(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】乳児キャリヤー及び高さ調整機構
(51)【国際特許分類】
A47D 13/02 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A47D13/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540723
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2022050156
(87)【国際公開番号】W WO2022148782
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110015379.3
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517042092
【氏名又は名称】ワンダーランド スイツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジーレン
(57)【要約】
【課題】偶発的なロック解除を回避可能な高さ調整機構及びそれを備えた乳児キャリヤーの提供。
【解決手段】高さ調整機構は位置決め部材(31)と弾性部材(32)と解除操作部材(33)とキャリヤー本体(20)と組み立てて接続するための固定座(34)を含む。固定座はキャリヤーフレーム(10)に摺動可能に配置され且つキャリヤーフレームに対して摺動調整可能である。キャリヤーフレームは少なくとも2つの位置決め部(11)を含む。位置決め部材(31)は固定座に移動可能に組み立てられ、位置決め部のいずれかに選択的に係合可能である。解除操作部材は固定座に移動可能に取り付けられ且つ弾性部材を介して位置決め部材と連動する。係合解除プロセスにおいて弾性部材に弾性変形を生じさせるための解除操作部材の力は、位置決め部材の係合解除運動を阻止するための固定座及び固定座におけるキャリヤー本体の両方によって生じる抵抗力より小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児キャリヤー上に配置するための高さ調整機構であって、
前記乳児キャリヤーは、キャリヤーフレーム及びキャリヤー本体を含み、
前記高さ調整機構は、
位置決め部材と、
弾性部材と、
解除操作部材と、
前記キャリヤー本体と組み立てて接続するための固定座と、を含み、
前記固定座は、前記キャリヤーフレームに摺動可能に配置され、且つ前記キャリヤーフレームに対して摺動調整可能であり、
前記キャリヤーフレームは、少なくとも2つの位置決め部を含み、前記位置決め部材は、前記固定座に移動可能に組み立てられ、前記位置決め部のいずれかに選択的に係合可能であり、前記解除操作部材は、前記固定座に移動可能に取り付けられ、前記解除操作部材は、前記弾性部材を介して前記位置決め部材と連動し、前記位置決め部材が前記位置決め部から係合解除する解除プロセスにおいて、前記弾性部材に弾性変形を生じさせるための前記解除操作部材の力は、前記位置決め部材の解除運動を阻止するための、前記固定座及び前記固定座における前記キャリヤー本体の両方によって生じる抵抗力より小さい、
高さ調整機構。
【請求項2】
前記解除操作部材は、前記固定座に伸縮可能にヒンジ接続され、前記解除操作部材の操作により、前記解除操作部材は、回転して前記固定座内に退避し、前記係合を解除する、請求項1に記載の高さ調整機構。
【請求項3】
前記高さ調整機構は、前記固定座内に摺動可能に配置される摺動部材をさらに含み、前記摺動部材及び前記弾性部材は、当接方式で接続され、前記解除操作部材は、前記係合解除プロセスにおいて前記摺動部材を押して上方に摺動させ、上方に摺動する前記摺動部材は、前記弾性部材が弾性的に変形されるように前記弾性部材を押す、請求項1または2に記載の高さ調整機構。
【請求項4】
前記解除操作部材には、外側に突出する押し突起が設けられ、前記押し突起と前記解除操作部材との間には、位置決めノッチが形成され、前記摺動部材は、前記位置決めノッチ内に配置され、且つ前記解除操作部材と当接方式で接続され、前記解除操作部材の操作により、前記解除操作部材は、回転して前記固定座内に退避し、これにより、前記押し突起は、前記摺動部材を押して上方に摺動させる、請求項3に記載の高さ調整機構。
【請求項5】
前記摺動部材は、底部を有し、前記底部には、押圧用傾斜面が前記摺動部材の摺動方向に対して斜めに配置され、前記押し突起は、前記摺動部材の前記押圧用傾斜面に当接する、請求項4に記載の高さ調整機構。
【請求項6】
前記高さ調整機構は、接続部材をさらに含み、前記位置決め部材は、前記接続部材の第一端部に取り付けられ、前記摺動部材は、前記接続部材の第二端部に摺動可能に配置され、前記弾性部材は、前記摺動部材と前記接続部材との間に配置される、請求項3~5のいずれか一項に記載の高さ調整機構。
【請求項7】
前記摺動部材は、取付チャンバーを有し、前記接続部材の前記第二端部は、前記取付チャンバー内に移動可能に配置され、前記弾性部材は、前記取付チャンバー内に配置される、請求項6に記載の高さ調整機構。
【請求項8】
前記接続部材の前記第二端部には、阻止突起が設けられ、前記弾性部材の前記第一端部は、前記阻止突起に当接し、前記弾性部材の前記第二端部は、前記摺動部材における取付チャンバーの底壁に当接する、請求項7に記載の高さ調整機構。
【請求項9】
前記位置決め部材は、係合部及び回動部を含み、前記回動部は、前記接続部材の前記第一端部に回動可能に接続された第一端部を有し、前記係合部は、前記回動部の第二端部に取り付けられ、且つ前記固定座に回動可能に接続された第一端部を有し、前記回動部は、前記接続部材に回動可能且つ揺動可能に配置される、請求項6~8のいずれか一項に記載の高さ調整機構。
【請求項10】
前記位置決め部材は、回動軸をさらに含み、前記回動軸は、前記固定座に回転可能に組み立てられる第一端部と、前記回動部の第二端部に取り付けられた第二端部とを有し、前記係合部の前記第一端部は、前記回動軸の2つの端部の間の部分に取り付けられる、請求項9に記載の高さ調整機構。
【請求項11】
前記係合部は、その第一端部から第二端部に向かって幅が次第に大きくなるブロック状部材であり、前記係合部の前記第二端部の底面には、挿入及び係合用傾斜面が設けられる、請求項9または10に記載の高さ調整機構。
【請求項12】
前記高さ調整機構は、前記固定座と前記接続部材との間に配置された係合復元部材をさらに含み、前記係合復元部材は、常に、前記接続部材を下方に摺動させる傾向を有する、請求項6~11のいずれか一項に記載の高さ調整機構。
【請求項13】
前記接続部材はロッド状部材であり、前記摺動部材の摺動方向は、前記接続部材の摺動方向と同じである、請求項6~12のいずれか一項に記載の高さ調整機構。
【請求項14】
前記キャリヤーフレームには、摺動レールが取り付けられ、前記固定座は、前記摺動レールに摺動可能に組み立てられ、全ての前記位置決め部は、前記摺動レールに間隔をあけて配置される、請求項1~13のいずれか一項に記載の高さ調整機構。
【請求項15】
前記位置決め部は、スロット構造である、請求項1~14のいずれか一項に記載の高さ調整機構。
【請求項16】
前記位置決め部の上側壁は、頂部から底部に向かって内向きに傾斜して配置された摺動用傾斜面である、請求項15に記載の高さ調整機構。
【請求項17】
前記固定座は、長柄部と、前記長柄部の下端に取り付けられた保持座部とを含み、前記解除操作部材は、前記長柄部の上端に配置され、前記長柄部の前記上端には、スリーブリングが取り付けられ、前記スリーブリングは、前記キャリヤーフレームに摺動可能にスリーブ接続される、請求項1~16のいずれか一項に記載の高さ調整機構。
【請求項18】
キャリヤーフレーム及びキャリヤー本体を含む乳児キャリヤーであって、前記乳児キャリヤーは、請求項1~17のいずれか一項に記載の高さ調整機構をさらに含み、前記固定座は、前記キャリヤー本体に組み立てられる、乳児キャリヤー。
【請求項19】
前記キャリヤーフレームは、手押し車フレームまたはベビー用食事椅子フレームである、請求項18に記載の乳児キャリヤー。
【請求項20】
前記キャリヤー本体は、ベビー用スリーピングボックス、チャイルドシートまたはベビー用食事椅子である、請求項18または19に記載の乳児キャリヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乳児キャリヤー及び高さ調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
長い間、ベビーカーは子供がいる家庭に広く使用されており、この種のベビーカーは、通常、フレームと、フレーム上に選択的に配置されたスリーピングボックスまたはシートとを有する。ベビーカーの使用を容易にするために、一部のベビーカーは、フレームとシートとの間にシート高さ調整機構を設ける。従来の高さ調整機構は、操作機構と係合機構を含む。操作機構を操作することにより、係合機構のロック解除(アンロック)を制御することができ、フレームに対するシートの高さを調整することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のシート高さ調整機構は、操作機構が操作された後に即座にシートが調整されるようにするので、シートの高さ調整はあまりにも偶然であり、その結果、シートは、誤った接触または誤操作でフレームから滑り落ちる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示による高さ調整機構が提供され、当該高さ調整機構は、乳児キャリヤー上に配置され、乳児キャリヤーは、キャリヤーフレーム及びキャリヤー本体を含み、高さ調整機構は、位置決め部材と、弾性部材と、解除操作部材と、キャリヤー本体と組み立てて接続するための固定座とを含み、固定座は、キャリヤーフレームに摺動可能に配置され、且つキャリヤーフレームに対して摺動調整可能であり、キャリヤーフレームは、少なくとも2つの位置決め部を含み、位置決め部材は、固定座に移動可能に組み立てられ、位置決め部のいずれかに選択的に係合可能であり、解除操作部材は、固定座に移動可能に取り付けられ、解除操作部材は、弾性部材を介して位置決め部材と連動し、係合解除プロセスにおいて、弾性部材に弾性変形を生じさせるための解除操作部材の力は、位置決め部材の係合解除運動を阻止するための、固定座及び固定座におけるキャリヤー本体の両方によって生じる抵抗力より小さい。
【0005】
一実施形態において、解除操作部材は、固定座に伸縮可能にヒンジ接続され、解除操作部材の操作に対応して、解除操作部材は、回転して固定座内に退避し、係合を解除する。
【0006】
一実施形態において、本開示による高さ調整機構は、固定座内に摺動可能に配置された摺動部材をさらに含み、摺動部材及び弾性部材は、当接方式で接続され、解除操作部材は、係合解除プロセスにおいて摺動部材を押して上方に摺動させ、上方に摺動する摺動部材は、弾性部材が弾性的に変形されるように弾性部材を押す。
【0007】
一実施形態において、解除操作部材には、外側に突出する押し突起が設けられ、押し突起と解除操作部材との間には、位置決めノッチが形成され、摺動部材は、位置決めノッチ内に配置され、且つ解除操作部材と当接方式で接続され、解除操作部材の操作に対応して、解除操作部材は、回転して固定座内に退避し、これにより、押し突起は、摺動部材を押して上方に摺動させる。
【0008】
一実施形態において、摺動部材は、底部を有し、前記底部には、押圧用傾斜面が摺動部材の摺動方向に対して斜めに配置され、押し突起は、摺動部材の押圧用傾斜面に当接する。
【0009】
一実施形態において、本開示による高さ調整機構は、接続部材をさらに含み、位置決め部材は、接続部材の第一端部に取り付けられ、摺動部材は、接続部材の第二端部に摺動可能に配置され、弾性部材は、摺動部材と接続部材との間に配置される。
【0010】
一実施形態において、摺動部材は、取付チャンバーを有し、接続部材の第二端部は取付チャンバー内に移動可能に配置され、弾性部材は、取付チャンバー内に配置される。
【0011】
一実施形態において、接続部材の第二端部には、阻止突起が設けられ、弾性部材の第一端部は、阻止突起に当接し、弾性部材の第二端部は、摺動部材における取付チャンバーの底壁に当接する。
【0012】
一実施形態において、位置決め部材は、係合部及び回動部を含み、回動部は、接続部材の第一端部に回動可能に接続された第一端部を有し、係合部は、回動部の第二端部に取り付けられ、且つ固定座に回動可能に接続された第一端部を有し、回動部は、接続部材に回動可能且つ揺動可能に配置される。
【0013】
一実施形態において、位置決め部材は、回動軸をさらに含み、回動軸は、固定座に回転可能に組み立てられた第一端部と、回動部の第二端部に取り付けられた第二端部とを有し、係合部の第一端部は、回動軸の2つの端部の間の部分に取り付けられる。
【0014】
一実施形態において、係合部は、その第一端部から第二端部に向かって幅が次第に大きくなるブロック状部材であり、係合部の第二端部の底面には、挿入及び係合用傾斜面が設けられる。
【0015】
一実施形態において、本開示による高さ調整機構は、固定座と接続部材との間に配置された係合復元部材をさらに含み、係合復元部材は、常に、接続部材を下方に摺動させる傾向を有する。
【0016】
一実施形態において、接続部材はロッド状部材であり、摺動部材の摺動方向は、接続部材の摺動方向と同じである。
【0017】
一実施形態において、キャリヤーフレームには、摺動レールが取り付けられ、固定座が摺動レールに摺動可能に組み立てられ、全ての位置決め部は、摺動レールに間隔をあけて配置される。
【0018】
一実施形態において、位置決め部は、スロット構造である。
【0019】
一実施形態において、位置決め部の上側壁は、頂部から底部に向かって内向きに傾斜して配置された摺動用傾斜面である。
【0020】
一実施形態において、固定座は、長柄部と、長柄部の下端に取り付けられた保持座部とを含み、解除操作部材は、長柄部の上端に配置され、長柄部の上端には、スリーブリングが取り付けられ、スリーブリングは、キャリヤーフレームに摺動可能にスリーブ接続される。
【0021】
上記の目的を達成するために、本開示による乳児キャリヤーは、キャリヤーフレームと、キャリヤー本体と、上述のような高さ調整機構とを含み、固定座は、キャリヤー本体に組み立てられる。
【0022】
一実施形態において、キャリヤーフレームは、手押し車フレームまたはベビー用食事椅子フレームである。
【0023】
一実施形態において、キャリヤー本体は、ベビー用スリーピングボックス、チャイルドシートまたはベビー用食事椅子である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本開示による乳児キャリヤーの三次元構造の概略図である。
【
図2】
図2は、本開示による乳児キャリヤーにおけるキャリヤーフレームの三次元構造の概略図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すキャリヤーフレームにおける高さ調整機構の三次元構造を別の角度から見た概略図であり、固定座が取り外されている。
【
図4】
図4は、
図3に示すキャリヤーフレームの三次元構造の概略図であり、その構造の一部が取り外されている。
【
図5】
図5は、
図4に示すキャリヤーフレームにおける高さ調整機構の三次元構造の概略図及びその部分構造の拡大概略図であり、固定座が取り外されている。
【
図6】
図6は、
図5に示すキャリヤーフレームにおける高さ調整機構の解除操作部材が押下された後の三次元構造の概略図及びその部分構造の拡大概略図である。
【
図7】
図7は、別の角度から見た、
図5に示すキャリヤーフレーム及びその上の高さ調整機構の三次元構造の概略図及び部分構造の拡大概略図である。
【
図8】
図8は、別の角度から見た、
図6に示すキャリヤーフレーム及びその上の高さ調整機構の三次元構造の概略図及び部分構造の拡大概略図である。
【
図9】
図9は、本開示による高さ調整機構における位置決め部材の三次元構造の概略図である。
【
図10】
図10は、本開示による高さ調整機構において、解除操作部材を押下してキャリヤー本体を上方に調整した時に位置決め部材が位置決め部から解除している時の概略平面図である。
【
図11】
図11は、本開示による高さ調整機構において、解除操作部材を押下してキャリヤー本体を上方に調整した時に位置決め部材が位置決め部から解除した後の概略平面図である。
【
図12】
図12は、別の角度からの本開示による高さ調整機構の三次元構造の概略図である。
【
図13】
図13は、
図12に示す高さ調整機構の三次元構造の概略図及びその部分構造の拡大概略図であり、固定座の部分構造が取り外されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の技術的内容及び構造的特徴を詳細に説明するために、以下では、実施形態及び添付の図面を参照してさらに説明する。
【0026】
図1及び
図2に示すように、本開示による乳児キャリヤー100は、キャリヤーフレーム10と、キャリヤー本体20と、高さ調整機構30とを含む。以下に説明するように、高さ調整機構30において、固定座34がキャリヤー本体20に組み立てられ、固定座34は、キャリヤーフレーム10に摺動可能に配置され、且つキャリヤーフレーム10に対して摺動調整可能である。係合解除プロセスにおいて、キャリヤー本体20の高さを調整する際には、キャリヤー本体20の高さ調整の誤操作を避けるために、キャリヤー本体20を持ち上げて高さを調整する必要があり、これにより、本開示による乳児キャリヤー100は、偶発的な接触によるキャリヤーフレーム10におけるキャリヤー本体20の偶発的なロック解除を防止することができ、したがって、安全な使用を効果的に保証する。例えば、キャリヤー本体20は、主に、ベビー用スリーピングボックス、チャイルドシート、ベビー用食事椅子等の乳幼児を運ぶための装置であるが、これらに限定されない。キャリヤーフレーム10は、主に2つのタイプに分けられ、1つのタイプは、例えば、移動機能を提供することができる手押し車フレーム等のキャリヤーフレーム10であり、もう1つのタイプは、例えば、固定及び支持機能を提供することができるベビー用食事椅子フレーム等のキャリヤーフレーム10であるが、これらに限定されない。要するに、当業者は、実際のニーズに従って組み合わせ使用を達成するために、創造的な作業なしに実際のニーズに従って既存のキャリヤーフレーム10にキャリヤー本体20を接続することができ、したがって、ここでは詳細を繰り返し説明しない。以下、
図2~
図13を参照して、本開示に係る高さ調整機構30をさらに詳細に説明する。
【0027】
図2~
図8及び
図12、
図13に示すように、高さ調整機構30は、位置決め部材31と、弾性部材32と、解除操作部材33と、固定座34と、固定座34に摺動可能に配置された摺動部材35と、接続部材36とを含んでもよい。固定座34は、キャリヤーフレーム10に摺動可能に配置されてもよく、キャリヤーフレーム10に対して摺動調整可能であってもよい。キャリヤーフレーム10は、少なくとも2つの位置決め部11を有してもよい。位置決め部材31は、固定座34に移動可能に組み立てられてもよく、位置決め部11のいずれかと選択的に係合されてもよい。解除操作部材33は、固定座34に移動可能に組み立てられ、且つ弾性部材32を介して位置決め部材31と連動してもよい。係合解除プロセスにおいて、弾性部材32に弾性変形を生じさせるための解除操作部材33の力は、位置決め部材31の係合解除運動を阻止するための、固定座34及び固定座34におけるキャリヤー本体20の両方によって生じる抵抗力よりも小さい。このように、解除操作部材33が操作されても、キャリヤー本体20が上方に調整されないので、位置決め部材31の係合解除運動を阻止するための、固定座34とキャリヤー本体20との両方によって生じる抵抗力と釣り合うような、キャリヤー本体20を持ち上げる作用力は存在しない。したがって、解除操作部材33の操作に起因して弾性部材32によって生じる弾性力は、接続部材36を上方に摺動させるのに十分ではなく、接続部材36に取り付けられた位置決め部材31は、当然ながら移動することができず、したがって、位置決め部材31における係合部311は、位置決め部11のうちの1つと常に係合したままであり、キャリヤー本体20は、キャリヤーフレーム10上にロックされたままであってもよく、その結果、キャリヤー本体20の高さを調整することができず、それによって、キャリヤー本体20の高さ調整プロセスにおいて、高さ調整機構30のロックを解除するためにキャリヤー本体20を持ち上げる必要があり、偶発的な接触による偶発的なロック解除を効果的に避ける。例えば、弾性部材32は圧縮ばねである。実際の要求に応じて、弾性部材32は極性が反対の一対の磁性部材であってもよく、正極部材は接続部材36に取り付けられ、負極部材は摺動部材35に取り付けられるが、これに限定されない。具体的には、摺動部材35及び弾性部材32は、当接方式で接続されてもよい。係合解除プロセスにおいて、解除操作部材33は、摺動部材35を押して上方に摺動させ、上方に摺動する摺動部材35は、弾性部材32を押して弾性的に変形させ、弾性部材32の弾性変形を容易にする。より具体的には、位置決め部材31は、接続部材36の第一端部に取り付けられてもよく、摺動部材35は、接続部材36の第二端部に摺動可能に配置されてもよい。弾性部材32は、摺動部材35と接続部材36との間に配置されてもよい。接続部材36の配置により、解除操作部材33と位置決め部材31との連動構造が簡易化される。位置決め部材31が復元して、キャリヤーフレーム10における位置決め部11に係合することを容易にするために、高さ調整機構30は、固定座34と接続部材36との間に配置された係合復元部材37をさらに含んでもよく、係合復元部材37は、常に、接続部材36を下方に摺動させる傾向を有してもよい。
【0028】
図4~
図8に示すように、解除操作部材33は、固定座34に伸縮可能にヒンジ接続されてもよく、押下されると、回転し、固定座34内に退避し、係合を解除することができるので、解除操作部材33の操作が簡単で便利である。具体的には、解除操作部材33には、外側に突出する押し突起331が設けられてもよく、押し突起331と解除操作部材33との間に位置決めノッチ332が形成されてもよい。摺動部材35は、位置決めノッチ332内に配置され、且つ解除操作部材33と当接方式で接続されてもよく、押下された解除操作部材33は、回転して固定座34内に退避してもよく、押し突起331は、摺動部材35を押圧して上方に摺動させてもよい。このように、解除操作部材33と摺動部材35との連動構造は、簡単で実現しやすく、製造難易度及び製造コストの低減に有利である。より具体的には、摺動部材35の底部には、押圧用傾斜面351が摺動部材35の摺動方向に対して斜めに配置される。押し突起331は、摺動部材35の押圧用傾斜面351に押圧されてもよい。摺動部材35に押圧用傾斜面351を設けることにより、解除操作部材33が摺動部材35を押圧して摺動させることを容易にすることができる。
【0029】
図5~
図8に示すように、摺動部材35は、取付チャンバー352を有してもよい。接続部材36の第二端部は、取付チャンバー352内に移動可能に配置される。弾性部材32は、取付チャンバー352内に配置される。取付チャンバー352と接続部材36との協働により、摺動部材35を接続部材36上でスムーズに安定して摺動させることができ、弾性部材32を隠すのに有利であり、構造をさらに簡易化する。具体的には、接続部材36の第二端部には、阻止突起361が設けられ、弾性部材32の第一端部は、阻止突起361に当接し、弾性部材32の第二端部は、摺動部材35における取付チャンバー352の底壁に当接し、これにより、弾性部材32は取付チャンバー352に安定して取り付けられることができる。
【0030】
図5~
図9に示すように、位置決め部材31は、係合部311及び回動部312を含んでもよい。回動部312は、接続部材36の第一端部に回動可能に接続された第一端部を有してもよい。係合部311は、回動部312の第二端部に取り付けられ且つ固定座34に回動可能に接続された第一端部を有してもよい。回動部312は、接続部材36に回動可能且つ揺動可能に配置されてもよく、回動部312の配置により位置決め部材31を同時に変位及び回転させることができ、これにより位置決め部材31がキャリヤーフレーム10における位置決め部11と効果的かつ安定的に係合及び係合解除することを容易にする。一実施形態において、回動部312の第一端部には、回動部312に垂直な回転軸3121が設けられる。回動部312は、回転軸3121を介して接続部材36の第一端部に回動可能に接続されて、回動部312の回動を容易にする。具体的には、位置決め部材31は、回動軸313をさらに含んでもよい。回動軸313の第一端部は、固定座34に回転可能に組み立てられ、回動部312の第二端部は、回動軸313の第二端部に取り付けられる。係合部311の第一端部は、回動軸313の2つの端部の間の位置に取り付けられてもよい。回動軸313は、位置決め部材31を回転させる支点を提供し、位置決め部材31の回転を容易にする。より具体的には、係合部311は、第一端部から第二端部に向かって幅が次第に大きくなるブロック状部材であってもよい。係合部311の第二端部の底面には、挿入及び係合用傾斜面314が設けられてもよい。係合部311の第二端部は、より大きな幅を有してもよく、押しつぶされにくい。挿入及び係合用傾斜面314は、係合部311の位置決め部11への係合または位置決め部11からの解除を容易にする。一実施形態において、接続部材36はロッド状部材であってもよく、摺動部材35の摺動方向は、接続部材36の摺動方向と同じであってもよい。したがって、接続部材36は簡単な構造を有し、配置及び製造が容易である。摺動部材35と接続部材36とが同じ方向に摺動することにより、高さ調整機構30の構造を大幅に簡易化することができ、高さ調整機構30の構造をよりコンパクトにすることができる。一実施形態において、解除操作部材33の回転方向が位置決め部材31の回転方向と異なるため、接続部材36は、摺動プロセスにおいて小刻みに揺れる。
【0031】
図2~
図8に示すように、キャリヤーフレーム10に摺動レール12が取り付けられてもよい。固定座34は、摺動レール12に摺動可能に組み立てられてもよい。全ての位置決め部11は、摺動レール12に間隔をあけて配置されてもよい。このように、固定座34は摺動レール12に沿って迅速かつ安定的にキャリヤーフレーム10上をスライドすることができ、キャリヤーフレーム10におけるキャリヤー本体20の迅速な高さ調整を容易にする。例えば、位置決め部11は、位置決め部材31と位置決め部11との間の係合を容易にするために、ザグリ構造などのスロット構造であってもよいが、これに限定されない。具体的には、位置決め部11の上側壁は、頂部から底部に向かって内向きに傾斜して配置された摺動用傾斜面111である。キャリヤー本体20が上方に調整されると、位置決め部材31は、上方に移動するように駆動され、次いで、係合部311は、摺動用傾斜面111によって位置決め部材31から迅速に押し出されて、係合の迅速な解除を容易にすることができる。より具体的には、
図12に示すように、固定座34は、長柄部341と、長柄部341の下端に取り付けられた保持座部342とを含んでもよく、係合部311が貫通する貫通孔341aが、係合部311に対応する長柄部341及び保持座部342の下端位置に形成される。解除操作部材33は、長柄部341の上端に配置される。長柄部341の上端には、スリーブリング343が取り付けられる。スリーブリング343は、キャリヤーフレーム10に摺動可能にスリーブ接続される。スリーブリング343は、固定座34の位置ずれを防止し、これにより固定座34は、キャリヤーフレーム10に安定して摺動することができる。キャリヤー本体20は、保持座部342によってキャリヤーフレーム10に組み立てることができ、キャリヤー本体20とキャリヤーフレーム10との間の取り外しを容易にする。例えば、保持座部342は、係合チェンバーを有し、キャリヤー本体20を係合チェンバーに係合することを容易にすることができる。解除操作部材33は、長柄部341の上端に配置され、ユーザの操作を容易にする。
【0032】
図1~
図13を参照して、本開示による乳児キャリヤー100の動作原理を説明する。使用時に、キャリヤー本体20は、固定座34の保持座部342内に係合される。キャリヤー本体20の高さを調整する必要がある場合、解除操作部材33は、押下されると、回転し、固定座34内に退避することができる。解除操作部材33の押し突起331は、摺動部材35を押圧して上方に摺動させ、上方に摺動する摺動部材35は、弾性部材32を連続的に上方に圧縮するが、この時、接続部材36の第二端部の阻止突起361は、弾性部材32の作用下で上方に摺動せず、すなわち、接続部材36は、上方に摺動せず、その理由は、固定座34及びキャリヤー本体20の重量が、接続部材36の第一端部に取り付けられた位置決め部材31の係合部311を常に位置決め部11に係合させ、位置決め部材31の係合部311の挿入及び係合用傾斜面314が常に位置決め部11の底面に当接され、一方、弾性部材32の弾性変形力は、位置決め部材の係合解除運動を阻止するために固定座34及びキャリヤー本体20の両方によって生成される抵抗力よりも小さく、すなわち、弾性部材32が圧縮された後に生成される弾性力は、位置決め部材31の係合部311を位置決め部11から係合解除するのに十分ではなく、したがって、位置決め部材31は移動することができず、キャリヤー本体20が解除操作部材33に偶発的に接触することによって係合解除することを防止することができる。その後、キャリヤー本体20が上方に持ち上げられると、固定座34及びキャリヤー本体20の重量は、係合部311と位置決め部11との間の係合の箇所に作用しなくなり、これにより、係合部311の挿入及び係合用傾斜面314は、位置決め部11との当接から係合解除され得る。この時、圧縮されている弾性部材32は、その元の形状に復元し、弾性部材32は、阻止突起361を押し、接続部材36を押して上方に摺動させ、接続部材36は、位置決め部材31の回動部312を回動及び揺動させ、回動軸313は、位置決め部材31の係合部311を回転させるようにそれ自体の軸の周りを回転し、位置決め部材31の係合部311は、位置決め部11から係合解除される。このように、固定座34は、キャリヤーフレーム10に対して摺動調整することができ、キャリヤー本体20の高さは調整されることができる。キャリヤー本体20の高さ調整プロセスにおいて、解除操作部材33を操作するだけでは高さ調整機構30のロックを解除することができないので、高さ調整機構30のロックを解除するためにキャリヤー本体20を持ち上げる必要があり、解除操作部材33に偶発的な接触による偶発的なロック解除を効果的に避けることが可能である。関連する動作原理は上記の通りである。
【0033】
従来技術と比較して、本開示による高さ調整機構30は、位置決め部材31と、弾性部材32と、解除操作部材33と、固定座34と、固定座34に摺動可能に配置された摺動部材35と、接続部材36とを含んでもよい。固定座34は、キャリヤーフレーム10に摺動可能に配置され、且つキャリヤーフレーム10に対して摺動調整されてもよい。キャリヤーフレーム10は、少なくとも2つの位置決め部11を有してもよい。位置決め部材31は、固定座34に移動可能に組み立てられ、且つ位置決め部11のいずれかと選択的に係合されてもよい。解除操作部材33は、固定座34に移動可能に取り付けられる。解除操作部材33はまた、弾性部材32を介して位置決め部材31と連動してもよい。係合解除プロセスにおいて、弾性部材32に弾性変形を生じさせるための解除操作部材33の力は、位置決め部材31の係合解除運動を阻止するための、固定座34及び固定座34におけるキャリヤー本体20の両方によって生じる抵抗力よりも小さい。したがって、解除操作部材33が操作されても、キャリヤー本体20が上方に調整されないので、位置決め部材31の係合解除運動を阻止するための、固定座34とキャリヤー本体20との両方によって生じる抵抗力と釣り合うようにキャリヤー本体20を持ち上げるための作用力が不足する。したがって、解除操作部材33の操作に起因して弾性部材32によって生じる弾性力は、接続部材36を上方に摺動させるのに十分ではなく、接続部材36に取り付けられた位置決め部材31は、当然ながら移動することができず、したがって、位置決め部材31における係合部311は、位置決め部11のうちの1つと常に係合したままであり、キャリヤー本体20は、キャリヤーフレーム10上にロックされたままであり、その結果、キャリヤー本体20の高さを調整することができず、それによって、キャリヤー本体20の高さ調整プロセスにおいて、高さ調整機構30のロックを解除するためにキャリヤー本体20を持ち上げる必要があり、偶発的な接触による偶発的なロック解除を効果的に避ける。
【0034】
なお、本開示による乳児キャリヤー100は、キャリヤーフレーム10と、キャリヤー本体20と、高さ調整機構30とを含むので、本開示による乳児キャリヤー100は、偶発的な接触によるキャリヤーフレーム10におけるキャリヤー本体20の偶発的なアンロックを避けることができる。
【0035】
上記で開示した内容は、本開示の好ましい例にすぎず、本開示の保護範囲を限定するために使用することはできない。したがって、本出願の特許請求の範囲に従って行われるすべての同等の変更は、本開示の範囲内に属する。
【国際調査報告】