(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ケストースを用いたアトピー皮膚炎の改善効能および腸内マイクロバイオーム調節
(51)【国際特許分類】
A23L 33/125 20160101AFI20240105BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240105BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240105BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240105BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240105BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20240105BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20240105BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20240105BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20240105BHJP
A61K 31/19 20060101ALN20240105BHJP
【FI】
A23L33/125
A61P29/00
A61P1/04
A61P17/00
A61P43/00 121
A61K35/745
A61K35/747
A61K35/741
A61K31/702
A61K31/19
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540103
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2021020282
(87)【国際公開番号】W WO2022146077
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0190020
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サ,スンオク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】キ,ミンジ
(72)【発明者】
【氏名】ナム,チュンウ
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジョンスク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウォンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンファ
(72)【発明者】
【氏名】キム,キヨン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB02
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(57)【要約】
本発明は、ケストースを有効成分として含む組成物、そして、前記組成物の腸内短鎖脂肪酸(short chain fatty acid、SCFA)の生産および/または含有量増進剤、短鎖脂肪酸の生産菌増進用途、炎症性疾患、例えば、アトピー皮膚炎または腸内炎症の予防、治療または改善用途、および腸内マイクロバイオーム調節用途に関し、前記組成物は、食品、医薬または健康機能性食品組成物であってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケストースを有効成分として含有する腸内プロピオン酸の含有量増加用組成物。
【請求項2】
腸内プロピオン酸生産菌の増殖によるプロピオン酸の含有量増加である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記腸内プロピオン酸生産菌は、Lactobacillus属微生物およびAlistipe属微生物からなる群より選択された1種以上の微生物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、糞便内または腸内のプロピオン酸含有量が、ケストースを摂取する前のレベルを基準として101~700%に増加したことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、糞便内または腸内のプロピオン酸含有量が100±30mg/L以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、糞便内または腸内の酪酸(butyric acid)とプロピオン酸(propionic acid)の重量比(w/w)が4:1~1:3である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ケストースを有効成分として含有する腸内微生物の生育増進用組成物であって、前記腸内微生物は、Alistipe属微生物である、腸内微生物の生育増進用組成物。
【請求項8】
前記腸内微生物は、Alistipe属微生物とLactobacillus属微生物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記腸内微生物の相対豊富度(relative abundance(%))が増加したものである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記腸内微生物の相対豊富度は、前記有効成分を対象に摂取前のレベル100%を基準として105%以上である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
ケストースを有効成分として含有する、腸内微生物群集の調節による炎症性疾患の予防、改善または治療用組成物であって、前記腸内微生物群集の調節は、Lactobacillus属微生物およびAlistipe属微生物からなる群より選択された1種以上の微生物の生育増進によるものである、組成物。
【請求項12】
前記炎症性疾患は、免疫過敏反応による炎症性皮膚疾患または炎症性腸疾患である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記炎症性腸疾患は、クローン病または潰瘍性大腸炎である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記炎症性皮膚疾患は、アトピー皮膚炎、接触皮膚炎、またはアレルギー性接触皮膚炎である、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
ケストースを有効成分として含有する腸内微生物の生育抑制用組成物であって、前記腸内微生物は、Prevotella属微生物である、腸内微生物の生育抑制用組成物。
【請求項16】
前記腸内微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))が減少したものである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物は、前記腸内微生物の相対豊富度は、摂取前のレベルを基準として0.5~2.5%の減少分を有するものである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
ケストースを有効成分として含有する、腸内微生物群集の調節による炎症性疾患の予防、改善または治療用組成物であって、前記腸内微生物群集の調節は、Prevotella属微生物の生育抑制によるものである、組成物。
【請求項19】
前記ケストースは、糖類の固形分含有量を基準として50重量%以上のケストースを含むフラクトオリゴ糖組成物として提供させるものである、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記ケストースの1日投与量は、体重60kgの成人1人に1日あたり2~30gの範囲で提供されるものである、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物は、プレバイオティクス(prebiotics)である、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
Bifidobacterium属微生物、Streptococcus属微生物、Saccharomyces属微生物、bacillus属微生物、Alistipe属微生物、Lactobacillus属微生物からなる群より選択される1種以上のプロバイオティクス組成物を追加的に含むものである、請求項21に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケストースを有効成分として含む組成物、そして、前記組成物の腸内短鎖脂肪酸(short chain fatty acid、SCFA)の生産および/または含有量増進剤、短鎖脂肪酸の生産菌増進用途、炎症性疾患、例えば、皮膚炎症または腸内炎症の予防、治療または改善用途、および腸内マイクロバイオーム調節用途に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、プロバイオティクスが、腸内有益菌を増殖し有害菌を抑制する効能により、アトピー症状緩和、免疫力強化などに効果が良いという研究結果により、健康補助食品として注目されている。
【0003】
しかし、プロバイオティクスは、一部の腸膜損傷、免疫低下患者などにおいては副作用が憂慮され、服用時に注意が必要という報告がある。
【0004】
最近は、プロバイオティクス(probiotics)という用語のほか、プロバイオティクスのエサになる栄養分を意味するもので、腸内プロバイオティクスを活性化することによってその機能を極大化させることができるプレバイオティクス(prebiotics)に関する研究が活発に行われている。
【0005】
プレバイオティクスの大部分はオリゴ糖や多糖体の形態を呈するが、代表的なものは、過去にはinulin、lactulose、lactitolなどがビフィダス菌などの有益菌のエサとして主に活用され、最近はさらに多様にAX(arabinoxylan)などが活用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一例は、ケストースを有効成分として含む腸内マイクロバイオーム調節用途に関し、さらに詳しくは、腸内有益微生物の生育増進/促進および/または障害有害微生物の生育抑制/減少用途に関する。
【0007】
本発明のさらなる一例は、ケストースを有効成分として含む組成物の腸内微生物、例えば、ラクトバチルス属微生物およびAlistipes属微生物からなる群より選択される1種以上の微生物の生育増進/促進用途に関する。
【0008】
本発明のさらなる一例は、ケストースを有効成分として含む組成物の腸内微生物、例えば、Prevotella属微生物の生育抑制/減少用途に関する。
【0009】
本発明のさらなる一例は、ケストースを有効成分として含む腸内短鎖脂肪酸、例えば、プロピオン酸を生産する腸内微生物の生育増進/促進用途に関する。
【0010】
本発明のさらなる一例は、ケストースを有効成分として含む、腸内短鎖脂肪酸、例えば、プロピオン酸の生産および/または含有量増進用組成物に関する。前記腸内短鎖脂肪酸、例えば、プロピオン酸の生産および/または含有量の増加は、腸内微生物によって達成されるものであってもよい。
【0011】
本発明のさらなる一例は、ケストースを有効成分として含む炎症性疾患、例えば、皮膚炎症(炎症性皮膚疾患)および/または腸内炎症(炎症性腸疾患)の予防、治療または改善用途に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一例は、ケストースを有効成分として含む腸内マイクロバイオーム調節用途に関し、さらに詳しくは、腸内有益微生物の生育増進、腸内有害微生物の生育抑制、および/または腸内短鎖脂肪酸、例えば、プロピオン酸を生産する腸内微生物の生育増進用途に関する。
【0013】
本発明のさらに他の例は、ケストースを有効成分として含む腸内短鎖脂肪酸(short chain fatty acid、SCFA)、例えば、プロピオン酸の生産および/または含有量増進用組成物に関する。
【0014】
本発明のさらなる一例は、ケストースを有効成分として含む炎症性疾患、例えば、皮膚炎症および/または腸内炎症の予防、治療または改善用途に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、副作用や安全性をほとんど心配せず、簡便でかつ効果的にヒトや動物の有益な腸内微生物を増加させ、有害な微生物を減少させることによって、腸内マイクロバイオームの不均衡を改善させるというメリットがある。
【0016】
また、本発明によれば、副作用や安全性をほとんど心配せず、簡便でかつ効果的にヒトや動物の腸内短鎖脂肪酸のうちプロピオン酸またはプロピオン酸生産菌株を増加させることによって、腸内環境を改善させるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一例により、動物モデルを用いて腸内微生物に及ぼすケストース影響分析のための実験プロトコルである。
【
図2】本発明の一例により、実験動物モデルの体重変化を測定した結果である。
【
図3】本発明の一例により、実験動物モデルの腸内微生物に対するalpha-diversity分析による腸内微生物の種(species)の多様性を示すグラフである。
【
図4】本発明の一例により、実験動物モデルの腸内微生物に対するbeta-diversity分析による腸内微生物のグループ間の差を示すグラフである。
【
図5】本発明の一例により、研究期間8週、12週、および16週目に収集した動物モデルの糞便試料を用いて腸内微生物群集のphylum profiling結果を示す。
【
図6】本発明の一例により、研究期間16週目に収集した動物モデルの糞便試料を用いて腸内微生物群集のphylum profiling結果を示す。
【
図7】本発明の一例により、研究期間8週、12週、および16週目に収集した動物モデルの糞便試料を用いて腸内微生物群集のheatmap分析によるtop30 genus profiling結果を示す。
【
図8】本発明の一例により、研究期間16週目に収集した動物モデルの糞便試料を用いて腸内微生物群集のheatmap分析によるtop30 genus profiling結果を示す。
【
図9】本発明の一例により、実験群投与によるLactobacillus spp.の有意な増加を示す。
【
図10】本発明の一例により、実験群投与によるAlistipe spp.の有意な増加を示す。
【
図11】本発明の一例により、実験群投与によるPrevetella spp.の有意な減少を示す。
【
図12】本発明の一例により、研究期間16週目に収集した動物モデルの糞便試料を用いて実験群投与による酪酸(Butyric acid)含有量の変化を測定した結果である。
【
図13】本発明の一例により、研究期間16週目に収集した動物モデルの糞便試料を用いて実験群投与による酢酸(Acetic acid)含有量の変化を測定した結果である。
【
図14】本発明の一例により、研究期間16週目に収集した動物モデルの糞便試料を用いて実験群投与によるプロピオン酸(Propionic acid)含有量の変化を測定した結果である。
【
図15】本発明の一例により、Total score(itchingおよびseverity)によるアトピー皮膚炎の重症度改善評価の結果である。
【
図16】本発明の一例により、実験動物の血清IgEの分泌量の分析結果である。
【
図17】本発明の一例により、実験動物の血清TNF-α、IFN-γ、およびIL-12の分泌量の分析結果である。
【
図18】本発明の一例により、実験動物の血清L-4、IL-5、IL-13、TARC、およびEotaxinの分泌量の分析結果である。
【
図19】本発明の一例により、実験動物の血清IL-1βおよびIL-10の分泌量の分析結果である。
【
図20】本発明の一例により、Flow cytometryで分析した脾臓細胞(splenocytes)のCD86の発現量を示す図である。
【
図21】本発明の一例により、Flow cytometryで分析した脾臓細胞(splenocytes)のCD274の発現量を示す図である。
【
図22】本発明の一例により、実験動物の皮膚組織内の肥満細胞数(mast cell count)を測定した結果である。
【
図23】本発明の一例により、実験動物の皮膚組織内の好酸球数(eosinophil count)を測定した結果である。
【
図24】本発明の一例により、実験動物の腸組織内の肥満細胞数(mast cell count)を測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、ケストースを有効成分として含む腸内マイクロバイオーム調節用途として腸内微生物の不均衡を改善する組成物、用途または方法に関し、詳しくは、腸内有害微生物の生育抑制、腸内有益微生物の生育増進およびプロピオン酸生産菌の生育増進からなる群より選択された1種以上の腸内マイクロバイオーム調節用途に使用するための組成物に関する。本発明の一例は、ケストースまたはケストースを含む組成物を、これを必要とする対象に投与する工程を含む、腸内マイクロバイオームの調節方法または腸内微生物の不均衡を改善する方法に関する。
【0019】
本発明によれば、有効成分の1-ケストースを医薬品または飲食品として、対象、例えば、ヒトを含む哺乳動物に経口で提供して、摂取者の腸内微生物群集を調節して腸内微生物の不均衡を改善することができる。具体的には、本発明に係る腸内微生物の不均衡の改善用組成物および腸内有益微生物の増殖剤を哺乳動物が経口摂取することによって、腸内で腸内有害微生物の生育抑制、腸内有益微生物の生育増進およびプロピオン酸生産菌の生育増進からなる群より選択された1種以上の腸内マイクロバイオームを調節することができる。
【0020】
本発明の一例は、ケストースを有効成分として含む組成物の腸内有益微生物、例えば、Alistipes属微生物およびラクトバチルス属微生物からなる群より選択された1種以上の微生物の生育増進用途または含有量増加用途に関する。
【0021】
本発明の一例は、ケストースを有効成分として含む組成物の有害微生物、例えば、Prevotella属微生物の生育抑制用途または含有量減少用途に関する。
【0022】
本発明の一例は、ケストースを有効成分として含む組成物のプロピオン酸生産菌の生育増進用途に関する。前記組成物は、腸内プロピオン酸の含有量を増加させることができる。
【0023】
本発明の一例は、前記組成物が薬学的組成物または食品組成物であってもよい。前記組成物がプレバイオティクス組成物であってもよいし、追加的にプロバイオティクスを含めてシンバイオティクス(synbiotics)として使用することができる。プロバイオティクス(probiotics)とは、体内で健康に良い影響を与える微生物を意味することができる。プレバイオティクス(prebiotics)とは、有益菌を含む微生物により用いられて微生物の生育や活性を促進させることによって、腸内マイクロバイオームの不均衡を解消し、宿主の健康に良い効果を奏するようにする成分を意味することができる。前記プロバイオティクス菌株またはプロバイオティクス微生物(probiotic microorganism)は、生きた細胞であるか、非-生存性細胞の形態であってもよい。
【0024】
前記プロバイオティクス微生物として本発明に適用可能な微生物は、Bifidobacterium属微生物、Streptococcus属微生物、Saccharomyces属微生物、bacillus属微生物、Alistipe属微生物、およびLactobacillus属微生物からなる群より選択される1種以上のプロバイオティクスを含むことができる。
【0025】
本発明における有効成分は、腸内マイクロバイオームの改善が必要な対象に対して腸内のLactobacillus属微生物およびAlistipes属微生物からなる群より1種以上の微生物の増殖を促進して腸内で有益な作用をする細菌を増殖させ、その結果、腸内マイクロバイオームの改善効果をもたらすことができる。
【0026】
本発明に係る組成物は、ケストースを含み、Lactobacillus属微生物とAlistipes属微生物が増加し、Prevotella属微生物が減少し、それによりSCFAの生産量を増加させることができる。したがって、本発明によれば、副作用や安全性をほとんど心配せず、簡便で効果的に対象の体内Lactobacillus属微生物および/またはAlistipe属微生物を増加させることができる。また、本発明によれば、ケストースは、対象の体内Lactobacillus属微生物および/またはAlistipe属微生物を増加させることによって、腸内環境を改善させるというメリットがある。また、ケストースは、ヒトや動物の体内のPrevotella属微生物を減少させることによって、腸内環境を改善させて腸内微生物のバランスを達成することができる。
【0027】
Alistipe属微生物は、グラム陰性、棒状、嫌気性および非-胞子形成微生物に分類され、Alistipes finegoldii、Alistipes putredinis、Alistipes onderdonkii、Alistipes shahii、Alistipes indistinctus、Alistipes senegalensis、Alistipes timonensis、Alistipes obesi、Alistipes ihumii、Alistipes inops、Alistipes megagutiおよびAlistipes provencensisを含むが、これに限定されるものではない。
【0028】
Lactobacillus属微生物は、L.mucosae、L.salivarius、L.acidophilus、L.plantarum、L.pentosus)、L.arizonensis、L.rhamnosus、L.brevis、L.caseii、L.paracasei、L.bulgaricus、L.delbruckii、L.arabinosus、L.caucasicus、L.leishmanni、L.musicus、L.themophilus、L.fermentumおよびL.helveticusなどを含むが、これに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、用語、「微生物叢」、「マイクロフローラ」および「マイクロバイオーム」は、通常、身体器官または一部、特に、対象、例えば、動物またはヒトの胃腸器官に生息する生きた微生物群集を意味する。
【0030】
前記微生物の生育増進または抑制は、腸内微生物の含有量、腸内微生物の代謝産物の含有量、および/または腸内微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))で表される。本明細書において、バクテリア種の「相対豊富度」は、ヒトの胃腸管微生物叢において特定のバクテリア種を除いた他のバクテリア種に対する特定のバクテリアの相対的な豊富度を意味する。
【0031】
本発明に係る組成物の腸内微生物の調節は、腸内のLactobacillus属および/またはAlistipe属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))の増加、腸内のPrevotella属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))の減少を含むことができる。
【0032】
本発明に係る組成物は、糞便内または腸内のLactobacillus属微生物、または糞便内または腸内のAlistipe属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))の増加分が5%以上、または7%以上、例えば、5%~100%であってもよいし、これは、前記有効成分を対象に摂取前レベル100%を基準として、105%以上または107%以上、例えば、105%~200%であってもよい。
【0033】
詳しくは、発明による組成物は、糞便内または腸内のLactobacillus属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))の増加分が、50~70%、50~65%、または50~60%、および/または糞便内または腸内のAlistipe属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))の増加分が、5~25%、5~20%、または5~15%に達成される、ケストースを有効成分として含む組成物であってもよい。前記糞便内または腸内のLactobacillus属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))は、前記有効成分を対象に摂取前レベル100%を基準として150~170%であり、前記糞便内または腸内のAlistipe属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))は、前記有効成分を対象に摂取前レベル100%を基準として105~125%であってもよい。
【0034】
本発明に係る組成物は、糞便がPrevotella属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))の減少分を、0.5%~2.5%、0.5~2%、または0.5~1.5%に減少させるケストースを有効成分とする組成物であってもよい。前記糞便内または腸内のPrevotella属微生物の相対豊富度(%、relative abundance(%))は、前記有効成分を対象に摂取前レベル100%を基準として97.5~99.5%であってもよい。
【0035】
本発明のさらに他の例は、ケストースを有効成分として含有する腸内短鎖脂肪酸、例えば、プロピオン酸の含有量を増加させる組成物、またはケストースを有効成分として含有する腸内プロピオン酸生産菌増殖用または増加用組成物に関する。
【0036】
また、本発明は、ケストースを含有する組成物を、これを必要とする対象に投与する工程を含む、腸内プロピオン酸の含有量を増加させる方法、または腸内プロピオン酸生産菌を増殖する方法に関する。
【0037】
前記組成物は、食品組成物、健康機能性食品、または薬学組成物であってもよい。
【0038】
前記糞便内または腸内のプロピオン酸の含有量増加は、腸内プロピオン酸生産微生物の増殖によるものであってもよい。前記微生物の増殖は、腸内微生物の含有量増加、プロピオン酸の含有量増加、および/または相対豊富度(%、relative abundance(%))の増加で表される。
【0039】
前記腸内プロピオン酸生産微生物は、本技術分野にて知られた微生物を含むことができ、例えば、腸内のLactobacillus spp.およびAlistipe sspp.からなる群より選択される1種以上の微生物を含むことができる。
【0040】
具体的には、本発明による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)投与グループでいずれも、short-chain fatty acids producing bacteriaであるLactobacillu sspp.とAlistipes spp.が有意に増加し、Advanced Fos(粉末およびシロップ-中濃度および高濃度)投与実験群でPrevotella spp.が有意に減少することを確認した(試験例4参照)。Prevotella spp.は、自己免疫疾患、インスリン抵抗性、糖尿、および腸内炎症誘発と関連性があり、short-chain fatty acidsの生成を減少させる役割を果たすことが知られている。
【0041】
本発明の一例は、糞便内のプロピオン酸含有量が100±30mg/L、150±30mg/L、200±30mg/L、250±30mg/Lまたは300±30mg/L以上であることを特徴とするケストース含有組成物を提供する。
【0042】
本発明の一例は、糞便内のプロピオン酸含有量が摂取前レベルを基準として100~700%、100~500%、100~300%、130~500%、130~700%、150~500%、150~700%、150~300%または、130~300%増加したことを特徴とするケストース含有組成物を提供する。
【0043】
本発明の一例は、糞便または腸内の酪酸:プロピオン酸の重量比が、4:1~1:3、3:1~1:3、3:1~1:2、2:1~1:2、さらに好ましくは1:1~1:2であることを特徴とするケストース含有組成物を提供する。当該比率で糞便または腸内酪酸に対するプロピオン酸の比率を増加させることにより、腸管内のpHを酸性環境に維持し、免疫細胞を落ち着かせて炎症改善効果の極大化を誘導することができる。
【0044】
本発明のさらなる一例は、ケストースを含有する腸疾患および/または炎症性疾患の予防、改善または治療用組成物に関する。また、前記疾患は、免疫過敏反応による疾患、例えば、免疫過敏反応による炎症性皮膚疾患および/または炎症性腸疾患であってもよい。前記組成物は、食品組成物、健康機能性食品、または薬学組成物であってもよい。
【0045】
本明細書に開示された組成物は、腸内有益菌の増殖または生長を促進し、腸内有害菌の増殖または生長を抑制して腸内菌叢を改善することによって、排便機能、腸機能を向上させるだけでなく、プレバイオティクスとして作用して、プロバイオティクスとの併用時にプロバイオティクスの効能を増強させるシナジー効果がある。例示的な一実施形態において、前記組成物は、例えば、便秘、下痢、または腸関連疾患の予防、改善または治療用組成物であってもよい。
【0046】
また、腸内微生物の不均衡(dysbiosis)は、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease、IBD)と炎症性皮膚疾患と高い関連性があることは知られている。このため、本発明に係るケストースを含む組成物は、炎症性疾患の予防、改善または治療用組成物を提供することができる。
【0047】
炎症性腸疾患の発病メカニズムについては、遺伝的要因や環境的要因など様々な可能性が議論されてきたが、最近、腸管免疫(消化管粘膜免疫)の異常が原因の可能性が大きくなっている。最近の研究では、ある種の常在菌に対する異常な免疫応答が慢性炎症反応になって現れている可能性も示唆されている。腸管免疫の異常による腸管での炎症やアレルギーの発症メカニズムは、患者のT細胞の機能および分化と病変部や血清中のサイトカインの生産パターンの解析によって裏付けられている。さらに、最近開発された各種炎症性腸疾患動物モデル(Gastroenterology,Vol.109,p.1344-1367,1995)の解析でも、この粘膜免疫の異常が腸管に慢性炎症を引き起こすことが明らかになった。
【0048】
本明細書において、用語「対象」、「個体」、「宿主」、および「患者」は、本願において相互交換して使われ、ヒト、実験室動物、家畜、および家庭のペットを含む任意の動物対象、好ましくは、ヒトを称する。対象は、多様な微生物をホスティングすることができる。対象は、疾患に対する高い危険があると診断されたりまたは疑われ、疾患に寄与するマイクロバイオーム状態(つまり、微生物の不均衡)を有することができる。
【0049】
本発明に係る炎症性疾患は、好ましくは、免疫過敏反応による炎症性皮膚疾患または炎症性腸疾患であってもよいし、前記炎症性皮膚疾患は、アトピー皮膚炎、接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎などがあり、前記炎症性腸疾患は、クローン病(Crohn’s disease、CD)と潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis、UC)を含み、UCは、主に結腸を標的とする慢性炎症性疾患として知られている。
【0050】
前記炎症性疾患は、免疫過敏反応による炎症性皮膚疾患または炎症性腸疾患であってもよいし、実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度および高濃度)は、免疫反応で損傷した免疫体系を復旧するのに寄与し、過度な免疫細胞の活性を抑制してアトピー症状を改善したと見られた(試験例8参照)。
【0051】
前記炎症性皮膚疾患、例えば、アトピー皮膚炎は、腸内マイクロバイオームおよびTh1/Th2の不均衡によって発生するが、代表的にIgEの発現に関与するTh1のIFN-rの減少とTh2のIL-13の増加によってADの症状が悪化することが知られている。また、組織学的分析において好酸球(Eosinophil)と連関があるIL-5、IL-13、TARC、Eotaxinは、好酸球数の増加、皮膚流入および脱顆粒化を誘導して炎症と組織損傷を招く。
【0052】
具体的には、本発明では、Advanced Fosグループは、Lactobacillus spp.とAlistipes spp.が増加し、Prevotella spp.が減少し、これはSCFAの分泌量で増加と検証され、このような結果はアトピー皮膚炎を有する患者において増加するTh2の発現量減少に影響を及ぼすことを確認した。また、血液だけでなく、腸と皮膚のTh1/Th2のバランスを合わせるために、Th1関連因子の発現を上方調節し、Th2関連因子の発現を下方調節することによって、AD症状を改善する。
【0053】
本発明は、ケストースを含むフラクトオリゴ糖の剤形別(powder、syrup)、濃度別実験において、アトピー皮膚炎(AD)の改善効能を確認した。
【0054】
具体的には、アトピー皮膚炎を誘発した動物モデルにおいて、本発明に係る組成物を投与した場合、血清IgEの含有量が減少し、IgEの生成に関与するIL-13の分泌量は減少し、好酸球(Eosiniphil)数の増加と関連があるTARCの分泌量は減少し、好酸球(Eosiniphil)の皮膚流入および脱顆粒に関与するEotaxinの分泌量は減少し、Th1/Th2の不均衡をもたらすIL-4およびIL-5の分泌量は減少した。したがって、実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)の投与は、サイトカインの分泌を調節してTh2の免疫反応を抑制してTh1/Th2のバランスを回復することによって、アトピー症状を改善した。
【0055】
また、アトピー皮膚炎を誘発した動物モデルにおいて、本発明に係る組成物を投与した場合、TNF-αの分泌量が相対的に増加、Th1関連IFN-γの分泌量が相対的に増加、Th1関連IL-12の分泌量が相対的に増加して、実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)の投与は、Th1関連サイトカインの分泌を調節してTh1/Th2のバランスを回復することによって、アトピー症状を改善した(
図17参照)。
【0056】
アトピー皮膚炎を誘発した動物モデルにおいて、本発明に係る組成物を投与した場合、Treg関連Cytokine、例えば、IL-1β分泌量の減少、Th1/Th2の不均衡をもたらすIL-10の分泌量の減少により、投与は、過度なTreg免疫反応を抑制して炎症反応を抑制し、Th1/Th2のバランスを回復させることによって、アトピー症状を改善した。
【0057】
また、本発明に係る組成物をアトピー皮膚炎を誘発した動物モデルに投与し、アトピー皮膚炎の重症度改善効果をitching scoreおよびseverity scoreで評価した結果、実験群で皮膚炎が緩和されたことを確認した(
図15参照)。
【0058】
本発明に係るケストースは、ケストース単独またはこれを含む糖組成物として使用可能であり、液状または粉末形態で使用可能であり、前記粉末は、非結晶または結晶であってもよい。前記ケストースは、市販の製品を購入して使用するか、所定の原料を用いて製造したものを使用してもよい。
【0059】
本発明に使用可能なケストースは、液状または粉末形態をすべて使用することができ、多様な含有量で本発明に係る組成物に含まれる。
【0060】
前記ケストースは、単独成分として使用したり、他の糖類を共に含む混合組成物として使用されてもよい。
【0061】
前記ケストースを含有する組成物において、液状または粉末形態のケストースは、糖類の総固形分を基準として、50(w/w)%以上、60(w/w)%以上、70(w/w)%以上、80(w/w)%以上、または85(w/w)%以上の含有量を有する組成物、例えば、フラクトオリゴ糖で提供される。また、結晶形態のケストースは、総固形分を基準として、90%以上、95%以上、または98%以上の含有量を有する組成物であってもよい。
【0062】
前記ケストースを含有する組成物は、フラクトオリゴ糖(FOS)であってもよい。例えば、高含有量の1-ケストース(1-kesotse、GF2)を含み、ニストース(Nystose、GF3)および1-F-フラクトシルニストース(1-F-Fructosyl nystose、GF4)からなる群より選択された1以上の糖類を追加的に含むことができる。FOSは、β2→1結合によってスクロース分子に連結された1~9個のフルクトース残基を有する線状鎖で構成されている。前記ケストース-含有フラクトオリゴ糖は、1-ケストース含有量が高いほど好ましく、1-ケストースが主成分(main component)であることがさらに好ましい。例えば、高含有量の1-ケストース(1-kesotse、GF2)を糖類の固形分含有量を基準として50重量%以上で含むものであってもよい。
【0063】
市中に流通するFOSには、ケストース(1-ケストース)が、総固形分を基準として、約20~35(w/w)%で少量含有されている製品もあるが、本発明では、有効効果を示す活性成分であるケストース(1-ケストース)を、糖類の総固形分を基準として、50%(w/w)以上の含有量で含有させて、ケストースの1日摂取量(投与量)を効果的に調節することが可能であり、これによって、腸内微生物群集であるマイクロバイオームおよび微生物代謝物の調節により体内代謝のバランスを誘導することができる。低いケストース含有量を有する糖組成物、例えば、フラクトオリゴ糖を摂取する場合、本発明による有効含有量のケストースを摂取するためにフラクトオリゴ糖の摂取量が増加し、このため、消化器官(下痢、腹部膨張感、腹鳴など)の不快さが感じられて、むしろ好ましくない効果が発生しうる。したがって、高いケストース含有量を有する糖組成物、例えば、フラクトオリゴ糖を摂取して、フラクトオリゴ糖の過剰摂取による好ましくない問題を低減し、さらに、本発明による有効含有量のケストースの摂取を容易に達成して効能をさらに増大させることができる。
【0064】
本発明に使用可能なケストースまたはケストースを含む糖組成物は特に制限がなく、通常、ケストース転換活性を有する酵素または前記酵素を生産する微生物を用いて砂糖を基質として製造することができる。前記製造されたケストース含有産物をそのまま使用したり、抽出および精製する工程を行ってケストース含有量を増加させた糖組成物として使用してもよい。
【0065】
前記ケストース転換活性を有する酵素は、砂糖を含む基質からケストースを含有するフラクトオリゴ糖に転換する活性を有する酵素で、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌株、ピキア・ファリノサ(Pichia farinose)菌株、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ミレロジマ・ファリノサ(Millerozyma farinose)、およびアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)菌株からなる群より選択された1種以上に由来する酵素であってもよい。
【0066】
ケストースを含有する医薬品や医薬部外品、サプリメントの剤形は特に限定されず、投与方法に適した剤形を適切に選択することができる。例えば、経口投与の場合には、粉薬、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤、ドリンク剤などの固形または液状剤形にすればよい。
【0067】
前記ケストース組成物において有効成分としてケストースは、60kgの成人を基準として1日総摂取量が2~30g、2~27g、2~26g、2~25g、2~24g、2~20g、2~15g、2~10g、または2~8gであってもよい。このような摂取量は、1日1回に限らず、複数回に分割して摂取することができる。前記ケストースまたはこれを含むフラクトオリゴ糖の摂取による整腸作用、腸機能改善、カルシウム吸収の増進機能と「胃もたれ感」の副作用などを考慮して、適切な含有量に設定可能である。
【0068】
また、前記ケストース組成物は、ケストース、ニストース、およびフラクトフラノシルニストースを合わせた量で、400mg/g以上、500mg/g以上、800mg/g以上、または900mg/g以上含有する組成物であってもよい。前記ケストース組成物は、ニストース、およびフラクトフラノシルニストースの合計重量に対するケストースの含有量重量比が、1:1~10:1、1:1~5:1、1:1~3:1、または1:1~2:1である組成物であってもよい。
【0069】
本発明に係るケストースを有効成分とする組成物を投与または摂取する対象または個体は、ヒトを含む動物であり、例えば、ヒト、マウス、ラット、サルなどを含む。
【0070】
本発明に係るケストースを有効成分とする組成物は、食前、食後または食事と同時に摂取することができ、特に摂取条件を限定するのではない。前記ケストースを有効成分とする組成物を、炎症性疾患の改善、腸機能改善または腸内微生物群集または環境変化を達成するのに有効な期間で摂取することができ、例えば、4週以上、8週以上、または15週以上、例えば、4週~20週(weeks)の期間で摂取する方法であってもよい。本発明に係る組成物を単回摂取するだけでも有効な効果を導出することができるが、2回以上摂取すればよい。
【0071】
前記ケストースを有効成分とする組成物の摂取のための製剤単位は、例えば、個別摂取量の1、2、3または4倍を含有するか、または1/2、1/3または1/4倍を含有するように製造できる。個別摂取量は、好ましくは、有効成分の1日1回に投与される量を含有し、これは通常、1日投与量の全部、1/2、1/3または1/4倍に相当する量で製剤化されて分割投与可能である。
【0072】
本発明に係るケストースを含む組成物は、食品組成物または薬学組成物であってもよい。
【0073】
本発明に係る組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度および反応感応性のような要因によって多様に処方可能である。
【0074】
本発明に係るケストースを有効成分とする組成物は、食品、食品添加剤、飲料、飲料添加剤、健康食品、または機能性食品であってもよい。本発明において、「健康機能食品」とは、健康機能食品に関する法律により人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて製造(加工を含む)した食品をいい、「機能性」とは、人体の正常な機能を維持したり生理機能の活性化により健康を維持し改善するなどといった保健用途に有用な効果を得ることをいう。前記ケストースを一般食品に添加したり、カプセル化、粉末化、懸濁液などで製造することができる。これを摂取する場合、健康上特定の効果をもたらし、一般薬品とは異なり、食品を原料としたため、薬品の長期服用時に発生しうる副作用などがないというメリットがある。
【0075】
本発明のケストースを食品添加物として使用する場合には、前記ケストースをそのまま添加したり、他の食品または食品成分と共に使用したり、その他の通常の方法により適切に使用可能である。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて好適に決定可能である。
【0076】
前記ケストースまたはケストースを含む組成物は、そのままあるいは飲食物や医薬品の形態で、対象、例えば、ヒトまたは動物に経口摂取させる方法で投与される。
【0077】
ケストース(1-ケストース)は、各種飲食物や食品添加物、動物飼料の通常の製造過程に添加して使用することができる。1-ケストースの甘美度は30で、その味質(quality of taste)・物性・加工性はショ糖に近いため、各種飲食物の製造過程において砂糖の一部または全部を1-ケストースに置換するなど、砂糖同様に取り扱って各種飲食物、飲料、食品添加物、医薬、または飼料に使用可能である。
【0078】
本発明に係る組成物の具体的な態様としては、例えば、飲料、乳製品、食用に提供する顆粒、ペースト、調味料、レトルト食品、ベビーフード(baby food)、発酵食品、保存食、水産加工品、食肉加工品、穀物加工品などの加工食品、食品添加物、健康食品、動物飼料などが挙げられる。
【実施例】
【0079】
本発明を下記の実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明の範囲が下記の実施例に限定される意図ではない。
【0080】
製造例1: 動物モデルの構築
本実験において動物モデルの構築および食餌投与実験の全般的なスケジュールを
図1に示した。
具体的には、アトピー皮膚炎(Atopic dermatitis)を有する動物モデルを構築すべく、5週齢雌balb/cマウスをグループ別に6匹ずつ分離し、1週間適応させた。陰性対照群(Neg)を除いたすべてのグループに対して、OVA/Al(OH)
3混合液をOVAとAlum(Sigma Aldrich)をPBSに溶かして製造し、アトピー誘導開始日から7、21、35、49日目に計4回腹腔に投与(2週に1回、計4回を投与)して8週間誘導した。また、8週間持続的にBalb/cマウスの背中を除毛し、背中皮膚に持続的にOVA/Al(OH)
3を接触してADを誘導した。これによって、前記アトピー皮膚炎が誘導された実験動物を後の実験で実験群動物モデルとして使用した。
陰性対照群は5週齢雌balb/cマウスをグループ別に6匹ずつ分離し、1週間適応させた。以後、前記(1)アトピー動物モデルの構築と類似しているが、OVA/Al(OH)
3混合液を用いた8週間のアトピーを誘導せず、後の投与期間で実験群と同一用量のPBSを経口投与した。
陽性対照群は5週齢雌balb/cマウスをグループ別に6匹ずつ分離し、1週間適応させた。以後、前記アトピー動物モデルの構築と類似に8週間OVA/Al(OH)
3によりアトピーを誘導し、投与期間で実験群と同一用量のPBSを経口投与した。
前記実験群、陰性対照群および陽性対照群に用いられる実験動物から、全体研究期間で8週、12週、および16週目に糞便試料を収集して、後のマイクロバイオームおよびSCFA分析に活用した。また、実験終了時、盲腸大便試料を収集して微生物叢のプロファイリングおよび代謝体の分析に活用した。
【0081】
比較例1および2: maltose食餌実験
Maltose食餌動物モデルは、実施例1で8週間OVA/Al(OH)3によりアトピーを誘導した後、同一食餌で進行させた実験群動物モデルであり、Maltose食餌は投与期間でマルトース((株)大象、製品名:マルトースD)をマウス1匹基準の濃度で200μlのPBSに溶かして同一濃度で経口投与して使用した。
具体的には、比較例1-1はMaltose-中濃度8g/dayの比率で適用し、比較例1-2はMaltose-高濃度16g/dayの比率で適用した。
【0082】
比較例3および4: 低含有量のケストース含有FOS粉末食餌実験
FOSを投与した実験群は、8週間OVA/Al(OH)3によるアトピーを誘導した後、投与期間でFOSをケストース含有量(33%)対比、マウス1匹基準で200μlのPBSに溶かして経口投与のための試料として製造した。
前記低含有量のケストース含有FOS粉末は、総固形分を基準としてフラクトオリゴ糖含有量が95%であり、前記フラクトオリゴ糖に含まれているケストース含有量は33重量%であり、よって、前記食餌粉末は総固形分を基準として31.35重量%のケストースを含有したものである。
各試料をPBSに溶解した溶解液を2つの投与量に分けて実験を行い、1日2回投与をし、成人基準(60kg)で、比較例3は8g/dayの中濃度グループ、および比較例4は16g/dayの高濃度グループをそれぞれ適用して8週間投与した。
高濃度および中濃度食餌は同一組成の食餌を1日投与量により区分したものであって、中濃度グループは8g/dayの投与量、高濃度グループは16g/dayの投与量で適用した。
【0083】
【0084】
実施例1および2: 高含有量のケストース含有FOS粉末食餌実験
高含有量のケストース含有FOS粉末を投与した実験群は、8週間OVA/Al(OH)3によりアトピーを誘導した後、投与期間でマウス1匹基準の濃度で200μlのPBSに高含有量のケストース含有FOS粉末を溶解して経口投与のための試料として製造した。
本実施例に使用した高含有量のケストース含有FOS粉末は、総固形分を基準としてフラクトオリゴ糖含有量が91.2%であり、前記フラクトオリゴ糖に含まれているケストース含有量は85.5重量%であり、よって、前記食餌粉末は総固形分を基準として77.98重量%のケストースを含有したものである。
各試料をPBSに溶かして投与し、2つの投与量に分けて実験を行い、1日2回投与をし、成人基準(60kg)で、実施例1は中濃度グループの8gの投与量、および実施例2は高濃度グループの16gの投与量をそれぞれ8週間投与した。
前記比較例3と実質的に同様の方法で動物モデルに食餌を給餌したが、ただし、比較例3のFOS粉末の代わりに、本発明で製造した高含有量のケストース含有FOS粉末を給餌した。
【0085】
実施例3および4: 高含有量のケストース含有FOSシロップ食餌実験
高含有量のケストース含有FOSシロップを投与した実験群は、8週間OVA/Al(OH)3によりアトピーを誘導した後、投与期間で高含有量のケストース含有FOSシロップを総固形分(89.9%)およびケストース含有量(85.6%)、FOSシロップの固形分(75.3%)対比、マウス1匹基準の濃度で200μlのPBSに溶かして経口投与のための試料として製造した。
本実施例に使用した高含有量のケストース含有FOSシロップは、総固形分を基準としてフラクトオリゴ糖含有量が91.2%であり、前記フラクトオリゴ糖に含まれているケストース含有量は89.9重量%であり、よって、前記食餌粉末は総固形分を基準として81.998重量%のケストースを含有したものである。
各試料をPBSに溶かして投与し、2つの投与量に分けて実験を行い、1日2回投与をし、成人基準(60kg)で、実施例3は8gの投与量を有する中濃度グループ、および実施例4は16gの高投与量を有する高濃度グループで8週間投与した。
前記比較例3と実質的に同様の方法で動物モデルに食餌を給餌したが、ただし、比較例3のFOS粉末の代わりに、本発明で製造した高含有量のケストース含有FOSシロップを給餌した。
【0086】
試験例1: マウスの体重増加量および食餌摂取量の確認
投与期間で各実験群投与によるマウスの体重変化を記録し、マウスの重量測定は毎週経口投与をする前の同じ時間帯に進行させた。
フラクトオリゴ糖の摂取による肥満の有無を確認するために、投与期間で各実験群投与によるマウスの食餌摂取量を確認し、毎週同じ時間帯に食餌摂取量を確認した。
図2は、実験群投与による実験動物モデルの体重変化についての結果であり、陽性対照群および比較例1および2によるMaltose投与群では、アトピーの誘発によって体重増加量が減少したことを示した。実施例1~4による実験群の場合、体重増加量が陰性対照群と類似の数値を示すので、アトピーに対する実施例1~4によるAdvanced FOSの改善効果により体重増加量を回復したのである。
【0087】
試験例2: 腸内マイクロバイオームの種の多様性分析
(1)糞便試料の微生物群集分析
比較例1~4と実施例1~4の試料を、製造例1の実験動物に対して、全体研究期間で8週、12週、および16週目に糞便試料を収集した。前記収集された8週、12週、16週目の糞便サンプルを、DNA soil kitを用いてDNAを抽出した。
180個のDNAは、Illumina Miseq platformにより塩基配列を分析し、計13,117,845個の16S rRNA sequence read countを得ており、サンプルあたり平均85,737のreadsを読み出し、すべてのグループは2500以上のread数を得た。16S rRNA sequencesは、qiime2パイプラインを用いて分析し、5’や3’末側のシーケンスがなかったり不明なシーケンスは除去した。250bpにならないトリムシーケンス(trimmed sequences)を除去し、キメラ(chimera)シーケンスはqiime2パイプラインのキメラを用いて除去した。これによって、サンプルの各シーケンシングリードを同定して微生物群集構造を確認できる。
シャノンインデックス(Shannon index)、シンプソン(Simpson index)およびインバースシンプソン(InvSimpson index)は、腸内マイクロバイオームの種の多様性分析(alpha-diversity)のために計算された。種群集の多様性(beta-diversity)分析のために、ブレイ・カーチス距離メトリクス(Bray-Curtis distance metrics)を用いたAdonis分析により群集分析した。R software(version4.0.3)によりグラフを視覚化した。
【0088】
(2)腸内マイクロバイオームの種多様性およびグループ間の差分析
腸内マイクロバイオームの種多様性およびグループ間の差を分析すべく、比較例1~4と実施例1~4の実験動物に対して、研究期間の16週目に得た糞便試料をロークォリティーシーケンスを除去して平均シーケンシングが85,737であることを確認した。アトピー誘導マウスである陽性対照群と陰性対照群の類似性を検査するために、腸内微生物の種多様性(alpha-diversity)を確認した。アルファ多様性の結果は、シャノン(Shannon)、シンプソン(Simpson)、インバースシンプソン(InvSimpson)多様性指数がグループ間で差がないことを示した(
図3)。
しかし、微生物のベータ多様性(Beta-diversity)では、各グループ別の群集が分けられることを確認でき、特に、陽性対照群とmaltoseグループが右側にあるが、実験グループは陰性対照群と類似に変化することが分かった(
図4)。
【0089】
試験例3: 腸内マイクロバイオームのprofilingの確認
比較例1~4と実施例1~4の実験動物に対して、全体研究期間で8週、12週、および16週目に糞便試料を収集した。前記収集された8週、12週、および16週目の糞便サンプルから、DNA soil kitを用いてDNAを抽出した。前記DNA試料を用いて8週、12週、16週目に対する対照群と実験群投与グループとの間の腸内マイクロバイオームのプロファイリング(profiling)分析を行った。
マイクロバイオームは生物の系統と従属を特定の基準に基づいてまとめる分類学(Taxonomy)で指定できる。グループ別に8週、12週および16週目の試料に対して門(Phylum)レベルで確認した。8週、12週、および16週目の試料の門(Phylum)レベルでバクテロイデス門(Bacteroidetes)およびファーミキューテス門(Firmicutes)が全般的にすべてのグループで優勢であることを確認した(
図5)。
【0090】
また、16週目の試料の門(Phylum)レベルで陽性対照群と比較した時、実施例2のAdvanced Fos粉末高濃度投与グループと実施例4のAdvanced Fosシロップ中濃度および高濃度投与グループでファーミキューテス門(Firmicutes)が増加し、バクテロイデス門(Bacteroidetes)が減少した。
さらに詳しくは、陽性対照群(1.83%±0.05)と比較した時、Firmicutes:Bacteroidetesの相対豊富度比率(relative abundance ratio)が実施例2の高含有量のケストース含有FOS粉末高濃度投与グループ(2.72%±0.15、p=0.0048)と実施例3の高含有量のケストース含有FOSシロップ中濃度投与グループおよび実施例4による高含有量のケストース含有FOSシロップ高濃度投与グループ(中濃度;2.42%±0.15、p=0.0245、高濃度;3.34%±0.15、p<0.0001)で有意に増加することを確認した。
陽性対照群と比較例1および2のmaltoseグループ(比較例1の中濃度;2.11%±0.07、p=0.2184、比較例2の高濃度;1.58%±0.10、p=0.26)では有意な差がなかった(
図6)。
要するに、PhylumレベルではBacteroidetesとFirmicutesが優点することを確認し、16週目では、陽性対照群、比較例1および2のMaltoseグループと異なり、実施例1~実施例4の実験群投与グループではFirmicutesがBacteroidetesより相対的に増加することを確認した。実施例1の高含有量のケストース含有Fos粉末中濃度グループは、Bacteroidetesの比率が減少しないことが確認されたが、genus profilingによりAlistipesなどの有意な増加に関連することを確認した。
【0091】
Top30による属(genus)レベルでheatmap分析によりグループ別に16週目の試料の腸内微生物を確認した。Genusレベルでは、Lactobacillus、Alistipes、Prevotella、Muribaculum、Bacteroidesなどが腸内優占種であることを確認した。さらに詳しくは、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ムリバクルム(Muribaculum)、アリスティペス(Alistipes)、バクテロイデス(Bacteroides)およびプレボテラ(Prevotella)の4属(Genus)が優勢であった。Lactobacillusは正常対照群と実施例4のAdvanced Fosシロップ高濃度投与グループ(63.70%±2.31、p=0.0022)で高い占有率を確認した。これに対し、実施例2のAdvanced Fos粉末中濃度投与グループは、Alistipesで実施例3のAdvanced Fosシロップ中濃度および実施例4のAdvanced Fosシロップ高濃度投与グループより大きく増加することを視覚的に確認した(
図7、および
図8)。
【0092】
試験例4: SCFA生産バクテリア分析
(1)実験群投与によるSCFA-producing bacteriaの増加
比較例1~4と実施例1~4の実験動物に対して、研究期間の16週目に得た糞便試料で陽性対照群とmaltoseグループと比較した時、実施例1~実施例4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)投与グループでいずれも、short-chain fatty acid sproducing bacteriaであるLactobacillus spp.とAlistipes spp.が有意に増加することを確認した。
【0093】
(2)Lactobacillus spp.
Lactobacillus spp.は、実施例1および2によるAdvanced Fos粉末高濃度と実施例3および4によるAdvanced Fosシロップ中濃度/高濃度投与グループで有意に大きく増加することを確認した。Lactobacillus spp.は、8週、12週、16週にわたって徐々に増加する様相を示すことを確認した。
特に、16週では、陽性対照群(39.61%±4.61)と比較した時、実施例2によるAdvanced Fos粉末高濃度(63.70%±2.31、p=0.0022)と実施例3および4によるAdvanced Fosシロップ中濃度/高濃度投与グループ(中濃度;58.91%±3.28、p=0.0043、高濃度;66.31%±4.35、p=0.0022)は、有意に増加することを確認した。陽性対照群と比較例1および2によるmaltoseグループ(中濃度;40.71%±5.48、p=0.8571、高濃度;35.85%±0.61、p=0.0905)では、有意な差がなかった。Lactobacillus spp.(family Lactobacillaceae、phylum Firmicutes)は、short-chain fatty acid生成bacteriaであって、腸に有益な菌株として知られている。
【0094】
(3)Alistipes spp.
Alistipes spp.は、8週と12週で大差はなく、16週目に有意に増加したことを確認した。実施例1によるAdvanced Fos粉末中濃度グループはAlistipes spp.で実施例3および4によるAdvanced Fosシロップ中濃度/高濃度投与グループより大きく増加することを確認した。特に、16週では、陽性対照群(3.47%±0.99)と比較した時、実施例1および2によるAdvanced Fos粉末中濃度/高濃度(中濃度;14.73%±1.43、p=0.0043、高濃度;14.38%±1.97、p=0.0043)と実施例3および4によるAdvanced Fosシロップ中濃度/高濃度投与グループ(中濃度;8.74%±0.40、p=0.0095、高濃度;6.59%±0.25、p=0.0152)は有意に増加することを確認した。陽性対照群と比較例1および2によるmaltoseグループ(比較例1の中濃度;4.22%±1.51、p=0.4429、比較例2の高濃度;1.76%±0.43、p=0.6095)では有意な差がなかった。Alistipes spp.(family Rikenellaceae、phylum Bacteroidetes)はshort-chain fatty acid生成bacteriaであって、腸に有益な菌株として知られている。
【0095】
(4)Prevotella spp.
陽性対照群と比較例1および2のmaltoseグループと比較した時、実施例1~実施例4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ-中濃度および高濃度)投与実験群で、Prevotella spp.が有意に減少することを確認した。特に、16週では、陽性対照群(5.37%±1.40)と比較した時、実施例1および2によるAdvanced Fos粉末中濃度/高濃度(実施例1の中濃度;1.56%±0.37、p=0.0043、実施例2の高濃度;0.90%±0.35、p=0.0043)と実施例3および4によるAdvanced Fosシロップ中濃度/高濃度投与グループ(実施例3の中濃度;1.58%±0.36、p=0.0087、実施例4の高濃度;1.69%±0.33、p=0.0043)は有意に減少することを確認した。陽性対照群とmaltoseグループ(中濃度;2.80%±0.16、p=0.1077、高濃度;4.31%±0.47、p=0.8571)では有意な差がなかった。Prevotella spp.は自己免疫疾患、インスリン抵抗性、糖尿、腸内炎症誘発と関連性があり、short-chain fatty acidsの生成を減少させる役割を果たすことが知られている。
【0096】
試験例5: 腸内代謝産物(SCFA)分析
(1)糞便内酪酸(Butyrate)含有量の測定
大便サンプル(100mg)を5μg/mlのcaproic acid(Sigma-Aldrich)が含有されているNaOHに均質化し、20分間遠心分離(12,000g、4℃)した。上層液をTube(Corning、USA)に移し、HPLC分析前まで-80℃で保管した。SCFAはAminex 87H column(300×10mm;Bio-Rad、USA)を活用して分析され、butyric acidはRI-detector(ERC、RefractoMax520、Japan)を用いて検出した。
比較例3および4による低含有量のケストース含有Fos(粉末)と実施例1および2による高含有量のケストース含有Advanced Fos(粉末)、実施例3および4による高含有量のケストース含有Advanced Fosシロップを投与した実験群で、16週目に糞便内のbutyrate含有量が高く測定され、陰性対照群(Neg)と類似の数値を示した。
図12は、実験群投与によるマウス糞便サンプル内のButyric acid含有量を比較したグラフであり、その結果、16週目で陽性対照群と比較例1および2のmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのbutyric acidの含有量はそれぞれ32.2±4.9mg/L、45.5±3.9mg/L、29.5±3.5mg/Lであるのに対し、実施例1~4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)はそれぞれ172.8±5.8mg/L、232.6±43.2mg/L、188.1±27.4mg/L、または221.9±23.9mg/Lで有意な増加を示した。Butyric acidは内在免疫および腸健康の維持に重要であり、炎症抑制に関与するので、実施例1~4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)の摂取は、免疫反応と腸健康を正常レベルまで回復することによって、アトピー疾患を改善した。
【0097】
(2)糞便内酢酸(Acetate)含有量の測定
前記試験例5-(1)と同様の方法により、大便サンプルからacetic acidの含有量を測定した。
図13は、実験群投与によるマウス糞便サンプル内Acetic acid含有量を比較したグラフであり、比較した結果、16週目で陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのAcetic acidの含有量はそれぞれ296.1±40.4mg/L、304.9±46.3mg/L、277.1±20.8mg/Lであるのに対し、実施例1~4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)はそれぞれ471.1±38.0mg/L、561.2±75.4mg/L、561.0±29.7mg/L、653.4±103.7mg/Lで有意な増加を示した。
【0098】
(3)糞便内プロピオン酸(Propionic acid)含有量の測定
試験例5-(1)と同様の方法により、大便サンプルからpropionic acidの含有量を測定した。
図14は、実験群投与によるマウス糞便サンプル内Propionic acid含有量を比較したグラフであり、その結果、16週目で陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのPropionic acidの含有量はそれぞれ28.1±2.7mg/L、96.1±17.2mg/L、42.8±6.2mg/Lであるのに対し、実施例1~4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)はそれぞれ112.1±19.2mg/L、158.2±35.6mg/L、143.2±12.7mg/L、211.5±19.6mg/Lで有意な増加を示した。
【0099】
試験例6: アトピー皮膚炎の重症度改善の評価
OVA/Al(OH)
3でアトピー誘導を完了した時期(8週)と実験群投与を完了した時期(16週)に、15分間マウスの掻く回数を測定した。また、皮膚炎の重症度は乾燥、紅斑、角質の症状を基準として、0(なし)、1(軽度)、2(普通)、3(激しい)の深刻度点数を適用して数値化し、最終点数は掻く回数と重症度点数を合算した。
図15は、実験群投与によるアトピー皮膚炎の重症度改善効果をitching scoreおよびseverity scoreなどで数値化して比較したグラフであって、比較例3および4による低含有量のケストース含有Fos(粉末)に比べて、実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群で皮膚炎が緩和されたことを確認し、特に、実施例1~4によるAdvanced Fosを投与した実験群で改善効果に優れていることを確認した。
【0100】
試験例7: 実験動物の血清学的分析
実験群投与終了日に犠牲にしたマウスから血液を得た。血液を4℃で1時間保管し、5,000×gで1時間遠心分離して血清を分離した。
血清IgEおよびCytokine(TNF-α、IFN-γ、IL-12、IL-4、IL-5、IL-13、TARC、Eotaxin、IL-1β、IL-10)の分析は、ELISA kit(R&D systems、USA)の製造業者の指針により行い、吸光度はmicroplate reader(Tecan、Mδnnedorf、Switzerland)を用いて450nmで測定した。
図16は、AD誘発および実験群投与による血清IgEの分泌量を分析したグラフであって、肥満細胞を刺激してADの症状を悪化するIgEの分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのIgEの分泌量はそれぞれ16.7±1.8pg/ml、16.4±1.1pg/ml、13.13±1.3pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ10.9±1.1pg/ml、10.7±0.64pg/mlのレベルを示し、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ10.6±1.1pg/ml、9.9±1.3pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ9.2±1.6pg/ml、8.3±0.6pg/mlでFos(粉末)およびAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でIgEの分泌量が相対的に減少したことを確認した。
【0101】
図17は、AD誘発および実験群投与によるTh1関連Cytokineの分泌量を分析した結果を示す。TNF-αの分泌量を比較したグラフにおいて陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのTNF-αの分泌量はそれぞれ23.8±2.6pg/ml、23.9±2.22pg/ml、23.1±1.3pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ29.8±1.2pg/ml、31.7±0.9pg/mlを示す。
また、実施例1~2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ32.4±1.3pg/ml、35.8±2.4pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ32.3±1.1pg/ml、34.9±2.8pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でTNF-αの分泌量が相対的に増加したことを確認した。
Th1関連IFN-γの分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのIFN-γの分泌量はそれぞれ12.7±0.9pg/ml、13.1±0.3pg/ml、13.7±0.3pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ16.4±0.6pg/ml、17.3±0.7pg/ml、実施例2~3によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ21.1±1.4pg/ml、23.3±0.9pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ17.3±0.5pg/ml、18.3±1.3pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でIFN-γの分泌量が相対的に増加したことを確認した。
Th1関連IL-12の分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのIL-12の分泌量はそれぞれ103.3±5.5pg/ml、101.5±4.6pg/ml、106.3±9.6pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ115.3±5.6pg/ml、122.5±1.6pg/ml、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ128.5±2.9pg/ml、実施例3および4による129.2±2.7pg/ml、Advanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ126.5±3.5pg/ml、125.8±3.0pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でIL-12の分泌量が相対的に増加したことを確認した。
したがって、実施例1~4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)の投与は、Th1関連サイトカインの分泌を調節してTh1/Th2のバランスを回復することによって、アトピー症状を改善した。
【0102】
図18は、AD誘発および実験群投与によるTh2関連Cytokineの分泌量を比較した結果である。具体的には、Th1の細胞分化を抑制し、Th2の細胞分化を促進させてTh1/Th2の不均衡をもたらすIL-4の分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのIL-4の分泌量はそれぞれ46.9±1.0pg/ml、43.5±1.6pg/ml、42.1±2.2pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ26.5±1.7pg/ml、23.1±3.5pg/ml、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ12.8±0.9pg/ml、9.3±0.6pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ13.1±2.5pg/ml、11.3±1.1pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でIL-4の分泌量が相対的に減少したことを確認した。
IL-4と同様に、Th1/Th2の不均衡をもたらすIL-5の分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのIL-5の分泌量はそれぞれ136.9±6.8pg/ml、130.9±8.3pg/ml、136.1±14.7pg/mlのレベルを示したのに対し、Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ122.5±10.9pg/ml、79.8±20.3pg/ml、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ54.2±17.1pg/ml、44.7±15.5pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ76.3±12.4pg/ml、68.9±12.7pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でIL-5の分泌が相対的に減少したことを確認した。
IgEの生成に関与するIL-13の分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのIL-13の分泌量はそれぞれ324.8±31.4pg/ml、316.6±58.4pg/ml、316.6±32.6pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ225.6±5.7pg/ml、168.7±7.1pg/ml、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ143.0±11.3pg/ml、128.4±10.6pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ178.4±14.5pg/ml、138.8±6.9pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でIL-13の分泌量が相対的に減少したことを確認した。
好酸球(Eosiniphil)数の増加と関連があるTARCの分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのTARCの分泌量はそれぞれ27.8±1.95pg/ml、26.6±1.1pg/ml、22.8±1.2pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ22.4±1.5pg/ml、21.2±2.0pg/ml、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ18.0±0.9pg/ml、17.7±1.8pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ19.7±1.1pg/ml、19.1±0.4pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でTARCの分泌量が相対的に減少したことを確認した。
好酸球(Eosiniphil)の皮膚流入および脱顆粒に関与するEotaxinの分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのEotaxinの分泌量はそれぞれ144.7±3.7pg/ml、141.9±3.5pg/ml、137.0±5.8pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ125.3±6.1pg/ml、122.3±1.2pg/ml、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ117.9±5.7pg/ml、113.6±1.5pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ123.0±2.5pg/ml、118.6±7.4pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でEotaxinの分泌量が相対的に減少したことを確認した。
【0103】
実施例1~4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)の投与はサイトカインの分泌を調節してTh2の免疫反応を抑制してTh1/Th2のバランスを回復することによって、アトピー症状を改善した。
図19は、AD誘発および実験群投与によるTreg関連Cytokineの分泌量を比較分析したグラフであって、まず、過発現により全身炎症を誘発するIL-1βの分泌量を比較した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのIL-1βの分泌量はそれぞれ50.7±2.3pg/ml、49.8±1.4pg/ml、45.1±3.2pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ34.2±4.2pg/ml、21.1±3.0pg/ml、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ14.0±3.8pg/ml、11.1±2.6pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ7.3±2.3pg/ml、10.3±3.6pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でIL-1βの分泌量が相対的に減少したことを確認した。
Th1/Th2の不均衡をもたらすIL-10の分泌量の場合、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのIL-10の分泌量はそれぞれ173.7±20.8pg/ml、171.8±20.7pg/ml、170.4±18.3pg/mlのレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ126.2±25.9pg/ml、90.9±8.7pg/ml、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ39.9±12.8pg/ml、27.6±4.04pg/ml、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ41.7±16.8pg/ml、38.1±10.4pg/mlで、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でIL-10の分泌量が相対的に減少したことを確認した。
実施例1~4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度/高濃度)の投与は過度なTreg免疫反応を抑制して炎症反応を抑制し、Th1/Th2のバランスを回復させることによってアトピー症状を改善し、ケストース含有量が高くてさらに優れた効果を達成できるだけでなく、高いケストース含有量を摂取しながらもフラクトオリゴ糖の摂取量が減少してラクトオリゴ糖の過剰摂取による消化器官(下痢、腹部膨張感、腹鳴など)の不快さを低減可能でさらに好ましい。
【0104】
試験例8: Flow cytometry分析
(1)分析方法
犠牲にしたマウスから脾臓を得て、50-mm Petri dish(Nunclon、Denmark)とACK buffer(Gibco、USA)を活用して均質化して赤血球を溶解させた。均質化されたサンプルをcell strainer(SPL、Korea)でろ過し、2%RPMI(Hyclone、USA)で洗浄する。2,000×g、4℃で10分間遠心分離した後、上層液を捨てて2%RPMIに再懸濁した。すべての細胞を同一に希釈し、抗-マウス抗体のCD86とCD274(BD Pharmigen、USA)を処理して4℃で20分間反応させた。細胞表面の発現量はフローサイトメーター(FACSCalibur;Becton Dickinson、USA)を用いて確認した。平均蛍光強度(MFI;Mean fluorescence intensity)に対する分析はFACSCalibur機器のCell Quest software(version6.0)を活用した。
【0105】
(2)AD誘発および実験群投与によるCD86の発現量の確認
図20は、T細胞とB細胞の活性化に関与するCD86の発現量を示すグラフであって、脾臓から分離した脾臓細胞(splenocytes)からアトピー誘発時、T細胞およびB細胞を活性化させるCostimulatory factorであるCD86の発現量を確認した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのCD86の発現量はそれぞれ25.4±2.2%、25.8±0.4%、23.1±1.2%のレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ21.7±1.9%、20.9±1.1%、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ16.1±0.4%、14.0±0.9%、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ16.9±1.0%、17.7±0.8%で、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でCD86の発現量が相対的に減少した。
【0106】
(3)AD誘発および実験群投与によるCD274の発現量の確認
図21は、AD誘発および実験群投与によるCD274の発現量を示すグラフであって、脾臓から分離した脾臓細胞(splenocytes)から損傷した免疫調節機能に関与するnegative immune regulation factorであるCD274の発現量を確認した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループのCD274の発現量はそれぞれ14.1±1.5%、14.9±0.2%、14.8±1.6%のレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ18.8±1.3%、20.4±0.1%、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ22.1±1.2%、23.1±0.2%、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ20.9±1.0%、21.0±0.9%で、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群でCD274の発現量が相対的に増加した。
実施例1~4による実験群(Advanced Fos:粉末およびシロップ-中濃度および高濃度)は免疫反応で損傷した免疫体系を復旧するのに寄与し、過度な免疫細胞の活性を抑制してアトピー症状を改善したと見られた。
【0107】
試験例9: 動物モデルの組織分析
(1)実験方法
犠牲させたマウスの背中皮膚を10%のホルマリン溶液で固定し、パラフィンに包埋させた。皮膚組織切片を4-5umの厚さに切断し、Toluidine blueとCongo red染色剤を用いて組織を染色した。DM 4000B顕微鏡(Leika)を用いて400倍率で肥満細胞(mast cell)および好酸球(eosinophil)の数を測定した。
【0108】
(2)皮膚組織(dorsal skin)内の肥満細胞(mast cell)の測定
図22は、皮膚組織(dorsal skin)内の肥満細胞(mast cell)を確認したグラフであって、ヒスタミンを生成して炎症とかゆみ症を誘発する肥満細胞(mast cell)数を皮膚組織で測定した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループの肥満細胞(mast cell)数はそれぞれ328±19個、366±13個、357±31個のレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ234±1個、226±8個、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ214±7個、206±11個、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ231±9個、221±18個で、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群で肥満細胞(mast cell)数が相対的に減少した。
【0109】
(3)皮膚組織(dorsal skin)内の好酸球(eosinophil)の測定
図23は、皮膚組織(dorsal skin)内の好酸球(eosinophil)を測定したグラフであって、過敏反応に作用し、アトピー症状を悪化させる好酸球(eosinophil)数を皮膚組織で確認した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループの好酸球(eosinophil)数はそれぞれ6.5±2.6個、6±2.5個、6.3±2.5個のレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ4.3±1.7個、4.6±1.9個、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ4±1.6個、2.8±1.5個、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ3±1.2個、2.8±1.1個で、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群で好酸球(eosinophil)数が相対的に減少した。
【0110】
(4)腸組織(ileum)内の肥満細胞(mastcell)の測定
図24は、腸組織(ileum)内の肥満細胞(mast cell)を測定したグラフであって、肥満細胞(mast cell)数を確認した結果、陽性対照群とmaltose(中濃度/高濃度)を投与したグループの肥満細胞(mast cell)数はそれぞれ48±6個、56±12個、59±11個のレベルを示したのに対し、比較例3および4によるFos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ33±7個、32±7個、実施例1および2によるAdvanced Fos(粉末)は中濃度/高濃度でそれぞれ23±6個、24±4個、実施例3および4によるAdvanced Fos(シロップ)は中濃度/高濃度でそれぞれ25±6個、19±8個で、比較例3および4によるFos(粉末)および実施例1~4によるAdvanced Fos(粉末およびシロップ)を投与した実験群で肥満細胞(mast cell)数が相対的に減少した。
【国際調査報告】