合わせを含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、グルタチオンを含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、N-アセチルシステインを含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、システインを含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、亜セレン酸ナトリウムを含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、マンニトールを含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、フラボノイドを含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、リポ酸を含む。実施形態では、過酸化水素還元剤は、本明細書で提供される2つ以上の過酸化水素還元剤の組み合わせを含む。実施形態では、列挙された過酸化水素還元試薬のうちの1つ以上は、明示的に除外され得る。
【0092】
過酸化水素還元剤の濃度は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中の濃度を指し得る。過酸化水素還元剤の濃度は、完全培養培地(すなわち、細胞培養サプリメントが添加された基礎培地)中の濃度を指し得る。
【0093】
したがって、実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約20μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約40μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約60μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約80μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約100μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約120μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約140μg/ml~約180μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約160μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約180μg/ml~約200μg/mlである。
【0094】
実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約200μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約180μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約160μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約140μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約120μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約100μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約80μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約60μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約40μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1μg/ml~約20μg/mlである。実施形態では、グルタチオンの濃度は、約1、20、40、60、80、100、120、140、160、180、又は200μg/mlである。グルタチオンの濃度は、端点を含む、列挙される範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0095】
実施形態では、細胞培養培地又は細胞培養サプリメントは、完全培養培地(すなわち、サプリメントが添加された基礎培地)中、約1μg/ml、2μg/ml、3μg/ml、4μg/ml、5μg/ml、6μg/ml、7μg/ml、8μg/ml、9μg/ml、10μg/ml、11μg/ml、12μg/ml、13μg/ml、14μg/ml、15μg/ml、16μg/ml、17μg/ml、18μg/ml、19μg/ml、20μg/ml、21μg/ml、22μg/ml、23μg/ml、24μg/ml、25μg/ml、26μg/ml、27μg/ml、28μg/ml、29μg/ml、30μg/ml、31μg/ml、32μg/ml、33μg/ml、34μg/ml、35μg/ml、36μg/ml、37μg/ml、38μg/ml、39μg/ml、40μg/ml、41μg/ml、42μg/ml、43μg/ml、44μg/ml、45μg/ml、46μg/ml、47μg/ml、48μg/ml、49μg/ml、50μg/ml、51μg/ml、52μg/ml、53μg/ml、54μg/ml、55μg/ml、56μg/ml、57μg/ml、58μg/ml、59μg/ml、60μg/ml、61μg/ml、62μg/ml、63μg/ml、64μg/ml、65μg/ml、66μg/ml、67μg/ml、68μg/ml、69μg/ml、70μg/ml、71μg/ml、72μg/ml、73μg/ml、74μg/ml、75μg/ml、76μg/ml、77μg/ml、78μg/ml、79μg/ml、80μg/ml、81μg/ml、82μg/ml、83μg/ml、84μg/ml、85μg/ml、86μg/ml、87μg/ml、88μg/ml、89μg/ml、90μg/ml、91μg/ml、92μg/ml、93μg/ml、94μg/ml、95μg/ml、96μg/ml、97μg/ml、98μg/ml、99μg/ml、100μg/ml、105μg/ml、110μg/ml、115μg/ml、120μg/ml、125μg/ml、130μg/ml、135μg/ml、140μg/ml、145μg/ml、又は150μg/mlのグルタチオンの最終濃度を提供する。グルタチオンの最終濃度は、端点を含む、列挙される範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0096】
実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.1μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約1μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約1.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約2μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約2.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約3μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約3.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約4μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約4.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約5.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約6μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約6.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約7μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約7.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約8μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約8.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約9μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約9.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約10μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約10.5μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約11μg/ml~約12μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約11.5μg/ml~約12μg/mlである。
【0097】
実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約11.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約11μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約10.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約10μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約9.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約9μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約8.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.1μg/ml~約8μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約7.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約7μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約6.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約6μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約5.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約4μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約3.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約3μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約2.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約2μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約1.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約1μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml~約0.5μg/mlである。実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml、約0.1μg/ml、約0.5μg/ml、約1μg/ml、約1.5μg/ml、約2μg/ml、約2.5μg/ml、約3μg/ml、約3.5μg/ml、約4μg/ml、約4.5μg/ml、約5μg/ml、約5.5μg/ml、約6μg/ml、約6.5μg/ml、約7μg/ml、約7.5μg/ml、約8μg/ml、約8.5μg/ml、約9μg/ml、約9.5μg/ml、約10μg/ml、約10.5μg/ml、約11μg/ml、約11.5μg/ml、又は約12μg/mlである。
【0098】
実施形態では、リポ酸の濃度は、約0.05μg/ml、0.075μg/ml、0.1μg/ml、0.2μg/ml、0.3μg/ml、0.4μg/ml、0.5μg/ml、0.6μg/ml、0.7μg/ml、0.8μg/ml、0.9μg/ml、1.0μg/ml、1.25μg/ml、1.50μg/ml、1.75μg/ml、2.0μg/ml、2.25μg/ml、2.5μg/ml、2.75μg/ml、3.0μg/ml、3.25μg/ml、3.5μg/ml、3.75μg/ml、4.0μg/ml、4.25μg/ml、4.5μg/ml、4.75μg/ml、5.0μg/ml、5.25μg/ml、5.5μg/ml、5.75μg/ml、6.0μg/ml、6.25μg/ml、6.5μg/ml、6.75μg/ml、7.0μg/ml、7.25μg/ml、7.5μg/ml、7.75μg/ml、8.0μg/ml、8.25μg/ml、8.5μg/ml、8.75μg/ml、9.0μg/ml、9.25μg/ml、9.5μg/ml、9.75μg/ml、10.0μg/ml、11.0μg/ml、12.0μg/ml、又はそれ以上である。リポ酸の濃度は、端点を含む、列挙される範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0099】
実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地又は細胞培養サプリメントは、安定化剤分子を更に含む。安定化剤分子は、環境ストレス、例えば酸化ストレスに対してタンパク質を安定化する。理論に束縛されることを望むものではないが、安定化剤分子は、脂質過酸化及び脂肪酸形成を軽減することができると考えられる。実施形態では、安定化剤分子は、糖又はポリオールである。実施形態では、安定化剤分子は、トレハロース、マンニトール、スクロース、マルトース、ラクトース、ソルビトール、又はグリセロールである。実施形態では、安定化剤分子は、マンニトールである。
【0100】
安定化剤の濃度は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中の濃度を指し得る。安定化剤の濃度は、完全培養培地(すなわち、本明細書で提供される細胞培養サプリメントが添加された基礎培地)中の濃度を指し得る。
【0101】
実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約10mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約20mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約30mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約40mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約50mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約60mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約70mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約80mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約90mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約100mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約110mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約120mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約130mM~約150mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約140mM~約150mMである。
【0102】
実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約140mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約130mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約120mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約110mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約100mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約90mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約80mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約70mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約60mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約50mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約40mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約30mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約20mMである。実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM~約10mMである。
【0103】
実施形態では、マンニトールの濃度は、約1mM、2mM,3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、21mM、22mM、23mM、24mM、25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、30mM、31mM、32mM、33mM、34mM、35mM、36mM、37mM、38mM、39mM、40mM、41mM、42mM、43mM、44mM、45mM、46mM、47mM、48mM、49mM、50mM、51mM、52mM、53mM、54mM、55mM、56mM、57mM、58mM、59mM、60mM、61mM、62mM、63mM、64mM、65mM、66mM、67mM、68mM、69mM、70mM、71mM、72mM、73mM、74mM、75mM、76mM、77mM、78mM、79mM、80mM、81mM、82mM、83mM、84mM、85mM、86mM、87mM、88mM、89mM、90mM、91mM、92mM、93mM、94mM、95mM、96mM、97mM、98mM、99mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、又は150mMである。
【0104】
実施形態では、マンニトールの濃度は、約0.05μg/ml~約10μg/mlである。マンニトールの濃度は、端点を含む、列挙される範囲内の任意の値又は部分範囲であり得る。
【0105】
実施形態では、細胞培養サプリメントは、血清を含まない。実施形態では、細胞培養サプリメントは、アルブミンを含まない。実施形態では、細胞培養サプリメントは、血清及びアルブミンを含まない。実施形態では、細胞培養サプリメントは、実質的に血清を含まない。実施形態では、細胞培養サプリメントは、実質的にアルブミンを含まない。実施形態では、細胞培養サプリメントは、実質的に血清及び実質的にアルブミンを含まない。実施形態では、サプリメントは、血清を含まない細胞培養培地に添加される。実施形態では、サプリメントは、アルブミンを含まない細胞培養培地に添加される。実施形態では、サプリメントは、血清及びアルブミンを含まない細胞培養培地に添加される。実施形態では、サプリメントは、実質的に血清及び/又は実質的にアルブミンを含まない細胞培養培地に添加される。
【0106】
実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地は、平衡塩類溶液、基礎培地、及び/又は複合培地のうちの少なくとも1つを含む。実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地は、平衡塩類溶液を含む。実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地は、基礎培地を含む。実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地は、複合培地を含む。
【0107】
実施形態では、本明細書で提供される細胞培養培地は、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、ハンクス平衡塩類溶液、アール平衡塩類溶液、MEM、Opti-MEM、DMEM、CTS KnockOut DMEM、RPMI-1640、IMDM、ハムF12、F-12 K、F-10、DMEM/F12、Neurobasal、マッコイ5A培地、ライボビッツL-15、Medium 199、Neurobasal A、Brainphys、GMEM、及び/又はウィリアムE培地のうちの少なくとも1つを含む。実施形態では、細胞培養培地は、生理食塩水を含む。実施形態では、細胞培養培地は、リン酸緩衝生理食塩水を含む。実施形態では、細胞培養培地は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を含む。実施形態では、細胞培養培地は、ハンクス平衡塩類溶液を含む。実施形態では、細胞培養培地は、アール平衡塩類溶液を含む。実施形態では、細胞培養培地は、MEMを含む。実施形態では、細胞培養培地は、Opti-MEMを含む。実施形態では、細胞培養培地は、DMEMを含む。実施形態では、細胞培養培地は、CTS KnockOut DMEMを含む。実施形態では、細胞培養培地は、RPMI-1640を含む。実施形態では、細胞培養培地は、IMDMを含む。実施形態では、細胞培養培地は、ハムF12を含む。実施形態では、細胞培養培地は、F-12 Kを含む。実施形態では、細胞培養培地は、F-10を含む。実施形態では、細胞培養培地は、DMEM/F12を含む。実施形態では、細胞培養培地は、Neurobasal培地を含む。実施形態では、細胞培養培地は、マッコイ5A培地を含む。実施形態では、細胞培養培地は、ライボビッツL-15を含む。実施形態では、細胞培養培地は、Medium 199を含む。実施形態では、細胞培養培地は、Neurobasal Aを含む。実施形態では、細胞培養培地は、BRAINPHYS(商標)培地を含む。実施形態では、細胞培養培地は、GMEMを含む。実施形態では、細胞培養培地は、ウィリアムE培地を含む。実施形態では、細胞培養培地は、本明細書で提供される2つ以上の組成物の組み合わせを含む。実施形態では、列挙された培地のうちの1つ以上は、明示的に除外され得る。
【0108】
一態様では、(i)スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチド、(ii)ビタミンE又はその類似体、並びに(iii)スーパーオキシドスカベンジャー、を含む、細胞培養サプリメントが提供される。例えば、本明細書で提供される細胞培養サプリメントは、例えば、ペプチドC(配列番号1)、Mito-TEMPO、及び6-ヒドロキシ2,5,7,8,テトラメチルクロマンカルボン酸を含むことができる。
【0109】
一態様では、ペプチドC(配列番号1)、Mito-TEMPO、及び6-ヒドロキシ2,5,7,8,テトラメチルクロマンカルボン酸を含む血清を含まない細胞培養培地が提供される。
【0110】
一態様では、ペプチドC(配列番号1)、Mito-TEMPO、及び6-ヒドロキシ2,5,7,8,テトラメチルクロマンカルボン酸を含む、アルブミンを含まない細胞培養培地が提供される。
方法
【0111】
一態様では、培養中の細胞を成長させるための方法が提供される。本方法は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中で細胞を成長させることを含む。
【0112】
別の態様では、培養中の細胞を成長させる方法が提供される。本方法は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントが補充された細胞培養培地中で細胞を成長させることを含む。
【0113】
一態様では、アルブミン誘導性毒性から細胞を救済する方法が提供される。本方法は、アルブミン誘導性毒性を示す細胞を、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメント又は細胞培養培地と接触させることを含む。
【0114】
一態様では、培養中の細胞を拡張するための方法が提供される。一実施形態では、本方法は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中で、細胞を、血清及びアルブミンを含まない細胞培養培地と接触させることを含む。一実施形態では、本方法は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントが補充された細胞培養培地を接触させることを含む。一実施形態では、細胞培養培地は、血清及び/又はアルブミンを含まない。
【0115】
一態様では、酸化ストレスから細胞を回復させるための方法が提供される。本方法は、細胞を、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントと接触させることを含み得る。本方法は、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養培地中で細胞を成長させることを含み得る。実施形態では、酸化ストレスは、細胞の凍結によるものである。実施形態では、酸化ストレスは、脂質が豊富な条件への曝露である。
【0116】
本明細書で提供される方法について、実施形態では、細胞は治療用細胞である。実施形態では、細胞は、生物製剤の産生のために使用される細胞である。実施形態では、細胞は、治療用ペプチドの産生のために使用される細胞である。実施形態では、細胞は、真核細胞である。実施形態では、細胞は、細胞療法として使用される。実施形態では、細胞は、哺乳動物の細胞である。実施形態では、細胞は、げっ歯類の細胞である。実施形態では、細胞は、霊長類の細胞である。実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。実施形態では、細胞は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞などの幹細胞である。実施形態では、細胞は、胚性幹細胞である。実施形態では、細胞は、人工多能性幹細胞である。実施形態では、細胞は、B細胞、T細胞、NK細胞などの免疫細胞である。実施形態では、細胞は、B細胞である。実施形態では、細胞は、T細胞である。実施形態では、細胞は、NK細胞である。
【0117】
実施形態では、細胞は、幹細胞である。実施形態では、細胞は、胚性幹細胞である。実施形態では、細胞は、多能性幹細胞である。実施形態では、細胞は、iPSCである。実施形態では、細胞は、前駆細胞である。実施形態では、細胞は、不死化細胞である。実施形態では、細胞は、初代細胞である。実施形態では、細胞は、細胞株である。実施形態では、細胞は、製造された細胞である。実施形態では、細胞は、間葉系幹細胞、iPSC、hESC、神経前駆細胞、網膜色素上皮、膵臓ベータ細胞、心筋細胞、HEK-293細胞、及びCHO細胞から選択される。実施形態では、細胞は、間葉系幹細胞である。実施形態では、細胞は、神経前駆細胞である。実施形態では、細胞は、網膜色素上皮細胞である。実施形態では、細胞は、膵臓ベータ細胞である。実施形態では、細胞は、心筋細胞である。実施形態では、細胞は、HEK-293細胞である。実施形態では、細胞は、CHO細胞である。実施形態では、列挙された細胞型のうちの1つ以上は、明示的に除外され得る。
キット
【0118】
一態様では、血清を含まない細胞培養培地と、その実施形態を含む本明細書で提供される細胞培養サプリメントとを含む、細胞培養キットが提供される。実施形態では、細胞培養サプリメントは、(i)スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を有するペプチド、(ii)ビタミンE又はその類似体、並びに(iii)スーパーオキシドスカベンジャー、を含み、(i)~(iii)は、2つ以上の別々の容器で提供される。実施形態では、細胞培養サプリメントは、(i)スーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を含むペプチド、(ii)ビタミンE又はその類似体、並びに(iii)スーパーオキシドスカベンジャー、を含み、(i)~(iii)は、単一の容器で提供される。
【0119】
実施形態では、キットは、過酸化水素還元試薬を更に含む。実施形態では、過酸化水素還元試薬は、グルタチオン及び/若しくはリポ酸、又はそれらの変異体を含む。実施形態では、過酸化水素還元試薬は、グルタチオンを含む。実施形態では、過酸化水素還元試薬は、リポ酸を含む。実施形態では、過酸化水素還元試薬は、グルタチオンの変異体を含む。実施形態では、過酸化水素還元試薬は、リポ酸の変異体を含む。
【0120】
一態様では、その実施形態を含む本明細書で提供されるスーパーオキシドジスムターゼ活性及びCu+、Zn+キレート活性を有するペプチドを含む細胞培養培地と、1つ以上の細胞培養サプリメントとを含む細胞培養キットが提供される。実施形態では、1つ以上の細胞培養サプリメントは、ビタミンE若しくはその類似体、スーパーオキシドスカベンジャー、又は過酸化水素還元試薬を含む。一実施形態では、1つ以上の細胞培養サプリメントは、単一の容器で提供される。一実施形態では、1つ以上の細胞培養サプリメントは、2つ以上の容器で提供される。
【0121】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正又は変更が当業者に提案され、本出願の趣旨及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書で引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的のためにそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0122】
当業者は、本明細書に記載の粒子を作製及び使用することの説明は、例示のみを目的とするものであり、本開示は、この例示によって限定されないことを理解するであろう。
実施例1.アルブミンの異なる成分は、細胞培養性能に影響を及ぼす
【0123】
市販のアルブミンを、細胞培養における性能について分析した。様々な供給源(異なる製造業者、ウシ、ヒト、組換えHSA(酵母又はイネで作製)、及びFreestyle CHO MAX培地(Thermo Fisherカタログ番号K900020)を含む)からのウシ血清アルブミン(Bovine serum albumin、BSA)、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)、及び組換えヒト血清アルブミン(recombinant human serum albumin、Rec HSA)を分析した。マウス多能性幹細胞(pluripotent stem cells、PSC)、初代ラットニューロン、又はヒト神経幹細胞(neural stem cells、NSC)のためのB-27(Thermo Fisher Scientificカタログ番号17504044)補充細胞培養物を調製した(培地中のB27の最終濃度の約0.5~1倍)。培養物は、存在するアルブミンの供給源又は型のみが異なっていた。図1Aに示す結果は、試験したアルブミン間に有意な性能差が存在し、更に、性能が細胞型に依存することを示す。実際、同じ細胞株を含み、BSA1又はBSA2の添加のみが異なる2つの培養物は、性能が異なっていた。BSA1は、マウスPSC及びヒトNSC培養物において支持特性を示したが、BSA2の添加は、両方の細胞培養物において毒性を引き起こした。更に、試験した組換え(recombinant、rec)HSA試料は、培養物に添加された特定の試料が初代ラットニューロン細胞に対して中立的な効果を有し、1つが支持的であり、そして2つが細胞において毒性を引き起こしたという点で異なっていた。これらの結果は、アルブミンの型及び供給源の両方が、細胞培養性能に対して有意に異なる効果を有すること、及びこれらの効果が細胞型によって異なることを示す。
【0124】
次に、B27サプリメントの異なる成分と様々なアルブミンとの間の相互作用を分析した(図1B図1J)。これらの分子相互作用の効果を、細胞培養におけるニューロン細胞安定性に対するそれらの効果についても評価した。例えば、BSA及びHSAの両方は、B27成分X1(トコフェロール)及びX2(酢酸トコフェロール)と相互作用し、これは、ニューロン細胞生存率に対して正の効果を示した。更に、X1及びX2とBSAとの相互作用は、より高濃度のBSAを培養物中に滴定した場合に飽和した。逆に、培養物に添加された同じ濃度のrHSAは、X1及びX2成分による飽和をもたらさなかった。更に、BSAとX3(リノール酸)及びX4(リノレン酸)成分との相互作用は、B27補充培地中のニューロン生存率に正の影響を与えたが、rHSAの添加は培養中の生存率に負の影響を与えた。結果を図1B図1Eに示す。広範囲のrHSAをB27補充培養物において試験した場合、rHSA結合について成分X1及び成分X2と競合することが示された。対照的に、成分X5は、図1F図1Jに示すように、高濃度であってもrHSAと相互作用しなかった。これらの結果は、集合的に、様々なアルブミンが細胞培養培地成分と異なる相互作用を有し、それによって培養性能に変動を及ぼすことを示す。
【0125】
3つの供給源、BSA1、BSA2、及びBSA3からのBSAの効果を、ラットニューロン生存におけるそれらの性能について分析した。BSA1は、BSA2及びBSA3と比較してより高い鉄含有量を含んでいたが、BSA3は、他の2つのいずれかよりも高いコレステロール含有量を有していた(図2A)。鉄及びコレステロール含有量のロット間変動(すなわち、同じ供給源からの異なるロット)は低かった。総タンパク質は、供給源及びロット間で変動した。これらのデータは、アルブミン中の汚染物質のタイプ及び量が供給源間で変動し、更にはロット間でも変動することを実証している。
【0126】
eBioscience(商標)カルセインAM生細胞染色用色素を製造業者のプロトコルに従って使用して、細胞生存率に対する様々なBSAの効果を試験した。簡潔に説明すると、ラットニューロンを、0.25%の濃度でITS及びBSA1又はBSA2を補充した神経基礎培地中で培養した。図2B(上パネル)に示すように、カルセインAM生存率アッセイ(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、カタログ番号65-0853-78)は、BSA1(BSA2と比較してより高い鉄含有量を有する)が、BSA2の存在下で成長させたラットニューロンと比較して、ラットニューロンの生存率を低下させたことを示した。BSA2を含む培養物に鉄を添加した場合、図2B(下パネル)の結果に示されるように、ラットニューロン生存率は減少した。これらの結果は、より高い鉄含有量を含むアルブミンが、ニューロン細胞生存率に対して毒性効果を有することを示す。
【0127】
次に、抗酸化剤が鉄誘導性毒性を逆転させる能力を調べた。リーンサプリメント(インスリン-トランスフェリン-セレン、Insulin-Transferrin-Selenium、ITS)を補充した神経基礎培地中の2μg/mLの濃度のトコフェロールを、培養ラットニューロン細胞及びBSA1又はBSA2のいずれかに添加した。抗酸化剤の添加は、BSA1(図2C、左)又は鉄(図2C、右)によるラットニューロン細胞の生存率の低下を逆転させた。これらの結果は、鉄によるニューロンストレスが抗酸化剤の添加によって逆転され得ることを示す。
【0128】
BSA1及びBSA2を、幹細胞に対するそれらの効果について更に分析した。マウス胚性幹細胞(mouse embryonic stem cells、mESC)又はヒト神経幹細胞(human neural stem cells、hNSC)を、BSA1又はBSA2を含有する細胞培養培地中で成長させ、増殖を測定した。PrestoBlueアッセイ(Thermo Fisher Scientific)を製造業者のプロトコルに従って使用して、mESCの増殖を測定した。VI-CELL(商標)XR細胞計数アッセイ(Beckman Coulter)を製造業者のプロトコルに従って使用して、hNSCの増殖を測定した。
【0129】
図2D及び図2Eに示されるように、BSA2は、BSA1の存在下で培養された同じ細胞の増殖と比較した場合、mESC及びhNSCの両方の増殖を減少させる。これらの結果は、BSA試料間の差異が、細胞培養におけるそれらの支持的役割の変動をもたらし、したがって培養性能に有意に影響を及ぼすことを示す。
【0130】
コレステロール濃度は、異なる供給源由来のBSA間で異なる(図2Aを参照のこと)。理論に束縛されることを望むものではないが、コレステロールはShh経路のアゴニストであるため、細胞分化に関与する遺伝子発現の変動は、コレステロールを含む培地中で培養された細胞において生じ得る。細胞をEssential 6培地中で分化させ、フォークヘッドボックスタンパク質G1(FOXG1)及びペアードボックスタンパク質(PAX-6)発現を調べて、遺伝子発現に対するアルブミンの効果を分析した。Shhの下流にあるFOXG1及びPAX-6の発現レベルを、BSA1(脂肪酸フリー)、BSA2(脂肪酸リッチ)、又はBSA3(脂肪酸リッチ)のいずれかとともに培養したhPSC細胞においてqPCRによって測定した。結果を図2Fに示す。結果は、異なる供給源由来のBSAが、Pax6及びFoxG1遺伝子発現に対して異なる効果を有することを示し、これはおそらく、試験したアルブミン試料間の混入コレステロールの変動に起因する。したがって、アルブミン中の脂質汚染物質のレベルは、多能性幹細胞分化に影響を及ぼし得る。
【0131】
これらの結果は、集合的に、定義されていない汚染物質がアルブミンに付随し、細胞培養性能に差次的に影響することを示す。したがって、細胞培養からアルブミンを除去することは、汚染物質、特に血液起源の汚染物質、及び他の未定義の因子のリスクを低減し得る。
実施例2:アルブミン及びその化学的に定義された抗酸化代替物の抗酸化特性
【0132】
本明細書に記載される実験は、アルブミンの生理学的機能を調査するため、及びアルブミンの化学的に定義された成分での置換を調査するために行われた。まず、アルブミンの抗酸化特性を分析した。様々なアルブミンの総抗酸化力を、第二鉄抗酸化状態測定キット(Ferric Antioxidant Status Detection Kit)(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を製造業者のプロトコルに従って使用することによって測定した。図3に示す結果は、抗酸化活性が、試験したアルブミン間で有意に異なることを示している。結果は更に、ヒト血漿血清アルブミンが、組換えHSAと比較して有意に高いレベルの還元力を有することを示す。培養培地における血漿の使用は、血液起源の汚染物質の供給源であるので、血清及び血漿の排除が非常に望ましい。
【0133】
アルブミンにおける様々なクラスの抗酸化活性を調査した。本出願人らは最初に、スーパーオキシドジスムターゼ(Superoxide Dismutase、SOD)比色活性キット(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を製造業者のプロトコルに従って利用して、様々なアルブミンのスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性を分析した。簡潔に説明すると、SOD活性は、基質とキサンチンオキシダーゼとを反応させてスーパーオキシド(O- 2)を形成することを含むアッセイを利用して評価され、そのレベルはSOD活性によって減少する。図4Aに示すように、アルブミンはSOD活性を有することが確認され、更に、分析したアルブミンにおけるSOD活性は有意に異なっていた。特に、イネ由来の組換えHSAは、最も高い抗酸化活性を示した。
【0134】
次に、化学的に定義された成分がSOD抗酸化活性を置換する能力を試験した。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)比色活性キット(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を製造業者のプロトコルに従って使用して評価されるように、ミトコンドリア中のO2・-を除去するMito-Tempoを、スーパーオキシドを還元するその能力についてHSAと比較した。図4Bに示すように、Mito-Tempo濃度は、用量依存的にスーパーオキシドレベルを減少させる。したがって、この化合物は、アルブミンSOD様抗酸化機能を複製及び置換するために使用され得る。
【0135】
Mito-Tempoが培養細胞を酸化ストレスから救済する能力を試験した。初代ラットニューロン細胞は、ROSに対して特に脆弱であり、したがって、Mito-Tempoが細胞培養に対して有益な効果を提供するかどうかを評価するためのモデルとして機能した。初代ラットニューロン細胞を、0.12μg/mLの鉄の存在下で、ITSを補充した神経基礎培地中で培養した。6日目に、Mito-Tempoを、示された濃度で培養培地に滴定した。培養6日後、細胞生存率をカルセインAM染色で測定した。図5に示すように、Mito-Tempoは、約12.5~約25μMの濃度まで細胞を救済するのに有効であった。これらの結果は、Mito-Tempoが、ROS関連ストレスから細胞を救済するためのアルブミンの機能性を置換できることを示す。
【0136】
次いで、アルブミンのカタラーゼ活性を同定し、製造業者のプロトコルに従ってAmplex(商標)赤色過酸化水素/ペルオキシダーゼアッセイ(Red Hydrogen Peroxide/Peroxidase Assay)(Thermo Fisher Scientific)によって測定した。簡潔に説明すると、過酸化水素及びカタラーゼは、赤色Amplex及び西洋ワサビペルオキシダーゼと混合した場合に蛍光生成物レゾルフィンを形成する生成物を形成する。したがって、蛍光シグナルの強度を使用してカタラーゼ活性レベルを測定することができる。示されるように、BSA、組換えHSA、又は血漿HSAの異なる供給源を、この方法を利用して評価した。試験したアルブミンの各々はカタラーゼ活性を有していたが、レベルはアルブミン試料間で異なっていた(図6)。特に、試験した2つのBSA試料は、還元活性において有意な変動を示した。
【0137】
アルブミンは34位にシステイン残基を有し、これは遊離チオールとして存在するか、又はグルタチオン(GSH)とジスルフィド結合を形成し得る。グルタチオンペルオキシダーゼは、還元剤としてGSHを使用して、細胞に潜在的に損傷を与える強力な酸化剤であるH22を除去するので、アルブミンは、GSHの細胞内レベルの調節において極めて重要な役割を果たす。チオールの存在下で1,3,5-トリニトロベンゼン(Trinitrobenzene、TNB)を生成するエルマン試薬(DTNB、5,5-ジチオ-ビス-(2-ニトロ安息香酸))を使用して、様々なアルブミンをチオールベースの抗酸化活性について試験した。結果は、GSHベースの抗酸化活性が血漿HSAにおいて最も高かったことを示す(図7)。更に、活性レベルは、分析したアルブミンのタイプ及び供給源の間で異なっていた。
【0138】
次に、本出願人らは、アルブミンのカタラーゼ及びチオール抗酸化活性を置換し得る化学的に定義された成分を試験した。GSH及びリポ酸は、低濃度又は高濃度のいずれかのGSH又はリポ酸の存在下でラットニューロンを培養し、続いて細胞生存率をアッセイすることによって、カタラーゼ及びチオール抗酸化活性を提供するそれらの能力について評価した。リポ酸は、対照培養物と比較してラットニューロン細胞生存率を増強し(図8)、したがって、HSAのカタラーゼ及びチオール活性を置換するために使用することができる。逆に、試験したいずれの濃度のGSHも、対照と比較して細胞生存率に対する有意な効果を示さなかった。
実施例3.アルブミン金属キレート特性及びその化学的に定義されたペプチド置換
【0139】
鉄及び銅を含む、遊離した酸化還元活性遷移金属イオンは、酸化促進剤であり得、フェントン反応及びハーバーワイス反応を含む反応に関与して、ヒドロキシルラジカルOHを生成し得る。細胞培養物中のラジカルの存在は、細胞を損傷し、培養性能を低下させる。例えば、図9に示されるように、銅(10μM又は50μM、それぞれCu10及びCu50)の存在下で培養されたラットニューロン細胞は、金属の不在下(Cuなし)で培養された細胞と比較して生存率の低下を示す。アルブミンは、金属に結合して反応性を制御し、利用可能性を制限し、それによって、OHラジカルによって引き起こされる損傷を低減することができる。
【0140】
HSAのようなアルブミンは、ニューロン細胞に対して毒性である遷移金属のキレート剤として機能する、金属結合部位を有する。したがって、本出願人らは、HSAが、機能的金属結合部位の高親和性結合を模倣する合成ペプチドによって置換され得るかどうかを調査した。図10に示される結果は、キレート化アミノ酸配列DAHK(ペプチドC;配列番号1)を含む、特定の濃度のHSA金属結合部位が、アルブミンを欠く培養培地中で成長させた場合にラットニューロン細胞生存率を増強し、HSAの支持的特徴を模倣したことを示す。驚くべきことに、N末端及びC末端の両方に10個の更なるHSA残基を含むように伸長されたペプチドC配列であるペプチドAは、HSA支持的特性を保持しなかった。いずれかの末端で5つの更なる隣接HSA残基によって伸長されたペプチドC配列であるペプチドBは、同様に非機能的であった。これらの結果は、ペプチドCがそれ自体で金属キレート能力を保持するが、その機能は隣接するアミノ酸残基によって影響を受けることを示す。科学的理論に束縛されることを望むものではないが、追加のアミノ酸残基は、ペプチドC配列のキレート機能を遮断するか、又は他の方法で阻害する可能性がある。更に、これらのデータは、本明細書中に記載されるペプチド(ペプチドCを含む)が、培養培地中のアルブミンを置換可能であることを示す(例えば、サプリメントとして、又は完全培養培地の一部として提供される場合)。
【0141】
細胞培養物に増強特性を付与する際のペプチドCイオン特性及び配列特異性の重要性を調査した。テトラペプチドDAHK(配列番号1)は、負、中性、及び2個の正に荷電したアミノ酸(-X++)を含む配列である。配列DTHK(配列番号2)を含む対応するBSAペプチドは、特にペプチドCと同じ順序の荷電アミノ酸を有する。ペプチドC(第1のロット及び第2のロット)と同様に、DTHK(配列番号2;BSAペプチド)は、図11に示すように、培養ラットニューロン細胞の生存率を改善するのに機能的であることが示された。アミノ酸配列又は電荷特異性が有益な特性を与えるかどうかを評価するために、スクランブルペプチドC配列を調製し、試験した。配列AKDH(配列番号3、スクランブル)及びX+-+の電荷を含むスクランブルペプチドを試験し、結果を図11に示す。結果は、テトラペプチドの培養支持的機能が荷電アミノ酸の特定の組み合わせに関連していることを示唆している。例えば、-X++の電荷配列は、細胞培養増強特性を付与したが、電荷配列がスクランブルされた場合、HSA様機能は消失した。
【0142】
本出願人らは更に、HSAペプチドDAHK(配列番号1)の複数のロットを試験し、図11に示される結果は、ペプチドが、溶液中でさえ、ロット間の一貫性及び良好な貯蔵寿命を実証したことを示す。これらの結果は、集合的に、合成ペプチドが支持的サプリメントとして細胞培養物中のヒト血清アルブミンを置換し得ることを示す。
【0143】
銅のレベルは、最適な細胞生存率のために調節されなければならず、銅を含む細胞培養物は、ラットニューロン細胞に対して一貫して毒性をもたらした。したがって、ペプチドCを調査して、HSA金属キレート活性を保持するその能力を確認した。初代ラットニューロン細胞を、ITSを補充した神経基礎培地中で、50μMの銅の存在下で培養したところ、細胞に対する毒性が生じた。しかしながら、培養におけるペプチドCの添加は、図12に示されるように、銅の存在下でさえ毒性を防止した。実際、銅及びペプチドCの存在下で培養されたラットニューロン細胞は、銅を含まない培養物と比較して、同様のレベルの生きた健康な細胞を示した。結果は、ペプチドCが遷移金属キレート剤としてのHSA機能性を保持することを示す。したがって、合成ペプチドは、細胞培養物及び他の生物学的アッセイでは、アルブミンの金属結合活性を複製及び置換し得る。
【0144】
金属及び合成ペプチドの効果を、マウス胚性幹細胞(mESC)及びHEK293細胞増殖培養物において更に評価した。mESC及びHEK293培養物に50μMの銅を添加し、それによって毒性培養環境を作り出し、細胞増殖を阻害した。培養物への100μg/mL又は50μg/mLのいずれかのペプチドCの添加は、特にmESC細胞について、ストレスを受けた細胞を濃度依存的に救済し、より少ない程度でHEK293細胞を救済した。製造業者のプロトコルに従ってPRESTOBLUE(商標)細胞生存率試薬(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を使用して、生存率を評価した。生存率アッセイは、図13及び図14に示すように、ペプチドCが銅誘導性ストレスを救済し、細胞増殖を増強することを示した。結果は、ペプチドCが、培地の安定性及び質を改善するための血清を含まない及び脂肪の少ない培養物(例えば、Essential 8)に対するサプリメントであり得、金属キレート能力についてHSAを置換し得ることを示す。
【0145】
ペプチドCは、本明細書に記載されるように細胞培養において有益な特性を示すので、本出願人らは更に、様々なペプチドC由来合成ペプチドを、細胞培養においてアルブミンを置換するそれらの能力について試験した。ペプチド長の影響を決定するために、本出願人らは、ペプチドC DAHK配列(配列番号1)に隣接するアミノ酸残基の長さ及び同一性の両方が異なる様々なペプチドを評価した。更に、イオン特性の効果を評価するために、配列番号1のペプチドに対するアミノ酸置換を含むペプチドを試験した。アミノ酸置換は、配列番号1のイオン特性及び疎水性特性を保持するように、すなわち、負に荷電した残基、疎水性非荷電残基、及び正に荷電した残基の順序を保存することによって設計された。したがって、初代ラットニューロンを、ITSを補充した神経基礎培地中で培養した。培養物に、rHSA、又はペプチドC由来合成ペプチドのバリエーションを更に補充した。
【0146】
細胞培養物の第1のセットでは、合成ペプチドは、DAHK(配列番号1)アミノ酸配列、又は配列番号1のN末端及びC末端の一方又は両方に更なる残基を有するペプチドを含んだ。培養5日目に、細胞をカルセインAMで標識し、計数した。図20に示す結果は、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17の配列を有するペプチドが、細胞培養に有益な特性を伝達し、したがって、培養物中のアルブミン、例えばHSAを置換又は部分的に置換し得ることを示す。結果は、ペプチドCの活性コンホメーションが維持される場合、配列番号1の片側又は両側に更なる残基を有する合成ペプチドが、アルブミンを少なくとも部分的に置換するために培養物中で使用され得ることを示す。すなわち、ペプチドのN末端及びC末端上の隣接残基の長さは、コンホメーションが細胞培養においてその有益な特性を維持しないように影響を受けない限り、ペプチドCの機能を維持するために重要ではない。
【0147】
培養物の第2のセットでは、ラットニューロン細胞を、ペプチドDAHK(配列番号1)並びにDAHKペプチド(配列番号1)のイオン特性及び疎水性特性を保存する誘導体を含む合成ペプチドとともに培養した。図21に示す結果は、イオン特性に加えて、第3のアミノ酸の同一性が特に重要であることを示す。例えば、第1のアミノ酸は、D又はEの負に荷電したアミノ酸のいずれかで占有され得、第2のアミノ酸は、A又はTなどの非荷電アミノ酸であり得る。更に、第4のアミノ酸は、K又はRなどの正に荷電したアミノ酸であり得る。しかしながら、第3のアミノ酸は、H残基でなければならず、他の正に荷電したアミノ酸、例えば、K又はRによって置換することはできない。
実施例4.幹細胞培養物中のアルブミンについての合成ペプチド置換
【0148】
ペプチドC(配列番号1)を、細胞分化に対するその効果について評価した。本明細書中に記載されるように、種々の供給源由来のBSAの存在は、培養細胞における細胞分化に関与する遺伝子の一貫しない発現レベルを生じた。理論に束縛されることを望むものではないが、これは、アルブミン試料内のコレステロールレベルの変動に起因する可能性が高い。細胞分化に対するテトラペプチドプロテインCの効果を評価するために、多能性幹細胞(PSC)を、BSA1、BSA2、又はペプチドCのいずれかの存在下で培養した。ペプチドCとともに培養されたPSCは、免疫細胞化学(immunocytochemistry、ICC)及びqPCRによって決定されるように、対照培養物(SAなし)と比較して同様のFoxG1の発現レベルをもたらした。結果をそれぞれ図17A及び図17Bに示す。ペプチドCの更なる分析により、ペプチドがコレステロール汚染物質を含まないことが確認された。分化の際に、細胞は、前脳、中脳、後脳などのそれらの位置同定を発達させる。特定化は、PSCがこの位置同定を発達させるステップである。本明細書中のデータは、PSC分化の特定化が培養物中のBSA1又はBSA2の存在に影響を受けたが、ペプチドCでは有意な影響は示されなかったことを示す。これらの結果は、合成ペプチドが、一貫性のない細胞分化をもたらす遺伝子発現の変動を防止するために、幹細胞培養物中のアルブミンを置換し得ることを示す。
実施例5.アルブミン及びその化学的に定義された代替物におけるビタミンE抗酸化活性
【0149】
本明細書に記載されるように、アルブミンは抗酸化活性を付与するが、その活性はアルブミン相同体、供給源、及びロット間で変動し、一貫性がない。更に、HPLCによって確認され、図15に示されるように、抗酸化成分は、アルブミン試料間でその濃度及び活性が異なる。抗酸化特性を有する脂溶性ビタミンはアルブミンに結合することが知られているので、2つのタイプのアルブミンをそれらのビタミンE含有量について評価した。試料中にビタミンEを滴定することによって、低脂肪アルブミン(アルブミン1)及び高脂肪アルブミン(アルブミン2)を分析した。図16Aに示される結果は、ビタミンE飽和が、アルブミン1と比較してアルブミン2についてより低い濃度で生じたことを示す。これらのデータは、アルブミン2が、アルブミン1と比較してより高いレベルのビタミンE(又はビタミンEのアゴニスト)を有していたことを示唆する。
【0150】
ビタミンEは、ROS及び脂質ラジカルの効率的なスカベンジャーである親油性抗酸化剤のクラスに属し、それらを生体膜の不可欠な保護剤及び必須成分にする。したがって、出願人らは、アルブミン中のビタミンEの特性を再現することができる化学的に定義された成分を同定し、特徴付けることを試みた。
【0151】
ビタミンEの水溶性誘導体であるトロロックス(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)は、アルブミンの置換物として調査された。ラット皮質ニューロン(RCN)細胞を、漸増濃度のビタミンE又はトロロックスの存在下で、ITSを補充した神経基礎培地中で培養した。抗酸化剤なしでは、老化したニューロンは約4日目に変性し始め、プレート上に生存ニューロンがほとんど残っていなかった。驚くべきことに、細胞培養物へのビタミンE(図16B)又はトロロックス(図16C)のいずれかの滴定は、6日目に評価されるように細胞死を逆転させた。更に、トロロックスは、ビタミンEよりも高い水溶性及び広い作用範囲を有し、それをビタミンよりも好ましい培養サプリメントにする。これらの結果は、トロロックスが、細胞変性を防止するためのアルブミンのビタミンE活性の実行可能な代替物であることを示す。
実施例6.化学的に定義されたアルブミン代替物を含む組成物
【0152】
本明細書において提供される抗酸化剤は、アルブミンを含む組成物において評価された。本出願人らは、抗酸化剤が、組み合わせて使用された場合にアルブミンの毒性特徴を逆転させることに加えて、細胞培養物に有益な特性を付与し得るかどうかを調査した。培養中の細胞に対して毒性を示した、イネ由来の組換えヒト血清アルブミン(rHSA)を、抗酸化剤の存在下又は不在下のいずれかで、細胞培養物において試験した。製造業者のプロトコルに従ってPRESTOBLUE(商標)細胞生存率試薬(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)で評価したとき、HEK-293細胞。データは、図18Aに示すように、追加の抗酸化剤の不在下で培養した細胞と比較して、細胞をrHSAとともに培養した場合に、より高いレベルの増殖を示す。Hela細胞は、図18Bに示すように、同様の結果を示した。驚くべきことに、抗酸化剤は、rHSAの不在下で培養された細胞の対照群と比較して、細胞増殖を改善した。これらの結果は、化学的に定義された抗酸化剤をアルブミンと組み合わせて、有益な特性を付与し、かつアルブミン汚染物質から毒性を救済することができることを示す。
【0153】
更に、ペプチドC及び抗酸化剤を含むカクテルを、培養中の細胞成長を支持するその能力について分析した。ニューロン細胞を、トランスフェリン(ホロ)を補充したN2培地中で培養した。細胞を、カクテルの存在下又は不在下のいずれかで培養した。続いて、生細胞をカルセインAMで標識し、計数した。図19Aに示される結果は、ペプチドC及び抗酸化剤の存在下で、神経細胞が、カクテルの不在下で培養された細胞よりも高い生存率を示したことを示す。更に、カルセインAM標識細胞の画像及び神経突起長の分析は、図19Bに示されるように、カクテルが神経突起成長及び形成を増強したことを示す。これらの結果は、ペプチドC及び他の化学的に定義されたアルブミン代替物を含む組成物が、細胞培養性能を改善するために使用され得ることを示す。
非公式の配列表
【0154】
配列番号1 DAHK
【0155】
配列番号2 DTHK
【0156】
配列番号3 AKDH
【0157】
配列番号4 GVFRRDAHKSEVAH
【0158】
配列番号5 SAYSRGVFRRDAHKSEVAHRFKD
【0159】
配列番号6 VFRREAHKSEIAHR
【0160】
配列番号7 EAHK
【0161】
配列番号8 DAHR
【0162】
配列番号9 DARK
【0163】
配列番号10 RDAHK
【0164】
配列番号11 RDAHKS
【0165】
配列番号12 RRDAHK
【0166】
配列番号13 RRDAHKS
【0167】
配列番号14 RDAHKSE
【0168】
配列番号15 RRDAHKSE
【0169】
配列番号16 FRRDAHKSEV
【0170】
配列番号17 FRRDAHKSEVA
【0171】
配列番号18(HSA) MKWVTFISLL FLFSSAYSRG VFRRDAHKSE VAHRFKDLGE ENFKALVLIA FAQYLQQCPF EDHVKLVNEV TEFAKTCVAD ESAENCDKSL HTLFGDKLCT VATLRETYGE MADCCAKQEP ERNECFLQHK DDNPNLPRLV RPEVDVMCTA FHDNEETFLK KYLYEIARRH PYFYAPELLF FAKRYKAAFT ECCQAADKAA CLLPKLDELR DEGKASSAKQ RLKCASLQKF GERAFKAWAV ARLSQRFPKA EFAEVSKLVT DLTKVHTECC HGDLLECADD RADLAKYICE NQDSISSKLK ECCEKPLLEK SHCIAEVEND EMPADLPSLA ADFVESKDVC KNYAEAKDVF LGMFLYEYAR RHPDYSVVLL LRLAKTYETT LEKCCAAADP HECYAKVFDE FKPLVEEPQN LIKQNCELFE QLGEYKFQNA LLVRYTKKVP QVSTPTLVEV SRNLGKVGSK CCKHPEAKRM PCAEDYLSVV LNQLCVLHEK TPVSDRVTKC CTESLVNRRP CFSALEVDET YVPKEFNAET FTFHADICTL SEKERQIKKQ TALVELVKHK PKATKEQLKA VMDDFAAFVE KCCKADDKET CFAEEGKKLV AASQAALGL
【0172】
配列番号19 DAKH
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
【配列表】
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【国際調査報告】