(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】車両の自動燃料補給用ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/04 20100101AFI20240105BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20240105BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B67D7/04 B
B25J19/06
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540793
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2021087498
(87)【国際公開番号】W WO2022144300
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523249744
【氏名又は名称】オートフューエル エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヴォゲラー,ヨハネス シジュブランド
(72)【発明者】
【氏名】メイジャリンク,アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】フォン バックワルド,エスベン
(72)【発明者】
【氏名】オルセン,ジョナス ソー
【テーマコード(参考)】
3C707
3E083
【Fターム(参考)】
3C707AS34
3C707BS12
3C707CY06
3C707CY13
3C707CY26
3C707CY28
3C707EU12
3C707JS07
3C707KS06
3C707KS08
3C707KT02
3C707KT06
3C707LV01
3C707LW12
3C707MS27
3C707MS29
3E083AA08
3E083AB15
3E083AB20
3E083AG33
3E083AK10
(57)【要約】
本開示は、車両に燃料を補給するための燃料ステーション(1)を自動的に操作するためのロボット燃料補給システム及び方法に関する。ロボット燃料補給システムは、車両(5)を識別するための第1の検出ユニット(16)と、協働ロボットアーム(9)と、協働ロボットアーム(9)に接続されたアダプタツール(10)とを備える。このシステムは、車両(5)を検出して識別することと、燃料ステーション(1)の少なくとも1つの燃料ディスペンサユニット(11)に係合して、車両(5)に燃料を補給するために、協働ロボットアーム(9)及びアダプタツール(10)を制御することと、を行うように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に燃料を補給するための燃料ステーションを自動的に操作するロボット燃料補給システムであって、
前記車両を識別するための第1の検出ユニットと、
協働ロボットアームと、
前記協働ロボットアームに接続されたアダプタツールと、
を備えており、
前記システムが、
前記車両を検出して、識別することと、
前記燃料ステーションの少なくとも1つの燃料ディスペンサユニットに係合して、前記車両に燃料を補給するために、前記協働ロボットアーム及び前記アダプタツールを制御することと、
を行うように構成されている、前記ロボット燃料補給システム。
【請求項2】
前記ロボットアームは、別個の外部安全システムなしで動作するように構成されている、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項3】
前記協働ロボットアームは、予め決められた圧力レベルが維持されるように加圧される、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記協働ロボットアームは、前記協働ロボットアームの少なくとも一部を取り囲むスリーブを備える、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記アダプタツールが、前記燃料ディスペンサユニットに接続するように構成されたコネクタを備える、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記アダプタツールが、前記車両の前記燃料ドアと係合するように構成された燃料ドア操作デバイスをさらに備える、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記燃料ディスペンサユニットに従って、前記車両の位置決めを監視し通信するように構成されている、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記車両の車輪を識別することによって、前記車両の位置決めが判定されるように構成された第2の検出ユニットをさらに備える、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記車両の位置を決定するために、前記車両の少なくとも後輪及び/または前輪の画像を取り込むように構成されている、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記第2の検出ユニットからの前記取り込まれた画像に基づいて、前記車両の前記燃料ドアの位置を特定するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、前記協働ロボットアームを運ぶように構成された回転テーブル及び/またはスライド可能テーブルをさらに備える、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記テーブルは、少なくとも180°回転するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記協働ロボットアームは、前記テーブルの法線に対して、10°~80°の間、好ましくは20°~70°の間、より好ましくは30°~60°の間、最も好ましくは45°の角度で前記テーブルに取り付けられる、請求項11~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記協働ロボットアームは、オフセットを伴って前記テーブルと係合する、請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記オフセットが、少なくとも25mm、好ましくは少なくとも50mm、好ましくは少なくとも75mm、より好ましくは100mm、最も好ましくは150mmである、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムは、ガソリン、ディーゼル油などの従来型の燃料、または水素、電気などの非従来型の燃料に適応可能である、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
加圧システムをさらに備える、先行請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記加圧システムは、前記協働ロボットアーム、及び/または前記アダプタツール、及び/またはカメラなどの検出ユニットを加圧することと、任意選択で大気圧を超える予め決められた圧力レベルを維持することと、を行うように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも0.8mbar高く、好ましくは0.8mbar~15mbarの間、より好ましくは1mbar~10mbarの間、最も好ましくは2mbar~5mbarの間であり、あるいは前記予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも2mbar高い、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記加圧システムは、前記システムがオフになった場合、自動燃料補給動作の前に、前記協働ロボットアーム及び/または前記アダプタツール及び/または検出ユニットをパージするように構成され得る、請求項17~19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記パージ量が50~100リットルの間である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記ガスは空気である、請求項17~21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
車両への燃料補給のための、請求項1~22のいずれか1項に記載のロボット燃料補給システムの使用。
【請求項24】
車両に自動的に燃料を補給する方法であって、
車両を識別するための第1の検出ユニットを提供することと、
アダプタツールに接続された協働ロボットアームを提供することと、
前記アダプタツールを少なくとも1つの燃料ディスペンサユニットに係合させることと、
前記燃料ディスペンサユニットを前記車両の燃料補給口に係合させるために、前記協働ロボットアーム及び前記アダプタツールを制御することによって、前記車両に燃料を補給することと、
のステップを含む、前記方法。
【請求項25】
車両に自動的に燃料を補給する方法であって、請求項1~22のいずれか1項に記載のシステムを提供するステップを含む、前記方法。
【請求項26】
爆発性環境で使用される協働ロボットアームであって、前記協働ロボットアームが、1つ以上の開口部を有する1つ以上のハウジング内に収容される電子機器と、大気圧を超える予め決められた圧力レベルにあるガスでハウジング(複数可)を加圧するように構成された加圧システムとを備える、前記協働ロボットアーム。
【請求項27】
前記予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも0.8mbar高く、好ましくは0.8mbar~15mbarの間、より好ましくは1mbar~10mbarの間、最も好ましくは2mbar~5mbarの間であり、あるいは前記予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも2mbar高い、請求項26に記載の協働ロボットアーム。
【請求項28】
前記加圧システムは、前記協働ロボットアームの電子機器が再稼働される前に、前記ガスの予め決められたパージ量だけ前記協働ロボットアームをパージするように構成される、請求項26~27に記載の協働ロボットアーム。
【請求項29】
前記パージ量は、10~200リットル、好ましくは20~150リットル、より好ましくは30~100リットル、最も好ましくは50~90リットルである、請求項28に記載の協働ロボットアーム。
【請求項30】
前記ガスは空気である、請求項26~29に記載の協働ロボットアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に燃料を補給するための燃料ステーションを自動的に操作するためのロボット燃料補給システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モビリティの将来は、人々がA地点からB地点へ移動する手段に関して多くの変化をもたらし、パーソナルモビリティの新しいエコシステムを創造する。大都市の都市計画は進み、ハイテク企業は自動車の生産に参入し、一部の企業は補助運転手なしの無人運転車を実証しており、カーシェアリングサービスは世界的に普及しつつある。
【0003】
環境に優しく、統合され、自動化され、パーソナライズされた移動に向けた技術開発を受けて、モビリティの将来に関する技術、例えば車両の燃料補給技術を整えていくことが急務となっている。
【0004】
現在、燃料補給の一般的な方法は、手動式燃料補給システムを必要とする従来型ガソリンスタンドを使用することである。有人または無人のステーションでのそのような手動式燃料補給作業の欠点の1つは、運転者の注意または直接の関与が必要になることである。したがって、燃料補給中のそのような人間の介在は、モビリティの将来とは両立しない。
【0005】
現在の従来型ガソリンスタンドのもう1つの欠点は、毎日何百人もの人が同じ燃料ノズルを使用するので、燃料補給に関わるときに、例えば燃料ノズルまたは燃料ディスペンサユニットをつかみ取るときに、細菌やウイルスに感染するリスクが高いことである。ガソリンスタンドでの燃料補給の自動操作は、モビリティの将来に備えるのみならず、パンデミックの場合など、様々な状況での社会の主要な機能に役立つことにもなる。
【0006】
燃料補給操作中に人的介在を最小限に抑える別の方法は、産業用ロボットアームを適応させることであり得る。大手企業は、すでに様々な分野の産業生産に自律的な自動運転搬送ロボットを活用している。これらのロボットは一般に強力である。したがって、安全性は非常に重要な関心事となっている。このため、産業用ロボットには、作業者などの対象物との距離を保ちながらロボットマニピュレータの動作を監視するためのセンサを備えた外部セキュリティシステムが装備されている。
【0007】
外部安全システムの欠点の1つは、塵、雨、または雪などの外部要因により、産業用ロボットによって遂行されていた作業が中止される可能性があり、産業用ロボットの使用が制限されることである。したがって、安全なプロセスを提供しながら、車両に自動的かつスムーズに燃料を補給するための技術的な解決策に対する大きな需要がある。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、燃料補給車両の作業を自動的に操作するためのロボット燃料補給システムに関する。本開示により、運転者は燃料補給作業から解放され、より多くの自由が与えられる。本ロボット燃料補給システムの開示は、パンデミックの内容における問題の解決に役立つだけでなく、完全自動化された向上した燃料補給システムをも提供する。このような自動化はモビリティの将来に適合し、車両の燃料補給時の人間の介在または関与を無くす。さらに、開示されたシステムは、外部安全システムを必要とせずに安全要件を満たす。
【0009】
したがって、本開示の目的は、車両に燃料を補給するための完全に自動化されたシステムを得ることである。ただし、このような自動化には、多くの場合、厳格な安全要件と外部安全システムとを伴う高度なロボットアームが必要になる。
【0010】
本開示のさらなる目的は、燃料補給手順の操作法が簡素化されたシステムを提供することである。
【0011】
本開示のさらなる目的は、所定のエネルギー源または燃料タイプを車両に提供するように構成されたシステムであって、そのエネルギー源が様々なエネルギー源から選択されるシステムを提供することである。
【0012】
本開示のさらにさらなる目的は、外部安全システムを必要としないような、安全要件を満たすシステムを介して、燃料補給手順を操作すること、すなわち開始、監視、及び終了することである。
【0013】
したがって、第1の態様では、本開示は、車両に燃料を補給するための燃料ステーションを自動的に操作するロボット燃料補給システムであって、
-車両を識別するための第1の検出ユニットと、
-ロボットアームと、
-ロボットアームに接続されたアダプタツールと、
を備えており、
本システムが、
〇車両を検出して、識別することと、
〇燃料ステーションの少なくとも1つの燃料ディスペンサユニットに係合して、車両に燃料を補給するために、ロボットアーム及びアダプタツールを制御することと、
を行うように構成されている、ロボット燃料補給システムに関する。
【0014】
一般に、本開示は、車両、主に自動車に自動的に燃料を補給するための燃料補給システムに関する。本開示の燃料補給システムは、第1の検出ユニットと、ロボットアームと、ロボットアームに関連するアダプタツールとを使用する。
【0015】
好ましくは、本システムは、検出ユニットが、車両を検出し、車両の向きを確認し、燃料ドアまたは燃料タンクフラップの位置や、車両が消費する燃料のタイプなどの車両の仕様を識別するために、1つ以上の光学センサ(複数可)を備えることを特徴とし得る。
【0016】
さらに、第2の検出ユニットは、車両の車輪の位置決めを識別するように構成することがあり、第1の検出ユニットと第2の検出ユニットとが同じであってもよい。このシステムは、検出ユニットによって提供された信号を処理することと、燃料アイランド上に位置する識別された燃料タイプの燃料ディスペンサユニットに対する燃料ドアの相対位置に関する情報をロボットアームに提供することと、を行うように構成された通信ユニットをさらに備えることがある。
【0017】
本開示のシステムの利点は、システムがディーゼル油、電気、天然ガス、または水素などの様々なタイプの燃料源に適し得ることである。したがって、本システムは、車両が使用するエネルギーを車両に自動的に提供するように構成される。このシステムはさらに、アダプタツールを、識別された燃料タイプの燃料ディスペンサと係合させることと、任意選択で燃料ドアを初期状態から(燃料入口が燃料を取り入れる準備ができている)開状態に開くことと、車両の燃料入口に燃料ディスペンサをあてがうことと、車両に燃料が供給されるように燃料ディスペンサを作動させることと、を行うように構成されてもよい。燃料補給が完了すると、アダプタツールは、燃料ディスペンサユニットを燃料アイランドの上に置くことができる。さらに、アダプタツールは、車両の燃料ドアを燃料ドアの初期状態にするように構成することができる。
【0018】
本開示のシステムの別の利点は、ロボットアームが、協働ロボット、またはコボット、またはコボットアームなど、人間の間で作業できる種類のものであり得ることである。好ましくは、ロボットアームは、ロボットアームが人間のすぐ近くで動作するための安全要件を満たし、完全に自動化された燃料補給操作を提供できるように構成され得る。このようにして、外部要因による予期せぬ妨げを回避し、そして、安全かつ継続的にシステムを稼働させることができる。協働ロボットまたはコボットは、本発明の非本質的な特徴であってもよい。本出願全体を通じて、ロボットアームを備える任意の実施形態は、代わりにコボットアームを備えることによって変更されることができる。
【0019】
コボットという用語は、共有スペース内、または人間とロボットとが近接している場所で、人間とロボットとが直接相互作用することを対象とした分野の範囲内で理解されている協働ロボットであると理解されるべきであり、コボットの安全性は、軽量構造材料、丸みを帯びたエッジ、ならびに速度及び力の固有の限界、または力センサのようなセンサ及び安全な挙動を保証するソフトウェアに依存する可能性がある。あるいは、またはそれに加えて、コボットという用語は、外部安全システムを備えていないロボットであると理解されるべきであり、外部安全システムは、回避すべき外部の物体、及び/または人間がロボットに近づくのを阻止するためのフェンスに関して周囲を監視するシステムとして理解されるべきである。
【0020】
本開示のシステムのさらに別の利点は、本システムが既存のディスペンサに付け加えるものであり、燃料補給前、燃料補給中及び/または燃料補給後に改造または人的介在を必要としないことである。これは、本開示のロボット燃料補給ソリューションの発明が、既存の燃料アイランド、例えばガソリンスタンドの燃料アイランドに組み込まれ得ることを想定している。開示された発明の重要な利点は、本システムが、立体駐車場、ドライブスルーレストラン、街路、駐車場、またはエネルギー源及びエネルギーディスペンサにアクセスできる他の任意の場所などの他の場所に組み込むこともできることである。
【0021】
有利なことに、本システムは、支払いを処理するようにさらに構成することができる。これは、本システムが自律移動車に適している可能性があることをさらに想定している。さらに、本システムは、車両と通信し、車両が発進できるようになったときに、車両に指示を与えることができる。
【0022】
第2の態様では、本開示は、車両に自動的に燃料を補給する方法であって、
-車両を識別するための第1の検出ユニットを提供することと、
-アダプタツールに接続されたロボットアームを提供することと、
-アダプタツールを少なくとも1つの燃料ディスペンサユニットに係合させることと、
-燃料ディスペンサユニットを車両の燃料補給口に係合させるために、ロボットアーム及びアダプタツールを制御することによって、車両に燃料を補給することと、
のステップを含む方法に関する。
【0023】
さらに、本開示の方法は、本明細書に記載されているシステムを実行するように構成することができる。
【0024】
本発明について、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】燃料ステーションを自動的に操作するためのロボット燃料補給システムの一実施形態を示す。
【
図2】キャビネットドアを備えたキャビネットの一実施形態である。
【
図3】キャビネットドアのないキャビネットの一実施形態である。
【
図4】キャビネットの下部の詳細図の一実施形態を示す。
【
図5a】キャビネットの一実施形態と3つの断面位置とを示す。
【
図5b】キャビネットの詳細な断面図の実施形態である。
【
図5c】キャビネットの詳細な断面図の実施形態である。
【
図5d】キャビネットの詳細な断面図の実施形態である。
【
図6】回転テーブルアセンブリの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で使用される場合、燃料ディスペンサユニットという用語は、車両に燃料を計量配分する装置を指す。燃料ディスペンサには、ガソリン、ディーゼル油、灯油、油などの液体燃料を車両に供給するものもあれば、水素などの気体燃料を供給するものもある。さらに、他の燃料ディスペンサには、電気などの代替形態で燃料を供給するものもある。したがって、燃料ディスペンサの設計は、車両が消費する燃料タイプに応じて異なる場合がある。
【0027】
本明細書で使用される場合、燃料アイランドという用語は、1つ以上の燃料ディスペンサユニット(複数可)が配置されるエリアを指す。各燃料ディスペンサは、特定の燃料タイプの貯蔵タンクに接続され得る。燃料アイランド上の燃料ディスペンサ(複数可)は、2列の燃料ディスペンサ(複数可)が燃料アイランドの各側に位置するように設けられてもよい。したがって、車両は、燃料を補給するために燃料アイランドのどちらの側にも駐車することができる。
【0028】
本明細書で使用する場合、燃料ドアという用語は、燃料入口を隠す車体上のキャップなどの車両の一部を指す。一般に、燃料は、燃料ドアの後ろに配置され得る燃料入口を通じて供給することができる。
【0029】
本明細書で使用される場合、燃料補給という用語は、エネルギー源を提供することを指す。これは、燃料補給が、流体燃料、気体燃料、または電気などの様々なエネルギー源の燃料を提供することを指す場合があることを意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、燃料ステーションという用語は、燃料アイランド、車両、及び燃料源を含むシステムを指す。したがって、燃料ステーションは、単一または複数のエネルギー源を提供することが可能なステーションであり得る。これは、燃料ステーションが、ガソリンスタンド、ショッピングモール、駐車場、道路脇などに設置され得ることを想定している。
【0031】
第1の態様では、本開示は、ロボット燃料補給のためのシステムであって、燃料ステーションが、自動車、トラック、オートバイなどの車両に燃料を補給するために自動で操作され得る、システムに関する。本システムは、少なくとも1つの第1の検出ユニットを備えることがある。実施形態では、車両は、予め決められた走行方向で走行し、燃料アイランドに対して駐車することができて、検出ユニットが、その予め決められた乗込み方向に対する車両の方向を識別できるようにする。特定の実施形態では、検出ユニットは車両を識別することがあり、車両のブランド、燃料ドア位置、燃料タイプなどの車両の仕様が取得される。このシステムは、ロボットアームと、ロボットアームに接続されたアダプタツールとをさらに備えることがある。このシステムは、車両に燃料を補給するために、アダプタツールが、予め決められた燃料タイプの燃料ディスペンサと係合するように構成されてもよい。したがって、このシステムは燃料ステーションを自動的に操作するように構成されており、ロボットアームは人間と並んで安全に動作し得る。
【0032】
検出ユニット
実施形態では、第1の検出ユニットは、車両を識別することができる。好ましくは、第1の検出ユニットは、車両の向きを識別してもよい。車両の向きが、予め決められた進入方向と一致しない場合、システムは、車両を予め決められた向きに従って位置させるために、車両または運転者を誘導できるように、システムが、車両と通信することがある。このシステムは、車両を予め決められた駐車エリア内に駐車させるために、車両または運転者を誘導するように、さらに構成されてもよい。
【0033】
有利には、第1の検出ユニットは、車両のタイプを識別するように構成され得る。好ましくは、検出ユニットは、車両のナンバープレートを走査するために、少なくとも1つの走査ユニットを備えてもよい。これは、第1の検出ユニットが車両の前部または後部のナンバープレートを光学的に走査できるように、第1の検出ユニットが配置され得ることを想定している。
【0034】
さらに、走査したナンバープレートに従って車両の仕様を識別することがある。より具体的には、ナンバープレートを走査すると、システムは、車両のブランド、識別車両が消費する燃料タイプ、及び燃料ドアまたは燃料入口の位置を認識することができる。この実施形態の1つの利点は、システムが燃料ドアの位置に関する初期情報(例えば、車体の後部、車体の前部)を提供して、車両全体にわたって燃料ドアを探す必要がなくなるようにできることである。したがって、実施形態では、システムは、ナンバープレートに従って車両の仕様に関する情報を保存してもよい。
【0035】
好ましい実施形態では、システムは、燃料ディスペンサユニットに従って車両の位置を監視し通信するように構成され得る。さらなる実施形態では、システムは、車両の車輪を識別することによって、車両の位置決めが判定されるように構成される、少なくとも第2の検出ユニットを備えることがある。したがって、システムは、燃料ドアを識別して、車両の位置決めに応じて燃料ドアの位置決めを検出できるようにすることがある。具体的には、第2の検出ユニットは、少なくとも1つの車輪の位置決めを光学的に検出してもよい。好ましい実施形態では、第2の検出ユニットは、車両の位置を決定するために、車両の少なくとも後輪及び/または前輪の画像を取り込むように構成され得る。有利な実施形態では、システムは、第2の検出ユニットによって取り込まれた画像に基づいて、車両の燃料ドアの位置を特定するように構成され得る。
【0036】
このシステムは、特定の識別された車両について、前輪及び/または後輪の位置を決定することによって、燃料ドアの実際の座標を決定することができるように、前輪及び/または後輪に対する車両の燃料ドアの座標をデータベースに保存していることがある。有利な実施形態では、第2の検出ユニットは、車両の車輪(複数可)の画像(複数可)を取り込むことができるような1つ以上のカメラであってもよい。前輪/後輪の位置を検出することで、車両の位置を正確に決定できる。有利には、カメラ(複数可)は、広角カメラであってもよく、後輪及び/または前輪の位置を取り込むことができる。広角カメラは、車両全体のワイドパノラマ画像を取り込んでいる間に、強い視覚的歪みを生成する超広角レンズを備えている場合がある。このシステムは、上記の歪んだ画像データを処理して、歪んだ車両の画像の歪みを取り除くことができるように、構成されることがある。このシステムはさらに、画像内の物体を検出するように構成されることがある。例えば、機械学習アルゴリズムが、複数の車両及び車輪を学習してもよい。その結果、機械学習アルゴリズムが、車両の車輪に従って燃料ドアの位置を学習することもできる。したがって、歪みを取り除いた車両画像が提供されると、アルゴリズムは車輪を認識し得る。車輪を検出した後に、システムは、燃料ドアの座標を求めることができる。また、広角レンズを介して取り込んだ画像に基づいて、車両全体を見ることができて、燃料アイランドに対する車両の向きを判定できるようにしてもよい。車両は、必ずしも燃料アイランドと正確に平行に駐車する必要はない。つまり、車両の前端が車両の後端よりも燃料アイランドに近い場合があってもよく、またはその逆の場合があってもよい。
【0037】
実施形態では、第1の検出ユニットと第2の検出ユニットとは、同じ検出ユニットであってもよい。
【0038】
ロボットアーム
燃料ステーションを自動的に操作するためのシステムは、様々なタイプのロボットアームを備えることができる。本開示の実施形態では、ロボットアームは協働ロボットアーム、すなわちコボットアームであってもよい。協働ロボットアームの利点の1つは、協働ロボットが人間の間で作業するように設計されており、専用の作業セルの外でも安全に作業できる柔軟性を備えていることである。したがって、実施形態では、ロボットアームは、別個の外部安全システムなしで動作するように構成されてもよい。
【0039】
協働ロボットアームの作業特性は、産業用ロボットシステムとは異なる場合がある。協働ロボットアームが使用される協働作業では、ロボットに電力が供給されている間、オペレータはロボットシステムで作業することができ、ロボットとオペレータとの間の物理的接触が協働作業スペース内で行われ得る。協働ロボットアームのリスク評価は、例えばISO10218-1、10218-2及びISO/TS15066のような、様々な規格及び規制に詳しく記述されている。本開示の協働ロボットアームは、ISO10218-1、ISO10218-2、及び/またはISO/TS15066のいずれか、それらの任意の組み合わせ、またはそれらの全てによって記述される協働ロボットアームであってもよい。
【0040】
ISO10218-2では、協働ロボットを、画定された共同作業スペース内で人間と直接相互作用するように設計されたロボットとして記述しており、一方、共同作業スペースは、生産作業中にロボットと人間とが同時にタスクを実行できる、保護されたスペース内の作業スペースとして画定されている。
【0041】
したがって、製造された協働ロボットアームは、人間と共に作業するための安全承認を取得している。
【0042】
一般に、リーチが約1600mmのロボットアームは、約250kgの重量があり、最大積載量、つまりロボットアームの手首が支えることができる質量は約25kgであり得る。協働ロボットアームの利点は、一般にコボットアームの重量が70kg未満、または60kg未満、または50kg未満、または40kg未満の軽量であり得ることである。さらに、コボットアームのリーチは、約1300mm未満になり得る。コボットアームの最大積載量は、10kg以下にすることもできる。これは、コボットアーム自体の重量が40kg未満であり得る一方で、コボットアームが支えることができる質量は5kg未満、好ましくは4kg未満になる可能性があることを想定している。コボットアームの利点は、一般に、コボットアームの重量及びコボットアームに関連するペイロードが軽量であることである。さらに、コボットアームは、250mm/秒未満の動作速度を有し得ることが好ましい。したがって、コボットアーム及び支持質量の軽量構造と低速との組み合わせは、運動エネルギーが減少することを意味することができ、そのため、オペレータが傍らで作業する際に怪我をするリスクが大幅に減少するので、大幅に軽量化された構造により外部安全システムが必要なくなる。このことは、コボットアームを含むシステムによってもたらされる運動エネルギーが、システムのオペレータに害を及ぼすことができないことを意味する。したがって、システムは、外部安全システムなどの追加の安全対策を必要とせずに、安全に動作し得る。
【0043】
協働ロボットアームは、アームの一部分をアームの別の部分に対して回転させることができる多くの回転軸を持つことができる。ISO10218-1に準拠した協働ロボットアームは、駆動力を使用せずに軸を移動させることができるように設計されるのであり、本ロボット燃料補給システムによる協働ロボットアームは、駆動力を使用せずに軸を移動させることができるように設計されてもよい。軸の移動は、一人で行うことができる。協働ロボットアームを備えたロボット燃料補給システムは、各車両の燃料ドアの位置を持つ車両データベースにまだ保存されていない新しい車両の燃料ドアを、その車両の位置がロボット燃料補給システムによって決定されたときに、人が協働ロボットアームを動かすことで、見つけるよう教え込まれ得る。さらに、協働ロボットアームを備えたロボット燃料補給システムは、新しい車両の燃料ドアの後ろにある燃料入口の口、及び燃料入口の傾きを検出するよう教え込まれ得る。このことは、人が、協働ロボットアームを、協働ロボットアームに保持された燃料ディスペンサが燃料入口に配置される位置まで移動させることによって、達成され得る。
【0044】
ロボットシステムにおける危険のリストは、耐荷重能力などのロボット特性、オペレータ動作などのシステム特性、治具の設計、及びロボットアームが使用されるプロセスの特性に関連している可能性がある。このような様々なパラメータ間の相互作用があるために、現在のロボット技術の課題の1つは、ロボットシステムの安全要件、特に燃料ステーションを操作するための安全要件を満たすことである。さらに、爆発性環境における協働システムのリスク評価は国ごとに異なり得る。
【0045】
本開示は、車両に燃料を補給するための燃料ステーションを自動的に操作するためにロボットシステムが満たさなければならない安全要件及び安全規制を満足させることができる。このシステムは、様々な国の安全要件を満たすように開発されている。本明細書に開示されるロボットシステムは、効率的かつ安全な燃料補給操作を提供するという問題を解決することができる。開発されたシステムは、燃料ステーションの安全条件を満足させながら、開示されたシステム内で協働ロボットアームを操作できるように、ロボットシステムのあらゆる態様と相互の関係とを考慮している。
【0046】
ロボット燃料補給システムで使用されることになる協働ロボットアームなどのロボットアームは、人間と共に作業するための安全承認に加えて、燃料補給操作中に燃料ステーションでの爆発や火災発生の危険を回避するためのさらなる安全対策を講じることができる。
【0047】
可燃性ガス、霧、または蒸気により、爆発性雰囲気が生じる可能性がある。可燃性物質が空気と十分に混合すると、着火源となり爆発が起こる。したがって、潜在的に爆発性の雰囲気でシステムを使用する目的では、爆発性雰囲気から危険にさらされる可能性のある作業者、顧客、または商品を保護する安全衛生を向上させるために、ゾーン分類によって決定される保護等級が必要である。そのため、システムは、安全ゾーンを確保するためのいくつかの機能を備えることができる。実施形態では、ロボットアームは、電子機器が配置されているキャビティ内で大気圧を超える予め決められた圧力レベルが維持されるように、加圧され得る。例えば、ロボットアームは、爆発物または塵粒子が侵入してロボットアームの機能を損なうことができないように、過圧されてもよい。
【0048】
したがって、本開示はさらに、爆発性環境で使用されている協働ロボットアームであって、協働ロボットアームが、1つ以上の開口部を有する1つ以上のハウジング内に収容される電子機器と、大気圧を超える予め決められた圧力レベルにあるガスでハウジング(複数可)を加圧するように構成された加圧システムとを備える、協働ロボットアームに関する。好ましい実施形態では、予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも0.8mbar高くすることができ、好ましくは0.8mbar~15mbarの間、より好ましくは1mbar~10mbarの間、最も好ましくは2mbar~5mbarの間であってよい。代替実施形態では、予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも2mbar高くてもよい。1つ以上のハウジングは、協働ロボットアームに取り付けられる外部ハウジング(複数可)であってもよい。加えて、または代わりに、協働ロボットアームは、電子機器を収容するハウジング(複数可)を形成する中空体であってもよい。開口部(複数可)は、ハウジングを通る明確に規定した流量のガスをもたらすために、明確に規定した漏出量のガスをもたらすための、明確に規定した直径を有する、明確に画定した開口部であり得る。ハウジングは密であってもよい。ただし、少なくともより長期間にわたってガスが漏出し得る開口部が常に存在する。開口部(複数可)は、加圧ガスを供給する圧力源の圧力を制御することによって適切な圧力及び/または流量が達成されるように、明確に画定されていない開口部(複数可)であってもよい。
【0049】
実施形態では、加圧システムは、協働ロボットアームの電子機器が再稼働される前に、予め決められたパージ量だけ協働ロボットアームをパージするように構成することができる。好ましい実施形態では、パージ量は、10~200リットル、好ましくは20~150リットル、より好ましくは30~100リットル、最も好ましくは50~90リットルであり得る。さらなる実施形態では、ガスは空気であってもよい。
【0050】
さらに、本開示は、爆発性環境で使用されている開示の協働ロボットアームの使用であって、協働ロボットアームが、上記の協働ロボットアーム内で大気圧を超える予め決められた圧力レベルを維持するように加圧される、協働ロボットアームの使用にさらに関し得る。
【0051】
さらに、パージ及び加圧は、アダプタツール、及び/または検出ユニット、及び/または電子機器を備える任意のパーツなど、燃料補給システムの他の部分に適用される場合があり、安全上の注意が必要な場合がある。
【0052】
一般に、実施形態では、システムは加圧システムを備えることができる。加圧システムは、圧力を測定するための制御ユニットなどの測定モジュールと、空気などの加圧媒体に接続された比例弁とを備えることができる。加圧システムは、大気圧を超える圧力をガス/空気に与えるためのガスシリンダのような、大気圧を超える圧力、または加圧下の例えば空気のようなガスを生成するためのポンプを備え得る。
【0053】
実施形態では、加圧システムは、協働ロボットアーム、及び/またはアダプタツール、及び/またはカメラなどの検出ユニットを加圧することと、任意選択で大気圧を超える予め決められた圧力レベルを維持することと、を行うように構成され得る。さらなる実施形態では、予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも0.8mbar高くてよく、好ましくは0.8mbar~15mbarの間、より好ましくは1mbar~10mbarの間、最も好ましくは2mbar~5mbarの間であってもよく、あるいは予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも2mbar高い。
【0054】
好ましい実施形態では、加圧システムは、システムがオフになった場合、自動燃料補給動作の前に、協働ロボットアーム及び/またはアダプタツール及び/または検出ユニットをパージするように構成され得る。したがって、ロボット燃料補給システムをオフにした後、オンにするために、加圧システムは、可燃性ガスが燃料補給システムから排出されるまで加圧媒体を供給することにより、燃料補給システム、好ましくはアダプタツール、ロボットアーム及び検出ユニットをパージすることがある。これは、協働ロボットアーム、アダプタツール、及び検出ユニットのそれぞれが、加圧媒体が通過する密封された気密性のある本体を備え得ること、または協働ロボットアーム、アダプタツール、及び検出ユニットのそれぞれが、加圧媒体が通過する非密封の気密性のない本体を備え得ること、を想定している。
【0055】
実施形態では、パージ媒体は空気であってもよい。好ましくは、加圧空気は、加圧システムからチューブを介してアダプタツールに供給することができる。アダプタツールとロボットアームとの間の別のチューブは、加圧空気をアダプタツールからロボットアームに導くことができる。加圧空気は、ロボットアームの全長を通ってロボットアームの底部まで流れ、そこから別のチューブがロボットアームを検出ユニット、例えば第2の検出ユニット(複数可)に接続し得る。パージには、ロボットアームによる燃料補給作業を実行する前に、燃料補給システムから可燃性ガスを除去し、安全な作業環境を提供するという大きな利点がある。
【0056】
加圧システムの制御ユニットは、パージ量が所定の量に達したときを検出し得る。その結果として、燃料補給システムをオンにすることができる。実施形態では、パージ量は、50~100リットルの間であり得る。これは、50~100リットルのパージ量を燃料補給システムに供給することがあることを想定している。好ましくは、パージ手順を繰り返すことがある。実施形態では、システムがオフになった場合、自動燃料補給動作前に、協働ロボットアーム及び/またはアダプタツール及び/または検出ユニットのパージを、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回、より好ましくは少なくとも5回繰り返すことがある。
【0057】
パージが完了し、燃料補給システムがオンになった後、協働ロボットアーム及び/またはアダプタツール及び/または検出ユニットを、さらに継続的に加圧することがある。したがって、好ましい実施形態では、協働ロボットアーム及び/またはアダプタツール及び/またはカメラなどの検出ユニットが加圧され、大気圧を超える予め決められた圧力レベルに維持されるように、加圧システムは構成され得る。さらなる実施形態では、予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも0.8mbar高くすることができ、好ましくは0.8mbar~15mbarの間、より好ましくは1mbar~10mbarの間、最も好ましくは2mbar~5mbarの間であってよい。燃料補給システムを継続的に加圧する利点は、システムへの任意の可燃性ガスの侵入を回避できることである。代替実施形態では、予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも2mbar高くてもよい。
【0058】
したがって、本開示のアプローチは、様々な安全ゾーンによって規定される燃料ステーションの安全要件を満たすので、燃料ステーションを自動的に操作するための独自の解決策を提供することができる。車両に燃料を補給するための燃料ステーションを自動操作するロボット燃料補給システムを提供するための世界的なソリューションを提供するために、様々な国で規定された安全要件がまとめられた。具体的には、ロボットアームは、燃料補給作業中に様々な構成をとることができる。本開示のアプローチは、常時安全ゾーンを提供するために、ロボットアームの向きを考慮することもできる。
【0059】
代替実施形態では、ロボットアームは、ロボットアームの少なくとも一部を取り囲むスリーブを備え得る。スリーブは、ロボットアームの動作中に発生する火花が可燃性ガスに点火することができないように、可燃性ガスがロボットアームに到達するのを防ぐことができる。好ましくは、スリーブ内の大気圧を超える閾値圧力レベルを予め決めてもよく、可燃性ガスがロボットアームに到達する危険性をさらに排除するために、その閾値圧力レベルを維持するように、スリーブを構成してもよい。有利なことに、圧力センサは、ロボットアーム内の圧力レベルを測定することができて、圧力レベルが閾値を下回るとき、例えば大気圧よりも10mbar高いレベル未満に低下するとき、協働ロボットアームの電源を切ることができるようにする。1つの利点は、システムが、予め決められた制限を超える漏出量の場合に、システムの電子機器の電源を落とすことによって爆発ゾーンを回避するように、システムを構成できるものであり得ることである。したがって、本開示は、自動燃料補給を安全にかつ継続的に動作させることに貢献することができる。
【0060】
本開示の協働ロボットアームの別の利点は、協働ロボットアームが、産業用ロボットと比較して電子機器が削減された軽量ユニットであり得ることである。さらに、協働ロボットアームは、高い移動能力を提供できる。実施形態では、協働ロボットアームは、6つの自由度を有することができる。
【0061】
アダプタツール
本開示はさらに、ロボットアームの一端と係合するアダプタツールなどのロボットアーム端ツールを備える。実施形態では、上記のアダプタツールは、燃料ディスペンサユニットに接続するように構成されたコネクタを備え得る。好ましくは、アダプタツールは、燃料入口にアクセスできるように、車両の燃料ドアと係合するように構成された燃料ドア操作デバイスをさらに備え得る。
【0062】
実施形態では、システムは、車両の車輪に対する車両の燃料ドアの相対位置を検出して、上記の相対位置に関する信号をロボットアームに送信するように構成することがある。本開示はさらに、燃料ドア操作デバイスを燃料ドアに近づけて、燃料ドアを作動させることによって、燃料ドアの燃料入口が燃料を受け入れることができるように構成することがある。一実施形態では、燃料ドア操作デバイスは、燃料の受け入れを可能にするため、燃料ドアと機械的に係合することができる。好ましい実施形態では、燃料ドア操作デバイスは、好ましくは燃料ドアが吸引され得るような真空手段によって燃料ドアに接触することができ、燃料ドアを旋回させることによって燃料ドアを開閉操作できる。
【0063】
有利な実施形態では、ロボットアームの移動計画を計算することがある。センサ手段は、ロボットヘッドの現在位置に対する燃料ディスペンサユニットの相対位置を検出するとともに、上記の相対位置に関する信号をシステムに送信して、上記のコネクタ手段が燃料ディスペンサユニットと接続して、燃料ディスペンサユニットを燃料入口に配置できるようにするように適合されてもよい。
【0064】
有利には、コネクタは、アダプタツールが様々な燃料タイプの燃料ディスペンサユニットと係合するように構成され得る。LNG、充電、及びハイドロオキシゲン(Hydro oxygen)などの代替燃料の成長市場でのさらなる発展により、燃料小売業界は、現実の問題に適合し続けるために、新しい技術や開発に目を向けることを余儀なくされている。実施形態では、アダプタツールは、ガソリン、ディーゼル油などの従来型の燃料、または水素、電気などの非従来型の燃料に適応可能であり得る。これは、コネクタの設計が、様々な幾何学的形状の燃料ディスペンサとの接続に対応できるように柔軟であり得ることを想定している。
【0065】
実施形態では、上記のアダプタツールは、燃料ディスペンサが燃料補給を起こすように燃料ディスペンサを作動させるためのアクティベータをさらに備えることがある。アクティベータは、銃のような機構などの機械的手段を備えていてもよく、燃料補給動作を開始するためにハンドルが機械的に作動される。別の実施形態では、車両の燃料受け入れ部分に燃料ディスペンサをあてがうことによって、作動が行われ得る。これは、一実施形態において、システムが、アクティベータを備えることがあり、アクティベータが、燃料ディスペンサと係合して、燃料ディスペンサと車両の燃料受け入れ部分との間に接続をもたらし得るアダプタツールの一部分であり得ることを想定している。
【0066】
実施形態では、システムは、車両の燃料入口の口に取り付け可能な燃料入口アダプタを備えることがあり、燃料入口アダプタは、蓋を閉じた状態に保つためのばね付勢された蓋を備えたリングを備えてもよく、蓋は、燃料ディスペンサユニットが燃料入口に入るのを可能にするが、ガソリン蒸気の揮発を防ぐように構成されてもよい。燃料入口アダプタは、好ましくは、ガソリン蒸気の揮発を完全に防止するために、閉位置で蓋が当接するシールを有することがある。多くの車は、燃料ドアの後ろに燃料キャップを有しており、燃料キャップが燃料入口の口にねじ込まれている。この燃料キャップは、好ましくは、ロボットが燃料キャップのねじを緩める必要がないように、アダプタに置き換えられることがある。そうすることで燃料補給時間を短縮することができる。
【0067】
さらなる実施形態では、システムは、燃料補給を自動的に停止するように構成され得る。燃料ディスペンサの遮断を感知することで、自動停止を提供してもよい。あるいは、時限停止または燃料吸入量を事前に設定してもよい。実施形態では、システムは、燃料補給が完了すると、燃料ディスペンサの動作を停止させるために、アクティベータを解放できるように、通信手段を備えることがある。
【0068】
有利な実施形態では、アダプタツールは、燃料ドア内の燃料ディスペンサの位置決めを監視するための第3の検出ユニットを備えることがある。しかしながら、第1の検出ユニット及び/または第2の検出ユニット及び/または第3の検出ユニットは同じであってもよい。
【0069】
本開示の1つの利点は、一実施形態において、システムが、燃料補給プロセスの開始、監視、及び終了を行うようにさらに構成されて、システムが、データ信号であって、データが燃料補給手順に関係する、データ信号の送信及び受信を行うことになるようにしてもよいことである。したがって、新しいディスペンサまたは充電ユニットに投資する必要なく、本開示を既存のインフラストラクチャに組み込むことが可能であり得る。
【0070】
キャビネット
実施形態では、燃料アイランド上のキャビネットは、ロボットアーム、アダプタツール、及びシステムの電子機器を収容することができる。
【0071】
一実施形態では、キャビネットはドアを備えることがあり、ドアは車両が検出されると自動的に開く。システムがオフのときに、ドアを無理に開くことができないように、ドアは自動的にロックされ得る。この機能により、システムを使用しないときに、ロボットを安全に保管できることが予見される。さらに、防水性のキャビネットでは、システムのパーツが腐食するリスクが軽減され得る。
【0072】
実施形態では、システムは、ロボットアームを運ぶように構成されたテーブルをさらに備えることがあり、キャビネットがテーブルを備える。好ましい実施形態では、テーブルは回転テーブルであってもよい。さらなる実施形態では、テーブルは少なくとも180°回転するように構成され得る。これには、テーブルの回転がロボットアームの追加の自由度、例えば7番目の自由度に対応するように、ロボットアームに追加の自由度を提供するようにテーブルを構成できるという利点がある。そのテーブルが少なくとも180°回転するように構成できるということは、その場合、ロボットアームをキャビネットの一方の側から他方の側へ回転させて、アダプタツールを燃料アイランドの両側のディスペンサユニットに係合させることができることを意味する。その結果、1つの単一ロボットアームで、燃料アイランドの両側を操作するという柔軟性をもたらすことが可能になる。
【0073】
好ましくは、この回転可能なテーブルは、キャビネットのドアと係合させることができる。ロボットアームが、例えば、左側に移動できるようにテーブルが回転すると、同時にキャビネットの左側のドアが開く。
【0074】
回転テーブルに応じて、ロボットアームの位置決めを計算することで、システムが、自動的に燃料補給を操作できるようになる。具体的には、自動燃料補給中に所望の動作を得るためのロボットアームの所望の姿勢には、一連の運動学的計算が必要とされる。実施形態では、ロボットアームは、テーブルの法線に対して10°~80°の間、好ましくは20°~70°の間、より好ましくは30°~60°の間の角度でテーブルに取り付けられ得る。角度構成の選択は、燃料ディスペンサユニットに対するロボットアームの相対的位置など、いくつかのパラメータによって決まる。好ましい実施形態では、ロボットアームは、テーブルの法線に対して、好ましくは30°~60°の間、最も好ましくは45°の角度でテーブルに取り付けることがある。この角度構成の利点は、協働ロボットアームが、燃料アイランドの各側にある少なくとも1つの燃料ディスペンサに効率的に到達できることであり得る。
【0075】
実施形態では、ロボットアームは、オフセットを伴ってテーブルと係合することがある。これには、ロボットアームをテーブルの中心から離して配置できるため、ロボットアームの追加のリーチを伸ばすことができるという利点がある。実施形態では、オフセットは、少なくとも25mm、好ましくは少なくとも50mm、好ましくは少なくとも75mm、より好ましくは少なくとも100mmであり得る。実施形態では、オフセットは、少なくとも150mmとすることがある。
【0076】
別の実施形態では、ロボットアームのリーチを広げるために、スライダ機構が、ロボットアームを、少なくとも片側で、好ましくは両側で、キャビネットの中から外へスライドさせるように適合され得る。角度構成と同様に、オフセット値も、燃料ディスペンサユニットの数と、燃料ディスペンサユニットに対するロボットアームまたはキャビネットの位置とに応じて、設定してよい。好ましい実施形態では、オフセットは、回転テーブル上に設定することがある。オフセット及び/またはスライダの1つの利点は、ロボットアームが、燃料アイランドの少なくとも第2の燃料ディスペンサ、少なくとも第3の燃料ディスペンサ、または少なくとも第4の燃料ディスペンサに効率よく到達できることであり得る。
【0077】
本開示の利点は、ロボットアームのオフセットと角度構成との組み合わせにより、燃料ステーションの多くの既存の燃料アイランドに適応可能な柔軟性のある燃料補給システムであって、ロボットアームが、燃料アイランドの片側(1列)にあるディスペンサユニットに到達して操作できる、燃料補給システムを提供するという特別の利益をもたらし得ることである。
【0078】
さらに、キャビネットは、特別な安全対策を何も必要とせずに、燃料アイランドに設置することができる。このシステムは、燃料アイランドへのアドオンとして設計され得る。したがって、このシステムは、既存の燃料アイランドに設置することができ、燃料アイランドの両側で機能することができるので、車両のどちらの側に燃料ドアがあっても、システムは、車両に燃料を充填することが可能である。
【0079】
有利なことに、ロボットアーム及び電子機器の高さは、爆発の危険性が低減された強化された安全ゾーンが提供されるように配置することができる。電子機器に爆発源から離れたより安全なゾーンを提供するために、電子機器を地表面よりも上に設置することが望ましい場合がある。好ましい実施形態では、電子機器は、地表面から1.2メートルの高さにあってもよい。
【0080】
爆発の危険性をさらに減らすために、放出される可燃性ガスの密度を換気システムによって制御し、または減らしてもよい。
【0081】
実施形態では、キャビネットは、少なくとも1つの外側下面に少なくとも1つの穴を備え、少なくとも1つの外側上面に少なくとも1つの穴を備え得る。可燃性ガスは、一般に、空気よりも重い可能性がある。それらは、システムの底部に向かって集まり得る。システムの表面、より好ましくはキャビネットの底部外面に穴を設けると、可燃性ガスが集まってキャビネットの底部から放出され得、一方、新鮮な空気が、上面にある穴(複数可)を通ってキャビネット内に入り得る。さらなる実施形態では、回転テーブルは、ロボットアームの周囲に集まる可燃性ガスを減少させるための複数の穴を備えることがある。
【0082】
あるいは、可燃性ガスの中には、水素など、キャビネットの上部領域周辺に集まるものもあり得る。したがって、代替実施形態では、キャビネットは、上面周辺に通気孔を備えることがある。
【0083】
本開示のシステムの別の利点は、顧客の識別と支払いとを自動的に処理できることである。
【0084】
さらに、キャビネットの一部分は、鋼板金属部品で作ることがあり、腐食に備えてコーティングしてもよい。アダプタツール及びキャビネットの一部分は、強くて硬い材料から追加的に製造されることがある。上記の材料は、例えばプラスチック材料であり、軽量で構造強度の高い複雑な部品を製作することを可能にする。あるいは、アルミニウムなどの軽量金属をフライス加工することもある。好ましくは、アダプタツールの大部分をアルミニウムで作ることがあり、所望の爆発規制を満たしつつ所望の表面抵抗率を提供するためにニッケルメッキしてもよい。
【0085】
図面の詳細な説明
以下、本開示を、該当する場合には図面に示す添付の例示的実施形態を参照して、より完全に説明する。しかしながら、本開示のシステム及び方法は、様々な形態で具体化され得ることに留意されたい。本明細書に提供される実施形態は、徹底した完全な開示を導くためのものである。したがって、本明細書に記載される実施形態は、限定として解釈されるべきではなく、本発明の範囲を当業者に伝えるための手段として解釈されるべきである。文書全体を通じて、同じ参照番号は同じ要素を指す。
【0086】
図1は、車両に燃料を補給するための燃料ステーション1を自動的に操作するための、本開示のロボット燃料補給システムの一実施形態を示す。車両5は、燃料アイランド2の隣に位置している。車両5の検出は、スキャナなどの光学センサによって行われ得る。この実施形態では、光学センサは、車両5のナンバープレートにアクセスできるように配置されることが好ましい。光学センサは、スクリーンユニット6内に組み込まれていてもよく、スクリーンユニット6の側面または上部に配置されてもよい。あるいは、スクリーンユニット6の両側にある2つのカメラ(図示せず)が、燃料アイランド2のいずれかの側に駐車している車両5のナンバープレートを認識できるように、車両5を検出し、識別するように構成されてもよい。スクリーンユニット6は、燃料アイランド2の一端へ向けて配置され、好ましくは燃料アイランド2の両側から見える。
【0087】
燃料アイランド2は、キャビネット4をさらに備える。キャビネット4の底部にある少なくとも1つのカメラ16は、車両5の位置決めを識別するために使用される。カメラ16は、車両5の側面、具体的には車両5の車輪の位置の画像を取り込むことができるように配置されている。あるいは、カメラ16は、車両5全体の画像を取り込むことがある。カメラ16は、車両5の車輪と向かい合って配置され得る。キャビネット4の底部であって燃料アイランド2の反対側には、燃料アイランド2の反対側に位置する別の車両5´の画像を取り込むことができるように、第2のカメラ16´が設けられている。
【0088】
このシステムは、車両5が予め決められたエリア内に予め決められた向きで位置するように、車両5または運転者7に指示を与えるように構成される。この通信は、スクリーン6によって提供されてもよい。スクリーン6は、好ましくは、運転者7がスクリーン6上に表示される指示を容易に見ることができるように、より高い高さにあってもよい。
【0089】
さらに、キャビネット4は、ロボットアーム9を格納する。ロボットアーム9は、テーブル、及びフレームなどのコネクタ手段3を介してキャビネット4に係合されている。フレームは、スライダまたは回転テーブルなどの回転装置であってもよい。ロボットアーム9の他端で、これは、アダプタツール10に接続されている。
【0090】
このシステムはさらに、事前に選択された支払明細書を、確認のためにクライアントの決済システムに送信するように構成されている。確認後、ロボットアーム9は車両5の燃料ドア8を開け、燃料源13に接続された燃料ディスペンサユニット11を取り出す。このシステムは、車両の車輪の位置決めと、車両の車輪に対する燃料ドア8の位置決めとを識別し、燃料ディスペンサユニット11の燃料入口12への位置決めを導くための精密位置決めカメラ26、36を備える。1つ以上の精密位置決めカメラ26は、ロボットアームまたはキャビネットに応じて組み立てられるのに対して、もう1つの他の精密位置決めカメラ36は、アダプタツール10の内部に組み立てられる。この実施形態では、一対の精密位置決めカメラ26、26´を、キャビネット4の両側でキャビネット4内に設けることができ、車輪の位置決めを検出するために使用することができる。これは、カメラ16、16´及び一対の精密位置決めカメラ26、26´が同じであり、車輪または車体を検出すること、及び車輪の位置決めを検出することのために使用できることを意味する。さらに、別の精密位置決めカメラ36が、アダプタツール10の内部に組み立てられており、燃料ディスペンサユニット11の燃料入口12への位置決めを導くために使用することができる。
【0091】
別の実施形態では、カメラ16は、精密位置決めカメラ26と同じであってもよい。したがって、カメラ16及び/または26は、キャビネット4の底部に位置し、車両5の少なくとも1つの画像を取り込むことができる。燃料補給システムは、車輪の位置決めを上記の画像によって識別できるように構成することがある。
【0092】
場合によっては、精密位置決めカメラは、アダプタツール内のみで組み立てられる。さらに、システムは、燃料ディスペンサユニット11が燃料入口12に配置されると、燃料ディスペンサユニット11のロックが解除され、燃料補給が開始されるように、さらに構成されている。システムはさらに、タイムアウトまたは事前に選択された燃料量での遮断または停止信号を感知する。燃料ディスペンサユニット11は、燃料入口12から取り出され、燃料ディスペンサユニットは、燃料アイランド2に戻される。車両5の燃料ドア8が閉じられ、システムは、車両が発進できる旨の指示を運転手7に送信する。検出ユニットが車両を識別すると、燃料ドア8の位置に関する情報が取得されて、燃料ドア8を開くためロボットアーム9が車両の正しい位置に誘導され得る。精密位置決めカメラ26、36は、燃料ドア8に接続する前の最後の数ステップで、ロボットアーム9を誘導するのに役立つ。あるいは、カメラ16は、車両5の位置決めを非常に正確に識別するので、ロボットアーム9は、位置決めカメラ26、36からの支援がなくても、燃料ドアを正確に見つけることができる。それは、カメラ16が、車両5の車輪の位置決めを識別するように設定されている場合には、少なくとも可能である。
【0093】
図2は、キャビネットドア34を備えたキャビネット4の一実施形態である。キャビネットは、ロボットアーム9とアダプタツール10とを格納する。システムがオフまたはスタンバイモードにあるとき、ロボットアーム9及びアダプタツール10は、主ハウジング、例えばキャビネット4によって完全に囲まれており、キャビネット4を壊すことなくアクセスすることはできない。電子的構成要素は、地表面よりも上に配置される電子キャビネット44内に格納される。
【0094】
図3は、キャビネットドアのないキャビネット4を示す。キャビネット4は、キャビネットのドアレベルよりも下に、円形の周縁を有する2つの主要部分を備える。つまり、最下部14と中間部24とである。キャビネットの最下部14は、通気性を向上させるために底部外周の周囲に複数の穴15を備える。キャビネットの中間部24は、車両5の位置決めを識別して導くために、位置決めカメラ16(
図1を参照)と係合する。システムはさらに、キャビネットの中間部24に組み付けられてその内側にある三角形の上面28を有するメインフレームを備える。
【0095】
図4は、キャビネットの中間部24の詳細図の一実施形態を示す。2つのキャビティ25は、円形の中間部24の両側に位置する。各キャビティ25は、円形の開口部または穴27を有する。2台の位置決めカメラ(図示せず)は、カメラが、キャビティ25によって可能となる広角で、円形開口部27を通して画像を取り込むことができるように、キャビネット4の中間部24の内側に組み付けられる。
【0096】
図5aは、断面位置の詳細、具体的には断面2D上面図用の3つの異なる高さを有するキャビネットの一実施形態である。
図5bは、キャビネット4の円形中間部24の両側の三角形上面28の下にある2つの位置決めカメラ16を示す。三角形上面28には、ロボットアームを運ぶための基礎、ロボットアームの自由度を高めるための機構、及びキャビネットのドアを回転させるための機構が提供されるように、2本のロッド29、39とそれぞれ係合するための2つの穴49、59(
図3に示す)がある。中心ロッド39は、中間プレート24の中心に回転軸を有する。オフセットロッド29は、ロボットアームのリーチを広げるために中心回転軸に対してオフセットを有し、
図5cに示す円形プレート30に接続されている。円形プレート30の回転軸は、オフセットロッド29の回転軸と一致している。円形プレート30の上には、
図5dに示すように、円形プレート30よりも大きな直径を有する回転可能テーブル32が組み立てられている。円形プレート30と回転テーブル32とは、テーブルの組み合わせた回転が全体の回転運動に対応するように、あるギア比で接続されている。
【0097】
円形プレート30の回転中心はオフセットロッド29の回転中心に一致するが、回転可能テーブル32は円形中間部24の中心ロッド39を中心に回転する。ロボットアーム9及びアダプタツール10は、
図5dに示すように回転可能テーブル32上に組み立てられる。
【0098】
回転可能テーブルアセンブリの実施形態を
図6に示す。回転可能テーブル32は、回転可能テーブル32が例えば反時計回りに回転すると、キャビネットドア34が同時に反時計回りに開くように、ローラ41によってキャビネットドア34と関係している。
【0099】
さらに、回転テーブル32は、オフセットロッド29を介してコネクタブロック34に係合する。コネクタブロック34は、オフセットロッド29の回転軸に対して例えば45°(30°~60°の間が適切な範囲)の角度を有する側面33を有する。コネクタブロック34の側面33には、ロボットアーム9(
図5d参照)が組み付けられる。燃料補給システムが作動すると、オフセットロッド29が回転する。それにより、コネクタブロック34が回転する。オフセットロッド29の周りの回転により、ロボットアームが燃料アイランドの少なくとも第2のディスペンサユニット、または少なくとも第3のディスペンサユニット、または少なくとも第4のディスペンサユニットを操作することができるように、ロボットアームのリーチが広げられる。システムが燃料アイランドの反対側を操作するように構成されている場合、回転テーブル32が中心ロッド39の周りを回転して、システムに追加の自由度を与える。
【0100】
パージ及び加圧システムの実施形態を
図7に示す。パージ及び加圧システムは、第1のチューブ52によって加圧空気を供給するためのバルブ51を備える。第1のチューブ52は、直径8mm、長さ5mであり、バルブ51から延びてアダプタツール10に接続されている。アダプタツール10は、位置決めカメラ36(
図1に示す)など、アダプタツール10の電子機器を収容する気密ハウジング本体または非気密ハウジング本体を有する。長さ40mm、直径8mmの第2のチューブ53が、アダプタツール10を協働ロボットアーム9に接続する。加圧空気は、ロボットアーム9の全長を通ってロボットアーム9の底部まで流れる。そこから、少なくとも第3のチューブ54が、ロボットアーム9をキャビネットの底部にある第1のカメラ16に接続する。カメラ16には、カメラ16を囲む気密カメラハウジング56、またはカメラ16を囲む非気密カメラハウジング56が設けられる。配管システムは、燃料アイランドの片側のカメラハウジング56を、燃料アイランドの反対側のキャビネットの底部にある、第2のカメラ16´を収容する第2のカメラハウジング56´に接続する少なくとも第4のチューブを有する。最後に、出口チューブ55が、第2のカメラハウジングから、加圧空気のレベルを検出するように構成された制御ユニット50まで延びている。
【0101】
図7の破線は、爆発性環境におけるゾーン分類を示す。様々な地域及び国のゾーン分類体系を考慮すると、アダプタツール10、ロボットアーム9、及びカメラ16、16´は、中リスクから低リスクを定義するATEXゾーン2にあると識別される。燃料補給作業中にロボットアーム9及びアダプタツール10が動作することによって、アダプタツール10が燃料ステーションの燃料ディスペンサユニットと係合し、車両に燃料を補給する場合、アダプタツール10及びロボットアーム9のゾーン分類は、爆発の危険性がより高いエリアであるATEXゾーン1となり得る。パージ及び加圧システム、したがって、配管、加圧レベル、及びパージレベルは、ゾーンのばらつきを考慮に入れることができる。したがって、本開示のロボット燃料補給システムは、共同作業スペースでの自動燃料補給操作を提供しながらも、安全要件を満足させることができる。
【0102】
条項
1.車両に燃料を補給するための燃料ステーションを自動的に操作するロボット燃料補給システムであって、
-前記車両を識別するための第1の検出ユニットと、
-ロボットアームと、
-前記ロボットアームに接続されたアダプタツールと、
を備えており、
前記システムが、
〇前記車両を検出して、識別することと、
〇前記燃料ステーションの少なくとも1つの燃料ディスペンサユニットに係合して、前記車両に燃料を補給するために、前記ロボットアーム及び前記アダプタツールを制御することと、
を行うように構成されている、前記ロボット燃料補給システム。
【0103】
2.前記ロボットアームは協働ロボットアームである、条項1に記載のシステム。
【0104】
3.前記ロボットアームは、別個の外部安全システムなしで動作するように構成されている、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0105】
4.前記ロボットアームは、予め決められた圧力レベルが維持されるように加圧される、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0106】
5.前記ロボットアームは、前記ロボットアームの少なくとも一部を取り囲むスリーブを備える、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0107】
6.前記アダプタツールが、前記燃料ディスペンサユニットに接続するように構成されたコネクタを備える、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0108】
7.前記アダプタツールが、前記車両の燃料ドアと係合するように構成された燃料ドア操作デバイスをさらに備える、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0109】
8.前記システムは、燃料補給プロセスの開始、監視、及び終了を行うようにさらに構成されて、前記システムが、データ信号であって、そのデータが前記燃料補給手順に関係する、前記データ信号の送信及び受信を行うことになるようにする、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0110】
9.前記システムは、前記燃料ディスペンサユニットに従って、前記車両の位置決めを監視し通信するように構成されている、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0111】
10.第2の検出ユニットが、前記車両の車輪を識別することによって、前記車両の位置決めが判定されるように構成される、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0112】
11.前記第2の検出ユニットは、前記車両の位置を決定するために、前記車両の少なくとも後輪及び/または前輪の画像を取り込むように構成されている、条項10に記載のシステム。
【0113】
12.前記システムは、前記第2の検出ユニットからの前記取り込まれた画像に基づいて、前記車両の前記燃料ドアの位置を特定するように構成されている、条項10~11に記載のシステム。
【0114】
13.前記アダプタツールが、前記燃料ドア内の前記燃料ディスペンサの位置決めを監視するための第3の検出ユニットをさらに備える、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0115】
14.前記システムは、ガソリン、ディーゼル油などの従来型の燃料、または水素、電気などの非従来型の燃料に適応可能である、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0116】
15.前記システムは、前記協働ロボットアームを収容するように構成されたキャビネットをさらに備える、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0117】
16.前記キャビネットが、少なくとも1つの外側下面に少なくとも1つの穴を備え、少なくとも1つの外側上面に少なくとも1つの穴を備える、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0118】
17.前記キャビネットは、前記協働ロボットアームを運ぶように構成された回転テーブル及び/またはスライド可能テーブルをさらに備える、先行条項のいずれかに記載のシステム。
【0119】
18.前記テーブルは、少なくとも180°回転するように構成されている、条項17に記載のシステム。
【0120】
19.前記ロボットアームは、前記テーブルの法線に対して、1°~90°の間、好ましくは20°~70°の間、より好ましくは30°~60°の間、最も好ましくは45°の角度で前記テーブルに取り付けられる、条項17~18のいずれか1項に記載のシステム。
【0121】
20.前記ロボットアームは、オフセットを伴って回転テーブルと係合する、条項17~19のいずれか1項に記載のシステム。
【0122】
21.前記オフセットが、少なくとも25mm、好ましくは少なくとも50mm、より好ましくは少なくとも75mm、より好ましくは100mm、最も好ましくは150mmである、条項20に記載のシステム。
【0123】
22.加圧システムをさらに備える、条項2~21のいずれかに記載のシステム。
【0124】
23.前記加圧システムは、前記協働ロボットアーム、及び/または前記アダプタツール、及び/またはカメラなどの検出ユニットを加圧することと、任意選択で大気圧を超える予め決められた圧力レベルを維持することと、を行うように構成される、条項22に記載のシステム。
【0125】
24.前記予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも0.8mbar高く、好ましくは0.8mbar~15mbarの間、より好ましくは1mbar~10mbarの間、最も好ましくは2mbar~5mbarの間であり、あるいは前記予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも2mbar高い、条項23に記載のシステム。
【0126】
25.前記加圧システムは、前記システムがオフになった場合、自動燃料補給動作の前に、前記協働ロボットアーム及び/または前記アダプタツール及び/または検出ユニットをパージするように構成され得る、条項22~24に記載のシステム。
【0127】
26.前記パージ量が50~100リットルの間である、条項25に記載のシステム。
【0128】
27.前記ガスは空気である、条項22~26に記載のシステム。
【0129】
28.車両への燃料補給のための、条項1~26のいずれか1項に記載のロボット燃料補給システムの使用。
【0130】
29.車両に自動的に燃料を補給する方法であって、
-車両を識別するための第1の検出ユニットを提供することと、
-アダプタツールに接続されたロボットアームを提供することと、
-前記アダプタツールを少なくとも1つの燃料ディスペンサユニットに係合させることと、
-前記燃料ディスペンサユニットを前記車両の燃料補給口に係合させるために、前記ロボットアーム及び前記アダプタツールを制御することによって、前記車両に燃料を補給することと、
のステップを含む、前記方法。
【0131】
30.車両に自動的に燃料を補給する方法であって、条項1~26のいずれか1項に記載のシステムを適応させるステップを含む、前記方法。
【0132】
31.爆発性環境で使用される協働ロボットアームであって、前記協働ロボットアームが、1つ以上の開口部を有する1つ以上のハウジング内に収容される電子機器と、大気圧を超える予め決められた圧力レベルにあるガスでハウジング(複数可)を加圧するように構成された加圧システムとを備える、前記協働ロボットアーム。
【0133】
32.前記予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも0.8mbar高く、好ましくは0.8mbar~15mbarの間、より好ましくは1mbar~10mbarの間、最も好ましくは2mbar~5mbarの間であり、あるいは前記予め決められた圧力レベルは、大気圧よりも少なくとも2mbar高い、条項31に記載の協働ロボットアーム。
【0134】
33.前記加圧システムは、前記協働ロボットアームの電子機器が再稼働される前に、前記ガスの予め決められたパージ量だけ前記協働ロボットアームをパージするように構成される、条項31~32に記載の協働ロボットアーム。
【0135】
34.前記パージ量は、10~200リットル、好ましくは20~150リットル、より好ましくは30~100リットル、最も好ましくは50~90リットルである、条項33に記載の協働ロボットアーム。
【0136】
35.前記ガスは空気である、条項31~34に記載の協働ロボットアーム。
【図】
【国際調査報告】