(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】寸法が縮小された新規のスリットパターンを有する改良された拡張スリットシート緩衝材製品
(51)【国際特許分類】
B65D 81/03 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B65D81/03 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540919
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022011426
(87)【国際公開番号】W WO2022150466
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519455988
【氏名又は名称】グッドリッチ,デビッド ポール
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】グッドリッチ,デビッド ポール
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA25
3E066AA26
3E066BA06
3E066CA03
3E066DA03
3E066DB02
3E066KA05
(57)【要約】
【課題】好適な実施形態において、本発明は、特性及び特徴を向上させるための新規のスリットパターンを新規の紙特性と有利に組み合わせることで、大幅に改良されたスリットシート緩衝材製品を提供する。
【解決手段】幾つかの例示的且つ非限定的な例としての実施形態において、本発明の緩衝材製品は、例えば、緩衝パッド又は封筒製品内部の緩衝材として採用される、例えば、伸長性紙と組み合わせた新規のスリットシート材を含み得り、当該緩衝材製品は、弾力性を大幅に高くすることができ、且つ、例えば、スペースをより有効に利用するために、より薄くすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するスリットシート紙を備え、
スリット幅が、0.15インチから0.45インチ(0.38センチメートルから1.14センチメートル)である、
スリットシート紙緩衝材製品。
【請求項2】
スリット長が0.25インチ(0.64センチメートル)±33%、スリット間隔が0.09375インチ(0.23813センチメートル)±33%、列間隔が0.0625インチ(0.1588センチメートル)±33%である、請求項1に記載のスリットシープ(sheep)紙緩衝材製品。
【請求項3】
スリット長が0.25インチ(0.64センチメートル)±20%、スリット間隔が0.09375インチ(0.23813センチメートル)±20%、列間隔が0.0625インチ(0.1588センチメートル)±20%である、請求項1に記載のスリットシープ(sheep)紙緩衝材製品。
【請求項4】
スリット長が0.25インチ(0.64センチメートル)±10%、スリット間隔が0.09375インチ(0.23813センチメートル)±10%、列間隔が0.0625インチ(0.1588センチメートル)±10%である、請求項1に記載のスリットシープ(sheep)紙緩衝材製品。
【請求項5】
スリット長が0.25インチ(0.64センチメートル)±5%、スリット間隔が0.09375インチ(0.23813センチメートル)±5%、列間隔が0.0625インチ(0.1588センチメートル)±5%である、請求項1に記載のスリットシープ(sheep)紙緩衝材製品。
【請求項6】
前記スリットシートが、スリット列間に0.05から0.1インチ(0.127から0.254センチメートル)の範囲の間隔を有する、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項7】
前記スリットシートが、スリット列間に0.125インチ(0.318センチメートル)未満の間隔を有する、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項8】
前記スリットシートが、スリット列間に0.1125インチ(0.2858センチメートル)未満の間隔を有する、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項9】
前記スリットシートが、スリット列間に0.0875インチ(0.2223センチメートル)未満の間隔を有する、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項10】
前記スリット幅が0.35インチ(0.89センチメートル)未満である、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項11】
前記スリット幅が0.30インチ(0.76センチメートル)未満である、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項12】
前記スリット幅が0.25インチ(0.64センチメートル)未満である、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項13】
前記スリットシート紙がスリットシート紙のロールである、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項14】
前記スリットシート紙のロールが、当該ロールから前記スリットシート紙を手動で取り外し、拡張させるために、前記スリットシート紙のロールを回転可能に支持するようになっている拡張装置に支持されている、請求項13に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項15】
請求項14に記載のスリットシート紙緩衝材製品の使用方法であって、手動で前記スリットシート紙を拡張状態で物品に巻き付けて、緩衝用に前記物品の周りに前記拡張スリットシート紙の複数の層を形成することを含む方法。
【請求項16】
前記スリットシート紙が、封筒の壁部の内側に、前記封筒の緩衝用に採用される、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項17】
前記封筒が、前記封筒の前記壁部の内側に、前記壁部の厚さが小さくなるように、緩衝用に1層の前記スリットシート紙を備える、請求項16に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項18】
前記封筒の前記壁部が、前記スリットシート紙の第1側に位置する外側紙層と、前記スリットシート紙の第2側における内側紙層とを含む、請求項16に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項19】
前記外側紙層及び/又は前記内側紙層がエンボスを有する、請求項18に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項20】
スリットシート紙が、拡張して前記複数の開口セルを形成する際に交互列拡張パターンを形成する、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項21】
スリットシート紙が、交互列拡張パターンを形成する前記複数の開口セルを有する拡張状態にある、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項22】
前記交互列拡張パターンが、前記拡張スリットシート紙の下側に位置する下側列の下側セル開口部と、前記拡張スリットシート紙の上側に位置する上側列の上側セル開口部とを有する交互列を含む、請求項21に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項23】
機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するシート紙を備え、
スリット幅がおおよそ0.15と0.35インチ(0.38と0.89センチメートル)との間であり、前記スリットシート紙が、i)前記スリットパターンがない状態において前記機械方向及び前記横方向に伸長可能になっており、前記機械方向における伸長性が3%から20%の範囲である伸長性紙、又はii)非伸長性紙から形成されている、
スリットシート紙緩衝材製品。
【請求項24】
前記スリットシートが、スリット列間に0.05から0.1インチ(0.127から0.254センチメートル)の範囲の間隔を有する、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項25】
支持レッグ部の数が、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを有するスリットシート紙の支持レッグ部の数よりも少なくとも20%多く、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを有するスリットシート紙に比べて、前記スリットパターンが、拡張と同時に、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりより多くのセルを形成し、より大きな耐潰れ性及び弾力性を緩衝用に提供する、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項26】
前記スリットシートが、スリット列間に0.125インチ(0.318センチメートル)未満の間隔を有する、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項27】
前記スリットシートが、スリット列間に0.1125インチ(0.2858センチメートル)未満の間隔を有する、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項28】
前記スリットシートが、スリット列間に0.0875インチ(0.2223センチメートル)未満の間隔を有する、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項29】
前記スリット幅が0.30インチ(0.76センチメートル)未満である、請求項19に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項30】
前記スリット幅がおおよそ0.25インチ(おおよそ(0.64センチメートル)である、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項31】
前記スリット幅が0.25インチ(0.64センチメートル)未満である、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項32】
前記スリットシート紙がスリットシート紙のロールである、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項33】
前記スリットシート紙のロールが、当該ロールから前記スリットシート紙を手動で取り外し、拡張させるために、前記スリットシート紙のロールを回転可能に支持するようになっている拡張装置に支持されている、請求項32に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項34】
請求項33に記載のスリットシート紙緩衝材製品の使用方法であって、手動で前記スリットシート紙を拡張状態で物品に巻き付けて、緩衝用に前記物品の周りに前記拡張スリットシート紙の複数の層を形成することを含む方法。
【請求項35】
前記スリットシート紙が、封筒の壁部の内側に、前記封筒の緩衝用に採用される、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項36】
前記封筒が、前記封筒の前記壁部の内側に、前記壁部の厚さが小さくなるように、緩衝用に1層の前記スリットシート紙を備える、請求項31に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項37】
前記封筒の前記壁部が、前記スリットシート紙の第1側に位置する外側紙層と、前記スリットシート紙の第2側における内側紙層とを含む、請求項35に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項38】
前記外側紙層及び/又は前記内側紙層がエンボスを有する、請求項37に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項39】
スリットシート紙が、拡張して前記複数の開口セルを形成する際に交互列拡張パターンを形成する、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項40】
スリットシート紙が、交互列拡張パターンを形成する前記複数の開口セルを有する拡張状態にある、請求項23に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項41】
前記交互列拡張パターンが、前記拡張スリットシート紙の下側に位置する下側列の下側セル開口部と、前記拡張スリットシート紙の上側に位置する上側列の上側セル開口部とを有する交互列を含む、請求項40に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項42】
機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するスリットシート紙を少なくとも1枚備え、
スリット幅が0.40インチ(1.02センチメートル)未満であり、前記スリットシート紙が、前記拡張スリットシート紙の下側に位置する下側列の下側セル開口部と、前記拡張スリットシート紙の上側に位置する上側列の上側セル開口部とを有する交互列を含む交互列拡張パターンに拡張する拡張性紙から形成されている、
スリットシート紙緩衝材製品。
【請求項43】
前記スリットシート紙が伸長性紙から形成されている、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項44】
前記伸長性紙が、機械方向において少なくとも5%の範囲で伸長可能である、請求項43に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項45】
前記伸長性紙が、横方向において少なくとも5%の範囲で伸長可能である、請求項43に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項46】
前記伸長性紙が、前記スリットパターンがない状態において前記機械方向及び前記横方向に伸長可能であり、前記伸長性紙の前記機械方向における伸長性が3%から20%の範囲である、請求項43に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項47】
前記スリットシートが、スリット列間に0.05から0.1インチ(0.127から0.254センチメートル)の範囲の間隔を有する、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項48】
支持レッグ部の数が、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを有するスリットシート紙の支持レッグ部の数よりも少なくとも20%多く、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを有するスリットシート紙に比べて、前記スリットパターンが、拡張と同時に、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりより多くのセルを形成し、より大きな耐潰れ性及び弾力性を緩衝用に提供する、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項49】
前記スリットシートが、スリット列間に0.125インチ(0.318センチメートル)未満の間隔を有する、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項50】
前記スリットシートが、スリット列間に0.1125インチ(0.2858センチメートル)未満の間隔を有する、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項51】
前記スリットシートが、スリット列間に0.0875インチ(0.2223センチメートル)未満の間隔を有する、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項52】
前記スリット幅が0.35インチ(0.89センチメートル)未満である、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項53】
前記スリット幅が0.30インチ(0.76センチメートル)未満である、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項54】
前記スリット幅がおおよそ0.25インチ(おおよそ0.64センチメートル)である、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項55】
前記スリットシート紙がスリットシート紙のロールである、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項56】
前記スリットシート紙のロールが、当該ロールから前記スリットシート紙を手動で取り外し、拡張させるために、前記スリットシート紙のロールを回転可能に支持するようになっている拡張装置に支持されている、請求項55に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項57】
請求項56に記載のスリットシート紙緩衝材製品の使用方法であって、手動で前記スリットシート紙を拡張状態で物品に巻き付けて、緩衝用に前記物品の周りに前記拡張スリットシート紙の複数の層を形成することを含む方法。
【請求項58】
前記スリットシート紙が、封筒の壁部の内側に、前記封筒の緩衝用に採用される、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項59】
前記封筒が、前記封筒の前記壁部の内側に、前記壁部の厚さが小さくなるように、緩衝用に1層の前記スリットシート紙を備える、請求項58に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項60】
前記封筒の前記壁部が、前記スリットシート紙の第1側に位置する外側紙層と、前記スリットシート紙の第2側における内側紙層とを含む、請求項58に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項61】
前記外側紙層及び/又は前記内側紙層がエンボスを有する、請求項60に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項62】
スリットシート紙が、拡張して前記複数の開口セルを形成する際に交互列拡張パターンを形成する、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項63】
スリットシート紙が、交互列拡張パターンを形成する前記複数の開口セルを有する拡張状態にある、請求項42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項64】
前記交互列拡張パターンが、前記拡張スリットシート紙の下側に位置する下側列の下側セル開口部と、前記拡張スリットシート紙の上側に位置する上側列の上側セル開口部とを有する交互列を含む、請求項63に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項65】
前記製品が、
拡張状態にある前記少なくとも1枚のスリットシート紙と、
前記拡張状態にある前記少なくとも1枚のスリットシート紙の第1面に対向し、前記少なくとも1枚の拡張スリット紙シートの周囲の少なくとも1つの部位に沿って前記少なくとも1枚のスリットシート紙に対して固定された第1紙シートと、
前記拡張状態にある前記少なくとも1枚のスリットシート紙の反対の面に対向し、前記少なくとも1枚のスリットシート紙の周囲の少なくとも1つの部位に沿って前記少なくとも1枚のスリットシート紙に対して固定された第2紙シートと、を備える封筒である、
請求項1、23又は42に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項66】
a)前記第1紙シート及び前記第2紙シートの少なくとも一方が、前記拡張状態にある前記少なくとも1枚のスリットシート紙の収縮力による前記第1及び第2紙シートの変形を抑制する複数のエンボスを有するエンボス加工シートである、又は
b)前記第1紙シート及び前記第2紙シートが、前記拡張状態にある前記少なくとも1枚のスリットシート紙の重量よりも大きい重量を有して、前記拡張状態にある前記スリットシート紙の収縮力による前記第1及び第2紙シートの変形を抑制する、エンボス加工されていないシートである、
請求項65に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項67】
前記スリットシート紙が伸長性紙から形成されている、請求項1に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項68】
前記伸長性紙が、機械方向において少なくとも5%の範囲で伸長可能である、請求項67に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項69】
前記伸長性紙が、横方向において少なくとも5%の範囲で伸長可能である、請求項67に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項70】
前記伸長性紙が、機械方向に少なくとも5%の範囲で伸長可能であり、横方向に少なくとも5%の範囲で伸長可能である、請求項67に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項71】
前記伸長性紙が、機械方向に少なくとも6%の範囲で伸長可能であり、横方向に少なくとも6%の範囲で伸長可能である、請求項67に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項72】
前記伸長性紙が、機械方向に少なくとも7%の範囲で伸長可能であり、横方向に少なくとも7%の範囲で伸長可能である、請求項67に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項73】
前記伸長性紙が、機械方向に少なくとも8%の範囲で伸長可能であり、横方向に少なくとも8%の範囲で伸長可能である、請求項67に記載のスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項74】
前記伸長性紙が、機械方向に5%から15%の範囲で伸長可能であり、横方向に5%から15%の範囲で伸長可能である、請求項67に記載されたスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項75】
前記伸長性紙が、機械方向に7%から15%の範囲で伸長可能であり、横方向に7%から15%の範囲で伸長可能である、請求項67に記載されたスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項76】
前記複数のスリットが、それぞれ0.15と0.40インチ(0.38と1.02センチメートル)との間の幅を有する、請求項67に記載されたスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項77】
前記複数のスリットが、それぞれ0.20と0.30インチ(0.76センチメートル)との間の幅を有する、請求項67に記載されたスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項78】
前記複数のスリットが、それぞれおおよそ0.225~0.275インチ(0.572~0.699センチメートル)の幅を有する、請求項67に記載されたスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項79】
前記複数のスリットが、それぞれ0.4インチ(1.02センチメートル)未満の幅を有する、請求項67に記載されたスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項80】
前記複数のスリットが、それぞれ0.35インチ(0.89センチメートル)未満の幅を有する、請求項67に記載されたスリットシート紙緩衝材製品。
【請求項81】
前記複数のスリットが、それぞれ0.3インチ(0.762センチメートル)未満の幅を有する、請求項67に記載されたスリットシート紙緩衝材製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先出願の相互参照
本願は、2019年7月15日に出願された米国仮出願第62/874,163号の非仮出願である、2020年7月15日に出願された米国出願第16/929,836号の一部継続出願であり、当該米国出願第16/929,836号は、2017年6月26日に出願された米国仮出願第62/524,905号の優先権を主張する、2020年6月26日に出願された米国出願第16/018,702号の継続出願であり、現在の米国特許第10,669,086号である、2020年5月12日に出願された米国出願第16/872,813号の一部継続出願でもある。上記の各優先出願の全開示内容は、全て本明細書に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照により組み込まれる特許及び特許出願の相互参照
a)2020年6月2日に発行された米国特許第10,669,086号、b)、c)2019年3月12日に発行された米国特許第10,226,907号、d)米国特許第10,226,907号の分割出願として2019年2月12日に出願された米国出願第16/274,028号の開示全体、及びe)2020年5月8日に出願された「伸長性紙、並びに拡張スリット梱包用ラップ及び間隙充填製品の製造におけるその使用」と題された16/870,195の全開示内容が、それぞれ、全て本明細書に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、拡張されて緩衝材製品として提供されるスリットシート材の使用に関する。好適な実施形態において、本発明は、特性及び特徴を向上させるための新規のスリットパターンを新規の紙特性と有利に組み合わせることで、大幅に改良されたスリットシート緩衝材製品を提供する。幾つかの例示的且つ非限定的な例としての実施形態において、本発明の緩衝材製品は、例えば、緩衝パッド又は封筒製品内部の緩衝材として採用される、例えば、伸長性紙と組み合わせた新規のスリットシート材を含み得る、当該緩衝材製品は、弾力性を大幅に高くすることができ、且つ、例えば、スペースをより有効に利用するために、より薄くすることができる。
【背景技術】
【0004】
参照により組み込まれる、拡張スリットシート紙の関連技術
本発明に使用可能な紙、スリットパターン、及び拡張プロセスに関する更なる情報が、米国特許a)第5,538,778号、b)第5,667,871号、c)第5,688,578号、d)第5,782,735号、e)第3,908,071号、f)第3,104,197号、g)第3,220,116号、h)第3,266,972号、i)第3,269,393号、j)第3,908,071号、k)第6,024,832号、l)第6,458,447号、及びm)第6,712,930号、米国出願第14/901,977号、PCT出願WO1984002936号、及び米国特許公開第2002/0060034号及び第2007/0240841号に記載されており、これらの全開示内容が、全て本明細書に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
好適な実施形態において、紙シートに適用される「拡張性」という用語は、例えば、米国特許(a)第5,538,778号、(b)第5,667,871号、(c)第5,688,578号、(d)第5,782,735号、(e)第10,226,907号、及びPCT出願第PCT/US2014/054615号に開示されているような、紙の膨張を可能にするスリットパターンを有する紙を意味し、これらの特許及び国際公開の全開示内容が、全て記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。好適な実施形態において、スリットパターンは、紙を長さ方向に拡張させつつ、それに伴って幅を縮小させるように構成されている。幾つかの実施形態では、スリットパターンによって、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる以下の米国出願及びPCT出願(a)第2017/0203866号、(b)第2018/022266号、(c)第2018/0127197号、及び(d)PCT/US2014/054615号のいずれかに記載された種類の拡張器等で加工されることで、スリットパターンによって長さが増加する紙が作られる。
【0006】
スリットシート梱包材である米国特許第5,667,871号及び第5,688,578号は、六角形の拡張シートを形成する平行に間隔を空けて配置された列を形成する複数の個々のスリットを、分離シートと共に使用すること、並びに分離シート無しで使用することを教示している。これは、梱包場所においてスリットシート材を拡張するための方法及び装置を教示する米国特許第5,538,778号に開示されたような、顧客の場所において紙を三次元形状に延伸する機械を必要とする。米国特許第5,782,735号には、米国特許第5,667,871号及び第5,688,578号のスリットシート材を拡張させるための拡張器が開示されている。
【0007】
参考のために、
図3(A)及び
図3(B)は、米国特許第5,667,871号(‘871特許)の
図1及び
図3に対応している。これらの図は、従来の「スリットシート」拡張性紙構造を説明している。‘871特許において説明されている。
【0008】
「図[3(A)]には、スリット加工機から取り出された、概して10と示されるスリット紙が示されている。シートは、平台型のスリット加工機で形成して、長方形のシートとして直接製造することも、回転型スリット加工機で形成し、個々のシートに切断する又はロール状の連続シートとして直接保管することもできる。可撓性シート10は、好適には、紙目が矢印Aの方向に延在している再生紙のみで製造される。可撓性シート10には、スリット14及びスリット16が設けられ、可撓性シート12の端部22および24に平行であり、紙目に直行している。スリット14及びスリット16は列状に配置され、ランド部20及びレッグ部21[
図3(B)に図示]によって互いに離間されている。ランド部20は一定の大きさであり、開口時に紙が千切れるのを防ぐのに必要な支持を提供する。荷重下においてランド部とレッグ部が屈曲することで、緩衝効果が生じる。そのため、ランド部20は、緩衝を提供するのに十分な大きさであることが必要である。スリット14とスリット16の列の間隔も、紙が破れないように十分な大きさでなければならない。スリット14とスリット16の列をずらして配置することで、開口時における紙の弾力性が得られる。これについては、更に詳細に後述する。可撓性シート10の端部25及び18においてスリット14及び16が部分的に存在しているが、これはスリット紙10の効率性を妨げるものではない。可撓性シート10は、平らな状態では、第1平面にある。」
【0009】
「拡張されると、概して12で示される拡張されたシートは、図[3(B)]に示すように、六角セル26、レッグ部21、及びランド部20の領域から形成される。好適には、少なくともランド部20の領域の多くは、複数の平行な平面内にある。ランド部20の平面は、平らな状態のシートの平面に対して少なくともおおよそ45度の角度をなす。」
【0010】
「シート材にスリットを切り込むスリット加工プロセスには、幾つかの形態がある。一実施形態では、矩形のシートに、全てのスリットが1回の動作で設けられる。矩形という用語は、4辺全てが等しい矩形、すなわち、正方形も含むものと理解されたい。シート材が回転切り込み又はスリット加工にかけられる場合、基本的に1列又は数列のスリットを同時に切り込むだけであるため、切り込み動作に必要な圧力は、平台状での切り込みに必要な圧力よりも大幅に低くなる。従来技術の構造やシステムとは異なり、スリット加工と同時に拡張することは望ましくない。従って、巻き取り工程でのセルの開口し難さと、拡張工程でのセルの開口し易さと間で丁度よいバランスを取らなければならない。この丁度よいバランスを実現し、平坦な未拡張シートを製造することで、シート材の有効厚さは、拡張したシート材の厚さの20分の1にもなる。コンパクトな構成によって、最適化された輸送と保管が実現する」
【0011】
好適な実施形態において、「スリットシート」という用語は、スリットパターンを有する拡張性紙シートを意味する。以下は、米国特許第5,667,871号(‘871特許)から直接引用したものである。
【0012】
まず、‘871特許の第10欄の第13~48行では、以下のように説明されている。
【0013】
「スリットの長さとスリット間のランド部の間隔の比率は、拡張工程中に形成される多角形の寸法に影響する。間隔の長さに対するスリットの長さの比率が高いほど、シートの平面とランド部の平面との間になし得る最大角度が大きくなる。形成される多角形状の開口領域の形状や大きさ、平坦なシートに対するランド領域の傾斜角度が均一であるほど、ランド領域の連結の度合いを高めることができる。ランド領域を連結させる、つまりシートの層を入れ子状にすることで、シートの有効厚さを減らすことができる。しかし、正味の効果としては、シートの有効厚さが劇的に増加した。例えば、1/2インチ(1.27センチメートル)のスリット、3/16インチ(0.48センチメートル)のスリット間隔、1/8インチ(0.32センチメートル)の列間隔のシルト(silt)パターンを有する厚さ0.008インチ(0.02センチメートル)の紙は、1/4インチ(0.64センチメートル)×3/16インチ(0.48センチメートル)のランド部を形成し、これは、おおよそ1/4インチ(0.64センチメートル)未満の厚さまで拡張でき、入れ子状にした場合、2層分の正味有効厚さがおおよそ0.375インチ(0.953センチメートル)となる。なお、ランド部の幅は、レッグ部の幅の2倍である。正味の効果としては、未拡張の紙の厚さの20倍程度まで有用な厚さが拡大する。」
【0014】
「シート材の剛性に対してスリットが長いほど、拡張構造の弱さに起因して、連結効果と緩衝効果が弱くなる。スリットが小さすぎると、拡張が著しく制限され、緩衝性が過度に制限される可能性がある。これは、寸法が狭い範囲で限定されているというよりも、むしろ、例えば必要とされる剛性の程度や緩衝又はエネルギー吸収効果等の紙の特性に対して寸法を選択しなければならないという意味である。ランド領域のサイズが大きくなるにつれて、拡張し難さが大きくなる。ある程度の開口し難さが望まれることを理解されたい。物体は、開口部の周囲を上下の端部に変えるランド部の傾斜によって形成されたシートの端部に載ったり、接触したりする。」
【0015】
次に、‘871特許の第10欄の第58~67行及び第11欄の第1~6行では、以下のように更に説明されている。
【0016】
「前述したように、スリット寸法は開口工程を容易にするために変えることができる。5/8インチ(1.59センチメートル)のスリット、3/16インチ(0.48センチメートル)のランド部×3/16の列は、六角形の数が減るので非常に開口し易い。六角形の大きさを大きくし、数を減らすと、延伸状態での厚みが増し、非常に実現可能な包装素材ができた。この大きさの設定により、紙の歩留まりが高まり、1/2インチ(1.27センチメートル)のスリットとほぼ同じ保護が可能になる。この大きさの設定により、包装製品の一体性を維持しながら、消費後廃棄物をより多く利用した安価な製品を提供することができる。1/2インチ(1.27センチメートル)のスリット、3/16インチ(0.48センチメートル)のランド×1/8インチ(0.32センチメートル)の列のパターンの場合、同じ体積内でより多くのラップを作ることができるため、より保護力の高いラップが製造される。従って、2.5ポンド(1.13キログラム)の花瓶を30インチ(76.2センチメートル)の高さから落とした場合、花瓶の周りに合計1/2インチ(1.27センチメートル)の厚さのシートしかなくても、1/2インチ(1.27センチメートル)のスリット、1/4×3/16インチ(0.64×0.48センチメートル)のランド部のパターンで保護することができる。」
【0017】
本発明者による先行米国特許第10,226,907号(‘907特許)には、背景となる「層状に重ねられ拡張された際に連結する拡張性スリットシート梱包材」が示されている。‘907特許では、製品は複数の層を含み、各層は複数の層間の「連結」のために異なるスリットパターンを有する。‘907特許の第2欄に説明されているように、「異なるスリットパターンは、拡張時に傾斜したランド領域を形成するが、これらは、1インチ(2.54センチメートル)当たりの列数は同じであるが、隣接する層同士が連結できるようにランド領域の傾斜角度が異なる。」‘907特許には、1つ層においてスリット長が0.4インチ(1.02センチメートル)である例が記載されているが、1)この0.4インチ(1.02センチメートル)のスリット長が、より大きな0.5インチ(1.27センチメートル)のスリット長を有する隣接層と組み合わせてのみ使用されること、及び2)この小さいスリット長を使用する上で、列間の距離を小さくしないこと(すなわち、列間の距離が、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリット長を有する隣接層と同じである必要があること)に注目されたい。従って、‘907特許は、本発明の改良されたスリットシート緩衝材製品や、それによる利点も教示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,538,778号
【特許文献2】米国特許第5,667,871号
【特許文献3】米国特許第5,688,578号
【特許文献4】米国特許第5,782,735号
【特許文献5】米国特許第3,908,071号
【特許文献6】米国特許第3,104,197号
【特許文献7】米国特許第3,220,116号
【特許文献8】米国特許第3,266,972号
【特許文献9】米国特許第3,269,393号
【特許文献10】米国特許第6,024,832号
【特許文献11】米国特許第6,458,447号
【特許文献12】米国特許第6,712,930号
【特許文献13】米国出願第14/901,977号
【特許文献14】PCT出願WO1984002936号
【特許文献15】米国特許公開第2002/0060034号
【特許文献16】米国特許公開第2007/0240841号
【特許文献17】米国特許第10,226,907号
【特許文献18】PCT出願PCT/US2014/054615号
【特許文献19】米国出願第2017/0203866号
【特許文献20】米国出願第2018/022266号
【特許文献21】米国出願第2018/0127197号
【特許文献22】米国出願第14/901,997号
【特許文献23】米国非仮出願第15/428,144号
【特許文献24】米国特許第8,518,522号
【特許文献25】PCT出願PCT/US2019/045027号
【特許文献26】米国特許出願第16/531,017
【特許文献27】米国出願第16/870,195号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】「Understanding Sheet Extensibility」,R.S.Seth,(Pulp and Paper Research Institute of Canada 3800 Wesbrook Mall Vancouver,BC,Canada V6S 2L9)Pulp & Paper Canada T31, 106:2(2005)III,pages 33-40(T31-T38)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の好適な実施形態は、関連技術の様々な問題や限界を改善し、克服するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
好適な実施形態は、前述の技術及び/又は他の関連技術を克服し、改善するものである。本発明の幾つかの実施形態によれば、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりより多くのセルを形成するスリットパターンを使用することで、ラップとして又は封筒(幾つかの例示的且つ好適な封筒の実施形態において、封筒は凹凸のある紙の少なくとも内層または外層を含む)用のパッドとして使用される場合に、内部に梱包された物品を緩衝するためにより大きな耐潰れ性および弾力性を提供する。
【0022】
最も好適な実施形態では、改良されたスリット配置を採用した拡張紙緩衝材製品が提供され、拡張紙は伸長性紙である。
【0023】
本発明の幾つかの好適な実施形態において、本発明は、本明細書の最後に記載された請求項1~81のうちの1つ以上の特徴を備えることができる。
【0024】
幾つかの好適な実施形態において、スリットのスリット紙パターンは、有利には、0.2から0.3インチ(0.51から0.76センチメートル)の範囲のスリット(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)と、0.06から0.7インチ(0.15から1.78センチメートル)の範囲の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)とを有する。好適には、スリットのスリット紙パターンは、有利には、おおよそ0.25インチ(おおよそ0.64センチメートル)(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)のスリットと、おおよそ0.06~おおよそ0.065インチ(おおよそ0.15~おおよそ0.165センチメートル)の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)を有し、最も好適にはおおよそ0.0625インチ(おおよそ0.1588センチメートル)の列間隔とを有する。
【0025】
好適には、各列のスリット間隔はおおよそ0.1~おおよそ0.09インチ(おおよそ0.25~おおよそ0.23センチメートル)の範囲であり、最も好適には、各列のスリット間隔はおおよそ0.094インチ(おおよそ0.239センチメートル)である。
【0026】
上述の寸法により、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりより多くのセルを形成し、薄い封筒を提供しつつも、封筒内に梱包された物品の緩衝のための耐潰れ性と弾力性を提供するスリットパターンが作られる。幾つかの好適な実施形態において、本明細書で採用された「薄い封筒」という用語は、封筒の袋領域704における最外層間の距離を指す。
【0027】
有利には、好適な実施形態において、これらの実施形態は、伸長性紙で構成される。
【0028】
幾つかの好適な実施形態において、スリットのスリット紙パターンは、有利には、0.30から0.45インチ(0.76から1.14センチメートル)の範囲のスリット(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)と、0.1125から0.1688インチ(0.29から0.43センチメートル)の範囲の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)とを有する。最も好適には、これらの後者の実施形態は、伸長性紙で構成される。
【0029】
幾つかの好適な実施形態において、スリット紙は、スリット幅が0.45インチ(1.14センチメートル)+5%~-33%のスリットを有する(すなわち、ここでは、スリット幅とはスリットの長さ方向の寸法を指す)。最も好適には、これらの後者の実施形態も、やはり伸長性紙で構成される。
【0030】
幾つかの好適な実施形態では、スリットパターンによって、有利には、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりにつき、スリット(切れ目)幅が0.5インチ(1.27センチメートル)であるスリット紙よりも少なくとも20%多い数のレッグ部を有する拡張性スリット紙が製造される。
【0031】
幾つかの好適な実施形態において、本発明の拡張スリット紙緩衝材製品は、1平方フィート(0.09平方メートル)当たり、スリット(切れ目)幅が0.5インチ(1.27センチメートル)であるスリット紙よりも少なくとも15%多い数のレッグ部を有する。幾つかの好適な実施形態において、本発明の拡張スリット紙緩衝材製品は、1平方フィート(0.09平方メートル)当たり、スリット(切れ目)幅が0.5インチ(1.27センチメートル)であるスリット紙よりも20%から50%までの範囲で多い数のレッグ部を有する。
【0032】
また、本発明者は、拡張性スリットシート紙の緩衝特性を向上させる新規の手段を発見し、これはスリットパターンの寸法の「縮小」を伴う一方で、このスリットパターンの寸法の縮小は、従来の拡張性スリットシート紙では実現不可能である(すなわち、このような小さいサイズを実現不可能である)「だけでなく」、このような拡張性スリットシート紙によって得られる緩衝特性に関する既存の理解からは「外れた」ものであることに留意すべきである。特に、拡張性スリットシート紙の緩衝性は、拡張性スリットシート紙の拡張状態における「幅」に直接関係する。従って、当業者は、緩衝性を高めるために、この拡張スリットシート紙の幅を実際に「拡大」しようとしてきた。しかし、本発明者は、より小さなスリットパターンを(例えば、伸長性紙を用いて)実現できる手段を発見し、そのような伸長性紙を用いたそのようなより小さなスリットパターンが、拡張性スリットシート紙の「幅」の減少によって緩衝性が失われるにもかかわらず、実際に、緩衝性を高められることを発見した。更に、本発明者は、そのような新規の拡張性スリットシート紙の他の望ましい用途や使い方も発見した。
【0033】
幾つかの好適な実施形態によれば、機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するスリットシート紙を備えるスリットシート紙緩衝材製品であって、スリット幅が0.45インチ(1.14センチメートル)+5%から0.45インチ(1.14センチメートル)-33%であり、スリットシート紙が、スリットパターンがない状態において機械方向及び横方向に伸長可能になっており、機械方向における伸長性が3%から20%の範囲である伸長性紙から形成されている、スリットシート紙緩衝材製品が提供される。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態によれば、機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するシート紙を備えるスリットシート紙緩衝材製品であって、スリット幅が0.5インチ(1.27センチメートル)より少なくとも10%小さく、スリットシート紙が、スリットパターンがない状態において機械方向及び横方向に伸長可能になっており、機械方向における伸長性が3%から20%の範囲である伸長性紙から形成されている、スリットシート紙緩衝材製品が提供される。
【0035】
幾つかの好適な実施形態によれば、機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するスリットシート紙を少なくとも1枚備えるスリットシート紙緩衝材製品であって、スリット幅が0.5インチ(1.27センチメートル)よりも少なくとも10%小さく、スリットシート紙が、拡張スリットシート紙の下側に位置する下側列の下側セル開口部と、拡張スリットシート紙の上側に位置する上側列の上側セル開口部とを有する交互列を含む交互列拡張パターンに拡張する拡張性紙から形成されているスリットシート紙緩衝材製品が提供される。幾つかの実施形態によれば、スリットシート紙は、伸長性紙で構成されている。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、機械方向において少なくとも5%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、横方向において少なくとも5%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、スリットパターンがない状態において機械方向及び横方向に伸長可能であり、伸長性紙の機械方向における伸長性が3%から20%の範囲である。
【0036】
幾つかの実施形態において、スリットシートは、スリット列間に0.1125から0.1688インチ(0.29から0.43センチメートル)の範囲の間隔を有する。幾つかの実施形態において、スリットシートは、スリット列間に0.125インチ(0.318センチメートル)未満の間隔を有する。幾つかの実施形態において、スリットシートは、スリット列間に0.1125インチ(0.2858センチメートル)未満の間隔を有する。幾つかの実施形態において、スリットシートは、スリット列間に0.0875インチ(0.2223センチメートル)未満の間隔を有する。幾つかの実施形態において、スリット幅は0.40インチ(1.02センチメートル)未満である。幾つかの実施形態において、スリット幅は0.35インチ(0.89センチメートル)未満である。幾つかの実施形態において、スリット幅は0.30インチ(0.76センチメートル)未満である。
【0037】
幾つかの実施形態において、スリットシート紙はスリットシート紙のロールである。幾つかの実施形態において、スリットシート紙のロールは、当該ロールからスリットシート紙を手動で取り外し、拡張させるために、スリットシート紙のロールを回転可能に支持するようになっている拡張装置に支持されている。幾つかの実施形態において、スリットシート紙緩衝材製品の使用方法は、手動でスリットシート紙を拡張状態で物品に巻き付けて、緩衝用に物品の周りに拡張スリットシート紙の複数の層を形成することを含む。
【0038】
幾つかの実施形態において、スリットシート紙は、封筒の壁部の内側に、封筒の緩衝用に採用される。幾つかの実施形態において、封筒は、封筒の壁部の内側に、壁部の厚さが小さくなるように、緩衝用に1層のスリットシート紙を備える。幾つかの実施形態において、封筒の壁部は、スリットシート紙の第1側に位置する外側紙層と、スリットシート紙の第2側における内側紙層とを含む。幾つかの実施形態において、外側紙層及び/又は内側紙層はエンボスを有する。
【0039】
幾つかの実施形態において、スリットシート紙は、拡張して複数の開口セルを形成する際に交互列拡張パターンを形成する。幾つかの実施形態において、スリットシート紙は、交互列拡張パターンを形成する複数の開口セルを有する拡張状態にある。幾つかの実施形態において、交互列拡張パターンは、拡張スリットシート紙の下側に位置する下側列の下側セル開口部と、拡張スリットシート紙の上側に位置する上側列の上側セル開口部とを有する交互列を含む。
【0040】
幾つかの実施形態において、支持レッグ部の数は、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを有するスリットシート紙の支持レッグ部の数よりも少なくとも20%多く、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを有するスリットシート紙に比べて、スリットパターンが、拡張と同時に、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりより多くのセルを形成し、より大きな耐潰れ性及び弾力性を緩衝用に提供する。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、スリットシート紙緩衝材製品は、拡張状態にある少なくとも1枚のスリットシート紙と、拡張状態にある少なくとも1枚のスリットシート紙の第1面に対向し、少なくとも1枚の拡張スリット紙シートの周囲の少なくとも1つの部位に沿って少なくとも1枚のスリットシート紙に対して固定された第1紙シートと、拡張状態にある少なくとも1枚のスリットシート紙の反対の面に対向し、少なくとも1枚のスリットシート紙の周囲の少なくとも1つの部位に沿って少なくとも1枚のスリットシート紙に対して固定された第2紙シートと、を備える封筒である。幾つかの実施形態において、a)第1紙シート及び第2紙シートの少なくとも一方が、拡張状態にある少なくとも1枚のスリットシート紙の収縮力による第1及び第2紙シートの変形を抑制する複数のエンボスを有するエンボス加工シートである、又はb)第1紙シート及び第2紙シートが、拡張状態にある少なくとも1枚のスリットシート紙の重量よりも大きい重量を有して、拡張状態にあるスリットシート紙の収縮力による第1及び第2紙シートの変形を抑制する、エンボス加工されていないシートである。
【0042】
本発明の幾つかの他の実施形態によれば、機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するスリットシート紙を少なくとも1枚備えるスリットシート紙緩衝材製品であって、スリットシート紙が、拡張スリットシート紙の下側に位置する下側列の下側セル開口部と、拡張スリットシート紙の上側に位置する上側列の上側セル開口部とを有する交互列を含む交互列拡張パターンに拡張する拡張性紙から形成されている、スリットシート紙緩衝材製品が提供される。幾つかの実施形態によれば、スリットシート紙は、伸長性紙で構成されている。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、機械方向において少なくとも5%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、横方向において少なくとも5%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、機械方向に少なくとも5%の範囲で伸長可能であり、横方向に少なくとも5%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、機械方向に少なくとも6%の範囲で伸長可能であり、横方向に少なくとも6%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、機械方向に少なくとも7%の範囲で伸長可能であり、横方向に少なくとも7%の範囲で伸長可能である。幾つかの最も好適な実施形態によれば、伸長性紙は、機械方向に少なくとも8%の範囲で伸長可能であり、横方向に少なくとも8%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、機械方向に5%から15%の範囲で伸長可能であり、横方向に5%から15%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、伸長性紙は、機械方向に7%から15%の範囲で伸長可能であり、横方向に7%から15%の範囲で伸長可能である。幾つかの実施形態によれば、複数のスリットは、それぞれ0.35と0.65インチ(0.89と1.65センチメートル)との間の幅を有する。幾つかの実施形態によれば、複数のスリットは、それぞれ0.45と0.55インチ(1.14と1.40センチメートル)との間の幅を有する。幾つかの実施形態によれば、複数のスリットは、それぞれおおよそ0.5インチ(おおよそ1.27センチメートル)の幅を有する。幾つかの実施形態によれば、複数のスリットは、それぞれ0.5インチ(1.27センチメートル)未満の幅を有する。幾つかの実施形態によれば、複数のスリットは、それぞれ0.45インチ(1.14センチメートル)未満の幅を有する。幾つかの実施形態によれば、複数のスリットは、それぞれ0.4インチ(1.02センチメートル)未満の幅を有する。
【0043】
様々な実施形態の上記の及び/又は他の態様、特徴、及び/又は利点は、添付の図と共に以下の説明を見ることで、更に理解されるだろう。様々な実施形態は、必要に応じて、異なる態様、特徴、及び/又は利点を含める、且つ/又は除外することができる。加えて、様々な実施形態は、必要に応じて、他の実施形態の1つ以上の態様又は特徴を組み合わせることができる。特定の実施形態の態様、特徴、及び/又は利点の説明は、他の実施形態又は請求項を限定するものと解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本特許又は出願の書類には、少なくとも1つのカラー図面が含まれている。本特許又は特許出願公開公報のカラー図面付きの写しは、請求及び必要な手数料の支払いを行うことで、特許庁より提供される。本発明の好適な実施形態は、添付の図に例示的に示されているが、これらには限定されない。
【
図1】
図1は、2つのスリットパターン、及びそれぞれに対応した1平方フィート(0.09平方メートル)当たりのセル数を示す説明用の平面図である。
【
図2】
図2は、背景技術に対する本発明の幾つかの実施形態を表す、拡張スリットシート材のセル構造の説明用の側面図である。
【
図3】
図3(A)は、具体的には米国特許第5,667,871号の
図1に対応する、未拡張状態にある背景技術に係る例示的なスリットシート紙の平面図であり、
図3(B)は、具体的には米国特許第5,667,871号の
図3に対応する、拡張状態にある背景技術に係る例示的なスリットシート紙の平面図である。
【
図4(A)】
図4(A)は、
図3(B)に示すものと略同様に開口する、クラフト紙を採用したサンプルの拡張スリットシート紙の上面図を示す。
【
図4(B)】
図4(B)は、
図4(A)に示された同じ拡張スリットシート紙の拡張されたセル内部を真っすぐに見られるように、当該拡張紙の平面に対して斜めから見た、当該紙の上面図を示す。
【
図4(C)】
図4(C)は、
図4(A)及び
図4(B)に示された同じ拡張スリットシート紙を、当該拡張紙の平面に対して、
図4(B)に示す角度とは反対の角度から見た上面図を示す。
【
図4(D)】
図4(D)は、
図4(A)~
図4(C)に示された同じ拡張スリットシート紙の上面図であり、
図4(D)の下端近傍の当該拡張紙の平面に対してより低い位置から、当該紙の平面に対して斜めから見た上面図である。
【
図5(A)】
図5(A)は、本発明の幾つかの好適な実施形態に係る拡張スリットシート紙の新規な交互列拡張パターンの上面図を示す。
【
図5(B)】
図5(B)は、
図5(A)に示された拡張スリットシート紙の上面図であって、
図5(A)の図における右上側から拡張スリットシート紙を見るように、当該紙の面に対して斜めから見た上面図を示す。
【
図5(C)】
図5(C)は、
図5(A)に示された拡張スリットシート紙の上面図であって、
図5(A)の図における左上側から拡張スリットシート紙を見るように、当該紙の面に対して斜めで、
図5(B)に示す角度よりも低い角度から見た上面図を示す。
【
図5(D)】
図5(D)は、
図5(A)に示された拡張スリットシート紙の上面図であって、
図5(A)の図における下側から拡張スリットシート紙を斜めに見るように、当該紙の面に対して斜めから見た上面図を示す。
【
図5(E)】
図5(E)は、
図5(A)に示された拡張スリットシート紙を、拡張スリットシート紙の反対側から見た(すなわち、
図5(A)の図における拡張スリットシート紙を裏側から上方に向かって見た)背面図を示す。
【
図5(F)】
図5(F)は、
図5(A)に示された拡張スリットシート紙を、拡張スリットシート紙の反対側から見た(すなわち、
図5(A)の図における拡張スリットシート紙を裏側から上方に向かって見た)背面図であって、
図5(E)の図における左下側から拡張スリットシート紙を当該紙の平面に対して斜めに見た背面図を示す。
【
図5(G)】
図5(G)は、
図5(A)に示された拡張スリットシート紙を、拡張スリットシート紙の交互列パターンがより明確に描かれるように拡張スリットシート紙の平面により近い角度から見たこと除いて、
図5(F)に示した方向と同様の方向から見た背面図を示す。
【
図5(H)】
図5(H)は、
図5(A)に示された拡張スリットシート紙の上面図であって、
図5(A)の図における上側から拡張スリットシート紙を斜めに見るように、当該紙の面に対して斜めから見た背面図を示す。
【
図6】
図6(A)~
図6(C)は、本発明の好適な実施形態に係る交互列拡張パターンの形成を示しており、
図6(A)は、紙シートに形成される例示的なスリットパターンを示し、
図6(B)は、参照用に強調表示した拡張前の紙の領域を含む
図6(A)のスリットパターンを示し、
図6(C)は、
図6(B)に示されたスリットパターンと同様のスリットパターンであり、拡張状態のスリットパターンを有する例示的な拡張スリットシート紙の写真である。
【
図7】
図7(A)及び
図7(B)は、本発明の幾つかの好適な実施形態による、スリット長の減少に伴うセル密度の増加を示す説明図である。
【
図8】
図8(A)及び
図8(B)は、米国特許出願第16/531,017号の
図1及び
図7にそれぞれ対応し、
図8(A)は、封筒を形成するために使用される幾つかの好適な実施形態に係る例示的なパッドの断面側面図を示し、
図8(B)は、幾つかの例示的な実施形態に係る
図8(A)の封筒パッドを使用して形成された封筒の斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8(B)に対応する例示的な例であり、外面904と902との間の距離を両矢印900で示した、封止された構成の封筒600を示す。
【
図10】
図10は、幾つかの好適な実施形態に係るスリットパターンを示す概略図であり、幾つかの好適な実施形態に係る図には、例示的な寸法が描かれている。 添付図面のうち、
図4(A)~
図4(D)、
図5(A)~
図5(G)、及び
図6(C)は、実際の製品の写真である。従って、これらの写真は、縮尺に合わせて例示的な例を示しており、これらの図が縮尺に合わせて例示的な例を示し、これらの図に示されている角度や相対的な寸法は、そのような例示的な例においてこれらの図に示されている通りである。従って、例えば、拡張スリットシート紙のランド部、レッグ部、及び他の部分の角度は、幾つかの実施形態では、このような図に示す通りにすることができる。また、幾つかの代替的な実施形態では、そのような示された角度及び相対的な寸法は、例えば、幾つかの例では±15%、幾つかの他の例では±10%等のように、僅かに変化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、多くの異なる形態で具現化され得るが、例示的な実施形態は、本開示が本発明の原理の例を提供するものとみなされること、及びそのような例が、本明細書に記載され、且つ/又は本明細書に例示された好適な実施形態に本発明を限定することを意図していないことを理解した上で、本明細書に記載されている。
【0046】
好適な実施形態の概要
好適な実施形態において、本発明は、特性及び特徴を向上させるための新規のスリットパターンを新規の紙特性と有利に組み合わせることで、大幅に改良されたスリットシート緩衝材製品を提供する。幾つかの例示的且つ非限定的な例としての実施形態において、本発明の緩衝材製品は、例えば、緩衝パッド又は封筒製品内部の緩衝材としてとして採用される、例えば、伸長性紙と組み合わせた新規のスリットシート材を含み得り、当該緩衝材製品は、弾力性を大幅に高くすることができ、且つ、例えば、スペースをより有効に利用するために、より薄くすることができる。
【0047】
好適な実施形態において、新規の伸長性紙を用いるとともに、例えば、スリット長を短くし、列間隔を短くして圧縮されたスリットパターンを含む、従来の拡張スリット紙製品では実現不可能であった改良されたスリット配置を採用した拡張紙緩衝材製品が提供される。
【0048】
本発明の幾つかの実施形態によれば、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりより多くのセルを設けつつ、緩衝のためのより高い耐潰れ性と弾力性を実現する新規なスリットパターンを作ることができる。例えば、好適な実施形態は、容器内に入れられた物品の包装(例えば、緩衝用ラップとしての使用)に、又は封筒用のパッド(幾つかの例示的な好適な封筒の実施形態において、当該封筒は凹み付き紙の少なくとも内層または外層を含む)として、大きな利点を有する。
【0049】
幾つかの好適な実施形態において、スリットのスリット紙パターンは、有利には、0.30から0.45インチ(0.76から1.14センチメートル)の範囲のスリット(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)と、0.1125から0.1688インチ(0.29から0.43センチメートル)の範囲の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)とを有する。最も好適には、これらの実施形態は、伸長性紙で構成される。
【0050】
幾つかの好適な実施形態において、スリット紙は、スリット幅が0.45インチ(1.14センチメートル)+5%~-33%のスリットを有する(すなわち、ここでは、スリット幅とはスリットの長さ方向の寸法を指す)。最も好適には、これらの実施形態も、やはり伸長性紙から構成される。
【0051】
幾つかの好適な実施形態では、スリットパターンによって、有利には、1平方フィート(0.09平方メートル)当たり、スリット(切れ目)幅が0.5インチ(1.27センチメートル)であるスリット紙よりも少なくとも20%多い数のレッグ部を有する拡張性スリット紙が製造される。
【0052】
幾つかの好適な実施形態において、本発明の拡張スリット紙緩衝材製品は、1平方フィート(0.09平方メートル)当たり、スリット(切れ目)幅が0.5インチ(1.27センチメートル)であるスリット紙よりも少なくとも15%多い数のレッグ部を有する。幾つかの好適な実施形態において、本発明の拡張スリット紙緩衝材製品は、1平方フィート(0.09平方メートル)当たり、スリット(切れ目)幅が0.5インチ(1.27センチメートル)であるスリット紙よりも20%から50%までの範囲で多い数のレッグ部を有する。
【0053】
本発明によれば、緩衝特性が大幅に向上した拡張スリットシートを作成できる。本発明の幾つかの実施形態において、上記の緩衝特性の向上は、以下の内の一以上又は全てによって実現可能である。
【0054】
好適な実施形態においては、伸長性紙を用いることで、「より容易に開口する」構造が実現し、これにより、より小さいセルが作成可能になる。より小さいセルによって、有利には、セル密度が増加し、ひいては、緩衝特性が向上する。
【0055】
幾つかの好適な実施形態においては、伸長性紙を用いることで、従来の拡張パターンと比較して緩衝特性が大幅に向上した(本明細書において以下に記載の新規の交互列拡張パターンに関する記述を参照)「交互列拡張パターン」が実現する。
【0056】
また、本発明によれば、例えば、以下のような新規且つ従来では実現し得なかった緩衝材製品が作成可能である。
【0057】
幾つかの好適な実施形態において、従来の封筒構造に比して大きな利点を有する新規の封筒構造が実現可能である。例えば、本発明によれば、大幅に薄くなった緩衝拡張スリットシート(例えば、列間隔が大幅に小さくなったもの)が実現可能になり、また、単一の層又はわずか数層で十分な緩衝が提供される。従って、大幅に幅が狭くなった封筒を、しかも単一の緩衝層で実現することができる。更に、当該封筒は、より軽量な紙で作ることができ、これにより、より使い易く(例えば、より低硬度)、より軽量な製品(例えば、輸送コストの削減)が実現する。特に、製品重量がより軽量であることと製品幅がより狭いことが、共に輸送コストの低減に有利につながる。
【0058】
幾つかの好適な実施形態において、例えば、緩衝特性が向上し、例えば、幾つかの用途において必要とされる緩衝層の数を減らせる、必要とされる緩衝材の量を減らせる、また、本明細書に記載されるような他の利点や利益が得られる等、従来の緩衝用ラップに比して大きな利点を有する新規の緩衝用ラップを実現できる。
【0059】
好適な実施形態に採用される伸長性紙
幾つかの最も好適な実施形態において、上記第米国特許第10,669,086号に記載されているような伸長性紙が採用される。このために、本項における以下の段落(引用部分)では、‘086特許から引用され、本発明の好適な実施形態に採用され得る、幾つかの好適な実施形態に係る伸長性紙の詳細が記載されている。
【0060】
「本発明の目的上、紙シートに適用される「伸長性」という用語は、紙シートの長手方向に力を加えることにより、紙シートの長手方向に延伸できる紙シートを意味する。米国特許第3,908,071号、米国特許出願第14/901,977号(米国特許第9,945,077号)、国際出願第WO1984002936号、米国公開第2002/0060034号、第2007/0240841号(米国特許第7,918,966号)、及び米国特許第3,104,197号、第3,220,116号、第3,266,972号、第3,269,393号、第3,908,071号、第6,024,832号、第6,458,447号、及び第6,712,930号には、例示的な伸長性シートが開示されており、これらの全開示内容は、全て記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。伸長性紙の延伸は、スリットが入れられていない紙で測定しなくてはならないことを理解されたい。米国特許第3,266,972号に開示されているように、伸び(伸長性)特性の測定に採用される試験及び特性評価手順を、標準のTAPPI試験Elongation T457に準拠させることが可能である。さらに、米国特許第3,266,972号に開示されているように、「伸長性紙」という表現は、標準的な非伸長性のクラフト紙と比較して、機械方向に増大可能な伸びを示す紙を意味する。」
【0061】
「幾つかの好適な実施形態では、伸長性紙は、基本的に、乾燥方法中に給紙処理を遅くすることによって紙繊維の蓄積を変化させて、紙にひだをつけた場合に見られるような、紙に微細なサイズの紙の列があるように見える余分な繊維を捕捉することによって製造することができる。その違いは、伸長性紙の微細な列が、乾燥処理と同時にバインダーやその他の種類の接着剤を使用することで互いに接着されることである。それ自体から容易に切り離されない伸長性の非クレープ紙を作ることを目的とする米国特許出願第2007/0240841号(米国特許第7,918,966号)が参照される。また、伸長性紙は、表面も非常に平坦である。」
【0062】
「本発明の好適な実施形態において、採用される伸長性紙は、他の種類の伸長性紙と比較して低い伸長特性を有する。この点で、最適な伸長性紙は、伸長性スリットシート紙材を拡張開始時にわずかに延伸することで、スリットシートの未拡張状態から拡張状態への円滑な遷移を可能にする。」
【0063】
「幾つかの例示的な構成では、スリットシートの拡張時において、拡張を開始するのに必要な力は、拡張を継続するのに必要な力よりも大幅に大きい。例えば、紙が最初にスリットで曲がり始めると、スリットで継続的に曲げられる間、拡張がより容易に継続される。この継続的な曲げの間、スリットシートの拡張を継続するために必要な力は、上述の初期の拡張に比べて劇的に減少する。幾つかの好適な実施形態では、伸長性スリットシート紙は、拡張を開始するのに必要な力を大幅に減少させる。一方、幾つかの好適な実施形態では、上述の継続的な拡張の間、伸長性紙は、スリットシート紙の拡張工程と同時に大幅に延伸することはない。さもなければ、拡張シートは、緩衝用ラップとして最適なものにならない場合がある。」
【0064】
本願において、本発明の機能に関する全ての理論は、限定するためではなく、本発明の思想を理解し易くするために提供されていることに留意されたい。伸長性紙は、設計の通り、紙強度の増大の一環として延伸する。幾つかの実施形態では、本発明の機能は、伸長性スリットシート紙が、伸長特性を十分に利用して、セルを延伸形状へ回転させ易くし、また、拡張工程中にスリットシートを破れ難くすることを含む。これは、セルが回転する(すなわち、スリットの両側にあるレッグ部38a及び38bとランド部20との間の回転が開始する)初期時点において、伸長性スリットシート紙が、伸長性紙の延伸能力によって大幅に強化されることを意味する。このように、幾つかの実施形態では、本発明の機能は、この初期時点において伸長性紙の特性を十分に利用し、且つセルが立体形状へと回転し始めると直ちに実質的に終了する(すなわち、この初期時点の後、紙の伸長可能な性質への依存が減少する又はなくなる)ことを含む。その初期時点を過ぎると、紙の種類に関係なく、スリットパターンの特性により、六角形を形成する点までより容易に開口する。従って、幾つかの実施形態では、伸長特性は、実質的には拡張の初期の瞬間でのみ発揮される。幾つかの他の実施形態では、紙の伸長特性は、最も実質的にはこの回転の初期時点において発揮されるが、紙の伸長特性は、紙の更なる拡張時に一定の作用を与えることができ、これにより、拡張の初期時点を、伸長性によって大幅に促進でき、更なる拡張も、伸長性によって少なくともある程度促進できる。
【0065】
「幾つかの好適な実施形態では、採用され得る好適な伸長性紙は、セメントや種等といった重たい物用の多層袋の使用のために見出された種類の延伸を実現することをその伸長可能性質の目的とする伸長性紙を含む。米国特許公開第2016/0355985号(米国出願第14/901,997号)並びに米国特許第3,104,197号及び第3,266,972号は、この形態の伸長性紙の製造及び特性を教示している。R.S.Seth,「Understanding sheet extensibility」,Pulp&Paper Canada T31,106:2(2005)III,pages 33~40(T31~T38)に更なる教示が見られる。上述の特許、特許公開、及び刊行物の全開示内容が、全て記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。」
【0066】
「従来の拡張スリットシート技術(例えば、米国特許第5,538,778号、第5,667,871号、第5,688,578号、及び第5,782,735号を参照)は、拡張工程中の破れを抑制する紙強度に注目しており、必要とされる強度が、満足のいく包装製品を作るのに必要な厚さと一致していたため、クラフト紙は満足のいくものであった。拡張可能なシートの増加した強度は、スリットシート材の拡張の価値/性能には寄与せず、これらを高めない。本発明者は、伸長性シートを使用することにより、拡張性スリットシート紙を大幅に改良できることを見出した。好適な実施形態において、この伸長性スリットシート紙の使用によって、有利には、スリットシートを開口させるのに必要な力が低減され、これによって、拡張スリットシートの使用者がより素早く且つ容易に拡張操作を行えるようになる。スリットシートの拡張開始時における力の低減に起因する予期せぬ利点は、スリットシート梱包製品に予期せぬ改良をもたらし、伸長性紙を採用することを非常にユニークなものにしている。なお、従来の拡張スリットシート紙は、本発明やその潜在的な利点が考慮されることなく、何十年もの間、市場に存在し、広く使用されている。」
【0067】
「本願で説明しているように、本発明者は、拡張性スリットシート紙を拡張させるのに必要な力が、伸長性スリットシート紙を拡張させるのに必要な力よりもはるかに大きいことを発見した。一例として、拡張前の幅が15インチ(38.1センチメートル)である50ポンド(22.68キログラム)のクラフト紙の拡張性スリットシートは、1インチ(2.54センチメートル)当たり約4~6ポンド(1.81~2.72キログラム)又は0.4ポンド(0.18キログラム)必要であるのに対し、同じ紙重量の伸長性スリットシートを拡張させるのに必要な力は、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15~0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)である。これは各紙の顕著な違いである。クラフト紙は、満足のいく拡張性スリットシートを提供できる強度を有している。しかし、意外なことに、伸長性スリットシートは、引張強度を高めるという伸長性紙の主な目的ではなく、むしろその延伸能力に基づき、スリットシートを拡張させるのに必要な力を大幅に軽減するような拡張し易さを付与する。伸長性紙はコストが高く、クラフト紙は十分な強度があったため、伸長性紙が、例えば米国特許第5,538,778号、第5,667,871号、第5,688,578号、第5,782,735号、及び米国非仮出願第15/428,144号に見られる種類のスリット紙シートの製造に役立つことは、以前は知られていなかった。例えば、伸長性スリットシートが、かつては包装製品としての適用性を持っていなかった軽量で薄い紙と同等の強度を実現できるとは考えられていなかった。軽量クラフト紙は、より重たいクラフト紙よりも容易に破れる。現在では、伸長性紙によって、より重たい拡張スリットシート紙で実現するより硬い緩衝と比べて、スリットシートが拡張された際に、壊れやすい物が必要とするより優しい緩衝も有利に実現する、より軽量の拡張スリットシート紙の使用が可能であることが判明している。」
【0068】
「所定の製造技術に基づいた紙強度を説明する米国特許公開第2016/0355985号(現在は米国特許第9,945,077号)の第5頁における表1のグラフを、その全体が記載されるかのように特に参照する。グラフには、機械方向(MD)及び短手方向とも称される横方向(CD)の2つの副次的な欄へと分かれる、紙の破断(又は繊維の引裂)の時点における伸びを説明する欄がある。表1の伸び率は、横方向(CD)に5.3%から7.1%且つ機械方向(MD)に3.3%から10.6%の範囲に及ぶ。」
【0069】
「また、CD又は横方向に3.7%から4.6%且つ機械方向に9.7%から11.1%の範囲の割合の伸びを示す、米国特許第3,266,972号の段5の表IIIも参照する。」
【0070】
「‘985及び‘972の両方における変動は、横方向又は機械方向のいずれかにおける引張強度及び延伸性を適宜重視する製造処理に基づく。」
【0071】
「本発明者は、梱包用ラップ及び/又は間隙充填物として使用される伸長性スリットシート紙を拡張させる上で、1%~9%、好適には1%~6%、最も好適には1%~4%の機械方向の伸長可能範囲であれば、適切な伸長性が得られることを発見した。伸長性が低いほど、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりの紙のコストがより低くなる。上述したように、伸長性は、スリットが入れられていない紙で測定されるものと理解されたい。」
【0072】
「幾つかの代替的な実施形態では、伸長性スリットシート紙の機械方向の伸長性の範囲は、以下の範囲を含み得る。
a)1.5%から9%、より好適には1.5%から6%が好ましく、更により好適には1.5%から4%、
b)2%から9%、より好適には2%から6%が好ましく、更により好適には2%から4%、又は
c)3%から9%、より好適には3%から6%が好ましく、更により好適には3%から4%。」
【0073】
「梱包用ラップ及び/又は間隙充填物として使用されるスリットシート紙を拡張する上で、1%~5%、好適には1%~4%、最も好適には1%~3%の横方向の伸長可能範囲であれば、適切な伸長性が得られることが判明した。」
【0074】
「幾つかの代替的な実施形態では、伸長性スリットシート紙の横方向の伸長範囲は、a)1.5%から5%、より好適には1.5%から4%、更に好適には1.5%から3%、又はb)2%から5%、より好適には2%から4%、更に好適には2%から3%の範囲を含み得る。」
【0075】
「伸長性紙と共に、より小型且つ軽量で、再生利用可能な拡張器(例えば、幾つかの例示的な実施形態においては、リサイクル可能な厚紙によって全体又は略全体が作られるもの等)を採用してもよい。これにより、産業市場よりも極めて少量のラップを使用する顧客に対する市場が拡大する。また、スリット紙を拡張するために採用される、より低価格な拡張装置も提供される。また、張力が適切に設定されていない場合に生じる包装処理中の破れが減ることで、梱包者にとっての使い易さが向上する。これは、ロールが、継続的に使用される際に、より小さく且つ軽量になるにつれて生じる。拡張スリットシートのロールが軽くなるほど、必要な張力が増加する。このため、張力を変動させる方法が求められる。伸長性紙の使用によって、必要とされる張力は著しく減少し、紙の強度は増大する。僅かな調整か又は一切調整することなく単一の張力設定を使用できるほど、必要な張力が厳密でなくなることから、包装する者にとってはいずれも有益である。張力が必要以上に高く設定されている場合、伸長性紙からの強度の増大によって製品の破れが防止されるため、梱包者にとってより使い易くなる。このため、梱包者は、スリットシートロールがより小さくなるほど、調整を少なくすることができる。」
【0076】
「スリット紙を拡張するのに必要な力を軽減することで、より軽量の紙を用いて新たな製品を作り出すことが可能になる。過去には、拡張スリットシート紙は主に包装製品として使用されていたが、通常、間隙充填物が全ての梱包製品の中で最も安価、すなわち、最も低コストであることから、その間隙充填物としての使用環境が限定されていた。伸長性シートの増大された強度によって、より薄くより軽量のスリットシート紙を間隙充填製品として使用することが可能となる。拡張スリットシートがラップとして使用されない場合は、より厚い、0.005インチ(0.013センチメートル)且つ3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たり50ポンド(22.68キログラム)以上の紙は不要であり、厚さ0.003~0.0045インチ(0.008~0.011センチメートル)且つ3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たり30~40ポンド(13.61~18.14キログラム)のより軽量な紙を間隙充填物として使用できる。これは、他の紙製間隙充填製品が実現不可能であった緩衝を実現するのに使用することも可能である。現在では、伸長性紙が10%高価だとしても、より薄い紙を使用することで、1トン当たりより大きな平方フィートが得られ、クラフト紙と比べて増加した伸長性紙のコストを補って余りあることが判明している。」
【0077】
「参照により組み込まれる開示から引用される本発明で採用される技術の詳細な説明」
「以下はクルパックの紙の特許(米国特許第9,945,077号)からの引用である。」
【0078】
「実施例1:クルパック装置を装備したギャップフォーマー型抄紙機で抄速480m/分、原料として28%の濃度で高濃度叩解した未晒針葉樹クラフトパルプを100%配合して、坪量84.9g/m2の重袋用クルパック紙を抄造した。なお、クルパックでのマイナスドローは、-4.5%とした。」
【0079】
「実施例2:坪量76.1g/m2、クルパックでのマイナスドローを-6.0%とした以外は実施例1と同様に重袋用クルパック紙を抄造した。」
【0080】
「実施例3:坪量73.4g/m2、クルパックでのマイナスドローを-4.0%とした以外は実施例1と同様に重袋用クルパック紙を抄造した。」
【0081】
「実施例4:坪量85.0g/m2、クルパックでのマイナスドローを-4.0%とし、パルプ配合は未晒針葉樹クラフトパルプを90%、未晒広葉樹クラフトパルプを10%とした以外は実施例1と同様に重袋用クルパック紙を抄造した。」
【0082】
「比較例1:坪量71.9g/m2、クルパックでのマイナスドローを-10.0%とした以外は実施例1と同様に重袋用クルパック紙を抄造した。」
【0083】
「比較例2:坪量85.4g/m2、クルパックのマイナスドローを-1.0%とした以外は、実施例1と同様に重袋用クルパック紙を抄造した。」
【0084】
「比較例3:坪量76.0g/m2、クルパック加工を行わない以外は、実施例1と同様に重袋用クラフト紙を抄造した。」
【0085】
【0086】
「評価方法:(比引張エネルギー吸収量の測定)
JIS P8113:2006に規定された方法で測定した。
(破断伸びの測定)
JIS P8113:2006に規定された方法で測定した。
(比引裂強さの測定)
JIS P8116:2000に規定された方法で測定した。
(比破裂強さの測定)
JIS P8112:2008に規定された方法で測定した。
(比引張こわさの測定)
ISO/DIS 1924-3に規定された方法で測定した。
(離解フリーネスの測定)
JIS P8220:1998及びJIS P8121:1995にて規定する方法で測定した。」
【0087】
「表1に記載された実施例1~4、比較例1~2のクルパック紙及び比較例3のクラフト紙の各性質をみると、実施例1~4に記載のクルパック紙は、各種強度や伸びのバランスが良好で全体的に優れた強度を有するものであるが、比較例1~2に記載されたクルパック紙及び比較例3に記載されたクラフト紙は各種強度や伸びのバランスが良好ではなく全体的に優れた強度を備えるとまでは言い難い。」
【0088】
「以下は、「Understanding Sheet Extensibility」,R.S.Seth,(Pulp and Paper Research Institute of Canada 3800 Wesbrook Mall Vancouver,BC,Canada V6S 2L9)Pulp & Paper Canada T31, 106:2(2005)III,pages 33-40(T31-T38)からの引用である。
【0089】
引張強度及び伸長性又は延伸性は、紙の2つの重要な破損特性である。これらは、シートの荷重-伸び曲線(
図1)の終点によって定義される。これらは、個別一斉に関わらず、多くの製品性能特性にとって重要である。例えば、破損の前にシートに吸収される引張エネルギーであるTEAは、荷重-伸び曲線の下の領域に比例する。このように、TEAはシートの引張強度及び伸長性の両方に依存する。袋用紙には高いTEAが望まれる[1]。紙の破裂強度は、製品の引張強度及び延伸性の平方フィートに比例することが示されてきた[2]。紙の破壊靭性が、シートの引張強度及び延伸性に強く依存することが判明している[3,4]。シートの延伸性も、抄紙機のドライエンド及び加圧室の両方における紙送り性にとって重要と見なされてきた[5~8]。また、高い延伸性を持つ紙は、幾分高い引裂強度[9]及び耐折強度を有すると見られ、これらは寸法的により不安定であることも判明している[10]。シートの引張強度を制御する要因は、極めてよく理解されている[4]。繊維が強く、長く、繊細且つ薄壁であると、引張強度が高い。繊維は、規格に準拠し且つ高い繊維間結合強度を有するべきである。繊維が真っ直ぐで変形せず、シートが形良く形成されていると、シートの引張強度も高い。そうでない場合、シートが張り詰めた際に応力が不均一に分配されて、早すぎる破損を引き起こす。」
【0090】
「この報告は、シートの延伸性を制御する要因に対処するものである。」
【0091】
「シートの延伸性を制御する要因:
引張荷重下にある試料が延長するほど、試料が長くなる。このため、材料特性としての伸長性又は延伸性又は破壊時のひずみが、元の試料の長さの比率として表される(
図1)。」
【0092】
「結合の役割:
ウェットプレス、ビーティング若しくはリファイニング又は添加剤による、繊維間の結合の強化方法に関わらず、完成紙料のシートの延伸性が、強化された繊維間の結合によって全体的に向上する。これは、化学的、機械的、木製、非木製又は再利用の略全ての製紙繊維で観測される。理由は以下の通りである。繊維は所定の「延伸潜在性」を有している。しかしながら、この潜在性は、紙の中で繊維が結合ネットワークを形成したときにのみ実現する。結合が弱いと、延伸潜在性が実現する前にネットワークが崩れて、シートの延伸性が低くなる。ネットワーク内の結合が増大するほど、繊維の延伸潜在性が次第に実現し、シートの延伸性が向上する。増大した繊維間結合によってシートの引張強度も増大することから、ハンドシートでの延伸性及び引張強度の増大がしばしば観測される(
図2)。シートが強いほど、繊維の延伸潜在性が活用される。この引張強度と延伸性との関係によって、引張強度に影響しやすいシートの坪量又は形成といった要因が、シートの延伸性にも影響を及ぼす[11]。同様の引張強度におけるハンドシートの延伸値同士を比較することで、様々な完成紙料の延伸潜在性の有意義な比較が実現する。」
【0093】
「以下はTraniらによる伸長性紙の特許(米国特許第7,918,966号)からの引用である。」
【0094】
「伸張性を有する紙材は、既知のものである。製造過程において特殊な処理を施されることにより、長手方向(即ち、生産ラインに沿って進行する方向)及び横方向(即ち、進行方向に対して直角の方向)に相当な伸張性を示す。この処理は、必然的にペーパウェブ(紙材帯)(未だ未形成且つ約35%/45%の水分含有量を示す状態である)を異なる速度で回転する2つのロール間に通過させるものである。これらのローラのうち1つは、一般的に下側ローラであり、ゴム材料からなる。このローラは、低速で回転する。一方で上側ローラは、鋼鉄製であり、その円筒状表面に連続的な螺旋形状の溝を備える。2つのローラの異なる材料の性質並びに異なる速度は、結果として、ある種の紙材形成材料の長手方向の蓄積をもたらす結果となり、これが長手方向の伸張性獲得のために用意される。長手方向の蓄積量は、15乃至20%に達する。同時に、螺旋状溝部は2つの機能を発揮する。その機能のうち1つは、螺旋状溝部が、紙材を形成する材料の横方向のある種の蓄積をもたらし、これにより10%~15%に達し得る量の横方向への伸張性の獲得の準備がなされることである。他のもう1つは、螺旋状溝部が、機械に沿って進行するペーパウェブの長手方向の進行を維持することに寄与することである。」
【0095】
「以下はCabellらによる伸長性紙ウェブの特許(米国特許第6,458,447号)からの引用である。」
【0096】
「引張りおよび百分比伸び試験:
引張試験は引張力に対する百分比伸び特性を測定するために使用した。この試験はスイング-アルバート社(Thwing-Albert Co.,ペンシルベニア州、フィラデルフィア)から入手可能なスイング-アルバート・インテレクトII-STDモデルNo.1451-24PGB上で実施した。」
【0097】
「この試験のために使用した試料は長軸を試料の最大伸長性を示す方向と平行に切り出す、25.4mm(1インチ)幅×152.4mm(6インチ)長さの試料である。この試料は正確に25.4mm幅の試料を切り出すために鋭利なイグザクト・ナイフまたは鋭利な角度で切るのに適する、いずれかの切断装置を用いて切り出す必要がある(もし、試料の伸長性を示す方向が1つよりも多ければ、資料はその代表的な方向と平行に採取しなければならない)。この試料は変形領域の全体パターンの均整に配慮して代表する区域が選ばれるように切り出さなければならない。(変形部分の大きさまたは領域1および領域2の相対的な幾何学的形状のどちらかの変動から)試料はここに提案した試料よりも場合によっては大きくまたは小さく切り出す必要がある。この場合、試料として使用される代表区域から採取される、好ましくは、概略図を含む、試料の大きさ、変形領域の区域について(いずれかの報告データと共に)書きとめることは極めて重要である。所定の材料の3個の試料の試験が行われる。」
【0098】
「以下はCramerらによる伸長性紙の特許(米国特許第3,266,972号)からの引用である。」
【0099】
「試験及び特性評価の手順:
本明細書で報告されている様々な特性の測定に用いられた試験及び特性評価の手順を以下の表Iに示す。特に断りのない限り、コードレターの数字は標準的なTAPPI試験を示す。」
【0100】
「伸び性T457:
「伸長性紙」という表現は、機械方向に増加した伸び性(一般的には最低約6%)を有する紙を意味する。
【0101】
この実施例のランIA及びIBでは、叩解機でロジンサイズ(pl upの重量を基準にして0.3重量%)を添加し、ミョウバンでpHを4.5に調整する。3.6%の粘度を有するストックを叩解機のチェストに落とし、次に第2チェストにポンプで送り、ジョーダンを通過させ、フォールドリニエのヘッドボックスで「白水」で連続的に0.3%の粘度に希釈する。様々な紙について測定された特性は、表IIIに報告されている。各紙の坪量は1リームあたり49.4~50.3ポンド(22.41~22.82キログラム)である。」
【0102】
【0103】
「以下はTraniらによる多層紙材の特許(米国特許第8,518,522号)からの引用である。」
【0104】
「これらの、そしてこの後の説明から明らかになるであろう他の目的が、本発明により、最大の大きさが元のシートの幅よりも小さいレリーフを示す少なくとも1つの第1の三次元構造シートであって、前記レリーフが、全方向において5%以上の元の伸長性の度合いを有する前記第1のシートの局所的な延伸によって得られる、少なくとも1つの第1の三次元構造シートと、前記第1の構造シートに結合し、そのレリーフによって空いた空間を画成する、紙材から作られた少なくとも1つの第2のシートとを備える、多層紙材によって達成される。」
【0105】
「図からも見てわかるように、
図1の実施形態において、本発明の多層紙材は、縦方向及び横方向双方で少なくとも5%、好適には少なくとも15%の伸張性を与える、2つの紙層2、4からなる。」
【0106】
「以下は、Traniらによる伸長性紙材の出願からの引用である。(米国出願第2007/0240841):」
【0107】
「伸張性を有する紙材は、既知のものである。製造過程において特殊な処理を施されることにより、長手方向(即ち、生産ラインに沿って進行する方向)及び横方向(即ち、進行方向に対して直角の方向)に相当な伸張性を示す。この処理は、必然的にペーパウェブ(紙材帯)(未だ未形成且つ約35%/45%の水分含有量を示す状態である)を異なる速度で回転する2つのロール間に通過させるものである。これらのローラのうち1つは、一般的に下側ローラであり、ゴム材料からなる。このローラは、低速で回転する。一方で上側ローラは、鋼鉄製であり、その円筒状表面に連続的な螺旋形状の溝を備える。2つのローラの異なる材料の性質並びに異なる速度は、結果として、ある種の紙材形成材料の長手方向の蓄積をもたらす結果となり、これが長手方向の伸張性獲得のために用意される。長手方向の蓄積量は、15乃至20%に達する。同時に、螺旋状溝部は2つの機能を発揮する。その機能のうち1つは、螺旋状溝部が、紙材を形成する材料の横方向のある種の蓄積をもたらし、これにより10%~15%に達し得る量の横方向への伸張性の獲得の準備がなされることである。他のもう1つは、螺旋状溝部が、機械に沿って進行するペーパウェブの長手方向の進行を維持することに寄与することである。」
【0108】
幾つかの好適な実施形態で採用可能な伸長性紙に関する更なる詳細も、‘086特許に以下のように引用されている。
【0109】
「以下は、先の段落で参照により組み込まれた米国特許第3,908,071号の第1欄における第4~19行の段落を直接引用したものである。「例えば、米国特許第2,624,245号に開示された装置及び処理によって製造された伸長性(圧縮された)紙には、よく認知されている、ある利点と商業的用途がある。このような紙は、部分的に湿らせた状態で、圧力ニップ間においてウェブの移動方向(機械方向又はMD)に圧縮され、これにより繊維を圧縮して強制的に結合させて、クレープのない固有の延伸性を作り出す。圧縮された紙は、引張エネルギー吸収(TEA)破裂及び引裂き特性が改善され、紙袋の製造等の最終用途に非常に望ましい。」また、以下は、先の段落で参照により組み込まれた米国特許第6,024,832号の要約書を直接引用したものである。「伸長性紙を製造する方法であって、以下の工程を含む。すなわち、植物繊維の混合物をニーダー部材に供給する工程、ニーダー内で混合物を水と混合する工程、繊維を叩解してパルプを得る工程、叩解されたパルプをフローチェストに移送する工程、叩解されたパルプをフローチェストから紙ウェブ形成布上に供給し、その結果、重力及び真空によって水分率を減少させる工程、ウェブをプレスし、その結果、含水率をさらに低下させる工程、紙ウェブを15%と65%との間の略一定の含水率まで初期乾燥させる工程、圧縮する工程、15%と4%との間、好適には10%と8%との間の含水率まで最終乾燥させる工程、艶出しを行う工程を含む。叩解段階は、少なくとも30.度SRの叩解度を有するパルプを得るために、繊維を多段式装置で揉むことによって行われる。圧縮工程は少なくとも一対のローラの間で行われ、このうちの一方は、周方向の表面リブを備える硬質材料で構成され、より速い速度で駆動され、他方は、滑らかな表面を持つ軟質材料で構成され、より遅い速度で駆動される。」また、以下は、先の段落で参照により組み込まれた米国特許第9,945,077号の背景技術の欄における第2段落を直接引用したものである。「またクルパックとは、紙匹をロールとエンドレスのゴム製ブランケットとの間に搬入し、ニップバーとゴム製ブランケットとで紙匹を圧縮する間に、あらかじめ伸長させておいたブランケットが収縮することによって紙匹を収縮させ、破断伸びを高める設備で、前記のような重包装用途に用いられるクラフト紙に破断伸びを持たせるために使用される。」また、以下は、先の段落で参照により組み込まれた米国特許第3,104,197号の第2欄における第41~56行の段落を直接引用したものである。「ゴムまたはゴム状物質を硬い表面と上記の形態で組み合わせて使用することは、紙や織物の処理において知られているが、これは一般的な方法に過ぎず、本発明は、従来使用されていたものよりも非常に柔らかく弾力性のあるゴムを使用することを含む。また、この形態でクレーピングして伸長性紙を製造する上では、各ロールの駆動速度の差が非常に重要になる。硬い面と柔らかい面の適切に組み合わされていれば、ロールのニップを通過する半乾燥紙ウェブは、収縮するゴムによってウェブの進行方向に対してニップ側に運ばれ、硬いロールの表面上を通過する。これにより、紙ウェブに均一に圧縮されたクレープが形成されて、強靭性、柔軟性、及び伸長性が付与される。」
【0110】
「以下は、先の段落で参照により組み込まれた米国特許公開第2016/0355985号の段落[0003]及び[0028]を直接引用したものである。(1)「[0003]またクルパックとは、紙匹をロールとエンドレスのゴム製ブランケットとの間に搬入し、ニップバーとゴム製ブランケットとで紙匹を圧縮する間に、あらかじめ伸長させておいたブランケットが収縮することによって紙匹を収縮させ、破断伸びを高める設備で、前記のような重包装用途に用いられるクラフト紙に破断伸びを持たせるために使用される。」及び「[0028]このクルパック装置を使用した製造方式とは、紙匹をロールとエンドレスのゴム製ブランケットとの間に搬入し、ニップバーとゴム製ブランケットとで紙匹を圧縮する間に、あらかじめ伸長させておいたブランケットが収縮することによって紙匹を収縮させ、破断伸びを高める方法である。クルパック装置では、主にクルパック装置入り側の製造スピードと、クルパック装置出側の製造スピードの比率と、ニップバーによる加圧力によって、クラフト紙の縦方向の破断伸びを調整することができる。」
【0111】
幾つかの実施形態において、採用される伸長性紙は、‘086特許に記載されているように、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0112】
実施例1:機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するスリットシート紙のロールを備え、ロールが、機械方向に沿ったスリットシート紙の長さの引っ張りに抵抗して、機械方向へのスリットシート紙の長さの拡張を可能にし、スリットシート紙が、スリットパターンが設けられる前に機械方向及び横方向に伸長可能な紙から形成され、伸長性紙が、スリットパターンが設けられる前に機械方向に3%~20%の伸長可能範囲を有する、伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0113】
実施例2:伸長可能範囲が、機械方向及び横方向の両方において5%以上である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0114】
実施例3:伸長可能範囲が、機械方向において3%~15%である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0115】
実施例4:スリットシート紙が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力が加えられることで拡張して、開口セルを形成するように構成されている、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0116】
実施例5:スリットシート紙が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力が加えられることで拡張して、開口セルを形成するように構成されている、実施例2の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0117】
実施例6:スリットシート紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例5の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0118】
実施例7:スリットシート紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0119】
実施例8:包装された物体を備える輸送梱包物であって、包装された物体が、連結した六角セルを有する少なくとも2層の拡張スリットシート紙ラップで包装されており、スリットシート紙が、機械方向の拡張と同時に複数の六角セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有し、拡張力が加えられることで拡張し、連結した六角セルを有する少なくとも2層の拡張スリットシート紙ラップを形成するように巻き付けられ、スリットシート紙が、スリットパターンが設けられる前に機械方向及び横方向に伸長可能な紙から形成され、伸長性紙が、スリットパターンが設けられる前に機械方向に3%~20%の伸長可能範囲を有する、輸送梱包物。
【0120】
実施例9:伸長可能範囲が、機械方向及び横方向の両方において5%以上である、実施例8の輸送梱包物。
【0121】
実施例10:伸長可能範囲が、機械方向において3%~15%である、請求項8の輸送梱包物。
【0122】
実施例11:スリットシート紙が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力が加えられることで拡張して、六角セルを形成するように構成されている、実施例8の輸送梱包物。
【0123】
実施例12:スリットシート紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例11の輸送梱包物。
【0124】
実施例13:スリットシート紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例8の輸送梱包物。
【0125】
実施例14:2層以上の連結した六角セルを拡張及び巻き付けと同時に形成するスリットシート紙を拡張し巻き付ける方法であって、機械方向の拡張と同時に複数の六角セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有するスリットシート紙を用意する工程を含み、スリットシート紙が、スリットパターンが設けられる前に機械方向及び横方向に伸長可能な紙から形成され、伸長性紙が、スリットパターンが設けられる前に機械方向に3%~20%の伸長可能範囲を有し、スリットシート紙を拡張させ、拡張スリットシート紙を巻き付けて隣接する層を形成し、隣接する層が、連結接触し、これにより、拡張された層が収縮や引き裂きに抵抗する方法。
【0126】
実施例15:伸長可能範囲が、機械方向及び横方向の両方において5%以上である、実施例14の方法。
【0127】
実施例16:伸長可能範囲が、機械方向において3%~15%である、実施例14の方法。
【0128】
実施例17:拡張工程が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力を加えて六角セルを形成することを含む、実施例14の方法。
【0129】
実施例18:スリットシート紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例17の方法。
【0130】
実施例19:スリットシート紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例14の方法。
【0131】
実施例20:スリットシート紙を巻き付けて隣接する層を形成する工程が、拡張スリットシート紙を物体に巻き付けて、物体の周りに、2層以上の重なり合う連結した六角セルを形成することを含み、重なり合う連結した六角セルが、層の幅の略全体に亘って直接接触している、実施例14の方法。
【0132】
実施例21:伸長可能範囲が、機械方向において3%~15%であり、横方向において5%以上である、実施例20の方法。
【0133】
実施例22:伸長可能範囲が、機械方向において3%~9%であり、横方向において5%以上である、実施例20の方法。
【0134】
実施例23:拡張工程が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力を加えて六角セルを形成することを含む、実施例20の方法。
【0135】
実施例24:拡張工程が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力を加えて六角セルを形成することを含む、実施例21の方法。
【0136】
実施例25:拡張スリットシート材で物体を包装し衝撃を和らげることで、物体を輸送用に保護する方法であって、a)拡張性シート材のシートが巻き付けられたロールを用意する工程であって、拡張性シート材のシートが、柔軟な不織繊維材であり、且つ横方向に延在する個別のスリットからなる複数の離間した平行な列を有し、柔軟な不織繊維材が、スリットが設けられる前に、機械方向及び横方向に伸長可能な紙であり、伸長性紙が、スリットが設けられる前に、機械方向に3%~20%の伸長可能範囲を有する工程と、b)拡張力を加えることで、ロールから巻き出された拡張性シート材の長さを拡張して、開口部の配列を有する少なくとも1つの拡張スリットシート材を形成する工程と、c)物体の周りに少なくとも1つの拡張スリットシート材を巻き付ける工程と、d)包装された物体を梱包物内に入れる工程と、を含む方法。
【0137】
実施例26:伸長可能範囲が、機械方向において3%~15%であり、横方向において5%以上である、実施例25の方法。
【0138】
実施例27:伸長可能範囲が、機械方向において3%~9%であり、横方向において5%以上である、実施例25の方法。
【0139】
実施例28:拡張性シート材の長さを拡張する工程が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力を加えることを含む、実施例25の方法。
【0140】
実施例29:拡張性シート材の長さを拡張する工程が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力を加えることを含む、実施例26の方法。
【0141】
実施例30:伸長性スリット紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例25の方法。
【0142】
実施例31:伸長性スリット紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例28の方法。
【0143】
実施例32:伸長可能範囲が、機械方向において3%~11.1%である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0144】
実施例33:伸長可能範囲が、機械方向において3%~11.1%である、実施例8の輸送梱包物。
【0145】
実施例34:伸長可能範囲が、機械方向において3%~11.1%である、実施例14の方法。
【0146】
実施例35:伸長可能範囲が、機械方向において3%~11.1%である、実施例25の方法。
【0147】
実施例36:伸長可能範囲が、機械方向において3.3%~10.6%である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0148】
実施例37:伸長可能範囲が、機械方向において3.3%~10.6%である、実施例8の輸送梱包物。
【0149】
実施例38:伸長可能範囲が、機械方向において3.3%~10.6%である、実施例14の方法。
【0150】
実施例39:伸長可能範囲が、機械方向において3.3%~10.6%である、実施例25の方法。
【0151】
実施例40:伸長可能範囲が、機械方向において9.7%~11.1%である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0152】
実施例41:伸長可能範囲が、機械方向において9.7%~11.1%である、実施例8の輸送梱包物。
【0153】
実施例42:伸長可能範囲が、機械方向において9.7%~11.1%である、実施例14の方法。
【0154】
実施例43:伸長可能範囲が、機械方向において9.7%~11.1%である、実施例25の方法。
【0155】
実施例44:伸長性紙が、スリットパターンが設けられる前に、処理を施すことで形成され、処理が、紙をロールと無端の予め延伸されたブランケットとの間に挿入して、紙をニップバーとブランケットとで圧縮する(また他には、紙を2つの異なるローラ等の2つの異なる(例えば、異なる動きをする)面の間で圧縮する)ことを含む、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0156】
実施例45:伸長性紙が、スリットパターンが設けられる前に、処理を施すことで形成され、処理は、紙をロールと無端の予め延伸されたブランケットとの間に挿入して、紙をニップバーとブランケットとで圧縮する(また他には、紙を2つの異なるローラ等の2つの異なる(例えば、異なる動きをする)面の間で圧縮する)ことを含む、実施例8の輸送梱包物。
【0157】
実施例46:伸長性紙が、スリットパターンが設けられる前に、処理を施すことで形成され、処理は、紙をロールと無端の予め延伸されたブランケットとの間に挿入して、紙をニップバーとブランケットとで圧縮する(また他には、紙を2つの異なるローラ等の2つの異なる(例えば、異なる動きをする)面の間で圧縮する)ことを含む、実施例14の方法。
【0158】
実施例47:伸長性紙が、スリットが設けられる前に、処理を施すことで形成され、処理は、紙をロールと無端の予め延伸されたブランケットとの間に挿入して、紙をニップバーとブランケットとで圧縮する(また他には、紙を2つの異なるローラ等の2つの異なる(例えば、異なる動きをする)面の間で圧縮する)ことを含む、実施例25の方法。
【0159】
実施例48:拡張工程が、使用者がスリットシート材を手動で拡張することを含む、実施例14の方法。
【0160】
実施例49:使用者によるスリットシート材の手動の拡張が、使用者が、手動でスリットシート材を把持し、ロールからの抵抗に抗してスリットシート材をロールから引き出して巻き出すことを含む、実施例48の方法。
【0161】
実施例50:使用者によるロールから巻き出された拡張性シート材の長さの手動の拡張が、使用者が、手動で拡張性シート材を把持し、ロールからの抵抗に抗して拡張性シート材をロールから引き出して巻き出すことを含む、実施例25の方法。
【0162】
実施例51:伸長性紙が、スリットパターンが設けられる前に測定された機械方向における3%~15%の拡張が生じた際の引き裂きに抵抗する繊維間結合を有する不織繊維材である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0163】
実施例52:伸長性紙は、スリットパターンが設けられる前に測定された機械方向における3%~15%の拡張が生じた際の引き裂きに抵抗する繊維間結合を有する不織繊維材である、実施例8の輸送梱包物。
【0164】
実施例53:伸長性紙は、スリットパターンが設けられる前に測定された機械方向における3%~15%の拡張が生じた際の引き裂きに抵抗する繊維間結合を有する不織繊維材である、実施例14の方法。
【0165】
実施例54:不織繊維材は、スリットが設けられる前に測定された機械方向における3%~15%の拡張が生じた際の引き裂きに抵抗する繊維間結合を有する、実施例25の方法。
【0166】
実施例55:スリットシート紙のロールが、円筒状の芯に巻き付けられ、スリットシート紙の長さが、スリットシート紙のロールから延びている、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0167】
実施例56:伸長可能範囲が、横方向において5~15%である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0168】
実施例57:伸長可能範囲が、横方向において7.1~15%である、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0169】
実施例58:機械方向の拡張と同時に複数の開口セルを形成する横方向に延在する複数のスリットを含むスリットパターンを有する1枚のスリットシート紙を備え、スリットシート紙が、スリットパターンが設けられる前に機械方向及び横方向に伸長可能な紙から形成され、伸長性紙が、スリットパターンが設けられる前に機械方向に3%~20%の伸長可能範囲を有する、伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0170】
実施例59:機械方向に沿ったスリットシート紙の長さの引っ張りに抵抗して、機械方向へのスリットシート紙の長さの拡張を可能にする抵抗体を更に備える、実施例58の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0171】
実施例60:抵抗体が、スリットシート紙の長さが延びる始点となるスリットシート紙のロールである、実施例59の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0172】
実施例61:伸長可能範囲が、機械方向及び横方向の両方において5%以上である、実施例58の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0173】
実施例62:伸長可能範囲が、機械方向において3%~15%である、実施例58の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0174】
実施例63:スリットシート紙が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力を加えられることで拡張して、開口セルを形成するように構成されている、実施例58の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0175】
実施例64:スリットシート紙が、拡張する前において、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)の重量を有する紙である、実施例58の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0176】
実施例65:伸長性スリート(sleet)シート紙緩衝材製品が輸送梱包物である、実施例58の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0177】
実施例66:スリットシート紙が、輸送梱包物内部に置かれた物体を保護するように配される、実施例65の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0178】
実施例67:スリットシート紙が、輸送梱包物内部に置かれた物体の周りを延在するように配される、実施例66の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0179】
実施例68:実施例66の伸長性スリットシート紙緩衝材製品の使用方法であって、輸送梱包物を、輸送梱包物内部の伸長性紙で保護された物体と共に輸送することを含む方法。
【0180】
実施例69:スリットパターンが、機械方向の拡張と同時に複数の六角セルを形成するように構成されている、実施例1の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0181】
実施例70:六角セルが、スリットシートの元の平面に対して直角に傾斜した角度で位置する略矩形のランド部と、ランド部を接続するレッグ部とを有する立体六角セルである、実施例69の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0182】
実施例71:スリットパターンが、機械方向の拡張と同時に複数の六角セルを形成するように構成されている、実施例58の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0183】
実施例72:六角セルが、スリットシートの元の平面に対して直角に傾斜した角度で位置する略矩形のランド部と、ランド部を接続するレッグ部とを有する立体六角セルである、実施例71の伸長性スリットシート紙緩衝材製品。
【0184】
幾つかの好適な実施形態における封筒製品
本発明の幾つかの好適な実施形態によれば、本発明の好適な実施形態に係る新規の伸長性スリート(sleet)シート紙緩衝材製品を、封筒の製造に採用することができる。幾つかの好適な実施形態において、当該封筒は、2020年5月6日に出願され、またPCT/US2019/045027(WO2020/033275として2020年2月13日に公開)として出願された、出願人による係属中の米国出願第16/531,017号(‘017出願)に開示された種類のものとすることができ、その全開示内容は、全て本明細書に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
例として、
図8(A)及び
図8(B)は、それぞれ‘017出願の
図1及び
図7に対応している。本例示的実施形態に示すように、本例では、緩衝性を有するパッド付き封筒を製造するために、エンボス加工された紙の外側層と組み合わせた拡張スリットシート材を採用している。エンボス加工された外側紙が示されているが、幾つかの実施形態では、エンボス加工をなくすことができる。
【0186】
図8(A)に示すように、本例示的実施形態では、第1層としてのエンボス加工された紙104、2層の拡張スリット紙シート102及び103、及びの第4の最上層であるエンボス加工された紙101を有する4層複合パッド100が形成されている。封筒を形成する際には、この複合材を折り返して縁に沿って閉じることで、封筒袋を形成する。好適な実施形態では、これにより完全にリサイクル可能で、大部分が再生紙で構成された紙パッドが製造される。
図8(A)に示すパッドから封筒600を形成するには、まず、
図8(B)に示すように、袋領域704を形成するようにパッドを折り返し、側部703を潰して接着する。次に、
図8(B)に示すように、剥離ライナー701と共に両面粘着ストリップ502をリップ部に貼り付け、剥離ライナー701を剥がして粘着剤を露出させ、袋部704から延在するリップ部702を折り返し、リップ部702を袋部の前面に接着して、封筒を閉じて封ずる。
【0187】
幾つかの好適な実施形態において、スリットのスリット紙パターンは、有利には、0.2から0.3インチ(0.51から0.76センチメートル)の範囲のスリット(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)と、0.06から0.7インチ(0.15から1.78センチメートル)の範囲の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)とを有する。好適には、スリットのスリット紙パターンは、有利には、おおよそ0.25インチ(おおよそ0.64センチメートル)のスリット(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)と、おおよそ0.06~おおよそ0.065インチ(おおよそ0.15~おおよそ0.165センチメートル)の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)を有し、最も好適にはおおよそ0.0625インチ(おおよそ0.1588センチメートル)の列間隔とを有する。
【0188】
好適には、各列のスリット間隔はおおよそ0.1~おおよそ0.09インチ(おおよそ0.25~おおよそ0.23センチメートル)の範囲であり、最も好適には、各列のスリット間隔はおおよそ0.094インチ(おおよそ0.239センチメートル)である。
【0189】
上述の寸法により、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりより多くのセルを形成し、薄い封筒を提供しつつも、封筒内に梱包された物品の緩衝のための耐潰れ性と弾力性を提供するスリットパターンが作られる。幾つかの例では、0.2から0.3インチ(0.51~0.76センチメートル)の範囲のスリット(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)、及び0.06から0.7インチ(0.15~1.78センチメートル)の範囲の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)を有するスリット紙パターンを採用する封筒であって、その最外層904,902間においてある距離を有する「薄い封筒」が提供される(例えば、
図9を参照)。
【0190】
本例においては、2枚の内側拡張スリット紙シート102及び103を備えるが、幾つかの好適な実施形態では、単一層の拡張スリットシート紙である、本発明の新規のスリットシート紙を採用することも可能である。例えば、層104及び101は、本発明の幾つかの実施形態において、単一層の拡張スリットシート紙の両側に位置し得る。また、上述の通り、
図8(A)はエンボスを有する層101を示しているが、幾つかの実施形態では、層101にエンボスを設けないこともできる。同様に、上述の通り、
図8(A)はエンボスを有する層104を示しているが、幾つかの実施形態では、層104にエンボスを設けないこともできる。また、幾つかの実施形態では、層101及び104のいずれにもエンボスを設けないこともできる。
【0191】
幾つかの好適な実施形態に採用されるエンボス加工された紙
本発明の幾つかの好適な実施形態によれば、本発明の好適な実施形態に係る新規の伸長性スリート(sleet)シート紙緩衝材製品を、エンボス加工された紙を備える製品(例えば、封筒や他の様々な製品等)の製造に採用できる。幾つかの好適な実施形態において、このようなエンボス加工された紙を採用した製品は、2020年5月8日に出願され、またPCT/US2020/32146として出願された、出願人による係属中の米国出願第16/870,195号及び上述の‘017出願に開示された種類のものとすることができ、その全開示内容は、全て本明細書に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
好適な実施形態において、「エンボス加工」という用語は、紙シートのある領域を隆起させ且つ/又は下降させることを意味する。最も好適には、エンボスは、紙を押圧してエンボス形状にするような力を加えることによって隆起し且つ/又は下降した紙シートの隆起及び/又は下降領域を含み、その圧力は、そのような隆起及び/又は下降領域を含む形状を有するように紙シートを変形させる。幾つかの好適な実施形態では、紙シートは、初期状態では略平坦であり、エンボスの隆起及び/又は下降領域がなく、後から、紙シートは押圧されて隆起及び/又は下降領域を含む紙シートに変形する。このような、元の平坦な紙シートの平面から隆起し且つ/又は下降した領域を、最も好適な実施形態では、「エンボス加工された」領域又は「エンボス」と呼ぶ。一例として、最も好適な実施形態において、エンボスは、対向する押圧面間で初期状態のシート(例えば、平坦又は略平坦なシート)を押圧することによって形成され、対向する押圧面の例としては、(1)平坦なシートの表面を押圧するために互いに相対的に往復動されるダイプレートであって、平坦なシートの面に交差圧力を生じさせてシートを変形させることでエンボスが形成される隆起及び下降領域(例えば、オス領域とメス領域)のパターンを有するダイプレートや、(2)平坦なシートの面に交差圧力を生じさせてシートを変形させ、エンボスを形成させる隆起及び下降領域(例えば、オス領域とメス領域)のパターンを有する2つのローラ、等が挙げられる。幾つかの実施形態において、エンボスは、紙の第1表面を押圧する隆起/下降エンボスパターンを有する単一の往復ダイプレートによって加えられる圧力を用いることができ、一方、紙の反対側は、協働して紙シートにエンボスを生じさせるために、隆起及び/又は下降部分を柔軟に受け止める弾力性(例えば、ゴム)部材によって押圧又は支持される。同様に、幾つかの実施形態において、エンボスは、紙の第1表面を押圧する隆起/下降エンボスパターンを有する単一のロールダイによって加えられる圧力を用いることができ、紙の反対側は、協働して紙シートにエンボスを生じさせるために、隆起及び/又は下降部分を柔軟に受け止める弾力性(例えば、ゴム)ロール部材、コンベア等の他の面部材、又は他の部材によって押圧又は支持される。
【0193】
幾つかの好適な実施形態において、エンボスは、初期状態のロールから搬送された搬送紙シートに沿って繰り返しパターンで形成される。幾つかの好適な実施形態において、エンボスは、紙シートの面に沿って分離された領域内で、紙の元の平面からずれた(例えば、隆起し且つ/又は下降した)離散的な形状を画定する。幾つかの好適な実施形態において、これらの離散領域は不規則な形状を有し得る一方で、幾つかの実施形態では、これらの離散領域は、円形状、楕円形状、卵形状、多角形状、三角形状、正方形状、五角形状、六角形状、八角形状及び/又は他の形状を有し得る。最も好適な実施形態において、エンボスは六角形である。ここで、上記段落におけるエンボスの「形状」という用語は、紙シートの面に向かって下向きに見たときのエンボスの形状を指す。このようなエンボスが、側方から見た場合に異なる形状をしていると理解されたい。
【0194】
新規の拡張パターン
参考のため、
図4(A)は、上述の
図3(B)に示すものと略同様に開口する、クラフト紙を採用したサンプルの拡張スリットシート紙の上面図を示す。具体的には、この用紙は、未拡張状態では
図3(A)に示すものと同様の列の配列を含み、拡張すると
図4(A)に示すような拡張パターンを呈する。
図4(A)に示すように、拡張パターンには、斜めに傾き、レッグ部21と共に拡張シートの幅を横切るように延在する略平坦なランド部20が形成され、各ランド部は、それから延出する4つのレッグ部21を有する。
【0195】
更なる参考のために、
図4(B)は、
図4(A)に示された同じ拡張スリットシート紙の拡張されたセル内部を真っすぐに見られるように、当該拡張紙の平面に対して斜めから見た(ランド部20の傾き角度と略平行な角度から見た)当該紙の上面図を示す。図示されたように、この角度においては、拡張パターンは、略六角セルを形成する。更なる参考のために、
図4(C)は、
図4(A)及び
図4(B)に示された同じ拡張スリットシート紙を、当該拡張紙の平面に対して、
図4(B)に示す角度とは反対の角度から見た上面図であり、セル開口部が、ランド部20及びレッグ部21の広い側面によって見えにくくなっている上面図を示す。
【0196】
また更なる参考のために、
図4(D)は、
図4(A)~
図4(C)に示された同じ拡張スリットシート紙の上面図であり、
図4(D)の下端近傍の当該拡張紙の平面に対してより低い位置から、当該紙の平面に対して斜めから見た上面図である。この図は、
図4(D)に示すように、各ランド部20が、一定の角度で延在し、ランド部の左端が最も低い位置にあり、ランド部の右端が最も高い位置にあるように、ランド部の左側から右側に向かって傾斜して上方に延在することを示すのに役立つ。
図4(D)に示すように、この拡張パターンは、開口したセル開口部26の配列を作り、各開口セルは、
図4(D)に示すような、高い側HS及び低い側LSを左側と右側にそれぞれを有する。
【0197】
本明細書に記載されたような新規のスリットパターンを採用する本発明の幾つかの実施形態においては、
図4(A)~
図4(D)に示されたものと同様の拡張パターンを採用できる。一例として、例えば、以下の表Aにおける実施例A~Iとして実施された実施形態の幾つか等ようにスリット長がより短い幾つかの実施形態では、スリットシート紙は、
図4(A)~
図4(D)に示されたものと同様の拡張パターンを呈するように構成することができ、これを本明細書において「通常拡張パターン」と称する。
【0198】
しかし、本発明の幾つかの実施形態では、
図5(A)に示すものと同様の拡張パターンを採用することができる。
図5(A)は、本発明の幾つかの好適な実施形態に係る新規の拡張パターンを示しており、本明細書では「交互列拡張パターン」と称する。本発明の幾つかの好適な実施形態では、このような新規の「交互列拡張パターン」が含まれるが、この種類の拡張パターンを、本発明の全ての実施形態において採用する必要はない。
【0199】
また、交互列拡張パターンは、本明細書に記載されたサイズを小さくした新規のスリットパターンが含まれる本発明の幾つかの好適な実施形態で採用することができるが、この交互列拡張パターンは、例えば、幾つかの好適な実施形態において0.5インチ(1.27センチメートル)のスリット長かそれより大きいスリット長を有するスリットサイズのパターン等、任意の所望のスリットサイズのパターンの場合において実現できる新規且つ有利な発明的特徴を提供する。
【0200】
特に、この種の交互列拡張パターンは、十分な伸長特性を有する伸長性紙から伸長性スリットシート紙を採用することによって実現できる。そのため、好適には、このような交互列拡張パターンを実現するために、機械方向と横方向の両方において十分な伸長性を有するように伸長性が調整される。例えば、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリット長、0.1875インチ(0.4763センチメートル)のランド長(同一列内のスリット間)、0.125インチ(0.318センチメートル)の列間隔を有するスリットシート紙の場合、i)機械方向に8.8、ii)横方向に8.8の両方の伸長性を有する伸長性紙を採用することにより、この種の交互列拡張パターンが実現されている。幾つかの例では、このようなスリット配置を有する30#、40#又は50#の伸長性紙シートを採用することで、この拡張パターンを実現できる。
【0201】
幾つかの他の実施形態においては、このような0.5インチ(1.27センチメートル)のスリット長を有するスリットシート紙であれば、機械方向及び横方向の両方において、少なくともおおよそ6%の伸長性で、このような交互列拡張パターンを有利に実現できる。
【0202】
幾つかの好適な実施形態において、このような交互列拡張パターンは、少なくとも5%の範囲で機械方向に伸長可能且つ少なくとも5%の範囲で横方向に伸長可能であり、幾つかのより好適な実施形態では、少なくとも6%の範囲で機械方向に伸長可能且つ少なくとも6%の範囲で横方向に伸長可能であり、幾つかのより好適な実施形態では、少なくとも7%の範囲で機械方向に伸長可能且つ少なくとも7%の範囲で横方向に伸長可能であり、幾つかのより好適な実施形態では、少なくとも8%の範囲で機械方向に伸長可能且つ少なくとも8%の範囲で横方向に伸長可能である伸長性紙を採用したスリットパターンで実現できる。
【0203】
特に、本発明者は、未拡張シートの元の同じスリットパターンでも、伸長性紙を用いることによって、この新規な交互列拡張パターンを作れることを発見した。具体的には、本発明者は、未拡張紙に同じスリットパターン配置(スリット長、同じスリット列におけるスリット間隔、隣接するスリット列の間隔を含む)を設けた場合であっても、例えば、伸長性紙を含むように紙を改良することにより、交互列拡張パターンを実現するように拡張パターンを調整できることを発見した。
【0204】
図5(A)に示すように、交互列拡張パターンは、下側セル開口部a26と上側セル開口部b26を有する交互列(列R-aと列R-b)を含む。具体的には、図示のように、列R-aのセル開口部a26は、拡張紙シートの下面側(すなわち、
図5(A)の視点に対して反対側又は奥側、すなわち、紙面に対して下方側)に位置し、列R-bのセル開口部b26は、拡張紙シートの上面側(すなわち、
図5(A)の視点に対して近傍側又は手前側)に位置する。
【0205】
また、
図5(A)にも示すように、同じスリット列におけるスリットの端部間の領域に形成されるランド部は、例えば
図4(A)に関連して説明した実施形態のランド部20とは異なるように形成されている。特に、
図5(A)のランド部は、
図4(A)のランド20のように上向き又は下向きを維持して延在するような角度を呈するのではなく、上方及び下方に面する部分を含む。つまり、各ランド部は、上方に延在する部分と下方に延在する部分を含む。また、
図5(A)の各ランド部は、同じスリット列における隣接するスリットの間に配列された折り目付き又は角度付き部分を含み、この周囲では、ランド部の2つの部分の間の傾斜角度が変化する。例えば、
図5(A)に示すように、列R-aのランド部は、ランド部の左側の開口セルa26の端部から上方に向かってランド部の中央における折り目付き又は角度付き部分まで延在する第1部分20a1と、ランド部の中央における折り目付き又は角度付き部分から下方に向かってランド部の右側の開口セルa26の端部まで延在する第2部分20a2とを含む。
図5(A)に示すように、列R-aにおける全てのランド部は、図示のような同様の上・下構成を有し、ランド部の中央における折り目付き又は角度付き部分が、拡張紙シートの上面側に向かう方向(即ち、
図5(A)の視点に対して最も近い側)においてランド部の最も高い位置にあるランド部の頂点又は上稜部を形成する。
【0206】
同様に、
図5(A)に示すように、列R-bにおける全てのランド部は、図示のような逆の「下・上」構成を有し、ランド部の中央における折り目付き又は角度付き部分が、拡張紙シートの下面側に向かう方向(即ち、
図5(A)の視点に近い側から最も遠い側)においてランド部の最も低い位置にあるランド部の下稜部を形成する。具体的には、
図5(A)に示すように、列R-bのランド部は、ランド部の左側の開口セルb26の端部から下方に向かってランド部の中央における折り目付き又は角度付き部分まで延在する第1部分20b1と、ランド部の中央における折り目付き又は角度付き部分から上方に向かってランド部の右側の開口セルb26の端部まで延在する第2部分20b2とを含む。
図5(A)に示すように、列R-bにおける全てのランド部は、図示のように同様の下・上構成を含む。
【0207】
更に、
図4(A)の拡張パターンにおいて、ランド部の第1側から延出するレッグ部は、異なる方向に延在している。具体的には、これは、ランド部の上端から拡張紙の手前側(例えば、
図4(A)の左上に向かう方向)に向かって上方に延在する第1レッグ部と、ランド部の当該上端から拡張紙の奥側(例えば、
図4(A)の右上に向かう方向)に向かって下方に延在する第2レッグ部とを含む。更に、これは、ランド部の下端から拡張紙の手前側(例えば、
図4(A)の左下に向かう方向)に向かって上方に延在する第3レッグ部と、ランド部の当該下端から拡張紙の奥側(例えば、
図4(A)の右下に向かう方向)に向かって下方に延在する第4レッグ部とをも含む。
【0208】
しかし、
図4(A)に示す実施形態に対して、
図5(A)に示す交互列拡張パターンでは、ランド部の第1側から延出するレッグ部のそれぞれが同様の方向に延在している。具体的には、各レッグ部は、交互列R-a及びR-bを作るように延在しており、これら交互列R-a及びR-bは、拡張スリットシートのシート幅方向においてそれぞれ反対側に位置している、すなわち、
図5(A)で見て、列R-aが拡張スリットシートのシート幅方向における奥側に位置し、列R-bが拡張スリットシートのシート幅方向における手前側に位置している。
【0209】
具体的には、
図5(A)に示すように、レッグ部は、a)ランド部20b2の上端から下方にランド部20a1まで延在する第1レッグ部21aと、b)ランド部20b1の上端から下方にランド部20a2まで延在する第2レッグ部20bと、c)ランド部20b2の下端から下方に別のランド部20a1まで延在する第3レッグ部21cと、d)ランド部20b1の下端から下方に別のランド部20a2まで延在する第4レッグ部20dと、を含む。
【0210】
本発明者は、この交互列拡張パターンが、
図4(A)に示す拡張パターンに比して、大きな利点と利益を多数有することも発見した。第一に、交互列拡張パターンには、外観的に大きな利点があり、より外観的に魅力があり、興味深いものである。第二に、交互列拡張パターンは、様々な角度からでもより視覚的に遮蔽できる拡張パターンと作り出す。第二に、交互列拡張パターンは、緩衝及び動作特性が向上した拡張パターンを作り出す。
【0211】
図4(A)に示す例の開口セル26は、拡張紙の手前側に高い側HSを有し、拡張紙の奥側に低い側LSを有するセルを形成する(
図4(A)に図示)一方で、
図5(A)に示す開口セルa26およびb26は、両側が同様の高さになっている(すなわち、例えばセルb26等のように高い側にあるか、例えばセルa26等のように低い側にあるかのいずれか)セルを形成している。このため、とりわけ、開口セルa26及びb26の外周に加えられる力は、概して、
図4(A)に示す開口セル26のように開口セルの片側に加えられるのではなく、開口セルの対向する側により均等に加えられる。
【0212】
更なる参考のために、
図6(A)~
図6(C)は、本発明の好適な実施形態に係る交互列拡張パターンの形成を示す説明図である。まず、
図6(A)は、紙シートに形成される例示的なスリットパターンを示している。幾つかの実施形態において、スリットパターンは、上述の
図3(A)に示したものと概ね同様である。しかしながら、後述するように、本発明の最も好適な実施形態では、スリットパターンは、更に後述するように、新規且つ有利なスリット及びスリットパターンの寸法及び関係を有する。
【0213】
図6(A)に示すように、スリットは、図の紙面を略水平方向に横切るように延在する複数のスリット列を含む。(説明を目的として)7つのスリットSのみが描かれているが、製品は、紙シートの全体に亘って延在するスリット列を含んでいると理解されたい。図示されているように、スリットは、好適には、共通のスリット長SLを有し(すなわち、全てのスリットは、好適には同様のスリット長を有し)、同じスリット列におけるスリットの端部間において共通のスリット間隔SSを有し(すなわち、全てのスリット間隔は、好適には同様の長さを有し)、且つ隣接するスリット列間において共通の列間隔RSを有する(すなわち、全ての列間の間隔は、好適には同様の距離を有する)。更に、同じく図示されているように、隣接する列におけるスリット同士の重なりの範囲は、好適には、等しい大きさの間隔OL1及びOL2を含む(すなわち、隣接する列におけるスリットは、好適には、拡張と同時に対称的なセルを形成するように対称的に配列される)。
【0214】
図6(B)は、参照用に強調表示した拡張前の紙の領域を含む
図6(A)のスリットパターンを示す。そのため、参照し易くするために、図では領域A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1及びD2を網掛け表示している。しかし、
図6(B)に示すこの未拡張状態では、これらの領域は全て、元の未拡張の紙シートの平面に沿って平坦又は平面な領域であることを理解されたい。
【0215】
図6(C)に示すように、拡張と同時に、領域スリットSは開口して、開口セルa26及びb26を形成する。更に、
図6(C)に描くように、領域A1は上述したレッグ部21aの向きになり、領域A2は上述したレッグ部21bの向きになり、領域B1は上述したレッグ部21cの向きになり、領域B2は上述した請求項21dの向きになり、領域C1は上述したランド部20a1の向きになり、領域C2は上述したランド部20a2の向きになり、領域D1は上述したランド部20b2の向きになり、領域D2は上述したランド部20b1の向きになる。
【0216】
交互列拡張パターンを採用する、例えば
図5(A)に示す実施形態では、開口セルa26及びb26は、中央領域で「曲げられた」六角形の周縁部を形成して、正六角形(すなわち、等辺且つ等角の形状)ではなく、むしろ、対向するランド部20b2及び20b1が互いに近づく六角形を形成する。これに対して、例えば
図4(B)に最もよく示されているように、従来の拡張パターンは略正六角形になる。特に、六角開口セルa26及びb26は、1つのランド部と2つのレッグ部に沿った端部を有する第1平面に略沿って延在する第1半体と、別の1つのランド部と2つのレッグ部に沿った端部を有する第2平面に略沿って延在する第2半体とを含む。例えば、開口セルb26は、レッグ部21cの端部、ランド部20b2の端部、及びレッグ部21aの端部によって画定される第1平面に沿った第1半部と、レッグ部21dの端部、ランド部20b1の端部、及びレッグ部21bの端部によって画定される第2平面に沿った第2半部とを含む。本願では、このような2つの平面間で屈曲した六角形を「屈曲六角形」と称する。
図5(A)及び
図6(C)を参照すると、セルb26の屈曲六角形は、上方に開くように(すなわち、両平面間の角度が上方に開くように)形成される一方、セルa26の屈曲六角形は、下方に開くように(すなわち、両平面間の角度が下方に、セルb26の屈曲六角形の角度と反対に開くように)形成されている。
【0217】
好適な実施形態の更なる考察
図1は、2つのスリットパターン、及びそれぞれに対応した1平方フィート(0.09平方メートル)当たりのセル数を示す説明用の平面図である。そのために、
図1は、標準的な幅0.5インチ(1.27センチメートル)の切り込み100(すなわち、長さ0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを有する標準的な拡張性スリットシート)と、幅0.45インチ(1.14センチメートル)の切り込み101を有する本願の実施形態(すなわち、長さ0.45インチ(1.14センチメートル)のスリットを有する本明細書の幾つかの実施形態に係る拡張性スリットシート)とのレイアウトの説明用の平面図である。この例示的な図において、正方形の線102及び103は、1平方フィート(0.09平方メートル)の拡張スリットシート材を描く例示的な12インチ×12インチ(30.48×30.48センチメートル)の箱の輪郭である。この一例としての説明図に例示されているように、スリット長を0.5インチ(1.27センチメートル)から0.45インチ(1.14センチメートル)に短くした結果、スリット長0.45インチ(1.14センチメートル)の例101では、レッグ部の数が23.7%多くなっている。
【0218】
図2は、背景技術の拡張スリットシート材のセル構造204と、拡張スリットシート材の高さが異なる、本発明の幾つかの実施形態に係る2つの異なるセルサイズ205及び206とを描いた説明用の側面図である。参照線200,201及び203は、線207を基準線として、それぞれ異なるセル構造の高さを示している。この例示的な説明図において、拡張スリットシート204は、標準的な0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを有し、第1実施形態に係る新規の拡張スリットシート205は10%小さく、拡張スリットシート206は204に比べて10%小さい。
【0219】
拡張性スリットシート紙を拡張させるためには、紙を引っ張って紙を拡張させ、セルを開口させる拡張力が必要である。従来の拡張性スリットシート紙は、拡張させるのがやや難しく、拡張させるためにかなり大きな力を必要とする。また、従来の拡張性スリットシート紙は、セルを開口させるためにスリット長を大きくする必要がある。拡張スリットシート材でスリットパターンを異ならせた場合、延伸に必要な力も異なる。市場で使用されている現在のスリットパターンは、幅が15インチ(38.1センチメートル)の50#のクラフト紙を使用したスリット材の場合、約6ポンド(2.72キログラム)の引張力が必要になる。しかし、本発明者は、伸長性紙によって、同じスリットパターン及び紙の重量に対して必要な力が、例えば2ポンド(0.91キログラム)に減少することを発見した。
【0220】
本発明者は、この減少によって、より大きな弾力性を提供できる更なるスリットパターンを提供できる機会が生まれ、また、従来は手作業で延伸させることが困難であり自動延伸装置に負担を与えていた厚みを減少させることが望ましいことも発見した。本発明者は、概して、スリット、ランド部、及び列の大きさを10%小さくすると、支持レッグ部の数が23.7%増加し、材料の強度が2倍を超えることを発見した。これにより、レッグ部の高さが同じかそれより小さくても、より大きな弾力性が得られる緩衝の解決手段が提供される。
【0221】
また、紙の型抜き技術においては周知であるように、レッグ部の高さは、剛性に影響する。レッグ部の高さが低くなるほど、レッグ部の剛性は上がる。これは、高さが低くなるにつれて、撓んだり曲がったりし難くなる繊維の長さによるものである。本発明の好適な実施形態によれば、最適な緩衝性を提供すると共に、開口に要する引張力を最小限に抑えるように、レッグ部の高さと、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりのレッグ部の数と、紙の重量とのバランスがとられている。
【0222】
また、自動化された設備は、必要な引張力に比例してフックローラが摩耗するため、そのメンテナンス交換の回数が多くなるので、引張力が重い場合は影響がある。拡張性スリットシート製品に採用される伸長性紙の固有且つ予期しない利点に関する本発明者の発見により、これらの引張力が関係する制限は大幅に減少し、より大きな強度が必要とされる市場でより大きな機会が得られるようになる。
【0223】
現在、電力を必要としない無電源機器を使用する、環境に優しい梱包製品への動きがある。
【0224】
様々な緩衝特性を有し得る拡張スリット材のロールを手動式のシステムを用いて送給することで、より多様な重量や密度の壊れやすい物品を包装するための適応性が向上する。一例として、従来技術のスリットシート材では、ワイン1本に対してラップの枚数が多過ぎて、気泡緩衝材よりもコストの利点がない。一方で、本発明者が実施した、(本発明の実施形態に係る)1平方フィート(0.09平方メートル)当たりのレッグ部の数がより多い伸長性ラップでは、同程度の緩衝性を得るために必要なラップの数が少なくなる。従って、非常に大きな利益と進歩が得られる。
【0225】
幾つかの例示的な用途として、本発明の好適な実施形態を、大幅に改良された新規且つ有利な封筒の作成に採用できる。そのために、幾つかの実施形態では、本発明の態様を採用したパッド付き封筒を作成することができ、これにより、厚さが減少する一方で封筒(またはパウチ又は袋)の弾力性が増加し且つ耐潰れ性が向上すると共に、弾力性が増加しつつ保管及び輸送の効率も向上し、更に、新規の伸長性紙の使用によって減少した必要延伸力を利用して、生産速度を維持しながら、ダウンタイムを短縮できる。
【0226】
現在、0.5インチ(1.27センチメートル)のスリットを使用した現行の市販パターンの潰れ強度は、1平方インチ(6.45平方センチメートル)当たり2.2ポンド(1.00キログラム)である。
【0227】
本発明の幾つかの好適な実施形態によれば、0.45インチ(1.14センチメートル)のスリット(すなわち、スリットの長さ)、0.1688インチ(0.4288センチメートル)のランド(すなわち、スリットの長さ方向に隣接するスリット間の距離)、0.1125インチ(0.2858センチメートル)の列幅(すなわち、隣接するスリット列間の距離)のスリットパターンを有する50#のクラフト紙を利用した好適な縮小スリットパターンが提供される。幾つかの実施形態では、このような構成は、1インチ(2.54センチメートル)当たり2.72~2.92ポンド(1.23~1.32キログラム)の潰れ強度をもたらし、強度が27%増加し、厚みが0.1875インチから0.16875インチ(0.47625センチメートルから0.42863センチメートル)に10%減少する。このスリットパターンの最も好適な実施態様において、採用される紙は伸長性紙である。
【0228】
本発明の幾つかの他の実施形態によれば、他の好ましいスリットパターンは、0.40インチ(1.02センチメートル)のスリット、0.15インチ(0.38センチメートル)のランド部、及び0.1125インチ(0.2858センチメートル)の列幅になる。幾つかの実施形態では、この後者の構成は、1インチ(2.54センチメートル)当たり3.1~3.3ポンド(1.4~1.5キログラム)の潰れ強度をもたらし、潰れ強度が40%増加し、厚みが0.1875インチから0.16875インチ(0.47625センチメートルから0.42863センチメートル)に10%減少する。このスリットパターンの最も好適な実施態様において、採用される紙は伸長性紙である。
【0229】
好適な実施形態によれば、有利には、この強度の増加を利用して、拡張スリットシート紙の厚さを減少させることができ、その結果、例えば、全体的な高さを減少させながら、同等の潰れ強度を実現できる。例えば、50#の紙を採用している上記の例示的な実施形態では、40#の紙を使用することで、レッグ部の剛性が低下するが、紙のコストを下げられる。
【0230】
幾つかの他の好適な実施形態では、拡張性スリット紙シートは、0.30から0.45インチ(0.76から1.14センチメートル)の範囲のスリット長及び0.1125から0.1688インチ(0.2858から0.4288センチメートル)の範囲のスリット列の間隔を有するスリットパターンを含む。このスリットパターンの最も好適な実施態様において、採用される紙は伸長性紙である。
【0231】
幾つかの他の好適な実施形態によれば、拡張性スリット紙シートは、0.45インチ(1.14センチメートル)+5%(例えば、0.4725インチ(1.2002センチメートル))から0.45インチ(1.14センチメートル)-33%(例えば、0.30インチ(0.76センチメートル))の範囲のスリット長を有するスリットパターンを含む。このスリットパターンの最も好適な実施態様において、採用される紙は伸長性紙である。
【0232】
幾つかの他の好適な実施形態によれば、拡張性スリット紙シートは、拡張と同時に、六角セル(例えば、等辺六角形)を形成するように構成されたスリット長が0.5インチ(1.27センチメートル)のスリット紙シートよりも1平方フィート(0.09平方メートル)当たりのレッグ部の数が少なくとも20%多い拡張性スリット紙を形成するスリットパターンを含む。
【0233】
幾つかの他の好適な実施形態によれば、拡張性スリット紙シートは、拡張と同時に、六角セル(例えば、等辺六角形)を形成するように構成されたスリット長が0.5インチ(1.27センチメートル)のスリット紙シートよりも1平方フィート(0.09平方メートル)当たりのレッグ部の数が少なくとも15%多く、より好適には、このような六角セル(例えば、等辺六角形)を形成するように構成されたスリット長が0.5インチ(1.27センチメートル)のスリット紙よりも1平方フィート当たりのレッグ部の数が20%から50%の範囲で多い拡張性スリット紙を形成するスリットパターンを含む。
【0234】
最も好適な実施形態において、採用された紙は、本明細書にて上記したような伸長性紙である。このような伸長性紙を使用することで、従来のスリットパターンに比べてスリットパターンのサイズを縮小でき、非常に有利である。特に、非伸長性紙には、実現可能なスリットのサイズ及び寸法に関して制限が有り、そのような非伸長性紙では、本明細書に記載された好適な実施形態のサイズまで縮小できない。これは、そのような小さなサイズを採用しようとした場合、そのような従来の紙は動作できず、十分に拡張しないからである。
【0235】
また、本発明者は、拡張性スリットシート紙の緩衝特性を向上させる新規の手段を発見し、これはスリットパターンの寸法の「縮小」を伴う一方で、このスリットパターンの寸法の縮小は、従来の拡張性スリットシート紙では実現不可能である(すなわち、このような小さいサイズを実現不可能である)「だけでなく」、このような拡張性スリットシート紙によって得られる緩衝特性に関する既存の理解からは「外れた」ものであることに留意すべきである。特に、拡張性スリットシート紙の緩衝性は、拡張性スリットシート紙の拡張状態における「幅」に直接関係する。従って、当業者は、緩衝性を高めるために、この拡張スリットシート紙の幅を実際に「拡大」しようとしてきた。しかし、本発明者は、より小さなスリットパターンを(例えば、伸長性紙を用いて)実現できる手段を発見し、そのような伸長性紙を用いたそのようなより小さなスリットパターンが、拡張性スリットシート紙の「幅」の減少によって緩衝性が失われるにもかかわらず、実際に、緩衝性を高められることを発見した。更に、本発明者は、そのような新規の拡張性スリットシート紙の他の望ましい用途や使い方も発見した。
【0236】
特に、非伸長性拡張スリット紙シートは、スリット長がおおよそ0.5インチ(1.27センチメートル)未満では適切に動作しない。このため、本発明に係るより小さなスリットサイズの拡張性スリット紙シートでは、本発明に係る伸長性紙が有利に採用される。
【0237】
本発明の幾つかのより好適な実施形態によれば、スリット長(すなわち、各スリットの長さ)が0.35インチ(0.89センチメートル)で、ランド部(すなわち、同じスリット列における隣接スリット間のスリットの長さ方向における距離)が0.13125インチ(0.33338センチメートル)で、列幅(すなわち、隣接スリット列間の距離)が0.0875インチ(0.2223センチメートル)であるスリットのスリットパターンが提供される。これに関して、このようなスリットパターンは、例えば
図6(A)に示すスリットパターンと同様のものとして実現することが好適であり、この場合、拡張性スリットシートの全スリットが同じ長さを有し、隣接する列同士が同じ距離を維持し、同じ列において、スリット同士が同じ距離を維持し、隣接する列におけるスリットの位置が対称的なセルを形成するように等しく重なって配置される。これらの実施形態では、伸長性スリットシート紙を採用するのが好適であり、特に、非伸長性紙では、このようなスリットパターンで動作するように機能することは不可能である。
【0238】
拡張スリットシート紙の全体が、シート全体に亘って同じスリットパターンを含むことが好適であるが、幾つかの実施形態では、そのようなパターンは、紙の一部又は領域において採用され得り、且つ/又は紙の幾つかの領域において、潜在的に幾つかの異なるパターンが含まれていてもよい。また、スリットの長さ及び寸法は、上記に示したように同じ長さ及び寸法が維持されることが好適であるが、幾つかの実施形態では、製品の動作を妨げない限り、スリットの大きさ及び位置が多少ばらついてもよい。
【0239】
幾つかの実施形態において、0.35インチ(0.89センチメートル)のスリット、0.13125インチ(0.33338センチメートル)のランド部、0.0875インチ(0.2223センチメートル)の列幅を有するスリットパターンは、1インチ(2.54センチメートル)当たり3.52~3.82ポンド(1.60~1.73キログラム)の潰れ強度を実現可能であり、これにより、潰れ強度が60%増加し、厚みが0.1875インチから0.1125インチ(0.4763センチメートルから0.2858センチメートル)に30%減少する。
【0240】
上述した本発明の全ての実施形態のうちの幾つかの好ましい実施形態では、ランド部の距離(すなわち、
図6(A)に示すスリット間の距離SS)は、スリット長(すなわち、
図6(A)に示す距離SL)の約1/3である。距離SSがスリット長の約1/3の場合、形成されたセル開口部a26とb26は、周縁の長さが等しくなる。しかし、幾つかの好適な実施形態において、ランド部の距離(すなわち、SS)は、スリット長の1/3よりも僅かに大きいことが好適である。例えば、0.35インチ(0.89センチメートル)のスリット長と0.13125インチ(0.33338センチメートル)のランド部長を採用した上述の最後の実施形態では、比率は約0.375である。従って、この例では、ランド部の長さはスリットの長さの1/3よりも約12.5%大きい。
【0241】
幾つかの好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さのおおよそ1/3±おおよそ25%である。幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さのおおよそ1/3±おおよそ20%である。幾つかの好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さのおおよそ1/3±おおよそ15%である。幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さのおおよそ1/3±おおよそ10%である。
【0242】
幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さのおおよそ1/3と、スリットの長さの1/3よりも25%大きい長さとの間である。幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さのおおよそ1/3と、スリットの長さの1/3よりも20%大きい長さとの間である。幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さのおおよそ1/3と、スリットの長さの1/3よりも15%大きい長さとの間である。幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さのおおよそ1/3と、スリットの長さの1/3よりも10%大きい長さとの間である。
【0243】
幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さの1/3よりもおおよそ5%大きい長さと、スリットの長さの1/3よりもおおよそ25%大きい長さとの間である。幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さの1/3よりもおおよそ10%大きい長さと、スリットの長さの1/3よりもおおよそ20%大きい長さとの間である。幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリットの長さの1/3よりもおおよそ10%大きい長さと、スリットの長さの1/3よりもおおよそ15%大きい長さとの間である。幾つかの他の好適な実施形態において、ランド部の長さは、スリット長SLが、スプリット(split)間隔SSに対して、SL=2.6667×SSとなるような長さである。
【0244】
幾つかの好適な実施形態において、拡張性スリットシート紙の寸法は、スリット長が0.5インチ(1.27センチメートル)、列間隔が1/8インチ(0.125インチ(0.318センチメートル))、同じ列におけるスリット間隔が3/16インチ(0.1875インチ(0.4763センチメートル))である拡張性スリットシート紙から、a)列間隔がSL(new)/0.5の比率で相対的に縮小され、b)スリット間隔がSL(new)を2.6667で割った値に設定されるように、相対的に縮小される。例えば、幾つかの好適な実施形態では、以下に表Aに説明するような寸法が含まれる。
【0245】
【0246】
図10を参照すると、
図10は、上記にて強調表示した、幾つかの好適な実施形態に係る実施例Iの行におけるスリットパターンを示す概略図であり、幾つかの好適な実施形態に係る図に例示的な寸法が描かれている。幾つかの非常に有利な実施態様によれば、
図10に示す実施形態は、封筒(例えば、本願に記載されている封筒のいずれか等)の内部に採用できる。幾つかの好適な実施形態では、
図10に示す実施形態は、封筒内の単一の緩衝層として採用でき、当該封筒は、本実施例Iによって封筒の内壁及び外壁の両方において拡張状態に形成された単一の緩衝層を有する。とりわけ、
図10に示す本実施形態は、高度に最適化された形態で、幅を縮小しつつも充分な緩衝性を提供する。好適な実施形態において、
図10に示すスリットシート紙は、本明細書の様々な拡張可能な実施形態に記載されているような伸長性紙である。
【0247】
幾つかの好適な実施形態において、上記表Aの実施例A~Lの対応する列間隔は、実質的に表Aに示す通りである。幾つかの好適な実施形態において、実施例A~Lの列間隔は、実質的に表Aに示すものの±20%、より好適には実質的に表Aに示すものの±15%、より好適には実質的に表Aに示すものの±10%、より好適には実質的に表Aに示すものの±5%とすることができる。
【0248】
また、幾つかの好適な実施形態において、上記表Aにおける実施例A~Lの対応する列間隔は、より好適には、それぞれのスリット長に対して表Aに示される列間隔と同じかそれより小さい範囲内である。特に、スリット長が小さくなると、セルの開口性が悪くなり、この開口性は、列間隔が広がるほど悪くなる。従って、幾つかの好適な実施形態では、スリット長が減少するにつれて、列間隔は、スリット長の相対的な減少と同じかそれ以上に比例して減少する。特に、本発明者は、本明細書に記載されているような伸長性紙を用いることで、スリット長を実現可能な範囲で減少可能であることを発見したが、本発明者は、伸長性紙を使用しても、スリット長を減少させることにより、列間隔が相対的に大き過ぎる場合には、セルの開口性が悪くなり得ることにも注目した。
【0249】
前述の表Aは、背景技術における1/8インチ(0.125インチ(0.318センチメートル))の列間隔よりも大幅に小さくした列間隔を示しているが、幾つかの代替的な実施形態では、本発明の様々な実施形態の列間隔(例えば、前述の表の実施例A~Lのものを含む)は、これよりも大きくてもよい。すなわち、本発明は、列間隔の縮小を可能にする大幅に向上した緩衝特性により、このような列間隔の縮小を非常に有利に可能にするが(例えば、列間隔の縮小により生じる緩衝性の低下は、本発明の向上した緩衝特性により相殺できる)、拡張のためにセル構造が開口可能である限り、このような大幅な縮小は必ずしも必要ではない。
【0250】
例えば、幾つかの代替的な実施形態では、スリット長が0.40から0.25の範囲にある本発明の実施形態のいずれにおいても、従来技術の列間隔よりも小さい列間隔を採用可能であり、これは、例えば、0.125インチ(0.318センチメートル)未満、より好適には0.12インチ(0.31センチメートル)未満、より好適には0.115インチ(0.292センチメートル)未満、より好適には0.1125インチ(0.2858センチメートル)未満、より好適には0.0875インチ(0.2223センチメートル)未満、幾つかの実施形態ではより好適には0.08インチ(0.2センチメートル)未満等である。
【0251】
幾つかの他の代替的な実施形態では、前述の表Aに示す本発明の様々な実施形態は、以下のように変更可能である。
【0252】
a)スリット間隔(これは、表Aにおいて、式SL=2.6667×SSに略基づくものとして示されている)を、式SL=K×SSに基づくように適合させることができ、ここで、Kは2.4と3.3との間の値、より好適には、Kは2.5と3との間の値、より好適には、Kは2.6と2.8との間の値である);且つ/又は
【0253】
b)列間隔(表Aでは、式RS(new)=0.125/0.5×SL(new)又はRS(new)=0.25×SL(new))に基づくように、比率SL(new)/0.5で相対的に縮小される列間隔に適宜基づくものとして示されている)を式RS(new)=Y×SL(new)に基づくように適応させることができ、ここでYは0.2から0.4の間の値であり、より好適には、Yは0.22から0.3の間の値であり、より好適には、Yは0.23から0.27の間の値である。
【0254】
幾つかの好適な実施形態において、スリットのスリット紙パターンは、有利には、0.2から0.3インチ(0.51から0.76センチメートル)の範囲のスリット(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)と、0.06から0.7インチ(0.15から1.78センチメートル)の範囲の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)とを有する。好適には、スリットのスリット紙パターンは、有利には、おおよそ0.25インチ(おおよそ0.64センチメートル)(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)のスリットと、おおよそ0.06~おおよそ0.065インチ(おおよそ0.15~おおよそ0.165センチメートル)の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)を有し、最も好適にはおおよそ0.0625インチ(おおよそ0.1588センチメートル)の列間隔とを有する。
【0255】
幾つかの好適な実施形態では、各列のスリット間隔は、好適にはおおよそ0.1~おおよそ0.09インチ(おおよそ0.25~おおよそ0.23センチメートル)の範囲であり、最も好適には、各列のスリット間隔は約0.094インチ(約0.239センチメートル)である。
【0256】
幾つかの実施形態では、上述の寸法により、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりより多くのセルを形成し、薄い封筒を提供しつつも、封筒内に梱包された物品の緩衝のための耐潰れ性と弾力性を提供するスリットパターンを作ることができる。幾つかの例では、0.2から0.3インチ(0.51~0.76センチメートル)の範囲のスリット(すなわち、スリットの長さ方向の寸法)、及び0.06から0.7インチ(0.15~1.78センチメートル)の範囲の列間隔(すなわち、隣接するスリット列間の距離)を有するスリット紙パターンを採用する封筒であって、その最外層904,902間においてある距離を有する「薄い封筒」が提供される(例えば、
図9を参照)。
【0257】
本発明の全ての実施形態において、紙は、最も好適には伸長性紙である。様々な実施形態において、伸長性紙は、本明細書に開示された実施形態のいずれかに係る伸長性紙又は伸長性紙の例である。
【0258】
様々な実施形態において、拡張性紙は、例えば、上述の実施例1~実施例72のいずれかを含む、本明細書に記載された実施形態のいずれかに係る伸長性を採用できる。また、拡張性紙は、本明細書に記載された、例えば、必要とされる開口力、紙の重量、種類等に関する伸長性紙の特徴のいずれかを有することができる。しかしながら、本明細書に記載されるように、交互列拡張パターンを採用する実施形態では、伸長性が、本明細書に記載されたような交互列拡張パターンを実現するように適合されることに留意されたい。
【0259】
幾つのかの例示的な例において、幾つかの実施形態では、機械方向における伸長可能範囲が3%から20%である伸長性紙が採用される。幾つのかの例示的な例において、幾つかの実施形態では、横方向における伸長可能範囲が3%から20%である伸長性紙が採用される。幾つのかの例示的な例において、幾つかの実施形態では、機械方向における伸長可能範囲が3%から15%である伸長性紙が採用される。幾つのかの例示的な例において、幾つかの実施形態では、横方向における伸長可能範囲が3%から15%である伸長性紙が採用される。幾つのかの例示的な例において、幾つかの実施形態では、機械方向における伸長可能範囲が7%から15%である伸長性紙が採用される。幾つのかの例示的な例において、幾つかの実施形態では、横方向における伸長可能範囲が7%から15%である伸長性紙が採用される。幾つかの例示的な例において、伸長可能範囲は、機械方向及び横方向の両方において5%以上である。
【0260】
また、幾つかの例示的な例において、スリットシート紙は、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15~0.22ポンド(0.07から0.10キログラム)の拡張力が加えられることで拡張して開口セルを形成するように構成された伸長性スリットシートである。
【0261】
また、幾つかの例示的な例において、スリットシート紙は、伸長性スリットシートであり、当該スリットシート紙は、拡張前の重量が、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から50ポンド(13.61から22.68キログラム)である。特に、本明細書に記載された本発明の実施形態(例えば、スリット長、スリット間隔、列間隔等を含む様々なスリットパターン)は全て、幾つかの実施形態において、この範囲内の重量を有する紙の様々な実施態様、例えば、30#の紙、40#の紙、50#の紙、及びこの範囲内の任意の紙に採用することができる。また、他の実施形態において、例えば、20#以下等、この30#から50#の範囲より低い紙、又は例えば60#以上等のより高い紙も採用できる。しかしながら、好適な実施形態では、緩衝特性が強化されているため、より軽量の紙を採用しつつも、従来の拡張性スリットシート紙と同じかそれ以上の緩衝特性が得られる。
【0262】
上述のように、本発明によれば、大幅に緩衝特性が向上した拡張スリットシートを作ることができる。緩衝特性の向上は、以下の1つ以上又は全てによって実現可能である。
【0263】
a)好適な実施形態においては、伸長性紙を用いることで、「より容易に開口する」構造が実現し、これにより、より小さいセルが作成可能になる。より小さいセルによって、有利には、セル密度が増加し、ひいては、緩衝特性が向上する。
【0264】
b)幾つかの好適な実施形態においては、伸長性紙を用いることで、従来の拡張パターンと比較して緩衝特性が大幅に向上した新規の「交互列拡張パターン」が実現する。
【0265】
上述したように、本発明によれば、例えば、以下のような新規且つ従来では実現し得なかった緩衝材製品が作成可能である。
【0266】
a)幾つかの好適な実施形態において、従来の封筒構造に比して大きな利点を有する新規の封筒構造が実現可能である。例えば、本発明によれば、大幅に薄くなった緩衝拡張スリットシート(例えば、列間隔が大幅に小さくなったもの)が実現可能になり、また、単一の層又はわずか数層で十分な緩衝が提供される。従って、大幅に幅が狭くなった封筒を、しかも単一の緩衝層で実現することができる。更に、当該封筒は、より軽量な紙で作ることができ、これにより、より使い易く(例えば、より低硬度)、より軽量な製品(例えば、輸送コストの削減)が実現する。特に、製品重量がより軽量であることと製品幅がより狭いことが、共に輸送コストの低減に有利につながる。
【0267】
b)幾つかの好適な実施形態において、例えば、緩衝特性が向上し、例えば、幾つかの用途において必要とされる緩衝層の数を減らせる、必要とされる緩衝材の量を減らせる、また、本明細書に記載されるような他の利点や利益が得られる等、従来の緩衝用ラップに比して大きな利点を有する新規の緩衝用ラップを実現できる。
【0268】
本発明の広い範囲
本発明の例示的な実施形態を本明細書にて説明してきたが、本発明は、本明細書で説明された様々な好適な実施形態に限定されるものではなく、本開示に基づいて当業者に理解されるような、同等の要素、変形、省略、組み合わせ(例えば、様々な実施形態における態様の組み合わせ)、適合及び/又は変更を含むあらゆる実施形態を含む。特許請求の範囲における限定は、特許請求の範囲に採用されている文言に基づいて広く解釈されるものであり、本明細書中又は本願のプロセキューション(prosecution)において記載された例に限定されるものではなく、これらの例は非排他的なものとして解釈されるものである。例えば、本開示において、「好適には」という文言は非排他的であり、「好適であるがこれに限定されない」という意味がある。本開示中且つ本願のプロセキューションにおいて、ミーンズ・プラス・ファンクション又はステップ・プラス・ファンクションの限定が採用されるのは、特定の請求項の限定について、その限定に以下の条件がすべて存在する場合に限られる:a)「のための手段」又は「のためのステップ」が明示的に記載されている、b)対応する機能が明示的に記載されている、及びc)構造、材料、又はその構造を支持する行動が記載されていない。本開示中且つ本願のプロセキューションにおいて、「本発明」又は「発明」という用語は、本開示内の1つ以上の態様を指すものとして使用される場合がある。本発明又は発明の文言は、臨界性を特定するものとして不適切に解釈されるべきではなく、全ての態様又は実施形態に対して適用されるものとして不適切に解釈されるべきではなく(すなわち、本発明は多数の態様及び実施形態を有すると理解されるべきであり)、本願又は特許請求の範囲を限定するものとして不適切に解釈されるべきではない。本開示中において且つ本願のプロセキューションにおいて、「実施形態」という用語は、任意の態様、特徴、プロセス又はステップ、それらの任意の組み合わせ、及び/又はそれらの任意の一部等を説明するために使用することができる。幾つかの例において、様々な実施形態は、重複する特徴を含み得る。本開示では、以下の略語を用いることがある。「e.g.」は「例えば」を意味する。
【0269】
使用した個々の数値は、当該数値の前に「おおよそ(about)」、「略(substantially)」、又は「約(approximately)」という単語があるかのように、近似値として記載されている。同様に、本願で指定された様々な範囲内の数値は、明示的に別段の指示がない限り、記載された範囲内の最小値と最大値の両方の前に「おおよそ」、「略」、又は「約」という単語があるかのように、近似値として記載されている。このため、記載された範囲を上回ったり下回ったりした値を用いても、範囲内の値と略同等の結果を得ることができる。数値に言及する場合、本明細書において用いられているような「おおよそ」、「略」、及び「約」という単語は、開示された主題が最も密接に関連する技術、又は問題となっている範囲もしくは要素に関連する技術における当業者にとって、平易且つ通常の意味を有するものとすべきである。厳密な数値の境界からの広がりの度合いは、多くの要因に依存する。例えば、考慮され得る要因の一部には、要素の重要性、及び/又は所定量のばらつきが特許請求された主題の性能に及ぼす影響、並びに、当業者に既知の他の考慮事項が含まれる。本明細書で使用されているように、異なる数値に対して異なる数の有効桁数を使用することは、「おおよそ」、「略」、又は「約」といった単語の使用が特定の数値又は範囲をどのように広げる働きをし得るかを限定することを意味するものではない。このように、一般事項として、「おおよそ」、「略」、又は「約」は数値を広げるものである。また、範囲の開示は、最小値と最大値との間の全ての値に加え、「おおよそ」、「略」、又は「約」という単語の使用によってもたらされる範囲の広がりを含む連続的な範囲として意図されるものである。このように、本明細書における値の範囲の言及は、特に記載がない限り、当該範囲内に収まる各個別の値をそれぞれに参照する簡略的な方法としての機能のためだけのものであり、各個別の値は、本明細書に個別に記されているものとして本明細書に組み込まれる。スリットパターン、拡張の前後で異なる紙の幅、及び紙の重量や種類の重要性、並びに開示された主題が最も密接に関連する技術、又は問題となっている範囲もしくは要素に関連する技術における当業者に既知の他の配慮事項等の一部の要因の所定量の変動が特許請求された主題の性能に及ぼす影響を決定するということが、当業者の能力の範囲内とみなせない、又は特許請求の範囲に明確に記載されていない限りは、「おおよそ」、「略」、及び「約」という単語は、数値±15%を意味するものとして理解されるべきである。
【0270】
本明細書に開示された全てのデータから形成され得る、又は導き出され得る全ての範囲、比率、及び比率の範囲が、本開示の更なる実施形態を示し、それらが明確に記載されているものとして本開示の一部として含まれていることを理解されたい。これには、上限及び/又は下限の有限境界を含む又は含まないように形成され得る範囲が含まれる。従って、特定の範囲、比率、又は比率の範囲と最も密接に関係する当業者は、こうした値が本明細書に示すデータから一義的に導き出され得ると理解するであろう。
【国際調査報告】