(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】太陽電池
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20240105BHJP
H01L 31/0747 20120101ALN20240105BHJP
【FI】
H01L31/04 266
H01L31/06 455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540744
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2021086830
(87)【国際公開番号】W WO2022144210
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523246639
【氏名又は名称】レック ソーラー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 憲太
(72)【発明者】
【氏名】チョン,シュー ユン
(72)【発明者】
【氏名】チュア,ヌゲア テン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA05
5F251CB15
5F251DA07
5F251FA04
5F251GA04
(57)【要約】
結晶シリコン基板と、太陽電池の使用時に放射源に向かないように構成された基板の裏面に配置された半導体層と、半導体層の表面に配置された透明導電領域とを備える太陽電池であって、透明導電領域は、第1の仕事関数を有する第1の層と、第2の仕事関数を有し、第1の層と前記半導体層との間に挟まれる第2の層とを含み、第2の層の第2の仕事関数が、第1の層の第1の仕事関数よりも大きい太陽電池。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶シリコン基板と、太陽電池の使用時に放射源に向かないように構成された前記基板の裏面に配置された半導体層と、前記半導体層の表面に配置された透明導電領域とを備える、前記太陽電池であって、前記透明導電領域が、
第1の仕事関数を有する第1の層と、
第2の仕事関数を有し、前記第1の層と前記半導体層との間に挟まれる第2の層と
を備え、
前記第2の層の前記第2の仕事関数が、前記第1の層の前記第1の仕事関数よりも大きい、
太陽電池。
【請求項2】
前記半導体層が正の導電型で構成される、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第2の層の前記第2の関数が、前記半導体層の前記仕事関数未満であるように構成される、請求項1または請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記半導体層の前記仕事関数と前記第2の層の前記仕事関数との差が、前記半導体層の前記仕事関数と前記第1の層の前記仕事関数との差未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第2の層の前記第2の仕事関数が、前記第1の層の前記第1の仕事関数よりも最大で10%、任意選択で最大で15%大きいように構成され、
任意選択で、前記第2の層の前記第2の仕事関数が、前記第1の層の前記第1の仕事関数より少なくとも10%、最大で15%大きいように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記透明導電領域が、前記第2の層と前記半導体層との間に挟まれる第3の層を備え、
前記第3の層が、前記第2の層の前記第2の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数で構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第3の層が前記半導体層に直接配置される、請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第3の層の前記第3の仕事関数が、前記第2の層の前記第2の仕事関数よりも最大で10%、任意選択で最大で15%大きいように構成される、請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第3の層の前記第3の関数が、前記半導体層の前記仕事関数未満であるように構成される、請求項7または請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記基板から最も遠い層の前記仕事関数が、3.5eVよりも大きく、4.5eV未満であるように構成される、及び/または前記基板に最も近い層の前記仕事関数が、5.0eVよりも大きく、6.0eV未満であるように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記半導体層の前記仕事関数が、5.0eVよりも大きく6.0eV未満である、請求項1~10のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記透明導電領域が、500nm未満の厚さを有し、
前記透明導電領域の層のそれぞれが、少なくとも20nmで、50nm以下の厚さを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記透明導電領域の層の少なくとも1つが、金属酸化物材料から形成され、前記半導体層が、非晶質シリコン(a-Si)から成る、請求項1~12のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記太陽電池が、前記太陽電池の使用時に放射源に向くように構成された前記基板の前面に配置された第2の半導体層と、前記第2の半導体層の表面に配置されている第2の透明導電領域とを備え、前記第2の透明導電領域が、
第1の仕事関数を有する第1の層と、
第2の仕事関数を有し、前記第1の層と前記第2の半導体層との間に挟まれる第2の層と
を備え、
前記第2の層の前記第2の仕事関数が、前記第1の層の前記第1の仕事関数よりも大きい、
請求項1~13のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記第2の半導体層が負の導電型で構成される、請求項14に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記第2の透明導電領域が、前記第2の層と前記第2の半導体層との間に挟まれる第3の層を備え、
前記第3の層が、前記第2の層の前記第2の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数で構成される、請求項14または請求項15に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記第2の透明導電領域の第3の層が前記第2の半導体層に直接配置される、請求項16に記載の太陽電池。
【請求項18】
前記第2の半導体層がアキュムレータ層を画定する、請求項14~17に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記第2の透明導電領域の層の少なくとも1つが金属酸化物材料から形成され、前記第2の半導体層が、非晶質シリコン(a-Si)から成る、請求項14~18のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の太陽電池を複数備え、前記複数の太陽電池が互いに電気的に結合されている、太陽電池モジュール。
【請求項21】
太陽電池を製造するための方法であって、結晶シリコン基板を提供することと、前記太陽電池の使用時に放射源に向かないように構成された前記基板の裏面に半導体層を配置することと、前記半導体層の表面に透明導電領域を配置することを含み、前記透明導電領域が第1の層及び第2の層を備え、前記透明導電領域を配置するステップが、
前記半導体層に前記第2の層を配置することと、
前記第2の層が前記第1の層と前記半導体層との間に挟まれるように、前記第2の層に前記第1の層を配置することと
を含み、
前記方法が、第1の仕事関数で前記第1の層を構成することと、前記第1の層の前記第1の仕事関数よりも大きい第2の仕事関数で前記第2の層を構成することとを含む、
方法。
【請求項22】
前記基板の表面に前記半導体層を配置する方法が、前記半導体層を正の導電型で構成することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記透明導電領域が、前記第2の層と前記半導体層との間に挟まれる第3の層を備え、
前記透明導電領域を配置する方法が、前記第2の層を堆積させる前に、前記半導体層に前記第3の層を配置することを含み、
前記方法が、前記第2の層の前記第2の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数で前記第3の層を構成することを含む、
請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第3の層が前記半導体層に直接配置される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記透明導電領域を配置するステップが、スパッタリングプロセスを使用して、前記半導体上に前記透明導電領域の層を順次堆積させることを含む、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、前記透明導電領域の前記層の少なくとも1つまたはそれぞれで前記仕事関数を決定するために前記スパッタリングプロセスの少なくとも1つのパラメータを制御することを含み、
前記少なくとも1つのパラメータが、ガス組成、ガス流量、及び透明導電材料の少なくとも1つを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池、及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光から電気エネルギーを供給する太陽電池モジュールは、太陽電池/光電池のアレイを含み、それぞれが1つまたは複数の前面電極と裏面電極の間に配置された多層半導体構造を含む。
【0003】
基板は通常、基板の表面に配置されるエミッタ層とpn接合を形成する(すなわち、基板とエミッタ層の一方がn型材料であり、他方がp型材料である)。pn接合は、太陽電池へ入射する光に応じて電流の生成を容易にする。
【0004】
表面電界層(例えば、前面電界層または裏面電界層)は、エミッタ層とは反対側の基板表面に配置される。表面電界層は、(すなわち、エミッタとは反対の荷電タイプで)ドープされ、基板から電荷キャリアを抽出するように構成される。
【0005】
エミッタ層及び表面電界層は通常非晶質シリコン(a-Si)で形成され、一方、基板は結晶シリコン(c-Si)で形成され、ヘテロ接合型技術(HJT)の太陽電池を運ぶ。
【0006】
そのようなHJT太陽電池では、透明導電酸化物層(TCO)は、表面電界層と電極の一方との間に挟まれ、さらなるTCO層は、エミッタ層と電極の他方との間に挟まれる。TCO層は、太陽電池の活性層(例えば、表面電界層及びエミッタ層)から電荷キャリアを抽出し、それらをそれぞれの電極に輸送するように配置される。
【0007】
太陽電池の効率を最大化するには、TCO層の光電子特性を最大化することが重要である。しかしながら、透明材料は一般に絶縁体であり、導電材料は金属特性を有する傾向があるので、そのような材料の光学特性と電気特性との間には基本的なトレードオフがある。
【0008】
したがって、依然として、そのような太陽電池の電荷キャリア輸送特性を改善しつつ、太陽電池のTCO層の光学特性を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様によれば、基板(例えば、結晶シリコン基板)と、太陽電池の使用時に放射源に向かないように構成された(または、放射源に背を向けるように構成された)基板の裏面に配置された半導体層と、半導体層の表面に配置された透明導電領域とを含む太陽電池が提供される。透明導電領域は、第1の仕事関数を有する第1の層と、第2の仕事関数を有し、第1の層と半導体層との間に挟まれる第2の層とを含む。第2の層の第2の仕事関数は、第1の層の第1の仕事関数よりも大きい。一実施形態では、半導体層は、基板と透明導電領域との間に挟まれる。
【0010】
既知の太陽電池の動作中、光生成キャリアは、TCOによって収集され、電極に輸送される。そのようなTCO層は、光生成キャリアの電極への輸送を増加させるようにその導電率を増加させる低い仕事関数で構成され得る。しかしながら、TCO層の低い仕事関数により、TCO層が配置される太陽電池の半導体層(例えば、非晶質シリコン、a-Si)との接触抵抗が増加する可能性がある。
【0011】
接触抵抗の増加は、TCOと半導体層との間の境界面でのポテンシャル障壁(例えば、寄生ショットキー障壁)の形成から生じる。このポテンシャル障壁は、TCO層による光生成キャリアの収集を妨げる拡散電位を生成し、それによって太陽電池の効率を低下させる。
【0012】
本発明の透明導電領域は、第1の層と半導体層との間に配置される第2の層を具備する。第2の層は、第1の層の仕事関数よりも大きい仕事関数で構成される。したがって、第2の層の第2の仕事関数は、寄生ポテンシャル障壁を低減するために半導体層の価電子帯、つまり伝導帯により適切に整合する。したがって、透明導電領域は、半導体層からより多くの光生成キャリアを抽出することができ、それにより太陽電池の曲線因子(FF)及び効率は向上する。
【0013】
さらに、透明導電領域の第1の層は、より小さい仕事関数で構成され、その結果、(第2の層と比較して)透明性はより低くなる。これにより、太陽電池の光活性層(例えば、半導体層)に向かって戻る未吸収の光子の反射率が増加する。
【0014】
第1の層の比較的に低い仕事関数により、(第2の層と比較して)導電率が増加し、それによって光生成電荷キャリアの電極への移動が促進され、電極は、透明導電領域の外(例えば、最も外側の)面に配置され得る。
【0015】
用語「仕事関数」が、固体材料のフェルミ準位と、固体材料の外部の自由空間のエネルギー、すなわち真空準位との間のエネルギー準位の差を指すことを理解されたい。したがって、この用語は、絶対零度で固体材料から電子を解放するために必要となる最小エネルギーを定義する。
【0016】
材料の仕事関数は、その対応するエネルギー値(電子ボルト、eVで測定される)が他の材料のエネルギー値よりも大きい場合、当該他の材料の仕事関数よりも大きいと見なされる。
【0017】
半導体層は、太陽電池の使用時に放射源に向かないように構成された基板の裏面に配置される。このようにして、透明導電領域は、半導体層の裏面に配置される。最外層を画定する透明導電領域の第1の層は、より小さい仕事関数、したがってより低い透明性(すなわち、高い反射率)を有する。したがって、第1の層は、透明導電領域まで通過した可能性がある光子を、太陽電池の光活性層に向かって反射するように構成され得る。さらに、第1の層の導電率の増加によって、その外面に配置され得る裏面電極との接触抵抗が減少する。
【0018】
層、フィルム、領域、または基板などの要素が、要素の「上」、「隣接」、または「反対」にあると言及されるとき、それがそのさらなる要素の「直接上」、「直接隣接」「真反対」であり得るか、あるいは、1つまたは複数の介在する要素が存在する場合があることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素の「直接上」、「直接隣接」、または「真反対」であると言及される場合、介在する要素は存在しない。
【0019】
任意選択の機能をこれより提示する。これらは、単独で、または任意の態様との任意の組み合わせで適用可能である。
【0020】
半導体層は、正の導電型(すなわち、p型)で構成され得る。この場合、より大きい仕事関数を有する透明導電領域の第2の層は、透明導電領域と半導体層との間の境界面にわたって正の電荷キャリア(すなわち、正孔)の輸送を支援するp型半導体層の価電子帯により密接に一致する。特に、第2の層の仕事関数がより大きいので、p型半導体との境界面でのバンドの曲がりが防止され、そうでなければ、境界面は、太陽電池使用時に電極に向かって駆動される正孔に対してポテンシャル障壁(例えば、ショットキー障壁)を示すであろう。このようにして、透明導電領域の第2の層は、第1の層よりも小さい導電率を有するにも関わらず、太陽電池からの正孔の抽出を増加させる。
【0021】
第2の層の第2の仕事関数は、半導体層の仕事関数未満であるように構成され得る。表現「未満」は、半導体層の仕事関数「にわずかに満たないにすぎない」第2の仕事関数を定義し得る。したがって、第2の仕事関数は、これらの2つの層間の境界面を横切る電荷キャリアの効率的な移動を容易にするために、半導体層の仕事関数未満であるが、実質的にそれに近いように(すなわち、半導体層の仕事関数と一致するように)構成され得る。例示的な構成では、第2の仕事関数は、半導体層の仕事関数の5%未満、任意選択で2%未満、または任意選択で1%未満である場合がある。
【0022】
半導体層の仕事関数と透明導電領域の第2の層の仕事関数との差は、半導体層の仕事関数と透明導電領域の第1の層の仕事関数との差未満である場合がある。
【0023】
第2の層の仕事関数は、半導体層の仕事関数とより厳密に一致することが有利である。このようにして、第2の層は、第1の層と比較して半導体層と透明導電領域との間に改善されたバンド配列を提供することができ、それによって透明導電領域と半導体層との間の境界面での接触抵抗が減少する。
【0024】
透明導電領域は、フェルミ準位が伝導帯に位置し、材料を金属のように挙動させる縮退半導体(すなわち、高濃度にドープされた半導体)として定義され得る。透明導電領域の層のキャリアドープ濃度の変化により、仕事関数は(及びフェルミ準位も)シフトする可能性があり、それによって透明導電領域と半導体層との間の境界面でのバンド配列に影響が及ぶ。
【0025】
透明導電領域の仕事関数は、透明導電領域の製作プロセス(例えば、堆積)のパラメータを制御することによって決定できる透明導電領域材料の材料特性に依存する。特に、透明導電領域の仕事関数は、透明導電領域層の製作中に酸素濃度を制御することによって修正され得る。
【0026】
透明導電領域の層の少なくとも1つまたはそれぞれは、3.5eVと6.0eVの間、任意選択で4.0から5.5eVの間の仕事関数で構成され得る。
【0027】
第3の層は、半導体層上に直接配置され得る。例えば、第3の層は、半導体層の表面(例えば、受け取り面)と直接接触して(例えば、上に堆積されて)配置され得る。このようにして、第3の層は、半導体層から電荷キャリアを直接抽出するように有利に構成される。
【0028】
第1の層は、第2の層に直接配置され得る。例えば、第1の層は、第2の層の表面(例えば、受け取り面)と直接接触して(例えば、上に堆積されて)配置され得る。さらに、第2の層は、第3の層に直接配置され得る。このようにして、透明導電領域のこれらのそれぞれの層の間の境界面には、仕事関数の規定の段階的変化がある場合がある。
【0029】
第3の層の第3の仕事関数は、第2の層の第2の仕事関数よりも最大で10%大きくなるように構成され得る(例えば、最大で第2の仕事関数の110%)。あるいは、第3の層の第3の仕事関数は、第2の層の第2の仕事関数よりも最大で15%大きくなるように構成され得る(例えば、最大で第2の仕事関数の115%)。あるいは、第3の層の第3の仕事関数は、第2の層の第2の仕事関数よりも少なくとも10%、最大で15%大きくなるように構成され得る(例えば、第2の仕事関数の少なくとも110%、最大で115%)。
【0030】
第3の層が半導体層に直接隣接して配置される場合、第3の層の第3の仕事関数は、5.0eVより大きく、6.0eV未満、任意選択で5.5eVであるように構成され得る。この場合、第2の層の仕事関数は、第3の層の仕事関数未満で(例えば、5.0eVと6.0eVの間未満)、第1の層の仕事関数を超える(例えば、3.5eVと4.5eVの間より大きい)場合がある。
【0031】
透明導電領域の層の少なくとも1つは、金属酸化物材料から形成され得る。透明導電領域の層の少なくとも1つは、インジウムスズ酸化物(ITO)から形成され得る。あるいは、透明導電領域の少なくとも1つの層は、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムドープされたスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、及びフッ素ドープされた酸化スズ(FTO)の1つまたは複数から形成され得る。半導体層は、非晶質シリコン(a-Si)から形成され得る。
【0032】
半導体層が配置される基板の表面は、基板の第1の表面であってよく、太陽電池は、第1の表面の反対側である、基板の第2の表面に配置された第2の半導体層を含み得る。太陽電池は、第2の半導体層の表面に配置された第2の透明導電領域をさらに含み得る。
【0033】
第2の透明導電領域は、第1の仕事関数を有する第1の層と、第2の仕事関数を有し、第1の層と第2の半導体層との間に挟まれる第2の層とを含み得る。第2の層の第2の仕事関数は、第1の層の第1の仕事関数よりも大きくなるように構成され得る。
【0034】
第2の半導体層は、負の導電型(すなわち、n型)で構成され得る。
【0035】
第2の透明導電領域は、第2の層と第2の半導体層との間に挟まれる第3の層を含み得る。第3の層は、第2の半導体層に直接配置され得る。例えば、第2の透明導電領域の第3の層は、第2の半導体層の表面(例えば、受け取り面)と直接接触して(例えば、上に堆積されて)配置され得る。したがって、第3の層は、第2の半導体層から電荷キャリアを直接抽出するように有利に構成される。第3の層は、第2の層の第2の仕事関数よりも大きい場合がある第3の仕事関数で構成され得る。
【0036】
第2の半導体層は、エミッタ層を画定し得る。エミッタ層は、太陽電池の使用時に放射源に向くように構成され得る基板の前面に配置され得る。
【0037】
第2の透明導電領域の層の少なくとも1つは、金属酸化物材料から形成され得、第2の半導体層は、非晶質シリコン(a-Si)から成る場合がある。
【0038】
第2の透明導電領域の第1の層と第2の層の仕事関数は、第1の透明導電領域の対応する各層と同様に構成され得る。ただし、この場合、透明導電層の仕事関数の差は、前面電極と前側アキュムレータ層の間の仕事関数のより小さい差を反映するためにより小さくなる。
【0039】
基板は、例えばシリコンウェーハなどの結晶シリコン(c-Si)から構成され得る。結晶シリコン基板は、連続結晶構造、例えば単結晶シリコンを含み得る。あるいは、基板は、連続結晶構造、例えば多結晶(または多重結晶)シリコンの1つまたは複数の粒子を含み得る。
【0040】
透明導電領域の第1及び第2の層のそれぞれは、幅、長さ、及び深さで構成され得る。そのような各層は、その幅と長さが両方とも、その深さよりも実質的に大きくなるように、構成され得る。層の幅及び長さは、基板の表面の平面にアラインメントされた垂直方向で測定し得、深さは、基板の表面の平面に垂直な方向で測定し得る。
【0041】
透明導電領域は、500nm未満、任意選択で200nm未満、任意選択で100nm未満の厚さを有し得る。透明導電領域の層のそれぞれは、少なくとも20nmで、50nm以下の厚さを有し得る。
【0042】
前面透明導電領域は、太陽電池の反射防止層、つまりコーティングを画定するようにさらに構成され得る。したがって、透明導電領域の層は、反射防止面を提供するようにテクスチャ化され得る。反射防止層は、太陽電池に入射する光の反射率を有利に減少させ、所定の波長帯域の選択性を増加させ、それによって太陽電池の効率を増加させる。
【0043】
例示的な構成によれば、太陽電池は、半導体層との境界面を形成する表面とは反対側の透明導電領域の表面に配置された電極を含み得る(例えば、その結果透明導電領域が基板と電極との間に挟まれ得る)。
【0044】
太陽電池は、基板と、第1及び第2の半導体層の少なくとも1つまたはそれぞれとの間に配置され得るパッシベーション層をさらに含み得る。パッシベーション層(複数可)は、それぞれの半導体層が配置される基板表面(複数可)を不動態化するように構成され得る非晶質材料から形成され得る。パッシベーション層(複数可)は、非晶質シリコン(a-Si)から成る場合がある。パッシベーション層(複数可)は、ドープされていない(例えば、真性半導体材料から形成される)場合がある。
【0045】
半導体層及び/またはパッシベーション層(複数可)の少なくとも1つまたはそれぞれは、所定の化学組成物を有する材料から成る場合がある。層のそれぞれは、連続プロセスで基板に堆積(または例えば拡散または注入)され得る。
【0046】
上記から、基板と半導体層の両方とも1つまたは複数の半導体材料から形成され得ることが理解されるであろう。半導体材料のそれぞれは、ドーパント原子を含むことによって決定される導電型で構成され得る。このようにして、ドープされたバルク材料の内部の過剰な電荷キャリアを増加させるために、半導体材料のそれぞれを、決定された電荷を有する原子でドープし得る。
【0047】
ドーパント原子のイオン化状態が、ドープされた半導体材料の導電型を決定し得ることが理解されるであろう。例えば、半導体材料は、それぞれ正の導電型(p型)または負の導電型(n型)を示すように、正または負にドープされてもよい。決定された導電型(例えば、p型またはn型)を有する任意の層は、その層に向かって光生成電荷キャリア(例えば、電子及び正孔)を駆動する静電駆動力を生成するように構成され得る。例えば、p型材料は電子を引き付けて正孔をはじき、n型材料は正孔を引き付けて電子をはじく。場合によっては、半導体材料は(例えば、真性パッシベーション層などで)ドープされていなくてもよい。
【0048】
基板は、第1の導電型(例えば、n型)で構成され得、半導体層は、第1の導電型と反対の第2の導電型(例えば、p型)で構成され得、したがって基板とともにpn接合を形成する。
【0049】
pn接合でp型材料とn型材料の間に形成される境界面により、過剰な電子と正孔がそれぞれn型材料とp型材料に拡散する。電荷キャリアのこの相対的な移動により、pn接合に空乏領域(例えば、空間電荷領域)が形成される。熱平衡状態に達すると、空乏領域全体に組み込みの電位差が形成される。
【0050】
太陽電池の動作中、基板に入射する光によって生成された複数の電子-正孔対は、pn接合に起因する組み込み電位差によって生成される電界によって、電子と正孔に分離される。その後、分離した電子はn型半導体に移動(例えばトンネル)し、分離した正孔はp型半導体に移動する。したがって、基板がn型で、エミッタがp型の場合、分離された正孔と電子はそれぞれエミッタと基板に移動する。特に、正孔と電子は、pn接合のエミッタ側及び基板側に配置されたそれぞれの電極に移動する。したがって、電子は基板での多数キャリアとなり、正孔はエミッタでの多数キャリアとなる。
【0051】
例示的な構成によれば、基板はn型単結晶シリコンウェーハから形成され得る。半導体層(例えば、第1の半導体層)の少なくとも1つは、p型となるように少なくとも部分的にドープされた非晶質材料を含み得る。このような構成は、ヘテロ接合技術(HJT)タイプの太陽電池の形成に寄与し得、これは、2つの異なる材料を組み合わせてpn接合で電荷分離界を生成するため、そのように定義されている。あるいは、太陽電池が、任意のタイプの太陽電池構造を画定するように構成され得ることが理解されるであろう。例えば、基板及びエミッタは、タンデム接合太陽電池を画定し得る。
【0052】
半導体材料は、n型である場合、リン(P)、砒素(As)、及びアンチモン(Sb)などのV族元素の不純物を含むように構成され得る。半導体材料は、p型である場合、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)などのIII族元素の不純物を含み得る。パッシベーション層は、エミッタと基板との間に真性層を形成するように、導電型なしで構成され得る。
【0053】
代替構成によると、エミッタはn型で、基板はp型であり、それらの間にpn接合を形成し得る。この場合、分離された正孔と電子は、それぞれ基板とエミッタに移動する。特に、正孔と電子は、pn接合の基板側及びエミッタ側に配置されたそれぞれの電極に移動する。
【0054】
少なくとも1つの半導体層(例えば、第2の半導体層)の他方は、基板の導電型と同じである第1の導電型(例えば、n型)で構成され得る。この半導体層は、基板から電荷キャリアを選択的にスクリーニング、つまり抽出するように構成された太陽電池のアキュムレータを画定し得る。
【0055】
実施形態では、基板はp型単結晶シリコンウェーハから形成され得、半導体層は、p型となるように少なくとも部分的にドープされた非晶質材料を含み得る。
【0056】
決定された導電型で構成されるだけでなく、半導体層のそれぞれは、異なるドーパント濃度で構成され得る。ドープ層のそれぞれは、光生成された電荷キャリア(例えば、電子及び正孔)をそれぞれの層に向かって駆動する静電駆動力を生成するように構成され得る。ドープされた層の少なくとも1つのドープ濃度は、より強い静電力を生成するために増加され得、基板から離れるように移動する電荷輸送を増加させる。
【0057】
例示的な構成によれば、太陽電池は、結晶シリコン基板と、太陽電池使用時に放射源に向かないように構成された基板の裏面に配置された裏面半導体層と、太陽電池使用時に放射源に向くように構成された基板の前面に配置された前面半導体層と、裏面半導体層の表面に配置された裏面透明導電領域と、前面半導体層の表面に配置された前面透明導電領域とを含み、裏面透明導電領域は、第1の仕事関数を有する第1の層と、第2の仕事関数を有し、第1の層と裏面半導体層との間に挟まれる第2の層とを含み、第2の層の第2の仕事関数は、第1の層の第1の仕事関数よりも大きく、前面透明導電領域は、第1の仕事関数を有する第1の層と、第2の仕事関数を有し、第1の層と第1の半導体層との間に挟まれる第2の層とを含み、第2の層の第2の仕事関数は、第1の層の第1の仕事関数よりも大きく、裏面及び前面の透明導電領域の少なくとも1つは、第3の仕事関数を有し、基板と、少なくとも1つの裏面及び前面の透明導電領域のそれぞれの第2の層との間に挟まれる第3の層を含み、第3の層の第3の仕事関数は、少なくとも1つの裏面及び前面の透明導電領域のそれぞれの第2の層の第2の仕事関数よりも大きい。有利な構成によれば、前面及び裏面の透明導電領域のそれぞれは、それぞれの領域の仕事関数が基板に向かって増加するように構成された少なくとも2つの層を有する。また、前面及び裏面の透明導電領域の少なくとも1つは、仕事関数が基板に向かって(例えば、すべての3つの層にわたって)徐々に(例えば、漸進的に)増加するように構成された第3の層を含む。仕事関数が基板に向かって(例えば、3つの異なる層にわたって)徐々に増加する前面及び裏面の透明導電領域の少なくとも1つを構成することによって、これは、光子の基板内への透過を増加させつつ、前面及び背面の電極での電荷抽出を最適化する。
【0058】
前面透明導電領域は、2つの層(例えば、第1及び第2の層)でのみ構成され得るのに対し、裏面透明導電領域は3つの層(例えば、第1、第2、及び第3の層)で構成され得る。あるいは、裏面透明導電領域は、2つの層のみで構成され得、前面透明導電領域は3つの層で構成され得る。
【0059】
前面及び裏面の透明導電領域のそれぞれは、第3の仕事関数を有し、基板と、前面及び裏面の透明導電領域のそれぞれの第2の層との間に挟まれる第3の層を含み得る(例えば、前面透明導電領域は、基板と第2の前面層との間に配置された第3の前面層を含み得、裏面透明導電領域は、基板と第2の裏面層との間に配置された第3の裏面層を含み得る)。第3の層のそれぞれの第3の仕事関数は、前面及び裏面の透明導電領域のそれぞれの第2の層の第2の仕事関数よりも大きくてよい(例えば、第3の前面層の仕事関数は、第2の前面層の仕事関数よりも大きくてよく、第3の裏面層の仕事関数は、第2の裏面層の仕事関数よりも大きくてよい)。
【0060】
上述のように、太陽電池は、透明導電領域の反対側に配置され、太陽電池から光生成電荷キャリアを抽出するように構成された電極を含み得る。電極は、透明導電領域が電極と基板との間に挟まれるように配置され得る。
【0061】
透明導電領域が基板の裏(例えば最も裏側の)面に配置される場合、電極は透明導電領域の裏面に配置されて、太陽電池の裏面電極を画定し得る。
【0062】
透明導電領域が基板の前面(例えば最も前側の)に配置される場合、電極は透明導電領域の前面に配置されて、太陽電池の前面電極を画定し得る。
【0063】
太陽電池が、基板の前面及び裏面にそれぞれ配置された前面及び裏面の透明導電領域を含む場合、太陽電池は、前面透明導電領域の前面に配置された前面電極、及び裏面透明導電領域の裏面に配置された裏面電極を含み得る。各電極は、前面及び裏面の透明導電領域のそれぞれの表面とのオーミック接触を形成するように構成され得る。
【0064】
前面及び背面の電極はそれぞれ、透明導電領域のそれぞれの表面に配置された複数のフィンガー電極を含み得る。各フィンガー電極は、その幅よりも実質的に長い軸方向の長さで構成され得る。フィンガー電極の幅と軸方向の長さの両方は、透明導電領域のそれぞれの表面の平面内で互いに垂直方向に測定され得る。フィンガー電極は、透明導電領域の幅方向と平行である横方向に、延在し得る。
【0065】
複数の前面及び/または裏面フィンガー電極のそれぞれの内部のフィンガー電極は、フィンガー電極間に横方向に延在するスペースを画定するために、それぞれの表面にわたって離間され得る。フィンガー電極は、透明導電領域の長さ方向と実質的に平行である長手方向に間隔を空けて離間され得る。各複数のフィンガー電極は、互いに実質的に平行であってもよい。したがって、複数の裏面フィンガー電極は、平行で長手方向に離間した(例えば等間隔の)フィンガー電極のアレイを形成し得る。
【0066】
本明細書で使用される「導電性」及び「絶縁性」という用語は、それぞれ電気の伝導性及び電気の絶縁性を意味することを明確に意図していることを理解されたい。これらの用語の意味は、光起電力太陽電池デバイスの状況である、本開示の技術的状況という観点で、特に明白になる。用語「オーミック接触」が、非整流電気接合(すなわち、実質的に線形の電流-電圧(I-V)特性を示す2つの導体間の接合)を意味することが意図されていることも、理解されるであろう。
【0067】
例示的な構成によれば、太陽電池は、基板(例えば、シリコン基板)と、基板の前面に配置された前面半導体層と、前面半導体層の前面に配置された前面透明導電領域と、基板の裏面に配置された裏面半導体層と、裏面半導体層の裏面に配置された裏面透明導電領域とを含み得る。
【0068】
裏面半導体層は太陽電池のエミッタを画定し得、pn接合を形成するために基板の反対側に配置される。エミッタは、裏面電極に電気的に接続され、エミッタが裏面電極と基板との間に配置されるように配置され得る。裏面透明導電領域は、太陽電池の動作中にエミッタから電荷キャリアを抽出し、それらを裏面電極に移動するように構成され得る。
【0069】
前面半導体層は、基板の前面に向かって、すなわち基板層と前面電極との配置されるアキュムレータを画定し得る。前面透明導電領域は、太陽電池の動作中にアキュムレータから電荷キャリアを抽出し、それらを前面電極に移動するように構成され得る。
【0070】
例示的な構成によれば、太陽電池は、n型シリコン基板と、p型裏面エミッタと、異なる仕事関数を有する少なくとも2つの透明導電層とを含み得、エミッタ層に最も近く配置された透明導電層は、2つの透明導電層の他方よりも大きい仕事関数を有する。
【0071】
透明導電層の上記配置は、n型シリコン基板の前面に配置されたp型エミッタ層にも適用可能であろうことが理解されるであろう。
【0072】
あるいは、透明導電層の上記配置は、基板の前側に配置されたp型シリコン基板及びp型アキュムレータ層を有する太陽電池にもさらに適用可能であろう。ただし、この配置では、透明導電層間の仕事関数の差は、前面電極とp型アキュムレータ層の間の仕事関数のより小さい差のためにより小さくなる場合がある。
【0073】
第2の態様によれば、第1の態様による複数の太陽電池を含む太陽電池モジュールが提供される。複数の太陽電池は、互いに電気的に結合され得る。
【0074】
第3の態様によれば、基板(例えば、結晶シリコン基板)を提供するステップと、基板の表面に半導体層を配置するステップと、半導体層に透明導電領域を配置するステップであって、透明導電領域が第1の層と第2の層とを含む、配置するステップとを含む、太陽電池を製造するための方法が提供される。透明導電領域を配置するステップは、半導体層に第2の層を配置し、第1の層と半導体層との間に第2の層が挟まれるように、第2の層に第1の層を配置することを含む。方法は、第1の仕事関数で第1の層を構成することと、第1の層の第1の仕事関数よりも大きい第2の仕事関数で第2の層を構成することとを含む。
【0075】
基板の表面に半導体層を配置する方法は、半導体層を正の導電型(すなわち、p型)で構成することを含み得る。
【0076】
透明導電領域は、第2の層と半導体層との間に挟まれる第3の層を含み得る。この場合、透明導電領域を配置する方法は、第2の層を堆積させる前に、半導体層に第3の層を配置することを含み得る。この方法は、第2の層の第2の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数で第3の層を構成することを含み得る。第3の層を配置するステップは、半導体層に第3の層を直接配置する(例えば、半導体層の表面(例えば、受け取り面)に第3の層を直接堆積させること)ことを含み得る。
【0077】
透明導電領域を配置するステップは、スパッタリングプロセスまたは任意の他の適切な堆積方法を使用して、半導体上に透明導電領域の層を順次堆積させることを含み得る。スパッタリングプロセスは、直流(DC)マグネトロンスパッタリングを含み得る。
【0078】
方法は、第1及び第2の層で仕事関数を決定するためにスパッタリングプロセスの少なくとも1つのパラメータを制御することを含み得る。少なくとも1つのパラメータは、ガス組成及びガス流量の少なくとも1つを含み得る。
【0079】
あるいは、方法は、第1及び第2の層に異なる材料を堆積させるためにTCO堆積方法を変更することを含み得る。第1及び第2の層の異なるTCO材料は、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムドープされたスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、及びフッ素ドープされた酸化スズ(FTO)の少なくとも1つを含み得る。
【0080】
方法は、第1の酸素流量で第1の層のスパッタリングプロセスを構成することと、第1の酸素流量よりも大きい第2の酸素流量で第2の層のスパッタリングプロセスを構成することを含み得る。方法は、第2の層の第2の酸素流量よりも大きい第3の酸素流量で第3の層のスパッタリングプロセスを構成することを含み得る。有利なことに、酸素流量を増加させると、対応する層の透明導電材料の仕事関数は大きくなる。
【0081】
方法は、太陽電池の使用時に放射源に向かないように構成された基板の裏面に半導体層及び透明導電領域を配置することを含み得る。
【0082】
半導体が配置される基板の表面は基板の第1の表面であってよく、方法は、基板の第2の表面に第2の半導体層を配置することであって、第2の表面は第1の表面の反対側にある、配置することと、第2の半導体層の表面に第2の透明導電領域を配置することであって、第2の透明導電領域が第1の層及び第2の層を含む、配置することとを含み得る。第2の透明導電領域を配置するステップは、第2の半導体層に第2の層を配置し、第2の層が第1の層と第2の半導体層との間に挟まれるように、第2の層に第1の層を配置することを含み得る。方法は、第1の仕事関数で第1の層を構成することと、第1の層の第1の仕事関数よりも大きい第2の仕事関数で第2の層を構成することとを含み得る。
【0083】
第2の透明導電領域は、第2の層と第2の半導体層との間に挟まれる第3の層を含み得る。この場合、第2の透明導電領域を配置する方法は、第2の層を堆積させる前に、第2の半導体層に第3の層を配置することを含み得る。この方法は、第2の層の第2の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数で第3の層を構成することを含み得る。第2の透明導電領域の第3の層を配置するステップは、第2の半導体層に第3の層を直接配置する(例えば、第2の半導体層の表面(例えば、受け取り面)に第3の層を直接堆積させること)ことを含み得る。
【0084】
方法は、太陽電池の使用時に放射源に向くように構成された基板の前面に半導体層及び第2の透明導電領域を配置することを含み得る。
【0085】
透明導電領域を配置する方法は、透明導電領域の層が太陽電池の反射防止層、つまりコーティングを形成するように、透明導電領域の層の少なくとも1つまたはそれぞれを構成することを含み得る。
【0086】
基板の第2の表面に第2の半導体層を配置する方法は、第2の半導体層を負の導電型(すなわち、n型)で構成することを含み得る。
【0087】
方法は、第1及び第2の半導体層の少なくとも1つまたはそれぞれを配置する前に、パッシベーション層がそれぞれの半導体層と基板との間に挟まれるように、基板の表面にパッシベーション層を配置することを含み得る。パッシベーション層(複数可)は、非晶質材料から形成され得る。方法は、パッシベーション層が実質的にドープされない(すなわち、真性である)ようにパッシベーション層(複数可)を構成することを含み得る。
【0088】
第1及び第2の半導体層及び/またはパッシベーション層の少なくとも1つまたはそれぞれを配置するステップは、蒸着プロセスを使用して基板上に層を堆積させることを含み得る。蒸着プロセスは、プラズマ増強化学気相成長プロセス(PECVD)であってもよい。
【0089】
方法は、蒸着プロセスの少なくとも1つのパラメータを制御して、第1及び第2の半導体層、及び/またはパッシベーション層の少なくとも1つの層の構造組成、化学組成、及びドーパント組成を決定することを含み得る。蒸着プロセスパラメータは、ガス組成及び/またはガス流量を含み得る。蒸着プロセスパラメータは、堆積チャンバの温度を定義し得る。ガス組成は、二酸化炭素(CO2)、シラン(SiH4)、及び水素(H2)の少なくとも1つを含み得る。
【0090】
方法は、第1及び第2の透明導電領域の少なくとも1つまたはそれぞれに電極を配置することを含み得る。
【0091】
各透明導電領域は、裏(例えば最も裏側の)面及び裏面の反対側にある前(例えば最も前側の)面を含み得る。したがって、透明導電領域が基板の裏面に配置される場合、方法は、透明導電領域の裏面に電極を配置して裏面電極を画定することを含み得る。透明導電領域が基板の前面に配置される場合、方法は、透明導電領域の前面上に電極を配置して前面電極を画定することを含み得る。
【0092】
電極は、複数のフィンガー電極を含み得るので、方法は、第1の層上に複数のフィンガー電極を堆積させることを含み得る。方法は、透明導電領域の前面または裏面上に導電性材料を堆積させることを含み得る。
【0093】
導電性材料は、蒸発、めっき、印刷などを含む様々な方法によって堆積され得る。例えば、導電性材料は、印刷された材料を含み得る。導電性材料を堆積させる方法は、透明導電領域の表面に印刷された材料の印刷可能な前駆体を印刷することを含み得る。方法は、焼成プロセスに従って印刷可能な前駆体を硬化させてフィンガー電極を形成することをさらに含み得る。
【0094】
当業者は、相互に排他的である場合を除いて、上記の態様のいずれか1つに関して説明された特徴またはパラメータを他のいずれかの態様に適用できることを理解するであろう。さらに、相互に排他的である場合を除き、本明細書に記載の任意の特徴またはパラメータは、任意の態様に適用でき、及び/または本明細書に記載の他の特徴またはパラメータと組み合わせることができる。
【0095】
これより、図面を参照して、例示のみを目的として実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図2】
図1の太陽電池の前面透明導電領域の近接図である。
【
図3】
図1の太陽電池の裏面透明導電領域の近接図である。
【
図4】
図1の太陽電池を形成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0097】
本開示の態様及び実施形態を、添付の図面を参照して説明する。さらなる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0098】
図1は、他の層の中でも、通常の使用中に放射源(例えば太陽)からの光が入射する第1(すなわち前面)の表面14と、前面14の反対側である第2(すなわち、裏面)の表面16とを含む半導体基板12を含む太陽電池10を概略的に示す。すなわち、前面14は、使用時に太陽に向くように構成され得、一方で裏面16は、使用時に太陽から背を向けるように構成され得る。
【0099】
基板12は、太陽電池10を、基板12の前方(すなわち前面)にある前部18と、基板12の後方にある後部20とに分割する。太陽電池10に入射する光は、前部18、基板12、次いで後部20を通過する。
【0100】
前部18及び後部20のそれぞれは、別個の層状構造を画定するように配置された複数の層を含む。前部18(本明細書では前側の層状構造18とも呼ばれる)は、基板12の前面14の反対側に配置され、後部20(本明細書では裏側の層状構造20とも呼ばれる)は、基板12の裏面16の反対側に配置される。前側及び裏側の層状構造18、20の構成層は、基板12のそれぞれの前面14及び裏面16の上に順次堆積(または例えば拡散または注入)される。
【0101】
前部18及び後部20の各層は、幅、長さ、及び深さで構成される。各層の幅及び長さは、基板12の前面14及び裏面16とアラインメントされた垂直方向で測定される。各層について、その幅及び長さは、基板12の前面14及び裏面16に垂直な方向で測定されるその深さよりも実質的に長い。
【0102】
太陽電池10は、裏面エミッタ太陽電池(及び特に、裏面エミッタヘテロ接合太陽電池10)である。したがって、太陽電池10は、基板12の両側に配置されたエミッタ50及びアキュムレータ52を具備する。その結果、エミッタ50は、後部20の一部を形成し、アキュムレータ52は前部18の一部を形成する。
【0103】
図示の実施形態によれば、基板12は、p型エミッタ層50とpn接合を形成するn型単結晶シリコンウェーハである。アキュムレータ層52は、それが基板12から電子を抽出できるようにn型を有するように構成される。エミッタ層50及びアキュムレータ層52はそれぞれ、当業者によって理解されるであろうように、所定の導電型を達成するために対応する元素でドープされたドープト非晶質シリコン(a-Si)材料から形成される。
【0104】
前部18は、基板12の前面14とアキュムレータ52との間に挟まれる前面パッシベーション層28を含む。後部20の裏面パッシベーション層30は、エミッタ50と基板12の裏面16との間に挟まれる。パッシベーション層28、30のそれぞれは、当業者によって理解されるであろうように、真性非晶質シリコン材料から形成される。
【0105】
エミッタ層50及びアキュムレータ層52は、それぞれ12nmの深さを有し、パッシベーション層28、30はそれぞれ3nmの深さを有する(
図1に示される垂直方向で測定されるとき)。
【0106】
太陽電池10は、アキュムレータ52の前面54に配置された透明導電(TC)領域46(本明細書では、前面TC領域46とも呼ばれる)をさらに具備する。さらなるTC領域48(本明細書では、裏面TC領域48とも呼ばれる)は、エミッタ50の裏面44に配置される。
【0107】
TC領域46、48はそれぞれ、
図1~
図3に示されるように、太陽電池10の反射防止面を提供するようにテクスチャ化される。前面電極40は、前面TC領域46の前面テクスチャ面56に設けられ、裏面電極42は、裏面TC領域48の裏面テクスチャ面58に設けられる。前面電極40及び裏面電極42は銀から形成される。
【0108】
前面及び裏面のTCO領域46、48は、それぞれ100nm未満の厚さを有し(
図1に示される垂直方向で測定されるとき)、前面及び裏面のTCO領域46、48は、それぞれインジウムスズ酸化物(ITO)から形成される。しかしながら、TC領域46、48のそれぞれの組成は、以下により詳細に説明されるように、その深さにわたって変化する。
【0109】
前面及び裏面のTC領域46、48は、ここでそれぞれ
図2及び
図3を参照してより詳細に説明される。
【0110】
前面TC領域46は、すべて異なる組成を有する第1、第2、及び第3の前面層22、24、26を含む。
図2に示されるように、第3の層26は、アキュムレータ52と第2の前面層24との間に挟まれ、第2の前面層24は、第3の前面層26と第1の前面層22の間に挟まれる。
【0111】
第1、第2、及び第3の前面層22、24、26のそれぞれは、異なる仕事関数で構成される。特に、第1の前面層22は、第2の前面層24の第2の仕事関数よりも小さい第1の仕事関数で構成され、第2の前面層24の第2の仕事関数は、第3の前面層26の第3の仕事関数よりも小さい。
【0112】
TC領域46、48の各層の仕事関数は、その層の構成材料のフェルミ準位と、材料の外部の自由空間のエネルギーとの間のエネルギーの差を指す。特定の層の仕事関数は、その仕事関数エネルギー値(電子ボルト、eVで測定されるとき)が比較されている層の仕事関数エネルギー値よりも大きい場合、別の層の仕事関数よりも大きいとして説明される。さらに、材料の仕事関数は負のスケールで測定されるので、より大きいという用語は、比較値よりも負である仕事関数値を指す。
【0113】
第1の前面層22の仕事関数は、約4.0eVであり、第2の前面層24の第2の仕事関数は、約4.1eVであり、第3の前面層26の第3の仕事関数は、約4.2eVである。アキュムレータ層52の仕事関数は約4.2eVであり、前面電極40の仕事関数は約4.0eVである。
【0114】
前面TC領域46は、太陽電池10の活性層に向かって(
図2に示されるように垂直に下方向に)移動するときに、仕事関数が段階的に増加する透明導電層のスタックから形成される。このようにして、第3の前面層26は、それが第1及び第2の層22、24よりも低い導電率を有するように、(すなわち、3つの層の中で)最も高い(例えば、最大の)仕事関数で構成される。しかしながら、これは、第3の前面層26が、前面TC領域46の直下に配置されたアキュムレータ52を貫通する有利な透明窓を提供することを意味する。
【0115】
さらに、第1の前面層22は、最も低い(例えば、最も小さい)仕事関数で構成されるため、第1の前面層22は第2の及び第3の層24、26よりも大きい導電率を有する。これは、第3の前面層22が前面電極40との良好な電気的接触を提供することを意味する。より低い仕事関数はまた、太陽電池10の最上部の表面での前面TC領域46の透明性も低下させる。透明性の低下に対応するために、第1の前面層22の厚さは、光活性層を貫通する入射光子の数を増加させるために可能な限り薄くされる。
【0116】
最後に、第2の前面層24は、第2の層が間に挟まれる第1及び第3の層の伝導性と透明性のバランスを提供するように選ばれる中間仕事関数で構成される。したがって、第2の前面層24は、第1と第3の前面層22、26間の電子光学特性のブリッジを提供する。
【0117】
前面TC領域46と同様に、裏面TC領域48はまた、
図3に示されるように、3つの裏面層32、34、36のスタックを含む。前面層の場合と同様に、第1、第2、及び第3の裏面層22、24、26のそれぞれは、インジウムスズ酸化物から形成される。しかしながら、前面層とは対照的に、3つの裏面層32、34、36は、太陽電池10の活性層に向かって(
図3に示されるように垂直に上方向に)移動するときに、それらの仕事関数が段階的な増加を示すように、異なる材料組成から形成される。
【0118】
特に、第1の裏面層32は、第2の及び第3の層34、36の仕事関数よりも小さい第1の仕事関数を有する。第2の裏面層34は、第3の層36の仕事関数よりも小さいが、第1の裏面層32の仕事関数よりも大きい第2の仕事関数を有する。第3の裏面層32は、第1及び第2の裏面層32、34の両方の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数を有する。
【0119】
第1の裏面層32の第1の仕事関数は約4.0eVであり、第2の裏面層34の第2の仕事関数は、約4.75eVであり、第3の裏面層36の第3の仕事関数は、約5.5eVである。エミッタ層50の仕事関数は約5.5eVであり、裏面電極42の仕事関数は約4.0eVである。
【0120】
図示の実施形態によれば、第3の層36の仕事関数は、エミッタ50の価電子帯により適切に整合し、これによって寄生ポテンシャル障壁がTC領域48とエミッタ50との間に形成される可能性が減少する。
【0121】
さらに、第1の裏面層32は、それがより低い透明性を有するように比較的に低い仕事関数で構成され、これにより太陽電池10の最後面でのTC領域48の反射率が増加する。結果として、より多くの未吸収の光子が、使用時に、裏面TC領域48の第1の裏面層32によって太陽電池10の光活性層に向かって反射され得る。
【0122】
第1の裏面層32が、太陽電池10の裏面電極42に隣接して配置され、第1の裏面層32が比較的に低い仕事関数を有するので、第1の裏面層32はまた、(第2の及び第3の裏面層34、36と比較して)導電率が増加することを示すことが理解されるであろう。第1の裏面層32の導電率が比較的に高いため、裏面電極42への光生成電荷キャリア(すなわち、正孔)の移動が増加する。したがって、裏面TC領域48はまた、エミッタ50からより多くの光生成キャリアを抽出することができ、それによって太陽電池10の曲線因子(FF)が増加する。
【0123】
第1、第2、及び第3の前面層22、24、26、ならびに第1、第2、及び第3の裏面層32、34、36のそれぞれは、約30nmの深さを有する(
図2及び
図3に示される垂直方向で測定されるとき)。上述のように、層22、24、26、32、34、36のそれぞれは、インジウムスズ酸化物から形成される。これらのインジウムスズ酸化物材料の仕事関数は、以下により詳細に説明されるように、酸素流量を調整することによって対応する層の製作中に設定される。
【0124】
図4は、上述の太陽電池などの太陽電池を形成する方法100を示す。方法は、太陽電池10の基板12を画定するために結晶シリコンウェーハを提供する第1のステップ102を含む。
【0125】
第2の方法ステップ104では、方法は、基板12の前面14及び裏面16上にそれぞれ前面及び裏面のパッシベーション層28、30を堆積させることを含む。
【0126】
第3の方法ステップ106は、それぞれ前面及び裏面のパッシベーション層28、30にアキュムレータ52及びエミッタ50を堆積させることを含む。したがって、アキュムレータ52及びエミッタ50は、それぞれ前面及び裏面の半導体層を画定する。
【0127】
第2及び第3の方法ステップ104、106は、シリコンウェーハ基板12の前面14及び裏面16に半導体層を配置(または形成)することを含む。これは、堆積、拡散、ドーピング及び/または注入のステップを含み得る。参照される層は、上述の太陽電池10の前部18及び後部20の少なくとも一部を形成する層である(例えば、エミッタ、アキュムレータ、及びパッシベーション層など)。これらのステップのそれぞれは、蒸着プロセス(例えば、PECVD)を使用して、対応する半導体材料を堆積させることを含む。概して、蒸着プロセスのパラメータは、各層の組成(例えば、構造的及び/または化学的)及びドーパント濃度を決定するように構成される。
【0128】
第4の方法ステップ108で、方法は、それぞれアキュムレータ52及びエミッタ50上に前面及び裏面の第3の層26、36を堆積させることを含む。第5のステップ110で、方法は、それぞれの前面及び裏面の第3の層26、36の上に前面及び裏面の第2の層24、34を堆積させることを含む。第6のステップ112で、方法は、それぞれの前面及び裏面の第2の層24、34の上に前面及び裏面の第1の層22、32を堆積させることを含む。
【0129】
第4、第5、及び第6の方法ステップ108、110、112のそれぞれは、太陽電池10の前面及び裏面上に前面及び裏面のTCO層を堆積させることを含む。これらのステップのそれぞれは、DCマグネトロンスパッタリングプロセスを使用して対応する透明導電酸化物材料を堆積させることを含む。概して、スパッタリングプロセスのパラメータは、組成(例えば、構造的及び/または化学的)及び各層の電気及び光学特性を決定するように構成される。例えば、TC領域46、48の前面層及び裏面層のそれぞれの構成材料の仕事関数は、スパッタリングプロセスのパラメータを調整することによって決定される。特に、前面及び裏面のTC領域46、48の層のそれぞれは、異なる酸素ガス流量を使用して堆積される。
【0130】
第1の前面層22を堆積させる方法は、第1の仕事関数を取得するために第1の酸素流量を使用することを含む。第2の前面層24を堆積させる方法は、第2の仕事関数を取得するために第2の酸素流量を使用することを含む。第3の前面層26を堆積させる方法は、第3の仕事関数を構成するために第3の酸素流量を含む。第1の前面層22の第1の酸素流量は、第2の前面層24を形成するために使用される第2の酸素流量よりも大きい。第2の前面層24の第2の酸素流量は、第3の前面層26を形成するために使用される第3の酸素流量よりも大きい。
【0131】
第1の裏面層32を堆積させる方法は、第1の仕事関数を取得するために第1の酸素流量を使用することを含む。第2の裏面層34を堆積させる方法は、第2の仕事関数を取得するために第2の酸素流量を使用することを含む。第3の裏面層36を堆積させる方法は、第3の仕事関数を設定するために第3の酸素流量を含む。第1の裏面層32の第1の酸素流量は、第2の裏面層34を形成するために使用される第2の酸素流量よりも小さい。第2の裏面層34の第2の酸素流量は、第3の裏面層36を形成するために使用される第3の酸素流量よりも小さい。
【0132】
本発明の例示的な構成によれば、前面及び裏面のTC領域46、48は、別々に堆積され得る。例えば、方法ステップ108、110、112は、太陽電池10の裏側で対応するステップ108、110、112を次に実行する前に、太陽電池10の前側で順次実行され得る。あるいは、次に前面層22、24、26を堆積させる前に、裏面層32、34、36は先に堆積され得る。
【0133】
最後に、第7の方法ステップ114は、太陽電池10の前部及び後部18、20の最外面に前面電極40及び裏面電極42を配置することを含む。
【0134】
本発明は上述の実施形態に限定されず、本明細書に記載の概念から逸脱することなく様々な変更及び改良を行うことができることが理解されるであろう。相互に排他的な場合を除き、いずれの特徴も個別に、または他の特徴と組み合わせて使用することができ、本開示は、本明細書に記載される1つまたは複数の特徴のすべての組み合わせ及びサブコンビネーションにまで及び、それらを含む。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
さらに、第1の前面層22は、最も低い(例えば、最も小さい)仕事関数で構成されるため、第1の前面層22は第2の及び第3の層24、26よりも大きい導電率を有する。これは、第1の前面層22が前面電極40との良好な電気的接触を提供することを意味する。より低い仕事関数はまた、太陽電池10の最上部の表面での前面TC領域46の透明性も低下させる。透明性の低下に対応するために、第1の前面層22の厚さは、光活性層を貫通する入射光子の数を増加させるために可能な限り薄くされる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
前面TC領域46と同様に、裏面TC領域48はまた、
図3に示されるように、3つの裏面層32、34、36のスタックを含む。前面層の場合と同様に、第1、第2、及び第3の裏面層
32、
34、
36のそれぞれは、インジウムスズ酸化物から形成される。しかしながら、前面層とは対照的に、3つの裏面層32、34、36は、太陽電池10の活性層に向かって(
図3に示されるように垂直に上方向に)移動するときに、それらの仕事関数が段階的な増加を示すように、異なる材料組成から形成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶シリコン基板と、太陽電池の使用時に放射源に向かないように構成された前記基板の裏面に配置された半導体層と、前記半導体層の表面に配置された透明導電領域とを備える、前記太陽電池であって、前記透明導電領域が、
第1の仕事関数を有する第1の層と、
第2の仕事関数を有し、前記第1の層と前記半導体層との間に挟まれる第2の層と
を備え、
前記第2の層の前記第2の仕事関数が、前記第1の層の前記第1の仕事関数よりも大きい、
太陽電池。
【請求項2】
前記半導体層が正の導電型で構成される、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第2の層の前記第2の関数が、前記半導体層の前記仕事関数未満であるように構成される、請求項1または請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記半導体層の前記仕事関数と前記第2の層の前記仕事関数との差が、前記半導体層の前記仕事関数と前記第1の層の前記仕事関数との差未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第2の層の前記第2の仕事関数が、前記第1の層の前記第1の仕事関数よりも最大で10%、任意選択で最大で15%大きいように構成され、
任意選択で、前記第2の層の前記第2の仕事関数が、前記第1の層の前記第1の仕事関数より少なくとも10%、最大で15%大きいように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記透明導電領域が、前記第2の層と前記半導体層との間に挟まれる第3の層を備え、
前記第3の層が、前記第2の層の前記第2の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数で構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第3の層が前記半導体層に直接配置される、請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第3の層の前記第3の仕事関数が、前記第2の層の前記第2の仕事関数よりも最大で10%、任意選択で最大で15%大きいように構成される、請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第3の層の前記第3の関数が、前記半導体層の前記仕事関数未満であるように構成される、請求項7または請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記基板から最も遠い層の前記仕事関数が、3.5eVよりも大きく、4.5eV未満であるように構成される、及び/または前記基板に最も近い層の前記仕事関数が、5.0eVよりも大きく、6.0eV未満であるように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記半導体層の前記仕事関数が、5.0eVよりも大きく6.0eV未満である、請求項1~10のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記透明導電領域が、500nm未満の厚さを有し、
前記透明導電領域の層のそれぞれが、少なくとも20nmで、50nm以下の厚さを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記透明導電領域の層の少なくとも1つが、金属酸化物材料から形成され、前記半導体層が、非晶質シリコン(a-Si)から成る、請求項1~12のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記太陽電池が、前記太陽電池の使用時に放射源に向くように構成された前記基板の前面に配置された第2の半導体層と、前記第2の半導体層の表面に配置されている第2の透明導電領域とを備え、前記第2の透明導電領域が、
第1の仕事関数を有する第1の層と、
第2の仕事関数を有し、前記第1の層と前記第2の半導体層との間に挟まれる第2の層と
を備え、
前記第2の層の前記第2の仕事関数が、前記第1の層の前記第1の仕事関数よりも大きい、
請求項1~13のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記第2の半導体層が負の導電型で構成される、請求項14に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記第2の透明導電領域が、前記第2の層と前記第2の半導体層との間に挟まれる第3の層を備え、
前記第3の層が、前記第2の層の前記第2の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数で構成される、請求項14または請求項15に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記第2の透明導電領域の第3の層が前記第2の半導体層に直接配置される、請求項16に記載の太陽電池。
【請求項18】
前記第2の半導体層がアキュムレータ層を画定する、請求項14~17
のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記第2の透明導電領域の層の少なくとも1つが金属酸化物材料から形成され、前記第2の半導体層が、非晶質シリコン(a-Si)から成る、請求項14~18のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の太陽電池を複数備え、前記複数の太陽電池が互いに電気的に結合されている、太陽電池モジュール。
【請求項21】
太陽電池を製造するための方法であって、結晶シリコン基板を提供することと、前記太陽電池の使用時に放射源に向かないように構成された前記基板の裏面に半導体層を配置することと、前記半導体層の表面に透明導電領域を配置することを含み、前記透明導電領域が第1の層及び第2の層を備え、前記透明導電領域を配置するステップが、
前記半導体層に前記第2の層を配置することと、
前記第2の層が前記第1の層と前記半導体層との間に挟まれるように、前記第2の層に前記第1の層を配置することと
を含み、
前記方法が、第1の仕事関数で前記第1の層を構成することと、前記第1の層の前記第1の仕事関数よりも大きい第2の仕事関数で前記第2の層を構成することとを含む、
方法。
【請求項22】
前記基板の表面に前記半導体層を配置する方法が、前記半導体層を正の導電型で構成することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記透明導電領域が、前記第2の層と前記半導体層との間に挟まれる第3の層を備え、
前記透明導電領域を配置する方法が、前記第2の層を堆積させる前に、前記半導体層に前記第3の層を配置することを含み、
前記方法が、前記第2の層の前記第2の仕事関数よりも大きい第3の仕事関数で前記第3の層を構成することを含む、
請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第3の層が前記半導体層に直接配置される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記透明導電領域を配置するステップが、スパッタリングプロセスを使用して、前記半導体上に前記透明導電領域の層を順次堆積させることを含む、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、前記透明導電領域の前記層の少なくとも1つまたはそれぞれで前記仕事関数を決定するために前記スパッタリングプロセスの少なくとも1つのパラメータを制御することを含み、
前記少なくとも1つのパラメータが、ガス組成、ガス流量、及び透明導電材料の少なくとも1つを含む、請求項25に記載の方法。
【国際調査報告】