(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】熱成形可能な副子のための負圧治療システム
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538946
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 IB2021061406
(87)【国際公開番号】W WO2022144637
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520500336
【氏名又は名称】ケーシーアイ マニュファクチャリング アンリミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KCI Manufacturing Unlimited Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】レーベイン,ジョナサン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ,ラリー タブ
(72)【発明者】
【氏名】オーセン,ロナルド ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ,マシュー ティー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA38
4C267JJ02
4C267JJ05
4C267JJ08
4C267JJ09
(57)【要約】
負圧及び固定治療のためのキット(1500)は、患者に適用されたときに患者の皮膚と負圧ドレッシングとの間に密封容積を画定するように構成された負圧ドレッシング(100)と、負圧ドレッシングと空気連通して配置されるように構成されかつ密封容積から空気を排出するように動作可能なポンプ(200)と、熱成形可能な副子(900)とを含む。熱成形可能な副子は、第1の材料から形成されかつ互いに結合されてウェブを形成する複数の可撓性チューブと、可撓性チューブ内に配置され、第1の材料よりも低い軟化点又は融点を有する第2の材料とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副子であって、
第1の材料から形成される複数の可撓性チューブであって、前記複数の可撓性チューブがウェブを形成するように結合されている、複数の可撓性チューブと、
前記可撓性チューブ内に配置されかつ前記第1の材料よりも低い熱軟化点を有する第2の材料と、を備え、
前記ウェブが、前記第2の材料が前記第2の材料の熱軟化点よりも高い温度に加熱されたときに適合可能であり、
前記ウェブが、前記第2の材料の温度が前記第2の材料の熱軟化点よりも低いときに剛性である、副子。
【請求項2】
前記第1の材料が第1の熱可塑性ポリマーであり、前記第2の材料が第2の熱可塑性ポリマーである、請求項1に記載の副子。
【請求項3】
前記第2の材料がポリカプロラクトンを含む、請求項1に記載の副子。
【請求項4】
前記ウェブに結合された裏当て層を更に備える、請求項1に記載の副子。
【請求項5】
前記副子に結合された接続特徴部を更に備え、前記接続特徴部は、前記副子をドレッシングに結合するように構成されている、請求項1に記載の副木。
【請求項6】
前記ウェブが、前記複数の可撓性チューブのうちの隣接するチューブ間にスペーサセグメントを更に備える、請求項1に記載の副子。
【請求項7】
前記可撓性チューブが、2つ以上の平面内にある、請求項1に記載の副子。
【請求項8】
前記可撓性チューブが、共有平面内に整列させられている、請求項1に記載の副子。
【請求項9】
前記可撓性チューブの各々の断面が、非円形形状を有する、請求項1に記載の副子。
【請求項10】
前記複数の可撓性チューブのうちの隣接するチューブが、接合領域において互いに周期的に接合されており、前記複数の可撓性チューブのうちの前記隣接するチューブの間の空間が前記接合領域の間にある、請求項1に記載の副子。
【請求項11】
負圧及び固定治療のためのキットであって、
患者に適用されたときに前記患者の皮膚と負圧ドレッシングとの間に密封容積を画定するように構成された負圧ドレッシングと、
前記負圧ドレッシングと空気連通して配置されるように構成されかつ前記密閉容積から空気を排出するように動作可能なポンプと、
熱成形可能な副子と、を備え、前記熱成形可能な副子が、
第1の材料から形成されかつウェブを形成するように互いに結合された複数の可撓性チューブと、
前記可撓性チューブ内に配置されかつ前記第1の材料よりも低い軟化点又は融点を有する第2の材料と、を備える、負圧及び固定治療のためのキット。
【請求項12】
前記複数の可撓性チューブの前記ウェブ内の前記隣接するチューブが、接合領域において互いに周期的に接合されかつ前記接合領域間で離間されている、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記熱成形可能な副子が、前記ウェブを形成するために前記複数の可撓性チューブのうちの隣接するチューブを接合するスペーサセグメントを更に含む、請求項11に記載のキット。
【請求項14】
前記負圧ドレッシングが、前記熱成形可能な副子を前記負圧ドレッシングに選択的に結合するように構成された取付特徴部を備える、請求項11に記載のキット。
【請求項15】
前記熱成形可能な副子が、前記ウェブに結合されかつ前記負圧ドレッシングの前記取付特徴部に結合されるように構成された接続層を備える、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記負圧ドレッシングが、患者の足首に適用されるように成形されており、
前記熱成形可能な副子が、前記患者の足首における前記負圧ドレッシング上への前記熱成形可能な副子の適用を容易にするために、成形可能な状態に加熱されるように構成されており、
前記熱成形可能な副子が、前記熱成形可能な副子が前記患者の足首において前記負圧ドレッシング上に適用されるときに前記患者の足首の固定を提供するために剛性状態に冷却されるように構成されている、
請求項11に記載のキット。
【請求項17】
関節治癒を促進するために負圧及び固定治療を提供する方法であって、
無傷の皮膚上に負圧ドレッシングを封止することと、
前記負圧ドレッシングと前記無傷の皮膚との間に負圧を確立するように、前記負圧ドレッシングに結合されたポンプを動作させることと、
熱成形可能な副子を、前記熱成形可能な副子の可撓性チューブ内に収容された材料の少なくとも軟化点まで加熱することと、
前記熱成形可能な副子を前記ドレッシング上に所望の副子構成に適合させることと、
前記熱成形可能な副子が周囲温度に冷却されるにつれて、前記熱成形可能な副子を前記所望の副子構成に硬化させることと、を含む、方法。
【請求項18】
前記熱成形可能な副子を前記所望の副子構成に適合させることは、前記ドレッシングの周囲にかつ前記ドレッシングに沿って前記熱成形可能な副子を螺旋状にすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記熱成形可能な副子を前記所望の副子構成に適合させることは、後方副子アプローチにしたがって前記熱成形可能な副子を適用することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記熱成形可能な副子を前記所望の副子構成に適合させることは、サドル副子アプローチにしたがって前記熱成形可能な副子を適用することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記熱成形可能な副子を前記所望の副子構成に硬化させることは、前記熱成形可能な副子を前記所望の副子構成で前記ドレッシングに結合することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記熱成形可能な副子を前記所望の副子構成で前記ドレッシングに結合することは、前記ドレッシングの取付特徴部を前記熱成形可能な副子の接続層に適用することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記熱成形可能な副子の少なくとも一部を加熱し、前記ドレッシングから前記熱成形可能な副子を分離するために前記ドレッシングにおいて前記熱成形可能な副子を曲げることによって、前記ドレッシングから前記熱成形可能な副子を除去することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
治療システムであって、
キャスティングテープを備え、前記キャスティングテープが、
押出エラストマーを含むネットと、
前記ネットの外面に設けられかつポリカプロラクトンで形成された先端部と、を含み、
前記先端部が、前記キャスティングテープが加熱され、前記キャスティングテープに重なるように組織部位の周りに巻き付けられ、かつ冷却されたときに、実質的に剛性の構造を形成するように組み合わされるように構成されている、治療システム。
【請求項25】
患者に適用されたときに前記患者の皮膚と前記負圧ドレッシングとの間に密封容積を画定するように構成された負圧ドレッシングと、
前記負圧ドレッシングと空気連通して配置されるように構成されかつ前記密閉容積から空気を排出するように動作可能なポンプと、を更に備え、
前記キャスティングテープが、前記負圧ドレッシング上に適用されるように構成されている、
請求項24に記載の治療システム。
【請求項26】
前記ネットが、複数の直線部分及び複数の波状部分を備え、各波状部分が、前記複数の直線部分のうちの2つの隣接する直線部分に周期的かつ交互に接続している、請求項24に記載の治療システム。
【請求項27】
前記先端部が、前記複数の直線部分の少なくともサブセットに沿って提供されている、請求項26に記載の治療システム。
【請求項28】
前記キャスティングテープが、約1ミリメートルの厚さを有する、請求項24に記載の治療システム。
【請求項29】
前記先端部が、約1ミリメートルだけ離間している、請求項24に記載の治療システム。
【請求項30】
前記先端部が、前記先端部が溶融又は軟化するように、閾値温度よりも高く加熱されたときに結合するように構成されている、請求項24に記載の治療システム。
【請求項31】
前記先端部が、ポリカプロラクトンを含む、請求項24に記載の治療システム。
【請求項32】
前記先端部が、前記ポリカプロラクトンと混合された潤滑材料を更に含む、請求項31に記載の治療システム。
【請求項33】
前記キャスティングテープが、潤滑コーティングを含む、請求項24に記載の治療システム。
【請求項34】
前記キャスティングテープが、水活性化潤滑剤を含む、請求項24に記載の治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全ての内容が本明細書に組み込まれている、2020年12月30日に出願された米国仮出願第63/132,343号明細書に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
外傷又はある病理(例えば、リンパ浮腫)に関連する腫脹は、様々な医学的合併症を引き起こし得る。例えば、腫脹は、不快感及び疼痛を引き起こし得、運動の範囲を制限し得る、又はそうでなければ患者の生活の質に悪影響を与え得る。腫脹はまた、下にある組織を医学的に撮像し、視認し、下にある組織にアクセスする医療提供者の能力を制限し得る、又はそうでなければ患者の治療に干渉し得、よって、患者の治癒及び回復の妨害を提起し得る。ある状況では、腫脹は、例えば、囲む筋肉組織の萎縮などのより重度の結果さえももたらし得る。例えば、減圧治療を提供して、組織部位における血液灌流及びリンパ流を増加させ、組織部位における腫脹を低減することによって、組織部位における腫脹を低減するのに役立ち得るシステムを提供することが有利であろう。いくつかの臨床シナリオでは、患者の転帰を改善するために、減圧治療と協調して、(例えば、関節の)組織部位の固定化も望ましい場合がある。固定化及び膨張低減の両方のための協調的治療は困難であり得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示の1つの実装形態は、副子である。副子は、第1の材料で形成された複数の可撓性チューブを含む。複数の可撓性チューブは、互いに結合されてウェブを形成する。副子はまた、可撓性チューブ内に配置され、第1の材料よりも低い軟化点を有する第2の材料を含む。ウェブは、第2の材料が第2の材料の軟化点を上回るときに適合性であり、第2の材料が第2の材料の軟化点を下回るときに剛性である。
【0004】
本開示の別の実装態様は、第1の熱可塑性ポリマーであり、第2の材料は第2の熱可塑性ポリマーである。いくつかの実施形態では、第2の材料はポリカプロラクトンを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、副子はまた、ウェブに結合された裏当て層を含む。副子はまた、副子に結合される接続特徴部を含み得る。接続特徴部は、副子をドレッシングに結合するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、ウェブは、複数の可撓性チューブのうちの隣接するチューブの間にスペーサセグメントを含む。可撓性チューブは、2つ以上の平面内にあってもよい。いくつかの実施形態では、可撓性チューブは、共有平面内に整合され得る。いくつかの実施形態では、可撓性チューブの各々の断面は、非円形形状を有する。複数の可撓性チューブのうちの隣接するチューブは、複数の可撓性チューブのうちの隣接するチューブ間の空間が接合領域間にある状態で、接合領域において互いに周期的に接合され得る。
【0007】
本開示の別の実装形態は、負圧及び固定治療のためのキットである。キットは、患者に適用されたときに患者の皮膚と負圧ドレッシングとの間に密封容積を画定するように構成された負圧ドレッシングと、負圧ドレッシングと空気連通して配置されるように構成され、密封容積から空気を排出するように動作可能なポンプと、熱成形可能な副子とを含む。熱成形可能な副子は、第1の材料から形成されかつ互いに結合されてウェブを形成する複数の可撓性チューブと、可撓性チューブ内に配置され、第1の材料よりも低い軟化点又は融点を有する第2の材料とを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、複数の可撓性チューブのウェブ内の隣接するチューブは、接合領域において互いに周期的に接合され、接合領域間で離間されている。熱成形可能な副子は、複数の可撓性チューブのうちの隣接するチューブを接合してウェブを形成するスペーサセグメントを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、負圧ドレッシングは、熱成形可能な副子を負圧ドレッシングに選択的に結合するように構成された取付特徴部を含む。熱成形可能な副子は、ウェブに結合されかつ負圧ドレッシングの取付特徴部に結合されるように構成された接続層を含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、負圧ドレッシングは、患者の足首に適用されるように成形される。そのような実施形態では、熱成形可能な副子は、加熱されて成形可能な状態になり、患者の足首において負圧ドレッシング上への熱成形可能な副子の適用を容易にし、冷却されて剛性状態になり、熱成形可能な副子が患者の足首において負圧ドレッシング上に適用されたときに患者の足首の固定化を提供するように構成される。
【0011】
本開示の別の実装形態は、関節治癒を促進するために負圧及び固定治療を提供する方法である。この方法は、無傷の皮膚の上に負圧ドレッシングを密封することと、負圧ドレッシングと無傷の皮膚との間に負圧を確立するために、負圧ドレッシングに結合されたポンプを動作させることと、熱成形可能な副子を、熱成形可能な副子の可撓性チューブ内に収容された材料の軟化点まで少なくとも加熱することと、熱成形可能な副子をドレッシング上で所望の副子構成に適合させることと、熱成形可能な副子が周囲温度まで冷却するにつれて熱成形可能な副子を所望の副子構成に硬化させることとを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、熱成形可能な副子を所望の副子構成に適合させることは、熱成形可能な副子をドレッシングの周囲でかつドレッシングに沿って螺旋状にすることを含む。いくつかの実施形態では、熱成形可能な副子を所望の副子構成に適合させることは、後側副子アプローチにしたがって熱成形可能な副子を適用することを含む。いくつかの実施形態において、熱成形可能な副子を所望の副子構成に適合させることは、サドル副子アプローチにしたがって熱成形可能な副子を適用することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、熱成形可能な副子を所望の副子構成に硬化させることは、熱成形可能な副子を所望の副子構成でドレッシングに結合することを含む。熱成形可能な副子を所望の副子構成でドレッシングに結合することは、ドレッシングの取付特徴部を熱成形可能な副子の接続層に適用することを含み得る。熱成形可能な副子を所望の副子構成に硬化させることは、副子を所望の副子構成に保持することが、ACE(商標)ラップ又は3M(商標)Coban(商標)ラップなどの弾性包帯ラップで包むことによっても達成され得ることを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法はまた、熱成形可能な副子の少なくとも一部を加熱することと、ドレッシングから熱成形可能な副子を分離するためにドレッシングにおいて熱成形可能な副子を曲げることとを含む。
【0015】
本開示の別の実装形態は、治療システムである。治療システムは、キャスティングテープを含む。キャスティングテープは、押出エラストマーを含むネットと、ネットの外面に設けられた先端部とを含む。先端部は、ポリカプロラクトンで形成される。先端部は、キャスティングテープが加熱され、キャスティングテープに重なるように組織部位の周りに巻き付けられ、冷却されたときに、結合して実質的に剛性の構造を形成するように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、治療システムは、患者に適用されたときに患者の皮膚と負圧ドレッシングとの間に密封容積を画定するように構成された負圧ドレッシングと、負圧ドレッシングと空気連通して配置されるように構成されかつ密封容積から空気を排出するように動作可能なポンプとを含む。キャスティングテープは、負圧ドレッシング上に適用されるように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、ネットは、複数の直線部分及び複数の波状部分を含む。各波状部分は、複数の直線部分のうちの2つの隣接する直線部分に周期的かつ交互に接続している。先端部は、複数の直線部分の少なくともサブセットに沿って設けられ得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、キャスティングテープは、約1ミリメートルの厚さを有する。先端部は、約1ミリメートルだけ離間され得る。先端部は、先端部が溶融又は軟化するように閾値温度を超えて加熱されると、結合するように構成される。いくつかの実施形態では、先端部はポリカプロラクトンを含む。いくつかの実施形態では、先端部は、ポリカプロラクトンと混合された潤滑材料を含み得る。キャスティングテープは、潤滑剤コーティングを有し得る。いくつかの実施形態において、キャスティングテープは、水活性化潤滑剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの部分断面図を示す、減圧治療システムの側面図である。
【
図3】
図3は、例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの分解斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの減圧層の圧潰の概略図である。
【
図4B】
図4Bは、例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの減圧層の圧潰の概略図である。
【
図5】
図5は、例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの減圧層を形成する材料の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
【
図6B】
図6Bは、例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
【
図6C】
図6Cは、例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
【
図6D】
図6Dは、例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
【
図6E】
図6Eは、例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
【
図6F】
図6Fは、例示的な一実施形態による減圧層の断面図である。
【
図7】
図7は、例示的な一実施形態による減圧治療システムの使用中の、
図6A~
図6Eの例示的な減圧層の性能と網状発泡体ベースの減圧層の性能との比較を示す表である。
【
図8A】
図8Aは、例示的な一実施形態による、減圧治療システムのドレッシングの斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、例示的な一実施形態による、患者に取り付けられている
図8Aのドレッシングの斜視図である。
【
図8C】
図8Cは、例示的な一実施形態による、患者に取り付けられた
図8Aのドレッシングの斜視図である。
【
図9】
図9は、例示的な一実施形態による、負圧ドレッシング上に適用された熱成形可能な副子の第1の適用の斜視図である。
【
図10】
図10は、例示的な一実施形態による、負圧ドレッシング上に適用された熱成形可能な副子の第2の適用の斜視図である。
【
図11】
図11は、例示的な一実施形態による、負圧ドレッシング上に適用された熱成形可能な副子の第3の適用の斜視図である。
【
図12】
図12は、例示的な一実施形態による、負圧ドレッシング上に適用された熱成形可能な副子の第4の適用の斜視図である。
【
図13】
図13は、例示的な一実施形態による、負圧ドレッシング上に適用された熱成形可能な副子の第5の適用の斜視図である。
【
図14】
図14は、例示的な一実施形態による、負圧ドレッシング上に適用された熱成形可能な副子の第6の適用の斜視図である。
【
図15】
図15は、例示的な一実施形態による、負圧及び固定化キットの図である。
【
図16】
図16は、例示的な一実施形態による、熱成形可能な副子に含めることができる第1の共押出ポリマー物品の概略断面図である。
【
図17】
図17は、例示的な一実施形態による、熱成形可能な副子に含めることができる第2の共押出ポリマー物品の概略断面図である。
【
図18】
図18は、例示的な一実施形態による、熱成形可能な副子に含めることができる第3の共押出ポリマー物品の概略断面図である。
【
図19】
図19は、例示的な一実施形態による、熱成形可能な副子に含めることができる第4の共押出ポリマー物品の概略断面図である。
【
図20】
図20は、例示的な一実施形態による、熱成形可能な副子に含めることができる第5の共押出ポリマー物品の概略断面図である。
【
図21】
図21は、例示的な一実施形態による、熱成形可能な副子を製造するためのプロセスのフローチャートである。
【
図22】
図22は、例示的な一実施形態による、負圧ドレッシング及び熱成形可能な副子を適用するためのプロセスのフローチャートである。
【
図23】
図23は、例示的な一実施形態による、関節及び/又は負圧ドレッシングから熱成形可能な副子を調整又は除去するためのプロセスのフローチャートである。
【
図24】
図24は、例示的な一実施形態によるキャスティングテープのロールの斜視図である。
【
図25】
図25は、例示的な一実施形態による、負圧ドレッシングを用いて患者の関節に適用された
図24のキャスティングテープの斜視図である。
【
図26】
図26は、例示的な一実施形態による
図24のキャスティングテープの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ある例示的な実施形態を詳細に示す図面を参照する前に、本開示は、説明に記載されている又は図面に示されている詳細又は方法に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、単に説明のためであり、限定として解釈されるべきでないことを理解されたい。
【0021】
概して図を参照して、真空(例えば、大気圧に対する負圧)を、様々なタイプの治療組織部位(例えば、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯など)の上に延びる又は当該治療組織部位を囲む無傷の皮膚に適用するための減圧療法治療システムについて、様々な実施形態により記載する。治療システムによって提供される無傷の皮膚への真空の適用は、引張(例えば、引揚)力を無傷の皮膚に付与し、これは、治療組織部位を減圧し、これによって、治療組織部位での血液及び他の流体(例えば、リンパ流、間質液)の灌流を増加させる。
【0022】
治療システムの動作から生じる治療組織部位の減圧は、有利には、組織部位での腫脹を低減するために使用され得る。治療システムは、医療状況及び非医療状況の両方における使用のために構成されており、様々な異なる状態の結果として起きる腫脹を治療するために使用され得る。例えば、治療システムは、傷害、酷使、根底にある医学的状態(例えば、リンパ浮腫)などから生じる腫脹を治療するために、家庭状況において患者によって使用され得る。
【0023】
更に他の実施形態では、治療システムはまた、例えば、患者の術前及び/又は術後ケア中に腫脹を低減するために、医療状況において使用され得る。例えば、手術前に(例えば、骨折、浮腫、組織捻挫、組織挫傷などによって引き起こされる)治療部位での腫脹を低減することは、有利には、標的手術部位での下にある組織へのアクセスを容易にし得、手術時間を低減し得、及び/又は外科的治療の結果を改善し得る。外科的治療の前の本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる治療システムの使用は、有利には、腫脹を治療する従来の方法を使用して腫脹を低減するのに必要とされる時間と比較して、標的手術部位での腫脹を許容可能な腫脹度に低減させるのに必要とされる時間を減少させ得る。例えば、治療システムの使用は、治療システムを使用する治療の開始から3~7日以内に、腫脹を許容可能な腫脹度に低減し得る。
【0024】
腫脹を低減するための治療システムの使用に加えて、治療システムによって提供される減圧療法はまた、有利には、様々な他の医学的状態又は病気の治療において使用され得る。1つの非限定的な例として、治療システムは、(例えば、組織部位での捻挫又は他のストレスの結果として起きる)疼痛及び/又は炎症の急性治療のために使用され得る。更に他の状況では、治療システムは、治療組織部位での血液灌流及び/又はリンパ流を増加させて、(例えば、運動競技トレーニング又は他の激しい活動後の)酷使の効果を最小にするために使用され得る。いくつかの実施形態では、治療システムは、再使用可能であり、洗浄可能であり、ユーザが医療専門知識なしで自己適用するために直観的であるように構成される。
【0025】
図1を参照すると、治療システム10は、概して、治療組織部位を囲む場所で患者に取り付けられるように構成されたドレッシング100と、負圧源をドレッシング100と治療組織部位との間に画定された治療チャンバに提供するように構成された排気デバイス200(例えば、真空源、負圧ポンプなど)とを備える。排気デバイス200の動作の際、患者の無傷の皮膚とドレッシング100との間に画定された治療チャンバは、減圧チャンバとして機能し、減圧チャンバにおいて、空気が治療チャンバから排出されたとき、皮膚及び下にある組織は、(
図2の矢印によって代表的に示す)外向きの引張(例えば、引揚)力を受ける。ドレッシング100及び排気デバイス200の一方又は両方に結合された任意選択のコントローラは、治療システム10を使用して治療部位への減圧療法の適用を制御し得る。
【0026】
図1の治療システム10の実施形態によって示すように、ドレッシング100及び排気デバイス200は、任意選択で、互いに遠く離れて位置する個別の別個の構成要素として設けられている。このような実施形態では、排気デバイス200は、外部チューブ205を介して治療チャンバに流体的に及び封止して結合されている。ドレッシング100を通って延びる開口111の周りに封止して取り付けられた任意選択のコネクタポート90は、治療チャンバと排気デバイス200との間の流体接続を容易にし得る。他の実施形態(例えば、ドレッシング100が患者に巻き付けられるように構成されている実施形態)では、他のコネクタポート構造及び/又は構成が、排気デバイス200とドレッシング100とを封止して係合する及び流体的に結合するために使用され得る。いくつかの実施形態では、排気デバイス200は、任意選択で、モジュール300内に一体化されており、モジュール300は、一体化された自己完結型一体式の治療システム10を画定するように、ドレッシング100に固定的に又は取り外し可能に取り付けられている。
【0027】
独立型減圧療法デバイスとしての治療システム10の使用に加えて、様々な実施形態では、治療システム10は、1つ以上の追加の治療システムと共に使用され得る(及び、任意選択で、1つ以上の追加の治療システム内に一体化され得る)。例えば、治療システム10は、引張力を、治療組織部位を囲む無傷の皮膚上に付与するために使用されるとして記載されているが、いくつかの実施形態では、治療システム10は、引張力を創傷上に付与するために使用され得る。真空(引張力)は、連続的又は断続的に適用され得る。いくつかのこのような実施形態では、治療システム10は、任意選択で、負圧創傷閉鎖法システム(「Negative Pressure Wound Therapy(NPWT)」システム)の創傷ドレッシングの上に適用される(又は、システム内に一体化される)。更に他の実施形態では、治療システム10は、例えば、熱治療システム、骨折を治療するように構成されたシステムなどの様々な他の治療システムと共に使用され得る。
【0028】
ドレッシング
図3を参照すると、ドレッシング100は、概して、可撓性の閉塞層110と、その中を通って延びる複数の流体流路を含む圧縮性の減圧層120(例えば、マニホールド層(manifolding layer)、マクロメッシュ層、圧縮性層、圧潰性層など)とを含む。閉塞層110は、治療組織部位を囲む治療チャンバを画定するように、(例えば、任意選択の封止部材を使用して)患者に取り付けられるように構成されている。患者へのドレッシング100の取り付けの際、減圧層120は、治療チャンバ内に配置されており、治療組織部位に沿って延びる。任意選択の界面層130は、患者の皮膚と減圧層120との間に延びる。
【0029】
治療システム10の動作中に、排気デバイス200の開始の際に起こる治療チャンバからの空気の排出は、閉塞層110及び減圧層120を、治療組織部位を囲む無傷の皮膚に向かって引きつけさせる。排気デバイス200によって適用された真空が、空気のほとんどを治療チャンバから除去されると、治療チャンバへの負圧の継続の適用は、圧縮性の減圧層120を、減圧層120自体上に圧潰(例えば、圧縮)させる。治療チャンバへの負圧のこの持続する適用、及び減圧層120の圧潰は、治療組織部位での無傷の皮膚を、(例えば、
図2の矢印で示すように)外向きに引っ張らせ、これによって、治療組織部位の皮下部分における血液灌流及びリンパ流を刺激する。
【0030】
A.閉塞層
閉塞層110は、治療組織部位を包囲する(例えば、囲む、上に延びる、被覆するなど)ように患者の皮膚に封止されるように構成されている。例えば、閉塞層110が、袖状構造、ブーツ状構造、若しくは他の環状構造によって、及び/又は解剖学的構造に巻き付けられるように構成されたシート状構造若しくはテープ状構造によって画定されているいくつかの実施形態では、閉塞層110は、患者の肢、四肢、又は他の解剖学的構造の周りに約360度延びる(すなわち、取り囲む)、又は360度超延びる(すなわち、閉塞層110は、閉塞層110自体に巻き付く)。他の実施形態(例えば、膝、肩、肘などの治療中に)では、閉塞層110は、任意選択で、患者の解剖学的構造の周りに360度未満(例えば、180度未満)延びるシート状構造によって画定されている。
【0031】
排気デバイス200の動作の際、閉塞層110と患者の皮膚との間の封止された取り付けは、封止された減圧治療チャンバを形成し、減圧治療チャンバを介して、負圧は、治療組織部位に伝達される。開口111は、任意選択で、閉塞層110を通って画定されており、開口111を介して、治療チャンバは、治療システム10の排気デバイス200に流体的に結合されている。代替的に、治療チャンバは、患者の皮膚と閉塞層110の下面との間に介在するコネクタを介して真空源に流体的に結合されている。
【0032】
閉塞層110は、治療システム10の使用中に治療チャンバ内の所望の真空を維持することが可能である様々な材料から形成され得る。閉塞層110は、任意選択で、水分(例えば、発汗)が治療システム10の使用中に治療組織部位から蒸発することを可能にするために、高い水蒸気透過率(MVTR)を有する材料から形成されている。閉塞層110のために選択される材料はまた、有利には、閉塞層110が治療システム10の長期間の使用に耐えることを可能にするのに十分に強固であり弾性を有する。閉塞層110が再使用可能である実施形態では、閉塞層110を形成する材料はまた、任意選択で、閉塞層110が使用間に清浄化(例えば、洗浄)されることを可能にするのに十分な耐久性を有する。
【0033】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、閉塞層110は、患者へのドレッシング100の取り付け中に、他の構成要素(例えば、減圧層120、界面層130など)と一体化されたドレッシング100の個別の別個の構成要素として設けられている。いくつかのこのような実施形態では、閉塞層110には、任意選択で、閉塞層110の下面に沿って接着剤が設けられている。(閉塞層110が封止部材と一体化されている)このような剥離及び適用配置(peel-and-place arrangement)は、ドレッシング100が患者の解剖学的構造(例えば、足、脚、腕など)に迅速に巻き付けられる(又はそうでなければ、取り付けられる)ことを可能にして、患者へのドレッシング100の迅速な取り付けを可能にする。様々な実施形態では、閉塞層110は、代替的に、減圧層120と取り外し可能に又は固定的に一体化されている。接着剤は、MVTRを更に改善するために任意の形状の別個の島でパターンコーティングされてもよいが、周辺部又は境界では、接着剤は、好ましくは、良好なシールを形成するために連続的である。
【0034】
閉塞層110に使用され得る材料の非限定的な例としては、ポリウレタンフィルム(例えば、ESTANE 5714F)、ポリアルコキシアルキルアクリレート及びメタクリレート(例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2002年11月22日に出願された英国特許出願第1280631A号に記載されるものなど)などの他のポリマーフィルム、可塑化PVC、シリコーン、ブロックコポリマーエラストマー(例えば、商品名KRATONで入手可能なブロックコポリマーエラストマー)、ポリオレフィン(メタロセンポリオレフィンを含む)、ポリアミド(例えば、商品名PEBAXで入手可能なポリエステルブロックアミド)、エラストマーポリエステル(商品名HYTRELで入手可能なエラストマーポリエステルを含む)などが挙げられるが、これらに限定されない。エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ブチルゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、ネオプレンなど、積層布(例えば、ポリウレタン積層布、延伸ポリテトラフルオロエチレン積層布など)、ポリマー被覆布、様々な合成繊維から作製された布などの熱硬化性エラストマーも好適であり得る。布は、編まれていても、織られていても、不織であってもよい。不織布としては、スパンボンド、水流交絡、スパンレース、ブローマイクロファイバー、並びにこれらの積層体が挙げられる。
【0035】
B.減圧層
減圧層120(例えば、マニホールド層、マクロメッシュ層、圧縮性層、圧潰性層など)は、引張力又は引揚力を治療組織部位での皮膚上に付与するように構成されている。減圧層120は、複数の流体流路(例えば、経路、通路、細孔など)をその中を通って含む(又は画定する)材料から形成されている。減圧層120の流体流路は、治療システム10の動作中に治療組織部位への負圧の持続する伝達(例えば、マニホールド(manifolding))を可能にする。流体流路のうちのいくつか又は全ては、任意選択で、治療組織部位に提供される又は治療組織部位から除去される流体(例えば、空気)の分配を改善させるために相互接続されている。減圧層120は、空気流を流体流路を通って少なくとも最大約150mmHgの負圧で提供するのに十分な剛性を有する圧縮性材料から形成されている。
【0036】
図2を参照すると、空気が治療システム10の動作中に治療チャンバから排出されたとき、ドレッシング100の剛性に対してより大きい、治療組織部位の下にある皮膚/筋肉/骨の剛性は、閉塞層110を、減圧層120の外向きに面する表面125(例えば、上面、外面、組織部位と反対側を向く表面など)に対して引きつけさせ、また、減圧層120の組織に面する表面127(例えば、下面、内面など)を、治療組織部位での皮膚に向かって及び治療組織部位での皮膚に対して(直接的に、又は任意選択の界面層130を介して間接的に)引きつけさせる。空気が治療チャンバから実質的に排出されると、治療チャンバへの真空の継続の適用は、圧縮性の減圧層120の圧潰をもたらす。
【0037】
減圧層120が圧潰する(例えば、圧縮する)方向(すなわち、外向き/内向き、上向き/下向き、組織部位から離れて/組織部位に向かって、半径方向に、垂直方向になど)は、減圧層120の構築に依存して変化する。単一層を含み、均一な密度を有する材料から形成された減圧層120が真空に応答して圧潰することが、代表的に
図4Aに示されている。
図4Aの矢印によって示すように、減圧層120の外向きに面する表面125よりも、組織に面する表面127の近くに位置する剛性中心を有するこのような減圧層120は、減圧層120の外向きに面する表面125が減圧層120の組織に面する表面127に向かって引きつけられるように圧縮する。
【0038】
硬質材料から形成された外側部分(すなわち、組織部位と反対側に面する外向きに面する表面125隣接する減圧層120の部分)と、より軟質の材料から形成された内側部分(すなわち、組織に面する表面127隣接する減圧層120の部分)とを含む減圧層120が真空に応答して圧潰することが、
図4Bに示されている。
図4Aに示す代表的な減圧層120とは対照的に、減圧層120の組織に面する表面127よりも外向きに面する表面125の近くに位置する剛性中心によって画定された
図4Bに示すような減圧層120は、治療システム10の使用中に真空を受けると、平行板効果(parallel plate effect)を経験する。
図4Bの矢印によって示すように、減圧層120のより軟質の内側半部分が2つのより硬質の構造(すなわち、治療組織部位の下にある皮膚/筋肉/骨、及び減圧層120の比較的より硬い外側半部分)間に挟まれているこの配置は、減圧層120が圧潰したとき、減圧層120の組織に面する表面127が減圧層120の外向きに面する表面125に向かって引きつけられることをもたらす。減圧層120のこのような外向きに向けられた圧潰の結果として治療組織部位での皮膚上に付与される引張力は、治療組織部位でのリンパ流及び血液灌流を向上させるのに有効である。
【0039】
組織部位でのリンパ流及び血液灌流への平行板効果の影響を考慮して、減圧層120は、有利には、減圧層120の剛性中心が、減圧層120の組織に面する表面127よりも、外向きに面する表面125の近くに位置するように構築されている。減圧層120はまた、有利には、減圧層120が患者に固着されることを可能にし、ドレッシング100が治療システム10の使用中にそれに取り付けられている身体部分の運動の範囲を可能にするのに十分な可撓性を有する材料から構築されている。
【0040】
減圧層120はまた、有利には、治療システム10の動作の過程(例えば、最大1週間又は1週間超の期間)にわたる減圧層120への負圧の繰り返しの適用に耐えるのに十分な構造統合性及び弾性を有して形成されている。同じ患者又は他の患者での治療システム10の再使用を容易にするために、減圧層120は、追加的に任意選択で、減圧層120が使用間に洗浄されることを可能にする耐久性を有して構築されている。
【0041】
図5を参照すると、増加した引張力を組織治療部位での皮膚上に付与するように構成された可撓性、弾性、及び耐久性を有する減圧層120の構築が、例示的な一実施形態により示されている。
図5の減圧層120の実施形態では、減圧層120は、下層123と、上層121と、中間層122とを含むマクロメッシュ材料によって画定されている。組織治療システム10内への減圧層120の一体化の際、下層123の下面は、減圧層120の組織に面する表面127(例えば、下面、内面、半径方向内向きに延びる表面など)を画定し、上層121の上面は、減圧層120の外向きに面する表面125(例えば、上面、外面、半径方向外向きに延びる表面など)を画定する。上層121及び下層123は、互いに垂直にオフセットされており、中間層122(例えば、コネクタ層)を介して互いに相互接続されている。
【0042】
減圧層120を形成するマクロメッシュ材料を画定する上層121及び下層123は、様々な異なる材料によって画定され得る。減圧層120に所望の弾性度及び耐久性度を提供するために、上層121及び下層123のうちの一方又は両方は、織物材料から形成されている。織物は、減圧層120の所望の特性に依存して、様々な異なる織りパターン又は不織パターン、重量、密度、繊維、剛性などによって画定され得る。様々な実施形態によれば、上層121及び下層123のうちの一方又は両方は、ポリエステルなどのポリマー又はナイロン材料(例えば、ポリマー又はナイロンメッシュ)から形成されている。
【0043】
減圧層120に、所望のオフセットされた剛性中心(すなわち、減圧層120の外向きに面する表面125の近くに位置する剛性中心)を提供するために、上層121は、下層123と異なる材料から形成されている、下層123と異なる構築を有する、又はそうでなければ下層123と異なる。例えば、上層121は、下層123のために使用される材料よりも大きい剛性を有する材料から形成されている。上層121及び/又は下層123に選択される材料は、減圧層120に追加の所望の特徴を提供するために、任意選択で、コーティング(例えば、抗菌コーティング、疎水性コーティングなど)を含み得る。
【0044】
中間層122は、様々な異なる材料から形成され得る。
図5に示すように、様々な実施形態によれば、中間層122は、減圧層120が治療システム10の使用中に1回以上の回数で圧潰する(例えば、圧縮する、又はそうでなければ上層121と下層123との間の距離を低減させる)ことを可能にする、耐久性、弾性及び可撓性を有する(例えば、圧潰性、偏向性、屈曲性、圧縮性など)複数のフィラメント繊維129から形成されている。中間層122を形成するフィラメント繊維129は、様々な糸タイプ(例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡糸など)、直径、長さ、材料、重量、デニール、密度、剛性などによって画定され得る。フィラメント繊維129の選択及び配置は、マニホールド層の所望の特徴に基づいて変化し得る。例えば、中間層122を形成するフィラメント繊維129の長さ及び密度は、減圧層120の所望の剛性に基づいて変化し得る。
【0045】
治療システム10の動作中に皮膚上に付与される引張力度への
図5の二層の減圧層120の配置の様々な特性を変化させる効果について、
図6A~
図6F及び
図7を参照して説明する。
図6A~
図6Eに示す減圧層120の実施形態の非限定的な特性は、
図7の表に提供されている。
【0046】
概して、例えば、
図5の実施形態によって代表的に示すようなマクロメッシュ構成を含む減圧層120は、単層の均一な密度の網状発泡材料から形成された減圧層120よりも大きい剛性によって画定されている。したがって、
図7の表に示すように、たとえ二層の減圧層120が、(例えば、
図6A及び
図6Bの実施形態によって示すように)減圧層120の中心に(又は実質的に中心に)位置する剛性中心によって画定されている場合でも、二層の減圧層120の構造は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、治療組織部位での血液灌流及びリンパ流の向上を提供する。
【0047】
例えば、
図7の表に示すように、一実施形態では、高密度及び/又は高剛性の(例えば、約3.4のデニールを有するポリエステル材料から形成された)上層121及び下層123を有するマクロメッシュ(3次元ニット)構成を含む
図6Aに示すような減圧層120の実施形態は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、治療組織部位での灌流度及び流れ度を約10.5%増加させ得る。また、
図7の表に示すように、一実施形態では、低密度及び/又は低剛性の(例えば、約1.5のデニールを有するポリエステル材料から形成された)上層121及び下層123を有するマクロメッシュ構成を含む
図6Bに示すような減圧層120の実施形態は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、治療組織部位での灌流度及び流れ度を約7.7%増加させ得る。
【0048】
図7の表に要約するように
図6A及び
図6Bの減圧層120の例の性能の比較によって示すように、例えば、
図6Aの実施形態によって示すような減圧層120の実質的に同様の上層121及び下層123を形成するために使用される材料の密度(及び剛性)を増加させることは、(例えば、
図6Bの実施形態によって代表的に示すような)より低い密度(及びより低い剛性)の材料からそれぞれが形成されている上層121及び下層123を有する二層の減圧層120の実施形態と比較して、増加した引張力を提供する。
【0049】
図7の表に示すように、より高い密度(及びより高い剛性)の材料から形成された上層121と、より低い密度(及びより低い剛性)の材料から形成された下層123とを含み、したがって、減圧層120の外向きに面する表面125の近くに位置する剛性中心によって画定されている、
図6Cに代表的に示すような二層の減圧層120の配置は、例えば、
図6A及び
図6Bの減圧層の実施形態などの、同じ密度(及び同じ剛性)を有する材料から形成された上層121及び下層123の両方を有して形成された減圧層120と比較して、増加した引張力を治療組織部位上に付与する。例えば、(高密度/高剛性の上層121及び下層123から形成されている)
図6Aの減圧層120の実施形態の発泡体よりも10.5%の改善、及び(低密度/低剛性の上層121及び下層123から形成されている)
図6Bの減圧層120の実施形態の発泡体よりも7.7%の改善と比較して、高密度及び/又は高剛性の上層121と、低密度及び/又は低剛性の下層123とを有する減圧層の実施形態(例えば、
図6Cの実施形態)は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、灌流及び流れにおいて24.6%の改善を発揮する。
【0050】
図7に示すように、
図6Cの減圧層120の実施形態の下層123及び上層121のために使用される材料と同様に、
図6Dの減圧層120の実施形態は、高密度(及び高剛性)の材料から形成されており、減圧層120の下層123はまた、低密度(及びより低い剛性)の材料から形成されている。しかしながら、
図6Cの減圧層120の実施形態は、連続的に延びる上層121を含むが、
図6Dの減圧層120の実施形態の上層121は、代わりに、高密度(及び高剛性)の材料のストリップによって画定されており、ストリップは、上層121がそれに沿って延びない中間層122の部分によって互いに分離されている。
【0051】
図6Dの減圧層120の実施形態の中断された上層121の構成の結果として、
図6Dの減圧層120の剛性中心は、減圧層120の外向きに面する表面125によりも、組織に面する表面127の近くに位置する。
図7に示すように、減圧層120の組織に面する表面127の近くに位置する
図6Dの減圧層120の剛性中心の効果は、
図6Dの減圧層120の実施形態が、均一な密度の単層の網状発泡体ベースの減圧層よりも更により少ない引張力を治療組織部位での皮膚上に付与することである。したがって、
図7の表に示すように、
図6Dの配置などの減圧層の配置は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、16.1%の治療組織部位での灌流及び流れの減少をもたらし得る。
【0052】
減圧層120によって皮膚上に付与される引張力度は、減圧層120の組織に面する表面127からの剛性中心の距離を最大にするように減圧層120を構築することによって更に増強され得る。
図6Cを参照して記載されているように、この距離を最大にするための1つのこのような選択肢は、減圧層120の下層123の剛性に対して減圧層120の上層121の剛性を増加させることである。
図7に示し
図6E及び
図6Fの実施形態によって示すように、治療システム10の使用中に皮膚上に付与される引張力を増加させるための追加の選択肢は、減圧層120の厚さ(すなわち、外向きに面する表面125と組織に面する表面127との間の距離)を増加させることである。
【0053】
図6E及び
図6Fの実施形態によって代表的に示すように、減圧層120の厚さの増加は、(上層121又は下層123と同様の)1つ以上の追加の織物層128を減圧層120の構造内に組み込むことによって達成され得る。
図6E及び
図6Fに示すように、これらの追加の1つ以上の層128は、1つ以上の追加の中間層122を介して減圧層120の構造内に一体化され得る。減圧層120によって皮膚上に付与される引張力を最大にするために、追加の織物層128は、有利には、減圧層120の剛性中心を、外向きに面する表面125の近くに維持する様式で、減圧層120内に一体化されている。例えば、
図6Eの実施形態によって示すように、減圧層120は、
図6Bの減圧層120の外向きに面する表面125に沿って結合された又はそうでなければ取り付けられた)
図6Aの減圧層120を含み得る。表7に示すように、
図6Eの実施形態によって示すこのような多層の減圧層120の構成は、単層の均一な密度の網状発泡体材料から形成された減圧層と比較して、51.2%の治療組織部位での灌流及び流れの増加を提供し得る。
【0054】
C.界面層
任意選択の界面層130(すなわち、皮膚接触層)は、患者へのドレッシング100の取り付けの際、患者の皮膚に隣接して配設されている。界面層130は、様々な理由でドレッシング100内に組み込まれてもよく、様々な異なる特徴によって画定されてもよい。例えば、界面層130は、治療システム10の使用中の不快感及び刺激を減少させ、冷却を提供し、液体を皮膚から吸い上げ、抗菌バリアとして機能し、減圧層120と皮膚との間に摩擦を生じさせて、減圧層120によって皮膚上に付与される引揚力を向上させるなどのように構成され得る。
【0055】
界面層130を形成する材料は、界面層130の所望の特徴に基づいて選択され得る。概して、任意選択の界面層130は、皮膚と減圧層120との間の流れを妨げず皮膚を刺激しない軽量の薄い材料から構築されている。いくつかの実施形態では、界面層130は、例えば、不織通気性布などの織物又は他の多孔質材料を含み得る。
図3に示すように、他の実施形態では、界面層130は、その中を通って形成された複数の穿孔又は穴を含む閉塞材料から形成され得る。界面層130はまた、任意選択で、界面層130の再使用を可能にするのに十分な耐久性及び弾性を有して形成されている。
【0056】
界面層130は、様々な配置によりドレッシング100内に一体化され得る。いくつかの実施形態では、界面層130は、全体的に、減圧層120とは別個に減圧層120から取り外されて設けられている。いくつかのこのような実施形態では、界面層130は、治療組織部位(例えば、患者の脚又は腕)上に及び治療組織部位の周りに摺動されるソックス又は袖として設けられ得る。所望の位置に位置すると、ドレッシング100の減圧層120の構成要素及び閉塞層110の構成要素は、患者に取り付けられる。このような分離した配置は、有利には、ユーザが、ドレッシング100の残りの構成要素の取り付け前に、界面層130が皮膚に沿って張って円滑に置かれてあることを確認することを可能にし、よって、治療システム10の使用中の界面層130に沿う皺から生じる挟み込みのリスクを最小にする。
【0057】
代替的に、界面層130は、例えば
図8Aの実施形態によって示すように、減圧層120の組織に面する表面127に沿って部分的に又は全体的に取り付けられている。いくつかの実施形態では、界面層130は、減圧層120に取り外し可能に取り付けられており、界面層130が、所望に応じて(例えば、治療システム10の再使用の前に界面層130を洗浄するために)取り外されることを可能にする。他の実施形態では、界面層130は、代わりに、減圧層120の下面の全体又は一部分(例えば、周縁部)に(例えば、熱接着によって、接着剤を介して、超音波溶接を介してなど)固定的に固着されている。界面層130及び減圧層120のこのような固定的取り付けは、有利には、界面層130と減圧層120との間の緩んだ箇所の存在を最小にし得、これは、隆起及び気泡の発生を低減し得、これによって、治療システム10の動作中の挟み込みのリスクを最小にし得る。
【0058】
D.封止部材
ドレッシング100の封止部材は、閉塞層110と下にある表面(例えば、皮膚、患者に巻き付けられた閉塞層110の一区画、任意選択の界面層130など)との間に封止(例えば、液密)取り付けを提供するために使用され、封止取り付けは、真空が組織治療部位を囲む治療チャンバ内に生成及び維持されることを可能にする。有利には、封止部材は、所望の負圧を治療チャンバ内に治療システム10の使用期間にわたって連続的又は断続的に維持するのに十分に堅牢であるように構造化されている。いくつかの実施形態において、封止部材は、自己接着性であり、例えば、皮膚、任意選択で含まれている界面層130、減圧層120、閉塞層110などを含む様々な異なる表面への液密取り付けを提供することができる。封止部材が再使用可能である実施形態では、封止部材は、滅菌可能であり得る。代替的に、封止部材は、新しい封止部材が治療システム10の後続の使用ごとに使用され得るように、交換可能(例えば、取り外し可能)であってもよい。
【0059】
封止部材は、多様な様々な封止構造又は様々な封止構造の組み合わせによって画定され得る。封止部材は、任意選択で、ドレッシング100の他の構成要素とは別個に設けられた個別の構成要素を含み得る。例えば、封止部材は、ドレッシング100を患者に固着させるために閉塞層110の上層の全体又は外周に沿って適用されたテープ状又はフィルム状構造141(例えば、熱可塑性エラストマーゲルストリップ、シリコーン/アクリル三層(trilaminate)フィルムなど)を含み得る。他の実施形態では、封止部材は、代替的に又は追加的に、1つ以上の封止カフを含む(例えば、
図1参照)。他の実施形態では、封止部材は、閉塞層110の下面の全体又は周縁に沿って提供される(例えば、一体化される)、又はその上に配置される接着剤(例えば、アクリル又はシリコーン接着剤)を含む。
【0060】
様々な実施形態では、封止部材によって提供される封止取り付けは、患者へのドレッシング100の取り付け後に、ドレッシング100の頂上に位置する、フックアンドパイルファスナ、粘着包帯、キャストプロテクタ、又は他の構造によって補強され得る及び/又は隠され得る。
【0061】
ドレッシング構成
ドレッシング100のサイズ、形状、及び構成は、例えば、治療されている治療組織部位、治療されている患者、提供されている治療の期間などを含む様々な要因に依存して変化し得る。治療システム10の所望の使用に依存して変化し得るドレッシング100の追加的な特徴は、例えば、特定の治療部位へのドレッシング100の調整度、ドレッシング100が患者に取り付けられる程度、患者へのドレッシング100の取り付けを容易にする特徴の組み込み、ドレッシング100の構成要素の一体化度などを含む。
【0062】
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、いくつかの実施形態では、シート状ドレッシング100は、患者の一部分(例えば、ふくらはぎ、手首、足首など)を実質的に(例えば、全体的に)取り囲むために、組織部位に巻き付けられ得る。例えば、シート状ドレッシング100は、患者の肢又は四肢に約360度以上巻き付けられるように構成され得る。例えば、シート状ドレッシング100は、患者の足及び足首の下及び後ろにあるように形成され、次いで、足首を包囲するように前方へ巻かれることができる。シート状ドレッシング100の第1の部分(例えば、足首の内側の周りに延びている)は、
図8Cに示すように、シート状ドレッシング100の第2の部分(例えば、足首の外側の周りに延びている)と重なり合うことができる。足首又は他の組織部位の周囲に閉じた環状構造を形成するために、ドレッシング100がそれ自体に封止されることを可能にするように、接着性境界又は別個の封止ストリップが提供されてもよい。有利には、
図8A~
図8Cにおいて構成されたドレッシング100は、例えば、スリーブ又は他の環状構造を通して組織部位を引っ張る、滑らせる、絞るなどの必要なく、組織部位への最小限の妨害で足首に適用することができる。いくつかの実施形態では、シート状ドレッシング100は、任意選択で、特定の治療部位(例えば、特に足首、特に手首、特に膝、特に肩など)への適用のために成形及びサイズ決めされ、異なるサイズの患者のために異なるサイズで提供され得る。
【0063】
他の実施形態において、ドレッシング100は、治療組織部位に巻き付けられ得る又は1つ以上のストリップとして治療組織部位の上に取り付けられ得る可撓性テープとして設けられ得る。このようなテープ状のドレッシング100の配置は、治療システム10の取り付けを様々な異なる治療部位及び様々な異なる患者のためにカスタマイズする能力をユーザに提供し得る。いくつかの実施形態では、接着剤が、任意選択で、患者へのドレッシング100の取り付けを容易にするためにテープ状構造の外周に沿って設けられている。このような実施形態では、テープの隣接する区画(例えば、隣接する巻き付け又は隣接するストリップ)が重なり合うようなテープ状構造の適用は、ドレッシング100が、患者へのドレッシング100の追加の封止を必要とせずに患者に取り付けられることを可能にし得る。代替的に、追加の封止層(例えば、閉塞層110など)は、患者に適用されたテープ状のドレッシング100を囲むように、患者に取り付けられてもよい。
【0064】
更に他の実施形態において、ドレッシング100は、肢又は他の四肢の全体の周りに少なくとも360度周方向に延びるように構成された閉鎖環状構造を画定する。例えば、環状ドレッシングは、第1の開放端と第2の開放端との間に延びる、概して管状の形状を有するスリーブ状構造によって画定することができる。いくつかの実施形態では、スリーブ状環状ドレッシングは、第1の開放端と第2の開放端との間に延び、患者の特定の四肢の周りへの取り付けのための形状、サイズ及び外形を有する。
【0065】
負圧治療システムと共に使用するための熱成形可能な副子
上述したように、負圧治療は、膨張の低減、及び捻挫、骨折、又は他の態様で損傷した関節の治癒の改善に有利であり得る。場合によっては、治癒を促進し、損傷を悪化させるリスクを低減するために、損傷した関節を固定することが臨床的に望ましい場合もある。本開示の一態様は、関節固定及び負圧治療特徴の両方を統合する治療システム又はキットが、関節損傷を治療するために有利であるという決定である。
図9~
図23は、概して、関節固定及び負圧治療の両方を提供するために、負圧治療ドレッシングと共に、例えば、押出ポリマーウェブ又はネットを備える、熱成形可能な副子を使用することに関する。
【0066】
図9~
図23を全体的に参照すると、熱成形可能な副子及び負圧治療システムを含む治療システムに関する様々な特徴が示されている。特に、
図9~
図14は、損傷した関節への負圧ドレッシング及び熱成形可能な副子の様々な適用を示し、
図15は、熱成形可能な副子及び負圧治療構成要素を含む治療キットを示し、
図16~
図20は、負圧治療構成要素と共に使用するための熱成形可能な副子において使用することができる押出ポリマー物品(ウェブ、ネット、管アセンブリ)の様々な実施形態を示し、
図21は、熱成形可能な副子を製造するためのプロセスを示し、
図22~
図23は、様々な例示的な実施形態による、負圧及び固定治療システムを使用して治療を提供するためのプロセスを示す。これらの図面及びその様々な利点は、以下で詳細に説明される。
【0067】
A.熱成形可能な副子の適用
ここで
図9~
図14を参照すると、例示的な実施形態による、患者の足首への負圧治療ドレッシング100及び熱成形可能な副子900の様々な適用の斜視図が示されている。図示の例では、ドレッシング100は、例えば
図8A~
図8Cを参照して上述したように構成される。他の実施形態では、負圧治療ドレッシングの様々な他の実施形態を使用することができる。更に他の実施形態では、熱成形可能な副子は、関節上に非NPTドレッシングを用いて、又はドレッシングを用いずに適用することができる。更に、図示の例では、ドレッシング100は、患者の足首領域を実質的に覆うように、すなわち、患者の前足部又は中足部から患者のふくらはぎの中央又は上部までを覆うように適用される。他の実施形態では、本開示は、他の関節又は身体部分(例えば、膝、足首、手首、肘、肩、肋骨、指、手、つま先、足、四肢、首)に負圧及び固定治療を適用する際の使用に適応されることができる。
図9~
図14は、様々な所望の副子構成(用途、形態、アプローチなど)において適用される熱成形可能な副子を示す。
【0068】
以下に詳細に説明するように、副子900は、第1の温度範囲において成形可能(柔軟、適合可能、可撓性など)であり、第2のより低い温度範囲において実質的に剛性(実質的に非柔軟、実質的に非可撓性)であるように構成される。第2の温度範囲は、患者による副子900の通常の着用中又は副子900の保管中に副子900が第2の温度範囲に留まる(したがって剛性である)ように、通常の体温及び/又は通常の状況において経験される環境温度以下(例えば、華氏120度未満、摂氏60度未満、好ましくは50℃未満、より好ましくは40℃未満、最も好ましくは30℃未満)であることができる。副子900は、副子900を成形可能にするために第1の温度範囲に加熱されることができ、その状態で、副子900は、所望の形状に成形される(曲げられる、適合される)ことができる。本明細書の実施形態では、副子900は、可撓性のシート又はテープ状部材になり、したがって、その厚さ及び連続構造を実質的に維持しながら曲げられたり適合させられたりすることができ、これは、任意の寸法で成形することができる自由に再形成可能な石膏又はパテの使用よりも有利であり得る。
図9~
図14は、患者の足首関節を固定するために剛性状態にある間の、様々な実施形態における副子900の様々な所望の形状を示す。
【0069】
図9は、例示的な実施形態による、足首へのドレッシング100及び熱成形可能な副子900の第1の適用を示す。副子900は、ドレッシング100が患者の皮膚から副子900を分離するように、ドレッシング100の上に適用される。
図9の例では、後半部副子アプローチ(構成)が使用される。副子900は、ドレッシング100の底側(すなわち、患者の脚の遠位端、患者の足の裏)に位置付けられ、足首の後側に沿って延びるように(すなわち、患者のアキレス腱を覆うように)上に曲げられる。副子900は、例えば、患者の下肢の後側を部分的にのみ上方に延びており、これにより、ドレッシング100は、患者の下肢の後側を副子900よりも更に上方へ(例えば、約2倍上方へ)延びている。これにより、副子900は略L字状に形成される。副子900はまた、ドレッシング100に適合するように成形されることもでき、これにより、副子900は、足首領域の外側及び内側に沿って部分的に延び、例えば、患者の足の下側を部分的に覆う。
【0070】
副子900は、副子900が剛性であるときに足首が副子900に対して移動することを実質的に防止されるように、ドレッシング100及び/又は患者の足首に結合されることができる。例えば、副子900は、副子900をドレッシング100及び足首に対して定位置に保持するために、ドレッシング900の特徴部、例えば、ループ、ストラップ、紐、クリップ、フック及びループ材料、又は他の締結具によって定位置に保持されてもよい。別の例として、別個のストラップ又は接着テープを使用して、副子900を定位置に固定することができる。更に別の例として、副子900は、ドレッシング100及び患者の解剖学的構造に密接に適合させることができ、それにより、ドレッシング100及び足首(例えば、足、脚、骨突出部)の形状に対する副子の形状は、例えば、
図9に示すように、患者の足の外側及び内側を少なくとも部分的に包み込む副子900の効果として、足首に対する剛性化された副子の移動を防止する。したがって、副子900が冷却されて剛性構造になり、患者の足首に対して定位置に保持されると、副子900は患者の足首を実質的に固定する。
【0071】
ここで
図10を参照すると、副子900及びドレッシング100の第2の適用が示されている。
図10の例では、後方副子アプローチが使用されている。上記で説明した
図9の例に対して、副子900は、患者の下肢の後側の更に上方に、例えば、ドレッシング100の上縁部のわずかに下の点まで延びている。
図10の例で使用される副子900は、
図9の例よりも長い。
【0072】
次に
図11を参照すると、副子900及びドレッシング100の第3の適用が示されている。
図11は、ドレッシング100及び副子900が適用された患者の下肢の後側を示す、足首の後方斜視図である。
図11は、副子900が、どのように患者の脚の前側及び遠位端に沿って延びることができ、例えば、患者の足首に対して定位置に副子900を固定するのを助けるために、患者の足の外側及び内側の周りに少なくとも部分的に巻き付くことができるかを示す。
図10の例に対して、
図10の例では、
図11では、更に長い副子900が使用され、副子900は、患者の脚の上の方向にドレッシング100を越えて延びている。したがって、
図10は、いくつかの実施形態では、副子900が、副子900のいくつかの部分においてドレッシング100に重なり、かつ副子900の他の部分で患者の皮膚に沿って巻き付くように適用することができることを示す。注:本発明者らは、副子、副子に予め適用されてもされなくてもよいパッド、及びドレッシングの3部システムを示すことを考えるべきである。
【0073】
ここで
図12を参照すると、例示的な実施形態による、副子900及びドレッシング100の第4の適用が示されている。
図12は、十字又はX字形副子アプローチを使用して適用された副子900を示す。副子900は、患者の下肢の後側から、足首の外側の周りを回って、患者の足の上部を横切り、足の内側の周りを下向きに、足の底部を横切り、足の外側の周りを上向きに、交差しながら(重なりながら)患者の足の上側を横切り、足首の内側を上向きに回って患者の下肢の後側まで延びるように示されている。したがって、副子900は、ドレッシング100及び患者の足首の底部、上部、及び後部を周回するように形成される。
図12の十字適用では、剛性状態に冷却されると、副子900は、足首関節を実質的に固定し、それ自体を足首に対して実質的に固定された位置に保持するように構成される。
【0074】
ここで
図13を参照すると、サドル副子と後部副子の組み合わせアプローチが使用される。
図13に示すように、副子900は第2の副子1300と組み合わせて使用される。第2の副子1300は、副子900と実質的に同じように構成することができる。場合によっては、第2の副子1300は、副子900とは異なるサイズである(例えば、より長い、より狭い)。
図13に示すように、副子900は、
図10に示され、それを参照して説明されるような後方副子アプローチにおいて適用される。第2の副子1300は、サドル副子として形成されて示されており、第2の副子は、下肢の外側に沿って下方に延び、患者の踵の下を通り、下肢の内側に沿って上方に延びている。図示の例では、第2の副子1300は、患者の踵において第1の副子900が第2の副子1300とドレッシング100との間にあるように、第1の副子の周りに延びている。他の実施形態では、第2の副子1300が第1の副子900とドレッシング100との間にあるように第2の副子1300が最初に適用される。他の実施形態では、例えば十字形又はT字形を有する一体化された副子が提供され、これにより、単一の連続した副子を使用して、後部タイプの副子とサドルタイプの副子の両方を提供することができる。
【0075】
ここで
図14を参照すると、副子900及びドレッシング100の第5の適用が示されている。
図14の例では、副子900は、足首が固定のための好ましい位置にある間に、ドレッシング100及び足首の周りに螺旋状に巻かれる。示されるように、副子900は、ドレッシング100に沿って延びながら、ドレッシング100の周囲に4回巻き付き、螺旋又はつるまき形状を形成する。例えば、副子900は、足の周りに2回巻き付くように示され、次いで、下肢の周りに2回巻き付くように延びている。他の例示的な用途では、副子900は、ドレッシング100及び患者の解剖学的構造の周りに異なる回転数を含むことができる。いくつかの実施形態では、ドレッシング100は、ドレッシングを螺旋配列で適用する際に介護者を誘導するために、ドレッシング100の周囲に螺旋形状で配列されたマーキング又は取付特徴部を含む。
図14の螺旋適用では、剛性である間、副子900は、ドレッシング100及び患者の足首に対して定位置にそれ自体を保持するように構成される。
【0076】
図11~
図14は、患者の足首に固定化及び負圧治療を提供するための、ドレッシング100上への副子900の様々な例示的な適用を示す。様々な場合において、臨床上の必要性、介護者の好み、及び/又は患者の好みに応じて、同じ副子900を例えば
図11~
図14に示すような様々な用途において使用することができる。他の実施形態では、副子900は、副子900が患者の足首及びドレッシング100を受容し、患者の足首の周囲に自己固定することができるように、円周設計を有する。例えば、副子900は、いくつかの実施形態では、
図8に示されるドレッシング100の形状に類似する形状を有してもよい。別の例として、副子900は、スリーブ又はソックスとして成形されてもよい。
【0077】
ドレッシング100及び副子900は、治療を容易にするための相補的な特徴部を提供することができる。例えば、ドレッシング100は、負圧に引かれたとき、それ自体が関節の可動化に対する抵抗を提供することができる。ドレッシング100にはまた、ドレッシング100及び関節の周囲への副子900の適用を容易にするための取付特徴部を設けることができる。また、副子900と関節との間に位置付けられると、ドレッシング100は、患者と副子900との間の快適な相互作用を提供するために、クッション性及び快適な患者界面材料を提供することができる。一方、副子900による関節の固定化は、ドレッシング100が患者によって着用されている間に関節の曲げ伸ばしによって引き起こされ得る漏れがドレッシング100を通って発生する可能性を低減するのに役立ち、それによってドレッシング100を使用して関節に適用される負圧治療を改善することができる。
【0078】
B.負圧及び固定治療のための治療キット
ここで
図15を参照すると、負圧及び固定治療のための治療キット1500の概略図が示されている。治療キット1500は、負圧及び固定治療システムの様々な再使用可能及び/又は使い捨ての構成要素を含むことができる。
図15において、治療キット1500は、ドレッシング100、コネクタポート90、チューブ205、ポンプ200、及び副子900を含むものとして示されている。
【0079】
ドレッシング100、コネクタポート90、チューブ205、及びポンプ(空気排出デバイス、負圧源)200は、
図1~
図8Cを参照して上記で説明されるように構成することができる。様々な実施形態では、ドレッシング100、コネクタポート90、チューブ205、及びポンプ200は、別個の分離した構成要素として分配されるか、共に事前結合されて分配されるか、又はそれらのいくつかの組み合わせとして分配されることができる。例えば、示されるように、ドレッシング100は、コネクタポート90、チューブ205、及びポンプ200とは別個に提供されることができ、コネクタポート90及びチューブ205は、互いに事前に結合されて示されている。ドレッシング適用時に、コネクタポート90をドレッシング100に結合することができ、チューブ205は、患者に治療を提供する際に使用するための治療キット1500をセットアップするために、ポンプ200に接続されることができる。ドレッシング100は、副子900のドレッシング100への取り付けを容易にするように構成された取付特徴部1502(例えば、面ファスナのフック側又はループ側)を含むように示されている。
【0080】
キット1500は、1つの副子900を含むものとして示されている。他の実施形態では、複数の副子900が含まれる。副子900は、
図9~
図14に示されるように、又は様々な例における様々な他の用途において適用されるように構成される。
【0081】
図15に示されるように、副子900は、熱可塑性管状構造1504、接続層1506、及び裏当て層1508として示される複数の層から構成される。熱可塑性管状構造1504は、第1の温度より高いときに容易に成形可能(可撓性、適合性)であり、第1の温度以下の第2の温度より低いときに実質的に剛性であるように構成されるのに対し、接続層1506及び裏当て層1508は、副子900の取り扱いを容易にするために熱可塑性管状構造1504に結合される。第1の温度及び/又は第2の温度は、熱可塑性管状構造1504内に収容された材料の軟化点又は融点とみなすことができる。
【0082】
熱可塑性管状構造体1504は、例えば、
図16~
図20に示され、それらを参照して以下に説明されるように、ネット状又はウェブ状に互いに接合された熱可塑性チューブで作られている。熱可塑性チューブは、第1の温度よりも著しく高い第3の温度未満でその管状形態を保持する第1の熱可塑性物質から作製することができる。熱可塑性チューブのネット又はウェブは、第1及び/又は第2の温度未満のときを含めて、可撓性であることができる。熱可塑性チューブは、エスタン(Estane)ポリウレタン、ハイトレル(Hytrel)エラストマーポリエステル、クラトン(Kraton)ブロックコポリマー等のような高融点熱可塑性エラストマーで作ることができる。チューブは、CAPAポリカプロラクトンなどの低融点ポリマーで充填することができる。
【0083】
熱可塑性チューブは、第2の熱可塑性物質を保持する(例えば、収容する、実質的に充填される)。第2の熱可塑性物質は、第2の温度よりも高く、かつ第1の温度よりも高い温度で溶融又は部分的に溶融することができ、その結果、第2の熱可塑性物質は軟質又は液体となり、したがって、第1の温度よりも高い温度で熱可塑性チューブ内で自由に成形可能である。第2の熱可塑性物質は、第1の温度と第2の温度との間で部分的に屈曲可能である(例えば、成形に対して耐性がある)一方で、第2の温度未満のときに剛性構造に硬化することができる。チューブネット又はウェブの軟化点又は融点は、管を充填するために使用される第2の熱可塑性物質の軟化点又は融点よりも高い。したがって、チューブネット又はウェブ(及び第1の熱可塑性物質)は、熱可塑性管状構造1504のための構造を画定するのに対し、そのチューブネット又はウェブ内の第2の熱可塑性物質は、熱可塑性管状構造1504が所与の時点において可撓性であるか剛性であるかを決定する。
【0084】
ネット又はウェブ内の第2の熱可塑性物質として使用するための適切な熱可塑性ポリマーは、副子の適用中に患者及び/又は技術者が快適に耐えることができるが、副子の通常の着用中又は材料の輸送及び保管中に遭遇する可能性が低い温度で軟化又は溶融するポリマーである。この温度(本明細書では「第1の温度」と呼ばれる)は、いくつかの実施形態では約90℃であってよい。他の実施形態では、第1の温度は、約75℃、約60℃、又は約60℃~約75℃である。好適な熱可塑性ポリマーとしては、ポリウレタン(特に、半結晶性ポリエステルポリオールに基づくポリウレタン)、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、シス及びトランスポリイソプレン、ポリカプロラクトンなどのポリエステルなどが挙げられる。示される実施形態において、管状構造を充填するために使用される熱可塑性ポリマーは、半結晶性ポリエステル、例えば、ポリカプロラクトン及びポリカプロラクトンのブレンドである。これらのポリマーは、任意に1つ以上の充填剤を含有してもよい。充填剤は、熱伝達を改善し、かつ/又は核形成によって結晶化速度を改善することができる。ポリマーはまた、1つ以上の顔料又は着色剤を含んでもよい。
【0085】
この構造は、いくつかの理由で有利であり得る。第1に、熱可塑性管状構造1504は、第1の温度より高い温度で可撓性かつ成形可能であるが、チューブ状ウェブ又はネットは、熱可塑性管状構造104が成形可能である自由度を制限することによって全体形状(例えば、シート状形状)を維持し、それによって、適用を容易にするために全体構造を損なうことなく高度の可撓性を可能にする。第2に、熱可塑性管状構造1504は、内部の(第2の)熱可塑性物質が熱を吸収又は放出することができる大きな表面積を提供することができ、それによって、熱可塑性管状構造1504を第1の温度より上に(すなわち、熱源の適用により成形可能な状態に)加熱するのにかかる時間、及び熱可塑性管状構造1504が第2の熱可塑性物質の軟化点より下に(例えば、周囲空気へ熱を失うことによって)冷却することができる時間を短縮する。様々な他の利点も提供される。
【0086】
図15の実施形態では、接続層1506は、熱可塑性管状構造1504に結合されている。接続層1506は、ドレッシング100への副子900の結合を提供するように、及び/又は副子900の他の部分への副子900の結合を提供するように構成される(例えば、患者構造の周囲に円周方向に適用されるとき)。例えば、接続層1506は、ドレッシング100の取付特徴部1502と相互作用するように構成されてもよい。一例として、接続層1506は、面ファスナの「フック」側を含むことができる一方、ドレッシングの取付特徴部1502は「ループ」側を含み、これにより、接続層1506が取付特徴部1502に選択的かつ取り外し可能に結合されることができる。スナップ、バックル、クリップ、ループ、接着剤、ジッパーなどを、接続層1506及び取付特徴部1502のための様々な実施形態において使用することができる。副子900の接続層1506及びドレッシング100の取付特徴部1502は、それによって、成形可能状態にある間、ドレッシング100上に副子900を保持するように相互作用することができ、それによって、副子900が、適用されるような定位置において剛性状態に冷却されることを可能にする。いくつかの実施形態では、接続層1506は、熱可塑性管状構造1504とドレッシング100及び/又は患者との間に快適な界面を提供するように構成されたパッドを含む。パッドはまた、キット1500において別個の構成要素として提供されてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、キットは追加の構成要素を含む。例えば、キットは、適用のために副子900を準備するために副子900を加熱するように構成された熱源を含み得る。いくつかの実施形態では、熱源は、副子900を成形可能な状態に加熱するのに十分な熱エネルギーを放出する発熱反応を受けるように構成された化学熱源である。いくつかの実施形態では、熱源は、電気ヒータであり、例えば、電気加熱コイルと、電気加熱コイルを横切って副子900上に空気を吹き付けるように配置されたファンとを含むヘアドライヤ型装置である。他の実施形態では、キットは、水を加熱して蒸気にし、蒸気を副子900に向けて送って副子900を加熱するように構成されたスチーマ装置を含む。他の実施形態では、キットは、副子900の温度を上昇させることができる光エネルギーで副子900を照射するための赤外線光源又は他の装置を含む。いくつかのそのような実施形態では、副子900は、赤外線放射を吸収する能力のために選択された材料を含むことができる。他の実施形態では、キットは、電子レンジ又は他のオーブン内で副子900をどのように適切に加熱するか(例えば、「調理」時間、電力レベル)に関する指示を含む。いくつかのそのような実施形態では、副子900は、マイクロ波放射を吸収する能力のために選択された材料を含むことができる。選択的に、この材料は、マイクロ波サセプタを含み得るか、又はマイクロ波サセプタパッケージング上に配置され得る。
【0088】
したがって、キット1500は、負圧及び固定治療を提供するために一緒に使用され、相互運用され得る様々な構成要素を含む。いくつかの実施形態では、キット1500の構成要素は、複数の患者又は同じ患者に異なる時間に適用するために再使用可能である。他の実施形態では、キット1500の構成要素のうちの1つ以上は、使い捨てであり、各使用後に交換することができる。キット1500は、例えば、
図13に示される適用を可能にするための第1の副子900及び第2の副子1300を含む、ユーザに好適であり得る各構成要素のうちの1つ以上を含むことができる。
【0089】
代替的な実施形態では、副子900は、ドレッシング100に一体化、例えば、ドレッシング100の閉塞層に恒久的に結合される。場合によっては、副子は、閉塞層の下、例えば、
図3に示される閉塞層110と減圧層120との間に位置付けられる。次いで、ドレッシング100全体を加熱して、副子900の成形を可能にすることができる。副子900は、減圧層120と同一の広がりを持つことができるか、又は他の領域におけるドレッシングの可撓性を可能にしながら、所望の固定効果を提供するように選択的に成形することができる。様々なこのような実施形態は、本開示の範囲に含まれる。
【0090】
C.熱成形可能な副子のためのチューブ状ウェブ構造
図16~
図20を全体的に参照すると、熱可塑性管状構造1504を構成することができるチューブネット又はウェブのいくつかの実施形態が示されている。熱可塑性管状構造体1504のいくつかの実施形態では、
図16~
図20のネット又はウェブのうちの1つが使用される。他の実施形態では、2つ以上のネット又はウェブが、熱可塑性管状構造1504のために積層されるか、又はその他の形式で結合される。
【0091】
ここで
図16を参照すると、例示的なウェブ1600は、別個のポリマーチューブ1602のアレイを含む。スペーサセグメント1612は、隣接するポリマーチューブ1602の間にある。これらのスペーサセグメントは、チューブと同時に形成され、連続的なウェブを形成するようにチューブと溶接される。スペーサセグメントは、チューブの均一な配置及び間隔を提供する。隣接するチューブの間に領域1613が形成されている。いくつかの実施形態では、スペーサセグメントの上方及び下方の領域1613は、熱伝導性材料(すなわち、少なくとも0.5ワット/メートルケルビンの熱伝導率を有する材料)で充填されてもよい。スペーサセグメント1612は、チューブ外周の大部分が熱伝導性材料と接触することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、熱伝達のためにアクセス可能なチューブ外周の部分は、外周の60パーセントと同程度であり、いくつかの場合では、80%を上回る。ポリマーチューブ1602は、中空のポリマーチューブ(すなわち、シース1614が中空コアを取り囲む中空コア1616)であってもよい。中空コア1616は、熱可塑性ポリマー(すなわち、上述の第2の熱可塑性ポリマー)で充填することができる。
図16に示すように、ウェブ1600は連続的なウェブであることができる。
図16の例示的なウェブ1600に示されるように、ポリマーチューブ1602は同じ平面内にある。
【0092】
図17を参照すると、例示的なウェブ1700は、別個のポリマーチューブ1702のアレイを含む。スペースセグメント1712は、隣接するポリマーチューブ1702の間にある。これらのスペーサセグメントは、チューブと同時に形成され、連続的なウェブを形成するようにチューブと溶接される。スペーサセグメントは、チューブの均一な配置及び間隔を提供する。隣接するチューブの間に領域1713が形成されている。いくつかの実施形態では、接続スペーサセグメントの上方及び下方の領域1713は、熱伝導性材料(すなわち、少なくとも0.5ワット/メートルケルビンの熱伝導率を有する材料)で充填されてもよい。スペーサセグメント1712は、チューブ周囲の大部分が熱伝導性材料と接触することを可能にする。いくつかの実施形態では、熱伝達のためにアクセス可能なチューブ外周の部分は、外周の60パーセントと同程度であり、いくつかの場合では、80%を上回る。ポリマーチューブ1702は、中空のポリマーチューブ(すなわち、シース1714が中空コアを取り囲む中空コア1716)であってもよい。中空コア1716は、熱可塑性ポリマー(すなわち、上述の第2の熱可塑性ポリマー)で充填することができる。
図17に示すように、ウェブ1700は連続的なウェブであることができる。
図17の例示的なウェブ1700に示されるように、ポリマーチューブ1702は2つの平面内にある。いくつかの他の実施形態では、ポリマーチューブ1702は、2つより多くの平面内にあることができる。
【0093】
図18を参照すると、例示的なウェブ1800は、別個のポリマーチューブ1802の第1のアレイと、別個のポリマーチューブ1822の第2のアレイとを含む。いくつかの実施形態では、別個のポリマーチューブ1802及び1822は、交互に離間されている。例えば、1つのポリマーチューブ1822は、2つのポリマーチューブ1802の間にある。スペースセグメント1812は、隣接するポリマーチューブ1802と1822との間にある。これらのスペーサセグメントは、チューブと同時に形成され、連続的なウェブを形成するようにチューブと溶接される。スペーサセグメントは、チューブの均一な配置及び間隔を提供する。
【0094】
隣接するチューブの間に領域1813が形成されている。いくつかの実施形態では、接続スペーサセグメントの上方及び下方の領域1813は、熱伝導性材料(すなわち、少なくとも0.5ワット/メートルケルビンの熱伝導率を有する材料)で充填されてもよい。スペーサセグメント1812は、チューブ周囲の大部分が熱伝導性材料と接触することを可能にする。いくつかの実施形態では、熱伝達のためにアクセス可能なチューブ外周の部分は、外周の60パーセントと同程度であり、いくつかの場合では、80%を上回る。ポリマーチューブ1802及び1822は、中空ポリマーチューブ(すなわち、シース1814又は1824が中空コアを取り囲む中空コア1816又は1826)であることができる。中空コア1816は、熱可塑性ポリマー(すなわち、上述の第2の熱可塑性ポリマー)で充填することができる。
図18に示されるように、ウェブ1800は連続的なウェブであることができる。
図18の例示的なウェブ1800に示されるように、ポリマーチューブ1802及び1832の断面は、異なる形状を有する。いくつかの他の実施形態では、ポリマーチューブ1802及び1832の断面は同じ形状を有することができる。
【0095】
本明細書に記載のウェブの実施形態は、例えば、互いに隣接して配置された複数のシムであって、少なくとも第1の空洞、第2の空洞、及び第3の空洞を共に画定する複数のシムと、分配表面とを含む押出ダイを提供することを含む方法であって、分配表面は、交互の分配オリフィスのアレイを有し、複数のシムは、シムの複数の反復配列を含む、方法によって作製することができる。反復配列は、第2の空洞と第2の複数のオリフィスとの間に流体通路を提供するシムと、第1の空洞と第1の複数の囲まれた多角形オリフィスとの間に流体通路を提供し、また、第3の空洞から囲まれた多角形オリフィス領域内に位置する第3の複数のオリフィスまで延びる第3の通路を提供するシムとを含んでもよい。本方法はまた、第1の分配オリフィスから第1のポリマーチューブを分配すると同時に、第2の分配オリフィスからスペーサセグメントを分配することと、第3の空洞及び第3の分配オリフィスのための開放空気通路を提供することとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第3の通路は、空気又はガスで充填され、他の材料を含まない。いくつかの実施形態では、第3の分配オリフィスから充填材料(例えば、流体)を分配する。
【0096】
本明細書に記載のウェブの実施形態は、例えば、オリフィスから分配された材料がオリフィスを出ると共に溶着するように互いに近接して配置されたオリフィスのアレイを含む押出ダイを提供することを含む方法によって作製することができ、第1のダイ空洞は複数の囲まれた多角形オリフィスに接続され、第2のダイ空洞は複数のスペーサオリフィスに接続され、第3の空洞は囲まれた多角形オリフィス領域内に位置する第3の複数のオリフィスに接続される。本方法はまた、第1の分配オリフィスから第1のポリマーチューブを分配すると同時に、第2の分配オリフィスからスペーサセグメントを分配することと、第3の空洞及び第3の分配オリフィスのための開放空気通路を提供することとを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の分配オリフィス及び第2の分配オリフィスは、同一線上にある。いくつかの実施形態では、第1の分配オリフィスは同一直線上にあり、第2の分配オリフィスも同一直線上にあるが、第1の分配オリフィスからオフセットされ、第1の分配オリフィスとは同一直線上にない。
【0097】
いくつかの実施形態において、押出ダイは、本明細書に記載されるウェブを製造するために使用され、複数のシムを支持するための一対のエンドブロックを含む。これらの実施形態では、シムのうちの1つ又は全てが、それぞれ、一対のエンドブロック間のコネクタの通過のための1つ以上の貫通孔を有することが好都合であり得る。そのような貫通孔内に配置されたボルトは、シムをエンドブロックに組み立てるための1つの好都合な手法であるが、当業者は、押出ダイを組み立てるための他の代替案を認識し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのエンドブロックは、空洞の一方又は両方に流体材料を導入するための入口ポートを有する。いくつかの実施形態では、シムは、多様なタイプのシムの反復配列を提供する計画にしたがって組み立てられる。反復配列は、反復当たり多様な数のシムを有することができる。
【0098】
例示的な通路断面形状は、正方形及び長方形の形状を含む。例えば、シムの反復配列内の通路の形状は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の空洞と第1の分配オリフィスとの間に通路を提供するシムは、第2の空洞と第2の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムと比較して、流量制限を有し得る。例えば、シムの反復配列内の遠位開口部の幅は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、第1の空洞と第1の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムによって提供される遠位開口部の部分は、第2の空洞と第2の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムによって提供される遠位開口部の部分より狭くすることができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、組み立てられたシム(エンドブロック間に好都合にボルト締めされる)はまた、シムを支持するためのマニホールド本体を含む。マニホールド本体は、少なくとも1つ(又はそれよりも多い(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多い))マニホールドをその中に有し、マニホールドは、出口を有する。膨張シール(例えば、銅又はその合金から作製される)は、マニホールド本体及びシムを封止するように配置されており、これにより、膨張シールが空洞のうちの少なくとも1つの一部(いくつかの実施形態では、第1及び第2の空洞の両方の一部)を画定し、膨張シールは、マニホールドと空洞との間の導管を可能にする。
【0100】
典型的には、空洞と分配オリフィスとの間の通路の長さは、最大5mmである。時には、流体通路の第1のアレイは、流体通路の第2のアレイよりも大きな流量制限を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、押出ダイに関して、第1及び第2のアレイの分配オリフィスの各々は、断面積を有し、第1のアレイの分配オリフィスの各々は、第2のアレイの面積と異なる面積を有する。ダイのためのシムは、50マイクロメートル~125マイクロメートルの範囲の厚さを有し得るが、この範囲外の厚さも有用であり得る。典型的には、流体通路は、50マイクロメートル~750マイクロメートルの範囲の厚さ、及び5mm未満の長さを有する(一般に、30の徐々に小さくなる通路の厚さのためのより小さな長さが好ましい)が、これらの範囲外の厚さ及び長さも有用であり得る。大きな直径の流体通路については、いくつかのより小さな厚さのシムが一緒に積み重ねられてもよく、又は所望の通路幅の単一のシムが使用されてもよい。
【0102】
シムは、シム間の隙間及びポリマー漏れを防止するためにきつく圧縮される。例えば、直径12mm(0.5インチ)のボルトが典型的に使用され、押出温度でそれらの推奨トルク定格まで締め付けられる。また、不整列は、ネットの所望の結合を阻害する角度でダイからチューブを押し出すことにつながり得るので、シムは、押出オリフィスからの均一な押出を提供するように整列される。整列を補助するために、シムに整列キーを切り込むことができる。また、振動台は、押出先端の滑らかな表面整列を提供するために有用であり得る。
【0103】
図16~18を参照して説明されるウェブ設計を製造するための、本明細書に記載される熱成形可能な副子及び負圧治療キットと共に使用するためのそのようなシム、ダイ、方法などの更なる詳細は、2019年8月12日に出願された米国仮特許出願第62/885,523号に詳細に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0104】
図19を参照すると、例示的なネット1900は、ポリマーストランド1902のアレイ1901を含む。ポリマーストランド1902は、アレイ1901全体にわたって結合領域1905において互いに周期的に接合されており、隣接するストランド間に空間1903がある(すなわち、結合領域の間で、それぞれの結合領域のための結合されたストランドは分離されている)。示されるように、空間1903の少なくともいくつかは、熱伝導性材料(すなわち、少なくとも0.5ワット/メートルケルビンの熱伝導率を有する材料)1904によって充填されている。少なくとも複数(すなわち、少なくとも2つ)のストランド1902は、中空のポリマーストランド(すなわち、シース1907が中空コアを取り囲む中空コア1906)である。中空コア1906は、熱可塑性ポリマー(すなわち、上述の第2の熱可塑性ポリマー)で充填することができる。ストランド1902は、互いに実質的に交差しない(すなわち、数で少なくとも50パーセントが互いに交差しない)。ネット1900は開口部1903を含む。いくつかの実施形態では、開口部1903は、六角形又はひし形のうちの少なくとも1つである。
【0105】
図19の例では、2つの隣接する溶融したポリマーストランドが互いに衝突するときに結合が形成される。隣接するストランドは、隣接する溶融ストランドが連続的に衝突して結合を形成し、次いで分離してネット開口を形成するように、交互の速度で押し出される。ストランドは同じ方向に押し出され、したがって、これらの結合は平行結合であり、全て同じ方向に形成される。結合は同じ平面内にあり、互いに交差しないように示されている。所与のストランドについて、一方の側に、断続的に結合する第1のストランドが存在し、反対側に、やはり断続的に結合される第2のストランドが存在する。結合領域は、2つのストランドの連続であり、したがって、結合領域は、2つの隣接するストランドの合計を含む。典型的には、ストランドは切断されることなく続き、結合領域を通して連続的に続くことができる。
【0106】
図19のネット1900のようなネットの実施形態は、例えば、少なくとも第1の空洞、第2の空洞、及び第3の空洞を共に画定する、互いに隣接して配置された複数のシムと、交互の分配オリフィスのアレイを有する分配表面と、を含む押出ダイを提供することを含む方法によって作製することができる。複数のシムは、シムの複数の反復配列を含み得る。反復配列は、第1の空洞と第1の複数のオリフィスとの間に流体通路を提供するシムと、第2の空洞から第2の複数の囲まれた多角形形状のオリフィスまで延びる第2の通路を提供するシムと、第3の空洞から第2の複数のオリフィスの囲まれた多角形領域内に位置する第3の複数のオリフィスまで延びる第3の通路を提供するシムとを含んでもよい。本方法は、第1のポリマーストランドを第1のストランド速度で第1の分配オリフィスから分配すると同時に、第2のポリマーストランドを第2のストランド速度で第2の分配オリフィスから分配することを含んでよい。いくつかの実施形態では、第1のストランド速度は、ネットを提供するために、第2のストランド速度の少なくとも2倍(いくつかの実施形態では、2~6倍、又は更には2~4倍の範囲)である。いくつかの実施形態では、第3の通路は、空気で充填され、材料を含まない。いくつかの実施形態では、本方法は、第3の分配オリフィスから充填材料(例えば、流体)を分配することを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、
図19のネット1900のようなネットは、例えば、互いに隣接して配置された複数のシムを含む押出ダイを提供することを含む方法によって作製することができる。シムは共に、少なくとも第1の空洞、第2の空洞、及び第3の空洞、並びに分配表面を画定する。分配表面は、交互の分配オリフィスのアレイを有し、複数のシムは、シムの複数の反復配列を含む。反復配列は、第1の空洞と第1の複数のオリフィスとの間に流体通路を提供するシムと、第2の空洞から第2の複数の囲まれた多角形形状のオリフィスまで延びる第2の通路を提供するシムと、第3の空洞から第2の複数のオリフィスの囲まれた多角形領域内に位置する第3の複数のオリフィスまで延びる第3の通路を提供するシムとを含んでもよい。本方法は、第1のポリマーストランドを第1のストランド速度で第1の分配オリフィスから分配すると同時に、第2のポリマーストランドを第2のストランド速度で第2の分配オリフィスから分配し、流体を第3の分配オリフィスから分配することを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のストランド速度は、ネットを提供するために、第2のストランド速度の少なくとも2倍(いくつかの実施形態では、2~6倍、又は更には2~4倍の範囲)である。
【0108】
いくつかの実施形態では、複数のシムは、第1及び第2の空洞と第1の分配オリフィスとの間に通路を提供するシムを含む複数の少なくとも1つの反復配列のシムを含む。これらの実施形態のいくつかでは、第1及び/又は第2の空洞、及び/又は第3の(又はそれ以上の)空洞と第2の分配オリフィスとの間に通路を提供する追加のシムが存在する。典型的には、本明細書に記載されるダイのシムの全てが通路を有するわけではなく、いくつかは、任意の空洞と分配オリフィスとの間に通路を提供しないスペーサシムであり得る。一部の実施形態では、少なくとも1つのスペーサシムを更に含む反復配列が存在する。第1の分配オリフィスへの通路を提供するシムの数は、第2の分配オリフィスへの通路を提供するシムの数と等しくても等しくなくてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、第1の分配オリフィス及び第2の分配オリフィスは、同一線上にある。いくつかの実施形態では、第1の分配オリフィスは同一直線上にあり、第2の分配オリフィスも同一直線上にあるが、第1の分配オリフィスからオフセットされ、第1の分配オリフィスとは同一直線上にない。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の押出ダイは、複数のシムを支持するための一対のエンドブロックを含む。これらの実施形態では、シムのうちの1つ又は全てが、それぞれ、一対のエンドブロック間のコネクタの通過のための1つ以上の貫通孔を有することが好都合であり得る。そのような貫通孔内に配置されたボルトは、シムをエンドブロックに組み立てるための1つの好都合な手法であり、押出ダイを組み立てるための他の代替手段も可能である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのエンドブロックは、空洞の一方又は両方に流体材料を導入するための入口ポートを有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、シムは、多様なタイプのシムの反復配列を提供する計画にしたがって組み立てられる。反復配列は、反復当たり多様な数のシムを有することができる。例えば27個のシム反復配列は、コア/シースストランドと交互に位置する単一材料ストランドを有するネットを提供することができる。
【0112】
例示的な通路断面形状は、正方形及び長方形の形状を含む。例えば、シムの反復配列内の通路の形状は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の空洞と第1の分配オリフィスとの間に通路を提供するシムは、第2の空洞と第2の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムと比較して、流量制限を有し得る。例えば、シムの反復配列内の遠位開口部の幅は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、第1の空洞と第1の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムによって提供される遠位開口部の部分は、第2の空洞と第2の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムによって提供される遠位開口部の部分より狭くすることができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、組み立てられたシム(エンドブロック間に都合よくボルト締めされる)は、シムを支持するためのマニホールド本体を更に含む。マニホールド本体は、少なくとも1つ(又はそれよりも多い(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多い))マニホールドをその中に有し、マニホールドは、出口を有する。膨張シール(例えば、銅又はその合金から作製される)は、マニホールド本体及びシムを封止するように配置されており、これにより、膨張シールが空洞のうちの少なくとも1つの一部(いくつかの実施形態では、第1及び第2の空洞の両方の一部)を画定し、膨張シールは、マニホールドと空洞との間の導管を可能にする。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載され、
図19の実施形態に関連する押出ダイに関して、第1及び第2のアレイの分配オリフィスの各々は、幅を有し、第1及び第2のアレイの分配オリフィスの各々は、それぞれの分配オリフィスの幅の最大2倍だけ分離されている。典型的には、空洞と分配オリフィスとの間の通路の長さは、最大5mmである。時には、流体通路の第1のアレイは、流体通路の第2のアレイよりも大きな流量制限を有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明され、
図19の実施形態に関連付けられる押出ダイについて、第1及び第2のアレイの分配オリフィスの各々は、断面積を有し、第1のアレイの分配オリフィスの各々は、第2のアレイの面積とは異なる面積を有する。典型的には、オリフィス間の間隔はオリフィスの幅の最大2倍である。オリフィス間の間隔は、押出後に得られるストランドの直径よりも大きい。この直径は一般にダイスウェルと呼ばれる。オリフィス間のこの間隔は、押出しが、ネットの繰り返し結合を形成するようにストランドが互いに繰り返し衝突することにつながる後の、ストランドの得られる直径よりも大きい。オリフィス間の間隔が大きすぎる場合、ストランドは互いに衝突せず、ネットを形成しない。
【0116】
本明細書に記載され、
図19の実施形態に関連するダイ用のシムは、典型的には、50マイクロメートル~125マイクロメートルの範囲の厚さを有するが、この範囲外の厚さも有用であり得る。典型的には、流体通路は、50マイクロメートル~750マイクロメートルの範囲の厚さ、及び5mm未満の長さを有する(一般に、徐々に小さくなる通路の厚さのためのより小さな長さが好ましい)が、これらの範囲外の厚さ及び長さも有用であり得る。大きな直径の流体通路については、いくつかのより小さな厚さのシムが一緒に積み重ねられてもよく、又は所望の通路幅の単一のシムが使用されてもよい。
【0117】
シムは、シム間の隙間及びポリマー漏れを防止するためにきつく圧縮される。例えば、直径12mm(0.5インチ)のボルトが典型的に使用され、押出温度でそれらの推奨トルク定格まで締め付けられる。また、不整列は、ネットの所望の結合を阻害する角度でダイからストランドを押し出すことにつながり得るので、シムは、押出オリフィスからの均一な押出を提供するように整列される。整列を補助するために、シムに整列キーを切り込むことができる。また、振動台は、押出先端の滑らかな表面整列を提供するために有用であり得る。
【0118】
本明細書に記載される熱成形可能な副子及び負圧治療キットと共に使用するための、
図19を参照して説明したネット設計を製造するための、そのようなシム、ダイ、方法などの更なる詳細は、2020年2月21日に出願された米国仮特許出願第62/808620号、及び2020年2月12日に出願されたPCT出願第IB2020/051315号に詳細に記載されており、それらの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
図20を参照すると、例示的なウェブ2000は、別個のポリマーチューブ102のアレイを含む。ポリマーチューブ2002は、中空のポリマーチューブ(すなわち、シース114が中空コアを取り囲む中空コア116)であることができる。いくつかの実施形態では、中空断面積を有するチューブの中空断面積は、ウェブの上面と底面との間の面積の50%、60%、70%又は80%より大きい。隣接するポリマーチューブ2002は、結合領域2018において接続されている。結合領域2018の長さLは、ポリマーチューブ2002の平均直径の5%より大きい。一般に、結合領域の長さLは、結合長さがより長い場合、隣接する接続されたチューブのより直線的な管状開口部を形成する。
【0120】
矩形円のような丸い角を有する直線形状は、接点のみにおいて互いに結合された円形形状と比較して、ウェブの上面と底面との間の面積のより大きな部分を有する中空断面領域をもたらす。短い結合長さLは、形状がより楕円形であるチューブ形状を作り出す。これらの矩形円形状はまた、平坦な急冷表面上に押し出されて、矩形円形状の平坦な頂部又は底部セグメントを形成することができる。直線形状の矩形円は、円形形状のチューブの接触面積よりも大きい接触面積を頂部平面及び底部平面に対して可能にする。このより大きな接触面積は、上面又は底面とチューブ内の冷却媒体との間の熱輸送に有用であり得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、結合領域は、0.1mm~5mmの範囲の長さLを有する。いくつかの実施形態において、接合領域の厚さT2は、その長さに沿って実質的に均一である。
図1の例示的なウェブ2000に示されるように、ポリマーチューブ2002の断面は同じ形状を有する。いくつかの他の実施形態では、ポリマーチューブ2002の断面は、異なる形状を有することができる。ポリマーチューブ2002の断面は、任意の適切な形状、例えば矩形円であることができる。ポリマーチューブ2002は、0.025mm~0.25mmの範囲のチューブ壁厚T1を有する。隣接するポリマーチューブは、第1の結合点2020及び第2の結合点2021を有し、結合点は、0.1T1、0.2T1、0.3T1、0.4T1又は0.5T1を超える半径を有する。これらの結合点は、隣接するチューブの間の結合領域の始まりと終わりを表す。したがって、それらは、
図1において長さLとして示される結合線の始点及び終点である。隣接するチューブ壁との結合点は、結合長さの端部に半径を形成する。半径を有する結合点は、チューブの間の亀裂伝播抵抗を提供する。いくつかの実施形態では、チューブ間の結合又は溶接の強度は、チューブの壁T1の強度よりも大きい。
【0122】
図20に示すように、ウェブ2000は連続的なウェブであることができる。
図1の例示的なウェブ2000に示されるように、ポリマーチューブ2002は同じ平面内にある。
図1は、個々のチューブ幅W1及び個々のチューブ高さH1を示す。矩形円形のチューブは、ウェブの上面及び底面に平坦な表面を有する。
図1に示す寸法W2及び寸法tは、矩形円形のチューブ状ウェブの接触面積を決定するために使用することができる。百分率としての表面接触面積は、
図1に示される寸法W1対W2の比較によって計算することができる。いくつかの実施形態では、矩形円形ウェブ30の上面及び底面の接触面積は、上面又は底面の平坦な表面積の最大10%、最大25%、50%、又は更に最大95%であることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるウェブは、最大5,000(いくつかの実施形態では、最大2,00、1,000、500、又は更には最大100;100~5,000、100~2,000、100~1,000、又は更には100~500)マイクロメートルの高さH1を有する。いくつかの実施形態において、ポリマーチューブは、0.1~5mmの範囲の平均断面直径を有する。いくつかの実施形態では、厚さT2は厚さT1の2倍である。いくつかの実施形態では、厚さT1は、チューブの外周の周りで均一である。いくつかの実施形態では、厚さT1は、所望の管状形状の形成を支援するように変動される。いくつかの実施形態では、数で少なくとも25(いくつかの実施形態では、少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は更には100)パーセントの中空ポリマーチューブがそれぞれ、0.1~10(いくつかの実施形態では、0.1~2、又は更には0.1~5の範囲)mm2の中空断面積を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、熱伝導性を提供するために充填材料(例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物、窒化ホウ素、アルミニウム、銅、グラファイト、グラフェン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛)を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーチューブのアレイは、楕円形又は矩形円形断面の開口部のうちの少なくとも1つを呈する。いくつかの実施形態では、ポリマーチューブは、ダウンウェブ方向、例えば、
図20に示されるようなt方向、及びクロスウェブ方向を有する。ポリマーチューブは、実質的にダウンウェブ方向に延びるものとして示されている。
【0124】
それによって、ウェブは、温度に応じて流体又は固体であり得る第2の熱可塑性ポリマーの被覆されたコアを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるウェブのチューブの少なくともいくつかは、熱伝導性材料(すなわち、少なくとも0.5ワット/メートルケルビンの熱伝導率を有する材料)で充填される。例示的な熱伝導性材料としては、本明細書に記載の物品に所望の熱特性を提供するための機能性粒子(例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物、窒化ホウ素、アルミニウム、銅、25グラファイト、グラフェン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛)が挙げられる。本開示と組み合わせた場合に、本明細書に記載されるチューブの作製及び使用に有用であり得る追加の情報は、国際公開第2020/003065(A1)号(Ausenら)に見出すことができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
図20を参照して本明細書に記載されるウェブの実施形態は、例えば、互いに隣接して配置された複数のシムを含む押出ダイを提供することを含む方法によって作製することができる。シムは共に、少なくとも第1の空洞、第2の空洞、及び第3の空洞を画定する。押出ダイはまた、分配表面を含むことができ、分配表面は、交互の分配オリフィスのアレイを有する。複数のシムは、シムの複数の反復配列を含み、反復配列は、第1の空洞と第1の複数の囲まれた多角形オリフィスとの間に流体通路を提供し、また、第2の空洞から囲まれた多角形オリフィス領域内に位置する第2の複数のオリフィスまで延びる第2の通路を提供するシムを含む。本方法は、第1の分配オリフィスから第1のポリマーチューブを分配することと、第2の空洞及び第2の分配オリフィスのための開放空気通路を提供することとを含んでもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、第2の通路は、空気又はガスで充填され、他の材料を含まない。いくつかの実施形態では、本方法は、第2の分配オリフィスから充填材料(例えば、流体)を分配することを含む。
【0127】
図20を参照して本明細書に記載されるウェブの実施形態は、例えば、オリフィスから分配された材料がオリフィスを出ると共に溶着するように互いに近接して配置されたオリフィスのアレイを含む押出ダイを提供することを含む方法を使用して作製することができる。隣接するオリフィス領域は、互いにほぼ平行であってもよい。第1のダイ空洞は、複数の囲まれた多角形オリフィスに接続されてもよく、第2のキャビティは、囲まれた多角形オリフィス領域内に配置された第2の複数のオリフィスに接続されてもよい。本方法は、第1の分配オリフィスから第1のポリマーチューブを分配することと、第2の空洞及び第2の分配オリフィスのための開放空気通路を提供することとを含んでもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、第1の分配オリフィス及び第2の分配オリフィスは、同一線上にある。いくつかの実施形態では、第1の分配オリフィスは同一直線上にあり、第2の25分配オリフィスも同一直線上にあるが、第1の分配オリフィスからオフセットされ、第1の分配オリフィスとは同一直線上にない。いくつかの実施形態では、オリフィス厚さは、オリフィス形状の周囲で均一である。いくつかの実施形態では、オリフィス厚さは、オリフィス形状の異なる側において異なる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の押出ダイは、複数のシムを支持するための一対のエンドブロックを含む。これらの実施形態では、シムのうちの1つ又は全てが、それぞれ、一対のエンドブロック間のコネクタの通過のための1つ以上の貫通孔を有することが好都合であり得る。そのような貫通孔内に配置されたボルトは、シムをエンドブロックに組み立てるための1つの好都合な手法であるが、当業者は、押出ダイを組み立てるための他の代替案を認識し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのエンドブロックは、空洞の一方又は両方に流体材料を導入するための入口ポートを有する。
【0129】
いくつかの実施形態では、シムは、多様なタイプのシムの反復配列を提供する計画にしたがって組み立てられる。反復配列は、反復当たり多様な数のシムを有することができる。例示的な通路断面形状は、正方形及び長方形の形状を含む。例えば、シムの反復配列内の通路の形状は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1の空洞と第1の分配オリフィスとの間に通路を提供するシムは、第2の空洞と第2の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムと比較して、流量制限を有し得る。例えば、シムの反復配列内の遠位開口部の幅は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、第1の空洞と第1の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムによって提供される遠位開口部の部分は、第2の空洞と第2の分配オリフィスとの間に導管を提供するシムによって提供される遠位開口部の部分より狭くすることができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、組み立てられたシム(エンドブロック間に都合よくボルト締めされる)は、シムを支持するためのマニホールド本体を更に含む。マニホールド本体は、少なくとも1つ(又はそれよりも多い(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多い))マニホールドをその中に有し、マニホールドは、出口を有する。膨張シール(例えば、銅又はその合金から作製される)は、マニホールド本体及びシムを封止するように配置されており、これにより、膨張シールが空洞のうちの少なくとも1つの一部(いくつかの実施形態では、第1及び第2の空洞の両方の一部)を画定し、膨張シールは、マニホールドと空洞との間の導管を可能にする。典型的には、空洞と分配オリフィスとの間の通路の長さは、最大5mmである。
【0131】
時には、流体通路の第1のアレイは、流体通路の第2のアレイよりも大きな流量制限を有する。
図20を参照して本明細書に記載されるダイ用のシムは、典型的には、50マイクロメートル~125マイクロメートルの範囲の厚さを有するが、この範囲外の厚さも有用であり得る。典型的には、流体通路は、50マイクロメートル~750マイクロメートルの範囲の厚さ、及び5mm未満の30長さを有する(一般に、徐々に小さくなる通路の厚さのためのより小さな長さが好ましい)が、これらの範囲外の厚さ及び長さも有用であり得る。大きな直径の流体通路については、いくつかのより小さな厚さのシムが一緒に積み重ねられてもよく、又は所望の通路幅の単一のシムが使用されてもよい。
【0132】
シムは、シム間の隙間及びポリマー漏れを防止するためにきつく圧縮される。例えば、直径12mm(0.5インチ)のボルトが典型的に使用され、押出温度でそれらの推奨トルク定格まで締め付けられる。また、不整列は、ネットの所望の結合を阻害する角度でダイからチューブを押し出すことにつながり得るので、シムは、押出オリフィスからの均一な押出を提供するように整列される。整列を補助するために、シムに整列キーを切り込むことができる。また、振動台は、押出先端の滑らかな表面整列を提供するために有用であり得る。
【0133】
図20を参照して説明されるウェブ設計を製造するための、本明細書に記載される熱成形可能な副子及び負圧治療キットと共に使用するためのそのようなシム、ダイ、方法などの更なる詳細は、2020年6月8日に出願された米国仮特許出願第63/035970号に詳細に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
D.熱成形可能な副子を有する負圧治療システムを作製及び使用する方法
ここで
図21を参照すると、例示的な実施形態による、熱成形可能な副子900を製造するためのプロセス2100のフローチャートが示されている。
【0135】
ステップ2102において、チューブ状ウェブ又はネットが押し出される。チューブ状ウェブ又はネットは、
図16~
図20を参照して上述したウェブ1600、ウェブ1700、ウェブ1800、ネット1900、又はウェブ2000であることができる。押出プロセスは、
図16~
図20を参照して上述したように実行することもできる。それによって、互いに連結された複数の中空チューブを形成しかつ実質的に可撓性及び適合性であるチューブ状ウェブ又はネットを得ることができる。チューブ状ウェブ又はネットは、副子900のための所望の最終サイズ及び形状に、例えば、実質的に矩形にサイズ決め及び成形されることができるか、又は実質的により大きくてもよい(例えば、実質的に連続シートに、又は副子900のための最終サイズ及び形状よりも大きいセクションに形成される)。
【0136】
ステップ2104において、チューブ状ウェブ又はネットの中空チューブは、チューブ状ウェブ又はネットを作製するために使用される材料とは異なる熱可塑性ポリマーで少なくとも部分的に充填される。例えば、第1の熱可塑性ポリマーを使用してチューブ状ウェブ又はネットを形成することができ、第2の熱可塑性ポリマーを使用してチューブ状ウェブ又はネットのチューブを少なくとも部分的に充填することができる。ステップ2104は、第2の熱可塑性ポリマーが液体であり、したがってチューブを通って流れてチューブを充填するように、融点よりも高い第2の熱可塑性ポリマーで形成することができる。チューブ状ウェブ又はネットは、このプロセスを容易にするために、その中に挿入されるポリマーよりも高い融点を有する。ステップ2104の他の実施形態では、チューブ状ウェブ又はネットは、チューブを熱可塑性ポリマーで少なくとも部分的に充填するために、押出プロセス中に2つの材料が一緒に形成されるように、それらが押し出されているときにポリマーで充填される。
【0137】
ステップ2106において、充填されたチューブ状ウェブは適切なサイズに切断される。これは、第2の熱可塑性ポリマーをチューブ内に収容するために、チューブ状ウェブ又はネットの1つ以上の開放端を封止することを含むことができる。いくつかの実施形態では、ステップ2106は、チューブ状ウェブの複数のセクションを一緒に、例えば対面するように結合して、多層チューブ状ウェブを作成することを含む。これにより、熱可塑性管状構造1504を製造することができる。
【0138】
ステップ2108において、様々な実施形態における副子900の裏当て材料(例えば、裏当て層1508)、操作特徴部、接続特徴部(例えば、接続層1506)、又は他の追加の構成要素が、充填されたチューブ(すなわち、熱可塑性管状構造1504)に結合される。いくつかの実施形態では、
図15に示されるように、裏当て材料は、熱可塑性管状構造1504の一方の面に接着され、接続層1506は、熱可塑性管状構造1504の反対側の面に結合される。他の実施形態では、裏当て材料、操作特徴部、接続特徴部などがスリーブとして形成され、ステップ2108において、熱可塑性管状構造1504がスリーブに挿入される(例えば、スリーブ内に封入される)。他の実施形態では、熱可塑性管状構造1504は、例えば、従来の副子装置に見られる金属ステーを置き換えるために、副子装置に組み込まれる。更に他の実施形態では、ステップ2108は省略され、副子900は、熱可塑性管状構造1504のみから構成される。
【0139】
ここで
図22を参照すると、例示的な実施形態による、キット1500を使用するためのプロセス2200のフローチャートが示されている。プロセス2200は、患者への負圧治療及び関節固定治療の提供を容易にする。
【0140】
ステップ2202において、負圧ドレッシングが患者の関節に適用される。例えば、ドレッシング100は、患者の足首又は他の関節の周りに適用することができる。ドレッシング100は、本明細書の他の箇所に記載されるように、ドレッシング100と皮膚との間に実質的に気密な容積を提供するために、患者の皮膚に対して封止されることができる。ステップ2202は、負圧ドレッシングを負圧源に結合することを含むことができる。例えば、ドレッシング100は、接続パッド90及びチューブ205に結合されることができ、次いで、チューブ205は、ポンプ200に接続され、ドレッシング100と皮膚との間の封止された容積を負圧源と空気圧連通させる。
【0141】
ステップ2204において、負圧源は、ドレッシングにおいて負圧を確立するように作動させられる。例えば、空気は、ポンプ200によってドレッシング100から圧送され、患者の関節を負圧に曝露することができる。これにより、ステップ2024において関節の負圧治療が開始される。
【0142】
ステップ2206において、副子は、少なくとも第1の温度まで加熱される。例えば、副子は、熱水中に置かれるか、オーブン中で加熱されるか、マイクロ波中で加熱されるか、又は他の方法で熱エネルギーに曝露されることができる。第1の温度は、例えば、副子の管状構造のチューブに含まれる熱可塑性ポリマーの融点に対応することができる。様々な実施形態では、第1の温度は、約75℃~約90℃の範囲内であり得る。ステップ2206の結果として、副子は成形可能な状態にある。
【0143】
ステップ2208において、副子は、所望の副子形態で負圧ドレッシング及び関節に適合される。例えば、副子は、
図9~
図14に示され、それらを参照して上述された様々な用途のいずれかに適用することができる。したがって、ステップ2208は、副子を関節の周囲に巻き付けることと、関節及びドレッシングに適合するように副子を曲げることと、を含むことができる。副子は、副子の表面がドレッシングに当接し、副子とドレッシングとの間に実質的に間隙が残らないように適用することができる。
【0144】
ステップ2210において、加熱された副子(すなわち、ステップ2206の後の成形可能な状態)は、所望の副子形態に保持される。例えば、ドレッシング及び/又は副子の接続層の一体化された取付特徴部は、加熱された副子を定位置に保つために使用することができる。別の実施例として、別個のラップ(例えば、可撓性包帯)又はテープ(例えば、運動用テープ)が、副子の周囲に巻き付けられ、副子が依然として加熱された/成形可能状態にある間、副子をドレッシング及び関節に固定することができる。ドレッシングは、副子と患者の皮膚との間に熱バリアを提供して、副子から放散する熱によって引き起こされ得る不快感から患者を保護することができる。
【0145】
ステップ2212において、副子は冷却されて硬くなる。ステップ2210のように副子を保持することによって、副子は、所望の副子形態に、すなわち、ステップ2208において適用されたように、硬化する。ステップ2212は、副子が次第に周囲環境へ熱を失うことを可能にすることを含む。ステップ2212はまた、氷又は他の冷却要素を副子に適用して、副子を急速に冷却することを含み得る。ステップ2212において、副子は、第1の温度以下の第2の温度未満に冷却されてもよく、副子のチューブ状ウェブ又はネットのチューブ内の熱可塑性ポリマーが固体状態に冷却されることにより剛性になってよい。副子は、第2の温度未満、例えば、約50℃又は60℃未満で剛性のままであり得る。副子が剛性になると、関節は実質的に固定され得る。
【0146】
ステップ2214において、負圧源は、関節固定を提供するために副子が剛性のままである間、負圧治療を提供するように動作する。通常の条件下では、副子は、第2の温度よりも低く、第1の温度よりも十分に低い温度、例えば、周囲空気温度、地面温度などに曝されるだけである。それによって、副子は、その剛性に無期限に保持される。したがって、プロセス2200は、患者の関節への負圧及び固定治療の開始及び継続提供を提供する。
【0147】
ここで
図23を参照すると、例示的な実施形態による、固定治療を調整又は終了するためのプロセス2300が示されている。プロセス2300は、
図22のプロセス2200に続くことができる。
【0148】
ステップ2302において、副子は、少なくとも第2の温度まで加熱される。副子が既に患者の関節に結合されている間に副子を加熱するために、副子は、加熱パッドに曝され、熱タオルでマッサージされ、ヘアドライヤ又は他の電気空気加熱装置からの熱風に曝され、又は患者の皮膚の過剰な加熱を回避するように標的化された様式で熱エネルギーを提供されることができる。副子が第2の温度を超えて加熱されると、副子は少なくとも部分的に可撓性及び屈曲可能になるが、副子は、副子がプロセス2200のステップ2206におけるように第1のより高い温度を超えて加熱されるときほど完全に成形可能及び適合可能ではない場合がある。ステップ2302の結果として、副子は、調整されるか、又はドレッシング及び関節から除去されるように十分に成形可能であり得る。いくつかの実施形態では、ステップ2302は、調整されることが望まれるか、又は可撓性がドレッシングの除去を促進するであろう重要領域である、副子の特定の区分に熱を定めることを含む。そのような別個の領域は、第2の温度又は第1の温度を上回るまで加熱されてもよい。
【0149】
場合によっては、ステップ2304において、副子は、腫脹の変化又は他の臨床調整に基づいて、機能性を調整及び固定化するように再形成される。すなわち、関節は、次第に変化し得、例えば、負圧治療によって増進される腫脹低減に起因してサイズが縮小する。別の例として、臨床医によって有益であると決定される固定化の程度又はタイプは、次第に変化し得る。したがって、ステップ2304において、副子は、負圧治療を中断することなく固定を調整するように調整することができる。
【0150】
ステップ2306では、加熱された副子の調節に続いて、副子は、調節された形態で冷却されて、調節された形態で剛性になる。これにより、調整された固定治療が提供される。この調整可能性は、治癒にとって有利であり得る。
【0151】
他の場合には、ステップ2308において、副子は、所望の副子形態から曲げられ、ドレッシング及び関節との適合から外される。これは、副子の1つ以上のキーポイント、例えば、関節が関節から除去されることを可能にするために副子が関節の周囲に巻き付けられる点において曲げることを含むことができる。ステップ2310において、副子は、負圧ドレッシング及び関節から取り外すことができる。これは、ドレッシングの取付特徴部を副子から分離すること、及び/又は副子の接続特徴部をドレッシングから分離すること、及び/又は副子を定位置に固定するのを助けるために使用されていた可能性がある任意の別個の取付テープ又はラップを除去することを含むことができる。
【0152】
これにより、副子はドレッシングから取り外される。固定治療は、この時点で終了してもよいが、ドレッシング100及び負圧の提供は、副子を伴わない関節の運動をより少ない程度(いくつかの場合、いくつかの治療点において治療的に十分であり得る)に制限してもよい。いくつかの場合において、プロセス2300はまた、負圧を解放することと、関節からドレッシングを除去することとを含む。
【0153】
ステップ2312において、副子は洗浄され、再使用のために保管される。例えば、副子を熱い(例えば、沸騰した、沸騰に近い)水で洗浄して、副子を洗浄及び消毒すると共に、副子を高度に成形可能な形態に加熱して、副子を折り畳む、巻く、又はそうでなければ保管のために比較的小さい形態にすることができる。その後、副子は再使用のために保管することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ドレッシングが完全に無傷の皮膚上に適用される場合、ドレッシング及び/又はキット1500の他の要素もまた、ステップ2312において、再使用のために洗浄及び保管される。
【0154】
熱活性化キャスティングテープ
ここで
図24を参照すると、例示的な実施形態によるキャスティングテープ2400が示されている。キャスティングテープ2400は、患者への適用のために可撓性であり、キャスティングテープ2400の層間に自己接着性かつ剛性の結合を形成して剛性ギプス又は副子を形成するように構成されている。キャスティングテープ2400は、キャスティングテープ2400を(例えば、熱水中で)加熱することによってキャスティングテープ2400が可撓性になり、キャスティングテープ2400が患者の関節の周りに巻き付けられて積層されることを可能にし、キャスティングテープ2400の隣接する層間に接続を形成し、及び/又はキャスティングテープ2400が関節の固定を提供することを可能にする構造的変化をキャスティングテープ2400に提供するように、熱活性化させることができる。
【0155】
図24は、キャスティングテープ2400をロールとして分配することができることを示す。いくつかの実施形態では、ロールは、介護者が関節を固定するときにキャスティングテープ2400のロール全体を使用するように、1回の適用に関連する量の材料を含む。他の実施形態では、キャスティングテープ2400のロールは、複数回の適用に十分なキャスティングテープ2400を含むことができる。キャスティングテープ2400は、患者への適用中又は適用前に、巻き出され、所望の長さに切断することができる。
【0156】
ここで
図25を参照すると、例示的な一実施形態による、患者の関節におけるキャスティングテープ2400の例示的な適用が示されている。
図25に示すように、キャスティングテープ2400は、患者の足首を固定するために、負圧ドレッシング100の上及び周囲に適用される。特に、キャスティングテープ2400は、加熱され、患者の足首の周りに複数の層で、例えば、患者の足首に沿って上下につるまき状に、かつ患者の足首の周りに異なる方向に巻き付けることができる。キャスティングテープ2400はまた、介護者によく知られているように、従来のスポーツ医学材料(例えば、粘着性運動用テープ)と共に使用される足首テーピングアプローチと一致する異なる方向にも適用することができる。キャスティングテープ2400は、キャスティングテープ2400のいくつかの層が関節の固定のための重要な領域を覆う一方で、キャスティングテープ2400の1つ以上の層が、より低い剛性が望まれる他の領域に提供されるように適用することができる。
図25は、患者の関節へのキャスティングテープ2400の多くの可能な適用例のうちの1つを示す。
【0157】
キャスティングテープ2400は、キャスティングテープ2400を加熱することによって適用することができる。上昇した温度(例えば、閾値温度を上回る)にある間、キャスティングテープ2400は可撓性かつ適合性であり、キャスティングテープ2400は、例えば、
図25に示される配置へと、関節の周りに巻き付けられ成形されることができる。上昇した温度はまた、キャスティングテープ2400を活性化して、互いに接触するキャスティングテープ2400の隣接する層間に結合及び接続を形成することができる。例えば、
図26に示され、それを参照して詳細に説明されるように、キャスティングテープ2400は、露出したポリカプロラクトン(PCL)を含んでもよい。このような例では、閾値温度を超えて加熱されると、キャスティングテープ2400の1つの層の露出したPCLは、キャスティングテープ2400の別の層の露出したPCLに接合、結合、混合などすることができる。キャスティングテープ2400が(例えば、室温まで、閾値温度未満に)冷却されると、キャスティングテープ2400の隣接する層の組み合わされた/混合されたPCLは、隣接する層を硬化させて互いに結合する。この自己接着は、キャスティングテープ2400を、それが適用される関節又は他の解剖学的構造に対して適所に保持することができる。加えて、キャスティングテープ2400の隣接する層のPCLの冷却及び剛性化は、キャスティングテープ2400の全体構造に、患者の関節を実質的に固定することができる実質的に剛性の形態を提供することができる。
【0158】
ここで
図26を参照すると、例示的な一実施形態によるキャスティングテープ2400のセグメントの拡大斜視図が示されている。
図26に示すように、キャスティングテープ2400は、第1の材料で形成されたネット2600と、第2の材料で形成された先端部2602とを含む。ネット2600は、キャスティングテープ2400の長さに沿って共有方向に延びる交互の直線部分2604及び波状部分2606から形成されるものとして示されている。波状部分2606は、波状部分2606及び直線部分が共に結合されてネット2600を形成するように、直線部分2604と周期的に接続している。例えば、
図26に示されるように、各波状部分2606は、2つの隣接する直線部分2604に対して交互にかつ繰り返し接続している。間隙(開口部、チャネル、空間など)は、波状部分2606と直線部分2604との間に画定されている。いくつかの実施形態では、ネット2600を形成するように材料が押し出される。例えば、ネット2600はエラストマーで形成することができる。したがって、ネット2600は、可撓性、伸縮性、及び適合性であることができる。ネット2600は多孔質かつ通気性でもある。
【0159】
ネット2600には、様々な構造が可能である。いくつかの実施形態では、例えば、ネット2600は、2019年12月10日に付与された米国特許第10,501,877号及び/又は米国特許第10,265,653号の教示にしたがって形成され、その両方は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。例えば、米国特許第10,501,877号の
図2に示されるネットは、ネット2600により大きな強度を提供するために、米国特許第10,265,653号の
図5に示されるリボン及びストランドの構成と組み合わせることができる。
【0160】
ネット2600はまた、ネットのポリマーよりも低い融点を有するポリカプロラクトン(PCL)などのポリマーから形成された先端部2602を含む。先端部2602は、先端部2602が露出されるように、ネット2600の外面上に配置されている。図示の例では、先端部2602は、ネット2600の直線部分2604に沿って延び、キャスティングテープ2400の長さ全体に沿って延びることができる。各直線部分2604は、直線部分2604の対向する縁部、すなわちネット2600の対向する側部上の2つの先端部2602に対応する。先端部2602は、ネット2600及び先端部2602が一緒に形成されてキャスティングテープ2400を生成するように、ネット2600と共に共押出しすることができる。
【0161】
キャスティングテープ2400は、様々な実施形態において様々な寸法で提供することができる。例えば、キャスティングテープ2400の厚さは、約1ミリメートル又は1ミリメートル未満であってもよい。先端部2602は、約1ミリメートルだけ離間されてもよく、直線部分2604は、約1ミリメートルだけ離間されることができる。先端部及び直線部分2604の幅は、約3分の1ミリメートルであってもよい。波状部分2606は、それに応じたサイズにすることができる。キャスティングテープ2400に所望の全幅を提供するために、任意の数の波状部分2606及び直線部分2604を設けることができる。例えば、幅は、様々な実施形態において4~20センチメートルであってもよい。
【0162】
先端部2602は、ネット2600よりも低い融点又は軟化点を有する。室温(例えば、約40℃未満)で、先端部2602は、少なくとも部分的に剛性であることができ、いくつかの実施形態では、発泡されてもよい。閾値温度よりも高く(例えば、40℃よりも高く、50℃よりも高く、60℃よりも高く)加熱されると、先端部2602は軟化又は溶融するが、ネット2600はその材料特性を実質的に維持する(すなわち、はるかに高い温度でない限り軟化又は溶融しない)。したがって、キャスティングテープ2400が閾値温度よりも高く加熱されると、キャスティングテープ2400は、所望のギプス又は副子構成で患者の関節の周りに容易に巻き付けられ、適合され、成形されるなどすることができる。
【0163】
更に、キャスティングテープ2400がこのより高い温度でそれ自体の上に重ねられるとき、キャスティングテープ2400の第1の層の先端部2602は、キャスティングテープ2400の第2の層の先端部2602に当接する。当接する先端部2602は、軟質であるか又は溶融されており、したがって、先端部2602のPCL材料の一体化された部分として再形成するために、組み合わされたり、混合されたりすることができる。キャスティングテープ2400の配置に応じて、当接する先端部2602は、互いに交差して組み合わされる先端部2602の格子又は他の十字パターンを形成することができる。
【0164】
キャスティングテープ2400が冷却される(例えば、周囲空気への熱損失を介して室温に戻る、氷又は他の冷却源に曝される)と、先端部2602の再形成されかつ組み合わされたパターン又はPCL材料が硬化して、実質的に剛性の構造を形成する。キャスティングテープ2400は、介護者が望むような多種多様な用途に適用することができるので、剛性構造は、高度にカスタマイズ可能である。先端部2602はまた、ネット2600の波状部分2606と直線部分2604との間の間隙を少なくとも部分的に充填するように、軟質であるときに再形成されることができ、これは、PCL材料が硬化するにつれて、キャスティングテープ2400の剛性を増加させることができる。
【0165】
図24に示されるロール形態にあるとき、キャストテープ2400は、閾値温度、例えば65℃まで加熱されて、PCLを溶融させ、巻き出しを容易にすることができる。キャストテープ2400を容易に巻き出すことを可能にするために、キャストテープ2400は、層が適用され、圧力が加えられてギプスを患者の四肢に成形した後にのみ層間のPCL結合が形成されるように構成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、キャストテープ2400の構造は、露出されたPCLの量を制限し、例えば、
図24のように巻き上げられたときのPCL間の重複を低減又は排除する。別の例として、潤滑剤がPCL先端部2602に含まれてもよい。別の例として、キャストテープ2400は、キャストテープ2400の1つ以上の表面上に、例えば、
図24に示されるロールの層間に、潤滑剤が分配される。熱水浴中でキャストテープ2400をPCLの融点(例えば65℃)よりも高く加熱することによって潤滑剤が放出され、キャストテープ2400の層の互いに対する移動が容易になるように、潤滑剤は水によって活性化されてもよい。例えば、熱可塑性ポリビニルアルコール(例えば、Mowiflex TC232)をPCLに直接添加して、5~30重量%、好ましくは10~20重量%で添加した場合に潤滑剤として機能させることができる。これは、キャストテープ2400を形成するための押出しの前に、CAPA 6800 PCL及びMowiflex TC 232のペレットをドライブレンドすることによって達成することができる。他の水溶性又は分散性ポリマー及び界面活性剤並びにそれらの組み合わせも同様に有用であり得る。これらのアプローチの様々な組み合わせは、本出願の範囲内である。
【0166】
キャスティングテープ2400は、それによって、関節の自己接着固定を提供する。キャスティングテープ2400はまた、例えば
図25に示されるように、負圧創傷ドレッシング100の上に適用されるように適合される。キャスティングテープ2400は、固定の有効性を損なうことなく、キャスティングテープ2400がドレッシング100の特徴部を適合することを可能にする、適用における高度なカスタマイズ可能性を提供する。例えば、キャスティングテープ2400は、接続パッド及びチューブが負圧ドレッシング100から負圧源(例えば、ポンプ)まで延びるための経路を遮断しないように適用することができる。別の例として、負圧創傷ドレッシング100は、ドレッシング100に付着するために先端部2602がドレッシング100のPCLと融合することができるように、負圧創傷ドレッシング100の外面上にPCL領域が設けられることができる。上述の他の実施形態と一致して、ドレッシング100とキャスティングテープ2400との間の接続を容易にするために、ドレッシング100上に様々な構造を提供することができる。
【0167】
キャスティングテープ2400は、鋏、ブレード、競技用テープカッターツールなどを用いてキャスティングテープ2400を関節から切断することによって除去することができる。キャスティングテープ2400は、キャスティングテープ2400を閾値温度よりも高く再加熱し、それによってPCL材料を軟化又は溶融させてキャスティングテープ2400の層間の自己接着を解放することによって除去することもできる。次に、キャスティングテープ2400を患者から解くことができる。したがって、キャスティングテープ2400は、関節に容易に適用され得、そして関節から容易に除去され得、創傷治癒を促進するために所望され得るような固定治療を提供する。
【0168】
例示的な実施形態の構成
本明細書で使用するとき、用語「約」、「およそ」、「実質的に」、及び同様の用語は、本開示の主題が属する技術分野の当業者によって一般的な受け入れられた使用と調和して広義の意味を有することが意図されている。これらの用語は、これらの特徴の範囲を提供されている正確な数値範囲に限定することなく、記載及び特許請求されているある特徴の説明を可能にすることが意図されていることが、本開示を概観する当業者には理解されよう。したがって、これらの用語は、記載及び特許請求されている主題の非実質的又は重要でない修正又は変更が、添付の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲内であると考えられることを示すものとして解釈されるべきである。
【0169】
様々な実施形態を記載するために本明細書で使用するとき、用語「例示的な」及びその変形(例えば、「事例的な」)は、このような実施形態が可能な実施形態の可能な例、表現、又は例示であることを示すことが意図されている(このような用語は、このような実施形態が必ずしも特別な又は最高の例であることを含意することは意図されていない)ことに留意されたい。
【0170】
本明細書で使用するとき、用語「結合された」及び用語「結合された」の変形は、2つの部材を互いに直接的又は間接的に連結することを意味する。このような連結は、静止(例えば、恒久的である又は固定されている)であってもよく、又は移動可能(例えば、取り外し可能又は解放可能)であってもよい。このような連結は、2つの部材が互いに直接的に結合されていること、2つの部材が別個の介在する部材及び互いに結合された任意の追加の中間部材を使用して互いに結合されていること、又は2つの部材が2つの部材のうちの1つと単一の集合型本体として一体的に形成された介在する部材を使用して互いに結合されていることで、達成されてもよい。「結合された」又は「結合された」の変形が追加の用語によって修飾されている(例えば、直接的に結合された)場合、上記に提供されている「結合された」の一般的定義は、追加の用語の通常語の意味によって修飾されており(例えば、「直接的に結合された」とは、別個の介在する部材なしの2つの部材の連結を意味する)、上記に提供されている「結合された」の一般的な定義よりも狭い定義をもたらす。このような結合は、機械的、電気的、又は流体的であってもよい。
【0171】
本明細書で使用されるとき、用語「又は」は、用語「又は」の包括的な意味で(用語「又は」の排他的な意味ではなく)使用され、このため、要素のリストを接続するために使用されるとき、用語「又は」は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、又は全てを意味する。特に明記しない限り、句「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」などの接続語は、要素がX、Y、Zのいずれか、X及びY、X及びZ、Y及びZ、又はX、Y、及びZ(すなわち、X、Y、及びZの任意の組み合わせ)であることを伝えると理解される。よって、特に指示がない限り、このような接続語は、一般に、ある実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを意味することは意図されていない。
【0172】
本明細書における要素の位置への言及(例えば、「頂部」、「底部」、「上」、「下」)は、単に、図中の様々な要素の向きを記載するために使用される。様々な要素の向きは、他の例示的な実施形態にしたがって異なってもよく、このような変形例は、本開示に包含されていることが意図されていることに留意されたい。
【国際調査報告】