(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】1または複数のポリアミン及びヒドロキシアセトンを含む、複合品用のバインダー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/00 20060101AFI20240105BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20240105BHJP
C08K 5/21 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K5/07
C08K5/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023538830
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2021087430
(87)【国際公開番号】W WO2022136614
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ゲレオン・アントニウス・ゾマー
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・シェル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ヴァインケッツ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ピエール・ベルカン・リンドナー
(72)【発明者】
【氏名】ダグマー・パスカル・クンスマン-カイテル
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ルンクヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト・ツエルプ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CL011
4J002CL031
4J002CL051
4J002CL091
4J002CM011
4J002CM051
4J002EE036
4J002FD206
4J002GF00
4J002GJ01
4J002GL00
(57)【要約】
本発明は、a)第一級および/または第二級アミノ基を有する1または複数のポリマーA1を含む成分Aであって、1または複数のポリマーA1の第一級および第二級アミン基の窒素含有量(NCps)が少なくとも1質量%である、成分Aと、b)ヒドロキシアセトンを含む成分Bとを含むバインダー組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第一級および/または第二級アミノ基を有する1または複数のポリマーA1を含む成分Aであって、1または複数のポリマーA1のNC
psが少なくとも1質量%である成分Aおよび
b)ヒドロキシアセトンを含む成分B
を含むバインダー組成物。
【請求項2】
1または複数のポリマーA1の総重量平均分子量M
w,totalが、少なくとも800g/mol、好ましくは最大でも20,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,000g/mol、好ましくは最大でも10,000g/molである、請求項1に記載のバインダー組成物。
【請求項3】
1または複数のポリマーA1の各ポリマーが分岐ポリマーである、請求項1又は2に記載のバインダー組成物。
【請求項4】
前記1または複数の分岐ポリマーが、少なくとも0.05の分岐度(DB)を有する、請求項3に記載のバインダー。
【請求項5】
前記1または複数のポリマーA1が、
(i)ポリアルキレンイミン、
(ii)ポリアミド、
(iii)ポリアルキレンイミンセグメントとポリアミドセグメントを含むブロックコポリマー
(iv)ポリアルキレンイミンセグメントとポリアミドセグメントを含むグラフトコポリマーおよび
(v)(i)、(ii)、(iii)、および(iv)の少なくとも2つの混合物
からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項6】
1または複数のポリマーA1が、
(i)アミノ酸、好ましくは少なくとも2つのアミノ基を含むアミノ酸、ならびに/あるいは
(ii)少なくとも2つのアミノ基を含むアミンであって、アミノ酸ではないアミン、およびアミノ酸、ならびに/あるいは
(iii)少なくとも2つのアミノ基を含むアミンであって、アミノ酸ではないアミン、およびアミノ酸ではないジおよび/またはトリカルボン酸、ならびに/あるいは
(iv)i)からiii)に定義されている少なくとも2つの化合物
の1または複数の重合生成物を含み、
任意選択により場合によっては、1または複数のポリマーA1は、アミノ酸の重合生成物を含み、任意選択により場合によっては、モノマーの総量に基づいて少なくとも50質量%のアミノ酸が、前記重合反応のモノマーとして使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項7】
100gの1または複数のポリマーA1の重合のために、少なくとも15gの1または複数のジアミノカルボン酸が使用される、請求項6に記載のバインダー組成物。
【請求項8】
前記1または複数のポリマーA1が、ポリ(アミノ酸)を含むかまたはそれのみからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項9】
前記1または複数のポリマーA1が、1以上のポリリジンを含むかまたはそれのみからなる、請求項1~8のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのポリマーA1が、
1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、ビス-(3-アミノプロピル)アミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、ビス-(2-アミノエチル)アミン、ビス-N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、N,N-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、またはその混合物
および
ii)アジピン酸、コハク酸、またはそれらの混合物
の反応生成物である、請求項1~8のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項11】
成分Bが、成分B2として、グリセリン、乳酸、および/またはギ酸を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項12】
1または複数のポリマーA1の第一級および第二級アミン基の数の合計と、ヒドロキシアセトンのケト官能基の数との数比が、20:1~0.25:1である、請求項1~11のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項13】
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは70~90質量%の1または複数のポリマーA1を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項14】
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、50~90質量%、好ましくは60~85質量%、好ましくは70~85質量%の1または複数のポリマーA1と、好ましくは10~50質量%、好ましくは15~40質量%、好ましくは15~30質量%のヒドロキシアセトンを含み、
前記1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンの質量が、1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンの合計の総質量が100質量%であるように選択される、
請求項1~13のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項15】
前記成分Aが、さらなる成分としてA2を含み、かつ/または成分Bが、さらなる成分B2として尿素および/または1または複数の尿素誘導体を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の成分AおよびBを反応させることによって得られる又は得られた反応済バインダー組成物。
【請求項17】
成分Aおよび成分Bが別々に保存されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を含む組成物キット。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか一項に記載の成分AおよびBの反応生成物を含むプラスチック材料。
【請求項19】
複数のリグノセルロース片、および請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物または請求項16に記載の反応済バインダー組成物
を含む、リグノセルロースベースの複合品。
【請求項20】
前記複合品が、合板、配向性ストランドボード、チップボード、または繊維板である、請求項19に記載のリグノセルロースベースの複合品。
【請求項21】
少なくとも1つのコア層と少なくとも1つの表層を含む多層パーティクルボードであって、前記表層が、請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を含み、前記コア層が、尿素/ホルムアルデヒドバインダー、フェノール/ホルムアルデヒドバインダー、メラミン/尿素/ホルムアルデヒドバインダー、PMDIバインダー、およびそれらの混合物からなる群から選択されるバインダーを含む、多層パーティクルボード。
【請求項22】
リグノセルロース片のオーブン乾燥総質量に基づいて、全体で3~15質量%の1または複数のポリマーA1および成分B1が、リグノセルロース複合品の調製に使用される、請求項19または20に記載のリグノセルロース複合品または請求項21に記載の多層パーティクルボード。
【請求項23】
EN717-2に準拠して測定されたホルムアルデヒド放出量が、2.0mg/m
2h未満である、請求項21または22に記載の多層パーティクルボード。
【請求項24】
単層のリグノセルロースベースのボード、またはコアを有し、少なくとも1つの上部表層と少なくとも1つの下部表層を有する多層のリグノセルロースに基づくボードである、リグノセルロースベースの複合品のバッチ式または連続式の製造のための方法であって、
a)リグノセルロース粒子を各層用のバインダー組成物と混合するステップであって、少なくとも1つの層のための混合物が請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を含む、ステップと、
b)前記個々の層の混合物を層ごとに散布してマットを形成する、ステップと、
c)80~300℃の温度において、かつ1~100barの圧力で前記マットをボードへとプレスするステップ、または
c’)80~200℃の温度において、かつ0.1~100barの圧力で前記マットをボードへとプレスするステップであって、プレス中、前記マットの中心部で80~200℃に達するまで高周波電場が印加される、ステップと
を含む、方法。
【請求項25】
コアを有し、かつ少なくとも1つの上部表層及び1つの下部表層を有する請求項21~23のいずれか一項に記載の多層リグノセルロースベースのボードであるリグノセルロース複合品のバッチ式または連続式の製造のための方法であって、
前記表層が、請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を含み、かつ前記コア層が、尿素/ホルムアルデヒドバインダー、フェノール/ホルムアルデヒドバインダー、メラミン/尿素/ホルムアルデヒドバインダー、PMDIバインダー、およびそれらの混合物からなる群から選択されるバインダーを含む、方法。
【請求項26】
集成材、合板、直交集成板、ブロックボード、または無垢材ボード、好ましくは合板であるリグノセルロースベースの複合品のバッチ式または連続式の製造のための方法であって、
a)請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を、1以上のリグノセルロース片の少なくとも1つの表面に適用するステップと、
b)前記バインダー組成物をその上に有する前記1以上のリグノセルロース片を、1以上のリグノセルロース片と接合するステップと、
c)前記リグノセルロース片を一緒にプレスするステップと
を含み、
ステップc)におけるプレスが、温度20~200℃および圧力1~100barで行われ、前記リグノセルロース片は、梁、薄板、ブランク、および/または単板である、方法。
【請求項27】
ステップc)またはc’)において、プレス時間係数が最大でも12s/mmである、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記リグノセルロース片のオーブン乾燥総質量に基づいて、合計で3~15質量%の1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンが、リグノセルロースベースの複合品の調製に使用される、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記リグノセルロース片が木材から調製される、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法および/または請求項19から20または22のいずれか一項に記載のリグノセルロースベースの複合品または請求項21~23のいずれか一項に記載の多層パーティクルボード。
【請求項30】
請求項1~15において定義されているバインダーの成分AおよびBの両方、または請求項16に定義されている組成物キットの成分AおよびBの両方が、ステップa)において、
a1)互いに別々に、または
a2)混合物として、
リグノセルロース片に添加される、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ヒドロキシアセトンがグリセリンから調製される、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
請求項24~31のいずれか一項に記載の方法に従って得られるリグノセルロースベースの複合品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
a)第一級および/または第二級アミノ基を有する1または複数のポリマーA1を含む成分Aであって、1または複数のポリマーA1の第一級および第二級アミン基の窒素含有量(NCps)が少なくとも1質量%である、成分Aと、
b)ヒドロキシアセトンを含む成分Bと
を含むバインダー組成物に関する。
【0002】
さらに、本発明は、成分Aおよび成分Bが別々に保存されているバインダー組成物を含むリグノセルロース系複合品(リグノセルロースベースの複合品)の調製のための組成物キット、ならびに複数のリグノセルロース片および反応済バインダー組成物を含むリグノセルロース系複合品(リグノセルロースベースの複合品)に関する。さらに、本発明は、反応済バインダー組成物を含むリグノセルロース系複合品(リグノセルロースベースの複合品)を形成するプロセス、ならびに反応済みの成分AおよびB、特に反応済バインダー組成物を含むプラスチック材料に関する。
【背景技術】
【0003】
リグノセルロース系複合品、例えば配向性ストランドボード(OSB)、配向性ストランドランバー、パーティクルボードとも呼ばれるチップボード、スクリンバー(scrimber)、アグリファイバーボード(agrifiber board)、フレークボード、および繊維板、例えば、中密度繊維板(MDF)は、一般に、リグノセルロース片をバインダー組成物、例えば樹脂とブレンドまたはそれを噴霧することによって製造され、その間リグノセルロース片はブレンダーまたは同様の装置内で転がされるかまたは撹拌される。十分にブレンドしてバインダー組成物-リグノセルロース混合物を形成した後、ここで、バインダー組成物でコーティングされたリグノセルロース片は、製品、特に緩い(ルーズ)マットへと形成され、それは、その後、バインダー組成物を固化させるために、加熱したプレートまたはプラテンの間で圧縮され、これらのリグノセルロース片が高密度化された形、例えばボード、パネル、または他の形状で互いに結合される。緩いマットを圧縮するための従来のプロセスは、一般に、緩いマットに意図的に注入されたか、または緩いマットの中のリグノセルロース片またはバインダー組成物からの同伴された水分の放出によって生じる、様々な量の蒸気の存在下で、高温の表面(通常180℃~240℃)からマットへの熱伝達とともに、ホットプレスによって実施される。
【0004】
そのようなリグノセルロース系複合品を製造するために使用されてきたバインダー組成物には、フェノールホルムアルデヒド(PF)樹脂、尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂、メラミン尿素ホルムアルデヒド(MUF)樹脂およびイソシアネートが含まれる(M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime,Springer Verlag Heidelberg, 2002, pages 249 to 367)。環境の観点から、ホルムアルデヒドフリーおよびイソシアネートフリーであり、なおかつ優れた特性を有するバインダー組成物を提供する必要がある。
【0005】
炭水化物系バインダー組成物は、主に再生可能資源に由来する。それらは、従来のフェノール-ホルムアルデヒドバインダー組成物、尿素ホルムアルデヒドまたはイソシアネート樹脂とは全く異なるプレス条件を必要とする。炭水化物ポリアミンバインダー組成物は、前記の従来のバインダー組成物の代わりになり得る。しかし、炭水化物ポリアミンバインダー組成物溶液は、様々な欠点、例えば、バインダー組成物の量が多い、プレス時間が長い、得られるボードの構造特性が不十分、を伴う。国際公開第2015/177114号には、リジンと炭水化物成分との反応生成物を含む木質ボード用バインダー組成物が記載されているが、得られた木質ボードは、長いプレス時間であっても内部結合強度が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M.Dunky,P.Niemz,HolzwerkstoffeおよびLeime著,「Springer Verlag Heidelberg」,2002年,249~367頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特にリグノセルロース系複合品(あるいはリグノセルロースベース複合品)用のバインダー組成物であって、低減された量のホルムアルデヒドおよび/または低減された量のイソシアネートを含むか、またはホルムアルデヒドフリーおよび/またはイソシアネートフリーであり、複合品に良好な機械的特性を提供するバインダー組成物を提供することである。特に、本発明の目的は、良好な機械的特性を有するリグノセルロース系複合品を達成するために、容易に保存および輸送することができ、かつ/または少ないバインダー組成物量および/または短いプレス時間を必要とするバインダー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、
a)第一級および/または第二級アミノ基を有する1または複数のポリマーA1を含む成分Aであって、1または複数のポリマーA1のNCpsが少なくとも1質量%である、成分Aと
b)ヒドロキシアセトンを含む成分Bと
を含むバインダー組成物、好ましくは木材バインダー組成物によって達成される。
【0010】
ヒドロキシアセトンは、CH
3-CO-CH
2-OH(式I)を意味する。
【化1】
【発明を実施するための形態】
【0011】
バインダー組成物は、成分Aおよび成分B、ならびに任意選択により場合によっては反応前の任意のさらなる成分を意味する。バインダー組成物は、温度および/または加熱および/または圧力を同時にまたは順次適用することによって硬化させて、反応済バインダー組成物を得ることができる。反応済バインダー組成物は、硬化したバインダー組成物を意味する。反応済バインダー組成物は、バインダー成分AとBを反応させることによって入手可能であるか、あるいは得ることができる。
【0012】
本発明に従って使用される第一級および/または第二級アミノ基という用語は、アミド基、例えば、R-CO-NH2および/またはR-CO-NH-Rを含まない。
【0013】
反応または反応済とは、1または複数のポリマーA1がヒドロキシアセトンと反応することを意味する。その上、さらなる成分が、1または複数のポリマーA1および/またはヒドロキシアセトンと反応してもよい。この反応は、架橋したポリマーをもたらしうる。
【0014】
場合によっては、反応または反応済とは、1または複数のポリマーA1がヒドロキシアセトンと反応し、
場合によっては、1または複数のポリマーA1が成分B2と反応し、
場合によっては、1または複数のポリマーA1がそれ自体と反応し、
場合によっては、ヒドロキシアセトンがそれ自体と反応し、
場合によっては、ヒドロキシアセトンが成分B2と反応すること、を意味する。
【0015】
成分B2を以下でさらに説明する。
【0016】
成分Aは、成分Aの総質量に基づいて、20~80質量%、好ましくは30~70質量%、好ましくは40~65質量%の1または複数のポリマーA1を含み得る。
【0017】
任意選択により場合によっては、本発明によるバインダー組成物は、1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%の1または複数のポリマーA1を含む。
【0018】
本発明によるバインダー組成物は、1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは20~95質量%、好ましくは30~95質量%、好ましくは40~90質量%、好ましくは50~90質量%、好ましくは60~85質量%、好ましくは70~85質量%の1または複数のポリマーA1を含むことができる。
【0019】
有利なことに、成分AとBは混合物として提供されず、このことが、容易な輸送及び数ヶ月の長期保存を可能にしている。したがって、本発明の一態様によれば、バインダー組成物はキットとして提供され、成分Aおよび成分Bは別々に保存される。
【0020】
成分AおよびBは、リグノセルロース片、好ましくは木材から作られたリグノセルロース片に直接接触させるか、またはリグノセルロース片、好ましくは木材から作られたリグノセルロース片に適用する前にそれらを混合することによって接触させることができる。
【0021】
成分Aおよび/またはBは、水溶液または水分散液の形態で提供されてよい。
【0022】
wt%は質量%を意味する。
【0023】
成分A:
1または複数のポリマーA1:
第一級および/または第二級アミノ基を有する1つのポリマーA1を含むか、
あるいは、第一級および/または第二級アミノ基を有する複数の異なるポリマーA1を含む。
【0024】
ポリマーA1は、1個または数個のモノマーの重合生成物である。「ポリマー」という用語は、たとえ重合反応が完了していない場合であっても、そのような重合生成物に対して使用される。ポリマーA1は、二量体(n=2)、三量体(n=3)、オリゴマー(n=4~10)、および高分子(n>10)からなってよく(ここで、nは、反応して二量体、三量体、オリゴマー、および高分子を形成したモノマーの数である)、モノマーも含み得る。これらのモノマーは、重合反応中のモノマーの不完全な転化および/または重合反応終了後の追加のモノマーの転化に起因して存在する可能性があり、ここで追加のモノマーは、重合反応に使用されたモノマーの群から選択される。好ましくは、重合反応の終了後にはモノマーを添加しない。
【0025】
第一級アミン基の窒素含有量(NCp)は、1または複数のポリマーA1中の第一級アミン基に対応する窒素の質量%で表される窒素含有量である。第二級アミン基の窒素含有量(NCs)は、1または複数のポリマーA1中の第二級アミン基に対応する窒素の質量%で表される窒素含有量である。1または複数のポリマーA1中の第一級および第二級アミン基の窒素含有量(NCps)は、以下の式を用いて計算される:
NCps=NCp+NCs
【0026】
第一級アミノ基の窒素含有量(NCp)および第二級アミノ基の窒素含有量(NCs)は、EN ISO 9702:1998(第一級、第二級、および第三級アミノ基の窒素含有量の決定)に基づいて測定することができる。
【0027】
「1または複数のポリマーA1が、少なくとも1質量%の第一級および第二級アミン基窒素含有量(NCps)を有する」という表現は、以下のことを意味する:
【0028】
1または複数のポリマーA1が、第一級および/または第二級アミノ基を有する1つのポリマーのみからなる場合、このポリマーA1は少なくとも1質量%のNCpsを有し、あるいは1または複数のポリマーA1が、第一級および/または第二級アミノ基を有する異なるポリマーのみからなる場合、これらのポリマーA1は全体で、少なくとも1質量%のNCpsを有する。
【0029】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、少なくとも1質量%、好ましくは少なくとも3質量%、好ましくは少なくとも5質量%、より好ましくは少なくとも7質量%のNCpsを有し、かつ、任意選択により場合によって、ポリマーA1の少なくとも1つのポリマー、好ましくは各ポリマーA1は、少なくとも1質量%、好ましくは少なくとも3質量%、好ましくは少なくとも5質量%、より好ましくは少なくとも7質量%のNCpsを有している。
【0030】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1~33質量%、好ましくは3~30質量%、好ましくは5~25質量%、好ましくは7~20質量%のNCpsを有し、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリマー、好ましくは各ポリマーA1は、1~33質量%、好ましくは3~30質量%、好ましくは5~25質量%、好ましくは7~20質量%のNCpsを有する。
【0031】
成分Aが1つのポリマーA1を含む場合、このポリマーA1は、少なくとも800g/mol、好ましくは少なくとも1,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,400g/mol、より好ましくは少なくとも1,500g/molの重量平均分子量Mwを有し、かつ、任意選択により場合によって、多くて100,000g/mol、好ましくは多くて70,000g/mol、好ましくは多くて50,000g/mol、好ましくは多くて20,000g/mol、より好ましくは多くて10,000g/mol、最も好ましくは多くて5,000g/molの重量平均分子量Mwを有する。
【0032】
成分Aが異なるポリマーA1を含む場合、これらのポリマーA1は、少なくとも800g/mol、好ましくは少なくとも1,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,400g/mol、より好ましくは少なくとも1,500g/molの総重量平均分子量Mw,totalを有し、かつ、任意選択により場合によってポリマーA1は、最大でも100,000g/mol、好ましくは最大でも70,000g/mol、好ましくは最大でも50,000g/mol、好ましくは最大でも20,000g/mol、好ましくは最大でも10,000g/mol、最も好ましくは最大でも5,000g/molの総重量平均分子量Mw,totalを有する。
【0033】
重量平均分子量は、実施例の項(「測定値および測定方法」)に記載のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される。重量平均分子量Mwは、単一のポリマーA1の重量平均分子量を指し、かつ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって各ポリマーA1について別々に決定される。
【0034】
ポリマーA1の全体の総重量平均分子量M
w,totalは、式(1)によって、各ポリマーA1
j(j=1~k、kはポリマーA1の全体における個々のポリマーA1の数)の個々の重量平均分子量M
w,jから計算することができる。
【数1】
【0035】
数部分p
jは、式(2)および(3)によって、各単一ポリマーの質量部分m
jおよび重量平均分子量M
w,jから計算される。
【数2】
【0036】
例えば、ポリマーA1が20質量%のポリマーA11(Mw,1=500g/mol)、30質量%のポリマーA12(Mw,2=2000g/mol)、および50質量%のポリマーA13(Mw,3=5000g/mol)のみからなる場合、総重量平均分子量Mw,totalは、3200g/molである。ポリマーA1が単一のポリマーA1、例えば、ポリマーA12(Mw,2=2000g/mol)のみからなる場合、Mw,totalは、この単一のポリマーA1のMwと同一である。
【0037】
1または複数のポリマーA1は、そのモノマーを含む1または複数のポリマーA1の総質量に基づいて、15質量%未満のモノマー、より好ましくは10質量%未満のモノマー、より好ましくは8質量%未満のモノマーを含むことができる。
【0038】
各ポリマーA1は、そのモノマーを含むポリマーA1の質量に基づいて、15質量%未満のモノマー、より好ましくは10質量%未満のモノマー、より好ましくは8質量%未満のモノマーを含むことができる。
【0039】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、少なくとも800g/mol、好ましくは少なくとも1,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,400g/mol、最も好ましくは少なくとも1,500g/molの総重量平均分子量Mw,totalを有し、かつ、任意選択により場合によって、ポリマーA1は、最大でも100,000g/mol、好ましくは最大でも70,000g/mol、好ましくは最大でも50,000g/mol、好ましくは最大でも20,000g/mol、好ましくは最大でも10,000g/mol、より好ましくは最大でも5,000g/molの総重量平均分子量Mw,totalを有する、また、
任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリマーA1、好ましくは各ポリマーA1は、少なくとも800g/mol、好ましくは少なくとも1,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,400g/mol、最も好ましくは少なくとも1,500g/molの重量平均分子量Mwを有し、任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリマーA1、好ましくは各ポリマーA1は、最大でも100,000g/mol、好ましくは最大でも70,000g/mol、好ましくは最大でも50,000g/mol、好ましくは最大でも20,000g/mol、好ましくは最大でも10,000g/mol、より好ましくは最大でも5,000g/molの重量平均分子量Mwを有する。
【0040】
1または複数のポリマーA1は、1以上の分岐したポリマー(分岐ポリマー)を含むか、またはそれのみからなっていてよい。
【0041】
成分Aが1つのポリマーA1を含む場合、このポリマーA1は、好ましくは分岐ポリマーである。成分Aが異なるポリマーA1を含む場合、好ましくはポリマーA1の少なくとも1つのポリマー、より好ましくは各ポリマーA1は分岐ポリマーである。任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリマーA1、より好ましくは各ポリマーA1は、少なくとも0.05、好ましくは0.05~0.99、好ましくは0.07~0.9、より好ましくは0.1~0.5の分岐度(DB)を有する。
【0042】
DBは、1H-NMR分光法によって決定される。DBは、信号の強度を比較することによって得られる。分岐度は、以下の式に従って計算される。
DB=(D+T)/(D+L+T)、ここで、D、T、およびLは、NMR-スペクトルのそれぞれの信号の積分から得られる、結果として得られた分岐ポリマーの、樹脂状の、末端のまたは直線状に組み込まれたモノマーの画分である。さらなる情報については、H. Frey et al., Acta Polym. 2013, 51, 995-1019をさらに参照されたい。
【0043】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、少なくとも800g/mol、好ましくは少なくとも1,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,400g/mol、最も好ましくは少なくとも1,500g/molの総重量平均分子量Mw,totalを有し、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、最大でも100,000g/mol、好ましくは最大でも70,000g/mol、好ましくは最大でも50,000g/mol、好ましくは最大でも20,000g/mol、より好ましくは最大でも10,000g/mol、最も好ましくは最大でも5,000g/molの総重量平均分子量Mw,totalを有する、また、
任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリマーA1、好ましくは各ポリマーA1は、少なくとも800g/mol、好ましくは少なくとも1,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,400g/mol、最も好ましくは少なくとも1,500g/molの重量平均分子量Mwを有し、かつ、任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリマー、好ましくは各ポリマーA1は、最大でも100,000g/mol、好ましくは最大でも70,000g/mol、好ましくは最大でも50,000g/mol、好ましくは最大でも20,000g/mol、より好ましくは最大でも10,000g/mol、最も好ましくは最大でも5,000g/molの重量平均分子量Mwを有し、また、
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1~33質量%、好ましくは3~30質量%、好ましくは5~25質量%、好ましくは7~20質量%のNCpsを有し、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリマー、好ましくは各ポリマーA1は、1~33質量%、好ましくは3~30質量%、好ましくは5~25質量%、好ましくは7~20質量%のNCpsを有し、また、
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリマー、好ましくは各ポリマーA1は、少なくとも0.05、好ましくは0.05~0.99、好ましくは0.07~0.9、より好ましくは0.1~0.5の分岐度を有する。
【0044】
1または複数のポリマーA1は、好ましくは以下からなる群から選択される少なくとも1つの線状または好ましくは分岐したポリマーを含むか、又はより好ましくはそれのみからなる。
(i)ポリアルキレンイミン、
(ii)ポリアミド、
(iii)ポリアルキレンイミンセグメント及びポリアミドセグメントを含むブロックコポリマー、および
(iv)ポリアルキレンイミンセグメント及びポリアミドセグメントを含むグラフトコポリマー、および
(v)(i)、(ii)、(iii)、および/または(iv)の少なくとも2つの混合物。
【0045】
ブロックコポリマーは、異なるポリマータイプ(セグメント)のサブユニット、例えば、ポリアミドの1以上のセグメントおよびポリアルキレンイミンの1以上のセグメントを含む。
【0046】
ポリアルキレンイミンセグメントおよびポリアミドセグメントを含むブロックコポリマーは、段階的合成によって調製され得る。例えば、ポリアルキレンイミン、及び末端カルボキシル基を有するポリアミドは、別々に合成することができ、かつ、追加の縮合ステップにおいて結合されてブロックコポリマーを形成する。
【0047】
ポリアルキレンイミンセグメントおよびポリアミドセグメントを含みグラフトコポリマーは、主鎖(骨格)としてポリアミドセグメントを、側鎖としてポリアルキレンイミンセグメントを含有していてもよいし、あるいは、主鎖(骨格)としてポリアルキレンイミンセグメントを、側鎖としてポリアミドセグメントを含んでいてもよいし、好ましくは、主鎖(骨格)としてポリアミドセグメントを、側鎖としてポリアルキレンイミンセグメントを含んでいてもよい。このようなグラフトコポリマーは、第一級および/または第二級アミン基を有する別々に合成されたポリアミドをエチレンイミンと反応させることによって調製することができる。好ましくは、1または複数のポリマーA1は、重合したジエチレントリアミンの骨格セグメントと、ポリエチレンイミンのセグメントでグラフトされたアジピン酸からなるグラフト重合生成物の少なくとも1つを含むか、またはそれのみからなる。さらなる詳細は、DE4124948(A1)号に記載されている。
【0048】
バインダー組成物、特にバインダー成分A、より特に、1または複数のポリマーA1は、それぞれが1,000~500,000g/mol、好ましくは1,000~100,000g/molの範囲の重量平均分子量Mwを有する1以上のポリマーPを含むことができ、ポリマーPは、
(i)ポリアルキレンイミン、
(ii)ポリアミド、
(iii)ポリアルキレンイミンセグメント及びポリアミドセグメントを含むブロックコポリマー、および
(iv)ポリアルキレンイミンセグメント及びポリアミドセグメントを含むグラフトコポリマー、および
(v)(i)、(ii)、(iii)、および/または(iv)のうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択され得る第一級および/または第二級アミン基を有するポリマーと
例えば以下において定義されるようなヒドロキシアセトンまたは炭水化物などのα-ヒドロキシカルボニル化合物、好ましくはヒドロキシアセトンとの反応によって得ることができる。
【0049】
任意選択により場合によって、バインダー組成物、特にバインダー成分A、より特に1または複数のポリマーA1は、1以上のポリマーPを、バインダー組成物の総質量に基づいて、2質量%未満、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満の量で含む。最も好ましくは、バインダー組成物、特にバインダー成分A、より特に1または複数のポリマーA1は、ポリマーPを含まない。明確にするために、この定義は、未反応のバインダー組成物を指す。
【0050】
任意選択により場合によって、バインダー組成物、特にバインダー成分A、より詳細には1または複数のポリマーA1は、1以上のポリマーPを、1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトン及び成分B2の合計の総質量に基づいて、2質量%未満、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満の量で含む。最も好ましくは、バインダー組成物、特にバインダー成分A、より特に1または複数のポリマーA1は、ポリマーPを含まない。明確にするために、この定義は、未反応のバインダー組成物を指す。
【0051】
好ましくは、1または複数のポリマーA1は、
(i)ポリアルキレンイミン、
(ii)ポリアミド、
(iii)ポリアルキレンイミンセグメント及びポリアミドセグメントを含むブロックコポリマー、および
(iv)ポリアルキレンイミンセグメント及びポリアミドセグメントを含むグラフトコポリマー、および
(v)(i)、(ii)、(iii)、および/または(iv)のうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択され、
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、800g/mol~50,000g/mol、好ましくは800g/mol~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは1150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の総重量平均分子量Mw,totalを有する。
【0052】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、800g/mol~50,000g/mol、好ましくは800g/mol~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~5,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは1150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の総重量平均分子量Mw,totalを有し、かつ、任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリマーA1、好ましくは各ポリマーA1は、800g/mol~50,000g/mol、好ましくは800g/mol~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~5,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは1150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の重量平均分子量を有し、かつ、
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1~33質量%、好ましくは3~30質量%、好ましくは5~25質量%、好ましくは7~20質量%、好ましくは8~15質量%のNCpsを有し、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリマー、好ましくは各ポリマーA1は、1~33質量%、好ましくは3~30質量%、好ましくは5~25質量%、好ましくは7~20質量%、好ましくは8~15質量%ののNCpsを有し、かつ、
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1または複数の分岐したポリマーであり、少なくとも1つのポリマーA1、好ましくは各ポリマーA1は、少なくとも0.05、好ましくは0.05~0.99、より好ましくは0.05~0.9、好ましくは0.1~0.8、好ましくは0.25および0.60、好ましくは0.30および0.50の分岐度(DB)を有する。
【0053】
1または複数のポリアルキレンイミン:
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、少なくとも1つのポリアルキレンイミンを含むか、または1以上のポリアルキレンイミンのみからなる。好ましくは、1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリエチレンイミンを含むかまたはそれのみからなる。
【0054】
1または複数のポリアルキレンイミンは、-N-CH2-R-N-の構造要素をもつ1または複数のポリマーであってよい。
【0055】
1または複数のポリアルキレンイミンは、1つの特定の-N-CH2-R-N-構造要素をもつ1または複数のアルキレンイミンホモポリマー、あるいは様々なN-CH2-R-N構造要素をもつコポリマーであってよい。Rは、-CH2-または、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(CH3)-などの他のアルキレン基であってよい。好ましくは、Rは、-CH2-である。
【0056】
1または複数のポリマーA1の1または複数のポリアルキレンイミン(polyalkylenemine)の総重量平均分子量Mw,totalは、800~100,000g/mol、好ましくは800~70,000g/mol、好ましくは800~50,000g/mol、好ましくは1,000~20,000g/mol、最も好ましくは1,400~20,000g/molであってよく、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1のポリアルキレンイミン(polyalkylenemine)の少なくとも1つ、好ましくは各ポリアルキレンイミン(polyalkylenemine)の重量平均分子量は、800~100,000g/mol、好ましくは800~70,000g/mol、好ましくは800~50,000g/mol、好ましくは1,000~20,000g/mol、最も好ましくは1,400~20,000g/molであってよく、任意選択により場合によって、1または複数のポリアルキレンイミンは、1または複数の分岐したポリアルキレンイミンであり、ここで、任意選択により場合によって、少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの分岐したポリアルキレンイミンは、少なくとも0.05、好ましくは0.05~0.99、好ましくは0.1~0.9、特に好ましくは0.1~0.5の分岐度(DB)を有し、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリアルキレンイミンは、3~33質量%、好ましくは5~20質量%、好ましくは7.5~17.5質量%のNCpsを有し、好ましくは少なくとも1つのポリアルキレンイミン、より好ましくは各ポリアルキレンイミンは、3~33質量%、好ましくは5~20質量%、好ましくは7.5~17.5質量%のNCpsを有する。
【0057】
1または複数のポリマーA1の1または複数のポリエチレンイミンの総重量平均分子量Mw,totalは、800~100,000g/mol、好ましくは800~70,000g/mol、好ましくは800~50,000g/mol、好ましくは1,000~20,000g/mol、最も好ましくは1,400~20,000g/molであってよく、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の1または複数のポリエチレンイミンの少なくとも1つ、好ましくはそれぞれのポリエチレンイミンの重量平均分子量は、800~100,000g/mol、好ましくは800~70,000g/mol、好ましくは800~50,000g/mol、好ましくは1,000~20,000g/mol、最も好ましくは1,400~20,000g/molであってよく、
かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1または複数の分岐したポリエチレンイミンであり、ここで、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの分岐したポリエチレンイミンは、少なくとも0.05、好ましくは0.05~0.99、好ましくは0.1~0.9、特に好ましくは0.1~0.5の分岐度(DB)を有し、
かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリエチレンイミンは、5~33質量%、好ましくは7.5~20質量%、好ましくは10~17.5質量%のNCpsを有し、任意選択により場合によって、少なくとも1つの1または複数のポリエチレンイミン、好ましくはそれぞれのポリエチレンイミンは、5~33質量%、好ましくは7.5~20質量%、好ましくは10~17.5質量%のNCpsを有する。
【0058】
ポリアルキレンイミンは、ジアミンおよび/またはトリアミン、好ましくはジアミンの接触(catalytic)ポリアミノ基転移によって調製することができる(例えば、国際公開第2015/22186号)。このようなジアミンまたはトリアミンは、直鎖、分岐または環状の脂肪族ジアミンまたはトリアミンである。適したジアミンは、1,2-エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン(proplylenediamine)、ブチレンジアミン(例えば、1,2-または1,4-ブチレンジアミン)、ジアミノペンタン(例えば、1,2-または1,5-ジアミノペンタン)、ジアミノヘキサン(例えば、1,2-または1,6-ジアミノヘキサン)、ジアミノヘプタン(例えば、1,2-または1,7-ジアミノヘプタン)、ジアミノオクタン(例えば、1,2-または1,8-ジアミノオクタン)、ジアミノノナン(例えば、1,2-または1,9-ジアミノノナン)、ジアミノデカン(例えば、1,2-または1,10-ジアミノデカン)、ジアミノウンデカン(例えば、1,2-または1,11-ジアミノウンデカン)、ジアミノドデカン(例えば、1,2-または1,12-ジアミノドデカン)、ビス-(3-アミノプロピル)アミン、ビス-(2-アミノエチル)アミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、ビス-N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、N,N-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、トリス-(アミノプロピル)アミン、トリス-(アミノエチル)アミンまたはそれらの混合物、好ましくは1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、またはそれらの混合物である。
【0059】
ポリエチレンイミンは、エチレンイミンの酸触媒重合によって調製することができ、かつ、20~90質量%の固形分、好ましくは40~70質量%のポリエチレンイミンを有する水溶液として得ることができる(U. Steuerle, R. Feuerhake, Ullmann’s encylopedia of Industrial Chemistry, Chapter “Aziridines”, Wiley-VCH, 2006)。
【0060】
1または複数のポリアミド:
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、少なくとも1つのポリアミドを含むか、または1以上のポリアミドのみからなる。
【0061】
ポリアミドは、2以上のモノマー分子を一緒に連結するアミド結合の形成によって作られる。出発材料は、1分子中にアミンとカルボキシル基を有するABモノマーを含むか、または2つのアミン基を有するAAモノマーおよび2つのカルボキシル基を有するBBモノマーを含み得る。ABモノマーは、それ自体がアミドであり得る(通常は環状ラクタムの形態のアミド、例えば、カプロラクタム)。出発材料はまた、2つより多い官能基を有するモノマー、例えば、2つのアミン基と1つのカルボキシル基を有するA2Bモノマー、または1つのアミン基と2つのカルボキシル基を有するAB2モノマーを含み得る。
【0062】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、第一級および/または第二級アミン基を有する少なくとも1つのポリアミドを含む。
【0063】
ポリアミドは、
i)アミノ酸、好ましくは、少なくとも2つのアミノ基を含むアミノ酸、ならびに/あるいは
ii)少なくとも2つのアミノ基を含むアミンであって、アミノ酸ではないアミン、およびアミノ酸、ならびに/あるいは
iii)少なくとも2つのアミノ基を含むアミンであって、アミノ酸ではないアミン、および、ジおよび/またはトリカルボン酸(これは、好ましくは1または複数のアミノ酸ではないが、任意選択により場合によってアミノ酸である)、ならびに/あるいは
iv)i)~iii)に定義される任意の少なくとも2つの化合物
の重合生成物であってよい。
【0064】
セクションiv)は、好ましくは、セクションi)~iii)に定義された化合物から作られたブロックまたはグラフトコポリマーを指す。
【0065】
本発明によれば、ポリアミドという用語には、ポリマー合成後に、ポリアミドの改質によって得ることができるポリアミド誘導体も含まれる。
【0066】
ポリアミドの改質は、
i)アルキル-またはアルケニルカルボン酸、例えば、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデセン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはそれらのLi、Na、K、Cs、Ca、またはアンモニウム塩、ならびに/あるいは
ii)1以上のアミノ基および/または酸基を末端に有するポリアルキレンオキシド、好ましくは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、および/またはポリエチレン-プロピレンオキシド、ならびに/あるいは
iii)アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはブチレンオキシド、ならびに/あるいは
iv)ラクトン、例えば、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトン、ならびに/あるいは
v)アルコール、例えば、アルカノール、例えばオレイルアルコール
との反応によって行うことができる。
【0067】
重合は、完全な転化をするまで進行させなくてもよい。したがって、モノマー、例えば、少なくとも2つのアミノ基および/またはアミノ酸および/またはジカルボン酸および/またはトリカルボン酸を含むアミンは、重合によるポリマーA1(1又は複数)の合成後にポリマーA1(1又は複数)中に存在しうる。
【0068】
各ポリマーA1は、1または複数のポリマーA1中のポリマーA1の総質量に基づいて、15質量%未満のモノマー、より好ましくは10質量%未満のモノマー、より好ましくは8質量%未満のモノマーを含むことができる。モノマーの質量は、そのモノマーを含む各ポリマーA1の総質量に基づいて算出される。
【0069】
モノマーは、重合中のモノマーの不完全な転化の結果として存在してもよいし、重合後に添加されてもよい。好ましくは、重合反応の終了後に、モノマーを添加しない。
【0070】
本発明による好ましいポリアミドは、ポリ(アミノ酸)、例えば、合成ポリ(アミノ酸)、天然ポリ(アミノ酸)、ポリペプチド、タンパク質、またはそれらの混合物である。ポリ(アミノ酸)は、アミノ酸の重合によって生成される。ポリ(アミノ酸)は、化学合成により、または生きている生命体中での生合成によって得ることができる。特に、タンパク質は、生きた生命体中での生合成によって得ることができる。ポリペプチドは、タンパク質の加水分解によって得ることができる。
【0071】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、800~50,000g/mol、好ましくは800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~5,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは1,150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の総重量平均分子量Mw,totalを有し、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリアミド、好ましくは1または複数のポリマーA1の各ポリアミドは、800~50,000g/mol、好ましくは800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~5,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは1,150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の重量平均分子量を有し、かつ、任意選択により場合によって
1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリアミド、好ましくは1または複数のポリマーA1の各ポリアミドは、少なくとも0.05、好ましくは0.05~0.99、好ましくは0.05~0.90、特に好ましくは0.1~0.5の分岐度(DB)を有し、かつ、
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリマーA1の総重量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、好ましくは少なくとも99質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、最も好ましくは100質量%のポリアミドを含む。
【0072】
1または複数のポリ(アミノ酸):
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、少なくとも1つのポリ(アミノ酸)を含むかまたは少なくとも1つのポリ(アミノ酸)のみからなり、このポリ(アミノ酸)は、アミノ酸と任意選択により場合によって以下からなる群から選択される他のモノマーの重合生成物である。
a)少なくとも2つのアミノ基を含むアミンであって、該アミンがアミノ酸ではないアミン、および
b)ジおよび/またはトリカルボン酸(これは、好ましくはアミノ酸ではない)、
ここで、モノマーの総量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも85質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも97.5質量%、好ましくは少なくとも99質量%、好ましくは100質量%のアミノ酸が、重合反応用のモノマーとして使用される。
【0073】
本発明によれば、ポリ(アミノ酸)という用語は、ポリマー合成後にポリ(アミノ酸)を改質することによって得ることができるポリ(アミノ酸)誘導体をも含み得る。
【0074】
ポリ(アミノ酸)の改質は、
i)アルキル-またはアルケニルカルボン酸、例えば、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデセン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、および/またはリノレン酸、ならびに/あるいはそれらのLi、Na、K、Cs、Ca、またはアンモニウム塩、ならびに/あるいは
ii)アミノ基および/または酸基を末端に有しており、1、2またはそれ以上の官能価を有するポリアルキレンオキシド、好ましくは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド。および/またはポリエチレン-プロピレンオキシド、ならびに/あるいは
iii)アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシド、ならびに/あるいは
iv)ラクトン、例えば、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトン、ならびに/あるいは
v)アルコール、例えばアルカノール、例えばオレイルアルコール
との反応によって実施することができる。
【0075】
1または複数のアミノ酸は、少なくとも1つの第一級アミン(-NH2)と少なくとも1つのカルボキシル(-COOH)官能基を含む有機化合物を意味する。1または複数のアミノ酸は、リジン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、α-アラニン、β-アラニン、チロシン、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸、オルニチン、ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、またはそれらの混合物であってよい。アミノ酸は、そのL体またはD体またはラセミ体で使用することができる。アミノ酸は、その環状ラクタム形態、例えば、イプシロン-カプロラクタムで使用することもできる。
【0076】
重合反応に使用される好ましいアミノ酸は、2つのアミン基(-NH2)と少なくとも1つのカルボキシル(-COOH)基を含むジアミノ酸である。そのようなジアミノ酸は、オルニチン、ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、および/またはリジン、好ましくはリジン、より好ましくはL-リジンであり得る。それらはジアミノ酸と命名されることがあるが、本発明によれば、アスパラギンおよびグルタミンはジアミノ酸の群に含まれず、なぜなら、第2の官能基がアミド(CO-NH2)であってアミン(-NH2)ではないからである。
【0077】
ポリ(アミノ酸)は、1つのアミン基を有するアミノ酸と、2以上のアミノ基を有するアミノ酸、例えばジアミノカルボン酸の重合によって形成することができる。1または複数のポリマーA1は、1以上のポリ(アミノ酸)を含むか、またはそれのみからなってよい。任意選択により場合によって、少なくとも15gの、好ましくは少なくとも30g、好ましくは少なくとも60g、好ましくは少なくとも90gの1または複数のジアミノカルボン酸、好ましくはリジンが、100gの1または複数のポリマーA1の重合に使用される。
【0078】
任意選択により場合によって、ジアミノカルボン酸のみ、好ましくはリジンが、1または複数のポリマーA1の調製に使用される。
【0079】
ポリ(アミノ酸)は、ポリ(アミノ酸)の総質量に基づいて、15質量%未満のアミノ酸モノマー、より好ましくは10質量%未満のアミノ酸モノマー、より好ましくは8質量%未満のアミノ酸モノマーを含むことができる。モノマーの質量は、モノマーを含むポリ(アミノ酸)の総質量に基づいて算出される。
【0080】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリマーA1の総質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、好ましくは少なくとも99質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、最も好ましくは100質量%のポリ(アミノ酸)を含むことができる。
【0081】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の1または複数のポリ(アミノ酸)は、800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは、1,150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,500g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の総重量平均分子量Mw,totalを有し、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリ(アミノ酸)、好ましくは1または複数のポリマーA1の各ポリ(アミノ酸)は、800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは、1,150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の重量平均分子量を有し、
かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリ(アミノ酸)、好ましくは1または複数のポリマーA1の各ポリ(アミノ酸)は、0.2~0.7、好ましくは0.25~0.60、好ましくは0.30~0.50の分岐度(DB)を有し、
かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリマーA1の総質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、好ましくは少なくとも99質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、最も好ましくは100質量%のポリ(アミノ酸)を含む。
【0082】
1または複数のポリリジン:
好ましくは、1または複数のポリマーA1は、少なくとも1つのポリリジンを含むか、または1以上のポリリジンのみからなり、このポリリジンはモノマーリジン、好ましくはL-リジンと、任意選択により場合によって
a)アミノ酸、好ましくは少なくとも2つのアミノ基を含むアミノ酸、
b)少なくとも2つのアミノ基を含むアミンであって、該アミンがアミノ酸ではないアミン、および
c)ジおよび/またはトリカルボン酸、好ましくはアミノ酸ではないジおよび/またはトリカルボン酸
からなる群から選択される他のモノマーとの重合生成物であり、
ここで、モノマーの総量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも85質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも97.5質量%、好ましくは少なくとも99質量%、好ましくは100質量%のリジンが重合反応用のモノマーとして使用される。
【0083】
ポリリジンは、二量体(n=2)、三量体(n=3)、オリゴマー(n=4~10)、および高分子(n>10)(ここで、nは、反応して二量体、三量体、オリゴマーおよび高分子を形成したモノマーの数である)、およびモノマーからなる。これらのモノマーは、重合反応中のモノマーの不完全な転化に起因するか、または重合反応終了後の追加のモノマーの添加に起因して存在する可能性があり、ここで追加のモノマーは、重合反応に使用されたモノマーの群から選択される。好ましくは、重合反応の終了後にモノマーを添加しない。
【0084】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1以上のポリリジン、より好ましくは1または複数のポリ-L-リジンを含むかまたはそれのみからなる。好ましくは、1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリマーA1の総質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも98質量%、好ましくは少なくとも99質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、最も好ましくは100質量%の1または複数のポリリジンを含む。明確にするために、ポリリジンは、例えば、異なる重量平均分子量および/または異なる分岐度を有する様々なポリリジンを意味する。
【0085】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリリジンを含むか、あるいは1または複数のポリリジンのみからなり、ここで1または複数のポリリジンは、800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは1,150g/mol~5,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の総重量平均分子量Mw,totalを有する。
【0086】
好ましくは、1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリリジンを含むか、あるいは1または複数のポリリジンのみからなり、ここで1または複数のポリリジンは、800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは1,150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の総重量平均分子量Mw,totalを有し、かつ、任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1の少なくとも1つのポリリジン、好ましくは1または複数のポリマーA1の各ポリリジンは、800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは1,150g/mol~5,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の重量平均分子量Mwを有する。
【0087】
リジンは、重合中に反応する2つの可能性がある。α-NH2またはε-NH2のいずれがカルボン酸と反応することができる。したがって、2種類の直鎖状ポリリジン、すなわち、α-ポリリジンまたはε-ポリリジンが存在する。重合は、α-NH2とε-NH2の両方がカルボン酸基と反応してα-結合とε-結合の両方を形成する方法で行うこともできる。好ましくは、ポリリジンは分岐したポリリジンである。本発明に従って使用される好ましい1または複数のポリリジンは、α-結合よりも多くのε-結合を有する。好ましくは、ε-結合対α-結合の比は、1.0:1~6.0:1の間、好ましくは1.25:1~4.0:1の間、好ましくは1.5:1~3.0:1の間である。この比は、ポリリジンの1H-NMRスペクトルの対応するシグナルの積分によって決定することができる。
【0088】
1または複数のポリリジンは、1または複数のポリマーA1の総質量に基づいて、15質量%未満のリジンモノマー、より好ましくは10質量%未満のリジンモノマー、より好ましくは8質量%未満のリジンモノマーを含むことができる。
【0089】
各ポリリジンは、前記ポリリジンの質量に基づいて、15質量%未満のリジンモノマー、より好ましくは10質量%未満のリジンモノマー、より好ましくは8質量%未満のリジンモノマーを含むことができる。
【0090】
分岐したポリリジンは、例えば、0.2~0.7、好ましくは0.25~0.60、好ましくは0.30~0.50の分岐度(DB)を有し得る。
【0091】
成分Aが1つのポリリジンを含む場合、ポリリジンのNCpsは、5~12.5質量%、より好ましくは7.5~12.5質量%、より好ましくは8.5~12質量%、最も好ましくは9~11.5質量%であり得る。
【0092】
成分Aが2以上のポリリジンを含む場合、ポリリジン全体のNCpsは、5~12.5質量%、より好ましくは7.5~12.5質量%、より好ましくは8.5~12質量%、最も好ましくは9~11.5質量%であってよく、かつ、任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリリジン、好ましくは各ポリリジンのNCpsは、5~12.5質量%、より好ましくは7.5~12.5質量%、より好ましくは8.5~12質量%、最も好ましくは9~11.5質量%であってよい。
【0093】
任意選択により場合によって、1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリリジンを含むかまたはそれのみからなり、ここで1または複数のポリリジンは、800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは、1,150g/mol~5,000g/mol、好ましくは1,500g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の総重量平均分子量Mw,totalを有し、かつ、任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリリジン、好ましくは各ポリリジンは、800~20,000g/mol、好ましくは800g/mol~10,000g/mol、好ましくは1,000g/mol~7,500g/mol、好ましくは、1,150g/mol~5,000g/mol、より好ましくは1,300g/mol~3,000g/molの範囲内の重量平均分子量を有し、かつ、
任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリリジン、好ましくは各ポリリジンは、0.2~0.7の間、好ましくは0.25~0.60の間、好ましくは0.30~0.50の間の分岐度(DB)を有し、かつ、
任意選択により場合によって、1または複数のポリリジンは、5~12.5質量%、より好ましくは7.5~12.5質量%、より好ましくは8.5~12質量%、最も好ましくは9~11.5質量%のNCpsを有し、かつ、任意選択により場合によって、少なくとも1つのポリリジン、好ましくは各ポリリジンは、5~12.5質量%、より好ましくは7.5~12.5質量%、より好ましくは8.5~12質量%、最も好ましくは9~11.5質量%のNCpsを有する。
【0094】
ポリリジンの製造は一般に公知であり、例えば国際公開第2016/062578号、好ましくは請求項1、最も好ましくは実施例4~10に記載されているようにして行うことができる。リジン塩からポリリジンを製造するための別の方法は、国際公開第2007/060119号に記載されている。
【0095】
本発明によれば、1または複数のポリリジンという用語には、ポリマー合成後のポリリジンの改質によって得ることができるポリリジン誘導体も含まれる。
【0096】
ポリリジンの改質は、
i)アルキル-またはアルケニルカルボン酸、例えば、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデセン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、および/またはリノレン酸、ならびに/あるいはそれらのLi、Na、K、Cs、Ca、またはアンモニウム塩、ならびに/あるいは
ii)アミノ基および/または酸基を末端化に有し、1、2またはそれ以上の官能価を有するポリアルキレンオキシド、好ましくは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよび/またはポリエチレン-プロピレンオキシド、ならびに/あるいは
iii)アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシド、ならびに/あるいは
iv)ラクトン、例えば、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトンなど、ならびに/あるいは
v)アルコール、例えば、アルカノール、例えば、オレイルアルコール
との反応によって行うことができる。
【0097】
少なくとも2つのアミノ基を含むアミン:
任意選択により場合によって、ポリマーA1への重合においてモノマーとしての使用に適した2つのアミノ基を含むアミンは、1,2-エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、ブチレンジアミン(例えば、1,2-または1,4-ブチレンジアミン)、ジアミノペンタン(例えば、1,2-および/または1,5-ジアミノペンタン)、ジアミノヘキサン(例えば、1,2-および/または1,6-ジアミノヘキサン)、ジアミノヘプタン(例えば、1,2-および/または1,7-ジアミノヘプタン)、ジアミノオクタン(例えば、1,2-および/または1,8-ジアミノオクタン)、ジアミノノナン(例えば、1,2-および/または1,9-ジアミノノナン)、ジアミノデカン(例えば、1,2-および/または1,10-ジアミノデカン)、ジアミノウンデカン(例えば、1,2-および/または1,11-ジアミノウンデカン)、ジアミノドデカン(例えば、1,2-および/または1,12-ジアミノドデカン)、シクロヘキシレンジアミン、ビス-(3-アミノプロピル)アミン、ビス-(2-アミノエチル)アミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、ビス-N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,4-ブチレンジアミンN,N-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、トリス-(アミノプロピル)アミン、トリス-(アミノエチル)アミン、アミン末端ポリオキシアルキレンポリオール(いわゆるジェファーミン)、アミン末端ポリテトラメチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0098】
2つのアミノ基を含む好ましいアミンは、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、ビス-(3-アミノプロピル)アミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、ビス-(2-アミノエチル)アミン、ビス-N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、N,N-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましいのは1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミンおよびそれらの混合物である。
【0099】
1または複数のジおよびトリカルボン酸:
ポリマーA1への重合においてモノマーとしての使用に適したジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン-1,11-ジカルボン酸、ドデカン-1,12-ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、シス-および/またはトランス-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、シス-および/またはトランス-シクロヘキサン-1.3-ジカルボン酸、シス-および/またはトランス-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シス-および/またはトランス-シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸、シス-および/またはトランス-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸またはそれらの混合物、好ましくはマロン酸、コハク酸、グルタル酸および/またはアジピン酸である。
【0100】
ポリマーA1への重合においてモノマーとしての使用に適したトリカルボン酸またはテトラカルボン酸は、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ブタントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、およびシクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸、クエン酸またはそれらの混合物、好ましくはクエン酸である。ジカルボン酸が好ましい。
【0101】
あるいは、本発明に従って使用される1または複数のポリマーA1は、
i)1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、ビス-(3-アミノプロピル)アミン、ビス-(2-アミノエチル)アミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、ビス-N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、N,N-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、またはそれらの混合物、および
ii)アジピン酸、コハク酸、またはそれらの混合物
の重合生成物の少なくとも1つを含むかまたはそれのみからなる。
【0102】
さらなる成分A2およびA3:
成分Aは、1または複数のポリマーA1を含み、かつ、任意選択により場合によって成分A2を含み、かつ、任意選択により場合によって、水である成分A3を含む。好ましくは、成分Aは、1または複数のポリマーA1を含み、水である成分A3を含み、かつ、任意選択により場合によってさらなる成分A2を含む。1または複数のポリマーA1および成分A2は水を含まない。水である成分A3は、1または複数のポリマーA1および/または成分A2を溶解または分散させるために使用され得る。
【0103】
成分A2は、ポリオール、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体、1,3-ジメチル尿素、リグニン、共溶媒、レオロジー調整剤、および、殺生物剤、染料、顔料、難燃剤、およびそれらの混合物などの他の補助剤からなる群から選択される1以上の物質を含むか、またはそれらのみからなり得る。
【0104】
ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。他の適したポリオールは、バイオポリオール、例えば、ダイズ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油またはそれらの混合物から誘導されるポリオールである。他の適したポリオールは、多官能性開始剤またはそれらの混合物の存在下で環状酸化物、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはテトラヒドロフランの重合によって得ることができるポリエーテルポリオールである。
【0105】
リグニンは、2,000~50,000g/molの平均分子量を有しうる。
【0106】
リグニンは、4-ヒドロキシ桂皮アルコール(p-クマリルアルコール)、コニフェリルアルコールおよび/またはシナピルアルコール(いわゆるモノリグノール)単位のようなヒドロキシル化およびメトキシル化フェニルプロペン単位を含む、植物に見られる高分子量の芳香族化合物である。
【0107】
本発明に従って使用されるリグニンは、例えば、硫酸塩法(クラフトリグニン)、ソーダ法および/またはオルガノソルブ法(オルガノソルブリグニン)によって得ることができる。リグニンを得る方法は、例えば、米国特許第4507172号明細書、カナダ特許第2256923号明細書、欧州特許第3156409号明細書、国際公開第2013/070130号、独国特許第3901662号明細書、国際公開第2012/027767号および/または国際公開第2006/038863号に記載されている。
【0108】
リグニンはまた、酸性化および濾過によって(例えば、米国特許出願公開第2017/0355723号明細書に記載されているリグノブースト法または同等の手法によって)、クラフトパルプ工場の「黒液」(black liquor)流からリグニン固体として沈殿させることもできる。好ましくは、このタイプのリグニンが本発明に従って使用され、クラフトリグニンと呼ばれる。
【0109】
黒液は、セルロース系パルプの分離後のクラフトパルプ化法の塩基性水溶液である。それは、溶解したリグニンのほかに、無機調理塩、および元のバイオマスからの分解された糖成分、例えば、酢酸、多様な糖酸などを含む(Bajpai, Pratima. (2018). Biermann’s Handbook of Pulp and Paper-Raw Material and Pulp Making, Volume 1 and 2 (3rd Edition)-12.8.5 Green Liquor, Chemical Recovery. (pp.332). Elsevier)。
【0110】
共溶媒は、エタノールなどのアルコールおよび/またはジエチルカーボネートなどのカーボネートから選択されてよい。
【0111】
レオロジー調整剤は、ポリマー増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルアルコールの群から選択されてよい。
【0112】
成分Aは、
成分Aの質量に基づいて、20~80質量%、好ましくは30~70質量%、好ましくは40~65質量%の1または複数のポリマーA1、および
任意選択により場合によって、0~50質量%、好ましくは0~45質量%、好ましくは0~40質量%、好ましくは0~30質量%、好ましくは0~20質量%、好ましくは0~10質量%、好ましくは0~5質量%の成分A2、および80~20質量%、好ましくは30~70質量%、好ましくは35~60質量%の水である成分A3
を含むことができ、ここで、すべての1または複数のポリマーA1、成分A2およびA3の質量は、1または複数のポリマーA1、成分A2およびA3の合計の総質量が100質量%を超えないかまたは好ましくは100質量%であるように選択され、ここで、好ましくは成分A2は、尿素および/または1または複数の尿素誘導体、より好ましくは尿素である。
【0113】
成分B
成分Bは、ヒドロキシアセトンを含み、かつ、任意選択により場合によって、成分B2を含み、かつ、任意選択により場合によって、水である成分B3を含む。好ましくは、成分Bは、ヒドロキシアセトンを含み、かつ、水である成分B3を含み、かつ、任意選択により場合によって、成分B2を含む。ヒドロキシアセトンおよび成分B2は水を含まない。水である成分B3は、ヒドロキシアセトンおよび/または成分B2を溶解または分散させるために使用され得る。
【0114】
ヒドロキシアセトンは、成分B1とも呼ばれ得る。成分Bは、成分Bの総質量に基づいて、20~80質量%、好ましくは30~75質量%、好ましくは40~70質量%のヒドロキシアセトンを含み得る。
【0115】
ヒドロキシアセトンは、1,2-プロパンジオール(Chem. Eng. News 43 (1965))から出発する接触酸化によって、または1,2-プロパンジオールの脱水素によって調製することができる(独国特許第2313957(B)号明細書)。あるいは、ヒドロキシアセトンは、180~400℃の温度において1.および/または8.サブグループの元素を含む不均一な脱水素化触媒を用いてグリセリンから製造することができる(独国特許第4128692号明細書)。好ましくは、Cu触媒が使用される。ヒドロキシアセトンは、欧州特許第2664605(B1)号明細書に従って、水素および銀触媒の存在下でグリセリンを加熱することによって製造することもできる。
【0116】
成分B2は、炭水化物、ポリオール、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体、1,3-ジメチル尿素、有機酸、共溶媒、レオロジー調整剤、および/または殺生物剤、染料、顔料、難燃剤、およびそれらの混合物などの他の補助剤からなる群から選択される1以上の物質を含むか、またはそれのみからなることができる。有機酸は、例えば、乳酸および/またはギ酸であり得る。
【0117】
好ましくは、成分Bは、1または複数のポリマーA1を除く任意の他のポリマーを含まない、すなわちそれのみからなる。
【0118】
ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。他の適したポリオールは、バイオポリオール、例えば、ダイズ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油またはそれらの混合物から誘導されるポリオールであり得る。他の適したポリオールは、多官能性開始剤またはそれらの混合物の存在下で環状酸化物、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはテトラヒドロフランの重合によって得ることができるポリエーテルポリオールであり得る。
【0119】
共溶媒は、エタノールなどのアルコールおよび/またはジエチルカーボネートなどのカーボネートから選択されてよい。
【0120】
レオロジー調整剤は、ポリマー増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロースの群から選択されてよい。
【0121】
成分B2は、ヒドロキシアセトンの総質量に基づいて、60質量%未満、好ましくは50質量%未満、好ましくは40質量%未満、好ましくは30質量%未満、好ましくは20質量%未満、好ましくは10質量%未満、好ましくは5質量%未満、好ましくは2.5質量%未満、好ましくは1質量%未満のペントースを含み得る。成分B2は、ヒドロキシアセトンの総質量に基づいて、60質量%未満、好ましくは50質量%未満、好ましくは40質量%未満、好ましくは30質量%未満、好ましくは20質量%未満、好ましくは10質量%未満、好ましくは5質量%未満、好ましくは2.5質量%未満、好ましくは1質量%未満の炭水化物を含み得る。成分B2は、好ましくはペントースを含まない。成分B2は、好ましくは炭水化物を含まない。炭水化物は、式CnH2nOnを有する単糖類(ポリヒドロキシアルデヒド(アルドース)および/またはポリヒドロキシケトン(ケトース))および/または加水分解によってこれらの単糖類に変換することができる高分子化合物、例えば式CnH2n-2On-1を有する二糖類、オリゴ糖類および多糖類(例えばデンプン)を意味する。好ましくは、炭水化物は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類およびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは単糖類、二糖類およびそれらの混合物からなる群から選択される。成分B2は、リボース、アラビノース、キシロース、リキソースおよびそれらの混合物からなる群から選択されるペントースを含まなくてもよい。
【0122】
炭水化物成分は、そのアルドースもしくはケトース形態の単糖、またはトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースもしくはヘプトースを含む異なるタイプの混合物;または多糖;またはそれらの組み合わせであり得る。好ましい炭水化物成分は、ペントースおよび/またはヘキソースである。例えば、トリオースが炭水化物成分として働く場合、アルドトリオース糖および/またはケトトリオース糖、例えばそれぞれグリセルアルデヒドおよび/またはジヒドロキシアセトン、を利用することができる。テトロースが炭水化物成分として働く場合、アルドテトロース糖、例えばエリトロースおよび/またはトレオース、を利用することができ;および/またはケトテトロース糖、例えばエリトルロース、を利用することができる。ペントースが炭水化物成分として働く場合、アルドペントース糖、例えばリボース、アラビノース、キシロース、および/またはリキソース、を利用することができ;および/またはケトペントース糖、例えばリブロース、アラブロース(arabulose)、キシルロース、および/またはリクスロース(lyxulose)、を利用することができる。ヘキソースが炭水化物成分として働く場合、アルドヘキソース糖、例えばグルコース(すなわち、デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、および/またはイドース、を利用することができる;および/またはケトヘキソース糖、例えばフルクトース、プシコース、ソルボースおよび/またはタガトース、を利用することができる。ヘプトースが炭水化物成分として働く場合、ケトヘプトース糖、例えばセドヘプツロースを利用することができる。天然に存在することが知られていないそのような炭水化物成分の他の立体異性体もまた、成分Bのさらなる成分B2として有用であると考えられる。
【0123】
上述のように、炭水化物成分は多糖であり得る。例えば、炭水化物成分は、例えば、糖蜜、デンプン加水分解物、セルロース加水分解物、またはそれらの混合物を含む、重合度の低い多糖であり得る。具体的な例によれば、炭水化物成分はデンプン加水分解物、例えばマルトデキストリンである。
【0124】
任意選択により場合によって、炭水化物は、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース(すなわち、デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、イドース、フルクトース、プシコース、ソルボース、ジヒドロキシアセトン、スクロースおよびタガトース、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、炭水化物は、キシロース、グルコース(すなわちデキストロース)、ジヒドロキシアセトンおよびスクロース、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0125】
成分Bは、
成分Bの総質量に基づいて、20~80質量%、好ましくは30~75質量%、好ましくは40~70質量%のヒドロキシアセトン、
任意選択により場合によって、0~50質量%、好ましくは0~40質量%、好ましくは0~30質量%、好ましくは0~20質量%、好ましくは0~10質量%、好ましくは0~5質量%の成分B2、および
20~80質量%、好ましくは25~70質量%、好ましくは30~60質量%の、水である成分B3
を含むことができ、ここで、ヒドロキシアセトン、および成分B2、およびB3の質量は、ヒドロキシアセトン、および成分B2、およびB3の合計の総質量が100質量%を超えないかまたは好ましくは100質量%であるように選択され、
ここで、好ましくは成分B2は、尿素および/または1または複数の尿素誘導体、より好ましくは尿素である。
【0126】
任意選択により場合によって、成分Bは、
成分Bの総質量に基づいて、成分B1として、20~80質量%、好ましくは30~75質量%、好ましくは40~70質量%のヒドロキシアセトン、および
成分B2として、1~10質量%、好ましくは1.5~8.5質量%、好ましくは2~7質量%の乳酸および
1~8質量%、好ましくは1.5~7質量%、好ましくは2~6質量%のギ酸および
0~20質量%、好ましくは0.5~15質量%、好ましくは1~10質量%、好ましくは1.5~5質量%のグリセリン、および
成分B3として、15~77.5質量%、好ましくは17.5~70質量%、好ましくは20~60質量%の水、
を含むことができ、ここで、成分B1、および成分B2および成分B3の質量は、成分B1、および成分B2および成分B3の合計の総質量が100質量%を超えないかまたは好ましくは100質量%であるように選択される。
【0127】
任意選択により場合によって、本発明によるバインダー組成物中で、ポリマーA1の第一級および第二級アミン基の合計とヒドロキシアセトンのケト基の数の合計との数比は、20:1~0.25:1、好ましくは10:1~0.5:1、好ましくは6:1~1.2:1、より好ましくは6:1~1.5:1、より好ましくは3:1~1.7:1であり得る。
【0128】
本発明によるバインダー組成物は、
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは20~95質量%、好ましくは30~95質量%、好ましくは40~90質量%、好ましくは50~90質量%、好ましくは60~85質量%、好ましくは70~85質量%の1または複数のポリマーA1を含むことができる。本発明によるバインダー組成物は、1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、70~90質量%の1または複数のポリマーA1を含み得る。
【0129】
任意選択により場合によって、本発明によるバインダー組成物は、
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは20~95質量%、好ましくは30~95質量%、好ましくは40~90質量%、好ましくは50~90質量%、好ましくは60~85質量%、好ましくは70~85質量%の1または複数のポリマーA1、および5~90質量%、好ましくは5~80質量%、好ましくは5~70質量%、好ましくは10~60質量%、好ましくは10~50質量%、好ましくは15~40質量%、好ましくは15~30質量%のヒドロキシアセトンを含み、
ここで、1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンの質量は、1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量が100質量%であるように選択される。
【0130】
任意選択により場合によって、本発明によるバインダー組成物は、
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、好ましくは50~90質量%、好ましくは60~85質量%、好ましくは70~85質量%の1または複数のポリマーA1、および
10~50質量%、好ましくは15~40質量%、好ましくは15~30質量%のヒドロキシアセトンを含み、
ここで、1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンの質量は、1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量が100質量%であるように選択される。
【0131】
成分Aは、
1または複数のポリマーA1、成分A2およびA3の合計の総質量に基づいて、20~80質量%、好ましくは30~70質量%、好ましくは40~65質量%の1または複数のポリマーA1、
任意選択により場合によって、0~50質量%、好ましくは0~45質量%、好ましくは0~40質量%、好ましくは0~30質量%、好ましくは0~20質量%、好ましくは0~10質量%、好ましくは0~5質量%の成分A2、
80~20質量%、好ましくは30~70質量%好ましくは35~60質量%の、水である成分A3を含むことができ、
ここで、1または複数のポリマーA1、成分A2およびA3の質量は、1または複数のポリマーA1と成分A2およびA3の合計の総質量が100質量%であるように選択され、
ここで、好ましくは成分A2は、尿素および/または1または複数の尿素誘導体、より好ましくは尿素であり
さらに、成分Bは、
ヒドロキシアセトン、成分B2およびB3の合計の総質量に基づいて、
20~80質量%、好ましくは30~75質量%、好ましくは40~70質量%のヒドロキシアセトン、
任意選択により場合によって、0~30質量%、好ましくは0~20質量%、好ましくは0~10質量%、好ましくは0~5質量%の成分B2、および
20~80質量%、好ましくは25~70質量%、好ましくは30~60質量%の、水である成分B3を含むことができ、
ここで、ヒドロキシアセトンおよび成分B2およびB3の質量は、ヒドロキシアセトンおよび成分B2およびB3の合計の総質量が100質量%であるように選択され、
ここで、好ましくは成分B2は、尿素および/または1または複数の尿素誘導体、より好ましくは尿素である。
【0132】
本発明によるバインダー組成物は、成分A2および/またはB2として尿素を含んでもよく、好ましくは、バインダー組成物は、成分A1およびB1の合計の総質量に基づいて、全体で0~70質量%、好ましくは10~60質量%、より好ましくは20~55質量%、最も好ましくは25~50質量%の尿素を含む。
【0133】
任意選択により場合によって、本発明によるバインダー組成物は、
a)第一級および/または第二級アミノ基を有する1または複数のポリマーA1を含む成分Aであって、1または複数のポリマーA1が少なくとも1質量%のNCpsを有む、成分A、および
b)ヒドロキシアセトンを含む成分B、および
c)任意選択により場合によって、機能性添加剤を含む成分C、
を含み、好ましくは、1または複数のポリマーA1は、少なくとも800g/mol、好ましくは最大でも10,000g/mol、好ましくは少なくとも1,500g/mol、好ましくは最大でも10,000g/mol、好ましくは少なくとも1,500g/mol、好ましくは最大でも5,000g/molの総重量平均分子量Mw,totalを有する。
【0134】
機能性添加剤は、リグノセルロース系複合品の特定の特性、例えば、耐水性および/または微生物に対する耐性を改善するための添加剤である。
【0135】
成分Cは、以下を含むか、または以下のみから構成され得る:
1または複数の機能性添加剤である成分C1と水である成分C2
水である成分C2は、成分C1を溶解または分散させるために使用され得る。
【0136】
機能性添加剤C1は、疎水化剤の群、例えば、パラフィン、レオロジー調整剤、充填剤、殺真菌剤、殺生物剤、難燃剤、顔料、染料、またはそれらの混合物から選択され得る。
【0137】
1つの好ましい成分Cは、パラフィン(成分C1)が水(成分C2)中で乳化されているパラフィン乳剤である。
【0138】
任意選択により場合によって、バインダー組成物は、1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンと成分C1の合計の総質量に基づいて、0~50質量%、好ましくは0~25質量%、好ましくは0~15質量%、好ましくは0~10質量%の成分C1を含む。
【0139】
バインダー組成物は、
1または複数のポリマーA1と成分A2とA3の合計の総質量に基づいて、20~80質量%、好ましくは30~70質量%、好ましくは40~65質量%の1または複数のポリマーA1、
任意選択により場合によって、0~50質量%、好ましくは0~45質量%、好ましくは0~40質量%、好ましくは0~30質量%、好ましくは0~20質量%、好ましくは0~10質量%、好ましくは0~5質量%の成分A2、
80~20質量%、好ましくは30~70質量%、好ましくは35~60質量%の、水である成分A3を含むことができ、ここで、1または複数のポリマーA1および成分A2およびA3の質量は、1または複数のポリマーA1および1または複数の成分A2およびA3の合計が100質量%であるように選択され、
ここで、好ましくは成分A2は、尿素および/または1または複数の尿素誘導体、より好ましくは尿素であり
さらに、
ヒドロキシアセトン、成分B2、およびB3の合計の総質量に基づいて、20~80質量%、好ましくは30~75質量%、好ましくは40~70質量%のヒドロキシアセトン、
任意選択により場合によって、0~50質量%、好ましくは0~45質量%、好ましくは0~40質量%、好ましくは0~30質量%、好ましくは0~20質量%、好ましくは0~10質量%、好ましくは0~5質量%の成分B2、および
20~80質量%、好ましくは25~70質量%、好ましくは30~60質量%の、水である成分B3を含むことができ、ここで、ヒドロキシアセトンおよび成分B2およびB3の質量は、ヒドロキシアセトンおよび成分B2およびB3の合計の総質量が100質量%であるように選択され、
ここで、好ましくは成分B2は、尿素および/または1または複数の尿素誘導体、より好ましくは尿素であり
さらに、
成分C1およびC2の合計の総質量に基づいて、0~100質量%、好ましくは10~90質量%、好ましくは25~70質量%の成分C1、
0~100質量%、好ましくは10~90質量%、好ましくは30~75質量%の、水である成分C2を含むことができ、
ここで、成分C1およびC2の質量は、成分C1およびC2の合計の総質量が100質量%であるように選択され、ここで、成分C1は、好ましくはパラフィンであり、
さらに、任意選択により場合によって、本発明によるバインダー組成物は、
1または複数のポリマーA1と成分B1と成分C1の合計の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは20~95質量%、好ましくは30~95質量%、好ましくは40~90質量%、好ましくは50~90質量%、好ましくは60~85質量%の1または複数のポリマーA1、より好ましくは70~85質量%、および
5~90質量%、5~80質量%、好ましくは5~70質量%、好ましくは10~60質量%、好ましくは10~50質量%、好ましくは15~40質量%、好ましくは15~30質量%の成分B1、および
0~50質量%、好ましくは0~25質量%、好ましくは0~15質量%、好ましくは0~10質量%の成分C1を含み、ここで、1または複数のポリマーA1と成分B1と成分C1の質量は、1または複数のポリマーA1と成分B1と成分C1の合計の総質量が100質量%を超えないかまたは100質量%であるように選択され、ここで、好ましくは1または複数のポリマーA1は、1または複数のポリマーA1の総質量に基づいて、70質量%~100質量%の1または複数のポリリジンを含み、ここで、任意選択により場合によって、1または複数のポリリジンの総重量平均分子量Mw,totalは、800~10,000g/mol、好ましくは1000~7,500g/mol、より好ましくは1,500~5,000g/molの範囲内であり、
ここで、任意選択により場合によって、本発明によるバインダー組成物は、成分A2および/またはB2として尿素を含み、ここで、好ましくはバインダー組成物は、成分A1およびB1の合計の総質量に基づいて、全体で0~70質量%、好ましくは10~60質量%、より好ましくは20~55質量%、最も好ましくは25~50質量%の尿素を含む。
【0140】
任意選択により場合によって、本発明によるバインダー組成物は、
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンと成分C1の合計の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは20~95質量%、好ましくは30~95質量%、好ましくは40~90質量%、好ましくは50~90質量%、好ましくは60~85質量%の1または複数のポリマーA1、より好ましくは70~85質量%、および5~90質量%、5~80質量%、好ましくは5~70質量%、好ましくは10~60質量%、好ましくは10~50質量%、好ましくは15~40質量%、好ましくは15~30質量%のヒドロキシアセトン、および
0~50質量%、好ましくは0~25質量%、好ましくは0~15質量%、好ましくは0~10質量%の成分C1を含み、ここで、1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンおよび成分C1の質量は、1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンおよび成分C1の合計の総質量が100質量%であるように選択される。
【0141】
本発明はまた、上記の反応済バインダー組成物を含むプラスチック材料にも関する。本発明によるバインダー組成物は、成分AとBと任意選択により場合によってCを混合し、混合物を反応させることによって得られるプラスチック材料の調製に使用することができる。混合物は、型内で硬化されてもよい。
【0142】
あるいは、混合物をマトリックス系に組み込んだ後に硬化を行ってもよい。マトリックス系は、空洞を有するリグノセルロース系またはセルロース系足場であってよく、その空洞は、混合バインダー組成物、例えば木材梁、脱リグニン木材梁、単板、脱リグニン単板、木材粒子、脱リグニン木材粒子、紙、セルロース系不織布または他のセルロース系もしくはリグノセルロース系材料で充填することができる。マトリックス系は、バインダー組成物を反応させる前に形成されてもよい。脱リグニンは、M. Frey, et al., ACS Appl. Mater. Interfaces, 2018, 20, page 5030から5037または国際公開第2018/197222号に記載されているようにH2O2と酢酸の水溶液で処理することによるか、または、M. Zhu, et al., Adv. Mat. 2016, 28 page 5181~5187に記載されているようにNaOHとNa2SO3の水溶液で処理することによって行うことができる。マトリックス系とプラスチック材料との比率は、質量比で95:5~25:75、好ましくは90:10~50:50、より好ましくは85:15~60:40とすることができる。硬化は、20~200℃、好ましくは50~180℃、より好ましくは70~150℃で、任意選択により場合によって1~100bar、好ましくは2~80bar、好ましくは3~60barの圧力で行われる。
【0143】
任意選択により場合によって、プラスチック材料を調製するためのバインダー組成物は、1または複数のポリマーA1、成分A2、ヒドロキシアセトン、成分B2および成分C1の総質量に基づいて、全体で少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%、好ましくは少なくとも97.5質量%、好ましくは少なくとも99質量%、最も好ましくは100質量%の1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの両成分を含む。
【0144】
本発明はまた、上記で定義されたバインダー組成物を含む組成物キットに関し、ここで成分Aと成分Bと任意選択により場合によって成分Cは、別々に保存される。このバインダーキットは、2つの別々の成分AとBを含み、これらは、複数のリグノセルロース粒子への適用前または適用中または適用後に混合される。
【0145】
本発明はまた、成分AとBを反応させることにより入手可能であるかまたは得られる反応済バインダー組成物、特に本発明によるバインダー組成物に関する。本発明はまた、本発明によるバインダー組成物を反応させることによって入手可能であるかまたは得られる反応済バインダー組成物に関する。
【0146】
本発明によるバインダー組成物は、異なる形状の異なる材料、例えば鉱物繊維(スラグウール繊維、ストーンウール繊維、ガラス繊維を含む)、アラミド繊維、セラミック繊維、セラミック粉末、金属繊維、金属粉末、カーボン・ファイバー、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン(reyon)繊維、セルロース繊維、セルロースシート、セルロースチップ、セルロースストランド、セルロース層またはリグノセルロース片のためのバインダーまたは接着剤として使用することができる。
【0147】
任意選択により場合によって、本発明によるバインダー組成物は、リグノセルロース片、より好ましくはリグノセルロース粒子、特に木材粒子に使用される。
【0148】
本発明のさらなる態様は、
複数のリグノセルロース片、および
上で定義したような反応済バインダー組成物
を含むリグノセルロース系複合品に関する。
【0149】
反応済バインダー組成物は、好ましくは、20~300℃、好ましくは40~200℃、好ましくは50~180℃、より好ましくは70~150℃で、任意選択により場合によって、0.1~100bar、好ましくは1~100bar、好ましくは1~50bar、好ましくは1~25barの圧力で硬化したバインダー組成物を意味する。好ましくは、硬化反応は、架橋反応(好ましくは、ヒドロキシアセトンとの反応による1または複数のポリマーA1の架橋)であり、温度は、硬化ステップ中にバインダー組成物において到達する最高温度である。
【0150】
バインダー組成物は、任意選択により場合によって0.1~100bar、好ましくは0.1~50bar、好ましくは0.1~25barの圧力で高周波電場を印加しながら、20~300℃、好ましくは40~200℃、好ましくは50~180℃、より好ましくは70~150℃で硬化させることができる。好ましくは、高周波電場は、マットの中心部で80~200℃、好ましくは80~180℃、より好ましくは90~150℃、最も好ましくは100~150℃に達するまで、プレス中に印加される。
【0151】
本明細書で使用される「高周波電場」という用語は、あらゆる種類の高周波電場または高周波電磁場、例えば、2枚のキャパシタプレートの間のプレートキャパシタで高周波交流電圧を印加した後に生じるマイクロ波照射または高周波電場を示し、これを含む。
高周波電場に適した周波数は、100kHz~30GHz、好ましくは6MHz~3GHz、より好ましくは13MHz~41MHzの範囲である。特に適した好ましい周波数は、それぞれ国内および国際的に承認された周波数、例えば、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、2.45GHz、5.80GHz、24.12GHz、より好ましくは13.56および27.12MHzである。本発明のプロセスにおいてそのような高周波電場を生成するために使用される電力は、好ましくは10~10,000kWh、より好ましくは100~5,000kWh、最も好ましくは500~2,000kWhの範囲内である。
【0152】
前記反応済バインダー組成物は、未反応の1または複数のポリマーA1、任意選択により場合によって未反応の成分A2、任意選択により場合によって未反応のヒドロキシアセトン、任意選択により場合によって未反応の成分B2および/または任意選択により場合によって未反応の成分C1を依然として含み得る。
【0153】
任意選択により場合によって、前記反応済バインダー組成物は、バインダー組成物を反応させる前の1または複数のポリマーA1、成分A2、ヒドロキシアセトンおよび成分B2の総質量に基づいて、全体で15質量%未満、好ましくは10質量%未満、より好ましくは8質量%未満の1または複数の未反応のポリマーA1、未反応のヒドロキシアセトン、未反応の成分A2および未反応の成分B2を含む。
【0154】
リグノセルロース片およびそれからの複合品:
本発明に従って使用されるリグノセルロース片は、リグノセルロース含有材料を切断、鋸引き、破砕、および/またはすりつぶすことによって製造することができる。リグノセルロース系材料をリグノセルロース片に切断、鋸引き、破砕および/または粉砕することは、当分野で公知の方法によって実行することができる(例えば、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime[Wood Materials and Glues], pp.91から156, Springer Verlag Heidelberg, 2002を参照)。適したリグノセルロース材料は、通常、リグノセルロース含有植物および/または植物部分、特に木材であり得る。適した植物の例としては、樹木、草、亜麻、麻、またはそれらの混合物、好ましくは樹木が挙げられる。好ましくは、リグノセルロース片は木材から作製される。任意の所望の種類の針葉樹材および/または広葉樹材が木材粒子の製造に適し得、例えば、産業用木材残渣、森林材木および/またはプランテーション材木、好ましくはユーカリ、トウヒ、ブナ、マツ、カラマツ、リンデン、ポプラ、アッシュ、オーク、モミ、またはそれらの混合物、より好ましくはユーカリ、トウヒ、マツ、ブナまたはそれらの混合物がある。
【0155】
しかし、リグニンを含む他の植物、リグニンを含む農業および/または林業用の原料および/または残留物、例えば、リグニンを含む植物、わら、亜麻わら、および/または綿の茎なども、リグノセルロース片の調製に使用することができる。木化した茎をもつヤシおよび/または草、例えば竹もリグノセルロース片の調製に適している。リグノセルロース片を調製するためのリグノセルロース含有材料のさらなる供給源は、廃木材、例えば古い家具であり得る。
【0156】
1つまたは複数のリグノセルロース材料をリグノセルロース片の製造に使用することができる。
【0157】
リグノセルロース片を製造するリグノセルロース系材料の平均密度には制限はなく、この密度は、0.2~0.9g/cm3、好ましくは0.4~0.85g/cm3、特に好ましくは0.4~0.75g/cm3、特に0.4~0.6g/cm3であってよい。ここで、密度とは、DIN 1306に定義される標準雰囲気(20℃/湿度65%)におけるかさ密度を指す、すなわちリグノセルロースを含有する出発材料、例えば木の幹に含まれる中空空間が考慮されている。
【0158】
リグノセルロース片は、梁、薄板、厚板、単板、ストリップ、粒子(ストランド、チップまたは繊維のようなもの)、および/または粉塵を含み得る。好ましくは、リグノセルロース含有片は、繊維、ストランド、チップ、粉塵またはそれらの混合物、好ましくはチップ、繊維、粉塵またはそれらの混合物、より好ましくはチップ、繊維またはそれらの混合物、最も好ましくはチップの形態で使用される。使用されるリグノセルロース片は、リグノセルロース含有植物に由来しない異物を含むことができる。異物の含有量は、広い範囲で変動し得るが、通常、リグノセルロース片のオーブン乾燥質量に基づいて、0~30質量%、好ましくは0~10質量%、特に好ましくは0~5質量%、特に0~1質量%である。異物は、例えば廃木材に含まれるプラスチック、接着剤、コーティングおよび/または染料などであり得る。
【0159】
リグノセルロース片のオーブン乾燥質量は、リグノセルロース片の質量からその中に存在する水を差し引いたものであり、EN 322:1993に準拠して、この片を一定質量に達するまで(103±2)℃の温度の乾燥オーブンに入れることによって決定することができる。
【0160】
リグノセルロース片は、複合品の製造に使用する前に、全体的または部分的に脱リグニン処理されていてもよい。リグノセルロース片の好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも75質量%、より好ましくは少なくとも90質量%のリグニンが脱リグニンステップによって除去される。脱リグニンは、M. Frey, et al., ACS Appl. Mater. Interfaces, 2018, 20,page 5030~5037に記載されているようにH2O2と酢酸の水溶液で処理することによるか、または、M. Zhu,et al., Adv. Mat. 2016, 28 page 5181 ~5187に記載されているようにNaOHとNa2SO3の水溶液で処理することによって行うことができる。好ましくは、リグノセルロース片は、事前の脱リグニンステップなしで使用される。
【0161】
本発明によれば、リグノセルロース系複合品は、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime[Wood Materials and Glues], page 7, Springer Verlag Heidelberg, 2002に列挙されているように、無垢材複合材(例えば、集成材)、単板複合材(例えば、合板)、チップ/ストランド複合材(例えば、チップボード、配向性ストランドボード)または繊維複合材(例えば、中密度繊維板)のカテゴリーのいずれかに属し得る。
【0162】
チップ/ストランド複合材および繊維複合材は、粒子から作製された複合材と総称される。
【0163】
リグノセルロース粒子およびそれからの複合品:
本発明によれば、リグノセルロース粒子という用語は、繊維、ストランド、およびチップの総称として使用される。
【0164】
リグノセルロース粒子は、当業者に公知の一般的な乾燥方法に従って乾燥させることができ、その結果、一般的な低い残留含水量(一般的な変動範囲内、いわゆる「残留水分含有量」)を得ることができる。一般的な乾燥方法は、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime [Wood Materials and Glues], page 111~118, Springer Verlag Heidelberg, 2002に記載されている。粒子の水分含有量は、EN 322:1993に準拠して、粒子を一定質量に達するまで(103±2)℃の温度の乾燥オーブンに入れることによって測定することができる。チップは、バインダー組成物を添加する前に、1~8%、好ましくは1~6%の水分含有量になるまで乾燥させてもよい。
【0165】
本発明によれば、リグノセルロース粒子、好ましくは木材粒子から作製されたリグノセルロース系複合品は、チップボード(パーティクルボードとも呼ばれる)、配向性ストランドボード(OSB)、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、または木質繊維断熱版(WFI)であってよい。これらの複合材の製造方法およびこれらの複合材の使用は当業者に公知であり、例えば、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime [Wood Materials and Glues], Part 1, Chapters 4 and 5,Springer Verlag Heidelberg, 2002に記載されている。好ましくは、リグノセルロース系複合品は、チップボード、MDF、HDF、またはWFI、より好ましくはチップボードである。
【0166】
ストランドは、例えば、配向性ストランドボード(OSB)ボードの製造に使用することができる。ストランドの平均サイズは、通常20~300mm、好ましくは25~200mm、特に好ましくは30~150mmである。
【0167】
チップは、チップボードの製造に使用することができる。この目的に必要なチップは、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime [Wood Materials and Glues], page 665 and 666., Springer Verlag Heidelberg, 2002に記載されているように、ふるい分析によってサイズに従って分類することができる。適切なふるいは、DIN ISO 3310-1:2017-11に定義されている。チップの平均サイズは、M. Dunky, Holzforschung und Holzverwertung, 1988, 40,pages 126-133に定義されているように、0.01~30mm、好ましくは0.05~25mm、特に好ましくは0.1~20mmであり得る。
【0168】
繊維は、木質繊維、麻繊維、竹繊維、ミスカンサス繊維、バガス繊維(サトウキビ)、またはそれらの混合物あってよく、好ましくは木質繊維である。繊維の長さは、0.01~20mm、好ましくは0.05~15mm、特に好ましくは0.1~10mmであり得る。
【0169】
ストランドは、木質ストランド、麻ストランド、竹ストランド、バガスストランド、またはそれらの混合物、好ましくは木質ストランドであり得る。ストランドの長さは、20~500mm、好ましくは50~200mm、特に好ましくは100~150mmであり得る。ストランドの幅は、1~50mm、好ましくは5~30mm、特に好ましくは10~15mmであり得る。ストランドの厚さは、0.2~2mm、好ましくは0.4~1.2mm、特に好ましくは0.6~0.8mmであり得る。ストランドはフレークと呼ばれることもある。ウッドウールは木質ストランドの群に属する。
【0170】
本発明によるリグノセルロース粒子から作製されたリグノセルロース系複合品の総厚は、使用分野によって異なる。粒子から作製されたリグノセルロース系複合品は、好ましくは0.5~100mmの範囲内、好ましくは10~40mmの範囲内、特に15~20mmである。
【0171】
本発明によるリグノセルロース粒子から作製されたリグノセルロース系複合品は、1つまたはいくつかの層を含み得る。単層または多層の複合品、例えば単層または3層のチップボードなどが一般に知られている(M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime [Wood Materials and Glues], page 18から22., Springer Verlag Heidelberg, 2002)。
【0172】
リグノセルロース系複合品は、多層、好ましくは3層のチップボードであり得る。任意選択により場合によって、リグノセルロース系複合品は、コア層と2つの表層からなる。リグノセルロース系複合品は、本発明による反応済バインダー組成物を少なくとも1つの層に含む。リグノセルロース系複合品は、本発明による反応済バインダー組成物を2以上の層で含んでもよく、異なる層で使用される本発明によるバインダー組成物は、異なる層で同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、表層は、本発明による反応済バインダー組成物を含む。コア層は、本発明による反応済バインダー組成物、またはフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、有機イソシアネートに基づくバインダーまたはそれらの混合物からなる群から選択される反応済バインダー組成物、好ましくは本発明による反応済バインダー組成物を含み得る。
【0173】
多層パーティクルボード、好ましくは3層チップボードは、好ましくは、EN717-2に従って測定されたホルムアルデヒド放出量が2.0mg/m2h未満、好ましくは1.5mg/m2h未満である。
【0174】
適したフェノール-ホルムアルデヒド樹脂(PF樹脂とも呼ばれる)は当業者に公知であり、例としてKunststoff-Handbuch [Plastics Handbook], 2nd edn., Hanser 1988, vol. 10 “Duroplaste”[Thermosets], pp.12から40を参照されたい。
【0175】
適したアミノ樹脂は、当業者に公知のアミノ樹脂のいずれか、好ましくは木質系複合材の製造のためのアミノ樹脂であり得る。これらの樹脂およびその製造は、例として、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie [Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry], 4th revised and extended edition, Verlag Chemie, 1973, pp. 403-424 “Aminoplaste”[Aminoplastics]及びUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, vol. A2, VCH Verlagsgesellschaft, 1985, pp.115-141 “Amino Resins”に記載されており、また、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe und Leime [Wood-based materials and glues], Springer 2002, pp.251-259 (UF resins)及びpp.303-313 (MUF and UF with small quantity of melamine)にも記載されている。これらは一般に、少なくとも1つのカルバミド基またはアミノ基を有し、任意選択により場合によって有機部分(カルバミド基の別の用語はカルボキサミド基である)、好ましくはカルバミド基、好ましくは尿素またはメラミンである程度置換された化合物、およびアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドの重縮合物である。好ましい重縮合物は、尿素-ホルムアルデヒド樹脂(UF樹脂)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)およびメラミンを含有する尿素-ホルムアルデヒド樹脂(MUF樹脂)であり、特に好ましいのは、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、例えばBASF SE製のKaurit(登録商標)接着剤製品である。
【0176】
適した有機イソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機イソシアネートおよびこれらの混合物、特に当業者に公知の有機イソシアネートのいずれかおよびこれらの混合物、好ましくは木質系材料またはポリウレタンの製造用のものである。これらの有機イソシアネートは、その製造とともに、例として、Becker/Braun, Kunststoff Handbuch [Plastics handbook], 3rd revised edition, vol.7 “Polyurethane” [Polyurethanes], Hanser 1993, pp.17-21, pp.76-88及びpp.665-671に記載されている。
【0177】
好ましい有機イソシアネートは、2~10個、好ましくは2~8個のモノマー単位を有し、平均してモノマー単位あたり少なくとも1つのイソシアネート基を有するイソシアネートオリゴマー、およびこれらの混合物である。イソシアネートは、脂肪族、脂環式、または芳香族のいずれかであり得る。特に好ましいのは、有機イソシアネートMDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)および/またはオリゴメリック有機イソシアネートPMDI(ポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート)(これらは、ホルムアルデヒドとアニリンの縮合ならびに縮合中に生成される異性体とオリゴマーのホスゲン化によって入手可能である(例として、Becker/Braun, Kunststoff Handbuch [Plastics handbook], 3rd revised edition, vol.7 “Polyurethane” [Polyurethanes], Hanser 1993, p.18, final paragraphからp.19, second paragraph及びp.76, fifth paragraphを参照されたい))、ならびにMDIおよび/またはPMDIの混合物である。BASF SE製のLUPRANATE(登録商標)の製品であり、特にBASF SE製のLUPRANATE(登録商標)M20FBが非常に特に好ましい。
【0178】
有機イソシアネートはまた、イソシアネート、例えば、PMDIと1以上のポリオールおよび/またはポリアミンの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマーであってもよい。
【0179】
粒子から作製された本発明の複合品は、100~1000kg/m3、好ましくは400~850kg/m3の平均全体密度を有し得る。本発明のチップボードは、400~750kg/m3、より好ましくは425~650kg/m3、特に450~600kg/m3の全体平均密度を有し得る。密度は、EN 323:1993に準拠して、製造の24時間後に決定される。
【0180】
任意選択により場合によって、リグノセルロース片、好ましくは粒子のオーブン乾燥総質量に基づいて、全体で3~15質量%、より好ましくは3.5~12質量%、より好ましくは4~10質量%、最も好ましくは4.5~8質量%、最も好ましくは4.5~6質量%の1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンが、リグノセルロース系複合品の調製に使用される。
【0181】
任意選択により場合によって、A1の最小量は、リグノセルロース片、好ましくは粒子のオーブン乾燥総質量に基づいて、1.5質量%、好ましくは2質量%、好ましくは2.5質量%、好ましくは3質量%である。
【0182】
好ましくは、リグノセルロース片は、繊維またはチップ、より好ましくはチップである。
【0183】
任意選択により場合によって、リグノセルロースチップ、好ましくは木材チップのオーブン乾燥総質量に基づいて、全体で3~10質量%、好ましくは3.5~9質量%、より好ましくは4~8質量%、最も好ましくは4.5~7質量%の1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンが、複合品、好ましくはチップボードの調製に使用される。
【0184】
任意選択により場合によって、リグノセルロース系繊維、好ましくは木質繊維のオーブン乾燥総質量に基づいて、全体で5~15質量%、好ましくは5.5~12質量%、より好ましくは6~10質量%の1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンが、複合品、好ましくは中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、または木質繊維断熱版(WFI)のような繊維板、好ましくはMDFの調製に使用される。
【0185】
本発明のさらなる態様は、リグノセルロース系複合品、特に、単層リグノセルロース系ボード、または、コアを有し、少なくとも1つの上部表層と1つの下部表層を有する多層リグノセルロース系ボードのバッチ式または連続式の製造方法であって、以下のステップを含む方法に関する。
【0186】
a)リグノセルロース粒子と各層用のバインダー組成物を混合するステップであって、少なくとも1つの層のための混合物が、本発明によるバインダー組成物を含む、ステップ、
b)個々の層のための混合物を層ごとに散布してマットを形成するステップ、
c)80~300℃、好ましくは120~280℃、より好ましくは150~250℃の温度、および1~100bar、好ましくは1~50bar、好ましくは1~25barの圧力でマットをボードにプレスするステップであって、リグノセルロース粒子は好ましくはチップまたは繊維である、ステップ。
【0187】
ステップc)の温度は、プレスに使用される加熱された表面の表面温度、特にプレスプレートの表面温度を指す。
【0188】
ステップc)におけるプレスの終了時に、プレスされたマットの中心の温度は、少なくとも80℃、好ましくは80~180℃、好ましくは90~150℃、より好ましくは95~125℃であってよい。ボードは、スタークーラ内で、またはホットスタッキングによってよりゆっくりと冷却することができる。
【0189】
本発明のさらなる態様は、リグノセルロース系複合品、特に、単層リグノセルロース系ボード、またはコアを有し、少なくとも1つの上部表層と1つの下部表層を有する多層リグノセルロース系ボードのバッチ式または連続式の製造方法であって、以下のステップを含む方法に関する。
a)リグノセルロース粒子と各層用のバインダー組成物を混合するステップであって、少なくとも1つの層のための混合物が、本発明によるバインダー組成物を含む、ステップ、
b)個々の層のための混合物を層ごとに散布してマットを形成するステップ、
c’)80~200℃、好ましくは80~180℃、より好ましくは90~150℃、最も好ましくは100~150℃の温度、および0.1~100bar、好ましくは0.1~50bar、好ましくは0.1~25barの圧力でマットをボードにプレスするステップであって、高周波電場がプレス中に印加され、リグノセルロース粒子は好ましくはチップまたは繊維である、ステップ。
【0190】
ステップc’)の温度は、ステップc’)の終わりにおけるプレスされたマットの中心の温度を指す。ボードは、スタークーラ内で、またはホットスタッキングによってよりゆっくりと冷却することができる。
【0191】
プレスされたマットの中心の温度の測定は、既知の方法に従って、特に、Meyer/Thoemen, Holz als Roh-und Werkstoff [European Journal of Wood and Wood Products] (2007) 65, page 49~55 又は、Thoemen, 2010,“Vom Holz zum Werkstoff-grundlegende Untersuchungen zur Herstellung und Struktur von Holzwerkstoffen [From wood to materials-basic investigations for the preparation and the structure of wood-based materials]”, ISBN 978-3-9523198-9-5, page 24~30及びpage 78~85に従って行うことができる。温度センサの無線測定、例えば、Fagus-Grecon Greten GmbH&Co.KGのCONTI LOG-またはEASYlog-センサには、マットの散布中にマットに挿入することができるものを使用することができる。
【0192】
ステップc)またはc’)のプレスの開始から終了までの時間がプレス時間である。プレス時間係数は、実施例の項(「測定値および測定方法」)に記載されるように、ボードの目標厚さによって割ったプレス時間である。任意選択により場合によって、本発明によるプロセスでは、プレス時間係数は、最大でも20s/mm、好ましくは最大でも14s/mm、好ましくは最大でも12s/mm、好ましくは最大でも10s/mm、好ましくは最大でも8s/mmであり、任意選択により場合によって、本発明によるプロセスでは、プレス時間係数は、少なくとも2s/mm、好ましくは少なくとも3s/mm、好ましくは少なくとも4s/mm、好ましくは少なくとも5s/mmである。
【0193】
バインダー組成物の成分AおよびBは、別々にまたは以下に定義される混合物として添加されてよい。任意選択により場合によって、成分Cは、成分Aおよび/またはBとの混合物として、または別々に添加されてもよい。
【0194】
コアを有し、少なくとも1つの上部表層と1つの下部表層を有する多層リグノセルロース系ボードであるリグノセルロース複合品のバッチ式または連続式の製造のために、表層は、本発明によるバインダー組成物を含んでよく、コア層は、尿素/ホルムアルデヒドバインダー、フェノール/ホルムアルデヒドバインダー、メラミン/尿素/ホルムアルデヒドバインダー、PMDIバインダー、およびそれらの混合物からなる群から選択されるバインダーを含んでよい。
【0195】
ステップa)、b)、およびc)を含む、リグノセルロース系複合材、特に単層リグノセルロース系ボードまたは少なくともコアと2つの表層を有する多層リグノセルロース系ボードを製造するための対応する方法は、当業者に一般に公知であり、例えばM.Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime [Wood Materials and Glues], Part 1, Chapter 4, Springer Verlag Heidelberg, 2002またはA. Wagenfuhr, F. Scholz, Taschenbuch der Holztechnik [Handbook of Wood Technology], Chapter 2, Fachbuchverlag Leipzig im Carl Hanser Verlag, 2012、又はH. Thoemen, M. Irle, M. Sernek(ed.), Wood-Based Panels-An Introduction for Specialists, Chapter 1, COST Office, Brunel University Press, London, UB8 3PH, Englandに記載されている。本発明による方法は、不連続的にまたは連続的に、好ましくは連続的に実施されることができる。
【0196】
ステップa)で得られた1または複数の混合物は、水を含む。この水は、リグノセルロース粒子に含まれる残留水分、そして成分AおよびB、および任意選択により場合によってCから生じる可能性がある。これらの1または複数の混合物の含水量は、適切な水分を有するリグノセルロース粒子を使用して、ならびに/あるいは成分A、Bおよび/またはCの含水量を増加させることによって、ならびに/あるいはステップa)の間に例えば噴霧によって、混合物(成分A、Bおよび/またはCの一部ではない)に追加の水を添加することによって適合させることができる。
【0197】
a)で得られた混合物の含水量は、EN 322:1993による木質系パネルの含水量の決定と類似の方法で決定される。このために、それぞれの混合物(約20g)のサンプルを湿潤状態で(m1)および乾燥後に(m0)に秤量する。質量m0は、103℃で一定質量まで乾燥させることによって決定される。含水率は、含水率[単位:質量%]=[(m1-m0)/m0]・100として算出される。
【0198】
ステップa)で得られた混合物において、1または複数の混合物の含水量は、混合物の総乾燥質量に基づいて、3~20質量%、好ましくは3.5~16質量%、特に好ましくは4~14質量%、非常に特に好ましくは5~13質量%であり得る。
【0199】
リグノセルロース系複合品が多層、好ましくは3層のチップボードである場合、ステップa)で得られた表層用の混合物中の含水量は、ステップa)で得られたコア層用の混合物中の含水量よりも大きいことが好ましい。
【0200】
任意選択により場合によって、ステップa)で得られた表層用の1または複数の混合物中の含水量[単位:質量%]は、ステップa)で得られたコア層用の1または複数の混合物中の含水量[単位:質量%]よりも大きい。特に、ステップa)で得られた表層用の1または複数の混合物中の含水量[単位:質量%]はステップa)で得られたコア層用の1または複数の混合物中の含水量[単位:質量%]よりも大きく、質量で0.5~6質量%であり、非常に特に好ましくは2~5質量%高い。
【0201】
任意選択により場合によって、ステップa)で得られたコア層用の混合物中の含水量は、混合物の総乾燥質量に基づいて、3~15質量%、より好ましくは3.5~12質量%、特に好ましくは4~10質量%、非常に特に好ましくは5~9質量%であり、ステップa)で得られた表層用の1または複数の混合物中の含水量は、1または複数の混合物の総乾燥質量に基づいて、5~20質量%、好ましくは6~16質量%、特に好ましくは7~14質量%、非常に特に好ましくは8~13質量%である。
【0202】
ステップb)の後、およびステップc)またはc’)の前に、1または複数の層は0.1~30bar、好ましくは1~30bar、好ましくは0.1~25bar、好ましくは1~25bar、より好ましくは1~20bar、より好ましくは1~15barの圧力で予備圧縮されてよい。予備圧縮ステップは、1秒~120秒、好ましくは2~60秒、より好ましくは3~30秒かかることがある。通常、予備圧縮ステップは、散布したマットに熱を加えることなく行われる。予備圧縮ステップの後、およびプロセスステップc)またはc’)の前に、任意の種類の1以上のエネルギー源を用いて予熱ステップでマットにエネルギーを導入することができる。適したエネルギー源は、例えば、熱風、蒸気または蒸気/空気混合物である。これにより、マットの温度が上昇し、マットの水分が変化する可能性がある。任意選択の予熱ステップの後、マットのコア内の温度は、40~80℃の間、好ましくは40~70℃の間であり得る。蒸気および蒸気/空気混合物による予熱は、表面近傍領域のみが加熱されるがコアは加熱されないように行うこともできる。
【0203】
任意選択により場合によって、ステップc)またはc’)で得たリグノセルロース複合材中の含水量は、EN 322:1993に準拠して測定して、3~20質量%、好ましくは5~15質量%、より好ましくは7~13質量%である。
【0204】
散布の開始から予備圧縮の開始までは、例えば1~120秒、好ましくは2~60秒、特に好ましくは3~20秒の間隔を置くことができる。散布の開始から加熱および/またはプレスの開始までは、例えば5~300秒、好ましくは7~120秒、特に好ましくは10~60秒の間隔を置くことができる。
【0205】
予圧および予熱は、当業者に公知の方法、例えば、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime[Wood Materials and Glues], Springer Verlag Heidelberg, 2002, pg.122及び819又はH.-J. Deppe, K. Ernst, MDF-Medium-Density Fiberboard, DRW-Verlag, 1996, pp. 44, 45及び93、又はA. Wagenfuhr, F. Scholz, Taschenbuch der Holztechnik [Handbook of Wood Technology], Fachbuchverlag Leipzig, 2012, pg. 219に記載される方法で実施することができる。
【0206】
ステップc)またはc’)では、マットの厚さは(さらに)低減される。また、エネルギーを投入することでマットの温度は上昇する。最も単純な場合には、一定の押圧力が加えられ、マットは、定電力エネルギー源によって同時に加熱される。しかし、押圧力によるエネルギーの入力と圧縮の両方を、それぞれ異なる時間および複数の段階で行うことができる。方法ステップc)におけるエネルギーの入力は、加熱された表面、例えばプレスプレートからマットへの熱伝達によって実施することができる。方法ステップc’)におけるエネルギーの入力は、高周波加熱によって(高周波電場を印加することによって)、または高周波加熱と加熱された表面からの熱伝達の組み合わせによって実施することができる。
【0207】
このプレスは、当業者に公知の任意の方法によって実施することができる(“Taschenbuch der Spanplatten Technik [Handbook of Particle Board Technology,” H.-J. Deppe, K. Ernst, 4th edition, 2000, DRW-Verlag Weinbrenner, Leinfelden Echterdingen, pp.232~254、及び“MDF-Mitteldichte Faserplatten [Medium-Density Fiberboards]” H.-J. Deppe, K. Ernst, 1996, DRW-Verlag Weinbrenner, Leinfelden Echterdingen, pp.93~104の例を参照)。任意選択により場合によって、例えば二重バンドプレスを使用する連続プレス方法が使用される。
【0208】
ステップc’)が、加熱された表面またはプレートからの高周波加熱および熱伝達の組み合わせを含む場合、加熱されたプレス表面またはプレートの温度は、好ましくは80~200℃、より好ましくは90~180℃、最も好ましくは100~150℃の範囲である。
【0209】
高周波電場を印加する前記ステップc’)において、プレスされたマットの中心の温度が、80℃~200℃の範囲、好ましくは80℃~180℃の範囲の最高温度まで上昇し、好ましくは、高周波電場の印加開始後40秒(d/mm)未満で最高温度に達し(ここで、dは、ステップc’)の終了時の圧縮された混合物の厚さ(mm)である)、より好ましくは高周波電場の印加開始後30秒(d/mm)未満、さらにより好ましくは20秒(d/mm)未満、最も好ましくは15秒(d/mm)未満で最高温度に達する(ここで、dは、ステップc’)の終了時のプレスされたマットの厚さである)、本発明のプロセスが好ましい。例えば、ステップc’)の終了時の圧縮された混合物の厚さd(mm)が10mmである場合、最高温度は、高周波電場の印加開始後の、好ましくは400秒未満、より好ましくは300秒未満、さらにより好ましくは200秒未満、最も好ましくは150秒未満で達する。
【0210】
本明細書で使用される「プレスされたマットの中心」という用語は、ステップc)またはc’)でプレスされたマットによって画定される三次元物体の表面間のほぼ中間にある位置を示す。
【0211】
成分Aおよび成分Bは、ステップa)において、
a1)互いに別々に、または
a2)混合物として、
好ましくは、互いに別々に、
リグノセルロース片、特に粒子に添加することができる。
【0212】
成分AおよびBを互いに別々に添加するとは、ここでは、成分Aおよび成分Bが、別々の塗布装置、例えばノズルまたはアプリケーターディスクの助けを借りてステップa)でリグノセルロース粒子に添加されることを意味すると理解される。塗布装置は、成分Aおよび成分Bの添加が連続的に、任意の順序で、または同時に行われるような方法または時間的順序で空間的に配置されてよい。任意選択により場合によって、塗布装置は、成分Aおよび成分Bが混合物としてではなく同時にリグノセルロース粒子に添加されるように配置される。一般に、これは、塗布装置が空間的に直ぐ近くにあることによって達成され、例えば、塗布装置間の距離は、1cm~300cmの間、好ましくは5cm~200cmの間、より好ましくは10cm~100cmの間であってよい。任意選択により場合によって、成分が塗布装置からリグノセルロース粒子への途中であっても成分を部分的または完全に混合するように、塗布装置をここで整列させてもよい。
【0213】
任意の成分Cをステップa)で使用する場合、成分Aおよび成分Bを混合物として添加するとは、
a)成分AおよびBを混合物として添加し、成分Cを別々に添加すること、または
b)成分AおよびBおよびCを混合物として添加すること
を意味する。
【0214】
任意の成分Cをステップa)で使用する場合、成分Aおよび成分Bを互いに別々に添加するとは、
a)成分AおよびCを混合物として添加し、成分Bを別々に添加すること、または
b)成分BおよびCを混合物として添加し、成分Aを別々に添加すること、または
c)成分AおよびBおよびCをすべて別々に添加すること
を意味する。
【0215】
任意選択により場合によって成分Cと予め混合された成分A、および任意選択により場合によって成分Cと予め混合された成分Bを混合物として添加する場合、得られた混合物は、120分未満、好ましくは90分または90分未満、好ましくは60分または60分未満、好ましくは40分または40分未満、好ましくは20分または20分未満、より好ましくは10分または10分未満、5分または最も好ましくは5分未満、1分または1分未満の待機時間の後に、リグノセルロース粒子に添加される。待機時間は、混合とリグノセルロース粒子への添加との間の時間であり、少なくとも30秒であり得る。待機時間中、混合物は、好ましくは10~50℃、好ましくは15~40℃、好ましくは20~30℃、好ましくは10~25℃の温度に曝される可能性がある。
【0216】
好ましくは、成分AおよびBは、リグノセルロース粒子をバインダー組成物と混合する前に反応しない。
【0217】
本発明のさらなる態様は、粒子から作製されたリグノセルロース物品の使用に関する。
【0218】
さらに好ましい使用では、リグノセルロース系複合品は、1つ以上の面を、例えば、メラミンフィルム、単板、プラスチックエッジ、または塗料でコーティングされる。
【0219】
任意選択により場合によって、リグノセルロース系複合品、例えば、チップボードまたは繊維板は、サンドイッチ材料の内側の層として使用される。この場合、サンドイッチ材料の外側の層は、異なる材料から、例えば、アルミニウムもしくはステンレス鋼などの金属、または薄い木材主体型チップボードもしくは繊維板、好ましくは高密度繊維板(HDF)、または積層体、例えば高圧ラミネート(HPL)などから構成されてよい。
【0220】
リグノセルロース系複合品またはそれから製造されるコーティングされたリグノセルロース系複合材またはそれから製造されるサンドイッチ材料の使用例には、家具の材料として、例えばキャビネット側の材料として、キャビネットの棚として、本棚の材料として、家具扉の材料として、カウンタートップとして、キッチンユニットの前面として、テーブル、椅子および/または布張り家具の要素としての例がある。リグノセルロース系複合品またはそれから製造されるコーティングされたリグノセルロース系複合材またはそれから製造されるサンドイッチ材料の使用例には、建築および/または建設材料として、例えば、内装、店舗設備および展示台建設用の材料として、屋根および/または壁パネル用の材料として、充填材、外装、床および/またはドアの内層として、および/または分割壁としての例がある。
【0221】
梁、薄板、ブランク、および/または単板ならびにそれからの複合品
リグノセルロース系複合品が、梁、薄板、ブランク、および/または単板から作製される場合、複合材全体に基づくバインダー組成物の質量(単位:質量%)は、リグノセルロース系の梁、薄板、ブランク(blanks)および/または単板のサイズに強く依存する。したがって、そのような種類の複合材では、バインダー組成物の質量は、通常、接着剤を塗布する片の表面積あたりのバインダー組成物の質量で計算される。
【0222】
適した量は、合計で5~200g/m2の1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンである。これらの複合材との関連では、接着剤(glue)または接着剤(adhesive)という用語が、従来技術でバインダー組成物の代わりによく使用される。本発明の説明において、バインダー組成物という用語は、あらゆる種類のリグノセルロース系複合品に使用される。
【0223】
梁、薄板、ブランク、および/または単板から作製されたリグノセルロース系複合品は、集成材、合板、直交集成板、無垢材ボード、および/またはブロックボードであってよい。
【0224】
あるいは、単板から作製された複合品は、ボードの少なくとも片側で1以上の単板によって覆われているチップボードまたは繊維板である。
【0225】
本発明のさらなる態様は、
a)バインダー組成物を、1以上のリグノセルロース片の少なくとも1つの表面の上に塗布するステップと
b)バインダー組成物をその上に有する1以上のリグノセルロース片を、1以上のリグノセルロース片と接合するステップと、
c)リグノセルロース片を一緒にプレスするステップであって、リグノセルロース片が、梁、薄板、ブランクおよび/または単板である、ステップと
を含む、集成材、合板、直交集成板、ブロックボードまたは無垢材ボード、好ましくは合板であってよいリグノセルロース系複合材を、バッチ式または連続式で製造する方法に関する。
【0226】
ステップc)におけるプレスは、20~200℃、好ましくは15~150℃、より好ましくは10~110℃の温度で、1~100bar、好ましくは1~50bar、より好ましくは1~25barの圧力で実施することができ、ここで、温度は、ステップc)中にバインダー組成物中で到達する最高温度である。
【0227】
ステップa)、b)、およびc)を含む、梁、薄板、ブランク、および/または単板から作製された複合材を製造するための対応する方法は、当業者に一般的に公知であり、例えば、M. Dunky, P. Niemz, Holzwerkstoffe and Leime [Wood Materials and Glues], pp 93-102, Springer Verlag Heidelberg, 2002に記載されている。
【0228】
本発明のさらなる態様は、
a)バインダー組成物成分AおよびBを1以上の単板片の少なくとも1つの表面に塗布するステップと
b)ステップa)で得られた木片を接合するステップと、
c)木片を一緒にプレスするステップと
を含む、合板のバッチ式または連続式製造のための方法に関する。
【0229】
合板は、互いの上に接着された単板の少なくとも3つの層から構成されており、隣接する層の繊維の方向は、約90℃の角度で配置されている。3層合板の場合、裏板を接着剤スプレッダ-に通し、裏板の上面に接着剤を塗布する。心板または互いに隣接して配置されて縞模様になった複数の単板を、接着剤を塗布した裏板の上に積み重ね、シート全体をもう一度接着剤スプレッダ-に通す。その後、上部の接着剤を塗布した心板の上に表板を積み重ねる。この接着されたシート、または互いの上に積み重なったこれらの接着されたシートのいくつかを、プレス、例えばマルチオープニングホットプレスに挿入する。シートは、80~170℃および5~15barの圧力でプレスすることができ、多層合板、例えば、7層合板の5層は、複数の心板層を用いて同様の方法で製造される。
【0230】
ブロックボードの製造は、3層合板のプロセスと同様である。心板の代わりに、互いに接着されたいくつかの木材ブランクから作製されたシートが使用される。
【0231】
本発明のさらなる態様は、梁、薄板、ブランク、および/または単板から作製されたリグノセルロース物品の使用に関する。
【0232】
使用例は、家具の材料として、例えばキャビネットを構築する材料として、棚として、家具扉の材料として、カウンタートップとして、キッチンユニットの前面として、および/またはテーブルの要素としての例がある。
【0233】
使用例は、建築および建設材料として、例えば、内装、店舗設備および/または展示台建設用の材料として、屋根および/または壁パネル用の材料として、充填材、外装、床および/またはドアの内層として、および/または分割壁として、カーポートおよび/またはホールの屋根用の材料としての例がある。
【0234】
材料
グルコース一水和物(>99%)、Sigma Aldrich、スペイン
フルクトース(>99%)、Sigma Aldrich、米国
キシロース(>99%)、Alfa Aesar、ドイツ
ヘキサメチレンジアミン(HMDA、>99%)、Acros Organic
L-リジン(98%)、Sigma Aldrich、スイス
L-リジン溶液(水中50%)、ADM animal nutrition、米国
ヒドロキシアセトン(95%)、Alfa Aesar(HA-1)
グリセリン(>99%)、Cremer OLEA、ドイツ
ルパゾールG100(ポリエチレンイミンの50%水溶液)、BASF SE
1,2-エチレンジアミン(99%)、Sigma Aldrich
N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン(97%)、Sigma Aldrich
N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン(94%)、Sigma Aldrich
エチレンイミン、BASF SE
アジピン酸(99%)、Sigma Aldrich
触媒CuCr 0203 T、直径3 mmの錠剤、BASF SE
オレイルアルコール(工業グレード)、Alfa Aeser、ベルギー
ステアリン酸(>97%)、Sigma Aldrich、ドイツ
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Mw約250.000)、Sigma-Aldrich、米国
HydroWax 138(水中60%パラフィン)、Sasol Wax GmbH
尿素(>99%)、Merck
1,3-ジヒドロキシアセトン(DHA)、Sigma Aldrich
Kaurit Glue 350(固形分65%)、BASF SE
硫酸アンモニウム(>99%)、Bernd Kraft
ドイツ国、Institut fur Holztechnologie Dresdenのトウヒ材チップおよび繊維
【0235】
トウヒ材チップ
チップは、ディスクチッパーで製造された。ドイツ産のトウヒの幹部分(長さ250mm)を、回転する鋼製ディスクに長辺で押し付けた。回転する鋼製ディスクには、放射状に均等に割り振られたナイフボックスが挿入される。各ナイフボックスは、放射状に配置された切断ナイフと、それに対して直角に配置された数個のスコアリングナイフで構成されている。切断ナイフは、丸い木材からチップを分離し、スコアリングナイフは、同時にチップ長を制限する。その後、製造されたチップはバンカーに収集され、そこから、クロスビーターミル(ふるいインサート付き)に運ばれて、チップ幅に関して再び細断される。その後、再び細断されたチップは瞬間乾燥機に搬送され、約120℃で乾燥された。次に、チップを2つの有用な画分(B:≦2.0mm×2.0mmおよび>0.32mm×0.5mm;C:≦4.0mm×4,0mmおよび>2.0mm×2.0mm)、再び細断される粗い画分(D:>4.0mm×4.0mm)、および細かい画分(A:≦0.32mm×0.5mm)に選別した。
画分Bは、3層チップボード用の表層チップとして使用される(「表層チップ」)。
60質量%の画分Bおよび40質量%の画分Cの混合物は、3層チップボード用のコア層チップかまたは単層チップボード用のチップのいずれかとして使用される(「コア層チップ」)
【0236】
トウヒ材繊維
パルプは、実験室のリファイニングプラントで製造された。一体型の急勾配のコンベヤが、ドイツのトウヒから作製されたチップをプラントの予熱器に搬送した。予熱器から直接、連続運転する一体型脱水機能付きプラグスクリュー(MSD-マルチスクリュー装置)が、解繊される原料をプラントの圧力エリアに搬送した。次に、解繊される材料を、一定の移動下(滞留時間3~4分)、9barの蒸解圧力で蒸解がま内で可塑化し、排出スクリューを介して精製機に連続的に搬送し、解繊した。精製機から、繊維は接線方向出口およびブローラインを介してフラッシュチューブ乾燥機に到達し、乾燥された。
【0237】
方法:
測定値および測定方法
残留粒子の水分含有量:
バインダーを塗布する前の粒子(チップまたは繊維)の水分含有量は、EN 322:1993に準拠して、粒子を一定質量に達するまで(103±2)℃の温度の乾燥オーブンに入れることによって測定した。ステップa)で得られた粒子/バインダー組成物混合物の含水量は同様の方法で決定される。このために、それぞれの混合物(約20g)のサンプルを湿潤状態で(m1)および乾燥後に(m0)に秤量する。質量m0は、103℃で一定質量まで乾燥させることによって決定される。含水率は、含水率[単位:質量%]=[(m1-m0)/m0]・100として算出される。
【0238】
プレス時間係数:
プレス時間係数は、プレス機を閉じる時間から開ける時間までの時間であるプレス時間を、ボードの目標厚さで割ったものである。目標厚さとは、プレスステップc)またはc’)の終了時のボードを指し、プレス条件によって、すなわち、上部と下部のプレスプレート間の距離によって調整される。この距離は、プレス機(ホットプレスを使用した場合)に2つの鋼製のスペーシングストリップを挿入することによるか、または自動距離制御(HFプレス機を使用した場合)によって調整される。
【0239】
プレス時間係数[秒/mm]=プレス機が閉じてから開くまでの時間[秒]:プレスされるボードの目標厚さ[mm]。例えば、10mmのチップボードが120秒のプレス時間で作製される場合、プレス時間係数は12秒/mmとなる。
【0240】
ボードの密度:
ボードの密度は、EN 323:1993に準拠して測定され、同じボードの10個の50×50mmサンプルの算術平均として報告される。
【0241】
ボードの横方向の引張強さ(「内部結合」)
ボードの横方向の引張強さ(「内部結合」)は、EN 319:1993に準拠して測定され、同じボードの10個の50×50mmサンプルの算術平均として報告される。
【0242】
厚さの膨潤:
ボードの24時間後の厚さの膨潤(「24時間膨潤」)は、EN 317:1993に準拠して測定され、同じボードの10個の50×50mmサンプルの算術平均として報告される。
【0243】
バインダー量:
本発明による実施例におけるバインダーの量は、木材粒子(チップまたは繊維)の総乾燥質量に基づいて、それぞれのバインダー成分である1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトン、ならびに任意選択により場合によって成分B2の合計の総質量として質量%で報告される。
【0244】
比較例におけるバインダーの量は、木材粒子(チップまたは繊維)の総乾燥質量に基づいて、すべてのバインダー成分の合計の総質量を質量%(乾燥質量、これは水を含まない成分の質量である)で報告される。
【0245】
ホルムアルデヒド放出量:
ホルムアルデヒド放出量は、EN 717-2に準拠して決定され、[mg(HCHO)/m2h]で示される。
【0246】
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの比(比A1:B1):
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの比は、1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの質量比を指す。
【0247】
第一級および第二級アミン基の窒素含有量NCps:
第一級および第二級アミン基の窒素含有量は、EN ISO 9702:1998に準拠して、電位差滴定によって測定される。NCpsは、100gの1または複数のポリマーA1あたりの第一級および第二級アミン基の窒素の質量を意味する(質量%で示される)。
【0248】
重量平均分子量Mwの決定
Mwは、以下の条件下でサイズ排除クロマトグラフィーによって決定した:
・溶媒および溶離液:0.1%(w/w)トリフルオロ酢酸塩、蒸留水中0.1M NaCl
・流量:0.8ml/分
・注入量:100μl
・試料をSartorius Minisart RC 25(0.2μm)フィルタで濾過する。
・カラム材料:ヒドロキシル化ポリメタクリレート(TSKgel G3000PWXL)
・カラムサイズ:内径7.8mm、長さ30cm
・カラム温度:35℃
・検出器:DRI Agilent 1100 UV GAT-LCD 503[232nm]
・620~2890000g/モルのモル質量範囲のポリ(2-ビニルピリジン)標準品(ドイツ、Mainz、PSS製)およびピリジン(79g/mol)による較正
・積算上限は29.01mLとした。
・Mwの計算には、リジンオリゴマーおよびポリマーならびにモノマーリジンが含まれる。
【0249】
ポリリジン溶液の残留リジンモノマー含有量は、以下の条件下でHPLC/MS分析によって決定した:
・注入量:10 μl
・溶離液A:水+0.02%ギ酸
・溶離液B:水
・勾配
【0250】
【0251】
・15分後に溶離液Aから溶離液Bに切り替える
・流量:0.8ml/分
・カラムHPLC:Primesep C、250×3.2mm、5μm
・カラム温度:30℃
・L-リジンの水溶液による較正
・質量分析計:Bruker Maxis(q-TOF)
・MS条件:
- イオン化モード:ESI、負
- キャピラリー:3500V
- ネブライザー:1.4bar
- 乾燥ガス:8L/分
- 温度:200℃
- 分析イオン:145.0983[M-H]-±0.005amu。
【0252】
ポリマーA1中の残留リジンモノマー含有量は、リジンモノマーを含むポリリジンの総質量に基づくモノマーの質量%として与えられる。例えば、リジンモノマー含有量が2.0質量%であるポリリジン-5の50質量%溶液は、1質量%のリジンモノマーと、少なくとも2縮合リジン単位を含む49%質量%のリジンポリマーを含む。
【0253】
ポリリジン中のε-結合とα-結合の比(「比ε/α」)の決定:
この比ε/αは、ポリリジンの1H-NMRスペクトルにおける-CH-NH2および-CH-NH(α-結合)ならびに-CH
2-NH2および-CH
2-NH(ε-結合)のシグナルの積分によって決定することができる。NMRシグナルは、1H、15N-HMBC実験(異核多重結合相関)によって帰属される。
【0254】
HFプレスでのプレス中の温度の監視:
光ファイバセンサを、強い電磁放射を伴う環境での測定に適した温度測定器と組み合わせて使用した。計測器は、HFプレス(Hoefer Presstechnik GmbH製のHLOP 170プレス)の制御システムに組み込まれている。この装置のセンサは、ガリウムヒ素チップ(GaAsチップ)を備えたテフロンコーディングされたガラス繊維である。
【0255】
実施例
実施例1
ポリリジン1~6および9~12の合成
2200gのL-リジン溶液(水中50%、ADM)を油浴中で撹拌しながら加熱した(外部温度140℃)。水を留去し、180℃の温度に達するまで油浴温度を1時間あたり10℃ずつ上昇させた。反応混合物を180℃(油浴温度)でさらに1時間撹拌し、次いで圧力を200mbarまでゆっくり低下させた。目標圧力に達した後、蒸留をさらに時間t(以下の表1に示す)の時間だけ継続した。生成物を反応容器から熱いうちに注ぎ出し、冷却後に粉砕し、水に溶解して50質量%溶液を得た。
【0256】
残留リジンモノマー含有量、NCpsおよびMwを、さらなる精製を行わずに、この溶液から測定した。残留リジンモノマーは、Mwの計算に含める。
【0257】
【0258】
実施例2
ポリリジン-7(誘導体)の合成
2200gのL-リジン溶液(水中50%、ADM)を油浴中で撹拌しながら加熱した(外部温度140℃)。水を留去し、180℃の温度に達するまで油浴温度を1時間あたり10℃ずつ上昇させた。反応混合物を180℃(油浴温度)でさらに1時間撹拌し、次いで圧力を200mbarまでゆっくり低下させた。目標圧力に達した後、さらに2時間蒸留を続けた。装置を換気し、11.0gのステアリン酸をゆっくり加えた。混合物を180℃(油浴温度)で15分間撹拌した。生成物を反応容器から熱いうちに注ぎ出し、冷却後に粉砕し、水に溶解して50質量%溶液を得た。
【0259】
MwおよびNCpsは実施例1と同様に測定し、表4に示している。
【0260】
実施例3
ポリリジン-8(誘導体)の合成
2200gのL-リジン溶液(水中50%、ADM)を油浴中で撹拌しながら加熱した(外部温度140℃)。水を留去し、180℃の温度に達するまで油浴温度を1時間あたり10℃ずつ上昇させた。反応混合物を180℃(油浴温度)でさらに1時間撹拌し、次いで圧力を200mbarまでゆっくり低下させた。目標圧力に達した後、さらに2時間蒸留を続けた。装置を換気し、11.0gのオレイルアルコールをゆっくり加えた。混合物を180℃(油浴温度)で15分間撹拌した。生成物を反応容器から熱いうちに注ぎ出し、冷却後に粉砕し、水に溶解して50質量%溶液を得た。
【0261】
MwおよびNCpsは実施例1と同様に測定し、表4に示している。
【0262】
実施例4
ポリアミド-9の合成
85.0gの1,2-エチレンジアミン、365gのN-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミンおよび500gのN,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミンを室温で混合し、80℃に加熱した。1040gのアジピン酸を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を窒素雰囲気下、80℃で30分間撹拌した。温度を60分以内に190℃まで上昇させ、水を留去しながら190℃で3時間維持した。冷却後、水を添加して65質量%溶液を得た。
【0263】
Mwおよびアミン窒素含有量NCpsは実施例1と同様に測定し、表4に示している。
【0264】
実施例5
ポリアミド-10の合成
514gのポリアミド-9の65質量%水溶液、268gの水および5.75gの硫酸を混合し、90℃に加熱した。窒素雰囲気下、225の水中338gのエチレンイミンの冷却溶液溶液(0℃)をこの混合物に2時間以内にゆっくり添加した。その後、反応混合物を、90℃で4時間、Preussmann試験(4-(4-ニトロ-ベンジル)-ピリジニウムペルクロラートとの反応後の分光光度測定、Preussmann et al, Justus Liebigs Annalen der Chemie, 1965, 684, 57-61)によって検出可能なエチレンイミンモノマーが存在しなくなるまで撹拌した。冷却後、水を添加して50質量%溶液を得た。
【0265】
Mwおよびアミン窒素含有量NCpsは実施例1と同様に測定し、表4に示している。
【0266】
実施例6
ヒドロキシアセトン(HA-2)の合成
触媒(BASF SEによるCuCr 0203 T、直径3mmの錠剤)を、N2/H2雰囲気下(95:5)、60分で200℃まで加熱した。200℃でN2/H2の比を段階的に1:1にし、これらの条件下で活性化を6時間継続した。
【0267】
50gの活性化触媒を35mlの管状反応器に充填した。触媒を、電気加熱式管状反応器内で窒素流(20nL/h)下で270℃まで加熱した。グリセリンをマイクロエバポレーター(20mL/h)に投入し245℃で窒素流(20nL/h)中で蒸発させ、大気圧で反応器に供給した。反応混合物を室温に冷却し、冷却したセパレータに回収した。
【0268】
得られた反応混合物は、65.0質量%のヒドロキシアセトン、2.7質量%のグリセリン、20.3%の水、および7.5%の乳酸、4.0%のギ酸および0.5%の他の二次成分を含有する。
【0269】
反応混合物を水で希釈し、水溶液の総質量に基づいてヒドロキシアセトンの濃度を50.0質量%にした。
【0270】
比較例7*
比較バインダー組成物-1
グルコース一水和物161g、フルクトース146g、およびL-リジン161gを水35gと混合し、ゆっくり加熱した(油浴温度110℃)。94℃で混合物は発泡し、黒色に変化した。反応は停止した。得られた反応混合物は固体を含み、水に完全には溶解しなかった。
【0271】
比較例8*
比較バインダー組成物-2
グルコース一水和物286g、フルクトース260g、およびL-リジン286gを水174gと混合し、ゆっくり加熱した(油浴温度100℃)。90℃で混合物は発泡し、暗褐色に変化した。油浴を10分間除去した。ガスの形成が停止するまで、反応物を再び10分間100℃まで加熱した。室温に冷却した後、混合物をボトルに充填し、60℃で48時間保存した。
【0272】
比較例9*
比較バインダー組成物-3
ヘキサメチレンジアミン235gを水730gに溶解する。フルクトース791gおよびグルコース一水和物853gをゆっくり添加し、室温で1時間撹拌した。
【0273】
比較バインダー組成物-4
22.5gのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(NaCMC、Mw約250,000)を600gの水に溶解した。67.5gのヘキサメチレンジアミンおよび360gのグルコース一水和物をゆっくり添加し、室温で24時間撹拌した。
【0274】
実施例10
ポリリジン-2およびHA-1を用いた単層チップボードと最先端のバインダーとの比較
実施例10-1
ミキサー内で、499gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg+水160g(残留粒子の水分含有量に由来))のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。直ちに、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合物に混合しながら噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0275】
「樹脂化チップ」という用語は、チップとバインダー組成物およびさらに添加された水との混合物に使用される。
バインダー量(1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトン)の計算:
(499g×0.5+149g×0.5):5400g=6.0%
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの比)の計算:
(499g×0.5):(149g×0.5)=77:23
チップ/バインダー混合物の水分含有量の計算:
水の総質量=499g×0.5(ポリリジン溶液から)+149g×0.5(ヒドロキシアセトン溶液から)+90g(追加の水から)+160g(チップの水分から)=574g
固体の総質量=499g×0.5(ポリリジン溶液から)+149g×0.5(ヒドロキシアセトン溶液から)+5400g(乾燥チップ)=5724g
得られた水分含有量=574g/5724g=10.0%
【0276】
この含水量は、上記のEN 322:1993と同様の方法によって確認され、含水量は10%であった。
【0277】
比較例10-2*
バインダー組成物-1は不均一であった。バインダー組成物-1のチップへの噴霧は不可能であった。バインダー組成物をチップに注ぎ、撹拌することによってバインダー組成物-1をチップと混合しようとする試みも、チップボードのプレスに使用することができる均一な混合物を与えることができなかった。
【0278】
比較例10-3*
ミキサー内で、404gのバインダー組成物-2と244gの水の混合物を、5.56 kg(乾燥質量5.40kg+残留粒子の水分含有量からの水160g)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0279】
比較例10-4*
ミキサー内で、283gのバインダー組成物-2と171gの水の混合物を、5.56 kg(乾燥質量5.40kg+残留粒子の水分含有量からの水160g)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。直ちに、196gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合物に混合しながら噴霧した。90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0280】
比較例10-5*
ミキサー内で、469gのバインダー組成物-3と179gの水の混合物を、5.56kg(乾燥質量5.40kg+残留粒子の水分含有量からの水160g)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0281】
比較例10-6*
ミキサー内で、361gのバインダー組成物-3と137gの水の混合物を、5.56 kg(乾燥質量5.40kg+残留粒子の水分含有量からの水160g)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。直ちに、150gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合物に噴霧した。90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0282】
比較例10-7*
ミキサー内で、816gのバインダー組成物-4を、5.49kg(乾燥質量5.40kg+残留粒子の水分含有量からの水90g)のトウヒコア層チップ(水分含有量1.7%)に混合しながら噴霧した。90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0283】
比較例10-8*
ミキサー内で、499gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.47kg(乾燥質量5.40kg+水70g(残留粒子の水分含有量に由来))のトウヒコア層チップ(水分含有量1.3%)に混合しながら噴霧した。直ちに、164gのグルコース一水和物(149gのグルコースに相当)を320gの水に溶かした溶液を混合しながら混合物に噴霧した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0284】
比較例10-2*~10-8*では、比較バインダー組成物の量は、乾燥木材と呼ばれる固形分6.0%である。比較バインダー組成物(バインダー組成物-2、バインダー組成物-3およびバインダー組成物-4)の固体を、以下の実施例に示されるように出発材料から計算した。
【0285】
比較バインダー組成物-2:
286gのグルコース一水和物(グルコース260g+水26g)
260gのフルクトース
286gのL-リジン
174gの水
固形分=(260g+260g+286g)/(260g+260g+286g+26g+174g)=80.1%
【0286】
404gのバインダー組成物-2は、324g(404gの80.1%)の固体を含有する。比較バインダー組成物-2の量は、木材チップ(5.40kg)の乾燥質量と呼ばれる固形分6.0%である。
【0287】
樹脂化チップをチップボードにプレスする(実施例10-1および比較例10-3*~10-8*)
樹脂化の直後に、720gのチップ/バインダー混合物を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ10mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2、プレス時間180秒、120秒または100秒)。
【0288】
【0289】
表2は、従来技術から既知のバインダー組成物を用いて製造されたボードと比較して、本発明によるバインダー組成物が、改善された内部結合強度を有するボードの製造を可能にすることを示す。さらに、本発明によるバインダー組成物は、より低いプレス時間係数でボードを製造することを可能にする。
【0290】
実施例11
ポリリジン-2およびHA-1を用いた単層チップボード、及び様々な塗布方法
バインダー組成物の木材チップへの個別の塗布(実施例11-1)
ミキサー内で、499gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。
【0291】
バインダーシステムの木材チップへの個別の塗布(実施例11-2)
ミキサー内で、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。続いて、499gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、混合物に噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0292】
バインダー組成物の木材チップへの混合塗布(実施例11-3~11-8)
2.20kgのポリリジン-2溶液(水中50質量%)および657gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、22℃で1分間撹拌することによって混合した。ミキサー内で、648gのこの混合物を、混合の直後または表3に示されている待機時間の後に(22℃の密閉箱で保存)、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0293】
樹脂化チップをチップボードにプレスする(実施例11-1~11-8)
樹脂化の直後に、1.10kgのチップ/バインダー混合物を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ16mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2、プレス時間96秒)。
【0294】
【0295】
表3は、混合添加と比較して、成分AおよびBをリグノセルロースチップに別々に添加した場合の膨潤値の低下および内部結合強度の改善を示す。表3は、混合塗布の場合、待機時間をできるだけ短くする必要があることも示している。
【0296】
実施例12
様々なポリマーA1とヒドロキシアセトン(HA-1/HA-2)を用いた単層チップボード
樹脂化チップの調製(実施例12-1*~12-12)
ミキサー内で、499gのL-リジン溶液(比較例12-1*)または1または複数のポリマーA1溶液(水中50質量%)(実施例12-2~12-12)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0297】
樹脂化チップの調製(実施例12-13)
ミキサー内で、648gのLupasol G100(水中50質量%のポリエチレンイミン)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0298】
樹脂化チップの調製(実施例12-14)
ミキサー内で、499gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、実施例3に従って調製し、50質量%のヒドロキシアセトンを含有する149gのヒドロキシアセトン水溶液HA-2を混合しながら混合物に噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0299】
樹脂化チップの調製(実施例12-15)
ミキサー内で、499gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、55.9gのヒドロキシアセトン、18.6gのキシロースおよび74.5gの水を混合して作製した溶液を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0300】
樹脂化チップの調製(実施例12-1a*~12-7a*および12-16a*~12-19a*)
ミキサー内で、499gのL-リジン溶液(比較例12-1*)または1または複数のポリマーA1溶液(水中50質量%)(実施例12-2~12-12)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、149gの1,3-ジヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のDHA[実施例12-1a~12-7a])を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0301】
樹脂化チップをチップボードへとプレスする(実施例12-1*~12-15、12-1a*~12-7a*および12-16a*~12-19a*)
樹脂化の直後に、1.10kgのチップ/バインダー混合物を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ16mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2)。プレス時間は、96秒(表4)または128秒(表5)または192秒(表5)であった。
【0302】
【0303】
ヒドロキシアセトンおよびポリリジンを用いて作製されたボードは、ジヒドロキシアセトンおよびポリリジンを用いて作製されたボードと比較して改善された特性を示す。
【0304】
【0305】
実施例13
ポリリジン-2およびHA-1およびパラフィン乳剤を用いた単層チップボード
バインダー組成物の木材チップへの混合塗布(実施例13-1~13-3)
2.20kgのポリリジン-2溶液(水中50質量%)および657gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、22℃で1分間撹拌することによって混合した。ミキサー内で、648gのこの混合物を、混合の直後または表3に示している待機時間の後に(22℃の密閉箱で保存)、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、45.0gのHydroWax138(水中60質量%パラフィン)と72.0gの水の混合物を、混合しながら混合物に噴霧した。添加後、混合を3分間続けた。
【0306】
樹脂化チップをチップボードにプレスする(実施例13-1~13-3)
樹脂加工の直後に、1.11kgのチップ/バインダー混合物を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ16mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2、プレス時間96秒)。
【0307】
【0308】
実施例14
ポリリジン-2および様々な質量のヒドロキシアセトンを用いた単層チップボード
ミキサー内で、表7に示す量xのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、表7に示す量yのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0309】
【0310】
樹脂化の直後に、1.10kgのチップ/バインダー混合物を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ16mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2、プレス時間96秒)。
【0311】
【0312】
表8は、ポリマーA1の第一級および第二級アミン基の数の合計とヒドロキシアセトンのケト官能基の数との数比が1:1~6:1であるバインダー組成物の内部結合強度の改善を示す。
【0313】
実施例15
コア層にポリリジン-2とHA-1を用いた3層チップボード
樹脂化コア層チップの調製(実施例15-1~15-3)
ミキサー内で、499gのポリリジン-2溶液またはポリリジン-4溶液(水中50質量%)を、5.57kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.1%)に混合しながら噴霧した。その後、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、116gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。その後、混合を3分間続けた。
【0314】
樹脂化コア層チップの調製(実施例15-4)
ミキサー内で、457gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.57kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.1%)に混合しながら噴霧した。その後、137gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、143gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。その後、混合を3分間続けた。
【0315】
樹脂化コア層チップの調製(実施例15-5)
ミキサー内で、540gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.57kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.1%)に混合しながら噴霧した。その後、161gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、89gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。その後、混合を3分間続けた。
【0316】
樹脂化表層チップの調製(実施例15-1~15-3)
ミキサー内で、499gのポリリジン-2溶液またはポリリジン(Polylsine)-4溶液(水中50質量%)を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、27gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。その後、混合を3分間続けた。
【0317】
樹脂化表層チップの調製(実施例15-4)
ミキサー内で、540gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、161gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0318】
樹脂化表層チップの調製(実施例15-5)
ミキサー内で、457gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、137gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、54gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。その後、混合を3分間続けた。
【0319】
樹脂化チップをチップボードにプレスする(実施例15-1~15-5)
樹脂化の直後に、163gの樹脂化表層チップ、続いて655gの樹脂化コア層チップ、続いて163gの樹脂化表層チップを、30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/cm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ16mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2、プレス時間96秒、板厚はプレス機に挿入された2つの鋼製スペーシングストリップによって調整した)。
【0320】
【0321】
実施例16
ポリリジン-2およびHA-1を用いる単層MDF(8および15mm)
樹脂化繊維の調製
ミキサー内で、170gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、1.15kg(乾燥質量1.10kg)のトウヒ繊維(水分含有量4.1%)に混合しながら噴霧した。その後、50.6gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。添加後、混合を3分間続けた。
【0322】
樹脂化繊維のプレス
樹脂化の直後に、574g(8mm MDFの場合)または1.08kg(15mm MDFの場合)の樹脂化繊維を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスした繊維マットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、8または15mmの厚さにプレスしてMDFを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2)。プレス時間は、64秒(8mm MDFの場合)または120秒(15mm MDFの場合)であった。
【0323】
【0324】
表10は、8mmおよび15mmの厚さを有する単層MDFボードの十分な内部結合強度を示す。
【0325】
実施例17
プラスチック材料
50gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)および7.5gのヒドロキシアセトン(質量比A1:B1=77:23)を、スピードミキサーで2000rpmで1分間混合した。その直後、混合物をロッド用の金属製型枠に注いだ。その型枠を120℃のオーブンに90分間入れ、さらに180℃で90分間入れる。室温に冷却した後、型枠を取り外し、暗褐色から黒色のロッドを得た。
【0326】
実施例18
ポリリジン-2溶液およびHA-1を尿素ありと尿素なしで用いた単層チップボード
実施例18-1
ミキサー内で、499gのポリリジン-2(水中50質量%)と54.0gの尿素の混合物を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。直ちに、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合物に混合しながら噴霧した。最後に、95gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0327】
実施例18-2
ミキサー内で、499gのポリリジン-2(水中50質量%)と108gの尿素の混合物を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。直ちに、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合物に混合しながら噴霧した。最後に、100gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0328】
実施例18-3
ミキサー内で、499gのポリリジン-2(水中50質量%)と162gの尿素の混合物を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。直ちに、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合物に混合しながら噴霧した。最後に、105gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0329】
実施例18-4
ミキサー内で、499gのポリリジン-2(水中50質量%)と216gの尿素の混合物を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。直ちに、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合物に混合しながら噴霧した。最後に、110gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0330】
実施例18-5
ミキサー内で、499gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。直ちに、149gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合物に混合しながら噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0331】
樹脂化チップをチップボードへとプレスする(実施例18-1~18-5)
樹脂化の直後に、1.10kgのチップ/バインダー混合物を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ16mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2、プレス時間128秒)。
【0332】
【0333】
表11は、尿素を添加した場合の、厚さ16 mmの単層チップボードの内部結合強度の改善および24時間膨潤の低下を示す。
【0334】
実施例19
表層にポリリジン-2溶液およびHA-1、コア層に標準尿素ホルムアルデヒド樹脂を用いる3層チップボード
樹脂化コア層チップの調製(比較例19-1*、19-2*および19-10*ならびに実施例19-3~19-9について)
ミキサー内で、748gのKaurit glue 350(固形分65%)と22.4gの硫酸アンモニウムの混合物を、5.58kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.4%)に混合しながら噴霧した。その後、95.0gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。その後、混合を3分間続けた。
【0335】
樹脂化表層チップの調製(比較例19-1*)
ミキサー内で、312gの水中の42.3gのHMDA、154gのグルコース一水和物、および142gのフルクトースの溶液を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0336】
樹脂化表層チップの調製(比較例19-2*)
ミキサー内で、84.6gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、270gの水中の154gのグルコース一水和物および142gのフルクトースの溶液を混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0337】
樹脂化表層チップの調製(実施例19-3)
ミキサー内で、486gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、162gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0338】
樹脂化表層チップの調製(実施例19-4)
ミキサー内で、486gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)と162gの尿素の混合物を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、162gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0339】
樹脂化表層チップの調製(実施例19-5)
ミキサー内で、486gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)と81gの尿素の混合物を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、162gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0340】
樹脂化表層チップの調製(実施例19-6)
ミキサー内で、564gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)と162gの尿素の混合物を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、84.2gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0341】
樹脂化表層チップの調製(実施例19-7)
ミキサー内で、564gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)と81gの尿素の混合物を、5.67g(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、84.2gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0342】
樹脂化表層チップの調製(実施例19-8)
ミキサー内で、356gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)と162gの尿素の混合物を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、292gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0343】
樹脂化表層チップの調製(実施例19-9)
ミキサー内で、356gのポリリジン-2溶液(水中50質量%)と81gの尿素の混合物を、5.67g(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、292gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0344】
樹脂化表層チップの調製(比較例19-10*)
ミキサー内で、748gのKaurit glue 350(固形分65%)、14.6gの硫酸アンモニウムおよび80.0gの水の混合物を、5.67kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒ表層チップ(水分含有量5.0%)に混合しながら噴霧した。その後、混合を3分間続けた。
【0345】
樹脂化チップをチップボードへとプレスする(比較例19-1*、19-2*および19-10*ならびに実施例19-3~19-9)
【0346】
樹脂化の直後に、452gの樹脂化表層チップ、続いて1807gの樹脂化コア層チップ、続いて452gの樹脂化表層チップを、56.5×44cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/cm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ16mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2、プレス時間係数6s/mmまたは8s/mmに相当する96秒または128秒(板厚はプレス機に挿入された2つの鋼製スペーシングストリップによって調整した))。
【0347】
【0348】
コア層にUF-樹脂を有し、表層に本発明によるバインダーを有する3層チップボードは、ホルムアルデヒド放出量が低減されている。成分A2として尿素を添加すると、ホルムアルデヒド放出量がさらに低下する。
【0349】
実施例20
高周波プレスでプレスすることによる10mm単層パーティクルボード
樹脂化チップの調製(実施例20-1~20-4*)
ミキサー内で、832gのポリリジン-2溶液(水中50質量%、実施例20-1,20-2および20-5)または832gのL-リジン溶液(水中50質量%、比較例20-3*および20-4*)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、248gのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。混合は3分間続けた。
【0350】
樹脂化チップを高周波プレスでチップボードへとプレスする(実施例20-1~20-4*)
樹脂化の直後に、645gのチップ/バインダー混合物を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。続いて、得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り外した。監視のために、温度センサ(GaAsチップ)を前記予備プレスしたチップマットの中心に導入した。次に、不織布セパレータを予備プレスしたチップマットの上側および下側に設けた。予備プレスしたチップマットをHoefer Presstechnik GmbH製のHLOP 170プレスに挿入し、マットの両側の不織布セパレータとプレスプレートの間にカバノキ合板(厚さ6mm)を置いた。次に、予備プレスしたチップマットをプレス機で2秒以内に厚さ10mmに圧縮し、次にプレス機を閉じたままにして高周波電場(27.12MHz、アノード電流2.5A)を印加することによって加熱した。プレスしたマットの中心が目標温度(「HF温度」)(130℃または150℃)に達したら、プレス機を開けた。
【0351】
樹脂化チップをホットプレスでチップボードへとプレスする(実施例20-5)
樹脂化の直後に、645gのチップ/バインダー混合物を30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。その後、このようにして得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り出し、ホットプレスに移し、厚さ10mmにプレスしてチップボードを得た(プレスプレート温度210℃、最大圧力4N/mm2、プレス時間100秒)。
【0352】
【0353】
実施例21
高周波プレスでプレスすることによる11mm単層チップボード
樹脂化チップの調製(実施例21-1~21-7*)
ミキサー内で、表14に示す量×1の量のポリリジン-2溶液(水中50質量%)または×2の量のL-リジン溶液(水中50質量%)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながらに噴霧した。その後、表7に示す量yのヒドロキシアセトン溶液(水中50質量%のHA-1)を、混合しながら混合物に噴霧した。最後に、90gの水を混合しながら混合物に噴霧して、樹脂化チップの最終的な水分を調整した。水の添加後、混合を3分間続けた。
【0354】
【0355】
樹脂化チップの調製(比較例21-8*)
ミキサー内で、499gのL-リジン溶液(水中50質量%)を、5.56kg(乾燥質量5.40kg)のトウヒコア層チップ(水分含有量3.0%)に混合しながら噴霧した。その後、157gの水中、81.9gのグルコース一水和物の溶液を混合しながら混合物に噴霧した。混合は3分間続けた。
【0356】
樹脂化チップを高周波プレスでチップボードにプレスする(実施例21-1~21-8*)
樹脂化の直後に、640gの樹脂化チップを30×30cmの金型に散布し、周囲条件(0.4N/mm2)下で予備プレスした。続いて、得られた予備プレスしたチップマットを金型から取り外した。監視のために、温度センサ(GaAsチップ)を前記予備プレスしたチップマットの中心に導入した。次に、不織布セパレータを予備プレスしたチップマットの上側および下側に設けた。予備プレスしたチップマットをHoefer Presstechnik GmbH製のHLOP 170プレスに挿入し、マットの両側の不織布セパレータとプレスプレートの間にカバノキ合板(厚さ6mm)を置いた。次に、予備プレスしたチップマットをプレス機で2秒以内に厚さ11mmに圧縮し、次にプレス機を閉じたままにして高周波電場(27.12MHz、アノード電流2.5A)を印加することによって加熱した。プレスしたマットの中心が目標温度130℃(「HF温度」)に達したら、プレス機を開けた。
【0357】
【0358】
表15は、1または複数のポリマーA1を過剰に使用した場合に、内部結合強度ならびに24時間膨潤特性が向上することを明らかに示している。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第一級および/または第二級アミノ基を有する1または複数のポリマーA1を含む成分Aであって、1または複数のポリマーA1のNC
psが少なくとも1質量%で
あり、かつ1または複数のポリマーA1が、
(i)アミノ酸、好ましくは少なくとも2つのアミノ基を含むアミノ酸、ならびに/あるいは
(ii)少なくとも2つのアミノ基を含むアミンであって、アミノ酸ではないアミン、およびアミノ酸、ならびに/あるいは
(iii)少なくとも2つのアミノ基を含むアミンであって、アミノ酸ではないアミン、およびアミノ酸ではないジおよび/またはトリカルボン酸、ならびに/あるいは
(iv)(i)から(iii)に定義されている少なくとも2つの化合物
の1または複数の重合生成物を含む、成分A、並びに
b)ヒドロキシアセトンを含む成分B
を含むバインダー組成物。
【請求項2】
1または複数のポリマーA1の総重量平均分子量M
w,totalが、少なくとも800g/mol、好ましくは最大でも20,000g/mol、より好ましくは少なくとも1,000g/mol、好ましくは最大でも10,000g/molである、請求項1に記載のバインダー組成物。
【請求項3】
1または複数のポリマーA1の各ポリマーが分岐ポリマーである、請求項1又は2に記載のバインダー組成物。
【請求項4】
前記1または複数の分岐ポリマーが、少なくとも0.05の分岐度(DB)を有する、請求項3に記載のバインダー。
【請求項5】
前記1または複数のポリマーA1が、
(i)ポリアルキレンイミン、
(ii)ポリアミド、
(iii)ポリアルキレンイミンセグメントとポリアミドセグメントを含むブロックコポリマー
(iv)ポリアルキレンイミンセグメントとポリアミドセグメントを含むグラフトコポリマーおよび
(v)(i)、(ii)、(iii)、および(iv)の少なくとも2つの混合物
からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項6】
1または複数のポリマーA1は、アミノ酸の重合生成物を含み、任意選択により場合によっては、モノマーの総量に基づいて少なくとも50質量%のアミノ酸が、前記重合反応のモノマーとして使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項7】
100gの1または複数のポリマーA1の重合のために、少なくとも15gの1または複数のジアミノカルボン酸が使用される、請求項6に記載のバインダー組成物。
【請求項8】
前記1または複数のポリマーA1が、ポリ(アミノ酸)を含むかまたはそれのみからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項9】
前記1または複数のポリマーA1が、1以上のポリリジンを含むかまたはそれのみからなる、請求項1~8のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのポリマーA1が、
1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、ビス-(3-アミノプロピル)アミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、ビス-(2-アミノエチル)アミン、ビス-N-(2-アミノエチル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、N,N-ビス-(3-アミノプロピル)-1,2-エチレンジアミン、またはその混合物
および
ii)アジピン酸、コハク酸、またはそれらの混合物
の反応生成物である、請求項1~8のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項11】
成分Bが、成分B2として、グリセリン、乳酸、および/またはギ酸を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項12】
1または複数のポリマーA1の第一級および第二級アミン基の数の合計と、ヒドロキシアセトンのケト官能基の数との数比が、20:1~0.25:1である、請求項1~11のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項13】
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは70~90質量%の1または複数のポリマーA1を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項14】
1または複数のポリマーA1とヒドロキシアセトンの合計の総質量に基づいて、50~90質量%、好ましくは60~85質量%、好ましくは70~85質量%の1または複数のポリマーA1と、好ましくは10~50質量%、好ましくは15~40質量%、好ましくは15~30質量%のヒドロキシアセトンを含み、
前記1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンの質量が、1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンの合計の総質量が100質量%であるように選択される、
請求項1~13のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項15】
前記成分Aが、さらなる成分としてA2を含み、かつ/または成分Bが、さらなる成分B2として尿素および/または1または複数の尿素誘導体を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の成分AおよびBを反応させることによって得られる又は得られた反応済バインダー組成物。
【請求項17】
成分Aおよび成分Bが別々に保存されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を含む組成物キット。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか一項に記載の成分AおよびBの反応生成物を含むプラスチック材料。
【請求項19】
複数のリグノセルロース片、および請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物または請求項16に記載の反応済バインダー組成物
を含む、リグノセルロースベースの複合品。
【請求項20】
前記複合品が、合板、配向性ストランドボード、チップボード、または繊維板である、請求項19に記載のリグノセルロースベースの複合品。
【請求項21】
少なくとも1つのコア層と少なくとも1つの表層を含む多層パーティクルボードであって、前記表層が、請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を含み、前記コア層が、尿素/ホルムアルデヒドバインダー、フェノール/ホルムアルデヒドバインダー、メラミン/尿素/ホルムアルデヒドバインダー、PMDIバインダー、およびそれらの混合物からなる群から選択されるバインダーを含む、多層パーティクルボード。
【請求項22】
リグノセルロース片のオーブン乾燥総質量に基づいて、全体で3~15質量%の1または複数のポリマーA1および成分B1が、リグノセルロース複合品の調製に使用される、請求項19または20に記載のリグノセルロース複合品または請求項21に記載の多層パーティクルボード。
【請求項23】
EN717-2に準拠して測定されたホルムアルデヒド放出量が、2.0mg/m
2h未満である、請求項21または22に記載の多層パーティクルボード。
【請求項24】
単層のリグノセルロースベースのボード、またはコアを有し、少なくとも1つの上部表層と少なくとも1つの下部表層を有する多層のリグノセルロースに基づくボードである、リグノセルロースベースの複合品のバッチ式または連続式の製造のための方法であって、
a)リグノセルロース粒子を各層用のバインダー組成物と混合するステップであって、少なくとも1つの層のための混合物が請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を含む、ステップと、
b)前記個々の層の混合物を層ごとに散布してマットを形成する、ステップと、
c)80~300℃の温度において、かつ1~100barの圧力で前記マットをボードへとプレスするステップ、または
c’)80~200℃の温度において、かつ0.1~100barの圧力で前記マットをボードへとプレスするステップであって、プレス中、前記マットの中心部で80~200℃に達するまで高周波電場が印加される、ステップと
を含む、方法。
【請求項25】
コアを有し、かつ少なくとも1つの上部表層及び1つの下部表層を有する請求項21~23のいずれか一項に記載の多層リグノセルロースベースのボードであるリグノセルロース複合品のバッチ式または連続式の製造のための方法であって、
前記表層が、請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を含み、かつ前記コア層が、尿素/ホルムアルデヒドバインダー、フェノール/ホルムアルデヒドバインダー、メラミン/尿素/ホルムアルデヒドバインダー、PMDIバインダー、およびそれらの混合物からなる群から選択されるバインダーを含む、方法。
【請求項26】
集成材、合板、直交集成板、ブロックボード、または無垢材ボード、好ましくは合板であるリグノセルロースベースの複合品のバッチ式または連続式の製造のための方法であって、
a)請求項1~15のいずれか一項に記載のバインダー組成物を、1以上のリグノセルロース片の少なくとも1つの表面に適用するステップと、
b)前記バインダー組成物をその上に有する前記1以上のリグノセルロース片を、1以上のリグノセルロース片と接合するステップと、
c)前記リグノセルロース片を一緒にプレスするステップと
を含み、
ステップc)におけるプレスが、温度20~200℃および圧力1~100barで行われ、前記リグノセルロース片は、梁、薄板、ブランク、および/または単板である、方法。
【請求項27】
ステップc)またはc’)において、プレス時間係数が最大でも12s/mmである、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記リグノセルロース片のオーブン乾燥総質量に基づいて、合計で3~15質量%の1または複数のポリマーA1およびヒドロキシアセトンが、リグノセルロースベースの複合品の調製に使用される、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記リグノセルロース片が木材から調製される、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法および/または請求項19から20または22のいずれか一項に記載のリグノセルロースベースの複合品または請求項21~23のいずれか一項に記載の多層パーティクルボード。
【請求項30】
請求項1~15において定義されているバインダーの成分AおよびBの両方、または請求項16に定義されている組成物キットの成分AおよびBの両方が、ステップa)において、
a1)互いに別々に、または
a2)混合物として、
リグノセルロース片に添加される、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ヒドロキシアセトンがグリセリンから調製される、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
請求項24~31のいずれか一項に記載の方法に従って得られるリグノセルロースベースの複合品。
【国際調査報告】