IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニューロガード メディカル(シャンハイ)カンパニー,リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-塞栓部材およびその製造方法 図1
  • 特表-塞栓部材およびその製造方法 図2
  • 特表-塞栓部材およびその製造方法 図3
  • 特表-塞栓部材およびその製造方法 図4
  • 特表-塞栓部材およびその製造方法 図5
  • 特表-塞栓部材およびその製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】塞栓部材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540682
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2021130762
(87)【国際公開番号】W WO2022142787
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011624579.0
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523246628
【氏名又は名称】ニューロガード メディカル(シャンハイ)カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シュオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】カイ,リアン
(72)【発明者】
【氏名】チエン,シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ホワ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD53
4C160DD63
(57)【要約】
塞栓部材(10)およびその製造方法が開示されている。塞栓部材(10)は、管腔(110)を有する管状の第1螺旋部材(100)と、第1螺旋部材(100)に外嵌される第2螺旋部材(120)と、第1螺旋部材(100)の管腔(110)内に少なくとも部分的に配置されている固定部材(170)とを備える。第1螺旋部材(100)は放射線不透過性材料を含み、第2螺旋部材(120)は生体吸収性材料を含む。第1螺旋部材(100)と第2螺旋部材(120)とを固定するように、固定部材(170)は、その両端が第2螺旋部材(120)の両端にそれぞれ接続されている。塞栓部材(10)の二層構造に組み込まれた固定部材(170)は、塞栓部材(10)に分解性を付与し、塞栓部材(10)が影響を及ぼす可能性のある質量効果を軽減することができるだけでなく、動脈瘤内で良好な構造安定性を維持することもできる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓部材であって、
管腔を有する管状の第1螺旋部材と、
前記第1螺旋部材に外嵌される第2螺旋部材と、
前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている固定部材と、
を備え、
前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、
前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含み、
前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記固定部材の両端は前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続されている、塞栓部材。
【請求項2】
前記第1螺旋部材は、白金、イリジウム、金、銀、タンタル、およびタングステンのうちの1つまたはそれらの合金で作製される金属部材である、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項3】
前記第1螺旋部材は、造影物質を含有する母材で作製される複合材料部材であり、前記造影物質はヨード造影剤または硫酸バリウムであり、前記母材は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、キトサンおよびヒアルロン酸のうちの1つ又は複数である、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項4】
前記第2螺旋部材は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、キトサン、ヒアルロン酸、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄および鉄合金のうちの1つ又は複数である、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項5】
前記固定部材は、ポリマーワイヤであり、前記ポリマーワイヤは、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、およびポリカプロラクトンのうち1つ又は複数である、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項6】
前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記ポリマーワイヤは、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第2螺旋部材の両端に接続されている、請求項5に記載の塞栓部材。
【請求項7】
前記ポリマーワイヤの両端は、結びによって前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続されている、請求項6に記載の塞栓部材。
【請求項8】
前記ポリマーワイヤは、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きおよび前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きにそれぞれ結ばれている、請求項7に記載の塞栓部材。
【請求項9】
前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを同軸または軸方向に平行に維持するように、前記ポリマーワイヤは、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きと前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きとを巻き付けた状態で結ぶ、請求項7に記載の塞栓部材。
【請求項10】
前記第1螺旋部材は、第1螺旋部と、前記第1螺旋部に対して同軸または軸方向に平行である第2螺旋部とを含む、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項11】
前記固定部材は、前記第1螺旋部および前記第2螺旋部の管腔に挿通されるポリマーワイヤであり、前記第1螺旋部および前記第2螺旋部と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記ポリマーワイヤの前記第1螺旋部および前記第2螺旋部から延出する部分が前記第2螺旋部材に接続されている、請求項10に記載の塞栓部材。
【請求項12】
前記固定部材は硬化接着剤であり、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記硬化接着剤は、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材との間に配置され、且つ、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項13】
前記固定部材は第1硬化接着剤および第2硬化接着剤を含み、前記第1硬化接着剤および第2硬化接着剤は、前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ配置されている、請求項12に記載の塞栓部材。
【請求項14】
前記固定部材は第3硬化接着剤をさらに含み、前記第3硬化接着剤は前記第1硬化接着剤と前記第2硬化接着剤との間の任意の位置に配置されている、請求項13に記載の塞栓部材。
【請求項15】
前記第1螺旋部材は、前記第2螺旋部材と同軸または軸方向に平行であり、および/または、前記第1螺旋部材の軸方向長さが前記第2螺旋部材の軸方向長さより大きくない、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項16】
前記第2螺旋部材の少なくとも一端は、ホットメルト接着剤または分注接着剤によって形成されたドーム状キャップで閉鎖され、前記第1螺旋部材の端部も前記ドーム状キャップに包まれている、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項17】
前記第2螺旋部材の端部に近い前記固定部材の少なくとも一部分も前記ドーム状キャップに包まれている、請求項16に記載の塞栓部材。
【請求項18】
前記塞栓部材は、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている定型部材をさらに備え、前記定型部材の一端が前記ドーム状キャップに包まれている、請求項16に記載の塞栓部材。
【請求項19】
前記定型部材は少なくとも1つの定型ワイヤを含み、前記定型ワイヤの断面が円形、楕円形、または多角形である、請求項18に記載の塞栓部材。
【請求項20】
前記定型部材の材料は、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、および白金タングステン合金のうちの1つまたは複数である、請求項18に記載の塞栓部材。
【請求項21】
前記定型部材は、螺旋状、波状、四面体、五面体、および六面体の二次形状構造のうちの少なくとも1つを有する、請求項18に記載の塞栓部材。
【請求項22】
管状の前記第2螺旋部材は、0.005インチから0.05インチの外径および0.5cmから200cmの長さを有し、前記第2螺旋部材は、円または円の一部の形状の断面を有するワイヤによって巻回されており、前記ワイヤの直径または前記ワイヤの曲率半径の2倍となる寸法は0.0005インチから0.005インチである、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項23】
管状の前記第1螺旋部材は、0.002インチから0.02インチの外径および管状の前記第2螺旋部材の長さの10%から100%の長さを有し、前記第1螺旋部材は、円または円の一部の形状の断面を有するワイヤによって巻回されており、前記ワイヤの直径または前記ワイヤの曲率半径の2倍となる寸法は0.0003インチから0.003インチである、請求項22に記載の塞栓部材。
【請求項24】
塞栓部材であって、
管腔を有する管状の第1螺旋部材と、
前記第1螺旋部材に外嵌される第2螺旋部材と、
前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている定型部材と、
前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている固定部材と、
を備え、
前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含み、
前記固定部材は、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第2螺旋部材の両端に接続され、
前記定型部材の一端は、前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の一端に固定され、
前記第2螺旋部材の少なくとも一端は、ホットメルト接着剤または分注接着剤によって形成されたドーム状キャップで閉鎖され、前記第1螺旋部材および前記定型部材は少なくとも部分的に前記ドーム状キャップの中に包まれている、塞栓部材。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の塞栓部材の製造方法であって、
巻回された前記第1螺旋部材を型の中で所定の形状にあらかじめ成形することと、
前記固定部材を前記第1螺旋部材の管腔内に配置することと、
巻回された前記第2螺旋部材を巻回された前記第1螺旋部材に外嵌することと、
を備える、塞栓部材の製造方法。
【請求項26】
巻回された定型部材を型の中で所定の形状にあらかじめ成形することと、
あらかじめ成形された前記定型部材をあらかじめ成形された前記第1螺旋部材の管腔内に配置することと、
前記第1螺旋部材の管内に配置されている前記固定部材を、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続することと、
前記定型部材の一端を前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の一端に固定することと、をさらに備える、請求項25に記載の塞栓部材の製造方法。
【請求項27】
ポリマーワイヤと前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材との結びは、内側の前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して結んだ後に、外側の前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して結ぶ、請求項26に記載の塞栓部材の製造方法。
【請求項28】
ポリマーワイヤと前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材との結びは、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを同軸または軸方向に平行に維持するように、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きおよび前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して同時に結ぶ、請求項26に記載の塞栓部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、特に、血管内塞栓部材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頭蓋内動脈瘤は、頭蓋内動脈壁の中の病理学的膨隆であり、腫瘍のような病変部を形成する。調査によると、頭蓋内動脈瘤の罹患率は近年増加する傾向を示している。本疾患の高い死亡率と障害率と相まって、頭蓋内動脈瘤の治癒率を向上させることが急務となっている。
【0003】
画像処理と材料科学の発展に伴い、外科手術と比べて外傷がより少なく、リスクがより低く、および合併症がより少ないなどの利点があるため、頭蓋内動脈瘤のコイル塞栓術による治療法がますます注目されかつ重要性を増している。目下のところ、そのような介入療法のために使用されるコイルは概ね金属材料で作られている。頭蓋内動脈瘤の中に充填されたとき、コイルは血流の方向を効果的に変え、動脈瘤の壁に加わる圧力を低減させることが可能である。それと共に、血栓症を誘発し動脈瘤の頚部における内皮形成を促進することができ、それによって動脈瘤に対する治療効果を提供することができる。
【0004】
しかしながら、大きくて巨大な動脈瘤の治療にこれらの従来の金属塞栓コイルを適用するには制限がある。なぜなら、それらは動脈瘤内に永続的に存在するため、質量効果により周囲の神経や組織を圧迫したりする恐れがあるからである。生体吸収性材料で作製されたコイルを動脈瘤の中に充填すると、該コイルは分解し吸収される。その結果、周囲の組織によって押され、その動脈瘤は徐々に縮小し、質量効果が低減する。さらに、生体活性材料が動脈瘤頚部での線維細胞の形成を促進することが可能となり、血管平滑筋の再生を促進する。従って、このようなコイルは広範囲に及ぶ注目を集めている。
【0005】
現在、分解性/吸収性材料を含有するコイルは未だコンセプト実証段階にあり、実現可能な製品は市場にはない。調査によると、吸収性の生体活性材料で作製されたコイルは、通常、良好なX線透過性を有する。その結果、実際には、前進中での放射線視認性が劣り、外科医の操作が一層困難になる。それに加えて、いくつかの報告では、分解性コイルに放射線不透過性構成要素を付加することが提案されている。しかしながら、これにより、コイルの構造が複雑になる恐れがあり、各構成要素の接続や固定が困難になるであろう。
【0006】
従って、上記問題を解決することができる新規の塞栓部材が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、塞栓部材およびその製造方法を提供する。本塞栓部材は、視認性の点で臨床的に良好でありかつ動脈瘤の中での安定した支持が可能であることに加えて、少なくとも部分的に分解されて身体に吸収され、身体に無害な小さな分子物質に変換され、それによって、質量効果の低減を呈示することができる。
【0008】
この目的を達成するために、本発明で提供される塞栓部材は、管腔を有する管状の第1螺旋部材と、前記第1螺旋部材に外嵌される第2螺旋部材と、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている固定部材とを備え、前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含み、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記固定部材の両端は前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続されている。
【0009】
任意選択で、前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含んでもよい。
【0010】
任意選択で、前記第1螺旋部材は、白金、イリジウム、金、銀、タンタル、およびタングステンのうちの1つまたはそれらの合金で作製される金属部材であってもよい。
【0011】
任意選択で、前記第1螺旋部材は、造影物質を含有する母材で作製される複合材料部材であり、前記造影物質はヨード造影剤または硫酸バリウムであり、前記母材は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、キトサンおよびヒアルロン酸のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0012】
任意選択で、前記第2螺旋部材は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、キトサン、ヒアルロン酸、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄および鉄合金のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0013】
任意選択で、前記固定部材は、ポリマーワイヤであり、前記ポリマーワイヤは、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、およびポリカプロラクトンのうち1つまたは複数であってもよい。
【0014】
任意選択で、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記ポリマーワイヤは、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第2螺旋部材の両端に接続されてもよい。
【0015】
任意選択で、前記ポリマーワイヤの両端は、結びによって前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続されてもよい。
【0016】
任意選択で、前記ポリマーワイヤは、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きおよび前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きにそれぞれ結ばれてもよい。
【0017】
任意選択で、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを同軸または軸方向に平行に維持するように、前記ポリマーワイヤは、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きと前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きとを巻き付けた状態で結んでもよい。
【0018】
任意選択で、前記第1螺旋部材は、第1螺旋部と、前記第1螺旋部に対して同軸または軸方向に平行である第2螺旋部とを含んでもよい。
【0019】
任意選択で、前記固定部材は、前記第1螺旋部および前記第2螺旋部の管腔に挿通されるポリマーワイヤであり、前記第1螺旋部および前記第2螺旋部と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記ポリマーワイヤの前記第1螺旋部および前記第2螺旋部から延出する部分が前記第2螺旋部材に接続されてもよい。
【0020】
任意選択で、前記固定部材は硬化接着剤であり、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記硬化接着剤は、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材との間に配置され、且つ、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0021】
任意選択で、前記固定部材は第1硬化接着剤および第2硬化接着剤を含み、前記第1硬化接着剤および第2硬化接着剤は、前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ配置されてもよい。
【0022】
任意選択で、前記固定部材は第3硬化接着剤をさらに含み、前記第3硬化接着剤は前記第1硬化接着剤と前記第2硬化接着剤との間の任意の位置に配置されてもよい。
【0023】
任意選択で、前記第1螺旋部材は、前記第2螺旋部材と同軸または軸方向に平行であり、および/または、前記第1螺旋部材の軸方向長さが第2螺旋部材の軸方向長さより大きくなくてもよい。
【0024】
任意選択で、前記第2螺旋部材の少なくとも一端は、ホットメルト接着剤または分注接着剤によって形成されたドーム状キャップで閉鎖され、前記第1螺旋部材の端部も前記ドーム状キャップに包まれていてもよい。
【0025】
任意選択で、前記第2螺旋部材の端部に近い前記固定部材の少なくとも一部分も前記ドーム状キャップに包まれていてもよい。
【0026】
任意選択で、前記塞栓部材は、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている定型部材をさらに備え、前記定型部材の一端が前記ドーム状キャップに包まれていてもよい。
【0027】
任意選択で、前記定型部材は少なくとも1つの定型ワイヤを含み、前記定型ワイヤの断面が円形、楕円形、または多角形であってもよい。
【0028】
任意選択で、前記定型部材の材料は、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、および白金タングステン合金のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0029】
任意選択で、前記定型部材は、螺旋状、波状、四面体、五面体、および六面体の二次形状構造のうちの少なくとも1つを有してもよい。
【0030】
任意選択で、管状の前記第2螺旋部材は、0.005インチから0.05インチの外径および0.5cmから200cmの長さを有し、前記第2螺旋部材は、円または円の一部の形状の断面を有するワイヤによって巻回されており、前記ワイヤの直径または前記ワイヤの曲率半径の2倍となる寸法は0.0005インチから0.005インチであってもよい。
【0031】
任意選択で、管状の前記第1螺旋部材は、0.002インチから0.02インチの外径および管状の前記第2螺旋部材の長さの10%から100%の長さを有し、前記第1螺旋部材は、円または円の一部の形状の断面を有するワイヤによって巻回されており、前記ワイヤの直径または前記ワイヤの曲率半径の2倍となる寸法は0.0003インチから0.003インチであってもよい。
【0032】
上記目的を達成するために、本発明で提供される他の塞栓部材は、管腔を有する管状の第1螺旋部材と、前記第1螺旋部材に外嵌される第2螺旋部材と、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている定型部材と、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている固定部材とを備え、前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含み、前記固定部材は、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第2螺旋部材の両端に接続され、前記定型部材の一端は、前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の一端に固定され、前記第2螺旋部材の少なくとも一端は、ホットメルト接着剤または分注接着剤によって形成されたドーム状キャップで閉鎖され、前記第1螺旋部材および前記定型部材は少なくとも部分的に前記ドーム状キャップの中に包まれている。
【0033】
上記目的を達成するために、本発明で提供される塞栓部材の製造方法は、巻回された前記第1螺旋部材を型の中で所定の形状にあらかじめ成形することと、前記固定部材を前記第1螺旋部材の管腔内に配置することと、巻回された第2螺旋部材を巻回された前記第1螺旋部材に外嵌することとを備える。
【0034】
任意選択で、前記製造方法は、巻回された定型部材を型の中で所定の形状に定型部材あらかじめ成形することと、あらかじめ成形された前記定型部材をあらかじめ成形された前記第1螺旋部材の管腔内に配置することと、前記第1螺旋部材の管内に配置されている前記固定部材を、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続することと、前記定型部材の一端を前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の一端に固定することと、をさらに備えてもよい。
【0035】
任意選択で、ポリマーワイヤと前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材との結びは、内側の前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して結んだ後に、外側の前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して結んでもよい。
【0036】
任意選択で、ポリマーワイヤと前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材との結びは、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを同軸または軸方向に平行に維持するように、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きおよび前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して同時に結んでもよい。
【0037】
要約すると、本発明が提供する塞栓部材およびその製造方法は以下の利点を有する。
【0038】
第1に、前記塞栓部材は、生体吸収性材料および放射線不透過性金属材料の二層構造を採用するので、従来の金属コイルと同等の良好な放射線視認性および支持性能などの特性を維持するとともに、生体吸収性材料が一定期間内に部分的に分解、吸収され、それによって周囲の組織や神経に起こりうる質量効果などの問題を効果的に軽減することができる。
【0039】
第2に、前記塞栓部材の二層螺旋構造が様々な構成要素間に合理的な接続および固定を設計できるので、2つの層を互いに実質的に同軸または軸方向に平行に維持し、外科医が前記塞栓部材を使用する際の操作を効果的に容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1実施形態に係る塞栓部材の一部の断面図である。
図2図1の塞栓部材の断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る塞栓部材の断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る塞栓部材の断面図である。
図5】本発明の第4実施形態に係る塞栓部材の断面図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る塞栓部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の目的、利点、および特徴は、添付図面を参照して記載されている本発明の下記のより詳細な説明を読み取ることによってより明らかになるであろう。図面は、必ずしも正確な尺度で描かれてなくて非常に簡略化された形態で、かつ実施形態の容易で明瞭な説明を促進する目的のみのために提供されていることに留意されたい。
【0042】
本明細書中に使用されているように、単数形の「1つ」および「該」は複数の対象を含み、用語「複数」は、文脈において特に明確に指示している場合を除き、「2つ以上」の意味で使用されている。本明細書中に使用されているように、用語「または」は、文脈において特に明確に指示している場合を除き、通常、「および/または」の意味で使用されている。用語「装着」、「結合」、および「接続」は広い意味で解釈されるべきである。たとえば、接続は、1つ以上の介在媒体を用いた永続的、脱着式または一体的接続、または機械的または電気的接続、または直接的または間接的接続、あるいは、二つの要素間の内部伝達または相互作用であってもよい。当業者は、文脈によって、本明細書中の上記の用語の具体的な意味を理解することが可能である。添付図面の全体を通して、同様の符号は同様の構成要素を示す。
【0043】
以下において、説明を容易にするために、用語「遠位端」および「近位端」を使用する。用語「近位端」は、器具を操作しているオペレータに近い医療器具の端を指し、用語「遠位端」は、オペレータから離れている医療器具の端を指す。以下の説明では、本発明のより十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、これらの具体的な詳細の1つ以上がなくても、当業者が本発明を実施できることは明らかであろう。他の場合において、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の技術的特徴については説明していない。
【0044】
基本的に、本発明は、管腔を有する管状の第1螺旋部材、前記第1螺旋部材に外嵌される第2螺旋部材、および前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている固定部材を備える塞栓部材を提供することを目的とする。前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含む。前記固定部材の両端は、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記第2螺旋部材の両端にそれぞれに接続されている。
【0045】
上記の目的を達成するために、本発明は、管腔を有する管状の第1螺旋部材、前記第1螺旋部材に外嵌される第2螺旋部材、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置される定型部材、および前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている固定部材を備える別の塞栓部材を提供する。前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含む。前記固定部材は、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第2螺旋部材の両端に接続されている。定型部材の一端は前記第1螺旋部材および第2螺旋部材に固定され、前記第2螺旋部材の少なくとも一端はホットメルト接着剤または分注接着剤により形成されたドーム状キャップで閉鎖され、前記第1螺旋部材と前記定型部材は、少なくとも部分的に前記ドーム状キャップの中に包まれている。
【0046】
本願に係る塞栓部材が頭蓋内動脈瘤等の頭蓋内血管疾患を治療するためのコイルであってもよいことは理解されるであろう。なお、当該血管移植は、非頭蓋内動脈瘤または他の疾患の治療に使用されてもよい。
【0047】
当該塞栓部材が病変部に一定期間留置された後、二層構造中の生体物質は、徐々に分解されて身体に吸収され、身体に無害な小さな分子物質に変換される。それによって、質量効果の低減を呈示することができる。さらに、前記固定部材が二層螺旋構造で提供され、様々な構成要素間において適切な接続と固定が設計されており、前記固定部材と二層構造が互いに実質的に同軸または軸方向に平行であり、当該塞栓部材を使用する際の外科医の操作を効果的に容易にする。
【0048】
添付の図面といくつかの実施形態を参照して、本発明が提案する塞栓部材と方法を下記に詳細に説明する。
【0049】
図1は、本発明の第1実施形態に係る塞栓部材10の一部の断面図である。図2は、図1の塞栓部材10の断面図である。図において、塞栓部材10は線形の初期形状を有する。塞栓部材10は、その近位端160から遠位端140まで延びる細長い器具である。塞栓部材10の近位端160は、塞栓部材10の押し込み器具(図示せず)と接続するように構成されている。塞栓部材10は、管腔110を有する管状の第1螺旋部材100と、第1螺旋部材100に外嵌される第2螺旋部材120と、第1螺旋部材100の管腔110内に少なくとも部分的に配置されている固定部材170とを備える。第1螺旋部材100、第2螺旋部材120および固定部材170は、互いに実質的に同軸または軸方向に平行である。第1螺旋部材100と第2螺旋部材120とを固定するように、固定部材170の両端は第2螺旋部材120の両端にそれぞれ接続されている。
【0050】
第1螺旋部材100は放射線不透過性材料を含む。実施形態によっては、第1螺旋部材100は、白金、イリジウム、金、銀、タンタルおよびタングステンのうちの1つ、またはそれらの合金で作製される金属部材である。第1螺旋部材100は、上記材料により作製された金属ワイヤを所定の直径の芯金に螺旋状に巻回することによって形成されてもよい。第1螺旋部材100のコイル巻きは、コイルの全長にわたって等ピッチまたは変動ピッチで、あるいはコイルの様々な区間において様々なピッチで離間していてもよい。
【0051】
実施形態によっては、第1螺旋部材100は、造影物質を含有する母材から形成される複合材料部材である。造影物質はヨード造影剤または硫酸バリウムであってもよい。母材は、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリウレタン(PU)、キトサンおよびヒアルロン酸のうちの1つ以上であってもよい。第1螺旋部材100は、所定の直径の芯金に複合材料部材で作製されたワイヤを螺旋状に巻回することによって形成されてもよい。
【0052】
実施形態によっては、第2螺旋部材120は生体吸収性材料を含む。生体吸収性材料は、PLA、PGA、PLGA、PDO、PCL、PU、キトサン、ヒアルロン酸、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄および鉄合金のうちの1つまたは複数であってもよい。実施形態によっては、第2螺旋部材120は、たとえば、成長因子または特定の薬物分子等のいくつかの活性物質を第2螺旋部材120の内部または表面に添加することによって改変されてもよい。第2螺旋部材120は、所定の直径の芯金に上記材料のポリマーワイヤまたは金属ワイヤを螺旋状に巻回することによって形成されてもよい。第2螺旋部材120のコイル巻きが、コイルの全長にわたって等ピッチまたは変動ピッチで、あるいはコイルの様々な区間において様々なピッチで離間されてもよいことは理解されるであろう。
【0053】
生体吸収性材料で作製されている第2螺旋部材120の体積の割合は、塞栓部材10全体積の30%から90%の範囲であってもよい。生体吸収性材料と放射線不透過性金属材料の両方で作製された二層構造により、塞栓部材10は、従来の金属コイルと同等の良好な放射線視認性、支持性能およびその他の特性を維持することができるとともに、生体吸収性材料が一定の期間内に部分的に分解、吸収されることが可能であり、それによって周囲の組織や神経に起こりうる質量効果およびその他の問題を効果的に軽減することが可能になる。
【0054】
実施形態によっては、第1螺旋部材100の外径は0.002インチから0.02インチの範囲であり、第1螺旋部材100を構成するワイヤの断面は円または円の一部である。ワイヤの直径またはワイヤの曲率半径の2倍となる寸法は、0.0003インチから0.003インチの範囲である。第2螺旋部材120の外径は0.005インチから0.05インチの範囲であり、第2螺旋部材120を構成するワイヤの断面は円または円の一部である。ワイヤの直径またはワイヤの曲率半径の2倍となる寸法は、0.0005インチから0.005インチの範囲である。図1および図2を引き続き参照すると、第2螺旋部材120は第1螺旋部材100を包囲しており、第1螺旋部材100の軸方向の長さは第2螺旋部材120の軸方向の長さより大きくはない。第2螺旋部材120の長さは0.5cmから200cmの範囲であり、第1螺旋部材100の長さは、第2螺旋部材120の長さよりわずかに小さく、第2螺旋部材120によって形成される管状構造の長さの10%から100%である。
【0055】
図2に示されているように、固定部材170は、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ナイロン、PLA、PGA、PLGAおよびPCLのうちの1つ以上であり得るポリマーで作製されるワイヤであってもよい。ポリマーワイヤは、物理的な巻き付けまたは結びによって第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の両端に接続され、それによって第1螺旋部材100と第2螺旋部材120とが固定されている。
【0056】
実施形態によっては、固定部材170と第1螺旋部材100および第2螺旋部材120との結びは、第1螺旋部材100と第2螺旋部材120とを実質的に同軸または軸方向に平行に維持するように、第1螺旋部材100の少なくとも1つの螺旋巻きおよび第2螺旋部材120の少なくとも1つの螺旋巻きに対して同時に結ぶ。固定部材170は、任意の円周位置で螺旋部材に結ばれるので、図2で示されるような位置で第1螺旋部材100および/または第2螺旋部材120に接続されることに限定されないことは理解されるであろう。他の実施形態によっては、固定部材170と第1螺旋部材100および第2螺旋部材120との結びは、内側の第1螺旋部材100の少なくとも1つの螺旋巻きに対して結んだ後に、外側の第2螺旋部材120の少なくとも1つの螺旋巻きに対して結ぶ。
【0057】
実施形態によっては、固定部材170と第1螺旋部材100および第2螺旋部材120との結びは、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の両端において、第1螺旋部材100の少なくとも1つの螺旋巻きのみにまたは第2螺旋部材120の少なくとも1つの螺旋巻きのみに対して結ぶ。
【0058】
引き続き図2を参照すると、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の遠位端140には、ホットメルト接着剤または分注接着剤によって非侵襲性の遠位先端部が形成され、それによって、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の遠位端140の少なくとも一部に固定部材170の遠位端177を堅固に結合している。非侵襲性の遠位先端部は、図2に示されているようなドーム状キャップ150でもよいし、あるいは円錐形または楕円形の閉鎖構造物でもよい。第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の遠位端140は、少なくとも部分的にドーム状キャップ150の中に包まれていてもよい。非侵襲性の遠位先端部は、ポリエステル、アクリル接着剤、またはホットメルト接着剤または分注接着剤の使用に適した他のポリマー材料で形成されてもよい。実施形態によっては、第2螺旋部材120に結ばれている固定部材170は、少なくとも部分的にドーム状キャップ150の中に包まれていてもよい。他の実施形態によっては、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の近位端160には、ホットメルト接着剤または分注接着剤によって非侵襲性の近位先端部が形成され、それによって、第1螺旋部材100および/または第2螺旋部材120の近位端160の少なくとも一部に固定部材170の近位端179を堅固に結合していてもよい。
【0059】
図3は、本発明の第2実施形態に係る塞栓部材10の断面図である。塞栓部材10は、管腔110を有する管状の第1螺旋部材100と、第1螺旋部材100に外嵌される第2螺旋部材120と、第1螺旋部材100の管腔110内に少なくとも部分的に配置されている固定部材170とを備える。第1螺旋部材100は、実質的に同軸または軸方向に平行する第1螺旋部102および第2螺旋部104を含む。実施形態によっては、固定部材170はポリマーワイヤであり、ポリマーワイヤは第1螺旋部102および第2螺旋部104の管腔に挿通されている。そして、ポリマーワイヤの第1螺旋部102および第2螺旋部104から延出する部分171、173、および175は、第1螺旋部102および第2螺旋部104と第2螺旋部材120とを固定するように、それぞれの位置で第2螺旋部材120に接続されている。第1螺旋部材100が、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の螺旋部を有してもよいことが理解されるであろう。
【0060】
図4は、本発明の第3実施形態に係る塞栓部材10の断面図である。塞栓部材10は、管腔110を有する管状の第1螺旋部材100と、第1螺旋部材100に外嵌される第2螺旋部材120と、第1螺旋部材100の管腔110内に少なくとも部分的に配置されている固定部材170とを備える。固定部材170は、第1硬化接着剤172および第2硬化接着剤174を含む。第1硬化接着剤172および第2硬化接着剤174は、第1螺旋部材100と第2螺旋部材とを固定するように、それぞれ第1螺旋部材100と第2螺旋部材120の間に配置され、且つ、第1螺旋部材の管腔110内に少なくとも部分的に配置されている。図示の実施形態において、第1硬化接着剤172および第2硬化接着剤174は、それぞれ第2螺旋部材120の両端に設けられており、第1螺旋部材100を第2螺旋部材120と固定するように、それぞれ第1螺旋部材100の両端を少なくとも部分的に包む。第1硬化接着剤172および第2硬化接着剤174は、それぞれ第2螺旋部材120の外部に分注することにより形成されることが理解されるであろう。第1硬化接着剤172は、第2螺旋部材120の全周にわたって分注することにより形成されてもよく、あるいは第2螺旋部材120の外部の少なくとも1か所に分注することにより形成されてもよい。
【0061】
実施形態によっては、固定部材は、第3硬化接着剤をさらに含み、第3硬化接着剤は、第1硬化接着剤172と第2硬化接着剤174との間の任意の位置に配置されており、第1螺旋部材100を第2螺旋部材120に固定するように、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120にそれぞれ結合されている。
【0062】
図5は、本発明の第4実施形態に係る塞栓部材10の断面図である。図3に示されている実施形態と同様に、第1螺旋部材100は、第1螺旋部102と、第2螺旋部104と、第3螺旋部106とを含み、第1螺旋部102と第2螺旋部104と第3螺旋部106とは、互いに実質的に同軸または軸方向に平行である。さらに、固定部材170は、第1硬化接着剤172と、第2硬化接着剤174と、第3硬化接着剤176とを含む。第1螺旋部102および第2螺旋部104を第2螺旋部材120に固定するように、第1硬化接着剤172および第2硬化接着剤174は、第2螺旋部材120の両端と、第1螺旋部102および第2螺旋部104との間にそれぞれ配置されている。さらに、第3螺旋部106を第2螺旋部材120に固定するように、第3硬化接着剤176は、第2螺旋部材120と第3螺旋部106との間に配置されている。他の実施形態によっては、螺旋部および硬化接着剤の数はそのように限定されない。
【0063】
図6は、本発明の第5実施形態に係る塞栓部材10の断面図である。塞栓部材10は、管腔110を有する管状の第1螺旋部材100と、第1螺旋部材100に外嵌される第2螺旋部材120と、第1螺旋部材100の管腔110内に少なくとも部分的に配置されている定型部材130と、第1螺旋部材100の管腔110内に少なくとも部分的に配置されている固定部材170とを備える。第1螺旋部材100、第2螺旋部材120、および固定部材170は、図2に示される実施形態と実質的に同様に構成されて使用されるため、ここではその重複説明を省略する。実施形態によっては、定型部材130は、第1螺旋部材100と実質的に同軸または軸方向に平行である。
【0064】
図6に示されているように、定型部材130の遠位端132は、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の遠位端140に固定されており、定型部材130の近位端134は、第1螺旋部材100の近位端の管腔110内に配置される自由端である。本願の一実施形態において、定型部材130の遠位端132は、逆J字フックであり、第1螺旋部材100の遠位端140における少なくとも1つの螺旋巻き(例えば、最遠位の螺旋巻き)に接続されている。さらに、定型部材130の遠位端132は、該遠位端132を第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の遠位端140に堅固に結合するように、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の遠位端140においてホットメルト接着剤または分注接着剤によって非侵襲性の遠位先端部を形成する。定型部材すなわち、逆J字フックの少なくとも一部と、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の遠位端140とを非侵襲性の遠位先端部の中に包み込む。非侵襲性の遠位先端部は、図2に示されているドーム状キャップ150であってもよく、または円錐形または楕円形の閉鎖構造であってもよい。非侵襲性の遠位先端部は、ポリエステル、アクリル接着剤、またはホットメルト接着剤または分注接着剤の使用に適した他のポリマー材料で形成されてもよい。他の実施形態によっては、定型部材130の遠位端132は、別の方法で第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の遠位端140に接続されてもよい。たとえば、定型部材直線状、逆J字形またはその他の形状の定型部材130の遠位端132は、ドーム状キャップ150に直接包まれて固定されてもよい。あるいは、定型部材130の遠位端132は、第2螺旋部材120の少なくとも1つの螺旋巻きに接続された後に、ドーム状キャップ150に包まれて固定されてもよい。さらに別の方法として、定型部材130は、物理的な巻き付けまたは結びによって、第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の少なくとも一端に接続されてもよい。
【0065】
実施形態によっては、定型部材130の近位端134は第1螺旋部材100の近位端160に接続され、遠位端132は自由端であってもよい。あるいは、近位端134は第1螺旋部材100の近位端160に、遠位端132は第1螺旋部材100の遠位端140にそれぞれ接続されてもよい。
【0066】
実施形態によっては、定型部材130は、少なくとも1つの定型ワイヤを含み、定型ワイヤの断面が円形、楕円形、または多角形であり、その直径が第1螺旋部材100の内径の90%を超えない。そして、第1螺旋部材の内径は0.001インチから0.01インチの範囲である。定型部材130は形状記憶合金により形成されており、形状記憶合金はコバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、および白金タングステン合金のうちの1つまたは複数である。そのような材料で形成された定型部材130は、血管または動脈瘤の中で二層螺旋構造の放射線視認性を向上できるとともに、形状記憶合金をあらかじめ三次元的に成形することで塞栓部材10の安定性を高め、塞栓部材が動脈瘤内でより優れた支持性能を発揮することができる。実施形態によっては、定型部材130は、螺旋状、波状、四面体、五面体、および六面体の二次構造のうちの少なくとも1つを有するようにあらかじめ成形されてもよい。
【0067】
上記目的を達成するために、本発明は、塞栓部材10を製造する方法をさらに提供する。図6を参照して、前記方法は基本的に以下のステップを含んでいる。
S1:巻回された第1螺旋部材100と定型部材130とを型の中で所定の形状にあらかじめ成形することであって、所定の形状は、螺旋状、波状、四面体、五面体、および六面体の形状のうちの少なくとも1つであり、第1螺旋部材100の所定の形状と定型部材130の所定の形状とが互いに対応することと、
S2:あらかじめ成形された第1螺旋部材100の管腔110の中にあらかじめ成形された定型部材130を配置すること、すなわち、ワイヤ形状の定型部材130を第1螺旋部材100の管腔110に挿入し、定型部材130の少なくとも一端を第1螺旋部材100の少なくとも一端に固定することと、
S3:固定部材170を第1螺旋部材100の管腔110の中に配置することと、
S4:巻回された第2螺旋部材120を巻回された第1螺旋部材100に外嵌することと、
S5:第1螺旋部材100の管腔110に配置されている固定部材170を、物理的な巻き付けまたは結びによって第1螺旋部材100および第2螺旋部材120の両端にそれぞれ接続し、第2螺旋部材120の少なくとも一端にホットメルト接着剤または分注接着剤を介してドーム状キャップ150を形成することにより閉鎖することであって、第1螺旋部材100および定型部材130は、少なくとも部分的にドーム状キャップ150の中に包まれること。
【0068】
本発明は、上記において開示されているが、上記開示に限定されない。当業者は、本発明の主旨と範囲から逸脱することなく、本発明に対する様々な修正および変更をすることが可能である。従って、すべてのそのような修正および変更が、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明およびその均等物の範囲内に含まれることも意図されている。
【符号の説明】
【0069】
10 塞栓部材
100 第1螺旋部材
102 第1螺旋部
104 第2螺旋部
106 第3螺旋部
110 管腔
120 第2螺旋部材
130 定型部材
132 定型部材の遠位端
134 定型部材の近位端
140 遠位端
150 ドーム状キャップ
160 近位端
170 固定部材
171、173、175 ポリマーワイヤの第1螺旋部および第2螺旋部から延出する部分
172 第1硬化接着剤
174 第2硬化接着剤
176 第3硬化接着剤
177 固定部材の遠位端
179 固定部材の近位端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓部材であって、
管腔を有する管状の第1螺旋部材と、
前記第1螺旋部材に外嵌される第2螺旋部材と、
前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている固定部材と、
を備え、
前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、
前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含み、
前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記固定部材の両端は前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続されている、塞栓部材。
【請求項2】
前記第1螺旋部材は、白金、イリジウム、金、銀、タンタル、およびタングステンのうちの1つまたはそれらの合金で作製される金属部材である、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項3】
前記第1螺旋部材は、造影物質を含有する母材で作製される複合材料部材であり、前記造影物質はヨード造影剤または硫酸バリウムであり、前記母材は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、キトサンおよびヒアルロン酸のうちの1つ又は複数である、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項4】
前記第2螺旋部材は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、キトサン、ヒアルロン酸、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄および鉄合金のうちの1つ又は複数である、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項5】
前記固定部材は、ポリマーワイヤであり、前記ポリマーワイヤは、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、およびポリカプロラクトンのうち1つ又は複数であり、
前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記ポリマーワイヤは、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第2螺旋部材の両端に接続されており、
前記ポリマーワイヤの両端は、結びによって前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続されており、
(i)前記ポリマーワイヤは、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きおよび前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きにそれぞれ結ばれており、
または、
(ii)前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを同軸または軸方向に平行に維持するように、前記ポリマーワイヤは、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きと前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きとを巻き付けた状態で結ぶ、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項6】
前記第1螺旋部材は、第1螺旋部と、前記第1螺旋部に対して同軸または軸方向に平行である第2螺旋部とを含み、
前記固定部材は、前記第1螺旋部および前記第2螺旋部の管腔に挿通されるポリマーワイヤであり、前記第1螺旋部および前記第2螺旋部と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記ポリマーワイヤの前記第1螺旋部および前記第2螺旋部から延出する部分が前記第2螺旋部材に接続されている、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項7】
前記固定部材は硬化接着剤であり、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを固定するように、前記硬化接着剤は、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材との間に配置され、且つ、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されており、
前記固定部材は第1硬化接着剤および第2硬化接着剤を含み、前記第1硬化接着剤および第2硬化接着剤は、前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ配置されており、
前記固定部材は第3硬化接着剤をさらに含み、前記第3硬化接着剤は前記第1硬化接着剤と前記第2硬化接着剤との間の任意の位置に配置されている、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項8】
前記第1螺旋部材は、前記第2螺旋部材と同軸または軸方向に平行であり、および/または、前記第1螺旋部材の軸方向長さが前記第2螺旋部材の軸方向長さより大きくない、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項9】
前記第2螺旋部材の少なくとも一端は、ホットメルト接着剤または分注接着剤によって形成されたドーム状キャップで閉鎖され、前記第1螺旋部材の端部も前記ドーム状キャップに包まれている、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項10】
前記第2螺旋部材の端部に近い前記固定部材の少なくとも一部分も前記ドーム状キャップに包まれている、請求項に記載の塞栓部材。
【請求項11】
前記塞栓部材は、前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている定型部材をさらに備え、前記定型部材の一端が前記ドーム状キャップに包まれており、
(i)前記定型部材は少なくとも1つの定型ワイヤを含み、前記定型ワイヤの断面が円形、楕円形、または多角形であり、
または、
(ii)前記定型部材の材料は、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、および白金タングステン合金のうちの1つまたは複数であり、
または、
(iii)前記定型部材は、螺旋状、波状、四面体、五面体、および六面体の二次形状構造のうちの少なくとも1つを有する、請求項に記載の塞栓部材。
【請求項12】
管状の前記第2螺旋部材は、0.005インチから0.05インチの外径および0.5cmから200cmの長さを有し、前記第2螺旋部材は、円または円の一部の形状の断面を有するワイヤによって巻回されており、前記ワイヤの直径または前記ワイヤの曲率半径の2倍となる寸法は0.0005インチから0.005インチであり、
管状の前記第1螺旋部材は、0.002インチから0.02インチの外径および管状の前記第2螺旋部材の長さの10%から100%の長さを有し、前記第1螺旋部材は、円または円の一部の形状の断面を有するワイヤによって巻回されており、前記ワイヤの直径または前記ワイヤの曲率半径の2倍となる寸法は0.0003インチから0.003インチである、請求項1に記載の塞栓部材。
【請求項13】
塞栓部材であって、
管腔を有する管状の第1螺旋部材と、
前記第1螺旋部材に外嵌される第2螺旋部材と、
前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている定型部材と、
前記第1螺旋部材の管腔内に少なくとも部分的に配置されている固定部材と、
を備え、
前記第1螺旋部材は放射線不透過性材料を含み、前記第2螺旋部材は生体吸収性材料を含み、
前記固定部材は、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第2螺旋部材の両端に接続され、
前記定型部材の一端は、前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の一端に固定され、
前記第2螺旋部材の少なくとも一端は、ホットメルト接着剤または分注接着剤によって形成されたドーム状キャップで閉鎖され、前記第1螺旋部材および前記定型部材は少なくとも部分的に前記ドーム状キャップの中に包まれている、塞栓部材。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の塞栓部材の製造方法であって、
巻回された前記第1螺旋部材を型の中で所定の形状にあらかじめ成形することと、
前記固定部材を前記第1螺旋部材の管腔内に配置することと、
巻回された前記第2螺旋部材を巻回された前記第1螺旋部材に外嵌することと、
を備える、塞栓部材の製造方法。
【請求項15】
巻回された定型部材を型の中で所定の形状にあらかじめ成形することと、
あらかじめ成形された前記定型部材をあらかじめ成形された前記第1螺旋部材の管腔内に配置することと、
前記第1螺旋部材の管内に配置されている前記固定部材を、物理的な巻き付けまたは結びによって前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の両端にそれぞれ接続することと、
前記定型部材の一端を前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材の一端に固定することと、をさらに備え
(i)ポリマーワイヤと前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材との結びは、内側の前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して結んだ後に、外側の前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して結び、
または、
(ii)ポリマーワイヤと前記第1螺旋部材および前記第2螺旋部材との結びは、前記第1螺旋部材と前記第2螺旋部材とを同軸または軸方向に平行に維持するように、前記第1螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きおよび前記第2螺旋部材の少なくとも1つの螺旋巻きに対して同時に結ぶ、請求項14に記載の塞栓部材の製造方法。
【国際調査報告】