(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ねじ込み式骨固定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/86 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536999
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 IB2021060760
(87)【国際公開番号】W WO2022130066
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】グレコ・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】クワック・セウン・キュ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフソン・ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ワット・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ロフタス-ヴェルガリ・ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL27
4C160LL29
4C160LL44
4C160LL57
(57)【要約】
骨固定システムは、第1のアンカー、第2のアンカー及び第3のアンカーを含む。第1のアンカーは、骨内の第1の標的位置に挿入されるように構成されている。第1のヘッド、及び第1のヘッドから延在しており、かつ第1のアンカーを第1の標的位置に連結するように構成されている、第1のシャフトを含む、第1のアンカー。第1のヘッドは、第1のヘッドを通りヘッドボア軸に沿って延在しているヘッドボアを画定する。第1のシャフトは、第1のシャフトを通りシャフトボア軸に沿って延在しているシャフトボアを画定する。第2のアンカーは、骨内の第2の標的位置に連結するように、ヘッドボアを通ってヘッドボアの外に出て延在するようなサイズにされている。第3のアンカーは、シャフトボアを通ってシャフトボアの外に出て骨内の第3の標的位置まで延在するようなサイズにされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨に固定するよう構成されている骨アンカーであって、
ヘッドと、
前記ヘッドからシャフト軸に沿って延在しており、かつ骨に押し込まれるよう構成されている、シャフトと、
を含み、
前記骨アンカーが、前記シャフトを通り前記シャフト軸に対して角度オフセットされているシャフトボア軸に沿って延在するシャフトボアを画定する、
骨アンカー。
【請求項2】
前記ヘッドが、前記ヘッドを通り、ヘッドボア軸に沿って延在しているヘッドボアを画定する、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項3】
前記ヘッドボア軸と前記シャフトボア軸が、互いに交差する、請求項2に記載の骨アンカー。
【請求項4】
前記シャフト軸及び前記ヘッドボア軸が、ほぼ40°~ほぼ50°の範囲にある角度を画定する、請求項2に記載の骨アンカー。
【請求項5】
前記シャフトボアが、前記ヘッドボアの断面寸法よりも小さい断面寸法を有する、請求項2に記載の骨アンカー。
【請求項6】
前記シャフト軸及び前記シャフトボア軸が、互いに実質的に垂直である、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項7】
骨に固定するよう構成されている骨固定システムであって、
請求項1に記載の骨アンカーと、
前記骨アンカーの前記シャフトボアを通って延在するようなサイズであり、骨に押し込まれるよう構成されている補助シャフトアンカーと、
を備える、骨固定システム。
【請求項8】
前記骨アンカーの前記ヘッドが、前記ヘッドを通りヘッドボア軸に沿って延在しているヘッドボアを画定し、前記骨固定システムが、
前記ヘッドボアを通って延在するようなサイズであり、骨に押し込まれるよう構成されている補助ヘッドアンカー、
を更に備える、請求項7に記載の骨固定システム。
【請求項9】
前記ヘッドボア軸が、前記骨アンカーの前記シャフト軸に対して角度オフセットされている、請求項8に記載の骨固定システム。
【請求項10】
前記ヘッドボアにねじ山が付けられている、請求項8に記載の骨固定システム。
【請求項11】
前記補助シャフトアンカーが補助シャフトを含み、前記骨アンカーの前記シャフト及び前記補助シャフトのうちの少なくとも1つにねじ山が付けられている、請求項7に記載の骨固定システム。
【請求項12】
前記シャフトボアにねじ山が付けられている、請求項7に記載の骨固定システム。
【請求項13】
前記補助シャフトアンカーが、補助シャフトヘッドを含んでおり、前記補助シャフトヘッドが、前記シャフトボアとねじ式に螺合するよう構成されている、請求項12に記載の骨固定システム。
【請求項14】
前記補助ヘッドアンカーが、前記骨アンカーの前記ヘッド内に少なくとも部分的に配設されるよう構成されている、補助ヘッドを含む、請求項8に記載の骨固定システム。
【請求項15】
前記骨アンカーの前記ヘッドの外側表面が、前記シャフトから前記ヘッドの上端への方向に半径方向外側へとテーパー形状となっている、請求項7に記載の骨固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、骨固定システム、組立体、及びこれらを使用するための関連する外科的方法及び処置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨又は骨片の整復のためのさまざまな固定デバイスが周知である。例えば、外部骨固定デバイス又は外部固定器は、人体内の長骨の骨折を整復するために使用される。骨プレートなどの内部骨固定デバイスもまた、骨折を整復するために一般的に使用される。
【0003】
多くの固定デバイスは、ねじ、ピン、釘などを含むことができる骨アンカーを使用して、下層の骨に取り付けられる。例えば、従来の骨プレートは、骨セグメントを互いに接合するために、骨折部の反対側の下層の骨に穿孔された骨ねじを収容する、ねじ穴を含む。不運なことに、下層の骨への骨固定デバイスの取付けは、例えば、正常な解剖学的機能中にねじが骨から外れた状態になる場合に不具合が生じるおそれがある。
【0004】
前述の背景の議論は、単に読者を支援することを意図している。本明細書に記載される技術革新を限定することは意図されていない。したがって、前述の議論は、従来のシステムの任意の特定の要素が本明細書に記載されている技術革新と共に使用するのに適するものではないことを示すと解釈されるべきではなく、任意の要素が本明細書に記載されている技術革新の実施に不可欠であることを示すことも意図されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
骨折は、最も一般的な整形外科的外傷処置の1つである。特に、遠位橈骨の骨折は、処置される最も一般的な骨折の一部である。遠位橈骨骨折は、一般に、その重症度に基づいて処置される。それほど複雑ではない骨折は、多くの場合、ギプスを用いて硬化後に安定化されることができ、ピンを使用して更なる安定化をもたらすことができる。粉砕骨折は、骨プレート及び固定ねじを含む開放整復内部固定(open reduction internal fixation:ORIF)プレーティングを利用することができる。しかし、ORIFプレーティングは、骨の外側表面のプレーティングの突起及び位置に起因する、軟組織刺激及び他の望ましくない結果をもたらすおそれがある。
【0006】
改善された骨固定システム及び挿入方法は、ピン、ワイヤ及び/又はギプス固定を介して対処するにはあまりにも複雑であり、かつ、組織刺激又は他の医学的合併症をもたらし得る、骨から突出する付加的金属製品を伴わない、プレーティング及び他の固定構成要素にとって小さすぎる場合がある、骨折を処置することが望ましい。
【0007】
本開示の態様は、骨固定システムを提供する。骨固定システムは、第1のアンカー、第2のアンカー及び第3のアンカーを備える。第1のアンカーは、骨内の第1の標的位置に挿入されるように構成されている。第1のアンカーは、第1のヘッド、及び第1のヘッドから延在しており、かつ第1のアンカーを第1の標的位置に連結するように構成されている、第1のシャフトを含む。第1のヘッドは、第1のヘッドを通りヘッドボア軸に沿って延在するヘッドボアを画定する。第1のシャフトは、第1のシャフトを通りシャフトボア軸に沿って延在するシャフトボアを画定する。第2のアンカーは、骨内の第2の標的位置に連結するように、ヘッドボアを通って延在し、ヘッドボアの外に出るような寸法にされている。第3のアンカーは、シャフトボアを通ってシャフトボアから出て骨内の第3の標的位置まで延在するようなサイズにされている。
【0008】
本開示の別の態様は、骨アンカーを提供する。骨アンカーは、遠位橈骨内に配設されるように構成されている。骨アンカーは、ヘッド及びシャフトを備える。ヘッドは、ヘッドボア軸に沿ってヘッドを通って延在するヘッドボアを画定する。シャフトは、ヘッドから延び、骨アンカーを遠位橈骨内の標的位置に連結するように構成されている。シャフトは、シャフトボア軸に沿ってシャフトを通って延在するシャフトボアを画定する。
【0009】
本開示の別の態様は、遠位橈骨の第1の骨セグメント及び遠位橈骨の第2の骨セグメントに骨固定システムを固定する方法を提供する。本方法は、遠位橈骨内の第1の標的位置に第1のアンカーを挿入することであって、第1のアンカーは、第1のヘッドと、第1のヘッドから延在する第1のシャフトを含み、第1のヘッドが、第1のヘッドを通りヘッドボア軸に沿って延在するヘッドボアを画定し、第1のシャフトが、第1のシャフトを通りシャフトボア軸に沿って延在するシャフトボアを画定する、ことと;遠位橈骨の第2の標的位置に連結するように、ヘッドボアを通してヘッドボアの外まで第2のアンカーを挿入することと;シャフトボアを通してシャフトボアの外から遠位橈骨内の第3の標的位置まで第3のアンカーを挿入することと、を含む。
【0010】
この概要は、一連の概念を簡略化された形式で紹介するために提供され、これらの概念については、以下の「発明を実施するための形態」の部分で更に説明する。この概要は、特許請求される対象の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また、特許請求される対象の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。更に、特許請求される主題は、本開示のいずれかの部分に記載されている欠点のいずれか又はすべてを解決する限定に拘束されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
前述の概要及び本出願の例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本出願を例示する目的で、本開示の例示的な実施形態を図面に示す。しかし、本出願は、図示される正確な配置及び手段に限定されないことを理解すべきである。
【
図1】本開示の一態様による、下にある構造体又は骨に取り付けられたアンカー・イン・アンカー固定システムを例示する図である。
【
図2】本開示の態様による骨アンカーの第1の側面斜視図である。
【
図3】
図2に示されている骨アンカーの第2の側面斜視図である。
【
図4】
図2に示されている骨アンカーの第1の側立面図である。
【
図5A】
図2に示されている骨アンカーの第2の側立面図である。
【
図5B】
図5A中の線5B-5Bに沿って取られた骨アンカーの断面図である。
【
図6】
図2に示されている骨アンカーの端面図である。
【
図7】本開示の態様による骨アンカーの代替的な態様の第1の側立面図である。
【
図8】本開示の態様による骨アンカーの第2の態様の正面斜視図である。
【
図9】
図8に示されている骨アンカーの背側斜視図である。
【
図10】本開示の態様による骨アンカーの第3の態様の正面斜視図である。
【
図11】
図10に示されている骨アンカーの背側斜視図である。
【
図12】本開示の態様による、アンカー・イン・アンカー固定システムの立体分解図である。
【
図13】本開示の態様によるアンカー・イン・アンカー固定システムの代替的態様の斜視図である。
【
図14】本開示の態様による、
図13に示されているアンカー・イン・アンカー固定システムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において使用される特定の用語は単に便宜上のものであり、限定するものではない。「上部(top)」、「下部(bottom)」、「遠位(distal)」、「近位(proximal)」、「前方(leading)」、「後方(trailing)」、「内側(inner)」、「外側(outer)」、「上方(above)」、「下方(below)」、「軸方向(axial)」、「横方向(transverse)」、「円周方向(circumferential)」及び「半径方向(radial)」という語は、参照される図面における方向を示す。「実質的に(substantially)」という用語は、指定されたもののかなりの程度又は大部分を意味するが、必ずしも完全ではないことを意図している。本明細書に開示されるすべての範囲は、列挙された端点を含み、独立して組み合わせることができる(例えば、「2グラム~10グラム」の範囲は、端点の2グラム及び10グラム、並びにすべての中間値を含む)。用語には、上記に列挙された単語、その派生語、及び類似の意味を有する単語が含まれる。
【0013】
ここで
図1を参照すると、固定システム100は、第1の骨アンカー200を含む、一例による骨固定システムとして構成され得る。第1の骨アンカー200は、ヘッド202、及び中心長手方向軸L
1(例えば、シャフト軸又は中心軸)に沿ってヘッド202から延在するシャフト204を含む。第1の骨アンカー200は、ヘッド202を通って延在する少なくとも1つのヘッドボア216、及びシャフト204を通って延在する少なくとも1つのシャフトボア205を含むことができる。したがって、骨固定システム100は、少なくとも1つのヘッドボア216から骨内に挿入するよう構成されている、少なくとも1つの補助ヘッドアンカー300を含むことができる。骨固定システム100は、少なくとも1つのシャフトボア205から骨内に挿入されるよう構成されている、少なくとも1つの補助シャフトアンカー400を更に含むことができる。この点で、少なくとも1つの補助ヘッドアンカー300と少なくとも1つの補助シャフトアンカー400のどちらも、第1の骨アンカー200によって収容される。特に示さないかぎり、骨固定システム100、及び骨アンカーを含めたその構成要素は、以下に限定されないが、チタン、TANなどのチタン合金(allow)、ステンレス鋼、強化プラスチック、同種移植片骨などを含めた、当分野で公知の任意の好適な生体適合性材料から製造することができる。
【0014】
ここで
図2~
図6を参照すると、第1の骨アンカー200は、ヘッド202(例えば、第1のヘッド)及びシャフト204(例えば、第1のシャフト)を含む。シャフト204は、長手方向にヘッド202から、中心シャフト軸L
1に沿って延在している。シャフト204は、それぞれ、長手方向に対向する近位端又は上端204a、及び遠位端又は下端及び204bをそれぞれ画定する。ヘッド202は、シャフト204の近位端204aに位置する。本明細書において使用する場合、「近位」又は「近位端」という用語は、遠位端よりも医療処置中の医療専門家に近い端部を指し、「遠位」又は「遠位端」という用語は、近位端よりも医療処置中の医療専門家から遠い端部を指す。更に、「近位方向」という用語は、医療処置中に医療専門家に向かって延在する方向を指す一方、「遠位方向」という用語は、医療処置中に医療専門家から離れて延在する方向を指す。
【0015】
シャフト204は、近位端204aと遠位端204bの位置及びそれらの間の位置にて、シャフト204から半径方向外側に延在するねじ山206を含む。ねじ山206は、下層の骨を係合するよう構成されており、したがって、シャフト204の全体にねじ山を付けることができる。代替的に、シャフト204は、ねじ山のない部分を含んでもよい。例えば、遠位端204bの方向に位置するシャフト部分204には、ねじ山を付けることができ、上端204aの方向に位置するシャフト部分204には、ねじ山が付いていなくてもよい。
図4に例示されているとおり、ねじ山206は、近位端204aから遠位端204bまで、シャフト204に沿って実質的に一定の外径OD
1を画定する。代替的に、ねじ山206の外径OD
1は、遠位端204bから近位端204aに向かう方向から増大してもよい。したがって、近位端204aに配設されているねじ山206は、遠位端204bに配設されているねじ山206の外径よりも大きな外径を画定することができる。第1の骨アンカー200は、止めねじとして設けることができることが理解されよう。代替的に、第1の骨アンカー200は、所望の場合、コンプレッションねじ、釘、リベット、又はピンであって、そのシャフトが滑らかであるか若しくはリブ付きであるピンとして設けることができる。
【0016】
図4に例示されているとおり、ねじ山206は、近位端204aから遠位端204bまで、シャフト204に沿って実質的に一定の外径OD
1を画定する。代替的に、ねじ山206の外径OD
1は、遠位端204bから近位端204aに向かう方向から増大してもよい。したがって、近位端204aに配設されているねじ山206は、遠位端204bに配設されているねじ山206の外径よりも大きな外径を画定することができる。第1の骨アンカー200は、止めねじとして設けることができることが理解されよう。
【0017】
図4、
図5A及び
図5Bを参照すると、シャフト204は、シャフト204の外側表面207上の1つの位置から、外側表面207上の別の位置まで、シャフト204を通り延在している、少なくとも1つのシャフトボア205を画定する。シャフトボア205は、シャフト204の近位端204aと遠位端204bとの間に位置する。シャフトボア205は、シャフトボア軸S
1を中心に延在し、実質的に円筒形状を有することができる。例示されるとおり、シャフトボア軸S
1は、シャフト204の中心軸L
1に実質的に垂直である。代替的に、シャフトボア軸S
1は、所望の場合、中心軸L
1に垂直ではない角度で延在することができる。シャフト204は、1つ超のシャフトボアを代替として画定してもよいことが理解されよう(
図13を参照されたい)。
【0018】
シャフトボア205は、シャフトボア軸S1に垂直の向きの平面に沿って、シャフト204によって囲まれ得る。シャフトボア205は、少なくとも1つの補助シャフトアンカー400(例えば、第3の骨アンカー)を内部に収容するよう構成されている。シャフトボア205は、ボア205内の内側表面の周りに螺旋状で連続的に延在する螺旋ねじ山を含むことができる。代替的に、シャフトボア205は、第3の骨アンカー400を内部に収容するため、部分的にねじ山が付けられてもよく、又はねじ山が付けられていなくてもよい。シャフトボア205は、実質的に円形の断面寸法(例えば、直径)を有することができる。態様では、シャフトボア205の直径は、ヘッドボア216の断面寸法(例えば、直径)よりも小さい。
【0019】
シャフトボア205は、外側表面207上の第1の位置から第2の部分211まで延在する第1の部分209を含むことができる。第2の部分211は、第1の部分209から外側表面207上の第2の位置まで延在している。第1の部分209は、第2の部分111の方向に向かってテーパー形状となっている、実質的に円錐の形状を画定することができる。したがって、外側表面207における第1の部分209の断面寸法は、外側表面207から第2の部分211まで間隔が設けられている位置における第1の部分209の断面寸法よりも大きい。補助シャフトアンカー400が、シャフトボア205に挿入されると、補助シャフトアンカー400のヘッド402は、第1の部分209と境界を接することができる。一部の例では、第1の部分209には、ねじ山が付けられていなくてもよい。他の例では、第1の部分209には、ねじ山を付けることができ、こうして、第1の部分209、及び補助シャフトアンカー400のヘッド402は、互いにねじ山により嵌合する。態様では、補助シャフトアンカー400のヘッド402は、シャフトボア205の第1の部分209内に完全に入れ子にすることができる。したがって、ヘッド402のどの部分も、第1の部分209から出てシャフト軸S1に沿って延在しない。しかし、ヘッド402の一部は、代替として、シャフトの外側表面207から出て延在することができることを理解すべきである。第2の部分211は、補助シャフトアンカー400のシャフト404を収容するよう構成されている、実質的に円筒形状を画定することができる。
【0020】
図2を参照すると、ヘッド202は、半径方向内側表面212、対向する半径方向外側表面214、近位端又は上端202a、及び遠位端又は下端202bを画定する、環状体210を含む。環状体210は、錐体のセグメントの形状を画定することができる。例えば、ヘッド202の外側表面214は、遠位端202bから近位端202aへの方向に半径方向外側に向かってテーパー形状となることができる。近位端202aの断面寸法(例えば、直径)より小さな断面寸法(例えば、直径)を有する近位端202b。代替的な態様では、環状体210は、近位端202aと遠位端202bとの間に位置において、より大きな断面寸法を有する、球体のセグメントの形状を画定することができる。したがって、外側表面214は、球体とすることができるか、又はそうではない場合、凸状とすることができる。他の代替的な態様では、ヘッド202は、所望の場合、任意の他の好適な代替形状であると見なすことができる。
【0021】
ヘッド202の遠位端202bは、シャフト204の近位端204aに隣接して置かれている。代替的に、ヘッド202の遠位端202bは、ネックによってシャフト204の近位端204aから離して間隔が設けられてもよい(図示せず)。このネックは、ねじ山付き領域及び/又はねじ山なし領域を含むことができる。
【0022】
ヘッド202は、近位端202aと遠位端202bの位置及びそれらの間の位置にて、ヘッド202から半径方向外側に延在する螺旋ねじ山218を含む。ねじ山218は、下層の骨を係合するよう構成されており、こうして、ヘッド202の全体にねじ山を付けることができる。代替的に、ヘッド202は、ねじ山が付けられていなくてもよい、及び/又は部分的にねじ山が付けられていてもよい。例えば、遠位端202bの方向に位置するヘッド202の部分には、ねじ山を付けることができ、近位端202a方向に位置するヘッド202の部分には、ねじ山が付けられていなくてもよい。
【0023】
ヘッド202の外側表面214は、中心ヘッド軸C1の周りに同心円状に延在し、錐台を画定することができる。中心ヘッド軸C1は、ヘッド202の近位端202a及び遠位端202bに対して垂直な方向に延在している。態様では、外側表面214の断面寸法は、ヘッド202の遠位端202bから近位端202aまでの方向に増大してもよい。代替的に、ヘッド202は、近位端202a又は遠位端202bのどちらかの位置よりも、近位端202aと遠位端202bとの間の位置での方が大きな直径又は断面寸法を有する、球体のセグメントなど、所望の任意の好適な形状を含むことができる。
【0024】
ヘッド202はまた、近位端202aに位置するスロット220を含んでもよい。スロット220は、遠位端202bの方向に近位端202aを画定するヘッド202の縁部から延在している。スロット220は、組み立て及び/又は固定システム100の骨90への挿入の間、第1の骨アンカー200が回転するのを防止するために、器具を内部に収容するよう構成されている。ヘッド202は、所望の1つ以上のスロット220を含むことができる。
【0025】
ヘッド202の内側表面212は、中心ボア軸H
1に沿って、環状体210から延在している少なくとも1つのヘッドボア216を画定する(
図4を参照されたい)。中心ボア軸H
1は、シャフト204がボア216を妨げないように、中心軸L
1に対して角度オフセットして延在する。態様では、ヘッドボア軸H
1は、シャフトボア軸S
1と同じ平面内に延在している。態様では、ヘッドボア軸H
1は、骨アンカー200の外側の位置において、シャフトボア軸S
1と交差することができる。ヘッド202は、環状体210の半径方向内側表面212から、半径方向内側方向に延在するヘッドボア216に複数の螺旋ねじ山219を含む。態様では、ヘッドボア216は、ねじ山がなくてもよく、又は部分的にねじ山があってもよい。ヘッドボア216の中心ボア軸H
1は、鋭角αを画定するよう、シャフト204の中心軸L
1と交差する。角度αは、0°~90°の間とすることができる。態様では、角度αは、ほぼ20°~70°の間とすることができる。別の態様では、角度αは、ほぼ40°~50°の間とすることができる。更に別の態様では、角度αは、ほぼ45°とすることができる。1つ以上のスロット220が、ヘッドボア216の一部を構成してもよい。ヘッド202は、1つ超のヘッドボアを代替として画定してもよいことが理解されよう(
図13及び
図14を参照されたい)。
【0026】
ヘッド202の内側表面212は、第1の骨アンカー200が骨に固定されていると、ヘッド202を回転させるねじ回し機器によって係合され得る、六角形構造体、又は任意の代替形状の構造体を更に画定することができる。
【0027】
ヘッド202の中心ヘッド軸C
1及びシャフト204の中心軸L
1は、実質的に同軸である。中心ヘッド軸C
1と軸L
1の両方が、ボア216の中心ボア軸H
1から角度オフセットされている。代替的に、中心ヘッド軸C
1は、中心ヘッド軸C
1及び中心ボア軸H
1のどちらもシャフト204の中心軸L
1から角度オフセットされるように、中心ボア軸H
1と同軸であってもよい。例えば、
図7を参照すると、第1の骨アンカー200のシャフト204は、中心ヘッド軸C1と中心ボア軸H
1の一方又は両方に対して、角度オフセットされ得る。更に、中心ボア軸H
1は、中心ヘッド軸C
1と平行にあることができるか、又はこれと一致することができる。代替的に、中心ヘッド軸C
1及び中心ボア軸H
1は、互いに角度オフセットされ得る。
【0028】
図8~
図9を参照しながら、補助ヘッドアンカー300(例えば、第2の骨アンカー)をここで説明する。特に上記のとおり、第2の骨アンカー300は、ヘッド302、及びヘッド302から個々の中心シャフト軸L
2に沿って延在するシャフト304を含むことができる。シャフト304は、第1の骨アンカー200のシャフト204の長手方向長さより長い、短い、又は実質的に同じとすることができる。シャフト304は、それぞれ、長手方向に対向する近位端又は上端304a、及び遠位端又は下端304bをそれぞれ画定する。ヘッド302は、シャフト304の近位端304aから延在している。補助ヘッドアンカー300は、シャフト304から半径方向外側に延在する、少なくとも1つの螺旋ねじ山306を含むことができる。螺旋ねじ山306は、所望の場合、シャフト304の任意の位置から外側に延在することができる。例えば、一例では、螺旋ねじ山306は、近位端304aから遠位端304bまで延在することができる。したがって、シャフト304の実質的に全体に、ねじ山が付いていてもよい。代替的に、螺旋ねじ山は、近位端304aと遠位端304bとの間に、シャフト304の任意の部分に沿って延在することができる。遠位端304bは、カッティングフルートを含むことができるか、又は事前に穿孔されている穴に押し込まれるよう構成され得る。螺旋ねじ山306は、下層の骨とねじ式に螺合するよう構成され得る。ねじ山306は、例示されている近位端304a及び遠位端304b全体にわたり一定の外径OD
2を画定する。代替的に、ねじ山36の外径は、第1の骨アンカー200のシャフト204に対して、上記のとおり、遠位端304bから近位端304aの方向となる近位方向に増大することができる。外径OD
2は、外径OD
1よりも大きくあることができる、これより小さくあることができる、又は実質的に同じとすることができる。ねじ山306は、第1の骨アンカー200のねじ山206と、同じピッチ又は異なるピッチを画定することができる。
【0029】
ヘッド302は、半径方向内側表面312、対向する半径方向外側表面314、近位端又は上端302a、及び遠位端又は下端302bを画定する、環状体310を含む。外側表面314は、軸C2の周りを同心円状に延在し、外径OD3、又はヘッド302の遠位端302bから近位端302aの方向に増大する断面寸法を有する、例示されている錐台の形状を画定することができる。代替的に、ヘッド302は、近位端302a及び遠位端302bのどちらかに一方の位置よりも、近位端302aと遠位端302bとの間の位置における方が大きな断面寸法(例えば、直径)を有する、例示されている球体のセグメントなどの、所望の任意の好適な代替形状であると見なすことができる。例示されている実施形態では、中心軸C2は、シャフト304の長手方向軸L2と平行であり、これと一致するか、又は一列に並んでいるが、中心軸C2は、所望の場合、長手方向軸L2から角度オフセットされ得ることを理解すべきである。
【0030】
ヘッド302の遠位端302bは、第1の骨アンカー200に対して、上記のタイプのねじ山のないネック315を介して、例示されているとおり直接、又は間接的のどちらかで、シャフト304の近位端304aに連結されている。ヘッド302は、環状体310の外側表面314から半径方向外側に延在する螺旋ねじ山318を含む。第2の骨アンカー300は、例示されているとおり、止めねじとして設けることができることが理解されよう。代替的に、第2の骨アンカー300は、所望の場合、コンプレッションねじ、釘、リベット、又はピンであって、そのシャフトが滑らかであるか若しくはリブ付きであるピンとして設けることができる。
【0031】
ヘッド302は、近位端302a及び遠位端302bによって画定されている、中心軸D2を更に画定している。特に、中心軸D2は、近位端302a及び遠位端302bに対して垂直な方向に延在している。ヘッド302の中心軸C2は、例示されている実施形態では、近位端302aと遠位端302bとの間に延びる方向に平行に延在しているので、例示されている実施形態では、軸C2及びD2は、一致するか、又は一列に並んでおり、したがって、長手方向軸L2と平行に、及び一致して、又は一列に並んで延在する。近位端302a及び遠位端302bは、軸C2及びD2が相互に角度オフセットされるように、幾何学的に構成され得ることが理解されよう。
【0032】
ヘッド302のねじ山318は、ヘッド302の遠位端302bからヘッド302の近位端302aまでの方向に増大する外径OD3を画定する。したがって、ねじ山318の外径は、遠位端302bよりも、近位端302aにおいて大きい。第1の骨アンカー200のヘッドボア216のねじ山219の内径は、ボア216の遠位端から近位端までの方向に増大する断面寸法(例えば、内径)を画定することができ、こうして、第2のアンカー部材300のヘッド302のねじ山318は、第1のアンカー部材200のヘッドボア216のねじ山219と嵌合するよう構成される。ねじ山219及び318の断面寸法(例えば、直径)は、対応する近位端及び遠位端全体で一定となり得ることが理解されよう。
【0033】
補助シャフトアンカー400を、
図10~
図11を参照しながらここで説明する。第3の骨アンカー400は、ヘッド402、及びヘッド402から個々の中心軸L
3に沿って延在するシャフト404を含む。シャフト404は、第1の骨アンカー200のシャフト204又は第2の骨アンカー300のシャフト304の長手方向長さより長くあることができる、短くあることができる、又は実質的に同じとすることができる。シャフト404は、それぞれ、長手方向に対向する近位端又は上端404a及び遠位端又は下端404bを画定する。第3の骨アンカー400は、シャフト404の近位端404aから延在しているヘッド402を含む。第3の骨アンカー400は、第2の骨アンカー300の態様に実質的に類似する態様を含むことができる。
【0034】
螺旋ねじ山406は、下層の骨に係合するよう構成されている、近位端404aと遠位端404bの位置及びそれらの間の位置にて、シャフト404から半径方向外側に延在する。したがって、シャフト404の実質的に全体に、ねじ山を付けることができる。ねじ山406は、例示されているとおり、近位端404a及び遠位端404b全体にわたり一定の外径OD4を画定するが、ねじ山406は、代替として、第1の骨アンカー200のシャフト204に対して、上記のとおり、遠位端404bから近位端404aまでの方法に増大することができる。外径OD4は、第1の骨アンカー200のシャフト204の外径OD1又は第2の骨アンカー300のシャフト304の外径OD2より大きくあることができる、小さくあることができる、又は実質的に同じとすることができる。ねじ山406は、第1の骨アンカー200のねじ山206及び第2の骨アンカー300のねじ山306と同じピッチ又は異なるピッチを画定することができる。態様では、第1の骨アンカー200の外径OD1は、ほぼ4.0mm未満であり、第2の骨アンカー300の外径OD2は、ほぼ3.0mm未満であり、第3の骨アンカー400の外径OD4は、ほぼ2.0mm未満である。態様では、第3の骨アンカー400の外径OD4は、ほぼ1.0mm~2.0mmの間である。
【0035】
ヘッド402は、半径方向内側表面412、対向する半径方向外側表面414、近位端又は上端402a、及び遠位端又は下端402bを画定する、環状体410を含む。外側表面414は、軸C3の周りを同心円状に延在し、外径OD5、又はヘッド402の遠位端402bから近位端402aの方向に増大する断面寸法を有する、例示されている錐台の形状を画定することができる。代替的に、ヘッド402は、近位端402a及び遠位端402bのどちらかに一方の位置よりも、近位端402aと遠位端402bとの間の位置における方が大きな断面寸法(例えば、直径)を有する、例示されている球体のセグメントなどの、任意の好適な代替形状であると見なすことができる。例示されている実施形態では、中心軸C3は、シャフト404の長手方向軸L3と平行であり、これと一致するか、又は一列に並んでいるが、中心軸C3は、所望の場合、長手方向軸L3から角度オフセットされ得ることを理解すべきである。態様では、ヘッド402は、第2の骨アンカー300のヘッド302の構成と実質的に類似した構成を含むことができる。
【0036】
ヘッド402の遠位端402bは、第1の骨アンカー200に対して、上記のタイプのねじ山のないネック415を介して、例示されているとおり、直接、又は間接的のどちらかで、シャフト404の近位端404aに連結されている。ヘッド402は、環状体410の外側表面414から、半径方向外側に延在する螺旋ねじ山418を含む。螺旋ねじ山418は、シャフトボア205の対応するねじ山とねじ式に螺合するよう構成されている。第3の骨アンカー400は、例示されているとおり、止めねじとして設けることができることが理解されよう。代替的に、第3の骨アンカー400は、所望の場合、コンプレッションねじ、釘、リベット、又はピンであって、そのシャフトが滑らかであるか若しくはリブ付きであるピンとして設けることができる。
【0037】
ヘッド402は、近位端402a及び遠位端402bによって画定されている、中心軸D3を更に画定している。特に、中心軸D3は、近位端402a及び遠位端402bに対して垂直な方向に延在している。ヘッド402の中心軸C3は、例示されている実施形態では、近位端402aと遠位端402bとの間に延びる方向に平行に延在しているので、例示されている実施形態では、軸C3及びD3は、一致するか、又は一列に並んでおり、したがって、長手方向軸L3と平行に、及び一致して、又は一列に並んで延在する。近位端402a及び遠位端402bは、軸C3及びD3が相互に角度オフセットされるように、幾何学的に構成され得ることが理解されよう。
【0038】
ヘッド402のねじ山418は、ヘッド402の遠位端402bからヘッド402の近位端402aまでの方向に増大する外径OD5を画定する。したがって、ねじ山418の外径は、遠位端402bよりも、近位端402aにおいて大きい。第1の骨アンカー200のヘッドボア216のねじ山219の内径は、ボア216の遠位端から近位端までの方向に増大する断面寸法(例えば、内径)を画定することができ、こうして、第2のアンカー部材300のヘッド302のねじ山318は、第1のアンカー部材200のヘッドボア216のねじ山219と嵌合するよう構成される。ねじ山219及び318の断面寸法(例えば、直径)は、対応する近位端及び遠位端全体で一定であり得ることが理解されよう。
【0039】
アンカー・イン・アンカー固定システム100は、骨の標的領域に、第1の骨アンカー200、第2の骨アンカー300及び第3の骨アンカー400を挿入することによって組み立てることができる。特に、第1の骨アンカー200のヘッドボア216は、第2の骨アンカー300を収容するよう構成されており、第1の骨アンカー200のシャフトボア205は、第3の骨アンカー400を収容するよう構成されている。使用中、外科医は、下層の骨90の標的領域に接近するために切開部を形成する。次に、第1の骨アンカー200は、シャフト204のねじ山206が、第1の骨アンカー200を下層の骨セグメント90a、90b及び90cの少なくとも1つに係合し、これを取り付けるように、例えば、ねじで取り付けられて、下層の骨90に押し込まれる。第1の骨アンカー200は、骨セグメント90a及び90cなどの下にあるセグメント(単数又は複数)に十分な深さまで挿入される。骨アンカー200は、ヘッドボア216の軸H1及びシャフトボア205の軸S1が、骨セグメント90a、90b及び90cの所望の固定位置で一列に並ぶまで回転される。第1の骨アンカー200が、一旦、下層の骨に締め付けられると、第2の骨アンカー300及び第3の骨アンカー400は、下層の骨90に挿入される。第2の骨アンカー300は、第1の骨アンカー200のヘッド202から挿入される。第2の骨アンカー300は、第1の骨アンカー200を収容する同じ切開部から、又は所望の場合、第2の切開部から、下層の骨90に挿入され得る。第3の骨アンカー400は、第1の骨アンカー200のシャフト204から挿入され得る。第3の骨アンカー400は、第2の切開部から、又は第1の骨アンカー200を収容する同じ切開部から下層の骨90に挿入され得る。骨アンカー200、300及び400は、セルフタッピング式とすることができ、したがって、カッティングフルートを含むことができる、又はボアは、骨90にアンカー200、300及び400を挿入する前に、骨90に予め穿孔され得る。
【0040】
態様では、第1の骨アンカー200は、第1の骨折した骨セグメント90aから挿入されて、第3の骨折した骨セグメント90cに締め付けられる。下層の骨90は、望ましい場合、遠位橈骨などの長骨、又は例えば、大腿骨、上腕骨(humorous)、脛骨又は尺骨などの他の長骨とすることができる。第2の骨アンカー300は、第1の骨折した骨セグメント90aから挿入されて、第2の骨折した骨セグメント90bに締め付けられる。第3の骨アンカー400は、第3の骨折した骨セグメント90cから挿入されて、第2の骨折した骨セグメント90bに締め付けられる。例えば、第1の骨アンカー200は、シャフト又は患者の遠位橈骨の髄内部に締め付けられ得る一方、第2の骨アンカー300及び第3の骨アンカー400は、骨折した患者の橈骨のヘッド部に締め付けられ得る。この点では、アンカー・イン・アンカー固定システム100を使用して、橈骨骨折を固定することができる。本システムを使用する固定システム100及び外科的方法は、1つ以上の骨又は骨断片を連結するための他の外科処置に適用可能となり得ることが理解されよう。
【0041】
図12は、本開示の態様による、アンカー・イン・アンカー固定システム100の立体分解図を例示する。第2の骨アンカー300のねじ山306の他の直径OD
2は、第1の骨アンカー200のヘッドボア216の内径よりも小さく、こうして、シャフト304は、ヘッドボア216から直線的に押し込まれることができる。代替的に、外径OD
2は、第2の骨アンカー300がその内部で回転すると、ねじ山306が、ヘッドボア216のねじ山219と係合することができるようなサイズにすることができる。第2の骨アンカー300のヘッド302の外側のねじ山318は、ヘッドボア216のねじ山219と嵌合するよう構成されている。第2の骨アンカー300のシャフト304は、シャフト304の遠位端304bが下層の骨90と係合するまで、又はねじ山318が、ヘッドボア216のねじ山219に係合して固定されるまでのどちらかまで、第1の骨アンカー200のヘッドボア216から押し込まれ得る。
【0042】
態様では、第3の骨アンカー400のねじ山406の他の直径OD
4は、第1の骨アンカー200のシャフトボア205の内径よりも小さく、こうして、シャフト404は、シャフトボア205から直線的に押し込まれることができる。代替的に、シャフトボア205は、ねじ山が付けられていてもよく、こうして、外径OD
4は、第3の骨アンカー400がその内部で回転すると、ねじ山406がシャフトボア205のねじ山に係合するようなサイズにされる。第3の骨アンカー400のヘッド402の外側のねじ山418は、シャフトボア205のねじ山と嵌合するよう構成されている。第3の骨アンカー400のシャフト404は、シャフト404の遠位端404bが下層の骨90と係合するまで、あるいはねじ山418が、シャフトボア205のねじ山及び/若しくは内部表面に係合するか又は固定されるまでのどちらかまで、第1の骨アンカー200のシャフトボア205から押し込むことができる。例えば、第3の骨アンカー400のシャフト404は、シャフト404の一部だけが、シャフトボア205から延在し、ヘッド部402が、第1の骨アンカー100から離れて間隔が設けられるよう、第1の骨アンカー200のシャフトボア205から押し込まれてもよい(例えば、
図1を参照されたい)。
【0043】
第3の骨アンカー400は、ナビゲーションシステム又は基準アレイシステムを使用して、第1の骨アンカー200のシャフトボア205と一列に並んでいてもよい。ナビゲーションシステムは、固定システム100に動作可能に装着されている基準アレイを含んでもよい。ナビゲーションシステムは、固定システム100を埋め込む外科処置を行う外科医に空間的な基準情報を提供することができる。ナビゲーションシステムは、第1の骨アンカー200及び/又は患者の身体構造に対して、第3の骨アンカー400の位置決めを決定するため、空間的な基準点を位置付けることができる。ナビゲーションシステムは、当分野において公知であり、使用されているさまざまな基準アレイシステムと協働するよう構成され得る。ナビゲーションシステムはまた、下層の骨90の磁気共鳴撮像(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波撮像、又は他の画像データセットに関連する情報を受信することができる。ナビゲーションシステムは、外科医が第3の骨アンカー400を第1の骨アンカー200及び患者内の標的位置と正確に位置合わせすることを可能にするリアルタイム情報を提供することができる。
【0044】
固定システム100を挿入している間、第1の骨アンカー200及び第2の骨アンカー300を互いに対して回転させて、第2の骨アンカー300のシャフト304を骨90内に長手方向に前進させ、かつシャフト304の骨90内への前進と同じ速度で、ヘッド302を第1の骨アンカー200のヘッド202内に長手方向に前進させることができ、こうして、第1の骨アンカー200及び第2の骨アンカー300が互いに係止される。この点で、第2の骨アンカー300は、第1の骨アンカー200が下層の骨90を圧迫することなく、第1の骨アンカー200に取り付けることができる。代替的に、第2の骨アンカー300のヘッド302は、ねじ山がなくてもよく、又は部分的にねじ山が付けられていてもよく、ヘッドボア216の内側表面は、ねじ山がなくてもよく、又は部分的にねじ山が付けられていてもよく、こうして、第1の骨アンカーのヘッド202に第2の骨アンカー300のヘッド302が係合すると、第1の骨アンカー200は下層の骨90を圧迫する。ヘッド302の半径方向内側表面312は、ヘッドボア216を通り下層の骨90まで、第2の骨アンカーを押し込む機器を駆動することによって係合されることができる。態様では、第2の骨アンカー300がヘッドボア216から挿入されると同時に、器具を使用して、第1の骨アンカー200を把持及び/又は固定して、と第1の骨アンカー200の回転を阻止することができる。
【0045】
態様では、第2の骨アンカー300は、第2の骨アンカーのねじ山318と第1の骨アンカー200のねじ山219とを係合する前に、下層の骨90と係合する。第1の骨アンカー200及び第2の骨アンカー300が、一旦、完全に嵌合されると、第2の骨アンカー300のヘッド302は、第1の骨アンカー200のヘッド202内に少なくとも一部が入れ子にされる。態様では、ヘッド302は、第1の骨アンカー200の遠位端202aが、第2の骨アンカー300の遠位端302aに対して遠位に位置するように、ヘッド202内に完全に入れ子にされる。
【0046】
第1の骨アンカー200及び第2の骨アンカー300が、下層の骨90に挿入された後に、第3の骨アンカー400は、上記のとおり、第1の骨アンカー200のシャフトボア205から挿入されて、下層の骨90に締め付けられることができる。第1の骨アンカー200、第2の骨アンカー300及び第3の骨アンカー400は、それぞれ、同一平面に一列に並べられ得る。第3の骨アンカー400は、固定システム100に追加の安定性をもたらすことができる。例えば、第3の骨アンカー400が、シャフトボア205から挿入されて、第1の骨アンカー200のシャフト204から角度オフセットされている場合、第1の骨アンカー200及び第2の骨アンカー300は、下層の骨90内のそれらの個々の意図する標的位置から遠位に動いて離れるのが実質的に防止され得る。態様では、第3の骨アンカー400は、第1の骨アンカー200のシャフト204に実質的に垂直であり得る。代替的に、第3の骨アンカー400は、90度未満の角度で、第1の骨アンカー200のシャフト204から角度オフセットされ得る。
【0047】
アンカー・イン・アンカー固定システム100は、単純骨折、部分粉砕骨折及び更に複雑な骨折を処置するために使用することができる。アンカー・イン・アンカー固定システム100は、下層の骨90の骨表面内に適用することができ、こうして、プレーティングに一般に伴う突出部が存在しないながらも、依然として身体構造を回復及び安定化させ、それによって骨治癒を起こすことができる。
【0048】
図13及び
図14は、本開示の態様による、アンカー・イン・アンカー固定システム100の代替的な態様の斜視図及び上面図を例示している。代替として又は更に、固定システム100は、複数(例えば、1つ超)のヘッドボア及び複数のシャフトボアを含むことができる。固定システム100は、骨アンカー200’、複数のヘッドアンカー300’、300’’及び300’’’、並びに複数のシャフトアンカー400’及び400’’を含む。ヘッドアンカー300’、300’’及び300’’’はそれぞれ、第2の骨アンカー300が、上記のとおり、第1の骨アンカー200のヘッドボア216から挿入される場合と実質的に同様に、骨アンカー200’の個々のヘッドボアから挿入されてもよい。ヘッドアンカー300’、300’’及び300’’’は、実質的に類似した断面寸法(例えば、直径)を有することができる。代替的に、ヘッドアンカー300’、300’’及び300’’’は、実質的に類似した断面を有することができる、及び/又は互いに異なる断面寸法を有することができる。個々のヘッドアンカー300’、300’’及び300’’’の個々のヘッドはそれぞれ、完全に入れ子にされるか、又は骨アンカー200’のヘッド内に部分的に入れ子にされるかのどちらか一方となり得る。ヘッドアンカー300’、300’’及び300’’’の各々は、ヘッド200’の周囲で互いに離して間隔が設けられ得る。
【0049】
シャフトアンカー400’及び400’’はそれぞれ、第3の骨アンカー400が、第1の骨アンカー200のシャフトボア205から挿入される場合と実質的に同様に、骨アンカー200’の個々のシャフトボアから挿入されてもよい。シャフトアンカー400’及び400’’はそれぞれ、互いに実質的に平行に、骨アンカー200’を通り延在することができる。代替的に、シャフトアンカー400’は、各シャフトアンカー400’及び400’’がシャフト内に位置すると、シャフトアンカー400’’から角度オフセットされ得る。例示されているとおり、骨アンカー200’は、3つのヘッドボア及び2つのシャフトボアを含む。骨アンカー200’は、個々のヘッドアンカー及びシャフトアンカーを収容するよう構成されているヘッドボア及びシャフトボアを一層少なく又は一層多く含むことができることが理解されよう。
【0050】
アンカー・イン・アンカー固定システム100は、システム100を骨内に挿入する、配置する、及び一列に並べるためのさまざまな器具を用いて使用することができる。例えば、医療処置を行うために、標的機器、プローブ、ロケータ、センサ、磁場発生器、ガイドワイヤ、フック除去機器、又は他の器具/構成要素をシステム100と共に使用することができる。アンカー・イン・アンカー固定システム100は、長骨用途、人工肩関節、脊髄用途に使用することができ、骨アンカーが下層の骨セグメントを直接、固定する独立型固定に使用することができるか、又は骨プレート、釘、ねじ、インプラント及びスペーサなどの1つ以上の補助固定デバイスを含むことができる。本明細書に記載されているアンカー・イン・アンカーシステムのいずれも、特に具体的に明記されていないかぎり、特に特定された処置及び/又は用途に限定されることを意図するものではないことに留意すべきである。
【0051】
前述の説明は、開示システム及び方法の例を提供することが理解されよう。しかし、本開示の他の実装形態は、前述の例とは詳細が異なる可能性があることが企図される。本開示又はその実施例への言及はすべて、その時点で議論されている特定の実施例を参照することを意図しており、より一般的に本開示の範囲に関するいかなる限定も示唆することを意図するものではない。特定の特徴に関する差別及び否定の言葉はすべて、それらの特徴に対する好みの欠如を示すことを意図しているが、別段の指示がないかぎり、そのようなものを本開示の範囲から完全に除外することを意図していない。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) 骨に固定するよう構成されている骨アンカーであって、
ヘッドと、
前記ヘッドからシャフト軸に沿って延在しており、かつ骨に押し込まれるよう構成されている、シャフトと、
を含み、
前記骨アンカーが、前記シャフトを通り前記シャフト軸に対して角度オフセットされているシャフトボア軸に沿って延在するシャフトボアを画定する、
骨アンカー。
(2) 前記ヘッドが、前記ヘッドを通り、ヘッドボア軸に沿って延在しているヘッドボアを画定する、実施態様1に記載の骨アンカー。
(3) 前記ヘッドボア軸と前記シャフトボア軸が、互いに交差する、実施態様2に記載の骨アンカー。
(4) 前記シャフト軸及び前記ヘッドボア軸が、ほぼ40°~ほぼ50°の範囲にある角度を画定する、実施態様2に記載の骨アンカー。
(5) 前記シャフトボアが、前記ヘッドボアの断面寸法よりも小さい断面寸法を有する、実施態様2に記載の骨アンカー。
【0053】
(6) 前記シャフト軸及び前記シャフトボア軸が、互いに実質的に垂直である、実施態様1に記載の骨アンカー。
(7) 骨に固定するよう構成されている骨固定システムであって、
実施態様1に記載の骨アンカーと、
前記骨アンカーの前記シャフトボアを通って延在するようなサイズであり、骨に押し込まれるよう構成されている補助シャフトアンカーと、
を備える、骨固定システム。
(8) 前記骨アンカーの前記ヘッドが、前記ヘッドを通りヘッドボア軸に沿って延在しているヘッドボアを画定し、前記骨固定システムが、
前記ヘッドボアを通って延在するようなサイズであり、骨に押し込まれるよう構成されている補助ヘッドアンカー、
を更に備える、実施態様7に記載の骨固定システム。
(9) 前記ヘッドボア軸が、前記骨アンカーの前記シャフト軸に対して角度オフセットされている、実施態様8に記載の骨固定システム。
(10) 前記ヘッドボアにねじ山が付けられている、実施態様8に記載の骨固定システム。
【0054】
(11) 前記補助シャフトアンカーが補助シャフトを含み、前記骨アンカーの前記シャフト及び前記補助シャフトのうちの少なくとも1つにねじ山が付けられている、実施態様7に記載の骨固定システム。
(12) 前記シャフトボアにねじ山が付けられている、実施態様7に記載の骨固定システム。
(13) 前記補助シャフトアンカーが、補助シャフトヘッドを含んでおり、前記補助シャフトヘッドが、前記シャフトボアとねじ式に螺合するよう構成されている、実施態様12に記載の骨固定システム。
(14) 前記補助ヘッドアンカーが、前記骨アンカーの前記ヘッド内に少なくとも部分的に配設されるよう構成されている、補助ヘッドを含む、実施態様8に記載の骨固定システム。
(15) 前記骨アンカーの前記ヘッドの外側表面が、前記シャフトから前記ヘッドの上端への方向に半径方向外側へとテーパー形状となっている、実施態様7に記載の骨固定システム。
【0055】
(16) 遠位橈骨の第1の骨セグメント及び前記遠位橈骨の第2の骨セグメントに骨固定システムを固定する方法であって、
前記遠位橈骨内の第1の標的位置に骨アンカーを挿入することであって、前記骨アンカーが、ヘッドと、前記ヘッドからシャフト軸に沿って延在しているシャフトと、を含み、前記シャフトが、前記シャフトを通りシャフトボア軸に沿って延在するシャフトボアを画定する、ことと、
前記遠位橈骨内の第2の標的位置に連結するように前記シャフトボアを通して補助シャフトアンカーを挿入することと、
を含む、方法。
(17) 前記ヘッドが、前記ヘッドを通りヘッドボア軸に沿って延在しているヘッドボアを画定し、前記方法が、
前記遠位橈骨内の第3の標的位置まで前記ヘッドボアを通して補助ヘッドアンカーを挿入すること、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記ヘッドボアが前記第1の骨セグメント及び前記第2の骨セグメントのうちの少なくとも1つに前記補助ヘッドアンカーを挿入するための軌道を画定するように、前記骨アンカーを調節すること、
を更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記シャフトボアが前記第1の骨セグメント及び前記第2の骨セグメントのうちの少なくとも1つに前記補助シャフトアンカーを挿入するための軌道を画定するように、前記骨アンカーを調節すること、
を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記骨アンカーの前記シャフト及び補助シャフトアンカーのシャフトが、互いに実質的に垂直である、実施態様16に記載の方法。
【国際調査報告】