(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】主要素及び副要素を埋め込むための外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61F 2/30 20060101AFI20240105BHJP
A61B 17/82 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61F2/30
A61B17/82
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540618
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 IB2021062231
(87)【国際公開番号】W WO2022144713
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】102020000032936
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523244004
【氏名又は名称】ボナーメッド エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ラッソ,アレッサンドロ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA03
4C097AA07
4C097BB01
4C160LL26
4C160LL28
4C160LL70
(57)【要約】
本発明は、人間又は動物の関節の骨端部(E)の軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分(D)のための格子支持構造体(10、100、200)、関連部品のキット、及びその組み立てのためのテンプレートアセンブリに関する。
格子構造体(10、100、200)は、主延在方向(X)に沿って軟骨下骨の変性部分(D)を少なくとも部分的に通って延びる、骨端部(E)内に収容されるように構成された少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素(12、112、212)と、副延在方向(Y)に沿って軟骨下骨の変性部分(D)を少なくとも部分的に通って延びる、骨端部(E)内に収容されるように構成された複数の糸状の実質的に直線的な副要素(34、134、234)とを備え、第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)は、第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)に沿って延びるように構成され、第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)は、第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)に沿って延びるように構成され、第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)と第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)は、互いに斜交しており、少なくとも1つの主要素(12、112、212)は、副要素(34、134、234)の第2の横寸法(d
2)よりも大きい第1の横寸法(d
1)を有する。
少なくとも1つの主要素(12、112、212)と副要素(34、134、234)はさらに、両方の端(16、18;38、40)で、骨端部(E)の皮質骨部分(C)に到達する及び少なくとも部分的に交わるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素(12、112、212)の少なくとも1つの対応する固定座部(32)と協働するように構成された少なくとも1つの固定部材(70、170)を備える細長い主本体(54、154)を有する外科用テンプレート(52、152)を含むテンプレートアセンブリであって、
i)前記主本体(54)は、糸状の実質的に直線的な第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)及び第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)を収容するように構成された第1の副貫通孔(72a、72b、72c)及び第2の副貫通孔(72d、72e、72f)を備え、前記第1の副穴(72a、72b、72c)は、前記第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)の第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)を定め、前記第2の副穴(72d、72e、72f)は、前記第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)の第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)を定め、前記第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)と前記第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)は、互いに斜交しており、好ましくは直交する、又は
i)前記主本体(154)は、糸状の実質的に直線的な第3の副要素(134g、134h、134i)及び第4の副要素(134j、134k、134l)を収容するように構成された第3の副貫通孔及び第4の副貫通孔を備え、前記第3の副孔は、前記第3の副要素(134g、134h、134i)の第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)を定め、前記第4の副孔は、前記第4の副要素(134j、134k、134l)の第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)を定め、前記第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)と前記第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)は、互いに斜交しており、好ましくは直交する、
テンプレートアセンブリ。
【請求項2】
i)前記第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)は、互いに実質的に平行であり、且つ、第1の平面(y1)内にあり、前記第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)は、互いに実質的に平行であり、且つ、第2の平面(y2)内にあり、前記第2の平面(y2)は、好ましくは、前記第1の平面(y1)に実質的に平行である、又は
ii)前記第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)は、互いに実質的に平行であり、且つ、第3の平面(y3)内にあり、前記第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)は、互いに実質的に平行であり、且つ、第4の平面(y4)内にあり、前記第4の平面(y4)は、好ましくは、前記第3の平面(y3)に実質的に平行である、
請求項1に記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項3】
前記テンプレート(52、152)の主本体(54、154)は、2つの自由端間に延びる中央部を備え、前記自由端は、前記中央部に対して前記テンプレート(52、152)の同じ辺から延びる、前記請求項のいずれかに記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項4】
前記テンプレート(52、152)の主本体(54、154)の展開方向は、展開面内にある、前記請求項のいずれかに記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の平面(y1)及び/又は前記第2の平面(y2)及び/又は前記第3の平面(y3)及び/又は前記第4の平面(y4)は、前記テンプレートの主本体の展開面に実質的に平行である、請求項2に従属するときの請求項4に記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の副穴(72a、72b、72c;172a、172b、172c)又は前記第3の副穴(172g、172h、172i)は、前記テンプレート(52、152)の第1の直線部(56、156)に設けられ、前記第2の副穴(72d、72e、72f;172d、172e、172f)又は前記第4の副穴(172j、172k、172l)は、前記テンプレート(52、152)の第1の直線部(56、156)に実質的に直交して延びる第2の直線部(58、158)に設けられ、
前記第1の副穴(72a、72b、72c;172a、172b、172c)又は前記第3の副穴(172g、172h、172i)は、前記テンプレート(52、152)の第1の直線部(56、156)を横断する方向に延び、
前記第2の副穴(72d、72e、72f;172d、172e、172f)又は前記第4の副穴(172j、172k、172l)は、前記テンプレート(52、152)の第2の直線部(58、158)を横断する方向に延びる、
前記請求項のいずれかに記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の直線部(56、156)は、前記テンプレート(52、152)の主本体(54、154)の中央部に画定され、前記第2の直線部(58、158)は、前記テンプレート(52、152)の主本体(54、154)の自由端の1つに画定される、請求項6に記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の直線部(56、156)及び前記第2の直線部(58、158)は、それぞれ、前記テンプレート(52、152)の主本体(54、154)の自由端に画定される、請求項1~請求項6のいずれかに記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項9】
前記テンプレート(52、152)は、その近位端(68)に少なくとも1つの固定部材(70、170)を有する少なくとも1つのピン(166a、166b)を備え、前記少なくとも1つのピン(166a、166b)は、前記テンプレート(52、152)の主本体(54、154)の展開面に平行な主延在方向(X、Xa、Xb)に沿って延びる、前記請求項のいずれかに記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのピン(166a、166b)は、前記テンプレート(52)の主本体(54)の第1の直線部(56)に設置され、第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)に平行である、請求項9に記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのピン(166a、166b)は、前記テンプレート(152)の主本体(154)の第1の直線部(156)と第2の直線部(158)との間に延びる接続部(62)に設置され、前記第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)及び前記第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)に対して約45°に配向される、請求項9に記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項12】
前記テンプレート(52、152)は、ロッド形の実質的に直線的な剛性の第1の主要素(112a)の対応する第1の固定座部(32)と協働するように構成された第1の固定部材(70)と、ロッド形の実質的に直線的な剛性の第2の主要素(112b)の対応する第2の固定座部(32)と協働するように構成された第2の固定部材(170)を有する、前記請求項のいずれかに記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項13】
前記テンプレート(52、152)は、その近位端(68)に第1の固定部材(70)を有し、前記テンプレート(52、152)の主本体(54、154)の展開面に実質的に平行である、第1のピン(66a)と、その近位端に第2の固定部材(70)を有し、前記テンプレート(52、152)の主本体(54、154)の展開面と実質的に平行であり、且つ前記第1のピン(66a)に実質的に平行である、第2のピン(66b)を備える、請求項12に記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項14】
前記第1の副穴(72a、72b、72c)に挿入された糸状の実質的に直線的な第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)をさらに備える、又は前記第3の副孔に挿入された糸状の実質的に直線的な第3の副要素(134g、134h、134i)をさらに備える、
前記請求項のいずれかに記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項15】
前記第2の副穴(72d、72e、72f)に挿入された糸状の実質的に直線的な第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)をさらに備える、又は前記第4の副孔に挿入された糸状の実質的に直線的な第4の副要素(134j、134k、134l)をさらに備える、
前記請求項のいずれかに記載のテンプレートアセンブリ。
【請求項16】
人間又は動物の関節の骨端部(E)の軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分(D)のための格子支持構造体(10、100、200)を組み立てるための部品のキット(50)であって、
少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素(12、112、212)と、
第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)及び第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)を含む、複数の実質的に直線的な糸状の副要素(34)と、
請求項1~請求項15のいずれか一項に記載のテンプレートアセンブリと、
を含み、
前記少なくとも1つの主要素は、前記副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e、234f)の第2の横寸法(d
2)よりも大きい第1の横寸法(d
1)を有し、
前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)と前記副要素(34、134、234)は、両方の端(18、20;38、40)で、骨端部(E)の皮質骨部分(C)に到達する及び少なくとも部分的に交わるように構成される、
部品のキット(50)。
【請求項17】
前記複数の副要素(134)は、第3の副要素(134g、134h、134i)及び第4の副要素(134j、134k、134l)をさらに含む、請求項16に記載のキット(50)。
【請求項18】
前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)は、円形の断面を有する管状本体(14、114、214)を備える、請求項16~請求項17のいずれか一項に記載のキット(50)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)の管状本体(14、114、214)に、複数の貫通開口部(22、22a、22b、22c、22d)が設けられる、請求項16~請求項18のいずれか一項に記載のキット(50)。
【請求項20】
前記副要素(34)の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)の管状本体(14、114、214)の対応する貫通開口部(22、22a、22b、22c、22d)を通って延びるように構成される、請求項19に記載のキット(50)。
【請求項21】
前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)は、第1の主要素(212a)及び第2の主要素(212b)を含む、請求項16~請求項20のいずれか一項に記載のキット(50)。
【請求項22】
前記第2の主要素(212b)は、前記第1の主要素(212a)の管状本体(214a)の対応する貫通開口部(222、222a、222b、222c、222d)を通って延びるように構成される、請求項21に記載のキット(50)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)は、その一端(18、118)に、前記テンプレート(52、152)のための固定座部(32)を備え、前記固定座部(32)は、前記テンプレート(52、152)の固定部材(70、170)と協働するようになっている、請求項16~請求項22のいずれか一項に記載のキット(50)。
【請求項24】
前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)の内腔(20)は、自家骨移植片、同種骨移植片、及び人工骨移植片から選択されたフィラーを受け入れるように構成され、前記フィラーは、好ましくは自家骨移植片であり、より好ましくは自己幹細胞及び/又は成長因子を含む、請求項16~請求項23のいずれか一項に記載のキット(50)。
【請求項25】
人間又は動物の関節の骨端部(E)の軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分(D)のための格子支持構造体(10、100、200)であって、
主延在方向(X)に沿って軟骨下骨の変性部分(D)を少なくとも部分的に通って延びる、骨端部(E)内に収容されるように構成された少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素(12、112、212)と、
副延在方向(Y)に沿って軟骨下骨の変性部分(D)を少なくとも部分的に通って延びる、骨端部(E)内に収容されるように構成された複数の糸状の実質的に直線的な副要素(34、134、234)と、
を備え、第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)は、第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)に沿って延びるように構成され、第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)は、第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)に沿って延びるように構成され、前記第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)と前記第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)は、互いに斜交しており、
前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)は、前記副要素(34、134、234)の第2の横寸法(d
2)よりも大きい第1の横寸法(d
1)を有し、
前記少なくとも1つの主要素(12、112、212)と前記副要素(34、134、234)は、両方の端(16、18;38、40)で、骨端部(E)の皮質骨部分(C)に到達する及び少なくとも部分的に交わるように構成される、
格子支持構造体(10、100、200)。
【請求項26】
前記第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)の第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)は、第1の平面(y1)内にある、及び/又は前記第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)の第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)は、第2の平面(y2)内にある、
請求項25に記載の格子支持構造体(10、100、200)。
【請求項27】
前記第1の平面(y1)と前記第2の平面(y2)は、互いに実質的に平行である、請求項26に記載の格子構造体(10、100、200)。
【請求項28】
前記第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)の第1の副延在方向は、互いに実質的に平行である、及び/又は前記第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)の第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)は、互いに実質的に平行である、請求項25~請求項27のいずれか一項に記載の格子構造体(10、100、200)。
【請求項29】
前記第1の副要素(34a、34b、34c;134a、134b、134c;234a、234b、234c)の第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)は、前記第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)の第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)と実質的に直交する、請求項25~請求項28のいずれか一項に記載の格子構造体(10、100、200)。
【請求項30】
前記複数の副要素(134)は、第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)に沿って延びるように構成された第3の副要素(134g、134h、134i)と、第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)に沿って延びるように構成された第4の副要素(134j、134k、134l)をさらに含み、前記第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)と前記第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)は、互いに斜交している、請求項25~請求項29のいずれか一項に記載の格子構造体(100)。
【請求項31】
前記第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)は、第3の平面(y3)内にあり、前記第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)は、前記第3の平面(y3)に実質的に平行な第4の平面(y4)内にあり、
前記第3の平面(y3)及び前記第4の平面(y4)は、前記第1の平面(y1)及び/又は前記第2の平面(y2)に実質的に平行である、
請求項30に記載の格子構造体(100)。
【請求項32】
前記第3の副要素(134g、134h、134i)の第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)は、互いに実質的に平行であり、及び/又は前記第4の副要素(134j、134k、134l)の第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)は、互いに実質的に平行であり、
前記第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)は、前記第4の副延在方向(Yj、Yk、Yl)と実質的に直交し、
前記第3の副延在方向(Yg、Yh、Yi)は、前記第1の副要素(134a、134b、134c)の第1の副延在方向(Ya、Yb、Yc)及び/又は前記第2の副要素(134d、134e、134f)の第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)に対して約45°に配向される、
請求項30~請求項31のいずれか一項に記載の格子構造体(100)。
【請求項33】
前記少なくとも1つの主要素(12)の主延在方向(X)は、前記第2の副要素(34d、34e、34f;134d、134e、134f;234d、234e)の第2の副延在方向(Yd、Ye、Yf)と実質的に直交する、請求項25~請求項32のいずれか一項に記載の格子構造体(10、100、200)。
【請求項34】
前記少なくとも1つの主要素(12)は、円形の断面を有する管状本体(14)を備える、請求項25~請求項33のいずれか一項に記載の格子構造体(10、100、200)。
【請求項35】
前記少なくとも1つの主要素(12)の管状本体(14)に、複数の貫通開口部(22、22a、22b、22c、22d)が設けられる、請求項34に記載の格子構造体(10、100、200)。
【請求項36】
前記副要素(34)の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの主要素(12)の管状本体(14)の対応する貫通開口部(22、22a、22b、22c、22d)を通って延びるように構成される、請求項35に記載の格子構造体(10、100、200)。
【請求項37】
前記少なくとも1つの主要素(212)は、第1の主延在方向(Xa)に沿って延びるように構成された第1の主要素(212a)と、第2の主延在方向(Xb)に沿って延びるように構成された第2の主要素(212b)を含み、前記第1の主延在方向(Xa)と前記第2の主延在方向(Xb)は、互いに斜交しており、好ましくは実質的に直交する、請求項25~請求項36のいずれか一項に記載の格子構造体(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み可能な医療器具の分野、特に、人間又は動物の関節の軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分のための格子支持構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
関節症は、骨関節の端を覆っている軟骨の摩耗の進行によって生じる、痛み症状を伴う変性疾患である。これは、特に50歳以上の人口における関節痛の最も一般的な原因の1つであり、膝、股関節、頸椎、及び腰椎などの、より大きな荷重がかかる関節に最も頻繁に生じる。しかしながら、手及び肩の関節などの他の関節に生じる場合もある。
【0003】
関節症の痛みは、主に骨組織から発生し、関節包の関節面の一面を覆っている滑膜から副次的に発生し、これらの組織は、血管及び神経のない関節軟骨とは異なり、神経支配され、血管が発達している。関節症の自然経過で、骨組織のミネラル成分及びタンパク質成分が欠乏し、その結果、機械的強度及び弾力性が失われる。軟骨下骨及び骨端部の中、すなわち、関節軟骨の下の骨層が、その強度を超える機械的応力にさらされ、生理学的閾値を超えて変形し、その結果、侵害受容神経線維が活性化し、痛みが発生する。
【0004】
実際、これは痛みの悪化であり、ほとんどの症例で手術の必要性を決定づける関節炎による骨頭の変形に起因した関節の動きの機能的制限ではない。
【0005】
今日まで、人工関節置換術は、最も重度の関節症を治療するためのゴールドスタンダードである。変形した関節面を金属人工コンポーネントで置き換えることで、股関節置換術の場合は術後25年で75%以上、膝関節置換術の場合は術後20年で90%以上と推定されるインプラントの定着率が保証される(Evans JT;Lancet 2019)。
【0006】
プロテーゼ手術に関連する第1の重要な課題は、術後の合併症の発生率である。科学文献では、15%を超える術後合併症が報告されており、症例のうち10%は再手術の必要がある(David Figueroa, Arthroplasty today 2019)。
【0007】
科学文献によって強調されている第2の重要な課題は、他に確認できる原因がないにもかかわらず、プロテーゼの埋め込み後に痛みと機能的制限を報告し続ける患者の割合が無視できないほどあることであり、膝インプラントの場合には最大34%である。プロテーゼ手術後に残る痛みの原因は多岐にわたり、場合によっては正確に特定することができない。
【0008】
しかしながら、特に上で強調した第2の重要な課題の観点から、人工関節の性能の向上は、一方ではプロテーゼの設計によって、また、他方では使用する材料によって阻まれる。
【0009】
人工関節の設計は、解剖学的サンプルで実行された解剖学的研究及び計算による研究から外挿された幾何学的妥協に基づいて考案されており、したがって、研究対象のサンプルの変動の平均を考慮に入れた標準的設計である。サンプルのサイズに関係なく、各個人の人工関節が母集団の平均に対する適応を表すことは避けられない。
【0010】
材料に関しては、人工関節は、金属材料、通常は鋼又はチタン合金で作製され、骨端部の中に固定される。骨端部の中への金属の固定により、天然の関節面とは異なる、さらには相容れない機械的特徴を有する複合材が作製される。実際には、天然の骨は、骨幹の緻密な皮質骨から、海綿骨が優勢な骨幹端を通って、関節面を覆っている軟骨までの、硬度勾配の減少と弾性勾配の増加を有する。金属人工コンポーネントの重量は、人工コンポーネントによって置き換えられる患部軟骨及び骨の重量に対して少なくとも一桁重い。さらに、それらは、軟骨下骨及び骨端部の中及び関節軟骨に対してより高い硬度及びより低い弾性を有し、これにより、抗生理学的複合材料が作製される。
【0011】
整形外科でより最近導入された方法は、いわゆるsubchondroplastyであり、これは、複合材料、例えば、リン酸三カルシウムセメントの骨内注入による、変性した軟骨下骨の補強を含む。この治療は、主に骨浮腫の治療に適応され、関節症の治療には適応されない。Subchondroplastyは、軟骨下骨にかかる荷重を低減するのに効果的ではなく、荷重がかかる軟骨下骨の領域の応力を低減するのに効果的でもない。
【0012】
関節炎の痛みを低減するために、変性した軟骨下骨に埋め込むことができるいくつかの方法及び器具も開発されている。
【0013】
例えば、RU2161929C1は、関節炎性骨嚢胞の位置の突出部にある皮質下位置の大腿骨顆に沿って一連の湾曲した溝を形成することを含む外科的方法を開示している。各溝に、対応する形状及びサイズの多孔質ニッケル-チタンのプレートが導入される。関節面の横からねじを挿入して軟骨をプレートに固定することで軟骨を安定化させることもできる。
【0014】
US2011/125264A1は、変性した関節骨組織を治療するための一連の器具及び方法を開示している。
【0015】
この文書は、関節症を患っている領域を支持するために軟骨下骨に埋め込むことができる器具の使用を特に想定している。この器具は、挿入領域、骨欠損の形状、及び/又は挿入モードに応じて様々な形状をとることができ、例えば、実質的にプレート状の本体、或いは直線又は湾曲した長方形の本体を備える。骨への埋め込み可能な器具の挿入は、ガイドワイヤ又は特別な外科用ガイド器具を使用して行うことができる。
【0016】
この器具の使用は、インプラントの周囲の領域に骨セメント又は生物学的薬剤を含む他の担体を注入することによってさらに補うことができる。
【0017】
WO2017/091657A1は、関節骨を治療するための埋め込み可能な整形外科用器具を開示しており、この器具は、関節側端部と、器具の第2の区域と対向する嵌合端部と、2つの端部間に延びる側壁とを有する、全体的に円筒形の形状の第1の区域を備え、前記第1の区域は、挿入器具と係合するように構成された軸方向に延びる中央開口部をさらに備える。
【0018】
この器具は、前述の第1の区域との嵌合端部、反対側の前端部、及び嵌合端部と前端部との間に延びる側壁を有する、第2の区域を備える。この器具の第2の区域の側壁は、この器具の埋め込み中に軟骨下関節骨への穿通を容易にするように構成されたねじ山を備える。
【0019】
US2012/185044A1は、関節に隣接する変性した軟骨下骨に構造的な緩衝支持を提供するように構成された一連の埋め込み可能な器具を例示している。
【0020】
この器具は、場合によっては穴が設けられた、形状設定されたプレートの形態で作製され得る。他の設計では、この器具は、細長いベースプレートと、ベースプレートの両面から横方向に延びる一連のテーパした支柱要素とを備え得る。さらに他の形態では、このシステムは、軟骨下骨にモジュール式に挿入するように構成された様々な幾何学的形状(例えば、プレート状、或いは管状又は円形要素のような形状)の一連の別個の支柱要素から構成され得る。
【0021】
開示された器具は、軟骨下骨内への器具の挿入を容易にするべく、ガイドピンを収容するための1つ以上の穴又はスロットを有する。
【0022】
US2013/035561A1はまた、関節炎性の関節痛を治療するための方法及び器具を開示している。記載されている様々な治療のうち、この文書は、その場で配置される補強部材によって、変形性関節症を患っている骨の軟骨下骨領域を機械的に強化することも想定している。この要素は、骨との制約なしに埋め込む又は骨に固定することができる。この文書は、補強部材は様々な形状を有し得る、例えば、実質的に平面状の又は細長い部材として作成され得ることを一般的に開示している。
【0023】
上述した従来技術の様々な文書は、骨欠損部にかかる荷重の一部を担うべく、骨欠損部の近くに様々な形状に設定される要素を挿入することによって、軟骨下骨の関節炎部分をどのようにしてサポートするかを教示している。
【0024】
しかしながら、上記の公知の技術文書によって開示された器具のいずれも、患部骨領域に作用する荷重の一部を健康な骨領域に伝達するなどの、応力の効果的な「全体的な」再分配を行うことはできないことに出願人は気付いた。開示された器具は、局所的にのみ動作し、欠損部に近い、したがって損傷した骨組織からほぼ完全に構成される領域に荷重を分散させるため、患部骨に生じる変形を実質的に減らすことはできず、その結果、患者が感じる痛みを減らすこともできない。しかしながら、骨欠損が周囲の領域に広がっている場合、そのような挿入された器具を、より大きな及び/又は異なる形状の器具と交換する必要があることがわかっている。
【0025】
しかしながら、プレート状の形状の、円筒形の、又は突き出る支柱要素を備えた器具などの、より複雑な形状及びより大きな寸法の器具の埋め込みは、器具を収容する隙間をつくるために患者の本来の骨を無視できないほど切除することを伴う、特に侵襲的な外科的挿入手技を必要とすることに出願人は気付いた。しかしながら、これらの場合、骨に準備を施す及び支持要素を挿入する外科的手技も複雑で再現するのが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、変性した軟骨下骨部分にかかる荷重を、埋め込み可能な器具の侵襲性を増加又はさらには減少させることなく、特に、これらの荷重の一部を健康な骨領域にも伝達することによって、従来技術の器具によって可能であるよりも大きい骨区域にも再分配できれば有利であることを出願人は認識した。
【0027】
したがって、本発明の根底にある技術的課題は、医療関係者が簡単な手順で埋め込むことができる最小侵襲の器具の使用を通じて、変性した軟骨下骨部分に作用する荷重を効果的に軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
したがって、第1の態様において、本発明は、人間又は動物の関節の骨端部の軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分のための格子支持構造体であって、
- 主延在方向に沿って軟骨下骨の変性部分を少なくとも部分的に通って延びる、骨端部内に収容されるように構成された少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素と、
- 副延在方向に沿って軟骨下骨の変性部分を少なくとも部分的に通って延びる、骨端部内に収容されるように構成された複数の実質的に直線的な糸状の副要素と、
を備え、
第1の副要素は、第1の副延在方向に沿って延びるように構成され、第2の副要素は、第2の副延在方向に沿って延びるように構成され、第1の副延在方向と第2の副延在方向は、互いに斜交しており、
少なくとも1つの主要素は、副要素の第2の横寸法よりも大きい第1の横寸法を有する、
格子支持構造体に関する。
【0029】
有利には、少なくとも1つの主要素と副要素は、両方の端で、骨端部の皮質骨部分に到達する及び少なくとも部分的に交わるように構成される。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「変性骨部分」(以下、「骨の変性部分」と呼ぶこともある)又は同様の表現は、関節症又は類似の変性疾患により、その生理学的機械的特性及び弾性特性を失った患部骨組織を意味する。
【0031】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「皮質骨部分」、「皮質骨」、及び同様の表現は、本発明の格子構造体が意図される、関節骨端部の外皮質をなす、主に緻密な層状骨組織からなる骨層を意味する。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「斜交している」という用語は、第2の方向と平行ではない、一致していない方向を意味する。
【0033】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「近位」及び「遠位」という用語は、それぞれ、本発明の格子構造体が組み立てられる骨端部に近い位置及び遠い位置を示すために用いられる。
【0034】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、細長い形状の本体又は要素に関して用いられる「横」、「横方向」などの表現は、当該本体又は要素が主に延びる基準方向と実質的に直交する方向を示す。
【0035】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「よりも上」、「よりも下」、「頂部」、「底部」という表現は、斜視図(例えば、
図1、5)、正面図(例えば、
図3、6)、又は側面図(例えば、
図4)のように配向された格子構造体の要素の相互位置を指す。
【0036】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「テンプレートの主本体の展開方向」は、テンプレートの主本体を一方の自由端から他方の自由端まで通る曲線及び/又は複数の直線的なセグメントを含むものとして理解される方向を意味する。
【0037】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「テンプレートの主本体の展開面」は、テンプレートの主本体の展開方向を含む平面を意味し、そのような平面は、
図10及び
図11の斜視図での水平面と実質的に一致する。
【0038】
その第2の態様において、本発明は、人間又は動物の関節の骨端部の軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分のための格子支持構造体であって、
- 主延在方向に沿って軟骨下骨の変性部分を少なくとも部分的に通って延びる、骨端部内に収容される少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素と、
- 副延在方向に沿って軟骨下骨の変性部分を少なくとも部分的に通って延びる、骨端部内に収容された複数の実質的に直線的な糸状の副要素と、
を備え、
第1の副要素は、第1の副延在方向に沿って延び、第2の副要素は、第2の副延在方向に沿って延び、第1の副延在方向と第2の副延在方向は、互いに斜交しており、
少なくとも1つの主要素は、副要素の第2の横寸法よりも大きい第1の横寸法を有し、
少なくとも1つの主要素と副要素は、両方の端で、骨端部の皮質骨部分に到達する及び少なくとも部分的に交わる、
格子支持構造体に関する。
【0039】
本発明の最初の2つの態様に関連して上記で定義したような格子構造体を形成するために、一連の実質的に糸状の副要素と協働する少なくとも1つの剛性の主要素を使用することで、驚いたことに、軟骨下骨の変性部分にかかる荷重を軽減する有利な効果が発揮されることを出願人は見出した。
【0040】
副要素よりも大きい横寸法を有する直線的なロッド状の形状の少なくとも1つの剛性の主要素は、構造に機械的安定性を与え、その周囲の変性骨部分の荷重を支えるのに役立つ。
【0041】
斜交方向に沿って骨部分において延びる糸状の副要素は、特に強い支持「メッシュ」を有する実際の格子サブ構造をなし、関節に作用する荷重による応力を、弾性的に吸収し、格子構造体が埋め込まれる骨端部の軟骨下骨及び骨端部の中のボリューム全体にわたって効果的に再分配することができる。
【0042】
有利には、主要素と副要素の両方が、両方の端で骨端部の皮質部分と交わるまで延びているため、このように形成された格子構造体は皮質部分に載置され、そのような皮質部分は、関節の軟骨下骨領域を構成する海綿骨に対して、より高密度で、より剛性があり、したがってより強い。
【0043】
この皮質との当接により、荷重が骨端部の中及び軟骨下骨領域の変性した海綿骨をバイパスして、緻密な健康な皮質骨にかかり、健康な軟骨下骨に再分配され、したがって、最適な構造的支持が提供される。
【0044】
実際には、本発明の格子構造体により、変性した関節骨部分に作用する荷重のピークを30%以上減少させることができることを出願人は実験で検証した。本発明に係る構造によって実現される荷重の減少により、変性骨部分の変形を20%以上減少させることができ、変性した軟骨下骨に生じる変形のレベルを生理学的閾値よりも低くすることができる。荷重及び変形の減少は、関節に再び荷重がかかったときに、例えば、対象となる関節が膝関節又は股関節の場合に、患者が座位又は臥位から立ち上がるときに、又は歩いているときに、患者が感じる痛みの顕著な減少(又はさらには消失)につながる。
【0045】
さらに、本発明の格子構造体は、特に軽量で、設置面積が最小限であり、その結果、その組み立てに顕著なサイズの骨部分の除去を必要とせず、したがって、最小限の侵襲性、天然組織の温存、及び患者の術後の回復の観点から顕著な利点を有する。
【0046】
第3の態様において、本発明は、人間又は動物の関節の骨端部の軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分のための格子支持構造体を組み立てるための部品のキットであって、
- 少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素と、
- 第1の副要素及び第2の副要素を含む、複数の実質的に直線的な糸状の副要素と、
- 細長い主本体と、その一端に少なくとも1つの主要素のための固定部材を有する少なくとも1つのピンとを備える、外科用テンプレートと、
を含み、
少なくとも1つのピンは、使用時に軟骨下骨の変性部分内で少なくとも1つの主要素の主延在方向に沿って延びるように構成され、主本体は、第1の副要素の第1の副延在方向を定める第1の副孔と、第2の副要素の第2の副延在方向を定める第2の副孔を備え、第1の副延在方向と第2の副延在方向は、互いに斜交しており、
少なくとも1つの主要素は、副要素の第2の横寸法よりも大きい第1の横寸法を有し、
少なくとも1つの主要素と副要素は、両方の端で、骨端部の皮質骨部分に到達する及び少なくとも部分的に交わるように構成される、
キットに関する。
【0047】
本発明の第3の態様に係る部品のキットは、格子支持構造体の簡単で正確な組み立てを可能にし、その利点は、本発明の最初の2つの態様に関連して上記で概説している。
【0048】
第4の態様において、本発明は、少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素の少なくとも1つの対応する固定座部と協働するように構成された少なくとも1つの固定部材を備える細長い主本体を有する外科用テンプレートを含むテンプレートアセンブリに関する。
【0049】
テンプレートの主本体は、糸状の実質的に直線的な第1の副要素及び第2の副要素を収容するように構成された第1の副貫通孔及び第2の副貫通孔を備え、第1の副孔は、第1の副要素の第1の副延在方向を定め、第2の副孔は、第2の副要素の第2の副延在方向を定め、第1の副延在方向と第2の副延在方向は、互いに斜交している。
【0050】
本発明の第3及び第4の態様に関連して概説したように、外科用テンプレート及びテンプレートアセンブリの提供により、主要素の延在方向からなる基準から始まって、テンプレートが固定されるところまで、それに沿って副要素が挿入される副延在方向を簡単且つ迅速な様態で定めることが可能になり、これにより、明確に画定された幾何学的に正確な格子構造体の組み立てが可能になる。
【0051】
本開示はさらに、人間又は動物の関節の骨端部の軟骨下骨の変性部分のための格子支持構造体を組み立てるための方法であって、
- 少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素を配置するステップと、
- 第1の副要素及び第2の副要素を含む、複数の実質的に直線的な糸状の副要素を配置するステップと、
ここで、前記少なくとも1つの主要素は、前記副要素の第2の横寸法よりも大きい第1の横寸法を有しており、
- 上述の本発明の第4の態様に係るテンプレートアセンブリを配置するステップと、
- 骨コアリングによって、変性骨部分を通る少なくとも1つの主要素のための少なくとも1つの収容座部を形成するステップと、
ここで、収容座部は、骨端部にわたっており、骨端部の皮質骨部分に面するアクセス部を両端に備えており、
- 少なくとも1つの主要素を少なくとも1つの収容座部に挿入するステップと、
- テンプレートの少なくとも1つの固定部材を少なくとも1つの主要素の少なくとも1つの対応する固定座部に固定することによって、テンプレートアセンブリを少なくとも1つの主要素に拘束し、収容座部のアクセス部のうちの1つを通じて少なくとも1つの固定座部にアクセスするステップと、
- ドリルツールを使用して副要素を軟骨下骨の変性部分に挿入し、副要素をテンプレートの副穴に通してスライドさせるステップと、
- 少なくとも1つの主要素の対応する少なくとも1つの固定座部から少なくとも1つの固定部材を解放することによってテンプレートアセンブリを除去するステップと、
を含む方法に関する。
【0052】
本開示はさらに、人間又は動物の関節の骨端部の軟骨下骨の変性部分のための格子支持構造体を組み立てるための方法であって、
- 少なくとも1つのロッド形の実質的に直線的な剛性の主要素を配置するステップと、
- 第1の副要素及び第2の副要素を含む、複数の実質的に直線的な糸状の副要素を配置するステップと、
ここで、前記少なくとも1つの主要素は、前記副要素の第2の横寸法よりも大きい第1の横寸法を有しており、
- 細長い主本体と、その一端に少なくとも1つの主要素のための固定部材を有する少なくとも1つのピンとを備える、外科用テンプレートを配置するステップと、
ここで、少なくとも1つのピンは、使用時に軟骨下骨の変性部分内で少なくとも1つの主要素の主延在方向に沿って延びるように構成され、主本体は、第1の副要素の第1の副延在方向を定める第1の副孔と、第2の副要素の第2の副延在方向を定める第2の副孔を備え、第1の副延在方向と第2の副延在方向は、互いに斜交しており、
- 骨コアリングによって、変性骨部分を通る少なくとも1つの主要素のための少なくとも1つの収容座部を形成するステップと、
ここで、収容座部は、骨端部にわたっており、骨端部の皮質骨部分に面するアクセス部を両端に備えており、
- 少なくとも1つの主要素を少なくとも1つの収容座部に挿入するステップと、
- 少なくとも1つの主要素の端に設けられた固定座部にテンプレートのピンの固定部材を固定することによって、テンプレートを少なくとも1つの主要素に拘束し、収容座部のアクセス部のうちの1つを通じて前記端にアクセスするステップと、
- ドリルツールを使用して副要素を軟骨下骨の変性部分に挿入し、副要素をテンプレートの副穴に通すステップと、
- 少なくとも1つの主要素の端からピンを解放することによってテンプレートを除去するステップと、
を含む方法に関する。
【0053】
前述の方法は、本発明の第1の態様に関連して上記で概説したすべての利点を有する、軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分のための格子支持構造体を得ることを可能にする。
【0054】
特に、このような方法は、各要素の延在方向を定めるテンプレートに設けられたピン又は穴に関する位置合わせによって、主要素及び副要素の位置決めにおいて高精度で簡単な様態で格子支持構造体を組み立てることを可能にする。
【0055】
さらに、開示された方法は、主要素のための収容座部を形成するべく抽出される骨コアと、副要素を挿入するためにドリリング中に取り出される最小限の骨部分に本質的に対応する、変性した骨組織の最小限の部分を除去する必要があるため、患者に対して最小侵襲である。
【0056】
本発明は、以下に報告するその態様のうちの1つ又は複数、又は好ましい特徴のうちの1つ又は複数で提示され、これらは、出願要件に従って好ましいように互いに組み合わせることができる。
【0057】
好ましくは、第1の副要素の第1の副延在方向は、第1の平面内にある。
【0058】
好ましくは、第2の副要素の第2の副延在方向は、第2の平面内にある。
【0059】
好ましくはさらに、第1の平面と第2の平面は、互いに実質的に平行である。
【0060】
好ましくは、第1の副要素の第1の副延在方向は、互いに実質的に平行である。
【0061】
好ましくは、第2の副要素の第2の副延在方向は、互いに実質的に平行である。
【0062】
好ましくは、第1の副要素と第2の副要素は実質的に並んでいる、又は第1の副延在方向と第2の副延在方向との第1の交点で接触する。
【0063】
好ましくは、第1の副要素の第1の副延在方向は、第2の副要素の第2の副延在方向と実質的に直交する。
【0064】
この副要素の構成は、荷重の再分配の観点から最適な構成であり、格子構造体の組み立て中に実装するのが最も簡単である。
【0065】
好ましくは、テンプレートの主本体は、2つの端部又は自由端間に延びる中央部を備える。
【0066】
好ましくは、端部又は自由端は、中央部に対してテンプレートの同じ辺から延びる。
【0067】
好ましくは、テンプレートの主本体は、骨端部を少なくとも部分的に取り囲むような形状にされる。
【0068】
好ましくは、テンプレートの主本体は、実質的にC字形である。
【0069】
好ましくは、テンプレートの主本体の展開方向は展開面内にある。
【0070】
好ましくは、テンプレートの主本体は、展開面を横断する方向の厚さを無視すれば、実質的に平坦である。
【0071】
好ましくは、第1の平面は、テンプレートの主本体の展開面に実質的に平行である。
【0072】
好ましくは、第2の平面は、テンプレートの主本体の展開面に実質的に平行である。
【0073】
好ましくは、第3の平面は、テンプレートの主本体の展開面に実質的に平行である。
【0074】
好ましくは、第4の平面は、テンプレートの主本体の展開面に実質的に平行である。
【0075】
好ましくは、それに沿ってテンプレートの少なくとも1つのピンが延びる主延在方向は、テンプレートの主本体の展開面に平行である。
【0076】
好ましくは、テンプレートの主本体は、第1の直線部と、第1の直線部に実質的に直交して延びる第2の直線部を備える。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1の直線部は、テンプレートの主本体の中央部に画定される。
【0078】
いくつかの実施形態では、第2の直線部は、テンプレートの主本体の自由端の1つに画定される。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1の直線部及び第2の直線部は、それぞれ、テンプレートの主本体の自由端に画定される。
【0080】
いくつかの実施形態では、テンプレートの主本体は、第1の直線部と実質的に直交して、且つ第2の直線部と実質的に平行に延びる、第3の直線部を備える。
【0081】
好ましくは、第1の副孔は、テンプレートの第1の直線部に設けられ、第2の副孔は、テンプレートの第2の直線部に設けられる。
【0082】
好ましくは、さらに、第1の副孔及び第2の副孔は、それぞれ、テンプレートの第1の直線部及び第2の直線部を横断する方向に延びる。
【0083】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのピンは、テンプレートの主本体の第1の直線部に設けられる。
【0084】
好ましくは、テンプレートの少なくとも1つのピンは、第1の副孔と実質的に平行に延びる。
【0085】
いくつかの実施形態では、複数の副要素は、第1の副延在方向及び/又は第2の副延在方向と斜交する、第3の副延在方向に沿って延びるように構成された第3の副要素をさらに含む。
【0086】
最初の2つのグループに対して第3の配向を有するこの第3のグループの副要素の存在は、格子構造体をさらに強化し、軟骨下骨の変性部分に作用する応力のより一層効果的な再分配によって、軟骨下骨の変性部分の荷重を分散させることができる。
【0087】
好ましくは、第3の副延在方向は、第1及び第2の延在方向がそれぞれ存在する第1の平面及び/又は第2の平面に実質的に平行な第3の平面内にある。
【0088】
好ましくは、第3の延在方向は、第1の副延在方向及び/又は第2の副延在方向に対して約45°に配向される。
【0089】
この構成は、第1の副延在方向と第2の副延在方向が互いに直交するときに特に有利である。
【0090】
第3の副要素が存在するとき、複数の副要素はまた、好ましくは、第3の副延在方向並びに第1の副延在方向及び/又は第2の副延在方向と斜交する、第4の副延在方向に沿って延びるように構成された第4の副要素を含む。
【0091】
好ましくは、第4の副延在方向は、第3の副延在方向がある第3の平面に、並びに、第1の副延在方向及び第2の副延在方向がそれぞれ存在する第1の平面及び/又は前記第2の平面に実質的に平行な、第4の平面内にある。
【0092】
好ましくは、第3の副要素と第4の副要素は、実質的に並んでいる、又は第3の副方向と第4の副方向との第2の交点で接触する。
【0093】
互いに斜交する第3及び第4の副延在方向に延びる第3及び第4の副要素の提供により、第1及び第2の副要素によって形成される第1のサブ構造とは別個の、第2の「メッシュ」サブ構造の形成が可能になる。これにより、骨端部の2つの別個の平坦な領域に応力を並行して再分配することができる。
【0094】
好ましくは、第4の副延在方向は、第3の副延在方向と直交する。
【0095】
さらに、第4の延在方向は、好ましくは、第1の副延在方向及び/又は第2の副延在方向に対して約45°に配向される。
【0096】
この場合、好ましくは、テンプレートの主本体は、第3の副要素の第3の副延在方向を定める第3の副孔と、第4の副要素の第4の副延在方向を定める第4の副孔を備え、第3の副延在方向と第4の副延在方向は、互いに斜交している。
【0097】
いくつかの実施形態において、第3の副孔は、テンプレートの第1の直線部に設けられ、第4の副孔は、テンプレートの第1の直線部に実質的に直交して延びるテンプレートの第2の直線部に設けられる。
【0098】
好ましくは、第3の副孔及び第4の副孔は、それぞれ、テンプレートの第1の直線部及び第2の直線部を横断する方向に延びる。
【0099】
好ましくは、この場合、テンプレートの少なくとも1つのピンは、テンプレートの第3の副孔及び第4の副孔に対して約45°をなして延びる。
【0100】
いくつかの実施形態では、テンプレートの主本体は、第1の直線部と第2の直線部との間に延びる接続部を含む。
【0101】
好ましくは、接続部は、テンプレートの第1及び第2の直線部に対して約45°に配向される。
【0102】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのピンは、テンプレートの主本体の接続部に設置される。
【0103】
好ましくは、少なくとも1つの主要素の主延在方向は、第1の副要素の第2の副延在方向と実質的に直交する。
【0104】
好ましくは、第1の副方向は、第1の副穴の軸と一致する。
【0105】
好ましくは、第2の副方向は、第2の副穴の軸と一致する。
【0106】
好ましくは、第3の副方向は、第3の副穴の軸と一致する。
【0107】
好ましくは、第4の副方向は、第4の副穴の軸と一致する。
【0108】
好ましくは、テンプレートは、ロッド形の実質的に直線的な剛性の第1の主要素の対応する第1の固定座部と協働するように構成された第1の固定部材と、ロッド形の実質的に直線的な剛性の第2の主要素の対応する第2の固定座部と協働するように構成された第2の固定部材を備える。
【0109】
好ましくは、テンプレートは、その近位端に第1の固定部材を有する第1のピンを備える。
【0110】
好ましくは、第1のピンは、テンプレートの主本体の展開面に実質的に平行である。
【0111】
好ましくは、テンプレートは、その近位端に第2の固定部材を有する第2のピンを備える。
【0112】
好ましくは、第2のピンは、テンプレートの主本体の展開面に実質的に平行であり、且つ、第1のピンに実質的に平行である。
【0113】
いくつかの実施形態では、本発明の第4の態様に係るテンプレートアセンブリは、第1の副孔に挿入された第1の糸状の実質的に直線的な副要素をさらに備える。
【0114】
いくつかの実施形態では、本発明の第4の態様に係るテンプレートアセンブリは、第2の副孔に挿入された第2の糸状の実質的に直線的な副要素をさらに備える。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明の第4の態様に係るテンプレートアセンブリは、第3の副孔に挿入された第3の糸状の実質的に直線的な副要素をさらに備える。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明の第4の態様に係るテンプレートアセンブリは、第4の副孔に挿入された第4の糸状の実質的に直線的な副要素をさらに備える。
【0117】
副要素がテンプレートの副穴に既に挿入された状態のテンプレートアセンブリが医療スタッフに供給される、テンプレートアセンブリの予め組み立てられた構成は、外科的手技中の時間を節約し、テンプレート上の副要素の相互の位置決め及び取り付けの際の潜在的エラーを回避するので、特に有利である。
【0118】
好ましくは、少なくとも1つの主要素は実質的に円形の断面を有し、少なくとも1つの主要素の第1の横寸法は、このような場合、第1の直径である。
【0119】
好ましくは、さらに、副要素は実質的に円形の断面を有し、副要素の第2の横寸法は、このような場合、第2の直径である。
【0120】
例として、副要素はキルシュナー鋼線である。
【0121】
好ましくは、少なくとも1つの主要素の第1の直径は、3~10mm、より好ましくは4~8mmである。
【0122】
好ましくは、副要素の第2の直径は、0.3~2mm、より好ましくは0.8~1.6mmである。
【0123】
好ましくは、少なくとも1つの主要素の第1の直径と副要素の第2の直径との比は、1.5~34、より好ましくは2.5~10である。
【0124】
好ましくは、副要素は、少なくとも一方の挿入端で骨にねじ込まれる。
【0125】
代替的に又は加えて、副要素はまた、挿入端とは反対の端で骨にねじ込まれる。
【0126】
ねじ山は、皮質骨部分への実際の固定を可能にし、格子構造体内の副要素の位置を安定化させるのに役立つ。
【0127】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの主要素は、管状本体を備える。
【0128】
この主要素の形状は、骨コアリング術によって医療スタッフにとって簡単な様態で対応する収容座部を軟骨下骨に作製することを可能にする。
【0129】
好ましくは、この場合、少なくとも1つの主要素の第1の直径は、管状本体の外径に対応する。
【0130】
好ましくは、少なくとも1つの主要素の管状本体に、複数の貫通開口部が設けられる。
【0131】
以下の説明から明らかとなるように、管状本体に開口部が存在することで、主要素が副要素と相互作用することが可能になり、格子構造体により大きな安定性が与えられる。さらに、そのような開口部の存在は、骨を刺激して開口部を通じて主要素の内腔で再成長させ、そのオッセオインテグレーションと、除去された骨ボリュームの埋め合わせを促進する。
【0132】
この場合、好ましくは、副要素の副延在方向は、少なくとも1つの主要素の主延在方向と交わる。したがって、副要素の少なくとも一部は、好ましくは、対応する少なくとも1つの主要素の管状本体の貫通開口部を通って延びるように構成される。
【0133】
この場合、主要素と副要素は相互に接続されており、格子構造体がより堅牢で安定したものになる。
【0134】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの主要素は、第1の主延在方向に沿って延びるように構成された第1の主要素と、第2の主延在方向に沿って延びるように構成された第2の主要素を含む。
【0135】
さらなる主要素の追加により、変性した軟骨下骨にさらなる構造的支持が提供され、構造を強化することができ、副要素にさらなる可能な相互接続点が提供される。
【0136】
より好ましくは、第1の主方向と第2の主方向は、互いに実質的に直交する。
【0137】
好ましくは、第1の主要素の第1の主延在方向は、第2の主要素の第2の主延在方向と交わる。
【0138】
このような場合、第2の主要素は、好ましくは、対応する第1の主要素の管状本体の貫通開口部を通って延びるように構成される。
【0139】
この場合、第2の主要素は、第1の主要素の第1の直径よりも小さい、特にそれが挿入される第1の主要素の開口部のサイズと適合する第3の直径を有する横断面を有する。
【0140】
この構成では、第1の主要素の開口部は、第2の主要素を接続して主要素のより一層堅牢な構造アセンブリを形成するために有利に使用され、変性した軟骨下骨にさらに大きな支持を与えることができる。
【0141】
好ましくは、少なくとも1つの主要素は、その一端に、本発明の第2の態様に関して前述した外科用テンプレートのための固定座部を備える。
【0142】
前記固定座部は、好ましくは、テンプレートの対応する固定部材と協働するようになっている。
【0143】
より好ましくは、少なくとも1つの主要素の固定座部は、ねじ穴を備え、テンプレートの固定部材は、対応するねじ部材を備える。
【0144】
いくつかの実施形態では、副要素の一端又は両端を皮質骨部分に固定するように構成された固定要素も想定され得る。
【0145】
例えば、そのような固定要素は、皮質骨部分から出ている副要素の端の周りに配置される係止バンドを含み得る。
【0146】
この場合、組み立て方法は、前記固定要素を適用することによって各副要素の一端又は両端を前記皮質骨部分に固定するステップをさらに含む。
【0147】
少なくとも1つの主要素は、管状の要素として構成されるとき、その場での骨の再成長を促進するための物質又は材料の担体として有利に使用することができる。
【0148】
例えば、好ましい実施形態では、少なくとも1つの主要素の内腔は、その中にフィラーを収容し、好ましい実施形態では、フィラーは、格子構造体が意図される患者の自家骨移植片である。
【0149】
この場合、主要素に挿入される組織は、主要素のための収容座部を作製するために変性骨部分から骨コアリングによって最初に除去される組織と同じ組織とすることができる。
【0150】
代替的に、フィラーは、同種骨移植片又は人工骨移植片とすることができる。
【0151】
上記のすべての場合において、骨の再成長を促進するために患者自身の幹細胞及び/又は成長因子をフィラーに補足することができる。
【0152】
好ましくは、少なくとも1つの主要素及び/又は副要素は、チタン、鋼、タンタル、セラミック材料、例えば複合ポリマー材料を含むポリマー材料、例えば複合セラミック材料を含むセラミック材料、炭素繊維、及びグラフェンから選択された1つ又は複数の材料で作製される。
【0153】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの主要素及び/又は副要素は、電流、静磁場、及び/又はパルス磁場、超音波、及び温熱から選択される1つ又は複数の条件に曝されたときに、軟骨下骨の変性部分に再生刺激を伝達するように構成される。
【0154】
これらの実践は、侵害受容神経刺激に対する患者の知覚を軽減することにさらに寄与し得る。
【0155】
好ましくは、前記骨端部は、膝関節、股関節、肩関節、足首関節、足関節、及び椎体の骨端部から、より好ましくは膝関節及び股関節の骨端部から選択され、より好ましくは膝関節の一部である。
【0156】
該当する関節が膝のとき、格子構造体が組み立てられる骨端部は、好ましくは、脛骨プラトー、遠位大腿骨、及び膝蓋骨から選択され、より好ましくは脛骨プラトーである。
【0157】
好ましくは、前述の格子構造体の第1及び第2の副要素の第1及び第2の副延在方向がそれぞれ存在する第1及び第2の平面は、その骨端部が属する骨の縦軸と実質的に直交する。
【0158】
患部関節が膝であり、骨端部が脛骨プラトーであるとき、第1及び第2の平面は、骨端部を実質的に横断する。
【0159】
好ましくは、本発明に係る格子構造体組み立てキットのコンポーネントは、患者固有のものである。
【0160】
したがって、本発明は、好ましくは、組み立てキットの寸法及びコンポーネントの数に関して、また、組み立て中のコンポーネントの位置に関して、格子構造体の構成のアドホックな定義を想定している。
【0161】
代替的に、標準化された数及びサイズの様々なコンポーネントを含む部品のキットを作製することもできる。
【0162】
好ましくは、開示された組み立て方法は、骨端部内の変性した軟骨下骨部分を識別する予備ステップを含む。
【0163】
好ましくは、前記変性骨部分を識別するステップは、既知の荷重状況で軟骨下骨に作用する荷重の分析を行うことを含む。
【0164】
例えば、骨端部が膝関節の脛骨プラトーである場合、前記既知の荷重状況は、既知の体重の被検者の一定歩行中に脛骨プラトーに作用する荷重の分布であり得る。
【0165】
好ましくは、変性骨部分を識別するステップは、患者の診断画像、例えば、CT又は磁気共鳴画像から既知の荷重状況で作用する荷重の三次元モデル、例えばCADモデルを定義することをさらに含む。
【0166】
好ましくは、変性骨部分を識別するステップは、有限要素解析(FEM)によって前記三次元モデルを分析することをさらに含む。
【0167】
好ましくは、開示された組み立て方法は、FEM解析の証拠に基づいて格子構造体のコンポーネントをモデル化するステップをさらに含む。
【0168】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して行われる本発明の特定の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。個々の構成での様々な特徴を必要に応じて組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【
図1】骨端部で組み立てられた、本発明の第1の実施形態に係る格子支持構造体の概略的な斜視図である。
【
図5】骨端部で組み立てられた、本発明の第2の実施形態に係る格子構造体の概略的な斜視図である。
【
図7】骨端部で組み立てられた、本発明の第3の実施形態に係る格子支持構造体の概略的な斜視図である。
【
図8】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるためのキットのいくつかのコンポーネントを概略的に示す図である。
【
図9】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるためのキットのいくつかのコンポーネントを概略的に示す図である。
【
図10】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるためのキットのいくつかのコンポーネントを概略的に示す図である。
【
図11】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるためのキットのいくつかのコンポーネントを概略的に示す図である。
【
図12】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるための方法のステップを例示する図である。
【
図13】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるための方法のステップを例示する図である。
【
図14】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるための方法のステップを例示する図である。
【
図15】本発明の格子構造体に関連する実験テストで使用した骨端部モデルを概略的に示す図である。
【
図16】本発明の格子構造体に関連する実験テストで使用した骨端部モデルを概略的に示す図である。
【
図17】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるためのキットのいくつかのコンポーネントを概略的に示す図である。
【
図18】本発明に係る格子支持構造体を組み立てるためのキットのいくつかのコンポーネントを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0170】
ここで、
図1~
図4を参照して、人間又は動物の関節の骨端部の軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分のための格子支持構造体10を説明する。
【0171】
格子構造体10は、特に、図示の例では膝関節の脛骨プラトーである骨端部E(時々略して骨端E)で組み立てられる。
【0172】
骨端部Eは、例えば関節炎現象により機械的特徴が劣化した、したがって、荷重を維持するのに不適切になっている骨の存在を特徴とする、軟骨下骨の1つ又は複数の変性部分を含む。
【0173】
様々な図面に、軟骨下骨の変性部分Dが概略的に示されている(変性骨部分Dと略して呼ぶこともある)。変性骨部分Dは、便宜上、骨端部Eの関節面Sのみに示されているが、関節面Sよりも1センチメートル以上、下に位置する軟骨下骨部分も含む。
【0174】
格子構造体10は、主延在方向Xに沿って変性骨部分12内で部分的に延びるロッド形の直線的な剛性の主要素12を備える。
【0175】
図示の例では、主延在方向Xは、骨端部Eが属する骨の縦軸A(
図4に示されている)と実質的に直交する。
【0176】
例えば、様々な図面に示されているように骨端部Eが脛骨プラトーである場合、主延在方向Xは、骨端部Eを横断する平面内にある。特に、例示した格子構造体10では、主延在方向Xは、
図4の側面図でよりよくわかるように前後方向に対応する。
【0177】
図8に拡大して示されている、主要素12は、好ましくは、端16、18の間に延びて内腔20を画定する、管状本体14を備える。管状本体14は、好ましくは、第1の外径d
1の円形の断面を有する。
【0178】
例示した好ましい実施形態では、主要素12は、管状本体14の全体に配置された複数の貫通開口部22をさらに備える。開口部22は、好ましくは、例示したように、管状本体14の直径方向に対向する位置に2×2で配置される、主要素12の延在方向Xに平行に延びる直線的な列24に沿って配置される。
【0179】
直径方向に対向する列24に属する開口部22はまた、好ましくは、主延在方向Xに直交する方向T
1、T
2に沿って対をなして整列している、例えば、
図8に示す、方向T
1に整列している開口部22a、22bのペアと、方向T
2に整列している開口部22c、22dのペアを参照されたい。
【0180】
主要素12は、軟骨下骨の変性部分Dの骨端部Eに骨コアリングによって作製された、対応する収容座部26に挿入される。
図1に示されている主要素12のための収容座部26は、特に、主要素12の延在方向Xに沿って骨端部Eにわたるような貫通座部である。したがって、収容座部26は、骨端Eの正中面に関して両側の骨端部Eの領域に存在する皮質部分Cに面するアクセス部28、30を備える。
【0181】
以下に説明するように、骨端部Eでの主要素12の特定の位置、特に、相対的な延在方向Xの向きが、患者固有の評価に従って選択され、それに続いて格子構造体12の設計が行われる。
【0182】
主要素12の長さは、主要素14の両方の端16、18が骨端Eの皮質部分Cに到達して交わるように、骨端部E内の収容座部26の位置に従って予め選択される。このように、例示したように、主要素12の端16、18は、収容座部26のアクセス部28、30を取り囲む皮質骨組織上に載置され、そこから前記端16、18が部分的に出ている。
図4では、主要素12の端16は、骨端Eの突出構造によって部分的に覆われているが、端18は、収容座部26のアクセス部28から出ていることに注目されたい。
【0183】
この主要素12の皮質との当接により、関係する荷重が、骨損傷部Dの劣化した海綿骨組織をバイパスして、健康な軟骨下骨組織に、特に、健康な皮質部分Cに伝達される。
【0184】
主要素12は、その端18に、格子構造体10の組み立てに使用される外科用テンプレート52、152のための固定座部32(
図8に示されている)をさらに備える。特に、固定座部32は、以下で詳述するように、テンプレート52、152の対応する固定部材70、170と協働するようになっている、管状本体14の内壁に作製されたねじ山(図示せず)を含む。
【0185】
図1~
図4で例示される本発明の第1の実施形態に係る格子構造体10は、複数の糸状の副要素34をさらに備える。
【0186】
副要素34は、
図7でさらに例示されるように、第2の直径d
2の円形の断面を有する。副要素34は、ある程度の屈曲が可能な弾性要素である。
【0187】
副要素34の第2の直径d2は、主要素12の第1の直径d1よりも小さく、主要素の第1の直径d1と副要素34の第2の直径d2との比は、好ましくは1.5~34、より好ましくは2.5~10である。
【0188】
副要素34は、荷重を支持及び再分配するための弾性格子サブ構造を形成するように相互の位置に分布している。
【0189】
実際には、第1の副方向Ya、Yb、Ycに沿って延びる、
図1~
図4に示される例では3つの、第1の副要素34a、34b、34cと、第2の副方向Yd、Ye、Yfに沿って延びる、同じく例として3つの第2の副要素34d、34e、34fが含まれる。簡略化のため、以下では、副延在方向を全体としてYで参照して言及することがある。
【0190】
第1の副方向Ya、Yb、Ycは、好ましくは骨端Eが属する骨の縦軸A(
図3及び
図4に示されている)と直交する、同じ第1の平面y1内に延びる。図示の例では、第1の平面y1は、骨端部Eを実質的に横断する平面である。
【0191】
同様に、第2の副方向Yd、Ye、Yfは、同じく好ましくは骨端Eの縦軸Aと直交し、且つ、第1の平面y1に実質的に平行である、同じ第2の平面y2内に延びる。
【0192】
図2に明瞭に示されているように、第1の副方向Ya、Yb、Ycはさらに、互いに平行であり、第2の副方向Yd、Ye、Yfは、互いに平行である。
【0193】
図1の実施形態では、第2の平面y2は、第1の平面y1よりも関節面Sから僅かに下に離れて延びており(例えば、
図3参照)、したがって、第1の副要素34a、34b、34cは、第2の副要素34d、34e、34fに対して関節面Sのより近くに延びている。もちろん、第2の平面y2が第1の平面y1に対して関節面Sのより近くに延びている、逆の配置を想定することもできる。
【0194】
有利には、第1の副方向Ya、Yb、Ycと第2の副方向Yd、Ye、Yfは互いに斜交する。言い換えれば、第1の副要素34a、34b、34cと第2の副要素34d、34e、34fは、一連の交点36(簡略化のために
図1~
図4では1つだけ示されている)で交わる。
【0195】
図3でよりよくわかるように、第1の平面y1と第2の平面y2は互いに近接しているため、第1の副要素34a、34b、34cと第2の副要素34d、34e、34fは、実質的に並んでいる、又は場合によっては交点36で接触する。
【0196】
図1に示すように、数及び配置に関しての副要素34の構成は、変性骨部分Dでの交点36の厚みを生じるように決定される。これにより、最も脆弱な骨領域により大きな弾性支持が生み出される。
【0197】
特に、
図2でわかるように、第1の副方向Ya、Yb、Ycと第2の副方向Yd、Ye、Yfは互いに直交する。
【0198】
主要素12と同様に、副要素34の長さも、各副要素34の両端38、40が正中面に関して両側の骨端部Eの皮質部分Cに到達して交わり、そのような骨端Eの皮質部分Cから部分的に出るように、骨端部E内のそれらの位置に基づいて決定される。
【0199】
特に、副要素34が挿入される骨区域に基づいて、副要素34の正確な長さを事前に設定することができる、又は代替的に、挿入端が挿入端に対して骨端Eの向こう側に到達すると、特別な切断器具で副要素の余分な部分を切除することが想定され得る。
【0200】
したがって、副要素34はまた、皮質骨上の支持を利用して、軟骨下骨の損傷部Dから健康な軟骨下骨及び健康な皮質部分に荷重を伝達する。
【0201】
好ましくは、後述する組み立て中の骨への副要素34の挿入端に対応する副要素34の端40にねじ山42が設けられる。ねじ山42の存在により、挿入中に端40が皮質骨部分Cに到達すると、副要素34を皮質骨部分Cに固定することが可能になる。そのような固定により、副要素34が副延在方向Yに沿って滑動する可能性が阻止される。
【0202】
もちろん、副要素34を両方の対向する皮質部分Cによりしっかりと固定するために、副要素34の他方の端38にさらなるねじ山(図示せず)を設けることができる。
【0203】
第1の副方向Ya、Yb、Ycは、好ましくは、主要素12の主延在方向X(例えば、
図4参照)に平行である。その結果、第2の副方向Yd、Ye、Yfは、好ましくは、主要素12の主延在方向Xと直交する。
【0204】
より詳細には、
図1の好ましい実施形態において、第2の副方向Yd、Ye、Yfは、主要素12と交わる。言い換えれば、第2の副要素34d、34e、34fは、主要素12の管状本体14を突き抜けて、第2の副延在方向Yd、Ye、Yfに沿って整列して配置された開口部22a、22bのペア(
図1ではペアが1つだけ示されている)を通って延びる。
【0205】
これにより、主要素12は、皮質骨部分Cでの相対的な端38、40の上述の支持に加えて、第2の副要素34d、34e、34fのためのさらなる支持点を提供する。したがって、第2の副要素34d、34e、34fと主要素12との間に形成されるインターレースが、格子構造体10を大いに安定化させる。
【0206】
ここで、
図5及び
図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る格子構造体100を説明する。
【0207】
前の実施形態と同一又は同様の要素は、100ずつ増加させた参照符号で以下に示される。
【0208】
格子構造体100は、前の実施形態の格子構造体10に対してさらに強化されている。実際には、これは、前後両方向の主延在方向Xa、Xbに沿って延びる第1の主要素112a及び第2の主要素112bを備える。簡略化のために、以下では、2つの主要素を全体として112として言及することがあり、相対的な主延在方向を全体としてXとして言及することがある。
【0209】
特に、第1の主要素112aと第2の主要素112bの副延在方向Xa、Xbは、骨端部Eが属する骨の縦軸Aに実質的に平行な平面内で互いに整列している。格子構造体100の構造的堅牢性の増加に関する利点を提供することに加えて、
図12~
図14を参照する以下の組み立て方法の説明から明らかになるように、平行に配置される2つの主要素を含めることにより、格子構造体100の組み立ての精度をさらに高めることができる。
【0210】
格子構造体100は、第1の副方向Ya、Yb、Ycに沿って延びる第1の副要素134a、134b、134cと、第2の副方向Yd、Ye、Yfに沿って延びる第2の副要素134d、134e、134fを備える。簡略化のために、以下では、副要素を全体として134として言及することがあり、相対的な副延在方向を全体としてYとして言及することがある。
【0211】
前述の実施形態と同様に、互いに平行な第1の副方向Ya、Yb、Ycは、好ましくは骨端Eが属する骨の縦軸Aと直交する第1の平面y1内にあり、互いに平行な第2の副方向Yd、Ye、Yfは、同じく好ましくは骨の縦軸Aと直交する第2の平面y2内にある。第1の平面y1と第2の平面y2は互いに平行である。
【0212】
さらに、第1の副方向Ya、Yb、Ycは、第2の副方向Yd、Ye、Yfと斜交し、より具体的には直交し、第1の副方向Ya、Yb、Ycと第2の副方向Yd、Ye、Yfは、第1の交点136a(簡略化のために
図5及び
図6では1つだけ示されている)で交わる。
【0213】
第2の平面y2は、第1の平面y1に対して、第1の平面y1よりも関節面Sから僅かに下に離れて延びている(例えば、
図6参照)。
【0214】
図6でよりよくわかるように、第1の平面y1及び第2の平面y2は互いに近接しているため、第1の副要素134a、134b、134cと第2の副要素134d、134e、134fは、実質的に並んでいる、又は場合によっては第1の交点136aで接触する。
【0215】
図5に示されている例では、格子構造体は、第3の副方向Yg、Yh、Yiに沿って延びる第3の副要素134g、134h、134iと、第4の副方向Yj、Yk、Ylに沿って延びる第4の副要素134j、134k、134lをさらに備える。
【0216】
互いに平行な第3の副方向Yg、Yh、Yiは、好ましくは骨端Eが属する骨の縦軸Aと直交する同じ第3の平面y3内に延びる。したがって、第3の平面y3は、第1の平面y1及び第2の平面y2に本質的と平行である。
【0217】
同様に、互いに平行な第4の副方向Yj、Yk、Ylは、同じく好ましくは縦軸Aと直交する同じ第4の平面y4内に延び、したがって、第1の平面y1、第2の平面y2、及び第3の平面y3に実質的に平行である。
【0218】
さらに、第3の副方向Yg、Yh、Yiは、第4の副方向Yj、Yk、Ylと斜交し、より具体的には直交し、第3の副方向Yg、Yh、Yiと第4の副方向Yj、Yk、Ylは、第2の交点136b(簡略化のために
図5及び
図6では1つだけ示されている)で交わる。
【0219】
第4の平面y4は、第1の平面y1に対して、第3の平面y3よりも関節面Sから僅かに下に離れて延びている(例えば、
図6参照)。
【0220】
第3の平面y3と第4の平面y4は互いに近接しているため、第3の副要素134g、134h、134iと第4の副要素134j、134k、134lは、実質的に並んでいる、又は場合によっては第2の交点136bで接触する。
【0221】
さらに、第3の平面y3は、関節面Sからさらに離れて、第2の平面y2から距離Pだけ離れて、第2の平面y2よりも下に延びている。距離Pは、好ましくは、主要素112の直径の大きさのオーダーである。したがって、格子構造体100では2つの格子サブ構造が区別され、第1の格子サブ構造は、第1の副要素134a、134b、134cと第2の副要素134d、134e、134fの並置によって形成され、第2の格子サブ構造は、第3の副要素134g、134h、134iと第4の副要素134j、134k、134lの並置によって形成され、前記格子サブ構造は、距離Pだけ離れている。
【0222】
さらに、第3の副方向Yg、Yh、Yiは、第1の副方向Ya、Yb、Yc及び第2の副方向Yd、Ye、Yfと斜交する。同様に、第4の副方向Yj、Yk、Ylも、第1の副方向Ya、Yb、Yc及び第2の副方向Yd、Ye、Yfと斜交する。
【0223】
より詳細には、第3の副方向Yg、Yh、Yiは、第1の副方向Ya、Yb、Yc及び第2の副方向Yd、Ye、Yfに対して約45°に配向される。その結果、第1の副方向Ya、Yb、Ycと第2の副方向Yd、Ye、Yfとの間、及び、第3の副方向Yg、Yh、Yiと第4の副方向Yj、Yk、Ylとの間に直交性があれば、第4の副方向Yj、Yk、Ylも、第1の副方向Ya、Yb、Yc及び第2の副方向Yd、Ye、Yfに対して約45°に配向される。
【0224】
この実施形態では、第2の副方向Yd、Ye、Yfは、第1の主要素112aと交わり、特に、主要素112aの主延在方向Xaと直交する。したがって、第2の副要素134d、134e、134fは、第1の主要素112aの管状本体114aを突き抜けて、第2の副延在方向Yd、Ye、Yfに沿って整列して配置された開口部のペアを通って延びる。第3の副方向Yg、Yh、Yi及び第4の副方向Yj、Yk、Ylは、第2の主要素112bと交わり、主要素112の第1の主延在方向Xa及び第2の主延在方向Xbに対して約45°に配向される。したがって、第3の副要素134g、134h、134i及び第4の副要素134j、134k、134lは、第2の主要素112bの管状本体114bを突き抜けて、第3の副方向Yg、Yh、Yiと第4の副方向Yj、Yk、Ylに沿って整列して配置された開口部のペアを通って延びる。
【0225】
この構成では、各主要素112a、112bは、上述の第1及び第2の格子サブ構造にさらなる支持点を提供する。
【0226】
前述の格子構造体10に関して、格子構造体100は、副要素134間のより多数の交点136の存在によって決まる、変性骨部分Dでの副要素134のより高密度な格子を提供し、これは構造100全体の安定性をさらに高める。
【0227】
この実施形態の主要素112及び副要素134は、
図1~
図4の実施形態について説明したのとまったく同様の様態で、両端が皮質骨Cに到達して交わり、部分的に露出する。
【0228】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る格子構造体200を例示している。
【0229】
格子構造体200は、主前後延在方向Xaに沿って延びる第1の主要素212aを備える。格子構造体200は、第2の主延在方向Xbに沿って延びる第2の主要素212bと、第3の主延在方向Xcに沿って延びる第3の主要素212cをさらに備える。第1の主延在方向Xa、第2の主延在方向Xb、及び第3の主延在方向Xcは、実質的に同じ第1の平面y1内にある。簡略化のために、以下では、3つの主要素を全体として212として言及することがあり、相対的な主延在方向を全体としてXとして言及することがある。
【0230】
図のように、第2の主要素212b及び第3の主要素212cは、第1の主要素212aの第1の直径d1よりも小さい、特に、第1の主要素212aの管状本体214aで得られる開口部の直径と同等の第3の直径d3を有する。これにより、第2の主要素212b及び第3の主要素212cは、第1の主要素212aの管状本体214aを突き抜けて、第2の主延在方向Xb及び第3の主延在方向Xcに沿って整列して配置された開口部222a、222b及び222c、222dのペアを通って延びる。
【0231】
格子構造体200は、第1の副方向Ya、Yb、Ycに沿って延びる3つの第1の副要素234a、234b、234cと、第2の副方向Yd、Yeに沿って延びる2つの第2の副要素234d、234eをさらに備える。簡略化のために、以下では、副要素を全体として234として言及することがあり、相対的な副延在方向を全体としてYとして言及することがある。
【0232】
前の実施形態で説明したように、第1の副方向Ya、Yb、Ycは、互いに平行であり、且つ、好ましくは骨端Eが属する骨の縦軸と直交する第1の平面y1と同一平面内にあり、第2の副方向Yd、Yeは、互いに平行であり、且つ、好ましくは骨端Eが属する骨の縦軸Aと直交する第2の平面y2と同一平面内にある。前の実施形態で説明したように、第2の平面y2は、第1の平面y1に平行であり、第1の平面y1に近い。第1の副方向Ya、Yb、Ycは、第2の副方向Yd、Yeと斜交し、特に直交し、交点236(
図7に1つだけ示されている)を定める。
【0233】
第1の副方向Ya、Yb、Ycは、第1の主要素212aの第1の主延在方向Xaと平行であり、且つ、第2の主要素212bの第2の主延在方向Xb及び第3の主要素212cの第3の主延在方向Xcと直交する。第2の副方向Yd、Yeは、代わりに、第2の主要素212bの第2の主延在方向Xb及び第3の主要素212cの第3の主延在方向Xcに平行であり、且つ、第1の主要素212aの第1の主延在方向Xaと直交する。
【0234】
この実施形態では、第2の副方向Yd、Yeは、主要素212aと交わり、第1の副方向Ya、Yb、Ycは、第2の主要素212b及び第3の主要素212cと交わる。
【0235】
すべての前の実施形態と同様に、この実施形態の主要素212及び副要素234は、両端が皮質骨Cに到達して交わり、部分的に露出する。
【0236】
格子構造体200の主要素212a、212b、212cの組み立てにより、皮質部分C上に支持される真の強化フレームが形成され、特に安定しており、副要素234が主要素212を貫通する点で、副要素234のための複数のさらなる支持点を提供することができる。
【0237】
ここで、
図8~
図11を参照して、前述の実施形態のいずれかに係る格子構造体10、100、200を組み立てるための部品のキット50を説明する。
【0238】
部品のキット50は、既に上で説明した
図8~
図9で例示されるように、1つ又は複数の主要素12と、複数の副要素34を備える。特に、主要素及び副要素34の数及びサイズは、患者のニーズに合った格子構造体を設計するために、変性した関節の荷重状況を判断するための患者固有の分析に基づいて決定される。
【0239】
本発明に係る部品のキット50は、本発明に係る格子構造体10、100、200の組み立てを容易にするように構成された、
図10及び
図17に概略的に示されているテンプレートアセンブリ51をさらに備える。
【0240】
テンプレートアセンブリ51は、第1の直線部56と、第1の直線部56に実質的に直交して延びる第2の直線部58とを備える、全体的に細長い主本体54を有する外科用テンプレート52を含む。テンプレート52はまた、好ましくは、第1の直線部56と実質的に直交して、且つ、第2の直線部58と実質的に平行に延びる、第3の直線部60を備える。
【0241】
図10に破線で示されるテンプレート52の主本体54の展開方向SVは、展開面Psv内に含まれる。したがって、テンプレート52の主本体54は、展開面Psvを横断する方向の厚さを無視すれば、実質的に平坦である。
【0242】
第1の直線部56は、第2の直線部58と第3の直線部60との間に延び、第2の直線部58と第3の直線部60は、テンプレート52の主本体54の自由端にある。第2の直線部58と第3の直線部60は、第1の直線部56と同じ辺で延びており、その結果、テンプレート52の主本体54は、格子構造体10、100、200を組み立てるために骨端部Eを3辺で取り囲むようになっている、実質的にC字形の形態となる。
【0243】
テンプレート52の主本体54は、第1の直線部56と第2の直線部58との間、及び第1の直線部56と第3の直線部60との間に延びる、直線的な接続部62、64をさらに備える。特に、接続部62は、第1の直線部56、第2の直線部58、及び第3の直線部60に対して約45°に配向される。
【0244】
テンプレート52は、テンプレート52の主本体54、特に第1の直線部56に設けられ、テンプレート52の主本体54の第2の直線部58及び第3の直線部60に実質的に平行に延びる対応する第1の貫通孔(図示せず)内に固定される、第1のピン66aをさらに備える。
【0245】
第1のピン66aは、その近位端68に、
図8に例示される主要素12の端18に作製された固定座部32と協働するようになっている第1の固定部材70を有する。第1の固定部材70は、例えば、
図8の主要素12の端18に設けられたねじ山と協働するようになっているねじ要素である。
【0246】
好ましくは、テンプレート52はまた、
図10で例示されるように、テンプレート52の主本体54の同じく第1の直線部56に設けられ、第1の直線部56を横断する平面内で第1のピン66aを収容する第1の貫通孔に平行である、対応する第2の貫通孔(参照符号なし)内に固定される第2のピン66bを備える。第2のピン66bは、その近位端(参照符号なし)に、さらなる主要素12の端18に作製された固定座部32と協働するようになっている第2の固定部材(参照符号なし)を有する。例えば、テンプレート52の第1のピン66a及び第2のピン66bは、
図5及び
図6で例示される格子構造体100の第1の主要素112a及び第2の主要素112bに固定することもできる。
【0247】
有利には、テンプレート52の主本体54は、第1の副穴72a、72b、72cを有し、その縦軸は、格子構造体10、100、200の組み立て中に、互いに平行に配向され、同じ平面y1内に延びる、軟骨下骨の損傷部Dでの第1の副要素32a、32b、32cの第1の副延在方向Ya、Yb、Ycを定める。第1の副延在方向Ya、Yb、Ycはまた、第1のピン66a及び第2のピン66bに平行である。
【0248】
テンプレート52の主本体54はまた、第2の副穴72d、72e、72fを有し、その縦軸は、格子構造体10、100、200の組み立て中に、互いに平行に配向され、第1の平面y1に平行な及び近い同じ平面y2内に延びる、軟骨下骨の損傷部Dでの第2の副要素32d、32e、32fの第2の副延在方向Yd、Ye、Yfを定める。
【0249】
好ましくは、テンプレート52は、骨端部Eでの副要素34、134、234の適正な位置合わせを容易にするように設計された管状の要素の形態でそれぞれ作製された、第1の副穴72a、72b、72c及び第2の副穴72d、72e、72fに挿入される第1のガイド74a、74b、74c及び第2のガイド74d、74e、74fをさらに備える。第1のガイド74a、74b、74c及び第2のガイド74d、74e、74fの位置の調整及び/又は固定のために、調整ねじ76(
図10には1つだけ示されている)をさらに設けることができる。
【0250】
テンプレート52は、図示のように、全体が参照符号73で示される穴のさらなるグループを備えることができ、これらは、組み立てられる格子構造体の想定される構成に基づいてさらなる副要素の可能なさらなる延在方向を定める。
【0251】
テンプレートアセンブリ51は、
図17に概略的に示されているように、テンプレート52に予め組み立てられた副要素134を含むことができる。
【0252】
例示した実施形態では、テンプレートアセンブリ51は、テンプレート52の第1の副穴72a、72b、72cに挿入される第1の副要素134a、134b、134cと、第2の副穴72d、72e、72fに挿入される第2の副要素134d、134e、134fを備える。
【0253】
より具体的には、第1の副要素134a、134b、134cは、第1のガイド74a、74b、74cに挿入され、これはテンプレート52の第1の副穴72a、72b、72cに挿入され、第2の副要素134d、134e、134fは、第2のガイド74d、74e、74fに挿入され、これは第2の副穴72d、72e、72fに挿入される。
【0254】
具体的には、第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fは、穴の中に後退している、すなわち、テンプレート52の遠位側からさらに突き出ており、テンプレート52の近位側から部分的にのみ出ている。これにより、外科的手技中に、予め組み立てられたテンプレートアセンブリ51を骨端部Eに近づけて、第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fをその中に導入して、それらを近位方向にスライドさせるだけで十分である。第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fは、例えば、挿入されると、両端が骨端部Eの皮質骨Cに到達して交わるように、既に適正な長さに作製しておくことができる。
【0255】
テンプレート52に予め組み立てられた副要素134を提供することで、外科的手技中に非常に複雑になることがある組み立て作業を有利に回避できるため、外科的手技がスピードアップし、構造の組み立てを誤るリスクが大幅に低減される。
【0256】
図11及び
図18は、テンプレート152がテンプレート52と組み合わせて使用されるときに本発明に係る格子構造体、例えば格子構造体100を組み立てるために
図10及び
図17のテンプレート52を含むテンプレートアセンブリ51と組み合わせて又はその代替として使用することができるテンプレートアセンブリ151の第2の変形例を示している。
【0257】
テンプレートアセンブリ151は、第1の直線部156と、第1の直線部156に実質的に直交して延び、第1の直線部156及び第2の直線部158に対して約45°に配向された直線的な接続部162によって接続される第2の直線部158とを備える、主本体154を有する外科用テンプレート152を含む。
【0258】
前の実施形態に係るテンプレート52に関する記載と同様に、
図11に破線で示されるテンプレート152の主本体154の展開方向SVは、展開面Psv内に含まれる。したがって、テンプレート152の主本体154は、展開面Psvを横断する方向の厚さを無視すれば、実質的に平坦である。
【0259】
第1の直線部は、関連する第3のガイド174g、174h、174iとともに、第3の副延在方向Yg、Yh、Yiを定める第3の副穴172g、172h、172iを有し、一方、第2の直線部158は、関連する第4のガイド174j、174k、174lとともに、第4の副延在方向Yj、Yk、Ylを定める第4の副穴172j、172k、172lを有する。
【0260】
図10のテンプレート52とは異なり、テンプレート152では、固定部材170を有する第1のピン166a及び第2のピン166bは、テンプレート152の主本体154の接続部162に固定されており、したがって、第3の副孔172g、172h、172i及び第4の副穴172j、172k、172lに対して約45°に配向されている。
【0261】
例えば、テンプレート152は、第1の主延在方向Xa及び第2の主延在方向Xbに対して約45°に配向された第3の副延在方向Yg、Yh、Yi及び第4の副延在方向Yj、Yk、Ylに沿って延びる、
図5及び
図6で例示される格子構造体100第3の副要素134g、134h、134i及び/又は第4の副要素134j、134k、134lを固定するように構成される。
【0262】
例えば、必要であればピン166a、166bをさらに収容するように構成されたテンプレート52の穴を接続部62に設けることによって、テンプレート52の特徴とテンプレート152の特徴の両方を含むテンプレートを想定することが可能である。
【0263】
テンプレートアセンブリ151は、
図18で概略的に例示されるように、テンプレート152に予め組み立てられた副要素134を含むことができる。
【0264】
テンプレートアセンブリ151は、テンプレート152の第1の副穴172a、172b、172cに挿入される第1の副要素134a、134b、134cと、第2の副穴172d、172e、172fに挿入される第2の副要素134d、134e、134fを備える。
【0265】
より具体的には、第1の副要素134a、134b、134cは、第1のガイド174a、174b、174cに挿入され、これはテンプレート152の第1の副穴172a、172b、172cに挿入され、第2の副要素134d、134e、134fは、第2のガイド174d、174e、174fに挿入され、これは第2の副穴172d、172e、172fに挿入される。
【0266】
具体的には、第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fは、穴の中に後退している、すなわち、テンプレート152の遠位側からさらに突き出ており、テンプレート152の近位側から部分的にのみ出ている。これにより、外科的手技中に、予め組み立てられたテンプレートアセンブリ151を骨端部Eに近づけて、第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fをその中に導入して、それらを近位方向にスライドさせるだけで十分である。第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fは、例えば、挿入されると、両端が骨端部Eの皮質骨Cに到達して交わるように、既に適正な長さに作製しておくことができる。
【0267】
テンプレート152に予め組み立てられた副要素134を提供することで、外科的手技中に非常に複雑になることがある組み立て作業を有利に回避できるため、外科的手技がスピードアップし、構造の組み立てを誤るリスクが大幅に低減される。
【0268】
ここで、
図12~
図14を参照して、本発明に係る格子構造体を組み立てるための方法を説明する。
【0269】
以下では、
図5及び
図6の格子構造体100の組み立てについて特に言及するが、これから説明することは、必要な変更を加えて、本明細書で開示される格子構造体の他の実施形態にも当てはまることが理解される。
【0270】
骨端部Eに組み立てられる格子構造体の構成が、患者の特異的要件に従って確立され、1つ又は複数の主要素112、複数の副要素134、及びそれぞれ外科用テンプレート52及び152を含むテンプレートアセンブリ51、151を含む関連部品のキット50が準備されると、変性骨部分Dを通る骨コアリングによって2つの主要素112a、112bのための2つの収容座部126a、126bが準備される。収容座部126a、126bは、骨端部Eにわたる貫通座部であり、したがって、骨端Eの皮質骨Cに面するアクセス部128a、130a;120b、130bを両方の端部に備える。収容座部126a、126bは、骨端部Eが属する骨の縦軸Aに実質的に平行な平面内で互いに位置合わせして作製される。
【0271】
次いで、第1の主要素112a及び第2の主要素112bが、収容座部126a、126bに挿入される(
図12)。
【0272】
次いで、第1のピン66a及び第2のピン66bの固定部材(ここでは見えていない)を第1の主要素112aの端118a及び第2の主要素112bの端118bに設けられた対応する固定座部(ここでは見えていない)にねじ込むことによって、テンプレートアセンブリ51のテンプレート52が第1の主要素112a及び第2の主要素112bに拘束される。テンプレート52を2つのピン66a、66bで固定することにより、テンプレート52の安定性が高まり、その後の副要素134の挿入中にテンプレート52が回転することが防止される。
【0273】
次いで、
図17で例示される構成のようにテンプレート52に予め組み立てられていない場合、第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fが、それぞれ、テンプレート52の第1及び第2の穴(ここでは参照符号なし)に収容された第1のガイド74a、74b、74c及び第2のガイド74d、74e、74fに導入され、これにより、第1の副要素134a、134b、134cに第1の副方向Ya、Yb、Ycが、及び第2の副要素134d、134e、134fに第2の副方向Yd、Ye、Yfが自動的に付与される。
【0274】
第1のガイド74a、74b、74c及び第2のガイド74d、74e、74fに導入されると、第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fは、ドリルツール、例えば、ドリルによって軟骨下骨の変性部分Dに挿入される。第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fは、骨端Eの挿入側とは反対側に存在する皮質部分に到達するまで骨に押し込まれる(
図13)。この挿入により、互いに直交して配置された第1の副要素134a、134b、134c及び第2の副要素134d、134e、134fによって形成される第1の格子サブ構造が組み立てられ、この場合、第2の副要素134d、134e、134fは、第1の主要素112aと交わる。
【0275】
この挿入が完了すると、テンプレートアセンブリ51が除去され、テンプレート52の第1のピン66a及び第2のピン66bが、第1の主要素112aの端118a及び第2の主要素112bの端118bから解放される。
【0276】
次いで、テンプレート152の第1のピン166aの固定部材170a及び第2のピン166bの固定部材170bを対応する固定座部32a、32bにねじ込むことによって、第2のタイプのテンプレートアセンブリ151が、第1の主要素112aの端118a及び第2の主要素112bの端118bに設けられた第1の主要素112a及び第2の主要素112bに拘束される。
【0277】
次いで、
図18で例示される構成のようにテンプレート152に予め組み立てられていない場合、第3の副要素134g、134h、134i及び第4の副要素134j、134k、134lが、第3及び第4の穴(ここでは参照符号なし)に収容された第3のガイド174g、174h、174i及び第4のガイド174j、174k、174lに導入され、したがって、第3の副要素134g、134h、134iに第3の副方向Yg、Yh、Yiが、及び第4の副要素134j、134k、134lに第4の副方向Yj、Yk、Ylが自動的に付与される。
【0278】
第1のガイド174g、174h、174i及び第2のガイド174j、174k、174lに導入されると、第3の副要素134g、134h、134i及び第4の副要素134j、134k、134lは、前のステップで既に使用されているドリルツールを使用して軟骨下骨の変性部分Dに挿入される。第3の副要素134g、134h、134i及び第4の副要素134j、134k、134lは、骨端Eの挿入側とは反対側に存在する皮質部分に到達するまで骨に押し込まれる(
図14)。この挿入により、互いに直交して配置された第3の副要素134g、134h、134i及び第4の副要素134j、134k、134lによって形成される第2の格子サブ構造が組み立てられ、この場合、第3の副要素134g、134h、134i及び第4の副要素134j、134k、134lは、第2の主要素112bと交わる。
【0279】
この挿入が終わると、格子構造体100は完全に組み立てられている。次いで、テンプレートアセンブリ151も除去され、テンプレート152の第1のピン166a及び第2のピン166bが、第1の主要素112aの端118a及び第2の主要素112bの端118bから解放される。
【0280】
出願人は、骨端部の損傷部分に作用する荷重のピークを低減し、そのような損傷部分に生じる変形を低減するという点で、本発明に係る格子構造体の性能を検証するために実験を行った。本発明を例示することを意図した、限定するものではないこのような実験のいくつかの結果を、
図15~
図16を参照して以下に説明する。
【0281】
患者の診断MRI画像から、脛骨部分の2つの三次元モデル、すなわち、格子構造体なしの第1のモデルE1(
図15)と、
図5で例示される構造100に類似しているが
図16で部分的に見られる単一の主要素112を備える格子構造体を有する第2のモデルE2(
図16)をCAD環境で構築した。両方のモデルE1、E2は、骨頭領域Tと、骨頭Tと端Bとの間に延びる脛骨の遠位領域の一部を含む。
図16のモデルE2では、直径1mmの副要素と、外径6mmの主要素を考慮した。
【0282】
2つのモデルE1及びE2を、脛骨部分の端Bでのインターロック制約を課して、Creo Elements software(PTC Inc.)のFEMモジュールを使用する有限要素シミュレーション(FEM)によって分析及び比較した。
【0283】
両方のモデルE1、E2において、脛骨の骨頭領域Hに垂直に作用する3200Nの荷重Fをかけた。これは約75kgの男性が歩行中に脛骨に及ぼす荷重に等しい。このシミュレーションと、骨頭領域Tの表面上の局所的な変形の分布から、フォン・ミーゼス(MPa)による局所的な相当応力値の分布を抽出した。
【0284】
フォン・ミーゼスによる相当応力の分布から、脛骨の骨頭領域Hに作用するそのような相当応力のピーク値を求めた。モデルE1では、相当応力ピークが100MPaを超えており、一方、モデルE2では、格子構造体を組み立てた状態で、相当応力ピークは70MPa以内に収まっていた。
【0285】
骨組織の局所的な変形の分布から、モデルE1ではおよそ1mmの骨頭領域Hの全体的な変形が得られ、モデルE2では格子構造体を組み立てた状態で骨頭領域Hの全体的な変形がおよそ0.77mmに減少した。
【0286】
上記のデータにより、本発明に係る格子構造体は、組み立てられたとき、脛骨に荷重がかかったときに脛骨の骨頭領域に作用する相当張力ピークを少なくとも30%減少させることを検証することができた。同様に、格子構造体は、この構造を支持する脛骨の骨頭領域での骨組織の変形を20%以上減少させることができることが検証された。
【0287】
明らかに、当業者は、特異的な偶発的なニーズを満たすために、以下の特許請求の範囲によって定義される保護の範囲内でありながら、前述の本発明に多くの修正及び変形を行うことができる。
【国際調査報告】