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特表2024-501745水の吸着を防止するための吸湿性触媒粒子をコーティングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】水の吸着を防止するための吸湿性触媒粒子をコーティングする方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 33/00 20060101AFI20240105BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20240105BHJP
   B01J 37/20 20060101ALI20240105BHJP
   B01J 29/16 20060101ALI20240105BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B01J33/00 A
B01J37/00 D
B01J37/20
B01J29/16 M
B01J37/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540794
(86)(22)【出願日】2022-01-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022011013
(87)【国際公開番号】W WO2022147491
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/140,827
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599130449
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オマー・レファ・コセオグル
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA15
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA21C
4G169BA22C
4G169BB04C
4G169BC50B
4G169BC51B
4G169BC59B
4G169BC68B
4G169BE01C
4G169BE02C
4G169BE18C
4G169BE22C
4G169BE33C
4G169BE34C
4G169BE37C
4G169CC05
4G169DA06
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EB14X
4G169EB14Y
4G169EC27
4G169EE01
4G169FB20
4G169FB23
4G169FB24
4G169FB30
4G169FB50
4G169FB67
4G169FB77
4G169FC03
4G169FC05
4G169FC10
4G169ZA05B
4G169ZD06
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF09A
4G169ZF09B
(57)【要約】
触媒粒子への水の吸着を防止するために、適切なコーティング材料、例えばパラフィン系油/ワックス、又は適切なポリマー材料でコーティングされた、非吸収性の予備硫化された触媒粒子が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒プロセスにおける使用のための触媒を製造する方法であって、
活性触媒担体材料及びバインダー材料を混合して、触媒担体ブレンドを形成する工程、
触媒担体ブレンドを押出機において押出及び成形して、約0.01~3.0mmの間の平均断面寸法を有する触媒担体粒子を生成する工程、
触媒担体粒子をか焼して、か焼された触媒担体粒子を生成する工程、
1つ又は複数の活性成分を、か焼された触媒担体粒子中に組み込んで、活性成分を有する触媒粒子を生成する工程、
活性成分を有する触媒粒子をか焼して、揮発性材料及び汚染材料を除去し、吸湿性触媒粒子を生成する工程、及び
吸湿性触媒粒子をコーティング材料でコーティングして、非吸収性触媒粒子を生成する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
触媒プロセスにおける使用のための触媒を製造する方法であって、
活性触媒担体材料及びバインダー材料を混合して、触媒担体ブレンドを形成する工程、
触媒担体ブレンドを押出機において押出及び成形して、約0.01~3.0mmの間の平均断面寸法を有する触媒担体粒子を生成する工程、
触媒担体粒子をか焼して、か焼された触媒担体粒子を生成する工程、
1つ又は複数の活性成分を、か焼された触媒担体粒子中に組み込んで、活性成分を有する触媒粒子を生成する工程、
活性成分を有する触媒粒子をか焼して、揮発性材料及び汚染材料を除去し、吸湿性触媒粒子を生成する工程、
吸湿性触媒粒子を予備硫化して、予備硫化された吸湿性触媒粒子を生成する工程、及び
予備硫化された吸湿性触媒粒子をコーティング材料でコーティングして、非吸収性の予備硫化された触媒粒子を生成する工程、
を含む、方法。
【請求項3】
活性触媒担体材料が、ゼオライトを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
バインダー材料が、金属酸化物を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
コーティング材料が、31~50の範囲の炭素数を有するパラフィン系ワックスである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
コーティング材料が、n-パラフィンワックスである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
コーティング材料が、5~7の範囲の炭素数を有するパラフィン系又は芳香族溶媒中に溶解される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、又は36~100℃の範囲で沸騰するナフサである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
コーティング材料が、溶媒中に溶解されている、オレフィン、カーボネート、芳香族化合物、スルホン、フッ素化炭化水素、塩素化炭化水素、又はアクリロニトリル類に由来するポリマー又はポリマーの混合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
コーティング材料が、バッチ又は連続的様式で、吸湿性触媒粒子上に噴霧される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
コーティング材料が、吸湿性触媒粒子上に注がれる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
吸湿性触媒粒子が、コーティング材料中に浸漬され、排液される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
コーティングが、コーティング材料の融点を超え、且つコーティング材料の沸点を下回る温度で生じる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
コーティングが、約1~3barの圧力範囲で生じる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
触媒が、コーティングされる前に室温に冷却される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
請求項1又は2に記載の方法に従って形成された非吸着性触媒粒子を使用する工程を含む、水素化加工方法であって、非吸着性触媒粒子は、反応器に入れられ、反応器は、約150~500℃の範囲の温度にスタートアップ中に加熱されて、触媒粒子からコーティング材料を除去する、方法。
【請求項17】
触媒粒子を、コーティング材料が除去された後に硫化する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
押出物として成形された活性触媒担体材料及びバインダー材料と、一体となった活性成分とを含む、非吸収性触媒材料であって、押出物は、31~50の範囲の炭素数を有するn-パラフィン系ワックス又は83~327℃の範囲の融点を有するポリマーを含むコーティング材料でカプセル化される、非吸収性触媒材料。
【請求項19】
コーティング材料が、31~50の範囲の炭素数を有するn-パラフィン系ワックスを含む、請求項18に記載の非吸収性触媒材料。
【請求項20】
コーティング材料が、オレフィン、カーボネート、芳香族化合物、スルホン、フッ素化炭化水素、塩素化炭化水素、又はアクリロニトリル類からなる群から選択される、83~327℃の範囲の融点を有するポリマーを含む、請求項18に記載の非吸収性触媒材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油及び石油留分の水素化加工のための触媒及び触媒を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素化加工(水素化処理及び水素化分解)触媒は、様々な方法によって製造することができる。選択される方法は、通常、製造コストと、所望の化学的及び物理的特性が達成される程度との間のバランスを表す。触媒形成、調製手順、及び触媒特性の間に関係があるが、その関係の詳細は、触媒系の複雑な性質のために、いつも十分に理解されているとは限らない。触媒の化学的組成は、その性能に重要な役割を果たす;物理的及び機械的特性も主な役割を果たす。水素化分解触媒の調製は、いくつかの工程を含む:沈殿、濾過(デカンテーション、遠心分離)、洗浄、乾燥、成形、か焼、及び含浸。他の工程、例えば練り合わせ若しくは混練、粉砕、並びにふるい分けも必要とされうる。使用される調製方法に応じて、これらの工程のいくつかは省かれてもよく、一方、他の工程が追加されてもよい。例えば、湿った固体前駆体の練り合わせ又は共混練は、含浸の代わりに、いくつかのプロセスにおいて使用される。金属前駆体が、担体前駆体と一緒に共沈殿又は共混練される場合、含浸工程は省くことができる。水素化分解触媒製造プロセスの不可欠な部分である工程が以下に記載される。
【0003】
水素化加工触媒は、吸湿性であり、空気に曝されると水を吸着する。水の吸着は、触媒にとっていくつかの不利益、例えば質量増加、活性損失等をもたらす。反応器中に入れた後、水素化加工触媒は、硫化されて、活性相金属を、酸化物形態から硫化物形態に変換する。水素化加工触媒は、触媒製造業者によって予備硫化された形態においても提供され、触媒は、水素で活性化されることが多い。しかし、硫化物触媒が空気に曝されると、触媒の活性が減少することが報告されている(F.E. Massoth、C.-S. Kim、Jian-W. Cui、「Studies of molybdena-alumina catalysts: XVII. Sulfided catalysts exposed to air」、Applied Catalysis、第58巻、第1号、1990年2月5日、199~208頁)。
【0004】
図1は、例えば水素化加工触媒を製造するための、典型的な触媒製造工程を示す。水素化加工触媒は、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化分解、水素化脱ろう、水素化、及び/又は水素化脱金属のために使用されるものを指す。特定の実施において、水素化加工触媒は、担体材料上に含浸された1つ又は複数の活性成分で構成される。担体材料成分は、工程102、104において提供される。工程102において、バインダー材料が提供され、工程104において、活性触媒担体材料、例えばゼオライトが提供される。担体材料成分は、工程106において、混合され、練り合わせられる。沈殿は、材料の溶液又は懸濁液の混合を伴い、これは、結晶性又は非晶質でありうる沈殿物の形成をもたらす。湿った固体材料の混練又は練り合わせは、通常、ドウの形成をもたらし、これはその後、成形され、乾燥される。混練されたか又は練り合わせられた生成物は、熱拡散及び固体反応による成分間のより密接な接触及びよりよい均一性を得るために、熱処理を受ける。沈殿又は混練は、しばしば、触媒のための担体を調製するために使用され、金属成分は、その後、例えば初期湿潤法を使用して、含浸により加えられる。
【0005】
担体の特徴は、触媒の機械的特性、例えば摩滅抵抗、硬度、及び破砕強度を決定する。高表面積及び適切な細孔サイズ分布が、一般に必要とされる。沈殿によって調製される触媒担体の細孔サイズ分布及び他の物理的特性はまた、沈殿物の沈殿及び熟成条件によってだけでなく、その後の乾燥、成形、及びか焼によっても影響を受ける。
【0006】
触媒粒子の最終的な形及びサイズは、製造工程において決定される。触媒及び触媒担体の形の例は、図2に示される。触媒及び触媒担体は、いくつかの可能な形、例えば球202、円筒状押出物204、又は形作られた形態、例えばトリローブ206又はクアドリローブ208へと成形される。球形触媒担体触媒は、「油滴下」によって得ることができ、それにより沈殿は、液体を第二の不混和性液体へ注ぐと生じる。他の球形プロセスは、マルメライジングを含む。一般に、費用、及び圧力低下等のプロセスの考慮事項のため、触媒の大多数は、現在、球以外の形に成形される。より少数の球形触媒が、現代の水素化分解に使用される。
【0007】
工程108において、非球形は、原材料を混合して、押出可能なドウを形成し、これが穴を有するダイを通して押出されることによって得られる。スパゲッティ状押出物は、乾燥され、か焼され、短い断片へと折られる。触媒基材の長さの直径に対する典型的な比は、例えば、2~4の間で変化する。最も単純な形態は、円筒状粒子であるが、他の形態、例えばトリローブ、ねじれたトリローブ、又はクアドリローブも商業的に使用される。マルチローブ断面を有する触媒は、単純な円筒状押出物よりも高い表面-対-体積比を有する。固定床で使用される場合、これらの形作られた触媒粒子は、拡散抵抗を低下させ、よりオープンな床を作製し、圧力低下を減らすのに役立つ。
【0008】
工程110において、担体粒子は、熱処理され、か焼される。熱処理は、成形された触媒の含浸の前及び/又は後のいずれでも適用される。全ての成分(金属成分を含む)の沈殿又は共混練によって調製される触媒について、成形前に乾燥のみが必要とされてもよく、その後、成形された生成物をか焼する。触媒又は担体の熱処理は、水及び他の揮発性物質を排除する;か焼はまた、硝酸塩、塩化物、炭酸塩及び有機キレートの分解を含む、含浸された金属塩を分解するのに役立ち、担体表面に金属又は金属酸化物を残す。乾燥及びか焼条件は、生成物の物理的特性だけでなく、触媒特性を決定するのに非常に重要である。表面積、細孔サイズ分布、安定性、摩滅抵抗、破砕強度、及び触媒活性は、乾燥及びか焼条件によって影響を受ける。
【0009】
工程112において、活性金属は、か焼された担体材料に加えられ、これは一般に含浸と呼ばれる。いくつかの方法が、活性金属を基材に加えるために使用されうる:(a)浸漬(ディッピング)、(b)初期湿潤、及び(c)蒸発。最もよく使用される方法では、か焼された担体は、活性金属又は金属化合物を含有する過剰な溶液中に浸漬される。溶液は、細孔を満たし、また、担体表面に吸着され、過剰な溶液は除去される。別の方法では、担体の細孔容積と等しいか又は細孔容積よりわずかに少ない体積の、標的とされる金属レベルを達成するように調整された金属化合物の濃度を有する溶液を、活性化された担体に、タンブリング又は噴霧することによって、初期湿潤を使用して、含浸が行われる。次いで、金属が装填された担体は、乾燥され、か焼される、工程114。金属酸化物は、このプロセスにおいて形成される;か焼工程は、酸化とも呼ばれる。別の方法である蒸発含浸では、担体は、水又は酸溶液で飽和され、金属化合物を含有する水溶液に浸漬される。その後、その化合物は、水性相を通って担体の細孔に拡散する。
【0010】
か焼後の最終的な触媒生成物は、工程116において、袋に詰められ、最終目的地へ輸送される。一部の触媒、特にゼオライトを含有するものは、吸湿性であり、したがって、か焼後、例えば輸送中に、且つ最終目的地での使用前に、水を吸着する。加えて、上に記載されるように、空気への曝露後の硫化物又は酸化物触媒の活性は、減少することが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第9,221,036号
【特許文献2】米国特許第10,081,009号
【特許文献3】米国特許第10,293,332号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】F.E. Massoth、C.-S. Kim、Jian-W. Cui、「Studies of molybdena-alumina catalysts: XVII. Sulfided catalysts exposed to air」、Applied Catalysis、第58巻、第1号、1990年2月5日、199~208頁
【非特許文献2】the National Library of Medicine、PubChem(サイト:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov)
【非特許文献3】Peter Morgan、Analysis of Petroleum Fractions by ASTM D2887、Thermo Fisher Scientific Inc.社(2012)(発行AN20582_E 08/12S)https://static.thermoscientific.com/images/D22163~.pdf
【非特許文献4】https://www.engineeringtoolbox.com/hydrocarbon-boiling-melting-flash-autoignition-point-density-gravity-molweight-d_1966.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
水素化加工触媒における多くの前進にもかかわらず、産業界は、改善された触媒材料、特に改善された貯蔵性を有するものを常に探し求めている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、水素化加工反応器中での実施において触媒活性化条件で分解されるパラフィン系ワックス等のコーティング材料での処理によって、触媒粒子が非吸収性にされる、触媒製造方法に関する。
【0015】
上に記載される工程は、従来の工程である。か焼後の触媒は、袋に詰められ、最終目的地へ輸送される。一部の触媒、特にゼオライトを含有するものは、吸湿性であり、か焼後、現場への最終到着までに、水を吸着する。本明細書に記載されるように、硫化物又は酸化物触媒が空気に曝されると、減少した触媒活性が生じることが公知である。この課題は、本明細書に開示される非吸収性触媒粒子及び非吸収性触媒粒子を製造する方法によって克服される。これらの非吸収性触媒粒子は、触媒粒子への水の吸着を防止し、触媒活性を保持する。
【0016】
一実施形態では、触媒プロセスにおける使用のための触媒を製造する方法が提供される。活性触媒担体材料及びバインダー材料は、混合されて、触媒担体ブレンドを形成する。触媒担体ブレンドは、押出機において押出及び成形されて、約0.01~3.0mmの間の平均断面寸法を有する触媒担体粒子を生成する。触媒担体粒子は、か焼されて、か焼された触媒担体粒子を生成する。1つ又は複数の活性成分は、か焼された触媒担体粒子中に組み込まれて、活性成分を有する触媒粒子を生成する。活性成分を有する触媒粒子は、か焼されて、揮発性材料及び汚染材料を除去し、吸湿性触媒粒子を生成する。吸湿性触媒粒子は、コーティング材料でコーティングされて、非吸収性触媒粒子を生成する。
【0017】
一実施形態では、触媒プロセスにおける使用のための触媒を製造する方法が提供される。活性触媒担体材料及びバインダー材料は、混合されて、触媒担体ブレンドを形成する。触媒担体ブレンドは、押出機において押出及び成形されて、約0.01~3.0mmの間の平均断面寸法を有する触媒担体粒子を生成する。触媒担体粒子は、か焼されて、か焼された触媒担体粒子を生成する。1つ又は複数の活性成分は、か焼された触媒担体粒子中に組み込まれて、活性成分を有する触媒粒子を生成する。活性成分を有する触媒粒子は、か焼されて、揮発性材料及び汚染材料を除去し、吸湿性触媒粒子を生成する。吸湿性触媒粒子は、予備硫化されて、予備硫化された吸湿性触媒粒子を生成する。予備硫化された吸湿性触媒粒子は、コーティング材料でコーティングされて、非吸収性の予備硫化された触媒粒子を生成する。
【0018】
特定の実施形態では、活性触媒担体材料は、ゼオライトを含む。特定の実施形態では、バインダー材料は、金属酸化物を含む。
【0019】
特定の実施形態では、コーティング材料は、31~50の範囲の炭素数を有するパラフィン系ワックスである。特定の実施形態では、コーティング材料は、n-パラフィンワックスである。特定の実施形態では、コーティング材料は、5~7の範囲の炭素数を有するパラフィン系又は芳香族溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、又は36~100℃の範囲で沸騰するナフサ中に溶解される。特定の実施形態では、コーティング材料は、オレフィン、カーボネート、芳香族化合物、スルホン、フッ素化炭化水素、塩素化炭化水素、又はアクリロニトリル類に由来するポリマー又はポリマーの混合物である。
【0020】
特定の実施形態では、コーティング材料は、バッチ又は連続的様式で、吸湿性触媒粒子上に噴霧される。特定の実施形態では、コーティング材料は、吸湿性触媒粒子上に注がれる。特定の実施形態では、吸湿性触媒粒子は、コーティング材料中に浸漬され、排液される。
【0021】
特定の実施形態では、コーティングは、コーティング材料の融点を超え、且つコーティング材料の沸点を下回る温度で生じる。特定の実施形態では、コーティングは、約1~3barの圧力範囲で生じる。特定の実施形態では、触媒は、コーティングされる前に室温に冷却される。
【0022】
上記方法のいずれかに従って形成された非吸着性触媒粒子を使用する工程を含む、水素化加工方法であって、非吸着性触媒粒子は、反応器に入れられ、反応器は、適切な温度にスタートアップ中に加熱されて、触媒粒子からコーティング材料を除去する、方法が提供される。特定の実施形態では、触媒粒子は、コーティング材料が除去された後に硫化される。
【0023】
押出物として成形された活性触媒担体材料及びバインダー材料と、一体となった活性成分とを含む、非吸収性触媒材料であって、押出物は、31~50の範囲の炭素数を有するn-パラフィン系ワックス又は83~327℃の範囲の融点を有するポリマーを含むコーティング材料でカプセル化される、非吸収性触媒材料が提供される。
【0024】
これらの例示的態様及び実施形態の更なる他の態様、実施形態、及び利点は、以下に詳細に論じられる。更に、前述の情報及び以下の詳細な説明の両方は、様々な態様及び実施形態をただ説明するだけの例であり、特許請求される態様及び実施形態の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されると理解されるべきである。随伴する図面は、実例、並びに様々な態様及び実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書のその他と共に、記載され且つ特許請求される態様及び実施形態の原理及び実施を説明するために役立つ。
【0025】
本発明は、以下に更に詳細に、且つ添付の図面を参照して記載され、添付の図面では、同じ又は類似した要素は、同じ番号によって言及されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】吸湿性である触媒生成物の従来の製造のための工程の概略図である;
図2】触媒粒子の形の例を示す図である;
図3】非吸収性触媒生成物の製造のための工程の概略図である;
図4】非吸収性の予備硫化された触媒生成物の製造のための工程の概略図である;
図5】非吸収性触媒生成物の製造のための、本明細書における実施形態で使用されるn-パラフィン系ワックスの融点及び沸点を示すグラフである;
図6】実施例において触媒粒子をコーティングするために使用されるn-パラフィン系ワックスの組成を示すグラフである;
図7】パラフィンコーティングされた触媒試料のエネルギー分散(EDS)スペクトルと共に、環境制御型走査電子顕微鏡検査(ESEM)トポグラフィー画像を示す図である;及び
図8】パラフィンコーティングされた触媒試料の熱重量分析の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本方法では、触媒粒子は、触媒粒子への水の吸着を防止するために、適切なコーティング材料、例えばパラフィン系油/ワックス、又は適切なポリマー材料でコーティングされる。図3は、コーティング工程を含めることによって非吸収性触媒生成物を製造する工程の実施形態の概略図である。図4は、非吸収性の予備硫化された触媒生成物を製造する工程の実施形態の概略図である。
【0028】
図3は、水素化加工触媒として使用するための非吸収性触媒粒子を製造するためのプロセスの概略図である。吸湿性触媒粒子を形成するための工程は、活性触媒担体104及びバインダー102を混合する工程106、押出機においてブレンドを押出し108、例えば約0.01~3.0mmの間の平均断面寸法を有する、触媒担体粒子を成形する工程、触媒担体粒子をか焼する工程110、触媒担体粒子に活性相金属を含浸させる工程112、及び含浸された触媒粒子をか焼して114、揮発性物質及び他の汚染物質を除去する工程を含む、本明細書において図1に関して記載されるものに類似している。か焼後、触媒粒子は、水を含まないか又は実質的に含まない(例えば約0.05又は0.005W%未満)。粒子は、例えば室温に、冷却され、工程120において、吸湿性の含浸された触媒粒子は、コーティング剤でコーティングされて、最終的な非吸収性触媒粒子122を形成する。コーティング材料は、反応器スタートアップ中に、例えば硫化が生じる前に、触媒粒子から除去される。コーティング材料が除去された後、触媒は、当技術分野で公知のように、スタートアップにおいて硫化されうる。
【0029】
図4は、水素化加工触媒として使用するための予備硫化された非吸収性触媒粒子を製造するためのプロセスの概略図である。吸湿性触媒粒子を形成するための工程は、活性触媒担体104及びバインダー102を混合する工程106、押出機においてブレンドを押出し108、例えば約0.01~3.0mmの間の平均断面寸法を有する、触媒担体粒子を成形する工程、触媒担体粒子をか焼する工程110、触媒担体粒子に活性相金属を含浸させる工程112、及び含浸された触媒粒子をか焼して114、揮発性物質及び他の汚染物質を除去する工程を含む、本明細書において図1に関して記載されるものに類似している。加えて、工程128において、か焼された含浸された触媒粒子は、予備硫化される。か焼及び予備硫化後、触媒粒子は、水を含まないか又は実質的に含まない(例えば約0.05又は0.005W%未満)。粒子は、例えば室温に、冷却され、工程130において、吸湿性の予備硫化された含浸された触媒粒子は、コーティング剤でコーティングされて、最終的な非吸収性の予備硫化された触媒粒子132を形成する。コーティング材料は、反応器スタートアップ中に、例えば追加の硫化なしに又は追加の硫化が生じる前に、触媒粒子から除去される。特定の実施形態では、コーティング材料が除去された後、予備硫化された触媒は、スタートアップ中に更に硫化されうる。
【0030】
本明細書に開示されるコーティングプロセスに適した触媒粒子は、少なくとも1つ又は複数のバインダー材料及び少なくとも1つ又は複数の活性担体材料を含む。バインダー材料の例としては、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ-アルミナ、アルミナ-チタニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-ボリア、リン-アルミナ、シリカ-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-シリカ、シリカ-アルミナ-チタニア、及びシリカ-アルミナ-ジルコニアが挙げられる。活性担体材料は、中程度の又は大きな細孔サイズを有するゼオライトを含むがこれに限定されない、ゼオライト材料を含む。例としては、例えば、モルデナイト、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM 35、並びにベータ及びY型のゼオライトが挙げられる。
【0031】
担体材料上に保有される1つ又は複数の活性金属成分は、元素の周期表IUPAC第6、7、8、9及び10族から選択される金属又は金属化合物(酸化物又は硫化物)である。特定の実施形態では、活性金属成分は、Mo、W、Co又はNiの1つ又は複数である。活性金属成分は、典型的には、担体、例えば非晶質アルミナ、非晶質シリカアルミナ、ゼオライト、又はそれらの組み合わせ上に堆積されるか、又は他の方法で組み込まれる。活性金属成分は、効果的な濃度で、例えば、1~40、1~30、1~10、1~5、2~40、2~30、2~10、3~40、3~30又は3~10(触媒の総質量に対する酸化物、硫化物又は金属の質量に基づくW%)の範囲で組み込まれる。特定の実施形態では、単独で又は上記金属と組み合わせて、Pt族金属、例えばPt及び/又はPdが、一般に触媒の質量に基づいて約0.1~2W%の量で、水素化成分として存在しうる。
【0032】
特定の実施形態では、触媒粒子は、約(cc/gm)0.15~1.70、0.15~1.50、0.30~1.50又は0.30~1.70の範囲の細孔容積、約(m/g)100~900、100~500、100~450、180~900、180~500、180~450、200~900、200~500又は200~450の範囲の比表面積、及び少なくとも約45、50、100、200、500又は1000オングストローム単位の平均細孔直径を有する。
【0033】
コーティング材料の選択は、材料が、本明細書に記載されるコーティングプロセスのための液体に形成されることが可能であり、且つコーティングされた触媒が反応器中に入れられるスタートアップ期間中に取り除かれることが可能であるようなものである。コーティングプロセスでは、コーティング材料は、容器中で加熱され、適切な温度及び圧力で液化される。コーティングプロセスのための温度及び圧力条件は、コーティング材料が、触媒粒子の表面との接触を最大にするために液相となるように選択される。これらのコーティング条件は、コーティングプロセス中の選択されたコーティング材料の気化を避けるために、選択されたコーティング材料の沸点を下回る。
【0034】
コーティングプロセス中に、コーティング材料は、純物質として又は溶液中で提供されうる。特定の実施形態では、コーティング材料は、コーティング材料を溶液で含有するのに効果的で、且つコーティングプロセス中に除去されることが可能でもある、適切な溶媒中に溶解される。溶媒中のコーティング材料溶液は、任意の適切な量のコーティング材料、例えば0.1~100、0.1~99、0.1~90、0.1~80、0.1~70、0.1~60、0.1~50、0.1~25、0.1~10、0.1~5、1~100、1~99、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~25、1~10、1~5、5~100、5~99、5~90、5~80、5~70、5~60、5~50、5~25又は5~10W%のコーティング材料を含有しうる。
【0035】
特定の実施形態では、コーティング材料(すなわち、コーティング後に触媒粒子上にとどまる材料)は、重パラフィン、又は31~50の範囲の炭素数を有する1つ若しくは複数の重パラフィンを含有する混合物(「C31~C50パラフィン」)である。更なる実施形態では、コーティング材料は、1つ又は複数のC31~C50重パラフィンと、15~30、16~30、17~30、18~30又は19~30の範囲等のより低い炭素数を有する1つ又は複数のパラフィン系ワックスとを含有する混合物を含む。重パラフィンコーティング材料を使用する実施形態では、より軽いパラフィン系又は芳香族溶媒(好ましくは汚染物質を含まない)が使用されうる。例えば、そのような溶媒は、5~7の範囲の炭素数を有し、例えば、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、又はそれらの混合物の1つ又は複数を含む。特定の実施形態では、例えば約36~100℃の範囲で沸騰する、ナフサ又は軽質ナフサ留分(好ましくは水素化処理された)が使用されうる。
【0036】
更なる実施形態では、コーティング材料は、例えばオレフィン、カーボネート、芳香族化合物、スルホン、フッ素化炭化水素、塩素化炭化水素、及び/又はアクリロニトリル類から生じる、ポリマー又はポリマーの混合物である。ポリマーコーティング材料を使用する実施形態では、適切な溶媒は、アクリロニトリル類についてアセトン、又はメタノールを含む。
【0037】
コーティング材料が溶媒なしで使用される実施形態では、コーティングプロセスのための温度及び圧力条件は、コーティング材料又はコーティング材料組成物の融点及び沸点に関係している。圧力は、典型的には、大気圧(例えば約1bar)から約3barまでの範囲である。温度は、個々のコーティング材料の融点以上且つ沸点未満である。コーティング材料の混合物において、これらは、例えば成分の範囲の最高の融点及び最低の沸点を使用して、混合物の組成物に基づく。Table 1(表1)は、特定のn-アルカンの特性を示す。Table 2(表2)は、特定のポリマーの特性を示す。コーティングが溶媒の非存在下で生じる実施形態では、コーティングは、輸送されるべき完成したコーティングされた触媒上にコーティング材料の一部としてとどまることが意図される最高融解材料の融点を上回る温度で実施される。加えて、コーティングプロセス中の最大温度は、輸送されるべき完成したコーティングされた触媒上にコーティング材料の一部としてとどまることが意図されるコーティング混合物の最低沸騰成分の沸点を超えるべきではない(完成したコーティングされた触媒上にコーティング材料の一部として保持されることが意図されない溶媒、キャリア又は他の成分とは対照的に)。例えば、完成したコーティングされた触媒上の意図される成分の範囲が、C19からC50までの範囲である実施形態では、最小コーティング温度は、少なくとも約92℃であり、最大コーティング温度は、約331℃以下である。完成したコーティングされた触媒の意図される成分が、コーティングプロセス中に溶媒中に溶解される実施形態では、コーティング材料溶液は、初めは液相であり、より低い温度が、コーティングのために使用されうる;コーティングプロセス温度及び圧力条件は、コーティング材料が液相のままであるように選択され、それにより、コーティング材料は、固体として沈殿せず、気体として気化もしない。
【0038】
提供されるコーティング材料の量は、触媒粒子の外部表面をカプセル化するのに十分である。例えば、カプセル化のコーティング厚さは、約0.02~0.2、0.02~0.15、0.02~0.1、0.05~0.2、0.05~0.15又は0.05~0.1mmの範囲でありうる。触媒粒子は、コーティング前に塵又は粉末を全く含まないか又は実質的に含まないべきであり、いくらかのそのような汚染物質が存在する場合には、それらは、本明細書におけるコーティング前に除去されるべきである。
【0039】
コーティングプロセスでは、コーティング材料は、コーティング材料容器中で加熱され、上に全体的に記載される温度条件下で、液化状態で維持される。溶媒のないコーティングプロセスでは、条件は、約1~3barの範囲の圧力、及び約30~331、30~300、30~250、30~200、50~331、50~300、50~250、50~200、70~331、70~300、70~250又は70~200℃の範囲の温度を含む。溶媒のないコーティングプロセスでは、条件は、約1~3barの範囲の圧力、及び約15~80、15~50、15~30、20~80、20~50、20~30、25~80、25~50、又は25~30℃の範囲の温度を含む。コーティング材料容器の温度及び圧力は、コーティング材料の気化又は分解の温度及び圧力を十分下回るべきである。特定の実施形態では、液化されたコーティング材料又はコーティング材料溶液は、例えば1つ又は複数の適切なノズルにより、触媒粒子上に噴霧される。特定の実施形態では、例えばバッチプロセスにおいて、触媒粒子のトレイは、液化されたコーティング材料又はコーティング材料溶液で噴霧されうる。更なる実施形態では、例えば連続的プロセスにおいて、触媒粒子は、それらが液化されたコーティング材料又はコーティング材料で噴霧されうるように、例えばコンベヤーベルトを使用して、横断しうる。過剰なコーティング材料は、収集され、再利用のためにコーティング材料容器に戻って再循環されうる。他の実施形態では、液化されたコーティング材料又はコーティング材料溶液は、触媒粒子上に注がれる。別の実施形態では、触媒粒子は、液化されたコーティング材料又はコーティング材料溶液中に浸漬され、その後、排液される。
【0040】
コーティング材料の温度は、粒子が液体から分離されるとすぐにコーティング材料が乾燥するようなものであるべきである。液体コーティング材料中の粒子の滞在時間は、コーティング材料が触媒粒子をカプセル化するのに十分であるべきであり、1~60又は1~30秒の範囲であるべきである。コーティング材料の使用及び触媒の質量を最小限にするために、複数の層は避けられるべきである。
【0041】
特定の実施形態では、スタートアップ中の取り除きは、触媒粒子からコーティング材料を融解することを含み、したがって、コーティング材料又はコーティング材料混合物の選択は、反応器スタートアップ温度の範囲の融点を有するものを含む。例えば、コーティングされた触媒は、反応器中に入れられ、温度は、(例えば、室温から)最終的な反応器動作温度まで増加させる。例えば、コーティング材料又はコーティング材料混合物の全部又は一部として、92.2℃の融点を有するC50パラフィンが使用される場合、その温度を超えるスタートアップ条件が使用され、例えば約150~500、200~500、150~450、200~450、150~400、200~400、150~360、200~360、150~340又は200~340℃の範囲のスタートアップ条件が適切である。
【0042】
図5は、非吸収性触媒生成物の製造のための、本明細書における実施形態で使用されるn-パラフィン系ワックスの融点及び沸点を示す。n-パラフィンワックスの適切な範囲(炭素数31~50)は、長方形の箱に示される;これらは、約67.9~92℃の範囲の高い融点を有し、これは、本明細書に記載される触媒粒子のためのコーティング材料として使用するのに効果的な範囲である。なぜならば、前記コーティング材料が、損なわれないままであり、ワックスが除去されうるように反応器スタートアップ中に使用される範囲内で容易に融解するためである。
【実施例
【0043】
アルミナバインダー及び30W%Ti-Zr-修飾USYゼオライトの担体中/上に含有される活性相金属としてニッケル及びモリブデンを含む水素化分解触媒を提供した。Ti-Zr-修飾USYゼオライトを、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,221,036号、同第10,081,009号及び同第10,293,332号に開示されるように製造した。水素化分解触媒を、オーブン中で150℃にて1時間乾燥させて、あらゆる揮発性材料を除去した。5.6グラムの量の乾燥触媒を、24W%のワックスを含有するペンタン中のワックス溶液に添加した。全ての溶媒が蒸発するまで、混合物を撹拌した。触媒の最終質量は、6.8グラムであり、これは、1.2グラムのワックスが触媒粒子上にコーティングされたことを示す。
【0044】
図6は、触媒粒子をコーティングするために使用されるコーティング材料の組成を示す。図6中の円い印は、記載される炭素数のコーティング材料中のn-アルカンの濃度(W%)を表す。例えば、使用されたワックスは、25の炭素数を有するパラフィンであるN-ペンタコサン13.1W%、及び30の炭素数を有するパラフィンであるN-トリアコンタン6.6W%を含有した。三角の印は、コーティング材料中のn-アルカンの累積濃度を表す。室温(20℃)で、混合物中の全てのn-アルカンは、固体である。
【0045】
図7は、パラフィンコーティングされた触媒試料のエネルギー分散(EDS)スペクトルと共に、環境制御型走査電子顕微鏡検査(ESEM)トポグラフィー画像を示す。見られるように、触媒表面は、パラフィンワックスで完全に覆われている。図8は、パラフィンコーティングされた触媒試料の熱重量分析の結果を示す。試料を、TGA Q500(サーマルアナライザ)機器を使用して分析した。TGA法では、試料を秤量し、TGA試料デバイス中に置く。試料の質量損失及び残存質量を決定するために、分析を、25℃から900℃まで20℃/分の加熱速度で空気雰囲気下にて行った。見られるように、およそ19W%の材料が、加熱中に失われ、これは、コーティングされた粒子上のワックスのおよそのパーセントに一致する(ワックス1.2g/コーティングされた触媒粒子の総質量6.8g)。残りの材料は、触媒粒子の集まりである。
【0046】
本発明の方法及び系は、上及び添付の図面に記載されている;しかし、当業者には改変が明らかであり、本発明についての保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義されるべきである。
【0047】
【表1】
【0048】
データは、ソースEPA DSSToxからの値を使用した、the National Library of Medicine、PubChem(サイト:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov)からのものである。例外は、n-テトラコンタンであり、沸点は、Peter Morgan、Analysis of Petroleum Fractions by ASTM D2887、Thermo Fisher Scientific Inc.社(2012)(発行AN20582_E 08/12S)https://static.thermoscientific.com/images/D22163~.pdfから得られ、n-ペンタコンタン及びn-ヘキサコンタンについての融点データ及び沸点データは、https://www.engineeringtoolbox.com/hydrocarbon-boiling-melting-flash-autoignition-point-density-gravity-molweight-d_1966.htmlからのものである。
【0049】
【表2】
【符号の説明】
【0050】
102 バインダー
104 ゼオライト
106 混合練り合わせ
108 押出
110 か焼
112 含浸
114 か焼
116 最終的な触媒生成物
120 コーティング
122 最終的な非吸収性触媒生成物
128 予備硫化
130 コーティング
132 最終的な予備硫化された非吸収性触媒生成物
202 球
204 円筒
206 3-ローブ(トリローブ)
208 4-ローブ(クアドリローブ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】