(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】電界効果トランジスタ(FET)デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240105BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240105BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240105BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240105BHJP
H01L 21/283 20060101ALI20240105BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240105BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01L29/78 617N
H01L29/78 617T
H01L29/78 617M
H01L29/78 301G
H01L29/78 301Z
H01L29/78 301X
H01L27/092 A
H01L27/092 D
H01L21/28 301R
H01L21/283 C
H01L21/316 X
H01L21/28 301S
H01L29/58 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538775
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 IB2021060504
(87)【国際公開番号】W WO2022144618
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴェガ、レイナルド
(72)【発明者】
【氏名】安藤 崇志
(72)【発明者】
【氏名】チー、チェン
(72)【発明者】
【氏名】アドゥスミッリ、プラニート
【テーマコード(参考)】
4M104
5F048
5F058
5F110
5F140
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
電界効果トランジスタ(FET)デバイスが提供される。デバイスは、第1のバック・ゲートを第2のバック・ゲートから隔てる支持基板上の絶縁領域と、第1のチャネル領域および第2のチャネル領域上のゲート誘電体層とを含む。デバイスは、仕事関数値を有する導電性ゲート層、およびゲート誘電体層上の強誘電体層をさらに含み、第1のバック・ゲートが、第1のチャネル領域のための閾値電圧を調節することができ、第2のバック・ゲートが、第2のチャネル領域のための閾値電圧を調節することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界効果トランジスタ(FET)デバイスであって、
第1のバック・ゲートを第2のバック・ゲートから隔てる支持基板上の絶縁領域と、
第1のチャネル領域および第2のチャネル領域上のゲート誘電体層と、
仕事関数値を有する導電性ゲート層、および前記ゲート誘電体層上の強誘電体層とを備え、前記第1のバック・ゲートが、前記第1のチャネル領域のための閾値電圧を調節することができ、前記第2のバック・ゲートが、前記第2のチャネル領域のための閾値電圧を調節することができる、電界効果トランジスタ(FET)デバイス。
【請求項2】
前記支持基板と前記第1のバック・ゲートとの間、および前記支持基板と前記第2のバック・ゲートとの間の第1の誘電体層をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの第1のペアをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第2のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの第2のペアをさらに備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
ソース/ドレインの前記第1のペアが、nドープされ、ソース/ドレインの前記第2のペアが、pドープされる、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記導電性ゲート層が、4.3から4.9eVまでの範囲の所定の仕事関数値を有する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記強誘電体層が、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ハフニウム・ジルコニウム酸化物(HZO)、ケイ酸ハフニウム(HfSiOx)、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、チタン酸ビスマス(BiTiO)、およびその組合せから成るグループから選択された強誘電体材料である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの前記第1のペアのうちの1つの上の、および、前記第2のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの前記第2のペアのうちの1つの上のブリッジ接点をさらに備え、前記ブリッジ接点が、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を形成するために、ソース/ドレインの前記第1のペアのうちの前記1つと、ソース/ドレインの前記第2のペアのうちの前記1つとの間の電気的接続を形成する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
電界効果トランジスタ(FET)デバイスを製造するための方法であって、
支持基板上の第1の誘電体層と第2の誘電体層との間に第1のバック・ゲートおよび第2のバック・ゲートを形成することと、
第1のチャネル領域の両側にソース/ドレインの第1のペアを形成することであって、前記第1のチャネル領域が、前記第1のバック・ゲートの上にある、前記第1のペアを形成することと、
第2のチャネル領域の両側にソース/ドレインの第2のペアを形成することであって、前記第2のチャネル領域が、前記第2のバック・ゲートの上にある、前記第2のペアを形成することと、
前記第1のチャネル領域および前記第2のチャネル領域上にゲート誘電体層を形成することと、
前記ゲート誘電体層上に仕事関数値を有する導電性ゲート層を形成することと、
前記導電性ゲート層上に強誘電体層を形成することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記強誘電体層上に導電性ゲート電極層を形成することをさらに含み、前記強誘電体層が、負性容量の範囲を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記導電性ゲート層が、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、チタン・アルミニウム(TiAl)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、窒化タンタル(TaN)、炭化タンタル(TaC)、窒化タングステン(WN)、チタン・アルミニウム窒化物(TiAlN)、およびその組合せから成るグループから選択された仕事関数材料である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のバック・ゲートに対する第1のバック・ゲート接点、および前記第2のバック・ゲートに対する第2のバック・ゲート接点を形成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの前記第1のペアのうちの1つの上の、および、前記第2のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの前記第2のペアのうちの1つの上のブリッジ接点を形成することをさらに含み、前記ブリッジ接点が、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を形成するために、ソース/ドレインの前記第1のペアのうちの前記1つと、ソース/ドレインの前記第2のペアのうちの前記1つとの間の電気的接続を形成する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電界効果トランジスタ(FET:field effect transistor)デバイスに関し、より詳細には、完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ(FD-SOI、FDSOI:fully depleted silicon-on-insulator)上の金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS:metal-ferroelectric-metal-insulator-semiconductor)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタ(FET)は、典型的には、ソース、チャネル、およびドレイン、ならびに、デバイス・チャネルを通る電流の流れを制御するゲートを有し、この場合、電流は、ソースからドレインに流れる。電界効果トランジスタ(FET)は、様々な異なる構造を有することができ、例えば、FETは、ソース、チャネル、およびドレインが基板材料自体に形成されて製造されたものであり、この場合、電流は、水平に(すなわち、基板の平面を)流れ、FinFETは、チャネルが基板から外側に延びる状態で形成されたものであるが、この場合、電流も、ソースからドレインに水平に流れる。FinFET用のチャネルは、基板の平面と平行の単一のゲートを有する金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal-oxide-semiconductor field effect transistor)と比較すると、一般にフィンと呼ばれ、フィン上にゲートを有する、薄い長方形シリコン(Si)の直立したスラブであることが可能である。ソースおよびドレインのドーピングに応じて、NFETまたはPFETが形成されることが可能である。2つのFETはまた、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal oxide semiconductor)回路を形成するように連結されることが可能であり、この場合、p型MOSFETおよびn型MOSFETが一緒に連結される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態によれば、電界効果トランジスタ(FET)デバイスが提供される。デバイスは、第1のバック・ゲートを第2のバック・ゲートから隔てる支持基板上の絶縁領域と、第1のチャネル領域および第2のチャネル領域上のゲート誘電体層とを含む。デバイスは、仕事関数値を有する導電性ゲート層、およびゲート誘電体層上の強誘電体層をさらに含み、第1のバック・ゲートが、第1のチャネル領域のための閾値電圧を調節することができ、第2のバック・ゲートが、第2のチャネル領域のための閾値電圧を調節することができる。
【0004】
本発明の別の実施形態によれば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路が提供される。デバイスは、支持基板と第1のバック・ゲートとの間の第1の誘電体層と、第1のバック・ゲート上の第1のチャネル領域上のゲート誘電体層とを含む。デバイスは、第1のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの第1のペアと、仕事関数値を有する導電性ゲート層、およびゲート誘電体層上の強誘電体層とをさらに含み、第1のバック・ゲートが、第1のチャネル領域のための閾値電圧を調節することができる。
【0005】
本発明のさらに別の実施形態によれば、電界効果トランジスタ(FET)デバイスを製造するための方法が提供される。方法は、支持基板上の第1の誘電体層と第2の誘電体層との間に第1のバック・ゲートおよび第2のバック・ゲートを形成することと、第1のチャネル領域の両側にソース/ドレインの第1のペアを形成することであって、第1のチャネル領域が、第1のバック・ゲートの上にある、第1のペアを形成することとを含む。方法は、第2のチャネル領域の両側にソース/ドレインの第2のペアを形成することであって、第2のチャネル領域が、第2のバック・ゲートの上にある、第2のペアを形成することと、第1のチャネル領域および第2のチャネル領域上にゲート誘電体層を形成することとをさらに含む。方法は、ゲート誘電体層上に仕事関数値を有する導電性ゲート層を形成することと、導電性ゲート層上に強誘電体層を形成することとをさらに含む。
【0006】
これらおよび他の特徴および利点は、添付の図面とともに読まれることになる、その例証的実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0007】
以下の説明は、以下の図を参照しながら、好ましい実施形態の詳細を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態による、支持基板上の第1の誘電体層、第1の誘電体層上の第1の半導体層、第1の半導体層上の第2の誘電体層、および第2の誘電体層上の第2の半導体層を有する基板を示す側断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、第1の誘電体層上に形成されたバック・ゲートのペア、および第2の誘電体層上に形成されたソース/ドレインのペアを示す側断面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、NFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスと、PFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスとを含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を示す側断面図である。
【
図4】本発明の実施形態による、NFET負性容量電界効果トランジスタ・デバイス、およびPFET負性容量電界効果トランジスタ・デバイスのためのソース/ドレインおよびゲート構造のレイアウトを示す上面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、ソース/ドレインおよびゲート構造への形成された電気接点を示す上面図である。
【
図6】本発明の実施形態による、ソース/ドレインおよびバック・ゲート接点を有する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路の側面を示す部分切断図である。
【
図7】本発明の実施形態による、チャネル領域の上のゲート構造、およびチャネル領域の下のバック・ゲートを示す、B-B平面に沿った側断面図である。
【
図8】本発明の実施形態による、NFETおよびPFETが、仕事関数材料を含むゲート構造を共有する場合の、V
t補正のないNFETゲート静電容量とPFETゲート静電容量との組合せについての静電容量マッチングを示すグラフである。
【
図9】本発明の実施形態による、NFETおよびPFETが、仕事関数材料を含むゲート構造を共有する場合の、適切なバック・ゲート・バイアスが適用されたNFETゲート静電容量とPFETゲート静電容量との組合せについての静電容量マッチングを示すグラフである。
【
図10】本発明の実施形態による、NFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスと、PFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスとを含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路のための製造プロセスを示すブロック/流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、NFETとPFETとの間の共有内部金属ゲート(IMG:internal metal gate)に加えて、別個のNFETおよびPFETバック・ゲートを有するFDSOI MFMIS NCFETを提供し、この場合、FETは、金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)ゲート構造を含む。別個のNFET/PFETバック・ゲートは、Vtメニュー両端間のNFETおよびPFET閾値電圧VtNおよびVtPのそれぞれを個別に調整するために使用されることが可能である。
【0010】
最も低いVtのペアは、ベストの相補型静電容量マッチングに最も極端なSSを提供することができる。本アプローチは、平行相補型FET静電容量を活用して、完全なVinスイープ範囲にわたる改善されたCgateとCFEとのマッチングを達成することができる。バック・ゲートは、NFETおよびPFETのVtを個別に調整して低いVtのペアを達成するために使用されることが可能である。これは、同じ誘電体スタックを有する独立したNCFET(非相補型FET)と比較して、改善された閾値下の揺れ(subthreshold swing)を提供することができる。バック・ゲート型構造を使用してVtを自由に変調すると、相補型静電容量マッチングを調整し、低いVt NFET/PFETのペアを提供することができる。相補型静電容量マッチングは、NCFET CMOSの閾値下の揺れを改善することができる。バック・ゲートのペアを使用してNFETとPFET両方の閾値電圧Vtを個別に調整すると、低いVtのペアを達成することができる。Vtのペアが低くなると、閾値下の揺れが極端になる。最も低いVtのペアは、最も極端な閾値下の揺れを有することができる。
【0011】
様々な実施形態では、相補型Cinvを使用すると、相補型デバイスの間の共有強誘電体(FE)層との、オフ状態での静電容量マッチングを達成することができる。
【0012】
強誘電体における負性容量は、自発的な分極の不完全なスクリーニングから生じる。強誘電体拘束電荷が金属スクリーニング電荷から物理的に分離すると、強誘電体の内側に脱分極フィールドを作り出し、分極を不安定化させる。負性容量は、強誘電体材料の相転移時の貯蔵エネルギーの力学から生じ、ゲート・スタックに統合されたとき、MOSデバイスの内部電圧を増幅させる。
【0013】
本発明が適用されることが可能な例示的な用途/使用目的は、CMOS回路を使用した論理デバイスおよびメモリ・デバイスを含むがこれらに限定されない。
【0014】
nチャネル・エンハンスメント・モード・デバイスでは、電導性チャネルは当然、トランジスタ内には存在せず、電導性チャネルを作り出すには正のゲートからソースへの電圧が必要である。完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ(FDSOI)デバイスでは、チャネル領域は、空乏化領域がチャネルの厚さ全体を覆うように、十分に薄い。空乏化領域は、可動電荷担体が電界の下で離れて移動した、電導性のドープ半導体材料内の絶縁領域である。空乏化領域は、すべての自由電荷担体を除去して、何にも電流を運ばせないことによって、電導領域から形成される。N型半導体は、P型半導体に比べて(伝導帯に)自由電子が多すぎ、P型半導体は、N型に比べて、(価電子帯に)正孔が多すぎる。大部分の電荷担体(N型半導体に対する自由電子、およびP型半導体に対する正孔)は、空乏化領域が空乏化した状態になる。
【0015】
CMOS集積回路の電力消費は、静的な電力消費および動的な電力消費を含み、ここで、静的な電力消費は、トランジスタがスイッチングのプロセス中でないときに使用される電力であって、漏洩電流を含み、動的な電力消費は、デバイスが論理状態を変化させる、すなわち「スイッチする」ときに消費される電力、および、負荷容量を充電するために使用される電力の量を含む。
【0016】
正電圧が電界効果トランジスタのゲートに印加された場合、ゲートに最も近い半導体における正電荷を帯びた正孔は、ゲート上の正電荷によって生成された電界によってはじかれる。はじかれた電荷担体は、可動正電荷担体がチャネル領域に残らないので、絶縁している空乏化領域から離れる。
【0017】
強誘電体における分極の不安定化は、実効負誘電率の原因となり、トランジスタのゲート・スタックに統合されたとき、差動電圧が増幅し、閾値下の揺れが低減する。ゲート・スタックは、もはやトランジスタの受動部分ではなく、信号増幅に寄与する。閾値下の揺れの低減の結果として、同じオン電流を提供するのに必要な供給電圧は低減される。
【0018】
従来のデバイスの最小閾値下の揺れは、
【数1】
であり、これは、熱イオン限界と呼ばれ、300Kでのドレインからソースへの電流に対して60mV/decである。
【0019】
閾値下勾配は、
【数2】
によって与えられ、ここで、Cdは、空乏化層容量であり、C
oxは、ゲート酸化物容量である。
【数3】
は、熱電圧である。
【0020】
本発明の態様は、所与の例証的アーキテクチャの観点から説明されるが、他のアーキテクチャ、構造、基板材料、ならびに、プロセス特徴およびステップが、本発明の態様の範囲内で変更可能であることを理解されたい。
【0021】
同様の数字が、同じまたは類似の要素を表す図面をこれから、および
図1を最初に参照すると、本発明の実施形態による、支持基板上の第1の誘電体層、第1の誘電体層上の第1の半導体層、第1の半導体層上の第2の誘電体層、および第2の誘電体層上の第2の半導体層を有する基板の側断面図が示されている。
【0022】
1つまたは複数の実施形態では、基板110は、支持基板120上の第1の誘電体層130、第1の誘電体層130上の第1の半導体層140、第1の半導体層140上の第2の誘電体層150、および第2の誘電体層150上の第2の半導体層160を含むことができる。支持基板120は、構造的一体性を他の層にもたらすことができる。様々な実施形態では、基板110は、完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ(FDSOI)基板であることが可能であり、この場合、誘電体層のうちの少なくとも1つが極薄であり、半導体層のうちの少なくとも1つが極薄である。
【0023】
様々な実施形態では、支持基板120は、例えば、シリコン(Si)およびゲルマニウム(Ge)といった、IV型半導体、例えば、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)および炭化ケイ素(SiC)といった、IV-IV型化合物半導体、例えば、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)といった、III-V型化合物半導体、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)および硫化亜鉛(ZnS)といった、III-V型化合物半導体、ならびにその組合せを含むがこれらに限定されない半導体材料であることが可能である。様々な実施形態では、支持基板110は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(AlO)、またはその組合せといった、電気絶縁誘電体材料であることが可能である。
【0024】
様々な実施形態では、第1の誘電体層130は、例えば、支持基板120上またはその中に形成された酸化ケイ素(SiO)でもよい、埋込み酸化物層(すなわち、BOX層)といった、埋込み絶縁体層であることが可能である。
【0025】
様々な実施形態では、第1の誘電体層130は、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より大きい高誘電率誘電体材料、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より小さい低誘電率誘電体材料(例えば、炭素ドープ酸化ケイ素(SiO:C))、およびその組合せを含むがこれらに限定されない絶縁誘電体材料から作られることが可能である。
【0026】
様々な実施形態では、第1の半導体層140は、第1の誘電体層130上にあることが可能である。様々な実施形態では、第1の半導体層140および第1の誘電体層130は、例えば、Smart Cut(R)プロセスによって、支持基板120上に形成されることが可能であり、または第1の誘電体層130は、SIMOX(R)プロセスを通じて基板内に形成されることが可能である。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、第2の誘電体層150は、第1の半導体層140上に形成されることが可能であり、第2の半導体層160は、例えば、Smart Cut(R)プロセスによって、第2の誘電体層150上に形成されることが可能である。
【0028】
様々な実施形態では、第1の半導体層140または第2の半導体層160あるいはその両方は、それぞれ、例えば、シリコン(Si)およびゲルマニウム(Ge)といった、IV型半導体、例えば、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)および炭化ケイ素(SiC)といった、IV-IV型化合物半導体、例えば、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)といった、III-V型化合物半導体、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)および硫化亜鉛(ZnS)といった、III-V型化合物半導体、ならびにその組合せを含むがこれらに限定されない半導体材料であることが可能である。
【0029】
様々な実施形態では、第2の誘電体層150は、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より大きい高誘電率誘電体材料、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より小さい低誘電率誘電体材料(例えば、炭素ドープ酸化ケイ素(SiO:C))、およびその組合せを含むがこれらに限定されない絶縁誘電体材料から作られることが可能である。
【0030】
図2は、本発明の実施形態による、第1の誘電体層上に形成されたバック・ゲートのペア、および第2の誘電体層上に形成されたソース/ドレインのペアを示す側断面図である。
【0031】
様々な実施形態では、絶縁領域170は、基板110内に形成されることが可能であり、この場合、絶縁領域170は、第1の誘電体層130、第1の半導体層140、第2の誘電体層150、および第2の半導体層160を通じて形成されることが可能である。絶縁領域170は、第1の誘電体層130、第1の半導体層140、第2の誘電体層150、および第2の半導体層160を通じたトレンチを形成し、電気絶縁誘電体材料でトレンチを充填することによって形成されることが可能である。
【0032】
様々な実施形態では、絶縁領域170は、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より大きい高誘電率誘電体材料、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より小さい低誘電率誘電体材料(例えば、炭素ドープ酸化ケイ素(SiO:C))、およびその組合せを含むがこれらに限定されない絶縁誘電体材料から作られることが可能である。
【0033】
様々な実施形態では、第1のバック・ゲート180は、第1の誘電体層130と第2の誘電体層150との間に形成されることが可能であり、この場合、第1のバック・ゲート180は、例えば、選択エッチング(例えば、湿式化学エッチング、ドライ・プラズマ・エッチング)によって、第1の半導体層140の一部分を除去することによって形成されることが可能である。第1の半導体層140の一部分の除去によって形成された空洞内に金属を堆積させることでき、または、エピタキシャル成長面に対して第1の半導体層140の残りの部分を使用したエピタキシャル・プロセスによってドープ半導体層(n型もしくはp型)を形成することができる。
【0034】
様々な実施形態では、第2のバック・ゲート190は、第1の誘電体層130と第2の誘電体層150との間に形成されることが可能であり、この場合、第2のバック・ゲート190は、第1の半導体層140の一部分を除去することによって形成されることが可能である。第2のバック・ゲート190は、第1のバック・ゲート180と反対側の、絶縁領域170の側面に形成されることが可能であり、この場合、絶縁領域170は、第2のバック・ゲート190を第1のバック・ゲート180から物理的かつ電気的に隔てる。
【0035】
様々な実施形態では、第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190は、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン・アルミニウム(TiAl)、例えば窒化チタン(TiN)といった電導性金属化合物、またはその組合せといった、金属導体であることが可能である。第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190は、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ助長ALD(PEALD)、低圧CVD(LPCVD)、およびその組合せによって形成されることが可能である。
【0036】
様々な実施形態では、第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190は、電導性であるように適切にドープされた半導体であることが可能であり、この場合、ドーパントは、例えば、リン(P)もしくはヒ素(As)といった、n型ドーパント、または、例えば、ホウ素(B)もしくはインジウム(In)といった、p型ドーパントであることが可能である。バック・ゲート180、190のようなドープ半導体を有する様々な実施形態では、第1の誘電体層130は、適切にカウンタ・ドープト井戸と置き換えられることが可能である。
【0037】
1つまたは複数の実施形態では、第1のドープ半導体領域200は、第2の誘電体層150上に形成されることが可能であり、この場合、第1のドープ半導体領域200は、第2の半導体層160上のドープされたエピタキシ、または第2の半導体層160もしくは第2の半導体層160上のエピタキシャル層のドーパント注入、あるいはその両方によって形成されることが可能である。様々な実施形態では、第1のドープ半導体領域200は、in situまたはex situで形成されることが可能である。様々な実施形態では、第1のドープ半導体領域200は、n型電界効果トランジスタ・デバイス、例えば、およびNFETを形成するために、nドープされることが可能である。
【0038】
1つまたは複数の実施形態では、第2のドープ半導体領域210は、第2の誘電体層150上に形成されることが可能であり、この場合、第2のドープ半導体領域210は、第2の半導体層160上のドープされたエピタキシ、または第2の半導体層160もしくは第2の半導体層160上のエピタキシャル層のドーパント注入、あるいはその両方によって形成されることが可能である。様々な実施形態では、第2のドープ半導体領域210は、in situまたはex situで形成されることが可能である。
【0039】
様々な実施形態では、第1のドープ半導体領域200および第2のドープ半導体領域210は、例えば、シリコン(Si)およびゲルマニウム(Ge)といった、IV型半導体、例えば、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)および炭化ケイ素(SiC)といった、IV-IV型化合物半導体、例えば、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)といった、III-V型化合物半導体、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)および硫化亜鉛(ZnS)といった、III-V型化合物半導体、ならびにその組合せを含むがこれらに限定されない半導体材料であることが可能である。様々な実施形態では、第2のドープ半導体領域210は、p型電界効果トランジスタ・デバイス、例えば、およびNFETを形成するために、pドープされることが可能である。n型およびp型電界効果トランジスタは、CMOS回路を形成するために電気的に連結されることが可能である。
【0040】
様々な実施形態では、第1のドープ半導体領域200および第2のドープ半導体領域210を電界効果トランジスタ・デバイスの他の層および他の構成要素から電気的に絶縁するために、第1の誘電体スラブ220および第2の誘電体スラブ230が、第2の誘電体層150上に形成されることが可能である。
【0041】
図3は、本発明の実施形態による、NFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスと、PFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスとを含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を示す側断面図である。
【0042】
1つまたは複数の実施形態では、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路100は、基板110の支持基板120上に形成されることが可能であり、この場合、CMOS回路は、n型電界効果トランジスタ(NFET)デバイスおよびp型電界効果トランジスタ(PFET)デバイスを含むことができる。n型電界効果トランジスタ(NFET)デバイスは、負性容量電界効果トランジスタ(NCFET)デバイスであることが可能であり、p型電界効果トランジスタ(PFET)デバイスは、負性容量電界効果トランジスタ(NCFET)デバイスであることが可能である。様々な実施形態では、NFETは、金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスであることが可能であり、PFETは、金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスであることが可能である。NFETおよびPFETは、完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ(FD-SOI、FDSOI)基板上にあることが可能である。
【0043】
様々な実施形態では、基板110は、例えば、支持基板120上の埋込み酸化物層(すなわち、BOX層)といった、埋込み絶縁体層でもよい第1の誘電体層130を有する完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ(FD-SOI、FDSOI)基板であることが可能であり、第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190が第1の誘電体層130上にある。第2の誘電体層150は、第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190上にあることが可能であり、この場合、第1の誘電体層130は、第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190を支持基板120から電気的に絶縁し、第2の誘電体層150は、第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190を、上にある第1のチャネル領域240または第2のチャネル領域250あるいはその両方から電気的に絶縁する。
【0044】
様々な実施形態では、第1のバック・ゲート180は、基板110の第1の領域上に形成された電界効果トランジスタのバック・ゲートを形成することができ、第2のバック・ゲート190は、基板110の第2の領域上に形成された電界効果トランジスタのバック・ゲートを形成することができる。様々な実施形態では、第1の領域上に形成された電界効果トランジスタは、NFETであることが可能であり、第2の領域上に形成された電界効果トランジスタは、PFETであることが可能である。
【0045】
様々な実施形態では、第2の誘電体層150は、電界効果トランジスタ・デバイスのソース/ドレイン、ゲート構造、およびチャネル領域を、下にあるバック・ゲート180、190から電気的に絶縁することができる。第2の誘電体層150は、基板110の元の層でもよく、例えば、原子層堆積(ALD)、プラズマ助長ALD(PEALD)、低圧化学気相堆積(LPCVD)、およびその組合せといった、コンフォーマル堆積によって形成されてもよい。様々な実施形態では、第2の誘電体層150は、例えば、Smart Cut(R)プロセスによる、ウエハ・ボンディングによって形成されることが可能である。
【0046】
様々な実施形態では、第1のチャネル領域240は、第2の誘電体層150上の第2の半導体層160の一部分であることが可能である。様々な実施形態では、第1のチャネル領域240は、第2の誘電体層150上にあることが可能であり、この場合、第1のチャネル領域240は、第2の誘電体層150上の第2の半導体層160から形成されることが可能である。第1のチャネル領域240は、第2の半導体層160上でのエピタキシャル成長プロセスによって形成されてもよい。
【0047】
様々な実施形態では、第2のチャネル領域250は、第2の誘電体層150上の第2の半導体層160の一部分であることが可能である。様々な実施形態では、第2のチャネル領域250は、第2の誘電体層150上にあることが可能であり、この場合、第2のチャネル領域250は、第2の誘電体層150上の第2の半導体層160から形成されることが可能である。第2のチャネル領域250は、第2の半導体層160上のエピタキシャル成長プロセスによって形成されてもよい。
【0048】
様々な実施形態では、第1のチャネル領域240および第2のチャネル領域250は、例えば、シリコン(Si)およびゲルマニウム(Ge)といった、IV型半導体、例えば、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)および炭化ケイ素(SiC)といった、IV-IV型化合物半導体、例えば、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)といった、III-V型化合物半導体、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)および硫化亜鉛(ZnS)といった、III-V型化合物半導体、ならびにその組合せを含むがこれらに限定されない半導体材料であることが可能である。
【0049】
様々な実施形態では、第2の誘電体層150は、約2ナノメートル(nm)から約20nmまで、または約2nmから約10nmまで、または約3nmから約5nmまでの範囲の厚さを有することができるが、他の厚さも意図される。第2の誘電体層150の厚さは、集積回路(IC)チップが利用可能な電源電圧で、上にあるNFETまたはPFETデバイスの閾値電圧Vtを調整するのに十分な電圧感度も提供すると同時に、バック・ゲート180、190と、デバイス・ソース/ドレイン200、210、またはチャネル領域240、250、あるいはその両方との間の漏洩電流を防ぐのに十分である可能性がある。
【0050】
様々な実施形態では、第1の誘電体スラブ220および第2の誘電体スラブ230は、第2の誘電体層150上に形成され、第1のチャネル領域240および第2のチャネル領域250を、電界効果トランジスタ・デバイスの他の層および他の構成要素から電気的に絶縁することが可能である。
【0051】
様々な実施形態では、第1の誘電体スラブ220および第2の誘電体スラブ230は、それぞれ、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より大きい高誘電率誘電体材料、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より小さい低誘電率誘電体材料(例えば、炭素ドープ酸化ケイ素(SiO:C))、およびその組合せを含むがこれらに限定されない絶縁誘電体材料から作られることが可能である。第1の誘電体スラブ220および第2の誘電体スラブ230は、第2の誘電体層150と同じ誘電体材料であることが可能であり、または、選択エッチングを可能にするために異なる誘電体材料であることが可能である。
【0052】
1つまたは複数の実施形態では、絶縁領域170は、基板110の支持基板120上に形成されることが可能であり、この場合、絶縁領域170は、第1のバック・ゲート180を第2のバック・ゲート190から物理的かつ電気的に隔てること、および、第1のチャネル領域240を第2のチャネル領域250から物理的かつ電気的に隔てることができる。絶縁領域170は、第2の誘電体層150、バック・ゲート180、190、および第1の誘電体層130を通って支持基板120の表面まで形成されることが可能である。様々な実施形態では、絶縁領域170は、シャロー・トレンチ・アイソレーション領域であることが可能である。
【0053】
1つまたは複数の実施形態では、ゲート誘電体層260は、NFETおよびPFETのためのソース/ドレイン200、210およびチャネル領域240、250上に形成されることが可能である。ゲート誘電体層260は、絶縁領域170の上面にまたがって形成されることが可能であり、この場合、ゲート誘電体層260は、ソース/ドレイン200(例えば、nドープされたソース/ドレイン)を、ソース/ドレイン200(例えば、pドープされたソース/ドレイン)から電気的に絶縁するのを支援する。ゲート誘電体層260は、例えば、原子層堆積(ALD)、プラズマ助長ALD(PEALD)、または低圧CVD(LPCVD)といった、コンフォーマル堆積によって形成されることが可能である。
【0054】
様々な実施形態では、ゲート誘電体層260は、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、高誘電率誘電体材料、およびその組合せを含むがこれらに限定されない絶縁誘電体材料から作られることが可能である。様々な実施形態では、高誘電率誘電体は、例えば、酸化ハフニウム(HfO)、ケイ酸ハフニウム(HfSiO)、ハフニウム・シリコン酸窒化物(HfSiON)、酸化ランタン(LaO)、ランタン・アルミニウム酸化物(LaAlO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ケイ酸ジルコニウム(ZrSiO)、ジルコニウム・シリコン酸窒化物(ZrSiON)、酸化タンタル(TaO)、酸化チタン(TiO)、チタン酸バリウム・ストロンチウム(BaSrTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化イットリウム(YO)、酸化アルミニウム(AlO)、タンタル酸鉛スカンジウム(PbScTaO)、およびニオブ酸鉛亜鉛(PbZnNbO)といった金属酸化物を含むことができる。高誘電率材料は、ランタン、アルミニウム、マグネシウム、またはその組合せなどのドーパントをさらに含んでもよい。様々な実施形態では、ゲート誘電体層260は、例えば、二酸化ハフニウム(HfO2)上に二酸化ケイ素(SiO2)といった、誘電体材料の複数の層を含むことができる。
【0055】
様々な実施形態では、ゲート誘電体層260は、約1nmから約3nmまでの範囲、または約2nmの厚さを有することができるが、他の厚さも意図される。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、導電性ゲート層270は、ゲート誘電体層260上に形成されることが可能であり、この場合、導電性ゲート層270は、例えば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、チタン・アルミニウム(TiAl)、例えば、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、窒化タンタル(TaN)、炭化タンタル(TaC)、窒化タングステン(WN)、チタン・アルミニウム窒化物(TiAlN)といった、金属化合物、およびその組合せといった、金属であることが可能な仕事関数材料であることが可能である。導電性ゲート層270は、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ助長ALD(PEALD)、およびその組合せによって形成されることが可能である。
【0057】
様々な実施形態では、最低Vtデバイスは、約4.3から約4.4eVまでのNFET仕事関数、および約4.8から約4.9eVまでのPFET仕事関数を有することができる。様々な実施形態では、導電性ゲート層270は、約4.3から約4.9eVまでの範囲の仕事関数を有することができ、これは、NFETとPFET両方のための共有内部金属ゲート(IMG)として機能することができる。様々な実施形態では、バック・ゲート180、190から調整するVtは、NFETもしくはPFETまたは両方に適切なVtを得るように印加された電圧を使用することによって、同じ範囲をカバーすることができる。
【0058】
1つまたは複数の実施形態では、NFETとPFET両方のために同じ導電性ゲート層270が使用され、NFETまたはPFETあるいはその両方のゲートの一方または両方の閾値電圧が高くなる。NFETとPFET両方のゲートに中間仕事関数値を提供する導電性ゲート層270の材料を選択すると、ゲートと強誘電体層280との間の相補型静電容量マッチング低減させることができる。第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190は、NFETおよびPFETの閾値電圧Vtの個々の調整をNFETおよびPFETが行うように、別個のバック・ゲートとして機能することができる。これは、最も極端な閾値下の揺れも提供すると同時に、相補型静電容量マッチングを提供することができる。
【0059】
非限定的な例示的実施形態では、共有IMGは、意図される閾値電圧を達成するために、NFETとPFET両方のVtが約0.3Vだけ調整される(例えば、低減される)約4.6eVのミッドギャップ仕事関数を有することができる。別の非限定的な例示的実施形態では、共有IMGは、意図される範囲の1つのエンドにおける仕事関数(例えば、NFET仕事関数金属に対して4.3eV、またはPFET仕事関数金属に対して4.9eV)を有することができ、相補型FETは、したがって、約0.6Vだけ調整/低減された閾値電圧Vtを有するはずである(例えば、共有IMGが4.9eVの所定の仕事関数を有する場合、PFETの閾値電圧Vtは、変化しないままであり、NFETの閾値電圧Vtは、約0.6Vだけ調節される)。
【0060】
様々な実施形態では、導電性ゲート層270は、約1nmから約10nmまで、または約3nmから約5nmまでの範囲の厚さを有することができるが、他の厚さも意図される。導電性ゲート層270の厚さは、静電容量を最小化すると同時に、連続層を形成するのに十分である可能性がある。
【0061】
1つまたは複数の実施形態では、強誘電体(FE)層280は、導電性ゲート層270上に形成されることが可能であり、この場合、強誘電体層280は、物理気相成長(PVD)、化学気相堆積(CVD)、プラズマ助長CVD(PECVD)、およびその組合せによって形成されることが可能である。
【0062】
様々な実施形態では、強誘電体層280は、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ハフニウム・ジルコニウム酸化物(HZO)、ケイ酸ハフニウム(HfSiOx)、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、チタン酸ビスマス(BiTiO)、およびその組合せを含むがこれらに限定されない強誘電体材料であることが可能である。強誘電体層280は、導電性ゲート層270によってゲート電極が形成される前に負性容量を層に提供し、この場合、負性容量は、オン電流とオフ電流(Ion/Ioff)の閾値下勾配および比率を改善することができる。これは、デバイスの閾値下領域における漏洩電流を低減させることができる。
【0063】
1つまたは複数の実施形態では、導電性ゲート電極層290は、強誘電体層280上に形成されることが可能であり、この場合、導電性ゲート電極層290は、例えば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、チタン・アルミニウム(TiAl)、例えば、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、窒化タンタル(TaN)、炭化タンタル(TaC)、窒化タングステン(WN)、チタン・アルミニウム窒化物(TiAlN)といった、金属化合物、およびその組合せといった、金属であることが可能である。
【0064】
様々な実施形態では、導電性ゲート電極層290は、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ助長ALD(PEALD)、低圧CVD(LPCVD)、およびその組合せによって形成されることが可能である。導電性ゲート電極層290は、異なる金属または金属化合物あるいはその両方の複数の電導層を有することができる。
【0065】
1つまたは複数の実施形態では、ゲート構造は、金属290/強誘電体280/金属270/誘電体260の連続スタックを含むことができ、この場合、ゲート構造は、CMOS回路のNFETとPFET両方の上にある。ゲート構造は、第1のチャネル領域240および第2のチャネル領域250の上にあり、共有ゲート構造を形成するように絶縁領域170にまたがることが可能である。ゲート構造層の組合せは、負性容量ゲート構造を提供することができ、共有ゲート構造は、適切な静電容量マッチングを提供することができる。
【0066】
様々な実施形態では、ゲート側壁スペーサ300は、導電性ゲート電極層290上に形成され、NFETおよびPFETのゲート構造を囲むことが可能である。様々な実施形態では、ゲート側壁スペーサ300は、コンフォーマル堆積(例えば、ALD、PEALD)によって形成され、選択的指向性エッチング(selective directional etch)または化学/機械研磨(CMP)あるいはその両方を使用して、エッチング・バックされることが可能である。ゲート側壁スペーサ300は、例えば、窒化ケイ素(SiN)または酸窒化ケイ素(SiON)、シリコン・ボロン炭窒化物(SiBCN)、およびその組合せといった、誘電体材料であることが可能である。
【0067】
図4は、本発明の実施形態による、NFET負性容量電界効果トランジスタ・デバイス、およびPFET負性容量電界効果トランジスタ・デバイスのためのソース/ドレインおよびゲート構造のレイアウトを示す上面図である。
【0068】
様々な実施形態では、第1のドープ半導体領域200は、第1のチャネル領域240の両側に第1のソース/ドレイン203を形成することができ、第2のドープ半導体領域210は、第2のチャネル領域250の両側に第2のソース/ドレイン213を形成することができ、この場合、ソース/ドレイン203、213およびチャネル領域240、250は、絶縁領域170に隣接し、絶縁領域170と平行に並べられることが可能である。様々な実施形態では、第1のソース/ドレイン203は、n型ソース/ドレインであることが可能であり、第2のソース/ドレイン213は、p型ソース/ドレインであることが可能であり、NFETおよびPFETをそれぞれ形成する。第1の誘電体スラブ220は、第1のソース/ドレイン203に隣接していることが可能であり、第2の誘電体スラブ230は、第2のソース/ドレイン213に隣接していることが可能である。ゲート側壁スペーサ300は、第1および第2の誘電体スラブ220、230、ならびに絶縁領域170上にあることが可能である。
【0069】
様々な実施形態では、導電性ゲート電極層290およびゲート側壁スペーサ300を含むゲート構造は、チャネル領域240、250上に、および絶縁領域170にまたがって延びることができる。
【0070】
図5は、本発明の実施形態による、ソース/ドレインおよびゲート構造への形成された電気接点を示す上面図である。
【0071】
様々な実施形態では、第1のソース/ドレイン203のうちの1つと、第2のソース/ドレイン213のうちの1つとの間に、ブリッジ接点310が形成されることが可能であり、この場合、第1のソース/ドレイン203および第2のソース/ドレイン213は、ゲート構造の同じ側面にあることが可能である。ブリッジ接点310は、例えば、タングステン(W)といった、電導性金属であることが可能である。
【0072】
様々な実施形態では、第1のバック・ゲート接点320が、第1のバック・ゲート180に対して形成されることが可能である。第1のバック・ゲート接点320は、第1のバック・ゲート180に電圧を供給するように構成されることが可能である。
【0073】
様々な実施形態では、第2のバック・ゲート接点330が、第2のバック・ゲート190に対して形成されることが可能である。第2のバック・ゲート接点330は、第2のバック・ゲート190に電圧を供給するように構成されることが可能である。
【0074】
様々な実施形態では、第1のソース/ドレイン接点340が、第1のソース/ドレイン203のうちの他の1つに対して形成されることが可能であり、第2のソース/ドレイン接点350が、第2のソース/ドレイン213のうちの他の1つに対して形成されることが可能である。
【0075】
様々な実施形態では、ゲート接点が、ゲート構造に対して形成されることが可能である。
【0076】
電気接点の配置は、NFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスと、PFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスとを含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を形成するように構成されることが可能である。
【0077】
図6は、本発明の実施形態による、ソース/ドレインおよびバック・ゲート接点を有する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路の側面を示す部分切断図である。
【0078】
様々な実施形態では、ブリッジ接点310、第1のバック・ゲート接点320、第2のバック・ゲート接点330、第1のソース/ドレイン接点340、第2のソース/ドレイン接点350、およびゲート接点は、FETデバイスの対応する構成要素との電気接点におけるビア、およびビアとの電気接点における電導線を含むことができる。
図6では、ブリッジ接点310は、ゲート構造の前に示されている。
【0079】
様々な実施形態では、第1の誘電体層130および第2の誘電体層150は絶縁領域170とともに、第1のバック・ゲート180を包んで、n型ソース/ドレイン203の下に埋設されたバック・ゲートを形成することができる。
【0080】
様々な実施形態では、第1のバック・ゲート接点320および第2のバック・ゲート接点330は、それぞれ、銅(Cu)、タングステン(W)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、およびその組合せを含むがこれらに限定されない導電性材料であることが可能である。バック・ゲート接点320、330は、層間絶縁(ILD:interlayer dielectric)層400、および第1の誘電体スラブ220または第2の誘電体スラブ230を通って、第1のバック・ゲート180または第2のバック・ゲート190とそれぞれ電気的に接触することができる。
【0081】
様々な実施形態では、層間絶縁(ILD)層400は、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より大きい高誘電率誘電体材料、誘電率が二酸化ケイ素(SiO2)より小さい低誘電率誘電体材料(例えば、炭素ドープ酸化ケイ素(SiO:C))、およびその組合せを含むがこれらに限定されない絶縁誘電体材料から作られることが可能である。
【0082】
図7は、本発明の実施形態による、チャネル領域の上のゲート構造、およびチャネル領域の下のバック・ゲートを示す、B-B平面に沿った側断面図である。
【0083】
1つまたは複数の実施形態では、第2のバック・ゲート190は、第1の半導体層140内に形成されることが可能であり、この場合、第2のバック・ゲート190は、第1の誘電体層130と第2のチャネル領域250との間にある。第2のバック・ゲート190は、第2のチャネル領域250の下、および第2のソース/ドレイン213の間にあることが可能である。ブリッジ接点310の一部分は、ゲート構造の第1の側面の第2のソース/ドレイン213上にあることが可能であり、第2のソース/ドレイン接点350は、ゲート構造の反対側の第2のソース/ドレイン213上にあることが可能である。
【0084】
1つまたは複数の実施形態では、金属290/強誘電体280/金属270/誘電体260のゲート・スタックは、PFETの第2のチャネル領域250上にあることが可能である。様々な実施形態では、ゲート側壁スペーサ300の一部分は、第2のソース/ドレイン213上にあることが可能である。
【0085】
様々な実施形態では、第2のソース/ドレイン接点350が、PFETのソース/ドレイン213に対して形成されることが可能であり、第1のソース/ドレイン接点340が、NFETのソース/ドレイン203に対して形成されることが可能である。
【0086】
1つまたは複数の実施形態では、第1のバック・ゲート180および上にあるデバイス構成要素は、第2のバック・ゲート190および上にあるデバイスについて示された構成と同じ構成を有することができる。
【0087】
様々な実施形態では、第1のソース/ドレイン接点340が、NFETのゲート構造の1つの側面の第1のソース/ドレイン203に対して形成されることが可能である。
【0088】
図8は、本発明の実施形態による、NFETおよびPFETが、仕事関数材料を含むゲート構造を共有する場合の、Vt補正のないNFETゲート静電容量とPFETゲート静電容量との組合せについての静電容量マッチングを示すグラフである。
【0089】
MOSトランジスタのゲート・スタックと接続された強誘電体キャパシタは、CFEとCMOSとの間の直列接続を作り出す。強誘電体の負性容量は、適切な値の正のキャパシタと直列で置かれたときに安定されることが可能である。負性容量を達成するために、ベースライン・トランジスタの充電線(charge line)は、分極の負の傾きとの交点を有することができる。したがって、CFEの負の値は、CMOSとうまくマッチするはずである。これにより、平行相補型FET容量を活用して、完全なVinのスイープ範囲にわたる改善されたCgateとCFEとのマッチングを達成することができる。
【0090】
図8は、Vt補正のないNFETゲート静電容量とPFETゲート静電容量との組合せについての静電容量マッチング(例えば、バック・ゲート・バイアスのないミッドギャップ内部金属ゲート仕事関数約4.6eV)を示す。
【0091】
様々な実施形態では、導電性ゲート層270は、NFETとPFET両方の間の共有仕事関数を有する内部金属ゲート(IMG)である。1つまたは複数の実施形態では、導電性ゲート層270の仕事関数は、強誘電体層280の静電容量とマッチするように、NFETおよびPFETデバイスの他のパラメータと組み合わせて選択されることが可能である。導電性ゲート層270の選択された仕事関数値は、NFETおよびPFETのC-V曲線のいくらかの分離を生じることになる。静電容量「マッチング」は、誘電体および強誘電体材料ならびに厚さの選択肢から生じる。共有C-V曲線を平らにするために、NFETおよびPFETのVtを低減させることによる相補型静電容量マッチングでこれを補足することができる。組み合わされたゲート静電容量は、PFETゲート静電容量とNFETゲート静電容量との合計である。これらのゲート静電容量のそれぞれは、強誘電体層280の静電容量と直列であることが可能である。
【0092】
図9は、本発明の実施形態による、NFETおよびPFETが、仕事関数材料を含むゲート構造を共有する場合の、適切なバック・ゲート・バイアスが適用されたNFETゲート静電容量とPFETゲート静電容量との組合せについての静電容量マッチングを示すグラフである。
【0093】
様々な実施形態では、第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190は、Vtを個別に調整することによって共有C-V曲線を平らにするために、NFETとPFETのどちらかまたは両方に、適切なバック・ゲート・バイアスを印加するために使用されることが可能である。
【0094】
図10は、本発明の実施形態による、NFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスと、PFET金属強誘電体金属絶縁体半導体(MFMIS)負性容量電界効果トランジスタ・デバイスとを含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路のための製造プロセスを示すブロック/流れ図である。
【0095】
ブロック910において、第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190が、第1の半導体層140内、および第1の誘電体層130上に形成されることが可能である。第1のバック・ゲート180および第2のバック・ゲート190は、半導体層140の一部分を、金属またはドープ半導体材料と置き換えることによって形成されることが可能である。
【0096】
ブロック920において、ダミーのゲート誘電体層が、第1のチャネル領域240または第2のチャネル領域250あるいはその両方になる第2の半導体層160の領域上に形成されることが可能である。
【0097】
ブロック930において、ダミーのゲートおよびゲート側壁スペーサ300が、ダミーのゲート誘電体層上に形成されることが可能である。
【0098】
ブロック940において、ソース/ドレイン203の第1のペア、およびソース/ドレイン213の第2のペアが、ダミーのゲートおよび側壁スペーサの両側の第2の半導体層160内に形成されることが可能である。ソース/ドレイン203の第1のペア、およびソース/ドレイン213の第2のペアは、第1のチャネル領域240または第2のチャネル領域250あるいはその両方の両側の第2の半導体層160の領域へのドーパント注入によって形成されることが可能である。
【0099】
ブロック950において、ダミーのゲートおよびダミーのゲート誘電体層が、選択エッチングを使用して除去されることが可能である。
【0100】
ブロック960において、ゲート誘電体層260が、ゲート側壁スペーサ300内の第2の半導体層160上に形成されることが可能である。
【0101】
ブロック970において、導電性ゲート層270が、ゲート側壁スペーサ300内のゲート誘電体層260上に形成されることが可能である。
【0102】
ブロック980において、強誘電体層280が、導電性ゲート層270上に形成されることが可能である。
【0103】
ブロック990において、導電性ゲート電極層290が、強誘電体層280上に形成されることが可能である。
【0104】
ILD層400が、基板上に形成された特徴の表面上に形成されることが可能である。
【0105】
様々な実施形態では、ブリッジ接点310、第1のバック・ゲート接点320、第2のバック・ゲート接点330、第1のソース/ドレイン接点340、第2のソース/ドレイン接点350、およびゲート接点が、それぞれのデバイス特徴に対してILD層内に形成されることが可能である。
【0106】
「ゲート・ファースト」プロセス・フローを使用して、最終的な構造を同様に作ることができる。
【0107】
本実施形態は、集積回路チップのデザインを含むことができ、これは、グラフィカル・コンピュータ・プログラミング言語で作られ、(ディスク、テープ、物理ハード・ドライブ、または、ストレージ・アクセス・ネットワークなどの仮想ハード・ドライブなどの)コンピュータ・ストレージ媒体に格納されることが可能である。設計者が、チップを製造するために使用されるチップまたはフォトリソグラフィ・マスクを製造しない場合、設計者は、物理的な手段で(例えば、デザインを格納するストレージ媒体のコピーを提供することによって)、または電子的に(例えば、インターネットを通じて)、結果として生じたデザインをこのようなエンティティに直接的または間接的に伝送することができる。格納されたデザインは、次いで、ウエハ上に形成されることになる当該のチップ・デザインの複数のコピーを典型的に含む、フォトリソグラフィ・マスクの製造に適切なフォーマット(例えば、GDSII)にコンバートされる。フォトリソグラフィ・マスクは、エッチングされるか、そうでなければ加工されることになる、ウエハのエリア(またはその上の層あるいはその両方)を定義するために利用される。
【0108】
本明細書で説明されるような方法は、集積回路チップの製造時に使用されることが可能である。結果として生じた集積回路チップは、未加工ウエハ形状で(すなわち、複数のパッケージ化されていないチップを有する単一のウエハとして)、ベア・ダイとして、またはパッケージ化された形状で、製造者によって配布されることが可能である。後者のケースでは、チップは、(マザーボードもしくは他のより高いレベルのキャリアに貼られた導線を有するプラスチック・キャリアなどの)単一のチップ・パッケージ内、または、(表面相互接続もしくは埋設された相互接続のどちらかもしくは両方を有するセラミックス・キャリアなどの)マルチチップ・パッケージ内に取り付けられる。いずれのケースでも、チップは、次いで、(a)マザーボードなどの中間製品、または(b)最終製品、どちらかの一部として、他のチップ、個別の回路素子、または他の信号処理デバイス、あるいはその組合せと、統合される。最終製品は、玩具および他の低価格のアプリケーションから、ディスプレイ、キーボードまたは他の入力デバイス、および中央プロセッサを有する先進的なコンピュータ製品に及ぶ、集積回路チップを含む任意の製品であることが可能である。
【0109】
材料化合物は、例えばSiGeといった、列挙された要素の観点で説明されることも理解されたい。これらの化合物は、化合物の要素の異なる比率を含み、例えば、SiGeは、SixGe1-xを含み、ここで、xは1以下である。追加として、本原理に応じて、他の要素が化合物に含まれ、依然として機能することが可能である。追加の要素を含む化合物は、本明細書では、合金と呼ばれることになる。
【0110】
「1つの実施形態(one embodiment)」または「1つの実施形態(an embodiment)」およびこれらの他の変形形態への本明細書における言及は、実施形態とともに説明される特定の特徴、構造、特性などが、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所に現れる「1つの実施形態では(in one embodiment)」または「1つの実施形態では(in an embodiment)」という句、およびこれらの変形形態の出現は、必ずしも同じ実施形態へのすべての参照というわけではない。
【0111】
例えば、「A/B」、「Aおよび/またはB」ならびに「AおよびBのうちの少なくとも1つ」のケースにおける、以下の「/」、「および/または」、ならびに「のうちの少なくとも1つ」のいずれかの使用は、第1の列挙されたオプション(A)のみの選択、または第2の列挙されたオプション(B)のみの選択、または両方のオプション(AおよびB)の選択を包含することが意図されることを認識されたい。さらなる例として、「A、B、および/またはC」ならびに「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」のケースでは、このような言い回しは、第1の列挙されたオプション(A)のみの選択、または第2の列挙されたオプション(B)のみ選択、または第3の列挙されたオプション(C)のみの選択、または第1と第2の列挙されたオプション(AおよびB)のみの選択、または第1と第3の列挙されたオプション(AおよびC)のみの選択、または第2と第3の列挙されたオプション(BおよびC)のみの選択、または3つすべてのオプション(AおよびBおよびC)の選択を包含することが意図される。これは、当業者によって容易に明らかであるように、列挙された項目の分だけ、拡張されることが可能である。
【0112】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態だけを説明するためのものであり、実例の実施形態の限定であることを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、別途文脈が明らかに指示しない限り、複数形を同様に含むことを意図するものである。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、または「含む(including)」という用語、あるいはその組合せは、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、または構成要素、あるいはその組合せの存在を指定するが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、またはそのグループ、あるいはその組合せの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0113】
「下(beneath)」、「下(below)」、「より低い(lower)」、「上(above)」、「上(upper)」、および同様のものなどの空間関連の用語は、図に示されたような、1つの要素または特徴の、別の要素または特徴との関係を説明するための説明の容易さのために本明細書で使用されることが可能である。空間関連の用語は、図に描写された向きに加えて、使用または動作時のデバイスの種々の向きを包含することが意図されることが理解されよう。例えば、図のデバイスが反転された場合、他の要素または特徴の「下(below)」または「下(beneath)」と説明される要素は、したがって、他の要素または特徴の「上(above)」に向けられるはずである。したがって、「下(below)」という用語は、上と下という向きの両方を包含することができる。デバイスは、その他の場合は、向けられる(90度または他の向きに回転される)ことが可能であり、本明細書で使用される空間関連の記述語は、適宜解釈されることが可能である。追加として、層が2つの層「の間に」あると言及されるとき、これは、2つの層の間にただ1つの層があることが可能であり、または1つもしくは複数の介在層も存在することが可能であるということも理解されよう。
【0114】
様々な要素を説明するために、第1、第2などの用語が本明細書で使用されることがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきでないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するために使用されるだけである。したがって、下記で論じられる第1の要素は、本概念の範囲から逸脱することなく、第2の要素と呼ばれてもよい。
【0115】
層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上(on)」または「上(over)」にあると言及されるとき、これは、直接的に他の要素の上にあることが可能であり、または、介在する要素が存在することも可能であることも理解されよう。対照的に、要素が、別の要素の「直接的に上(on)」または「直接的に上(over)」にあると言及されるとき、介在する要素は存在しない。要素が、別の要素に「接続される」または「連結される」と言及されるとき、これは、他の要素に直接的に接続もしくは連結されることが可能であり、または介在する要素が存在することが可能であることも理解されよう。対照的に、要素が、別の要素に「直接的に接続される」または「直接的に連結される」と言及されるとき、介在する要素は存在しない。
【0116】
(例証的であること、および限定でないことが意図される)デバイスおよびデバイスを製造する方法の好ましい実施形態を説明してきたが、上記の教示に照らして当業者によって修正および変更が行われることが可能であることが指摘される。したがって、添付の特許請求の範囲によって概説されるような、本発明の範囲内にある開示された特定の実施形態の変更が行われてもよいことを理解されたい。このように、特許法で求められるように詳細かつ具体的に本発明の態様を説明してきたが、特許証によって保護される、請求されるものおよび望まれるものが、添付の特許請求の範囲に示される。
【0117】
本発明の好ましい実施形態では、支持基板と第1のバック・ゲートとの間の第1の誘電体層と、第1のバック・ゲート上の第1のチャネル領域上のゲート誘電体層と、第1のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの第1のペアと、仕事関数値を有する導電性ゲート層、およびゲート誘電体層上の強誘電体層とを備え、第1のバック・ゲートが、第1のチャネル領域のための閾値電圧を調節することができる、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路が提供される。回路は、第1の誘電体層上の第2のバック・ゲート、および第2のバック・ゲート上の第2のチャネル領域をさらに備えることができる。回路は、第2のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの第2のペアをさらに備えることができ、ソース/ドレインの第1のペアが、nドープされ、ソース/ドレインの第2のペアが、pドープされる。回路は、第1のバック・ゲートを第2のバック・ゲートから隔て、第1のチャネル領域を第2のチャネル領域から隔てる支持基板上の絶縁領域をさらに備えることができる。ゲート誘電体層は、第1のチャネル領域および第2のチャネル領域上にあることが可能である。導電性ゲート層は、4.3から4.9eVまでの範囲の所定の仕事関数値を有することができる。回路は、第1のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの第1のペアのうちの1つの上の、および、第2のチャネル領域の両側にあるソース/ドレインの第2のペアのうちの1つの上のブリッジ接点をさらに備えることができ、ブリッジ接点が、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を形成するために、ソース/ドレインの第1のペアのうちの1つと、ソース/ドレインの第2のペアのうちの1つとの間の電気的接続を形成する。
【国際調査報告】