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  • 特表-低塩化物鉱物ウール製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】低塩化物鉱物ウール製品
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/4209 20120101AFI20240105BHJP
   C08L 97/00 20060101ALI20240105BHJP
   C08K 7/04 20060101ALI20240105BHJP
   C08H 7/00 20110101ALI20240105BHJP
   D04H 1/587 20120101ALI20240105BHJP
【FI】
D04H1/4209
C08L97/00
C08K7/04
C08H7/00
D04H1/587
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540455
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2021077180
(87)【国際公開番号】W WO2022144105
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/088061
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500336306
【氏名又は名称】ロックウール アクティーゼルスカブ
【住所又は居所原語表記】Hovedgaden 584, 2640 Hedehusene, DENMARK
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】バートニック ヨハンソン ドルテ
(72)【発明者】
【氏名】ニコリック ミロスラフ
【テーマコード(参考)】
4J002
4L047
【Fターム(参考)】
4J002AB042
4J002AE053
4J002AF005
4J002AH001
4J002BJ002
4J002CD002
4J002CF002
4J002CF192
4J002CH023
4J002CM012
4J002CP034
4J002DE059
4J002DE079
4J002DE089
4J002EC057
4J002EL087
4J002EN036
4J002EN106
4J002EN107
4J002EN137
4J002EP017
4J002EP026
4J002ER006
4J002ET019
4J002EU186
4J002EU226
4J002EX008
4J002FD023
4J002FD027
4J002FD142
4J002FD146
4J002GK00
4J002GK02
4J002HA07
4L047AA01
4L047AA06
4L047BC00
4L047BC14
4L047CB03
4L047CB10
4L047CC08
(57)【要約】
本発明は、非腐食性の断熱材及び/又は防音材として適している低水浸出性塩化物含有量を有する鉱物繊維製品に向けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含む鉱物繊維製品であって、未硬化のバインダ組成物は、
1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)
を含み、前記鉱物繊維製品は、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有する、鉱物繊維製品。
【請求項2】
前記鉱物繊維製品は、EN13468:2001に従って6mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有する請求項1に記載の鉱物繊維製品。
【請求項3】
断熱製品及び/又は防音製品である請求項1又は請求項2に記載の鉱物繊維製品。
【請求項4】
前記鉱物繊維製品は、パイプ、貯蔵タンク、ボイラ、容器若しくはカラムのための断熱材及び/若しくは防音材であり、かつ/又は
前記鉱物繊維製品は、予備成形されたパイプ部分、金網補強ブランケット若しくは厚板の形態にあり、かつ/又は
前記鉱物繊維製品は、20mm~500mm、好ましくは30mm~300mm、例えば50mm~150mmの範囲の厚さを有する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項5】
前記未硬化のバインダ組成物は水性バインダ組成物であり、好ましくは前記水性バインダ組成物に含有される水の少なくとも一部又は水全体は非精製水であり、前記非精製水は、好ましくは、水道水、雨水、プロセス水又はこれらの組み合わせから選択される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項6】
前記未硬化のバインダ組成物は、
1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
任意選択で、1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と
を含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項7】
成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.05~0.6mmol/gのカルボン酸基含有量を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項8】
成分(i)は、成分(i)のM_n重量平均を考慮して1高分子当たり1.8基未満、例えば1.4未満、例えば1.1未満、例えば0.7未満、例えば0.4未満の平均カルボン酸基含有量を有する1種以上のリグノスルホネートリグニンの形態にある請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項9】
成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.3~2.5mmol/g、例えば0.5~2.0mmol/g、例えば0.5~1.5mmol/gのフェノール性OH基の含有量を有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項10】
成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて1.0~8.0mmol/g、例えば1.5~6.0mmol/g、例えば2.0~5.0mmol/gの脂肪族OH基の含有量を有する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項11】
前記成分(i)は、リグノスルホン酸アンモニウム及び/若しくはリグノスルホン酸カルシウム、及び/若しくはリグノスルホン酸マグネシウム、又はいずれかのこれらの組み合わせを含む請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項12】
成分(i)は、リグノスルホン酸アンモニウム及びリグノスルホン酸カルシウムを含み、NH 対Ca2+のモル比は、5:1~1:5、特に3:1~1:3の範囲にある請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項13】
前記水性バインダ組成物は、リグノスルホネート及び糖の重量に基づいて0~5重量%未満の量の添加糖を含有する請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項14】
前記バインダ組成物は、成分(i)及び(ii)の乾燥重量に基づいて50~98重量%、例えば65~98重量%、例えば80~98重量%の量の成分(i)を含む請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項15】
前記バインダ組成物は、成分(i)及び(ii)の乾燥重量に基づいて50~88重量%、例えば50~87重量%、例えば65~88重量%、例えば65~87重量%、例えば80~88重量%、例えば80~87重量%の量の成分(i)を含む請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項16】
前記水性バインダ組成物は、成分(i)及び(ii)の乾燥重量に基づいて50~98重量%、例えば65~98重量%、例えば80~98重量%の量の成分(i)を含む請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項17】
前記成分(ii)は、
a)β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤及び/若しくはオキサゾリン架橋剤、並びに/又は
b)アルカノールアミン等の多官能性有機アミン、ヘキサメチルジアミン等のジアミン、トリアミン、並びに/又は
c)500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば、反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含有する1種以上の屈曲性のオリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、並びに/又は
d)ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、脂肪アミンからなる群から選択される1種以上の架橋剤、並びに/又は
e)脂肪アミドの形態の1種以上の架橋剤、並びに/又は
f)ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールから選択される1種以上の架橋剤、並びに/又は
g)デンプン、加工デンプン、CMCからなる群から選択される1種以上の架橋剤、並びに/又は
h)脂肪族多官能性カルボジイミドの形態の1種以上の架橋剤、並びに/又は
i)ヘキサキス(メチルメトキシ)メラミン(HMMM)ベースの架橋剤等のメラミン系架橋剤から選択される1種以上の架橋剤
から選択される1種以上の架橋剤の形態にある請求項6から請求項14のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項18】
前記成分(ii)は、β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤及び/又はオキサゾリン架橋剤から選択される1種以上の架橋剤を含む請求項17に記載の鉱物繊維製品。
【請求項19】
成分(i)の乾燥重量に基づいて1~50重量%、例えば4~20重量%、例えば6~12重量%の量の成分(ii)を含む請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項20】
成分(i)の乾燥重量に基づいて1~50重量%、例えば4~20重量%、例えば6~12重量%の量の成分(ii)を含む請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項21】
前記成分(ii)は、
β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド、及び/又は
アルカノールアミン等の多官能性有機アミン、ヘキサメチルジアミン等のジアミンからなる群、及び/又は
500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドに基づくエポキシ化油、若しくは反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含有する1種以上の屈曲性のオリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、及び/又は
多官能性カルボジイミド、例えば脂肪族多官能性カルボジイミド、の形態の1種以上の架橋剤
から選択される1種以上の架橋剤の形態にある請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項22】
前記成分(ii)は、
β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド
から選択される1種以上の架橋剤を含む請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項23】
成分(i)の乾燥重量に基づいて2~90重量%、例えば6~60重量%、例えば10~40重量%、例えば25~40重量%の量の成分(ii)を含む請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項24】
成分(iii)は、
脂肪アルコール、モノヒドロキシアルコール、例えばペンタノール、ステアリルアルコールからなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
アルコキシレート、例えばエトキシレート、例えばブタノールエトキシレート、例えばブトキシトリグリコールからなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
プロピレングリコールの形態の1種以上の可塑剤、及び/又は
グリコールエステルの形態の1種以上の可塑剤、及び/又は
アジペート、アセテート、ベンゾエート、シクロベンゾエート、シトレート、ステアレート、ソルベート、セバケート、アゼレート、ブチレート、バレレートからなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
アルキル若しくはアリール置換フェノール等のフェノール誘導体からなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
シラノール、シロキサンからなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
アルキルスルフェート等のスルフェート、アルキルアリールスルホネート等、アルキルスルホネート等のスルホネート、トリポリホスフェート等のホスフェートからなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
ヒドロキシ酸の形態の1種以上の可塑剤、及び/又は
アセトアミド、ベンズアミド等のモノマーアミド、トール油アミド等の脂肪酸アミドからなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
トリメチルグリシン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム化合物からなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
ヒマシ油、パーム油、亜麻仁油、大豆油等の植物油からなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
トール油、及び/又は
硬化油、アセチル化油からなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
酸メチルエステルから選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
アルキルポリグルコシド、グルコンアミド、アミノグルコースアミド、スクロースエステル、ソルビタンエステルからなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテルからなる群から選択される1種以上の可塑剤、及び/又は
ポリオール、例えばグリセロール、例えば1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパンの形態の1種以上の可塑剤、及び/又は
トリエタノールアミン
の形態で前記未硬化のバインダ組成物に含まれる請求項6から請求項23のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項25】
成分(iii)は、プロピレングリコール、フェノール誘導体、シラノール、シロキサン、ヒドロキシ酸、植物油、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、トリエタノールアミン、又はこれらのいずれかの混合物の形態にある請求項6から請求項24のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項26】
成分(iii)は、1種以上の100~380℃、より好ましくは120~300℃、より好ましくは140~250℃の沸点を有する可塑剤を含む請求項6から請求項24のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項27】
成分(iii)は、1種以上の150~50000g/mol、特に150~4000g/mol、より特に150~1000g/mol、好ましくは150~500g/mol、より好ましくは200~400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む請求項6から請求項24のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項28】
前記成分(iii)は、成分(i)の乾燥重量に基づいて0.5~60重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは3~15重量%の量で存在する請求項6から請求項24のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項29】
1種以上のカップリング剤、例えば有機官能性シランの形態のさらなる成分(iv)を含む請求項1から請求項28のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項30】
塩基の群、例えばアンモニア、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばKOH、例えばアルカリ土類金属水酸化物、例えばCa(OH)、例えばMg(OH)、例えばアミン、又はこれらのいずれかの塩から選択される1種以上の成分の形態の成分(v)をさらに含む請求項1から請求項29のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項31】
尿素の形態のさらなる成分を、特に成分(i)の乾燥重量に基づいて5~40重量%、例えば10~30重量%、例えば15~25重量%の量で含む請求項1から請求項30のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項32】
1種以上の反応性シリコーン又は非反応性シリコーンの形態のさらなる成分(vi)を含む請求項1から請求項31のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品。
【請求項33】
断熱材及び/又は防音材、特に非腐食性の断熱材及び/又は防音材としての、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含む鉱物繊維製品の使用であって、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンを含み、前記鉱物繊維製品は、任意選択で、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有する、使用。
【請求項34】
前記鉱物繊維製品は、パイプ、貯蔵タンク、ボイラ、容器又はカラム、好ましくはパイプから選択される物体のための断熱材及び/又は防音材、特に非腐食性の断熱材及び/又は防音材として使用される請求項33に記載の使用。
【請求項35】
-20℃~320℃、好ましくは0℃~200℃、例えば50℃~175℃の範囲の温度における請求項33又は請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記鉱物繊維製品は、金属で作られた物体のための断熱材及び/又は防音材、特に非腐食性の断熱材及び/又は防音材として使用され、前記金属は、好ましくは銅又は鋼から、特に炭素鋼、ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、非合金鋼又は低合金鋼から選択される請求項33から請求項35のいずれか1項に記載の使用。
【請求項37】
前記鉱物繊維製品は、請求項1から請求項32のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品である請求項33から請求項36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項38】
硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含む鉱物繊維製品の製造方法であって、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンを含み、前記鉱物繊維製品は、任意選択で、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有し、
前記方法は、
a)1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニン及び水を含む未硬化の水性バインダ組成物を提供する工程と、
b)鉱物繊維を前記未硬化の水性バインダ組成物と接触させる工程と、
c)前記バインダ組成物を前記鉱物繊維と接触した状態で硬化させる工程と
を含み、前記未硬化の水性バインダ組成物に含有される水の少なくとも一部又は水全体は添加された非精製水であり、前記非精製水は、好ましくは、水道水、雨水、プロセス水又はこれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項39】
添加される非精製水の割合は、前記未硬化のバインダ組成物に含有される水の総重量に基づいて30~100重量%、好ましくは50~100重量%の範囲にあり、かつ/又は
前記未硬化の水性バインダ組成物中の水分含量は、前記未硬化の水性バインダ組成物の総重量に基づいて40~90重量%、好ましくは60~85重量%の範囲にある
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記鉱物繊維製品は、請求項1から請求項32のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品である請求項38又は請求項39に記載の方法。
【請求項41】
断熱材及び/又は防音材としての鉱物繊維製品で被覆された中空物体であって、前記鉱物繊維製品は、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含み、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、前記リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンを含み、前記鉱物繊維製品は、任意選択で、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有する、中空物体。
【請求項42】
前記中空物体は、パイプ、貯蔵タンク、ボイラ、容器又はカラム、好ましくはパイプから選択され、かつ/又は前記中空物体は金属で作られ、前記金属は、好ましくは銅又は鋼から、特に炭素鋼、ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、非合金鋼若しくは低合金鋼から選択される請求項41に記載の中空物体。
【請求項43】
前記鉱物繊維製品は、請求項1から請求項32のいずれか1項に記載の鉱物繊維製品である請求項41又は請求項42に記載の中空物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物繊維製品、及び鉱物繊維製品の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱物繊維製品(鉱物ウール(鉱物綿)製品とも呼ばれる)は、一般に、例えばガラス繊維、セラミック繊維、バサルト繊維(玄武岩繊維)、スラグ繊維、及び石繊維(stone fibre)(岩石繊維(rock fibre))等の鉱物繊維(人造ガラス質繊維(man-made vitreous fibre、MMVF)とも呼ばれる)を含み、これらは硬化した熱硬化性ポリマーバインダ(結合剤)材料によって互いに結合される。断熱製品又は防音製品として使用するために、結合された鉱物繊維マットは、通常、好適な原材料で作られた溶融物を従来の方法で、例えばスピニングカップ(spinning cup)プロセス又はカスケードロータ(cascade rotor)プロセスによって繊維に変換することによって製造される。繊維は、成形チャンバ内に吹き込まれ、空気中にある間及びまだ熱い間、バインダ溶液を噴霧され、マット又はウェブとして移動コンベヤ上にランダムに堆積される。次いで、繊維マットは硬化オーブンに移され、そこで加熱空気がマットに吹き込まれてバインダが硬化し、鉱物繊維が強固に結合される。
【0003】
過去には、選択されたバインダ樹脂は、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂であり、これは経済的に製造することができ、バインダとして使用する前に尿素で延長することができる。しかしながら、ホルムアルデヒド放出(排出)の低減又は排除に関する既存の法律及び提案された法律を考慮して、例えば、欧州特許出願公開第583086号明細書、欧州特許出願公開第990727号明細書、欧州特許出願公開第1741726号明細書、米国特許第5,318,990号明細書、及び米国特許出願公開第2007/0173588号明細書に開示されているようなポリカルボキシポリマー及びポリオール又はポリアミンをベースとするバインダ組成物等のホルムアルデヒドを含まないバインダが開発されている。
【0004】
非フェノール-ホルムアルデヒドバインダの別の群は、例えば、国際公開第99/36368号パンフレット、国際公開第01/05725号パンフレット、国際公開第01/96460号パンフレット、国際公開第02/06178号パンフレット、国際公開第2004/007615号パンフレット及び国際公開第2006/061249号パンフレットに開示されるように、脂肪族無水物及び/又は芳香族無水物とアルカノールアミンとの付加/脱離反応生成物である。これらのバインダ組成物は水溶性であり、硬化速度及び硬化密度の点で優れた結合特性を示す。国際公開第2008/023032号パンフレットは、水分吸収が低減された鉱物ウール製品を提供するそのタイプの尿素変性バインダを開示する。
【0005】
これらのバインダの製造に使用される出発材料のいくつかはかなり高価な化学物質であるので、経済的に製造されるホルムアルデヒドを含まないバインダを提供することが継続的に必要とされている。
【0006】
鉱物繊維からの以前から公知である水性バインダ組成物に関連するさらなる効果は、これらのバインダの製造に使用される出発材料の少なくとも大部分が化石燃料に由来することである。再生可能材料から完全に又は少なくとも部分的に製造される製品を好む消費者の傾向は継続しており、それゆえ、再生可能材料から少なくとも部分的に製造される鉱物ウール用のバインダを提供する必要がある。
【0007】
工業設備又は配管のための断熱材又は防音材としての鉱物繊維製品の使用の主な問題は腐食である。従って、保温材下腐食(Corrosion Under Insulation、CUI)は、水又は湿気の浸透に起因して外部クラッド絶縁体の下に生じる配管又は設備の外部腐食を指す。腐食した表面は、絶縁系によってほとんど隠され、検査のために、又は健康及び安全事故につながる金属破損及び/又は漏出の事象において、絶縁が取り外されるまで観察されないであろう。CUIは、特に、例えば石油ガス産業におけるパイプラインのような周期的な温度変化を受ける鋼構造物に対して絶縁下で起こる。
【0008】
腐食は、水及び酸素の存在下で起こる。絶縁下の鋼材等の設備又は配管が乾燥したままである場合、腐食の問題はない。しかしながら、絶縁部を乾燥状態に保つことは困難である可能性がある。特定の種類の腐食は、水溶性塩化物によって引き起こされるか又は支援されることが可能である。従来技術の鉱物繊維用バインダ組成物は、かなりの量の水溶性塩化物を含むことができる。従って、鉱物繊維製品自体が絶縁部品の腐食に寄与する可能性がある。
【0009】
炭素鋼の絶縁下での腐食の危険性は、50~175℃の温度範囲において高く、-20~320℃の周期的(循環)温度使用において極端に高いと考えられる。最も頻繁に発生するタイプのCUIは、湿潤絶縁部が炭素鋼と接触すると起こり得る炭素鋼の全面腐食及び孔食、並びに主に水溶性塩化物の作用によって引き起こされる特定のタイプの腐食であるオーステナイト系ステンレス鋼の外面応力腐食追跡(external stress corrosion tracking、ESCT)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第583086号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第990727号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1741726号明細書
【特許文献4】米国特許第5,318,990号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0173588号明細書
【特許文献6】国際公開第99/36368号パンフレット
【特許文献7】国際公開第01/05725号パンフレット
【特許文献8】国際公開第01/96460号パンフレット
【特許文献9】国際公開第02/06178号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2004/007615号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2006/061249号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2008/023032号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、断熱物体に対する腐食性が低減され、経済的に製造され、鉱物繊維製品を製造するために使用される水性バインダ組成物の調製のための出発物として再生可能材料を使用する断熱用鉱物繊維製品を提供することであった。
【0012】
本発明のさらなる目的は、そのような鉱物繊維製品の使用を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含む鉱物繊維製品であって、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンを含み、当該鉱物繊維製品は、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有する、鉱物繊維製品が提供される。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、断熱材及び/又は防音材、特に非腐食性の断熱材及び/又は防音材としての、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含む鉱物繊維製品の使用であって、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンを含み、この鉱物繊維製品は、任意選択で、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有する、使用が提供される。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含む鉱物繊維製品の製造方法であって、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンを含み、この鉱物繊維製品は、任意選択で、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有し、
当該方法は、
a)1種以上のリグノスルホネートリグニン及び水を含む未硬化の水性バインダ組成物を提供する工程と、
b)鉱物繊維を上記未硬化の水性バインダ組成物と接触させる工程と、
c)上記バインダ組成物を上記鉱物繊維と接触した状態で硬化させる工程と
を含み、上記未硬化の水性バインダ組成物に含有される水の少なくとも一部又は水全体は添加された非精製水であり、この非精製水は、好ましくは、水道水、雨水、プロセス水又はこれらの組み合わせから選択される、方法が提供される。
【0016】
好ましくは、上記リグノスルホネートリグニンは、そのリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、断熱材及び/又は防音材としての鉱物繊維製品で被覆された中空物体であって、この鉱物繊維製品は、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含み、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンを含み、上記鉱物繊維製品は、任意選択で、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有する、中空物体が提供される。
【0018】
本発明者らは、リグノスルホネートリグニンをベースとするバインダ組成物が鉱物繊維製品に使用される場合、その鉱物繊維製品を低腐食性又はさらには非腐食性の断熱材及び/又は防音材として使用することが可能であるということを見出した。このバインダ組成物は、驚くほど低い水浸出性塩化物含有量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】リグノスルホネートの一般に使用されるモデル構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の鉱物繊維製品は、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含み、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンを含み、当該鉱物繊維製品は、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有し、水浸出性塩化物含有量は、EN13468:2001に従って、好ましくは6mg/kg未満である。
【0021】
本出願の目的のために、鉱物繊維製品の水浸出性塩化物含有量は、EN13468:2001に従って測定される。規格EN13468:2001は、とりわけ、建築設備及び工業設備用の断熱製品における微量の水溶性塩化物の決定に関する。この規格は、製品の水性抽出物中の微量の水溶性塩化物を決定するための装置及び手順を規定する。詳細についてはこの規格を参照されたい。
【0022】
水浸出性塩化物含有量は、鉱物繊維製品1kg当たりの塩化物mgで与えられる。EN規格の表1を参照すると、100℃及び0.5時間の浸出が使用される。EN13468の7.2.1による試料調製。EN13468の7.2.2.2による分析(イオンクロマトグラフィー測定)。
【0023】
本発明者らは、本発明の鉱物繊維製品が驚くほど低い水浸出性塩化物含有量を有することを見出した。これは、水道水又はプロセス水等の非精製水が未硬化のバインダ組成物を調製するために使用される場合にさえ当てはまる。当業者に公知であるように、非精製水はかなりの量の塩化物を含有している可能性がある。
【0024】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、本発明の鉱物繊維製品の低い水浸出性塩化物含有量は、たとえ水道水又はプロセス水がバインダ組成物を調製するために使用されるとしても、リグノスルホネートリグニンをベースとするバインダマトリクス内の塩化物イオンの捕捉に少なくとも部分的に基づくと考えている。この捕捉は、塩化物が腐食活性に利用できないように、塩化物の浸出を排除する。
【0025】
一般に、上記未硬化のバインダ組成物は水性バインダ組成物である。この水性バインダ組成物中に含有される水は、精製水、非精製水、又は添加される精製水及び非精製水の組み合わせであってもよい。
【0026】
好ましい実施形態では、未硬化のバインダ組成物は水性バインダ組成物であり、この水性バインダ組成物に含有される水の少なくとも一部又は水全体は非精製水であり、水の他の部分は、存在する場合には、精製水である。通常の従来技術のバインダでは、相当な塩化物含有量を避けるために通常は精製水が使用されるので、これは驚くべきことである。精製水の例は、浸透水、脱イオン水又は蒸留水であり、さらに以下で言及される。
【0027】
精製水は、概して、不純物を除去し、使用に適するようにするために機械的に濾過又は処理された水である。蒸留水は、精製水の最も一般的な形態であるが、近年、水は、容量性脱イオン化、逆浸透、炭素濾過、精密濾過、限外濾過、紫外線酸化、又は電気脱イオン化を含む他のプロセスによってより頻繁に精製されている。未硬化のバインダ組成物に使用される精製水は、10mg/L未満、好ましくは5mg/L未満の塩化物含有量を有することが好ましい。
【0028】
好適な非精製水の例は、水道水、雨水、プロセス水、又はこれらの組み合わせである。水道水及び雨水の塩化物含有量は、一般に10~200mg/Lの範囲にある。プロセス水の塩化物含有量は、一般に25~200mg/L塩化物の範囲にある。未硬化のバインダ組成物に使用される非精製水は、少なくとも10mg/Lの塩化物含有量、例えば10~200mg/Lの範囲の塩化物含有量を有することができることが好ましい。
【0029】
添加される非精製水の割合は、未硬化のバインダ組成物に含有される水の総重量に基づいて0~100重量%、好ましくは30~100重量%、最も好ましくは50~100重量%の範囲にあることができ、他の割合は、存在する場合、精製水である。
【0030】
製造プラントでは、バインダ組成物は、通常、濃縮形態で製造され、すなわち水分含量は低く保たれる。送達後、濃縮バインダ組成物は、鉱物繊維製造の現場で水の添加によって適切な粘度まで希釈される。希釈されたバインダ組成物は鉱物繊維と接触され、硬化されて鉱物繊維製品が生成される。本発明の利点は、濃縮バインダ組成物を希釈するために、水道水、雨水又はプロセス水等の非精製水を使用することができるにもかかわらず、低水浸出性塩化物含有量を有する生成物が達成されることである。
【0031】
本発明に係る鉱物ウール製品は、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・任意選択で、1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と
を含む、フェノール及びホルムアルデヒドを含まない水性バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む。
【0032】
特に、本発明の第1の態様によれば、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・任意選択で、1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と
を含む、フェノール及びホルムアルデヒドを含まない水性バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品であるが、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・500以下の分子量Mを有するエポキシ化合物
から選択される架橋剤を含まない、鉱物繊維製品が提供される。
【0033】
特に、本発明の第1の態様によれば、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・任意選択で、1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と
を含む、フェノール及びホルムアルデヒドを含まない水性バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品であるが、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・式R-[C(O)Rのアルデヒド、カルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物であって、上記式中、
Rは、飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素基、1つ以上の5個又は6個の炭素原子からなる芳香族核を含む基、1つ以上の、4個又は5個の炭素原子及び酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含有する芳香族複素環を含む基を表し、このR基は他の官能基を含有することが可能であり、
は、水素原子又はC~C10アルキル基を表し、
xは1~10の範囲にあるカルボニル化合物
から選択される架橋剤を含まない、鉱物繊維製品が提供される。
【0034】
特に、本発明の第1の態様によれば、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・任意選択で、1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と
を含む、フェノール及びホルムアルデヒドを含まない水性バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品であるが、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・ポリアミン
から選択される架橋剤を含まない、鉱物繊維製品が提供される。
【0035】
特に、本発明の第1の態様によれば、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・任意選択で、1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と
を含む、フェノール及びホルムアルデヒドを含まない水性バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品であるが、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・単糖及びオリゴ糖
から選択される架橋剤を含まない、鉱物繊維製品が提供される。
【0036】
1つの実施形態では、本発明に係る鉱物ウール製品は、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)であって、
・β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤、及び/又は
・500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドに基づくエポキシ化油、若しくは反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含有する1種以上の屈曲性の(柔軟な)オリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、及び/又は
・多官能性カルボジイミド、例えば脂肪族多官能性カルボジイミド、の形態の1種以上の架橋剤、及び/又は
・Primid XL-552
から選択される1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・任意選択で、1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と
を含む、フェノール及びホルムアルデヒドを含まない水性バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含むが、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・500以下の分子量Mを有するエポキシ化合物、
・式R-[C(O)Rのアルデヒド、カルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物であって、上記式中、
Rは、飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素基、1つ以上の5個又は6個の炭素原子からなる芳香族核を含む基、1つ以上の、4個又は5個の炭素原子及び酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含有する芳香族複素環を含む基を表し、このR基は他の官能基を含有することが可能であり、
は、水素原子又はC~C10アルキル基を表し、
xは1~10の範囲にあるカルボニル化合物、
・ポリアミン
から選択される架橋剤を含まない。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明に係るバインダはホルムアルデヒドを含まない。
【0038】
本出願の目的のために、用語「ホルムアルデヒドを含まない」、「ホルムアルデヒド不含」は、鉱物ウール製品からの放出量が5μg/m/h未満、好ましくは3μg/m/h未満のホルムアルデヒドである鉱物ウール製品を特徴付けるように定義される。好ましくは、試験は、アルデヒド放出量を試験するためのISO16000に従って実施される。
【0039】
好ましい実施形態では、当該バインダはフェノールを含まない。
【0040】
本出願の目的のために、用語「フェノールを含まない」、「フェノール不含」は、水性バインダ組成物が、15重量%の乾燥固形分バインダ含有量を有する水性組成物の総重量に基づいて0.25重量%以下、例えば0.1重量%以下、例えば0.05重量%以下の量のフェノールを含有するように定義される。
【化1】
【0041】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、添加されたホルムアルデヒドを含有しない。
【0042】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、添加されたフェノールを含まない。
【0043】
本発明の目的のために、用語「単糖及びオリゴ糖」は、単糖及び10以下の糖単位を有するオリゴ糖を含むと定義される。
【0044】
本発明の目的のために、用語「糖」は、単糖及び10以下の糖単位を有するオリゴ糖を含むと定義される。
【0045】
本発明に係る鉱物繊維製品を調製するための未硬化のバインダ組成物は、成分(i)として1種以上のリグノスルホネートリグニンを含む。
【0046】
成分(i)
成分(i)は、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態にある。
【0047】
リグニン、セルロース及びヘミセルロースは、植物細胞壁における3つの主要な有機化合物である。リグニンは、セルロース繊維をまとめて保持する接着剤と考えることができる。リグニンは親水性基と疎水性基の両方を含有する。リグニンは、世界中で2番目に豊富な天然ポリマーであり、セルロースに次いで2番目であり、全体で10億トンを超えるバイオマス中に含まれる全炭素の20~30%程度に相当すると推定される。
【0048】
リグノスルホネートプロセスは、大量のスルホネート基を導入して、リグニンを水だけでなく酸性水溶液にも可溶にする。リグノスルホネートは、スルホネートとして8%までの硫黄を有するが、クラフトリグニンは1~2%の硫黄を有し、大部分がリグニンに結合している。リグノスルホネートの分子量は、15,000~50,000g/molである。リグニンの典型的な疎水性コアは、多数のイオン化スルホネート基と共に、このリグニンを界面活性剤として魅力的なものにし、リグニンは、多くの場合、セメント等を分散させる際に用途を見出す。
【0049】
リグニンベースの付加価値のある物を生成するためには、まずリグニンをバイオマスから分離しなければならず、そのためにいくつかの方法を用いることができる。クラフト及び亜硫酸パルプ化プロセスは、木材からのそれらの効果的なリグニン分離について公知であり、従って、世界中で使用されている。クラフトリグニンは、NaOH及びNaSの助けを借りて木材から分離される。亜硫酸パルプ化プロセスからのリグニンは、リグノスルホネートと表され、様々なpHレベルで亜硫酸及び/又はマグネシウム、カルシウム、ナトリウム若しくはアンモニウムを含有する亜硫酸塩を使用することによって生成される。現在、リグノスルホネートは市販のリグニンの全市場の90%を占め、リグノスルホネートの年間世界総生産量は約180万トンである。リグノスルホネートは、概して、豊富なスルホン酸基を有し、従って、クラフトリグニンよりも多量の硫黄を有する。スルホン化基の存在により、リグノスルホネートはアニオン性に荷電し、水溶性である。リグノスルホネートの分子量(Mw)は、クラフトリグニンの分子量(Mw)と同程度又はそれより大きいことが可能である。その独特の特性のために、リグノスルホネートは、動物飼料、殺虫剤、界面活性剤、油掘削における添加剤、コロイド懸濁液における安定剤、及びコンクリート混和物における可塑剤等の広範な用途を有する。しかしながら、新しいパルプ工場の大部分は、パルプ生産のためにクラフト技術を採用し、従って、クラフトリグニンは、付加価値のある生産のためにより容易に利用可能である。
【0050】
しかしながら、リグノスルホネート及びクラフトリグニンは、異なる単離プロセス、従って官能基の分布に由来する異なる特性を有する。リグノスルホネート中の高レベルのスルホン酸基、一般に4つのC9単位ごとに少なくとも1つは、リグノスルホネートを水中のすべてのpHレベルで強く荷電させる。イオン化可能な官能基のこの豊富さは、他の工業リグニンと比較した差異のほとんどを説明することができる。より高い電荷密度は、クラフトリグニンと比較して、より容易な水溶性及び溶液中でのより高い固形分含量を可能にする。また、同じ理由で、リグノスルホネートは、同じ固形分含量でクラフトリグニンと比較してより低い溶液粘度を有し、これは取り扱い及び加工を容易にすることができる。リグノスルホネートの一般に使用されるモデル構造を図1に示す。
【0051】
1つの実施形態では、成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.05~0.6mmol/g、例えば0.1~0.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する。
【0052】
1つの実施形態では、成分(i)は、成分(i)のM_n重量平均を考慮して1高分子当たり1.8基未満、例えば1.4未満、例えば1.1未満、例えば0.7未満、例えば0.4未満の平均カルボン酸基含有量を有する1種以上のリグノスルホネートリグニンの形態にある。
【0053】
1つの実施形態では、成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.3~2.5mmol/g、例えば0.5~2.0mmol/g、例えば0.5~1.5mmol/gのフェノール性OH基の含有量を有する。
【0054】
1つの実施形態では、成分(i)は、リグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて1.0~8.0mmol/g、例えば1.5~6.0mmol/g、例えば2.0~5.0mmol/gの脂肪族OH基の含有量を有する。
【0055】
1つの実施形態では、成分(i)は、リグノスルホン酸アンモニウム(アンモニウムリグノスルホネート)及び/又はリグノスルホン酸カルシウム(カルシウムリグノスルホネート)及び/又はリグノスルホン酸マグネシウム(マグネシウムリグノスルホネート)、並びにいずれかのこれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0056】
1つの実施形態では、成分(i)は、リグノスルホン酸アンモニウム及びリグノスルホン酸カルシウムを含み、NH 対Ca2+のモル比は、5:1~1:5、特に3:1~1:3の範囲にある。
【0057】
本発明の目的のために、リグノスルホネート、リグノスルホン酸塩という用語は、スルホン化クラフトリグニンを包含する。
【0058】
1つの実施形態では、成分(i)は、スルホン化クラフトリグニンである。
【0059】
1つの実施形態では、当該水性バインダ組成物は、リグノスルホネート及び糖の重量に基づいて0~5重量%、例えば5重量%未満、例えば0~4.9重量%、例えば0.1~4.9重量%の量の添加糖を含有する。
【0060】
1つの実施形態では、当該水性バインダ組成物は、成分(i)及び(ii)の総重量に基づいて50~98重量%、例えば65~98重量%、例えば80~98重量%の量の成分(i)、すなわちリグノスルホネート、を含む。
【0061】
1つの実施形態では、当該水性固体バインダ組成物は、成分(i)及び(ii)の総重量に基づいて50~88重量%、例えば50~87重量%、例えば65~88重量%、例えば65~87重量%、例えば80~88重量%、例えば80~87重量%の量の成分(i)、すなわちリグノスルホネート、を含む。
【0062】
1つの実施形態では、当該水性バインダ組成物は、成分(i)、(ii)及び(iii)の乾燥重量に基づいて50~98重量%、例えば65~98重量%、例えば80~98重量%の量の成分(i)を含む。
【0063】
1つの実施形態では、当該水性バインダ組成物は、成分(i)、(ii)及び(iii)の総重量に基づいて50~88重量%、例えば50~87重量%、例えば65~88重量%、例えば65~87重量%、例えば80~88重量%、例えば80~87重量%の量の成分(i)、すなわちリグノスルホネート、を含む。
【0064】
本発明の目的のために、リグニン官能基の含有量は、特徴付け方法として31P NMRを使用することによって決定される。
【0065】
31P NMRのための試料調製は、ホスフィチル化試薬として2-クロロ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサホスホラン(TMDP)を使用し、内部標準としてコレステロールを使用することによって行われる。積分は、Granata及びArgyropoulosの研究(J.Agric.Food Chem. 43:1538-1544)に従う。
【0066】
成分(ii)
成分(ii)は、1種以上の架橋剤の形態にある。
【0067】
1つの実施形態では、成分(ii)は、
a)β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤及び/若しくはオキサゾリン架橋剤、並びに/又は
b)アルカノールアミン等の多官能性有機アミン、ヘキサメチルジアミン等のジアミン、トリアミンからなる群、並びに/又は
c)500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば、反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含有する1種以上の屈曲性のオリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、並びに/又は
d)ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、脂肪アミンからなる群から選択される1種以上の架橋剤、並びに/又は
e)脂肪アミドの形態の1種以上の架橋剤、並びに/又は
f)芳香族アルデヒド、例えばヒドロキシベンズアルデヒド、例えばアミノベンズアルデヒド、例えばヒドロキシ-メトキシベンズアルデヒドからなる群から、及び/若しくは脂肪族アルデヒド、例えばデカナールの群から選択される1種以上の架橋剤、並びに/又は
g)ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールから選択される1種以上の架橋剤、並びに/又は
h)デンプン、加工デンプン、CMCからなる群から選択される1種以上の架橋剤、並びに/又は
i)脂肪族多官能性カルボジイミドの形態の1種以上の架橋剤、並びに/又は
j)ヘキサキス(メチルメトキシ)メラミン(HMMM)ベースの架橋剤等のメラミン系架橋剤から選択される1種以上の架橋剤
から選択される1種以上の架橋剤の形態にある。
【0068】
1つの実施形態では、成分(ii)は、1つの実施形態では、β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤及び/又はオキサゾリン架橋剤から選択される1種以上の架橋剤を含む。
【0069】
β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤は、酸官能性高分子のための硬化剤である。このβ-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤は、硬く、耐久性があり、耐食性があり、耐溶剤性の架橋ポリマーネットワークを提供する。β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤は、エステル化反応によって硬化して、複数のエステル結合を形成すると考えられる。β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤のヒドロキシ官能性は、最適な硬化応答を得るために、平均で少なくとも2、好ましくは2超、より好ましくは2~4であるべきである。
【0070】
オキサゾリン基含有架橋剤は、各分子中に1つ以上のオキサゾリン基を含有するポリマーであり、一般に、オキサゾリン含有架橋剤は、オキサゾリン誘導体を重合することによって容易に得ることができる。米国特許第6818699B2号明細書は、そのようなプロセスの開示を提供する。
【0071】
1つの実施形態では、成分(ii)は、1種以上の500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドに基づくエポキシ化油、又は反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基、例えばβ-ヒドロキシアルキルアミド基を含有する1種以上の屈曲性のオリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテルである。
【0072】
1つの実施形態では、成分(ii)は、脂肪アミンからなる群から選択される1種以上の架橋剤である。
【0073】
1つの実施形態では、成分(ii)は、脂肪アミドの形態の1種以上の架橋剤である。
【0074】
1つの実施形態では、成分(ii)は、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールから選択される1種以上の架橋剤である。
【0075】
1つの実施形態では、成分(ii)は、デンプン、加工デンプン、CMCからなる群から選択される1種以上の架橋剤である。
【0076】
1つの実施形態では、成分(ii)は、多官能性カルボジイミド、例えば脂肪族多官能性カルボジイミド、の形態の1種以上の架橋剤である。
【0077】
1つの実施形態では、成分(ii)は、CX100、NeoAdd-Pax 521/523等のアジリジンの形態の1種以上の架橋剤である。
【0078】
1つの実施形態では、成分(ii)は、ヘキサキス(メチルメトキシ)メラミン(HMMM)ベースの架橋剤等のメラミン系架橋剤から選択される1種以上の架橋剤である。
【0079】
そのような化合物の例は、Picassian XL 701、702、725(Stahl Polymers(スタール・ポリマーズ))、例えばZOLDINE(登録商標)XL-29SE(Angus Chemical Company(アンガス・ケミカル・カンパニー))、例えばCX300(DSM)、例えばCarbodilite V-02-L2(日清紡ケミカル株式会社)である。
【0080】
1つの実施形態では、成分(ii)は、以下の構造を有するPrimid XL552である。
【化2】
【0081】
成分(ii)は、上記の化合物のいずれかの混合物であることも可能である。
【0082】
1つの実施形態では、本発明に係るバインダ組成物は、成分(i)の乾燥重量に基づいて1~50重量%、例えば4~20重量%、例えば6~12重量%の量の成分(ii)を含む。
【0083】
1つの実施形態では、成分(ii)は、
・β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド、及び/又は
・アルカノールアミン等の多官能性有機アミン、ヘキサメチルジアミン等のジアミンからなる群、及び/又は
・500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドに基づくエポキシ化油、若しくは反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基を含有する1種以上の屈曲性のオリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテル、及び/又は
・多官能性カルボジイミド、例えば脂肪族多官能性カルボジイミド、の形態の1種以上の架橋剤
から選択される1種以上の架橋剤の形態にある。
【0084】
1つの実施形態では、成分(ii)は、
・β-ヒドロキシアルキルアミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシイソプロピル)アミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アミド架橋剤、例えばN-(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド架橋剤、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジポアミド
から選択される1種以上の架橋剤を含む。
【0085】
1つの実施形態では、成分(ii)は、成分(i)の乾燥重量に基づいて2~90重量%、例えば6~60重量%、例えば10~40重量%、例えば25~40重量%の量である。
【0086】
バインダ組成物の成分(iii)
任意選択で、及び好ましくは、当該固体バインダ組成物は、成分(iii)を含んでもよい。成分(iii)は1種以上の可塑剤の形態にある。
【0087】
1つの実施形態では、成分(iii)は、ポリオール、例えば炭水化物、水素化糖、例えばソルビトール、エリトリトール、グリセロール、モノエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、ポリエーテル、水素化糖、フタレート並びに/若しくはアジピン酸、バニリン酸、乳酸及び/若しくはフェルラ酸等の酸、アクリルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリウレタン分散体、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ラクトン、ラクタム、ラクチド、遊離カルボキシ基を有するアクリル系ポリマー並びに/若しくは遊離カルボキシ基を有するポリウレタン分散体、ポリアミド、カルボアミド/尿素等のアミド、又はこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される1種以上の可塑剤の形態にある。
【0088】
1つの実施形態では、成分(iii)は、炭酸エステル(カーボネート)、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ラクトン、ラクタム、ラクチド、リグニンに類似した構造を有する化合物、例えばバニリン、アセトシリンゴン、合体剤として使用される溶媒、例えばアルコールエーテル、ポリビニルアルコールからなる群から選択される1種以上の可塑剤の形態にある。
【0089】
1つの実施形態では、成分(iii)は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、ポリエーテル、水素化糖、フタレート及び/又は他のエステル、合体剤として使用される溶媒、例えばアルコールエーテル、アクリルポリマー、ポリビニルアルコールからなる群から選択される1種以上の非反応性可塑剤の形態にある。
【0090】
1つの実施形態では、成分(iii)は、炭酸エステル、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ラクトン、ラクタム、ラクチド、ジカルボン酸又はトリカルボン酸、例えばアジピン酸、又は乳酸、及び/又はバニリン酸及び/又はフェルラ酸、ポリウレタン分散体、遊離カルボキシ基を有するアクリル系ポリマー、リグニンに類似した構造を有する化合物、例えばバニリン、アセトシリンゴンからなる群から選択される1種以上の反応性可塑剤である。
【0091】
1つの実施形態では、成分(iii)は、脂肪アルコール、モノヒドロキシアルコール、例えばペンタノール、ステアリルアルコールからなる群から選択される1種以上の可塑剤の形態にある。
【0092】
1つの実施形態では、成分(iii)は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテルからなる群から選択される1種以上の可塑剤、並びに/又はポリオール、例えば1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、及び/若しくはトリエタノールアミンの形態の1種以上の可塑剤を含む。
【0093】
本発明の別の特定の驚くべき態様は、100℃超、特に140~250℃の沸点を有する可塑剤の使用が、本発明に係る鉱物繊維製品の機械的特性を強力に改善することであり、これは、これらの可塑剤は、それらの沸点を考慮すると、鉱物繊維と接触した状態のバインダの硬化中に少なくとも部分的に蒸発する可能性があるにもかかわらず生じる。
【0094】
1つの実施形態では、成分(iii)は、1種以上の100℃超、例えば110~380℃、より好ましくは120~300℃、より好ましくは140~250℃の沸点を有する可塑剤を含む。
【0095】
本発明に係るバインダ組成物におけるこれらの可塑剤の有効性は、硬化プロセス中のリグニンの移動度を増加させる効果に関連すると考えられる。硬化プロセス中のリグニンの増大した移動度は、有効な架橋を促進すると考えられる。
【0096】
1つの実施形態では、成分(iii)は、1種以上の150~50000g/mol、特に150~4000g/mol、より特に150~1000g/mol、好ましくは150~500g/mol、より好ましくは200~400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
【0097】
1つの実施形態では、成分(iii)は、1種以上の4000~25000g/mol、特に4000~15000g/mol、より特に8000~12000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
【0098】
1つの実施形態では、成分(iii)は、硬化プロセス中に成分(i)及び/又は成分(ii)と共有結合を形成することができる。このような成分は、蒸発せず、組成物の一部として残るであろうが、硬化生成物に望ましくない副作用、例えば吸水を導入しないように効果的に変質される。このような成分の非限定的な例は、カプロラクトン及び遊離カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーである。
【0099】
1つの実施形態では、成分(iii)は、脂肪アルコール、モノヒドロキシアルコール、例えばペンタノール、ステアリルアルコールからなる群から選択される。
【0100】
1つの実施形態では、成分(iii)は、アルコキシレート、例えばエトキシレート、例えばブタノールエトキシレート、例えばブトキシトリグリコールからなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0101】
1つの実施形態では、成分(iii)は、1種以上のプロピレングリコールから選択される。
【0102】
1つの実施形態では、成分(iii)は、1種以上のグリコールエステルから選択される。
【0103】
1つの実施形態では、成分(iii)は、アジペート(アジピン酸エステル)、アセテート(酢酸エステル)、ベンゾエート(安息香酸エステル)、シクロベンゾエート(シクロ安息香酸エステル)、シトレート(クエン酸エステル)、ステアレート(ステアリン酸エステル)、ソルベート(ソルビン酸エステル)、セバケート(セバシン酸エステル)、アゼレート(アゼライン酸エステル)、ブチレート(酪酸エステル)、バレレート(吉草酸エステル)からなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0104】
1つの実施形態では、成分(iii)は、アルキル又はアリール置換フェノール等のフェノール誘導体からなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0105】
1つの実施形態では、成分(iii)は、シラノール、シロキサンからなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0106】
1つの実施形態では、成分(iii)は、アルキルスルフェート等のスルフェート(硫酸エステル)、アルキルアリールスルホネート等、アルキルスルホネート等のスルホネート(スルホン酸エステル)、トリポリホスフェート(トリポリリン酸エステル)等のホスフェート(リン酸エステル)、例えばトリブチルホスフェート(リン酸トリブチル)からなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0107】
1つの実施形態では、成分(iii)は、1種以上のヒドロキシ酸から選択される。
【0108】
1つの実施形態では、成分(iii)は、アセトアミド、ベンズアミド等のモノマーアミド、トール油アミド等の脂肪酸アミドからなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0109】
1つの実施形態では、成分(iii)は、トリメチルグリシン、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム化合物からなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0110】
1つの実施形態では、成分(iii)は、ヒマシ油、パーム油、亜麻仁油、トール油、大豆油等の植物油からなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0111】
1つの実施形態では、成分(iii)はトール油の形態にある。
【0112】
1つの実施形態では、成分(iii)は、硬化油(水素添加油)、アセチル化油からなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0113】
1つの実施形態では、成分(iii)は、1種以上の脂肪酸メチルエステルから選択される。
【0114】
1つの実施形態では、成分(iii)は、アルキルポリグルコシド、グルコンアミド、アミノグルコースアミド、スクロースエステル、ソルビタンエステルからなる群から選択される1種以上の可塑剤から選択される。
【0115】
1つの実施形態では、成分(iii)は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテルからなる群から選択される。
【0116】
1つの実施形態では、成分(iii)は、トリエタノールアミンからなる群から選択される。
【0117】
1つの実施形態では、成分(iii)は、プロピレングリコール、フェノール誘導体、シラノール、シロキサン、ヒドロキシ酸、植物油、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、及び/若しくは1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、トリエタノールアミン等のポリオール、又はいずれかのこれらの混合物の形態にある1種以上の可塑剤の形態にある。
【0118】
驚くべきことに、本発明に係る固体バインダ組成物に可塑剤を含めることが、本発明に係る鉱物繊維製品の機械的特性を強く改善するということが見出された。
【0119】
可塑剤という用語は、材料をより柔らかくし、(ガラス転移温度Tgを低下させることによって)より可撓性にし、加工を容易にするために材料に添加される物質を指す。
【0120】
成分(iii)は、上記の化合物のいずれかの混合物であることも可能である。
【0121】
1つの実施形態では、成分(iii)は、成分(i)の乾燥重量に基づいて0.5~60重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは3~15重量%の量で存在する。
【0122】
1つの実施形態では、成分(iii)は、成分(i)、(ii)及び(iii)の乾燥重量に基づいて0.5~60重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは3~15重量%の量で存在する。
【0123】
成分(i)及び(iia)を含むバインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品
1つの実施形態では、本発明は、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の改質剤の形態の成分(iia)と
を含む鉱物繊維用バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品であるが、好ましくは、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・500以下の分子量Mを有するエポキシ化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・式R-[C(O)Rのアルデヒド、カルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物であって、上記式中、
Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基、1つ以上の5個若しくは6個の炭素原子からなる芳香族核を含む基、1つ以上の、4個若しくは5個の炭素原子及び酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含有する芳香族複素環を含む基を表し、このR基は他の官能基を含有することが可能であり、
は、水素原子若しくはC~C10アルキル基を表し、
xは1~10の範囲にあるカルボニル化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・ポリアミン
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・単糖及びオリゴ糖
から選択される架橋剤を含まない、鉱物繊維製品に向けられる。
【0124】
本発明者らは、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、1種以上の改質剤の形態の成分(iia)と、任意選択で上記及び下記の他の成分のいずれかとを含む二成分系によっても優れたバインダ特性を達成できるということを見出した。
【0125】
1つの実施形態では、成分(iia)は、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドに基づくエポキシ化油、又は反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基、例えばβ-ヒドロキシアルキルアミド基を含有する1種以上の屈曲性のオリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテルからなる群から選択される1種以上の化合物の形態の改質剤である。
【0126】
1つの実施形態では、成分(iia)は、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、脂肪アミンからなる群から選択される1種以上の改質剤である。
【0127】
1つの実施形態では、成分(iia)は、多官能性カルボジイミド、例えば脂肪族多官能性カルボジイミドから選択される1種以上の改質剤である。
【0128】
成分(iia)は、上記の化合物のいずれかの混合物であることも可能である。
【0129】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、成分(i)及び(iia)並びに任意選択のさらなる成分を含む当該鉱物繊維用バインダ組成物によって達成される優れたバインダ特性は、成分(iia)として使用される改質剤が可塑剤及び架橋剤の機能を少なくとも部分的に果たすという効果に少なくとも部分的に起因する、と本発明者らは考えている。
【0130】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、成分(i)の乾燥重量に基づいて1~40重量%、例えば4~20重量%、例えば6~12重量%の量の成分(iia)を含む。
【0131】
さらなる成分
いくつかの実施形態では、本発明に係る鉱物繊維製品は、さらなる成分を含むバインダの硬化から生じるバインダ組成物と接触している鉱物繊維を含む。
【0132】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、無機酸、例えば硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、次亜リン酸、及び/若しくはリン酸、並びに/又はその任意の塩、例えば次亜リン酸ナトリウム、及び/若しくはアンモニウム塩、例えば硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、次亜リン酸、及び/若しくはリン酸のアンモニウム塩、及び/若しくはポリリン酸ナトリウム(STTP)、及び/若しくはメタリン酸ナトリウム(STMP)、並びに/又はオキシ塩化リンから選択される触媒を含む。このような触媒の存在は、本発明に係るバインダ組成物の硬化特性を改善することができる。
【0133】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、ドナー化合物から電子対を受け入れてルイス付加物を形成することができるルイス酸、例えばZnCl、Mg(ClO、Sn[N(SO-n-C17、から選択される触媒を含む。
【0134】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、金属塩化物、例えばKCl、MgCl、ZnCl、FeCl及びSnCl、又はそれらの付加物、例えばAlCl付加物、例えばBF付加物、例えばBFエチルアミン錯体、から選択される触媒を含む。
【0135】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、チタネート系触媒及びスズ系触媒等の有機金属化合物から選択される触媒を含む。
【0136】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、キレート剤、例えば遷移金属、例えば鉄イオン、クロムイオン、マンガンイオン、銅イオンから、及び/又は過酸化物、例えば有機過酸化物、例えばジクミルペルオキシドから選択される触媒を含む。
【0137】
1つの実施形態では、本発明に係るバインダ組成物は、ホスファイト(亜リン酸エステル)、例えばアルキルホスファイト、例えばアリールホスファイト、例えばトリフェニルホスファイト(亜リン酸トリフェニル)から選択される触媒を含む。
【0138】
1つの実施形態では、本発明に係るバインダ組成物は、トリス-2,4,6-ジメチルアミノメチルフェノール等の第三級アミンの群から選択される触媒を含む。
【0139】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、1種以上のシランの形態のさらなる成分(iv)をさらに含む。
【0140】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、1種以上のカップリング剤、例えば有機官能性シランの形態のさらなる成分(iv)を含む。
【0141】
1つの実施形態では、成分(iv)は、有機官能性シラン、例えば第一級若しくは第二級アミノ官能化シラン、エポキシ官能化シラン、例えばポリマー状若しくはオリゴマー状のエポキシ官能化シラン、メタクリレート官能化シラン、アルキル及びアリール官能化シラン、尿素官能化シラン又はビニル官能化シランからなる群から選択される。
【0142】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、塩基、例えばアンモニア、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばKOH、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばアルカリ土類アルカリ金属水酸化物、例えばCa(OH)、例えばMg(OH)、例えばアミン、又はこれらのいずれかの塩の群から選択される1種以上の成分の形態の成分(v)をさらに含む。
【0143】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、特に成分(i)の乾燥重量に基づいて5~40重量%、例えば10~30重量%、15~25重量%の量の尿素の形態のさらなる成分をさらに含む。
【0144】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、スクロース、還元糖、特にデキストロース、ポリ炭水化物(polycarbohydrate)、及びこれらの混合物、好ましくはデキストリン及びマルトデキストリン、より好ましくはグルコースシロップ、より好ましくはDE=30~100未満、例えばDE=60~100未満、例えばDE=60~99、例えばDE=85~99、例えばDE=95~99のデキストロース当量値を持つグルコースシロップからなる群から選択される1種以上の炭水化物の形態のさらなる成分をさらに含む。
【0145】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、成分(i)の乾燥重量に基づいて5~50重量%、例えば5~50重量%未満、例えば10~40重量%、例えば15~30重量%の量の、スクロース及び還元糖からなる群から選択される1種以上の炭水化物の形態のさらなる成分をさらに含む。
【0146】
1つの実施形態では、本発明に係る鉱物繊維製品は、1種以上のシリコーン樹脂の形態のさらなる成分を含むバインダ組成物と接触している鉱物繊維を含む。
【0147】
1つの実施形態では、本発明に係るバインダ組成物は、1種以上の反応性又は非反応性のシリコーンの形態のさらなる成分(vi)を含む。
【0148】
1つの実施形態では、成分(vi)は、当該バインダ組成物の構成成分のうちの少なくとも1つと反応することができる少なくとも1つのヒドロキシル、カルボキシル又は無水物、アミン、エポキシ又はビニル官能基を保有する、オルガノシロキサン残基、とりわけジフェニルシロキサン残基、アルキルシロキサン残基、好ましくはジメチルシロキサン残基からなる主鎖から構成されるシリコーンからなる群から選択され、好ましくは当該バインダ固形分に基づいて0.025~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.3~8重量%の量で存在する。
【0149】
1つの実施形態では、本発明に係る鉱物繊維製品は、1種以上の鉱物油の形態のさらなる成分を含むバインダ組成物と接触している鉱物繊維を含む。
【0150】
本発明の文脈において、バインダ成分の総乾燥重量に基づいて50重量%以上の糖含有量を有するバインダ組成物は、糖をベースとするバインダであると考えられる。本発明の文脈において、バインダ成分の総乾燥重量に基づいて50重量%未満の糖含有量を有するバインダ組成物は、糖をベースとしないバインダと考えられる。
【0151】
1つの実施形態では、当該バインダ組成物は、非イオン性及び/又はイオン性の乳化剤、例えばポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、例えばダイズレシチン、例えばドデシル硫酸ナトリウムの形態にある1種以上の界面活性剤の形態のさらなる成分をさらに含む。
【0152】
バインダにおけるリグニンをベースとするスルホン化生成物の使用は、いくつかのバインダ及び最終生成物の親水性の増加をもたらす可能性があり、これは、1種以上の疎水性剤、例えば1種以上の鉱物油、例えば1種以上のシリコーン油、例えば1種以上のシリコーン樹脂が添加されるべきであるということを意味する。
【0153】
1つの実施形態では、当該水性バインダ組成物は、本質的に
・リグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの群から選択される1種以上のリグニンの形態の成分(i)、
及び/又は
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)、
・1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)、
・1種以上のカップリング剤、例えば有機官能性シランの形態の成分(iv)、
・任意選択で、塩基の群、例えばアンモニア、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばKOH、例えばアルカリ土類金属水酸化物、例えばCa(OH)、例えばMg(OH)、例えばアミン、若しくはこれらのいずれかの塩から選択される1種以上の化合物の形態の成分、
・任意選択で、尿素の形態の成分、
・任意選択で、より反応性若しくは非反応性のシリコーンの形態の成分、
・任意選択で、炭化水素油、
・任意選択で、1種以上の界面活性剤、
・水
からなるが、好ましくは、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・500以下の分子量Mを有するエポキシ化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・式R-[C(O)Rのアルデヒド、カルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物であって、上記式中、
Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基、1つ以上の5個若しくは6個の炭素原子からなる芳香族核を含む基、1つ以上の、4個若しくは5個の炭素原子及び酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含有する芳香族複素環を含む基を表し、このR基は他の官能基を含有することが可能であり、
は、水素原子若しくはC~C10アルキル基を表し、
xは1~10の範囲にあるカルボニル化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・ポリアミン
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・単糖及びオリゴ糖
から選択される架橋剤を含まない。
【0154】
1つの実施形態では、当該水性バインダ組成物は、本質的に
・リグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの群から選択される1種以上のリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と、
・1種以上のカップリング剤、例えば有機官能性シランの形態の成分(iv)と、
・任意選択で、塩基の群、例えばアンモニア、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばKOH、例えばアルカリ土類金属水酸化物、例えばCa(OH)、例えばMg(OH)、例えばアミン、又はこれらのいずれかの塩から選択される1種以上の化合物の形態の成分と、
・任意選択で、尿素の形態の成分と、
・任意選択で、より反応性又は非反応性のシリコーンの形態の成分と、
・任意選択で、炭化水素油と、
・任意選択で、1種以上の界面活性剤と、
・水と
からなるが、好ましくは、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・500以下の分子量Mを有するエポキシ化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・式R-[C(O)Rのアルデヒド、カルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物であって、上記式中、
Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基、1つ以上の5個若しくは6個の炭素原子からなる芳香族核を含む基、1つ以上の、4個若しくは5個の炭素原子及び酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含有する芳香族複素環を含む基を表し、このR基は他の官能基を含有することが可能であり、
は、水素原子若しくはC~C10アルキル基を表し、
xは1~10の範囲にあるカルボニル化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・ポリアミン
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・単糖及びオリゴ糖
から選択される架橋剤を含まない。
【0155】
1つの実施形態では、本発明に係る水性バインダ組成物は、本質的に
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)、
及び/又は
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)、
・1種以上のカップリング剤、例えば有機官能性シランの形態の成分(iv)、
・任意選択で、アンモニア、アミン若しくはこれらのいずれかの塩の群から選択される1種以上の化合物の形態の成分、
・任意選択で、尿素の形態の成分、
・任意選択で、より反応性若しくは非反応性のシリコーンの形態の成分、
・任意選択で、炭化水素油、
・任意選択で、1種以上の界面活性剤
からなるが、好ましくは、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・500以下の分子量Mを有するエポキシ化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・式R-[C(O)Rのアルデヒド、カルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物であって、上記式中、
Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基、1つ以上の5個若しくは6個の炭素原子からなる芳香族核を含む基、1つ以上の、4個若しくは5個の炭素原子及び酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含有する芳香族複素環を含む基を表し、このR基は他の官能基を含有することが可能であり、
は、水素原子若しくはC~C10アルキル基を表し、
xは1~10の範囲にあるカルボニル化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・ポリアミン
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・単糖及びオリゴ糖
から選択される架橋剤を含まない。
【0156】
1つの実施形態では、本発明に係る水性バインダ組成物は、本質的に
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・1種以上のカップリング剤、例えば有機官能性シランの形態の成分(iv)と、
・任意選択で、アンモニア、アミン又はこれらのいずれかの塩の群から選択される1種以上の化合物の形態の成分と、
・任意選択で、尿素の形態の成分と、
・任意選択で、より反応性又は非反応性のシリコーンの形態の成分と、
・任意選択で、炭化水素油と、
・任意選択で、1種以上の界面活性剤と
からなるが、好ましくは、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・500以下の分子量Mを有するエポキシ化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・式R-[C(O)Rのアルデヒド、カルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物であって、上記式中、
Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基、1つ以上の5個若しくは6個の炭素原子からなる芳香族核を含む基、1つ以上の、4個若しくは5個の炭素原子及び酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含有する芳香族複素環を含む基を表し、このR基は他の官能基を含有することが可能であり、
は、水素原子若しくはC~C10アルキル基を表し、
xは1~10の範囲にあるカルボニル化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・ポリアミン
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・単糖及びオリゴ糖
から選択される架橋剤を含まない。
【0157】
本発明者らは、驚くべきことに、上述のような水性バインダ組成物の硬化において生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品が、新たに製造されたときとエージング条件後の両方で非常に高い安定性を有するということを見出した。
【0158】
さらに、本発明者らは、230℃を超える硬化温度を使用することによって、さらに高い製品安定性を得ることができるということを見出した。
【0159】
1つの実施形態では、それゆえ、本発明は、230℃を超える硬化温度が使用される上述のような水性バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品に向けられる。
【0160】
本発明者らはさらに、当該鉱物繊維製品の安定性が以下の手段によってさらに高まることが可能であるということを見出した。
・より長い硬化時間を意味する、より低いライン容量、
・シリコーン樹脂の添加、
・多量の架橋剤の添加、
・2種以上の異なる架橋剤の組み合わせの添加、
・少量のカチオン種、例えば多価金属イオン、例えばカルシウム、及び/又は有機カチオン種、例えばアミン、及び/又は有機変性無機化合物、例えばアミン変性モンモリロナイトクレーの添加。
【0161】
成分(i)及び(iia)を含むバインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品
1つの実施形態では、本発明は、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の改質剤の形態の成分(iia)と
を含む鉱物繊維用バインダ組成物の硬化から生じるバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品であるが、好ましくは、ただし、当該水性バインダ組成物は、
・500以下の分子量Mを有するエポキシ化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・式R-[C(O)Rのアルデヒド、カルボニル化合物から選択されるカルボニル化合物であって、上記式中、
Rは、飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基、1つ以上の5個若しくは6個の炭素原子からなる芳香族核を含む基、1つ以上の、4個若しくは5個の炭素原子及び酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含有する芳香族複素環を含む基を表し、このR基は他の官能基を含有することが可能であり、
は、水素原子若しくはC~C10アルキル基を表し、
xは1~10の範囲にあるカルボニル化合物
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・ポリアミン
から選択される架橋剤を含まず、かつ/又は
ただし、当該水性バインダ組成物は、
・単糖及びオリゴ糖
から選択される架橋剤を含まない、鉱物繊維製品に向けられる。
【0162】
本発明者らは、1種以上のリグノスルホネートリグニンであって、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~2.0mmol/g、例えば0.03~1.4mmol/g、例えば0.075~2.0mmol/g、例えば0.075~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有するリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、1種以上の改質剤の形態の成分(iia)と、任意選択で上記及び下記の他の成分のいずれかとを含む二成分系によっても優れたバインダ特性を達成できるということを見出した。
【0163】
1つの実施形態では、成分(iia)は、500超の分子量を有するエポキシ化合物、例えば脂肪酸トリグリセリドに基づくエポキシ化油、又は反応性官能基、例えばカルボジイミド基、例えば無水物基、例えばオキサゾリン基、例えばアミノ基、例えばエポキシ基、例えばβ-ヒドロキシアルキルアミド基を含有する1種以上の屈曲性のオリゴマー若しくはポリマー、例えば低Tgアクリル系ポリマー、例えば低Tgビニル系ポリマー、例えば低Tgポリエーテルからなる群から選択される1種以上の化合物の形態の改質剤である。
【0164】
1つの実施形態では、成分(iia)は、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、脂肪アミンからなる群から選択される1種以上の改質剤である。
【0165】
1つの実施形態では、成分(iia)は、多官能性カルボジイミド、例えば脂肪族多官能性カルボジイミドから選択される1種以上の改質剤である。
【0166】
成分(iia)は、上記の化合物のいずれかの混合物であることも可能である。
【0167】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、成分(i)及び(iia)並びに任意選択のさらなる成分を含む鉱物繊維用バインダ組成物によって達成される優れたバインダ特性は、成分(iia)として使用される改質剤が可塑剤及び架橋剤の機能を少なくとも部分的に果たすという効果に少なくとも部分的に起因すると考えている。
【0168】
1つの実施形態では、当該インダ組成物は、成分(i)の乾燥重量に基づいて1~40重量%、例えば4~20重量%、例えば6~12重量%の量の成分(iia)を含む。
【0169】
鉱物繊維製品の製造方法
本発明の鉱物繊維製品は、上記バインダ組成物を用いて鉱物繊維を結合することによる通常の鉱物繊維製品の製造方法によって調製することができる。従って、本発明の鉱物繊維製品は、好ましくは、鉱物繊維を、1種以上のリグノスルホネートリグニンを含む未硬化の、好ましくは水性のバインダ組成物と接触させる工程を含む方法によって調製される。
【0170】
好ましくは、リグノスルホネートリグニンは、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する。
【0171】
特に、本発明は、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含む鉱物繊維製品の製造方法にも関し、未硬化のバインダ組成物は1種以上のリグノスルホネートリグニンを含み、この鉱物繊維製品は、任意選択で、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有し、当該方法は、
a)1種以上のリグノスルホネートリグニン及び水を含む未硬化の水性バインダ組成物を提供する工程と、
b)鉱物繊維を上記未硬化の水性バインダ組成物と接触させる工程と、
c)上記バインダ組成物を鉱物繊維と接触した状態で硬化させる工程と
を含み、未硬化の水性バインダ組成物に含有される水の少なくとも一部又は水全体は添加された非精製水であり、この非精製水は、好ましくは、水道水、雨水、プロセス水又はこれらの組み合わせから選択される。
【0172】
好ましくは、リグノスルホネートリグニンは、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する。
【0173】
本発明の方法の好ましい実施形態では、添加される非精製水の割合は、未硬化のバインダ組成物に含有される水の総重量に基づいて30~100重量%、より好ましくは50~100重量%の範囲にある。
【0174】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、未硬化の水性バインダ組成物中の水分含量は、未硬化の水性バインダ組成物の総重量に基づいて40~90重量%、好ましくは60~85重量%の範囲にある。
【0175】
本発明に係る方法において得られる鉱物繊維製品は、本発明の鉱物繊維製品について本明細書に記載されるすべての特徴を有することができ、従って、それらが参照される。
【0176】
好ましい実施形態では、未硬化の水性バインダ組成物は、
・1種以上のリグノスルホネートリグニンの形態の成分(i)と、
・1種以上の架橋剤の形態の成分(ii)と、
・任意選択で、1種以上の可塑剤の形態の成分(iii)と
を含む。
【0177】
好ましくは、リグノスルホネートリグニンは、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する。
【0178】
上述のように、好ましい実施形態では、使用のための未硬化のバインダ組成物は、濃縮形態のバインダ組成物を非精製水の添加によって希釈することによって調製される。
【0179】
硬化
鉱物繊維が上記バインダ組成物と接触しているウェブ等の鉱物繊維製品前駆体中の未硬化バインダ組成物は、バインダ成分の化学反応及び/又は物理反応によって硬化される。
【0180】
1つの実施形態では、硬化は、硬化装置中で行われる。
【0181】
1つの実施形態では、硬化は、100~300℃、例えば170~270℃、例えば180~250℃、例えば190~230℃の温度で実施される。
【0182】
1つの実施形態では、硬化は、150~300℃、例えば170~270℃、例えば180~250℃、例えば190~230℃の温度で稼働する鉱物ウール製造のための従来の硬化オーブン内で行われる。
【0183】
1つの実施形態では、硬化は、30秒~20分、例えば1~15分、例えば2~10分の時間で行われる。
【0184】
典型的な実施形態では、硬化は、150~250℃の温度で30秒~20分の時間で行われる。
【0185】
硬化プロセスは、バインダを繊維に付与した直後に開始してもよい。硬化は、バインダ組成物が物理反応及び/又は化学反応を受けるプロセスとして定義され、この反応は、化学反応の場合には、通常、バインダ組成物中の化合物の分子量を増加させ、これによりバインダ組成物の粘度を、通常はバインダ組成物が固体状態に達するまで、増加させる。
【0186】
1つの実施形態では、硬化プロセスは、圧力による乾燥を含む。この圧力は、鉱物繊維とバインダとの混合物を通して/の上に空気又はガスを吹き付けることによって印加されてもよい。
【0187】
本発明に係る鉱物繊維製品
本発明は、上述の硬化したバインダ組成物と接触した、すなわち、上述のバインダ組成物、好ましくは水性バインダ組成物の硬化から生じる硬化したバインダと接触した鉱物繊維を含む鉱物繊維製品に向けられる。
【0188】
用いられる鉱物繊維は、人造ガラス質繊維(MMVF)、ガラス繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、スラグ繊維、岩石繊維、石繊維等のいずれであってもよい。これらの繊維は、例えばストーンウール(stone wool)製品のようなウール製品として存在してもよい。好ましい実施形態では、鉱物繊維は、それぞれ石繊維又はストーンウールである。
【0189】
繊維/溶融物組成物
人造ガラス質繊維(MMVF)は、任意の好適な酸化物組成を有することができる。繊維は、ガラス繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、スラグ繊維、又は岩石繊維若しくは石繊維であってもよい。繊維は、好ましくは岩石繊維、石繊維又はスラグ繊維として一般に知られるタイプのものであり、最も好ましくは石繊維である。
【0190】
石繊維は通常、重量パーセントで以下の酸化物を含む。
SiO: 30~51
Al: 12~30
CaO: 8~30
MgO: 2~25
FeO(Feを含む):2~15
NaO+KO: 10以下
CaO+MgO: 10~30
【0191】
好ましい実施形態では、MMVFは、酸化物として重量%で計算される、以下の元素レベルを有する。
SiO: 少なくとも30、32、35又は37;51、48、45又は43以下
Al: 少なくとも12、16又は17;30、27又は25以下
CaO: 少なくとも8又は10;30、25又は20以下
MgO: 少なくとも2又は5;25、20又は15以下
FeO(Feを含む):少なくとも4又は5;15、12又は10以下
FeO+MgO: 少なくとも10、12又は15;30、25又は20以下
NaO+KO: ゼロ又は少なくとも1;10以下
CaO+MgO: 少なくとも10又は15;30又は25以下
TiO: ゼロ又は少なくとも1;6、4又は2以下
TiO+FeO: 少なくとも4又は6;18又は12以下
: ゼロ又は少なくとも1;5又は3以下
: ゼロ又は少なくとも1;8又は5以下
その他: ゼロ又は少なくとも1;8又は5以下
【0192】
本発明の方法によって作製されるMMVFは、好ましくは、重量%で以下の組成を有する。
SiO 35~50
Al 12~30
TiO 2まで
Fe 3~12
CaO 5~30
MgO 15まで
NaO 0~15
O 0~15
3まで
MnO 3まで
3まで
【0193】
MMVFについての別の好ましい組成は、重量%で以下のとおりである。
SiO 39~55%、好ましくは39~52%
Al 16~27%、好ましくは16~26%
CaO 6~20%、好ましくは8~18%
MgO 1~5%、好ましくは1~4.9%
NaO 0~15%、好ましくは2~12%
O 0~15%、好ましくは2~12%
O(NaO+KO) 10~14.7%、好ましくは10~13.5%
0~3%、好ましくは0~2%
Fe(鉄全体) 3~15%、好ましくは3.2~8%
0~2%、好ましくは0~1%
TiO 0~2%、好ましくは0.4~1%
その他 0~2.0%
【0194】
ガラス繊維は通常、重量パーセントで以下の酸化物を含む。
SiO: 50~70
Al:10~30
CaO: 27以下
MgO: 12以下
【0195】
ガラス繊維は、重量パーセントで以下の酸化物も含有することができる。
NaO+KO:8~18、特にNaO+KO CaO+MgOよりも多い
: 3~12
【0196】
いくつかのガラス繊維組成物は、
Al:2%未満
を含有することができる。
【0197】
好ましい実施形態では、鉱物繊維は、疎水的に処理された鉱物繊維、好ましくは疎水的に処理されたストーンウールである。疎水性処理は一般的な処理であり、例えば、鉱物繊維製造プロセス中に鉱物油、シロキサン又は反応性若しくは非反応性のシリコーン等の少なくとも1種の疎水性剤を添加し、繊維の周囲に疎水性膜を形成することによって行われてもよい。従って、疎水的に処理された鉱物繊維は、好ましくは、その表面に疎水性膜を有する。
【0198】
鉱物繊維製品を製造するための好適な繊維形成方法及びその後の製造工程は、当該技術分野において慣用的なものである。一般に、バインダは、鉱物溶融物のフィブリル化直後に、空中を浮遊する鉱物繊維上に噴霧される。未硬化の、好ましくは水性のバインダ組成物は、通常、乾燥基準で、結合された鉱物繊維製品の0.1~18重量%、好ましくは0.2~8重量%の量で付与(塗布)される。
【0199】
噴霧コーティングされた鉱物繊維ウェブは、一般に、熱気流によって硬化オーブン内で硬化される。熱気流は、硬化オーブンの長さ方向の別個のゾーンにおいて、下方から、又は上方から、又は交互の方向から鉱物繊維ウェブに導入されてもよい。
【0200】
典型的には、硬化オーブンは、約150℃~約300℃、例えば170~270℃、例えば180~250℃、例えば190~230℃の温度で運転される。一般に、硬化オーブン滞留時間は、例えば製品密度に応じて、30秒~20分、例えば1~15分、例えば2~10分である。
【0201】
典型的な実施形態では、本発明に係る鉱物繊維製品は、150℃~250℃の温度で30秒~20分の時間硬化される。
【0202】
所望に応じて、鉱物繊維ウェブは、硬化前に成形プロセスに供されてもよい。硬化オーブンから出てくる結合された鉱物繊維製品は、例えばバット(batt)の形態の所望の形態に切断されてもよい。
【0203】
好ましい実施形態では、本発明に係る鉱物繊維製品は、断熱製品及び/又は防音製品、好ましくは断熱製品である。
【0204】
当該鉱物繊維製品は、予備成形されたパイプ部分、金網補強ブランケット(wired mat)又は厚板(スラブ)の形態を有することができる。
【0205】
予備成形されたパイプ部分は、中空(円)筒又はその一部の形態にあってもよい。予備成形されたパイプ部分の寸法は、絶縁されるパイプに適合するものとする。金網補強ブランケットは、亜鉛めっきワイヤを用いた亜鉛めっきワイヤ製メッシュ上に縫合された軽く結合された鉱物繊維マットである。
【0206】
好ましい実施形態では、本発明に係る鉱物繊維製品は、パイプ、貯蔵タンク、ボイラ、容器又はカラム、好ましくはパイプのための断熱材及び/又は防音材である。
【0207】
好ましい実施形態では、本発明に係る鉱物繊維製品は、20mm~500mm又は25mm~300mm、好ましくは30mm~300mm、例えば50mm~150mmの範囲の厚さを有し、一般に、当該鉱物繊維製品はシートの形態にある。
【0208】
本発明に係る鉱物繊維製品は、一般に、6~250kg/m、好ましくは20~200kg/mの範囲内の密度を有する。当該鉱物繊維製品は、一般に、0.3~18.0%、好ましくは0.5~8.0%の範囲内の強熱減量(LOI)を有する。
【0209】
本発明に係る鉱物繊維製品の使用
鉱物繊維製品の本発明に係る使用は、断熱材及び/又は防音材として、特に非腐食性の断熱材及び/又は防音材としての使用に向けられる。
【0210】
本明細書中で、用語「非腐食性」は、断熱材及び/又は防音材が腐食の増大に寄与しないことを意味する。「非腐食性」は、腐食が現れ得ないことを含意するものではなく、その場合は、腐食は断熱材料及び/又は防音材料自体以外の要因によって引き起こされる。
【0211】
従って、本発明は、断熱材及び/又は防音材、特に非腐食性の断熱材及び/又は防音材としての、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含む鉱物繊維製品の使用であって、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンを含む使用にも関する。一般に、当該鉱物繊維製品は、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有することが好ましい。
【0212】
好ましくは、リグノスルホネートリグニンは、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する。
【0213】
本発明に係る使用の好ましい実施形態では、鉱物繊維製品は、パイプ、貯蔵タンク、ボイラ、容器又はカラム、好ましくはパイプから選択される物体のための断熱材及び/又は防音材、特に非腐食性の断熱材及び/又は防音材として使用される。パイプ又は配管は、それぞれ排気ダクトも含む。
【0214】
本発明に係る使用の好ましい実施形態では、鉱物繊維製品は、金属で作られた物体のための断熱材及び/又は防音材として使用され、この物体は、概して中空物体であり、その例は上記に示されている。金属は、好ましくは銅又は鋼から選択され、鋼が好ましい。鋼は、好ましくは、炭素鋼、ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、非合金鋼又は低合金鋼である。特に好ましい実施形態では、物体は鋼管である。
【0215】
本発明に係る使用の好ましい実施形態では、使用は、好ましくは-20℃~320℃、より好ましくは0℃~200℃、例えば50℃~175℃の範囲の温度におけるものである。温度は、鉱物繊維製品によって断熱される物体の温度、すなわち、運転温度(動作温度)を指す。運転は、温度に関して連続的又は周期的であってもよい。周期的運転の場合、上記の温度範囲は、一般に運転の最高温度を指す。
【0216】
断熱材及び/又は防音材、特に非腐食性の断熱材及び/又は防音材としての鉱物繊維製品によって覆われる物体は、一般に、気体、蒸気又は流体から選択されてもよい媒体を含む。本発明に係る使用のための鉱物繊維製品は、本発明の鉱物繊維製品について上述されたすべての特徴を有することができ、従って、それらが参照される。
【0217】
本発明に係る断熱材及び/又は防音材を有する中空物体
本発明は、断熱材及び/又は防音材としての鉱物繊維製品で被覆された中空物体であって、この鉱物繊維製品は、硬化したバインダ組成物によって結合された鉱物繊維を含み、未硬化のバインダ組成物は、1種以上のリグノスルホネートリグニンを含む中空物体にも関する。
【0218】
好ましくは、リグノスルホネートリグニンは、このリグノスルホネートリグニンの乾燥重量に基づいて0.03~1.4mmol/gのカルボン酸基含有量を有する。
【0219】
上記鉱物繊維製品は、EN13468:2001に従って10mg/kg未満の水浸出性塩化物含有量を有することが好ましい。
【0220】
好ましい実施形態では、当該中空物体は、パイプ、貯蔵タンク、ボイラ、容器又はカラム、好ましくはパイプから選択される。パイプ又は配管は、それぞれ排気ダクトも含む。
【0221】
好ましい実施形態では、当該中空物体は金属で作られる。この金属は、好ましくは銅又は鋼から選択され、鋼が好ましい。鋼は、好ましくは、炭素鋼、ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、非合金鋼又は低合金鋼である。特に好ましい実施形態では、物体は鋼管である。
【0222】
本発明に係る中空物体を覆う鉱物繊維製品は、本発明の鉱物繊維製品について上述されたすべての特徴を有することができ、従って、それらが参照される。
【実施例
【0223】
以下の実施例において、本発明の定義に入るいくつかのバインダを調製し、従来技術に係るバインダと比較した。
【0224】
リグノスルホネートは、Borregaard(ボレガード)、ノルウェー及びLignoTech(リグノテック)、フロリダによって、約50%の固形分含量を有する液体として供給された。Primid XL552は、EMS-CHEMIE AG(エムスケミー)によって供給された。PEG200は、Sigma-Aldrich(シグマ・アルドリッチ)によって供給され、簡単にするために無水であると仮定し、そのまま使用した。シラン(Momentive VS-142 40%活性)はMomentive(モメンティブ)によって供給され、簡単にするために100%と計算した。シリコーン樹脂BS1052は、Wacker Chemie AG(ワッカー・ケミー)によって供給された。NHOH 24.7%は、Univar(ユニバー)によって供給され、供給された形態で使用した。
【0225】
本発明に係るバインダ及び従来技術に係るバインダについて、それぞれ以下の特性を測定した。
【0226】
鉱物繊維製品の水浸出性塩化物含有量の決定
鉱物繊維製品の水浸出性塩化物含有量は、EN13468:2001に従って測定される。この規格は、製品の水性抽出物中の微量の水溶性塩化物を決定するための装置及び手順を規定する。この規格を参照されたい。水浸出性塩化物含有量は、鉱物繊維製品1kg当たりの塩化物mgで与えられる。
【0227】
鉱物繊維製品の強熱減量(LOI)の決定
有機材料の量(強熱減量)は、有機材料の焼尽(燃焼除去)によって得られた試料の重量損失として決定する。これは、EN13820に規定されるように行う。バインダ含有量をLOIとする。バインダは、油及び他のバインダ添加剤を、存在する場合には含む。
【0228】
バインダ乾燥固形物の決定
硬化後のバインダの内容物を「バインダ固形分」と呼ぶ。
【0229】
ディスク形状のストーンウール試料(直径5cm;高さ1cm)をストーンウールから切り出し、580℃で少なくとも30分間熱処理してすべての有機物を除去した。バインダ混合物の固形分は、バインダ混合物の試料(約2g)をスズ箔容器中の熱処理したストーンウールディスク上に分配することによって測定した。ストーンウールディスクを含有するスズ箔容器の重量を、バインダ混合物の添加前及び添加の直後に秤量した。スズ箔容器中にこのようなバインダ混合物を充填した2つのストーンウールディスクを製造し、次いでそれらを200℃で1時間加熱した。冷却し、室温で10分間保存した後、試料を秤量し、バインダ固形分を2つの結果の平均として計算した。
【0230】
特段の記載がない限り、以下の試薬は、入手したたままで使用した。
PEG200:Sigma-Aldrichによって供給され、簡単にするために無水であると仮定し、そのまま使用した。
Primid XL552:EMS-CHEMIE AGにより供給されるヒドロキシアルキルアミド架橋剤
【0231】
バインダ例、参照バインダA3(尿素及びデキストロースで変性したフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、PUF-レゾール)
このバインダは、尿素で変性したフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、PUF-レゾールである。
【0232】
フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を、37%ホルムアルデヒド水溶液(606g)及びフェノール(189g)を、46%水酸化カリウム水溶液(25.5g)の存在下、毎分約1℃の加熱速度で昇温して84℃の反応温度で反応させることによって調製する。この反応は、樹脂の耐酸性が4になり、フェノールの大部分が変換されるまで、84℃で継続する。次いで、尿素(241g)を添加し、混合物を冷却する。
【0233】
耐酸性(acid tolerance、AT)は、所定量のバインダを、混合物が混濁する(バインダが沈殿する)ことなく酸で希釈できる回数を表す。バインダ製造における停止基準を決定するために硫酸を使用し、4未満の耐酸性はバインダ反応の終了を示す。
【0234】
ATを測定するために、2.5mlの濃硫酸(>99%)を1Lのイオン交換水で希釈することにより滴定液を生成する。次いで、5mLの調べられるバインダを、手動で振盪することによってバインダを動いている状態を保ちながら、この滴定液を用いて室温で滴定する。好ましい場合、マグネチックスターラー及び磁気撹拌棒を使用する。バインダを振盪しても消失しないわずかな曇りがバインダに現れるまで、滴定を継続する。
【0235】
耐酸性(AT)は、滴定に使用した酸の量(mL)を試料の量(mL)で除算することによって計算する。
AT=(使用した滴定量(mL))/(試料の量(mL))
【0236】
得られた尿素変性フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を使用して、25%アンモニア水(90mL)及び硫酸アンモニウム(13.2g)を添加し、次いで水(1.30kg)を添加することによりバインダを作製する。
【0237】
上記混合物に、上記バインダ及びデキストロースの乾燥物質に基づいて18%デキストロース(127.5g)を添加する。次いで、バインダ固形分を上記のように測定し、この混合物を絶縁(断熱)製品の製造のための必要量の水及びシラン(15%バインダ固形分溶液、バインダ固形分の0.5%シラン)で希釈した。
【0238】
参照バインダA3に用いた希釈水はプロセス水であった。
【0239】
バインダ例A1及びA2
デキストロースを添加しないことを除いて、例A3に記載されるように作製した。バインダ例A1については、プロセス水を使用し、A2については、浸透水を使用する。
【0240】
バインダ例、参照バインダB1及びB2
水(30.0kg)中の75.1%水性グルコースシロップ(19.98kg;従って効率的に15.0kgグルコースシロップ)、50%次亜リン酸水溶液(0.60kg;従って効率的に0.30kg、4.55mol次亜リン酸)及びスルファミン酸(0.45kg、4.63mol)の混合物を、透明な溶液が得られるまで室温で撹拌した。次いで、28%アンモニア水(0.80kg;従って効率的に0.22kg、13.15molアンモニア)を、pH=7.9まで滴下した。
【0241】
次いで、バインダ固形分を測定した(21.2%)。機械的強度の研究のために(15%バインダ固形分溶液、バインダ固形分の0.5%シラン)、上記バインダ混合物を、水(0.403kg/kgバインダ混合物)及び10%シラン水溶液(0.011kg/kgバインダ混合物、Momentive VS-142)で希釈した。最終バインダ混合物はpH=7.9であり、絶縁製品の製造に使用した。
【0242】
バインダB1については雨水を使用し、B2についてはプロセス水を使用した。
【0243】
実施例1、2及び3 - 本発明に係る鉱物ウール製品
実施例1、2及び3に係るストーンウール製品は、以下のバインダを用いて製造した。
【0244】
実施例1
1163.0kgのリグノスルホン酸アンモニウムを混合容器に入れ、これに14lのNHOH(24.7%)を添加し、撹拌した。その後、240kgのPrimid XL552溶液(予め作製した31重量%水溶液)及び68kgのPEG200(100%固形分)を添加して混合し、続いて21kgのシラン(Momentive VS-142 40%活性、10%水溶液)を添加した。
【0245】
実施例2
1910.0kgのリグノスルホン酸アンモニウムを混合容器に入れ、これに22lのNHOH(24.7%)を添加し、撹拌した。その後、395kgのPrimid XL552溶液(予め作製した31重量%水溶液)及び112kgのPEG200(100%固形分)を添加して混合し、続いて34kgのシラン(Momentive VS-142 40%活性、10%水溶液)を添加した。
【0246】
実施例3
1395.0kgのリグノスルホン酸アンモニウムを混合容器に入れ、これに16lのNHOH(24.7%)を添加し、撹拌した。その後、289kgのPrimid XL552溶液(予め作製した31重量%水溶液)及び82kgのPEG200(100%固形分)を添加して混合し、続いて25kgのシラン(Momentive VS-142 40%活性、10%水溶液)及び76kgのシリコーン(Wacker BS 1052、12%水溶液)を添加した。
【0247】
このバインダを使用して、表1に示す実施例1、2及び3に係るストーンウール製品を製造した。硬化オーブンの温度は、実施例1及び2については255℃に、実施例3については275℃に設定した。
【0248】
参照バインダA1~A3、参照バインダB1及びB2、並びにバインダ例1~3を用いたストーンウール製品(本発明品)を、標準的なストーンウール工場において、表1の特定の水種を用いて作製した。
【0249】
得られたストーンウール製品を、上記の方法に従ったバインダ乾燥固形物、強熱減量及び塩化物含有量並びにpH値に関して試験した。結果を表1に併せて示す。
【0250】
【表1】
図1
【国際調査報告】